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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報
2007年9月アーカイブ

新進作家4人展

ギャラリーゴトウ

東京都中央区銀座1-7-5 中央通りビル7F

9.28(金)~10.3(水)

11:30~18:30(日:12:00~17:00、最終日:~16:30)

新進作家4人展9/28DM.jpg

4 New Artists Exhibtion

@Gallery Goto

1-7-5-7F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

9.28(Fri)-10.3(Wed)

11:30-18:30(Sunday:12:00-17:00,1last day;-16:30)

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この秋に移転したギャラリーゴトウでのグループ展です。

参加されているのは、上條花梨さん、全民玉さん、渡辺明鈴香さん、寺内誠さんの4名。

続けて拝見しているアーティストが多いこともあり、楽しみにしていたのですが、以前の空間よりも明るい印象の新しいギャラリーゴトウで、クリアな個性を輝かせています。

MEGUMI OGITA GALLERYでの個展を終えたばかりの上條花梨さん。会期が一部重なっていたこともあり、出展作品数は若干少なめで、今年初めの頃のGALLERY b。TOKYOでの個展に出展された作品もあるのですが、こちらで初めてお目見えする作品は今まで通りの若干暗めな色調のなかにスパッタリングによる色彩の粒子が画面に広がり、どこかレイドバックした風合いを醸し出しつつ、人物が登場することで描かれる光景により臨場感が加味されているように思えます。

MEGUMI OGITA GALLERYで拝見した作品の妖しい、危うい雰囲気が抑えられ、実に優しい感触が伝わり、和めます。

上條花梨@goto02

上條花梨@goto01

渡辺明鈴香さんは、大きなキャンバスの作品を1点据え、キュートなドローイングの作品がそれらを囲むといったセレクションとなっています。

渡辺明鈴香@goto03 渡辺明鈴香@goto02

くっきりとした色合いで描かれるドローイング作品。

絵の中の色のひとつひとつがぱっと弾けるように発色しているようで、ちいさくてライトな感触もたたえつつ、そこから発せられるポジティブさにも惹かれます。

そして、大作は今回も、どこか曖昧な感触が印象的です。

淡い色彩が織り成す穏やかさ。子供の頃に思い描いたやさしさのイメージが蘇ってくるような。

大きな画面からさらに広がっていくやわらかな世界がなんとも気持ちいいんです。

渡辺明鈴香@goto01

今回初めて拝見する全民玉さん。

くっきりとした色と、曖昧なフォルム。その相反するような要素が自然に噛み合い、不思議な光景を構成しています。

全民玉@goto02

全民玉@goto03

水面の揺れが生み出す曲線の妖しさ、花弁の妖艶な感触。これらがくっきりとした色と自然なグラデーションとで表現され、実際の景色のイメージとフィクショナルな感じとが混然となって、また異なる想像を沸き起こさせてくれます。

全民玉@goto04 全民玉@goto01

全民玉@goto05

最後に、寺内誠さん。

4月のアートフェア東京でも好反響を得た画風にさらに磨きがかかったような印象をまず受けます。

以前はもっと濃く深い色調によって繰り広げられる透明感溢れる世界の深遠さが全面に押し出されていた印象があるのですが、アートフェア東京を経て今回出展された作品は、用いられる色彩がより明るく、輝きを伴って鮮やかさが画面から放たれているような感じで、瞬間的に視界が開けるような感触が堪らなく痛快だったりします。

小品が多く出品されていますが、小さい画面のなかに色調的に統一感がもたらされ、ひとつひとつが実にキャッチーに世界を展開しているような印象です。

寺内誠@goto01 寺内誠@goto04

寺内誠@goto02

何より嬉しいのは、「封筒の中のギャラリー」でも取り上げさせていただいた大作の実物が出展されていること!

この透明感を演出するために「封筒」ではフィルムを用いたのですが、やはりこの画面の広さで衒う治山らしい透明感と色のグラデーションのなめらかな広がりを感じると、その深みに引き込まれていきます。

咲く花や舞う蝶が、奥行きと光と平面でていねいに再現した作品に時間のイメージを加えているような印象も受けます。

寺内誠@goto03

高いアベレージでゆったりと、それぞれのアーティストが個性を発揮していて楽しめ、観終わった後の後味も清々しい展覧会です。

田代裕基 個展「HARMONY」

ギャラリーエス

東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエスビル

9/20(木)~10/7(日)月休

11:00~19:00

ギャラリーエス パンフ.jpg

Yuki Tashiro Exhibition "HARMONY"

Gallery ES

5-46-13,jingumae,Shibuya-ku,Tokyo

9/20(Thu)-10/7(Sun) closed on Monday

11:00-19:00

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圧倒的な存在感。

空間的にだけではなく、時間的にも、歴史的にも。

ギャラリーエスでの田代裕基さんの個展です。

ふたつのスペースに分けていた壁が完全に取り払われ、広々としたひとつの空間となったギャラリー。木彫大作が1点その中央にどんと鎮座し、その周りの壁をドローイングが覆っています。

田代さんのドローイングの作品を拝見するのは今回が初めて。

両脇の壁には1枚1枚に動物の絵が描かれた作品が2段に並んで展示されています。

田代裕基005

田代裕基001

木彫のアーティストである田代さんの多数のドローイングをご覧になられる方の感想や意見はたいへん幅が広いそうなのですが、僕の場合は「なるほど!」と、自然に平面の作品のなかで表現、展開されている世界を受け入れられました。

さまざまな色がせめぎあうように動物たちのシルエットの中に凝縮され、しかしそこには顔や体を構成するあらゆるパーツがきちんと描き込まれて、それが何の動物であるかは一目瞭然です。まずそのていねいさ、律儀さに感嘆した次第です。

そして、この細い色面の重なりは、田代さんの木彫作品における表面の荒い仕上がりの質感と通じているような気がするんです。

木彫作品のゴツゴツと荒れた表面が放つダイナミズム。木彫では木の質感や立体的な陰影から独特の味わいを感じていたのですが、このドローイングを拝見して、その荒れた表面が放つ細かいリズムに色彩のイメージが重なり、より奥深く、また、リアルよりもさらに立体的な感触が立ち上がるような気もしてきます。

田代裕基004 田代裕基003 田代裕基009

田代裕基002

正面の壁に並ぶ作品は、動物の絵ではなくどこかのシチュエーションらしきものが描かれています。

動物だけではない田代さんのクリエイティビティがここから放たれているようで、今後平面の世界での展開にも大きな期待が湧いてきます。

田代裕基007

田代裕基006

さて、木彫の作品。

こちらは東京造形大学での修了展示、そして続いて開催された五美大展でも発表されたものにさらに手が加えられたもの。

有無を言わさぬ圧倒的な作品です。

その大きさ、仕上がりによってあらゆる想像力も無に帰してしまうような。。。

巨大な雄鶏の勇姿。

顔はとさかの部分や目、嘴等がていねいに彫り上げられています。

観る角度によって受ける印象がまったく違うのもたいへん興味深いです。

上からだと、どこか憂いを帯びたような、深みが滲み出ているように感じられます。

田代裕基013

正面より若干下から見上げると、その勇ましさに感動。

田代裕基014

他、表面の彩色や尾の羽のダイナミックさなど、見どころも豊富で、そのひとつひとつに言葉を失うほど。

田代裕基011 田代裕基012

昨年開催された二人展やART@AGNESでベッドの上で澄ましていた作品たちの、どこかコミカルな風合いも田代さんの木彫の魅力なのですが、今回はそのコミカルさが敢えて排除され、とにかく大きさで観るものを圧倒しようという強い意思や意気込みが伝わってきます。

その意気込みをここまで現実に成し遂げてしてしまっている田代さんにあらためて敬服する次第です。

この作品、「炎天華」は2007年のエポックだと確信しています。

ぜひたくさんの方にその存在感を肌で感じてほしいです。

田代裕基010

渡辺豪 境面 'face'

ARATANIURANO

東京都中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3A

9/15(土)~10/20(土)日月祝休

11:00~19:00

渡辺豪9/15DM.jpg

WATANABE Go 'face'

ARATANIURANO

2-2-5-3A,Shintomi,Chuo-ku,Tokyo

9/15(Sat)-10/20(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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鮮烈に放たれるフューチャリスティックな雰囲気。

ARATANIURANOでの渡辺豪さんの個展です。

渡辺さんの展示はあart space kimura ASK?で拝見していて、そのときは大きなスクリーンに投影される映像作品の異様なまでに未来的な雰囲気に圧倒されたのが記憶に残っています。

