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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報
2007年6月アーカイブ

立体の魅力 vol.9 祝迫義郎
イセザキモール・コイチ
神奈川県横浜市中区伊勢佐木町2-62
6/2(土)~6/24(日)水休
11:00~19:00
祝迫義郎6/2DM.jpg

一昨年、昨年に続いて開催された祝迫義郎さんのイセザキモール・コイチでの個展。
かわいくてシュールな彫金のオブジェ、今回も精緻な作り込みに感嘆。。。


そこに込められたメッセージとそのスキルに感服。

彫金アーティスト、祝迫義郎さんのイセザキモール・コイチでの個展です。
横浜、伊勢佐木町の賑やかな通りにひっそりとあるギャラリー、奥のちいさなスペースに、今回も祝迫さんのウィットが効いたかわいくてシュールな作品が。

壁から顔を出す貝。
鋳型を作って制作されたこのシリーズ、甲殻類のフォルムが持つ幾何学的なかっこよさと、小さくて丸い格子や鋼板の扉とのマッチングがまた面白いです。
このシリーズは今後も増えるかもしれないそうで、それもすごく楽しみ!


祝迫義郎003 祝迫義郎002 祝迫義郎004

祝迫義郎001

ひよことたまご。
やけに強気で生意気そうな表情のひよこ、それが余計にかわいらしく思え、同時にシュールな雰囲気も充満させています。


祝迫義郎007

祝迫義郎006

フライドチキンの取っ手が雄鶏の頭部になったこの作品は、祝迫さんの真骨頂。
鶏のとさかやフライドチキンの表面の質感、巻かれるリボンにいたるまで、織り込まれる要素のひとつひとつが精緻に再現されているからこそ、作品に封じこめられたシュールなメッセージがまずダイレクトに伝わってきます。


祝迫義郎005

先日奥野ビルのギャラリー銀座一丁目で開催された展示にも出展されていた作品も、再び登場。
じっくりと観ざるを得ないこのモチーフ、その状況に「嵌められてる...(笑)」と感じつつも、戦闘機の操縦席の精緻な作り込みにはあらためて感嘆。


祝迫義郎011

祝迫義郎010

踵がナイフになってるハイヒール。
こちらもホントにかっこいい!
直に見ると、ナイフの部分にはちゃんと祝迫さんの名前が刻印されているのも、独特の味わいを加味しています。


祝迫義郎009

そして今回は、アクセサリーサイズの作品も出展されていました。
アタッシュケースに入った口紅のミニチュア版。加えてハイヒールのミニチュア版も。
ハイヒールのは試作品のようなのですが、ちゃんと刃の部分が動いて、実際に使えるようにもなりそうで興味深いです。
こちらのほうの展開も面白く、楽しみです。


祝迫義郎008

今回もひとつひとつの面白さを堪能した次第で。
で、今年の秋頃にもひとつ、展示が決まっているとのこと。今からどんな展示になるかと期待が膨らんでいます!

[躯体とその末尾]四宮義俊
旧村川別荘[母屋]
千葉県我孫子市寿2-27-9
6/21(木)~6/26(火)
9:00~18:00
四宮義俊6/21パンフ.jpg

旧家屋で観る、現代の日本画。

我孫子の旧村川別荘で開催された四宮義俊さんの展覧会に行ってきました。
こういう機会に行ったことがない場所へ行くのはホントに楽しいです。
降りたことがない駅で降りるだけでもワクワクします。


木々が生えるちいさな丘、人が通れるようにと何とか造られたような石段を登って辿り着く古い家屋。
引き戸の玄関をくぐってさっそく、四宮さんの絵が描かれた襖がお出迎え。


四宮義俊06 四宮義俊05

四宮義俊04

決して派手な色彩は登場しない、渋く、しっとりとした味わい深い世界。
四宮さんの作品は、新しい岩絵の具は使用せず、古来から用いられる素材、そしてその土地で捕れる植物などから色を取り出して制作されるとのこと。
そういった自然な素材で描かれていることで、このような寂れた風情が漂う空間に収められると、時代を忘れさせてくれて実にしっくりとくるんです。


四宮義俊10

続いて入る部屋には、棚の襖に絵が描かれていました。
ていねいに施されたパターン。そこに、飛ぶ燕の姿。
紙の独特の風合いも活きて、独特の渋味が広がります。
取っ手の部分もていねいに作らてているにも目が行き、感心させられます。


四宮義俊02 四宮義俊03

四宮義俊01

今回、ここで展示された作品はすべて、襖の枠から制作されたそう。
古い建物ということもあって、梁が太くない部分は大きな歪みが現れていて難儀されたようなのですが、そういうところもまた「味」となって、この空間にほっこりとしたアクセントをもたらしています。

それにしても、ホントにほっとする色合いです。
ぱっと目に飛び込んでくる強い色彩はないのですが、しんしんと伝わってくるような、おだやかな色の表情が印象的です。


四宮義俊09 四宮義俊08

四宮義俊07

悠然とした白い鳥の姿、そのなかに織り込まれる細かい紋様。
同じかたちでありながらひとつひとつのかたちが微妙に異なっていて、手描きなのがよく分かります。このアナログな手法が放つ余韻がまた、心地よく伝わってきます。


四宮義俊12 四宮義俊13

四宮義俊11

古い畳や褐色の柱、今にも雨が降りそうな梅雨空。
そういったもののなかに収められる四宮さんの襖絵。
「今に残る旧いもの」と「旧さを取り入れた今」とが見事に調和し、独特の雰囲気が作り上げられていた展覧会でした。

吉崎恵理 自由絵画展 -やわらかい声
(g)
東京都渋谷区恵比寿西1-31-12-2F
6/26(火)~7/5(木)月休
12:00~19:00
吉崎恵理6/26DM.jpg

これでいいのか???( ̄口 ̄;)
これでいいのか!!!(゜∀゜)

代官山の裏通りにあるアーバンなビルの2階、good design companyのギャラリースペース、(g)で始まった吉崎恵理さんの個展に行ってきました。

いや、もう、最高。
ホントに「これだけ?」って感じの作品が並びますが、そこからはかわいらしさとユーモアが溢れていて、その作品といっしょにいるだけで安堵感も入り交じった嬉しさが込み上げてきます。


吉崎恵理02

アクリル絵の具で描かれる作品に登場するモチーフは、いたってシンプル。
そしてそれらは、またこれが、

そこをズームアップするか!!!Σ( ̄口 ̄;)

・・・といった具合にキテレツな視点で取り上げられ、さらにからりと色彩を変えながら、ポップにデフォルメされています。
まず絵を眺めてそれが何であるか想像し、タイトルを確認したときの脱力。

むしろその瞬間に沸き上がる「ちょw」って感覚が堪りません(笑)。
ついでに作品価格も確認すると


・・・


・・・


・・・


・・・え?Σ( ̄口 ̄;)

って感じで(爆)。
なんて素敵な価格設定。そんなディテールにも強烈にこだわりが感じられて最高。
そんな所にもユーモアが潜んでいます。いや、案外本気かも。


吉崎恵理03


ギャラリーのセンターには明るい木目も気持ちいいちいさな台が並べられ、その上には1冊ずつgood design companyの装幀で吉崎さんの絵が表紙に採用されたハードカバーのノートが置かれています。
とにかくオシャレ。
ちょっぴりヨタヨタッとした題字もかわいくて、気分も和んできます。


吉崎恵理01

じめじめとした梅雨の季節、はたまた蒸し暑い夏の季節、上がる不快指数もスパッとカットしてくれるような、さわやかで楽しい作品が揃った展覧会です。
お日さまが高い時間におおきなガラス張りの壁から入る自然光で楽しむも良し、暮れてスポットでやわらかく照らされるときに味わうも良し。

ちょうど僕が伺った時間にギャラリーでかかっていた音楽がコーネリアスで。
この辺りの音楽を聴く人、演る人にもきっと響きそうなクリエイションのような気がします。


吉崎恵理04

湯浅克俊 世界は光で満ちている
CIBONE●●GALLERY
東京都港区北青山2-14-6 青山ベルコモンズB1d
6/23(土)~8/28(火)
11:00~21:00
湯浅克俊6/23DM.jpg

始めて体感する木版画の世界。
そこに広がるエキゾチックな感性。


CIBONE●●GALLERYで始まった湯浅克俊さんの個展。
階段を下ってベルコモンズの最下階へ入ると、天井も高く、知的なクールさが印象的なこの空間に、湯浅さんの作品が天井から吊るされ折り重なるようなかたちで展示されています。

一見して「テキスタイル・・・?」と思ってしまったくらいに、走査線のように水平な、あるいは垂直な線が連なって描き出される、モノトーンの風景。
瞬間的に総出あることが信じられないほどに、独特な雰囲気に溢れた木版画です。
これまで拝見してきた経験から、木版画というとオリエンタルな、もっというとジャパニズムな味わいに満ちた手法というイメージを持っていたのですが、今回、湯浅さんの作品を拝見して、現在イギリスに拠点を置かれているとはいえ、日本人のアーティストによる木版画でありながら、これほどまでにエキゾチシズムを感じさせてくれることに驚き、感動した次第です。


湯浅克俊03 湯浅克俊02

湯浅克俊01

湯浅さんの木版画には、油性インクが用いられています。
支持体となる紙は、そのまま用いられているものもあれば、墨などで下地の色が施されたものも。
紙のままの作品だと、吸収が良いためにインクの黒の油分が吸い取られて幾分か乾いたような質感の黒となり、それが作品の中の光景に「くすみ」をもたらして、モノクロームの蜃気楼のような風合いを醸し出しているように感じられます。

一方、下地に色が塗布された作品では、油性インクの油分が画面に残り、木版が紙から離れる瞬間の音も生々しく蘇ってくるように感じるほどにムラが現れて、それが作品のクールさに危うさ、妖しさといった類いのアクセントをもたらしているように思えるんです。

特に、墨の黒にインクの黒が乗る作品、ふたつの黒が作り上げるシルエットには、さらに濃く展開する奥の深さに呑まれるような感覚さえ覚えます。


湯浅克俊05

湯浅克俊04

他、白の下地に白のインク、黒の下地に白、といった具合にさまざまな組み合わせで独特の世界が繰り広げられています。
そして、版に彫られた細い線の重なりに油性インクを塗ることで、一部の凸版のくぼみがインクで埋まり、思い掛けないところに黒い色面ができあがって、それがまたこの木版画の「くせ」となり、さらにオリジナリティを孤高なものへと押し上げているように感じられます。この、おそらく意図せずにできあがる色面の危うさは、蘇りきらない記憶の曖昧さを現しているようにも思えてきます。


湯浅克俊09

湯浅克俊11

今回の展示には2点のユニークピースも出展されています。
版木に彫られた彼の地の光景。墨で塗られ、しっとりとした闇に浮かび上がる建造物のフォルム。
木目と彫り跡とが醸し出す、その「もの」としてのリアリティと、そのなかに意識が入り込んだときに心の中に広がる、沈むような深遠さ。ここでしか味わえない独特の渋さが印象的な世界です。


湯浅克俊07 湯浅克俊08

湯浅克俊06


独特の味わいに溢れたクリエイション。
その「残像」のような風合いをさらに演出する、至高のインスタレーション。
現実から離れ、知らない記憶の中に入り込んでそれを体感するような、時間的な奥行きのあるダイナミックさと深遠さに溢れた展覧会です。


湯浅克俊10

《6/22》
湯浅克俊 世界は光で満ちている
CIBONE●●GALLERY
東京都港区北青山2-14-6 青山ベルコモンズB1d
6/23(土)~8/28(火)
11:00~21:00
湯浅克俊6/23DM.jpg

こんな木版画、観たことなかった...。
エキゾチックな雰囲気に溢れたモノトーンの風景。そして至高のインスタレーション。

・"DREAM CATCHERS"
MOGRA GALLERY+CAFE BAR
東京都渋谷区神宮前6-9-6
6/10(日)~6/23(土)
12:00~24:00(最終日:~20:00)
DREAM CATCHERS DM.jpg

僕が知らなかった東京。原宿の裏のさらに裏、入り組んだ小道の先にあるMOGRA GALLERY+CAFE BAR。ほんの数席のカウンターとテーブルがあるカフェバーは、隠れ家のような2階と、入ってびっくりする3階のギャラリースペースがあって。
素敵な場所に巡り合えたような気がして、嬉しくなってしまいます。

そこで開催された、さまざまなクリエイションがパッケージされたグループショーです。
ムサビの修了展示で拝見して以来、気になっている安田悠さん。ぼんやりと揺らめくフォルムと独特の渋味を帯びた色彩で描かれる、あるシーン。

MOGRA 安田悠03 MOGRA 安田悠02

MOGRA 安田悠01


ナカノ彩さんの作品は、奇妙なかたちと鮮やかな色彩とがぱっと目に飛び込んでくる抽象の世界が現されています。

MOGRA ナカノ彩02

MOGRA ナカノ彩01


柏木直人さんの作品、一見すると「キャベツ?」と思ってしまったのですが、よく見ると歪んだ頭蓋骨が鮮やかなグリーンで作られたオブジェ。妖しさと明るさとのギャップのインパクトに戸惑います。

MOGRA 柏木直人01

上映されていた映像作品も面白かったです。光の筋が未来的でかっこよかったり、蛇口から流れる水とサウンドとが重なっていたり。

《6/23》
・トーキョーワンダーウォール公募2007入選作品展
東京都現代美術館 企画展示室地下2階
東京都江東区三好4-1-1
6/16(土)~7/8(日)月休
10:00~18:00
TWW2007パンフ.jpg

今回から立体作品もOKになったトーキョーワンダーウォール。
昨年までの印象だと、立体的なマチエルを持った作品がピックアップされる印象を持っていたのですが、それも幾分か抑えられたような感じがしましたが、気のせいかも...。

上條絵奈さんの揺らぐ輝きに満ちた作品。ずっと向こうで広がっている地平線、どこまでも遠くへと続く暮れる空と一本道。モノトーンで描き出されたシンプルで壮大な光景。

平林貴宏さんの絹本。こういった展覧会で絹本の繊細さに巡り会うとそれだけでアクセントになって気分を変えられるので嬉しいのですが、描かれるモチーフも深遠で、水面に浮かぶ花弁1枚、そこから渦巻くように、沸き上がるように連なる蝶、百合の花のシルエットが繊細に描かれていてぐっときます。

アプローチのユニークさとていねいな描き込みに惹かれた大久保如彌さんの作品。青い花と黒白の花の柄が織り込まれた布、その花のひとつひとつにも手が加えられ、そこに登場する林檎を手に取る女の子の姿や動物が、その布の模様を背景にして奇妙な物語を繰り広げているような感じです。

白石綾子さんが描くある日常のワンシーンもぐっときます。床置きのランプのみが照らす暗い部屋、ソファに腰掛ける女性。仄かな光のなかで、床のカーペットの表情なども繊細に描かれて、雰囲気がぐんと演出されています。

既知のアーティストでは、ひとつぼ展でも拝見した増子博子さんのペン画、2日続けてチェックの安田悠さんの独特の油彩、加藤怜子さんの手が舞う作品、東京画廊でのグループ展での衝撃が未だ脳裏に残る柴田鑑三さんのスチレンフォームの作品、長田堅二郎さんの神経のようなスティックが連なる作品、中谷篤志さんの透明感溢れる鮮やかな色彩で描かれるファンタジーなどがよかったです。

・Drawing ‐素材・筆触‐
SAN-AI GALLERY
東京都中央区日本橋蛎殻町1-26-8 三愛水天宮ビル1F

6/19(火)~6/30(土)6/24、6/25休
11:30~19:00(最終日:~17:00)
Drawing 6/19DM.jpg

7名の女性のアーティストの作品が多数出展されている展覧会、なかでも折りに触れて拝見している長雪恵さんの小品がよかったです。
ひとつの画面に蟹や亀などの動物が板に彫られるかたちで描かれ、明るめの色で彩られて、長さんのユニークな手法がまた違った風合いで活かされています。

長雪恵002 長雪恵003

長雪恵001

村中佐智子 個展 -ここに在ること-
フタバ画廊
東京都中央区銀座1-5-6 福神ビルB1
6/19(火)~6/24(日)
11:00~19:00(最終日:~16:00)
村中佐智子6/19DM.jpg

