トップページ > アートな生活 > アートとの付き合い方 ギャラリスト小山登美夫 / 今もっともアートシーンで人気のある作家は誰?!(2004.04.19)

ギャラリスト小山登美夫が語るアートとの付き合い方
今もっともアートシーンで人気のある作家は誰?! (2004.04.19)
タグボート(以下T):先月の3月12日〜15日にかけてニューヨークで行われていたアートフェア「The Armory Show 2004」(※)に小山さんのギャラリーも参加されていましたが、売れ行きはいかがでしたか。
※こちらのレポートも参考までご覧ください→「新米バイヤー“トッシー”のアートレポート

小山氏(以下K):良かったですよ。今回は主に若い作家を持っていったんだけど、すごくよく売れた。アーモリーにはいいギャラリーが集まっているしね。新しいギャラリーもかなり入っていて、今回は全体で187軒が参加、日本からも7つのギャラリーが出店していた。

T:フェアに参加していた他のギャラリーではどんな作家の作品がよく売れていたんですか?
エリザベス・ペイトンなど、やはり若くて今最も注目されている作家の人気が高いのでしょうか。

K:ペイトンはほとんどフェアには出てこないですよ。その前に作品が売れてしまっていますから、フェアに出すものがない状態。ローラ・オーウェンスもそうです。オーウェンスはGavin Brownというギャラリーで新作展が行われていて、オープニングの日に行ったけど、もうその日には全部売れてしまっていたからね。


ペイトン
木曜日(トニー) / エリザベス・ペイトン

無題 / ローラ・オーウェンス


T:ピーター・ドイグなどはどうですか? ちょうどタグボートでも作品を初入荷したばかりなのですが。

K:ドイグなんてまったくと言っていいほどフェアには出てきませんよ。フェアに限らず、彼は最も作品を見つけるのが難しい作家の1人と言って良い。この間もロンドンで大規模な個展が開かれていましたが、ペインティングは軒並み、MoMAやポンピドゥーなどの美術館が購入していて、また会場もかなりの広さだったにも関わらず、オープニングは満員状態でした。とにかくドイグの人気はすごい。

T:なぜそれほどまでに彼の人気が高いのでしょうね?

K:少し前までの絵画というのは傾向として、抽象とかミニマルとか、どちらかと言うと「ピュアさ」を究める方向に向かっていたんです。けれどもドイグは、美術史的に言えば、もう一度そうした絵画の世界に「豊饒さ」を取り戻そうとしている作家なのです。例えば彼の作品ではさまざまな風景が登場しますが、そこに自分自身のライフスタイルと結びついた、アウトドアの趣味だったり好きな映画のワンシーンであったり、さまざまな要素を積極的に取り入れようとしている。ただし同時にその表現の仕方が非常にスマート。また色彩にしてもすごく表現主義的な面を持ちながら、同時に決して暑苦しくなくて、彼はそうしたバランスの取り方が非常に上手いんですね。だからスマートでありながら、しかも「グラマラス」な絵画と言うのかな、そのあたりが非常に魅力的だと思います。

T:今世紀に入って、また絵画が確実に面白くなってきた感がありますよね。いっときはインスタレーションや映像の作品に押されていた印象がありましたが、ここのところまた絵画がアートシーンの中心になってきた気がします。

K:絵画に対する見方が若い作家の間で変わってきたことが理由の一つに挙げられます。例えばローラ・オーウェンスも彼女のことをすごく評価していて、影響も受けていると言っていました。だからそうした新しい価値観を持った若手が出てきたことで、全体的に絵画のポテンシャルがぐっと上がってきた、そんな状況がまたできつつある。それにしてもヘイルマンは何というのかな、観念的な抽象画と違って、すごく自由に描いている感じがいいんだよね。

【タグボートからお知らせ】:ローラ・オーウェンスについては、@Galleryタグボート内にあります、「小山登美夫ギャラリーセレクション」でも近日作品の販売が行われる予定です。また商品をUPしたらお知らせしますので、どうぞお楽しみに!