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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報
2007年1月アーカイブ

伊賀美和子 新作展「Madame Cucumber」
BASE GALLERY
東京都中央区日本橋茅場町1-1-6 小浦第一ビル1F
1/7(日)~1/13(土)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
伊賀美和子1/19DM.jpg


美しいポートレートで綴られる、Madame Cucumberの物語。

伊賀美和子03

今年最初のBASE GALLERYは、伊賀美和子さんの写真の展示です。

ほとんどすべての作品に、おそらく実物は小さな、ご夫人の人形、というよりも模型が主人公として登場します。
透明のパネルにマウントされることでさらに作品の透明度が増し、一色に染め上げられた背景の色彩にも奥行きを感じます。

伊賀美和子02

展示されている1点1点それぞれに、ストーリーが浮かんできます。
どこかの風景写真をバックに撮られていたり、あるいはすべて模型で構成されていたり...ひとつひとつが回想シーンのように、マダム・キューカンバーを主人公とした物語が展開していきます。不思議と言葉をその作品ごとにつけていきたくなります。

伊賀美和子04

中には、ロマンチックなシーンや感情が大きくピックアップされた場面も登場します。
こういったシーンを、実際の人間を撮影した写真や、また逆に絵画やCGでもなく、模型を使って表現されているのが大変ユニークに感じられます。
そのことがユーモラスにも感じられ、また同時にシュールにも思えてきます。
そして、感情移入が絵画や普通の写真とも全然違って沸き起こるのもなんだか不思議な感じで新鮮です。

伊賀美和子01

今回展示された作品を収録された写真集もリリースされています。アクリルのパネルではなく、紙にプリントされた作品を拝見すると味わいも変わって、ぐっと身近でなんだか童心に帰って絵本を読むような楽しさと、同時にそこに綴られる時間がちょっとあやしい、というよりあぶない雰囲気も醸し出しているアダルトな感覚もあって、面白いです。
またこちらには、それぞれのシーンと合わせて伊賀さんご自身による言葉が添えられています。自分が作品を観て思い浮かべた言葉とのギャップもかなり興味深いです。

武蔵野美術大学 平成18年度卒業・修了制作展
武蔵野美術大学 鷹の台キャンパス
東京都小平市小川町1-736
1/126(金)~1/29(月)
9:00~17:00
MAU2007.jpg

ムサ美の山から火が噴いた。

そんなコピーがついた今年のムサビの卒業・修了制作展。
昨年に続いて観に行ってきました。

とにかく広い!
昨年の体験からある程度覚悟はしていたものの、やはりすべてを回ることはできず...。
それでも新鮮な発見が多くて、大満足です。


印象に残ったアーティストを。

・安田悠さん。
MAU安田悠DM.jpg
油彩の作品。
幻想的な風景のなかに感じるスタイリッシュな感覚。
水面に半身を沈めて佇む、仄かに彩られる景色の中に立つ、細身の女性の姿。なにか掴みきれない、でもその掴めない感じが心に優しく残るような。
静謐感が溢れる、独特の透明感。大人のファンタジーといった印象です。


・渡辺泰子さん。
MAU渡辺泰子DM.jpg
昨年、ギャラリー山口B1Fで開催され個展でのフェルトを使った作品が印象に残っていた渡辺さん、今回はさらに広い空間で、そのぶん大きなフェルトを用いてより広い風景のシルエットを再現していました。作品を壁固定するために使用された鋲が星のように感じられ、夜のイメージを喚起させてくれます。

また、今回は映像作品も。
高いところに設置されたモニター、青空に気球が飛び、それがだんだん空高く遠ざかっていくように4つ並んで映っている静止画。
「へー。何だろー。」と思いつつ眺めていた刹那、

スパーン!

!!!Σ( ̄口 ̄;)

突如画面の下から腕が伸びてきて、その青空のさらに高いところに、さらにちいさな気球を張り付けて、というより叩き付けてすぐ引っ込む。

マグネットかよ!Σ( ̄口 ̄;)

といった具合に単純な作品ながら、かなりツボに入ってしまいました。
ファイルも拝見するとユーモア溢れるユニークな制作が多くて、今後が楽しみです。


・荻田波留子さん。
木製の筒状のドームには入口が設置されていて、そこに入ると中は真っ白、足元に白い鳥の羽。
扉を閉めて、スイッチを入れると筒の下部をぐるりと囲むように設置されたファンが一斉に稼動し、足元に積もっていた羽が一気にドーム内に舞い上がります。
その様子がきれいなのと、羽に覆われる切迫感と。
スイッチを切って、それまで浮かんでいた羽が降るのもまたきれいです。
外側には小さな穴にレンズが仕組まれていて、そこから中の様子が一望できるのですが、親子連れが入っているときの子供さんのはしゃぐ様子がなんとも微笑ましかったです。


・堀藍さん。
ユニークな作品が多かった版画のなかでもいちばん印象に残ったのが、堀藍さんの銅版画。
「GENBA」とタイトルされた一連の作品には、たしかに工事現場の光景が描かれているのですが、どこかのんびりとしていてなんとなくユーモラスでもあり、一方で影もあるような雰囲気がいい感じです。
大きな画面の作品でも、風景が細かく描き込まれることはなく、そのぶん小さく描かれるその現場で働く人の姿から、なんだか人生の味のようなものが滲み出てきているような。
小さな作品もよいです。その小ささが効いて、しっかりと雰囲気が出ています。


・古部満敬さん。
日本画です。
まず、教室の入口部分を暗室にし、そこで上映されていたアニメーションが面白い!
すすきが揺らぐ円形の画面に、左右から戦国の武者たちが歓声を上げながら突貫する様子、撤退する様子がひっきりなしに続きます。
さんざん高橋克彦の時代小説を読んだ自分としては、そのシーンが蘇ってくるような感じで、かなり楽しめました。
室内に展示されていた絵巻物も、いろんなシーンが織り込まれ、見応え充分でした。


深沢和美さん。
一度、ギャラリーエスで拝見したことがある深沢さんのガラスのオブジェ。
幾何学的なデザインが印象的で、それぞれ色や風味が異なるガラスの立方体スティックや板を組み合わせて組み上げられるオブジェは、なんだか宇宙を感じさせてくれます。
グラスをモチーフにしたような作品も面白かったです。


・市田真実さん。
広い壁面に整然と設置された無数の透明フィルム。それぞれ幾何学的な形をしていて、それが壁に並ぶ様子はそれはそれで迫力があるのですが、そこにスポットがいくつかの角度から当てられた瞬間、壁にフィルムを透過した影が映り、複雑な模様が姿を現し、驚きと感動が同時に押し寄せてきます。
このアイデアに感服です。


・松田亮太さん。
地下の展示室へ階段を降りていくとだんだん音が聴こえてきて、なんだろう、と。
音が鳴るほうへと向かっていったら、小部屋のなかでなにやら賑やかなインスタレーションらしきものが。

自転車か!Σ( ̄口 ̄;)

今年もまた自転車か!!!Σ( ̄口 ̄;)

いや、昨年も自転車を使った作品ですごいのがあったのを覚えていて、また今年も自転車を使ったユニークな作品の登場に歓喜した次第で。
言葉で細かく説明するとすごくややこしくなって結局伝わらない気がするので、ざっくり説明すると、ペダルを漕いで眼前奥のパーカッションを鳴らす、というもの。
音の選択は目の前の木製ベルトにバーを差し込んで、そのバーの突起がセンサーを通過することで電気信号化されて、パーカッションのスティックを動かすんです。
漕ぐスピードやバーの設定でちゃんと一定のビートも出せそうで、なんとか頑張ってみたのですがやはり一定に漕ぐというのが難しく。
でも、とにかく面白い!

この小部屋の入口近くの台の上に小品があって、こちらもほぼ同じような理屈で発音するものだったのですが、電動で動くのと出る音もユニークで、かなりアナログなミニマムミュージックマシーン、または最先端のトイミュージックマシーンって感じが興味深かったです。

もちろん他にも覚えておきたいアーティストもいたり、今回は観るのを最初から断念した映像や建築にもきっと見どころは多かっただろうな、と。
こういう展示に触れると毎度感じるのですが、こういった新しい感性に触れることが僕自身の感性をフレッシュに保つ大きな要素のひとつです。

このブログの表のカウンターが30000を越えた先週の金曜日。
・・・僕は柄にもなく風邪などひいてしまい、寝込んでました。
おかげですごく楽しみにしていた落語に行けず...orz

もとい。

皆様、いつもありがとうございます。
今後もよろしくお願い致します。


《1/24》
☆吉田暁子「満散(みち)るちから」展
東京画廊
東京都中央区銀座8-10-5-7F
1/24(水)~2/17(土)日月祝休
11:00~19:00(土:~17:00)
吉田暁子1/24DM.jpg


《1/25》
☆岩崎智子

東京都港区六本木6-8-14 Patata六本木203
1/25(木)~2/17(土)木金土のみ
12:00~19:00
岩崎智子1/25DM.jpg


☆Namiken I 展
新生堂
東京都港区南青山5-4-30
1/24(水)~2/3(土)日休
11:00~18:00(最終日:~17:00)
Namiken1.jpg


《1/27》
・YUMEJUYA EXHIBITION
And A Shibuya
東京都渋谷区神南1-3-4
1/25(木)~2/13(火)
11:00~20:00
YUMEJUYA1/25DM.jpg

梅田店と同時に開催される、夏目漱石の短編小説「夢十夜」のなかの10のエピソードをモチーフに、それぞれひとり(ひと組)のアーティストが作品を制作するという大変ユニークなコラボレーション。
現在は、渋谷では第1夜から第5夜までの5作品がショップの各ポイントに設置されています。
グラフィック系のアーティストが多数ピックアップされていて、今回もADAPTERの黒とメタルグレーによるアーバンな作品など、普段回るギャラリーではお目にかかれない作品が観られて新鮮なのですが、なかでも昨年の黒田潔さんの個展期間中に開催されたトークイベントに出演されていた福井利佐さんの切り絵が拝見できたのが嬉しいです。
黒の紙が精緻に、綿密にカットされ、犬の毛並みなどひとつひとつの輪郭がシャープに再現されていて、その絵が醸し出す鋭利さと妖しさとに意識が吸い込まれていくような。また、切り抜かれた部分などの配色の妙にも独特の美しさが。
後半には、その黒田潔さんや、飯田竜太さんの作品が展示されるようなので、こちらも楽しみです。


・MADE IN THE SHADE あたたかいところ /By Ichigo Sugawara
reed space.
東京都港区南青山6-4-6
12/16(土)~1/31(水)
11:00~20:00
Ichigo Sugawara12/16DM.jpg

菅原一剛さんの写真の展示です。
DMを見つけて気になっていて、ようやく観に行けたのですが、まずこのreed space.という空間が面白い!
「学ぶ」がテーマになっているそうで、ショップエリアには朝礼台を模した階段やジャングルジムのような部分があって、そこにいるだけで楽しくなる空間です。
そして、奥のスペースがギャラリーになっています。
黒の壁に、DMの作品を中央に据え、その両脇に老人の立ち姿の写真。
坂本竜馬の時代の写真技術という「湿板写真」で、画面に乗る銀色が妖しく輝いています。
DMの作品はガラスにプリントされていて、壁の黒にその銀色が実に映えてなんとも独特な世界をつくり出しています。
この他、海を撮影した写真が素晴らしかったです。


・廣藤良樹 個展
@スルガ台画廊
東京都中央区銀座6-5-8 トップビル2F
1/22(月)~1/27(土)
11:00~19:00(最終日:~17:30)
廣藤良樹1/22DM.jpg

茶系の色彩を多く用いた日本画。
ダムの雄大なシルエットを描いた大胆な構図の作品が特に印象に残っています。


☆灰原 愛 個展 ~胸のざわめき~
フタバ画廊
東京都中央区銀座1-5-6 福神ビルB1
1/22(月)~1/28(日)
11:00~19:00(最終日:~16:30)
灰原愛1/22DM.jpg


・日高理恵子展
TOMIO KOYAMA GALLERY
東京都江東区清澄1-3-2-7F
1/27(土)~2/24(土)日月祝休
12:00~19:00
日高理恵子1/27DM.jpg

このギャラリーの広々とした空間をまたしても充分に活かし切った展示です。
真っ白の壁に、真っ白の背景に樹木の枝々のシルエットが黒で描かれ、無彩色の静謐な世界が広がります。
実行はしませんでしたが、逆立ちして眺めてみたくなる展示です(僕だけか...)。


《1/28》
武蔵野美術大学 平成18年度卒業・修了制作展
武蔵野美術大学 鷹の台キャンパス
東京都小平市小川町1-736
1/126(金)~1/29(月)
9:00~17:00
MAU2007.jpg


・-自然の息吹- 野地美樹子 日本画展
@@池袋東武6F美術画廊
東京都豊島区西池袋1-1-25
1/25(木)~1/31(水)
10:00~20:00(最終日:~14:30)
野地美樹子1/25DM.jpg

今回もおなじみのイスのシリーズと樹木のシリーズを中心に、昆虫が登場する作品や静物を描いたものなど、さまざまな野地さんのスタイルを見渡せる大変嬉しい展示です。
加えて、木々の葉によって緑に染まる雄大な峰にかかる虹を描いた作品や、一昨年のC-DEPOT展に出展されたおおきないちょうの木とネコとの作品など、もう一度観られて嬉しい作品も出展されています。
そして、ウィンドウに展示されていた、いちばんいい季節の青空と木の枝を描いた、これまで拝見したことがなかった雰囲気の作品があって驚きました。
・・・しかし、やはりデパートの展示は初日に伺わないと観られない作品があるなぁ、とあらためて実感した次第です。

