トップページ > お役立ちアートコラム > ジャン・リュック・モーマン製作日記

海外アートフェアレポート nca展覧会開催まで ジャン・リュック・モーマン制作日記

アスカプロフィール
ロンドン・クリスティーズで西洋美術史とアンティークを学ぶ。オークション会社でのインターンを経て、帰国。異業種から突如コンテンポラリーアートに目覚め、一転タグボートのバイヤーに。
イッシープロフィール
イギリス・サセックス大学院にて宗教美術史を学ぶ。帰国後は古美術商にて勤務。主に仏教美術品を扱う。次第に現代の美術に触れたくなり、05年8月タグボート参画。
ncaディレクター竹田氏(左)とモーマン氏。
ジャン・リュック・モーマン来日。
日本はもちろん、アジアに来るのも初めて。
そして何より、こんなに遠くへ来たのが初めて!
なので竹田ディレクター自ら成田までお出迎え。
空港に降り立ったモーマン氏の一言、「日本は静かだ…」。

この日はncaの皆さんとお食事を楽しみました。
見よう見まねでお箸を使うモーマン氏、初めてとは思えない箸さばき。
さすがあれだけの描きこみをするだけあって、手先は器用ですね。
明日から取り掛かる作品制作も、期待できそうです。
めったに見られない、貴重な制作風景。
モーマン氏の作品が掲載されているヨーロッパの雑誌と作品集。
早速、朝からモーマン氏にアポをとるべくncaに連絡です。
が、今日は一日アトリエにこもって制作を行うとのこと。
集中して作品を制作しているので、お邪魔できませんね。


ncaスタッフの方が制作風景の写真を撮ってくれました。
なにやらグレーの物は、サンバイザーかと思いきや、メガネ!
細かい描きこみをするので、必要なんだそうです。

モーマン氏は、主に街中でタトゥーに向きそうな素材となるポスターや雑誌を見つけるのですが、感性に合う素材を見つけるのに苦労するようです。
今回の来日に際して、ncaの皆さんも雑誌の切抜きを集めて素材収集に協力していました。300点以上集めたそうですが、気に入るものはなかなか見つからず…。
意外に気に入ったのは、なんとフリーペーパー!「日本ではストリートに雑誌が置いてある!べルギーではあり得ないよ」と感嘆して、秋葉原や新橋で集めていたそうです。

描きあがってくるドローイングはどれもゴージャスで迫力満点。出来上がりが楽しみです。

下書きなしで、直接壁に描いていきます。
 
左が、最初に試みたインクです。日本の文房具(右)の使い勝手の良さに、感激。
制作中は、本当に集中して楽しそうに描いています。
ついにモーマン氏がncaに到着、
ウォール・ペインティングに着手しました!

音楽を聴きながらリズミカルに制作しています。 最近ではリンキン・パークやデフ・テックがお気に入りで、JAZZやHIP HOPなど好きな音楽は多岐にわたります。 彼のお父さんがマーヴィン・ゲイの大ファンで、聴きながら育ったそうです。メッセージ性の高い音楽が、作品にも生かされています。

モーマン氏、最初はインクを使っていたのですが、描きにくいので伊東屋にてペンを調達しました。 壁に直接フリーハンドで、流れるようにすいすい描いていきます。
選んだツールは何の変哲もない、普通のポスカ(右)。ですが彼にとっては新素材で、伊東屋の品揃えにも大興奮していました。 ポスカや極細ペンはもちろん、ビルが丸ごと文房具屋、という規模はベルギーにはないそうです。 日本で見つけた新素材のおかげで切手やポストカードという小さな素材にも描けました。
ちなみに、モチーフは毛沢東やレーニン。小品といえどモチーフ選びには妥協しません。

ツールに目を取られている10分くらいの間に、ペインティングは左側のドアにまで及んでいました。しかし、そこはフィルムを貼っていなかったそうです。どうするnca! 描き続ける彼を、誰も止められません!

制作に没頭しているので、インタビューは明日また出直すことに。
展覧会に向けて、いい作品を作ってもらうことが一番です!
台風14号が接近している中、ウォール・ペインティング完成間近を知らせる一本の電話。
ncaページ制作の締め切りを編集長に預け、アスカとイッシーは大雨の中、新橋へ駆けつけました。
しかし…、モーマン氏はすでにいませんでした。何でも急に思い立って、上野へお出かけとか。
東京国立博物館や科学博物館が、お目当て?さすがエッジなアーティストは、フットワークが軽い!
とりあえず完成作品をカメラに収めました。いつのまにか、nca外側エントランスの壁にも描かれています。
後のことはさておき、迫力満点! 作品も続々と展示を待つばかり。オープニングが楽しみです。
ncaギャラリーエントランス。 目を引きます!
脚立に上って描くモーマン氏。「お客さんがいっぱい来るように」と、思いついたそう。
ウォール・ペインティング、ここに完成。描きたてほやほやでした。 本人曰くもっと描けるらしいのですが、今回は展覧会のバランス的にも、ここまで。お疲れ様でした!
部分拡大写真です。よく見ると、濃い、薄いがあってペンタッチが見えます。線はあくまでも流れるように、なめらかです。 思いつくまま、フリーハンドでここまで描けるとは!
ドローイングの展示も済んで、オープニングの開始を待つばかり。
ポスターに直接描きこむモーマン氏。
 