で、今回の展覧会。

ARATANIURANOのギャラリースペースが、壁だけでなく床も天井も白くなり、そこに2点、大きな静止画の作品が展示されています。

硬質で、精緻。

計算され尽くしたかのような均整は過剰とも言えるほどで、それが力強い未来的なイメージを放つと共に、妖しさ、ミスティックな風合いも醸し出しています。

渡辺豪05 渡辺豪04 渡辺豪03

渡辺豪02

ミーティングルームで上映されている映像作品。

こちらの斬新さにも圧倒されます。

グラフィカルに描かれた女性の立ち姿。

それが、いくつかのパターンで美しく崩れます。その過程のシャープさ、(少々言葉が強い気もするのですが)鮮やかな残酷さが展開し、静かに過ぎ行く時間に引き込まれます。

渡辺豪10 渡辺豪09

渡辺豪08

事務所のモニターに流れている約12分のループの映像作品も見応えがあります。

例によって生命感が排除されたような白い女性の頭部を、ゆっくりと至近で撮っていくような構成の映像。

解像度が尋常でないらしく、普通のDVDプレイヤーだと再生できないのだそう。そういう情報を知らなくとも、恐ろしいほどになめらかな女性の肌や口許、目許等の各パーツの生々しさは圧巻で、時間を忘れて見入ってしまった次第です。

今回の展示では小さなモニターでの上映なのですが、機会があれば大スクリーンで見てみたいです。

それぞれの作品から放たれる未来的なイメージの凄みがとにかく尋常でない、観終わった後にも強く印象に、そして記憶に残る展覧会です。

渡辺豪01

安田悠

GALLERY b.TOKYO

東京都中央区京橋3-5-4 第1吉井ビルB1

9/24(月)~9/29(土)

11:00~19:00(金:~21:00、最終日:~17:00)

安田悠9/24DM.jpg

Yu Yasuda Exhibition

@GALLERY b.TOKYO

3-5-4-B1,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo

9/24(Mon)-9/29(Sat)

11:00-19:00(Fri:-21:00,last day:-17:00)

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揺れる...

揺らぐ...

安田悠さんの個展です。

場所は、GALLERY b.TOKYO。こういったクリエイションがホントによく合う空間です。

安田悠001

昨年度の武蔵野美術大学の学内修了展示で拝見して、油彩にしか表現できないタッチで描かれた蜃気楼のようにゆらゆらと揺れる深みのある光景が印象に残り、それ以降もART AWARD TOKYOやMOGURAでのグループ展で拝見しいる安田さんの世界。

安田さんが描く場面は、色調といい、モチーフのフォルムといい、いろんな要素が「曖昧」です。

手を伸ばすと霞を掴むようにすっと素通りしてしまいそうな気さえする、緩やかな曖昧さ。絵の中に登場する細身の人々さえそのシルエットは朧げで、もしかしたら幻想を見ているのかも知れない、というイメージさえ浮かんできます。

あらゆるものが「灯る」ような質感で表現され、幽玄な雰囲気が広がっています...といってもおどろおどろしいわけではなく、「天使?」と思うとそうかもしれない、という印象はあるのですが...いずれにしても、この曖昧さは穏やかで、独特の温かみを感じるんです。。

安田悠003 安田悠004 安田悠005

安田悠002

明るめの色調が登場しても、陽が高い時間の印象が浮かんでこないものなんだか不思議です。

かといって、いちばん遠い背景に黒が広がっていると、「夜」のイメージというより、夜の闇とは別の感触があるのもまた不思議です。

曖昧さは、現実の世界とぎりぎりの境界線を挟んで隣り合っている「虚」の世界を演出しているのかも知れない...そういうことが思い浮んできたり...。

安田悠009

大作が中心の展示ですが、コンパクトな画面に描かれた作品もたいへん魅力的です。

用いられる色のすべてがすぱっと「何の色」と言い表せない、独特な色調で描かれたさまざまな風景から、いろんなイメージが沸き起こります。

安田悠008

安田悠007

今回の展覧会でまた印象的なのが、空間全体がひとつのトーンで統一されているように感じられること。

深い緑やセピア調の明るめのベージュなどの色合いに囲まれて、その個性的な世界に包まれるような印象です。

来年のVOCA展にも出展の予定とのことで、さらに大きな画面で繰り広げられる安田さんの世界を観られるのが今から楽しみです。

安田悠006

集治千晶展 ―宙―

シロタ画廊

東京都中央区銀座7-10-8

9/18(火)~9/29(土)日休

11:00~19:00(最終日:~17:30)

集治千晶9/18DM.jpg

Chiharu Shuji Exhibition

@Gallery Shirota

7-10-8,Ginza.Chuo-ku,Tokyo

9/18(Tue)-9/29(Sat) closed on Sunday

11:00-19:00(last day:-17:30)

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銅版画と手描き。

ふたつの手法によってそれぞれ描き出される魅惑の広がり。

昨年に続いて開催されている、集治千晶さんの個展です。

シロタ画廊のふたつのスペースそれぞれで、銅版画と手描きの作品とが展示されています。

メインスペースでは、銅版画。

揺れるカラフルな色彩と、そのなかを舞い、閃く線とが作り上げるダイナミズム。

壮大な宇宙の広がり、たおやかな時間の流れのイメージが広がります。

横長の作品が2点並ぶ様はまさに圧巻です。

集治さんのお話ではそれぞれ独立した作品であるものの、並ぶふたつの作品の若干の間隔に連続性をもたらすように展示しているそう。

単独でも充分な広がりがあるのを、さらに壮大なパノラマのように提示することで、その広く深い世界により深遠さや広大さが演出されているように感じられます。

集治千晶02 集治千晶03 集治千晶04

集治千晶01

ひとつひとつの作品も魅力的です。

昨年と比較すると、前回の個展では「色」が幽玄に咲き誇る花の連想させ、その風合いが力強く全面に押し出されるような艶やかな印象を持ったのですが、今回はより「線」の印象が強くなったように感じられます。

それがまた違う質感の動的なイメージを沸き起こさせてくれます。

集治千晶06 集治千晶07 集治千晶05

集治千晶08

入口すぐの通路部分などに展示された小品も独特のかわいらしさを放っています。

集治千晶11

集治千晶12

もうひとつのスペースでは、手描きの作品が展示されています。

銅版画の色の「強さ」とは対照的な、水彩絵の具の滲みや斑が奏でる「仄かさ」や「緩やかさ」が印象的です。

集治千晶13

沸き立つような色の広がりのなかにあらわれる、線で描かれる女性の手の艶かしさ。

あるいは、花弁のシルエットを思わせる曲線のなめらかさ。

さまざまな要素が緩やかに色香を放ち、儚げな雰囲気を演出します。

さらに、「黒」の使用も印象的です。

すべてを封じ込める強い黒ではなく、ひとつの色として存在し、ふわりとやわらかく画面のなかで穏やかに広がっていて、こんな優しい印象を持つ「黒」に出会えることはそうそうないような気がしています。

集治千晶16 集治千晶15

集治千晶17

やわらかいイメージの広がりに、ずっと浸っていたい気分です。

集治千晶14

このふたつの手法の作品をひとつの空間で堪能できるのが嬉しい展覧会です。

集治さんの銅版画に対して、女性的で、凛としてかつ堂々としたイメージがあったので、手描きの作品を今回たっぷりと堪能して「こういうイメージもお持ちだったんだ」と、集治さんのクリエイティビティの懐の深さを体感した次第です。

11月には佐藤美術館での個展も予定されていて、こちらも俄然楽しみになってきます。

集治千晶09

《9/18》

増田佳江 wrap and woof

ギャラリー小柳

東京都中央区銀座1-7-5-8F

9/18(火)~10/19(金)日月祝休

11:00~19:00

増田佳江9/18DM.jpg

作品ごとにみせるさまざまな表情、かわいらしい淡い色彩が醸し出す奥行き。

個性の「捕らえ所のなさ」にすごく魅力を感じます。

"HANT"

Vision's

東京都中央区日本橋堀留町2-2-9 ASビル1F

9/18(火)~9/29(土)日休

12:00~19:00(最終日:~17:00)

HANT 9/18DM.jpg

ユニークなクリエイションが揃ったグループショーです!