野地さんから話は逸れますが、今月に船橋東武で開催されていて、どうしても時間の都合が付けられずに伺えなかった泉東臣さんの個展のことをスタッフの方に羽化がったところ、盛況だったとのこと。
観られなかったことを改めて後悔しつつも、充実した内容だったことが感じられて嬉しい限りです。

"the days" いつもとちがういつも
Vision's
東京都中央区日本橋堀留町2-2-9 ASビル1F
1/15(月)~1/20(土)
12:00~19:00(最終日:~17:00)
the days 1/15DM.jpg

3人のアーティストによるグループ展。
無彩色の統一感。


昨年、今回と同じVision"sで開催された個展を拝見し、感熱紙を駆使したユニークなアプローチが印象に残っていた上村晴美さん。
入口すぐに展示されていた2点の小品。一方はカラーの紙、もう一方は細くカットされた感熱紙が、画面の上で編み込んであります。
もちろん感熱紙は熱や薬品を用いて変色させ、独特のグラデーションが施されてあり、それが細かく編まれて格子状になることで、ちいさな方形がたくさん画面に登場しています。
全体を観たときの無機的な質感と、至近でその方形のひとつひとつの表情の違いを感じる有機的な面白さが同居しています。

上村晴美the days02

さらに、今回の展示においては、インスタレーション的なアプローチが展開されています。
入口近くの壁際のドアがレシート幅の感熱紙で編み込まれていたり、ギャラリー内に何故か存在するマンホールの蓋も同様な細工がなされています。

上村晴美the days01

圧巻なのは、正面からいちばん奥の壁。
その全面を覆う感熱紙の網。
至近に立ち、感熱紙自体のグラデーションと、編み込まれることでこちらにも無数に現れている方形のなかに紡ぎ出されている画に視界を預けると、どこまでも遠くへとイマジネーションが続いていくような印象が。

上村晴美the days04 上村晴美the days05 上村晴美the days06

上村晴美the days03

感熱紙という、馴染みが深くてデリケートな素材を使用しているというのが上村さんのユニークなところでもあり、今後そのデリケートさ、弱さにどう対処しつつさらに発展していくのかが楽しみです。


小久保幸治さんは、3点の作品によってこのギャラリーのもっとも長い壁を使ってダイナミックに展開されていました。
手描きによって同じ絵が描かれ、それらが窓枠にマウントされて展示。
マンガの一コマを拡大したような、なんだか知ってるようで知らない絵に感じる親しみとインパクト。それらがあの大きさで3点並べて展示されているのはなんだか奇妙な感じです。

小久保幸治the days01


戸島大輔さんとは直接お会いできなかったのですが、写真がスチロールのパネルにマウントされて展示されていました。
白い画面にうっすらと広がる繊細なドット、それらは空に浮かぶ雲の静かな佇まいを思わせます。
もう一度、しっかりと拝見していみたい世界です。

戸島大輔the days02

戸島大輔the days01

三井統 個展
ars gallery
東京都渋谷区神宮前5-13-1 アルス表参道
1/23(火)~2/4(日)月休
11:00~19:00(最終日:~17:00)
三井統1/23DM.jpg

昨年、同じars galleryで拝見して印象に残っていて、すごく楽しみにしていた三井統のちょうど1年ぶりの個展。
今回も、これまでに続いてペンによる線画の作品が並びます。

三井統1/23 02

1階は、小さな画面の作品。
ちょうどポストカード程度の大きさの紙のドローイングが、パウチラミネート加工され、ピン留めで壁から浮き上がるように展示されています。

昨年よりもさらに抽象度が増し、ひとつひとつの作品を観る際に何か具体的なものからのイメージの束縛から自由になれた印象です。
それぞれの画面で色彩の統一感があり、ある部分ではすらりと高速な印象を与え、また別の箇所では複雑でノイジーな軌跡を描きながら画面を錯綜する線と、その線から広がる影のように施された線よりは淡い色彩の広がりによって、リミットゼロへ、あるいは無限大へ、このどちらへもイマジネーションが突き進んでいきます。

三井統1/23 04 三井統1/23 01

三井統1/23 03


地下のスペースには、パネルの作品が展示されています。
ラミネートされていないぶん、紙の凹凸感やペンの軌跡など、画面の質感がぐっと迫ってきます。

また、1階の作品よりも画面が大きいだけ描かれる絵も大きくなり、それだけじっくりと眺めてしまいます。
相変わらず何か具体的なものが思い浮かぶのではないのですが、どこか荒涼とした風景のようであったり、宇宙空間を漂流する何物かだったり、壮大なイメージが涌いてきます。

三井統1/23 07 三井統1/23 05

三井統1/23 06


また、昨年に引き続き、今回も黒の画面に鉛筆の線が走る作品も出展されています。
黒の背景に鈍く光を反射する鉛筆の軌跡が重量感を醸し出しています。

三井統1/23 08


とにかくかっこいいです。
ファイルなどでご覧いただけるのですが、人物などが登場していた頃の作品も面白く、針金のインスタレーションなども興味深です(こちらはせひ一度拝見してみたい!)。

コトバのある風景「ときたま」by土岐小百合/鈴木理策
ギャラリーエス S zone
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
1/9(火)~1/28(日)月休
11:00~19:00(最終日:~17:00)
ときたま1/9DM.jpg

!Σ( ̄口 ̄;)

ときたま01

ああ・・・
こんな人生を送りたい...

と、ちょっと思った日曜日の午後の昼下がり(天候、微妙に曇り。だった気がする。)。

てか、すぐ忘れてたら僕の場合よろしくない訳ですが(汗)。


もとい!
もとーい!

気持ちいいくらいに「いっちゃってる」展示ですよいやホント。

真っ赤なつなぎを身に纏った謎のアーティスト(謎てオイ)、土岐小百合さんによるインスタレーションと、その土岐さんがこれまで開催されてこられた展覧会の様子を鈴木理策さんが撮影した写真が展示されています。


なにより、写真が美しい!
鈴木理策さんは昨年void+で開催された萱原里砂さんとのトークショーで、その際にプロジェクターで映し出された雪に埋もれた青森県立美術館のどこまでも深遠な白の写真が印象に残っていて、そのときに受けた印象とのギャップも大きくて驚いたのですが、今回の展示での写真はスパッとケレン味なく空間が切り取られていて、その潔さが爽快です。
土岐さんのファニーでキッチュな文字も写真の中で映えています。

ときたま05 ときたま04

ときたま06

インスタレーション、というかそういうコムズカシイ用語は置いといて、完全に「おもしろけりゃイイじゃん!」みたいな遊び心&サービス精神満載の作品が配されています。
なんかもう、ひとつひとつにツッコミを入れていきたくなる衝動が抑えられん...(笑)

ときたま03


ガチャガチャて!!!Σ( ̄口 ̄;)

・・・みたいな。


ピックアップされる言葉も...かなり笑えます。
イチハラヒロコさんの自虐的感情に満ちあふれた面白さとはまた別の、突き抜けたポジティブシンキングが最高です!

ときたま02

・・・で、その言葉がプリントされたポストカードが束で置いてあるのですが、お客さんがその中からいちばん気に入った、あるいは気になったものを手に取って、土岐さんが回すビデオの前で話す、というパフォーマンスも開催されていて。

・・・勢いに気圧されて撮られちゃいましたよ(汗)。
で、僕が選んだのがいちばん上の写真にあるカードってワケです。


この展示、少なくとも元気にはなれます(少なくとも、て!)。
ご本人がいらっしゃる日曜日に、ぜひ、ぜひ。

第1回shiseido art egg 平野薫展
SHISEIDO GALLERY
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビルB1F
1/12(金)~2/4(日)月休
11:00~19:00(日祝:~18:00)
art egg2007DM.jpg


重力が邪魔だ、と感じました。

Adam Booth 2007
@九美洞ギャラリー
東京都港区西麻布1-3-21-1F
1/17(水)~1/27(土)日月火休
12:00~19:00(最終日:~17:00)
Adam Booth1/17DM.jpg

新しい感覚、斬新な表情。
昨年芸大の正木記念館で開催された芸大日本画研究室展での展示が素晴らしかったアダム・ブースさんの個展に行ってきました。

正木記念館では屏風の作品のみでしたが、今回は壁掛けのパネルの作品が展示されています。
画面に登場する鳥や象などをモチーフとしたキャラクター。その姿や表情がたいへんユニークです。
妖しげな雰囲気と、ユーモラスな感じとが同時に伝わってきて、さらに、連綿と続く日本画のスタイルを踏襲しながらも、たいへん未来的な風合いも醸し出され、一度拝見すると忘れられないキャッチーさがあります。

Adam Booth 1/13 02

九美洞ギャラリーははじめて伺ったのですが(ちょっと分かりづらい場所で探すのに難儀しました。汗)、コンパクトな空間で、しかし大きな作品も展示されていてそれらを至近で拝見できるのは嬉しいです。
紙本と絹本と、それぞれの大作が1点ずつ。

まず、入口をくぐると壁一面に広がる絹本の作品が目に飛び込んできます。
5枚組のパネルのそれぞれに花や動物などがひとつだけ描かれ、空間的にもゆったりと構成されているのも印象的です。 その空間的な余裕によって広がりが感じられ、それに伴ってイマジネーションも壮大に喚起されます。
また、均一に染め上げられた絹の褐色が照明によって仄かに浮かび上がり、なんとも幽玄な雰囲気が伝わってきます。

Adam Booth 1/13 01


紙本は、和紙の味わい深い質感を活かし、表面のざらつきに加えて敢えて斑のある褐色で塗られ、背景の色彩に独特な表情が浮かび上がっています。
そこに登場するキャラクターや植物がひとつひとつ丁寧に細やかに描き込まれていて、和の雰囲気と未来的な雰囲気とが混ざりあったなんとも不思議な世界が構築されてます。

Adam Booth 1/13 07 Adam Booth 1/13 09 Adam Booth 1/13 08

Adam Booth 1/13 06

小品では、アダムさんが描き出すキャラクターが引き立てられています。

象の表情、アダムさんの作品ではおなじみのキャラクターなのですが、なびかせる耳や目のかたち、それに直立という佇まい、それらからコミカルな感じと危ない感じとが同居していて、印象的です。
また、なんとも形容し難い姿の生物(まさにエイリアンって感じです)は、それだけでなんだか楽しく感じられます。

Adam Booth 1/13 03

Adam Booth 1/13 05


とにかく痛快です!
日本画というカテゴリーで、スタンダードさとオリジナリティを強く感じる作風はたいへんユニーク。
他にない味わいをこの距離で堪能できるのが嬉しいです。

Adam Booth 1/13 04

review:αMプロジェクト2006 vol.6 生命の部屋VI・川崎広平展《1/20》

αMプロジェクト2006 vol.6 生命の部屋VI・川崎広平展
ASK? art space kimura
東京都中央区京橋3-6-5 木邑ビル2F
1/15(土)~1/27(土)
11:30~19:00(最終日:~17:00)
川崎広平DM.jpg


完全に暗室となったギャラリー。
そこに、川崎広平さんの作品が5点、展示されています。


それぞれの作品が、ふわっと広がるような光を放っています。
今回の川崎さんの個展はDMを拝見して興味を持って伺ったのですが、そのDMの作品、予想よりも小さなサイズで、むしろしゃがんで眺めてしまうような感じです。

川崎広平展01 川崎広平展02

中は空洞になっていて、そこに水が注がれていて、内側には無数の水泡が現れています。
全体的にすっきりとした幾何学的なデザインに仕上がっていて、そのフォルムと光の広がり方から未来的な印象を受けるのですが、同時に不思議と有機的な感触もあります。
表面の凹凸によって部分的に光が屈折し、複雑な陰影を生み出していています。しかし、その光は作品全体から仄かに広がるような優しい感じで、それが全体の有機的な印象を生んでいるのかな、と思います。
この白い光からなんとなくあったかい感触が伝わってくるのが不思議です。

川崎広平展03


ギャラリーはおよそ中央部がパーテーションで仕切られていて、手前のスペースに上の作品に加えてパーテーションに設置された棚に2点、奥には台上の作品と床置きの作品とが1点ずつ展示されています。
光源がそれぞれの作品で異なり、ダイオードや蛍光灯が用いられていているとのことです。
ダイオードを用いた台上の作品の光源を川崎さんに見せていただいたのですが(てっきり固定するための器具だと思っていた部分が光源で驚きました)、作品の有機的な印象を邪魔しない究極的にシンプルなかたちに感嘆。

また、DMの作品と同様に内側の空洞部分には水が注ぎ込まれていて、非常に狭い範囲ながら作品によっては表面に水面が現れているものもあり、人の移動などによる僅かな空気の動きによって生じる水面の揺らめきが、光源を受けて美しい表情をつくり出しています。水泡と合わせてさらに有機的な印象を受けます。

光源のたの電源を得るための部分もたいへんユニークです。
壁から作品へと延びるスティック状のパーツは、まさに無駄なものを除いたようにも思われ、かつその長さがユーモラスに感じられます。

川崎広平展04

仄かな光がこの季節に合う、クールさとあったかさが伝わってくる素敵な展示です。


※調べたら昨年秋にギャラリー21+葉でも川崎さんの個展が開催されていました。こちらは完全に見逃していたので、そのときに気付かなかったことに反省しつつ、あらためて拝見できたことに感謝です。
また、αMプロジェクト2006では、昨年、一昨年と印象に残っている展示があって、毎年興味深いラインナップが並んでいます。

