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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報
2007年8月アーカイブ

《8/27》
豊泉綾乃展
ギャラリーなつか
東京都中央区銀座5-8-17 GINZA PLAZA58 8F
8/27(月)~9/8(土)日休
11:30~18:30(最終日:~17:30)
豊泉綾乃8/27DM.jpg

ドライポイントで風景の広がりをモノクロームで描き出す豊泉綾乃さん。
これまでは海や水平線を思わせる遠い風景が多かったのですが、そういった作品はもちろん、今回はちょっと違う構図の作品もあって、その意外なアプローチがさらにユニークな深みをもたらしています。
大きな作品は包まれるような静謐感が漂っています。


Landscape 山岡夏子
ギャラリーなつかb.p
東京都中央区銀座5-8-17 GINZA PLAZA58 8F
8/27(月)~9/8(土)日休
11:30~18:30(最終日:~17:30)
山岡夏子8/27DM.jpg

ムサビの修了展示で拝見し、ミニマムで幾何学的な銅版画が印象的だった山岡夏子さんの個展。
近代建築を思わせる幾何学的なモチーフはもちろん、思いのほか有機的な作品も。
無機的な感触の作品も、細やかな部分で緻密なグラデーションが施され、身を乗り出して見入ってしまいます。

笛田亜希展 Animaless Zoo Project #oo4 -INOKASHIRA-
ガレリアグラフイカbis
東京都中央区銀座6-13-4 銀座S2ビル1階
8/27(月)~9/8(土)日休)
11:00~19:00
笛田亜希8/27DM.jpg

平面と立体の作品を織りまぜ、動物園をモチーフに展開される笛田さんの世界。
あるパターンを織り込んだユニークなタブローと、立体作品そのものへの素材からのアプローチのユニークさが楽しいです。

持塚三樹「イト」
MISAKO & ROSEN
東京都豊島区北大塚3-27-6 1F
8/27(月)~9/23(日)月祝休
12:00~19:00(日:~17:00)
持塚三樹8/27DM.jpg

一日の様々な表情、「朝昼夜」をモチーフに描いた作品が並びます。
きらきらときらめくようなファンタジックな雰囲気が広がって、独特の世界をが作り上げられています。

《8/28》
Atsuko Imaizumi "woman"
WADA FINE ARTS
東京都中央区築地3-2-5 第2平和田ビル
8/28(火)~9/14(金)日月祝休(初日を除く)
11:00~19:00

有元利夫を思わせる人物のかお、かたち。
中世的な雰囲気と、コンテンポラリーな風合いを放つ鮮やかな色彩が印象的な、さまざまなイメージを喚起させてくれるタブローが並びます。

《8/29》
小柳裕 新作展
KENJI TAKI GALLERY/東京
東京都新宿区西新宿3-18-2-102
8/29(水)~9/29(土)日月祝休
12:00~19:00
小柳裕8/29DM.jpg

こんなにスリリングな作品とは思わなかったです...。
夜を描き、全面がほぼ闇に染められた作品。そこに灯る明かりの部分に見られる「生々しさ」にぐっときます。
奥の事務所のスペースに展示された木炭画も素晴らしいです。

《8/30》
眼差しと好奇心 vol.2
ギャラリーエス
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエスビル1階
8/30(木)~9/15(日)月休
11:00~19:00
ギャラリーエス パンフ.jpg

昨年ミヅマ・アクションで開催された第1弾に続いて、場所を変えて今年も始まった「眼差しと好奇心」。
今回は先日のART AWARD TOKYOでも相当なインパクトだったアーティストが多数ピックアップ。
岩本愛子さんのまるで本当に人が入っているんじゃ、と一瞬ぎょっとするほどの精度のオブジェ、パスタのインスタレーションがユニークだった荒神明香さんの鮮やかな色彩と空間の提示のユニークさ、塋水亜樹さんのミニマムな世界など、見応え充分なクリエイションがパッケージされています。

小橋陽介
GALLERY MoMo
東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
8/25(土)~9/22(土)日月祝休
12:00~19:00
小橋陽介8/25DM.jpg

Yosuke Kobashi Exhibition
GALLERY MoMo
6-2-6-2F,Roppongi,Minato-ku,Tokyo
8/25(Sat)-9/22(Sat) closed on Sundays,Mndays and national holidays
12:00-19:00
Google Translate(to English)

さて。
今年も始まりました、小橋陽介さんのめくるめく自画像。


では、さっそく。

ギャラリーに足を踏み入れた瞬間から、もう...(汗)

粋に腰に手を当ててるのも、

小橋陽介0708 08-08


後方にぶっ倒れるのも、

小橋陽介0708 08-05


何故かバナナに座ってるのも、

小橋陽介0708 08-02


ロウソクを前に誰かを呼んでるのも、

小橋陽介0708 08-06


ブランコに乗ってるのも...て、2人かよ!Σ( ̄口 ̄;)

小橋陽介0708 08-03


チェーンに立ったり寝転んだり..て、こっちも2人Σ( ̄口 ̄;)

小橋陽介0708 08-04


今度は 6人かよ!Σ( ̄口 ̄;)
てか、いちばん右っ側の手足だけでの入れると7人かよ!Σ( ̄口 ̄;)
いちばん左の顔も一体Σ( ̄口 ̄;)

小橋陽介0708 08-01


・・・・。
お前らいい加減に(略)

小橋陽介0708 08-07


・・・全部自画像。自画像大杉(汗)。

・・・とかいう感じにツッコミを入れながら見続けて最後まで巨大な自画像に素で気付かない僕(汗)。


小橋陽介0708 08


もう、相変わらずやりたい放題、弾け放題。
絵の中で、有り得ないシチュエーションでいろんなポーズを取りまくってます。


小橋陽介0708 03

小橋陽介0708 05

で、今回はいつになく自虐的なものだったり、スケールがでかいものも。
鳥にくわえられていたりプールに頭から突っ込んでいたり、後光の中に紛れ込んでいたり。
シチュエーションのバラエティは以前から幅広かったのですが、それに輪にかけてさまざまな状況での自画像が描き出されています。


小橋陽介0708 09 小橋陽介0708 10

小橋陽介0708 07

で、小橋さんといったらやっぱり大きな作品。
冒頭の作品の向かいに展示されている一番大きな作品は、対面するミニチュア自画像溢れまくりのと逆に、巨大な自画像が一人、ダイナミックに描かれていて凄い迫力!


小橋陽介0708 06

小橋さんの作品に描かれる人はすべて自画像なのですが、今年の個展ではひとりゲストが。
変な色に立ち上がる炎のなかからにゅっと出てる拳銃を持った手のなかに紛れてひとり、ヒットマンのシルエット。
小橋さんに聞いてみたら「言われてみればそうですね~」的なお返事が。この辺りの緩さもいい感じです。

それにしても、この作品のシチュエーションも(以下略)(汗)


小橋陽介0708 01

小橋陽介0708 02

キャンバスの作品だけではなく、紙に描かれたドローイング...というより落書きふうの作品も。
自画像の印象は・・・

あんましかわんない( ´∀`)


もとい、その脱力感がまた魅力なわけで。

小橋陽介0708 11 小橋陽介0708 12

現実の世界ってやりたいことをやるためには案外やらなければいけないことがいっぱいあってけっこう窮屈に感じることもあるわけですが、そんな気持ちを軽やかに吹っ飛ばす小橋さんの世界。
いったん「あ、面白いかも」と思ったらもう珠玉。
この痛快さは堪りません!
気分も伸び伸びとしてきて、いちいち突っ込みながら観るのも楽しいですし、もう何も考えずにぼーっと眺めるのも気持ちいいんです。


小橋陽介0708 04

加藤千尋 花信
Yuka Sasahara Gallery
東京都新宿区西五軒町3-7 高橋工芸社ビル3F
8/25(土)~9/29(土)日月祝休
11:00~19:00
加藤千尋8/25DM.jpg

CHihiro Kato "Tidings of Flowers"
@Yuka Sasahara Gallery
3-7-3F,Nishi-gokencho,Shinjuku-ku,Tokyo
8/25(Sat)-9/29(Sat) closed on Sundays,Mondays and national holidays
11:00-19:00
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鮮やかな色彩が発するポップなグロテスク。

これまで主に立体の作品を発表されてきた加藤千尋さん。
今回のYuka Sasahara Galleryでの個展では、平面作品が展示されています。
その鮮やかさがフィクショナルな雰囲気を発散させているハイブリッドな植物の立体作品と同様に、ぱっと空間に生える明るい色彩が散らばった、動物と植物とのハイブリッドが描き出されています。


加藤千尋06

背景となる白によって押し出されるすべての色彩の鮮やかさ、美しさ。
さらに、細かい毛のようなものも1本1本精緻に画面上に再現されています。
本来存在し得ない不思議なかたちをした有機物が、奇妙な説得力を持って迫り、ちょっとだけ「コワイもの見たさ」にも似た好奇心も湧いてきて、画面の中の様々な要素に見入ってしまいます。


加藤千尋03 加藤千尋02

加藤千尋01

展示されている作品は、キャンバスとパネルのものがあって、それぞれが放つテクスチャーの差も興味深いです。
布地の目も画面上に残るキャンバスの作品は、その素材感に親しみが感じられます。
一方、パネルの作品は、画面がさらにフラットに加工されていることで描かれている線の細さや描かれるモチーフの「薄さ」を表した絵の具の濃度の繊細さなどがよりリアルに再現されている感じがするのと同時に、描いた痕跡も生々しく伝わってきます。
無論、キャンバスの作品でもすっと引かれた1本の線が放つ緊張感は格別なものです。


加藤千尋08 加藤千尋09 加藤千尋10

加藤千尋07

これまでにも加藤さんの立体の作品は何度か拝見していて、その奇妙なフォルムと鮮やかだからこそのグロテスクさが強く印象に残り、壁や床などから生えるように展示されて、空間に占める割合は相当に小さいはずなのに、その雰囲気を違う時空へと導いているような感じが面白かったのですが、今回、平面でその世界が再現されているのを拝見して、例えば「薄さ」や「細さ」など、立体で再現するのがたいへんな難儀を極めると思われる表現を描き出し、これまでの立体の作品と併せてさらに加藤さんが創出する世界に、ミニマムな方向へと世界が広がったような印象を覚えます。

加えて、背景の白がたいへん効果的で、これもまた立体では不可能な「虚空に浮いたイメージ」が提供されているのも興味深く感じられます。
1点だけ、カウンターのところに背景が黒の作品が展示されているのですが、背景が変わるとその雰囲気も劇的に変化します。

現存するさまざまな種の動植物がそうであるように、極度に鮮やかな色彩を纏ったものはその中に「毒」を持っていて、加藤さんの手にによってつくり出されたハイブリッドな生物もきっと強力な「毒」を持っているのだろうな、という印象も。
この「危なさ」も大きな魅力です。

ホワイトキューブにシンプルに展示された数点の作品と若干暗めの照明で、たいへんイマジネイティブな空間が作り上げられています。


加藤千尋04

motoshi chikamori++kyoko kunoh
Galerie Teo
東京都品川区東五反田2-5-15 3F
8/25(土)~9/21(金)日月祝休
11:00~19:00
++Galerie Teo8/25DM.jpg

motoshi chikamori++kyoko kunoh
Galerie Teo
2-5-15-3F Higashi-Gotanda,Shinagawa-ku,Tokyo
8/25(Sat)-9/21(Fri) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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インタラクティブな要素に溢れて、まさにアートの遊園地。

今年、五反田に新しくオープンしたGalerie Teoでのmotoshi chikamori++kyoko kunoh展に行ってきました。

まず、Galerie Teo。初めて行くときは付近で建築工事などが行われていることもあってちょっと分かりづらいのですが、劇団四季の劇場からすぐそばというこれ以上ない分かりやすい目印があるので、一度行けばもう大丈夫。
そして、もう少しコンパクトなスペースを予想していたのですが、広々としたスペースで、今回のようなインタラクティブなメディアアートの展覧会でもそのポテンシャルを充分に発揮していますし、今後の展開も楽しみになってきます。


motoshi chikamori++kyoko kunohの作品は、国立新美術館で開催された「日本の表現力」展で拝見していて、展示されている作品でたくさんの人、おもに子供達が楽しそうに遊んでいたのが印象に残っています。
他、ICCでの展示や東京都写真美術館での文化庁メディア芸術祭などにも出展されているので、目にした方も多そうです。


今回の展示は、自然光が入る明るい部屋と、外光を遮った暗いコーナーとに分けて、それぞれで作品が展示されています。

まず、明るいほうの部屋から。
入口の扉を通過して中に入ると、左手に林が。
そしてその林の木々には、木の実のように、光のボールがいくつか映し出されています。
その「木の実」から、ふわふわと湧き出てくる生き物のような影。それらは流れて足元にある光に吸収されるように消え去っていきます。

僕が伺った時点では、この作品にはインタラクティブな設定はなされていなかったのですが、最終的には、木の実を取ろうと光に手をかざしたらそこから生き物が出てくる、という感じになりそう。
床のフェルトの林のシルエットやパネルの林も、楽しい雰囲気を演出していて、のんびりと眺めていて和める空間です。


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壁に描かれた爬虫類のマークに導かれて暗い部屋へ。

mo++kk 13


こちらには3つのインタラクティブな作品が展示されています。
最初に目に飛び込んでくるのが、巨大な光の円。


mo++kk 02


一見、床を照らすスポットに思えるのですが、その円の中に入ると...


mo++kk 04


・・・いろんなものが唐突に現れます。
これがけっこう楽しい!
最初はただただその光の中を歩き回って、時おりサウンドエフェクトを伴ってさまざまなものが現れるのを楽しむのですが、しばらくすると何もないその床面の「どこに行けば何が現れるか」を確認しようと目を凝らして探るように動き回っている自分。


mo++kk 03

こちらの作品は、目にしたことがある方も多いようです。
テーブルの上に置かれたさまざまなシルバーの食器を中心としたアイテム。
この時点で充分にアーティスティックな雰囲気が醸し出ています。


mo++kk 05


それぞれのアイテムに触れると、さまざまなハプニングが。
こちらはどれを触ればどうなるかは一目瞭然なので、それぞれを触って確かめながら何が出てくるかワクワクしながら過ごす時間もまた楽しいんです。


mo++kk 08 mo++kk 09 mo++kk 07

mo++kk 06

奥の壁には格子状の扉のシルエット。
扉を空けようと取っ手に触れると、そこをいろんな動物が行き交います。
こちらも思い掛けないものが出てきたりして、面白い!


