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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報
2007年3月アーカイブ

佐々木里加展 ―BRAIN SPACE―
Gallery Q
東京都中央区銀座1-15-7 マック銀座ビル2F
3/12(月)~3/24(土)日休
11:30~19:00(最終日:~17:00)
佐々木里加3/12DM.jpg

今年のVOCA展で拝見した未知のアーティストの作品の中でもっとも印象に残ったひとつ。
横長のパネルにマウントされたおそらく出力の作品で、不思議な透明感のある白のグラデーションで構築され、尋常でない広がりを感じてしまうダイナミックな一面と、無意識に作品へと近付いて至近でじっと凝視してしまうほどに、細かな影と白とのコントラストによる混沌とが一体になって、ぐんぐんと意識が揺れるような圧倒的な風合いに驚嘆した次第。


その作品のアーティスト、佐々木里加さんの個展がGallery Qで開催されているのを人づてに知り、これ以上ないタイミングで拝見することができました。

コンパクトなスペースの四方の壁に1点ずつと、事務所のほうに小品が数点というシンプル構成。
メインスペースに展示されたのはVOCA展に出展されていた作品と同サイズのものが入く口から続く壁に1点と、縦長の作品が他の3つの壁にそれぞれ配され、ギャラリーの真ん中に佇むと、作品群が醸し出す強烈な引力に圧倒されるような気がします。


残念ながらご本人は不在で、直接お話を伺うことは叶わなかったのですが、佐々木さんの作品は「脳」がモチーフとなっているとのこと。
脳の模型を制作し、その画像をパソコンに取り込んで加工することで、このような特有のうねりを持った曲線がなめらかに、かつ複雑に交錯する作品が作り上げられるようです。
そういった過程を知ると、無機的な色彩感の中に強く有機的な要素を感じ、そこに意識がどんどんと呑み込まれていくような印象を佐々木さんの作品に持つ理由も理解できます。


縦長の作品は、脳がその画面にあわせるように、縦長に引き伸ばされています。
それがまるでその色の水に保存されているかのように、尋常でない透明感を放ちなががそこに存在しています。
この圧倒的な縦のダイナミズムに囲まれ、自分がミニマムな世界へと入り込んでしまったかのような状況が連想されます。


佐々木里加01


その3点に囲まれた状態で俯瞰する正面の横長の作品。
今もなお、ぐんぐんと左右へ広がり続けているかのような勢いを感じます。
作品の中のなめらかな曲線で描き出されるひとつひとつのパーツが隣り合い、重なり、ずっと画面の向こうへと続く奥行きを醸し出すと同時に、画面の表へと立体的に迫ってくるような臨場感も発散しています。
また、その曲線とグラデーションとが織り成すものは、あたかも澄んだ音で発せられる不協和音のように、それに触れた刹那に受ける素直な美への刺激とは裏腹に、危ない芳香も漂ってくるような。。。
この画面から感じる鮮烈なインパクトは忘れ難いです。


佐々木里加03

佐々木里加02

この佐々木さんの作品、さらに引き伸ばされて展開されたらどうなるんだろう、という興味も湧いてきます。
出力作品の強みとして、そういったことも不可能ではないところに期待も思わず抱いてしまいます。

ceramic works 神崎まり展
プラザ・ギャラリー
東京都調布市仙川町1-24-1
3/24(土)~4/22(日)水休
10:00~18:30
神崎まり3/24DM.jpg

やさしいかたち、やさしい色。


神崎まり04


UPLINK GALLERYでの個展を拝見して、そのときの壁沿いに一列に配置されたルージュのインスタレーションが、そのときは正直なところよく分からなかったものの、印象に残っている神崎まりさんの、プラザ・ギャラリーでの個展に行ってきました。

メインスペースには、土の質感が残る、ほぼ人の顔くらいの大きさの手びねりの陶芸作品が、壁に「置かれる」ように展示されています。そのかたちはなんともいえない優しい雰囲気が溢れています。
そのひとつひとつになんともいえない和みの味わいが伝わってきます。


神崎まり07 神崎まり06 神崎まり05

神崎まり08

動物の顔、お家といった、なんとなくそのかたちに具体的なイメージが浮かんでくるものもあれば、種や内蔵といった、生命感が込められたような有機的なもののように見えるものも。
やさしいベージュ色に、それぞれの作品の一部分に着色された金色が映え、そのコントラストもいい感じを醸し出しています。
また、その金色がスポットの光を受けて壁につくり出す光のグラデーションが、土の優しい質感とは違った独特の美しさを放ち、作品とのギャップも面白い見どころとなっています。


神崎まり03 神崎まり01

神崎まり02

サブスペースの棚には小品が置かれています。
それぞれ、蓋付きの入れ物となっていて、同じく土の質感が優しく残り、一部が金色に塗られているもの。
手に持ったときの土の質感も嬉しく、それに加えて蓋を開けてみたときに、蓋と下の部分とが擦れるときに聞こえるチリチリという音も耳に心地よく届きます。
動物のかたちをモチーフにした作品も、抽象的ながら有機的なイメージを持つ作品も、なんともいえないかわいらしさを醸し出しています。


神崎まり12 神崎まり11

神崎まり10 神崎まり09


僕が伺った時間がちょうど日が落ちた頃で、ガラス張りの空間のなかで優しい照明がふわりと広がってい感じられたのも印象的です。
自宅から近いこともあるので、何度かこの雰囲気に癒されに行きたいと思っています。


神崎まり13

大島梢展「青」
ギャラリーエス S zone
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
3/27(火)~4/1(日)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
大島梢3/27DM.jpg

至高の細密画。

大島梢@es 09


昨年、ミヅマアクションで開催された「眼差しと好奇心vol.1」ではじめて拝見して、その精緻さに驚嘆し、この企画展において僕にとっていちばんの発見のひとつだった大島梢さんの、ギャラリーエスでの個展です。

すごく楽しみだったのですが、その期待は無論良いほうに裏切られ、ひとつひとつの作品が持つ繊細さ、力強さに魅了されてしまった次第です。


今回出展されているなかでもっとも大きな作品。
その広い画面を青い鳥が埋め尽くしています。
ジェッソが施された画面の白に、さまざまな青のグラデーションが鮮やかに映えます。
そして、ここに描き出される青い羽のひとつひとつの精緻さには圧倒されます。


大島梢@es 04 大島梢@es 05


眼前を埋め尽くす青い鳥の一群。
優雅さと混沌とした感触とがひとつの画面から同時に感じられます。ぶつかり重なる羽の音が聴こえてきそうなほど、尋常でないほどに動的なイメージが沸き上がってきます。

もし、この一群が視界から退いたらいったいそこにはどんな光景が広がるだろう...ずっと向こうまで続く、終わりがない白い世界かもしれないし、見たことがない色彩に溢れる森があるかも知れない...。

・・・この作品を前にしていると、いろんな想像が膨らんでいきます。


大島梢@es 03


ものすごい迫力を伴って観るものを圧倒してきます。
下方から力強く沸き上がる雲に紛れながら、渦を巻くように現れる鳥の青い羽。
陸に近い部分の小さな羽が凝縮された部分には意識が呑み込まれ、空に現れている大きな羽には後ずさりするほどの力強さ。


大島梢@es 07 大島梢@es 08

大島梢@es 06


ちいさな花弁が組み重なって美しい球体が作り上げられ、それが画面にいくつも詰め込まえれることでミニマルな奥行き感が演出されている作品も、見応え充分です。
そこにひとつだけ、青い羽の球体が存在していて、その青の美しさが素晴らしく映えます。


大島梢@es 02

大島梢@es 01


大島さんの細密画には、最高級の「切れ味」、シャープさを感じます。
今回出展された作品の多くが下地にジェッソが施されたもので、そのフラットな画面が、切れ味をさらに鋭いものに押し上げているように感じられます。
用いられる画材も、鉛筆、ペン、そして大島さん自らこの細密画用に筆を加工され、アクリル絵の具で描かれるものも。
これだけのバリエーションに富んでいながら、今回は特に「青」がテーマということもあって、清々しいほどの統一感が空間を占めているのも印象的です。

最相葉月さんの本で読んだ印象が強いこともありますが、「青」という色は、「青いバラ」の花言葉が「不可能」であったり、あるいはチルチルとミチルの兄妹が探すのも「青い鳥」だったりと、幻想的な雰囲気を持ち合わせているように感じられます。
おそらくまた別の色彩であってもきっと素晴らしく美しい世界が描き出されることに一縷の疑いも持ち合わせないのですが、「青」という幻想的な色彩と、細かい線のピンと張りつめた緊張感とによって、この独特の雰囲気が作り上げられているような気がします。

作品によっては幼虫などグロテスクなはずのモチーフも含まれているのですが、それすら清々しい印象を持ち、そういったモチーフの曲線の妖しさに鋭さを感じ取ってしまうのも、上記のような要素がそうさせているのかな、と。。。


大島梢@es 12 大島梢@es 10

大島梢@es 11


今回の展示における、大島さんの作品の中に現れる白、黒、青。
おそらくそれぞれもっとも美しい白、黒、そして青だと思います。またさらに、そこでさまざまなリズムを描き出す細密な線も、文句なくいちばん美しい線だと思うのです。


大島梢@es 13

古橋香:理想の女の子
PUNCTUM
東京都中央区京橋1-6-6 ハラダビル2F
3/19(月)~4/1(日)
12:00~19:00(最終日:~16:00)
古橋香@PUNKTUM DM.jpg

さまざまなアイデアが詰まった油彩の作品。

先日まで開催されていたワンダーシード2007にも出展されていた、古橋香さんの個展に行ってきました。
いや、もう文句なく面白い、思い切りの良さに痛快さを感じる展示です!

まず、ギャラリーのいちばん広い壁の全面を覆うほどの大作に目を奪われます
同じパターンの女の子の肖像が3つ並ぶ構成。これほどの大きさの画面の中で繰り返されるループは圧巻で、たとえ3つだとしても、イメージとしてカットされた両脇の画面にはもっとずらりと並んでいるのでは、と想像すると、さらにこの作品の世界に引き込まれていきます。

また、型と色の配置こそ同じパターンであっても、そこに描き出される色の広がりが異なるのも面白いです。
特に髪の部分、女の子の表情と同様に動きを感じるそのかたちの中で、ひとつの動線を描きながらその色面のなかにものすごいダイナミックさをもたらしています。
背景の色彩の飛沫もそのダイナミズムをさらに加速させているように感じられます。


古橋香01

古橋香02


その向側に展示されている、ひとりの女性の肖像画も印象的です。
滋味溢れる優しい表情の女性。しかし、髪や背景などに広がる色彩はアグレッシブ。油絵の具の素材の質感も生々しく、色彩的にも立体的にも上記の大作にも負けないくらいのダイナミックさが現れていて、見応え充分です。


古橋香04 古橋香05

古橋香03


小品はさまざまなスタイルの作品が揃っています。
この展示で拝見して古橋さんらしいと感じるざらつきのあるマッドな質感の作品から、ぱっと鮮やかな色彩が印象的なもの、さらには板に直接描き出された版作品も。


古橋香08 古橋香09 古橋香10

古橋香07


この「版」というのが古橋さんにとってのキーワードのひとつでもあるそうで、いくつか展示されている同じパターンがひとつの画面で繰り返される作品群について、たとえ版で制作してもまったく同じには作れないというもどかしくも味わいが出る部分に注目し、敢えて同じパターンをひとつの画面で展開させて、その差、違いに面白さを見い出したい、という意図もあるようです。

さまざなまアプローチが込められたユニークなクリエイション。
個性的な色彩感覚、マチエルが醸し出す斬新さが心地よいインパクトをもたらしてくれます。
今回出展された作品も相当な大きさですが、さらに大きな作品を観てみたいという、観る側の身勝手な欲も湧いてきてしまいます。


古橋香06

工事中 UNDER CONSTRUCTION(工事責任者:桃木彩)
Gallery≠Gallery
東京都中央区新川1-3-23 八重洲優和ビル2F
3/17(土)~3/29(木)
12:00~19:00(最終日:~17:00)


こんなDM。


桃木彩3/17DM.jpg


いったいどんなインスタレーションなんだろう、と逆に妙に期待が煽られたわけですが、ふたつの映像作品が軸となった、思いのほかシンプルで、そのストレートさが心地よい展示です。

このギャラリーの奥のスペースにある窓の映像と、そこから眺める川面を撮影したものとで構成された3分程度の無声の作品。
窓から川面、そして再び窓へと画面の移り変わりはあるものの、その構成はシンプルそのもの。撮影された映像自体が加工されることはなく、ただ淡々と撮られたものが壁に映し出されて行きます。


桃木彩06 桃木彩02 桃木彩03


窓に掛かるブラインドの、水平に直線が並ぶ様子が無機的に感じられるところから始まり、そこから川面の映像へと移っていく。。。

最初はその水面に向こう側の建物が映り込んだ様子が。それが川の流れで浮かび上がる水面のうねりによって滲み、だんだんとそのうねりがダイナミックに変化して...そこから水面のアップへと移り変わり、右から左へと水面のうねりがつくり出す美しいグラデーションが流れ、そのシーンを眺めているとものすごいスピードで変化を繰り返す画面に思わず酔ってしまう...水平感覚の狂いを実感し、意識が飛ばされてしまったような。。。

そして、その水面のアップの場面がフェードアウト、最後に再び窓の映像が現れます。


桃木彩04 桃木彩08 桃木彩07


何か具体的なものがある感じはしないものの、この映像の展開、構成には唸らされた次第です。
静かなシーンから始まって、だんだんと動的な要素が取り入れられ、再びの平穏が現れる直前のクライマックスのインパクトはちょっと忘れ難いです。


桃木彩05

もうひとつの映像作品は、ギャラリーの床に設置された排気孔の口の部分から壁に向かって上映されています。


桃木彩10 桃木彩11


無音の作品ですが、こちらは音があっても面白かったかな、と思うものの、、唐突に展開されるコミカルなシーンで思わず「は?」とツッコミを入れてしまいたくなるのですが、その意味不明さからかけ離れた予想外の展開へと進み、最後に現れる排気孔が持つ意外な美しさが演出されたシーンに目を奪われます。


桃木彩09

それにしても...

このインスタレーション、床に設置された排気孔は排気孔そのものでしかなく、そこに何らかのメッセージが込められていると感じられなかったのですが、逆にそのストレートさが痛快で面白く感じられました。


桃木彩01

《3/24》
☆VOCA展2007
上野の森美術館
東京都台東区上野公園1-2
3/15(木)~3/30(金)
10:00~17:00(金曜日:~19:00)
VOCA2007パンフ.jpg

・平成17-18年度 文化庁買上優秀美術作品 披露展
日本芸術院会館
東京都台東区上野公園
3/13(火)~3/25(日)
10:00~16:00

三瀬夏之介さんの作品、あの緑青や墨、胡粉などで展開される独特の風合いが額に収められた大作に、今まで感じたことがない渋さが伝わってきました。
これほどまでに「本格」の雰囲気を持つ画風だとは、と。その大胆さから滲み出るアバンギャルドな渋味はもちろん内包しつつも、今回の落ち着いた場所で見せる「正装」の風格ある佇まいに、三瀬さんの世界が持ち合わせる奥深さにあらためて感じ入った次第です。
この他、風間サチコさんの船を描いたダイナミックな作品が印象に残っています。

・BRIAN ALFRED -GLOBAL WARNING-
SCAI THE BATHHOUSE
東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡
3/23(金)~4/28(土)日月祝休
12:00~19:00
BRIAN ALFRED 3/23DM.jpg

マスキングを駆使したくっきりとした色彩のエッジが気持ちいいグラフィカルな作品。
快晴の青空、そこに湧く雲の立体感。風にはためく旗までもがひとつひとつの色面のエッジをくっきりと持たせ、ケレン味のないポジティブな風景が広がっています。
また、細かく紙を切ってコラージュされることで描かれた小品も楽しいです。
小さな画面の中は「ここまで切り紙でやっちゃうか!」っていう痛快極まる驚きに溢れています。

・YANOMICHIRU EXHIBITION 七色あんふぇーる
HIGURE 17-15cas
東京都荒川区西日暮里3-17-15
3/18(日)~3/28(水)月休
12:00~20:00(土日祝:11:00~20:00)
矢野ミチル3/18DM.jpg

もともと工場だったギャラリーの1階と2階とにいっぱいに展示されたイラスト。
色彩のスプレッドからインスパイアされ、そこに人々などの姿が細い黒の線で紡がれていくような感じです。
その繊細さと、小さな画面から膝の高さの屏風、さらには天井から吊り下げられた大きな作品まで、紙と絵の具とペンとの組み合わせから感じられる渋味と同時に、さまざまなサイズの画面で展開される伸び伸びとした面白さが伝わってきたのが印象に残ってきます。

矢野ミチル@HIGURE 01

矢野ミチル@HIGURE 02

☆工事中 UNDER CONSTRUCTION(工事責任者:桃木彩)
Gallery≠Gallery
東京都中央区新川1-3-23 八重洲優和ビル2F
3/17(土)~3/29(木)
12:00~19:00(最終日:~17:00)
桃木彩3/17DM.jpg

・ツリタニユリコ展
四季彩舎
東京都中央区京橋2-11-9 西堀11番地ビル2F
3/19(月)~3/24(土)
11:00~18:30
ツリタニユリコ3/19DM.jpg

アクリル絵の具とペンとで描かれるちいさな作品。
絵と、その隣にちいさな文字で2、3行の言葉が添えられていて、何かのおとぎ話の一場面のような風合いが面白いです。その構成の作品が壁にていねいに展示されていたのも印象的。
文字が添えられていない作品も、細かい線が醸し出す繊細さがより美しく感じられます。

ツリタニユリコ01 ツリタニユリコ02

ツリタニユリコ04

☆古橋香:理想の女の子
PUNCTUM
東京都中央区京橋1-6-6 ハラダビル2F
3/19(月)~4/1(日)
12:00~19:00(最終日:~16:00)
古橋香@PUNKTUM DM.jpg

・服部誠展
GALLERY b.TOKYO
東京都中央区京橋3-5-4 第一吉井ビルB1F
2/12(月)~2/17(土)
11:00~19:00(金:~21:00、最終日:~17:00)
服部真3/19DM.jpg

モノクロームで描き出される油彩の作品。
ひとつひとつの大小の色面における黒と白とのグラデーションの面白さと、それらが積み上げられてダイナミックな様相を呈する面白さと。
まさに異次元の世界が展開されています。

服部誠01 服部誠02

小さな色面によって展開される異様なまでにミニマルなリズム。これが大画面の各箇所に凝縮され、その部分に意識が引き込まれていきます。
この混沌とした感じが痛快です。

服部誠03 服部誠04

服部誠05

☆屋宜久美子展
アートスペース羅針盤
東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル2F
3/19(月)~3/24(土)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
屋宜久美子3/19DM.jpg

村井美穂 作品展 -キマジメ装置-
藍画廊
東京都中央区京橋3-3-8 新京橋ビル1F
3/19(月)~3/24(土)
11:30~19:00(最終日:~18:00)
Fi村井美穂3/19DM.jpg

☆「みみなり」怱滑谷昭太郎
フタバ画廊
東京都中央区銀座1-5-6 福神ビルB1
3/19(月)~3/25(日)
11:00~19:00(最終日:~16:30)
怱滑谷昭太郎3/19DM.jpg

☆松永龍太郎 個展
@銀座スルガ台画廊
東京都中央区銀座6-5-8 トップビル2F
3/19(月)~3/24(土)
11:00~19:00(土:~17:30)
松永龍太郎3/19DM.jpg