ZOKEI展
東京造形大学
東京都八王子市宇津貫町1556
1/20(土)~1/21(日)
10:00~17:00
ZOKEI展2006.jpg

東京造形大学の卒業・修了展示に行ってきました。
思い返すと昨年観たたくさんの展示の中で東京造形大学出身のアーティストのが印象に残ったことが多く、今回のZOKEI展も期待していたのですが...観に行って良かったです!
ここで思い出すアーティストの作品も予想より多く、みなさん頑張っているんだなぁ、とあらためて感嘆した限り。
加えてはじめて拝見する方々の作品で印象に残るもの、今後も続けて観ていきたいと強く意識させられるユニークなクリエイションに出会えたことも大きな収穫でした。


以下、特に印象に残った展示を。

・眞下由希さん
絵画棟の一室、ちいさなスペースの入口が暗幕で仕切られ、その中に入ると壁も同様に暗幕がかけられ、薄暗い部屋の中、スポットで照らされた縦長の作品とじっくり対峙できるような空間が提供されていました。
そこで展示されていた作品は、ていねいに描き込まれた実に精緻なペン画。たくさんのクライマックスがそっかしこに存在し、それが広い画面でダイナミックに構成されていて圧巻の静謐感。

大石晃裕さん
デザイン棟の一室、大きなスクリーン数枚が並び、そこにおそらく出力されたグラフィックが。その隙き間に配されたパソコンのモニターに映し出される動画CG。
ブラックをバックに、光のラインとドットが縦横無尽に走り、散らばり、意識が呑まれるような圧倒的な未来感覚のグラフィックアートが展開されていました。
動画では無機的な感触の細かいドットがノイジーに蠢いて、さまざまなかたちに変容していきます。こちらもじっと見入ってしまう面白さです。

・野澤裕子さん
デザイン棟の比較的広いスペース、暗室となったなかで展開されたインスタレーション。
針金で人や風景のシルエットのラインが作られ、それらが天井から吊るされ、そこに下方から当てられるスポットと天井から映し出される水面に広がる水の輪、それと共に耳に届く水の滴が落ちる音。針金はなんとも不思議な感じに彩られていたのですが、至近で見るとこれが細かい糸で編んだ布面が染め上げられていました。
まるで線画が立体的に提示されたかのようなドリーミーな空間が作り上げられていて、この浮遊感が気持ちいいです。そして、そのインスタレーションの中を縫うように移動していると、ホントにその世界に入ったかのような錯覚も。
ファイルも拝見して、平面の作品も面白かったです。

・麻生泰三さん
インクジェット出力による作品が壁一面に並びます。
それぞれの画面にある円形のなかには、揺らめく色彩が。そのなかで展開される細やかなリズムが面白いです。
左から右へと向かってだんだんと淡くなり、消えゆくように提示されていたのも、そこで時間のイメージが映像的に沸き上がってきて楽しめました。

・馬場都紀子さん
美術館で展示されていた、淡いリトグラフ。
グラスに挿された花、水道の蛇口、何気ないものに込められた記憶、想い出。
はっと消えゆくような儚さを感じる色彩感が心の中に広がって、なんだか懐かしい、優しい気分にさせられます。

既知のアーティストの作品では、アートギャラリー環での個展が印象的だった伊藤佑起さん、ヴァイスフェルトでのグループショーで拝見した宮本裕美さん、トーキョーワンダーウォールなどで拝見している奈良エナミさんの作品が拝見できて嬉しかったです。
(後でギャラリーエスのスタッフの方に伺ったのですが、エスでの二人展で拝見した田代裕基さんの木彫の大作があったそうで、それを見逃してしまったのが心残りです...)

今回いろいろと拝見して、今後どうなるんだろう、このクリエイションはどういう方向に発展していくんだろう、と期待を抱かせられるものが多かったのも印象的でした。
また個展などで出会えるのが楽しみです。

《1/20》
第1回shiseido art egg 平野薫展
SHISEIDO GALLERY
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビルB1F
1/12(金)~2/4(日)月休
11:00~19:00(日祝:~18:00)
art egg2007DM.jpg


αMプロジェクト2006 vol.6 生命の部屋?・川崎広平展
ASK? art space kimura
東京都中央区京橋3-6-5 木邑ビル2F
1/15(土)~1/27(土)
11:30~19:00(最終日:~17:00)
川崎広平DM.jpg


☆伊賀美和子 新作展「Madame Cucumber」
BASE GALLERY
東京都中央区日本橋茅場町1-1-6 小浦第一ビル1F
1/19(金)~2/28(水)日祝休
11:00~19:00
伊賀美和子1/19DM.jpg


☆"the days" いつもとちがういつも
Vision's
東京都中央区日本橋堀留町2-2-9 ASビル1F
1/15(月)~1/20(土)
12:00~19:00(最終日:~17:00)
the days 1/15DM.jpg


・イエッペ・ハイン "Inbetween"
SCAI THE BATHHOUSE
東京都台東区谷中 6-1-23 柏湯跡
1/19(金)~3/3(土)日月祝休
11:00~19:00
イェッペ・ハインDM.jpg

アート@アグネスのSCAIのゲストルームを訪れた際、スタッフの方に「すごいのでぜひオープニングに!」とお知らせいただいたのですが金曜日は仕事が早めに終わせられなくて伺えず、土曜日に行ってきたのですが。
素で爆笑してしまいました。
あんなものをを作って展示してしまう人がどんな人なのかお会いしたかったですよいやホント(笑)。


Adam Booth 2007
@九美洞ギャラリー
東京都港区西麻布1-3-21-1F
1/17(水)~1/27(土)日月火休
12:00~19:00(最終日:~17:00)
Adam Booth1/17DM.jpg


《1/21》
☆ZOKEI展
東京造形大学
東京都八王子市宇津貫町1556
1/20(土)~1/21(日)
10:00~17:00
ZOKEI展2006.jpg


☆コトバのある風景「ときたま」by土岐小百合/鈴木理策
ギャラリーエス S zone
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
1/9(火)~1/28(日)月休
11:00~19:00(最終日:~17:00)
ときたま1/9DM.jpg


・五十嵐公一 × 川本史織 「 表裏一体 」
ギャラリーエス E zone
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
1/19(金)~1/28(日)月休
11:00~19:00(最終日:~17:00)
表裏一体1/19DM.jpg

五十嵐公一さんの、ゆったりとたゆたうように時間が流れるモノクロームの風景写真。
そして、それとは対照的に、川本史織さんの写真はある一瞬を透明感溢れる色彩でキャッチしたようなフレッシュさが気持ちいいです。
このふたりの写真のコントラストも、見事です。


・Awesomeレジデンス帰国報告 長岡大輔
TWS本郷
東京都文京区本郷2-4-16
1/8(月)~1/21(日)
14:30~18:30

以前、TAKEFLOORでのグループ展で作品を拝見したことがある長岡大輔さん。
残念ながらトークイベントはいちばん最後のほうだけを聞くことしかできなかったのが今振り返れば残念。。。
壁一面に、おそらく木炭で描かれたモノクロームの絵。1本の木と、その下には人がいっぱい描かれ、何故か人は描いた後から画面を擦ったような感じで輪郭がほぼ失われています。
また、作業デスクがひとつ置かれ、その上には描きかけの絵。
圧巻なのは、映像作品で、物凄くアナログなアニメーション...というか、むしろ記録映像で、白い紙にひたすら人物を描いては、それを消してその人物の次のアクションを描いていく、その1枚の紙の上で起き続けるドキュメントを高速で上映する作品。絵の中の人物による物語と、長岡さんの手の動き。このふたつの時間がひとつの画面で同時に提示されて、相当スリリングな映像に仕上がっています。
ただ、こちらも充分チェックできず。。。次の機会は絶対に逃さないようにしないと!


SSamzie Spaceレジデンス帰国報告 大巻伸嗣
TWS本郷
東京都文京区本郷2-4-16
1/21(日)
16:30~18:30

韓国のレジデンススペース、SSamzie Spaceに昨年秋から3ヶ月滞在した際のエピソードを中心に催された大巻伸嗣さんのトークイベント。
ホントに面白かったです。
まさに、大巻さんご自身が肌で感じた韓国のアート事情、そしてさまざまな文化的な違いがいろいろ伺えて、1時間半ほどのトークがあっという間に。
そして、そういった話を聞いて、いろいろと考えることもあって。

“A LDK”The Vehicle Exhibition
リビングデザインギャラリー 東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー リビングデザインセンターOZONE 6F
1/18(木)~1/30(火)水休
10:30~19:00
The Vehicle OZONE DM.jpg


The Vehicleによる、「アート(A)」を「生活空間(LDK)」へいかに取り込むか、の提案。
ユニークな企画です。
場所もまさに、リビングデザインギャラリー。

これまでThe Vehicleの展示や過去作品のファイルから、レトロっぽいイメージを持っていたのですが、今回の展示では少し先の未来といった洗練された雰囲気です。

大きなタペストリーが空間を仕切り、それぞれが「Bed Room」「Living Room」「Bath Room」などになっています。
そして各所で実際の生活空間を演出するための家具と合わせてアートの作品が展示されています。さらに、その作品の一部はYUMIKO CHIBA ASSOCIATESの所属アーティストとのコラボレーションとなっていて、ある種ショーケース的な展示にもなっています。

まず、間接照明が正面に。

A LDK 01 A LDK 02


ベッドルーム。
枕元に設置された間接照明がThe Vehicleの作品。加えてベッドの上に鷹野隆大さんの写真がプリントされています。写真だと激しいインパクトを受けてしまう鷹野さんのクリエイションが布地にプリントされることで若干抑えられているような感じです。

A LDK 06

A LDK 05


ダイニングルームのコーナーでは、食卓のテーブルの上に東恩納裕一さんの例の蛍光灯を組み合わせるクリエイションが天井から吊るされてそこの照明となっています。
陳腐ですが、なんだかUFOみたいです。
そこから伸びる電源確保のためのコードの生々しさもインパクト大です。
タペストリー越しに見える照明のなかなか味わいがあります。

A LDK 04 A LDK 12

A LDK 03

リビングルームには横長のソファがひとつ、側に一本脚の丸いテーブルがひとつ。その上に緑の人工芝が敷かれ、ちいさな家のかたちをした照明が灯っています。
この照明が三田村光土里さんとのコラボレーション。人が入れるくらいの大きさのインスタレーションが基になっているそうなのですが、今回はこの企画に合わせてそれをテーブルサイズに小さくしたとのこと。
灯る灯りに親子の姿のシルエットが映し出され、なんとなく懐かしい雰囲気、レイドバックした小説を読んでいるときのような、そういう感触を喚起してくれます。

A LDK 10

これらの他にも、The Vicheleのユニークなクリエイションが各所に。
椅子の背もたれをそのままハンガーにしたものや、字幕がプリントされた鏡、窓を模した間接照明...。
それぞれユーモアが感じられるアート作品となっています。

A LDK 08 A LDK 09 A LDK 11

A LDK 07

アーティストの作品をそのまま展示するのではなく、そのクリエイションの本質の部分をちゃんとフォローした上で織り込むユニークさが興味深いです。
自分だったらどうするかを考えたり、それぞれのコーナーをもっとリアルにイメージしてみたりするのも楽しいです。

展示スペースの外側には、The Vehicleによる「しらかば」シリーズが展示されていて、こちらはレトロ感覚たっぷりなものになっています。
i-Podやデジタルカメラなどを収納できるケースとなっていて面白いです。


このビルに入っている家具のショップと合わせて観るともっと楽しめるかも知れないです。

花鳥風月 ~コンテンポラリーアート~
SAN-AI GALLERY
東京都中央区日本橋蛎殻町1-26-8 三愛水天宮ビル1F

1/9(火)~1/18(木)
11:30~19:00(日:~18:00)
花鳥風月 DM.jpg


SAN-AI GALLERYの貴ュレーションによる、さまざまな手法で制作された作品を、「花鳥風月」それぞれひとりずつピックアップしてパッケージしたグループ展。

まず、「花」。
昨年のGallery b.Tokyoでの個展などで拝見し、その鮮烈すぎる鮮やかさが印象に残っている工藤雅敏さんの作品が、通り沿いのショーウィンドーからギャラリーの各所に配置され、ポジティブな色彩が力強く咲き乱れます。

花鳥風月 工藤雅敏01

大作と小品とが合わせて展示されていたのですが、小品は赤と白とが混ざりあい、その光を放つかのような明るさが黒の背景に映えています。

花鳥風月 工藤雅敏04 花鳥風月 工藤雅敏05

花鳥風月 工藤雅敏03

大作では、さまざまな色が画面上で強烈なコントラストを生み出し、尋常でない世界を作り上げています。
絵の具による存在感たっぷりの立体感、スプレーを使用して施された色の広がりからイメージされるスピード感、複雑な細かい線の絡まりによるミニマルな面白さ。
ひとつの画面にさまざまなクライマックスが収められていて圧倒されます。

花鳥風月 工藤雅敏07 花鳥風月 工藤雅敏08 花鳥風月 工藤雅敏09

花鳥風月 工藤雅敏06

工藤さんの作品を目にすると、なんだかエネルギーを補給できたような気分になるほどです。

花鳥風月 工藤雅敏02

「鳥」は長谷川恵理さんの出力の作品で。
実に細やかなデザインと慎重に選び抜かれた色調によって、羽のひとつひとつまでもがていねいに再現されています。

花鳥風月 長谷川恵理02

花鳥風月 長谷川恵理01


「風」は宮野雅美さんのタブロー。
いくつかのサイズの作品が並ぶ中、大きな画面でその広さのぶんだけダイナミックに感じられます。

花鳥風月 宮野雅美01


一度同ギャラリーでの個展で拝見して印象に残っていた大西明子さんが「月」。
工藤さんの「花」とは対照的に、実に渋い作品が並びます。

花鳥風月 大西明子02

銅版に描かれる絵。
銅の渋い金属的な輝きによって、夜の風景が月明かりに照らされる様子が味わい深く表現されています。
さらに、木立の枝につく葉がまるでさわさわと風に揺れるような、あるいはしんと静まる闇夜に響くちいさな音、そういった臨場感が、それぞれの画面からも伝わってきます。

