トップページ  >  ギャラリーセレクション  >  ギャラリストインタビュー 山本裕子氏

山本現代

「アート」と「そうでないもの」の間の、「ボーダーラインぎりぎりこちら側の美術」も紹介していきたい

いちおしアート

ギャラリーガイド

ギャラリストインタビュー

山本 裕子氏
山本現代
山本 裕子氏

2004年 4月、文豪の花街・神楽坂の工場街にオープン。 2008年 1月に港区・白金に空間を広げ移転。存/故、年齢、平面/立体/ヴィデオ/インスタレーションなどメディアを問わず、伝統技術を凌ぐような独特の技法を誇る作家を多くかかえ、既存のジャンルを叉に掛ける全方位的作品、及び鬼才を紹介。

──Q1.まずはじめにギャラリーをオープンした経緯を教えてください。
「山本現代」をオープンしたのは、2004年の4月です。それまで私は別のギャラリーにいて、当初はまったく独立しようという計画はありませんでした。けれども、さまざまな偶然が重なりこの神楽坂の倉庫と出会い、たくさんの人の助けもあって「山本現代」をスタートすることになりました。神楽坂界隈は出版社が多く「文豪の花街」と呼ばれていたこともあり、街にカルチュアがあります。1本ほんのちょっと小径に入ると小さなレストランや個性的なお店がたくさんあるので、ギャラリーに来る途中に散策も楽しんでいただける場所だと思っています。
──Q2.ギャラリーの名前を「山本現代」としたのはなぜですか?
オープン時はスタンダードに「山本ギャラリー」と名付けましたが、ぜんぜん好きになれませんでした(笑)。そこで、すぐに「山本現代」と改名したのです。あえて「ギャラリー」と付けなかったのは、「ギャラリー=絵が展示されているところ」という先入観を持ってほしくなかったからです。アートは「絵」だけではありませんし、また「アート」と「そうでないもの」の間の、「ボーダーラインぎりぎりこちら側の美術」も紹介していきたいという意味を込めています。また「画廊」という既成概念にとらわれずギャラリー以外の活動を……、たとえばパフォーマンスやシンポジウムなど、今後は少しずつやっていきたいと考えています。
──Q3.山本さんの考える「ぎりぎりのもの」という意味をもう少し詳しく教えていただけますか?
日本で「アート」とされる根拠はまだまだ欧米の基準に偏っていると思います。しかし「日本の美術」と考えたときに、「アート」と「そうでないもの」の中間地点(ボーダーライン)の表現に、日本独特のものがあるのではないかと考えています。だからこそ、私たちが「ボーダーラインぎりぎり」を次々紹介していくことによって、日本のアートシーンがもっと豊かになるのではないかと思います。
──Q4.ギャラリーとしては、どんなスタンスで活動していますか?
「山本現代」は駅から住宅街を抜けて10分ほど歩いた倉庫の4階にあります。訪ねたい人だけがわざわざ訪れるような、とても私的な空間です。普通に考えれば不利な場所ですが、逆にアドバンテージとして捉え、作品や表現方法に制限を設けず、アーティストに好きなことをやってもらえる場所でありたいと願っています。パプリックの美術館やガラス張りの路面ギャラリーで展示を開催するにはちょっと過激だったりグロテスクだったりする作品も、作家のコンセプトさえしっかりしていれば、ここで表現することが可能です。
──Q5.オープンから今年で4年目になりましたね。ギャラリストの視点から見て現在のアートシーンをどのように見ていますか?
アーティストが変わったという印象はあまりなく、変わったのはむしろお客様の方かもしれません。ここ数年で外国人のお客様が急に増え、海外での展覧会のお誘いも多くなりました。世界のあちこちで日本の作品が人気で、国内だけの需要だけではないと日々感じています。もちろん国内のお客様にも変化があり、最近では年齢やバックグラウンドに関係なく購入してくださる方が増えています。しかも「こういった作品を集めたい」というコレクションの方針を事前にしっかり持っている方が多くなったように思います。ご自分の好きな作品を分かっている方が多いのかもしれません。若い方でも気軽に購入していただけるように、手の伸ばしやすい価格帯の作品も取り扱っていこうと思っています。
──Q6.タグボート出品についてメッセージ
本当は、実際にギャラリーに足を運んでいただいて、本物をみてもらうのが一番だと思っています。けれども、世界各地からアクセスできるインターネットは、ギャラリーにとっても無視できないメディアになりました。「いいな」と思う作品に出会えたら、自分の直感を信じてとにかく買ってみましょう! ウェブサイト上で見るよりも、実際に届く作品が数倍もいい作品であることは御墨付きです(笑)。

インタビュー年月 2008年10月