トップページ > アートな生活 > アートとの付き合い方 ギャラリスト小山登美夫 / アートと仲良くなる方法/得意分野から入る!(2003.12.08)

ギャラリスト小山登美夫が語るアートとの付き合い方
アートと仲良くなる方法/得意分野から入る! (2003.12.08)
TAGBOAT(以下T):アートに興味をもちはじめた初心者としては、例えば抽象画をみて、何だこれ、ただの四角の集まりじゃない、わかんない〜、という「わからない障壁」にぶつかることが多々あります。そうした障壁を持たずにアートに触れる、親近感をもつためのコツやアドヴァイスがあればぜひ教えてください。

KOYAMA(以下K):アートへの入り方っていろいろあって、自分の好きなエリアから入っていくっていうのもいいんじゃないかな。フランスっぽいものが好きとか、ジャズが好き、映画が好き、とか。例えば、バスキアの映画があるでしょ。あと、グウィネス・パルトロウとイーサン・ホーク主演の「大いなる遺産」で出てくる作品は、全部クレメンテが描いている。ロンゴも北野武やキアヌ・リーヴス出演の「JM/ジョニー・ネモニック」など、日本では映画監督としてのほうが有名なくらいの作家です。

T:小山さん自身は中学生のときにゴッホに魅了されたと伺いましたが、ゴッホに出会ったきっかけと、そのときもった印象を教えてください。

K:それはやっぱり映画ですよ、映画。「炎の人ゴッホ」っていう。ちょうどその頃西洋美術館でゴッホ展が開かれていて、作品も見に行った。

T:じゃあ彼の作品というよりも人生そのものに惹かれた?

K:うん、けっこうそういうのって多かったりする。だけど、最初にゴッホの感傷的な話に惹かれたりするけれど、最終的には「ゴッホの手紙」とか読むようになる。情報が増えていくと、セザンヌとかまわりの作家を知るようになって、ゴッホが理知的に絵をつくっていたということもわかるようになる。さらに情報量が増えていく過程で、やっぱりぶっとんでたんだ〜、とまた思ったり(笑)。揺らぎつつわかることが広がっていくと面白さもどんどん増してくる。マーケットの問題としても面白いでしょ、ゴッホの場合。描いていたのは10年くらいの短い間だけど、あの人はほんとに売れなかった。
それから、絵の前にたったときに、それを描いたとき作家がどんな精神状態だったのかと想像することができる。例えば、このバスキアの絵(ペル・キャピタ)をみて、あの赤を描いたときバスキアは何を思っていたのか、と。バスキアと僕は時代も場所も隔たる別の人間だけれど、どこかで想像ができる。それはすごく面白い。

T:ということは、想像力を使うことが、アートを自分に近づける手段ということ?

K:うん、例えばゴッホがそのときにどういう状態で描いていたのか、色の使い方とか、いろいろある。その絵を目の前にするとき、ゴッホがいた19世紀の空気が、もちろん残っていないんだけど、想像によって感じることができる、時間と空間を旅するような想像、そういうものが面白かったりするんだよね。
一般的にアートって難しい、わからない、とよく言われます。とはいえ難しく構えずとも自分の得意分野から接点を探してみる、想像力で作品をみてみる、そうしたちょっとしたきっかけからどんどん自分のアートの世界を広げることができそうですね。小山さんのアドヴァイス、心強い限りです。