☆佐々木里加展 ―BRAIN SPACE―
Gallery Q
東京都中央区銀座1-15-7 マック銀座ビル2F
3/12(月)~3/24(土)日休
11:30~19:00(最終日:~17:00)
佐々木里加3/12DM.jpg

渡邊貴裕展 "DISORDINATO"
GALERIA arts
東京都渋谷区神宮前5-51-3
3/23(金)~4/1(日)月休
12:00~19:00(最終日:~17:00)
渡邊貴裕3/23DM.jpg

ちいさなスペースいっぱいに軽快な作品が展開されていて、とにかく楽しい空間が作り上げられています。
包装紙に描かれた絵がずらりと並ぶ壁の一角、女性の寝顔とさまざまなアイテムが墨とクレヨンとで紙袋に描かれ、雑然と床に散らされていたり、大きな包装紙に描き出された女性の姿のダイナミックさがなんとも楽しかったり。
作品それぞれの楽しさはもちろん、それぞれのコーナーに添えられているキャプションや空間のインスタレーションなど、そこで展開されるひとつひとつに遊び心が感じられるのも嬉しいです。

渡邊貴裕01 渡邊貴裕02

渡邊貴裕03

また、こういった紙と墨とによる描き手の楽しさが伝わる索引に溢れた展示の奥に1点だけ出展されている日本画がたいいんです。独特のオリエンタルな風合いが、このインスタレーションに引き立てられているような感じです。

2e collection 07 She is like a rainbow
foro08
東京都港区白金台5-13-14 白金台The1000 地下1階
3/22(木)~3/31(土)
12:00~20:00(最終日:~18:00)
2e3/22DM.jpg

このスペースでのオープニングの展示も素敵だった2eの、今回は新作アイテムの展示。
2eらしい遊び心がふんだんに取り入れられたノートや栞、壁紙、手鏡など、そのひとつひとつの素朴なかわいらしさが印象的です。
そして、前回ほどの大きな展開はないものの、やはり今回も素敵な空間が作り上げられています。変な例えですが、マシュマロの中に入っちゃったような印象です。

She is like a rainbow 01 She is like a rainbow 02 She is like a rainbow 03

She is like a rainbow 04

《3/25》
☆ceramic works 神崎まり展
プラザ・ギャラリー
東京都調布市仙川町1-24-1
3/24(土)~4/22(日)水休
10:00~18:30
神崎まり3/24DM.jpg

鈴木良治作品展
京都今出川ギャラリー
京都府京都市上京区今出川通烏丸西入ル北側築山南半町244-2
3/10(土)~3/22(木)金休
11:00~19:00
鈴木良治@今出川パンフ.jpg

その存在を知って以来、ずっと伺いたかった、京都今出川ギャラリー
金丸悠児さんや野地美樹子さんの作品を取り扱われているということもあって、いつかお目にかかる機会はあるだろうと思ってはいたのですが、やはりこちらから足を運びたいと思っていました。

で、今回、野谷美佐緒さんと杉尾供美さんの展示が京都で開催されることもあり、ちょうど今出川ギャラリーでも面白そうな展覧会が開催されている最中だったので、ならば今、行こう、と決心した次第。


ギャラリーの北門さんともいろんなお話が伺えて、たいへん充実した時間が過ごせたのですが、開催されていた鈴木良治さんの展覧会もたいへん印象に残るもので。
やはり実際に拝見するとその絵の実際の大きさで観られるだけでなく、その絵の表情が直に伝わってくることを、今更ながらに実感しました。


まず、リトグラフの作品。
モノクロームで、画面の縁にヘこみのようなものが見受けられる作品もあることから銅版画のような味わいもあり、それでいてリトグラフ特有の線や色面の広がりもひとつの味としてじっくりと伝わってきます。


鈴木良治03


描かれるモチーフもたいへんユニークです。
静物画的な構成の作品もいいですし、なにより素朴で、いきいきとした表情と躍動感溢れる姿の子供が登場する作品が痛快です。


鈴木良治01 鈴木良治02

鈴木良治04

油彩の作品は、リトグラフのモノクロの世界から一変して、透明感溢れる澄んだ世界のなかに広がる静けさが印象的です。
画面いっぱいに描かれる犬。遠い砂浜に寝転ぶ男の子。
言葉ではなく、イメージで何かを伝えてくるかのような、不思議な雰囲気も溢れているように感じられます。

そして、その透明感が素晴らしいです。
まるでずっと先の未来から眺めた過去、想い出のような...そんな時間軸を無視したイメージも自然に心の中に浮かんできます。


鈴木良治06 鈴木良治07

鈴木良治08

台の上で展会されていた水彩の作品の水彩らしい素朴さも。


鈴木良治09

ご本人にお目にかかれなかったのは残念ですが、素敵な世界に巡り会えて、京都まで来て良かったなぁ、と。
もっと大きな画面の油彩の作品もぜひ観てみたいです。大きな画面で展開されたら、きっとイメージももっとぐんと広がって行くような気がします。

鈴木良治05

新谷仁美 小川サトシ
GALLERY it's
東京都渋谷区猿楽町2-7 シャトーソフィア(竹久ビル)6F
3/11(日)~3/18(日)
13:00~20:00
光3/11DM.jpg


新谷・小川01

それぞれ異なる個性がパッケージされたユニークな二人展。
素材的なものも含めての「色」そのものが持つ質感を前面に押し出したような新谷仁美さんと、驚くほどに精緻な描き込みに驚かされる
小川サトシさん。それぞれが繰り出してくるユニークな世界の対比も面白い展覧会。

小川サトシさん。
一見して「写真?」と思ってしまうのですが、これが色鉛筆の作品。葉脈や昆虫の姿が細かく再現されています。
大本には写真があって、それをトレースして描かれるようなのですが、それを差し引いてもこの精緻さに驚かされます。
また、画面の表面がコーティングされていて、いわゆる色鉛筆の質感は表出していないのですが、じっくり観るとホントに手描きの痕跡が見受けられて驚きもさらに増します。

白抜けの部分が、それぞれのものを透過して届く光に感じられるのも興味深いです。


小川サトシ02 小川サトシ03

小川サトシ01

新谷仁美さんは、ふたつのシリーズが出展されていました。
まずは、紅茶などで染め上げられた和紙の作品。素材の味わいの優しさや素朴さがダイレクトに伝わります。


新谷仁美03

新谷仁美02


この和紙の作品からは信じられないほどに鮮やかな色彩の作品も出展されていて、この未来的なイメージ広がる鮮やかさのインパクトが痛快です。
シルクスクリーンに用いる顔料を何層も重ねるというプロセスで生み出されたグラデーションの美しさ、瑞々しさが印象に残っています。


新谷仁美04

新谷仁美01

それぞれの作品における、タイトルにある「光」というキーワードへのアプローチを考えるのも面白いです。
それぞれの「光」への解釈の違いもなんとなく伝わってくるような気がした次第です。


新谷・小川02

春風のおくりもの展
恵文社一乗寺店/ギャラリーアンフェール
京都府京都市左京区一乗寺払殿町10
3/13(火)~3/19(月)
10:00~22:00(最終日:~18:00)
春風のおくりもの@恵文社DM.jpg

京都へ。


今年は一度は京都へ行くつもりでいて、そのタイミングを、こちらでもずっと拝見している野谷美佐緒さんと、ジュエリーアーティストの杉尾供美さん、お菓子の竹田里美さん3人のコラボレーションの展示が開催されていたこの日曜日に行ってきた次第。
ずいぶん前から、野谷さんが「ここでやりたい!」とおっしゃっていた恵文社一乗寺店/ギャラリーアンフェールでということもあって、やはりその目標が叶った展示は見逃すわけにはいかない、と。


この恵文社一乗寺店、はじめて京都に行ったときにもお邪魔していて、そのときはギャラリーめぐりを本格的にやりはじめる前だったのですが、京都の郊外にある広々とした味わい深いところで印象に残っていて、僕にとって京都のランドマークのひとつです。
今回も思ったのですが、市街から恵文社に行くには電車かバスを乗り継がないといけないのですが、それでもお客さんがけっこういらっしゃってるのがすごいなぁ、いいなぁ、と。この落ち着いた雰囲気は、一度行くとまた足を運びたくなる、いろんなものが溢れていていつ行っても何か面白いものがあるような気がする、そんな場所なので、このお客さんの数も分かります。

小雨が混じる肌寒い3月の日曜日。
三条あたりで偶然見つけた貸し自転車を駆り、サドルの低さに違和感を覚えつつもいつも東京でやってるようにすっ飛ばして一乗寺へ。

息が上がった状態で伺うギャラリーアンフフェール、いつもとはずいぶんと遠い場所で、よく知る笑顔に出迎えていただいて。
同時に、目にすっと入ってくる鮮やかなグラフィック作品。

・・・ああ、来て良かったなぁ、と。


野谷さんのパネルの作品と、その側に設置されたちいさな棚にちょこんと乗る杉尾さんのシルバー。


春風02 春風06 春風01


すっきりとした色の重なりが、爽やかな風を運んできてくれるような野谷さんの絵と、野に咲く小さな花のような佇まいに心尽くしを感じる杉尾さんのジュエリー、それぞれが寄り添って、空間を共有している様子がなんとも微笑ましいんです。
そこに、京都という場所が持つあたたかみがエッセンスとして加えられて、なんとも嬉しい気分が沸き上がります。


春風05 春風04

春風03

展示スペースの一角には、桜が。
小さなパネルに紡がれるピンクと白の色面の重なり。1点1点のやさしい色彩と奥行きも楽しいです。


春風08


そして、それらがいっぱい集まってインスタレーションされ、満開の桜を思わせる色彩の広がりが展開しています。
野谷さん曰く「ここでしか観られない展示」。これをここで拝見することができて、心からの満足感を得られました。


春風10 春風09 春風11

春風07


ギャラリースペースの中央に置かれた台の上に、今回唯一の、ひとつの作品におけるコラボレーション作品が、ひっそりと咲いていました。
ちいさな透明のキューブの中に詰め込まれた作品。
野谷さんの切り紙がやわらかく広がり、それに包まれるように杉尾さんのシルバーが。


春風14

春風13


もちろんグッズ類もさまざま。
今回はじめて出展されたという杉尾さんの革製品、竹田さんの焼菓子、野谷さんのポストカードが、テーブルに、棚に、溢れています。


春風15 春風16 春風19

春風18


ここに足を運んだ方が次々とギャラリースペースに訪れ、それぞれの作品を眺めて最後にポストカードを手に取ってレジに進まれるのを何度も見かけて、そういうリアクションも嬉しかったり。

これまで何度も拝見してきたアーティストの作品をいつもと違う遠い場所で観て、すごく新鮮な気持ちと同時に何故か懐かしい気分もあって。
いろんな意味で心に残る展覧会でした。


春風12

綿引明浩展
ギャラリー椿
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
3/17(土)~3/31(土)日休
11:00~18:30
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色彩の歓喜の声が聞こえる...


ギャラリー椿でおなじみの、透明アクリルパネルに裏から描くユニークな手法で明るい世界を展開されるアーティスト、綿引明浩さんの個展です。
昨年はGT2のスペースで個展が行われ、会期中に開催されたワークショップも楽しかったのを覚えています。


綿引明浩3/17 09


今回の作品は、音楽をモチーフになさったとのこと。
「音楽」という、実際は見えないものを画面に現した作品で、その幸福感がそれぞれの画面から優しく広がっています。
絵の中に登場する、半身が人になっている白い鳥が、ぱっと目に鮮やかな色彩で紡がれる背景をバックにのびのびと両翼を広げて飛び立っています。素朴な表情も印象的です。


綿引明浩3/17 07

綿引明浩3/17 10


さまざまなサイズの作品が展示されているのも興味深いです。

綿引明浩3/17 04 綿引明浩3/17 05


そういったなか、スクエアの作品がずらりと並んだ一角が素晴らしい。。。
赤や黄色のグラデーション、すうっと吸い込まれるような透明感を持つ青。
瑞々しい色彩が画面に溢れています。
綿引さんのユニークな手法に因るところも大きいですが、そこに用いられた色のひとつひとつが本当に嬉しそうに、自らが持つ明るさ、美しさを発しているように感じられます。
そういったポジティブな世界がていねいに並べられ、綴られるあったかさが溢れた物語に浸る心地よさ。


綿引明浩3/17 02 綿引明浩3/17 03

綿引明浩3/17 01

GT2では、おなじみの赤や青の人物のシルエットが登場する作品が展示されています。
いわゆる名画がモチーフになっている作品も多く、その「観たことある」背景の中に赤や青の人がいて、またひと味違うユーモラスな味わいが感じられて楽しいです。


綿引明浩3/17 06


色彩の喜ぶ声を肌で感じることで、こちらの感性も同じように喜んでいることを実感します。
何もいらない、素直な感性で触れるだけで堪能できる、素敵な世界です。


綿引明浩3/17 08

forerunners & four eggs 山本弘&熊丸加奈子
GALLERY MoMo
東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
3/20(火)~3/31(土)日月祝休
12:00~19:00
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GALLERY MoMoが企画する2週間ずつの展示が4つ、全部で2ヶ月あまりにわたって展開される「forerunners & four eggs」の2番目。
この企画のトップを飾った「草間彌生&替場綾乃」がすごく良かったので、逆にそれに続く今回の展示はどうなんだろう、と期待と心配とが渦巻いていたのですが...


・・・心配などまったくの杞憂に終わりました。


今回紹介されている新進のアーティストの熊丸加奈子さん。
油彩の作品とドローイングとが出展されていていて、どちらもたいへん個性的な風合い。心地よいインパクトを伴っています。

まず油彩の作品。透明感溢れる色彩で伸び伸びと描き出されるキッチュな姿をした人物の肖像。
その顔の表情の豊かさ、やわらかさから感じる温もりと、その鮮やかさに未来的なインパクトを感じる色彩とが重なって、なんとも斬新なイメージを感じさせ、ユニークな風合いを醸し出しています。


熊丸加奈子01

熊丸加奈子05


静物、花が挿された花瓶、あるいは木の枝がモチーフとなったような作品も、たいへん緩やかな広がりが画面からもたらされています。
透明感は若干押さえ込まれていながらも、ぽっと灯るような優しい色彩によって、布のようななめらかさが感じられます。


熊丸加奈子03

熊丸加奈子02


ドローイングの作品は、紙に水彩絵の具、色鉛筆などによる線や色面で、油彩の作品と比較すると若干の静けさを感じさせながらも、ちょっと暗めの色彩と曖昧な輪郭とによって醸し出されているレイドバックした雰囲気、独特の「渋味」が印象的です。


熊丸加奈子06


ぼわっと滲む水彩絵の具の色の広がりのほのぼのとした感じ。さっと引かれる線の軌跡の味わい深さとそこに現れる美しい色彩の繊細さ。そして、その線によって描き出される、人物のシルエットを思わせる線。
額装されて展示されている他にも、多くの作品がファイルに収められていて、こちらにも愛着が湧いてしまうようなキャラクターがいっぱい登場します。


熊丸加奈子07 熊丸加奈子09

熊丸加奈子08


不思議なかわいらしさ、その痛快さ。
ハッピーな感動が溢れているような気がします。
山本弘氏の暗い色彩、筆の運びのうねりによるエネルギッシュさとのコントラストも興味深いです。


熊丸加奈子04

江戸意匠 MAISTER MEETS DESIGNER Vol.1『床の間から日常へ』
GALLERY le bain
東京都港区西麻布3-16-28 1F
3/20(火)~3/25(日)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
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江戸に伝わる技術と現代のデザインとのユニークなコラボレーション。
それぞれに込められたユニークさが楽しい展示です。

六本木の大使館街(と呼ぶかどうかは知らないですが)にあるGALLERY le bainで開催されている江戸意匠展へ行ってきました。


ガラス張りの空間で、ミヤケマイさんの大きな掛け軸の作品がお出迎え。
大きな滝を模したように展示されています。

なによりも、このサイズのミヤケさんの作品を拝見できることが嬉しい!
コミカルさ、ユーモラスさを醸し出している絵の中の魚などの表情、ほっこりと和める優しい色彩。
作品のそこかしこがくり抜かれているのも楽しく、大きな石に乗せられ、撓ませて設置された掛け軸の裏のほうに画面の表からの光が穴から射しこんで影に光のドットをもたらし、実際の滝の裏側にいるような演出も面白いです。


江戸意匠01 江戸意匠02

江戸意匠03


ギャラリーのスペースに、江戸に伝わる技術と現代のデザインとがコラボレートしたさまざまな作品が展示されています。
組み紐、江戸切子のガラス細工、亀甲、表具などの技術がが、万年筆やらスニーカーやらに持ち込まれて、独特の味わい深さが馴染みあるアイテムに新鮮味をもたらしています。


江戸意匠04 江戸意匠05


これまでなかなかじっくりと触れることがなかった、江戸から連綿と続く技術がこういったかたちでレコメンドされることが面白いです。
実際に使ってみたいと思わせてくれるものもいっぱい。


江戸意匠06 江戸意匠07

江戸意匠08 江戸意匠09

江戸意匠10


そして、この展示のインスタレーションが素晴らしいです。
角材を組み上げて作られた台座がなんともいい味わい。
材木のやわらかな白が目に優しく、そこに押された焼き印も映えます。


江戸意匠11

江戸意匠12


こちらで紹介されている作品は、5月ごろに江戸意匠のサイトであらためて紹介されるそうです(現在は準備中)。
それまでにぜひ、この展示で実際に手に取って、現在に息づく江戸の粋を味わっていただければ。

Eternal Spring アダム・ブース 日本画展 永遠の春
Gallery ef
東京都台東区雷門2-19-18
3/16(金)~4/15(日)火休
12:00~21:00
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この空間を味わう、贅沢。
味わえる贅沢。


六本木での個展やセシオン杉並でのグループ展から間を置くことなく開催されているアダム・ブースさんの個展。
前回の個展の際にお目にかかったときに、今回の個展への力の入れようが伺えたのですが、期待に違わぬ素晴らしい展示です。


今回はじめて伺ったGallery ef
これまでも銭湯や眼科医などさまざまな空間を改装したギャラリーを体験しましたが、こちらはもともとが古い蔵。それだけで充分に味わい深い空間です。
手前のカフェのスペースにも数点の作品が展示されていますが、そこを抜けて奥へと進み、小さな入口をくぐると、2階建ての薄暗い空間が。

床板、漆喰の壁、階段、柱のそれぞれから歴史の重みが伝わるとともに、そのひとつひとつに「魂」のようなものも感じます。霊的なものではなくて、この場所を保つために尽くされた心、愛情。それに対して、自然と感謝の気持ちが浮かびます。
こういった場所に出会えることに感動。本当に嬉しいです。


・・・こんな素晴らしい空間で展開されるアダム・ブースさんの世界。
味わい深い空間と独特なエキゾチシズムを醸し出すアダムさんのクリエイションとのコラボレーションが、至高のインスタレーションを作り上げています。


屈んで入口をくぐり、体勢を戻した刹那に眼前に迫る大作。
丁寧に保存された漆喰の壁と黒く艶を放つ柱に飾られた作品は、筆跡が気の流れを思わせる青を背景に、ダイナミックにうねる桜の幹とアダムさんの作品ではおなじみの象、鳥、桃といったモチーフが配されています。

