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海外アートフェアレポート タグボート・バイヤー "Hana&アスカ"の最新アートレポート〜ロンドン編〜

ロンドン・クリスティーズにて西洋美術史とアンティークを学び帰国。画廊勤務の後、(株)エムアウトに参画。現在、@Gallery TAGBOATで海外取引部門を担当しています。

ロンドン・クリスティーズで西洋美術史とアンティークを学ぶ。オークション会社でのインターンを経て、帰国。異業種から突如コンテンポラリーアートに目覚め、一転タグボートのバイヤーに。
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ロンドンはウィンブルドンの開幕もありたくさんの人で賑わっていました。ウィンブルドンが行われているテムズ川の南エリアに魅かれつつも、アートの溢れるロンドン市内をひたすら見て歩きました。まずは、サザビーズ、クリスティーズ、ボナムスといったオークションハウスのご紹介です。

世界最古のオークション会社、サザビーズ・ロンドン。ブランドショップが立ち並ぶBond Streetにあります。
タグボートでよくお会いするプリント部門のスペシャリスト、ジョナサン・プラットさんです。オークションハウスに併設されたカフェにはサザビーズ・ブレンドの紅茶があって、アフタヌーン・ティーを楽しめます。 建物の中には作品展示するギャラリースペースが5つほどあります。 繁忙期には多くのセールが重なるため、あちこちで絵画、家具、銀器などのプレビューが行われています。 その中でプリントを展示するギャラリーを撮ってきました。
プラットさん曰く、「プリント・ギャラリーは自然光がうまく入る設計にして、品質を保ちつつ鑑賞に十分な採光をしている」とのこと。

プリントを展示するギャラリーの2階部分。手すりの真ん中に見えるロゴには、「RWS:Royal Watercolours Society(王立水彩画研究所)」とあります。これは1820年に建てられたRWSが前身だったためです。なるほど採光がプロ仕様なわけです。
6月23日に開催されたContemporary Day Saleのプレビュー。入口では、村上隆の「Mushroom Bomb」がお出迎えしてくれました。
イギリスのアーティストの作品が並んでいました。ゲイリー・ヒューム(左)とMichael Craig-Martinです。
おなじみタンタン顔のポートレート、ジュリアン・オピーの秀作です。

バーゼルでもよく目にした2枚組のクリス・オフィーリです!
さすがの存在感。アンディ・ウォーホルのポートレート。 杉本博司の隣には、ドイツの写真家、ベルント&ヒラ・ベッヒャ-夫妻のあまりにも有名な給水塔のシリーズがありました。このところ写真作品も高騰しており注目です。
クリストのWrapped Series。ポンヌフ橋です。 フランチェスコ・クレメンテ。ファンなら垂涎の作品です。 「Contemporary Day Sale」と「Evening Sale」の両方が行われ、まさに盛りだくさんでした。
クリスティーズはGreen Parkのそばにあり、閑静で上品な印象です。セール出品のシンディ・シャーマンが広告に使われていました。

オークション会社でサザビーズ、クリスティーズの次に名を挙げられるのが1793年創業のボナムスです。
こちらでもコンテンポラリー・セールのプレビューが行われていました。上はタグボートでもお馴染み、オプ・アートの代表格として知られるブリジット・ライリーです。
YBAの申し子、ダミアン・ハーストのエッチングもありました。同シリーズはタグボートでも入荷したばかり! ハーストの人気は依然として高いそうです。
「ウォーホルのキャンベル・スープを眺める絵」。Robert Ballaghの作品です。 ブリティッシュ・ポップアートの創始者、リチャード・ハミルトンのシルクスクリーンも出品されていました。  
イギリスと言えば、大英博物館やナショナルギャラリーなど美術館が多いことで有名です(しかもその多くは入場無料)。
もちろん、コンテンポラリー・アートの美術館も例外ではありません。
すべて回りたい気持ちを抑えつつ、その中から選りすぐった3つの美術館と付近のギャラリーの模様をご紹介します。

イギリスのYBAコレクターといえばサーチ・コレクション! トレイシー・エミンのテントのインスタレーションで有名です。今回行われていた展覧会は……。
2005年の1月から1年間をかけて行われているサーチ・ギャラリー開館20周年記念展『The Triumph of Painting』。 今年のバーゼルでも感じさせたペインティング回帰の動きがここにもありました。 もとはCounty Hallだった伝統建造物の中に展示された現代美術のコレクション。これが妙にマッチするのです。正面に見えるのは、ピーター・ドイグの作品です。 7月末まではパート1として、Hermann Nitschら6名をフィーチャーした展示が行われています。同展カタログの表紙を飾るのはMarlene Dumasの作品です。 タグボートでも特に人気の高い作家の一人、リュック・タイマンスのペインティングもありました。
Hermann Nitschのダイナミックな赤い絵は、その名も「Splatter Painting」。文字通り血が飛び散ったような、衝撃的な作品でした。
 