mo++kk 11 mo++kk 12

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やさしい闇の中にも1匹。
これがこの展示にぴりっとしたアクセントをもたらしているように思えます。

mo++kk 14


24日金曜日のレセプションでは、この日にしか観られないインスタレーションも。
外の壁に映し出される動物たちのシルエットが闇の中に華麗に蠢いていました。
劇団四季帰りの方々にも見えたはず。


mo++kk 01

それぞれの作品には相当にテクノロジカルな要素が入っているはずなのですが、それを感じさせず、その作品を楽しむ手触りとしてはたいへんアナログな感じがしていて、そこがまたがいいなぁ、と。
しかし、その感覚を演出するためには、テクノロジカルな要素だけでなく、例えばテーブルの作品などは、テーブル上のアイテムとプロジェクターとの位置もかなりの精度が要求されているわけで、そういったことに思いを馳せると、近森さんと久納さんのお二人へのリスペクトがより大きくなります。

作り手がエンターテイメントに徹したからこそ生み出せる面白さ、楽しさ。
きっと、「あの頃の未来」がいっぱい詰まったおもちゃ箱が頭の中にあるんだろうな、と。

《8/24》
津上みゆき展 View-24 seasons "Spring" No.01-06
第一生命南ギャラリー
東京都千代田区有楽町1-13-1 DNタワー21 第一生命本館1F
8/24(金)~9/20(木)土日祝休
12:00~18:00
津上みゆき8/24DM.jpg

土日がお休みのためになかなか伺えない第一生命ギャラリー。この日はオープニングレセプションで少し遅くまで開館しているということで、見に行くことができました。

津上みゆきさんの作品をまとめて拝見する機会は今回が初めて。
これまでの印象ではけっこう濃い色調の抽象画だなぁ、と思っていたのですが、今回の展示ではふわりと浮かぶような、やさしくて軽やかな色彩が心地よい大作が6点並んでいます。
抽象画というと、僕の場合、さまざまなイマジネーションを得るためにこちらから意識的に「挑む」気持ちで作品と対峙することが多いのですが、今回の津上さんの作品は、押し付けがましくもなく、かといって引力を持つように鑑賞者の意識を呑み込んでいくのでもなく...このギャラリーの高い天井、明るめの照明、広々とした空間とが醸し出すゆとりもあってか、絵画をそれぞれ「目の前にある光景」として自然に受け入れているような感触が清々しく思えました。

ドローイングの作品も多数展示されているのも嬉しいです。
思いがけず、ある風景を思い起こさせてkれるほどに具体的なモチーフが描かれているものあって、それが大作を観る上でのヒントを与えてくれるような感じです。

motoshi chikamori++kyoko kunoh
Galerie Teo
東京都品川区東五反田2-5-15 3F
8/25(土)~9/21(金)日月祝休
11:00~19:00
++Galerie Teo8/25DM.jpg

面白い!楽しい!
インタラクティブなメディアアート。
きっと相当高度なテクノロジーが組み込まれているはずなのですが、その作品に触れる印象はたいへんアナログ。
遊び心に富んだ素敵なインスタレーションが繰り広げられています。

《8/25》
CROSS POINT 小竹美雪X池田潤
シロタ画廊
東京都中央区銀座7-10-8
8/20(月)~8/25(土)
11:00~19:00(最終日:~17:30)
CROSS POINT8/20DM.jpg

多摩美在学中のアーティスト4名を、2人ずつ2週にわたって紹介する企画。
その1週目は銅版画の小竹美雪さんとシルクスクリーンの池田潤さん。

小竹さんの作品は、まず紙の渋い色調が印象的です。
そこに繰り広げられている世界は、同じ、あるいは微妙に違うパターンが画面の中のそこかしこに存在し、静止画なのに時間の経過や動きを感じさせてくれるユニークな雰囲気に溢れています。

小竹美雪01

刷った版画を同じ紙の上にコラージュしていくという手法で、踊るようにさまざまなパターンが重なってリズミカルな雰囲気を演出しています。
今回の展示では比較的色調が統一されていましたが、もっと弾けた色彩が登場したらさらにダイナミックになるかも、と想像したり。

小竹美雪04 小竹美雪03

小竹美雪02


池田さんの作品は今年のワンダーシードで拝見していたのですが、そのときのある風景を描いた作品とは違うテイスト。
抽象的な作品が並んでたのでちょっと印象が違ってびっくり。
しかし、何度も重ねてプリントされることで、画面に乗る絵の具の分厚い塊に細かい気泡や色彩の重なりが偶然に生み出すミニマムな面白さが発せられています。

池田潤01 池田潤02

各コーナーで繰り広げられている統一感のある世界。
無機的な構成もクールな風合いを演出しています。

池田潤04 池田潤05

池田潤03

絵描きポニィの始まり
フタバ画廊
東京都中央区銀座1-5-6 福神ビルB1
8/20(月)~8/26(日)
11:00~19:00(最終日:~16:00)
Pony8/20DM.jpg

ペンによる細かい絵が印象的な展示。

まず、奥のコーナーに1点展示されていた立体作品。
マネキンの頭部に乗る、珊瑚のような複雑なうねり。これだけアグレッシブな作り込みなのに、実に静的なイメージなのも興味深いです。

Pony02

Pony01

そして、ギャラリーをぐるりと囲むペン画。
赤系統の暖色の線は、錆びた針金や焼き付けられて焦げたような風合いで、レトロな渋い風合いを醸し出しています。
そういう独特の味わいの線で描き上げられるモチーフは、たいへん有機的。
全体も何らかの生き物のようで、そのなかに人物の顔などが潜んでいたりもして。
精緻な構成の中にさまざまな要素を見つけていくのを楽しんだり、作品によっては重厚な額に収められるなどしてちょっと古めかしい雰囲気を味わえた次第です。

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Pony03

小橋陽介
GALLERY MoMo
東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
8/25(土)~9/22(土)日月祝休
12:00~19:00
小橋陽介8/25DM.jpg

なんかもう。
一度その面白さが分かると、もう何が出てきても面白く感じられてたまらない!
今回の小橋さんの溢れる自画像も、さまざまなサイズの画面のシチュエーションでやりたい放題、弾けまくってます。


前田圭介|in the sun
HIROMI YOSHII
東京都江東区清澄1-3-2-6F
8/4(土)~9/8(土)日月祝・8/12~8/20休
12:00~19:00

この展示の構成に静かな驚きがじわじわと沸き起こってきます。

女の子が鳥かごの中の小鳥に話し掛ける、なんとも素朴な絵。
その絵が燃やされている様子、この絵の紙のまわりが焦げちゃってるもの、くしゃくしゃに丸められて広げられ、さらに落書きされているもの...。
いろんなシチュエーションで提示されているなぁ、と順に流して観ていて、ある刹那、そこに展示されている作品がおそらくすべて手描きなのに気付き、心底驚いた次第で。

正面の壁に1点だけぽつねんと展示された小品に描かれている風景画の精緻さを観ると、その再現力にも納得。
モチーフとなる絵が素朴なだけに、余計に驚きの度合いが大きかったです。


今井俊介 Shunsuke IMAI : empty eyes
zenshi
東京都江東区清澄1-3-2-6F
8/4(土)~9/22(土)日月祝・8/12~8/20休
12:00~19:00
今井俊介8/4DM.jpg

さまざまなシルエットが、爽やかなパステル調の色彩で重なる作品です。
そのシルエットも、色面と、花や葉の曲面の立体感を表すかのように細い線で描き出されたもとのが重なって、ひとつの画面にいろんな時間も折り重ねられているような印象を覚えます。
ギャラリーの壁の相当に広い面もダイナミックに絵が描かれていて、この壁画とパネルの作品との重なりがユニークな空間をつくり出しているのも面白いです。また、壁画がパネルの作品を拡大したものになっているようで、その一致を探し出していくのも面白いんです。


麻生知子「夏にいる人」
Gallery Jin
東京都台東区谷中2-5-22
8/17(金)~8/26(日)月火休
12:00~19:00(最終日:~17:00)
麻生知子8/17DM.jpg

昨年、トーキョーワンダーサイト本郷での展示を拝見していた麻生知子さん。
ちょっと汚れた感じの背景に食べ物や目洗い場で目を洗う男の子など、さまざまなモチーフが描かれています。
で、今回は本郷での展示と違って明るめの照明。
やっぱり食べ物は明るいところで観たほうが美味しそうです(笑)。麻生さんが描く食べ物はとにかくジャンキーな風合い、安っぽさが充満してるのですが、そういうものに限ってたまに凄く食べたくなるもので、観に行った時間」が夜7時頃ということもあってか、おなかが空いて空いて(笑)。

麻生知子03 麻生知子02

奥の小さなスペースには版画作品がいっぱい。
ざっくりとした色面の構成が痛快です。

麻生知子04

ホント「これで良いの?」と思っちゃうようなイージーな絵なんですが、逆に魅力的というか...
やられた、参りました、という感じです。

麻生知子01


加藤千尋 花信
Yuka Sasahara Gallery
東京都新宿区西五軒町3-7 高橋工芸社ビル3F
8/25(土)~9/29(土)日月祝休
11:00~19:00
加藤千尋8/25DM.jpg

鮮やかな色彩のアバンギャルドさが魅力の加藤千尋さん。
これまでは立体の作品を拝見していたのですが、今回の展示では平面の作品が発表されています。
平面で加藤さんのイメージが再現されることで、逆に立体では再現できないようなイメージも浮かんできます。

《8/26》
大谷有花×川田祐子2人展 ~おしゃべりな色 思い出す色~
相模原市民ギャラリー
神奈川県相模原市相模原1-1-3 駅ビルNOW4F
7/21(土)~8/26(日)水休
10:00~19:00
大谷x川田7/21パンフ.jpg

最終日に滑り込みで。
ふたりの女性のアーティストの一連の作品がパッケージされた展覧会。

手前が川田祐子さん。
至近で観たときと、引きで観たときの注目点が劇的に異なるユニークなクリエイションです。
大きな画面に施された無数の細かい線。そのほとんどがアクリル絵の具で描かれたものということもあって、その気が遠くなるほどの作業の痕跡に脱帽なのですが、そういった感心の前に、絵の中に繰り広げられているさまざまなうねりや流れに心がゆだねられ、不思議な心地よさが広がります。
全体を眺めると、うろこ雲のようでもあったり、あるいは透明の水辺のようだったり...至近で観たときの緻密さとはまったく違う、ナチュラルな風合いがなんとも清々しいんです。

奥が大谷有花さんのコーナー。
もうおなじみの世界が繰り広げられていて、過去の作品も多く出展されているのですが、なにより嬉しかったのが、昨年はじめの府中市美術館での展示で発表された幅10mにも及ぶ大作が再びお目見えしてたことで。
前回は大谷さんの空間全体がキミドリに染まっていたのですが、今回は白の壁にそのまま展示されていて、より作品のなかの世界をそのままに感じ、味わえた気がします。
また、先のGALLERY MoMoで発表されたシリーズも展示され、大谷さんのこれまでの作品の変遷が堪能できる機会としても嬉しい展覧会でした。

八木良太 個展 直線か円環か積層か
無人島プロダクション
東京都杉並区高円寺南3-58-15 平間ビル3F
8/22(水)~9/22(土)木金土のみ(月~水は要予約)
11:00~19:00
八木良太8/22DM.jpg

Ryota Yagi Exhibition Line or Circle or Layer or
@MUJINTO Production
東京都杉並区高円寺南3-58-15-3F Koenji-minami,Suginami-ku,Tokyo
8/22(Wed)-9/22(Sat) only Thursday to Saturday (appointment only on Monday to Wednesday)
11:00-19:00
Google Translate(to English)

さまざまな「時間」の提示。

昨年に続いて無人島プロダクションで始まった八木良太さんの個展です。
八木さんのクリエイションは、このコンパクトなスペースでの展開がホントに良く合います。


今回の個展では、3つの展開が提示されています。

入口すぐに展示されたシルクスクリーンのモノクロームの砂時計の絵。
ナチュラルな木の色が爽やかな横長の額に収められ、ちょっと斜めに掛けられた作品。
斜めに掛けられることで中の砂時計が水平に置かれたようになっている... ように見えるのですが、正確にそうなっているかは何ともいえないのがまた、面白く感じられます。
もしかしたら、逆さまに掛け直したら反転して白い砂が落ちる砂時計に見えるのかな...と今になって想像してみたり。。。


1点だけの平面作品をイントロに、もうふたつの展開では八木さんならではの時間の提示とイメージの誘いが詰めこまれています。

入り口の左側、カウンターの右横に設置されたターンテーブル。
その横の壁の棚にはレコードが2枚。
八木さんの(作曲という意味ではないけれども)コンポジションによる音源がカットされたレコードで、それぞれこの高円寺の奥まった空間から異なる世界へと誘ってくれます。
レコードの特性、裏と表、あるいは巡行と逆行で再生が可能なこと、そういったメディアとしてのユニークさが存分に活かされて、なんとも不思議なイメージを沸き起こさせてくれる作品に仕上がっています。
言葉にして説明しようとすると難儀を極めそうなのですが、実際に提示されると分かりやすくて、そのおかげでよりイメージの広がりも活性化させられます。
黒地にタイトルがプリントされただけのシンプルなレコードケースもかっこいいです。


いちばん奥は、ブックファイルの作品です。
・・・といっても、そのファイル自体はほぼ全面は真っ白なのですが。

しかし、これが面白い!
こういったアプローチがあったのか、と大いに感心した次第。
このインパクトを一言で表すならば、ドラえもんの道具がひとつ、実現化したような感じ、

台の上においてページをめくると、そのファイルの各ページで絵が動きます。
ページをめくるとその絵も変わります。
細かな仕組みは伏せておきますが(「その手があったか!」と思わず唸りました)、台の上に設置されたカメラからファイルの各ページに映像が映し出されるというもの。
取り上げられている映像も、過去の八木さんのキッチュな作品もあったりして、立体的に八木さんのクリエイションが体感できます。
特に、各ページごとにその変化の状況を収めた例の氷のレコードの作品は、時間の提示としてもたいへんユニークに感じられます。


いかに異なる時間を提示するか、そして、しかも分かりやすく。
ある一定の速度で進み続けている時間のイメージに挑戦するのは結構たいへんなことのように思えるのですが、八木さんの場合、それを飄々とこなし、それでもってちゃんとエンターテイメントとして提示しちゃってるところがすごいなぁ、と。

現在、水戸芸術館併設のギャラリーでも個展が開催されていて(~10/14)、こちらはもっとダイナミックに空間を活かした映像作品が展示されているそう。伺えるかどうか難しいところなのですが、すごく気になってしまいます。

Bunkamura ART SHOW 07 -extremes meet-
Bunkamura Gallery
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
8/17(金)~8/26(日)
10:00~19:30
BAS07 DM.jpg

Bunkamura ART SHOW 07 -extremes meet-
@Bunkamura Gallery
2-24-1 Dougenzaka.Shibuya-ku,Tokyo-to
8/17(Fri)-8/26(Sun)
10:00-19:30
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今年で4回目を迎えたBunkamura Art Show。
今回は7名のアーティストがフィーチャ-され、平面作品を中心に、映像やインスタレーションも含む幅広いクリエイションが紹介されています。
会場を3つのブースに区切り、さらにそれぞれのブースが2名ずつが対角で分けられて展示されています。