まさに、「永遠の春」。
現実の季節感よりも、さまざまな魂が目覚め、芽吹く「春」という時期が持つどこか妖しげな雰囲気をアダムさんらしく再現しているように感じられます。

この大きな画面が高い天井の空間に設置され、見上げるようにして眺めることもあり、絵の世界を体全体で浴びるように味わえます。


アダム・ブース@ef 01


さらに、磨き込まれ黒光りする床に、この作品が美しく映っています。


アダム・ブース@ef 02


靴を脱いであがり、移動するたびにみしりと鳴く床板。
ていねいに施された照明に浮かび上がる作品群が醸し出す、独特の静謐感。
この空間に滲み渡るさまざまな要素が、心地よい緊張をもたらしてくれます。


アダム・ブース@ef 04


階段を見上げると、その正面にも作品が。
さらに奥深くヘと誘ってくれるような演出がなんとも心憎い...。


アダム・ブース@ef 06

アダム・ブース@ef 03


軋む階段を昇り、2階へと歩みをすすめると、さらに広がりを持つ空間が。
中央部が階下に抜けていて、その部分はさすがに通れないものの、たっぷりと余裕を感じる空間で、1階と同じく繊細な感性で展開されるアダムさんの作品がていねいに展示されています。


アダム・ブース@ef 08


作品のひとつひとつがこの素晴らしい空間によって見事に演出され、その独特の世界の美しさ、ユニークさが
前面に押し出されています。
僕が伺ったときは、ギャラリーには他のお客さんがいらっしゃらず、僕だけでこの空間を独占することができ、2階では、床に座り、壁にもたれてゆったりと...時間を忘れてこの世界を体感することができたのも、なんとも忘れ難い体験となりました。

嬉しいことに会期も長いので、機会を持って何度か伺いたいと思っています。
ひとりでも多くの方に足を運んでいただいて、この展示を体感してほしいです。


アダム・ブース@ef 09

鴻崎正武展
Art Gallery 山手
神奈川県横浜市中区山手100 サンセット山手1F
3/17(土)~3/27(火)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
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微妙に、しかし明らかに変化を感じさせる「TOUGEN」。

精力的に作品を制作・発表されている鴻崎正武さんの、今年最初の個展へさっそく行ってきました。
場所は、Art Gallery 山手。賑やかさが心地よい中華街までは行ったことがあったものの、そのすぐ側にこんな瀟洒な雰囲気の場所があったんだ、と横浜の奥深さにあらためて感じ入った次第です。
目の前の坂を挟んだすぐには大きな桜の木があります。僕が伺った日はまだ開花の素振りも見せていませんでしたが...。


で、鴻崎正武さん。
昨年も3つの個展に足を運びましたが、過去の油彩の屏風作品も合わせて展示されたスルガ台画廊、大作が多く出展されパワフルな空間が展開されていたギャラリーアートポイントと、このふたつの展示では混沌とした力強さが印象に残っているのですが、年末の啓祐堂での展示で感じた変化・・・独特の画面構成に柔らかさ、明るさが感じられるようになってきました。

そして今回の個展。
その明るさがさらに全面に押し出されたような感じです。
これまでの観る人の存在を呑み込むようなインパクトから、ある種の幸福感さえも感じるようなやわらかい雰囲気が漂っているように思えます。


鴻崎正武@山手08


鴻崎さんが日本画の画材を用いるようになってからずっと続けて拝見しているのですが、独特の手法で画面に取り入れられる箔などの使い方がたいへん熟れてきた印象が嬉しいです。見事に作り込まれた立体的な模様の部分、箔が散らされた箇所など、その風合いに、意図しているものと実際のものとの差がおそらくずいぶんと埋められてきたのでは、と。。。
この熟れ具合も、もしかしたら画面の明るさに貢献しているのかも知れません。

加えて、画面の中の鮮やかな色彩のラインが複数に沿ってつくり出す未来的な模様も印象的です。絢爛で個性的な「和」の世界に取り込まれたこの線がアクセントとなって、未来的な味わいも加えられています。


鴻崎正武@山手02 鴻崎正武@山手0 鴻崎正武@山手04

鴻崎正武@山手01

今回もずらりと小品が並んで展示されています。
小品では、ひとつの画面に登場するさまざまな生物のパーツを組み合わせて構成されたモチーフがひとつだけ描かれ、その存在をさまざまな色彩や質感を取り込んだ背景によってよりそのユニークさを全面に現しています。


鴻崎正武@山手10 鴻崎正武@山手11

鴻崎正武@山手07


そして、全体に感じられる明るさがそれぞれの小品ひとつひとつからも滲み出ています。中央に描かれるモチーフも、これまでのと比較するとグロテスクさがずいぶんと抑えられたような印象で、そこに咲く花にもどこはかとなく可憐な雰囲気を漂わせていたり、昆虫や動物を思わせるものの素朴な印象があります。


鴻崎正武@山手12 鴻崎正武@山手14 鴻崎正武@山手13

鴻崎正武@山手06


優しく灯るような、そういうポジティブな明るさが満ちています。
同じサイズの作品がずらりと、整然と展示されている楽しさも印象的です。


鴻崎正武@山手09


背景の中の、箔のきらびやかさと岩絵の具の色彩の鮮やかさとのコントラスト。
そこに浮かび上がるモチーフのユニークな佇まい。
それらが見事に調和しあって、面白い雰囲気が作り上げられています。

少しずつ変化が感じられることも、今後の鴻崎さんの展開に期待を抱かせてくれます。


鴻崎正武@山手05

矢島史織展 -Emotional Landscape-
柴田悦子画廊
東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル2F
3/16(金)~3/22(木)
12:00~20:00(日祝:~18:00、最終日:~17:00)
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矢島史織01


シンプルな色彩で描き出される、瑞々しい光の表情。その豊かさ。


今回初めて拝見する矢島史織さん。
イエローやブルーといった爽やかさが溢れる色彩で、清々しい光の陰影が描かれる日本画。
幸福感に満ちていて、観ていてその爽快感が心の中に広がっていきます。

大きな風景の作品。
倉庫のような建物に映り込む陽射しが奏でる鮮やか光の模様。さわさわと風になびくような、あるいはふわっとそこに浮かぶような軽やかさ、そして細かな陰影が織り重なって生まれるリズム。色彩のシンプルさと爽やかさが、なんとも気持ちがいい季節、心地よい春の陽気を思わせます。


矢島史織03

矢島史織02


ギャラリーの壁の一面では、4点の作品によって、だんだんと傾けられるワイングラスを描いた作品が展示されています。
4点で綴られるユニークさ、時間の流れを感じる面白さがあります。
滲むような光の屈折がなんとも美しく表現され、だんだんと曖昧になっていく、あるいはその逆から観ていくと今度はそのかたちを鮮明にさせていく、そういった展開も楽しいです。
何より、色彩の美しさが目に鮮やかです。繊細な色面の連なりに、独特の色香を感じます。


矢島史織06 矢島史織07

矢島史織05


風景とグラスを描いた作品で構成された今回の矢島さんの個展、色彩の統一感があって、忘れ難い空間を体感できたような気がします。
もっと大きな空間で、大きな画面の作品もぜひ観てみたいです。


矢島史織04

山口藍「山、はるる」
ミヅマア-トギャラリ-
東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F
3/14(水)~4/14(土)日月祝休
11:00~19:00
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(c) ai yamaguchi・ninyu works


素晴らしくインスタレーションされた、美しく、かつキュートなジャパネスク。


ninyu works所属のアーティスト、山口藍さんのミヅマア-トギャラリ-での個展に、さっそく行ってきました。
これまでは主に銅版画の作品を拝見することが多かったのですが、今回はおそらく展示されているすべての作品がタブロー、1点もののようです。

メインスペースがともかく極上の空間となっているのですが、まず、奥のスペースから。
こちらにはドローイングなどの小品が展示されています。

さまざまな質感の和紙に描かれたドローイング。
手透きの味わいが滲み出る和紙の風合いを背景に、さまざまな姿の女の子が独特の表情、出で立ち、佇まいで現れています。
また、コーナーに設置された雲を模したかたちの棚の上には、二枚貝の貝殻を背おった小鳥がその雲の上を飛ぶように置かれていて、さらにその貝の中に、なんともかわいらしい絵が描かれています。


山口藍@MIZUMA01 山口藍@MIZUMA03 山口藍@MIZUMA02
(c) ai yamaguchi・ninyu works


結い上げられた髪の流れや着物の艶やかな紋様などがていねいに描き出され、それぞれの画面のなかの小さな世界に魅入られてしまいます。
稜線のしなやかさと色彩の鮮やかさとで作り上げられる、日本的でファンタジックな風合い。

そして、この空間の壁の一角に描かれた女の子。
ほぼ実物大と思わせる大きさでそこにいるのですが、なによりその大きな瞳、か細い体の弱さを補って余りあるほどの強靱な意志を感じさせる目が印象に残ります。


山口藍@MIZUMA04

山口藍@MIZUMA05
(c) ai yamaguchi・ninyu works


メインスペースは、まさに至高の空間。
FORLIGHTSの稲葉裕さんによる照明によって、山口さんのかわいくて、同時に独特の妖しさを醸し出す女の子たちが登場する作品のユニークさが見事に引き出されています。
展示されている作品もさまざま。それに加えて、奥のスペースと同様にこちらにも壁に直接描かれた作品も。
そこに入っただけで独特の雰囲気に自然と包まれる、見事に作り上げられたインスタレーションが展開されています。


山口藍@MIZUMA06 山口藍@MIZUMA08 山口藍@MIZUMA07
(c) ai yamaguchi・ninyu works


日本の山...となるとやはり富士山なのですが...を思わせるかたちをしたクッションに描かれた絵。
ひとつひとつの線が、色彩が、驚くほどにフラットに画面に乗っていて、筆の迷いのなさ、ケレン味のなさが痛快に伝わってきます。
そうやって描かれる女の子は一様に無邪気なのですが、かわいらしい佇まいのどこかに鋭さを隠し持っているような、そんなアブなさを感じます。

床に置かれている木製のオブジェにワンポイントのように描かれた絵も面白いです。
大きな個を描くようなかたちが、なんだか庭石のようにも思えてきて、この妖艶に演出された空間から別の場所へとイメージを誘ってくれるような印象です。


耳を澄ますと、琴や鈴といった減衰系の和楽器で奏でられる現代音楽が聴こえてくるかのよう。。。
結い上げられる髪、着物、いろんなポイントにさりげなく織り込まれる紋様...そういった日本的なモチーフが溢れていて、なおかつ描かれる女の子たちのかわいらしくあどけない表情や姿から伝わる、どこか儚げでおぼろげな印象とは裏腹に、そこから発せられる先鋭的な力も同時に感じられて、この未来的な感覚が、シャープに音が重なって綴られる現代音楽の響きに通ずるような気がします。

さまざまな思い、記憶が沸き上がる素晴らしい空間ができあがっています。
ぜひ、この雰囲気をこの場所で味わってほしいです。


山口藍@MIZUMA09
(c) ai yamaguchi・ninyu works

《3/14》
☆山口藍「山、はるる」
ミヅマア-トギャラリ-
東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F
3/14(水)~4/14(土)日月祝休
11:00~19:00
山口藍3/14DM.jpg
(C)ai yamoaguchi/ninyu works


・Suzan Philipsz "Did I Dream You Dreamed About Me"
ミヅマ・アクション
東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル5F
3/14(水)~4/14(土)日月祝休
11:00~19:00
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実にシンプルなサウンドインスタレーション。
向かい合う壁に配されたスピーカーからは女性のアカペラの歌声とヴァイブラフォンの演奏とが交互に流れ、暗い空間にあるひとつのドアの窓がオレンジ色の光を室内に取り込んでいます。
時間を忘れて体感する、至高の展示。あらためて、ひとりでこの空間にいられるときにじっくり味わいたいと思います。


・宮崎勇次郎 展
@galleryユイット
東京都新宿区新宿3-20-8 トップスハウス8F
3/14(水)~4/10(火)
15:00~23:00(最終日:~17:30)
宮崎勇次郎DM.jpg

賑やかな画風が面白い宮崎さんの、新宿のカフェの一角にあるギャラリースペースでの個展。

『カ、カ、カフェが銭湯にぃぃぃっ!』

という展開ではなかったのですが(笑)、それでもこのぱっと明るい色彩で描き出される世界に囲まれると気持ちも盛り上がり、そして同時に意外にもなんだかほっと気が和らぐ感じです。

宮崎勇次郎@ユイット02 宮崎勇次郎@ユイット01

床にいっぱいのちいさな青い亀の一群もかわいいです(笑)。

宮崎勇次郎@ユイット03

《3/15》
塩田千春展 - トラウマ/日常 -
KENJI TAKI GALLERY
東京都新宿区西新宿3-18-2-102
3/15(木)~4/28(土)日月祝休
12:00~19:00
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天井から吊るされた、あるいは壁に設置された檻、そこに飛び交うように張り巡らされた黒の毛糸。そして、その中に浮かび上がるように服や子供の靴、注射器などが。
実際に拝見すると、思いのほかグロテスクさやアバンギャルドな感じは少なく、むしろそこにあるであろう物語をどんどん探っていくような感じで見入ってしまいます。


《3/17》
☆鴻崎正武展
Art Gallery 山手
神奈川県横浜市中区山手100 サンセット山手1F
3/17(土)~3/27(火)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
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・多摩美術大学 絵画科 油画専攻有志 卒業制作展 12の指標
ヨコハマポートサイトギャラリー
神奈川県横浜市神奈川区栄町5-1 横浜クリエーションスクエア(YCS)1F
3/9(金)~3/17(土)日休
11:00~18:00
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多摩美の油彩のアーティストの展示。
面白い個性がそれぞれの作品から発散されていて、見応えも充分。
なかでも印象に残ったものを。

個展も面白かった時末はるなさんは、大きな和紙に鉛筆でいっぱいに、例の目尻が下がったユーモラスな表情の人々が描き出されていて...ひとりひとりの顔は楽しいのですが、これだけの人が集まるとダイナミックな展開がもたらされ、さすがに圧倒され後ずさりしてしまうという。
仮にお座布団を出していただいて、そこに座って拝見したとしたら、ニコニコと和みながら鑑賞しつつも絵の中の人たちがいつ一斉にこちらに向かってきてもいいように爪先は立てている、そんな感じで(笑)。
いや、レトロに感じる服のデザインの遊び心といい、文句なしに楽しい作品です。

12時末はるな02 12時末はるな03

12時末はるな01

幸田千依さんの作品は、水の中に人が入ったときのその姿と、そのときの水の動きを捉えたような感じが面白いです。
透明感と、そのときの水の輪郭がリアルに表現されていて、瑞々しさと動的なイメージが伝わってきます。

12幸田千依01 12幸田千依02

杉山潤さん、未来の建築風景が描かれた、とにかくダイナミックな作品。
実際のサイズもたいへん大きいのですが、それに加えて見上げるような構図にも圧倒されます。

12杉山潤01

色のうごめきと、そこに織り込まれる未来的なかたちがかっこよかった関根三恵さんの作品。
30分割の画面も未来的な雰囲気を効果的に演出しています。

12関根三恵01

石川奈緒美さん。抽象画の中に登場する花が、その抽象的でアグレッシブな色彩の重なりに具体的なイメージをもたらしてくれます。

12石川奈緒美01


・たほりつこ 花水舞台
ART FRONT GALLERY
東京都渋谷区猿楽町29-18 ヒルサイドテラスA棟
3/13(火)~3/25(日)
11:00~19:00
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床一面に置かれたグラス、そこには水が満たされていて、一部にはその中に葉や花びらが浮かべられています。
外からの光を受けてグラスが輝いて、なんとも美しい表情を見せてくれるインスタレーション。
夜に観るとまた違った味わいがあるのだろうな、と。


☆光 新谷仁美 小川サトシ
GALLERY it's
東京都渋谷区猿楽町2-7 シャトーソフィア(竹久ビル)6F
3/11(日)~3/18(日)
13:00~20:00
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・金木正子 個展
@銀座スルガ台画廊
東京都中央区銀座6-5-8 トップビル2F
3/12(月)~3/17(土)
11:00~19:00(土:~17:30)
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人物と花の絵とが溢れる中、やはり、大きな画面で展開される、静かなお話の一場面のような雰囲気が醸し出されている作品が見応えがありました。

金木正子01


・小説を描く ―日本画作品展―
松坂屋銀座店別館4階美術画廊
東京都中央区銀座6-10-1(住所は本館)
3/14(水)~3/20(火)
10:30~19:30(木金土:~20:00、最終日:~17:00)
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先日素晴らしい個展を拝見した木島孝文さんの小品を拝見してきました。
古代から存在するかのような、非常に立体的な画面の作品。それを額に収め、まるで標本のような雰囲気が印象的で。


☆矢島史織展 -Emotional Landscape-
柴田悦子画廊
東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル2F
3/16(金)~3/22(木)
12:00~20:00(日祝:~18:00、最終日:~17:00)
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☆綿引明浩展
ギャラリー椿
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
3/17(土)~3/31(土)日休
11:00~18:30
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・記憶 II -message- 坂本知野・橋本麻希・原田香織 展
SAN-AI GALLERY
東京都中央区日本橋蛎殻町1-26-8 三愛水天宮ビル1F
3/14(水)~3/21(水)
11:30~19:00(日:~18:00、最終日:~17:00)
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「記憶」という渋いタイトルながら、個人的にはずいぶんとはっちゃけた個性が介した印象を持ったグループ展。いや、面白いんですよ。

坂本知野さんの作品、エネルギッシュな筆の運びや色彩のインパクトが印象的で、観ていて元気が出てきます。

記憶 坂本知野01 記憶 坂本知野02

原田香織さん。なんだか妙なのんびり感がユニークでユーモラス。
その絵の上からトレースしたレシートの文字が描かれている作品が結構ツボで。

記憶 原田香織01 記憶 原田香織02

橋本麻希さんの作品は、セラミックで再現されたコンセント。
見慣れたものもこうやって真っ白な姿で再現されると、妙な面白さとかわいらしさが醸し出されていい感じです。

記憶 橋本麻希01 記憶 橋本麻希02


☆Eternal Spring アダム・ブース 日本画展 永遠の春
Gallery ef
東京都台東区雷門2-19-18
3/16(金)~4/15(日)火休
12:00~21:00
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馬渡吟治郎「テキサス無頼」
Galeria de Muerte
東京都台東区東上野3-32-1-3F
3/8(木)~3/20(火)3/14休
13:00~20:00

ギャラリーエスでの展示で拝見した馬渡さんの個展。
インパクトのある独特の色彩と陰影とで描き出された子供達や舌を出した人がいっぱいで、 小さなスペースに展示されるとその臨場感ももっと強烈に伝わってきます。
そしてそのなかに忍び込んでいる渋味も印象に残ります。


・川口奈々子 melting point
Yuka Sasahara Gallery
東京都新宿区西五軒町3-7 高橋工芸社ビル3F
3/17(土)~4/21(土)日月祝休
11:00~19:00
川口奈々子3/17DM.jpg

INAXギャラリーで拝見して印象に残っている川口奈々子さんの、Yuka Sasahara Galleryでの個展。
INAXギャラリーでは、グレーの床にスポットのみの照明だったのですが、今回はホワイトキューブに白熱灯の組み合わせ。そのおかげで川口さんのぱっと鮮やかな色彩が映えていて、だんぜん作品のポテンシャルが引き出されているように感じられます。
そして、これだけ鮮やかでポジティブな色彩でありながら、そこに入れられた「毒」もよりしっかりと滲み出てきていて。

