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ギャラリスト小山登美夫が語るアートとの付き合い方
Vol.12 アートフェアを終えて
8 月6〜8日の3日間、国内最大のギャラリーショー「アートフェア東京」が有楽町の東京国際フォーラムで行われました。連日猛暑だったにもかかわらず、開催前夜の招待日を含めた4日間で観客は2万8000人という盛況ぶり。また、国内外から出展した83のギャラリーが会期中に販売した総額はおよそ1億7千万円にも上ったとのこと。コミッティーも務めたタグボート・オフィシャルアドバイザーの小山さんにさっそく今回の感想をお聞きしました。
アートフェア東京
小山登美夫ギャラリーブースで小山さんを撮影。蜷川実花「Acid Bloom」が出品されていました。
−−第一回アートフェア東京を終えて、いかがでしたか。

まずは集客面では非常に良かったですね。だいたい3万人くらいですか。最終日も平日であるにも関わらず、お客さんの数がすごかった。私たちにとっても新しい人との出会いになったし、また来場者の顔ぶれを見ていても気軽に普通の方が来て下さっている様子が見てとれました。絵を楽しむということが以前と比べるとずっと一般化した感じを受けましたね。
−−今回のフェアの特徴について教えてください。

以前もNICAF(Nippon International Contemporary Art Festival)というフェアが行われていましたが、そのときはコンテンポラリーだけだった。今回私やシュウゴアーツの佐谷周吾さんがコミッティーに入って、コンテンポラリーだけじゃなくモダンアート、日本画、洋画、古美術、陶芸も含めて良質なギャラリーを集めよう、と言いました。一番大事なことはジャンルがどうのではなく、「アートフェア東京に出ているのはいいギャラリーです」ときちんとお客さんに対して言えること。またここに来れば、日本のリアルな美術業界の毎年のトレンドがわかる、と思っていただけることです。そのなかでお客さんには純粋に自分の好きと思うものを選んでもらえればいいし、結果として私たちのようなコンテンポラリーのギャラリーを選んでくれる人と新しく出会えるきっかけにもなれば素晴らしいです。
アートフェア東京
アートフェア東京の会場は連日人だかりでした。
−普段ギャラリーに行ったことのないような方も多くいらしていたように見えましたが。

こういう場があることで、「ギャラリーってこういう人がやってるんだ」とわかるのが大きいと思います。また、画廊の取り扱う作家を一つの場所で一度に知ることができる点がフェアの一番の良さでしょう。またギャラリストの感じも全体的に変わってきました。昔はもっと話しかけにくい雰囲気があったけれども、今は普通のお店のように気軽に入れる感じになってきた気がします。
−−海外のアートフェアと比べるとどうですか。

海外のアートフェアと比べても画廊や作品のクオリティは悪くはないです。作品の売れ方でいえば、初日、2日目で競ってお客さんが買っていくようなバーゼルなどと比べると、まだまだと言えます。それから、海外のアートフェアだと日本のアーティストを連れて行って紹介すると、それがきっかけでその人たちの作品が海外のギャラリーで取り扱われようになることもある。まだ日本ではそういうことはないわけです。
アートフェア東京
コンテンポラリーもあれば古美術まで、国内外から83のギャラリーが顔を揃えました。
−−これからもアートフェア東京は続いていきますが、その目指すところは。

ひとつは、日本の中でのアートマーケットを確立すること、そしてもうひとつは世界に向けてこのアートフェアはいいフェアだと発信できるようになり、海外からも人が買いに来るようになることです。ここが東京発リアルなアートの情報発信の場にならなければいけない。

今回、私のギャラリーブースではデニス・ホリングスワース、ジェレミー・ディッキンソン、シャロン・ロックハートといった海外の作家を中心に見せました。このように、フェアではそれぞれのギャラリーが「今、見せたいもの」を厳選してPRしているんです。ですから、「このアーティストはここのお店で扱っているんだ」ということをこの機に知っていただきたいし、ギャラリーに行ったらもっとたくさん見られるから、じゃあ今度行って見よう、という風になっていくと良いと思っています。何よりも、フェアとはそういう新しい出会いが起こるきっかけの場なのですから(インタビュー収録=8月11日・小山登美夫ギャラリーにて)。