準備の様子を覗いて楽しみだった村中佐智子さんの個展。
白い布が天井から吊られ、ひとりずつそのなかに入って観るインスタレーション。
空間のなかで重なる白い布が、浮かぶ雲のようなかたちのやわらかい照明に照らされていて、そこかしこにかわいく作り込まれたミニチュアっぽい風景が広がります。

村中佐智子02 村中佐智子05 村中佐智子03 村中佐智子04

で、動きがあるものはないのかな、と探ったのですが見つけられず...。
観終わって村中さんに尋ねたら、床にある小さな山、そこから噴煙というよりも煙突からの煙のように伸びる白い布のチューブのなかを、蟻が登っていくこともあるそうで。それが観られなかったのは残念。。。

村中佐智子01

・森山光輝展
ぎゃらりぃ朋
東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル2F
6/22(金)~6/30(土)日休
12:00~19:00
森山光輝6/22DM.jpg

昨年に続いて開催されている森山光輝さんのぎゃらりぃ朋での個展です。
胡粉を用いて盛り上げられる立体感の迫力は相変わらず。
そして、正面の壁に展示された雨の風景の作品の独特の味わいも印象的です。

森山光輝003 森山光輝002

森山光輝001

・アキラソメカメラ
CALM & PUNK GALLERY
東京都港区西麻布1-15-15 浅井ビル1F
6/22(金)~7/2(月)
11:00~19:00
染川明6/22DM.jpg

おもちゃなどがモチーフとなった、染川明さんの写真作品がずらりと並びます。
けっこうグロテスクなモチーフだったりするのですが、それ以上に色彩の鮮やかさ、特に赤の美しさに惹かれます。
パネルに直にマウントされ、その色彩の透明感もさらに全面に押し出されて、浮遊感と艶かしい雰囲気とが混然となった不思議な印象が広がります。

染川明01 染川明02

染川明03

今回の展示には出展されていないのですが、裏返されたぬいぐるみがモチーフとなった作品もファイルで拝見できます。こちらも結構なインパクトです。


染川明04


・カンノサカン「trans.」
ヴァイスフェルト
東京都港区六本木6-8-14 コンプレックス北館3F
6/1(金)~6/30(土)日月祝休
11:00~19:00
カンノサカン6/1DM.jpg

1点増えてる!!!Σ( ̄口 ̄;)

画面に収まらない線の広がり。続きはどうなっていくんだろう、と想像もぐんと広がります。


《6/24》
☆[躯体とその末尾]四宮義俊
旧村川別荘[母屋]
千葉県我孫子市寿2-27-9
6/21(木)~6/26(火)
9:00~18:00
四宮義俊6/21パンフ.jpg

旧家屋のなかで繰り広げられている四宮義俊さんの渋い絵画。
本来の日本の絵の色彩で再現される、現代の襖絵。家屋の雰囲気によってその渋味がより引き出されています。


☆立体の魅力 vol.9 祝迫義郎
イセザキモール・コイチ
神奈川県横浜市中区伊勢佐木町2-62
6/2(土)~6/24(日)水休
11:00~19:00
祝迫義郎6/2DM.jpg

一昨年、昨年に続いて開催された祝迫義郎さんのイセザキモール・コイチでの個展。
かわいくてシュールな彫金のオブジェ、今回も精緻な作り込みに感嘆。。。

・Gallery Box Exhibition vol.04 内海聖史・岩野仁美「苗色の絵画」
横浜ベイクォーター「ギャラリーBOX」
神奈川県横浜市神奈川区金港町1-10 (3,4,5F)
5/31(月)~8/29(水)
11:00~20:00
苗色の絵画DM.jpg

横浜ベイクォーターの小窓で展開されているアートの展覧会。
岩野仁美さんの作品は、発泡スチロールボードを用いて画面にくぼみを持たせたユニークな作品で、絵の瑞々しさがその手法によってさらに演出されています。

そして、内海聖史さん。
この実に小さい空間に、「三千世界」のちいさなパネルの作品が整然と収まっていたり、細かいドットに覆われた球体や立方体、円柱が佇んでいたり。
「そうきたか!」という歓喜と、先日は資生堂ギャラリーのあの広い壁を覆った「三千世界」が今度はあのときの何百分の一かの空間で展開されていることへの面白さとが感じられて。

内海聖史@BQ04 内海聖史@BQ03 内海聖史@BQ02

内海聖史@BQ01

服部睦美展
巷房
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル3F
6/11(月)~6/16(土)
12:00~19:00(最終日:~17:00)
服部睦美6/11DM.jpg

銅と真鍮が奏でるファンタジー。

巷房で開催された服部睦美さんの個展。
前回も同じ会場で開催され、そのときも眺めているだけでワクワクするようなかわいくてかっこいい世界が堪能できたのが印象に残っていて、今回も楽しみでした。


どこかレトロな雰囲気を醸し出している巷房、ここに設置された台の上に置かれたさまざまなオブジェ。
車輪と羽根が付いているものは、それが動いている、それに乗っているところを想像して楽しい気持ちでいっぱいになったり、建物や街を思わせる作品からは、そこで繰り広げられるストーリーに思いを馳せてみたり。また、動きそうなところがあれば、車の作品と同じくそれが動くことに期待が高まったり。。。

とにかくいろんな楽しいイメージが広がります。


服部睦美05 服部睦美06

服部睦美03 服部睦美02

服部睦美01

壁掛けのオブジェもユニークです。
ユーモラスなかたちもまた、さらにそのファンタジックなイメージを押し広げてくれます。
なんだか面白そうな、都市の標本のような感じもいいんです。
そして、羽根が付いていたら、飛んでいる、浮遊しているところを眺めているような気持ちも。


服部睦美10 服部睦美09 服部睦美08 服部睦美11

服部睦美07

1点だけ、パーツをパネルに配した作品も。
組み立てられる前のプラモデル(無論素材が圧倒的に違いますが)のような構図で、昔熱中したプラモデル作りの興奮が蘇ってくるような楽しさに溢れています。


服部睦美04

今回もっとも大きな作品、ギャラリーのほぼ真ん中に設置された台上にそびえるタワー。
大きい、ということがそのままダイナミックに感じられつつ、その中身も凝っていて、いろいろと内側に階段のようなものなどが施されていて、そういったものを見つける楽しみも。


服部睦美14 服部睦美15

服部睦美13

作品そのものからにじみ出るファンタジックな雰囲気と、作り手の楽しさと。
エンターテイメント性に富んだオブジェ、今回も堪能できて満足!
もっといろいろ観たいという衝動も沸き起こってきます。

岸にあがった花火 宮永愛子
すみだリバーサイドホール・ギャラリー
東京都墨田区吾妻橋1-23-20
6/16(土)~7/15(日)
10:00~19:00
宮永愛子6/16パンフ.jpg

「時間」とは、変わること。。。

今年も始まったアサヒ・アート・フェスティバルすみだリバーサイドホール・ギャラリー今回フィーチャーれたのが宮永愛子さん。

ギャラリーに並べられたユニークなアプローチの作品群。
それぞれが、過ぎ行く時間を感じさせてくれます。

会場の奥のほう。
吊るされた棚の上に並ぶ、古い陶食器。
その内側は透明で青い釉薬が塗布されています。

そして、耳を澄ましていると...

     チン

              チン


     
        チン

・・・といった具合に、繊細で澄んだ音が聴こえてくるんです。
本来、は自然につくり出される「ヒビ」が味わい深い模様になるように、磁器に施される釉薬。
その釉薬の調合を変え、延々と、緩やかに時間をかけてヒビが入り続けるようになっているんです。

期待しているとこちらの心を見透かしたように澄んだ音を響かせてくれない。。。
諦めかけたころに、続けざまに音を鳴らしてくれる。。。

なんだかそれも不思議な感じで、でもその音を耳にするとほっとして。
耳が聴き取ったほんの僅かな音は、心に中で美しく響きます。


宮永愛子01

会場のそこかしこに配置されたわずかに透明さを帯びた白色のオブジェ。
実際の物の型をとって、ナフタリンで再生した作品です。

多くの作品はアクリルのケースに入った状態で展示されていますが、それも時間が経つに連れて昇華し、その姿はだんだんと消えゆく。。。
ギャラリーの右と左とにあるショーウィンドーのそれぞれに展示されたルオーの道化師の絵、そしてその時代のドレス。
それらに呼応して制作された革靴や、古いミシンのなかの糸切りバサミ、金庫のなかに置かれた鍵、ケースの蓋を取って観られるさまざまなもの。
灯りに照らされて神々しくその姿を輝かせながら、観ているその瞬間も僅かずつ昇華を続けていることに思いを馳せるとなんとも神妙に、そして儚い気持ちが広がります。


宮永愛子03 宮永愛子02

宮永愛子04

この会場の中央に設置された大きなインスタレーション。

ふたつの大きなパネルの間に張り巡らされた糸。
それはすべて水平に。そして、片方から眺めるとぐんと競り上がっていく水平な糸の連なりのダイナミックさは相当なもの。色彩的にシンプルなこともあって、その展示のみの力強さが伝わってきます。

宮永愛子07

その糸には細かな粒子が照明を受けてきらきらと輝きを放っています。
これが、隅田川から汲み上げてきた水から抽出された塩の結晶、とのこと。
海水ではなくて川の水。これだけの量を取り出すのに一体どれだけの水量が必要で、そしてどれほどの時間が費やされたんだろう。。。

宮永愛子06


いろんな想像が沸き起こってくる作品です。


宮永愛子05

特に、ナフタリンの作品はおそらく会期終了が近付いた頃には劇的にその姿を変えているはず。
僕が拝見したのは会期が始まる前のレセプションのときで、靴も鍵もハサミもそのフォルムをしっかりと晒していたのですが、次に観たときにどうなってるか、そしてそれを観たときにどんな思いが浮かんでくるか、興味があります。
それを確認するために、何度も足を運びたい展覧会です。

馬籠伸郎展
ギャラリーツープラス
東京都中央区銀座1-14-15 白井ビル2&3F
6/18(月)~6/23(土)
12:00~19:00(金:~21:00、最終日:~17:00)
馬籠伸郎6/18DM.jpg

爽快な空と、そのなかに美しき姿を晒す短剣。


ギャラリーツープラスでの馬籠伸郎さんの個展です。


まず、2階。
こちらは小品がずらりと。


馬籠伸郎01

白い額に収められた空。
まず、その空の鮮やかで爽快な色彩に魅入られます。
雲が浮かぶ青空、遠くへと続いていく暮れる夕空。それぞれが、澄み切った青や、やわらかいグラデーションを伴ったオレンジ色、薄紫色で描かれていて、ちいさな画面の中の世界にスケールの大きなな広がりを感じます。

そしてそこに登場する剣のモチーフ。
剣の実用性からくる危うさはさほど感じず、むしろそのフォルムの美しさ、ケレン味のない直線性が醸し出すスピード感が、広がる空にダイナミックな動線と、さらなる爽快さをもたらしているように思えます。


馬籠伸郎04 馬籠伸郎02 馬籠伸郎05

馬籠伸郎03

3階には、向かい合うふたつの壁で違うアプローチの展開が。
まず右手、こちらには2階に出展された作品の世界が大きなパネルで繰り広げられています。
そのまま画面が広がっただけで、ぐんと広がっていくスケール感も実感できます。
空の青の清々しさ、沸き立つ雲のダイナミズム、そこをおおらかに舞う剣の高貴さ。


馬籠伸郎10 馬籠伸郎09 馬籠伸郎08

馬籠伸郎07

その向かい側では、ちょっと志向が違う作品が。
壁からそそり立ついくつものちいさな柱。そしてその群れの中心に存在するパネル。
黒などの線で細かく描かれた絵はなにやら有機的なイメージが感じられて、そこに混沌をもたらしています。
そのポップな混沌が、パネルのなかに星型に抜かれた画面の中に広がっている空の鮮やかな色彩を引き立てています。
なんだか不思議な印象のインスタレーションです。


馬籠伸郎14 馬籠伸郎12 馬籠伸郎13

馬籠伸郎11

一足先に夏を思わせる(といってもここ数日は天気がよかったので、外の空気がそのまま画面に収められたようでもありましたが...)、爽快な展覧会です!


馬籠伸郎06

ちなみに本日、6/22金曜日の夜はトウキョウ・ミルキーウェイ開催で多数のギャラリーが参加する中、こちらのツープラスでもキャンドルの灯りのみでの展示の模様。
行けるかなぁ・・・。

今川教子 日本画展
Gallery d.g
東京都中央区新川2-7-4 矢島ビル1F
6/18(月)~6/23(土)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
今川教子6/18DM.jpg


ほのかに広がるやさしい色彩。

Gallery d.gでの今川教子さんの個展です。
今川さんの作品は、オンワードギャラリーでのグループ展で拝見したときに画面から広がる浮遊感が印象に残っていて、今回の個展も楽しみでした。

岩絵の具のさらりとした質感が、色彩のさわやかさをさらに押し広げたような作品が溢れています。


今川教子07

オンワードギャラリーなどでも拝見した、雨がテーマのシリーズ。
大きなスクエアの作品、その他さまざまなサイズの画面で展開されています。
画面全体に広がる「空」を思わせる色彩。そこに繊細に浮かぶ白い珠は、落ちる雨粒より、降る雨によって涼しくなった空気に浮かぶ魂のように、虚空に漂い、むしろ天へと昇っていくような印象を覚えます。
そして、手前の地面に当たる部分も実に細やかに描き込まれ、緩やかに奥行きを醸し出しています。
独特のやさしさに満ちた世界が広がっているような感じです。


今川教子10 今川教子09

今川教子02 今川教子03

今川教子01

風景を描いた作品が観られるのも嬉しいです。
夏の夜を思わせるしっとりとした黒。遠くにぱあっと開く大輪の花火、ほのかにぽつぽつとその黒に滲む家々の灯り。
精細に描かれた木々の枝のシルエット。それらが重なり、どこまでも続く林となって、板描きの画面に広がって。
記憶のなかの光景が思い起こされるような作品群です。


今川教子06 今川教子05

今川教子04

そして、清々しい薄青紫の色彩の作品。
この色彩でシンプルに描かれる風景も印象的です。
白とのコントラストも鮮やかで、それでいて岩絵の具の質感によって先鋭さが幾分か抑えられることで、そこに浮かぶシルエットや遠い景色に馳せる思いもどこか懐かしげだったり、涼しい空気がやわらかいそよ風となって吹き抜けていくような。


今川教子11 今川教子12

今川教子13

正面の壁には、横長の大作が展示されていて、こちらも見応え充分です。
横の広がりは、その広さに収まらなないイメージの広がりをもたらしてくれます。


今川教子08

穏やかでやさしくて、そして涼しげで清らかで。
そういう、気分が一新されるような雰囲気が広がる気持ちのいい展覧会です。

笠原みゆき展 trigger
東京日本橋高島屋6階 美術画廊X
東京都中央区日本橋2-4-1
6/6(水)~6/26(火)
10:00~20:00(最終日:~16:00)
笠原みゆき6/6パンフ.jpg

記憶を辿って。。。

日本橋高島屋にできたコンテンポラリーアートスペースで開催されている、笠原みゆきさんの個展です。

アーバンな色調で統一されたこのスペース。
入口が見えるとまず、天井から釣り下がった無数の白い球体に目が留まります。


笠原みゆき01


白い珠が空間に浮かぶこのインスタレーション。
そのいくつかには、「耳」が付いています。そしてこの耳の穴の奥には、その耳の持ち主の記憶が。
手にとって、反対側からライトで照らしながら耳の中を覗いてみると、肖像や風景の写真が見えるんです。
実際に耳があるところを思い浮かべると、耳の穴の奥には脳があって、そこを覗き込んでいるような感じです。


笠原みゆき02


この「耳」が付いた球体、会期中の土日の午後2時から実際に公開制作が行われています。
ちょうど僕が伺った日も公開制作が行われて、テーブルに頭を横向きに寝かせた方の耳に枠を取り付け、そのなかに白い石膏を流し込んで型取りしていく様子は、観ていてどこかのんびりとしていると同時にちょっと緊張感もあって。


この展示では、さまざまな作品が出展されています。
手描きの作品、天井から吊るされた巻き物には、無数の人の姿がひとりひとり細かく描かれていて、巻かれた状態の紙に一体何人いるんだろう、と思うと気が遠くなります。


笠原みゆき07

笠原みゆき05


情動に従って画面にその痕跡を残していったような作品。
拡張する神経細胞のようにも見えたり、ストレートな線の重なりに、この作品の制作に当てられた時間が凝縮されたような印象も受けたり。


笠原みゆき04

笠原みゆき03

和紙にプリントされ、軸装された写真。どこかの風景であったり、ある心象の一場面を思い起こさせたり。
セピア調の色彩と、和紙の落ち着いた風合いがと醸し出す味わい深さも独特で、懐かしい感じに潜む先鋭的で鮮やかな感覚に心地よいインパクトを感じます。


笠原みゆき09 笠原みゆき08

笠原みゆき10

そして、ガラスの作品が美しいんです。
吊り下げられた紙の箱、その内側に広がるモノクロームの風景。そしてその中にぽつねんと置かれた錠前と鍵。
開けっ放しの記憶は、おだやかで、それでいて遠くなった記憶のくすみを伴った静寂をたたえているように感じられます。


笠原みゆき14

笠原みゆき15

床置きの手。
男性と女性の、違う大きさ、違う質感のふたつの手が重ねられたオブジェ。
下からの照明によって照らし出され、神々しく光を放っています。
また、再生紙のパックに収められたガラスの卵も、フィクションと現実の狭間を見せてくれているような不思議なイメージが伝わってきます。


笠原みゆき12 笠原みゆき13

入口すぐの台上の、子供の靴。
そこを通った子供の気配を現しているかのように。。。
また、ガラスの透明感も儚げな風合いを広げていて、そこだけ時間の流れが緩やかに感じられます。


笠原みゆき11

ひとりのアーティストによって繰り出されたさまざまな作品。そのアプローチの多彩さ、表現の幅の広さに感服した次第。
記憶や感情をやさしく揺さぶられるような展覧会です。

《6/18》
村中佐智子 個展 -ここに在ること-
フタバ画廊
東京都中央区銀座1-5-6 福神ビルB1
6/19(火)~6/24(日)
11:00~19:00(最終日:~16:00)
村中佐智子6/19DM.jpg

展示はいつも月曜日から始まるはずのフタバ画廊で、火曜日はじまりのこの展覧会。
敢えて月曜日にちょっと覗いてみたのですが。

!Σ( ̄口 ̄;)

ひとりずつ観るインスタレーションとのこと。なんだか面白そうです!