川口奈々子@Yuka Sasahara01

川口奈々子@Yuka Sasahara02


KOJIMA Sako The gloaming
山本現代
東京都新宿区西五軒町3-7 ミナト第3ビル4F
3/17(土)~4/4(水)日月祝休
11:00~19:00
児嶋サコ3/17DM.jpg

これまでインスタレーションやぬいぐるみの作品、そしてドローイングなども拝見している児嶋サコさんの、油彩のタブロー作品をメインに据えた展覧会。
この暗い色彩のひとつひとつにもしっかりと、そこに込められたイメージや意図が感じられます。
そして、そういった色彩で描き出されたネズミやリス、兎といった小動物の、児嶋さんのテイストが充満した独特の表情や佇まいを眺めていると、僕にはその「生」への執念というか、尋常ではないエネルギーを感じます。
児嶋さんとお話ができ、いろいろと伺えたのですが、これらは「自画像」のようなものだそう。しかし、見る人にはそれぞれで感じ取ってほしいそうで、僕もいろんな方の印象を聞いてみたい気がします。

児嶋サコ@山本現代01 児嶋サコ@山本現代02

児嶋サコ@山本現代03


《3/18》
☆春風のおくりもの展
恵文一乗寺店/ギャラリーアンフェール
京都府京都市左京区一乗寺払殿町10
3/13(火)~3/19(月)
10:00~22:00(最終日:~18:00)
春風のおくりもの@恵文社DM.jpg


・小池歩展「おきにいり」
ヴォイス・ギャラリーpfs
京都府京都市上京区河原町通今出川下ル梶井町448 清和テナントハウス
3/13(火)~3/18(日)
13:00~20:00(最終日:~18:00)
小池歩DM.jpg

偶然、DMを見つけて興味を持ち、伺った小池さんの個展。
独特の表情の人物が印象的です。なかでも、やはり優しい表情の作品に惹かれます。

小池歩03 小池歩02

小池歩01


☆鈴木良治作品展
京都今出川ギャラリー
京都府京都市上京区今出川通烏丸西入ル北側築山南半町244-2
3/10(土)~3/22(木)金休
11:00~19:00
鈴木良治@今出川パンフ.jpg

石井鈴 個展
@銀座スルガ台画廊
東京都中央区銀座6-5-8 トップビル2F
3/5(月)~3/10(土)
11:00~19:00(土:~17:30)
石井鈴3/5DM.jpg


スルガ台画廊で開催されているレスポワール展、今回はオーソドックスなスタイルの日本画。
石井鈴さんの個展です。


まず、入口正面の壁いっぱいに広がった画面で展開される蘇鉄の絵に圧倒されます。
暑い夜を思わせる黒の背景に、蘇鉄の葉にある1本1本の細いシルエットがその背景の黒に映える鮮やかな色彩で描き出され、広々とした光景の中で妖艶に揺らいでいるように感じられます。
地表から昇りたつ熱のようなものも伝わり、臨場感たっぷりの作品にまず引き込まれた次第です。

石井鈴@スルガ台01


額装された風景画の作品においても、エキゾチックな雰囲気が充満しています。
暮れる空の鮮やかなグラデーションが美しく再現され、それが水面に映し出された様子もていねいに表現されています。
また、夜空と深遠な緑に覆われた山のシルエットを描いた作品は他の作品とは趣が若干異なり、すべての生命が眠りについたかのような沈み込む静けさが感じられます。
一面がグレーに統一されたような風景は、靄がかかった様子がその色彩から感じられ、独特の味わいです。
画面に登場する色彩によって、絵の世界の雰囲気が劇的に違って伝わってくることがたいへん興味深いです。


石井鈴@スルガ台04 石井鈴@スルガ台05

石井鈴@スルガ台06


肖像画の小品も。
ひとつの色彩の背景に浮かぶように描かれている目を閉じた表情。
このシンプルさがむしろ、閉じた目蓋の内側に何が浮かんでいるのだろう、と想像が広がり、静かな雰囲気に奥深さが感じられます。


石井鈴@スルガ台03


エキゾチックなモチーフとそこから醸し出される異国的な雰囲気が印象に残る画風です。
加えて画面に盛り上げがほとんど施されないフラットさも目に留まります。
石井さんの画風で、他にもいろんな光景を観てみたい気がします。


石井鈴@スルガ台02

齋藤健太郎展
OギャラリーUP・S
東京都中央区銀座8-11-3 山田ビル3F
3/5(月)~3/11(日)
12:00~20:00(日:11:00~16:00)
齋藤健太郎3/5DM.jpg


おおっ!かっこいいっ!

メカニカルな風貌を晒す動物たちが登場する作品群。
Oギャラリーのちいさいほうのスペースで開催された、齋藤健太郎さんの個展。


しかし、このメカニカルな精緻さ、幾何学的な立体感とそれが構築する奥行きを木版画で再現してしまうとは...。
脱帽です。


齋藤健太郎@O 02 齋藤健太郎@O 03

齋藤健太郎@O 01


細い輪郭線が凸版で摺られているのが信じられないくらいのアーバンな風合いと、それでも滲み出る木版の優しい質感とのマッチングも痛快です。
ひとつの画面ごとに統一された色彩がファンタジックな雰囲気を充満させつつ、そこに描かれるメカニカルな動物たちのアーバンさ、クールさをさらに効果的に演出しています。
大きな画面にその機械的な表面をうねらせる鮫のダイナミックな姿には圧倒されっぱなし。


齋藤健太郎@O 06 齋藤健太郎@O 05

齋藤健太郎@O 04


このちいさなスペースの壁をぐるりと作品が一周していたのですが、正直、ぜんぜん物足りない...というか、もっとたくさん観たい!と思わず気が急いてしまうほど。
無論、展示されている作品ひとつひとつを、至近でその細かく複雑に入り組んだ模様をじっくりと眺めているだけでも気分は高揚し、どんどんそのフューチャリスティックな世界に入り込んでいきます。


齋藤健太郎@O 12 齋藤健太郎@O 11 齋藤健太郎@O 10

齋藤健太郎@O 08


小品でもその存在感は変わらず。
そのキャラクターのかっこよさが小さな画面でも際立ち、厚めのパネルにマウントされて、画面のなかの奥行きに加えてさらに立体的に感じられます。

齋藤健太郎@O 07


さまざまなイメージが止めどなく湧き出てきます。
このかっこよさがたまらなく好きな人は潜在的にものすごい数なのでは、と想像してしまいます。

そして、木版なのでいろいろと制限があるのは理解しつつも、もっとダイナミックな展開を期待したくなる、エンターテイメント性にも溢れた展示でした。


齋藤健太郎@O 09

井上直子展
ギャラリー惣
東京都中央区銀座7-12-6 銀座トキワビル5F
3/5(月)~3/10(土)
11:00~18:30(土:~16:30)
井上直子3/5DM.jpg


・・・もうね、真っ赤なわけですよ。
そして、画面のひとつひとつに奥行きがあって、楽しいわけですよ。

昨年、OギャラリーUP・Sでの個展を拝見してそのユーモラスな空間が印象に残っていた井上直子さんの、ギャラリー惣での個展です。


とにかく、赤い!
ギャラリーの壁には、床も壁も天井も赤い空間を描いた作品がところ狭しと展示されています。
そして、まるでギャラリーからたくさんの別の空間への入口が設けられたように、絵の中の世界はぐぅんと遠くまでの奥行きがもたらされています。そしてその中でも、壁がパタパタと連なっていたり、段々の床やら穴やらまた別の入口やら、まるで迷路のアトラクションみたいに展開していて、そこにいることを想像しただけで気分が盛り上がってきます。


井上直子@惣05 井上直子@惣06

井上直子@惣09 井上直子@惣10 井上直子@惣11

井上直子@惣08


絵の中には、なにやら妙なかたちのキャラクターが登場しています。
井上さんのお話では、これはお墓だそう。
この空間を彷徨う魂の姿のようにも感じられます。しかし、そのお墓のなんともかわいい佇まいと、サイズ的に思いっきり持て余し気味に感じられる広々とした絵の中の空間とのギャップが、ユーモラスな雰囲気を醸し出しています。


井上直子@惣02 井上直子@惣03

井上直子@惣01


小品でも展開される世界の面白さ、スケールの大きさは変わらず。
むしろ小さな画面に収められていることの痛快さが感じられて、楽しさがぎゅっと詰まっています。


井上直子@惣07


もしこの絵の空間が実際に再現されたらどうなるんだろう、と思うと、またワクワクした気分が再燃してきます。
もっとどっぷりと浸ってみたい空間です。


井上直子@惣04

長雪恵展 -とある場所の日常-
アートスペース羅針盤
東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル2F
3/5(月)~3/10(土)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
長雪恵3/5DM.jpg


なによりまずそのユニークな手法。
そして、その手法で描き出される絵もまたユニーク。


グループ展などでこれまで拝見してきた長雪恵さんの、アートスペース羅針盤での個展です。
木版を彫刻刀で彫ってその線で描くという、要するに木版画の版が作品になっているんです。

木の板の素朴な肌触りと、その表面の色付けされた黒の素朴さ。
描かれるように掘られているのはなんとも牧歌的な光景で、そこにさまざまな動物の姿が見受けられます。
なんだかのんびりした昔話の挿絵を眺めているような気分に誘ってくれます。

長雪恵@羅針盤03 長雪恵@羅針盤04 長雪恵@羅針盤02

長雪恵@羅針盤01


黒と板の木の色だけの作品の朴訥とした味わいも独特で良いのですが、さまざまな色彩を施された作品もいい感じです。
淡い色彩がカラフルに広がって、やさしい雰囲気が溢れます。


長雪恵@羅針盤06


出展された作品のサイズもさまざまで、こうやって長さんの作品で囲まれてみると、子供の頃に日本の民話を読んで想像した時代の世界に入り込んだような気分も沸き上がってきます。
もっとも、昔話には出てこないモチーフも実はいろいろ入っていたりして、そういうのが見つかるのも結構楽しかったりするのです。


長雪恵@羅針盤09 長雪恵@羅針盤07

長雪恵@羅針盤10


この親しみ溢れるユニークな手法、一度目にしたら忘れられないんです。
木板という素材がそのまま活かされているところが工芸的であったり、そこに彫り込まれる線も、その「彫る」ろいう行為がダイレクトに伝わっていきいきとしていて、作品のなかに描かれる風景に賑やかさが感じられます。
そして、この手法でしかできないこともきっとたくさんあるだろうし、これでまた違うものが描かれたらどんな味わいなんだろう、といろんな想像がすぐに浮かんできます。

長さんの今後の展開がすごく楽しみです。


長雪恵@羅針盤05

工藤雅敏展
GALLERY b.TOKYO
東京都中央区京橋3-5-4 第一吉井ビルB1F
3/5(月)~3/10(土)
11:00~19:00(金:~21:00、最終日:~17:00)
工藤雅敏3/5DM.jpg

アバンギャルドな芳香を放つ色彩の絢爛。


今年の初めに開催されたSAN-AI GALLERYでのグループショーにも参加されていた、工藤雅敏さんの、昨年に引き続いてGALLERY b.TOKYOで開催された個展です。

そのグループ展からそれほど経っていないこともあって、新作と合わせてそのときに発表された作品も出展されていましたが、このギャラリーの、外の明るさに左右されないアンダーグラウンドならではの空間で展示されると、あらためて工藤さんの妖しくアブない世界がまた違ったかたちで引き出され、たいへんクールかつホットな空間が作り上げられていました。。

地下へと誘う階段の正面にこうやって青の作品が展示されていて、階段に足を踏み入れただけで観る側としては気持ちがスタンバイされます。

工藤雅敏@b.TOKYO 01


これまでの、特に昨年初め頃までの印象と比べると、ひとつの画面の色彩の統一感が出てきた感じがします。
したがって、その色彩の鮮やかさが、工藤さん独特の色彩のスプレッドでさらにシャープに画面の上に現れ、圧倒的な混沌と異空間への入口のようなただならぬ雰囲気を充満させているように伝わってきます。

工藤雅敏@b.TOKYO 06


今回出展された小品も興味深いです。
入口すぐに展示されていたオレンジの作品のケレン味のなさといい、今回出展されている作品の中ではさまざまな色が画面の中で異様なうねりを引き起こしている作品群のエネルギッシュさは、小さいながら、圧巻の一言に尽きます。

工藤雅敏@b.TOKYO 03 工藤雅敏@b.TOKYO 04

工藤雅敏@b.TOKYO 02


もちろん、大きな画面の新作も出展されていました。
どこともつかぬようなアブストラクトな光景。ここが天国への入口か、それとも地獄なのかも判別がつけ難いほどに、異様なムードを漂わせているゾーンが画面の中で展開され、そこから感じ取るイマジネーションも、動揺にも似た尋常でない心象のうねりを持って広がっていきます。

工藤雅敏@b.TOKYO 09 工藤雅敏@b.TOKYO 10 工藤雅敏@b.TOKYO 11

工藤雅敏@b.TOKYO 08


以前、あるラジオ番組で耳にしたエピソードなのですが、毒キノコがなぜあのように鮮やかな見かけをしているのか、ということに言及されていたことがあって、うろ覚えですが、その理由というのが「見かけがあのように鮮やかだと動物の目に付きやすいため、すぐに食べられてしまう。それを防御すべく、進化の過程で毒を持つようになった」という内容で。

・・・だとすると、工藤さんの作品ももしかしたらものすごい「毒」を持っているのかも知れない、と思うんです。
で、その「毒」は無論危ないものではあるけれども、その危なさは、危ないからこその魅力を持ち合わせていて、だから工藤さんの作品に惹かれるのかもしれない、と。
このアバンギャルドさ、危なさにはむしろどっぷりと浸りたい、そう思わせてくれるクリエイションです。


工藤雅敏@b.TOKYO 07

大和由佳展
ざくろ坂 ギャラリー一穂堂
東京都港区高輪3-13-1
3/1(木)~3/10(土)水休
11:00~19:00(日:~15:00)
御殿山ギャラリー一穂堂
東京都品川区北品川4-3-3
3/1(木)~3/31(土)3/10まで水休、3/12以降は木金土のみ
11:00~19:00(日:~15:00)
大和由佳3/1DM.jpg

さまざまなサイズの空間で展開される、深みと渋さに満ちたインスタレーション。


昨年、京橋のINAXギャラリーでたいへんユニークな静謐感を伴ったインスタレーションを拝見して印象に残っていた大和由佳さんの、一穂堂が品川界隈に持つふたつのスペースで開催された展覧会です。


まず、3月10日に会期が終了してしまったのですが、高輪プリンスホテルのざくろ坂沿いの一角にあるざくろ坂ギャラリー一穂堂での展示。こちらでは、平面に収められた作品と、小さな台の上に置かれたオブジェが出展されていました。

このスペースの特徴である煉瓦造りの壁に掛けられた平面作品。
これまで大和さんが展開されてきたインスタレーションをモチーフに、手透きの和紙などに彩色が施されるなど、素材の質感を全面に現しつつ、自然に生まれる表情がそのまま活かされて、独特の風合いを醸し出しています。

大和由佳@ざくろ坂02 大和由佳@ざくろ坂01

飛ぶ鳥のシルエットやテントのかたち、舟など、そこからにじみ出る素朴な感じから、遠い過去の記憶へのイメージが広がっていくような...そこには詰め込まれた意図があるはずなのに、むしろ意図が存在しない、そういったものに縛られずに出来たようなピュアさが伝わってくるかのように思えます。

大和由佳@ざくろ坂04 大和由佳@ざくろ坂05

大和由佳@ざくろ坂03

台の上のオブジェ的な作品は、まさにその小さなスペースの上でインスタレーションが展開されているかのよう。

入口からいちばん近い台の上に置かれたアクリルのキューブの作品。
熱せられた篭手か何かで黒い線が入れられ、表面のフラットさと素材の透明さから感じられる未来的な風合いと、それを包むように施された黒い溝とのギャップがたいへん興味深いです。
不思議とお互いの美しさ、かっこよさを、イレギュラーなかたちで引き出しあっているように感じられます。


大和由佳@ざくろ坂07

大和由佳@ざくろ坂06


さらに他の作品では、こちらもアクリルや和紙を用いて小さいながらも広々としたイメージを抱かせる展開がなされています。


大和由佳@ざくろ坂08 大和由佳@ざくろ坂09


本来は空間いっぱいで展開されているであろうインスタレーションが、この小さな中に収められています。
台の上という限られた空間で展開されていることが、逆に、なかなか実現し得ない広大なスペースで展開された状況を連想させてくれて、例えば海であったり、溶岩の上、大理石の塊など、そういった場所を彷徨うイメージを引き出してくれます。


大和由佳@ざくろ坂11 大和由佳@ざくろ坂12

大和由佳@ざくろ坂10

もうひとつの展示場所である御殿山ギャラリー一穂堂は、品川の原美術館がある通り沿いにあるガラス張りのスペース。
原美術館へ行くときにいつも気になっていた空間で、ガラス張りなので中の様子は外からでも充分拝見できるのですが、中へ入ったのは今回が初めて。

こちらでは、ちょっと狭い空間ながら、大和さんらしいアプローチのたいへんユニークなインスタレーションが展開されています。
テントの骨組みだけがひとつ設営され、その床面は実に細やかな手触りの砂が一面に敷かれ、さらに水が張ってあります。伺ったのは夜で、その水面に照明のスポットが映り込んでいます。


大和由佳@御殿山01 大和由佳@御殿山02


実物大というだけで空間をほぼ占めてしまうほどのテントの骨組み。
かえってそのことで、僕にはこの空間がぐんと広く感じられ、自分が小さくなって巨大なテントを見上げているようなイメージが沸き上がってきた次第です。そう思うと、床に広がる水面も大きな湖に思えてきます。
無論、テントが異様に巨大なわけになるのですが...(笑)。


大和由佳@御殿山03


大和さんの展示を拝見していると、浮かぶイメエージとそれを具現化したときのギャップを埋めるべく、さまざまなアプローチを探られているのでは、という想像が浮かんできます。
もちろんその過程で生み出されるクリエイションも独特の見応えがあって興味深いのですが、そのギャップが埋められたとき、どんな空間や作品が現れるかを考えると、これからの大和さんの展開がすごく楽しみになってきます。

東園基昭展
ぎゃらりぃ朋
東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル2F
3/10(土)~3/3(土)
12:00~19:00
東園基昭3/10DM.jpg

遊び心とユーモアで満ちた、お洒落で小粋な日本画。


昨年の個展以来、展示のたびにその世界で楽しませてくれる東園基昭さんの、その昨年のと同じくぎゃらりぃ朋での個展、土曜日はじまりということもあり、初日に伺うことができました。

ぎゃらりぃ朋のホームページもリニューアルされ、期せずして第1弾となった今回の展覧会、そのオープニングを飾るにふさわしく、楽しみどころもいっぱいに溢れています!