会場の手前で、谷川夏樹さんのコンテナが出迎えてくれます。


BAS07谷川夏樹03

今年のはじめに開催されたTakuro Someya Contemporary Artでの個展が」印象に強く残る松山智一さんの独特の色彩感を放つ作品が力強く出迎えてくれます。

作品は、先の個展で発表されたもので、あのときの空間をたっぷりと使ったインスタレーションが、コンパクトに収まっている感じです。
こうやって他のアーティストの作品とパッケージされると、その個性的な色彩やかたちの「解釈」の面白さがより際立って感じられ、たいへん興味深いです。


BAS07松山智一03 BAS07松山智一02

BAS07松山智一01

松山さんのカラフルでポジティブな色彩の向かいには、谷澤紗和子さんのほぼ無彩色のダークな世界が繰り広げられています。このコントラストはかなりのインパクトをもたらしています。

頭髪の流線、あるいは有機的なものがモチーフとなった鉛筆画。
小さな作品ながら、放たれルダークな雰囲気にはある種の引力を感じます。


BAS07谷澤紗和子03 BAS07谷澤紗和子04


立体作品にユニークなものが多いのも印象的です。
ART AWARD TOKYOでも紹介されていた、ネイルチップで作り上げられた花。その際に発表された作品を比べると小さいですが、内部から発光し、静謐な華やかさと抜群の存在感を醸し出しています。


BAS07谷澤紗和子01


小さな丸イスの上に乗るスプーン、その上に掬われた砂糖が天井まで続くインスタレーション。
ユーモアに潜む鋭さ。


BAS07谷澤紗和子02


他、大画面の鉛筆画や髪の毛、動物などのインスタレーションも。
白い空間でこれほどまでにダークな感触が伝わってくるので、もし空間全体のインスタレーションとなったらどうなるんだろう、と興味も湧きます。


BAS07谷澤紗和子05

YOKOI FINE ARTでペーパーワークスの作品を集めた個展も開催されている石居麻耶さん。こちらでは、板に主にアクリル絵の具での彩色の作品が展示されています。

これまでの作品とはまた若干のテイストの違いを感じます。
例えば、用いられる色。石居さんの作品を初めて拝見した頃はカラフルで明るい色彩の印象があったのですが、今回の作品は独特の青が印象的です。初めて目にするかも知れない青。
ある風景だが切り取られたのではなく、そこに流れる時間がもっとゆるやかに画面に収められたような印象で、そこを通り過ぎていった人々の思いや感情が残り香のように潜んでいるようにも思えます。
そういった風合いがさらに全面に押し出されたような印象です。
無論、細やかなスクラッチは相変わらず。ただ、下地のそのままの質感が残された部分も多く見受けられ、そのコントラストが景色の深みをさらに醸し出しています。


BAS07石居麻耶03 BAS07石居麻耶02

BAS07石居麻耶01


このほか、縦長の大きな作品も。僕が拝見した石居さんの作品の中ではもっとも大きなサイズで、すっと作品の中の時間に心が入っていきます。

山田純嗣さんの作品は、写真と銅版とを組み合わせたユニークなプロセスを経て制作されています。
モノクロームの画面に繰り広げられる、自作のジオラマの写真に銅版による線が重なって生み出された世界は、ファンタジックでフィクショナルなムードが軽やかに漂います。


BAS07山田純嗣03


今回の展示で嬉しいのが、写真に撮影されているモチーフも展示されていること。
平面としての最終形の作品と、その写真のモデルとなった作品とのツーショットも。


BAS07山田純嗣02


床面には大きなジオラマが展示されていて、これがまた素晴らしいです。
ただ眺めているだけでいろんな想像が湧いてきます。人は存在していないのですが、そこで遊ぶイメージが浮かんでとにかく楽しいんです。


BAS07山田純嗣01

現在、ウィーンが活動の拠点の小沢さかえさんのタブロー。
まずその色合いに惹かれます。


BAS07小沢さかえ03


なにか別の要素が混じったようなそれぞれの色彩。
原色感から離れ、それぞれ表すのにひとつひとつ「○○のような緑」みたいに言葉を用意したくなるような独特な色によって、現実ともフィクションともとれるような曖昧さをたたえたシーンが繰り広げられています。


BAS07小沢さかえ02


さまざまなサイズの作品がおさめられて、不思議な魅力を放つ色彩に囲まれてその世界に引き込まれます。
素朴さも、奥深さも感じられる風合い。その「続き」やそれまでの「道のり」も思い浮かべていきたくなってきます。


BAS07小沢さかえ01


谷川夏樹さんの作品は、そののびやかな風合いが気持ちいい!
コンテナに描かれた丸い笑顔のユーモラスな感触。そして、それらがめいっぱいに広がる青空の下で伸びやかに、陽射しを受けてからりと佇む様子や、明るい時間のポジティブな雰囲気が画面から放たれて痛快です。


BAS07谷川夏樹02

BAS07谷川夏樹01

残念ながらコンテナが渋谷や表参道を走るところには出くわせなかったのですが、その様子は会場内のモニターで上映されているそうなので、そちらも改めてチェックしに行きたいです。


会場の外のウォールギャラリー、GALLERY+で展示されているのが小西俊也さんの映像作品。
壁に貼られたピンクの紙。その上にはこの紙を小西さん自らが貼っている様子の一部始終が撮影された映像がオーバーラップして上映されています。


BAS07小西俊也01

BAS07小西俊也02


そしてもうひとつ。
ちいさな回路が整然と配されたパネルが床置きに展示された作品。


BAS07小西俊也04


こちらの作品は、この作品を設置するところまで、この場所を行き交う人の様子がパネルの上に上映されています。


BAS07小西俊也03


この作品が面白いのは、パネルに影がかかると影になった回路のセンサーが反応し、緑の光が点灯すると同時に細かいノイズが響くところ。
ここに被さる映像でも、またここを人がリアルタイムで通過しても、その度に「カチャカチャカチャカチャカチャカチャ」と発音するんです。
これはかなり面白いし、気持ちいい!
このインタラクティブな要素は、ぜひ体感してほしいです。


BAS07小西俊也05

まるで7つの個展を観たかのような充実感。
もちろん、それぞれのアーティストの今後の展開も楽しみになってきます!

"BY A FOREST" 原良介
Gallery Stump Kamakura
神奈川県鎌倉市十二所848
8/11(土)~9/2(日)木~日オープン
13:00~20:00
原良介8/11DM.jpg

"BY A FOREST" RYOSUKE HARA
Gallery Stump Kamakura
848 Juniso,Kamakura-shi,Kanagawa-ken
8/11(Sat)-9/2(Sun)Thursday-Sunday
13:00-20:00
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以前から一度伺いたいと思っていたGallery Stump Kamakuraに、この夏ようやく行くことができました。

アーティストが企画運営するユニークな形体のスペースが今回フィーチャ-しているのが、原良介さん。
YUKA SASAHARA GALLERYでの個展を拝見していて、目の荒い麻布に描かれた花や人物のモチーフが、麻布の物質感とそこに灯るように描かれた明るめの色彩とのコントラストが印象に残っていたのですが、今回拝見した作品は、そのときとはちょっと違う風合いです。


鎌倉駅からバスに乗って十二所のバス停で降り、しばらく歩いて辿り着いたGallery Stump。
一軒家を改装したようなスペースは縁側から中の様子が見て取れるのですが、まず壁一面を追おう大画面の作品が目に飛び込んできます。


原良介01
(C)YUKA SASAHARA GALLERY


とにかく眺めていて気持ちがいいです。
ひとつの風景の中に3つの人影、おそらくひとりの女の子が動き回っている様子が描かれているような感じです。

絵の中の要素はひとつひとつがていねいに再現されるというより、描き手が過ごした時間と観た印象をそのまま画面に映し出されていったかのような感じです。
そして、この画面の大きさに対する気負いのようなものは一切感じられず、むしろこの広さに描くことを楽しんでいるかのような印象さえ受けます。

もともと絵を展示する建物ではない空間なので、天井もそれほど高くなく、大きな作品を見るための空間的な奥行きも充分ではないのですが、それでいて、床に座って見上げていたり、あるいは隣の部屋から、さらに縁側から外に出て庭先から、といった具合にさまざまな場所や角度から眺めても、これほどまでに大きな作品なのにまったく圧迫感を感じないもの、この作品に接しながら湧いてくる気持ちよさに繋がります。


原良介06 原良介05

他にも、シンプルな夜の風景を描いた作品や、モチーフがフィクショナルにかたちを変えていったかのような作品も。
いずれにしても、大作と同様に気負いのない、思い浮かんだ景色を画面に描いていくような自由さや、その過程で偶然に現れる筆の流れによる動線や色のコントラストなども面白い要素としてどんどん取り込まれていく痛快さも楽しく感じられます。


原良介02

原良介03
(C)YUKA SASAHARA GALLERY

この伸び伸びとした風合いは、原さんの作品からも、鎌倉の奥まった場所という地理的なことからも伝わってきます。
開け放たれた窓や扉から入ってきたバッタが床に佇んでいたりする様子も楽しく感じられた次第で。

事務所のスペースにはGallery Stumpのメンバーの作品が展示されていて、こちらも楽しめます。
さまざまな個性が集っているのが良く分かり、代表の栗原一成さんともたくさんお話しさせていただいて、今後もいろいろと楽しみになってきます。
都心からだとちょっと距離がありますが、ぜひとも足を運んでほしい場所です。

鎌倉にはほかにも数軒、常々気に留めているスペースがあって、僕自身、機会を見つけてマメに伺わなければ、と感じた次第です。


原良介04
(C)YUKA SASAHARA GALLERY

木藤純子/山口智子
ギャラリー小柳
東京都中央区銀座1-7-5-8F
8/7(火)~9/8(土)日月祝・8/12~8/20休
11:00~19:00
木藤純子・山口智子8/7DM.jpg

Junko KIDO/Tomoko YAMAGUCHI
@GALLERY KOYANAGI
1-7-5-8F Ginza,Chuo-ku,Tokyo
8/7(Tue)-9/8(Sat) closed on Sunday,Monday,national holiday and 8/12-8/20
11:00-19:00
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平面とインスタレーション。それぞれにユニークな個性を感じる、 二人の女性アーティストがフィーチャーされた展覧会です。

山口智子さんの平面の作品。
さらりと描かれた女の子たち。


Tomoko YAMAGUCHI 01


僕が最初に山口さんのクリエイションに触れたときの感触では、作品そのものの世界に入り込むより、不思議と作品から「味覚」のイメージが導かれました。
山口さんのクリエイションがもしお店に並としたら、きっとお菓子のコーナーだろうなぁ、と。。。
しかし、一見して甘いイメージが感じられる風合いも、じっくりと作品に囲まれながら時間を過ごしていると、例えばミントチョコレートのミントだけ、ストロベリーの甘い部分を差し引いたらどんな味だろう、など、むしろ甘さの中に潜む刺激や苦味といったイメージが湧いてきて、それは自分でもすごく意外に感じた次第で。

山口さんの作品は、張られたキャンバスの側面も彩色されていて、まるでリボンのように明るい色で塗られ、絵の中の世界がかわいらしくデコレートされています。そこからは、仕上げのワクワクした感じというか、大切なものを包む楽しさも伝わってきます。
浮かぶイメージは、カラフルな包み紙でくるまれているけど、その中身は実は濃厚なブランデーが入った一口チョコレート。絵のどこか物憂げに感じられる雰囲気とのギャップがアクセントとなって、この場面にイメージの奥行きを与えているように感じられます。


Tomoko YAMAGUCHI 03

Tomoko YAMAGUCHI 02

初日と土曜日と、2度足を運んでいますが、2回目に拝見したときは、より絵の中の女の子の表情に惹かれました。

その雰囲気、佇まいで、言葉にならない想いを語る女の子。

ひとつひとつの仕草に魅入られ、何よりその「目」に引き込まれて、作品の中の時間が心をよぎります。
アンニュイな空気を満たしながら、純粋で無垢にも、逆にこちらを探っているようにも感じられる表情。視線はうつろだったり、かと思えばこちらをじっと見据えているようでもあったり。
作品によってさまざまで、それも正面から、あるいは斜から眺めるとまた異なる表情を見せてくれて、いろんな想像が浮かんできます。


Tomoko YAMAGUCHI 04

展示空間の中にするりと織り込まれるインスタレーションも、全体のアクセントとなっています。
女の子らしい風合いがより演出されているような。


Tomoko YAMAGUCHI 09 Tomoko YAMAGUCHI 10

Tomoko YAMAGUCHI 08

足を運び、作品の世界に触れる度に、いろんな想像を思い浮かべさせてくれるような。
観る側の気分や感情にあわせることも、すかすこともありそうな。

Tomoko YAMAGUCHI 06

Tomoko YAMAGUCHI 05


木藤純子さんのインスタレーションは、奥に設置された暗室で繰り広げられています。

その中に入る手前、入口付近に既に散らばる桜の花弁。
黒い布が重なる入口をくぐって中へ入ると、真っ暗な中にいくつかの白い光が放たれ、吹く風に桜の花弁が足元をうごめきます。

いくつかの台の下に隠されるように設置されたファンは、時間をおいて稼動したり、止まったりを繰り返します。あちらが止まったかと思えば、こちらが回り始めたり...概ねそんな塩梅で。
白い光が射す場所は、偶然か意図的か分かりかねるのですが、吹き溜まりとなっていて桜の花弁の群れが園白い光を浴びて仄かなピンク色を静かに輝かせます。

暗がりに現れる色彩は、実に神々しく感じられます。
さらに、無機的であるはずのこの空間は、アルコールが綿に染み渡るようなスピードで、好奇心をすっと溶かしてくれます。
浮かぶ色彩だけでなく、光によってわずかに照らし出される台のシルエットにも静謐感が漂い、ごくわずかな影のコントラストが美しく感じられます。

しばらく過ごして印象的だったのが、すべてのファンが可動を停止したときに訪れる静寂。
ゆっくりと旋回する中央の光だけが時間の経過を感じさせ、緊張と安堵とが同時に沸き起こって危うく感涙しそうになったほど...。


Junko KIDO 01

まるで裏表の関係にあるような、山口さんと木藤さんのそれぞれの空間。
異なる時間が交差しているようにも感じられて、深く印象に残ります。
体で様々なことを見つけていける、できれば何度も体感したい展覧会です。


Tomoko YAMAGUCHI 07

**********

エレベーターの正面から続くスペースにも作品が展示されています。
こちらが佐藤允さんの作品。
画面に凝縮された線で塊のように描き上げられた魑魅魍魎の世界は、溢れる、というよりむしろ画面から絞り出されたかのような力強さで、「何が起こっているのだろう」とおもわず身を乗り出して凝視してしまうほどの見応え。
こちらも見逃せないクリエイションです。

