トップページ > アートな生活 > アートとの付き合い方 ギャラリスト小山登美夫 / ギャラリーの仕事をすべて教えます!〔前編〕 (2004.09.13)

ギャラリスト小山登美夫が語るアートとの付き合い方
ギャラリーの仕事をすべて教えます! 〔前編〕 (2004.09.13)
タグボート(以下T):ギャラリーの仕事って普段どんなことをしてるの? と思っていらっしゃる方たちのために、今回は画廊の業務について小山さんにお尋ねしたいんですが・・・・・・。

小山氏(以下K):簡単に言うとギャラリーの仕事とは、まず取り扱いの作家がいて、その人たちがつくった作品を展示して売る、ということです。だからギャラリーでは個展を企画して行うことがメインの業務。ただし一口に個展といっても、そこに関係する仕事の内容にはいろいろなことがあります。

T:具体的に、個展ができるまでにはどんな仕事のプロセスがあるんですか?

K:まず、アーティストと打ち合わせをして展覧会の日程を決めます。それからプレスの活動。アーティストに今回はどんな作品をつくる予定なのかを聞き、あるいはいくつか作品のイメージをもらってきて、それを元にプレスリリースをつくって出版社などメディアに流します。だいたい3〜4カ月前に行うことで、取材を受けて記事にしてもらったりと、インフォメーションができるだけ広く行き渡るようにすることが出来ます。また作品が出来上がってきたら、額装をするために額屋さんに出したり。他にはDMの発送準備。それからこれが最も重要ですが、作品にプライスをつける作業がある。個展毎にアーティストと相談して、今回いくらにしようかという話をするわけです。また、村上さんや奈良さんなど海外のギャラリーでも取り扱っているところがある場合だと、プライスについてそうしたギャラリーと事前に相談することもある。あとは展覧会直前の展示作業です。展示の仕方も作家や作品によって変えるなど、一通りではありません。この作品なら固めて3点4点と並べて見せようとか、大きな空間に1点だけにしようとか。いかに作家を良いかたちでプレゼンできるかがかかっていますから。

T:それからオープニングパーティーがありますよね。

K:オープニングパーティーの最大の特徴は、「アーティストがそこに居る」ということです。だから新作のお披露目とあわせ、お客さんはそのアーティストに興味があれば、このときに直に話をすることができる、そういう場です。親しいお客さんやアーティストの友人、プレスの人などが集まってきます。

T:海外のギャラリーなどでは初日のオープニングパーティーに来ると、既に作品が完売していたりすることもありますが?

K:私のギャラリーではそういうことはしていません。昨年行った奈良さんの新作ドローイング展の初日も、すごい人気だったけど、ちゃんと並んでもらって整理券を渡して、先着順で作品を買えるというやり方をしたくらいです。これは特殊なケースと言えますが、基本的に誰にでも買って頂きたいと思っているので分け隔てはしませんね。

T:海外のギャラリーでは、値段がどこにも書いてないケースもありますよね?

K:確かにアメリカなどではプライスがオープンではないところも多いですよね。それだけお客さんがカスタマー化しているということでしょう。しかし、うちも含め日本のギャラリーでそういうやり方をしているところはほとんど無いと言って良い。カウンターのところに行けば、ちゃんとプライスリストが置いてありますよ。

T:そもそも取り扱い作家はどのようにして見つけられるのですか?

K:いろいろだね。他のギャラリーで作品を見ていいなと思った作家に声をかけることもあれば、人から紹介されるケースもある。村上さんの場合は僕が東高現代美術館(※1)で働いていたときに彼が展覧会を見に来ていて、そのとき作品を見せてもらったのが最初の出会いで、その後一緒に仕事をするようになった。1990年のことだからもう10年以上前になる。奈良さんは、ドイツに行ったとき、平川典俊という知り合いのアーティストから「友人を紹介する」と言われ、ドクメンタの会場で会ったのが最初。和光さん(※2)と4人でお茶したのを今も憶えています。

〔後編に続く〕

 
以下、写真は9月4日に小山登美夫ギャラリーで行われた福井篤個展のオープニングパーティーの模様です。


小山登美夫氏とアーティストの福井篤さん(右)のツーショット。


福井篤さんの新作ペインティング。福井さんはデイヴィッド・シルビアンのCDジャケットなどにも作品提供しています。


展示の仕方によっても作品の雰囲気は全然違ってきます。


オープニングパーティーでは必ずと言ってもいいほどアーティストが来ているので、お客さんはそのアーティストに興味があれば、直接話をすることができます。


悪天候にも関わらず、アーティストの親しい友人や、コレクター、プレスの人たちなど、たくさんの人が集まっていました。
(※1)1988-1991年にかけ、東京青山で現代美術を専門に活動していた美術館。ソル・ルウィットやダニエル・ビュレンヌの個展など海外作家の展覧会が多く開かれた。東高不動産が経営していたが、91年に閉鎖。現SCAI(白石コンテンポラリーアート)の白石正美氏が中心に企画を行った。
(※2)ゲルハルト・リヒター、ウォルフガング・ティルマンスなどを扱っていることで知られる新宿のギャラリー、「ワコウ・ワークス・オブ・アート」オーナー。