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海外アートフェアレポート Hanaの韓国アートレポート〜アートも韓流が今熱い? タグボート、ソウル初上陸〜
Hanaの韓国アートレポート〜アートも韓流が今熱い?! タグボート、ソウル初上陸〜
はじめまして、タグボートで海外取引を担当しているHanaと申します。
最近、韓国のアートシーンが元気だという話をよく聞きます。サムスン社が建てた美術館「リウム」なども世界的に有名な建築家が手がけたとのことで、 大きな話題となっていますよね。といっても、実はあまり韓国アートの情報を日本にい る私たちが知っていないのも事実。 したがって今回は、ボスと共に新しい作家の発掘やマーケットの開拓を兼ね、ソウルまで視察に行ってまいりました。まずはこの目で! とばかりに方々歩き回ってまいりましたので、どうぞレポートお楽しみください。 韓流俳優もいいけど、この国のアートシーンも今見逃せないですよ!
 

ロンドン・クリスティーズにて西洋美術史とアンティークを学び、帰国。画廊勤務の後、(株)エムアウトに参画。現在、@Gallery TAGBOATで海外取引部門を担当しています。
 
  今回案内してくださった陸 根丙先生の作品。国際展にもたびたび出品している作家です。
ボスとアートアドバイザーS氏とともに羽田から金浦空港へ旅立つ。一日4便が羽田からソウルの金浦まで飛んでいる。ソウルまで約2時間あまり。あっという間だ。空港から漢江川を渡りサムスンの高層社宅ビル街を横目に見ながらソウルの金融街を通ってホテルへ。滞在ホテルに到着すると、S氏のお知り合いで韓国人アーティストの、陸 根丙 (ユック・クンビョン, Yook Keun-Byung)氏のお弟子さん、チョウさんが出迎えてくれる。まずはソウルで一番ギャラリーが多く集まるインサドンへ案内してもらった。このインサドンは、石畳の一本の大道から何本もの小道が枝のようにわかれており、それぞれの道にもお店がある。日本でいえば銀座のようにギャラリーが集まっており、また伝統的な韓国陶器などのお土産屋さんなどが並んでいる。
韓国の美術市場〜インサドンのギャラリー巡り・貸し画廊が90%〜
 
  インサドンにあるギャラリー。(左上)ARTSIDE、(右上)Project Space、(右下)Kwanhoon Gallery。圧倒的に貸し画廊が多い。
韓国には、現代美術のギャラリーの数はかなり多い。インサドンには、メインの通りから脇道に入ったところまでたくさんの現代的な、おしゃれなギャラリーがたくさんあり、韓国人作家の展覧会が行われていた。チョウさんの話によると、火曜日は、架け替えの日で、水曜日から展覧会が始まることが多いそうである。この日は、洞窟のような地下に入ったところにあるProject Space、Byun Sook-Kyung という現存作家の彫刻作品を3階建ての悠々としたスペースに展示していたARTSIDE、写真展を行っていた Gallery LuxKwanhoon Gallery,などをまわったが、すべて貸し画廊であった。韓国は若手の作家を応援する風潮があり、たとえばProject Spaceでは応募の中から選ばれた作家に、まず一カ月間、作品の制作のために無料でギャラリースペースを貸し出し、またその後の一カ月は展示会をするそうである。この間、場所代はまったくとらないという。同様に若手作家を支援するギャラリーとして他にGallery PoolLoopがある。
政府による新人アーティスト支援
 
  新人アーティスト発掘の場、Loop Gallery。この夜はLoopのキュレーター、ソン・ジンスク氏(写真中央)やアーティスト陸 根丙氏らに誘われて、みんなで焼肉パーティーとなりました。
Loop は、政府から補助金も出ているそうで、新人アーティストの発掘の機能があるそうである。新人アーティストは、応募して選ばれると、ギャラリーのスペースを無料で4週間借りられ、さらにLoopのデータベースに登録されるそうである。その後 自由にプライマリーギャラリーなどと、契約を結んでもよいそうで、有名になるための登竜門ともいうべき役割をこのLoopや、Project Space, GalleryPoolが担っているのである。