《8/14》
石居麻耶展
YOKOI FINE ART
東京都港区元麻布3-1-35 c-MA3レジデンス101
8/14(火)~9/2(日)月祝休
12:00~20:00(アポイントメントオンリー)
石居麻耶8/14DM.jpg

石居麻耶さんのペーパーワークスが展示されています。
変わらぬ精緻な表現と、むしろ機能を追求されたような建造物がある景色が取り上げられている作品が多いのが印象的で、それらが色鉛筆のやさしい色で空の青や地面の影といっしょに描かれて、たいへんさわやかな表情で画面におさめられていて、清々しい雰囲気に溢れています。
石居さんは開催中のBunkamura Art Showでパネルの作品を出展されていて、同時期に違う場所で異なるテイストの作品が観られるのも嬉しいです。


《8/15》
キュレーターズチョイス07 対話する美術館
東京都写真美術館
東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
8/11(土)~10/8(月)月休(祝日の場合は開館、翌日休)
10:00~18:00(木金:~20:00)
キュレーターズチョイス07.jpg

東京都写真美術館のスタッフが、その膨大なコレクションの中から「これ!」というものを紹介しているユニークな展覧会です。
ホントにさまざまなアプローチで溢れていて、じっくりと楽しめます。
記録としての写真、芸術としての写真、その狭間を行き交うもの、資料としての価値が高いものなど、ていねいに区切られたコーナーごとに選者のコメントが添えられて展示されています。
まるでいくつものちいさな展覧会を一ケ所で楽しむような感覚。ぜひお薦めしたい展覧会です。


《8/17》
Bunkamura ART SHOW 07 -extremes meet-
Bunkamura Gallery
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
8/17(金)~8/26(日)
10:00~19:30
BAS07 DM.jpg

毎年恒例となっているBAS。
今年は7名のアーティストがピックアップされ、それぞれがのびのびとその個性を発揮しています。
今、面白いものを実感できる展覧会です。


《8/18》
線の迷宮<ラビリンス>―細密版画の魅力
目黒区美術館
東京都目黒区目黒2-4-36
7/7(土)~9/9(日)月休(祝日の場合は開館、翌日休)
10:00~18:00
線の迷宮7/7 パンフ.jpg 線の迷宮7/7 パンフ02.jpg

佐伯洋江さんの作品に惹かれます。
Taka Ishii Galleryでの個展を拝見して以来、鉛筆の精緻な描き込み、ところどころにあらわれる金色、銀色の色鉛筆が添えるアクセント、または赤や白も登場しながら、先鋭的でありながら、独特の日本的な感覚も感じられて、そのユニークさは忘れられず。
そして、その精緻さともうひとつ、贅沢な余白にも意識が吸い込まれていきます。
支持体として扱われているケント紙、これは「張って」あるのか「貼って」あるのか・・・その判別が僕には分からないのですが、いずれにしても、凪を打つようにフラットになった紙の美しさも格別です。
何も描かれていないまっさらな紙の表面にわずかに混入する異物も絶妙のアクセントに感じられます。
そして、良く見ると...画面の右下か左下、紙の裏に書かれたサインが見つかります。ということは、やっぱり「張って」あるのかな、と想像するのですが、いずれにしてもほぼモノクロームで描かれた緻密で独特な世界と広々とした画面に広がる余白のコントラストが奏でる美しさは格別です。

小川信治さんのあの再現力には毎度脱帽。
あるものを無くする、あるいはあるものをもうひとつ描き加える、というアイデアが、そのアイデアの面白さだけで終わっていないことの凄みといったら。
描き加える作品の中で、女の子がリピートされている作品はもう、背筋が凍るくらいのスリルが伝わってきた感じです。

鉛筆といういちばん馴染みのある素材で繰り出される世界のダイナミズムが堪能できる、時間を忘れて観ることに没頭してしまう展覧会です。
地味そうな企画なのですが、適度な込み具合で鑑賞者に溢れていて、その誰もが画面に近付いてそこに描かれている光景に釘付けになっていたのもたいへん印象深いです。


《8/19》
"BY A FOREST" 原良介
Gallery Stump Kamakura
神奈川県鎌倉市十二所848
8/11(土)~9/2(日)木~日オープン
13:00~20:00
原良介8/11DM.jpg

はじめてのGallery Stump Kamakura。ずいぶん前から伺いたいと思っていて、ようやく念願が叶いました。
原良介さんの作品は、YUKA SASAHARA GALLERYでの個展でも拝見していたのですが、そのときとはちょっと違うアプローチ。しかし、ここでしか味わえない雰囲気もあり、それがなにより嬉しく感じられた次第です。

紺泉 ある庭師-多分のひととき
原美術館1F、中庭、およびカフェ・ダール
東京都品川区北品川4-7-25
8/10(金)~8/31(金)月休
11:00~17:00(水:~20:00)
紺泉8/10DM.jpg

IZUMI KON : A CERTAIN GARDENER-A MOMNET OF PLENTITUDE
@Hara Museum of Contemporary of Art 1F,the inner garden,and Cafe d"art
4-7-25,KIta-Shinagawa,Shinagawa-ku,Tokyo
8/10(Fri)-8/31(Fri) closed on Monday
11:00-17:00(Wed:-20:00)
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夜に、観てみたかったんです。


原美術館での紺泉さんの展示。
少し前に始まって、少し後まで続いてる同美術館のコレクション展に併せて開催されているのですが、紺さんの展示は以前に代々木上原のGALLERY at lammfrommでの個展で拝見していて、ギフトのようにひとつひとつデコレートされた作品が醸し出すオシャレな雰囲気が印象に残っていて、その紺さんのインスタレーションが原美術館の中庭で繰り広げられるということで、楽しみで。


夏休みの水曜日。
午後の遅めの時間に原美術館に着いて、コレクションの展示をまずは堪能。

知っているアーティスト、未知のアーティスト、時代もスタイルもアプローチもさまざまなクリエイションが、そこかしこが古びていて、それらがこの空間の味わい深さを演出するそれぞれの部屋にていねいに配置され、展示されています。
さらっと出品リストを確認する限り、1950年代の作品がいちばん古くて、新しいものは加藤美佳さんや名和晃平さんの昨年制作の作品まで、たいへんバラエティに富んでいるのですが、こうやって異なる時代の現代美術の作品をひとつの建物の中で見ると、いかにこの50年が起伏に富んでいたかを強く実感します。

例えば、19世紀から20世紀へと移行する前後の欧米の50年のクリエイションが一堂に会したとして、そのなかにはざっと思い浮かべるだけでも印象派やらフォーヴィズムやら、いろんなムーブメントは起こってるのですが、これほどまでに50年の幅をダイナミックに感じることはあるのかな、と思うんです。

そして、ここで提示された50年間のクリエイションに接して、50年前、もうすこし最近でもかまわないのですが、そのときに「前衛」の最前線を、おそらく意識的に張っていたものほど、古めかしく感じられるのもなんだか不思議な感じです。
当時はむしろ「暴力的」だったかもしれない作品が、「新しさ・斬新さ」を過ぎた時間によって失い、むしろ穏やかに接してくれているように感じられます。


加藤美佳さんの色使い、李禹煥の時代を超えたキャッチ-さ、名和晃平さんのファンタジー、森村泰昌の自虐、笹口数の箔押しの魅力、常設ながら、須田悦弘さんの究極。
ゆったりと現代美術の魅力を堪能した次第です。

紺泉さんの作品は、受付の手前隣のショーケースと、弧を描く廊下の壁にまず展示されています。

ちょっと厚めのパネルにマウントされた絹を支持体に、軽やかな色彩をベースに描き出されたクラフィカルな構図とかわいらしいアクセント。
廊下の動線が、隣り合う作品同士の関係性を導いてくれるような配置も楽しくて、敢えて同じシリーズの作品をひとつの視界に収め、アニメーションのように絵が動くイメージを思い浮かべてみるのも面白いです。

廊下を進むと、描きかけの作品も。
ライブペインティングこそ行われるよ予定はないそうなのですが、会期中に紺さんが手を加えていかれるようで、会期の終わり頃にはどんな色彩に染まっているのかなぁ、と。

lammfrommでの展示でも発表されたお皿の絵柄の原画も展示されているのも嬉しいです。
画用紙に描かれていることが、お皿にプリントされた絵柄の印象からは考えもつかず意外な感じで。


中庭のインスタレーション。
緑の芝生とのコラボレーション。

ある「庭師」も、ずいぶん粋な演出をするものだなぁ、と。
庭に入って、実際にその中を歩いたり、しゃがんだりしながら。
つよく主張するのではなくて、肩肘張らない穏やかさが嬉しくて、このインスタレーションとそのなかに自分がいる事実とがすんなりと馴染みます。


Cafe d'artでお茶も。
紺さんの展示に併せて用意された2種類のスウィーツから、ブロッコリーのマフィンを選択。
マフィンがふたつ、紺さんのブロッコリーの絵がプリントされたお皿の上に乗って出てきます。
コクのあるチーズ味と、やさしい甘さが広がるははちみつ味。
空いたお皿をテーブルの上においたまま、窓からだんだんと暮れ行く中庭のインスタレーションを眺めていると、手前のお皿が外のインスタレーションに組み入れられているお皿と呼応して、ひとつの展示として繋がったような印象もあって、なんだかそういうイメージにも感じ入った次第で。


夜。
控えめにライトアップされた中庭は、深いグリーンが闇の中でぐんとその存在感を増し、陽が高い時間には見せなかった密度の濃い表情を見せてくれます。
どこか演劇的な雰囲気を感じるのもまた興味深いです。

なんだかんだでずいぶんと長い時間、コレクション展と紺さんの展示とを行き来しながら過ごしてしまいました。
いただいたスウィーツとコーヒーも含めて、後味の心地よさもあたたかい展覧会です。

メルティング・ポイント
東京オペラシティアートギャラリー
東京都新宿区西新宿3-20-2
7/21(土)~10/14(木)月休(祝日の場合は開館、翌火休)
11:00~19:00(金土:~20:00)

Melting Point
Tokyo Opera City Art Gallery
3-20-2 Nishi-Shinjuku, Shinjuku-ku, Tokyo
7/21(Sat)-10/14(Thu) closed on Monday (Tuesday if the Monday is a public holiday)
11:00-19:00(Friday and Saturday:-20:00)
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さて夏休み。
せっかくだし美術館へ行こうと思い立ってまず選んだのがオペラシティのこの展覧会。


カウンターで料金を払い、一般1000円と思い込んでたらお釣で100円返ってきてちょっと得した気分で受付へ。

最初の展示室の入口手前にある受け付けのスタッフの方に、チケットに日付けを入れてもらうわけですが、そこへと向かう直前に、最初の展示室の光景を一瞬視界が捉えます。


い?Σ( ̄口 ̄;)


素で驚く自分。
律儀に区切られた入口から向こうがまったくの別世界になってるわけで。

チケットにスタンプで印字してもらった後、あらためて満を持して入場。
最初の展示室がジム・ランビー。

MELTING POINT03.jpg

床一面に貼り巡らされたテープによってつくり出された強烈な動線。
伸びる直線は果てしなく、広い展示室の端から端までずーっと続いて、眺めているだけで酔いそうになるほど。

そこに置かれたいろんなオブジェ。構成がシュールで、妙に謎めいて響きます。

なかでも強烈なインパクトなのが、オウムらしき鳥が小山に乗ったかたちをしていて、それが原色で塗りたくられているオブジェ。その色彩が放つ強烈な感触はもちろん、それ以上に、ノズルが外側に向けられたスプレー缶の上に置かれていて、そのノズルの先から缶の中の塗料がすべて吹き出て、オブジェの下部で様々な色の飛沫が床を染め上げているのがさらにいろんなイメージを掻き立てます。

・・・というか、どうしても思い浮かべてしまうのが、この作品の展示時の難儀な様子。

「はいバランスとってー、降ろすよー、いち、にぃ、さん」
スプレー「プシュー」
「足が足が足がァァ!」
「逃げろぉォォォ!!!」

なんてことになってたりしなかったのかなぁ、と。。。

雨にも負けず風にも負けず、足元に容赦なく吹き付けるスプレーの塗料にも、同時に放たれる激烈を極めるシンナー臭にも負けず、過緊張状態で作品を実に不安定な台座に置く作業を想像するだけで、頭が下がります。
どれくらい下がるかというととりあえず具体的な数値として90°オーバーということにしておきます。根拠は特にないです。すみません。
根拠はなくとも、作業にあたったスタッフへのリスペクトに変化はないのです。

そしてそもそも、雨と風はハナから勝負してきていないわけですがまぁまぁまぁまぁ( ´∀`)

続いて、渋谷清道さんのインスタレーション。
鮮烈な色彩と動線に溢れたジム・ランビーの展示室から雰囲気が一転、真っ白な部屋がいくつも連なる、相当な作り込みにによる展示。

MELTING POINT02.jpg

昨年のギャラリーサイド2での展示で初めて渋谷さんの作品に接し、真っ白なキューブに折り重なった円の弧を複雑に再構成した装飾的な模様やそのかたちにカットされた紙が、ある種の神々しさを連想させてくれるのですが、こちらの展覧会では、壁に埋め込まれるようにして展示された作品群や、既成の空間の中にひとまわりちいさな空間を組み込んで、精密で繊細なリズムが奏でられたミニマムな世界へと体ごと導いてくれるような至高の世界が構築されています。

何より、視界が真っ白に包まれるのが心地よい...。
外の真夏の過剰な暑さに疲れた体をを視覚的に癒してくれます。

加えて、各所にさりげなく施された装飾模様がまた美しい...。


靴を脱いで鑑賞するインタラクティブなインスタレーション、特に天井から仄かに射す光が神々しいスペースでは、時間があれば再訪し、しばらく床に腰を降ろしてその雰囲気を堪能したい気分です。

靴をはいて、続く展示室へ。
トリを飾るのはエルネスト・ネト。

MELTING POINT01.jpg

雰囲気はまたまた一転。

ていうか...

