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米田知子展によせて−「記憶」と「時間」が語りかけるモノクロ写真の魅力

シュウゴアーツの推す国際的作家、米田知子の個展『モノクロームの仕事 1996-2003』が5月9日より江東区・清澄で開催される。人気シリーズ「見えるものと見えないもののあいだ」の全9点が一挙展示される他、「トポグラフィカル・アナロジー」や未公開のデビュー作まで、米田知子の静謐なモノクロ世界があますところなく、繰り広げられる。展覧会について、また、なぜ今モノクロ写真なのかをシュウゴアーツ・佐谷氏にうかがった。

谷崎

谷崎潤一郎の眼鏡 - 松子夫人への手紙を見る
(“見えるものと見えないもののあいだ”より)
1999年

「boardroom」

「boardroom」 1996
ゼラチンシルバープリント

徐美姫 「SEX」 2005

徐美姫 「SEX」 2005
ゼラチンシルバープリント

−−今回の展覧会は全てモノクロ写真で構成されていますが、どのような経緯からでしょう。
昨年の個展『雪解けのあとに』」はすべてカラー写真でしたから、今回の『モノクロームの仕事』で彼女の白黒写真の魅力を知っていただきたいと思いました。眼鏡の人気シリーズ「見えるものと見えないもののあいだ」は全9点で 構成されていますが、制作年代が2期に分かれています。1998-99年に撮られたものと、2003年に撮 られたもの。美術館がセットで購入するまでに至りましたが、これまで9点同時に展示する機会がなかったので、この機会に一挙公開して皆様に楽しんで頂きたいと思っています。 実物をご覧頂くと、静謐で落ち着いたトーンに加えて、米田知子ならではの物語性と鋭い視点が迫りますよ。
−−「トポグラフィカル・アナロジー」は米田さんの初期の頃の作品ですよね。今回は未公開のデビュー作も展示されるとか。
このシリーズは解体されてしまう住居の中のはがれかけた壁紙、ヒーターの煤の跡が写った壁などを写し、そこにかつて住んでいた人や営まれていた生活の痕跡を見出そうとするものです。「記憶」と「時間」をテーマに制作する米田の出発点と言える作品ですね。未発表のシリーズは、既にある状態にひとつ何かの要素を加え、特定のシチュエーションを奮起させ鑑賞者に物語を読み込ませるものです。なかなか発表する機会に恵まれなかったものですが、今回は貴重な初お目見えとなりました。
−−今回展示される作品は全てゼラチンシルバープリントですが、デジタル全盛の昨今、あえてモノクロの展覧会というのが新鮮ですね。
米田知子展を皮切りに、夏までの間シュウゴアーツはモノクロームづいていますね。今年6月のバーゼル・アートフェアには米田の「見えるものと見えないもののあいだ」の大判作品を発表します。120x120cmの大きさで、これは非常に迫力があります。静謐な作風だけに、モノクロのグラデーションも映えますね。また、6月3日からは若手新人作家のグループ展『4人展』を行います。ここで初めて発表する徐美姫は『Number』や『Esquire』のフォトグラファーでもあり、注目の新人ですね。北陸の海を撮ったモノクロ写真は写真集も刊行予定で、見ごたえがある作品です。また、目玉となるのは7月に予定されている森村泰昌の新作展『烈火の季節 何者かへのレクイエム』も、一点を除いて全てモノクロームです。20世紀の歴史的事件を独特のパフォーマンスで再現します。21世紀はデジタルだけど、20世紀はアナログ=モノクロームというコンセプトで撮られたモノクロ写真の古きよき味わいが、見所ですね。是非、ギャラリーにお越しいただき、実物の持つ独特の風合いを間近でご覧下さい。

米田知子の幻の作品が今夏ブラジル大使館にて発表!

今回、モノクロの静謐な世界を繰り広げた米田知子の待望の作品はブラジルを旅して撮影した美しいカラー写真でブラジル大使館にて発表されます。これまで発表されたシリーズとはまた異なり、鮮やかな色があふれています。ロンドン在中の作家本人も来日予定とか。詳細はタグボートでもアップデートしますので、お楽しみに!

米田知子サイン入り作品集『Between visible』 3名様プレゼント

『Between visible』

ご応募ありがとうございました。応募は6月1日をもって締め切りました。発送をもって当選のお知らせとさせていただきます。