ちいさな額に収められ、棚に置かれた作品も素敵です。

花鳥風月 大西明子03 花鳥風月 大西明子04

ひとつひとつがていねいに制作されていて、じっくりと画面に近付いて見入ってしまうほど。
夜に観たらもっと雰囲気が出るのかも、とイメージも広がります。

花鳥風月 大西明子01


これほどバリエーションに富んだスタイルの作品が、ひとつのユニークなテーマでまとめられて、大変興味深く拝見することができました。
またそれぞれのアーティストの個展も観てみたいです。

東悠紀恵展
ぎゃらりぃ朋
東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル2F
1/13(土)~1/20(土)
11:00~19:00
東 悠紀枝DM.jpg


静かに、しっとりと落ち着いたファンタジー。

もう一昨年になりますが、偶然拝見した個展が印象に残って、それ以来折りに触れて拝見している東悠紀恵さん。
東さんの個展がぎゃらりぃ朋で開催されると伺ったときは、その取り合わせの良さに至極納得し、今回の個展もずいぶん前から楽しみにしていたのですが、実際に拝見して、期待以上に期待通りのすてきな展覧会となっていて嬉しい限りです。

東悠紀恵 朋03

東さんは発泡スチロールのボードを使用した立体の作品も作られるのですが、今回は、タブローのみの展示です。
憂いを帯びた表情の人物がモチーフとなった作品が並びます。なんとなく中世のヨーロッパを思わせる風合いが、それぞれの画面から緩やかに広がってきて、ぎゃらりぃ朋の空間に響き渡っています。

東悠紀恵 朋01 東悠紀恵 朋02

いわゆるシュールな構成なのですが、この種の作品によく感じられる「おどろおどろしさ」がまったくなく、ロマンチックな感触、大人の童話の一場面のようななんとも言えない渋さが伝わってきます。
全体的にセピア調の色合いも、それぞれの作品から浮かぶイマジネーションをふわりと優しく押し広げてくれるように感じられます。

東悠紀恵 朋06 東悠紀恵 朋05

そういった作品の中に収められたアイテムも、実に丁寧にひとつひとつ描き込まれています。
各所に登場する百合の花の可憐な佇まい、人物が身に纏う衣服に施された装飾の細やかさ。
それらがひとつの画面で静かに共鳴しあい、不思議な物語を紡いでいく...そんな感じがするんです。

もしかしたら、観た人の数だけ、東さんの作品からちいさな童話が生まれているのかもしれない...そういうふうに考えるとまた、なんだか嬉しくなってきます。
言葉が添えられた展示、あるいは絵本のようなかたちでも観てみたいような気がします。

東悠紀恵 朋04

「NATURAL DRIFT ナチュラル・ドリフト」
Takuro Someya Contemporary Art
千葉県柏市若葉町3-3 TSCA KASHIWA
1/13(土)~2/11(日)木金土日のみ、アポイントメント制
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今年最初のTSCAは、所属アーティストをピックアップしたグループショー。
アポイントメントオンリーの展覧会ながら、クレジットされたアーティストの名前を一目見て

「こここここれは観に行かなければッッ!!」

と瞬時に思い立ち、初日に伺ってきた次第。


まずは、飯田竜太さん。
(g)での個展で発表された、文庫本を徹底的にカットした作品が、壁に設置された棚に置かれた(g)のときとは違って広い壁一面にずらりと並べて展示されています。その光景はまさに圧巻。
カットされたページが等高線のように重なって独特の味わいを醸し出し、文庫本に印刷された無数の文字が本来の意味や音声を失って摩訶不思議な紋様となって現れます。
これらが壁一面に並んで、紙の茶色と文字の黒、それらと壁の白とのコントラストが妙に奥深く、深遠な雰囲気となっています。

NATURAL DRIFT飯田竜太02 NATURAL DRIFT飯田竜太03

NATURAL DRIFT飯田竜太01


その向かいには大塚聡さんの作品が。
昨年の個展のときと同じように、パネルが2面並んで展示されています。
鏡面状のパネルの奥へと飛ぶ光。画面のさまざまな場所にランダムにふっと浮かび上がっては、向こう側の「虚」の世界へと消えゆく様子は、対面する飯田さんの作品とはまた違った孤高の静謐感が漂います。
しかも今回は、その飯田さんの作品が展示された壁がパネル表面に映り込みます。
テクノロジカルな大塚さんの作品の中に、アナログの極地のような飯田さんの作品が収まっているかのようで、そのギャップがある意味痛快に思え、それをこうやって可能にしてしまったTSCAのユニークさがこういうところにも表出しているように感じられます。

NATURAL DRIFT大塚聡02 NATURAL DRIFT大塚聡03

NATURAL DRIFT大塚聡01


続くスペースは、タムラサトルさんの展示コーナー。
昨年のGallery Qでの個展などでも発表された、接触部分の火花に興奮を覚える作品に再会。
この作品に用いられている「部品」の生々しさ、必要最小限のシンプルなかたちがむしろかっこよく感じられ、それがさらにこの火花を際立たせています。

NATURAL DRIFTタムラサトル04 NATURAL DRIFTタムラサトル03

そして今回は、動物がモチーフとなった金属性のオブジェもあわせて展示され貞ます。
こちらはそれぞれの動物が緻密に作り上げられていて、その丁寧な仕事ぶりに感心してしまいます。金属そのものの質感がそのままであるにもかかわらず、動物の生命感が感じられます。
火花の作品とのギャップもたいへん興味深いです。

NATURAL DRIFTタムラサトル02

NATURAL DRIFTタムラサトル01

タムラさんの作品はもうひとつ、映像も上映されています。
これが・・・・・素晴らしいっ(笑)!
聞くところによるとフランス人VIPがそのあまりのシュールさに感動の涙を流した(笑)とのこと。
淡々と、黙々と繰り広げられる自動販売機前の光景。何故か見入ってしまう、尋常でないほどの痛快さです。


今回はじめて拝見する松山智一さんの作品が、タムラさんのコーナーに続いて展開されています。
マスキングを駆使した、グラフィカルなタブローです。
この質感、風合いは独特です。アートシーンというより、もっと広い意味でのカルチャーシーンから大きなインスピレーションや経験を得ているように思えます。
海外を拠点とされている方とのことで、そういった影響も感じられます。そしてそれと同時に、たいへん日本的というか、連綿と伝わる花鳥画的なアプローチも感じられ、たいへん興味深いです。
このグループショーに続いて開催される松山さんの個展が今から楽しみです。

NATURAL DRIFT松山智一02

NATURAL DRIFT松山智一01


最後のスペースには、本城直季さんの大判の写真が2点展示されています。
雪景色と、新緑が鮮やかな季節の光景。
本城さんおなじみの、実際の光景をミニチュア風に撮った作品で、画面的にも空間的にも、この広さで見ることができるのは本当に嬉しいです。
雪を積もらせた街並のビルディングのひとつひとつ、草原を通る道路を走る車、それらがなんともかわいく感じられ、眺めているだけでうきうきと心が高揚してきます。

NATURAL DRIFT本城直季01

NATURAL DRIFT本城直季02


最後に飯田竜太さんの作品がもう1点。
こちらも(g)での個展で発表された作品。台の上に並べられた分厚いハードカバーの本と、蓋が閉じられた瓶。
いっしょに置いてある白手袋をはめてこの本のページを開くと、この作品のクレイジーさが物凄い迫力で伝わってきます。そのエネルギーに後ずさりしてしまいそうなほど。
本の中の文字の羅列が1ページ1ページ緻密に切り抜かれ、その破片が瓶の中に詰め込まれています。
その作業量を思い浮かべると、背筋に緊張が走ります。

NATURAL DRIFT飯田竜太04

NATURAL DRIFT飯田竜太05


絵画、写真、立体といったスタンダードなスタイルに加え、もっと別の視点からの面白さが凝縮されているものまで、さまざまなアートが詰め込まれたバラエティに富んだグループショーです。
TSCAへのメールでのアポイントメントが必要ですが、ぜひ観に行ってほしい展覧会です。

*********

余談。
TSCAへ行く度に気になっていた、TSCAのすぐ側にあるカレー屋さんにも行ってきました。
「世界で一番熱いカレー屋」、Taro Curry
野菜のカレーを食べたのですが、ココナツが効いていて美味しかったです。

2006おぶせミュージアム「作家の卵展」巡回 ShinPA ~中島千波と東京藝術大学デザイン科描画系作品展~
佐藤美術館
東京都新宿区大京町31-10
前期:1/17(水)~2/4(日)後期:2/7(水)~2/25(日)月休
10:00~17:00(金:~19:00)
入場料:一般\500 学生\300
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昨年初めに長野県おぶせミュージアムで開催された「作家の卵」展が佐藤美術館で巡回開催されます。
展覧会終了以降もそれぞれ個展などで作品を拝見する機会があり、こちらのブログでもその都度紹介しているのですがですが、今回あらためて一堂に拝見できるのが楽しみです。

《前期》
阿部穣 泉東臣 井上越道 岡部忍 川本淑子
小林英且 芹田紀恵 高岡香苗 高橋浩規  田宮話子
濱岡朝子 日根野裕美 松永龍太郎 森田洋美 中島千波

《後期》
井上恵子 浦和志津香 岡本雄司 金丸悠児 金木正子
三枝淳 瀧下和之 冨田典姫 永井夏夕 名古屋剛志
野地美樹子 山本陽光 渡邊史  中島千波

※この「作家の卵」展のパンフレットをプレゼントします。
ご希望の方は左サイドバーのプロフィール欄にあるアドレスまで、タイトルに「作家の卵」展パンフレット希望と御明記のうえ、 メールをお送りください。追って返信致します。
先着10名様までとさせていただきます。

清原温子展
ars gallery
東京都渋谷区神宮前5-13-1 アルス表参道
1/16(火)~1/21(日)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
清原温子DM.jpg


清原温子01

溢れる色彩と、力強さと。

清原温子さんの個展に行ってきました。
DMを拝見してぜひ観てみたいと思い、楽しみにしていたのですが、その期待を遥かに超えるスケールです。
さまざまな色彩が画面に広がり、空間を彩っています。


1階と地下のギャラリースペースでは日本画を、そして普段は展示としては使われないスペースで陶磁器の展示が展開されています。

日本画は、これまで清原さんが描かれた作品が、特に大作を中心に展示されています。
動物が登場する作品が多いです。
犀を描いた作品では、その鎧のような硬い皮膚と重量感溢れる出で立ちが大きな画面で展開され、圧倒的な臨場感と、春を思わせる独特の色使いによる軽やかさとの心地よいギャップ。なんとも言えないやわらかな高揚感が心の中に広がっていきます。

清原温子05 清原温子06

清原温子07

地下へと降りると、まず、出展されている作品の多くが明るい色彩であるなかに唯一、画面全体が重厚な色彩で展開されている龍の絵がぐっと迫ってきます。
ダイナミックにうねらせる体躯、凛とした表情。想像上の生き物ということで描き手のイマジネーションがより自由に広がるような気がして、龍を描いた作品は大変興味深いのですが、そのなかでも格別な勇ましさが鮮烈に印象に残ります。力強く剛胆な構成と頭部や鱗、背景における精緻さ。本当にかっこいいです。

清原温子04

清原温子03


螺旋階段を降りた地下の正面の壁には、縦長の作品が。
さまざまな海の生物の姿が織り込まれ、それらが海中を揺らぐ時間の緩やかさ、おおらかな海の流れに身をゆだねるような、ゆったりとした感じが伝わってきます。
そして、そこに輝く大きな月面。海と宇宙とのイメージがひとつの画面で重なりあい、今回展示されている作品の中でもっとも大きなものでありながら、それには収まりきれないとてつもなく広大な世界に立ちすくんでしまうような。。。

清原温子02


ダイナミックな作品が多い日本画から一転して、陶磁器はまたひと味違う繊細さに溢れています。
平皿、小物入れ、カップなど、さまざまな器に、バリエーションに富んだ手法でそれぞれ絵付けがなされていて、そのひとつひとつに咲く可憐な花の佇まいに見愡れます。
仄かに灯るようにふんわりと、やわらかに広がる色彩の繊細さが心を捉えます。

清原温子08

清原温子10


ひとりのアーティストによるふたつの世界。
この個性に出会えて、本当に嬉しいです。
ぜひ、多くの方に観て、大きな画面から、そして磁器に描かれた手のひらに収まるほどの絵から、直にその鮮やかさ、艶やかさをに触れていただきたいです。

この嬉しさと同時に、切ない気持ちも沸き上がってきます。
今回拝見した龍や犀が、磁器に咲く花が、これからどんなふうになっていくのか...もう、この個性の先を知ることができない、この続きを楽しめないのが本当に。。。
だからこそ、このなかで生き続ける清原さんのクリエイションがよりいとおしく感じられます。

NOW YOU SEE IT.jpg

16日早朝、ラジオでMicheal Brecker氏逝去の一報を耳にしました。

僕らの世代(と、およそ僕らよりひとつ上の世代)でジャズをやっている人間にとって、彼の影響を受けていない人というのはいないと思います。

先日、Bunkamuraミュージアムでのエッシャー展にて、激しく込み合う館内を過ぎながら、「エッシャーってそれこそ絵を見始めるずいぶん前から知ってたけど何だったかな...そうか、僕はブレッカーのジャケットで知ったんだったな」と思い出してました。