ど、


ど、


どこだここはぁ!!!Σ( ̄口 ̄;)


と唸らずに入られないほど、奇妙な感じが充満。

ひとことでこの空間を言い表わすとしたら、さしずめ「菌糸」。
それもキノコ類の。

使い方が合ってるかどうかまったく自身がありませんが、ある種「キモカワいい」かと。
デカいですが。それも異様に。

薄いメッシュ越しに見える景色の変な感触といい、穴から顔を出して眺めて別なところから顔を出してる人の姿の妙な収まり具合の良さに見入ってしまったり。

およそ2層になって空間に張られているベージュのメッシュと、それを繋ぐいくつかの筒状のメッシュ、さらにはそこかしこに空いた穴、そしていくつかのポイントに固めて乗せられた石ころ。
あまりのフィクショナルな雰囲気に、つい先ほどまで渋谷さんのインスタレーションで神妙だった心持ちは一気に童心へと帰り、なんだかもう無邪気に穴から首を出してはくるくると見回し、また腰を屈めて違う穴から首を出し、ということの繰り返しで小一時間。

このメッシュの上に乗ってみたいという衝動も起こらなくもないのですが、仮に監視員の静止を振り切って乗ったとしてもその瞬間にきっと破けて床に叩き付けたあげく、一気に現実に引き戻されてしまうことを想像できないほど僕も子供ではないので、そのシチュエーションは想像だけで堪能。
・・・あぁ、まるでキノコの菌糸になった気分...て、どんな気分だ(汗)


最後、各アーティストの平面の作品が数点展示されているコーナーを過ぎて、本編終了。

3名のアーティストのインスタレーションは、事前のふれこみ通りにこの空間でしか味わうことのできないものとなっていて、それぞれのユニークさを充分に堪能できて満足。
さらに、それぞれのクリエイションが別の空間ではどういうふうになるのか想像するのもまた楽しいです。
行けるものなら丸亀市猪熊弦一郎現代美術館でのエルネスト・ネト展も行ってみたいけど...。

調べたらなんか凄そう

田中怜展
フタバ画廊
東京都中央区銀座1-5-6 福神ビルB1
7/30(月)~8/5(日)
11:00~19:00(最終日:~16:00)
田中怜7/30DM.jpg

Ryo Tanaka Exhibition
@Futaba Gallery
1-5-6-B1 Ginza,Chuo-ku,Tokyo
7/30(Mon)-8/5(Sun)
11:00-19:00(last day:-16:00)
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ミニマムな混沌。

2年ぶりにフタバ画廊で開催された田中怜さんの展覧会に行ってきました。

田中さんの作品を初めて拝見したときのインパクトは未だ忘れられず...。
ギリギリのところでそれが何か分からない焦燥感や、一体どうやって描いているんだろうという好奇心など、1点のモノクロームの作品を目にしてさまざまな興味が去来した次第で。


今回の個展は、新作と旧作とが展示されていました。
ただシンプルに、ペン先をインクに浸しながら淡々と水彩紙にドットを打ち付けていくという手法で、画面の中にちいさなブラックホールが出現し、緻密に凝縮されたモノクロームの世界にはまるで引力があるかのように、意識がどんどんとのめり込んでいきます。

これまではひとつの画面にひとつの塊が描かれた作品が多かった気がしているのですが、今回出展された新作は、いくつかの塊がひとつの画面に配されているものも。
この複数の塊の関係性も興味深く感じられます。より、空白の存在に臨場感が訪れているようにも思えてきます。


田中怜02 田中怜03

田中怜01

画面を凝視すると、細かいドットが異様に詰まっているのが分かります。
そして今回はそのドットの濃厚な黒の部分に加え、インクを滲ませて薄らと黒が広がる部分も。
ドットだけだと一見して銅版画かもと勘違いしてしまいそうな細やかな風合いが伝わってくるのですが、滲みによって水墨画的な感触も生み出されています。
さらに、揺らぎもつくり出され、ドットと滲みとによってユニークな奥行きがもたらされているような印象です。


田中怜05

田中怜04

旧作は、同じサイズのパネルが3×6の並びで整然と展示されていました。
ひとつの画面におよそひとつのモチーフ。


田中怜07 田中怜08


それぞれは、風景のようにも、または有機的な生命体のようにも感じられ、モチーフによって異なるスケールがイメージされます。


田中怜10 田中怜09


ミニマムな響きが一斉に迫り、独特の静謐感にも包まれるインスタレーション的な展開です。


田中怜06

田中さんともいろいろとお話を伺えたのですが、もう少し具体的なモチーフにも興味があるそう。
この質感で、もしもう少し何か具体的なイメージが伝わってくるような感じの作品ができあがったら、一体どんな風景が浮かぶんだろう、と興味津々です。
このユニークな手法での次の展開が楽しみです。


田中怜11

イロノベクトル 金丸悠児野地美樹子 二人展
四季彩舎
東京都中央区京橋2-11-9 西堀11番地ビル2F
7/30(月)~8/8(水)日休
11:00~18:30
イロノベクトル7/30DM.jpg

"IRONOPBEKUTORU" Yuji Kanamarru & Mikiko Noji Exhibition
@Shikisaisha
2-11-9-2F Kyobashi Chuo-ku Tokyo
7/30(Mon)-8/8Wed) closed on Sunday
11:00-18:30
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個人的にも良く知るふたりのアーティスト、金丸悠児さんと野地美樹子さんの二人展です。
それぞれに多くの展覧会で作品を発表されていますが、今回は金丸さんはおなじみの動物シリーズ、野地さんはイスシリーズで、ひとつの空間でコラボレートしていました。


まず、野地さん。
イスシリーズだけ、というのは実は久し振りかも、と思いながら、そのかわいらしい世界をひとつひとつ眺めていった次第です。
背もたれが付いた木彫のチェアだったり、あるいはピアノ用のイスだったり、はたまたブランコだったり。
ひとことに「イス」といってもいろいろあるなぁ、とそのアプローチの自由さと楽しさに感心しつつ、エの中に登場する猫の無邪気な仕草にもいろいろとイメージが湧いてきて、ひとつの画面にひとつのお話ができあがっていくような感じです。


イロノベクトル 野地美樹子04

イロノベクトル 野地美樹子05


院展にも出展されている、本格の香りが漂う日本画とはまた異なるアプローチで、ほっこりとかわいらしい色彩も印象的です。さらに、下地で作り込まれた立体的な画面の質感からも、ユニークな風合いを醸し出しています。


イロノベクトル 野地美樹子01 イロノベクトル 野地美樹子03

イロノベクトル 野地美樹子02

金丸悠児さんの動物シリーズ。
このところ、その独特の画面の風合いを用いてさらに描き出す世界を広げている金丸さん。
これまでの動物のシリーズからも変化が見えてきて、その動物がいる場所も具体的にイメージできるような作品が。


イロノベクトル 金丸悠児01


そして、今回新鮮だったのが、額装です。
白い背景のアクリルボックスに収められることで、軽やかさとさわやかさが演出され、ひと味違う雰囲気が感じられます。
ベージュ系の渋味が溢れる色彩の中に織り込まれる清涼感漂う色合いがより画面の中から浮かび上がっているような。


イロノベクトル 金丸悠児04 イロノベクトル 金丸悠児02

イロノベクトル 金丸悠児03

絵画の制作に対する真摯な姿勢と同時に、そこに織りまぜられるユーモアも嬉しいクリエイションです。
金丸さんの場合、そのアプローチが制作の中に収まらず、C-DEPOTやebcの活動にも広がっているのですが、そいいったことも含め、ダイナミックな展開や大きな可能性にも期待しています。

大西康明展
GALLERY b.TOKYO
東京都中央区京橋3-5-4 第1吉井ビルB1F
7/30(月)~8/4(土)
11:00~19:00(金:~21:00、最終日:~17:00)
大西康明7/30DM.jpg

ONISHI YASUAKI EXHIBITION
@GALLERY b.TOKYO
3-5-4-B1F Kyobashi Chuo-ku Tokyo
7/30(Mon)-8/4(Sat)
11:00-19:00(Fri:-21:00,last:-17:00)
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想定外のスピード。

GALLERY b.TOKYOで開催された、大西康明さんの個展です。
これまでも作品はINAXギャラリーでの展覧会や岡本太郎賞でも拝見しているのですが、やはり光を使ったサイトスペシフィックなインスタレーションをその度に繰り広げている大西さんだけあって、この空間でどんな展開をしてくるか期待も大きく。


まず、階段を降りた入口付近には、写真の小品が数点展示されていました。
暗がりに浮かび上がる赤や緑の光線が、何らかのフォルムを描き出している作品。


大西康明004


シンプルな色彩と、光線で導き出されているその空間のフォルムから、たいへんグラフィカルでフューチャリスティックな印象を覚え、CGの作品と思ったのですが、実はこれ、実際の光景、例えば部屋のなかに光源となる紐のようなものを配し、それを撮影したもの、とのこと。
素材こそハイテクな要素が含まれているものの、作品が放つ質感とは裏腹にかなりアナログな行程を経て作り上げられていることに面白さを感じ、同時に興味深さを覚えます。


また、モノクロームの中に滲む光の円の像が浮かぶ作品も。
こちらはまた、そのフューチャリスティックな味わいも残しつつ。どこかレイドバックしたような感触です。
サイバーなイメージとは違うかっこよさ、不器用で朴訥とした雰囲気に深く心を引き込まれるよう。


大西康明003

で、メインスペースの入口は当たり前のように黒いカーテンで仕切られていて、そこをくぐると。。。


これまで拝見してきた大西さんのインスタレーションは、むしろ時間をかけてゆっくりと光源の移動に意識をゆだねる感触でしたが、今回は四方に飛び散る赤い光がそ焦燥感さえも沸き上がってくるほどに、アグレッシブに展開していました。

光源は空間の中央に天井から吊られて配されています。
そこで赤い光が激しく点滅を繰り返します。


大西康明001


そこで発された光線は、光源を囲むようにして天井から吊り下げられた無数の紐に衝突し、一瞬、異常なフォルムで光の塊が破裂したかのような残像を残し、刹那的に消滅。
それが非常にミニマムなタイムラグで連続して起こるので、その闇の中では赤い光がオーロラのようなうねりを持ってダイナミックなフォルムでパルスを刻み続けていくんです。


大西康明002


無音なのがまた、想像を掻き立てる空間でもありました。
聴いたことのない未来的な音像のイメージが脳裏に響き渡るような印象。

僕が撮ってきた写真だとその雰囲気がほとんど伝わらなくて申し訳ないのですが・・・。


大西さんの次の展示は、わずかな間をおいてこの9月に京都のneutronで開催されるそう。
カフェスペースに併設されたガラス張りの空間では、今回と同じ作品は出展されないそうで、行けるものなら実際に足を運んでどんな空間が展開されるかこの眼と感性で確かめたいものなのですが...。

いずれにしても、これからの展開がすごく楽しみなクリエイションです!

土屋多加史展 - 王女の孤独に満ち満ちて-
Wada Fine Arts
東京都中央区築地3-2-5 第2平和田ビル1F
8/6(月)~8/24(金)日月祝休(初日は開廊)
11:00~19:00
土屋多加史8.6DM.jpg

Talafumi Tsuchiya exhibition - full of quietude -
@Wada Fine Arts
3-2-5-1F Tsukiji Chuo-ku Tokyo
8/6(Mon)-8/24(Fri) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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独特の生命感。


昨年に続いて開催されている、今年の春に銀座から築地に移転したWada Fine Artsでの土屋多加史さんの個展に行ってきました。

昨年の個展では、個人的に「Futuristic Duchamp」という印象を受けたのですが、今回はもっと深く、そして「生」と「死」の象徴が入り交じっているかのような不思議な雰囲気を感じます。

土屋さんの作品でまず特徴的に感じるのは、色彩感。
若干青味がかったような無彩色で、背景に広がる一面のグレーの硬質なグラデーションや、精密に描き込まれる薔薇を思わせる花のシャープなシルエットなどで作り上げられるクールな世界には、イメージの中の未来の雰囲気が充満しているように感じられます。
そこに部分的に挿入された赤と青の冷徹な鮮やかさもかなりのインパクトです。

また、この作品に関しては、生々しいアナログなアプローチの痕跡も画面に残されています。
白っぽい絵の具が巻き散らかされたかのように、画面のおよそ左半分を覆います。そのリアルな絵の具の立体感と、折り重ね、局地的に整然と詰め込まれて描かれた薔薇の花の奥行きとのコントラスト。どこまでも遠く暗い未来へと誘うような奥行きと、画面から溢れんばかりの絵の具の「もの」としての存在感が相まって、さらに深みのある光景を提示しているように感じられます。


土屋多加史WFA04 土屋多加史WFA03 土屋多加史WFA02

土屋多加史WFA01

入口付近に展示されている小品。
スプレーを吹き付けて生み出された背景のフラットな感触が、立体的に描かれる兎のシルエットのようなモチーフの立体感を平面の世界に引き戻すかのような印象です。このせめぎ合いもまた堪らない要素です。


土屋多加史WFA08


そしておそらくこの小品がエスキースとなった大作も。
なにより、画面に貼られたミクストメディアが放つ冒険的野心に圧倒されます。
ここまで行くか、と思わずに入られない、チャレンジングなアプローチ。
この大きな画面に描かれている場面から具体的な時間や状況が思い浮かばず、だからこそこの雰囲気に凄まじい勢いで好奇心が反応します。


土屋多加史WFA11 土屋多加史WFA12

土屋多加史WFA10

入口から入って正面の壁の2点ならんだ作品は、土屋さんの真骨頂。
黒い花弁を持つ花までもがていねいに描かれ、しかもそれぞれの画面が左右対称になっている。。。
これほどまでにたくさんの花が描かれているにもかかわらず、いわゆるいきいきとした「華やかさ」は感じられないんです。
しかし、黒い花弁の花や無彩色のもの、そのどこかダークな雰囲気が充満する中に仄かに灯るように現れる淡い色彩の花からは、別の次元での生命感を感じ、さらにシメントリーで表現されていることで、その異なる時空の雰囲気がさらに全面に押し出されて提示されているように感じます。
とにかく、この幾何学的な構成の鮮やかさは見事の一言につきます。


土屋多加史WFA07 土屋多加史WFA06


さらにこの作品の雰囲気を押し上げるユニークな要素として、支持体があるんです。
木目の細かいサテン生地を用いて、光が当たると光沢を帯びて無機的なグラデーションをかいま見せてくれます。


土屋多加史WFA09


不思議と全体を眺めていると、人の顔を思わせる部分がいくつも見つかってくるのも面白い作品です。


土屋多加史WFA05

異なる手法の小品も展示されています。
パステルで描かれたドローイング。ステンシルも積極的に取り入れて、違う画面に同じパターンが用いられているものもあるのですが、同時に登場しているモチーフや構図によって、向きが違って感じられるのも興味深いです。
また、テーマ性も面白い!
裏返した日本地図を使った作品など。風刺的な毒にモチーフのユニークさが放つ毒、さらにユーモアが混じりあっているような。。。


土屋多加史WFA15


土屋多加史WFA14

実は前回の個展でも実物を拝見することができなかった葉っぱを用いた作品が観られなかったのは残念ですが、小さなスペースにダイナミックに展開された作品群を拝見できたことで充分満足。
見れば見るほどに新たな発見が見つかりそうな、至高の展覧会です。

