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海外アートフェアレポート Hanaの海外アートレポート カリフォルニアの最新アートトレンドを探る
Hanaの海外アートレポート カリフォルニアの最新アートトレンドを探る

タグボートで海外取引を担当しているHanaです。前回の韓国に続き、今度はアメリカ西海岸〜サンフランシスコとロサンゼルスに行ってきました。世界で一番コンテンポラリーがよく売れる場所は、実はロサンゼルスとすら言われているのです。また同じアメリカでも東のN.Yと西のLAではアート事情も異なるようで、西海岸ではとにかく大きくて迫力のある絵が売れていくと聞きました。中でも人気の高いのがサム・フランシスエドワード・ルッシェウォーホルなどの作家ということです。

ロンドン・クリスティーズにて西洋美術史とアンティークを学び帰国。画廊勤務の後、(株)エムアウトに参画。現在、@Gallery TAGBOATで海外取引部門を担当しています。
 

(上2点)ローラ・オーウェンスの2004年新作。木のフレームの感じがローラのメルヘンかつ素朴なテイストとよくマッチしていました。(左下)ピーター・ドイグ。(右下)ギャラリーのイチオシ、ロバート・ベクトルの新作。
サンフランシスコの有名版元を訪ねる
サンフランシスコに到着して、まず最初に地元で有名な版元に出向きました。こちらはローラ・オーウェンスピーター・ドイグフランチェスコ・クレメンテなどそうそうたる作家の版元としても有名。(日本人作家では舟越桂さんなども扱っています)工房とギャラリーを兼ね備えており、とにかく広くてびっくりしました。作品の置き方が緩衝材を敷いた棚に直入れで箱がない! 作品を引き出してすぐに見れるカジュアルな感じがすごくかっこいい。さすがアート大国だと肌で感じました。

(左・中央)赤レンガの建物の感じがとても素敵なつくり。
(右)マップケースの上にはステレオが。アーティストたちは音楽を聴きながら制作するそうです。
サンフランシスコ・モダンアート美術館でリキテンスタイン展を見る

サンフランシスコ・モダンアート美術館で開催中の『ロイ・リキテンスタイン:ALL ABOUT ART』を見てきました。こちらは2003年からルイジアナ、ロンドン、マドリッドと各地を巡回してきた回顧展だけに見ごたえ十分。美術館の入り口を入った途端、巨大なソル・ルウィットの平面作品がお出迎え! 迫力ある鮮やかな色彩に目を見張りました。空中庭園になっている中庭には、アレクサンダー・カルダーのモビール彫刻も置かれていました。

Roy Lichtenstein: All About Art
Saturday, October 23, 2004 -Tuesday, February 22, 2005

SAN FRANCISCO MUSEUM OF MODERN ART http://www.sfmoma.org/

2003年から世界各地を巡回しているリキテンスタインの回顧展です。右端は美術館エントランスを入ったところに飾られているソル・ルウィットの作品。そのスケールの大きさにびっくり! 美術館の建物の縞々模様とマッチしていました。
 
サンフランシスコのギャラリー街へ

サンフランシスコのギャラリー街へ。リキテンスタインウォーホルへリングフランケンサーラーヴァネッサ・ビークロフト、トーマス・ストルースなどを扱うギャラリーがありました。あいにく月曜はギャラリーの定休日であるところが多く、あまりたくさん訪れられませんでした。こじんまりとした街なので、1、2日あれば十分回れてしまいそうです。 

 

ギャラリーで見つけた作品たち。左からへリングホックニーウォーホルリキテンスタイン「グレーの背景にあるリンゴ」。ホックニーの屏風が特に素敵でした。お部屋にあったらいいな〜。
 
LAへ移動〜地元の有力画廊巡り〜
今朝サンフランシスコから飛行機でロスに向かう途中、サンフランシスコの空港にサム・フランシスの大きなキャンバスがかかっているのを発見! ここでもアメリカのスケールの大きさを実感しました。動く歩道で移動しながら、しばし見入ってしまいました。ロスに着いたら早速、今回の目的であるロスのギャラリーを見て回りました。ギャラリーのスタッフはどこも皆非常に気さくな人が多く、いろんな作品を見せてもらいました。土地柄かカラフルな作品が多く、開放感がありました。



サンフランシスコの空港。サム・フランシスのキャンバスがかかっていました。
 
 
(左上)ウォーホル「ケルン・カテドラル」。ダイヤモンドダストのかかっている感じが素晴らしく、本で見るより数段素敵でした。(中上)ウォーホル「フラワー」「マリリン・モンロー」、(右上)つぎはぎのミッフィーの姿をしたかわいいこちらの作品はトム・ザックス。何と1万ドル以上もするそうです。(左下)マーク・クインの花の彫刻(中下)キース・へリングの陶器の作品。植木の受け皿ですが、さすがロサンゼルスサイズ? 
 
(上左2点)ドナルド・サルタンの花。イエローとブルーの色違いです。(上右)マヌロ・ヴァルデス(Manolo Valdes)の新作(下左)テリー・ウィンタース(下中)ギャラリー・オーナーも大のお気に入り、キキ・スミスの「レガーロ」。タグボートでも取り扱っている商品です。(下右)古い印刷機はオーナーの祖父=ギャラリーの創始者のコレクション。100年以上の年季ものだが、まだ動くらしい。
 
LA版元の旅
ロサンゼルスの2日目。今日はダウンタウンにある有名な版元へ。まわりが物騒で一人では怖いような場所です。版元の建物の外には頑丈な鉄柵がありました。ここへはアポがないと入れてもらえないそうです。
サルタン
ウェッセルマンキキ・スミスで有名な版元だけあって、サルタンの新作がたくさん! テリー・ウィンタースも発見しました。
他にも、ウェッセルマンが亡くなってしまったために完成しなかったという、作りかけの版がそのまま残されていたり、紙を作る機械やマヌロ・ヴァルデスの試し刷りを見たり、貴重な体験をしました。写真撮影を禁止されていたため、皆さんにお見せできず、残念です。
 