今、CDの棚からこの「NOW YOU SEE IT...(NOW YOU DON'T)」を引き出して、久し振りに聴いています。

1曲目の「ESCHER'S SKETCH (A TAIL OF TWO RHYTHMS)」、冒頭のテナーサックスの知性溢れる唸りに。


ご冥福をお祈り致します。

古川弓子「白昼夢」
ギャラリーSIDE 2
東京都港区赤坂2-18-3 三葉ビル1F
12/22(金)~1/26(金)
11:00~19:00

レントゲンヴェルケでのグループショウ「RX-cube cubic」でもある本を基に作り上げられたユニークなインスタレーションを展開していた古川弓子さんの、今度は個展。
楽しみにしていて、昨年のうちに見に行きたいと思っていたのですがいろいろと都合が付かずに伺えず、ようやく観ることができました。

古川弓子「白昼夢」02


こんな時間の感じ方、提示のされ方は初めてです。。。


この意味深なインスタレーションのバックグラウンドには1冊の本が存在しています。
その本のタイトルが「白昼夢」。著者は古川さんご自身。

つまり、この展示ができあがる過程の中に、1冊の本、小説が書き上げられているんです。

大まかなストーリーは要約されてファイルに収められていて、そのファイルと同じ場所に置いてある本には、今回のインスタレーションに配置されたアイテムが小説内で登場する場面のページに付箋が付けられています。

ほんの冒頭の部分だけ目を通してみたのですが、このインスタレーションを実際に目にしているせいか、小説の世界がぐんぐんとイメージできるんです。
加えてこの小説とインスタレーションとの関係性を探ろうとする好奇心からか、全部読んでみたいという衝動も当然のように沸き起こってきます。
さすがに時間がなく、さわりの部分だけにとどめざるを得なかったのですが...。

少し考えて、このインスタレーションのためにひとつの小説が書き上げられている時間の膨大さに圧倒され、さらにこのインスタレーションに触れてその先に小説1冊分を読み上げる時間が提供されていること、それだけ「楽しみ」が約束されていることに嬉しさを感じます。

それにしても、ユニークなアイテムです。

レントゲンでのグループショウでも目にしたかたちの壁に設置されたバスルームの模型。
細かいタイルで覆われた、青色透明の樹脂性のバス。まるで湯舟に張られた水がそのままかたちになったかのよう。

古川弓子「白昼夢」01


各所に配置されたいくつかの透明樹脂製のピンヒールは、カラフルな色が光を受けて床に映る様子がかわいらしく思え、かつ靴底の部分しかないかたちに妙な妖しさを感じます。

古川弓子「白昼夢」06


ギャラリーの隅に配されたベッドのスプリング。全体的にかわいい印象のアイテムが並ぶ中、この素材感が視覚的にアクセントとなっています。ただ、僕が観て感じる限りでは、金属的な生々しい質感より、軽やかなアバンギャルド感といった痛快さがあるんです。
そして、ぱっとこの空間に入ってこのスプリングに目を向けた瞬間に「あれはなんだろう?」と思わずにはいられない青いちいさなもの。これが、ベッド。このかわいさ、空間全体のアクセントのなかにさらに存在するアクセント。なんともいえない不思議な高揚感に包まれて、嬉しくて堪らない...。

古川弓子「白昼夢」03


また、この空間を支配するような大きなオブジェが、ほぼ中央に座しています。そのサイズからもいろんなイマジネーションが浮かんできます。
他にも「涙」を現したというオブジェのそのものの美しさとその一角の構成の美しさ、壁に佇む白い星、手前にある水槽のなかに収められた部屋の模型の楽しいイメージ...。

なんだかこの「白昼夢」、とことん味わってみたくなります。
ここに収められたアイテムの流れを知りたい。
そして、ここに収められたそれぞれのアイテムとアイテムとを空間をイメージで埋めてみたい。。。


古川弓子「白昼夢」05

すでにレビュー済みのは除いてます。

《1/7》
・羅針盤セレクション 日本画選抜展 HOPE
アートスペース羅針盤
東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル2F
1/7(日)~1/13(土)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
HOPE2007 DM.jpg

たくさんの日本画のアーティストがそれぞれ4点ずつ小品を出展したグループ展で、日本画というカテゴリーの中でかなりバラエティに富んだセレクションになっていて、大変楽しめる展示でした。
既知、未知のアーティストがそれぞれ多かったこの展示で、敢えてこれまでこのブログでも紹介したことがあった二人をご紹介。
まず、東園基昭さん。画面の中に登場する飛行機などのシルエット、そのなかにていねいに、細やかに描かれた唐草模様のような和のテイストがするりと織り込まれています。そのユニークさが持ち合わせるユーモアが楽しいです。
HOPE 東園基昭01

麻生志保さんは、揺らめくような色彩の広がり、絹本特有の滲みが画面を染め上げ、独特の幽玄で妖艶な世界がつくり出されています。溢れるような色彩の鮮やかさ、それなのに渋味も充分に感じられます。
HOPE 麻生志保01


《1/13》
・未来を担う美術家たち「DOMANI・明日」展2007 ―文化庁芸術家在外研修の成果―
損保ジャパン東郷青児美術館
東京都新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン本社ビル42階
1/11(木)~2/18(日)月休・2/12開館
10:00~18:00
入場料:一般\500 大学・高校生\300 小中学生:無料
DOMANI2007.jpg

たくさんの作品、しかも大作中心の展示で、ひとつひとつが本当に見応えがあります。
そのなかで特に印象的だったのが、吉川龍さん、菅野まり子さん、石黒賢一郎さん。
吉川さんは昨年の新生堂での個展で拝見したことがあったのですが、今回は1点だけ、大きな作品が出展されていました。暗い銀色と赤茶けた色とで構成される光と影。道路と空とが画面の中で繋がり、そこに街並や往来する人々、自転車やオートバイ、街灯などがそれらのシルエットもともに赤茶色の色彩で画面から抜かれたように描かれています。その作風の分かりやすいユニークさが面白いです。
菅野まり子さんは2点。それぞれ、中世風の登場人物が登場しています。ひとつの色で広がる背景が抜かれ、そこに味わいのある独特な線でその人物の表情や仕草、そして纏う服の装飾も細やかに描かれています。それとは別に街並や蔦が描かれていたり、それぞれの画面でひとつの物語が展開しているように感じられます。
石黒賢一郎さんの作品は、一見するとセピア色の写真による風景画、静物画、裸婦が横たわる作品。しかしこれらがすべて手描きによるもので、その精緻さは信じられないほど。静物は機器の部品や工具が壁に設置された棚の上に置かれている光景なのですが、その部品の中の文字盤までもがていねいに再現されています。裸婦の作品のみ制作中のクレジットがキャプションにあるのですが、それが、石黒さんの作品に必要な時間を生々しく伝えているように感じられます。

小林孝亘さん、押江千衣子さん、丸山直文さんといったビッグネームの作品も見られて満足です。

・デッサン展IX
ギャラリー52
東京都千代田区飯田橋3-2-12
1/12(金)~1/23(火)木休
11:00~19:00(最終日:~17:00)
デッサン展1/12.jpg

さまざまなアーティストのデッサン(だけではなかったのですが)が展示されています。
なかでも印象に残ったのが、小林英且さんの鉛筆によるデッサン。
パネルの作品ではジェッソで覆われたパネルに彫られる髪の流れなど、細かい立体的な表現が印象的なのですが、それらがデッサンでもていねいに描かれていて、しかもモノクロームでこれまで拝見してきたのとは違った渋さや明るさが感じられます。
デッサン展 小林英且01


☆花鳥風月 ~コンテンポラリーアート~
SAN-AI GALLERY
東京都中央区日本橋蛎殻町1-26-8 三愛水天宮ビル1F

1/9(火)~1/18(木)
11:30~19:00(日:~18:00)
花鳥風月 DM.jpg


・千年の会 ―千住博と若き波―
オンワードギャラリー
東京都中央区日本橋3-10-5 株式会社オンワード樫山日本橋ビル1F
1/10(水)~1/16(火)日休
10:30~18:00
千年の会1/10DM.jpg

6名のアーティストが千住博氏のと共に作品が展示されています。
阪本トクロウさんのおなじみのさまざまなものが省かれた光景、岩田壮平さんの鮮やかな色彩、菅かおるさんのファンタジックな作品など、とこれまで拝見したことがある方々の作品は言うに及ばずの良さがあって、それらを一堂に拝見できたことが嬉しいです。
今回唯一はじめて拝見した今川教子さんの作品がたいへん印象に残っています。特にもっとも大きな作品、やわらかな闇夜、淡い色彩が広がる地上に降る雨粒の透明感、浮遊感。眺めていて気持ちがやわらか広がっていくような、独特の和やかさが感じられます。


☆東悠紀恵展
ぎゃらりぃ朋
東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル2F
1/13(土)~1/20(土)
11:00~19:00
東 悠紀枝DM.jpg


・関野栄美・富樫梢 二人展 麗しのフェティシズム
@Gallery銀座フォレスト
東京都中央区銀座1/8(月)~1/13(土)
12:30~19:00(最終日:~17:30)
フォレスト1/8DM.jpg

ガラスの関野栄美さん、平面の富樫梢さんの二人展です。

関野栄美さんの作品はさまざまなかたちのものがあった中でも壁に並んで展示された肖像の作品がよかったです。ガラスの半透明の色合いが美しく、外すと肖像の隠れた部分が鏡になっているという面白さも。
関野栄美01 関野栄美02

富樫梢さんのは、デッサンとパネルの作品とが配置されていました。
デッサンでは細やかな線で精緻に描かれる女性の美しい姿が印象的。そしてパネルの作品では、鮮烈な色彩感のインパクトは相当で、加えて背景に施されるバラの装飾も見事です。
富樫梢01 富樫梢02


☆古川弓子「白昼夢」
ギャラリーSIDE 2
東京都港区赤坂2-18-3 三葉ビル1F
12/22(金)~1/26(金)
11:00~19:00


・南隆雄展 ー ペンタの島に飛ぶ豆鳥
オオタファインアーツ
東京都港区六本木6-8-14
1/13(土)~2/17(土)日月休
11:00~19:00
南隆雄1/13DM.jpg

3点の映像作品が上映されています。
黒を背景に、ランダムな大きさの白のスクエアが下から上へと流れていく作品のスピード感、アーバンなイメージがかっこいいです。
縦長の画面に空がだんだんと鮮やかに、色から色へと変容していくものや、ブラインド越しに映る太陽の光の焦点。静けさの中に力強さが伝わってきます。


・MAKIKO TAKEHARA ((eyes ever deeply))
foro08
東京都港区白金台5-13-14 白金台The1000 地下1階
1/13(土)~1/27(土)月休
12:00~20:00(最終日:~18:00)
Makiko Takehara DM.jpg

foro08で初めて拝見する写真の展示。さまざまな場面がそれぞれのパートで凝縮されて展示されていて、その場所ごとに異なる世界が広がっています。
なかでも、バレリーナを撮ったモノクロームの作品が美しいです。


☆「NATURAL DRIFT ナチュラル・ドリフト」
Takuro Someya Contemporary Art
千葉県柏市若葉町3-3 TSCA KASHIWA
1/13(土)~2/11(日)木金土日のみ、アポイントメント制
TSCA1/13DM.jpg


《1/14》
・松明堂ギャラリー20周年記念「新作家たち selection展 vol.1」-尾田美樹・上條暁隆・豊泉綾乃・松木太郎-
松明堂ギャラリー
東京都小平市たかの台44-9 松明堂書店地下
1/7(日)~1/21(日)
11:00~19:00
新作家たち2007パンフ.jpg

4名の平面アーティストがピックアッされています。
唯一既知だった豊泉綾乃さん。淡い印象を受ける細かい黒い線で描かれた、1版刷りのドライポイントによるモノクロームの風景。霞みがかかったような遠いイメージは相変わらずの奥深さで、そのなかに光を感じさせる部分があって、見入ってしまいます。昨年のVOCA展やギャラリーなつかでのグループ展で拝見したような、複数の版で刷られた画面を組み合わせて提示される大作もぜひ今年も観られたら、と期待してます。
他の3名の方ははじめて拝見したのですが、飛行機や傘のシルエットが独特の色彩感で左舷去れていてユニークな松木太郎さん、どこかかわいらしさを感じるパステル調の色彩が面白い上條暁隆さん、文字がコラージュされ、柔らか混沌が美しい尾田美樹さんと、それぞれ興味深く拝見できました。

ART@AGNES 2007
アグネスホテルアンドアパートメンツ東京
東京都新宿区神楽坂2-20-1
1/13(土)11:00~19:00
1/14(日)11:00~18:00
入場料:\500
ART@AGNES DM.jpg


ART@AGNESに行ってきました。

まず、なにより楽しい!
あれだけのギャラリーがひとつの場所に集まって、しかも各ゲストルームでそれぞれが持つクリエイションが展開されていて、既知のアーティストの面白さの再確認と、未知のアーティストの発見とに溢れています。

そして、それぞれのギャラリーがほぼ同じような内装のゲストルームをどうレイアウト、コーディネートしているかを較べながら、その違いを堪能できるのもまた嬉しい限りで。


1階のロビーからすでに数点の作品が展示されていて、そこを通るだけで期待感が沸き上がってきます。
受付を済ませて、さっそく展示会場へ。
よく伺うギャラリーやお目にかかることが多いアートマネジメントも出展していることがあって、それぞれが楽しみで。


以下、印象に残ったものを。

Yuka Sasahara Gallery
雨宮庸介さんが昨年同ギャラリーでの個展で出展されたインスタレーションの光景を撮った作品。大きなパネルに額装され、床置きで展示されていたのですが、楕円の鏡に映り込む景色を中央に据えたような闇と画面表面に装着された微妙な歪みを伴った広面アクリル板とがゲストルームの中の光景を映し、なんだかそこが虚の世界への入口のような妖しい雰囲気を醸し出していました。

青山|目黒
ベッドの上に撒くように配された佐藤純也さんのペインティング。ホテルのベッドの上の白い布と、佐藤さんのキッチュな色彩感とのギャップが痛快で。

レントゲンヴェルケ
大好きなアーティストがたくさんクレジットされているレントゲン、そのクリエイションがひとつの部屋に集められただけで相当にテンションが上がります!
入口すぐの壁に、カンノサカンさんのドローイングが。カラフルな色彩の線が紙の上を舞っています。
バスルームの鏡に並んで展示された内海聖史さんのちいさな作品、鏡の上に浮かぶようになっていて、また違う面白さが。ドットの数も極端に少ないものがあって目を惹かれます。その向かいの壁には、山本修路さんのドローイングが。アーバンな空間にあって、いい味を出しています。
室内でいちばん興味深かったのが、天井から吊るされた金属の平面作品。アーティスト名は失念してしまったのですが、今年レントゲンが紹介する新人とのこと。楽しみです!