まず、入口すぐにあるのが松村忠寿さんの「言葉」を使うパフォーマンスを撮ったインスタレーション。

銀色の風船に何やらシュールな台詞がプリントされていて、マンガの「吹き出し」のようになっています。いろんな人に持ってもらっていて皆さんノリが良さそうで楽しい雰囲気が伝わってきます。

HANT松村忠寿02

HANT松村忠寿01

トキ・アートスペースでの個展も印象的だった元木孝美さん、もちろんトタン板を使った作品なのですが、今回はいつもより大掛かり。壁に嵌め込まれるように、細いハシゴのように縦につらつらと連なって、その奥に明かりが灯されている、というもの。いつもと違うミニチュア感が一興です。

HANT元木孝美02

HANT元木孝美01

壁に施された点線、波線。これが出口大介さんの作品。ダイナミックな幾何学模様も壮観ですが、この線に合わせて折り目をつけると大きな紙飛行機が折れるらしいんです。発送の転換を引き起こすアプローチの面白さにも脱帽した次第。

HANT出口大介01

昨年のYUKA SASAHARA GALLERYでの個展や横浜美術館での「アイドル」展への参加が記憶に新しい西野正将さんのインスタレーション。のび太くん風のキャラクターがプリントされたタオルがギャラリーの奥にいっぱい干されています。

HANT西野正将01

その光景だけでも充分に西野さんらしくて思わず「ニヤリッ」としてしまうのですが、床にどんと置かれたトタンのたらいに張ってるお湯にこのタオルを浸すと...

HANT西野正将02

そう来たか!Σ( ̄口 ̄;)

と思わず唸らざるを得ない仕掛けが施されていて、またまた脱帽してしまった次第で。

《9/20》

田代裕基 個展「HARMONY」

ギャラリーエス

東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエスビル

9/20(木)~10/7(日)月休

11:00~19:00

ギャラリーエス パンフ.jpg

2007年のアートの年表が作られるとしたら、載せなきゃいけない。

東京造形大学の修了展示、五美大展に続いて3度目の登場となる、木彫の巨大なニワトリ。見応え充分。

たくさんのドローイングも面白いです。

《9/22》

竹内正憲 イラストレーション展「幻想綺譚」

東京都渋谷区神宮前5-13-1 アルス表参道

9/18(火)~9/30(日)月休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

竹内正憲9/18DM1.jpg 竹内正憲9/18DM2.jpg

細かい描き込み、程よい「毒」のエッセンス。

手描きのものとプリントのものとを織りまぜ、独特の妖しさがにじみ出るイラストがずらりと並びます。

竹内正憲04

竹内正憲05

なかでも正面奥に展示された、モノクロームとセピア色とで描かれた3点が素晴らしいです!

軽やかな妖しさ、ダークさに見とれてしまいます。

竹内正憲02 竹内正憲03

竹内正憲01

鈴木美貴子展「metal illustration」

GALLERY HOUSE MAYA

東京都港区北青山2-10-26

9/17(月)~9/22(土)

11:30~19:00(最終日:~16:00)

鈴木美貴子9/17DM.jpg

金属を使ったイラスト...そんな表現がぴったりの、楽しい作品が溢れた展覧会です。

これまでも鈴木美貴子さんの作品は拝見しているのですが、額のなかの作品はおなじみのアプローチ。

アクセサリー的な風合いがなんともかわいらしくて和めます。

鈴木美貴子11 鈴木美貴子08 鈴木美貴子10

鈴木美貴子09

額を飛び出して、棚の上にジオラマ風に繰り広げられている作品も。

奥行きも増し、影がより立体的に映って、なんともほっとするような場面が広がります。

鈴木美貴子02 鈴木美貴子01

鈴木美貴子03

そして、白い壁紙が貼られた大きなパネルの作品がまた楽しい!

手描きの線と金属のキャラクターやアイテムによっていろんな場面がひとつの画面に収められて、実に楽しいストーリーが繰り広げられいます。

鈴木美貴子06 鈴木美貴子07 鈴木美貴子05

鈴木美貴子04

葵の会

@銀座スルガ台画廊

東京都中央区銀座6-5-8 トップビル2F

9/17(月)~9/22(土)

11:00~19:00(最終日:~17:30)

葵の会9/17DM.jpg

油彩のアーティスト6名のグループ展、なかでも印象的だったのが鴻崎正武さん。

今回はいつもの艶やかさが若干影を潜め、渋味を感じる落ち付いた色調での「TOUGEN」。

ジャパネスクな風合いはより強まり、深みを増した世界が広がっていました。この方向の作品をもっとたくさん拝見してみたいです。

集治千晶展 ―宙―

シロタ画廊

東京都中央区銀座7-10-8

9/18(火)~9/29(土)日休

11:00~19:00(最終日:~17:30)

集治千晶9/18DM.jpg

昨年に続いての集治千晶さんの個展です。

銅版画作品は、独特のカラフルさに加え、今回はより「線」が作り上げる世界に魅力を感じます。

そして、サブスペースの水彩画が素晴らしい!

入野真美子展 眠る風景

@Gallery銀座フォレスト

東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル507

9/17(月)~9/22(土)

12:30~19:00(最終日:~17:30)

入野真美子9/17DM.jpg

昨年の個展も印象的だった入野真美子さん。

前回は「夜」のイメージの作品でしたが、今回は少し時間が経って「明け方」をイメージさせる場面が並んでいました。

独特の深みと軽やかさを感じさせる空の青、そこにていねいに描かれる電線や木々のシルエット。あるいは道路や道路標識などなど、ひとつ先の季節が持つ空気の張り詰めた雰囲気を感じさせながら、やさしく、凛とした風景が描かれていたのが今回も印象的でした。

入野真美子12 入野真美子11

入野真美子13

Game Girl Toru Otsuki + Naoko Fukui

@FARM the salon for art,Tokyo

東京都江東区清澄1-3-2-2F

9/22(土)~10/20(土)日月祝休

12:00~19:00

Game Girl 9/22DM.jpg

多くのコマーシャルギャラリーが集まる清澄の倉庫の2階、エレベーターの前を素通りして階段を上がったところにあるスペース。ここで、大槻透さんと福井直子さんとによるインスタレーションが展開されています。

ゲームをテーマに、壁も全面が塗装、フューチャリスティックなデザインが施され、まずその過剰な作り込みに脱帽!

Game Girl 01

ここから始まって、大槻さんと福井さんとの絵を交えながら、ストーリーが展開されていきます。

イージーな装飾あり、実際に焼いたという陶器のインスタレーションあり、ラストのボスらしい面ありと、感心とツッコミとを同時にしちゃいたくなるようなユーモアが満載。

Game Girl 04 Game Girl 03 Game Girl 02

で、肝心のお二人の作品、あらためて言うまでもなくこの作り込まれた空間の大きな見どころです。

福井さんの作品はおそらくちゃんと拝見するのは今回が初めてなのですが、太い稜線で描かれたユーモラスなシルエットのキャラクターや、プラスチックのビーズを画面に取り込んでドリーミーに城や星座などを表現したりと、ユーモラスな雰囲気を醸し出す緩さと背景やビーズなどによって表現されるシャープさ、その大きなギャップによるコントラストが面白いです。

しかしそのギャップには違和感を感じず、むしろ調和してひとつの世界を作り上げていて、福井さんのユニークな感性が伝わります。

Game Girl福井直子03 Game Girl福井直子02

Game Girl福井直子01

大槻さんは、今もっともしっかりチェックしたいアーティストのひとり。

金箔を大胆に画面に取り入れて、絢爛なエキゾチシズムを画面から鮮烈に放ちながら、そこに描かれる女性の気品溢れる表情とスレンダーな肢体のシャープさとに魅入られてしまうのですが、今回はテーマに沿って、これまでの鮮やかさを醸し出しながら、フューチャリスティックなモチーフも取り込み、さらに大胆な世界が構築されています。堂々とした存在感に加え、手の込んだ精緻な描き込みや画面の加工など、相変わらずの見応えです。

Game Girl大槻透02 Game Girl大槻透03

Game Girl大槻透01

チープさ、ゴージャスさ、大胆さ、細やかさ...実に起伏のある表現が織りまぜられていて、流れに沿いながら、あるいは行き来しながらじっくりと楽しめる空間が作られています。

Game Girl 05

玉野大介

maru gallery

東京都港区海岸3-7-18-902

9/22(土)~10/20(土)日月祝休

12:00~18:00

玉野大介9/22DM.jpg

サイトで事前に玉野大介さんの作品もチェックして足を運んだのですが、予想とは違い、実に「静か」な作品でした。

描かれた場面に流れる時間に不思議な印象を覚えます。

《9/23》

藤野未来 solo exhibition THE DARLEST METAPHOR

Gallery惺SATORU

東京都武蔵野市御殿山1-2-6-B1F

9/8(土)~9/23(土)火水休

11:00~18:00(最終日:~17:00)

