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バイヤーレポート | ロンドン | アートフェア
トッシーに代わり、タグボート2代目「新米バイヤー」になりました、アスカです。
今後は私が、海外での買付けの模様などをレポートしてまいりますので、皆様どうぞよろしくお願いいたします!

さて、早速ですが、2004年10月14〜17日とロンドン出張に行ってまいりました!
世界中の注目を集めるアートフェア、「Freize Art Fair」をチェックして新たな作品を探すというのが今回のお仕事。コンテンポラリーアートではNYと二分する魅力の、ロンドンのアート事情をご報告します。それではどうぞご覧下さい!


【アスカ・プロフィール】
ロンドン・クリスティーズで西洋美術史とアンティークを学ぶ。オークション会社でのインターンを経て、帰国。異業種から突如コンテンポラリーアートに目覚め、一転タグボートのバイヤーに。アミノ酸タブレット片手に作品調達奮闘中!


ロンドンのFrieze Art Fair会場にて。出店ギャラリーの一つ、Krinzingerギャラリーの方とツーショット。
S氏 : N.Y.、ロンドンと幅広いネットワークを持つ屈指のアート・ディーラー。特にNYではギャラリーや作家本人との強いパイプを持ち、新進作家の目利きに定評がある。
@Galleryタグボートでは作品買い付けにあたってギャラリスト・小山登美夫氏と共にオフィシャル・アドバイザーをお引き受けいただいています。

Marian Boesky Galleryのブースで奈良と村上作品を見つけました。
プリントは現在タグボートでも売り出し中の「Fuckin' Politics」や「Beah!」。
フェアでも大人気で、特別の小部屋で展示していました。

Krinzingerギャラリーのブースで発見、
三宅信太郎のドローイング。
ピザの箱に描かれた作品は£620です。

ヴァネッサ・ビークロフトの新作、彼女の実妹がモデルです。180x200cmと大きな画面の中で、鮮やかな赤いドレスが目を引きます。タグボートのVB-36という作品と見比べてみてください。



Deutshce BankのVIPルームの入り口で迎えているのはマーク・クインの「Garden 2002」。
青や緑色がフレッシュな、タグボートでお馴染みの「Winter Garden」とはまた違った趣です。
VIPルームにふさわしい風格!?

↑部分拡大
NYの画廊、Brent Sikkemaはヴィック・ムニーズの作品をメインに飾っていました。
おもちゃを並べてイメージを作る作品と、(上写真)、

↑部分拡大
指先くらいの丸い紙が集まってできた作品。
どちらもカラフルで楽しげで、ヴィックのアイデアには脱帽です。

リサ・ライターの新作は120x120cmの画面にピンクや紫の優雅な色使いでした。プレビュー開始後すぐに売約済みになったそうで、タグボートでも入荷しておいて良かったと改めて実感。



あっいい男!と思ったら、エリザベス・ペイトンの作品。タグボートで扱っているプリントはもちろん、オリジナルのドローイングなども人気急騰しています。

ロンゴの「メン・イン・ザ・シティーズ」の中の1点、「Gretchen」。遠くからでも目を引きます!
プレビューは時間を追うごとに人が増え、シャンパンやワインを片手に会場は活気に満ちていました。
この後4日間開かれるフェアの幕開けとしては大成功だったのではないでしょうか?
特に一番混んでいたのが、WHITE CUBEギャラリーだった気がします。サム・テイラー・ウッドの新作を掲げて、ロンドン1のコンテンポラリーアートギャラリーの威厳を放っていました。
 
プレビューの様子


  2004年10月15日 (2日目)

Scope Londonを観に行く
Frieze Art Fairの開催されているリージェンツ・パークの隣に位置するメリア・ホワイト・ハウスというホテルScope Londonを見てきました。
ScopeはこれまでNYやマイアミで行われてきたアートフェアで、比較的新しめのアーティストが対象です。ホテルの客室が展示スペースに使われているのが特徴で、ベッドの上やバスルームのタイルに、作品を展示しています。
一部屋につき、一人のアーティストを80%以上紹介する、というのが出展条件の一つになっています。