☆馬籠伸郎展
ギャラリーツープラス
東京都中央区銀座1-14-15 白井ビル2&3F
6/18(月)~6/23(土)
12:00~19:00(金:~21:00、最終日:~17:00)
馬籠伸郎6/18DM.jpg

澄み切った空に舞う短剣。
モチーフのストレートさが清々しい作品が並びます。
金曜日の夜はトウキョウ・ミルキーウェイ開催、キャンドルの灯りだけでの展覧会だそう。

・坂本知野展
Gallery Q
東京都中央区銀座1-15-7 マック銀座ビル2F
5/28(月)~6/2(土)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
坂本知野6/18DM.jpg

SAN-AI GALLERYでのグループ展でも拝見している坂本知野さんの個展。
GALLERY Qのちいさなスペースに凝縮された濃厚な世界。
それぞれの色彩がその色の強さを主張していて、なおかつお互いがいきいきと鮮やかさを発揮しています。


坂本知野04 坂本知野02 坂本知野03

坂本知野01


滲むように描かれるグラデーション、そして登場するモチーフにはけっこう危なさや妖しさが感じられるのですが、それすらも小さく感じられるほど、その色彩の鮮やかさに圧倒される、パワフルな油絵です。


坂本知野06 坂本知野05

坂本知野07

・レゾナンス 日本画作品4人展
アートスペース羅針盤
東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル2F
6/17(日)~6/23(土)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
レゾナンスDM.jpg

4名の岩彩のアーティストがピックアップされた展覧会。
Oギャラリーでの個展やさまさまなグループ展で拝見している神保千絵さん、音楽がモチーフとなっているのはこれまで通りなのですが、今回の作品には人の姿や手が織り込まれていて、ちょっと違う雰囲気があって新鮮です。
松本慎吾さんの薄暗い中に浮かび上がる艦船のシルエットのかっこよさも見応え充分。
神山玄さんの作品では、線画による光景を抱いた人の作品が面白かったです。足立正平さんの抽象画も迫力があります。

☆今川教子 日本画展
Gallery d.g
東京都中央区新川2-7-4 矢島ビル1F
6/18(月)~6/23(土)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
今川教子6/18DM.jpg

ふわりと浮遊感がやさしく漂う今川教子さんの日本画。
涼しげな色彩の作品や、夏の夜を思わせる、遠くで光が滲む風景を描いた作品など、連目と続いてきたスタイルも踏襲されつつ、新しい感覚も随所に感じる見どころの多い展覧会です。

《6/19》
・渕沢照晃展
ギャラリーエス S zone
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
6/19(火)~6/24(日)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
渕沢照晃6/19DM.jpg

ペン画と銅版画。
どこまでも精緻に重ねられる線によって作り上げられる光景。近未来的なイメージを喚起させてくれる、クールでホットな作品が並んでいます。

銅版画は、凹版の凹みに詰まったインクが紙の上に乗っている質感もかっこよくて見応えがあるんです。
まるで刺繍の糸のように立体的で、そして繊細でどこか熱を帯びているように感じられる濃い黒の線が作り上げる世界。ものすごいスピードが封じ込められているような印象を受けます。


渕沢照晃05 渕沢照晃04

渕沢照晃01


一方、ペン画はひとつの線からどんどん広がるように展開していく、そんな動的なイメージが沸き上がってきます。
細かい線で描かれる抽象的なモチーフ、それが見せる奥行き。こちらもかっこいい世界です。


渕沢照晃06 渕沢照晃08

渕沢照晃07

都守太朗展 時と場合のカルチャー
GALLERY LE DECO
東京都渋谷区渋谷3-16-3 ルデコビル1F
6/19(火)~6/24(日)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
都守太朗6/19DM.jpg

小さな角材を使った作品と、取っ手が付いたキャンバスの油彩の作品と。
ユーモアや作る楽しさがそれぞれの作品から伝わってくる、楽しい展示です。

それにしても、抽象画に取っ手が付けられただけで「この絵を持って歩いたらどう見えるだろう」みたいに具体的なイメージが湧いてくるから不思議です。
中にはおおきなキャンバスを畳んで持っていけるように仕立ててあったり、何故か四方に取っ手が無駄に付けられていたり。そのユーモアもいい感じ。


都守太朗02 都守太朗01 都守太朗04

都守太朗03


ちいさな角材を使った作品は、とにかく作る楽しみが伝わってきます。
自分も作ってみたくなるような、そんな気軽な雰囲気がいいんです。
生の木の色のなかにちょこちょこっとそこかしこに取り込まれた黒のパーツがアクセントとなっているのと、シルエットもなかなか面白く感じられます。


都守太朗06 都守太朗08

都守太朗07


もうひとつ、写真がいいんです。
数点展示された中で、数段によるレイヤー風に加工された建築現場の作品が最高。
アプローチのユニークさにやられてしまいました。


都守太朗09

井村一巴[セルフポートレイト]展
ときの忘れもの
東京都港区南青山3-3-3 青山Cube 1F
6/15(金)~6/23(土)日月祝休
12:00~19:00
井村一巴6/15DM.jpg

瀟洒な内装のギャラリーに灯る、モノクロームの静謐。

前回、同じくときの忘れもので拝見した個展が強く印象に残っている井村一巴さん。

ちょうど「写真が面白い」と感じていた時期に偶然拝見したのですが、何の衒いもない等身大の、生活感が溢れる場所での写真から、「なぜそこにいるんだろう」と、そのシチュエーションに対する疑問がその世界への誘いになっているような作品まで、バリエーションに富んだカラーの写真が展示されていました。そして、さまざまな表情や場年があるにもかかわらず、ちゃんと「ひとりの」女性のポートレイトとしての統一感があって、きっとしっかりとしたイメージをお持ちなのだろう、と考えたりしていました。


その井村さんの久々の個展。
前回と同じ「セルフポートレイト」というタイトルが付けられていますが、今回はモノクロームの写真、しかもすべてがスタジオらしきところで撮影されているようで、真っ黒の背景に浮かび上がる女性の姿を映した写真がずらりと並んでいます。


井村一巴03


憂いを帯びたような...。
強い視線を投げかけていたり...。
おぼろげな表情を浮かべて...。
秘めた思いを確かめるように俯いて...。
微睡むような表情を浮かべて、ゆるやかに視線を上げて...。

写真の中の女性は、艶かしく、妖しく、それでいてしなやかに、強く、さまざまな仕草や表情を浮かべて佇んでいます。
その写真に施されたアクセント。
1点1点を観ると、それぞれの写真がスクラッチされてできる細い線によっていろんなモチーフがポートレイトにオーバーダブされています。
蝶が飛んでいたり、桜が咲いていたり...かと思えば、奇妙に曲がる線の重なりによって抽象的に何かが現され、その写真のなかにまた違う時間の広がりを与えていたり。
同じ写真も、ピンの先でスクラッチされて描かれるというその線が織り成す模様によってまったく違う世界になってしまっています。

・・・だから、最初は同じ写真があることに気付けなかったんです。
伏せて目を閉じる女性、そのとき見ている夢のような絵が、スクラッチで繰り広げられていて。
独特の味わいがそれぞれの写真から感じられます。


井村一巴02

1点だけ、スクラッチが施されていないまっさらの写真があるなぁ、と思ってよく見たら、ほんの細かい点が腰かけ佇む女性の手のひらからこぼれ落ちているように描かれていて、その繊細さに目を見張り、驚き、そしてそうやってその写真が違う世界へと誘われ、それに伴って見る僕の意識も深いところへ沈み込んでいく...。
特に印象に残ったのは、4点組で額に収められた作品が多い中で数少なく1点で額装されていたうちのひとつである、その写真でした。

モノクロームの小さな画面それぞれが醸し出す深遠で、それでいてちょっとポップな味わいもある雰囲気も印象的な写真展です。


井村一巴01

最終日、23日土曜日は17時からギャラリートークと、セルフポートレイト撮影のパフォーマンスも行われるとうです。こちらも伺えたらせひ行ってみたいと思います。

柳沢利光展
新生堂
東京都港区南青山5-4-30
6/13(水)~6/23(土)日休
11:00~18:00(最終日:~17:00)
柳沢利光.jpg

ストレートな油絵。


新生堂で開催中の柳沢利光さんの個展です。


柳沢利光05


すこし前の時代に舞い戻ったかのような、どこか古めかしい質感の作品が並びます。
用いられるモチーフも、色彩も、とにかく渋い...。
花や食物などが主題となった静物画は、むしろ日本画の列びに組み入れたくなるような、そんな雰囲気が画面の中に充満しています。
登場するモチーフの姿はていねいに、それでいて素朴に描き出され、その奥に広がっている背景の適度に荒れて乾いた質感に浮かび上がっています。


柳沢利光06 柳沢利光04

柳沢利光07

人物画も同様に渋く、レトロな、というか、「近代」の空気が伝わってくる独特の雰囲気が溢れています。
レイドバックした世界、そこに佇む人物の仕草や表情の豊かさが、静けさをたたえながら、画面から滲み出ています。


柳沢利光01 柳沢利光02

柳沢利光03

今回の展覧会では、オーソドックスな構図の作品が集まっているのですが、独特の味わいがある背景が大きな画面を覆い、そこにぽつねんと佇む人物、あるいは静物が描かれた作品なども観てみたい気がします。


柳沢利光09

《6/12》
☆柳沢利光展
新生堂
東京都港区南青山5-4-30
6/13(水)~6/23(土)日休
11:00~18:00(最終日:~17:00)
柳沢利光.jpg

渋い油彩の作品がずらりと並びます。
オーソドックスな構図に浮かぶ肖像、花、静物。独特の重厚さが画面から放たれています。

《6/15》
☆岸にあがった花火 宮永愛子
すみだリバーサイドホール・ギャラリー
東京都墨田区吾妻橋1-23-20
6/16(土)~7/15(日)
10:00~19:00
宮永愛子6/16パンフ.jpg

アサヒ・アート・フェスティバルの一環で今年ピックアップされたのが宮永愛子さん。
緩やかな時間の流れを感じさせれてくれる、ナフタリンを用いたオブジェ、そして、鷲見小田川の自ら抽出した塩の結晶がきらめくインスタレーション。

《6/16》
笠原みゆき展 trigger
東京日本橋高島屋6階 美術画廊X
東京都中央区日本橋2-4-1
6/6(水)~6/26(火)
10:00~20:00(最終日:~16:00)
笠原みゆき6/6パンフ.jpg

ぶらさがる無数の球体、そのいくつかに耳があって、その穴を覗くと...。
記憶を遡ること、紡ぐことがキーワードとなっているように感じられるさまざまな作品が並びます。

・humanite lab vol.17 富田菜摘展 "GALAPAGO"
ギャルリー東京ユマニテ
東京都中央区京橋2-8-18 昭和ビルB1F
6/11(月)~6/16(土)
10:30~18:30
富田菜摘6/11DM.jpg

亀がいっぱい!!!Σ( ̄口 ̄;)

がらくたを針金などでつなぎ合わせたり、金属板をハンダで繋げたりしてできあがったさまざまな大きさの亀がずら~り。

富田菜摘01 富田菜摘02


しかも全部動くし!!!Σ( ̄口 ̄;)
大きいのは実際に乗って押して動かせたり、小さいのはゼンマイが仕組まれていてネジを巻いたりすると動くんです。
亀の頭部のメッシュが自転車の前カゴっていうのも笑える!


富田菜摘03

・松崎有希子 個展
アートスペース羅針盤
東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル2F
6/11(月)~6/16(土)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
松崎有希子6/11DM.jpg

揉み紙の渋い凹凸に浮かぶ白い花が印象的な、松崎有希子さんの個展。
まず、ずらりと並ぶ大作に、命の儚さを漂わせるように美しくその姿を晒す花が描かれた作品から、孤高の風合いが滲みわたってきます。

松崎有希子003 松崎有希子002

松崎有希子001


そして、その白い花の作品があるからこそ映える、さまざまな色彩を帯びた花。
小品で描き出されるあざやかな色を纏った花や、金魚など、松崎さんの作品の流れではイレギュラーな世界には、また違う可憐さが感じられます。

松崎有希子007 松崎有希子004 松崎有希子006

松崎有希子005

・渡邊史展
K's Gallery
東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル6F
6/15(金)~6/20(水)
12:00~19:00(土日:11:30~17:30)
渡邊史6/15DM.jpg

昨年のギャラリー52での個展に続いて開催されている、渡邊史さんのK's Galleryでの展覧会です。
岩絵の具の粒子が放つ質感と、下地に施される線で作り上げられる青い世界。
線の流れが青の中にさまざまな色が忍ぶ画面に動きをもたらしています。

今年のおぶせミュージアムでも展示されていた、深い青が印象的な大作。

渡邊史002

渡邊史001


小品も魅力的です。
軽い色彩と、ゆるやかにたゆたう線。

渡邊史004 渡邊史003

渡邊史006


そして、DMにも採用された作品。
縦長のパネルで、縦の動線が作り上げられていて、ちょっと雰囲気が違う世界が作り上げられています。

渡邊史005

☆服部睦美展
巷房
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル3F
6/11(月)~6/16(土)
12:00~19:00(最終日:~17:00)
服部睦美6/11DM.jpg

主に銅と真鍮を用いてつくり出されるオブジェ。
そのファンタジックな世界がとにかく楽しいんです。

・保井智貴 -Scluptures-
MEGUMI OGITA GALLERY
東京都中央区銀座5-4-14-4F
6/12(火)~6/30(土)日月休
11:00~19:00
保井智貴6/12DM.jpg

銀座に新しく登場した小さなギャラリーMEGUMI OGITA GALLERYのこけら落としの展覧会。

昨年のGALLERY 360°、そして先日のケレン展でも発表された保井智貴さんの女の子の立像が今回も佇んでいます。
スカートや靴の細かなきらめき、そして漆が放つ渋い色彩に、今回も見とれます。

この女の子といっしょに展示されているのが2匹のうさぎ。
ふっくらとした身体に、素朴な表情を浮かべるうさぎのやさしい雰囲気。胡粉や岩絵の具でていねいに彩色された漆芸作品で、かわいらしさと同時に、どこか妖しさも漂わせているように感じられて、こちらもじっくりと眺めてしまいます。

