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イベントニュース

TNGS展覧会情報

TNGS展覧会情報 2011. 06. 16

岩手県大船渡市 "やっぺし祭り" アーティスト炊き出し参加レポート

     

タグボートでは、5月29日、岩手県大船渡市猪川町にて行われました"やっぺし祭り"の中の「アーティスト炊き出し」に対して、「震災支援チャリティープロジェクト」の売り上げの一部から資金の提供とアーティストへのボランティア活動の呼びかけを行いました。


この「やっぺし祭り」は避難所になっている小学校の教頭先生より「何かおもしろい炊き出しをできないか」という言葉がきっかけで、地元の大船渡サポートネットワーク・センターで活動している石鍋博子(ワンピース倶楽部)と遠藤一郎(アーティスト)が中心となり、大船渡の猪川小学校で地域の皆さんとアーティストが一緒になって元気が出るような炊き出しを行うものです。


参加者からレポートが届きましたので、ご紹介いたします。

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アートで一体何が出来るのか?~やっぺし祭りを通じて~ 小枝薫

アートで一体何が出来るのか? と、私は悩んでいたから、現地へすぱっと行って正解だった。作家はアトリエで絵筆を握っているだけではならないと、「やっぺし祭り」を通じて感じた。世間との接点を繋ぐこと、形にすることで、もっと作家として心を膨らませることが出来る。
体育館に広げられた白い旗に、子供たちが自由に描いていいよ、とクレヨンを沢山並べた。ではお手本に、と描いた虹の絵が、子供たちに連鎖され、いつの間に一面に広がっていった。自由奔放。
あぁ、子供たちはいつの時代の誰でも、子供たちなんだなぁ、と思った。
漁師さんという60歳代の男性は、旗の隅っこに座り、船の絵を描いていた。自分の船だという。話を聞いてやっているスタッフの女性はまるでカウンセラーのようだった。このクレヨンひとつで、男性の心を知るきっかけになったのだな。
遠藤一郎さんをはじめ、アーティストだからできる有形無形のパワーに人々は喜び驚き、目を輝かせ、子供たちは体全体で受け止めていた。
犠牲者に向けられた霊位が壇上に置かれると、会場の空気がぴりり、とした。それに現れたのは鹿踊。太鼓を打ち、足さばきで力強く舞う彼らに、涙を流す人もいたほどだ。
終わると、数分間、拍手は鳴り止まなかった。東北の人の内に秘められたこのパワーは無くしてはならない。
"A NATION CAN STAY ALIVE WHEN IT'S CULTURE & HISTORY STAY ALIVE"
内戦が続くアフガニスタンのカブール博物館がある。戦禍による展示品の略奪や、破壊によって7割の貴重な文化財を失ってしまった。その博物館の入り口にそう貼られたフラッグがある。「文化と歴史が生き残れば、国は生き延びるだろう」わたしはそれを重ねてみていた。この鹿踊は、話を聞くと、100年越しに再現されたものだそう。文化、芸術、アートこそこの国の誇りだ。これをもっと掲げたい。生活と離れたもの、孤立したものが芸術でない。人間の生き様を表現したのが芸術であり、それに皆共鳴、感動するのだ。
新幹線で東京に着くと、まるでお菓子の家に住んでいる私たちの元気のない顔と、瓦礫の山化されてしまった人たちが生命力を燃やして生きている。双極的に存在している現在。確かな温度差があることに戸惑いつつも、わたしは東北に、また行くよー! と願いと思いを込めて駅をあとにした。

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清水智裕

5月28日から30日まで、岩手県大船渡市で行われた「やっぺし祭り」のボランティアに行って来ました。
親戚が岩手の釜石で被災し実際に被害の状況を目にしたことで、自分の、絵を描くという仕事が、このような事態にいったいなんの意味をもつのか、自問していたときだったので、
「アートを通じた被災地支援」という行為を確かめてみたかったということが、参加した理由でした。
現地ではまず、被災した状況を見に行きました。瓦礫の撤去はまだまだ終わりそうになく、潮と腐敗臭がまじったにおいが辺りを漂っています。復興には程遠い状況で事態の改善の難しさが感じられました。
さて今回の祭りについては、大船渡在住のワンピース倶楽部の石鍋さんとアーティストの遠藤一郎さんが中心となって企画されました。
アートでボランティア、という一見漠然としたようなアイディアにどんどん地元有志の方々を巻き込み、当日は餅つき、綱引き、伝統芸能の鹿踊り、地元出身の演歌歌手のオンステージ、鬼ごっこ、が次々と行われ、パスタや豚汁などの炊き出し、似顔絵描き、バルーンアート、オイルマッサージ、青空床屋、アーティスト達のワークショップやパフォーマンスなどのコーナーには子どもたちだけでなく大人の方々も沢山参加していました。
結局、小雨が降る天候にも関わらず2000人以上の人達が来て下さり、大盛況となりました。
一番最後に凧上げが行われ、子ども達がそれぞれ自分の夢を書いた連凧が空高く飛んだときには、見に来てくれた人みんなが歓声を上げました。
おそらく大事な人や家を失くされた方も沢山いるとは思いますが、この祭りのいっときはつらい出来事を忘れることができたのではないでしょうか。
今回のような大きな災害が起きたとき、アートは確かに即時的には必要ないのかもしれません。でも、つらい現実をまた明日もうちょっと頑張ってみようとか、そんな気持ちにさせてくれるのであれば、アートに携わる者として誰かのちからになれることがありそうな気がする。やっぺし祭りに参加したことで、そんな可能性を感じることが出来ました。