東園さんの作品は、いろんなモチーフのシルエットのなかに、美しい紋様や絵柄が描き込まれています。
その丁寧さと、そこに収められた遊び心、観てぱっと伝わる分かりやすさがたまらないんです。

ペン先はもちろん、背景も細やかな模様、紋様がごっちゃりと描き込まれた万年筆。
実に細い線が駆使され、画面のなかでいろんな流れを作りあげています。
万年筆という、親しみと憧れを感じるアイテムがこういうふうに取り上げられる面白さ。同時にレトロさも伝わってきて、いろんな楽しいイメージに心が満たされます。

東園基昭@朋 06

東園基昭@朋 05


他の作品にもそういったユーモアがふんだんに詰まっています。
ひとつの薄い色彩によるシンプルな背景では、シルエットの形がきりりと引き立てられ、まるで変わったかたちの窓から外を眺めるように、あるいは覗き穴からその中の模様を覗き込んでいるかのように、そのシルエットのなかの絵に独特の奥行きと広がりを感じます。

東園基昭@朋 01 東園基昭@朋 02

東園基昭@朋 03 東園基昭@朋 04


なんともレトロな形をしたカメラがモチーフとなった作品。
レンズのなかに描き込まれた絵柄の賑やかなことといったら...。こういう粋なユーモアに思わず笑みがこぼれます。

東園基昭@朋 08

東園基昭@朋 07


そういった作品がずらりと、小品を中心に比較的大きな画面の作品を織りまぜつつ、ギャラリーの空間をぐるりと囲むように展示されています。
それぞれの画面が見せる表情のエンターテイナーっぷりに脱帽しながら、同時にそこから滲み出てくる優しさにほっこりと和まされます。

東園基昭@朋 10 東園基昭@朋 09 東園基昭@朋 11

東園基昭@朋 13 東園基昭@朋 14


その世界に出会うたびに「わーっ!」と気分が盛り上がります。
絵柄とシルエットの組み合わせに今回もたくさん楽しませていただきましたが、これからどういう組み合わせの妙が登場するか、楽しみです!

東園基昭@朋 12

金丸悠児展 -地図-
新生堂
東京都港区南青山5-4-30
3/7(水)~3/17(土)日休
11:00~18:00(最終日:~17:00)
金丸悠児3/7DM.jpg

金丸悠児@新生堂03


金丸悠児さん風景画。
それだけで、これまで折りに触れて拝見してきた僕としては、ワクワクした気持ちに、


ずっと楽しみにしていた今回の新生堂での金丸さんの個展は、これまで描いてきた動物やサボテンのモチーフから離れ、『地図』がテーマとなっています。
点数こそ少なめですが、そこで展開されているのは素晴らしく大きな広がりをもっていて、充分に見応えのある展覧会です。


まず、小品。
ちいさな画面に風車や屋根の連なりが描かれています。
画面のなかには、これまでの金丸さんの作品と同様に荒い目の麻布や外国の新聞紙などが取り込まれ、渋い色彩と合わせて独特の味わいを醸し出しています。
また、このサイズだからこそのかわいらしさも。大事な想い出を思い起こさせてくれるいとおしい風景を、この小さな画面に収めたような優しさも伝わってきます。
また、その風景のなかにイグアナなどの金丸さんの作品のなかではおなじみのモチーフがひっそりと馴染んでいるのも、なんともユーモラス。

金丸悠児@新生堂02

金丸悠児@新生堂01

そして、今回の展示のクライマックスとでもいうべき組作品。
中央に大きな画面の作品が据えられ、そのまわりを小品が囲むように配置されたダイナミックな展開を持つ作品です。
さまざまな風景が描かれていて、そのひとつひとつがこの『街』のある場面、ある表情を現しているような...まるでひとつの大きな物語とたくさんのサブストーリーの関係のように、それぞれの作品がお互いに響きあっています。


金丸悠児@新生堂10 金丸悠児@新生堂08 金丸悠児@新生堂09

金丸悠児@新生堂11


この作品にももちろん、これまで金丸さんが描いてきたいろんなおなじみのモチーフがふんだんに織り込まれています。それらを見つけるたびに嬉しさ、楽しさが沸き上がるとともに、この作品に至る金丸さんの道のりが感じられ、いろんな記憶が走馬灯のように呼び起こされ、あったかい懐かしさが心いっぱいに広がります。
麻布が画面に貼られるときに用いた糊が照明の光を受けて金色に輝いて見え、意外な形でこの光景に素敵なアクセントをもたらしているのも嬉しいです。


金丸悠児@新生堂07 金丸悠児@新生堂06 金丸悠児@新生堂05

近付いて隠れたいろんなモチーフやアクセントを見つけていく面白さ、全体を俯瞰してそこに現れるひとつひとつのモチーフを結び付けていって綴られるヅトーリーに浸る楽しみ。エンターテイメント性に溢れた素敵な作品です。


この作品は、いちばん上に掲載した横長の作品の他、さらに数点の作品が加えられ、 さらに大きく展開されるとのこと。
それも年内、おそらく夏頃には全貌が観られるそうなので、「どんなふうに広がって再び現れるんだろう」と、今観られる状態の展示を前にしつつ、期待がいっそう大きく膨らみます。


金丸悠児@新生堂04

斎藤ちさと展 ◎気泡研究vol.2…………“泡像と泡生活”
ART BY XEROX GALLERY
東京都港区六本木6-15-21 ハークス六本木ビル1F
3/2(金)~3/17(土)日月休
11:00~19:00
斎藤ちさと3/2DM.jpg

鮮やかな色彩。それを引き出す豊かな泡の表情。


六本木の富士ゼロックスのオフィスをギャラリーとして公開しているART BY XEROX GALLERY。初めて伺ったのですが、お休みのオフィスの裏口から入れてもらうドキドキ感(笑)と、複数のオフィスルームと通路とを使った展示の充実さにたいへん楽しませていただいた次第。

で、今回は、斎藤ちさとさんの写真とドローイング、アニメーションが展示スペースいっぱいに展開されています。

まず、オフィスのなかの壁いっぱいに展開されている白いドローイングに圧倒されます。
くすんだ白の背景に、まるで雲の輪郭ように白く太い線がうねり、その動的・静的どちらも伝わる風合いを体で浴びるように感じ、気分が不思議な高揚感に満たされます。

斎藤ちさと01

印画紙の上に直接ものを乗せて制作された「フォトグラム」作品も数点、オフィスの一角に展示されています。
これがかっこいいんです。セピア色、あるいはモノクロームの画面のなかに封じ込められた、さまざまな時間へと誘ってくれる面白さ。
斎藤さんの過去の作品がいっしょに紹介されていることで、斎藤さんのクリエイションの幅の広さが伺えます。

斎藤ちさと02 斎藤ちさと03

そして、メインは泡を撮影した写真。
なにより、その色彩の美しさに見愡れます。

斎藤ちさと04

1mを軽く超える大きさの作品から小さなものまで、さまざまなサイズの作品がオフィスルームと通路とに展示されています。
そこに収められた鮮やかな色彩。抜けるような青、瑞々しい緑、どこまでも深く続くような黒。
その表面に現れる気泡が見せる陰影が、そこに収められた光景のスピード感の刹那的な風合いを醸し出しています。
泡にピントが合わせられることで、バックの背景がぼやけ、それが美しい色彩のグラデーションを作り上げているのも印象的です。

斎藤ちさと08 斎藤ちさと11

斎藤ちさと07

また、おそらく加工されたと思われる作品も面白いです。
この画面から伝わるフューチャリスティクな色彩のグラデーションがかっこいい!

斎藤ちさと09 斎藤ちさと10

斎藤ちさと06

通路の壁に描かれた大きなドローイングも。
すぐに消えてしまう泡の姿を捉えようとするように、思い浮かんだ絵を瞬発的に描いたような印象で、瞬間を切り取った写真とのコントラストも興味深く感じられます。

斎藤ちさと12

斎藤ちさと13

いちばん奥の部屋では、無音のアニメーションが上映されています。
真っ暗なスクリーンに映し出される白い線。それらは小さな気泡が水のなかから水面へと上昇していく様子を中心に、さまざまな展開を見せながら時にダイナミックに激しく線がざわめいたり、一瞬だけ文字の羅列が浮かび上がったり...そしてすべての最後は気泡が小さく弾けて無に帰する...。
現れる線や泡に生命が宿っているかのような印象が、心に深く残ります。

斎藤ちさと14 斎藤ちさと15 斎藤ちさと16

オフィスのなかで体感する、さまざまなスタイルの作品で展開される斎藤さんの世界。
自らも気泡となって、その色彩のなかを泳いだような想像が沸き起こりました。

斎藤ちさと05

forerunners & four eggs 草間彌生&替場綾乃
GALLERY MoMo
東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
3/6(火)~3/17(土)日月祝休
12:00~19:00
four eggsパンフ.jpg

ぱっと目にした瞬間、「あっ!」とストレートに届く面白さ、かわいらしさ。


2ヶ月連続で4つの展覧会を開催するGALLERY MoMoの企画、「forerunners & four eggs」。
その最初を飾るのが、現在TWS渋谷で開催されているワンダーシードでロビーに置かれたピアノの上の位置に作品が飾れられている替場綾乃さん。


とにかくユニークです。そして分かりやすい!
厚いパネル板がさまざまなかたちにカットされた作品。真っ白な背景に描き込まれた細かいパターンと、鮮やかな色で塗られたパネルの側面がキャッチーさを思いっきり発散しています。


替場綾乃@MoMo 11


それにしても...。
こんなにもかわいい形ににカットされていることの痛快さが堪らない!

ほぼ等身大の女の子のシルエットの形になっている作品なんて、ホントに楽しいイメージが広がります。
そして、その全面に施された手描きのパターンの細やかさといったら。こちらに描かれているのは花。女の子のシルエットと花というのも、これ以上ない組み合わせに感じられます。
しかし、この精緻なパターンが手描きだというのがホントにすごいです。もちろんひとつひとつの形は違ってきてはいるのですが、そんなことより、このようにシルエットにここまで丁寧にパターンが施されていることで作品の無邪気さ、いきいきとしたイメージが広がっていきます。


替場綾乃@MoMo 02 替場綾乃@MoMo 03

替場綾乃@MoMo 01


この作品と並んで展示されているのが、二人の女の子のシルエット。
先の作品の側面の鮮やかなピンクとこちらの蛍光色っぽいイエローとのコントラストも最高に鮮やか。
この鮮やかさが真っ白な壁に映え、画面に踊るパターンと壁から現れたようなシルエットをさらに引き立てています。


替場綾乃@MoMo 05 替場綾乃@MoMo 06

替場綾乃@MoMo 04


一方で、四角い作品も展示されています。こちらはパターンの面白さがぐんと全面に現れています。
同時に画面にも明るい色彩が乗り、黒の紋様と色彩とのコラボレーションが楽しく繰り広げられ、そこに軽やかなリズムが生まれています。


替場綾乃@MoMo 09 替場綾乃@MoMo 08

替場綾乃@MoMo 07


台の上にちょいんと座るインスタレーションもなんとも不思議なかわいさ。
動物の体に描き込まれ、そのまわりににも置かれた黒い花が白い一角に映えます。


替場綾乃@MoMo 12


草間も平面ではパターンのアーティストという印象なので、この新旧のパターンのコントラストも実感できる、たいへん面白い展覧会です!


替場綾乃@MoMo 10

重野克明 新作タブロー展
77ギャラリー
東京都中央区銀座7-5-4 毛利ビル5F
3/5(月)~3/15(木)日休
11:00~19:00
重野克明3/5DM.jpg

・・・それでも伝わる、懐かしくて優しい感じ。
ふわりと、包み込まれるように...

アートギャラリー環でのコレクション展ヤマサコレクションでのグループショーでもたいへん印象深く心に残る作品を拝見している重野克明さんの、今回はタブローの展示です。

重野さんというとヤマサコレクションでの企画でピックアップされているように、銅版画家というイメージがあるのですが、これまでもあの味わい深い銅版画の独特の世界を知っていることもあって、今回のタブローを拝見して、さらに重野さんの世界に奥行きと広がりを体感することができた気がします。

重野克明@77 04

たいへんなめらかでクリーミ-な油絵の具の質感が画面に広がります。
タブローということでアートギャラリー環で拝見したドローイングを連想していたこともあって、その予想外の質感に驚きました。

しかし、そこで描き出される世界は、これまで銅版画で拝見してきたあの素朴なかわいらしさに溢れています。

重野克明@77 02

セピア色に褪せてしまった子供の頃の記憶。
それらを優しく思い出させてくれるような感触を、重野さんの銅版画に感じています。

そして今回のタブローは、その褪せた記憶がナチュラルな淡い色で彩られて表現されたかのような印象です。
銅版画でも見かけた、目がぱっちりと大きな女の子の顔、丸みを帯びたなんともかわいらしい飛行機の機影、妙に艶かしいポーズを気取ったレトロな女性の姿。そういったおなじみのモチーフが、銅版画とはまったく違う色彩、質感で表現されていながら、しっかりと、「あぁ...あの重野さんの世界なんだ...」分かって、そしてもしかしたら生まれる前の記憶さえも思い起こさせてくれるほどの懐かしさに浸れる、なんともあたたかい嬉しさに溢れています。

重野克明@77 03

さまざまなサイズ、さまざまな厚みのパネルに描かれた作品群。
銅版画ではなかなか展開できない大きな作品で、重野さんの絵を観ることができるのもまた楽しいです。
そして、独特の瑞々しい色彩に包まれた空間のなかにいると、これまで感じたことがない神々しささえも伝わってくるかのようです。

今回のタブローを拝見して、重野さんの今後の展開がさらに楽しみになってきた次第です。

重野克明@77 01

《3/8》
・中川久美子 深沢和美 二人展 -むこうがこちら-
表参道画廊
東京都渋谷区神宮前4-17-3 アークアトリウムB02
3/5(月)~3/10(土)
12:00~19:00(最終日:~17:00)
中川・深沢3/5DM.jpg

今年度のムサビの修了展示でも印象に残った深沢和美さんと、中川久美子さんの二人展。きれいに空間がシェアされた心地いい展示。

深沢和美さんのガラスのオブジェは、無機的なかたちの組み合わせによって構成されていてかっこいい!
また、ワイングラスをモチーフにしたようなオブジェの一群も、それぞれのアレンジのされ方に加え、複雑な3次元のイメージが投入されたようなユニークさが面白いです。
深沢和美01 深沢和美02 深沢和美03 深沢和美04

中川久美子さんの作品は、壁にずらりと配された「手」。手のひらをこちら側に向けているのが「yes」、逆に手の甲なのが「no」。その分かりやすい提示と、味わい深い質感、袖の部分の細やかさが印象に残ります。もう少し大きめの作品の展開もぜひ拝見してみたいです。
中川久美子01 中川久美子02

《3/9》
・今村哲 アリの巣
KENJI TAKI GALLERY
東京都新宿区西新宿3-18-2-102
2/1(木)~3/9(金)日月祝休
12:00~19:00
今村哲2/1DM.jpg

うっわもうなんだこの凄まじくインタラクティブなインスタレーションはぁぁぁぁ!Σ( ̄口 ̄;)
・・・ギャラリーのスペースいっぱいにベニヤのパネルを組み上げて上部の穴から入ってそのなかの暗がりをうろうろと膝をついて彷徨い、やっと見つけたよ小さな覗き穴を!
実に微妙な達成感を持って入口の穴に戻って、最終日ということでいらっしゃってた今村さんに
「覗き穴見つけました、ひとつだけですよね!」
とご報告。すると今村さん、

「・・・4ケ所あるんですけど(笑)」

・・・orz

再び穴のなかへ。
その間になかで暗闇と格闘中だった男性の方をふいに驚かせてしまったりしつつ、見つけましたよ全部。

いや、面白かったです。

展示されている作品も、粗めの麻布の質感をそのまま活かした味わい深いものや、あとは不思議な体操みたいな作品のキッチュさが堪らなくおかしかったです。

・コテンコテン 阪本昇次・阿部香 二人展
GALLERY Malle
東京都渋谷区恵比寿4-8-3 神原ビル1F
3/5(月)~3/11(日)
12:00~19:00(最終日:~16:00)
コテンコテンDM.jpg

今年度の芸大の卒業展示では10分弱のダイナミックなアニメーションを出展されていた阿部香さんのタブロー作品と、阪本昇次さんの銅版画が出展されていました。
阪本さんの銅版画は、好きなものを描いている楽しさが伝わってきて、いい感じでした。

阿部さんの作品は、ちいさな画面に明るい色彩がカラフルに重なって、それでいて不思議と透明感とあったかさを感じる優しい印象です。そのとき心に浮かんだことがいっぱいに詰まった想い出ののような、あるいは手のひらに乗せた夢のような。
阿部香01 阿部香02

《3/10》
☆斎藤ちさと展 ◎気泡研究vol.2…………“泡像と泡生活”
ART BY XEROX GALLERY
東京都港区六本木6-15-21 ハークス六本木ビル1F
3/2(金)~3/17(土)日月休
11:00~19:00
斎藤ちさと3/2DM.jpg


☆forerunners & four eggs 草間彌生&替場綾乃
GALLERY MoMo
東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
3/6(火)~3/17(土)日月祝休
12:00~19:00
four eggsパンフ.jpg

☆東園基昭展
ぎゃらりぃ朋
東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル2F
3/10(土)~3/3(土)
12:00~19:00
東園基昭3/10DM.jpg

☆重野克明 新作タブロー展
77ギャラリー
東京都中央区銀座7-5-4 毛利ビル5F
3/5(月)~3/15(木)日休
11:00~19:00
重野克明3/5DM.jpg

・Oil キラキラ1/2展
すどう美術館
東京都中央区銀座6-13-7 新保ビル4F
3/6(火)~3/11(日)
11:00~19:00(土日:~17:00)
Oilキラキラ3/6DM.jpg

多摩美術大学の油画専攻の卒業制作の展示。
さまざまなアプローチの作品に溢れていたなかで、野掘佳奈子さんの透明のパネルにおそらく透明の樹脂によって盛り上げられた線画が施された立体の作品が印象に残りました。ひとつはそのキューブに水が張られていて、気泡と樹脂の線とによって絶妙のハーモニーをつくり出していたのも興味深いです。

笠井千鶴 -my room-
十一月画廊
東京都中央区銀座7-11-11 長谷川ビル3F
3/5(月)~3/17(土)日休
12:00~20:00(土:~17:00)
笠井千鶴3/5DM.jpg

表参道画廊でのインスタレーションが面白かった笠井千鶴さん。
今回は十一月画廊の空間を見事に活かしたインスタレーション。
何やら謎めいた雰囲気が漂いつつも、その意味合いの不思議さから醸し出される独特のユーモアに思わず笑ってしまったり。
笠井千鶴my room01

菅原布寿史展 “月の植生”‐オブジェと水彩による‐
画廊宮坂
東京都中央区銀座7-12-5 銀星ビル4F
9/19(火)~9/24(日)
11:00~18:00(最終日:~17:00)
菅原布寿史3/5DM.jpg

白の画面に白のアクリル顔料でスクリーンプリントを数回重ねて行うことで、画面に立体的なグラデーションがつくり出されていて圧倒されてしまった次第。
白の美しさのコントラストも素晴らしいです。
また、紙を立体的に構築した作品もすごくかっこよかった!
菅原布寿史02 菅原布寿史03

菅原布寿史04

・戸祭睦美展
@Gallery銀座フォレスト・ミニ
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル513
3/5(月)~3/10(土)
12:30~19:00(最終日:~17:30)
戸祭睦美3/5DM.jpg

上記のすどう美術館でのグループ展にも大きな作品を出展されていた戸祭睦美さん。
こちらは小品の展示で、なんともかわいらしい世界がそれぞれの画面にパッケージされていました。大きな作品でのどこかゆらゆらと揺れるようにストーリーが展開している印象でしたが、小さな作品だとそのなかのエピソードがコンパクトに収められたような感触です。
ぼやっと曖昧さが独特の雰囲気を醸し出しているものと、くっきりとた輪郭のものと。どちらも個性的な風合いです。
戸祭睦美01 戸祭睦美02