このMEGUMI OGITA GALLERY、サイトを拝見すると興味深いアーティストがクレジットされているので、今後の展開も楽しみです。

井村一巴[セルフポートレイト]展
ときの忘れもの
東京都港区南青山3-3-3 青山Cube 1F
6/15(金)~6/23(土)日月祝休
12:00~19:00
井村一巴6/15DM.jpg

前回と同じタイトルで開催されている井村一巴さんの写真展です。
バックに深い黒が広がるモノクロームの写真。その中でときに妖しく、ときに虚ろな表情を浮かべる井村さんの姿。
そして、その写真のひとつひとつに施されたスクラッチが美しいアクセントをもたらしています。

藤沢彦二郎
ギャラリー椿GT2
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
6/4(月)~6/9(土)
11:00~18:30(最終日:~17:00)
藤沢彦二郎6/4DM.jpg

静かに、それでいて、人の温もりを感じるゆるやかな光景。


藤沢彦二郎さんの個展に行ってきました。
前回も同じギャラリー椿のサブスペース「GT2」で開催されたのですが、そのときも印象に残っていて、今回も楽しみで。


さまざまな色彩で描かれた「夜」。
思いのほか、その夜を現しているように思われる色彩のバリエーションが多くて驚かされます。そして繊細なグラデーションもその奥行きを美しく現しています。
深みのある色彩に浮かぶ灯りのおだやかさ。やさしさが伝わってくる、あったかい作品です。


藤沢彦二郎06 藤沢彦二郎05

藤沢彦二郎07


藤沢さんの作品には、人の姿は登場しないんです。
しかし、その存在はしっかりとイメージに浮かんできます。
やわらかく広がるように描かれた灯りの向こうには、それぞれの営みがあるように思えて、なんだかその光景がいとおしくなってくるというか、大事にしたくなってくるんです。


藤沢彦二郎03 藤沢彦二郎02

藤沢彦二郎04

台の上に置かれた作品も味わい深く。。。


藤沢彦二郎08

前回の個展のときよりも、明るくなったような気がしました。
人がつくり出す灯りの、その人が作りだしているからこそ伝わってくる温かさ。それが今回出展された作品からは、よりしっかりと滲み出ているような。

そこから始まるでもなく、そこで終わるでもなく...。
淡々と続く物語のある場面のような、そんなほっこりとしたイメージが緩やかに沸き上がってくる、会場を痕にしたときの心もしばらく温かくしてくれるような、やさしさに溢れた展示だったのが印象的でした。


藤沢彦二郎01

BLUE×BLUE 佐貫巧
トーキョーワンダーサイト本郷
東京都文京区本郷2-4-16
6/9(土)~7/1(日)月休
11:00~19:00
佐貫巧6/9DM.jpg

画面のなかの青。
空間を覆う青。


トーキョーワンダーサイト本郷での佐貫巧さんの展覧会です。


3階の、ほぼ真ん中が壁で区切られたスペース。
そのふたつのスペースで、違う世界が展開されています。

まず、手前のスペース。こちらは、いつも通りの空間に、佐貫さんの大作を中心とした作品が展示されています。


佐貫巧03 佐貫巧02


捉えようのないかたちがモチーフとなって、画面に登場します。
透明なペットボトルのような、あるいはビニール袋といったものがそのかたちを変えて現れたようなイメージを僕は持ったのですが、なんだか身近な存在なのに、それが放つ不思議なかたちの展開が妙に面白く感じ、印象に残るんです。


佐貫巧01

そして、隣の空間へ。壁の向こう側から覗く光景はやけに青白く、眼の色調感が狂わされるようなほどに異質な空間が作り上げられています。


佐貫巧04


画面のバックの色とまったく同じ色に、この空間の壁や天井が染め上げられたこの部屋。
写真で観ると鮮やかで清々しい「青」そのものに見えるのですが、実際にその空間に入るとその青はむしろ「白」として認識され、場所の関係で彩色されなかった、ギャラリーに設置されている空調などの機器類の色が赤っぽく、あるいは黄色っぽく見えてしまいます。


佐貫巧07 佐貫巧05


画面に描かれるモチーフも、おそらくこの空間でないところで見ることがあれば、もっと背景の青は青く見え、その中のモチーフは白く見えるのかな、とも。
全体が薄いピンク色に染まって見えるこの不思議、実際にさまざまな色が白の中に少量加えられているようなのですが、この色彩感的な「眼の錯覚」を体感できるのがすごく興味深いです。

描かれるモチーフは手前のスペースとほぼ変わらないものの、こちらのほうは水まわりのイメージ。
それがバックの青からではなく、微妙なグラデーションがもたらされて描かれるソのモチーフの風合いがそういうイメージを喚起させてくれます。独特の感触です。


佐貫巧06


大小さまざまなサイズの作品が配置され、まさに囲まれる色彩に圧倒されるような感じです。
高層ビルのエレベーターに乗ったときに、気圧の急変で耳に違和感を覚えることはよくありますが、その視覚版、という趣も。

この空間でしか体感し得ないものがある、インスタレーションとしてもたいへん興味深い展覧会です。


佐貫巧08

三宅玄朗「脳髄スライス」
ギャラリーエス
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
6/12(火)~6/24(日)月休
11:00~19:00(日:~17:00)
三宅玄朗6/12DM.jpg


いやぁ、ひどい(笑)。

ギャラリーエスでの三宅玄朗さんの個展に行ってきました。
今回の展覧会は、2週あるうちの前半はふたつのスペースを使っての展示、後半は新作が中心のE zoneのみの展示となるそうです。


・・・で、これまでの作品が一挙に出展されたS zoneが、かなりイっちゃってます。
いやぁ、下品というか、デリカシーがないというか...いろんな言葉を探ってみるのですが、こういう表現しか思い当たらず、しかしそれが逆に褒め言葉になっているような感じもあって...。

正面の壁に展示された大作、とにかく壮絶な作品です。
木製の赤い額が施された、全面鉛筆によるもの。
取り込まれるモチーフがいちいちエグい(笑)。もう、クドイとかそんなレベルなんて遥か上をいく大胆さです。
画像はこちらを御参照。
グロいのが苦手な方、もしくは画像じゃなくて実際に本物を見るぞゴルァ!という方はお控えくださいまし。

それと時期を同じくして制作された小品。
かなりシュールなモチーフの作品で、それが赤いマット紙とともに額装されているのがまた効いてます。


三宅玄朗002


また、軽やかな色彩と絶妙のグラデーションを持つ鉛筆の描き込みとがひとつの画面に収められた作品も。


三宅玄朗003


こちらの作品も、モチーフがけっこぷエログロだったりするのですが、それでも軽い色彩感がそれを幾分かソフトに仕立てているような感じもあって、思わず見入ってしまうんです。


三宅玄朗006 三宅玄朗005

三宅玄朗004


そして、新作が揃ったE zone。
それぞれ、妙な痛快さが込められているというか、不思議な達成感に溢れているというか...毒入りのユーモアが観る者の感覚をじわじわ侵食していくような感じで。


三宅玄朗008 三宅玄朗009

三宅玄朗007


小品が中心のこちらのコーナー。
やけに熱っぽい内容の作品が並んでいるのですが、それぞれ、とにかく圧倒的な鉛筆画のスキルに目が釘付けになります。
目の細かいヤスリでていねいに仕上げられた金属のオブジェの表面のようなつややかさを伴った、絶妙のグラデーションで画面のなかに例のよってのエログロな主題が表現されていて、ちいさいながらもその奇妙な世界に意識がのめり込んでいくような感じです。
そこにワンポイントのように忍ぶ軽やかな色彩のアクセントも、もしも鉛筆の色だけだったら重たすぎるかもしれないこの世界に視覚的に入っていきやすい入口となっているような気がします。


三宅玄朗012 三宅玄朗010 三宅玄朗011

三宅玄朗013


そのなかで、いちばん大きな作品。
画面全面を覆う鉛筆の鈍い輝きと伴った黒。そこに登場する、頼っていいんだか実は頼りがいがないんだかその辺の判断をしかねるようなヒーローが。
一体なんなんだこのキャッチーさは(笑)。


三宅玄朗014


こうやって、過去の作品を現在の作品を拝見できるのは貴重で、いろいろと興味深いことにも思いが至ります。
あらためて冒頭の壮絶な作品が、この一連の流れのなかで大きく効いているなぁ、と。
あそこまで振り切って描いたことで、ある種の毒を出し切った感じもしますし、一方で三宅さんにしか生み出せないオリジナリティ溢れる「毒」ができあがったのかな、とも。

そして、いろんなエログロなモチーフを取り上げることに対する「責任」も強く伝わってきます。
描くんだったら徹底的に描く...もし適当にこういったモチーフを取り入れてしまっていたら、結局そのモチーフを「取り入れた」だけのインパクトに収まってしまうと思うのですが、三宅さんの場合、相当な精度でひとつひとつのモチーフを三宅さん独特の画風で写実的に描き切ることで、モチーフのインパクト以上に画力のインパクトが全面に押し出され、その上でそういったモチーフが取り入れられた世界が醸し出す毒が効いたユーモアがぐんと伝わってくるような気がするんです。

この「責任感」こそが、三宅さんの最高の武器のように思えます。


そして、その上で、やっぱり「ヒドイ展示だなぁ」と親指を立ててしまうのです(笑)。
コワイもの観たさ的な感覚で、次はどんなことやってくるんだろう、と楽しみなクリエイションです。

馬場健太郎展「西からの風」
GALLERY MoMo
東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
6/9(土)~7/7(土)日月休
12:00~19:00
馬場健太郎6/9DM.jpg


鮮やかに透き通るような色彩。

GALLERY MoMoでの馬場健太郎さんの個展に行ってきました。

作品を目にした途端、ぱっと視界が広がっていくような鮮やかな色彩が画面のなかに広がっています。


馬場健太郎06


艶やかな原色の力に惹かれます。
側面まで、ひとつの色彩に塗り上げられたキャンバス。そのポジティブに輝く鮮やかな色彩のなかに、すらりと射す光のように、あるいは水面の流れや揺らぎに滲むように、別の色彩が潜みます。


馬場健太郎02

馬場健太郎01


それぞれの作品から浮かんでくるイメージに浸るのもなんとも心地よいです。
また、作品ごとに具体的なタイトルが付けられていて、それと合わせてあらためて眺めると、また違ったイメージが湧いてきます。


馬場健太郎05 馬場健太郎04

馬場健太郎07


油彩の作品が中心で、大きな画面の作品も出展されていて、今回もパーテーションを畳んだ状態で展示されていることで、引いた距離から俯瞰できるのもよい効果を生んでいるように感じられます。
比較的距離を置いて拝見すると、至近で眺めたときの絵の具の質感から意識が解放されて、そのスケールの大きなイメージがぐんと広がっていきます。


また、一方で数点カウンターの辺りに展示されている、おそらく水彩絵の具によるスケッチ的な作品も魅力的です。
油彩の持つ力強さに気持ちを委ねたときの心地よさとはまた違う、軽やかな味わいが伝わってきます。


馬場健太郎09 馬場健太郎08


赤、青、緑など、それぞれの色彩が持つ魅力が充分に発揮され、抽象的な構成ながらたいへん自然に接することができるような印象です。
清々しく、爽快な雰囲気に満ちた展覧会です。


馬場健太郎03

Melissa Dickenson Solo Exhibition
遊工房アートスペース
東京都杉並区善福寺3-2-10
6/7(木)~6/15(金)月火休
12:00~19:00(最終日:~17:00)
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自然な素材感のぬくもり。

遊工房アートスペースで開催されている、レジデンスで日本に滞在中のアーティスト、メリッサ・ディケンソンさんの個展です。


ご自身で漉かれた阿波和紙を用いた作品が空間を被います。
まず印象的なのが、赤い紙の作品。情熱的というよりも、ゆるやかに広がっているその赤の温かみがなんともほっこりとしていて。
その紙のそこかしこに施された赤い糸の縫いあともなんだか楽しげで、ユニークな効果を生み出しています。


Melissa Dickenson02 Melissa Dickenson03

Melissa Dickenson01


手漉きの和紙の質感が十二分に活かされた作品が並びます。
和紙の素材となるこうぞの繊維が醸し出す自然の味わい。漉き具合によって生まれる手仕事の痕跡。
そういった、意図せずに生まれた皺や線が、絵のひとつとして活かされているのもたいへん面白く感じられます。


Melissa Dickenson08 Melissa Dickenson06 Melissa Dickenson07 Melissa Dickenson04

Melissa Dickenson05


どこまでも自然な色彩が、自然な流れで広がります。
ペインティングに加え、コラージュや、糸を縫い付けたりすることで、どこかのどかな自然の風景が描き出されています。
画面に登場する動物たち、植物たちの姿も、それぞれが本来持つ色とは違う、それでいてナチュラルなテイストであたたかく表現されれています。


Melissa Dickenson11 Melissa Dickenson13

Melissa Dickenson12 Melissa Dickenson14


Melissa Dickenson10


オーガニックな肌合いが伝わってきて、なんだかほっとする空間です。
どれひとつとっても手仕事感が溢れていて、作り込まれてはいないのですが、その仕事量的な余裕もいいほうに作用しているように思えます。
さらに素材の自然な感触と描かれるモチーフから思い浮かべる自然のイメージとが相まって、心にもやさしく感じられます。


Melissa Dickenson09

Hirofu ISO / Komainu「 Nighthopper」
ミヅマ・アクション
東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル5F
6/6(水)~7/7(土)日月祝休
11:00~19:00
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グロテスクな第一印象の奥に潜む、静かなやさしさ。

ミヅマ・アクションで始まったイソヒロフさんの個展に行ってきました。
古いビルの5階、屋根裏のような空間に実に合う展覧会です。


とにかく、作品がぱっと目に入ってきたときのインパクトは強烈です。
入口の通路から、なんともレトロな風合いを漂わせる照明が灯り、そこにぶら下がるたくさんチェーン、そしてその先には...巨大な蛾、羽を広げた甲虫、小虫...。
実際の虫がレジンに浸されて硬化し、鈍いグレーに染め上げられたものがぶら下がっています。


Hirofu ISO 05 Hirofu ISO 06


・・・さすがに気持ちが一歩後ずさり。
しかし、だんだんとその雰囲気にも慣れてきて、グレーに被われた虫たちのさまざまな姿の違いに感嘆しつつ、そのひとつひとつをじっくりと鑑賞。


オープニングに続いて、その最初の週の土曜日の比較的早い時間に再訪。
まだ日が充分に高い時間であるにもかかわらず、ここはまるで、夜。

一度この空間を体験しているせいか、最初に感じたのとはまったく違う思いが脳裏に浮かんできます。

イソさんのお話では、昆虫は月や星といった自然界に存在する光を感知して飛び、しかし現在はそこに人工の光が溢れてきたおかげでそれに惑わされて飛行を乱しているのだそう。それを表現した作品とのことです。
そう思ってあらためて眺めていると、ぶら下がるチェーンはその先の虫の飛行の軌跡のように感じられ、さらに照明の近くで弧を描くチェーンに迷走のイメージが重なります。

さらに、ぶら下がるチェーンの先に虫が付いていないのもあって。
これが、なんだか切なく感じられるんです。ひとつ、生命が消えたようなイメージが湧いてきて...。


Hirofu ISO 04 Hirofu ISO 03 Hirofu ISO 02

Hirofu ISO 01

メインのスペースには、尋常でないスケールのインスタレーションが。
照明も、星のかたちに仕立てられています。


Hirofu ISO 07


そこから下へと向かうさまざまな虫。
大きな羽をダイナミックにはためかせた蛾の存在感、おもに膝の高さ付近に虫たちが集まるなか、目の高さに漂う小虫がアクセントとなっていたり。
レジンに被われた虫たちを観ると、そのなかに封じ込められた生命へと思いが至り、ここで展開されるインスタレーションの深遠さもそういったところから心のなかに染み渡ってきます。


Hirofu ISO 10 Hirofu ISO 11 Hirofu ISO 09

Hirofu ISO 08


実は、見つけると驚くような「逆バグ」も潜んでいたり。
これを見つけたときの驚きはちょっとすごかった...。

もうひとつ、靴の裏の画像が大きく引き伸ばされた作品も。
ぱっと観ると、実際に立体的な質感が伝わってくるのですが、これが錯覚で、まったくフラットな作品。
ずいぶん長い間、地面と接し続けてきた靴底がつくり出した景色が、こうやって提示されるとまるで宇宙から俯瞰した地面のようなふうに見えて、そのイメージの飛躍に驚きます。