展覧会来場者は、入口で、もう釘付け!インパクトの強さに衝撃を受けています。
 
いつもはシリアスな展示が多いncaですが、楽しい雰囲気に竹田ディレクターもリラックス。
 
入り口で何か即興で描いているモーマン氏。何に、描いているのかと思うと…。
 
先ほど描いていた作品が展示されました。なんとこれ、お客様の履いていた靴!「もう履かないで飾っておきます」とか。
モーマン氏のお気に入り作品。素材の構図がすばらしい、と絶賛。
好きなモデルはユマ・サーマン。
神保町の古書街で某アメリカ映画の日本バージョン・ポスターを見つけて大興奮!
何でもヨーロッパバージョンは肌が出ていなかったそう…。
 
アメ横で買い物を楽しむモーマン氏。ここでかなりの時間を費やしたと思われる!?
バーゼルではカラフルな壁画で話題を呼びましたが、今回はモノトーンでシックですね。
今回、タトゥー作品を中心にした初の個展なんだ。だから壁画もあわせて黒色だけで描いてみたよ。 お互いを引き立てていて、統一感も出てるだろう。本当はすべての壁にも描けるけど、見る人が疲れちゃうから控えめにしたよ。 いっぱい人が来ればいいな、と思って入り口外側にも描いちゃったんだ。
この壁画は完成までどのくらいかかりました?
2日間かな。でも、正味1日くらいだよ。インクがソフトで伸びが良いから、すいすい進んだよ。ポスターのドローイングだと、もう少しかかるんだ。
壁画よりポスターの方がサイズが小さいのに、より時間がかかるんですか?
ポスターに描く時はまず、ポスカ(太ペン)でラフを描いて、ステッドラー(細ペン)で描きこみをするんだ。納得がいくまで描きこむから、タグボートで出品している 雑誌ページ作品でも丸1日、大きなポスターだと2、3日はかかるよ。ペンの方がインクの伸びが悪いしね。
オープニング前日まで制作に励んでいたそうですね。ncaスタッフの皆さんが、素材をたくさん準備していたそうですが、お気に入りのモデルは見つかりましたか?
ファイル3冊分くらいそろえてくれてたんだけれど、僕が気に入る素材はすぐには見つからないんだよね。 今回、ケイト・モスが多いからコーナーを作ってみたけど、彼女の写真なら全部OKってわけじゃない。 元々の構図がいいから、つい選んでしまうんだ。しいて言えば、ユマ・サーマンは好きだよ。 ジョディ・フォスターも好きだけど、マスコミ露出が少ないからなかなか写真が見つからないんだよね。
タトゥーは黒と白のみですが、色は使わないんですか?
使ってみたんだけど、肌の質感が損なわれちゃったんだ。立体感がでるのは、やっぱり黒だね。
タトゥーシリーズをはじめたきっかけは?
はじめは10年位前に、モデルの体に直接描いていたんだよ。そこから、雑誌に直接描くのも面白いな、と思って今に至るってわけさ。
日本は初めてですか?
日本もアジアも初めて来たよ。僕の故郷のベルギーをはじめとするヨーロッパの国と比べると、日本は生活のスピードが速くてびっくりしたよ。
モーマンさんの作品はとても独創的ですが、インスピレーションはどこから得るのですか?
僕はあまり博物館や美術館に足繁く通わないんだ。街中やそこで暮らす人々から受けることが多いかな。 特に、初めて来た日本は見るもの全てが新鮮で、衝撃だね。僕がペンを買いに行った伊東屋やCDショップの品揃えには驚いたよ。 昨日は上野に行ったんだけど、途中アメ横で買い物に夢中になってしまって、博物館に行くつもりだったのに、行ったら閉館時間だったよ(笑)。
インタビュー前は、緊張気味…。
 
インタビュー後は、にっこり!
作品のエッジさとは裏腹に、とてもシャイな方でした。 インタビュー初めはぽつりぽつりと語ってくれていましたが、 だんだん打ち解けていただき、最後にはこんなリラックスした笑顔でした。 モーマン氏の作品を見てからというもの、広告やポスターを見るたびに「どんなタトゥーが入るかな?」と想像をふくらますアスカとイッシーでした。