・Lust 海老原靖
Gallery≠Gallery
東京都中央区新川1-3-23 八重洲優和ビル2F
3/3(土)~3/15(木)
12:00~19:00(最終日:~17:00)
海老原靖3/3DM.jpg

つい先日、フタバ画廊での個展でその空間を埋め尽くしたばかりの海老原靖さん。
今回もGallery≠Galleryに溢れんばかり作品を出展されていて、そのバイタリティにまず驚きました。
今回は、頭髪を精緻に描き、顔をぼやっと描いたシリーズ。髪の細やかな表現が、顔の曖昧な表情を際立たせているように感じられ、なんとも独特の雰囲気が印象に残ります。
海老原靖01 海老原靖02 海老原靖03

第1回shiseido art egg 内海聖史
SHISEIDO GALLERY
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビルB1F
3/9(金)~4/1(日)月休
11:00~19:00(日祝:~18:00)
art egg2007DM.jpg


☆大和由佳展
ざくろ坂 ギャラリー一穂堂
東京都港区高輪3-13-1
3/1(木)~3/10(土)水休
11:00~19:00(日:~15:00)
御殿山ギャラリー一穂堂
東京都品川区北品川4-3-3
3/1(木)~3/31(土)3/10まで水休、3/12以降は木金土のみ
11:00~19:00(日:~15:00)
大和由佳3/1DM.jpg


・奇秘の記 ∞ 林晃久展
書肆啓祐堂
東京都港区高輪3-9-8 高輪インターコート1F
3/2(金)~3/12(月)水休
13:30~19:30(最終日:~18:00)
林晃久DM.jpg

いろんなサイズのパネルの作品から、ジーンズにプリントされたもの、ちいさなインスタレーション的なオブジェなど、さまざなまバリエーションの作品がちいさなスペースにいっぱいに展示されていました。
その量に圧倒されつつ、それぞれに描かれたおかっぱ頭の女性のどこか古めかしい佇まいと表情に、そしておこから綴られていく物語に引き込まれてしまった次第。
林晃久01 林晃久02 林晃久03

Takafumi KIJIMA Exhibition IV
ギャラリー山口B1F
東京都中央区京橋3-5-3京栄ビルB1F
2/26(月)~3/3(土)
11:00~19:00(土:~17:00)
木島孝文2/26DM.jpg


この「空間」あってのこの「展示」。
最下部までに2度、90°に曲がる急で窮屈な階段を下って辿り着くこのキューブスペースに、まさにここしかない」「これしかない」と感嘆の声を上げたくなるほどに見事に構築された至高のインスタレーション。


ちょうど同時期にSOLで開催されていた角文平さんに教えていただいて、観に行ってきた木島孝文さんの個展。
アンダーグラウンドの危うい、妖しい雰囲気が充満した、深く印象に残るインスタレーションでした。


木島孝文01

展示されている作品は、壁に数点展示されたエスキースと思われるドローイングを除けば、たった1点のみ。
しかし、床一面に敷き詰められ、さらに正面の壁を覆うほどに大きな画面が立て掛けられた展示は、まるで古代の地下都市に彷徨いこんできたかのような雰囲気。

床に敷かれた画面にはその中央に通路として透明の板が上から被せてあって、その上をゆっくりと歩いていくのです。
そして、仄かに灯された照明のなかに照らし出されている床と正面の壁の作品に作りこまれた絵画世界に目を凝らし、そこに描かれている人のような絵、大きく輪を開く花、文字を観ていきます。

木島孝文03 木島孝文04 木島孝文05

とにかく圧倒的な静謐感が充満しています。
意図的に剥落したような感触を持たせたような表面は、その渋さにとてつもないエネルギーを感じます。
タイルなどのさまざまな素材を、その感触がダイレクトに活かされるように作品のそこかしこに投入され、そうやって作り上げられた世界は荘厳、壮観そのもの。
このギャラリー山口の狭いスペースにあってその窮屈さを逆手に取るように、充分に活かしきったインスタレーションは、完璧の一言に尽きます。

驚嘆の声を呑み込みながら、その地底から沸き起こるような熱さとまるで何千年もそこにあったかのような静けさに精神を沈み込ませるように、この世界を堪能した次第です。

木島孝文08 木島孝文06 木島孝文07

展示中、木島さんにお願いして、照明を明るくしてこの作品を見せていただいたのですが、それはそれでやはりすごかったです。
その作り込みの生々しさがダイレクトに伝わってきます。それがこの作品への圧倒的な仕事の量を感じさせてくれます。
そして、そうやって明るい照明にその全貌があらわになっても、圧倒的に美しかった...。

これくらいの規模のインスタレーションとなるとなかなかお目にかかれることがないと思われるのですが、ぜひまた観たい...少しぐらい遠い場所であれば、ぜひそこまで足を運んで観に行きたいと決心せざるを得ない、圧倒的なパワーをもったクリエイションです。


木島孝文02


3/14(水)から1週間、銀座松坂屋別館4階の美術画廊で開催される「小説を描く」とタイトルされた日本画作品展に、木島さんの小品が出展されるとのこと。こちらもぜひ伺いたいと思います。

井上香奈 個展
@銀座スルガ台画廊
東京都中央区銀座6-5-8 トップビル2F
2/26(月)~3/3(土)
11:00~19:00(土:~17:30)
井上香奈2/26DM.jpg


いっぱいに広がる、幸せの彩り。

スルガ台画廊で行われた井上香奈さんの個展に行ってきました。

井上香奈08


素朴。
やさしさが溢れるような、その素朴さに惹かれます。

そして、その素朴さは、あったかな快晴の陽射しを受けてその優しさがいっぱいに広がったような、明るい色彩で描かれています。そこにあるひとつひとつの色が、まるで広々としたどこかにいる気分のような、ナチュラルで親しみのある風合いを醸し出しています。


スルガ台画廊で毎年開催されているレスポワ-ル展では特に、正面の壁にその幅いっぱいの作品が展示されることが多いのですが、井上さんもそんなダイナミックな作品を出展されていました。
たおやかな表情の人々がゆったりと画面のそこかしこに佇んでいる様子が印象に残ります。また、広々とした画面に広がる黄色やピンクの心地よさも、その幸せ溢れる世界へとゆるやかに心を誘ってくれます。
どこか異国の雰囲気、行ったことはないのですが、イメージでは南欧のような感じを受けるのですが、きっと言葉は通じなくても心で充分とけ込めるような...そんな優しさが伝わってきます。このダイナミックな画面にして、なんとの和める世界が提示されているような印象です。

井上香奈04 井上香奈03 井上香奈02

井上香奈01


人物が登場しない作品も数点出展されていました。
こちらも「お絵書き」というような遊び心に溢れているような...描き手の自由で豊かな感性がその色合いからも滲み出てくるかのように感じられます。

井上香奈05

井上香奈06


もちろんこの展示は屋内で行われているわけですが、まるで外のどこかで...それもたっぷりの陽射しが降り注ぐどこかにいるような、そんなイメージも心に広がっていく感じが楽しいです。
もっと広い場所で、そして贅沢をいえば自然光が入ってくる空間で井上さんの世界と再会できたら嬉しいなぁ。。。

井上香奈07

曽根裕/デーモン・マッカーシー「ローラーコースター・プロジェクト」
GALLERY SIDE2
東京都港区赤坂2-18-3
3/3(土)~3/30(金)日月祝休
11:00~19:00

ヤバいって。

良いか良くないかとかの判断などもはやどうでもいい。ヤバいかヤバくないかでいったら、間違いなくヤバいでしょ。


そんな、ディープインパクトなふたつの個性が炸裂している展覧会なんです。
そのテーマが「ローラーコースター」。


まず、デーモン・マッカーシーさんの作品。

なんかね、もうね。
この分かりやすすぎるワケの分からなさがね。

梱包輸送用の大きな木箱の上に設置されたオープンリールのビデオ映写機。しかし、オープンになったビデオテープはさらにその上に張り巡らされ、まさにそのテープの軌道がローラーコースター。

Damon McCarthy 02 Damon McCarthy 03 Damon McCarthy 04


しかも無数のローラー経由だし。

痛快すぎる。


壁に上映されているのも、そのローラーコースターの最前列の席で撮影した映像。
トンネルの暗闇に入るわ、右左に振られるわ、一気に滑降するわのダイナミックな非日常の状況が、その荒い映像から伝わってくるんですよ。

Damon McCarthy 05 Damon McCarthy 06

Damon McCarthy 07 Damon McCarthy 08

で、「グォー」っていうローラーコースターの轟音と「ワー」「キャー」とかいう叫び声が聴こえてくるんですけど。
どっから聴こえてるのかと思ったら...。

Damon McCarthy 01


ここか!Σ( ̄口 ̄;)

ここからなのか!Σ( ̄口 ̄;)

思いっきりツボ直撃。こんなところにアトラクションを再現するこだわりが。


続いて、曽根裕さんの作品。
以前、同じくギャラリーサイド2で開催された曽根さんの個展を拝見していて、そのときに展示されていた大理石で作り上げられた雪の結晶のオブジェの繊細さが印象に残っていて、今回はどんな作品が出展されるのだろうと楽しみだったのですが...。

どぉんと鎮座している、長さは2メートルはあろうかという巨大なローラーコースターのオブジェ。

曽根裕03 曽根裕04

曽根裕05 曽根裕06

もう、見応え充分。
目で辿るとちゃんとレールが繋がっていてひとつのコースを形成していて、この回りをぐるぐると移動しながらレールを目で追うと気分はまさにローラーコースタ-に乗っている状態。

そしてこの彩色の大胆さにも圧倒されますよホント。
高ぶった気分に任せ、そのまま染め上げていたその勢い、テンションの高さがダイレクトに伝わってくるような。

曽根裕02

しかし...
彩色されているので一見しても気付かないのですが、これが...


だ、だ、大理石だとぉぉぉ!!!Σ( ̄口 ̄;)


いやね、もうね、間違いなくヤバいでしょ、これ。
しかも、すべてルータ-での削り出しで制作されたとのこと。
ダイナミックさと細やかさに、あらためて感服。

壁に展示されたドローイングは、レールの軌道がまた大胆で。
さらにイメージが膨らみます。

曽根裕01


その一方で、ウィンドウに展示されている小さな(といっても、この巨大な作品にくらべれば、の話なのですが)オブジェのかわいらしさといったら。
メルヘンチックな世界が、まわりに施された模様の細やかさや単純なコースによってキュートに展開されています。

曽根裕07


とにかく、実際に目にしてこのありえない重厚感を体感してほしいです。

もうひとつ。
事務所のスペースに展示されているドローイングの白豹の穏やかな表情、神々しさも印象に残った次第です。

曽根裕08

A sense of de・touch・ment 山口理一
東京画廊
東京都中央区銀座8-10-5-7F
2/28(水)~3/24(土)
11:00~19:00(土:~17:00)
山口理一DM.jpg

覚悟。
人の姿を無機的なものへと変換してしまうことへの、とてつもなく冷静で、しかし穏やかな、覚悟。

ニューヨークを活動のベースメントとされている写真家、山口理一さんの東京画廊での個展です。
現在開催中のTARO展でも、あのチャッピーの神輿の右側にタイルにプリントされた作品がひっそりと展開されていて、その静けさから湧く熱さが印象に残っています。

そして今回の個展で出展されている作品は、モノクロームとカラーとがそれぞれあり、モノクロの作品が多く出展されています。そして、そのモノクロームの作品を使用したインスタレーション的な展示もギャラリーのほぼ中央のスペースで展開されています。

それぞれの作品には、性別(と、おそらく人種も)を問わないヌードの人物が登場しています。
男性と女性、その性差が身体のフォルムに現れ、身体同士が写真のなかの狭められた空間に詰め込まれているんです。


入口をくぐると、まず眼前にモノクロームの世界が広がります。
一糸纏わぬ人間の身体が檻や箱に折り重なるようにして存在し、そこから強烈に薫るアバンギャルドな雰囲気に呑まれ、圧倒されます。
その姿と、モノクロームの風合いが、作品の現実の時代性を希薄にし、むしろ古代のイメージが脳裏に広がっていくような印象です。

言葉ではないイメージで、この沈黙の世界は饒舌に語りかけてきます。
まるで魂を押さえ込んでしまったかのような、そこにある身体。しかしその瞳にはしっかりと生命感が宿っていて、その目に感情移入してしまった刹那、そのなかで展開される時間軸が歪んだストーリーに紛れ込み、静謐かつ混沌とした世界に沈みこむような錯覚を覚えます。


山口理一02


一方、カラーの写真は奥まった一角に展示されています。
画面から放たれる、この洗練された高貴な爽快感。
モノクロームの重厚な世界からこちらへと移ってきて、まずその色彩の衝撃的な美しさに見入ってしまいます。

朝靄のような優しい光に包まれたような、しかしシュールな一場面。
こちらの作品の画面のなかには密着した人間の身体の塊は、どこか硬質な印象を与えていたモノクロームのそれとは異なり、男女それぞれの違いも含めてその筋肉のやわらかさが肌の色と共に神々しく感じられます。
なんとも言えない幸福感に満ちているような印象さえ受けます。


山口理一03


そして、この空間に作り上げられたインスタレーション的な構成。
床面に配された広い画面。ふたつの壁によるコーナーに設置された横長の作品。
それぞれ独立した作品だとは思うのですが、床面に折り重なる身体の塊の上に立ち、壁に並んだ人々の立ち姿を俯瞰すると、さらにその世界へと意識が深く入り込んでいきます。尋常でない哲学的な雰囲気が立ちこめているような感触です。


山口理一01

観るものに挑むように、言葉にならない言葉で哲学的に問いかけてくるモノクロームの世界。
爽やかな静謐感を目にすることで、心のなかが穏やかさに満たされるカラーの作品。

それぞれ、圧倒的な美しさと繊細さ、さらに大胆で力強い構成力で作り上げられる山口さんの世界。
ゆっくりと時間をかけて、そこから得られたイメージと、さらに対峙したいような思いです。

ワンダーシード2007
トーキョーワンダーサイト渋谷
東京都渋谷区神南1-19-8
2/28(水)~3/18(水)月休
11:00~19:00
ワンダーシード2007パン.jpg


いっぱいの「種」。

今年初めて、ワンダーシードに行ってきました。
選出されたアーティストたちの個性が小さな画面に凝縮されていて、ホントに楽しめる展覧会となっています。


ワンダーシード2007 10 ワンダーシード2007 09


これだけさまざまなスタイルの作品が一堂に集まっているにもかかわらず、散漫な印象はまったく感じないどころか、ひとつひとつの作品に込められたクリエイションの面白さ、ユニークさに感服した次第。
既知の作家のアーティストの作品と再会できる喜びに加え、ここで初めて知るクリエイションはすべてが新鮮に感じられ、まだまだ知らない個性がいっぱいあるんだなぁ、と嬉しくなってきます。

そして、公募展としては比較的ちいさなサイズで、というのもたいへん興味深いポイントです。
大きな画面で展開したときのダイナミックさももちろん魅力ですが、このちいさな画面に全力が注げることでその思いを充分に詰め込むことができていること、そして一方で思いのすべてがこの大きさでは語り尽くせない...。
だから、それぞれの作品の完成度に感嘆しつつ、「このアーティストは他にどんな作品を制作されているんだろう、これからどんな絵を描いていくんだろう」という楽しい想像も膨らみます。


ワンダーシード2007 08 ワンダーシード2007 07


この公募企画でもっともユニークなのが、作品を販売する、というところ。
アートとしては比較的手ごろな価格帯で統一されていて、それに加えて@GALLERY TAGBOATでのウェブ通販も行われていることもあって多くの作品がそれを気に入ってくださった方の手に渡ることが決まっているそう。

こういったかたちでさまざまなクリエイションがパッケージされた企画で出会い「あ、いいな」と思ったアーティストの作品を手に入れられるというのも興味深いのですが、仮に買い手が付いてしまっている作品だとしても、そのアーティストの個性に興味を持って、彼、彼女がこれからどんな作品を制作していくか、そういうクリエイションを想像していくかに思いを馳せる楽しみはもちろんこの展示には充満しています。


ワンダーシード2007 04 ワンダーシード2007 06 ワンダーシード2007 05


で、今回紹介されているなかで印象に残ったアーティスト。

平川恒太さん
渋くくすんだ透明感がある独特の質感と、そこにぽつぽつと灯るように配されたカラフルなドットとのコントラスト。それによって、ユニークな立体感と静かな物語性とが浮かび上がってくる感じが面白いです。

笹井信吾さん
描く楽しさが、この絵のなかに登場する女の子のかわいらしい表情や、ペンでで描かれた猫や人の仕草から、さらに全体の軽やかな色彩から伝わってきます。

穴薪可奈子さん
さまざまなモチーフ、色面が重なり、混沌とした展開が、この画面の大きさにしてダイナミックに展開されています。線や何らかのシルエットがそういった抽象的な世界に紛れ込んでいる面白さがユニークです。

・元木孝美さん
これまでにも何度かグループ展などで拝見している元木さん。トタン板のようなもので立体的に作り上げられている幾何学的な線の面白さ、そこに照明が当たって画面に投影されるシルエット。手法のユニークさと、そこで展開される遊び心が楽しいです。

猪野愛さん
黒の背景に魚の骨が描き出され、その精緻さに思わず目を凝らしてじっくりと見入ってしまいます。そしてその黒と白の画面に一点だけ灯る赤の大胆さ、艶やかさのインパクトも鮮烈です。

池田潤さん
遊具で遊ぶ子供たちを描いた作品。細かい粒子が凝縮されたような独特のマチエルが、そこに描かれた光景へのデジャヴ感をさらに掻き立ててくれます。すうっと遠くの記憶へと吸い込まれていくような感触とともに、ある種斬新にも思える手法にも惹かれます。

・比巴さん
うねる色面。風にその姿を変化させる雲のようでもあり、そして、色彩組み合わせがストリート臭も充満させています。かっこいいです。

・恵木亮太さん
黒の紙に白の線で馬の頭部が描かれている作品。線の流れがつくり出す立体感、凛とした馬の姿に感嘆。

杉田陽平さん
これまで何度か杉田さんの作品は拝見していますが、その印象が吹き飛ぶほどに大胆な手法を用いて描き出されるパワフルな世界に呑まれます。色彩のうごめきにも目を奪われますが、それでさらに人の表情を描き出しているのがさらに一歩ダイナミックな展開へと踏み出しているように感じられます。

・汲田幸世さん
ゴージャスな額に収められた作品。透明感と生々しさとを感じる赤が覆う画面の奥に、実に細やかで繊細な描き込みがなされています。その深遠さ、重厚な質感に圧倒されます。

清水陽子さん
おそらく樹脂で作り込まれた女性の頭部の、敢えていうならば平面のオブジェ。赤茶けた色合いといい、頭髪のなかに折り込まれた貝殻のようなモチーフといい、化石化したような感触がそこから感じる時間へのイメージに奥行きを与えてくれます。

渡邊香月さん
銀座フォレストでの個展などで拝見している渡邊さん。このエキゾチックな世界を油絵の具で表現しているユニークさが強く印象に残ります。


ワンダーシード2007 03 ワンダーシード2007 02


この他、既知のアーティストの作品にも出会えて嬉しい限り。
Oギャラリーでの個展などで拝見している齊藤瑠里さん、各グループ展で続けて拝見している中北紘子さん、switch pointでの個展が印象に残っている朝日聡子さん、ギャラリーエスでの個展が先日終わったばかりの畑中宝子さん、こちらも各グループ展や個展で拝見していて、近日開催されるひとつぼ展にもピックアップされている山城えりかさん、ギャルリー東京ユマニテでの個展やオペラシティでのコレクション展で拝見している時松はるなさん、などなどなど。


ぜひ、たくさんの方に足を運んでいただいて、一生付き合っていける素敵なクリエイションを見つけてほしいです。
持ち帰った「種」を心に植えて、育てていってほしいです。


ワンダーシード2007 01

今週に入って観ることができた展示を簡単にご紹介。
今週は今週しか観られない展示で面白いものが多く、ご覧いただけると嬉しいです。

《3/6》
☆金丸悠児展 -地図-
新生堂
東京都港区南青山5-4-30
3/7(水)~3/17(土)日休
11:00~18:00(最終日:~17:00)
金丸悠児3/7DM.jpg

さらに描く世界が広がり続ける金丸さん、今回はいつのも動物ではなく、金丸さんの「風景画」。
シンプルな展開ながら、壁一面で展開されるインスタレーション的な展示が見応え充分です。


《3/7》
☆齋藤健太郎展
OギャラリーUP・S
東京都中央区銀座8-11-3 山田ビル3F
3/5(月)~3/11(日)
12:00~20:00(日:11:00~16:00)
齋藤健太郎3/5DM.jpg

これを木版画でやるか!というメカニカルな表現の細かさに驚嘆し、圧倒されます。
そして、文句なくかっこいい!