Hirofu ISO 12


その靴が、台座に使われているのも興味深いです。


Hirofu ISO 13

イソさんの作品はすこし前に芸大記念館で開催されたケレン展でも拝見していました。
そのときに展示されていたのは、宙に浮かんだ、電話の受話器が連なって形成されたリング。
なんだか面白いものを作るなぁ、という印象だったのですが、今回の展覧会を観て、それぞれの作品には確固としたコンセプトが存在するのだなぁ、と実感した次第。


「境界」というのが大きなキーワードとなっているそう。
虫の作品で僕が感じた境界は、「自然の光と人工の光」、「生と死」、「有機物と無機物」...。
ひとつの作品でその位置を揺らめかせる「境界」。
これはイソさんから伺ったのですが、「もしかしたら昆虫もいつの日か、人工の光を自然の光を同じように感知するようになるかも知れない」ということにもなるほど、と思わせてくれます。

ここで提示された世界を体感することで、それまで抱くことがなかったイメージを心のなかにもたらしてくれる、懐の深い展覧会です。

土屋仁応 彫刻展
ギャラリーイヴ
東京都世田谷区経堂1-23-9
6/4(月)~6/30(土)日休
11:00~19:00(13:00~14:00休息)
土屋仁応6/4DM.jpg


「愛玩と脆弱」。言い得て妙の主題。

経堂の駅前の商店街からひとつ入った通りの角にあるギャラリーイヴで開催中の土屋仁応さんの個展に行ってきました。
経堂はなかなか伺わない街ですが、ほんの少し路地に入っただけでずいぶんと瀟洒な雰囲気があって落ち着いていて、それがまず印象的で。


土屋さんの展覧会は、一昨年に九段下の成山画廊で拝見しているのですが、そのときも信じられないくらいになめらかに仕上げられた木彫の動物たちが醸し出す妖しさ、そしてその仕上げの精度の高さが強く印象に残りました。ひとつひとつの細かい部分までていねいに彫り上げ、作り込まれていて、その独特の質感が、それまで、そしてそれ以降に拝見した木彫の作品とは絶対的に違うんです。

そしてもうひとつ印象的だったのが、動物たちの「目」。
透明の石(だと思うのですが・・・)を、昔から伝わる技術で割り入れているのですが、全体のやさしすぎるように感じてしまうほどの繊細さとは裏腹に、尋常でない強さを伴った鋭い眼光が細い目許から放たれていて、その視線にも引き込まれてしまった次第。

で、今回の個展の情報を知り、どんな雰囲気が味わえるんだろう、と期待を膨らませて。

今回の個展は、冒頭の言葉の「愛玩と脆弱」が主題となっているとのこと。
通りに面した入口が全面ガラス張りの扉になっているちいさなギャラリー、そこに置かれたテーブルに、棚に、台に、それぞれ土屋さんの手による小動物たちが、その無垢な姿を晒しています。


土屋仁応01

あまりにもなめらかな表面。
そこにあるのは動物なのですが、身体を被うのは毛並みや皮という表現より、「肌」という言葉のほうが合っているような気がします。

さらに、独特の「甘さ」と「鋭さ」の両方を感じさせてくれる顔の表情。最下部の戸棚に収められた2匹の山羊のような動物は、見る角度によって信じられないくらい豊かに、さまざまな思いを伝えてくれるような。。。

棚の横にちょこんと乗っかって、その上からガラスのふたが被せられている2匹のねずみ。こちらは木彫ではないのですが、その淡い色彩が醸し出す繊細さ、そして顔、手足の先、尻尾の作り込みから、素材の違いのよる違和感はまったく感じられない作品です。思わず目を細めてみてしまうほどの無垢さ。

真ん中の棚の兎は、体全体の流れるようなラインの艶かしさからどこか優雅で勇ましい風合いを漂わせます。
この作品を拝見して、先日ようやく読み上げた高橋克彦の「龍の柩」のなかに出てくる「因幡の白兎が宇宙人だった」というエピソードを思い起こさせてくれます。この小説を読んで僕がイメージした宇宙人の姿にすごく近くて、意外なところで合致するイメージに出会えた驚きと嬉しさが心を満たします。

奥のテーブルの上にも子ブタや子犬が。
こちらに置かれた作品が放つ無垢な感触は、ちょっと信じられないくらい。


土屋仁応02

この他にも、台の上に置かれた作品など、間近で眺めてその豊かな表情を味わい、そこから浮かんでくるさまざまなイメージ、特に、弱いものへの情の芽生えのようなものも感じながら、土屋さんの作品の精度の高さ、彩色の鮮やかさ、その彩色の奥にほのかに覗かせる木目の美しさを心ゆくまで堪能しました。

ぜひ、実際にご覧いただきたい木彫の世界です。


そしてもうひとつ。
ギャラリーイヴではアーティストの作品の写真と、それに合う物語を纏めた「イヴ叢書」を制作していて、今回の展覧会では土屋さんの木彫の写真と星新一のショートショートのひとつが一冊の本に著されているのですが、これがまた素晴らしいんです。
とにかく土屋さんの作品を撮影した写真がよくて、実際に展示された作品が掲載されているのですが、それでも「こんな表情も見えるんだ...」と続く言葉が失するほどに美しいショットが綴られています。

小さいスペースでありながら、さまざまな見どころに溢れた展覧会です。

第二回 美男画展
ぎゃらりぃ朋
東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル2F
6/9(土)~6/17(日)
12:00~19:00
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ぎゃらりぃ朋で、昨年に続いて開催されている「美男画」展です。
こちらのギャラリーで個展を開催したことがあるなど、何らかのかかわりがあるアーティストに与えられた「男性を描く」というお題。
これに対し、油彩、岩彩、版画、ペン画などさまざまな「答え」がかえってきている感じで、それぞれのアーティストの個性がしっかりと発揮されていて、観ていて楽しめる展覧会です。

津田やよいさんは油彩の作品と、この作品のデッサンとが出展されています。
独特の渋い色彩感で描き出される、俯き加減でもの思いに耽る男性の深みのある表情。


美男画 津田やよい01

以前、新生堂で個展を拝見した宮永直人さんは、あのときのなんとも渋い風合いから一転、シャープな線で描き出される込みかルナ表情、場面が楽しいコミカルな雰囲気が伝わる作品2点が。
なんとも痛快な雰囲気がひろがる、清々しい作品です。


美男画 宮永直人01

打越月見さん。
個展でも妖艶な線の表情が印象的だったのですが、今回もシンプルな構図に施される繊細な描写に引き込まれます。
伏せ目の男性、その身の回りを舞うように、木々がたおやかな曲線を描き出しています。


美男画 打越月見01

昨年に続いて参加の野口卓矢さん。そのときも美しい男性の絵というイメージにもっとも近い作品が出展されていましたが、今年もいちばんの「美男」を描いています。
鮮やかで繊細な色彩と線とが、その美しさをより引き立てています。


美男画 野口卓矢02

美男画 野口卓矢01

池永康晟さんもその個性がしっかりと発揮されています。
麻布に岩絵の具といった組み合わせで、全体的に茶系の渋い色彩で、帯や頭にかぶる手ぬぐいの模様なども実に細やかに描かれた、見応え充分の作品。
個展では女性を描いた作品が多かったので、この作品を拝見して「そうきたか!」と心のなかで思わず唸った次第。


美男画 池永康晟02 美男画 池永康晟03

美男画 池永康晟01

色鉛筆で軽いタッチで絵描く高瀬広造さんの作品は、あっさりとした味わいが心地よいです。
イラスト風に描かれた男性、そしてそこに添えられた英語の歌詞。それぞれの歌詞の書き手も、なかなか興味深いです。


美男画 高瀬広造01

並んで展示されている小田志保さんと上野伸吾さんの作品。
小田さんの細かい線が重ねられて描き出される奥行き、上野さんの透明感溢れる質感。それぞれの個性がしっかりと収められています。


美男画 小田・上野01

ミヅマ・アクションでの「眼差しと好奇心」展でも大きな作品が出展されていた木村了子さん。
絹本に、表情豊かな線と鮮やかな色彩で、男性の人魚というちょっとコミカルなモチーフが描き出されています。
身体を寄せる岩場といい、蟹といい、なんともいい味を出しています。


美男画 木村了子01

この他にも、いろんな捉え方で男性を描いた作品が並びます。
印象として、昨年よりもテーマに対して熟れてきた感じもあり、来年はどうなるんだろう、とか、あのアーティストが描いたら面白いかも、など、いろんな想像を思い浮かべるのもも楽しいです。
また、それぞれのアーティストがしっかりと自身のスタイルを出している作品が並ぶので、ショーケース的な見方でも充分見応えがあります。

入江明日香展
シロタ画廊
東京都中央区銀座7-10-8
6/4(月)~6/16(土)日休
11:00~19:00(最終日:~17:30)
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さわやかに淡く広がる、どこか儚げな世界。


たいへんオリジナリティ溢れる銅版画のアーティスト、そして今年のVOCA展でも鮮やかな色彩と独特の広がりをたたえた作品が印象的だった入江明日香さんの、シロタ画廊での個展です。
今回は、メインのスペースに加え、カウンターがあるサブスペースにも入江さんの作品が展示されていて、その独特の世界をこころゆくまで堪能することができます。


入江明日香01

はじめて入江さんの作品を拝見したときの印象から、ずいぶん変わったなぁ、と感じます。
最初はむしろ抽象的な感じがしたのですが、昨年の個展、そして今年のはじめのヤマサコレクションでのグループショーを経て、そのふわりとした抽象的な感覚はそのままに、そこに織り込まれるものの姿がより分かりやすくなってきて、そして今回の個展。


入江明日香02 入江明日香04 入江明日香03


作品のなかに登場する花や鳥、動物たちの姿はさらにその輪郭をはっきりと現しているような印象です。
・・・しかし、その風合いとは裏腹に、目の前の世界は不思議とより遠くに感じられるんです。
より淡くなった色彩、銅版で刷られることで得られるグラデーションなど、音楽でいうと「ピアニッシモ」の表現にさらに精度が増したような...画面のバックの白もその淡い色彩に映え、そしてその真っ白な背景に乗る色彩も淡いながら鮮やかに現れています。
そしてそうやって得られたさらに絶妙になってきたグラデーションが、もしかしたらわずかの気の流れで消えてしまうかも知れない、そんな思いを抱かせてくれるような、繊細で儚げな世界が作り上げられているような気がするんです。


入江明日香06

また、今回の展覧会ではほかにも印象に残りところがあります。
一見すると白の背景、しかしここにはびっしりと白の線が乗っています。そしてその線は、中央のペンギンの仲間がたくさん描かれていたり。
至近で観るとたくさんの発見がある作品で、作品からの距離で印象も大きく変化します。
この作品は特に顕著なのですが、他にも手描きによる胡粉や絵の具の線などが美しいアクセントをもたらしている作品も。


入江明日香08

入江明日香07


そして、これは入江さんに教えていただいたのですが、これまでには登場しなかった「茶色」も作品によって取り入れられています。
より「自然」を感じさせてくれる色彩である茶色は、この作品ではスズメの姿に用いられ、小鹿やや他の小鳥などのファンタジックな世界のなかにポンと置かれた現実的な風合いがほっこりとしたアクセントとなっていて、なんだか不思議な面白さが伝わってきます。


入江明日香10 入江明日香12 入江明日香11

入江明日香09

サブスペースは、比較的小さな作品が。
9点、あるいは12点組の、ちいさなパネルのセット作品は、それぞれのスクエアの画面に収められた色彩やモチーフが作り上げるさわやかな響きが印象的です。


入江明日香17 入江明日香16

入江明日香19 入江明日香18 入江明日香20

もっとも新しい花鳥画のような風合いも。
より輪郭をはっきりさせた花や鳥の姿が、白の背景に他の色面を伴ってあらわれる独特の味わい、花が上から下へとゆっくりと落ちていくようなゆるやかな動きのなかに、実は猫の顔が逆さに描かれている嬉しいユーモアなど、連綿と続いている花鳥画の系譜にも並べてみたたくなるような。。。


入江明日香15 入江明日香14

入江明日香13

他にも、一度は現れなくなった黒が再び登場してきたり、さまざまな発見あがるんです。
今のままでも充分に素晴らしい世界があって、それから次はどうなるんだろう、という期待感も湧いてきます。


入江明日香05

東亭順 個展 Gardening Record
プラザ・ギャラリー
東京都調布市仙川町1-24-1
6/2(土)~7/1(日)水休
10:00~18:30
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味わい深い、霧がかかったように霞む青。


プラザ・ギャラリーでの東亭順さんの個展です。

ギャラリーのスペースの壁2面がガラス張りの空間で、おそらく時間帯ごとにさまざまな表情を見せてくれるインスタレーションが展開されています。


床に現れたおおきな青。
薄茶色で細かい粒子の乾いた砂を盛り上げられて作られた小さな丘。そのなかに、水たまりが雨上がりの青空を映し出しているかのように、大きな丸い青が覗かせています。


東亭順02


まるでそこが別の世界への入口のようにも思えたり。
または、もっと大きな風景のイメージ、巨大な山の上に存在する湖のようにも感じられたり。


もうひとつ、乾いた土の茶色と青とのコントラストが印象的なインスタレーションが。
角のスペースから土が溢れるように存在していて、まるで明るい月が土のかなに浮かぶように、あるいは斜面に現れた窓のように、円形のパネルが設置されています。
そして、そのすぐ側に立て掛けられた縦長の作品。
砂場遊びのような楽しい雰囲気のなかに映える独特の青。
その場所の現実的な感覚も強く伝わってくる土の質感と、画面から思い浮かべる季節とのギャップも面白く、なんだか不思議な感じが何とも心地よいんです。


東亭順03 東亭順06 東亭順05

東亭順04

東亭さんの作品を観ると、僕は冬の風景のイメージを思い浮かべます。
ホントは眩しい空の青。その眩しさはダイレクトに届けられず、不思議な霧のようなものに遮られて目の前にちょっとくすんで現れ、そしてその明るさは見上げたときにいっしょに目に入る冬の木の枝、あるいはふわりと雄大にたゆたう雲は、淡い色彩のシルエットとなって。。。
ニスを用いてつくり出される独特の表情は、「冬」の季節を連想させてくれるんです。それも、実際には知らない、冷たさ、寒さでは測れない、とても感覚的な、冬。


東亭順07

今回出展された作品で印象に残ったのは、木々の枝が淡い赤のシルエットで描き出されたもの。
そのシルエットの向こうに覗かせる青も、明け方のまだ暗い空のように、濃く深く描かれ、それと淡い赤の色彩とが、さらにフィクショナルな、独特の雰囲気を醸し出しています。


東亭順10 東亭順09

東亭順08

サブスペースには、ガラスの棚や戸棚に小品が飾られています。
こちらは実験的な感じの作品もあって、東亭さんの世界のさまざまな表情を観ることができて楽しめます。
季節だけではなく、時間のイメージも浮かんでくるんです。


東亭順14 東亭順13

東亭順15 東亭順16

あらためて、東亭さんが描く青は僕が好きな青のひとつだなぁ、と実感した次第です。
シルエットを引き立たせ、そのシルエットさえもぼんやりとさせてしまっているくすんだ質感の向こう側に淡く広がる青。
懐かしい記憶、あした見る景色...いろんな思いがよぎっていくんです。


東亭順11

《6/4》
☆入江明日香展
シロタ画廊
東京都中央区銀座7-10-8
6/4(月)~6/16(土)日休
11:00~19:00(最終日:~17:30)
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さわやかな色彩が淡い世界を作り上げる入江明日香さんの銅版画。
いつになく儚げな雰囲気が広がっています。


《6/5》
・路草展 金子ひとみ・佐藤亜紀による作陶展
GALLERY LE DECO
東京都渋谷区渋谷3-16-3 ルデコビル1F
6/5(火)~6/10(日)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
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昨年度、女子美術大学を卒業されたふたりの陶芸のアーティストの展覧会。
青山スパイラルでの卒業作品の展示も特に印象的だった金子ひとみさんと佐藤亜紀さん。

大きなお皿の重厚さが印象に残っている金子ひとみさんの作品。お茶碗やぐい呑みに加え、ブローチなど、小さくてかわいらしいアイテムが並んでいました。

路草展 金子ひとみ01 路草展 金子ひとみ02

佐藤亜紀さんは、畳の上で繰り広がれれていたカエルの宴会がすごく楽しかったのですが、今回もそこかしこに味わい深いカエルが。そして、ミニチュアの急須もかわいいんです。