東京画廊
こちらも好きなアーティストがたくさんフィーチャ-されています。
ベッドの上に並んだ大巻伸嗣さんの作品、竹中工務店本社に収められられているものと同じで、透明アクリルでラミネートされた円に混沌とした色彩が詰めこまれいます。手に取って光にかざすとアクリル部分に浮かび上がる文字。いかにも大巻さんらしい、エンターテイメント性に溢れています。
西澤千晴さんの作品を久し振りに。版画の作品があって、例によって同じ姿の登場人物がある種ブラックなユーモアを感じるストーリーをダイナミックに展開していて楽しいです。
天井近くに並んだ東亭順さんの青い空の清々しさ。その向かいの人形が組み合わさったようなドローイングの面白い雰囲気(アーティスト名失念...)も観ていて楽しいです。

yukari-art,Inc
ギャラリーエスでの二人展でフィーチャーされた大畑伸太郎さんと田代裕基さんが白眉!
大畑さんの作品は、ぞの二人展で出展された作品とほぼ同じもの。しかし、ホテルのゲストルームの間接照明に照らし出されてさらにその紫の光景の味わいが深みを増して感じられます。そして、女の子が前回と変わっていました。襟元のファーに引き付けられます。
田代さんの木彫はベッドの上で戯れています。ふかふかのベッドの上に乗ってその重みで少し沈んだ感じも何とも微笑ましいです。
入口すぐにあったアヤコタナカさんのフラワーアートもこの空間で実に映えています。

SHUGOARTS
ほとんどのゲストルームで取扱い作家のショーケース的な展開を行っているなか、SHUGOARTSでは森村泰昌氏と表具師の村山秀紀氏とののコラボレーション「時を駆ける美、あるいは野の美」のみをフィーチャー、実にシンプルな空間が新鮮です。
これまで拝見してきた森村氏の作風、特に先日まで開催されていた個展でのあのシュールさから単純に考えると、今回の展示には驚くほどのギャップを感じます。
和紙のうえで展開される和の美。そこから醸し出される深い味わい。ここだけでじっくりと、贅沢に時間を過ごしてみたい気がします。そうしたら、そのなかに忍ばされたシュールさを感じ取れたのかも...。

ギャラリー小柳
こちらもひとりのアーティストをフィーチャー。しかも、内藤礼さん。
・・・深いです。
淡いピンク色の薄いリボンが部屋のなかに流され、ひとすじの光が優雅に、かつ繊細に通っているかのよう。
バスルームの洗面台のなか、蛇口から水が注ぎ込まれるガラスの器のなかにもピンクのリボンが入っていて、絶えまなく続く水流にやわらかに身を任せ、揺らめかせている様は、実感できるリアルさを放ちながら、同時に孤独感と神々しさも伝わってくるよう。
そして、鏡面の中央の、小さな鏡。この空間のちいさなアクセントを見つけた瞬間の高揚感。

ほかにも、SCAI THE BATHHOUSEの蓮實真理子さんの豪勢な金縁の額に収められたシンプルな線画は走るフレスコ画、山本現代での冨谷悦子さんのその緻密さには執念さえ感じてしまうほどの銅版画、Yumiko Chiba Associatesのバスルームにあった田内万里夫さんの「マリオ曼陀羅」と称された細緻な作品群、棚田康司さんの立像が部屋の隅とシャワールームに配され、さらにベッドに半身を現していたミヅマアートギャラリーのゲストルームなどなど、あげればキリがないほどに見どころ、見応えがあって大満足で。

今回の企画で購入の予定はなかったのですが、好きなアーティストのクリエイションが比較的手ごろな価格で手に入りそうなことが分かったのも嬉しいです(といっても欲しいからといってポンポンと買える余裕などどこを見渡してもないので、長いスパンで考えて、ということにはなるのですが。「今年は誰々の作品を、来年は誰々~」といった感じで)。

おっと。

もちろん書かないわけにはいかないゲストルームが。

今回出展しているなかで唯一のアーティストユニット、BOICE PLANNING
リーダー的な存在の丸橋伴晃さんに昨年末の時点で伺ったときは「まだ何をやるか決めてないんです...(笑)」って感じで、期待半分心配半分みたいな感じだったのですが...

ゲストルームの前に立つ丸橋さんと山下美幸さん、さらに中から現れた佐藤純也さんに新年のご挨拶を済ませ、このフロアでチェックしてないゲストルームを回ってからあらためてボイスのゲストルームに入ろうとすると、

「あ、今準備中になっちゃったんですよ~」

と丸橋さん。
「・・・一体何の準備よ?」と思いつつ、それならばと階上のゲストルームを一通り回ってからまた来ます、と一時後にし、再びボイスのゲストルーム前。

準備は終わったようで、丸橋さんのノックの後、中へ。。。

・・・照明が消えてる?
部屋の中には、白いガウンの塊が。

・・・あ、ひとり動いた。


!!!!!!!!!!Σ( ̄口 ̄;)


後ずさりする僕。

・・・やられてしまいましたよほんと。
あの秩序を乱したい(笑)。

堀清英写真展「自らに宛てた、99の手紙」
B GALLERY
東京都新宿区新宿3-32-6 BEAMS JAPAN 6F
1/11(木)~2/20(火)
11:00~20:00
堀清英DM.jpg

今年最初のB Galleryは、写真の展示。
・・・もとい、インスタレーションです。

ギャラリースペースの床には、並べて配置されたポートレート。
床置きになった写真の数々が視界を覆い、一気にその雰囲気に呑まれていくような。

堀清英01

タイトルにもあるように、99の写真が床置きで展示されています。
これらはいちおう踏まれることも前提に展示されているようなのですが、やはり意識的に、何も映り込んでいないように見える真っ黒の画面を選んで移動してしまいます。

この床置きになった写真の多くに女性が登場しています。ヌードや幻想的なワンピースを纏って、遺跡らしい場所で何やら興じていたり、草原に横たわっていたり...演出的な出で立ちで。
人の姿は情報として強いのでどうしてもまずそちらに視線が向かってしまうのですが、特にヌードの写真が異様に無機的に撮られているような感じでエロティックさをほとんど感じないんです。物語性さえも排除されたように思えるほどにかなり物質的。
一方、服を着た女性たちが登場する写真は、幻想的なイメージが広がります。

自分で観ていて面白かったのが、99点の写真の中から同じような場所・時間で撮影されたものが見つかったときに「別のはどこかにあっよな...」と再び探してしまうんです。
なんとなく神経衰弱をやっているときの気分に似ていて...といっても気持ちを追い込んではいないので、ほんの少し前の過去の記憶をここで辿っている感じです。

女性が登場している写真に紛れて配されている風景。
これがホントにいい。。。
そのなかには人が登場しているものもありますが、幻想的な雰囲気は消えて、その景色の美しさやそこに織り込まれるアイテムが醸し出る「味」のようなものが滲み出て、また違った刺激を受けます。


・・・そして1点だけ、カラーの写真が添えられるように織り込まれていて、これを見つけたときになんとなくほっとするというか、あったかい気持ちが沸き上がってくるんです。


そして、この空間のほぼ真ん中に、テーブルの上に散らばったポストカードが。
これらには堀さんがご自身宛に送った写真が添付されています。その写真というのが、床に並ぶのと同じもの。
これらは手にとって観ることができるのですが、床面に並んでいっぺんに視界を占領されるときの圧倒されるような感じとは違い、ひとつひとつの写真が持つ力・・・ポストカードサイズであるにもかかわらず・・・に意識が吸い込まれるような印象を受けます。

できることならすべてを1枚1枚じっくり観て、それらが放つ雰囲気を感じてみたいです。


堀清英04


床のポートレートが浮かぶ湖面を渡って辿り着く壁には、ちいさなカラーの写真がちいさな額に収められて展示されています。
床とはまったく違う、鮮やかなセピア調の彩りが、色調的にはやわらかな印象を与える作品です。
しかしその雰囲気とは裏腹に、どこかアバンギャルドなインパクトをその構図に内包させているように感じられたり、作品によっては床のヌードよりも生々しいイメージを喚起するものもあって、油断は禁物。


時間をかけてじっくりと味わいたい展示です。会期が長いのもありがたいです。

WORM HOLE episode 5 Takuma ISHIKAWA + Kohei TAKAHASHI
magical. ARTROOM
東京都港区六本木6-8-14
1/9(火)~2/17(土)日月祝休
11:00~19:00
WORM HOLE 高橋耕平.jpg WORM HOLE 石川卓磨.jpg

写真と映像のアーティストがピックアップされた2人展です。

magical. ARTROOMは展示の度に内装を大胆に変えるギャラリーで、毎度そのフレキシビリティには驚かされるのですが、今回は手前と奥とのふたつにスペースが区切られ、手前の部分の壁が真っ黒に塗られていてこれまでと比べてもかなりのインパクト。
このスペースでは、石川卓磨さんの写真の展示が行われています。

石川卓磨01

まるで、無声映画を観ているような。。。

黒い壁に黒い額。画面の中に収められるものに演出的な意図を感じたり、演じるような人々の表情や仕草、佇まいなど、フィクションの一場面を切り取ったかのような...むしろ、フィクションだからこその生々しさを伴った光景が写真に収められて、それらがこのスペースを一周するように壁沿いに連なって展示されています。

1点1点がそれだけでも充分にひとつの物語を語ってくるかのよう。
そういった写真が並ぶと、隣り合う物語同士が関係しあい、漠然とはしているけれども、なんだかひとつの物語のように感じられて不思議です。

石川卓磨04 石川卓磨03

ここで提示された曖昧な物語。
観る人がその曖昧さに具体的なイメージが加えて絵と絵とを繋げていって、観る人の数だけ違う種類の物語が生まれるような。
その数が膨大になっても、黒い空間はそれを受け止めてくれるような気がします。

できることならひとりでこの空間に浸って、じっくりと時間をかけて自分なりの物語を紡いでみたいです。

石川卓磨02


この黒いアダルトな空間を抜けると...

・・・同時に拍子も抜けるというか...

高橋耕平01

3つ並んだモニターには大学の教室らしい風景が映っています。
映っていますが...

(・。・)<静止画?

・・・いや、動画らしい。
動画らしいので、暫しぼーっと観覧。

細かいなおい!!!Σ( ̄口 ̄;)


そして...


今度はそっちかよ!!!Σ( ̄口 ̄;)

・・・たしかに動画でした(笑)
どこが動くかを探るように見入るのは、かな~り面白いです( ´∀`)

高橋耕平02


この他、入口のウィンドウ部分に1点、こちらは石川さんの空間と呼応するかのような雰囲気。
さらに、コンプレックスの階段を昇りきったところにも1点。強烈なサブリミナル提示の作品が上映されています。それぞれ、じっくりと観てしまう「引力」を持った世界です。


ふたつのユニークな個性に気分が乱高下させられてしまいます。
そうなってしまうことを痛快に感じる、かなり面白い展示です!

SAORI'An open atelier 2006-2007 [ ぐ つ ぐ つ。]
GALLERY 空
東京都渋谷区猿楽町27-4
12/2(土)~
11:30~20:30(土日祝:11:00~20:30)

昨年の12月から今月いっぱいにかけて開催されている神田サオリさんのオープンアトリエ。
前回のレビュー以来、年を跨いで3回ほど伺って、その度に描かれる世界が変化しているのが面白い!

それにしても、前回のレビューを改めて見直してみて、ホントにいろんなものが現れてきたなぁ...。
真っ白の空間が少しずつ彩られていった頃は、畑に花が咲き始めるような初々しさが気持ちよかったのですが、あれから1ヶ月と少し経って、花畑がいつの間にか森になってる、そんな感じです。

空間が育つのをこうやって目の当たりのできることの嬉しさを堪能している次第です。

まず、12月16日、土曜日。
この日は音楽の生演奏も加わってのライブペインティングも行われたのですが、それまでには間に合わず...。

神田サオリ 空 12/16 01 神田サオリ 空 12/16 02 神田サオリ 空 12/16 03


続いて23日、土曜日。この日が2006年に伺う最後の日となりました。
もう少しギリギリまで、見に行ってみたかったのですが、残念ながら都合が付かず...。

神田サオリ 空 12/23 01 神田サオリ 空 12/23 02 神田サオリ 空 12/23 03

神田サオリ 空 12/23 04 神田サオリ 空 12/23 05


そして、年が明けて最初の訪問が1月7日、日曜日、連休の真ん中。
前回観てから2週間ほど経っていたせいか、アトリエの雰囲気もさらにいろんなものが現れてきていて、この時点で壮観です。
さまざまな花が壁に、そして床に独特の花弁をつけて咲き乱れ、至る所に踊る人が。

神田サオリ 空 1/7 03 神田サオリ 空 1/7 04 神田サオリ 空 1/7 05

モノクロームとカラフル、このふたつの世界が重ねられています。

神田サオリ 空 1/7 06 神田サオリ 空 1/7 07


壁には、絵の具を塗りながら自然に出来色彩の広がりや模様がどんどんと。

神田サオリ 空 1/7 02

そして、床にも黒の花弁が広がって妖しい雰囲気を醸し出しています。

神田サオリ 空 1/7 01


これからあと20日ほど、更にどういう変化が起きるか、楽しみです!