今回は展示されていませんでしたが、図録の中にはタグボートの取扱い作家、マンテーン /ローゼンブラムが!(2006年2月14日から行われる同展覧会のパート3で展示される予定)。やはり今、このアーティストは押さえどきかもしれません。タグボートで販売している版画もぜひご覧下さい。
バンク・サイドから入るとロンドン・アイ(大観覧車)が目立ってなかなか入口がわかりません。そのため、サーチのスタッフがあちこちに立っています。お姉さんが着ているのは何とダミアン・ハーストのオピウムTシャツ! カウンターの後ろにはハートのオブジェが飾られていました。こちらがトレードマークのようです。
【美術館情報】
サーチ・ギャラリー(The Saatchi Gallery)
County Hall Southbank London SE1 7PB
020-7928-8195
020-7823-2363(録音ガイド)
http://www.saatchi-gallery.co.uk
2000年に建てられ一時は閉鎖されていたミレニアム・ブリッジ。この橋を渡るとかつて発電所だった建物を改装してつくった、今話題の美術館、テート・モダンにたどり着きます。 NYのMoMA、パリのポンピドゥーと並ぶ現代美術の名所です。 今回訪れたときには「フリーダ・カーロ」展とコンテンポラリー・アートのグループショー「Open Systems」、2つの企画展が行われていました。 タグボート取扱いのジョン・バルデッサリの名作も展示されていました。
【美術館情報】
テート・モダン
(Tate Modern)
Bankside, London SE1 9TG
020-7887-8008
http://www.tate.org.uk
バンク・サイド付近にもコンテンポラリー・アートのギャラリーが数箇所あります。バーゼルで行われていたVOLTAアートフェアで見た、写真家・伊島薫の個展が行われていました。
伊島薫の作品から。こちらはヴェルサーチのドレスを着てパチンコ店で横たわるタレントの小池栄子です。
同じく伊島薫。ブルーのドレスとパチンコ台の赤、ピンクのコントラストが面白い。

コンテンポラリーのエッジなギャラリーはロンドン東部、Old Street周辺に集まっています。トレイシー・エミンの展覧会が行われている真っ最中でした。
     
18世紀にジョージ3世により創立されたロイヤル・アカデミー(イギリス王立美術院)では、毎年夏にアカデミー会員の新作を展示しています。通常の展覧会と異なりユニークなのは、その場で購入ができるところです! アートフェアさながらに、キャプションに小さな赤丸シールがいくつも貼られていました。
ロイヤル・アカデミーの入口です。 壁一面に、たくさんの作品が掛けられています! 赤丸シールがこれでもか、と貼られているのは間違いなく人気作。小さい作品は比較的安価で、60ポンド(約12,000円)のものもありました。 バーゼルでも人気の高かったMichael Craig-Martinの版画です。こちらもたくさん売れていました! スプレー缶やマジックハンドの武装クマ。羊を足で踏みつけている右の作品は売約済でした。
2万ポンド(およそ400万円)を超える、チャック・クロースのシルクスクリーンです。さすがの大迫力! アメリカの巨匠ジュリアン・オピーの冬景色の作品。どちらも売れ行き好調でした。
こちらはロイヤル・アカデミーで学んでいる学生の制作展の模様。
この中にも、未来の名作家が潜んでいるかも……!

【美術館情報】
ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ
(Royal Academy of Arts)
Burlington House Piccadilly London W1J 0BD U.K.
020-7300-8000
http://www.royalacademy.org.uk


バーゼル、ロンドンと2回にわたってお送りした今回のバイヤー・レポートはいかがでしたか?
このたびの海外出張では、全体にアート業界における“ペインティング回帰”の大きな潮流が見られました。同じヨーロッパの中でもバーゼルとロンドンという地域性での違いや、アートフェア、オークション、美術館というさまざまなアートの現場をささやかながらご案内できたかと思います。拙いスナップでしたが、ご覧いただきましてありがとうございました。
改めて感じたことですが、アートを満喫する最大の醍醐味は何といっても“実物を観る”ことです。ぜひ来年は、読者の皆様もいらしてみてください。また、タグボートの「いつでもビューイング・サービス」(要予約;フリーダイヤル0120-39-8618)でも作品をご覧いただけますので、お役立ていただければ幸いです。では、これからもよろしくお願いいたします!