路草展 佐藤亜紀02 路草展 佐藤亜紀01


二人の作品が、ギャラリーのスペースに楽しく配置されて、それぞれを手に取りながら金子さんのお茶碗に施された柄を眺めたり、佐藤さんによる、小指の先に乗るよほどに小さなカエルを見つけたりして、ほっこりとした気分に浸れました。


路草展03 路草展02

路草展01


《6/6》
成清美朝「漠景」
Gallery≠Gallery
東京都中央区新川1-3-23 八重洲優和ビル2F
5/26(土)~6/7(木)
12:00~19:00(最終日:~17:00)
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ちいさなチップに描かれた、無数のミニマムな蟻。
それ自体は実物大の大きさなのですが、その蟻が描き出す風景は、たったあれだけの画面にあってどこまでも壮大で、そのスケール感にあらためて驚いた次第。
そして、同じ蟻の大きさで、1点だけ大画面の作品もあり、これが素晴らしかったです。
広い画面のほぼ全面を覆うくすんだような白、その一ケ所に凝縮して存在する蟻の一群。いったいどれほどの遠さなのだろう、と、その蟻の集団が作り上げている蜃気楼のような風景に、思い浮かぶイメージも遠くへ広がっていくんです。

・松蔭浩之×津村耕佑「妄想オーダーモード」
MIZUMA ART GALLERY
東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F
6/6(水)~7/7(土)日月祝休
11:00~19:00
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美しい女性たちのポートレートと、そのモデルが身につけていた服飾が展示されていて、いつものミヅマとひと味違った雰囲気。
写真のモデルのなかには、観てすぐ誰と分かるタレントもいたりして「なるほどなぁ」と思ったりもするのですが、「この美人、だれだろう...」と思ってクレジットを見て驚く作品も。
そのモデルが誰であるかが分かると、これらの作品がこの場所で展示されていることにすごく説得力が現れてくるような気がします。


☆Hirofu ISO / Komainu「 Nighthopper」
ミヅマ・アクション
東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル5F
6/6(水)~7/7(土)日月祝休
11:00~19:00
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第一印象のぎょっとする感覚とは裏腹に、ここから浮かぶイメージは、やさしいんです。

《6/7》
・彫刻短篇集
PROMO-ARTE
東京都渋谷区神宮前5-51-3
6/7(木)~6/12(火)
12:00~19:00(最終日:~17:00)
彫刻短篇集DM.jpg

立体のアーティストのグループショー。
まず、山崎龍一さんの例の独特の表情を浮かべた白のフードの子供がお出迎え。
物陰に隠れているのがホントによく似合います。また、テーブルの上の3名もいい感じ。

彫刻短篇集 山崎龍一03 彫刻短篇集 山崎龍一04

そしてメインの作品は、一見すると「洗濯機か!」と思ってしまうような凄まじくレトロな冷蔵庫のなかでソーセージを食しているのです。
・・・なんかもう...仕方ないなぁ(笑)。最高です。


彫刻短篇集 山崎龍一02

彫刻短篇集 山崎龍一01


松崎織子さんのニワトリ。
壁には焼物の鶏たちが、木枠からはみ出し溢れるようにその姿を晒していて、その臨場感に思わず後ずさり(笑)。

彫刻短篇集 松崎織子02

床には巨大な木彫のニワトリが。
でっぷりとしたその身体をかかげて、なんとも勇ましい力強さを発散させています。かなりの迫力です。


彫刻短篇集 松崎織子01


浦部裕光さんは、木彫の小品と和紙を使った巨大な象と。
木彫の作品は、たいへんていねいなディテールと仕上げがそれぞれの風合いに深みを与えていて、じっくりと眺めていているとその静謐感にこちらも心が落ち付いていくような感じです。

彫刻短篇集 浦部裕光02 彫刻短篇集 浦部裕光03 彫刻短篇集 浦部裕光04

象は、とにかくその大きさに圧倒されます。
ていねいに作り込まれていて、その皮膚の質感など、ホントに見応え充分!


彫刻短篇集 浦部裕光01

《6/8》
・OJUN展
遊工房アートスペース
東京都杉並区善福寺3-2-10
6/8(金)~6/24(日)月火休
12:00~19:00(最終日:~17:00)
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ミヅマアートギャラリーでの個展に続いてのO JUNさんの展覧会、こちらは油彩の作品が中心になっています。
白系統をバックに、実にシンプルな構図の作品が壁を埋め尽くします。
さまざまなサイズの作品が並び、人物から何かのマークを思わせるようなものまでさまざまなモチーフがぽんと織り込まれているのですが、そのなかで特に印象に残ったのが、画面に小さく描かれた、どこかを眺めているような人々の一団。彼らがいるおかげで、その作品だけに留まらず、展示全体のスケールをものすごく広々と大きなものへと押し上げているように感じられるんです。

☆Melissa Dickenson Solo Exhibition
遊工房アートスペース
東京都杉並区善福寺3-2-10
6/7(木)~6/15(金)月火休
12:00~19:00(最終日:~17:00)
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レジデンスで日本に滞在中のアーティストの展覧会。ご自身で漉いた和紙が使用されているのもユニークです。

《6/9》
☆土屋仁応 彫刻展
ギャラリーイヴ
東京都世田谷区経堂1-23-9
6/4(月)~6/30(土)日休
11:00~19:00(13:00~14:00休息)
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・・・深い。
そして、抗い難い可愛さが。


・NYG NYでひとつになった9人のアーティスト展
ギャラリー金輪
東京都港区西麻布1-2-12-E-101
6/9(土)~6/15(金)日休
10:00~18:00(最終日:~17:00)
NYG 6/9DM.jpg


ユニークなスタイルのクリエイションがパッケージされた展覧会です。
いろんな手法の作品が並ぶなか、やはりタブローに惹かれます。

まず、僕にとっておなじみの安岡亜蘭さん。
メカニカルな部分も織り込まれた動物の絵なのですが、薄塗りでパネルの質感もさらに活かされ、独特の味わい深さがさらに加速しています。

NYG安岡亜蘭01 NYG安岡亜蘭02


illustmasterさんの作品は、とにかく構図が面白い!
立体感溢れる奥行きに、底からいまにも飛び込もうとしている人の姿、そこから強く伝わる臨場感が堪らないです。

NYG illustmaster 01


この展示で最大の作品は、沼田月光さん。
ひとつひとつのモチーフがていねいに描かれていて、画面の全体的な深い色彩の印象とともに、じっと見入ってしまいます。

NYG沼田月光01

☆馬場健太郎展「西からの風」
GALLERY MoMo
東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
6/9(土)~7/7(土)日月休
12:00~19:00
馬場健太郎6/9DM.jpg

透明感溢れる抽象作品が並んでいます。その色彩の鮮やかさに持っていかれます。

藤沢彦二郎
ギャラリー椿GT2
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
6/4(月)~6/9(土)
11:00~18:30(最終日:~17:00)
藤沢彦二郎6/4DM.jpg

やさしさ溢れる静かな光景が並び、やさしい気分に浸れる展覧会。ホントにいい感じなんです。

☆第二回 美男画展
ぎゃらりぃ朋
東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル2F
6/9(土)~6/17(日)
12:00~19:00
美男画2007DM.jpg

ぎゃらりぃ朋ではおなじみのアーティストがぎゅっとパッケージされた、「男性」がモチーフとなった作品展。
昨年に続いて行われているのですが、バリエーションがぐんと広がり、観ていてホントに楽しいです。

☆BLUE×BLUE 佐貫巧
トーキョーワンダーサイト本郷
東京都文京区本郷2-4-16
6/9(土)~7/1(日)月休
11:00~19:00
佐貫巧6/9DM.jpg

パーテーションで区切られた空間それぞれに違う演出が施されたユニークな展覧会です。
あの「青」の力は尋常でない...。

《6/10》
☆アートで候 会田誠 山口晃 展
上野の森美術館
東京都台東区上野公園1-2
5/20(日)~6/19(火)
10:00~17:00(金曜日:~20:00)
アートで候パンフ.jpg

味わい深い、ケレン味のない...さまざまな表情の「線」に惹かれます。
そして、この二人のユーモアにもやられた次第。

・《写真》見えるもの/見えないもの
東京藝術大学美術館陳列館
東京都台東区上野公園11
5/29(火)~6/17(日)月休
10:00~18:00
写真展パンフ.jpg

新旧の写真のアーティストが取り上げられた展覧会です。
なかでも印象に残ったのが、田口和奈さんと仙谷朋子さん。

田口さんの作品は、これまでになく黒い。。。
この黒は、撮影されたものの黒なのか、写真によってつくり出される黒なのか...。
前者だとすると、ようやく認識できるほどの人の顔を描き出す絶妙なグラデーションの妙を生み出す画力に震撼するし、後者だとしたらここまでコントロールできる写真の懐の深さに感嘆...。
おそらくどちらも、だと思うのですが、とにかくこの深遠すぎる作品に、その画面に映り込む自分の姿に魂も持っていかれているんじゃないだろうか、と錯覚してしまうほどの力強さを感じます。

仙谷朋子さんの作品は、金属のパネルに乗るマグノリアの花。
メタリックな質感に、透明感溢れる青で繰り広げられている光景。こちらも独特の深遠さと、強烈に未来的なイメージも浮かんできます。

会期修了が迫っていますが、余裕があればもう一度、じっくりと観たい展覧会です。

西川芳孝展
ガレリア青猫
東京都杉並区西荻南2-21-8
5/18(金)~6/3(日)金土日のみ
12:00~19:00(最終日:~17:00)
西川芳孝5/18DM.jpg

渋い色彩、深みのある線。


西川芳孝さんの個展に行ってきました。
これまではアートスペース羅針盤での個展で拝見していて、つい先日もしらみず美術の3人展が開催されたばかりだったのですが、今回ははじめて伺う西荻窪のガレリア青猫というところということもあって、いろいろと楽しみで。

細い路地に面した1階のギャラリー、入口から長めのスペースが奥へと続くギャラリー。
そこに、いかにも西川さんらしい、独特の風合いがにじみ出る作品がずらりと並んでいました。


西川芳孝09

西川さんというとまず思い浮かべるのが、細い黒の線で描かれる、妖怪がでてきそうな独特の風合い。
今回出展された作品のうち、細い線が画面に広がる作品では、これまでよく登場していたお化けのようなものの姿は少なくて、何か抽象的なものの輪郭をその線で描いてあるような感じです。
その線は、画面に動的な感じを演出しているかのようで、妖の世界の蠢きを現したような、妙に乾いた生々しさが印象に残ります。


西川芳孝06 西川芳孝07 西川芳孝04

西川芳孝08

額装されず、パネルのままの作品が多く展示されているなかで、入口からの右手の壁を中心に、額に収められた作品が。
こちらは、傾向としては、先日のしらみず美術での展示に出展されたような風合いの作品。
ここに並ぶ作品を観ていて思い浮かぶのが、難波田龍起・史男親子の作品。
画面中央で先鋭的に、かつノイジーに展開する細い線の集合、そしてどこか水彩のような、ふわりと広がる色彩。
親子それぞれが確立したスタイルのユニークな部分を取り込んだような雰囲気がして、この親子のどちらも好きな僕としては、なんとも親しみやすい感じがするんです。


西川芳孝10 西川芳孝11

西川芳孝12

また、今回の展示に出展された作品のなかには、太い線が画面に登場する作品も。
こちらは線の濃い風合いがなんとも味わい深いです。
精緻さを一切感じさせず、むしろ太い線の太さの変化によって、独特の風合いが生み出されています。それに加え、比較的なにか具体的なものをイメージできるモチーフであるのも面白く感じられます。


西川芳孝05 西川芳孝02

西川芳孝03

そして、今回の展示での最大の作品。
太い線の輪郭。グレーなど、渋い色彩のコントラスト。
椅子に腰掛ける女性と抱かれる子供。それらを覆う鈍い色彩の特有の渋味。
描かれている女性のやわらかい表情を眺めていて、やさしい気持ちが育っていくような。
この作品が放つ雰囲気は、どこまでもやさしく、加えてなんともノスタルジックなイメージがいいんです。


西川芳孝01

今年の秋か冬には、羅針盤で展覧会が行なわれる予定とのこと。こちらも楽しみです。

藤田夢香 個展 Sky in the Mind
Gallery & Cafe Para GLOBE
東京都杉並区和田3-54-5 第10田中ビルB1
5/29(火)~ 6/3(日)月休
13:00~19:00(最終日:~17:00)
藤田夢香5/29DM.jpg

展示の度に見せてくれるさまざまな表情。


高円寺、環七通り沿いのマンションの地下、シルクスクリーンの工房と接した小さな空間、Gallery & Cafe Para GLOBEで開催された藤田夢香さんの個展に行ってきました。
こちらのGallery & Cafe Para GLOBEは今回はじめて伺ったのですが、自然な感じのやさしい照明に包まれた隠れ家のようなスペースで、手作り感が溢れる小さなカフェも併設されていて、なんだか知ってると嬉しい場所。


そこで行われた藤田さんの個展。
monospinの、闇に広がっていくやさしい光のようなBGMが流れる空間。シルクスクリーンの作品とともに、深遠なインスタレーションも展開されていました。

ギャラリーの中央に垂れ下がる白の薄い布。入口のほうからだとその布を隔てたところに、小さな女の子の服が宙に浮いて佇んでいます。


藤田夢香@PG01


スポットが当たり、ふわりと浮遊したような感触もていねいに演出されていて、なんだか子供の頃の想い出をその情景に重ねてしまうような、そういうやさしい、そしてちょっとさびしい雰囲気が緩やかに広がっていたのが印象的でした。


壁には、シルクスクリーンの作品がそこかしこに。
画面のなかの、丸いかたちに収められた不思議な紋様。氷がモチーフとなっているそうで、いくつかの荘が重ねられたような透明感と、紙のやわらかくて繊細な質感とがひとつの画面に収められて、現実と違う世界を俯瞰しているような、それも興味本位とかではなくて、やさしい眼差しでその光景を慈しむように観ている、そんな感じです。


藤田夢香@PG02

藤田夢香@PG04

テイストが違うユニークな作品も。
こちらは画面の盛り上がりが印象的だったりします。


藤田夢香@PG06

藤田夢香@PG07

また、天井からは数本、光の粒によって導き出されたような筋が降りています。
雨粒の軌跡のような印象。冒頭のインスタレーションで得たイメージをさらに膨らませてくれるような演出。


藤田夢香@PG08

ちょうどと同じ時期にお茶の水で開催されていた二人展での展開の違いも興味深いです。
いくつものイメージがきっと藤田さんのなかにはあるのだろうな、と思いつつも、さまざまなアプローチで繰り出されるクリエイションは、それぞれ違っていつつも、しっかりと藤田さんのこころくばりが感じられるのも印象に残ります。


藤田夢香@PG03


この日は時間に余裕がなくて、カフェでお茶をいただけなかったが心残り。。。
改めて伺うときには、もっとゆったりと、ゆるやかに時間を過ごしてきたいと思います。

カンノサカン「trans.」
ヴァイスフェルト
東京都港区六本木6-8-14 コンプレックス北館3F
6/1(金)~6/30(土)日月祝休
11:00~19:00
カンノサカン6/1DM.jpg


百聞は一見に如かず(自作自演)。


本日、3度目のカンノサカンさんの個展へ。
今朝、6/9土曜日の朝に書いたレビューは展示を観て1週間経ってからのもので、もちろん観たときの感動や思いを辿りながら書いたわけですが、直後に展示を見直すとやはり結構なズレがありまして。。。
もっとも、朝のレビューはそれはそれで真理だとは思うのでそのまま残すのですが、今日あらためて観てさらに感じることがあったので、再レビューを。


今日は、あの空間にひとり。
これ以上ない贅沢な空間、時間を味わいました。
その上で強く感じたのは、今回のカンノさんの展覧会は、できることならひとりで観てほしい、と。


正面の大きな画面を覆い尽くす漆黒に唯一映り込んでいる生命体、自分の姿。
できることなら、これすらない状態で観てみたい。。。
例えば、真っ黒い空間で、そこに唯一ある小さな窓から観ることができたら...全体を俯瞰することしかできないけど、もしそのシチュエーションが可能だったらどんなふうに見えるか、すごく興味があります。


