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広本伸幸氏
東京大学文学部卒。ギャラリストの仕事を経て、千葉・川村記念美術館準備室に入る。マーク・ロスコやフランク・ステラなど、アメリカ現代美術の優れた作品を集める。現在、@Galleryタグボートの美術専門ディレクターとして活躍。著書『猫も大好き現代アート』('03年 淡交社)が好評発売中 |
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泉沢茂男氏
(有)トップアート鎌倉・代表取締役。美術作品の額装および展示を専門に扱う。クオリティの高さでは定評があり美術館や企業との仕事も多い。主な取引先には神奈川県立近代美術館、世田谷美術館、川村記念美術館ほか。
〒248-0012 神奈川県鎌倉市御成町12-10ニュービル3F TEL.0467-24-8512 |
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| 壁を傷つけない方法、綺麗に見える位置など |
ちょっとした気遣いで違うアートの保存状態 |
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| Q1 |
壁に絵を掛ける方法としてはどんなものがありますか? |
| A1 |
主には、(1) 額縁吊下金具を用いる、(2) ピクチャーレールを使う、この2種類があります。額縁吊下金具の場合には、もっとも安価でポピュラーなのがXフック(エックスフック)を使うやり方です。ステンレスもしくは真鍮でできた釘でこの金具を壁に打ち付け、そこに額縁をかける。ピクチャーレールは、カーテンレールとよく似たもので、これを壁際の天井に取り付けて、そこから可動式のワイヤーを吊り下げて絵をかけます。どちらも東急ハンズや一般の額縁店などで手に入ります。
ピクチャーレールは最初の取り付けが多少面倒ですが、その後は作業が簡単で頻繁に絵をかけ替えたり、作品を何点も飾る人の場合は便利です。ただし、ワイヤーの線が見えるのがちょっと……、という方も中にはいらっしゃいます。
額縁吊金具の場合に注意しなければいけないのは、壁の材質です。最近の住宅の壁は、耐火プラスターボード(石膏ボード)が使われているケースが多いですが、Xフックはもともと板壁用のものなので、石膏ボードでも使えますがあまり効きが十分とは言えません。石膏ボード専用の金具をお使いになることをお薦めします。

ピクチャーレールの使用例
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 壁に絵を掛けるときに使用するXフック |
| ※タグボートでは、作品をご購入頂いた際にはこの石膏ボード用フック金具を付属品として無料でお付けしています。11キロまで耐荷重があるので、かなり大きな額縁までかけることが可能です。 |
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| ■ 壁掛け用フック(Xフック)の取付方法 |
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壁にフックを押し当て、フックの穴に石こうクギ本体をあてます。 |
| 2. |
3本のクギを本体の穴に差し、完全に押込んでください。 |
| 3. |
キャップをはめ込んで取付完了です。 |
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■ 取付に必要な工具 |
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石膏ボードには、センヌキ、マイナスドライバー、鍵など、平らな面を有する金具を使って釘を押し込むだけで簡単に留めることができます。
ベニヤなどの木質新建材には、金槌を用意してください。 石こうクギは、石膏ボード9mm以上、薄ベニヤ5mm以上に適します。なお、吸音ボード(石膏吸音ボード、ロックウール吸音板など)にはご使用できません。 |
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| Q2 |
どれくらいの高さに絵をかければ良いのですか? |
| A2 |
ギャラリーや美術館では、大人の目の高さを基準として、額縁の中心が床から約1m50cmの位置に展示することが一般的です。
一般家庭では椅子に腰かけたり床に座ったりすることがあるので、もう少し低目でも良いかもしれません。ただし、あくまで目安であって、最終的には自分の気に入る位置で飾ればそれで良いと思います。
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| Q3 |
絵を掛けるときのコツを教えてください。 |
| A3 |
できれば2人で作業されるのがオススメですね。片方の人が額縁を持ち、高さを相手に見てもらう。このときに大事なのは額縁を持っている方の人が、額縁の裏にわたしかけてある紐(もしくはワイヤー)の中心を指で持ち上げて、それが壁のどの辺りに来るかわかったら目印をつけるようにすることです。目印をした箇所がフックの位置になります。この要領で行えば基本的にはOKです。
より専門的に行う場合には、正確に床から寸法をとります。さきほど述べた1m50cmの高さを例にとると、フック金具を取り付ける高さの計算方法は次のようになります。
(1)まず、額縁の裏にわたしかけてある紐の中心を上にひっぱったときに、それが額縁の上辺から何mmであるかを計る(この長さをXとする)。
(2)1500mm+(額縁のタテ寸法-X)=金具を取り付ける床からの高さ)となる。
(3)金具を取り付けたら額縁をかける。この後、プロの場合には水平器で水平の確認を行いますが、一般の方の場合にはそこまでは必要ないと思います。
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額を取り付ける高さは大人の目の高さが目安。
金具を取り付ける位置 = 1500mm+(額縁のタテ寸法-X)となる |