夜はこのLoopのキュレーターの方に誘われるまま、そのまま焼肉パーティになってしまった。 その後、陸 根丙先生も合流、Loopで展覧会を行っている中国人のアーティストなどもどんどん参加して、にぎやかなパーティーになった。

パブリックアート設置が義務づけられている韓国
 
  (左上)韓国人アーティスト、サン・ビョンホンの作品。(右上)ナム・ジュン・パイクの作品もありました。(下)インサドンにある政府直営のアートスペース、「Art Sonje」。お休みで残念!
晴天。外は1度という寒さ。今日はギャラリー巡りをして、夕方からブルース・ナウマンのオープニングパーティーに参加するため、PKM Galleryに行く予定だ。タクシーでギャラリーに行く途中で、巨大なボロフスキーのパブリックアートを目にする。チョウさんによると、韓国ではある一定規模以上の新しいビルを建てるときは、一つは必ずパブリックアートを設置しないといけないそうである。

チョウさんに連れてきてもらったのは、Kangnum地区のCAIS Gallery、このあたりは、ビバリーヒルズのような場所で近年急速にブランド店が立ち並ぶ地域になってきたという。ギャラリーのアシスタントディレクター、リョン・リーさんにお話を伺う。マイアミのアートフェアが先週あったのだが、そこに出品をし、韓国人作家 サン・ビョンホン氏の作品完売したそうである。まだ新人作家でおよそ80x80cmぐらいのペインティングが$2800ぐらいだそうである。きらきらとしていて、幾何学模様に華やかなイメージを与えていた。その他、ナムジュンパイクなどが飾ってあった。2階のギャラリー準備室をのぞくと次回の展覧会用のピーター・ハリーのペインティングがあった。

ソウルのビバリーヒルズを後にして、ギャラリー街インサドン地区へもどる。
老舗ギャラリーへ行く前に、政府が運営しているSeoul Museum of ArtArt Sonjeへ立ち寄ったが、あいにくどちらも今日は、展示架け替えでお休みであった。Lee Ufanのペインティングがかかっていた。



Gallery Hyndai。ロバート・インディアナの個展が開催されていた。
ロバート・インディアナ、ジェニー・ホルツァー…大御所作家の個展が続々
 
  Kukje Gallery。こちらも負けじと大きい。5F建て。ジェニー・ホルツァーの展覧会を見ることができました。
仕方がなく国立博物館などがある近くのJongro区へ。この界隈にはGallery HyundaiKukje Gallery, Keumsan Galleryと老舗のギャラリーがある。 まずは、Hundai Galleryへ。現代財閥が経営元のギャラリーである。一階、地下と、ロバートインディアナが展示されていた。LOVEは、タグボートでも版画を取り扱っている。Gallery Hyundai はとにかく広く、ギャラリーながら小さな美術館のようだ。

次に訪れたKukje Galleryではジェニー・ホルツァーの展覧会が始まっていた。ギャラリーのひとスペースに一点ずつという豪華さ。また、ディレクターのスージーキムさんと打ち合わせたミーティングスペースでは、エドワード・ルッシェのペインティングとカルダーのモビールが。Kukje Galleryは、ファミリービジネスでやっていてスージーさんのお姉さまは、NYでギャラリーをやられているという。
どちらのギャラリーも海外の大御所作家の展覧会で、さすが老舗ギャラリー。力を見せ付けられた感だった。

若いアーティストたちが元気!
 