☆井上直子展
ギャラリー惣
東京都中央区銀座7-12-6 銀座トキワビル5F
3/5(月)~3/10(土)
11:00~18:30(土:~16:30)
井上直子3/5DM.jpg

鮮やかに広がる赤い壁。
絵のなかにどこまでも続く奥行きが、なんとも楽しいんです。


☆石井鈴 個展
@銀座スルガ台画廊
東京都中央区銀座6-5-8 トップビル2F
3/5(月)~3/10(土)
11:00~19:00(土:~17:30)
石井鈴3/5DM.jpg

なんといっても正面の壁全体を覆う大作に描かれた蘇鉄の揺らめきが圧巻。
そこにあらわれる色彩によって、伝わる印象ががらりと変わるユニークさも。


☆工藤雅敏展
GALLERY b.TOKYO
東京都中央区京橋3-5-4 第一吉井ビルB1F
3/5(月)~3/10(土)
11:00~19:00(金:~21:00、最終日:~17:00)
工藤雅敏3/5DM.jpg

アブない芳香を充満させながら、鮮やかな色彩そしてアバンギャルドな佇まいの花が画面のなかで咲き乱れます。
こちらもかっこいい。


☆長雪恵展 -とある場所の日常-
アートスペース羅針盤
東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル2F
3/5(月)~3/10(土)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
長雪恵3/5DM.jpg

何よりそのアイデアに感服。
木版の「版」のほうを提示してしまうという大胆さ。そこにあらわれる線の素朴で荒削りな味わいが印象的です。


☆小川百合「文学、演劇、そして音楽/CASE」
ギャラリー小柳
東京都中央区銀座1-7-5 8F
3/7(水)~4/6(金)日月祝休
11:00~19:00
YURI OGAWA 3/7DM.jpg

静謐感とあたたかさとが感じられる鉛筆画。
鉛筆と色鉛筆とでこれほどの深みが表現されていることに感動した次第です。

長塚秀人「sq.」
ヴァイスフェルト
東京都港区六本木6-8-14 コンプレックス北館3F
3/2(金)~3/31(土)日月祝休
11:00~19:00
長塚秀人DM.jpg


9点の写真にひそむ、「美しさ」へのジャーナリスティックな視点。

長塚秀人さんの作品は、前回同じくレントゲンウェルゲで開催された個展以来。
今回は、スクエアの画面の写真が9点、絶妙の配置とバランスで展示されていて、そのシンプルな空間のインスタレーションはもちろん、1点1点の写真からインスパイアされるイマジネーションの豊富さ、大きさに思わず圧倒され、その世界に意識がどんどんのめり込んでしまう、レントゲンのファンはもちろん、面白いものを求めている方々には間違いなく堪らない最高に楽しめる展示になっています。

長塚秀人02


今回の展示、ギャラリーの入口に立っておそらくまず目に飛び込んでくるのは、DMにも使用されている崩落した山道だと思うんです。
山林の鬱蒼とした深緑が広がる美しい風景のなかにあることで、土が剥き出しになった地面、千切れたガードレール、その衝撃の度合いが鮮烈に際立って感じられます。
そして、このシーンを長塚さんは「事件」としてのジャーナリズムではなく、そこに現れたバランスの「美しさ」を引き出して提示してくいれているように感じられます。こうやってミニチュアのような風合いで写真として再現されているのを拝見すると、その画面に収められたかっこよさに魅惑され、風景写真であるにもかかわらず相当にフィクショナルな世界が展開されているように感じます。


長塚秀人03


さまざまな場面をさまざまな距離、さまざまな視点で。
1点の写真には、先に触れたようにミニチュアのジオラマ風になっている部分と、ぼやけた部分とが共存しています。
このコントラストが、とにかく面白いんです。
展示されたひとつひとつの写真を至近で眺めていて、ひとつの風景、場面から引き出されたミニマルなリズムを目から体内に取り込み、そのカオスにどんどん夢中になっていくのを自覚します。
茂る木々の葉が、岩肌に見受けられる紋様が、川の流れが、地面に散らばる小石が、それぞれ粒子となって画面に現れ、現実の風景から長塚さんの視点とスキルによって写真のなかで再構築する世界のユニークさは、手法はまったく違うものの、同じく昨年にヴァイスフェルトで紹介された斉藤邦彦さんが提示したあの世界にも通ずるかっこよさが伝わってきます。
そして、ピントがずらされた部分の滲んだ色彩のやわらかさ。
ミニチュア風の部分が激しく刻まれるパルスで構築されていくミニマルミュージックだとしたら、滲んだ光景はふわりと広がるアンビエントなサウンドを連想させてくれます。そのギャップがひとつの画面のなかに共存して作り上げられる面白さが堪らないのと、その滲んだ部分にも実はものすごいパルスが隠れているんじゃないか、と思うとどうにももどかしくなって、それがまたイマジネーションを激しく刺激してくれます。


長塚秀人01


この長塚さんの写真世界に触れて、存在するあらゆるシーンに美しさが潜んでいるんだなぁ、という思いに至ります。
そして、この写真群のようにそういった美しさをしっかりと引き出す長塚さんのセンスに感服する共に、その「美」へのジャーナリスティックな視点を長塚さんはおそらく無意識にお持ちなのでは、とも思うのです。

ぜひ、時間をかけてじっくりと観てほしい作品であり、展示です。

角文平展
SOL
東京都中央区銀座6-10-10 第二蒲田ビルB1F
2/26(月)~3/10(土)日休
11:00~19:00(金:~20:00、最終日:~17:00)
角文平DM.jpg


蠢く鉄。

SOLで開催されている、角文平さんの個展。文句なしにかっこいい、アンダーグラウンドな重厚感に圧倒されるインスタレーションです。

角さんというと、現在岡本太郎美術館で開催中のTARO展に田中雄一郎さんと共同制作の、自動車を組み立てる映像を早回しで上映するインスタレーション「ガレージキットプロジェクト2006」がすごく面白かったのですが、そのこれでもかって言うくらいに楽しいスピード感溢れるインスタレーションとはまた異質の空間が今回の個展では展開されています。


暗いスペース。スポットによって浮かび上がる、巨大な鉄の塊。
建築中のビルディングの鉄骨を思わせるほどに、鉄の質感が生々しくダイレクトに伝わってきます。

角文平03 角文平02 角文平04

作品の脚部のキャタピラのリアルさ。
そして、その上部に組み上げられた金属のスティックが見せる複雑で無機的な雰囲気。

角文平06 角文平08

角文平07 角文平05

圧倒的な荘厳さを醸し出す、沈黙のインスタレーション。
しかし、そこからは地を這うように重々しく響き唸るような音が聴こえてくるかのよう。
下方から見上げる、距離をおいて俯瞰する、組み上がった鉄の棒の内側を覗く、豊かな陰影を持つシルエットを眺める...どの角度から、またはどんな視点で観ても確実に圧倒され、ずんと沈み込むインパクトに押しつぶされそうになるくらい。イマジネーションは果てなく広がり、そのダークでクールな世界にのめり込んでいきます。

角文平01


ふたつの大きな鉄板を合わせて立たせ、その上にミニチュアの建物とクレーンとが設置された作品。
その板が空間に描き出す曲面からは、縦の動線でありながら、どこまでも遠くへと続く地平線のようなイメージも思い浮かびます。
また、この錆のような赤茶けた色が、時間的にも遠い印象を与えるような感じです。
この大きな作品から広がるシルエットも美しいです。

角文平10 角文平11

角文平09


事務所にはさまざまな小品が。
この展示における唯一の平面作品は、懐かしのテレビゲームのような。

角文平13

上部に建物が乗り、その下部の石化した地層を思わせるグラデーションが美しいオブジェ。これが実は分厚いマンガ雑誌をが素材となっていて、素材と作品の雰囲気とのギャップがなんともユーモラス。
また、ちいさな飛行機も、素材の質感によるリアルな感触はそのままに、メインスペースに展示された作品の大きさを体感しているぶん、その小ささが妙にかわいらしくユーモラスに感じられます。

角文平14 角文平15


観る側のどんなイマジネーションも受け止め、沈黙を保ったまま、その重厚な存在感で圧倒する至高のインスタレーション、今ぜひチェックしてほしい展示です。

角文平12

《2/27》
☆ワンダーシード2007
トーキョーワンダーサイト渋谷
東京都渋谷区神南1-19-8
2/28(水)~3/18(水)月休
11:00~19:00
ワンダーシード2007パン.jpg


《2/28》
☆角文平展
SOL
東京都中央区銀座6-10-10 第二蒲田ビルB1F
2/26(月)~3/10(土)日休
11:00~19:00(金:~20:00、最終日:~17:00)
角文平DM.jpg


☆A sense of de・touch・ment 山口理一
東京画廊
東京都中央区銀座8-10-5-7F
2/28(水)~3/24(土)
11:00~19:00(土:~17:00)
山口理一DM.jpg


《3/2》
・EDOSENSU+MINO PAPER desigm exhibition
AXIS GALLERY
東京都港区六本木5-17-1-4F
3/2(金)~3/4(日)
11:00~19:00(最終日:~18:00)
美濃紙DM.jpg

美濃の和紙と江戸の扇子。
このふたつのテーマを与えられた多摩美術大学の学生がそれぞれをどう処理するか...。
これがまた、思いも付かないようなかたちに昇華されていて、ホントに興味深いものに仕上がっていました。
扇子の中にダイオードがひとつ取り込まれていて、仰ぐとその光が飛ぶ蛍のように感じられるもの、複雑な折りを施されたもの、扇子から風ヘとイメージを転換させたもの、扇子の骨組みを和紙の素材を活かして間接照明を作ったものなど...もう、そのアイデアの豊富さに、目にある鱗も落ち尽くした感じです。


☆長塚秀人「sq.」
ヴァイスフェルト
東京都港区六本木6-8-14 コンプレックス北館3F
3/2(金)~3/31(土)
11:00~19:00
長塚秀人DM.jpg


《3/3》
Takafumi KIJIMA Exhibition IV
ギャラリー山口B1F
東京都中央区京橋3-5-3京栄ビルB1F
2/26(月)~3/3(土)
11:00~19:00(土:~17:00)
木島孝文2/26DM.jpg


・小池真奈美展
@gallery OPEN DOOR
東京都中央区銀座4-10-7 早川ビル3~4F
2/26(月)~3/3(土)
11:00~19:00(土:~17:00)
小池真奈美2/26DM.jpg

艶のある画面に描かれている着物を着た女性。ぼやけた感じに描かれていて、着物の鮮やかな模様が滲んだ風合いが独特の美しさを醸し出しています。
また、落語をテーマにした作品など、取り入れるモチーフもユニーク。
和の世界を油絵の具特有の質感で表現する面白さ、これからもちょっと心に留めておきたい個性です。

小池真奈美02 小池真奈美01


☆井上香奈 個展
@銀座スルガ台画廊
東京都中央区銀座6-5-8 トップビル2F
2/26(月)~3/3(土)
11:00~19:00(土:~17:30)
井上香奈2/26DM.jpg


☆曽根裕/デーモン・マッカーシー「ローラーコースター・プロジェクト」
GALLERY SIDE2
東京都港区赤坂2-18-3
3/3(土)~3/30(金)日月祝休
11:00~19:00


《3/4》
中野範章展 metal art exhibition 2007
gallery元町
神奈川県横浜市中区元町5-216
2/26(月)~3/4(日)
11:00~19:00(土:~17:00)
中野範章2/26DM.jpg

昨年のギャラリーエスでの個展でそのユーモラスなカエルなどの鍛金のオブジェが楽しかった中野範章さんの、横浜の地位なさギャラリー、gallery元町での個展。
手足はもちろん、大きな口から目玉や目蓋までが可動するカニやら、体の模様がきれいなカエルの新作なども拝見でき、相変わらずのユーモラスな世界を楽しめました。
これほどまでの可動部分を持つオブジェということで、中野さんもゆくゆくはこの作品で映像を作ってみたいとのこと。それはぜひ観てみたい!


・立体の魅力 Vol.8 矢野真
イセザキモール・コイチ
神奈川県横浜市中区伊勢佐木町2-62
2/24(土)~3/18(日)水休
11:00~19:00
矢野真2/24DM.jpg

昨年のギャラリー52での個展を拝見し、その深みのある像に感銘を受けた矢野真さんの、イセザキモール・コイチでの個展。
こちらではスポットではなく白熱灯の照明で、これだけでずいぶん表面の色彩の感触が違って見えたのがたいへん興味深かったです。そしてそれでも失われない作品ひとつひとつの深遠さ。


AUTAMATICA
BankART Studio NYK
神奈川県横浜市中区海岸通3-9
3/2(金)~3/4(日)
11:00~19:00
AUTAMATICA DM.jpg

多摩美術大学大学院デザイン専攻の、学外展示。
いやもう、ホントにユニークなアイデアやクリエイションに溢れていて驚きと感嘆の連続で。

2階ではまず、スペースの奥で展開されている米みつみきさんのユーモラスなインスタレーションが目に入ってきました。
デフォルメされた身体のシルエットをくり抜いたような立体が置かれ、それぞれの中央部に取り付けられた文字盤がハタハタと回転して言葉を現し、それが家族の会話みたいに展開するというもの。のんびりとした感じのポップなシュールさに、なんともほのぼのとした感触でした。

そして1階、照明を落とされた暗い倉庫のようなスペースでは、光を用いた映像やインスタレーションが展開されていました。

高花謙一さんのシュールすぎる楽器。足踏の空気入れのポンプでチューブに空気を送り込み、その風圧を振動を音声信号に変えるマイクが感知し、さらにそれをパソコンに取り込んでかなりミニマルなサウンドを出すというシロモノ。その音のアバンギャルドなかっこよさと、それを演奏している様子のコミカルな感じのギャップが堪らない!
他、末綱久美子さんの縦長のスクリーンに線がどんどん増殖するように現れてくる映像、ホアン・カストロさんのダイナミックに横に長いスクリーンに映し出される水墨画のような風景が徐々にその輪郭をあらわにしていく映像インスタレーションの深遠さが映像では印象的で、平川紀道さんの作品は地球と太陽を模した球体が設置された器具を動かすとそれに反応して床面に映し出されている映像も動くというもので、こちらもかなりインタラクティブな要素があって興味深かったです。


・小鳥の低空飛行 早川陽子
art & river bank
東京都大田区田園調布1-55-20 #206
3/3(土)~3/17(土)月休
13:00~19:00
早川陽子3/3DM.jpg

白い壁全体に描かれる鉛筆の線画。そして、その各所に配置された透明のレンズのような画面。こちらに絵が描かれていて、ギャラリーのスポットや外からの自然光でそこに描かれている絵のシルエットが壁に映り、おだやかな世界が展開されていました。
のんびりとした雰囲気、なんとなく懐かしさが心に浮かんでくるような優しさに溢れた、緩やかなインスタレーションです。

早川陽子01 早川陽子02


KIYOKA ENDO「6SENS ATELIER」
GALLERY 空
東京都渋谷区猿楽町27-4
3/1(木)~3/31(土)
11:30~20:30(土日祝:11:00~20:30)

テキスタイルアーティストのKIYOKA ENDOさんの個展です。
ロフト状の空間に広がる布。
きらめく繊維とそれを彩る透明感溢れる色彩とが、未来的なイメージを煽ります。
床に座って天井に配された作品群を眺める光景はホントに壮観で。
これまでなかなかテキスタイルの展示を観る機会を持たなかったのですが、これを機会に「織」や「染」の面白さ、奥深さも自分なりに探っていきたいと思った次第です。

KIYOKA ENDO01 KIYOKA ENDO02 KIYOKA ENDO03

このところ精力的な発表が目立つこんどうあやさん。この冬から春にかけて開催される3つの展覧会のうちのふたつをチェックしてきました。
相変わらずのホットさが痛快な木版画です。


リタ・ジェイ イラストイベント連続2人展企画 RITA-JAY 10 MATCH STICKS 1.2
MOTT GALLERY 1F
東京都新宿区住吉町10-10
2/13火)~2/25(日)月休
13:00~21:00(初日:15:00~、最終日:~19:00)
リタ・ジェイ2/13DM.jpg

曙橋にできた新しいアートスペース、MOTT GALLERYでの、イラストレーターのリタ・ジェイこと成田優介さんが主賓を張る2週続けてひとりずつゲストを迎えて開催される二人展の、最初の週のお相手がこんどうさん。そして、タイトルが「MIND ROCKS」。


まず、こんどうさんの木版画、これまでの作品は手彩色の印象が強かったのですが、ピアノを弾き倒すなどの姿の女性を覆うように燃え盛る炎の赤も版で摺られている作品は、かなりのインパクト。
その平面的な明るい赤の滲むような色面が生々しく感じられ、作品の中に収められているストーリーの激しさがさらに過剰に押し出されているように伝わってきます。

MOTTこんどうあや03 MOTTこんどうあや04

MOTTこんどうあや02

十字に展示された作品。これが、B Galleryでの展示のレコメンド的なレイアウト。
上下左右を咲き乱れるバラに囲まれた女の子、その子の手の上にはぼうっと燃える炎。このエネルギッシュな味わいはこんどうさんならでは。

MOTTこんどうあや01


一方、リタ・ジェイさんは、軽やかでポップな感覚が楽しいイラストの小品を並べていました。

MOTTリタ・ジェイ03 MOTTリタ・ジェイ02 MOTTリタ・ジェイ01

カラフルな色彩とすらりと続く線で描き出されるユーモラスな人物などのモチーフ。
描き手の楽しさも伝わってくるような、エンターテイメント性が溢れるイラストです。

MOTTリタ・ジェイ04 MOTTリタ・ジェイ06

MOTTリタ・ジェイ05

こんどうさんとの展示に続いて開催された、「猫の事情」がタイトルの展示でも、妙に蘊蓄がかったユーモアが満載の作品で。タイトルがいちいち面白いんですよ(笑)。

そして、この展示から間を置くことなく始まった、昨年に続いてのB GALLERYでのこんどうさんの個展。

Dropkick Angelica Vivienne Alice Go-Go! woodcut show!
@a href="http://www.beams.co.jp/beams/html/bgallery.php" target="_blank">B GALLERY
東京都新宿区新宿3-32-6 BEAMS JAPAN 6F
2/22(木)~3/29(火)
11:00~20:00
Vivienne Alice2/22DM.jpg