ギャラリー巡り&フランク・ゲーリーのミュージアムホールを見学
午前中にロスで注目されているギャラリーを見て回りました。イオナ・ロジール・ブラウンのマザーギャラリー、ここでは近々オープニングがあるそうで作品はまだ壁に掛けられていませんでしたが、バックオフィスで作品を見せてもらうことができました。ちょっと楽屋裏を見た気分です。
それからフランク・ゲーリーの設計したミュージアム・ホールを見ましたが、ここは世界的に有名な建築物で、アメリカ中からお客さんが訪れています。 修学旅行でしょうか、スクールバスのツアー車両が広大な駐車場にひしめき合っている光景はまさにアメリカならではのスケール。 近くにMOCA(The Museum of Contemporary Art)もありましたが、あいにくこちらは2月まで休業中とのこと。
(中央)リア・ハロラン LIA HALLORANの新作ペインティング(右)有名なフランク・O・ゲーリーのミュージアムホール
 
イオナ・ロジール・ブラウンの新作ペインティング
アーティストとランチ
昼はアーティストのマリア・カポスと一緒にランチ。 「近くにいい店があるの」と言われ、マリアが連れていってくれたのは車でゆうに20分はかかるところにあるベトナム料理屋。近くというから5分くらいかと思ったのですが、この距離感は広大なLAならでは。その後スタジオにも遊びに行きました。 この作家はタグボート・オフィシャルアドバイザーのディーラーS氏もオススメで、ミスミコレクションにも収蔵されています。
新作の前に立つマリア。チャイナタウンにあるギャラリー、「ハッピーライオン」での展覧会を控えているとのことで、新作が完成間近でした。
 
 
サンタモニカのアートフェアを見学
今日はサンタモニカで開かれるアートフェアの初日。オープニングに顔を出しました。artLAという今年から新しく始まったアートフェアです。タグボートでもお馴染みのエリザベス・ヤングを取り扱うLA地元のギャラリーも出展していました。ヤングはもちろん人気がありますが、ギャラリーのスタッフからはJohn Sparaganaという同じく写真の新しい作家は、特にお薦めだと言われました。その他、奈良美智杉本博司の作品を取り扱うギャラリーや、ジュリアン・オピーのマザーギャラリーなど、地元のギャラリーの他にオレゴンやシカゴ、NYからのギャラリーも出展しており、なかなかの盛況ぶりでした。

アートフェアで見つけた作品たち。(左上)オスマン・カーンのメディアアート作品。それぞれの色のボトルを動かすとテーブルクロスの光が変化する。(中上)John Sparaganaの写真。皺くちゃにしたグラビア写真を使用するところがユニーク。(右上)同じくJohn Sparaganaの作品。
(左下)タグボートでもお馴染み、エリザベス・ヤング(中下)ジュリアン・オピーの“タンタン顔”ポートレート。(右下)色とりどりの顔写真のかげにはそれぞれの名前とその人の特徴が描いてありました。一枚ずつでも販売しているそうですが、並べるとかわいさ倍増です。
 
最終日 〜チャイナタウンの新興ギャラリー地帯をみる
最終日となる今日はアートシーンが新しくて面白いと評判のチャイナタウンに出かけました。 ここの一角は最近新しいギャラリーが続々と開いていて、新興アートスポットと化しています。もう何年か前、さびれてしまっていたこの中華街でアーティストがスタジオやギャラリーとして使うようになったのが最初と言われていますが、アメリカはニューヨークといい、こういう新しいパワーが集まったエリアが必ずどこかにあります。新しいアートが生まれる文字通りの原動力がここにある。そんな活気で満ちていました。

チャイナタウンのギャラリー街。外見はいかにも中華街といった赤の格子窓、けれども中に入ってみると現代アートのギャラリーで、そのギャップに驚きます。現在チャイナタウンの30軒近くがこうしたギャラリー。映像作品、電光掲示板による作品などそのスタイルもさまざま。若いアーティストの作品が多く展示されています。


アンディ・ウォーホル
「キャンベルスープ」


エドワード・ルッシェ
あっという間に過ぎた5日間でした。NYとは違う、西海岸ならではの雰囲気がそこかしこに感じられたのが印象的でした。エドワード・ルッシェはこちらの美術館でも作品を見ましたが、ロサンゼルスで絶大な人気を誇っています。またウォーホルサム・フランシスなどもそうですが、全体的にカラフルで、スケールの大きさを感じさせるアーティストの作品が人気があります。恵まれた住宅事情や、フレンドリーでゆったりと構えている西海岸の人達の性格から、NYとは違ったアートトレンドが生まれるのは当然のことかもしれませんね。今年から始まったサンタモニカのアートフェアが、非常に活気に溢れていました。そして、何といってもチャイナタウンが元気でした。今もっとも西海岸で熱いアートスポットの一つなのではないでしょうか。ここからまた新しい作家たちがマーケットに出てくるのが楽しみです!

今回の戦利品


ウォーホルのキャンベルスープです。教科書にも載っているくらい有名な絵ですが、 意外にもタグボートでは初入荷です。しかもそれぞれ絵柄が異なる3種類の作品を一度に仕入れることができましたので、どうぞお楽しみください。違いを見比べてみて下さいね! 
「キャンベルスープ I (II.47:オニオン)」
「キャンベルスープ II (II.58:チキンボール)」
「キャンベルスープ II (II.62:ゴールデン マッシュルーム)」