 
Scopeは若手のギャラリーが集まるアートフェア。ホテルを会場にして行われています。

31 Ground Gallery
アダム・ステネットがNYから来ていました。25匹ものねずみと暮らす彼は、ねずみのビデオ・ワークやドローイングを制作しています。持っている細い筆で、まるで写真のような精密なタッチを描きます。




Yukiko Kawase Gallery
パリでアートビジネスをされている河瀬由起子さんのブース。和紙の上に刷られたシルクスクリーンの作品は、一見切り絵の様で目を引きました。

Icon Tada
こちらもフランスから出品の作品です。色の組み合わせがおしゃれです。

若手だけでなく、すでに評判高いKara Walkerやトム・ウェッセルマンルイーズ・ブルジョワの作品などもありました。
Friezeは参加選考も厳しくギャラリーを構えている大型業者がほとんどですが、Scoepは若手ギャラリストやお店を持たないインディペンデント・キュレーターなどが多く参加しています。一部屋ごとに雰囲気が確立していて、見ごたえ満点でした。これからブレイクしそうな作品が数多くありましたので、タグボートのお客様に好まれそうなものをこの中から扱えればと思っています。



  2004年10月16日 (3日目)

Tate Modernへ
テムズ河を渡り、イギリスが誇るコンテンポラリーアートの美術館、Tate Modernを訪れました。
もともとイギリス美術を中心に集めていたテート伯爵のコレクション、Tate Galleryに含まれていた現代美術部門をTate Modernとして独立させた美術館です。ここには、ピカソ・マティスなどモダンアートの巨匠から、今日のエッジなアーティストまで網羅されています。建物は昔の発電所を改装して使っているそうで、一風変わっています。
3フロアのうち2フロアが常設展になっていますが、注目すべきは、年代順の展示ではなく、「風景」や「静物」、「裸体」などテーマ別に展示されていること。例えばジョン・カリンとモンドリアンの裸婦像が隣り合わせにかかっていたりします。でも少しも違和感がなく、時代のずれを感じさせないのです。本来アートとは、時代でも国境でもなく、観る私たちへ与える感動こそが大事なのだと心から思いました。

企画展は"Time Zone"というビデオ・アートを中心とした展覧会でした。一番長い作品で上映時間が12時間! 他にもトルコ人アーティスト、Firket Atayの"Rebels of the Dance"という作品は、2003年のフリーズ・アート・フェアでTate Modernが購入したそうです。(約3週間後、N.Y.のNew Museumで本作品と再会しました!どうやら注目の作家のようです。)

またTate Modernは併設のミュージアムショップやブックストアも充実していますし、カフェのチョコレートブラウニーもなかなかのお味です。是非、訪ねてみて下さい!


 
テート・モダン外観


基本的に美術館の中は撮影禁止なのですが…。本文中に出てくる、ジョン・カリンのヌードとモンドリアンが隣り合わせで展示されている様子はこちら。

Zoo Art Fair
Frieze, Scopeと同時期にやっていたフェア。ここにはオープン3年未満の新しいギャラリーが26店、出展しています。
意表をつかれたのは、タイトル通りのロケーション。本当に、"Zoo(動物園)"の中で開催されているのです!
展示建物の横は、普通にサルの檻や水族館。London Zooは世界一古い動物園で有名ですが、普段はロンドナー達は足を運びません。そんな中、Zoo Art Fairはかなりの盛況ぶりでした。
ここでは、新しいアーティストの作品を開拓するのが目的です。




会場にある小さなテントはビデオアートを上映するスペースです


 
動物園の中に「Zoo Art Fairはこちら」という表示板が立っています。それを辿っていくと…




確かにアートフェア会場がありました!ここには18ギャラリーが集っています。前に進むのがやっと…。

(左から)大きな手の彫刻、写真の作品、色鮮やかなキャンバス作品。一番右は、ポルノグラフィー画像に切り絵細工を施し、バタフライや花を作るTom Gallentの作品です。取り扱いギャラリーMuseum52の担当者によると、日本の折り紙に影響を受けたそうです。

