タグボート(以下T):この間の広本さんのコラムにもありましたが、キース・へリングのマーケット・プライスがこの15年間で300%上昇とのことです(2004年1月23日付『ウォール・ストリート・ジャーナル』調べ)。本当に人気が衰えないですね。
小山氏(以下K):80年代に出てきたニューペインティングの作家の中でも、キース・へリングとジャン=ミッシェル・バスキアの2人はやはり別格ですよ。特にキース・へリングは一見すると平坦な感じに見えるけど、実際にはどの作品もすべて一筆描きで、しかも即興で描いているわけで、すごいデッサン力に基づいて描かれた絵なんです。それは彼が若い頃、ニューヨークの地下鉄などでグラフィティをやっていたことと大いに関係していて、常に描き直しが一切効かない緊張感のある中でずっと絵を描いてきたから。そうした強さ、集中力が作品の中に表れている。
T:ポップというととかく軽いテイストと見られがちですが、そうではないんですね。
K:全然そんなことはないです。キースには絵が持つ根源的な強さがある。また同じポップ・アートでもウォーホルはニヒルで渇いた雰囲気、それに対してキースは楽しくて、しかも熱い感じがあって、そういう違いがまた絵を見る楽しみと言えます。 |