その画面で展開するペインティング。白と、それに準ずるグレーが、ある程度の距離で観たときに目が捉え、その印象は画面全体として強く印象に残るのですが、至近で観ると、画面の漆黒とは違う質感の、しかもふたつの種類の艶のない黒のペインティング。
・・・これが、文句なくかっこいい。凝視しないと分からない絶妙のスパイスとなって、今回の黒の作品のクールさをさらに高いステージへと押し上げているような気がします。


今日、カンノさんの作品をひとりで眺めていて聴こえてきた音楽。
・・・ジャズではなく、ショパンのピアノソナタ「革命」。
画面の漆黒が、グランドピアノの黒と視覚的なイメージと重なり、フルサイズのグランドピアノで、鍵盤は叩き付けられ、低音の太い弦が倍音を豊かに発しながら硬質に響きわたり、細かい音列はなだれをうつように激しく展開し...クラシックには詳しくないのですが、この曲の印象に残る部分が、漆黒の深みとアグレッシブに画面で展開するペインティングのアバンギャルドさとにイメージが合致した次第。

すぐにでも、情動的なピアノフォルテの音を聴きたくなったんです。


そして、さらにイメージは進んで...
この作品、想像するに、まずは全体のビジョンがあって、それに沿って、かたちをひとつ描き、それに呼応してさらに次のかたちを描き加えていく...その繰り返しで完成するペインティングの全体。
その過程は、打々発止のインタープレイというよりむしろ、現代音楽の作曲のプロセスに近いような気がしたんです。
ひとりで作り上げるという点も共通していて、それがさらにこの印象をより強固なものに押し上げます。


ホントに素晴らしい展覧会です。
おそらく、また観に行ったら違うイメージを思い浮かばせてくれるような気がします。

今日は、帰りに現代音楽のソロピアノが収録されたCDを買ってきて、今、聴いています。

カンノサカン「trans.」
ヴァイスフェルト
東京都港区六本木6-8-14 コンプレックス北館3F
6/1(金)~6/30(土)日月祝休
11:00~19:00
カンノサカン6/1DM.jpg

画面いっぱいに広がる艶やかな漆黒は、未来の空気を内包したような、どこか先鋭的な静謐さをたたえながら、貪欲にその前に存在するすべてのもの映し出します。
スポットの光はその黒のなかで鈍くその姿を揺らめかせ、画面の前に佇む人々は深い黒にその存在が呑み込まれてしまっているかのよう。。。

そのなかで、唯一、その漆黒の貪欲さに呑み込まれていないのが、無論、その画面に踊るペインティング。


ヴァイスフェルトでおよそ1年振りに始まった、カンノサカンさんの個展に行ってきました。

タイトルは「trans.」。ストイックな意気がこのタイトルからも強く伝わってきます。


ギャラリーの真っ白な空間に配されたたった3点の作品。
すべては黒の背景で統一されていて、その黒はホワイトキューブに実に映え、壁の白と画面の黒との質感のギャップの大きさが、その隣り合う部分すらもスリリングに演出しています。

入口から左手には、キャンバスの木枠の厚みがより際立つ、スポットの灯りにすべてが覆われて立体感が影からも伝わってくるほどの極小のスクエアの作品。それと向かい合うスクエアの作品は、比較的おなじみな大きさでありつつも、黒の背景の臨場感が充分に伝わってきます。


そして、正面の壁に展示された、カンノさんにとっても最大の大きさの作品。
展示が始まる前に、大きな作品が出展されることは知ってはいたのですが、それでも、この作品を目の前にした刹那、息をのみ、言葉を失い、ただその世界に圧倒されてしまった次第。


漆黒を舞う無数の「かたち」。
背景の黒と呼応するかのように、その「かたち」は薄めのほぼ無彩色で構成され、わずかな濃度の差やおそらくそのグレーに混ざり込む色彩でひとつひとつその輪郭を鋭く現しています。隣り合う「かたち」はお互い響きあって、ミニマムな、そしてソリッドなグルーブをかき鳴らします。


打々発止のインタープレイが眼前に、見えるかたちとなって現れた世界。
クールに、そしてホットに繰り出される音に反応してこちらもその熱に追い討ちをかけるようにさらに音を重ねていく。
カンノさんの作品を目の前にしていると、高度なインプロビゼーションミュージックにどっぷりと浸っているときのえも言われぬ興奮と似た感情がどんどん湧いてきます。
ひとつの「かたち」があって、それらはすらりとしなやかに画面を横切っているものもあれば、美しい弧を描いているもの、日輪のような鮮やかな円となっているものなどさまざまですが、そのひとつの存在としての魅力はもちろん、複数の「かたち」が複雑に組み合わり、少しずつ画面との距離を開けていって俯瞰で眺めたとき、また違うものを連想させてくれる...そういう面白さにも満ちあふれています。

そして、今回の漆黒の背景と無彩色のペインティングを観て、僕が何度も繰り替えし聴いた硬派なジャズ、アンダーグラウンドな匂いが充満したアバンギャルドなクラブミュージックが自然と脳裏に響き渡ってくるんです。
例えば、ペインティングのアグレッシブな質感はDave Holland Quartetの「Extensions」の1曲目の変拍子で繰り広げられる複雑なインタープレイを、すべてを映し込む深い漆黒はNils Petter Molvaerの「Khmer」での沈み込むようなアブストラクトグルーブを、そして全体から発散される先鋭的、未来的な雰囲気は、Photekが組み上げるスピード感と静謐感が同時に漂うプログラミングを思い浮かべるんです。
僕はこういう音楽を聴いているのでこんなイメージが浮かぶのですが、また別の志向の方はどういう音像を浮かべるのだろう、ということも興味があったりします。

また、別の妄想では、もしあのハーマンのミュートを嵌めたトランペットサウンドのあの御大がこの絵を目の前にしたとしたら、何を感じるだろう、なんてイメージも。。。

さまざまなイメージを体全体でじっくりと感じ、味わいたい、何度も足を運びたい至高の世界が提示された展覧会です。

Zero-K -absolute zero-
全労済ホール/スペースゼロ
東京都渋谷区代々木2-12-10 全労済会館B1
6/5(火)~6/12(火)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
Zero-K パンフ.jpg


5人の立体のアーティストがピックアップされた展覧会です。
木、金属、そして樹脂と、使う素材もさまざまな作品がふたつのフロアに配されています。


まず、いちばん下のスペースから。

この展示の中でひときわ、そのカラフルさが目を引くいしばしめぐみさんのFRPの作品。
もってりと長く伸びた顎がユニークな立体のオブジェ、顔の部分から生える足がそれぞれちょこんと正座しているのもかなり面白い!


Zero-Kいしばしめぐみ03 Zero-いしばしめぐみ02

Zero-Kいしばしめぐみ01


もう1点の宙吊りになっている作品も鮮やかな色彩とくどい感じの顔のインパクトは強烈です。
いしばしさんの作品を観ていて、色彩といいかたちといい、かなりシュールにデフォルメされた人の姿がモチーフとなっているのですが、思いのほか、その姿を自然に受け入れられるのがなんとも不思議。
加えてその色彩のポップな明るさから、ポジティブなイメージが広がるんです。
展示される空間演出も合わせての展覧会をぜひ観てみたい気がします。

吉川秀さんの作品は、ちょっとテイストが違っています。
モニターと、ある光景を描いた平面の作品と、テトラポットのようなやけに大きなアルミの塊。


Zero-K吉川秀01


映像の中には、ローラースケートに興ずる人物の姿。並ぶふたつの画面はほんの少しだけずらされていて、しその配置を眺めると、スケーターがそのまま進んで絵の中の風景を疾走していくイメージが沸き上がってきます。
それとは裏腹に、突起が異様に生々しいアルミの塊は、その画面の中のスケーターが入っていく風景の重し、枷のように存在していて、その重々しさとスケーターに身軽さとの対比も興味深いです。


Zero-K吉川秀02


木彫の立花光朗さんの作品は、ひときわ静謐な雰囲気が漂います。
節の位置や木肌の質感もうまく活かされ、なにやら宗教的な風合いも感じられる人物のオブジェ。


Zero-K立花光朗01 Zero-K立花光朗03


そのなかに1点だけある羽の付いたひつじのかわいらしいことといったら...!


Zero-K立花光朗02

中地下にあるガラス張りのスペースには、吉田朗さんと根岸創さんの作品が。
吉田さんの作品は、昨年暮れのギャラリーエスでの展示とはかなり趣が違う風合い。
壁に1点、青空を描いた作品が。鮮やかな青に白い雲が映えます。画面左をまっすぐ走る雲も印象的です。


Zero-K吉田朗01


そしてメインは、敢えていうと落花生のようにふたつの球体が繋がった作品。
そのなめらかなボディに、澄んだ青い空が広がっています。明るい天体を俯瞰しているかのような、壮大なイメージも沸き起こってきます。
この空を支える脚部もかっこいい。追求された機能美。


Zero-K吉田朗03 Zero-K吉田朗04

Zero-K吉田朗02

飯田橋のギャラリー52での個展以来、久し振りに拝見する根岸創さんの作品。
まず目に入ってくるのが、思いきり広げられた大きな翼。
その大きさに対して、畏怖のようなものも感じます。
地面のリアルな質感と、翼の精緻な仕上がりとのギャップもユニークです。


Zero-K根岸創02 Zero-K根岸創03

Zero-K根岸創01


その他、比較的小さな作品も。
ニワトリのランプ、妖精のような人、魚のオブジェ。
金属で作り上げられた魚の骨格、鳥の全容。それを包み込みながら、樹脂が立体のフォルムを現しています。
揺らぐような妖しさがにじみ出る樹脂の局面と、そこから透けて見える金属の硬質で鋭い質感とのコントラストが深みを作り上げていて、なんともかっこいいんです。


Zero-K根岸創04 Zero-K根岸創05

Zero-K根岸創06

それぞれが独特の個性的な雰囲気を持って、与えられた、任せられた空間をしっかりと作り上げています。

村田朋泰展/百色旅館-さむらいイカが通る-
Gallery Jin
東京都台東区谷中2-5-22 山岡ビル1F
6/2(土)~6/23(土)月火休
12:00~19:00(最終日:~17:00)
村田朋泰6/2DM.jpg


ようこそいらっしゃいました。
こちら、三ノ函半島随一、桃色旅館でございます。

・・・というわけで、さて次はどんな展開で来るのだろう、と毎度毎度楽しみな村田朋泰さんの、Gallery Jinでの個展に行ってきました。

まず、カウンターの奥のポスターに目が行きます。


村田朋泰@JIN09

入浴料かよ!!!Σ( ̄口 ̄;)
しかもいつの値段だよ!!!Σ( ̄口 ̄;)

という具合に、のっけから突っ込みどころ満載のこの展示。
これまた実に年代物の風格を感じるじゃらじゃらとした暖簾が下がる入口、そしてそのすぐ側に小気味よい節が光って浮かび上がる看板が。


村田朋泰@JIN01

村田朋泰@JIN02


振り向くと、ネオンの看板も。


村田朋泰@JIN03

今回の個展で出現した桃色旅館。
全貌ではなくその一部なわけですが、ギャラリーの中で見つけたのは...

い、

い、

村田朋泰@JIN04


インベーダーゲームか!!!Σ( ̄口 ̄;)

・・・そんな感じで、いにしえのゲームセンターが再現されています。
無論、このインベーダーゲーム、100円入れたらちゃんと遊べる。

5年振りとか10年振りとかはけっこう溢れているような気もするのですが、さすがに30年振りというのはそうそうお目にかかれるものではありません。
というわけでさっそくトライ。

(数分後)


...._| ̄|○


1面もクリアできず。惨敗。
インベーダーごときにこんなに悔しい思いをするとは。。。

ええい、もとい!

このゲームセンターには、ジュークボックスも設置されています。
いったいどこから持ってきたんだと別な感心を抱かずに入られないのですが、とにかくこのジュークボックスが面白い!
50円のところに貼ってある「使用不可」のガムテープが生々しい硬貨投入口にお金を入れ、

村田朋泰@JIN06

ずらりと並ぶ絢爛のパネルから1曲、例えば「Aの3」とか「Cの5」みたいに、アルファベットのボタンと数字のボタンをガチャンガチャン押して選曲。

村田朋泰@JIN07

すると正面のモニターに映像が映る、という仕組み。
ちなみにどの映像も、ど頭は「名所」というヤケにコブシが効いた鳴きから始まります。

村田朋泰@JIN08

この「ハイテクを駆使した」ジュークボックス、いったいいつのハイテクだよというツッコミはとりあえず傍に置いておいて、まだすべての選曲パネルが埋まっていないにも関らず、全部観ていったらそれはもう結構なボリューム。
ちょっとスケベなさむらいイカが大活躍の作品も多いです。
中には音声なし、または異様に短いものなどもあったりして、そういうのを選んでしまったりすると実際にお金を投入している身からするとなんだか切ない...と思う一方で、その番組を観終わってスゴイ苦笑を浮かべてしまうのです。
ま、とにかくかなり笑わせていただいた次第。

特筆すべきはムラタバンド。
ドラマ-のテクニックと、オエェオエェ言ってるボーカルには目の幅の涙が溢れるほど感動(笑)。


村田朋泰@JIN05


小部屋には、これまた年代物のショーケースに、ピンクゲルマの原石が。
いや、もう、ディテールのこだわりにハンパないものを感じます。芸が細かい!

村田朋泰@JIN10

さらに、ジュークボックスで通常流れているコマーシャルで、

「今夜泊まるあなたにも、今夜帰るあなたにも」

というキャッチコピーとともに紹介されている「お泊まりセット」。
石鹸、歯磨き粉などは分かるけど、なぜ軍手かと。


村田朋泰@JIN11


小部屋には、タブローも展示されています。
女性のポートレートにべったり付着しているピンク、など、など、など。
ぱっと軽やかで明るい色彩と強烈で濃厚なピンク色とのギャップが面白い作品が並んでいます。


村田朋泰@JIN12

村田朋泰@JIN14


この桃色旅館、今回の展示はゲームセンターだけですが、近い将来に (来年・・・?)その全貌が姿を現すらしいです。もうすごく楽しみ!
そのときには、今回は3分の1のみが埋まっているジュークボックスにも100曲揃うかも。。。
来る全貌公開へ向けてのレコメンデーションとして、ぜひたくさんの方にチェックしてほしい、そして、僕の世代にはもう懐かしくてしょうがない雰囲気が充満していて堪らない展覧会です!