藤野未来9/8DM.jpg

いくつかの手法の作品がひとつの空間にパッケージされていました。

なかでも興味深かったのが、モノクロームで夜の空が描かれたようなパネルの上に装飾のパターンが描かれたトレーシングペーパーをラミネートしたスクリーンが被せられた作品。透明感が演出され、独特の深みを醸し出していました。

大胆な構成のインスタレーションで改めて拝見したいクリエイションです。

《9/24》

東京藝術大学日本画第一研究室発表展 ICHIKENTEN

東京藝術大学大学美術館 陳列館・正木記念館

東京都台東区上野公園12-8

9/20(木)~9/27(木)

10:00~17:00(最終日:~16:30)

ICHIKENTEパンフ.jpg

まず、広い展示室の空間を活かした大作が眼前に広がって驚いた次第。大沢拓也さんの作品で、古い和紙の風合いをこの大きさで全面に押し出して、重厚な渋味を力強く放っています。

同じ展示室の中村恭子さんの一連の作品も印象的です。波打つ線と、それが作り上げるフォルムの繊細さ。日本画らしい渋い色調と合わせて、深みのある世界が綴られていました。

安田悠

GALLERY b.TOKYO

東京都中央区京橋3-5-4 第1吉井ビルB1

9/24(月)~9/29(土)

11:00~19:00(金:~21:00、最終日:~17:00)

安田悠9/24DM.jpg

ムサビの修了展示以来、続けて拝見している安田悠さんの個展です。

画面のなかに描かれる風景の揺らぎ、蜃気楼のようにも思える儚げな風合いに包まれ、独特の静けさに浸れます。

東園基昭展

純画廊

東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル2F

9/24(月)~9/29(土)

11:00~18:00

東園基昭9/24DM.jpg

今回は12星座のシルエットを取り込み、例によって手の込んだ描き込みを施して、独特の「和」のセンスが表現されていて、楽しい構成になっています。

シルエットのなかに描かれる紋様の精緻さは、これまで以上に細やか。さまざまな紋、モチーフの組み合わせが放つ気品に強く惹かれます。

東園基昭@純02 東園基昭@純01

東園基昭@純03

1点だけ異なる大きさで描かれている、天体望遠鏡の作品の存在感はひときわ強いものとなっています。メカニカルなシルエットに同様にさまざまな紋が織り込まれ、思わず心のなかで「お見事」と唸ってしまう...これ以上ない、もっとも高貴なユーモアが展開しています。

東園基昭@純04

『のりもの展』

西荻窪ギャラリー「Mu-Rung」

東京都杉並区西荻北3-21-2 徳田ビル1F

9/24(月)~9/30(日)

11:00~23:00

のりもの展9/24DM.jpg

maru galleryで個展を開催中の玉野大介さんが参加されているグループ展。

タイトル通り、「のりもの」をテーマに3名のユニークなアーティストの作品が小さな空間に賑やかに詰め込まれています。

玉野さんは「機関車ターマス」シリーズが、なんとも深い。4点での構成で、一度お別れをして、帰ってきたターマスの姿に驚愕(笑)!

そして、どストレートなトラックの絵も逆に面白すぎて。最高です。

のりもの展 玉野大介01

のりもの展 玉野大介02

原田慎也さんの作品は、何よりクリアな色彩と女性の妙に生々しい表情とが印象的です。随所に施された細かなアクセントもユニークな雰囲気を盛り上げてくれています。

のりもの展 原田慎也01

のりもの展 原田慎也02

移動マッサージこと伊藤雅史さん。

画面のマチエルのごつごつとした感触とこってりとした濃厚な色彩感やモチーフのくどさが妙に堪らなく感じられ、小さな作品ながら圧巻です。

すこし前に新宿タカシマヤの美術画廊で大作を拝見していているのですが、あらためて大きな作品もぜひチェックしたいです。

のりもの展 移動マッサージ01

のりもの展 移動マッサージ02

政田武史 -New Paintings

WAKO WORKS OF ART

東京都新宿区西新宿3-18-2-101

9/15(土)~10/13(土)日月祝休

11:00~19:00

政田武史9/15DM.jpg

Takeshi Masada "New Paintings"

@WAKO WORKS OF ART

3-18-2-101,Nishi-shinjuku,Shinjuku-ku,Tokyo

9/15(Sat)-10/13(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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至高のファーストインパクト。

WAKO WORKS OF ARTで開催されている、政田武史さんの個展です。

ガラス張りの正面入口の前に辿り着き、中の様子が目に入ってきた刹那、一気に感情が沸き上がり、興奮を覚えた次第。

大きな画面を覆い尽くす細かい色面。それらが奏でるパルスのアグレッシブさにまず引き込まれます。

そして、それらの細かい色面が隣り合い、重なることで、実にダイナミックで躍動的なシーンを構築しています。

さらに、ひとつの画面に取り入れられている色のシンプルさも印象的。

ギャラリーのメインルームの正面の壁に展示されている大作では、主に紫と緑。さりげなく他の色彩も織りまぜつつ、そのそれぞれの色調でいくつかの階調が取り込まれてています。

その絶妙な階調のコントロールが画面のなかの世界に光と奥行きとをもたらし、リズミカルな色面の構成と合わせ、おおらかなダイナミズムが生み出されているんです。

問答無用の気持ちよさ、痛快さが溢れまくっています。

政田武史03 政田武史02

政田武史01

展示されている作品でどれがいちばんいいか、と問われると答えに窮します。

いちばんいいのはその瞬間に対峙している作品。しかし、この空間にいると感じざるを得ない気配に負けて視線を移すとその瞬間にまた新たな興奮が沸き上がる...この繰り返し。

まるで細かい色面の衝突がリズムを繰り出しているかのようなイメージが堪りません。

また、ギャラリーの床板の木目が醸し出すナチュラルな明るさが、政田さんの描く世界のプリミティブな感触をぐんと引き出しているように感じられます。

政田武史05 政田武史06

政田武史04

サブルームももちろん見逃せません。

鮮やかで濃厚な色の引力に意識が引き寄せられます。

政田武史08

奥まった一角に、紙皿に水彩絵の具で描かれた作品が展示されていて、こちらも味わい深い。。。

油彩の強さから一転して、儚げに紙の上に滲む淡い色が、仄かにキノコや小鳥のシルエットを浮かび上がらせています。

政田武史10

政田武史09

水彩のドローイングの作品は、メインルームのカウンター前のファイルでたくさんチェックできます。

1枚1枚ページをめくっていって、霞のような像に緩やかに魅入られます。

もうひとつ、政田さんの作品はタイトルも面白いです。

まず作品を目にして得られるイメージがあって、あらためてタイトルを見ると、そこから異なるイメージが紡ぎ出されます。

たくさんのポジティブなイマジネーションだけでなく、エネルギーももらえるようなクリエイションです。

政田武史07

NEXT DOOR vol.3

T&G ARTS

東京都港区六本木5-9-20

9/15(土)~9/29(土)日月祝休

11:00~19:00

NEXT DOOR vol.3.jpg

NEXT DOOR vol.3

@T&G ARTS

5-9-20,Roppongi,Minato-ku,Tokyo

9/15(Sat)-9/29(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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若手アーティストをピックアップする企画の第3弾(vol.2vol.1)。

今回は5名、写真、タブロー、立体という具合にさまざまなクリエイションがパッケージされています。

1F、入口を通って左手の壁に展示された、モノクロームの写真。

今回唯一の女性アーティスト、飯田昌子さんの作品です。

雪に覆われた山脈を思わせる光景が、並んで展示された写真に映し出されています。

ND3飯田昌子03 ND3飯田昌子04

これらは紙で作った架空の光景だそう。

モノクロームの静謐感と、淡い陰影が印象的です。

ND3飯田昌子02

一角には、また別のモチーフの作品も。

こちらも紙らしいのですが、素材感はほぼ感じられず、むしろエロティックな風合いさえ伝わってくるから不思議です。

ND3飯田昌子01

1階に展示されているもうひとりは、ギャラリーHANAでの個展も印象的だった石森忍さん。

プリントされた紙やさまざまな素材を用いて、壁面に飾られる平面の作品から無機的な面の構成で作られる立体のオブジェまで、クールさを醸し出しているのが印象的です。

ND3石森忍04

ND3石森忍03

同じプリントが、平面と立体とに用いられ、ひとつのモチーフでさまざまなアプローチや手法が作品のなかに込められているのが伝わってきます。

立体作品の、無機的な面が重なって構成されるかたちも面白いです。

ND3石森忍02

ND3石森忍01

1階は以上。続いて2階へ。

・・・と思いきや...

