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タグボート通信 Vol.15
アート好き3姉妹が行く!ビギナーのためのベネチア・ビエンナーレの歩き方(文・オカエミ)
韓国館/ニュースをつなぎ合わせたKim Beomの作品のほか、韓国館の屋上は2万個のプラスティックバスケットからなるChoi Jeong-Hwaの作品「Site of Desire」で埋め尽くされた。チープな素材で韓国の急激な近代化と西洋化へのアイロニーを漂わせているという。コミッショナーはSunjung Kim。
イギリス館/すでに伝説の域に達しているギルバート&ジョージ。90年代初めのお下品なモチーフは影を潜め、なぜか今回はイチョウが各所に。彼らの少しふくよかになった姿に、時間の経過を感じながらも、相変わらず作品の緊張感を持続しているところに脱帽。
アルセナーレ会場1 アルセrナーレ会場2
アルセナーレ会場/ポルトガル、Joana Vasconcelosの作品。時を重ねた天井高のある空間に、キラキラ輝くシャンデリア。誰もこれがタンポンでできているなんて想像できないだろう。
アルセナーレ会場/キューバの作家Paloma Varga Weisz。巨大なカバの上で、新聞を読み、片っ端から丸めて後ろに投げるというインスタレーション。
もはや伝説? いいえ、現役バリバリでした!

懐かしいお方も忘れてはいけません。イギリス館のギルバート&ジョージ。すでに伝説?いやいやどうして、かつてのお下品さは影を潜めたものの、作品の醸し出す緊張感、エネルギーは十分で、ちょっと感動もの。それからアメリカ館では、エドワード・ルッシェの個展「帝国の推移」が行われていて、こちらも渋さ満点でした。

イタリア館には十分時間を

毎回、イタリア館とアルセナーレの会場は、一人のディレクターによる企画展が開催されるのだが、今年は別々のキュレーションに。しかも、この長いビエンナーレの歴史の中で、初の女性ディレクター(共にスペイン人)というから、少々驚いた。イタリア館のディレクターは、マリア・デ・コラル。テーマは「アートの経験」だ。お昼ご飯の前に見ちゃおうか、なんて思って入ったのだが、とにかく広い会場で全然出てこられなかった。

フランシス・ベーコン、アントニ・タピエスら巨匠のものから、タグボートでも取り扱いのあるトーマス・ルフといった人気の作家まで、幅広いジャンルの作品が集められているのだが、特にビデオアートが充実していた。これを堪能するには、時間と体力を温存して挑むべきだ。

アルセナーレは女性ばかり?!

ここでいったん休憩。パスタをほおばり、シャンパンを飲んで優雅に昼食を済ませた後で、今度は造船所跡地であるアルセナーレ会場へ。こちらはローザ・マルティネス女史による「つねに少し先へ」というタイトルの企画展が行われている。女性ディレクターだからか、確実に女性アーティストの数が多く、あるいは女性をテーマにした作品が目立っていた。入って最初に度肝を抜かれたのは、巨大なシャンデリア。ミラノ・サローネで近年見かける、スワロフスキー(注:オーストリアのクリスタルブランド。昨今ゴージャス&アーティスティックなシャンデリアで注目を集めている)を彷彿とさせる見事な出来栄え。しかし近くに寄ってみれば、な、なんと女性が生理に使うタンポンで出来ている! ライティングの妙なのか、それともシャンデリアのカタチなのか、純粋に美しかった。その他にも、80年代半ばに誕生したという美術館のセクシズム(性差別主義)に抗議するアートユニット、Guerrilla Girlsのポスター作品や、インド人作家Subodh Guptaのシルバー・キッチンセットなど、女性をテーマにしたものが多かった。
アルセナーレ会場1
アルセナーレ会場1
森万里子「Wave UFO」。一部屋丸ごと万里子ルームにしてしまうほど巨大な作品。体験希望者は、センサーを頭につけて、白い靴下を履かされて中に入る。あまりに混んでいて結局体験できずじまい、残念。 (※タグボートではこの作品のプランスケッチを元にした版画「Sketch of Wave UFO」を入荷しました。)
また、「うわー、お金かかってるなー」とその作品の規模と完成度に感心してしまったのが、森万里子の作品だ。曲線の美しい、パールカラーのUFO? は、コンピューターで制御され、センサーやら何やらを頭につけさせられて、中に入って体験する作品らしい。残念ながら時間切れで中に入ることはできなかったが、作品のディテールも十分鑑賞の価値あり。ともあれ、48組のアーティストによる企画展と中国館を加えたアルセナーレ会場。こちらもかなり広く、鑑賞には体力がいる。加えてこの猛暑。やっぱりオススメは秋口に行くことでしょうか。




ビエンナーレ鑑賞を終えて

パビリオンがない国の作家や、展示物のコンセプト上の理由から、街中の教会や美術館でもさまざまな企画展やイベントが行われていた。1日目を観光DAYにした私たちも、ちょっと渋く中世音楽のコンサートのイベントを堪能。古いお屋敷の中、心地よい風に吹かれながら聴く、いにしえの調べ。コンテンポラリーアートも刺激的だが、ここベネチアの歴史をアートと共に感じるのも、また格別である。コンサートの後には、クエリーニ・スタンパリア美術館で行われていたキキ・スミスの個展を鑑賞。この美術館、巨匠カルロ・スカルパによるリノベーションだったりと、姉も妹も偶然出会えた大物に、すっかり感動していた。

アート鑑賞は、実物に出会わなくては始まらない。お目当ての作品にひと目合うためにいそいそと出かけるのもいいし、偶然の出会いを楽しむのもいい。いずれにしても、ここベネチアが、2年に一度アートに染まるこの季節は、たまらなく魅力的である。笑いあり、懐かしさあり。51回目のビエンナーレも、アート・ラヴァーには、たまらない聖地であるに違いない。



Information
第51回ベネチア・ビエンナーレ
開催期間:2005年6月12日〜11月6日
開催時間:10:00〜18:00
休館日:ジャルディーニ会場・月休  アルセナーレ会場・火休
入場料:15ユーロ
http://www.labiennale.org/en/index.html
ベネチアまでの交通:
ミラノ中央駅からサンタ・ルチア駅までイタリア国鉄で2時間40分〜3時間
時刻表はこちらでチェック
http://www.trenitalia.com/en/index.html

ベネチアでの交通:
ベネチアは、島の中に縦横無尽に水路が張り巡らされた街。移動の基本は、ヴァポレットと呼ばれる水上バスか、徒歩。急ぎや荷物の多い時などには、水上タクシーも便利。ヴァポレットの停留場は、駅の目の前。ブースでチケットを買い、黄色い日付を刻印する機械にチケットを差し込んで、目的地に行く船に乗る。アルセナーレ会場には、1番。ジャルディーニ会場へは、1、42、43、51、52、62、61、82、Nの船が着く。
Hotel Sant Elena Venezia
Hotel Sant Elena Venezia
ホテル:
ビエンナーレをじっくり堪能したいなら、会場近くのホテルを取るのもいい。今回泊まったホテルは、「Hotel Sant Elena Venezia」。中心街からは離れているが、ジャルディーニ会場へは徒歩圏内。修道院を改装したこのホテルには気持ちのいい中庭があり、静かでアート鑑賞の疲れを癒すのにもってこいのホテルと言えよう。おすすめです。
http://www.hotelsantelena.com/
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