ふたつの会場を使って開催の平埜佐絵子さんの個展です。
それぞれ、ドローイングと油彩とに分けて展示され、それぞれの空間で作品との距離感がたいへんよい感じに保たれていたのが印象的です。


《8/5》
平埜佐絵子 Drawins
Gallery惺
東京都武蔵野市御殿山1-2-6 ビューキャニオン吉祥寺御殿山B1F
8/2(木)~8/26(日)火水休
11:00~19:00(最終日:~17:00)
平埜佐絵子8/2DM.jpg

Saeko Hirano Drawing
@Gallery SATORU
1-2-6-B1F Goten-yama Musashino-shi Tokyo
8/2(Thu)-8/26(Sun) closed on Tuesday and Wednesday
11:00-19:00(last:-17:00)
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吉祥寺のGallery惺では、ドローイングの小品が展示されています。
水彩絵の具、色鉛筆、鉛筆、クレヨンなどを使って、軽やかにさまざまな風景の中に現れる色彩や光を拾い上げていくような感触です。


平埜佐絵子@惺01


小さな画面に描かれているのは、何か植物のようなものであったり、あるいは風景だったり..。
さまざまな距離感であるはずなのに、それぞれがていねいに額に収められて1点1点ゆとりを持って転じされていることもあって、その異なる距離感による違和感は感じず、むしろ空間が穏やかな統一感に包まれているような感じです。
そして、絵の中に現れる細やかな表情、色のコントラストなど、ミニマムな部分に見受けられる面白さも印象に残ります。


平埜佐絵子@惺04 平埜佐絵子@惺03 平埜佐絵子@惺02

平埜佐絵子@惺05


事務所の手前にあるボックス上のスペースに、こちらの空間ではいちばん大きな作品が展示されています。
コーナーを跨いで展示されている作品は、パノラマのように風景が遠くまで広がっていて、するりとその世界に心が導かれます。
以前、個展で拝見したときの平埜さんの印象は具象的なモチーフを取り上げて抽象の世界を作り上げるような感じでしたが、今回のギャラリー惺での展示では、いろんなモチーフがきちんと相応の距離感で描かれているのも興味深かったです。


平埜佐絵子@惺09 平埜佐絵子@惺07 平埜佐絵子@惺08

平埜佐絵子@惺06


浅草橋は最終日に観に行くことができました。

《8/11》
平埜佐絵子個展 Notice
マキイマサルファインアーツ
東京都台東区浅草橋1-7-7
7/30(月)~8/11(土)日休
11:00~19:00(土:~17:00)
平埜佐絵子7/30DM.jpg

Saeko Hirano Notice
MAKII MASARU FINE ARTS
1-7-7Asakusabashi Taito-ku Tokyo
7/30(Mon)-8/11(Sat) closed on Sunday
11:00-19:00(Sat:-17:00)
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こちらでは油彩の作品がダイナミックに展示されていました。
1階のフロアには、1枚完結の作品がずらりと。


平埜佐絵子@MM01


キャンバスに油彩となると、ドローイングとは質感から醸し出る雰囲気ががらりと変わります。
絵の具の存在感が、色やモチーフの力強さを演出しているかのよう。
情動的にも思えるくらいにダイナミックに画面の中で色彩がうねります。
同時に、部分的に織り込まれた油彩以外の顔料が、絶妙なアクセントとなって、絵の中の混沌としたような世界に彩りを添えているように感じられます。

以前拝見したときは、お湯の中で広がるカモミールなどをモチーフに、相当に拡大して大画面の中に描き、そのスケールの違いから生み出される抽象的な感覚を覚えているのですが、今回は主に風景を連想させる作品で、絵の世界に中にはいくぶんか自然に入り込めるような気がしました。


平埜佐絵子@MM05 平埜佐絵子@MM02

平埜佐絵子@MM04


2階には、複数のパネルによる大作が2点展示されていました。
とにかく圧巻です。
広々とした風景を連想させる絵の中の世界。実際には、画面としては縦に描かれた風景を横に展示したことで、何か別の「流れ」のようなものを感じさせてくれます。


平埜佐絵子@MM09 平埜佐絵子@MM10 平埜佐絵子@MM08

平埜佐絵子@MM07

以前はドローイングと油彩とをひとつの空間に詰め込んだ展示を拝見したのですが、そのときは空間に圧迫感があって、特にドローイングの小品ひとつひとつの面白さに気付けなかったのですが、今回は分けて展示されたのが実に効を奏しています。
別々の空間で、同一の作家の違うアプローチの作品を観ることで、そのアーティストへの印象も奥深くなるような感触です。


平埜佐絵子@MM06

恵木亮太展 Never Mind The Birds and Dogs
トーキョーワンダーサイト本郷
東京都文京区本郷2-4-16
8/4(土)~8/26(日)月休
11:00~19:00
恵木亮太8/4DM.jpg

Ryota Egi "Never Mind The Birds and Dogs"
@TOKYO WONDER SITE HONGO
2-4-16 Hongo Bunkyo-ku Tokyo
8/4(Sat)-8/26(Sun) closed on Monday
11:00-19:00
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装飾風の曲線で描きあげられる、現代感覚溢れるナチュラルさ。


トーキョーワンダーサイト本郷で開催中の連続企画「TWS-EMEGRING」の本年度第3弾でフィーチャーされている恵木亮太さんの個展です。

ワンダーシードに出展されていた、円形の黒の紙に白の色鉛筆らしきもので描かれていた動物の頭部の絵が印象に残っていて、今回の個展もモノクロームの作品で構成されていると思い込んでいたのですが、実際に拝見すると、予想とは裏腹に実にカラフルで、軽やかな色彩に溢れ、気持ちのいい空間が作られています。


まず目に飛び込んでくるのは、正面の壁に展示されている大作。
大きな画面の中央にダイナミックに描かれた円。それを構図の中心に据え、無数の線の流れが動物の姿を描き出し、さらに水彩絵の具などで彩色が施され、不思議な世界の場面を思わせる光景が作り上げられています。


恵木亮太02 恵木亮太03

恵木亮太01

先に書いた通り、当初のイメージがモノクロームだったこともあるせいか、色彩のフレッシュさのインパクトがより痛快に感じられます。
実はかなりシュールなシチュエーションが描かれているかも知れないのですが、それがこの、どこかほっとするような穏やかさとさっぱりとした気分を高揚する感触の色彩で描かれていることもあって、より自由で気ままな雰囲気を発散させているように思えます。


恵木亮太12

恵木亮太11

また、描かれる線や色とともに、支持体となる紙の質感も、思いのほか目に留まります。
紙の素材的な質感がそのまま画面に残ることで、現実とフィクションとの距離感のユニークさと、その間にから感じる光景のイメージの面白さが現れているような感じです。
描かれるモチーフが、動物であったり、人間の一部であったりすることも、画面と観る側との感性との距離を面白いものへと押し上げているような印象も。


恵木亮太09 恵木亮太10

恵木亮太08

円形の画面に描かれた作品も多数展示されています。
こちらからは、より装飾的な雰囲気が強く感じられます。


恵木亮太05 恵木亮太07

恵木亮太06

そもそも鉛筆とおう画材はいちばん馴染みがあって、そういう素材をメインに描かれているのも嬉しいです。
実に細かくていねいに描かれる線の細やかさによって発揮される装飾的な鮮やかさや美しさとともに、描き出される動物などのモチーフが醸し出すナチュラルな雰囲気とが相まって、伸び伸びとした自由さに痛快さを覚えて止まない実にユニークな世界が繰り広げられています。


恵木亮太04

ジョエル・ビトン 映像インスタレーション展 ABSTRACT
Gallery ef
東京都台東区雷門2-19-18
8/3(金)~9/2(日)火休
12:00~21:00
Joelle Bitton8/3DM.jpg

Joelle Bitton "ABSTRACT"
@Gallery ef
2-19-18 Kaminari-mon Taito-ku Tokyo
8/3(Fri)-9/2(Sun)closed on Tuesday
12:00-21:00
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蔵の中に現れた「庭」。

Gallery efでのジョエル・ビトンさんの個展です。

蔵を改装したギャラリー、低くなった入り口をくぐると、照明が落とされて暗がりとなった空間の床に白いカーペットが敷かれ、そこに天井から映像が映し出されています。


Joelle Bitton 08


現代音楽風のBGMが流れ、静けさが広がる空間で、微妙にシルエットを揺らしながら映し出されている映像をギャラリーの隅っこに座って眺めていたのですが、途中でスタッフの方に、「カーペットの上を歩いてみてください」と言われて、カーペットのスクリーンに踏み出してみると...

Joelle Bitton 03 Joelle Bitton 01

Joelle Bitton 05

自分の影が足元のスクリーン映し出され、そのなかにそれまで見えてこなかったさまざまな景色が現れます。
刹那的に「え?」と驚いたのですが、自然の風景の上に何やら描かれている絵もいっしょに見え始めて、一体どうなっているんだろう、とカーペットの上をうろうろと動き回ります。

Joelle Bitton 06 Joelle Bitton 02

Joelle Bitton 04

自分の存在が足元の営巣に影響を与えているのがなんとも不思議な気分です。
ひとりだと、床に映し出されているはずの光景のほんの一部しか見出せないのがもどかしくもあり、しかしそのおかげで好奇心を煽られたり。
いろんな季節を思わせるさまざまな光景がゆったりと移り変わり、右に行って見つけた光景に興味を持ってじゃあ左側には、と探しに動いて戻る頃にはまた違う季節が始まっていたり...。

このインスタレーションに用いられているテクノロジーは相当に複雑なもののような気がするのですが、それを感じさせない実に自然な印象。
この上でダンスパフォーマンスが行われたときのアグレッシブに動き回るシルエットが浮かび上がらせる残像や、たくさんの人が揃って足元に映し出されている風景の全貌を表したときの様子など、その上で繰り広げられる人々の振る舞いによって、空間にまったく違う影響を引き起こしうるのも面白いです。

なんだか違う時間に連れていってもらえたような、恍惚感が残るインタラクイティブなインスタレーションです。


Joelle Bitton 07

もうひとつ、ぜひ紹介しておきたいことが。
今回の展覧会に合わせて、期間限定のスウィ-ツのメニューが用意されています。

Joelle Bitton 09


」(おうち)の生チョコレートふたつぶ、300円。
これがびっくりするくらい美味しくて。
きな粉がまぶされて、包みをほどいて現れたその姿はまるでチョコレートには見えないのですが、口に含むと焼酎漬けされたチョコレートの香りと、プルーンといちじく、それぞれの食感が広がります。
ぜひ注文して、展示といっしょに楽しんでほしいです。


Joelle Bitton 10

左目のいちじく 右目の太陽 鶴見幸代
magical. ARTROOM
東京都港区六本木6-8-14
8/3(金)~9/8(土)日月祝・8/12~8/20休
11:00~19:00
鶴見幸代8/3DM.jpg

Sachiyo Tsurumi "fig on the left eye sun on the right eye"
@magical. ARTROOM
6-8-14 Roppongi Minato-Ku Tokyo
8/3(Fri)-9/8(Sat) closed on Sunday,Monday,national holiday and 8/12-8/20
11:00-19:00
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ひとつの層に封じ込められた3つの風景。
そこから湧き出る不思議な時間。

magical. ARTROOMでの鶴見幸代さんの個展です。

大判の写真作品を中心に展示され、季節感がよく伝わる色彩に溢れた空間が作り上げられています。
明るい陽射しを受けたような清々しさが広がっているような感触です。


鶴見幸代01


ひとつひとつの作品のなかの光景が作り上げられるプロセスが実に面白いです。
いちばん奥に現実の風景。
ひとつ前に鮮やかな色彩の色面。
最前面には細かく描かれた線画。
質感が異なる3つの絵がレイヤー状にひとつの画面として重ねられ、さらに1枚の紙にプリントされています。


鶴見幸代04 鶴見幸代03

鶴見幸代02


この画面に重なる絵を分けて見てみるときっとそれぞれ違う印象を受けるような気がします。
しかし、この鶴見さんの作品の中では、風景写真は「記憶」を、色面は「光」を、そして線画は「想い」を表しているように感じられます。
さらに、現実と非現実との狭間に立てたとして、そこから時間を俯瞰したときに目にする光景を思わせます。


鶴見幸代05 鶴見幸代07

鶴見幸代06


静止画ですが、ユニークな時間のイメージが伝わってくる作品群です。
ごく稀にひらめく四次元のイメージを、ひとつのかたちとして提示してくれているような印象が実に痛快なクリエイションのように感じられて、このイメージにもっと包まれたい、沈み込むように体感してみたいような気がします。


鶴見幸代08

NEXT DOOR vol.2
T&G ARTS
東京都港区六本木5-9-20
7/28(土)~8/11(土)日月祝休
11:00~19:00(Bar Time:20:00~29:00)
NEXT DOOR vol.2DM.jpg

NEXT DOOR vol.2
T&G ARTS
5-9-20 Roppongi Minato-ku Tokyo
7/28(Sat)-8/11(Sat)closed on Sunday,Monday and national Holiday
11:00-19:00(Bar Time:20:00-29:00)
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瑞々しい感性が溢れた、今のアートのポジティブな可能性を堪能できる展覧会。


春のvol.1に続いてT&G ARTS開催されている「NEXT DOOR」のvol.2をチェックしてきました。


ND2山城えりか01


今回は1階が女性のアーティスト、2階が男性のアーティストと分けられています。
ただ、男女でわける必然性よりも、アーティストのスタイルでそれぞれのフロアを統一させたような印象です。

ウィンドウの渡辺元佳さんのインスタレーションと、入口の山城えりかさんの作品とに出迎えられて、1階へ。
山本絵里さんの厚めのパネルにマウントされたキャンバスに描かれた小品が目に留まります。


ND2山本絵里01 ND2山本絵里02


中をリボンや花でデコレートされたハイヒールや黄色いリボンで繋がったシューズ、アクセサリーや花。
ていねいな描写で可憐に描かれたモチーフからは、女の子らしいかわいらしさと、同時にどこか大人びて洗練された風合いも滲み出ています。
広い壁にゆったりと配置され、軽やかでさわやかな雰囲気も広がります。


ND2山本絵里03

1階にフィーチャ-もうひとつのクリエイションは、これまでも折りに触れて拝見している山城えりかさんのタブロー。
ピンクと淡いブラウンの中間のような色彩感が印象的な、ファンタジックな世界が繰り広げられています。


ND2山城えりか06 ND2山城えりか05

ND2山城えりか04


今回の展示を拝見して、あらためて「うまくなったなぁ...」と感じ入った次第。
作品の中に登場する女の子の表情、身体の線も美しく、加えて作品の世界を飾り立てる蝶、花、あるいはさまざまなアイテムなどもていねいに描き上げられていています。
緩やかに、幸せな雰囲気が伝わってくるような気がします。オリジナルな世界に磨きがかけられているような印象で、今後の活躍や展開が楽しみです。


ND2山城えりか03

ND2山城えりか02

バーカウンターのスペースには、前回に続いて渡辺元佳さんのサルが遊び回っています。
なんかもう、ただただ楽しいインスタレーション。
紙で作られたサルたちの妙にリアルな表情が、さらにユーモラスな雰囲気を醸し出しています。


ND2渡辺元佳01


カウンター越しに展示された作品。
山高帽をかぶったコックの悦に入った表情がかっこいい!
外のウィンドウにはさらに大きな展開になっています。


ND2渡辺元佳04


出来合いの紙で作られた作品。
何かと思えば、バナナ。
T&G ARTSのチケット風のお洒落なフライヤーも形なしです(笑)。このアプローチも楽しい!