ND3山崎龍一01

どこにいるんだよ!!!Σ( ̄口 ̄;)

見逃すところでしたよホント。

というか、オープニングの時に山崎さんに教えていただかなかったら気付かなかったかも(汗)。

まったく油断も隙もないったらありゃしないわけですが(というわけでこれからご覧になる方もどう油断なさらぬよう)(いやホントに)。

というわけで1階の作品を全部(全部、ね)チェックしてから、2階へ。

階段を上がり切ったところに、先日のトーキョーワンサーサイト本郷での展示も面白かった中島健さんの小品が並びます。

ND3中島健01

トーキョーワンサーサイト本郷での展示に出展された作品を中心に、新しい作品も。

画面に乗る油絵の具の立体感のインパクトが強烈です。

ND3中島健04 ND3中島健03

ND3中島健02

この独特のマチエルの作品群をさらに面白くしているのが、それぞれの作品の過程を記録した映像。

本郷では、もっとたくさんの作品が展示されていた上にそのすべての映像が上映されていて、それぞれの画面がどんな行程を経てできあがったかを確かめていくのがホントに面白かかったのですが、それを再び楽しめるのが嬉しい!

下地のもともとの絵に点がどんどん連なっていって線となって伸びていくものや、結果として見えなくなってしまうのもあって、そのとき流れている映像がどの作品なのかをチェックするのも一興。

ND3中島健06 ND3中島健07 ND3中島健08

ND3中島健09 ND3中島健10 ND3中島健11

ND3中島健12 ND3中島健13 ND3中島健14

ND3中島健05

とにかくいつの間にか引き込まれてしまう、圧巻の記録です。

同じ部屋に、山崎龍一さんの作品が。

例によって白い服と帽子を身に纏った子供のオブジェが、また生意気そうな表情浮かべて佇んでいたり。

galleria grafika bisやプロモアルテでの展示でも発表された作品を織りまぜつつ、おそらく今回はじめて登場する作品も。

ND3山崎龍一04 ND3山崎龍一05

ND3山崎龍一03

なんかもう、このちょっぴり毒を持った独特のかわいらしさに完敗です。

そして2階も油断がならないような気が...。

ND3山崎龍一02

いちばん奥の展示室は、長谷川迅太さんの作品が。

長谷川さんの作品の面白いところは、なんといっても木の板に写真をプリントしているところ。

木の色が、さまざまな風景をセピア色に仕立てていて、どこかレイドバックした、懐かしいような感触がなんとも味わい深いです。

仮に同じプリントだったとしても、板の木目で若干異なる味わいが醸し出されるというユニークさも。

ND3長谷川迅太08 ND3長谷川迅太07

ND3長谷川迅太05 ND3長谷川迅太04

ND3長谷川迅太06

そして、さまざまなプリントが施された小さなバーが詰め込まれた袋が床を埋め尽くすインスタレーションも。

素材感がゆったりと放たれているのが印象的です。

ND3長谷川迅太02 ND3長谷川迅太01

ND3長谷川迅太03

余裕がある空間でのグループショーなので、それぞれの個性がしっかりと発揮された状況でバラエティに富んだクリエイションを楽しめます。

竹村京展「はなれても」

Taka Ishii Gallery

東京都江東区清澄1-3-2 5F

9/1(土)~9/29(土)日月祝休

12:00~19:00

竹村京9/1DM.jpg

Kei Takemura "even if we're not together"

Taka Ishii Gallery

1-3-2-5F,Kiyosumi,Koto-ku,Tokyo

9/1(Sat)-9/29(Sat) closed on Sundays,Mondays and national holidays

12:00-19:00

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「層」が織り成すやわらかい時間。

現在、ベルリン拠点に活動されるアーティスト、竹村京さんの個展です。

さまざまな風景をコラージュし、出力した画面に刺繍が施された繊細な布が覆った大作が、Taka Ishii Galleryの広々とした空間にゆったりと充分な余裕を持って展示されていて、壮観です。

まず、ギャラリー中心部に設置された壁に展示された作品が眼前を覆います。

何所までも遠くへと続いているような風景。モノクローム、そこに広がる空と海の青。

そして、その風景をトレースするように施された、白い糸による刺繍。

やわらかな布は、わずかな気流によって揺れ、重なる景色がそれに伴ってふわふわと揺らぎます。刺繍という若干手間のかかる手法を取り入れていることもあってか、浮かんだ像を早く再現したいという想いをそのまま現すかのように、おおらかに縫い上げられているのも印象に残ります。

竹村京02 竹村京04

竹村京05 竹村京03

布の向こうに広がるコラージュされた風景が、異なるアミ点が組み合わさっています。

大きな作品だけに、距離をおいて眺めたときの爽快な感じと、至近で凝視したときに見受けられる無機的な点、あるいは矩形の並びのギャップにも、もしかしたら竹村さんの意図にない要素かも知れませんが、面白味を感じます。

竹村京07 竹村京06

コラージュされた風景のひとつひとつに、またはその関係性に、そしてそこに重なる刺繍によるスケッチに...といった具合に、ひとつの作品からいろんなイマジネーションが得られて楽しいんです。

竹村京01

この作品の左手には、階段を昇る人々の作品が。

こちらでは重なる刺繍がより立体的に、まるで紙の上に鉛筆でくるくると描かれているかのように、渦を巻いていたり。

照明の光を反射して輝く薄い布の上、その広々とした空間を舞うように、刺繍の糸が行き交っている様も気持ちよく感じられます。

竹村京09 竹村京11

また、右上のきらびやかな赤い糸の鮮やかさ、輝きも印象的です。

咲き乱れる花、あるいは見事に染まる紅葉...自然のなかの美しい色を思わせるその明るさが、ぱっと弾けるようなポジティブな空気と共に、心の染み入るような奥深さをも作り上げています。

竹村京10

異なる場面の階段の光景が重ねられた作品。

覆う布の鮮やかさや動的な感触とは裏腹の、上へと向かって階段を歩む人々のひたむきさ。

独特の味わい深さを放っています。

竹村京08

いちばん奥の壁の作品は、布の奥の画面にモノクロとカラーの画像が入り組んでいたり、のなかに手描きのスケッチも組み込まれていたりと、よりいっそうの幅広い表現が織り込まれています。

パノラマのようにめくるめく横の展開のダイナミックさに好奇心を強く惹き付けられます。

無論、その上に覆い被さる刺繍もまた異なる質感のダイナミズムをもたらしています。

竹村京13 竹村京14 竹村京15 竹村京16

竹村京12

さまざまなものを布でくるんだオブジェも。

欠けた皿、割れた蛍光灯、プラスチック製のバドミントンの羽根...そうなってしまうまでの時間への敬意を現し、さまざまなハプニングを経て今あるそれぞれのものを優しく包む...。

「行為」の美しさ、「心」の美しさ。そういった要素に惹かれると同時に、意外にも視覚的な美しさも生み出されているように思えます。

竹村京19 竹村京18

竹村京17

コーナーにひっそりと展示されているのも空間に程よいアクセントをもたらしています。

自らの「見つける」感覚が、妙にいとおしく思えたり。。。

竹村京23

竹村京22

中央の壁の裏側に展示された、手をモチーフに描かれたタブローがまた、独特な風味を醸し出しています。

紙の素材の温かみ、赤や黄色の暖色系が放つおだやかさ、そしてなによりふたりの手が繋がれ、重なることで、心のつながりを現しているような感じ。

なんともほっとする、和める風合いです。

竹村京20

竹村京21

ひとつの空間に、作品ごとに、またひとつの作品のなかにさまざまなアプローチが詰め込まれていて、それぞれちと対峙し、大きな作品は体全体で浴び、オブジェに優しい視線を落とし、そうやってここでしか感じ得ない「時間」の感覚、まさに縫われる刺繍糸のように現実と非現実とを繋いで新たな次元のポジションを作り上げたかのような印象を得る・・・。

見終えて、後味の清々しさも気持ちのいい展覧会です。

Karin Kamijo "parallel world"

MEGUMI OGITA GALLERY

東京都中央区銀座5-4-14 銀成ビル4F

9/11(火)~9/29(土)日月祝休

12:00~19:00

上條花梨9/11DM.jpg

Karin Kamijo "parallel world"

MEGUMI OGITA GALLERY

5-4-14-4F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

9/11(Tue)-9/29(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

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一昨年の暮れの自由ヶ丘でのグループ展以来続けて拝見している上條花梨さんの個展。

b.TOKYOでの個展OPEN DOORでの個展では比較的暗めの照明設定で、上條さんの絵の雰囲気に合っていてよかったのですが、今回はオープンして間もないMEGUMI OGITA GALLERYということもあり、気持ちがいい真っ白な空間での展覧会です。