小川信治「French Milk Crown, 2001」
ヴァイスフェルト
東京都港区六本木6-8-14 コンプレックス北館3F
1/9(火)~1/27(土)日月休
11:00~19:00


レントゲンヴァイスフェルトの2007年は、静かに始まりました。
オープニングパーティーを行わない今回の小川信治さんの個展、初日に、しかも贅沢なことにひとりで拝見することができたのですが、その僕の心の動きを表すとしたら...

《ギャラリーに入った瞬間》
!!!Σ( ̄口 ̄;)



《数分後》
???…(・。・)



《さらに数分後》
!!!!!!!Σ( ̄口 ̄;)



《ギャラリーをあとにする直前》
!!!(゜∀゜)

僕は小川さんの作品を以前に絵馬・代官山での個展とレントゲンヴェルゲでの「頭上注意」展(この企画、今思い返してもなんて素敵なラインナップだったんだろうと)で拝見していて、小川さんがどんな作品を制作されるかを知っていたおかげで「うわぁ...!」っていう高揚感に包まれたのですが、もし小川さんをご存じない方がこの展示を観てその面白さに気付かれたなら、その方の感性がうらやましいです。

以下、展示の具体的な感想なのですが、この展示に行かれるご予定のある方は、まずは実際にご覧になってからお読みいただければ、と思います。。。


**********

若手作家による銅版画展 -日常とその向こう-
ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション
東京都中央区日本橋蛎殻町1-35-7
12/5(火)~2/25(日)月休(1/8、2/12開館、12/25~1/6、1/9、2/13休)
11:00~18:00(土日祝:10:00~)
銅版画の地平2007.jpg


4名のアーティストがピックアップされた展覧会。
昨年から始まっていたのですが、僕が好きでこれまで続けてチェックしているアーティストが参加していることもあり、ぜひ時間をかけて拝見したいと思っていたところ、まだ多くのギャラリーが冬休みで開いていないこの日曜日に満を持して(大げさですが)行ってきました。
ヤマサコレクションへ伺うのも久し振りです。

1階は、主に浜口陽三氏の作品が展示されていて、常設展示の様相を呈しています。あの透明感のある黒を目の前にすると、すっと心が沈み、落ち着くような感触が静かに沸き起こります。
そして、ほぼ中央に螺旋階段があって、そこから下っていく地下のスペースが今回の展示のメインスペースとなっています。


螺旋階段を降りた正面に展示されているのが、入江明日香さんの作品。
入江さんの作品を目にすると、なんともいえない幸福感に包まれるような気がします。

1メートル四方のスクエアの作品4点、大きな画面の作品、そして小品と、今回もさまざまな大きさ、厚みの作品が独創的な配置で展示されています。
紙に銅版で刷られた淡い色面が真っ白の画面の上に重ねられ、コラージュされるというユニークな過程、手法を経て生み出される不思議な世界。それぞれの色面のエッジは奇妙な曲線を描きつつも、全体として、たいへん爽やかな印象です。
今回の展示では入江さんらしい爽やかさ、軽やかさがいつになく感じられるのですが、それぞれの作品をしっかりと観て過去の記憶と比較してみると、入江さんの作品の大きな特徴と僕が思っていた「黒」がほとんど登場していないんです。これまでは明るい色彩に忍ばされるように黒が画面に収められ、まわりの色彩とのギャップやそれ自体の深み、美しさが印象的だった入江さんの黒。それが展示から一切姿を消すことで、これほどまで色彩の鮮やかさが前面に出るのか!と、新鮮な驚きが。

部分的に、遠くへ広がるスカイスクレイパーの群れや番傘が刷られた絵が作品の一部に現れています。その存在に気が付いたときの嬉しさも入江さんの作品を観る楽しみのひとつです。また、色面の重なり、つながりが何か具体的なものに見えてきたときの感嘆も。今回だと、犬の立ち姿や植物の葉の連なりなど。

各アーティストの原版が展示されているショーケースの中に、入江さんだけ1版多色刷りの銅版画作品が展示されています。パネルの作品との雰囲気の違いと、そのなかに感じる共通したコンセプトも興味深いです。


前川知美さんの作品は、オオタファインアーツでのグループ展で一度拝見したことがあって、今回しっかりと拝見するのは久々です(ICCで開催されている八谷和彦さんの展示で出展されているコレクションの中にもたしか前川さんの作品はあったと思います。そこで拝見しているので久々に、ではないのですが...)
アクリル・油彩のタブローと銅版画をが出展されていて、それぞれの画面には軍用機の機影が描かれています。

・・・改めて拝見しても、やっぱりかっこいいです!
まず目を惹くのが、大きな画面に爽やかな青が広がり、そこに飛行中の1機の戦闘機が描かれているタブロー。その光景は航空ショーさながら。
本来高速で移動しているはずの機体がこうやって制止した状態で画面に描かれているのですが、それであってもその機体が放つ耳につんざく轟音が聞こえてくるかのような、壮大な臨場感が伝わってきます。
もう1点のタブローは、グレーの空に描かれる、両翼を大きく開いて飛行している巨大な機体。空の色彩からまた違ったリアリティが伝わってきます。
銅版画は、モノクロームで描かれていることによって、タブローとは異なる効果がそれぞれの作品で生み出されているように感じます。
遠い機影が描かれた作品は、黒い背景が、まるで熱を帯びた夏の夜空にように感じられます。
そして、飛行中の軍用ヘリを描いた作品の動的な臨場感、かっこよさといったら...!

前川さんの作品を拝見して、昔よくプラモデルを作った頃の記憶、好奇心が蘇ってきました。こういったものに対する憧憬は今でも持ち合わせているのだな、ということに気付かさた次第です。

77ギャラリーやアートギャラリー環での展示で拝見して、その朴訥さが心に残る重野克明さんの銅版画。
今回ピックアップされたアーティストのなかでも、もっともオーソドックスな銅版画を展開されていると思うのですが、それでも...むしろだからこそ、その独特の個性は際立って伝わってきます。

重野さんの銅版画を眺めていると、いろんな懐かしい記憶の断片が溢れてきます。
一度拝見したことがあるにも関わらず、思わず笑みがこぼれてしまったのが「発汗リレー」という銅版画集に収められた「西本」とだけ題された作品。江川との2枚看板だった巨人の西本の投げる姿、左足を高々と振り上げる独特の投球フォームが、たったあれだけの絵を見せられただけでしっかりと脳裏の蘇ってきます。
不二屋のミルキーのキャラクターや福助を思い起こさせるなんとも味わい深いかわいらしさの人物の表情も印象的です。
そして、そういったシンプルな絵の中にさまざまなテクニックが用いられていることに気付かされます。細かな線の重なりなど、画面の中にいろんな表情が収められています。
なかでも、折れてしまいそうな極細の線、ある箇所では版の傷と見紛ってしまいそうなほどにうっすらと引かれる線に思わず目がいってしまうんです。その線から何かを見い出そうとする無意識の行為は、奥底で褪せてしまっていた記憶をだんだんと蘇えらせる過程と通ずるようでもあり、不思議と深く印象に残るんです。


杉戸洋さんの作品は、そのイージーな世界に引き寄せられます。
細い線のみで制作された銅版画、カラフルなモノタイプの作品群、そして油彩の作品。
カーテンが脇に寄せられたステージのような光景であったり、テーブルのようであったり...なんとなく、自然光が入ってくる明るい場所で改めて拝見してみたいような気がしました。
しかし、その上で気になったのがスポットの当て方。敢えて画面を外し、その下を照らすようにスポットが設定されていて、そこからの光りの広がりが画面に当たるようになっていたのが印象に残りました。


ひとつの空間に収められた4つの個性、それぞれの銅版画への取り組み方、手法の差を感じるのも楽しい展示です。
1階に、それぞれのアーティストの作品が1点ずつ展示された一角があるのですが、そこで4つの個性をひとつの視界に収めることで、その違いをより実感することが出来ます(そして、この4点がまたそれぞれのアーティストの個性全体を表すものではなく、その一部を表すような作品が集められているように思えたのも興味深かったです)。

1/27(土)の14:00からこの4人のアーティストが一堂に会してのトークセッションが開催されるので、それにもぜひ伺いたいと思っています。

竹ノ輪top_logo.gif

封筒の中のギャラリーでもご協力いただいているTAKEさんがオーナーを務める「竹ノ輪」にて、封筒の中のギャラリーvol.1の寺内誠さんのインタビューが掲載されています。
また、SHOPでも取り扱っていただいています
ぜひご利用くださいまし!

また、「封筒の中のギャラリーvol.3」も着々と準備中です。お楽しみに!

art-life+ vol.8 手塚愛子展 「薄い膜、地下の森」
スパイラルガーデン
東京都港区南青山5-6-23
1/5(金)~1/18(木)
11:00~20:00
手塚愛子DM.jpg

抽出。

美を構成するものを、美から抽出する行為。
そして、抽出されたそのものの、美。

手塚愛子さんの作品はこれまでにもVOCA展やINAXギャラリーでの展示で拝見していて、ぜひあらためてしっかり拝見、体感したいと常々思っていたアーティストのこの展覧会。
各作品のキャプションに掲載されている制作年を見ると回顧展的な意味合いもありそうな今回の展示をあらためて拝見して、僕なりに手塚さんが伝えようとしている美しさを掴めたような気がします。

今回の展示はバリエーションに富んでいます。
冒頭に「抽出」と書いたのは、手塚さんの「名刺代わり」とも表せそうな、織り物を解体した作品や刺繍の本来表に出てこない部分を出した作品がもちろん展示の大部分を占めているから。

刺繍の表部分と裏の刺繍糸が見せる線の走りとをひとつの画面(白い布面)に出している作品には美を構成することへの生々しさを感じます。
また、細かい織り物から細い縦糸を抜き出した作品には、その縦糸そのもが持つ色のピュアな美しさ、そして織り物を構成している素材のリアリティに深みを感じ、なおかつその行為を思ったときに浮かぶ尋常でない時間の経過に圧倒されます。

加えて、嬉しい驚きだったのが、大きな油彩の作品が展示されていること。
遠目ではひとつの色にしか見えない画面、接近すると細かなレース模様が広がっています。
その微妙なコントラストに収められた美。大変興味深いです。

手塚愛子03


小品も多く出展されています。
刺繍や解体された織り物の作品はもちろん、イメージを作り上げる過程を表したようなエスキース、スケッチも数多く展示されているのも面白いです。

手塚愛子04 手塚愛子05


この展示のメインと言ってもいい作品は、奥の広いスペースに設置されたインスタレーション的な刺繍の作品。
スパイラルの入口からいちばん遠くに浮かぶ濃い赤。まずその大きさと色彩の存在感に圧倒されます。
大きな円形の枠に張られた布から吊り下がる無数の赤い毛糸は、その毛糸の質感からか、眺めているだけで暖かい印象を受けます。
この作品、中に入っていくこともできるんです。すごく不思議な感じです。昨年の大巻伸嗣さんの個展で発表されたあのインスタレーションに似て非なる感覚。

そして、この巨大な毛糸の「塊」も、僕なりに考える手塚さんならではのコンセプトが込められている、「抽出」のアプローチが含められているようにも感じます。
この作品を体感する、そしていろんな位置から「観る」。そうすれば、いろんな驚きとイマジネーションが溢れてきます。

手塚愛子02

手塚愛子01


「布」「糸」という素材がふんだんに用いられた、寒い季節に贈られる嬉しいプレゼントのような展覧会です。

・羅針盤セレクション 日本画選抜展 HOPE
アートスペース羅針盤
東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル2F
1/7(日)~1/13(土)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
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日本画家の小品が一堂に集まるグループ展。
初日1/7(日)には、東園基昭さんの仕舞いも披露されるとのことです。
《参加アーティスト》
浅野秀和 麻生志保 笠原芳幸 川田綾子 木村浩之 佐久間香子
佐野紀満 清水智和 神保千絵 坪田純哉 東園基昭 古田ゆかり
松岡歩 松崎有希子 安田洋 山口健児 山本佳永 吉岡順一


・松明堂ギャラリー20周年記念「新作家たち selection展 vol.1」-尾田美樹・上條暁隆・豊泉綾乃・松木太郎-
松明堂ギャラリー
東京都小平市たかの台44-9 松明堂書店地下
1/7(日)~1/21(日)
11:00~19:00

遠く霞む風景を思わせる雰囲気が印象に残る銅版画の豊泉綾乃さんが参加されます。


・花鳥風月 ~コンテンポラリーアート~
SAN-AI GALLERY
東京都中央区日本橋蛎殻町1-26-8 三愛水天宮ビル1F

1/9(火)~1/18(木)
11:30~19:00(日:~18:00)
花鳥風月 DM.jpg

鮮烈な色彩の抽象画の工藤雅敏さん、銅版の大西明子が参加されます。
《参加アーティスト》
工藤雅敏 長谷川恵理 宮野雅美 大西明子


・小川信治「French Milk Crown, 2001」
ヴァイスフェルト
東京都港区六本木6-8-14 コンプレックス北館3F
1/9(火)~1/27(土)日月休
11:00~19:00

鮮烈な描写力で有名絵画のある部分を消去してしまったり、描き加えられたり。
大きな驚きを伴うユーモアが強く印象に残る、小川信治さんの個展です。


・未来を担う美術家たち「DOMANI・明日」展2007 ―文化庁芸術家在外研修の成果―
損保ジャパン東郷青児美術館
東京都新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン本社ビル42階
1/11(木)~2/18(日)月休・2/12開館
10:00~18:00
入場料:一般\500 大学・高校生\300 小中学生:無料
DOMANI2007.jpg