East endのオープニングパーティー
ロンドンで一番エッジなエリアといえば、イーストエンドです。Hales Galleryにて、Spencer Tunicのオープニングに行きました。
彼のロンドンデビューを飾るオープニングショーは"Beyond the City"。
何十人もの裸の老若男女が温泉、砂漠、リバーサイドに横たわるインスタレーションで、とても美しい作品でした。タイトルが示すとおり、私たちが暮らす空間から、もっと遠い広がりを感じさせます。
オープニングにはたくさんの人が集まり、その後のパーティーも大賑わいでした。
こうしたギャラリーのオープニングパーティーは、作家本人、ギャラリーオーナーと直接話ができる、また、ロンドンのアートシーンに集う人たちと会える、とても貴重な機会です。




 
人がひしめくオープニング会場。右手前の紳士が、Hales Galleryのオーナー。




  2004年10月17日 (ロンドン最終日

再びFriezeへ
朝一番でFrieze会場へ向かいました。
開場10分前に着いたのですが、早くもチケットを買うための長蛇の列ができています。 この「列を作る(=queする)」という行為はイギリス人が大好きなもので、彼らは非常に辛抱強く待ちます。
イギリス人はディズニーランドのアトラクション待ちもつらくないんだろうな、などと考えながら待つこと30分間、ようやく会場内に入れました。
最終日なので、まだ見ていないスタンドを中心に、効率よく回ることにします。さて、全部見切れるのでしょうか!?





ダミアン・ハーストの"Destory the plain"。オピウムと同じパターンですが、下のほうに薬の箱やどくろのドローイングがついている1m x 2mの大きい作品です。
タグボートでもドローイングを扱っている、トニー・アウスラーの新作ドローイングが出ていました。今までのかわいさは消え、写真っぽい、エッジ系のものになっていました。

クリス・オフィーリの2枚組み作品。お値段は聞いてびっくりの$40,000 !Chris Offiliの人気と値段が上がってきているのは間違いないようです。
ジュリアン・オピーのPortraitシリーズ。英国ロックバンドBlurのカバージャケットでもお馴染みの作家です。
その他の作品。(左から2点目)シリコンでできているとは思えないくらい精巧な猿に、ナイフやシャベルが突き刺さり、左腕はもげています。絶句…。(3点目)Olaf Breuningの思わず吹き出してしまいそうな楽しい作品。 (4点目)中国の山水画を髣髴とさせる落ち着いた風合いの作品と思いきや、これ実は8人のお尻。 中国のアーティストです。


結局、150のブース全てはさすがに回れなかったFriezeですが、ひとつひとつがとても充実していて、見ごたえ十分でした!

さて、今回のロンドン出張レポートはこれでおしまいですが、最後に感想を。
今回の出張ではロンドンのアートフェアを中心に見てきましたが、NYとは異なる、ロンドンならではの流行があったり、一方でNYと同じ作品が注目されていたりと、比較が興味深かったです。
またロンドンのフェアでは、アート業界関係者だけでなく一般市民や学生たちが多く訪れていたのが印象的で、
普段美術館やアミューズメントスポットに足を運ぶような気軽な感覚で、今のアートに触れていました。
そうしたところが、海外のアートマーケットの懐を大きくしている理由の一つかもしれません。




 
フリーズ・アートフェア会場でディノス・チャップマンに会いました! 
     
それから…、実は今回の出張のもう一つの目的は、タグボートでも何度か面識ある作家、ヴィック・ムニーズの作品"Pele"をピックアップすることでした。
こちらは、滞在中にギャラリーを訪れ、無事に調達終了です。本作品は先日まで森美術館で行われていた展覧会「FIFA100」でも出品されていたのでご覧になった方も多いかもしれません。
チョコレートシロップやトマトソースで描くヴィックは、ブラジル出身で大のサッカー好き。他にもロナウド、ラウール、フィーゴなどの作品もあります。ご興味のある人は、是非ご連絡下さい。
(※電話でのお問合せは フリーダイヤル 0120-39-8618 までお願いいたします)




 
右がタグボートスタッフも何度もお会いさせて頂いているアーティストのヴィック・ムニーズ。左はと言えば、何と…ロナウド! 彼の作品にはペレだけじゃなくてロナウドやフィーゴのバージョンもあるんですよ。
これからも、お客様の欲しい商品を探し求めて、バイヤーアスカが東奔西走してまいります。
誰々の何々という作品が欲しい、こんな雰囲気の絵が欲しい…などリクエストがありましたらぜひお聞かせ下さい。
お客様の声でタグボートは動いていきます。どうぞこれからもよろしくお願いいたします!