この「白さ」と「明るさ」が、これまで気付かなかった上條さんの描く世界の面白さを引き出してくれているように感じられます。

上條花梨@MOG04

暗めの照明による、絵の雰囲気を盛り上げる演出を敢えて外し、むしろ作品に取り込まれている細かい表現が、より臨場感を伴って伝わってきます。

上條さんの作品の特徴的なところのひとつは、画面に広がる細かい色彩の飛沫。ブラウン管に映る映像のノイズのような感触で、記憶の残像のような印象を与えます。この表現の細かさが、明るい照明のなかでよりはっきりと見えてきます。やみくもに散らばるのではなくて、実に効果的に、色合い的にも奥行き感的にもバランスよく飛沫が広がっているんです。

もちろん、絵のモチーフのユニークさも面白いです。

おそらく実際には存在しない(と思うのですが...)公園の遊具。レイドバックした雰囲気のなかに、子供の頃に遊んだ楽しかった記憶と遊び終わったときの一抹の淋しさも蘇りつつ、また違うイメージ・・・なんとなくSFチックなストーリーの序章のような、未来的な風合いも醸し出しているように感じられます。

上條花梨@MOG02 上條花梨@MOG03

上條花梨@MOG05

コンパクトな空間にていねいに展示され、1点1点じっくりと観られるのも嬉しいです。

緩やかな時間の流れを感じさせくれるやさしい風合い、脳裏に灯るような朧げな感覚、ふっと消えてしまいそうな儚さ、そしてその先に起こりそうなスリル...さまざまな想像の世界へと誘ってくれる、独特のクリエイションです。

上條花梨@MOG01

貌[ヴィサージュ]佐藤秀貴×澤柳英行×丸橋伴晃

ヴァイスフェルト

東京都港区六本木6-8-14 コンプレックスビル北館3F

9/7(金)~9/29(土)日月祝休

11:00~19:00

貌9/7DM.jpg

Group Show 'Visage' Hidetaka Sato,Hideyuki Sawayanagi,Tomoaki Marubashi

@weissfeld

6-8-14-3F,Roppongi,Minato-ku,Tokyo

9/7(Fri)-9/29(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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「貌」…人物をモチーフにした作品を展開する3つの個性がパッケージされたグループショーです。

ここで繰り広げられるグループショーはいつも、三者三様のまったく異なる個性の競演でありながら、その違い、差がよりお互いの作品の面白さを引き立てあっているんです。

今年初めのART@AGNESでのレントゲンヴェルゲのゲストルームでいち早くレコメンデーションされていた澤柳英行さんの作品。

・・・ホントにスリリング。

歪んだフォルムの金属板に施された大小の穴。

それが、新聞などに掲載される写真の大小のアミ点が階調を表現するのとまったく同じ理屈で、女性の顔を浮かび上がらせます。

貌 澤柳英行05

貌 澤柳英行04

その場の光景をすべて映し出すほどに磨き上げられた表面の仕上げが金属の素材感を全面に押し出しつつ、さらにその素材の質感、あるいは整然としたドットの並びによる無機的な感触。

ある角度からはまったく分からないのですが、刹那的に現れる女性の艶やかな表情とのギャップが堪らなくスリリングなんです。

壁にネジで留まっているもの、手グスで吊るされているもの、それぞれの展示状況も作品の素材的な面白さとアーティスティックさとをうまく演出しています。

貌 澤柳英行02

貌 澤柳英行01

佐藤秀貴さんの作品は、前回こちらで開催されたペーパーワークスの展示の際にスケッチを拝見しただいえだったのですが、今回はパネルの作品が出展されています。

銀色の下地に描かれる頭髪。

鉛筆で1本1本精密に描き上げられているようで、過剰ともいえるほどに流麗な線の重なりが、その画面のなかへと向かう引力を生み出しているかのようです。

貌 佐藤秀貴02 貌 佐藤秀貴03

貌 佐藤秀貴01

髪の毛の線の重なりでつくり出される濃淡。

そのひとつひとつは有機的な印象の線なのですが、奥に広がる重厚で渋い銀色と黒という無彩色が、無機的なかっこよさを演出しています。

ある種、無機物が妖婉さを放つ澤柳さんの作品と真逆のベクトルを持った面白さがあるように感じられます。

貌 佐藤秀貴04

もうひとり、BOICE PLANNINGの主要メンバー、丸橋伴晃さんは、写真。

ふたつの無彩色に挟まれて、大きく引き伸ばされてプリントされた場面がより生々しく伝わってきます。

貌 丸橋伴晃01

昨年の個展やBOICE PLANNINGでの展開などで丸橋さんのクリエイションを折りに触れて拝見していますが、今回はいつになく過剰に演出されているのが印象的です。

写真のなかに登場するたくさんの女の子。

これまで拝見してきた丸橋さんの写真ではむしろ、自然な振る舞いをモデルに演じてもらっていた印象があって、その「演じる」感じが登場する女性や女の子の「素」を引き出しているような感じが興味深かったのですが、今回はあからさまにフィクショナルなシチュエーションの設定によって過剰な演出が行われています。

しかし、その過剰さがより強烈に作品のなかの女の子たちの「素」を引き出しているように思えて、不思議なな印象を持った次第。

もしかしたら丸橋さん自身は意図してない要素かも知れませんが、画面の荒さもその「素」の感覚を押し出していることに一役買っているように感じられます。

俄然、次の展開が楽しみになってきます。

貌 丸橋伴晃02

(佐藤さんの作品のモチーフの性別は分からないのですが、敢えて)期せずして男性作家3名による女性のポートレイトが揃っているのも、興味深いポイントのような気がします。

程よい色香が広がっているのがいい感じです。

そして同時に「表現者」としてのダンディズムも強く充満していて、クールなかっこよさも感じます。

貌 澤柳英行03

Lee Ji-Hyun展

ギャラリー新居 東京店

東京都中央区銀座6-4-7 いらか銀座ビル5F

9/7(金)~9/22(土)日祝休

11:00~19:00(土:~18:00)

Lee Ji-Hyun9/7DM.jpg

Lee Ji-Hyun Exhibition

@Gallery Nii Tokyo

東京都中央区銀座6-4-7-5F,Ginza,CHuo-ku,Tokyo

9/7(Fri)-9/22(Sat) closed on Sunday and national holiday

11:00-19:00(Sat:-18:00)

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「崩す」という行為だけをピックアップすると、相当にアバンギャルドなのですが、実際に作品を前にすると思いのほか優しい、淡い風合いが感じられたのが意外に感じられました。

韓国のアーティスト、Lee Ji-Hyunさんの展覧会です。

銀座のビルの5階、ギャラリー新居 東京店の落ち着いた雰囲気のなかに、針で解された辞書や楽譜が飾られ、不思議な雰囲気が広がっています。

Lee Ji-Hyun06

楽譜の作品。

表面は細かい穴が開けられ、その千切れたような部分が持ち上げられています。

しかし、何らかの表面処理が施されているのか、ふわふわとした感触に心が和みます。

Lee Ji-Hyun02

横からの眺め。

ふっくらとした感触がより伝わってきて印象的です。

Lee Ji-Hyun03

実際に譜面台の上に置いて見ながら演奏できるサイズの譜面なので、表面の細かい処理にもかかわらず読もうと思えば読めそうなのですが、解されてその存在の意味が変わってしまっている感じなのがたいへん興味深いです。

なのに元が「譜面」であることも意外と大事な要素に思えたりもします。

Lee Ji-Hyun01

辞書や雑誌など、いろんな本が解されています。

作業の緻密さ、ハングル、日本語などの言葉から解放された感じ、紙の質感など、さまざまな要素が独特の世界を作り上げています。

Lee Ji-Hyun05 Lee Ji-Hyun09 Lee Ji-Hyun04

Lee Ji-Hyun07

平面の作品も展示されています。こちらはLeeさんの新しいアプローチだそう。

ちょっと記憶が朧げになっているのでもしかしたら違ったかも知れませんが、Leeさんが撮った風景をプリントし、それを解しているとのことで、こうやって展示されると絵画的な風合いが強く感じられて面白いです。

表面のプリントされた色と、解された紙の白とが独特のマチエルを生んでいます。

Lee Ji-Hyun11

Lee Ji-Hyun10

閉じた本を解したものも。

フワフワとした感触を放って、なんともかわいらしく思えます。

Lee Ji-Hyun12

Lee Ji-Hyun13

至近で眺めて、細かく持ち上がった紙の奥に覗く文字とのギャップもユニークな味わいがあったり、それぞれの作品を定着させている接着剤の素材感であったり、意外な面白さが潜んでいる作品で溢れている展覧会です。

