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ギャラリー展覧会情報

ギャラリー展覧会情報 2011. 09. 07

KIDO Press Inc . 町田久美 “新作銅版画展”

『宵』(部分)エッチング、リトグラフ (c) Kumi Machida and KIDO Press, Inc. 2011

Kumi Machida “New Publications of First Etchings”

会期 : 2011年9月10日(土) - 10月22日(土)
会場 : KIDO Press Inc .
開廊時間 : 12:00~19:00
休廊日 : 日・月・祝日
オープニングレセプション : 9月10日 18:00 - 20:00


町田 久美/Kumi Machida
1970年高崎市生まれ。1994年多摩美術大学絵画科日本画専攻を卒業。


町田久美は、2005年、2007年にはVOCA展へ出展、また2006年には東京都現代美術館にて「MOT アニュアル No Border-『日本画』から/『日本画』へ」が開催され、日本人アーティストの新世代グループを代表する一人として広く知られるようになりました。
活躍は国内のみならず海外でも広くみられ、これまでにアメリカやヨーロッパの各所で展覧会を行っています。2008年には文化庁芸術家在外研修員としてデンマークに滞在、制作を行いました。
今年(2011年)、ニューヨークのジャパン・ソサエティー・ギャラリーで行われた「バイバイキティ!!!:天国と地獄の狭間で」では、出展作家16名の中でも、まったく誰にも似ていない独自の世界観で異彩を放ち、多くの人を驚かせました。オタク、マンガ、カワイイ文化以降の日本の現代アートに目を向けたこの展示では、町田の洗練された美的感性が紹介され、これまでのブランド化された奇抜な日本の現代アートのイメージを払拭するものとなりました。


なだらかな黒い線を目でたどることによって、見えてくる町田の絵の世界。
一見すると一息に筆で引かれたような線ですが、実は途方もない時間をかけて描画用の細筆で幾度もかさねた線の束が一本の線になっています。


画面に描かれる人物は、みな子供のようで、また人形のようでもあり、どこか中性的です。
巨視的なまでにおおらかな表面と、顕微鏡で見たような繊細に描かれた部分の描写との対比が魅力的で、また、融合する形や肉体の変形、不思議な質感など、みる者は概念を打ち壊す意外性に次々と驚かされます。


そんな町田が今回、筆をニードルに持ち替えて、銅版画の制作にあたっています。
町田自身初めての銅版画は、詳細な技法、材料に至るまで、まさにレンブラントの用いた古典エッチング(腐食銅版画)技法そのものです。固形グランドを直接ダバー(グランドを塗布する為の伝統的な道具)で銅版に塗り込んで行く、この古典技法は、町田の繊細な針(ニードル)の動きを余すことなく銅版に刻みつけます。そして腐食液につけ込む腐食時間は、いつもわずかに1分たらず。常識では考えられない超短い腐食時間は、繊細を極めた描線へ、ほんのわずか腐食による凹を作ります。そうして、作られた版は、最低限のインクしか受け付けません。描線というより、痕跡に近いようなわずかな線の集積を愛おしむかの様に造形へと昇華させて行きます。
腐食の度に試し刷りをとってそこまでの制作を確かめ、再びグランドの塗られた銅版に、ゆっくりと姿を現すイメージをまた描き続ける...という作業を黙々と続けています。


町田の果てしなさを感じさせるまでの執拗な造形への描画作業は、現在、第9ステート(9回目の製版作業)まで進んでおりまだ、その手からニードルを放す事はないようです。時間と情熱とその持てる画力を贅沢に注ぎ込んだ結晶ともいうべき町田久美の新作版画作品をみなさまのお目にかけられる事が、いまから待ち遠しくて仕方がありません。


<町田 久美 タグボート取り扱い作品はこちら>