ND2渡辺元佳03


さらに...

空中散歩かよ!Σ( ̄口 ̄;)


ND2渡辺元佳02


いやはや、ここまでやりたい放題に遊び回られると、もう言葉もないわけで(笑)。最高です。


階段を登ると、まず武居功一郎さんのグラフィックアートがずらりと並ぶ一角が。
これがまた、かっこいいんです。


ND2武居功一郎06 ND2武居功一郎05

ND2武居功一郎04


どういう行程で描かれたのか分からないのですが、遠めで眺めると溢れる有機的な色面が筆描きされたタブローのように思えるのですが、至近で見てみると、細かいスクエアのドットで構成されたデジタルな感触が伝わってきます。
このギャップが堪らない世界です。構築されるグラフィカルな風景から、フューチャリスティックでフィクショナルな雰囲気が発散されています。


ND2武居功一郎01 ND2武居功一郎02

ND2武居功一郎03

今回の展示に強烈なアクセントをもたらしているのは、小寺崇文さんのインスタレーション。
まだ乾き切っていないような質感の赤の絵の具で、棚の上に雑然と置き散らかされたいろんなものが染まっています。
かなりブラッディでスプラッタな雰囲気の中に、

ちょっと待てΣ( ̄口 ̄;)

と思わずツッコミを入れたくなるものも織り込まれていて、毒のあるユーモアに満ちています。


ND2小寺崇文02 ND2小寺崇文03

ND2小寺崇文01


最奥のスペースには、Jang Chiさんの抽象画が展示されています。
大きな画面の中を蠢く濃く深い色彩と、その上に走る線が印象的です。


ND2Jang Chi03 ND2Jang Chi02

ND2Jang Chi01


面白いのが、この作品を制作したJang Chiさんが建築を学ばれていたことで。
それを知って眺めると、この作品も実は相当に計算高く構築されたものかも知れないという思いや、建築へのクリエイションの反動からこの混沌とした世界が導きだされているのかも、などといった想像が沸き起こってきます。
機会があれば、立体の作品などもチェックしていみたいです。


ND2Jang Chi05

ND2Jang Chi04

このシリーズは、vol.3からは公募され続々と集まっている若い作家のクリエイションが紹介されていくとのこと。
また、1階のスペースがカフェギャラリーに改装される予定もあるそうで、今後のT&G ARTSの展開と、このシリーズにどんな作品やアーティストがパッケージされていくか、ホントに楽しみです!

from/to #04 傍島崇 三井美幸 横井七菜
WAKO WORKS OF ART
東京都新宿区西新宿3-18-2-101
7/28(土)~8/30(木)日月祝・8/11~8/20休
11:00~19:00
from/to#47/28DM.jpg

from/to #04 SOBAJIMA Takashi MITSUI Miyuki YOKOI Nana
WAKO WORKS OF ART
3-18-2-101 Nishi-Shinjuku,Shinjuku-ku,Tokyo
7/28(Sat)-8/30(Thu) closed on Sunday,Monday,national holiday and 8/11-8/20
11:00-19:00
Google Tranlate(to English)


WAKO WORKS OF ARTが紹介する若手作家のグループショー。
3つの個性がお互いにその面白さを引き立てあった、見どころが実に多い展覧会です。

ギャラリーへと足を踏み入れた瞬間に、傍島崇さんの作品における圧巻の色面がぐんと眼前に迫ってきます。


from/to傍島崇04


今年のVOCA展でもそのシンプルな構図がひときわ目を惹いた傍島崇さんの大画面の作品。
ひとつの作品に登場する色の数は実に少なく、しかもひとつの色面が画面に大きく広がります。そして、至近で観たときの油絵の具の質感がまた力強い...。
たっぷりと使われた絵の具の量がもたらす迫力。ひとつの色が画面に塗布される過程の、おそらく刷毛の流れの痕跡が生々しく画面に残り、そのパターンが織り成すうねりに意識が呑み込まれます。
さらに、それぞれの色面のエッジ、ふたつの色が隣り合う部分における絵の具の盛り上がりの素材感、立体感も強烈です。


from/to傍島崇02 from/to傍島崇03

from/to傍島崇01


このようなシンプルな構成とパワフルなテクスチャーで描き上げられるのは、ダイナミックな動きを感じさせてくれる人のシルエットです。
大きな画面の中で、その四肢の動きに合わせて周辺の空気も大きく動くような印象さえ浮かぶ、迫力の世界。
原色を大胆に取り込んだ鮮やかな色彩もどこまでも痛快で、男性的でポジティブな雰囲気に満ちた作品群です。


from/to傍島崇05

傍島さんのパワフルさから一転して、横井七菜さんの作品からは女性らしいかわいらしさが溢れています。
細やかに描き込まれたさまざまなモチーフ、そしてそこに佇む女の子のやわらかでどこか憂いを帯びたような表情、自然体の仕草。
軽やかな淡い色彩で、どこか大人びて感じられるメルヘンチックな世界が静かに繰り広げられています。


from/to横井七菜03 from/to横井七菜04 from/to横井七菜02

from/to横井七菜01


アニメーションも上映されています。
淡々と綴られるシュールでとりとめのない物語。
どこか牧歌的な雰囲気も感じるその物語を眺めていると、ふわふわと気分が薄らぎ、ゆるゆると不思議な世界へと誘われていくかのような印象です。


from/to横井七菜06


このアニメーションに用いられた原画も展示されています。
動かない絵を眺めていても、やっぱりなんだかふわふわとした気分に。


from/to横井七菜08

from/to横井七菜07


タブローと映像から感じる不思議な物語に浸って、その後味もさわやかで心地よいです。
絵に言葉が添えられたりなど、もっといろんなかたちで触れてみたいクリエイションです。


from/to横井七菜05

三井美幸さんのインスタレーションは別室で展開されています。
これがまた圧巻です。入口がカーテンで仕切られ、その奥へと進むと有機的なフォルムの巨大なオブジェが暗がりの中で壁に映し出される映像の光を受けて空間に浮かび上がっています。
これほどまでにフィクショナルな雰囲気が作り上げられたインスタレーションには、なかなかお目にかかれない気がします。


from/to三井美幸03 from/to三井美幸04 from/to三井美幸05 from/to三井美幸02

映像は、壁いっぱいの大きさに映し出されています。
どこかの工場の重機が遠隔操作で動かされている様子と、おそらくこの空間の巨大なオブジェのシルエットを暗がりの中で追った映像とが交互に現れるのですが、前者の有無を言わせぬ無機的な空気と後者の過剰な妖しさをたたえた静謐感とコントラストも鮮烈です。


from/to三井美幸06 from/to三井美幸07


さらに、コンパクトな空間には、入口側の壁の低い位置に設置された小さなラジカセからピアノが奏でる現代音楽がチープな音質で流れ、同時に映像に現れる重機の無機的なノイズが覆い被さり、異様な音世界も構築されていて、それがこの空間の非現実性をさらにダイナミックに演出します。
さまざまな要素が混然と詰め込まれた、抜群のインパクトで迫るインスタレーションです。


from/to三井美幸01


この3者3様のクリエイションによって、ひとつの展覧会でダイナミックなイマジネーションの起伏をもたらしてくれます。
この夏にぜひチェックしてほしい展覧会です!

《7/31》
NEXT DOOR vol.2
T&G ARTS
東京都港区六本木5-9-20
7/28(土)~8/11(土)日月祝休
11:00~19:00(Bar Time:20:00~29:00)
NEXT DOOR vol.2DM.jpg

前回に続き、今回も若手作家のフレッシュな感性が詰め込まれた見応えたっぷりの展覧会となっています。
1階の女性アーティストのコーナーのかわいらしさと、2階の男性アーティストの豪快さとのギャップも興味深いです。
そして、渡辺元佳さんのサルたちは相変わらずユーモラス。

《8/2》
京都造形芸術大学30周年記念 混沌から躍り出る星たち 2007
スパイラルガーデン
東京都港区南青山5-6-23
7/27(金)~8/11(土)
11:00~20:00
混沌2007パンフ.jpg

毎年恒例となっている京都造形の展覧会、今年はOB・OGアーティストの大挙参加も嬉しい!
印象的なのが、 ART AWARD TOKYOでも目を惹いた小牟田悠介さんの可変オブジェ。なるほど、マジックテープで覆われたパーツを組み合わせるのか、といたく納得。
青木航太さんの平面の大作も面白いです。さまざまな素材を織りまぜながら、なんともコミカルな雰囲気が充満したある物語の場面のような世界が展開しています。

《8/3》
Hans Benda les araignees sous ton faiteuil ハンス・ベンダ 蜘蛛は君の肘掛け椅子の下にいる
void+
東京都港区南青山3-16-14-1F
8/4(土)~8/25(土)日祝休
月-金:17:00~20:00 土:12:00~18:00
Hans Benda8/4DM.jpg

ちいさなスペースに小品が数点。
これだけできちんと空間を作り上げていることに脱帽。
void+でタブローを拝見するのは久し振りなのですが、今回も見事に空間と作品とが調和して、また新しい世界を構築しています。

左目のいちじく 右目の太陽 鶴見幸代
magical. ARTROOM
東京都港区六本木6-8-14
8/3(金)~9/8(土)日月祝・8/12~8/20休
11:00~19:00
鶴見幸代8/3DM.jpg

面白い!
3つの層がひとつの面に封じ込められて、現実と非現実との狭間にある景色を、曖昧にもシャープにも表しているかのような、不思議な世界。

works on paper
ヴァイスフェルト
東京都港区六本木6-8-14 コンプレックスビル北館3F
8/3(金)~8/31(金)日月祝・8/12~8/20休
11:00~19:00

レントゲンフリークには堪らない展示です。
なにせ、おなじみのアーティストのドローイングを中心とした小品がところ狭しと壁を覆い尽くしている...。
目移りしてしょうがない、時間を忘れて楽しめる展覧会です。そして、ある意味「目の毒」(笑)。
嬉しいのは、まず内海聖史さんの作品で、例のミニマムなドットがいつものキャンバスではなく紙の上で展開されていて、それだけでずいぶんと印象が変わる面白さと、大きな作品の全体のスケッチが観られたこと。さらに、長塚秀人さんのちいさな写真や佐藤好彦さんのスケッチ、もちろんカンノサカンさんや山本修路さんのおなじみの作品も。
もうひとつ書き留めておきたいのは、次のレントゲンの企画「貌」に出展される3名のアーティストの作品も一足先にチェックできることで。丸橋伴晃さんのラブリーな写真はこれまでにも拝見していますが、この空間で眺めたことで、やはり次の展覧会への期待があらためて高まります。佐藤秀貴さんの髪の流れを描いたものの、澤柳英行さんのエスキースもたいへん興味深いです。

works on paper03 works on paper02

works on paper01

《8/4》
恵木亮太展 Never Mind The Birds and Dogs
トーキョーワンダーサイト本郷
東京都文京区本郷2-4-16
8/4(土)~8/26(日)月休
11:00~19:00
恵木亮太8/4DM.jpg

ワンダーシードでも印象に残っていた恵木亮太さんの個展。
モノクロームのイメージを持っていたのですが、意外にもカラフルな世界が広がっています。
そして、溢れる線によっていきいきと描かれた動物や風景も印象に残ります。

後藤靖香 ダイゲンキデス
トーキョーワンダーサイト本郷
東京都文京区本郷2-4-16
8/4(土)~8/26(日)月休
11:00~19:00
後藤靖香8/4DM.jpg

漫画の一コマを大きな画面で描いたような作品で、ものすごく力強い展示が繰り広げられています。
モチーフは戦争、それぞれの作品にはちゃんとストーリーがあるそう。
キャンバスと紙、支持体の違いも興味深い。。。
時間をかけてじっくり味わいたい展覧会です。

後藤靖香03 後藤靖香02

後藤靖香01

ジョエル・ビトン 映像インスタレーション展 ABSTRACT
Gallery ef
東京都台東区雷門2-19-18
8/3(金)~9/2(日)火休
12:00~21:00
Joelle Bitton8/3DM.jpg

いったいどんな展示になるんだろう、と興味津々だったのですが...インタラクティブな映像の展示です。
あんなに自然に、テクノロジーが持ち込まれていることにあらためて驚きを感じます。


イロノベクトル 金丸悠児・野地美樹子 二人展
四季彩舎
東京都中央区京橋2-11-9 西堀11番地ビル2F
7/30(月)~8/8(水)日休
11:00~18:30
イロノベクトル7/30DM.jpg

おなじみの二人のアーティスト。
金丸さんの動物も、やはり今回もひと味違う表情のがいたり、野地さんのイスシリーズも相変わらずのほっころちそた和みの雰囲気。

大西康明展
GALLERY b.TOKYO
東京都中央区京橋3-5-4 第1吉井ビルB1F
7/30(月)~8/4(土)
11:00~19:00(金:~21:00、最終日:~17:00)
大西康明7/30DM.jpg

そう来たか----(゜∀゜)---!!!
いやはや、意外な展開にびっくりしました。

田中怜展
フタバ画廊
東京都中央区銀座1-5-6 福神ビルB1
7/30(月)~8/5(日)
11:00~19:00(最終日:~16:00)
田中怜7/30DM.jpg

紙にインクで細かいドットを落としながら、実に奥行きや深みのある陰影を作り上げる田中怜さん。
今回は滲みのテクスチャーも持ち込み、さらにミニマムな世界に広がりをもたらしていました。

三叉路 永長さくら 柴田鑑三 田村崇
SOL
東京都中央区銀座6-10-10 第二蒲田ビルB1F
7/30(月)~8/4(土)
11:00~19:00(金:~20:00、最終日:~17:00)
三叉路7/30DM.jpg

ユニークなアーティストがフィーチャーされた3人展。

東京画廊での展示も相当のインパクトだった柴田鑑三さん、今回もスチレンボードを用いているのですが、
平面構成ではなく、まるで凝縮されたビル群、あるいは森を上から俯瞰したかのような作品が。
大きさこそ東京画廊での作品よりずいぶんと小さいものの、その迫力はやはり相当なもので。そして、また違う立体的なアプローチに、意識がどんどんと呑み込まれていくような錯覚を覚えます。

柴田鑑三@SOL03 柴田鑑三@SOL02

柴田鑑三@SOL01


昨年度の芸大の修了展示でも印象に残っていた、田村崇さん。
どこかポップな風合いをたたえる作品が多い印象でしたが、今回は猫とネズミが舌を絡ませています。
アブないムードを充満させながら、それでも失われないポップな感触がまた興味深いです。
もっといろいろと観てみたい...!