Lee Ji-Hyun08

《9/11》

Karin Kamijo "parallel world"

MEGUMI OGITA GALLERY

東京都中央区銀座5-4-14 銀成ビル4F

9/11(火)~9/29(土)日月祝休

12:00~19:00

上條花梨9/11DM.jpg

「夜」をイメージさせるシチュエーションを描いた上條花梨さんの作品、これまではその雰囲気に合わせた暗めの照明のなかで拝見することが多く、それはそれで素敵だったのですが、今回のMEGUMI OGITA GALLERYでの展示は蛍光灯の明るい照明で、また違う表情を見せてくれています。

《9/13》

ヤマシタリョウ 江戸金粋「鏡花」展

Gallery ef

東京都台東区雷門2-19-18

9/14(金)~10/8(月)火休

12:00~21:00

ヤマシタリョウ9/14DM.jpg

メガネの展示ということでどんな感じになるのかな...と思っていたのですが、Gallery efの特別な雰囲気を充分に活かした、なんとも味わい深い空間が作り上げられています。

ファンタジックな想像が溢れてくるメガネ。

《9/15》

渡辺豪 境面 'face'

ARATANIURANO

東京都中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3A

9/15(土)~10/20(土)日月祝休

11:00~19:00

渡辺豪9/15DM.jpg

スペースに2点のみのシンプルな展示、しかしそこに充満するフューチャリスティクな雰囲気は鮮烈。

ミーティングルームや事務所で上映されている映像作品も面白いです。

田崎冬樹展

フタバ画廊

東京都中央区銀座1-5-6 福神ビルB1

9/10(月)~9/16(日)

11:00~19:00(最終日:~16:00)

田崎冬樹9/10DM.jpg

これまでグループ展で拝見してきた田崎冬樹さんの個展。

最初の頃に拝見した黒を背景にカラフルな色彩が浮かび上がる抽象画のイメージが強かったのですが、今回はさらに一転して風景のシルエットが描かれる作品で統一されていました。

水色と白とで描き出されるさまざまな風景。下地に滲む赤が独特の風合いを醸し出しています。

テクスチャーが若干荒れた感触もなんともいい感じで、緩やかに過ぎ行く時間を連想させてくれます。

田崎冬樹06 田崎冬樹08

田崎冬樹05

水色はそのまま空を思わせます。

作品によっては水辺も。

自然の景色から建築中のビルの上に設置されたクレーンや電線の無機的なシルエットなど、用いられる色彩が限定されているからこそ、テーマのバリエーションの豊かさがさらに際立ちます。

色の爽やかさも合わせて、眺めていて楽しいです。

田崎冬樹01 田崎冬樹07 田崎冬樹04

田崎冬樹02

奥の窪んだスペースに1点、ちょっと違うテイストの作品が隠れるように展示されていました。

visionsでのグループ展でも拝見した、深い青が印象的な風景の絵。

青の青さとシンプルに描かれるビルのシルエットとが醸し出す味わい深さがユニークです。

田崎冬樹03

高橋芙美子展

galleria grafica bis

東京都中央区銀座6-13-4 銀座S2ビル1F

9/10(月)~9/15(土)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

高橋芙美子9/10DM.jpg

昨年に続いて開催された高橋芙美子さんの個展。

今回は支持体に大胆な変化が。

布地をそのまま用い、ダイナミックに抽象的な景色を描き上げています。

高橋芙美子02 高橋芙美子03

高橋芙美子01

和紙を思わせる色の布に、墨絵のように描かれた作品。

至近で見ると顔料の粒子も生々しく画面に浮かび上がっています。

シンプルだからこそ、迫力が感じられました。

高橋芙美子05

小品も独特の味わいです。

朴訥とした感触が小さな画面に収められて、大作と共鳴してユニークなコントラストを作り上げていました。

高橋芙美子04 高橋芙美子06

政田武史 -New Paintings

WAKO WORKS OF ART

東京都新宿区西新宿3-18-2-101

9/15(土)~10/13(土)日月祝休

11:00~19:00

政田武史9/15DM.jpg

堪らない...。

最初に目に飛び込んでくる、細かい色面の重なりが放つパルス。

爽快なモチーフ。

瞬間に惹き付けられる、圧倒的な作品です。

NEXT DOOR vol.3

T&G ARTS

東京都港区六本木5-9-20

9/15(土)~9/29(土)日月祝休

11:00~19:00

NEXT DOOR vol.3.jpg

今回は5名のアーティストがピックアップされています。

平面あり、立体あり、インスタレーションありの幅広いスタイルのクリエイションをパッケージ。

なかでも山崎龍一さんの例の子供がいろんなところにいて、見つけるたびに「やられた...」と。

《9/16》

麻生志保

Gallery元町

神奈川県横浜市中区元町5-216

9/11(火)~9/16(日)

11:00~19:00

麻生志保9/11DM.jpg

名古屋での個展に続いて開催された、麻生志保さんの個展。

コンパクトな空間に、絹本の画面に吹き流れる妖艶な色彩が印象的な作品が詰め込まれていました。

着物をモチーフに描かれた作品。観る人によってそのシチュエーションはさまざまのようですが、重々しくにじみ出る妖しさに意識を呑み込まれるような印象で、異様なまでの力強さが感じられます。

麻生志保@元町02

麻生志保@元町01

小品群は軽やかな作品も並びます。

赤の鮮やかさが際立ち、華やかな風が吹き抜ける世界。

麻生志保@元町04

麻生志保@元町05 麻生志保@元町06

少し前の作品も展示されていて、刺青の鮮やかさ、細やかさにも目を奪われました。

「和」のアバンギャルドの感触が鮮烈です。

麻生志保@元町03

Yokohama Boogie Under the Influence

ZAIM(別館)2/3F

神奈川県横浜市中区日本大通34

9/14(金)~9/30(日)

11:00~18:00(土日祝:~19:00)

Yokohama Boogie.jpg

ZAIMの各部屋に一人ずつ、映像作品やインスタレーションが。

なかでも印象的なのが、楽しみにしていた志村信裕さんの映像作品。

広い空間の長い壁に6つのスクリーンを列ね、それぞれに同じ映像を若干のタイムラグの設定で上映。

暗闇のなかに落ちるカラフルなクリップ。回転しながら落下、床にぶつかって弾んで予想外の方向へと進路を変え...ひとつ、ふたつ...だんだんと増えていつしか黒い床にはいっぱいのクリップ。さまざまな色の光が灯るような鮮やかさが。そして...

以前拝見した、青の色彩が上から下へと延々と流れる作品のダイナミックさも未だに忘れられないのですが、今回の無機的な感触も見応えがありました。

ほか、資生堂ギャラリーでの展示で3面の壁を使った映像作品が印象的だった水越香重子さんも参加されていて、映像は資生堂のと同じようなのですが、シチュエーションがまったく異なっています。

ryuta iida [Fact of accumlation 07] 蓄積の事実

graf media gm

大阪府大阪市北区中之島4-1-18

9/8(土)~10/14(日)月・10/3休

12:00~20:00

飯田竜太9/8DM.jpg

ryuta iida Fact of accumlation 07

@graf media gm

4-1-18,Nakanosima,Kita-ku,Osaka-shi,Osaka-fu

9/8(Sat)-10/14(Sun) closed on Monday and 10/3

12:00-20:00

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「紙」の使い手の真骨頂。

展示のたびに、素材のユニークさとアプローチのユニークさとでさまざまな表情を提示する飯田竜太さんの個展です。

場所は、graf media gm。作り上げられた空間にまずびっくり。

ギャラリースペースの中に小屋があるのですが、奈良美智さんとのコラボレーションで構想されたそう。なるほど納得のユニークさ。

窓から見える川の眺めも涼しげ。

飯田竜太@gm01

このユニークな空間で繰り広げられている飯田さんのインスタレーション。

あの東京画廊での4人展の影響か、空間中がボール紙で覆われていて、今までにないほどに大胆に、飯田さんの世界が作り込まれています。

規格サイズのボール紙がランダムに重なり、紙のエッジがダイナミックに矩形を描いている様は圧巻です。

飯田竜太@gm06

今回も例によって精密なカットが施された文庫本が壁に整然と配置されているスペースもあるなか、外壁の一角にはミシン用のボビンがランダムに散らばっている場所も。

そのボビンの天辺に1本のテキストが貼られています。さまざまな言葉、文章が布不思議なシチュエーションで提示され、言葉にもなにか新たな要素が加えられた感じで、独特の深みを醸し出しています。