Luna Yasunaka「wax and wane」
clementsalon*workshop
東京都港区南青山4-26-16 ミルーム南青山B1F
6/1(金)~6/30(土)火休
11:30~20:00(日祝:~10:30~18:00)
安中るな6/1DM.jpg

コントロールされた色彩と、無意識に現れる表情と。


瀟洒な青山の裏通りに、隠れ家のように存在していて、それでいて天井も高くゆったりとした空間、'clementsalon*workshopでの安中るなさんの個展に行ってきました。

女性の身体のなめらかな曲線が独特の色彩のコントラストで画面に再現された写真が、空間を囲むように並びます。


安中るな06

「線」の作品と「面」の作品、ふたつのスタイルの作品が展示されています。
それぞれ、基となっているのはデジタルではない、フィルムのカメラで撮影されたモノクロームの写真とのこと。
撮影されたモチーフの陰影を、線で追い掛けるか、あるいは面で捕らえるか。それぞれの方法で作り上げられた作品は、それぞれ違ったユニークさを醸し出しています。


まず、「線」の作品が目に入ってきます。
透明のパネルにマウントされた写真。さまざまな事象を映り込ませる黒を背景に、ネオンライトのような鮮やかな線が動きのある女性の姿を浮かび上がらせています。
その女性の仕草からは、画面の中に、その場面のさまざまなものを思い起こさせてくれるほどに動的なイメージが感じられます。
そのイメージは、透明感のある黒に映える明るく鮮やかな線の重なりがさらに押し広げてくれるんです。その線も、それを線としてあらためて凝視してみると、ノイジーに縦横に走っているような感触で、そのこともこの画面にスピード感をもたらしているように思えます。


安中るな02

安中るな01

展示のほとんどは、「面」の展開の作品で占められます。

これらの面の作品は、人工的にグラデーションを3つほどの色彩によって再構成されたもの。
いったんモノクロームで撮られることで、その距離感や陰影が統一されたグラデーションで現されたものを、さらに独特の色彩感で作り替えられています。この色の組み合わせもたいへん興味深く感じられます。
敢えてノーコントラストで描き出されていながら、ゆるやかにその奥行きを感じさせてくれるの加え、色彩と色彩との境界におけるせめぎあい、細かな色彩の飛沫がミニマムなリズムを奏で、その部分だけがアグレッシブに迫ってきて、作品全体を観たときの穏やかさと妖しさとが同時に感じられる味わいとまた違う面白味があるんです。


安中るな10 安中るな07 安中るな08

安中るな09

主に、女性の身体がモチーフとなった作品。そのなかに唯一、ハイヒールを撮った作品が。こちらもその曲線の艶かしさが、女性の身体のそれと通ずる印象で、この展示の中でまったく自然なアクセントとなっています。


安中るな05

安中るな04

見逃してしまっていたMOTT GALLERYでの個展では、今回のとはまた違うモチーフ、主に建築物を撮り、線と面とのアプローチがひとつの画面に織り込まれれた作品が出展されていたとこのとで、より見逃したことを後悔してしまっている次第。。。

ユニークな色の組み合わせでもたらされるコントラストの妙は、曲線の美しさをより際立たせてくれる感じで、思わず見入ってしまう世界に溢れています。


安中るな03

渡邊陽平展「瞬きを紡ぐ」
東京画廊
東京都中央区銀座8-10-5-7F
5/30(水)~6/23(土)日月祝休
11:00~19:00(土:~17:00)
渡邊陽平5/30DM.jpg

帰ってきた東京画廊
(参考:前回の行っちゃってた東京画廊。できあがった図録も見応えがあります)

もとい。

渡邊陽平さんの個展に行ってきました。
ギャラリーに足を踏み入れた瞬間、溢れるさわやかな色彩に、もう何もいらない、と。
艶やかなホワイトをバックに繰り広げられるストーリーに心がときめきます。


渡邊陽平10


ふたつの質感のマチエルによって奏でられる、ある物語の場面を思わせる世界。
スーラやシニャックのような明るい色彩の点描(特に意識はなさってないそうです)によるファンタスティックな世界と、なめらかなグラデーションでていねいに描き出される写実的な世界。
このふたつの風合いが、それぞれ異なる奥行きを演出しながら、それでいてこのようにひとつの画面に収まっていることをすごく自然に受け入れて、そこから広がっていくイメージ心を委ねていることがなんだか不思議で、その不思議な感覚も気持ちいいんです。


渡邊陽平06 渡邊陽平05

渡邊陽平04

1点、画面のなかに別のパネルがマウントされているユニークな作品も。
ふたつの世界に加えて、真っ白の背景に立体的な影ももたらされて、さらに面白い効果が加えられています。


渡邊陽平02 渡邊陽平03

渡邊陽平01

遊び心が溢れた作品の配置も楽しいです。
大きな作品がおよそ目の高さにずらりと並んでいて、小さな作品がぽーんと弾けるように高い位置に転じされていたり。
画面のなかの世界からいろんなイメージを探す楽しみと、空間全体から発散されるメルヘンチックな雰囲気を体感する爽快さと。


渡邊陽平11 渡邊陽平07

渡邊陽平08

奥まった一角には、ちょっとテイストが違う作品が壁を占めています。
若干艶が抑えられたような白。そこに、ワンポイントでファンタジーの世界から現れたようなキャラクターが描かれています。
重力から解き放たれ、自然にふわりと浮かぶように、空に佇む不思議の世界の人々。何もない背景がむしろその場所への想像を膨らませてくれるんです。
しっとりと細やかなグラデーションも印象的で、やさしい雰囲気が伝わってきます。


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いつもの東京画廊とは違うテイストが新鮮な展覧会です。
でも、これからうっとうしい季節へと向かっていくこの時期に、しばらくの間、いつも射し込む晴れ間のような、清々しい気分を味わいたくて何度も足を運んでしまいそうな展覧会です。


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鈴木雅明展 Light
Bunkamura Gallery
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
6/2(土)~6/13(水)
10:00~19:30
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夜景に滲む鮮やかな光。


Bunkamura Galleryで開催されている、鈴木雅明さんの個展です。

鈴木さんの作品は、一昨年のシェル美術賞でグランプリを受賞した作品を拝見していたのですが、そのときはさまざまな光度、質感の作品に囲まれていたせいか、夜の黒のイメージが強かったのですが、今回の個展で鈴木さんが描く夜景に包まれた空間にいると、そこに現れる色彩の鮮やかさ、夜の闇に広がる光のなめらかさに惹かれます。


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独特の色彩で現された街灯の光。
その大胆なグラデーションから、なんとなく夏の湿度の高い空気が思い浮かびます。
その光を表現するのに用いられているさまざまな色彩も印象的です。オレンジ色や黄色といった暖色系の光は夜の空気の息遣いを感じさせてくれるよう。また青白い光、独特のグリーンの光は普段の光景の中に潜むフューチャリスティックな雰囲気を発散しているように感じられます。


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街灯からの光はその闇にさらに鮮やかな陰影をもたらしています。
地面を染め上げ、引き立てられる、そこに佇む人影。
闇夜に浮かび上がる樹木の枝葉。
そういったさまざまな要素が、その場面に時間的な奥行きを感じさせてくれます。
加えて、ビルの窓の灯りや自動販売機の無機的な光とのコントラストもユニークです。


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鈴木さんによってさまざまな色彩で描き出される夜は、まさに「眠らない夜」といった装い。
そこに現れるすべてのものが緩やかなグラデーションで描かれ、視界が滲んでいるような曖昧さを感じさせながら、それでいてクールさも伝わってきます。
今を、現代の空気を、そしてその先の時間を感じさせてくれます。


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木原千春展
シブヤ西武 B館8階 美術画廊
東京都渋谷区宇田川町21-1
5/29(火)~6/11(月)
日~水:10:00~20:00、木金土:10:00~21:00(最終日:~16:00)
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ノーコントラストのポップな画面。
そこに見え隠れする動き。


シブヤ西武B館8階美術画廊で開催中の木原千春さんの個展です。
昨年のBUNKAMURA Art Showで拝見した小品が印象的だったのですが、今回の個展ではおおきな画面の作品もずらりと展示されていています。


とにかく、余白と色面との関係がダイナミックで大胆です!
ひとつの画面に収まるモチーフが究極的にデフォルメされて、いくつかのシンプルなかたちが重なることでコミカルでキャッチーな仕上がりになっているのが面白いんです。
そして、そのコントラストを排除してしまったかのようなモチーフの中に潜む筆の流れなどが、大きなモチーフのどっしりとした存在感のなかにミニマムな動きを感じ、そのギャップもたいへん興味深いです。


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パネルの大画面の作品がずらりと並ぶ一角はかなりの臨場感。
ぱっと明るい色彩の色面が組み合わさってできた自画像の、そして、真っ黒を背景に幅広の刷毛による太い曲線がつくり出す巨大なカエルの「どーん!」とした姿のインパクトも印象に残ります。


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額に収められた小品は、大作との対比も面白くて、なんともかわいい感じが伝わってきます。
かたちのコミカルさ、色の鮮やかさ。
そのシンプルさと小ささから、観ていて子供の心に戻ってしまうような感じもするのですが、逆にそのイメージが大人らしいような感じもして、なんだか不思議です。


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はっきりとした色面の構成による作品が多くを占める中で、木原さんのアグレッシブな一面が全面に押し出されたような作品も。
尋常でない激しいうねり、何かに突き動かされるような切迫した感じが伝わる筆の運びの力強さ、画面にたっぷりと乗る絵の具の質感。
スケッチブックの1ページに描かれた小品とともに、この展示の強烈なアクセントとなっています。
そして、違う一面がこうやって提示されることで、木原さんのクリエイションの奥深さが伝わってくるような感じです。このアグレッシブなイメージを木原さんが持っていることを分かった上で、シンプルな自画像やカエルや石像の作品を観ると、その関係性がホントに興味深く感じられます。


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かたちや色のポップさが醸し出すポジティブなイメージと、そのシンプルな画面に封じ込められた力強いイメージ。
第一印象でぱっと伝わる分かりやすさと、そこから少しずつ顔を覗かせてくるさまざまなミニマムな表情。
実はいろんな要素が詰まった世界。
もっと大きな画面が木原さんに与えられたらどんな世界が現れるんだろう、とか、逆にもっと小さかったら、とか...いろんな想像も膨らんでいきます。


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☆藤田夢香 個展 Sky in the Mind
Gallery & Cafe Para GLOBE
東京都杉並区和田3-54-5 第10田中ビルB1
5/29(火)~ 6/3(日)月休
13:00~19:00(最終日:~17:00)
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クリスタルのシルクスクリーン作品が印象的な藤田夢香さんの、お茶の水での2人展と同時期に開催されていた個展。
それぞれの展示で違うアプローチを取り入れられている藤田さんのこちらでの展開は、水をイメージした作品を配した静かなインスタレーション。

☆西川芳孝展
ガレリア青猫
東京都杉並区西荻南2-21-8
5/18(金)~6/3(日)金土日のみ
12:00~19:00(最終日:~17:00)
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太細のさまざまな線が画面に走り、佇む西川芳孝さんの作品。
渋いもの、スピード感があるもの、落ち着いたものなど、その独特の線と色彩感とでさまざまな世界を作り上げています。

東亭順 個展 Gardening Record
プラザ・ギャラリー
東京都調布市仙川町1-24-1
6/2(土)~7/1(日)水休
10:00~18:30
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ユニークなプロセスを経て描き出される独特の青が印象的な東亭順さんの個展です。
通りに面した壁がガラス張りになっているプラザ・ギャラリーの空間を活かした面白い展開が興味深いです。

《5/30》
☆渡邊陽平展「瞬きを紡ぐ」
東京画廊
東京都中央区銀座8-10-5-7F
5/30(水)~6/23(土)日月祝休
11:00~19:00(土:~17:00)
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ひとつの画面に収められたふたつの世界。
そしてそのコントラストに違和感を感じるどころか、むしろ自然に受けいれて、そのふたつの世界が織り成す物語へと想像が膨らんでいきます。

《5/31》
渋谷のSpumaへ、神田サオリさんの「ぐつぐつ。」の続きを観に。
昨年の12月と今年の1月、ふたつの年を跨いで開催された公開アトリエでのライブペインティングで作り上げられた世界がふたたび、場所を変えて現れました。

これまであのGALLERY 空で見慣れてた景色。空間が変わるだけでこれだけ印象も違うんだ、と。いろんな想い出も蘇ってきたり、あれだけ何度も観たはずなのに新しい発見があったり。

神田さんが自ら歌い、踊り、そしてさらにそこで作られた空気に触発されながら、描き加えられていく色彩。
続きが観られる幸せ。

《6/1》
・-美のかたち- 第7回 萌の会
渋谷・東急本店 8階 美術画廊
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
5/31(木)~6/6(水)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
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金丸悠児さん、野地美樹子さん、青山健一さんの3名による展覧会です。
金丸さんは、動物のシリーズ。独特の色彩感とマチエルとで紡ぎ出された素朴な動物たちのどこかコミカルな仕草が印象に残ります。
野地さんは、久し振りの「イス」のシリーズが中心。立体的な画面に、明るくてやわらかい色彩でやさしい場面が描かれています。そこに登場するさまざまなもの...イスの上で丸まる猫のなんともかわいらしい表情、赤いメガネ、ピアノ、などなど...それらのひとつひとつからいろんな心地よい想い出が浮かんでくるようで。ほっこりと和める作品です。
そして、青山さん。昨年のC-DEPOT以来なのですが、僕が青山さんへ持っていたこれまでのイメージからぐんと雰囲気に奥行きができているような感じで、嬉しい驚き。花や静物が主なモチーフとなって、それらがたいへんかわいらしい色彩と表情で描かれています。なかでも印象的だったのが、小鳥が登場している作品の、緑と黄色のコントラストの鮮やかさ。その他の作品もそうなのですが、それぞれの色彩がお互いを引き立てあうように画面に収められています。

☆木原千春展
シブヤ西武 B館8階 美術画廊
東京都渋谷区宇田川町21-1
5/29(火)~6/11(月)
日~水:10:00~20:00、木金土:10:00~21:00(最終日:~16:00)
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個展で拝見するのははじめての木原千春さん。
昨年のBunkamura Art Showなどで観てはいたのですが、今回のようにソロで木原さんの作品に囲まれると、そのキャッチーなかたちが迫ってきて、かなりの臨場感。
そして、それから時間をかけて眺めているとシンプルな画面の中にいろんな発見が見つかるんです。

☆カンノサカン「トランス.」
ヴァイスフェルト
東京都港区六本木6-8-14 コンプレックス北館3F
6/1(金)~6/30(土)日月祝休
11:00~19:00
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On the BLACK.
なんといっても、正面の壁で展開される大作の迫力。圧倒されっぱなし。

《6/2》
☆鈴木雅明展 Light
Bunkamura Gallery
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
6/2(土)~6/13(水)
10:00~19:30
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一昨年のシェル美術賞グランプリのアーティスト、鈴木雅明さんの個展です。
夜を描いた風景。そのなかの灯りの独特な色彩に目を奪われます。

・パメラ・ローゼンクランツ
TARO NASU
東京都港区六本木6-8-14-2F
5/18(金)~6/23(土)日月祝休
11:00~19:00
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靴。
その靴の底を撮った作品。
壁に吊るされたボール。
地図。
考える人。
5つの輪。
ポートレート。
それぞれの作品に封じ込められたコンセプトを読み解くように観ていく面白さ。
あるイメージを伝えるために、いちばん遠回りな近道を選んでいるような感じがなんともシュールで。

☆Luna Yasunaka「wax and wane」
'clementsalon*workshop.
東京都港区南青山4-26-16 ミルーム南青山B1F
6/1(金)~6/30(土)火休
11:30~20:00(日祝:~10:30~18:00)
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MOTT GALLERYでの個展を見逃していて、ちょっと気になっていた安中るなさんの個展。
線の作品と色面の作品、どちらも写真なのですが、その手法と、それでつくり出された色鮮やかな世界が面白いです。

☆村田朋泰展/百色旅館-さむらいイカが通る-
Gallery Jin
東京都台東区谷中2-5-22 山岡ビル1F
6/2(土)~6/23(土)月火休
12:00~19:00(最終日:~17:00)
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!!!Σ( ̄口 ̄;)

・染谷悠子
TOMIO KOYAMA GALLERY
東京都江東区清澄1-3-2-7F
6/2(土)~6/23(土)日月祝・12/29~1/8休
12:00~19:00
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仄かな、微妙な色彩と、細やかな線とで描かれるやわらかな世界。
ちいさな花がつらつらと並び、それが象の姿を浮かび上がらせていたり。
重ねられる和紙の質感も印象的です。

木村彩子展『sankaku nikki』
ギャラリー椿GT2
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
5/28(月)~6/2(土)
11:00~18:30(最終日:~17:00)
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ふわりと穏やかな彩りで奏でられる、懐かしい風景。


ギャラリー椿GT2で開催されている、木村彩子さんの個展です。


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やさしいベージュ色に染め上げられたパネルの上に、乾いた質感の絵の具が乗り、それぞれのナチュラルなかたちが風景を作り上げています。
この木村さんの作品を眺めていると、そこに描かれている風景に、すでに何らかの温かな想いが添えられているような感じが伝わってきます。


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この独特な質感は、油絵の具と蜜蝋を用いることでつくり出されるようです。
また、下地にも工夫があって、これらが油絵の具の油分の吸収をよくすることで、作品のようなユニークな質感がもたらされているとのこと。
乾いたひとつひとつの色面は若干そのトーンが抑え目で、それがより記憶のなかに眠っているあったかい想い出を呼び起こしてくれるような感じで、目にしているだけで和めます。


木村彩子04 木村彩子06

木村彩子07


これらの風景の元になっているのが、こちらにファイリングされたスケッチ。
手製のカバーからもやさしい感じが伝わってくるのですが、こちらで拝見できる、身近な場所などを撮った写真から印象的なところを取り上げたような実にシンプルなスケッチは、ほんのちょっとした線や色から充分にその場所のイメージが思い浮かんできます。
そして、このスケッチを元に、パネルの作品が描かれるそう。それもなんだか納得です。


木村彩子02


台の上に置かれた作品も、画面にぱっと灯るような鮮やかな赤が素敵です。


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思わず観ているこちらにも笑みが浮かんでくるような、やさしい雰囲気に溢れた展覧会です。


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