田村崇@SOL02

田村崇@SOL01


永長さくらさんの作品は、壁に立て掛けられた金属のパネル。
よく見ると、その表面はいくつかのパーツに分かれています。
素材をカットすることで現れる線で描かれ、素材の質感も引き出された抽象世界、こちらももっといろんな作品に触れてみたいです。

永長さくら@SOL01

永長さくら@SOL02

井上越道 個展
@銀座スルガ台画廊
東京都中央区銀座6-5-8 トップビル2F
7/30(月)~8/4(土)
11:00~19:00(土:~17:30)
井上越道7/30DM.jpg

井上さんといえば自転車なのです。
で、今回の個展では、ていねいな描き込みの風景の作品と合わせて、キュビズムチックな遊び心が満載の作品も多く出展されていて、とにかく楽しい!
そして、自転車は登場しないものの、屏風の作品も見応え充分でした。


井上越道02 井上越道01

井上越道03

「7人の若手作家」展
@GALLERY TAGBOAT
東京都港区南青山2-11-16 AIG青山ビル7F
8/3(金)18:00~20:00
8/4(土)13:00~18:00
TAGBOAT 8/3パンフ.jpg

参加されている佐原和人さんにお知らせいただいて、行ってきました。
あらためて思い返すとたった二日の展示がもったいないと思えるほどに、充実のラインナップ。

まずチェックしたかったのが、ずいぶん前から存じ上げていながらなかなかまとめて作品を拝見する機会がなかった大槻透さん。金色を大胆に取り込み、工芸的な細やかな表現も織りまぜながら、実に繊細に、かつ絢爛に女性が描かれています。作品の中の線のひとつひとつのしなやかさも深く印象に残り、派手な色調なのにむしろ軽やかな後味も清々しいクリエイションです。

ワンダーシードなどで印象に残っていた渡辺おさむさんの作品もかなりユニーク。
生クリームが絞り出されて画面にさまざまな模様を立体的に作り上げ、なんともキュートな世界を生み出しています。ユーモアとフレッシュさに溢れていてとにかく楽しい!

他、水野亮さんのアプローチのユニークさや内田文武さんのシンプルな構成による軽やかさ、そしてもちろん佐原さんの独特の陰影でもたらされる深くい光景など、もっと深く味わいたい個性をチェックできて嬉しい限り。

《8/5》
平埜佐絵子 Drawins
Gallery惺
東京都武蔵野市御殿山1-2-6 ビューキャニオン吉祥寺御殿山B1F
8/2(木)~8/26(日)火水休
11:00~19:00(最終日:~17:00)
平埜佐絵子8/2DM.jpg

マキイマサルファインアーツと同時開催の平埜佐絵子さんの個展。こちらはドローイングの小品が展示されています。
一度移転する前のOギャラリーで拝見していたのですが、そのときは壁にぎっしりと作品が展示されていて空間的に少々重たく感じられたのが、今回はひとつひとつが額装され、ゆとりを持って展示されているので、一点一点に描かれているものをしっかりと味わえる構成になっているのが嬉しいです。
マキイマサルの展示には油彩の大作があるそうなので、近日チェックしたいと思います。

僕が関った記事が掲載されている雑誌がリリースされています。

美術画報 No.57の特集「写真の10人 リアルの方法」に、山口理一さんのインタビューが掲載されています。

月刊ギャラリー8月号の「Exhibition Spot 8月の展覧会案内」を担当いたしました。

穴薪new-products&比巴
MOGRA GALLERY+CAFE BAR
東京都渋谷区神宮前6-9-6
7/29(日)~8/12(土)
12:00~24:00

ANAMACHY new-products & VIWA
MOGRA GALLERY+CAFE BAR
Jingumae Shibuya-ku Tokyo-to
7/29(Sun)-8/12(Sat)
12:00-24:00
Google Translate(To English)

うねる色彩の重なり。


トーキョーワンダーサイト渋谷で開催された今年のワンダーシードで特に印象に残ったアーティスト、比巴さんの作品が展示されている展覧会に行ってきました。

ワンダーシードは小品展だったので小さな作品ではありましたが、それでも、アングラ感が充満した色彩の重なりの鮮烈さはかなりのインパクトで。

場所は神宮前のMOGRA GALLERY+CAFE BAR
裏原宿にある隠れ家のようなカフェギャラリーで、この一軒家の屋根裏にあたるスペースがギャラリーとなっています。
かたちも実にユニーク、大きな段々の床と、天井が高いたいへん変わった空間です。


まず、1階のカフェバーのスペース。
比巴さんの作品ではありませんが、こちらにも、粋なポートレートが数点飾られています。


anamachy guest 01

anamachy guest 02

で、屋根裏へ。
細い階段を登り詰めて辿り着くと、まずその正面で縦長の作品が出迎えてくれます。
雲を思わせる黒の...と一言で表現するには独特な風合いの濃い色彩です...のシルエットに、さまざまな色彩が溢れて絢爛の様相を呈しています。
とにかくかっこいいです。いかにも現代的な雰囲気と、ジャパネスクを強烈に匂わせる要素とが混然と迫ってきます。


VIWA 01

壁にはちょっと変わった構成の作品も。
小さな草の葉のかたちを思わせる色面が凝縮され、丸を描き上げている作品。
レイドバックしたような色調もユニークです。


VIWA 02

そして、いちばんの見どころは、この空間の最下部に設置された大作。
この部分の壁を覆い尽くすほどの大きさのキャンバスに、ダイナミックな筆致でアグレッシブに比巴さんの世界が繰り広げられています。
ひとつの色彩が隣り合う色彩とぶつかり、調和し、さまざまな響きをもたらしています。
加えて、その可憐に荒れ狂うような色のせめぎ合いをさりげなく、例の独特の黒と白とが覆い被さります。
広大な画面が物理的にも圧倒し、混沌とした世界に意識を引きずる込んでいく痛快さが堪らない作品です。


VIWA 04 VIWA 05

VIWA 03


なかなか分かりづらい場所にあるのですが、カフェもありますし、ぜひ探して見つけてほしい空間です。
足を運ばれる際は、しっかりと場所の確認を(MOGRAのサイトに道順も掲載されています)。

浮かび上がるかたち 佐藤忠
東京日本橋高島屋6階 美術画廊X
東京都中央区日本橋2-4-1
7/18(水)~8/7(火)
10:00~20:00(最終日:~16:00)
佐藤忠7/18DM0001.jpg

SATO Chu Exhibition
@Takashimaya Nihonbashi Tokyo 6F Art Gallery X
2-4-1 Nihonbashi Chuo-Ku Tokyo-to
7/18(Wed)-8/7(Tue)
10:00-20:00((Last day:-16:00)
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素材の重厚感、錆の味わい、フォルムの美しさ。

東京日本橋高島屋6階の美術画廊Xで開催されている佐藤忠さんの個展です。

洗練された幾何学的なフォルムの鉄のオブジェが、主に壁掛けで設置され、この空間の石畳風に仕上げられた床の質感と相まって、落ち着いた統一感がもたらされています。


佐藤忠13 佐藤忠12

佐藤忠11

不思議なかたちの作品が並びます。
しかし、平らな部分の平らさ、そして直線部分のケレン味のなさが、これらの不思議なかたちから感じるはずの違和感を忘れさせ、現在とは違う、それでいて過去とも未来ともつかない時代へとイメージを誘ってくれます。


佐藤忠04

佐藤忠05


作品の各箇所に施された突起や波形などもユニークな効果をもたらしています。
これらがあることで、さらにかたちの面白さや立体感が増し、イメージもより膨らみます。


佐藤忠07

佐藤忠06

そして、表面を覆う錆の風合いも独特です。
作品が醸し出す世界との距離感が縮められているような印象で、自然な味わいをもたらしています。


佐藤忠09 佐藤忠10

佐藤忠02

数点展示されているタブローは、佐藤さんのイマジネーションの一端を覗いているような、興味深いものです。
白色と、鉛筆とが塗り重ねられ、おそらくスクラッチなども施されることで、適度に荒れた画面の風合いに立体作品の錆の感触と通ずるものがあり、さらに平面作品の中に登場する波形などもそのまま他の作品と呼応しあっているように感じられます。
モノクロームの色彩によって得られる無機的な表情と、細かい線や画面の質感による有機的な感触とのコントラストも印象的です。


佐藤忠17 佐藤忠18

佐藤忠14

奥の部屋には小品が展示されています。
ふんだんに詰め込まれた遊び心も感じられて楽しい、骨組みだけでさまざまなかたちが創出された作品群。


佐藤忠16

日本橋タカシマヤの美術画廊Xの思い切りの良い企画には今回も唸らされた次第です。
そして、このスペースで見事に、自身の作品世界を展開された佐藤さんにも感嘆。
重厚な雰囲気に包まれることで、心にもたらされる落ち着きが心地よい展覧会です。


佐藤忠01

Gino Rubert "True Blues"
ミヅマ・アクション
東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル5F
7/18(水)~8/11(土)日月祝休
11:00~19:00
Gino Rubert 7/18DM.jpg

Gino Rubert "True Blues"
@MIZUMA ACTION
5F Fujiya bldg.,1-3-9,Kamimeguro,Meguro-ku,Tokyo
7/18(Wed)-8/11(Sat)Closed on Sunday,Monday and national holidays
11:00-19:00
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洗練されたシュールさ。

ミヅマ・アクションでのGino Rubertさんの個展です。
独特の色彩がエキゾチックな雰囲気を感じさせてくれます。


Gino Rubert03

まず、構図の美しさが目を惹きます。
画面の中で座る女性の姿の収まりの良さは、作品に描き出されている女性が手に持つシャベルや手前に転がる人の顔が付いた塊など、本来違和感を感じるべき要素すらも自然に受け入れてしまうほどに見事に安定しています。
さらに、落ち着いた色彩、描き込みのていねいさ、独特のマチエルがエキゾチックな雰囲気を醸し出しています。不思議と仄かに感じられる和の風合いも印象的です。


Gino Rubert13 Gino Rubert11 Gino Rubert12

Gino Rubert10


もうひとつ特徴的なのが、一見しただけでは気付かないほどに精巧に取り込まれた写真などのコラージュ部分です。
ただ画面の表面に貼るのではなく、絵の具の盛り上がりを考慮してそこに埋め込まれるように配される写真やシールなどの素材。これらが作品のアクセントとして見事に機能しています。また、人物の顔を写真で表すことで、画面の中の世界の現実と非現実との境界をはっきりさせているようにも、逆に曖昧にしてしまっているようにも思えて、その独特のバランスがたいへん興味深いです。


Gino Rubert02

Gino Rubert01

男女が登場する作品は、そのシチュエーションが極めてシュールな内容になっています。
ベッドに横にされ、口を縫われてしまった男性の妙な表情と、凛とした女性の表情とがこの場面のシュールさに別方向の時間の経過をもたらしているような作品。


Gino Rubert07

Gino Rubert06


こちらは目が縫われています。
縫う紐は実際のものが用いられていますが、コラージュされている違和感はまったく感じないのも面白いです。


Gino Rubert05

Gino Rubert04

ギャラリーの一角にはドローイングの作品がところ狭しと展示されています。


Gino Rubert09


1点だけ、ちいさなモニターでアニメーション作品も上映されています。
画面の中に登場する男女。男が女を描き、女が男を描くシーンが延々とループされています。

Gino Rubert14

作品に織り込まれた新感覚のコラージュ技術、連綿と続く絵画の流れへのリスペクトも感じ取れる色彩感、そして場面から想像されるエキゾチックかつシュールな世界。
ひとつひとつの作品にたいへん見どころが多く、さまざまな発見とイマジネーションをもたらしてくれる展覧会です。

Gino Rubert08

平野真美「散歩道」
Gallery Jin
東京都台東区谷中2-5-22
7/27(金)~8/5(日)月火休
12:00~19:00(最終日:~17:00)
平野真美7/27DM.jpg

Mami HIRANO "Walking Road"
@Gallery Jin
2-5-22 Yanaka Taito-ku Tokyo Japan
7/27(Fri.)-8/5(Sun.)Closed on Monday and Tuesday
12:00-19:00(Last day:-17:00)
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ふたつの手法で繰り広げられる牧歌的な世界。

Gallery Jinでの平野真美さんの個展に行ってきました。
DMには銅版画が掲載されていたので版画の作品のみかな、と思っていたところ、油彩の作品も出展されていて、嬉しい驚き。
モノクロームの作品とカラフルな作品とがコンパクトな空間にいっしょに展示されることで、ひとつひとつの作品にイメージの奥行きがもたらされているような感じです。

平野さんの作品には、ハリネズミやモグラのような、ちょっと変わった動物が登場します。
こういった動物たちのイメージが、のんびりゆったりとした雰囲気を盛り上げてくれているような感じです。


銅版画の作品。
平野さんの銅版画作品には、強い線はあまり出て来ていない印象です。もちろん銅版画なので細かい線は画面の中に多く存在しているはずなのですが、むしろやわらかい雰囲気のほうが心に残ります。
まるでマンガの1コマのように、そこに登場する動物たちの素朴でのんびりとした仕草がなんともユーモラスで、何かぼそりと言葉を発しているような感触が、心を和ませてくれます。


平野真美13 平野真美12

平野真美10 平野真美06

平野真美11

カウンターのスペースには少し前の時期に制作された作品が展示されています。
こちらは一見水墨画に思えるほどに、滲んだモノクロームの質感が儚さを演出しているように感じられます。


平野真美08 平野真美07

平野真美09

油彩の作品は、パステル調の色彩で、銅版画の作品をさらにファンタジックに広げられたような雰囲気です。


平野真美01

綿飴のようなふわふわとした輪郭で描かれる動物たちの姿。
そこに流れている時間も緩やかに思えてきて、眠りの世界、無意識に見る夢のような感じがするんです。
もしかしたら浮かぶ雲のようにおおきな世界かも知れない...いろんなイメージが広がっていって、気持ちがいいんです。


平野真美04 平野真美02

平野真美03


平野さんの油彩の作品は、画面から膨らんでくるような風合いも印象的です。
画面にここに空間的な奥行き感がもたらされたらもっとぐんと世界が広がるなぁ、と。


平野真美05

この油彩の作品があることで、銅版画のモノクロームの作品にも色彩のイメージがもたらされて、そこから得るイマジネーションもさらに豊かになります。
ふたつの手法を行き来しながら、オリジナリティある世界をどんどん広げていってほしいです。