昨年2ヶ月連続でふたつの展示が開催され、それぞれ印象が違う空間が提示されていて楽しめたのですが、今回はMOTT GALLERYで十字に配置された作品がまた違うかたちにインスタレーションされています。

こんどうあやB03 こんどうあやB02 こんどうあやB04

こんどうあやB01

サクマならぬアクマドロップスを手に取る小悪魔たち、その隣に爛漫に画面いっぱいに咲き誇るバラ。
それがほぼペアとなって壁がある部分に展示され、空間をぐるりと囲んでいます。

また、前回の個展でもお披露目されていた提灯、今回も天井の四隅から下がっています。

こんどうあやB05

階段のショーケースもなかなか面白い作品が。
小悪魔で溢れたメインスペースと違って、犬が描かれた作品やMOTT GALLERYで十字の中央にいた女の子などをバラと組み合わせたインスタレーションが、各階のショーケースで展開されています。

こんどうあやB07

こんどうあやB06

この春に予定されているもうひとつの展示は、牙狼画廊でのグループ展。
こんどうさん以外の参加アーティストは未知なのですが、その作品とどのように響きあうか、楽しみです。

荒木享子展
ギャラリーオカベ
東京都中央区銀座4-4-5
2/19(月)~2/24(土)
11:00~18:30(最終日:~17:00)
荒木享子2/19DM.jpg


渋味溢れる緑、その独特の味わい。

荒木享子06


これまでも芸大での日本画展や各グループ展などで拝見している荒木享子さん。
個展で拝見するのは今回が初めてで、楽しみにしていました。
独特の緑の風合いが印象に残る荒木さんの日本画ですが、なんとなくデジャヴ感というか、荒木さんの作品を拝見しているときに感じていた感覚、「こういうふうにいいなぁと思ったのってこれまでもあったよなぁ」という思いが記憶の片隅にあって。
・・・今回の個展は、その確認のような意味合いも、僕の中ではありました。

荒木享子09 荒木享子07 荒木享子10

荒木享子05


「ああ。ボナ-ルだ。」

僕が絵を見始めた頃に東郷青児美術館で開催されたピエール・ボナ-ルの回顧展。その印象派とはまたちょっと違う穏やかな色彩の広がりで描き出される静物画のやわらかく優しい印象は今でもしっかりと覚えているのですが、その色の広がり方、風合いを、ボナ-ルのそれと通じるものを荒木さんの作品に感じます。

もちろん、荒木さんの作品は、なんといってもちょっと暗めの渋い緑色が印象的です。
しかし、画面の多くを占める緑が、そこに取り入れられる茶や赤といった色彩の存在感をやさしく引き立て、また、画面に描かれる花瓶や花のどこか朴訥とした雰囲気が、観る側の気持ち和ませてくれるような感じがします。


大きな画面でのおおらかさとは対照的に、小品ではかわいらしさと静謐感とのバランスが独特です。
なかには板目が画面に残され、それが描かれるモチーフに自然に溶け込んでいます。

荒木享子02 荒木享子03 荒木享子04

荒木享子08


ほっとする優しさに溢れた素敵な空間がありました。
岩絵の具で描き出される洋画風の世界。
このやさしさに、もっと普段使いのいろんな場所で出会えるとうれしいなぁ、と思った次第です。

荒木享子01

松山智一展 - 極の間に -
Takuro Someya Contemporary Art
千葉県柏市若葉町3-3 TSCA KASHIWA
2/24(土)~3/25(日)月火水休・3/21開廊
12:00~21:00


TSCAの広大な空間で、浴びるように感じる色彩のmovement。

前回のグループショーでレコメンドされたニューヨーク在住の日本人アーティスト、松山智一さんの個展。
昨年末から今年にかけてミヅマアートギャラリーで開催された山口晃さんの個展に勝るとも劣らない、それはもう文句なくダイナミックな展示が展開されています。

日本人的な「和」の味わいと、ニューヨークで磨き上げられたセンス。このふたつが絡み合い、混ざりあうことで生み出されたハイブリッドな感覚のクリエイションは、とにかく新鮮。
無論、一見の価値あり!

まず、1階のロビー的なスペースには、写真のコラージュ作品。
人物の写真が部分的に、しかも妙に目立つように別の模様が施され、それが照明スタンドに嵌められてずらりと並んで設置。かなりシュールな雰囲気が広がっていて、この時点でかなりの遊び心が感じられます。

松山智一01 松山智一02

そして、メインの展示スペースへ。
最初のコーナーから圧巻の展開。
向かい合う広い壁にそれぞれ大作が展示されています。

階段を昇った正面に、今回の展示の中でもっとも広い画面の作品が。
おおよそ3つの動物らしきキャラクターが画面の中にどんとダイナミックに配置され、距離をおいて俯瞰し、その全体から迫る横の動線に圧倒されてしまいます。実はもっと大きな展開があるんじゃないか、画面に収まらない部分にももっといろんな動物が登場しているんじゃないかと、まるで巨大な絵巻の一部分を眺めているかのような広大なイメージも煽られます。

松山智一04 松山智一05 松山智一06

松山智一03


その向かいは、5点組の連作。
それぞれの縦長の画面に独特の色彩を伴ってキャラクターが大きく描き出されています。
実は渋い色彩を多く用い、その色面が積み上げられてそこに現われるポップな表情と出で立ちの人物や動物の姿。
それがずらり並んだ光景は、向かいの大作と同様にかなりの迫力です。

松山智一07 松山智一08

松山智一09


続くスペースがまた面白い!
3つの縦長の立方体が配置され、そこにそれぞれ人物の姿が。
激しく動くその姿の瞬間を画面に収めたような感触。そしてその人物以上に、まるでまさにその瞬間に画面に飛び散ったかのようなフレッシュな色彩の飛沫が広がる混沌とした背景に、刹那的とも言えるようなスピード感を感じます。それらによって押し出されるテンションの高さ、ホットな雰囲気がすごい!
画面は動かないはずなのに、生々しいほどにものすごく動的なイメージが伝わってきます。
眺める角度によって3人すべての姿が見えたり隠れたりと、そのインスタレーションを堪能するのもまた一興です。

松山智一10

松山智一11

そして、いちばん遠い壁は鮮やかグリーンのチェックに彩られ、その壁と呼応する背景の作品が額装されて展示されています。これまでの迫力とはひと味違ったなんともファッショナブルな展開が、この展示における最高のアクセントとなっています。

松山智一12


そして最後のスペースには、1点完結の作品が並びます。

鮮やかな色彩がケレン味なく広がる、あるいは生々しささえ感じるほどに飛び散った絵の具が蠢く背景。そこに描き出されるキャッチーなキャラクター。背景とモチーフとの大胆で絶妙なギャップが醸し出すユニークさもさることながら、そこに描き出される場面がアグレッシブな雰囲気を発散していて面白い!

松山智一17 松山智一16

松山智一13


たっぷりの空間が充分に活かされたインスタレーション。
そして、1点1点の作品が遠慮会釈なしにどんどん観る側の心に入り込み、煽り、盛り上げてくれるアッパーな雰囲気。
エンターテイメントが溢れていて、今ぜひチェックしてほしい展示です!

畑中宝子 個展 fragility
ギャラリーエス E zone
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
2/27(火)~3/4(日)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
畑中宝子DM.jpg


風景語りの緩やかな私小説。。。

ギャラリーエスでの畑中宝子さんの個展、 DMを見て気になって、さっそく拝見してきた次第です。

畑中宝子04


淡い色彩のアクリル画。
ギャラリーの空間をぐるりと取り囲むように展示されています。

まず、入口左手に並ぶ作品。
パネルとパネルの間に僅かな隙き間を持たせて展示され、端から端へと続けて視線を流しながら眺めると、まるでパノラマのように、ひとつの物語が展開していくような感覚が沸き起こってきます。
その僅かな隙き間を持ちながら隣り合う画面は一部が繋がっているように描かれていて、曖昧さを含みながら隣の絵へとストーリーを受け渡すふうに展開されています。

それぞれの画面に広がる色彩は思いのほか異なっていて、そのパネルごとに展開している場面からイメージされるストーリーは、まるでベッドの上で見る夢のようになめらかな不思議さを伴いながら、心に広がっていきます。
しかし、僕が男だからというのも多分にあるとは思うのですが、このストーリーに登場するもののなかでで感情移入してしまうのが、自然な佇まいの女の子や猫ではなくて、意外にも風景のなかの葉や花だったりします。。。

畑中宝子12 畑中宝子11

畑中宝子09 畑中宝子10

畑中宝子13

このパノラマ的な作品だけに留まらず、展示されている作品の多くには自然体な佇まいの女の子と猫が登場します。
画面の中にいても見られていることをまったく感じさせない女の子、それとは対照的に、時には見るものを威嚇するように、細い瞳孔で鋭い視線をこちらへと向けていたり、ドリーミーに広がる風景をうろうろと動き回っている、表情豊かな猫。淡い色彩で広がる背景のなかで、同様に緩やかな輪郭で描き出された女の子と猫、そのコントラストの面白さと、それによって紡がれていくストーリー。
あまり触れることのない物語の世界の一端を、空間的に体感できたような気がします。


いっしょに展示されている小品は、大きな作品とはちょっと違うテイストを感じます。
額の中に収められた作品は、紙か何かに描かれていて、ラメなども取り入れられていたり。
遊び心が感じられて、やわらかい気分に。

畑中宝子01 畑中宝子02

また、板のようなものに描かれた小品は、展開されるストーリーの挿絵のように、それぞれの場面にスポットが当てられているような感触です。
壁に灯るようにインスタレーションされた展示も、この雰囲気をさらに演出しているように思えます。

畑中宝子06 畑中宝子05

畑中宝子07

そして、ひとつだけ天井から吊るされたモビール。
こちらは、平面のなかからはみ出ちゃったた遊び心という感じが楽しいです。

畑中宝子08


さまざまなサイズの画面、さまざまな色彩。それらが空間の中に広がっていて、それでも失われない、ひとりのアーティストがつくり出したことがしっかりと伝わる統一感。
畑中さんがつくり出したものからしか感じ得られないいろんなイメージをこの場所で得られたことが、そういった個性と出会えたことと合わせて、嬉しく感じられます。

畑中宝子03

R.A.M. 伴戸玲伊子/藤倉明子/奥村美佳
ギャラリー和田
東京都中央区銀座1-8-8 三神ALビル1F
2/26(月)~3/8(木)日休
11:00~18:30(最終日:~17:00)
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それぞれに個性溢れるスタイルを持つ3名の女性の日本画家によるグループ展です。

昨年の佐藤美術館での個展などで折りに触れて拝見している奥村美佳さん。
独特の風景画とともに、これまで僕が拝見しなかった風合いの作品もあ話せて展示されています。

やわらかな緑と青が広がる、手前の樹木と遠くの山の姿に優しさを感じる作品。こちらは色彩の軽やかさ、爽やかさが印象的です。
花を描いた作品は、風景のイメージが強かった奥村さんのこれまでの作風からするとたいへん新鮮に、しかしやはり奥村さんらしいどこか懐かしい味わいが感じられます。可憐に咲く花の薄い花びらの儚さが独特のやわらかな色彩で描き出されていて、そのものの美とともに、花の心も表しているように感じられます。

RAM奥村美佳01

RAM奥村美佳03

そして、奥村さんの真骨頂とでもいうべき風景画。
すうっと広がるくすんだような色彩が醸し出すデジャヴ感。
暮れる刻を思わせるやわらかな風合いのなかに、家々がくっきりとシャープなかたち、幾何学的、図形的に描かれているのを眺めていると、淡く褪せた昔の記憶を思い浮かべたとき、曖昧だった姿がそういったかたちで蘇ってきたかのようなイメージが沸いてきます。
もっと大きな作品を拝見したときもそうでしたが、この大きさの作品でも充分に、脳裏になんだか懐かしい思いを広げてくれます。

RAM奥村美佳02


伴戸玲伊子さんの作品。
季節感溢れる風景が印象的です。

風の流れの表現がユニークな、モノトーンに広がる冬の雪景色や、冬の装いを残した山肌の上に広がる春を思わせる空の美しさ。
その画面の中に織り込まれる色彩がそのまま、その季節をイメージさせてくれます。

RAM伴戸玲伊子02 RAM伴戸玲伊子01

RAM伴戸玲伊子03


藤倉明子さんの作品は、対面する伴戸さんの作品と対照的に、岩絵の具の質感、その粒子が持つ表情が大胆に画面に取り入れられていて、この展示の中でひときわエネルギッシュに感じられます。

黒い光を発散させる白い太陽や、大きな画面いっぱいに描き出された船の臨場感。そこに描かれるものが持つ存在をさらに引き出したような構成に圧倒されます。
小品でもその独特の力強さは健在で、むしろ、よりその強さが凝縮された印象が伝わってきます。

RAM藤倉明子02 RAM藤倉明子01

RAM藤倉明子03

小田志保展
ぎゃらりぃ朋
東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル2F
2/23(金)~3/3(土)日休
12:00~19:00
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シンプルな色彩を背景に描かれる女性の肖像。
その圧倒的な筆致に息をのむ...

今回ぎゃらりぃ朋で開催さてれているのは、テンペラと油彩の混合技法による作品を制作されている小田志保さんの個展です。
いかにもテンペラらしい(といっても、せいぜい絵の具を溶くときに卵やら牛乳の成分やらを使うっていうことくらいで、実は良く分かってない部分も多いのですが...)フラットな画面に描かれる絵の世界に引き込まれてしまいます。

まず、そこに描かれる女性。本当に丁寧に画面の中に再現されています。
若干俯き加減で憂いを帯びたような表情も印象的ながら、顔の肌の曲面が細かい線で立体的に描き出されていたり、髪のかたちや服の模様なども実に精密に描き込まれていて、至近で観始めると時間を忘れてのめり込んでしまうほど。

小田志保01

小田志保02


そして、背景の美しさも印象に残ります。
まったくフラットな色面。若干くすんだような白であったり、あるいは絢爛な赤であったり。展示されている作品は額に収められていますが、その額がなくなってしまうと実はこの色はどこまでも広がっているのではないか、という錯覚を思い起こさせるほどに、美しく伸びやかに、かつ落ち着いた雰囲気を醸し出しながら画面を覆っています。

背景の中では、ギャラリーの入口から入って正面に展示されている今回もっとも大きな作品の赤の尋常でないインパクトが強烈に印象に残ります。その鮮やかな赤に浮かび上がる女性、現代の「見返り美人」的なポーズがより引き立てられて感じられます。

小田志保04 小田志保05 小田志保06

小田志保03


他の作品もホントに見応えがあって。
金箔を背景に用い、若干の立体的なデコレーションも画面の中に施されたものも。
絢爛な色彩を放っている一方で、実に落ち着いていて、どこか儚げな風合いも滲み出ているようで...。

小田志保09 小田志保08


展示全体を俯瞰しても、ひとつの個性で統一されていて、その雰囲気に浸っている実感が心に残ります。
独特の渋さと静謐感が印象に残る作品群です。

小田志保07

それにしても、毎度、このぎゃらりぃ朋がピックアップするアーティストには、既知、未知に関らずそのクオリティの高さに驚かされます。
で、昨年に引き続いて開催される、ギャラリーに縁のあるアーティストが描く男性の肖像をパッケージした「美男画展」にも小田さんが参加される予定とのことで、そちらもが楽しみです。

峰岡正裕展 ~海底探検~
MAKII MASARU FINE ARTS
東京都台東区浅草橋1-7-7
2/19(月)~3/3(土)
11:00~19:00(土:~17:00)
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土の上を裸足で駆ける音が聞こえる...

峰岡正裕10


昨年秋に開催された佐藤美術館の奨学生展で、あの松井冬子さんの作品の隣に展示され、松井さんの幽玄な雰囲気と対照的に、怪人が登場する躍動感のあるホットな作風が印象に残っていた峰岡正裕さんの個展です。

会場は、新橋から移転したMAKII MASARU FINE ARTS。新橋にあった頃に何度か伺ったことはあったものの、浅草橋に移転してからは、今回が初めて。
お賑やかな雰囲気が漂っていて楽しい浅草橋の裏通りにあってちょっと分かりづらい場所ですが、1階と2階のスペースを擁し、アーティストによってはその空間の活かし方、アプローチが違ってきそうな感じで、チェックし甲斐のある空間です。


で、今回の峰岡さんの個展、むしろ大作中心の展示となっていて、そのボリュームに圧倒されっぱなし。

1階の入口のロビー的なスペースに展示されていた小品。
大作のダイナミックな構成とは異なって、ひとつの画面に登場するひとつの妖怪の出で立ち、表情がなんともかわいらしい...(笑)。
配色といい構成といい、遊び心が盛り込まれた感じが楽しいです。
自然光が注ぐ空間ということもあって、それによって軽い感触が演出されているのもいい感じ。

峰岡正裕05 峰岡正裕06

峰岡正裕04


1階のギャラリースペース。
暗めの照明設定で、大作と中くらいの作品とで構成されています。

やはり、大きな作品は圧巻です。
岩絵の具特有のマッドな質感が活かされ、前時代的な雰囲気が強烈に漂います。
そして、特に人のかたちをした妖怪、怪人がそれぞれの画面の中でダイナミックに躍動します。

峰岡正裕02 峰岡正裕03

峰岡正裕01


作品の中に取り入れられている色、幾何学的なかたち、模様が醸し出す雰囲気のユニークさ。
現代のテクノロジカルな要素を排し、すべてを土の上で育まれる想像力と手仕事とによってつくり出される有機的な風合い、味わいが面白いです。
作品によっては、荒い粒子の岩絵の具を用いることで、土っぽさを全面に押し出したようなマチエルのものもあって、その物質感がさらにその土着的な雰囲気を煽ります。
しかし、そうでない比較的フラットな画面の作品からも充分に、峰岡さん=が作り上げる独特の世界は伝わってきます。奇妙キテレツな姿の妖怪がこっちを向いていたりしても、そこにいわゆる未知のものに対面したときの怖さは感じず、むしろ興味を掻き立てられる感じで、その独特の絢爛な世界のなかにイメージがどんどん入り込んでいきます。

峰岡正裕09 峰岡正裕07

峰岡正裕08


続いて2階へ。
こちらではさらにダイナミックな作品がずらりと展示されていて驚きます。
階段を昇っていく途中から視界に入ってくる超大作は圧巻の一言。この画面を前にして、その画面に収まらないほどの壮大さをもつ伝奇小説の一場面に入り込んでしまったかのような錯覚を覚えた次第。

峰岡正裕13


等身大の怪人が画面の中で舞うような作品が。
その躍動感はさらに臨場感を増して、するりと織り込まれるユーモアと画面から発散されているように感じられます。
無論この怪人とホントに対面したらまず一目散に逃げるような気もしますが(笑)、こうやって画面の中の怪人と対面する限り、むしろ良く見るとツッコミどころがけっこうあるその姿が楽しい気分にさせてくれます。

峰岡正裕11


渋味溢れる色彩や時おり深みを見せるストーリーの中にコミカルさがアクセントとなっているこの世界を、これだけの画面で体感できて満足、見応え充分の展示です。

峰岡正裕12