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ミズマアートギャラリー MIZUMA ART GALLERY

1994年の開廊以来、スタイルに捕らわれない独自の感性を持った日本人及びアジア人作家を国際的なアートシーンに紹介。

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ミヅマアートギャラリー 三潴末雄氏インタビュー 植物でもこの国にしか咲かない花があるように、アートでもこの国にしか生まれないものがあるんじゃないかと思っているんですけどね。

ミヅマアートギャラリー 三潴末雄氏
ミヅマアートギャラリー
三潴末雄氏
−−ギャラリーのコンセプトをお聞かせください。
コンセプトがあってコンセプトがない。昔あそこのギャラリーはバラバラだ、顔が見えないって批判されたことがあるんですよ。僕にとって、それは褒め言葉だった。コンセプチュアルアートしかやりませんとか抽象画しかやりませんとかではなくて、自分の気に入ったおもしろいと思った作家を扱っているんであって、それがもしコンセプトと呼べるなら、コンセプトだけど、いわゆるコンセプトは持ってない。それが結果的に年数が経つとなんとなく自分の好みの傾向っていうのかな、そういうものになってくる。
−−三潴さんの好みというのはどういったものですか?
何でも好きなんですよ。僕は自分で作品をつくらないから、基本的に作品をつくる人ってリスペクトしているんです。手技のオーラを持ってるしっかりと描いてる人も好きだし、結構しっかりした考え方に基づいていいかげんな絵を描いている人も好きですね。それが結果としてウチの色として表れているのかな。
−−ドメスティックというか非常に日本の美術の歴史や文脈に深く関わった表現をする作家の方が多いのもミヅマの特徴かと思うのですが?
わかりますよ。ドメスティックというかどうかはわからないけれど、我々っていうのは頭の先からつま先まで日本人だし、まあ常日頃からそんなことは思っているわけではないけど、日本という土壌の中にある栄養をしっかり吸い取った方がいいんじゃないのって。植物でもこの国にしか咲かない花があるように、アートでもこの国にしか生まれないものがあるんじゃないかと思っているんですけどね。
−−近々、海外のアートフェアに参加する予定はありますか? また、これまで海外での反応はどのような感じですか?
5月にLOOPというビデオアートフェア、夏にはメルボルン、パリ、マイアミのフェアに出す予定です。海外での反応は、ワーストって言う人とベストって言う人に、極端に分かれますね。ワーストって言う人は、現代アートかくありなんっていうのが明確だから、そういう考えからはウチの出すものはちょっと外れているから、何だこんなものって抵抗を示しますね。逆に金太郎飴みたいに、現代アートの発想なんてどこに行っても似たり寄ったりになっているから、そこへいくとウチのブースに来ると全く違ったものがあって、それを新鮮に感じる人たちはベストと言ってくれますね。
−−アジアの作家も多く扱ってらっしゃいますね?
ヨーロッパや欧米の人たちっていうのは、発表の機会もマーケットもあるわけだから、あえて僕が日本でやる必要はないと思ったんですよ。なかでも僕がおもしろいなと思ったのは、中国の文化的圧力の中で生きてきた国々。タイとかミャンマーとか、ヴェトナムとか。そういう国の作家を探しにいったのがはじまりですね。97年頃からそういったアジアの国に目を向けてきましたけど、ビジネス的にいえば、その時中国に行ってれば、今の中国ブームにのってウチも成功したかもしれませんけど(笑)、残念ながら僕はあまり中国が好きじゃなくて、基本的に中国が巨大になっていくと、アジアって非常に悪くなるっていう、それは歴史が証明してるんでね。そういうことを懸念してたのもあって、その周辺の作家に注目したんですけどね。
公式アートポスター2006 FIFA ワールドカップ
  ドイツTM Hisashi Tenmyouya,
Football 2004, Japan © 2005 FIFA
−−FIFA のポスターを天明屋尚さんが手がけることになった経緯についてお聞かせもらえますか?
ドイツが国として単なるスポーツイベントとしてではなく、文化事業として考えようというのがあって、その中の一つで通常の公式ポスターとは別に、世界各国のアーティストに依頼しようという企画なんですが、じゃあなんで彼らが天明屋君のことを知ったかというと、おそらく一つは日本のイメージを探してて、たまたまホームページを見つけて彼の作品を目にしたというのもあるだろうし、あとは以前彼が2003年にホイットニーミュージアムで「アメリカン・エフェクト」というグループ展をやった時、NYタイムズの一面にカラーで掲載されたことがあって、それと同じ記事がドイツの新聞に掲載されたこともあって、多分そういったものを見た人の中にコンペの選定メンバーがいて、ということだったんじゃないですかね。
−−今回@GALLERY TAGBOATに出品されている他の作家の方々についても簡単に説明していただけますか?
 会田君は一筋縄ではいかない、こうだって言ったらこうではないという、影を掴まえたらそれは影じゃないっていう感じで、スッスッとすり抜けていく人だから。会田誠ってどんな作家って言われた時に、一言では説明できない非常に多方面な顔を持った作家。山口君は見たものを描くというのではなく、頭の中にあるイメージを取り出してくる類い稀な才能を持った作家。鴻池は、MORPHEというアートイベントで最初に知り合って、その後いろいろ話してる内に、「絵やらない? 試しに描いてよ」って勧めて、その時彼女が描いてきたのが『Knifer life』というすごい作品で。「引き込まれるように描いて、その世界に入っていってしまうので疲れた」って彼女は言ってましたけど、まあそういう出会いが幸せな結果を生んで。
−−今後の5年や10年先で見たとき、ギャラリーとしてはどういう方向性を考えていますか?
いつもここ最近ちょっと考えてるのは、マーケットはもちろん、まだ現代アートの中心地は欧米で、こっちはアウェイに行って、チャレンジャー精神で、という。チャレンジャー精神もいいんだけど、ひっくり返したいというのがあって。そうじゃないだろ、あんた方がやってるのも行き詰まってどうにもならないところまで来てるだろって気づかせたい。そのパワーっていうのは日本にあるんじゃないかなって。浮世絵が向こうに紹介されてすごい大きな影響をもたらしたでしょ、そのくらいの存在で持っていかないと。価値観をひっくり返したいと思っているんですけどね。
−−@GALLERY TAGBOATのようにネット上で現代アート作品を販売するということに関してはどのように思いますか?
日本では、現代アートの作品が流通するための出口をつくってこなかったんですよ。だからセカンダリーっていう発想もない、ピカソやシャガールは売ってるにも関わらず、現代アートの作品のセカンダリーっていうのは、毛嫌いされている。ちゃんとそういうマーケットが育つことが、本当の意味での活性化に繋がると思う。こういうネットで流通させるのも賛成だし、オークションでもいいし。マーケットがないところにアーティストは育たないっていうのが、僕の考えの基本ですから。だからちゃんとしたマーケットをつくっていかねばという思いがありますね。
(インタビュー収録 2006年3月7日 中目黒・ミヅマアートギャラリーにて)