《参加アーティスト》
平木美鶴 片山 雅史 木村繁之 斉藤典彦 木下恵介 宮いつき 押江千衣子
平体文枝 水本剛廣 東島毅 菅野まり子 丸山直文 吉川龍 小野友三
栗田政裕 菅沼稔 石黒賢一郎 諏訪敦 西房浩二 井上秀樹 井上護
高橋洋 滝純一 佐藤幸代 赤羽カオル  加藤学 浅野均  加藤正二郎
今永清玄 小林孝亘


ART@AGNES
アグネスホテルアンドアパートメンツ東京
東京都新宿区神楽坂2-20-1
1/13(土)11:00~19:00
1/14(日)11:00~18:00
入場料:\500
ART@AGNES DM.jpg

日本のコンテンポラリーアートを牽引するギャラリーやマネジメントが参加するアートフェア。


・東悠紀恵展
ぎゃらりぃ朋
東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル2F
1/13(土)~1/20(土)
11:00~19:00
東 悠紀枝DM.jpg

ちょっと渋めのメルヘンが詰まった絵画と立体作品を制作される、東悠紀恵さんの個展です。

トップページの最下部に《artist's archive》を作ってみました。
ちょっと見にくいですが...。
ぐぐーっとスクロールしてご覧くださいまし。


・・・・・あ。

明けましておめでとうございます(今更)。

ビル・ヴィオラ:はつゆめ
森美術館
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー(53F)
10/14(月)~1/8(日)火、1/1~1/5休
10:00~22:00(火:10:00~17:00)
入場料:一般\1500、学生\1000、子供\500
ビル・ヴィオラ.jpg

2007年の最初のアート巡りも、昨年に続いて森美術館から。
思い返すと、年の始めには必ず森美術館に足を運んでいます。

ビル・ヴィオラは今回の展覧会を拝見する以前に一度、東京国立近代美術館のギャラリー4での「沈黙の声」と題された企画で体験していました。
「追憶の五重奏」という作品が閉息感のある展示室で上映されていて、15分ほどの作品だったと思いますが、告白すると居眠りしてしまって気付いたら画面のなかの人々の表情や佇まいが変わってしまっていたことを覚えています(途中、僕が目を覚ましたあとに係員の女性が中に様子を見に来られましたが、今思えばもしかしたら2周していたのかもしれないです)。
ただ、そういう状態で体験したにもかかわらず、異常に美しい映像は、目に焼き付いています。


そういう体験を経ているおかげで拝見する前からそれなりの「覚悟」を持って臨んだ今回の展覧会。

一言でいえば、やはり、素晴らしかったです。
「やはり」というのは、今回も「さすが森美術館」と唸らずにはいられないほど、それぞれの作品が各展示室でもっとも映えるように展示、上映されていると感じたからで。

森美術館といえば、東京の美術館の中でおそらく、内容にかかわらずどの企画にもステディに、もっとも大勢の来場者が見込める美術館だと思うのですが、それにもかかわらず最初の展示室から「敢えて」完全に暗室という思い切った設定が多いことに脱帽。。。
それに加え、例えば最初の展示室ではおそらく高さが3、4メートルはあると思われる縦長の大画面と大音量によって尋常でない臨場感が演出されていて、いきなりビル・ヴィオラの時間をかけて切迫してくるような深遠さを体全体で浴びるように感じてしまった次第。

しかし、それぞれの作品に丁寧な注釈がなされているものの、それぞれの作品と対峙してそれらに込められたコンセプトやメッセージをまず観て体感して得るチャンスがちゃんと用意されているのが本当に嬉しく感じます。
一見して「何だろう、わからない...」と思ってはじめて注釈を読む。そこでその作品を感じる、あるいは理解するためのヒントを得て再びその作品を観て、そこでようやく自分にとって確信が持てるイメージを掴むことができたときの満足感、達成感がたまらなく嬉しいんです。今回の展示では、ブラウン管が天地で接近して向きかい合わせで設置され、それぞれ新生児と死際の老人とが映っている作品がそうで、最初はよく分からなかったのですが、キャプションを観てそれぞれのブラウン管にに映し出される映像がお互いのブラウン管に映り込んでいるのが分かったときになるほど、と思い、さらにその奥に、映り込んでいる映像までも映し込んでいるのが分かったときにこの作品の奥深さを自分なりに掴めたような確信がありました。
そして逆に、そうやって自ら作品と対峙し、能動的にイメージを得たあとに注釈を読んで共感する部分があったときの快さも一興です。

過剰なまでにスローモーションで展開されるビル・ヴィオラの映像に触れ、普段とはまったく違う、神々しささえ感じるほどに美しい時間の過ぎ方を感じながら、「もしかしたらダンサーや俳優は、この映像微に嫉妬するのかも」なんて思ったり。あのうねりはやはり映像ならではのものだと思いますし、それを再現できそうでできないことへの虚無感を持つかも、と、内心で余計なおせっかいを思い浮かべたりしてました。


印象に残ったのは、まず、薄いスクリーンが何層も重ねて設置され、その前後からそれぞれ男と女が登場する映像が映し出される作品。プロジェクターの真下で観ていたのですが、掴みきれない浮遊したストーリー眺めていると、レイヤー状に重なるスクリーンに映し出される映像が刹那的に信じられないほどの奥行きと美しさを現し、その瞬間の度に背筋に電気が走る錯覚を覚えるほどの感動を得て、気付いたら何十分もそこに立ちっぱなしでした。反対側のプロジェクターが放つ光がこちら側のスクリーンにも届き、まるで遠くの一点の光へと連なり、そこへと吸い込まれるような神々しい美しさは、ちゃんとは言葉にできないほど。。。

並ぶふたつのスクリーン、それぞれの画面の中で男と女が悶絶する映像が流れる作品は、ひとりで思い悩むことがあっても、そういう思いに駆られているのは自分ひとりではないんだ、とちょっと勇気を分けてもらえたような気分に。

最後の展示室は圧巻でした。
広い展示室に5つの映像が同時に上映されていて、それぞれクライマックスがあるのですが、そこへ至るまでの時間、だんだんと画面に変化が起こっていく様子を眺めているだけでまさに呑み込まれるような感じで。そして、クライマックスが訪れた瞬間の衝撃が凄まじい...。


およそ2時間くらい鑑賞しました。
残念ながらすべての作品を堪能するほどの根性も体力もなく、前を通り過ぎるだけの作品もありましたが、それでも充分に深遠なイマジネーションを得てきた満足感が心の中に満ちています。

frankenji.個展『ここからはじまり。』
store & gallery S.c.o.t.t
東京都中央区銀座7-7-1 幸伸ビルB-1
8/8(火)~8/13(日)
11:00~20:00(最終日:~19:00)
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細やかな線とふわりと軽やかでやわらかな水彩で描かれた、ライトタッチの和めるイラストです。
DMを拝見して面白そうだなぁ、と直感して、楽しみにしていたのですが、期待に違わぬ素敵な絵が、ゆったりと並んでいます。

まず、ちいさな額に収められたちいさな画面。そこに、ちょっとやんちゃそうで素朴な表情のこどもが登場します。
ちょっと大人っぽく威張ってみたような仕草や、ひとり遊びに興ずる素直そうな素振り。観ていて、こどもを見る目線になるような感じで、優しい気分になってしまいます。

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向かいには、遊び心に溢れた作品が並んでいます。
傘やコンセントが、まるで公園の遊具か遊園地のアトラクションみたいになって、そこで子供達が楽しそうに遊んでいる様子が印象的。ほっこりとした気持ちに。

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一角に集まる、セピア色をした背景の作品。その色合いが、なんとなく懐かしい気分を思い起こさせてくれます。
これは、frankenji.さんご自身やお知り合いの方々の想い出をモチーフに描いたものだそうで、その雰囲気を出すためにこのような風合いを取り入れているとのこと。
登場するこどもの表情の素朴さも、ちょっと違った感触で伝わってきます。

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いたずらっぽく走り、重なる線が描き出す、身近で懐かしさを感じる世界。
一目観て、「あ、いいなぁ...」と感じてしまいます。

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小池一馬 展「桃源郷」
'clementsalon*workshop.
東京都港区南青山4-26-16 ミルーム南青山B1F
12/1(金)~12/28(木)火休
11:30~20:00(日祝:~10:30~18:00)
小池一馬DM.jpg


小池一馬04

青山の裏通りの美容院の奥にあるスペースで開催されていたこの展覧会。
清澄のビルでDMを見つけて気になって、最終日に滑り込みで観に行くことができました。

ある意味、エキセントリックな水彩画。
水墨画的なジャパネスクと、僕らが感じる異国情緒に近い印象とがやわらかく画面の中に収められ、なんとも不思議な風合いを醸し出しています。

小池一馬01 小池一馬02 小池一馬03

小池一馬05


ほぼすべての作品に登場する淡いピンク色の珠の連なり。
小池さんによると、数珠暖簾がイメージの基になっているそうで、これが展示タイトルにもなっている「桃源郷」の入口を表しているとのこと。
また、日本の水墨画などによく加えられる文字、文章が言葉ではなくこういったかたちで縦の動線と共に画面に添えられている、というイメージもあるようです。

水彩画らしいふわりと滲んだ感触が、やわらかさやと共に不思議と硬質な印象を受けます。
しかし、作品によっては驚くほど細やかな描き込みがなされていて、思わず目を見張ります。

小池一馬07

小池一馬08

水彩の作品と共に、壁に設置された立体作品も2点、展示されていました。
ベースは木だそうで、そのまわりに撹拌した和紙でコーティングしたというもの。
水彩の作品とのコントラストは刹那的には強烈ですが、思いのほか違和感がなかったです。
淡い色に彩られた和紙の風合いが、キッチュなかたちと相まってホントに不思議な和み感覚を提供してくれます。

小池一馬09

小池一馬10

伺うと小池さんは立体作品も多く製作されているとのこと。
それもさまざまな素材を用いて、ファイルを拝見すると過去にはダイナミックなものも発表されていたようです。
水彩の作品を拝見して硬質に感じたのは、そういった根本のイメージが同じだからなのかな、とも思ったり。

小池一馬12

小池一馬11


次の展示の機会の時にはまたぜんぜん違う空間を作り上げたいとのこと。
この特異な静謐感をたたえた水彩画を拝見したあとにそのような展示を観たたどんな印象を受けるか、すごく楽しみです。

小池一馬06

ミヤケマイ展 在る晴れた日に・One Fine Day・
Bunkamura Gallery
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
12/27(水)~1/9(火)1/1休
10:00~19:30(12/31、1/2、1/3:~18:00)
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年の瀬、年の始めにうれしい展覧会!

ミヤケマイさんのコミカルな風合いのさまざまな作品が、Bunkamura Galleryのガラス張りの壁と気持ちのいい白から都会的なイメージをうける広い空間に、なんとも賑やかに溢れています。

ミヤケマイ Bunkamura02

主に、軸の作品がたくさん展示されています。
細長いものから幅の広い物までかたちもさまざまなら、描かれるモチーフも2007年の干支の「亥」とその親戚(笑)のブタはもちろん、干支にまつわるさまざまな動物から真ん丸の目の素朴さがかわいらしいこども、蝶やカエルなどなど、いろんなものがホントに楽しそうに絵の中で遊んでいます。

中には、自動車のビークルが雄のカブトムシに抱き着かれちゃってたり、バドミントンのラケットをかざしているトランプの絵札といったユーモラスなものや、球団シリーズと題してプロ野球チーム名の動物がミヤケさんならではのアレンジで楽しく描かれていたり(巨人が大男じゃないのも笑えました!)。
また、立ち雛(だと思うのですが)が描かれたものはいつになく渋い感じがしてそれが逆に新鮮だったり。

そして、けっこうなインパクトだったのが、一部の軸の作品には切り絵のように抜かれたものがあります。
空を飛ぶ渡り鳥の一群のシルエットや中華風の鳥居の紋様などが切り抜かれ、壁に映り込むシルエットが画面に面白い立体感を生み出しています。

軸に限らず、箱状の額に立体的に構成されたなんとも楽しい作品もあり、和める表情やからりと明るいしキサの軽やかさが気持ちいいです。


お賑やかな雰囲気は、軸や箱の作品だけでなく、一角にずらりと居並ぶ熊手からもふんだんに感じられます。
これがまた、とにかく楽しいんです。

ミヤケマイ Bunkamura04

熊手にぎっしりと詰め込まれたさまざまな縁起物のキャラクターなど。
ひとつひとつをじっくりと眺めているだけで、こちらも賑やかな気持ちになってきてしまいます。
ユーモアもいっしょに詰め込まれたこんなにポップでかわいい熊手、他にないです(笑)。


さまざまなグッズなどもいっしょに展示されています。
目立つのは、まず、樽。どんと居座る大きな酒樽にもミヤケさんの絵が入っています。販売もされているとっくりとその桐箱も必見です。
そして着物、こちらには絵柄がさりげなく縫い込まれれていたり。
ポストカードやぽち袋、一筆箋などにもかわいい動物たちが登場しています。
あと、会場に行けばいただけるんですけど(僕は遠慮してしまいましたが...笑)、地図と展示タイトルとマークがプリントされた風船がかわいすぎます(笑)。

ミヤケマイ Bunkamura01


この小忙しい時期にホントに嬉しい展示です。
幸せな新年を迎えられそうです。
Bunkamuraミュージアムで開催されているエッシャー展で混乱した頭をここで癒すのも一興かと(笑)。

ミヤケマイ Bunkamura03