  PKM Gallery。B1Fではブルース・ナウマンの映像が、1Fでは韓国若手アーティストの作品が展示されていました。
本日、最後に向かったのは、PKM Gallery。 Kukje Galleryで働いていた方が独立して始めたギャラリーという。こちらではブルース・ナウマンのオープニングがあるということで、招待して頂きました。 PKM Galleryは B1、1F、2Fの3フロアからなり、ブルース ナウマンは、B1で映像作品が上映されていた。1Fには、大きなキャンバスの 作品がかかり、2Fでオープニングパーティが始まっていた。真ん中には、シャンパンなどの飲物、クリスマスが近いからかチキン、そして韓国の太巻きなどが振舞われていた。DJが選曲しその場を盛り上げていた。2Fのベランダを開放し、お客さんも、一般客から、ギャラリスト、若手アーティスト、国立現代美術館のキュレーターなどを始めとして20,30人いた。皆それぞれの立場で楽しんでいたようだ。そうこうするうちにPKMギャラリーの若手アーティストの作品を飾り、オークション方式で作品を競ってその場で売るという。その中の一人、ハムジン(Hum Jin)というアーティストは、階段の踊り場のところに宙に吊るかたちで飾っていたのだが、本人にあそこ!と言われるまで気付かなかった。2センチくらいの本当に小さな作品!  2005年に森美術館で若手アーティストの展覧会があるそうだが、ハムジンも出品が決まっているとのことであった。他にも陸 根丙先生にいろいろな人たちを紹介していただいた。
「Gana Art Center」のHo-Jae Lee氏と会う
 
  ガナ・アートセンターとギャラリーの展示様子。
今日は東京に帰る日ではあるが、午前中にもう一仕事と早速出かける。 車でソウルの中心部から20分ぐらい離れた山の手にあるガナ・アートセンターへ向かった。 ガナ・アートセンターは、昔サムスン社の専属アートディーラーをしていたHo-Jae Lee氏が個人でつくったアートセンターで、 こちらはオークション、ギャラリー、インターネットビジネスまで行っている。 販売は韓国骨董から現代美術までと幅広く、またオークションでは、絵画、彫刻などファインアート以外にも、 家具、陶器、ワインまでを扱っている、韓国でもきってのやり手だ。 光栄にもガナアートの社長Ho-Jae Lee氏に迎えられて、ギャラリーを見せていただいた。 著名なカルダーの彫刻に混じって韓国現代作家の作品も飾られている。
こちらもガナアート内で見つけた若手アーティストの絵画作品。
よく見るとホチキスで描かれている。

ガナアートでは韓国国内の若手アーティストの売り出しにも力を入れている。ミッキーマウスに似ているこちらの作品は、ガナアートギャラリーが現在おすすめする新鋭作家の一人。VOGUEの作品は売却済みだそうだ。
Gana Art Center。エントランスにはアルマンの彫刻(左上)、またアレクサンダー・カルダーの大きなモビールが(右上)。廊下にはさりげなくリキテンスタインがかかっている(左下)。ミーティングスペースにはピカソの立体作品(右下)。現代美術から骨董までそのコレクションは膨大かつ幅広い。
ギャラリーの外、廊下のスペースでは、若手作家たちが、作品の制作を行っている。 こうやって若手のアーティストを育てていくこともガナアートセンターでは大事なことだという。 屋上に出ると、山の手の住宅地らしく、大きな家家が目の前に広がる。 見ると屋上にもジョージ・シーガルの彫刻作品がさりげなく置かれている。 その他、ピカソの作品を飾ったミーティングスペースを視察。廊下には、リキテンスタインの版画が掛かっていた。 この後、センターの中のレストランに案内されてHo-Jae Lee氏といろいろな話をした。
 
今回の戦利品。韓国からリキテンスタインを買い付けてきました。
詳しくはこちら
今回韓国出張でわかったことは、韓国が国を挙げて、若手作家を応援していることだ。 非営利の画廊が援助金を得、また老舗のギャラリーや美術館とも密接に係 わり合いを持ち、韓国国内だけでなく、海外に積極的にアプローチしようとしていることである。これによりなんとかアート市場を活発化させていきたいという 強い意欲が感じられた。タグボートとしては、今の時点では、作家をプロデュースするという時期ではないが、たくさんの良質の現代美術作品を紹介しお客様に作品と触れ合う機会が多くなってもらえれば幸いだと思う。


今回現地で見つけた韓国のアート本をいくつかご紹介。 左から、韓国で読まれている美術雑誌『ウォルガンミソール』、展覧会情報満載のフリー・ガイドブック『Soul Art Guide』、 韓国の若手作家を網羅した『FACING KOREA』展のカタログ。