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| Q4 |
額縁が前屈みになってしまうのが気になるのですが、壁と平行にすることはできますか? |
| A4 |
まず、額縁の裏に渡しかけてある紐はピンと張っていますか? たるんでいればそれだけ前屈みになりますし、額が落っこちる危険にも繋がるのでチェックしてみて下さい。
より壁と平行にしたいのであれば、次の方法があります。
〈方法1〉額の裏には、紐を渡しかけるために取り付けてある輪っか状の金具があります。この輪の部分にフックを引っ掛けると、壁と平行にすることができます。ただし、この場合、通常のフック金具ではうまく輪を通すことができないので、「ヒートン」と呼ばれる金具を使うと良いでしょう。
〈方法2〉長めの釘を壁に数本打ち込んで、そこに額の上縁を引っ掛けて固定します。この場合には、額がグラグラしないように、額の厚みを予め計っておいて壁から出す釘の胴の長さを調整して下さい。
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ヒートン金具。額の裏側の金具に直接引っ掛けて絵を壁に飾る。 |
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| Q5 |
こんな掛け方は良くない、というのはありますか? |
| A5 |
基本的にはありません。むしろ自由に飾ることを楽しんでいただくのが一番だと思います。どちらかと言えば、日本ではまだ「広い壁や、床の間のような専用のスペースがないと絵をかけられないのでは…」とお思いになる人がいらっしゃいますが、そんなことはありません。外国のインテリア雑誌などを見るとわかりますが、天井から床ぎりぎりまでの絵を平気で飾っていたり、柱の部分に小さな絵をかけてみたり、まったくもって自由に楽しんでいます。あまり堅苦しく考えず、いろんな場所に掛けることを試してみてください。
ただ強いて言えば、床にそのまま絵を置いているのを時々見かけますが、あれはお薦めしませんね。危ないですし、絵もきちんと見えませんから……。
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絵は自由に、楽しんで掛けるのが一番! |
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| Q6 |
こんな掛け方は良くない、というのはありますか? |
| A6 |
一つは、できるだけ直射日光があたらない場所を選ぶということ。版画や写真の場合は、やはり紙の上に印刷されたものですから、退色や紙焼けの恐れがあります。今は額縁の中に入っているアクリルガラスも、UVカットができるようなコーティング加工が施してある場合が多いですが、それでも直射日光には十分気をつけて下さい。
もう一つは、湿気の特に多い場所の近くはなるべく避けることです。お風呂場の近くの廊下とか。玄関先など、外気の多く入ってくるところ(マンションなどはあまり関係ありませんが…)に絵をかける場合も、なるべくこまめに掛け替えるなど、気を配った方が良いでしょうね。
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| Q1 |
梅雨の季節、どんなことに気をつけたら良いですか? |
| A1 |
やはり除湿ですね。神経質になる必要はありませんが、こまめにエアコンのドライをかけるなどの気配りは大事です。それからこの時期、旅行など長期にわたって家を閉めきった状態にするのはやはり心配。寒くて乾燥する分には問題ありませんが、急激な湿度変化は大敵です。
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| Q2 |
掛けっぱなしではなく、定期的に掛け替えた方が作品が長持ちするというのは本当ですか? |
| A2 |
本当です。よく国の重要文化財の特別公開ってありますね。あれは年間で60日しか展示公開してはいけないということが法律で義務付けられているためですが、やはり作品を少しでも長持ちさせようという考えがあるからです。それと同じで、版画などの作品でも例えば四季折々で掛け替えを行えば、単純計算で4倍作品を長持ちさせられることになります。
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| Q3 |
額縁の良し悪しとは、例えばどんな点を指して言うのですか? |
| A3 |
額縁の裏板にはよく、ラワンベニヤの板が使われていますが、その場合、作品とベニヤ板が直接接しないようにその間に中性紙(註)を入れる必要があります。でないと、ベニヤ板から出る“アク(合板接着時に使用される接着剤(木工用ボンド)=酢酸ビニールの酸による酸化)”が作品に付いて傷めることになってしまうからです。しかし古い額装などだと、こうした処理がきちんとなされていなくて、外からは気づかないけれど、いざ額を開けたら作品の裏が真っ茶色になっているなんていうことも珍しくありません。最近ではこうしたことは少なくなったとは言え、新しく額装をお願いされる場合にはこの点を確認された方が良いでしょう。

最近ではベニヤではなくこのような素材を裏板に使い、より通気性に優れた額装も見られます。 |
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 外からは何ともないように見えても、額を開けると中は真っ茶色! なんていうことも。額装の仕方一つで作品の保存状態もずいぶん変わってきます。 |
(註): 中性紙とは、PH7以上の値を持つ紙を言います。これ以下のPH値の紙を酸性紙と呼び、酸性紙はその名の通り酸性が強いため劣化が早く、焼けや染みといった症状を起こしやすい。したがって作品とじかに触れるものが酸性を帯びていると、版画洋紙もまた黄ばみや染みなどが起きる。作品を台紙にセロハンテープ止めした粗悪な額装が過去にはありましたが、テープを貼ったあたりが黄色く変色してきたりするのはセロハンテープが酸性であるからです。
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