飯田竜太@gm03 飯田竜太@gm04

飯田竜太@gm02

そして、スペースの中央の小屋。

中に入るのが、なんだかワクワクしてきます。

飯田竜太@gm07

手前の文庫本のインスタレーションを抜け、小部屋へ。

こちらにもいくつかの展開が。

外のボビンと呼応するかのように、古めかしいミシンが1台置かれていて、その上の方には編み込まれたテキスト。いっしょに置かれたページが焼けてセピア色になった本とによって、「綴る」という行為を静かに提示しているような。

飯田竜太@gm11

飯田竜太@gm12

床にテキストを切り抜かれたページ。

その上には、切り抜かれたテキストが挿されたビン。

こちらも「行為」の痕跡の提示。緻密な作業の残り香が充満しています。

飯田竜太@gm13

飯田竜太@gm14

さらに、さまざまなかたちのカットが施され、地図の等高線をそのまま立体化したかのように、立っているそれぞれの文庫本の表面に幾何学的な模様が現れています。これがいつにも増してかっこいい...。

あたたかみ溢れる静謐感が独特で、いつもながらにカットされた文字が。

小部屋の窓の向こうに文庫本のインスタレーションが見えるのがまた不思議で、この空間の特異な雰囲気を静かに盛り上げてくれます。

飯田竜太@gm08 飯田竜太@gm09

飯田竜太@gm10

飯田さんらしさが溢れているのがとにかく嬉しい展覧会です。

彩色をほぼ一切行わず、本がもつ「時間の経過」を感じさせる褪せた色、ある文脈からセンテンスを切り取ることによって行われる意味の転化、さらには無意味化...さまざまな要素でさまざまな場面をひとつの空間で見せてくれます。

そのなかで見つける言葉や表情に心を奪われたり、そこからうまれるイメージに想いを委ねたり...。

さらに、精巧なカットによるグラフィカルな面白さもあって。

時間を忘れて浸りたい空間です。

飯田竜太@gm05

居城純子展 もうわかっていたことなのに、言葉になるのはずっとあと

PANTALOON

大阪府大阪市北区中津3-17-14

9/1(土)~9/30(日)月火休

18:00~22:00(土日:12:00~19:00)

居城純子9/1DM.jpg

Junko Ishiro "I Knew it Before, But Verbalized Long After"

@PANTALOON

3-17-14,Nakatsu,Kita-ku,Osaka-shi,Osaka-fu

9/1(Sat)-9/30(Sun) closed on Monday and Tuseday

18:00-22:00(Saturday & Sunday:12:00-19:00)

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アバンギャルドさとキュートさと。

2005年のVOCA展で拝見した作品が強く印象にこっている居城純子さんの個展です。

もともとある長家を大幅に改装し、カフェスペースといくつかのインスタレーションスペースとで構成されるPANTALOON。僕にとって大阪が初めてなうえ、最後に細い路地を通るので、辿り着いたときの達成感もひとしお。

さらに、やわらかな照明のカフェスペースを抜けて現れる、ナチュラルな木の色が包む空間も気持ちいい。。。

まず、入口から左手の広いスペースへ。

2階の床を外し吹き抜けになった空間に、縦長の大作が展示されています。

居城純子01

VOCA展で拝見した居城さんのキャンバス地に乗る緑の印象が強かったこともあり、この作品の清々しい青にびっくり。

光を屈折させる水面と、そこに沈む足がダイナミックで、驚きと共にその軽やかな迫力にも圧倒されます。

いっしょに展示されたモビールも、浮遊する感じを醸し出していて面白いです。

なにより、2階部分に手すりがないのが嬉しい!

柵越しにではない状況で、上から見下ろせるのがなんとも痛快です。

居城純子02

居城純子03

その奥のスペースでは、キュートなインスタレーションが繰り広げられています。

白っぽい木の板の上に、濃い青の空を映し込んだ水たまりのようなかたち。物陰に隠れるように佇む子どもやその水たまりから飛び出してるウサギもかわいい...。

居城純子09 居城純子07 居城純子08

居城純子06

空間のそこかしこにいろんな作品が配置されているのも見どころのひとつです。

小さなジオラマ風の作品だったり小品のタブローだったり。

タブロー作品は、多くが画面を焼かれいてその焦げ痕も生々しく、キャッチーな風合いの中にアバンギャルドなイメージをもたらし、強烈なアクセントとなっています。

居城純子10

居城純子05 居城純子04

カフェスペースの上、急な階段を登って辿り着く小さなスペース。

こちらもユニークなインスタレーションが。

三脚の先に取り付けられた、焼かれた小品。壁には焼かれていない小品。

若干暗めの空間で、絵の中に緑もさらに濃厚さを増しているように感じられます。

何より、この謎めいた構成に深遠なイメージも湧いてきます。画面が入口となって、フィクションの世界へと誘われるかのような...だとすると、焼かれた画面はその拒絶なのかも...。

居城純子13 居城純子12

居城純子11

PANTALOONの隣が居城さんのアトリエになっていて、こちらにも数点作品が観られるようになっています。

僕が伺ったときに居城さんもいらっしゃってて、アトリエの中も観ることができたのですが、抽象的なアプローチで繰り出される写実的な表現、それによって提示されるフィクションとノンフィクションとの曖昧でも蟻くっきりとしてもいる境界線を思わせるスリリングな作品や、制作中の大きな作品など、こちらも拝見できて良かったです。

この展示はインスタレーション的なアプローチが全面に出ていて、居城さんの世界の一面をしることが出来て満足!

で、来年は関東圏で展示の予定があるかも、とのことなので、この空間を体験した上で拝見する居城さんの世界がどのように響くかが今から楽しみです。

田中朝子 pool

ノマル・プロジェクトスペース キューブ&ロフト

大阪府大阪市城東区永田3-5-22

9/1(土)~9/29(土)日祝休

11:00~19:00(土:13:00~19:00)

田中朝子9/1DM.jpg

Asako Tanaka "pool"

@nomart project space cube & loft

3-5-22,Nagata,Joto-ku,Osaka-shi,Osaka-fu

9/1(Sat)-9/29(Sat) closed on Sunday and national holiday

11:00-19:00(Sat:13:00-19:00)

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水の魔法。

初めての大阪で最初に伺ったのが、ノマル・プロジェクトスペース・キューブ&ロフトでの田中朝子さんの個展。

町工場の面影を残す建物の入口からすぐ右のキューブ、奥の広いメインスペース、その2階のミーティングルームの3ケ所が、それぞれ異なる大きさの作品で展開されています。

まず最初の部屋。

田中さんの作品をちゃんと拝見するのは今回が初めてなのですが、今回の田中さんの作品はさまざまなものをプールの中に沈めて、それを撮影しています。

乳白色をバックに、普段目にしているのとは違う表情を見せるアイテム。

水を吸って膨らんだメモノート、膨張したプリン、水泡を纏わり付かせるビール瓶...。水の影響をダイレクトに受けてその姿自体を変えてしまうものもあれば、本来持つ透明感が光の屈折でフォルムが歪み、シルエットが滲んで、なんだかユーモラスな感触と涼しげな風合いを醸し出しています。

細かいタイルがちりばめられた床が、水の中をとった写真と実にマッチして、まさにプールの側、あるいは中にいるかのような気持ちいい雰囲気を作り上げています。

田中朝子10 田中朝子08

田中朝子09

奥の広々とした空間では、さらに大きくプリントされた作品が。

天井から射す自然光が作品が放つ透明感をより鮮烈に引き出してくれていて、その鮮やかさも印象に残っています。

食パンやプラスチック性のじょうろ、テニスボールなどなど、「水」というフィルターを通してさらに大きく引き伸ばされ、その色彩をぱっと弾けさせていて、その風合いはなんともキュート。

田中朝子06 田中朝子05

田中朝子04

ミーティングルームには小さな作品が、若干暗めの照明の中で展示されています。

小さな画面になるとそのかわいらしさがいっそう増すような印象。

田中朝子02 田中朝子03

田中朝子01

シンプルなアイデアと、その効果を最大限に発揮させた作品と。

そのどちらにも感服です。

コンセプト自体が単純なだけに、その効果が作り上げる表情の豊かさへの驚きも新鮮に感じられます。

さらに、空間に合っていたのも強く印象に残ります。僕が伺ったのは午後の早い時間でしたが、陽が落ちたときにはまた違う表情を見せてくれるのだろうな、と。

田中朝子07

ムラタ有子 nowhere picnic

IID GALLERY

東京都世田谷区池尻2-4-5 IID 世田谷ものづくり学校1F

9/7(金)~9/24(月)月休(月祝の場合開館、翌火休)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

ムラタ有子9/7DM.jpg

Yuko Murata "nowhere picnic"

@IID GALLERY

2-4-5-1F,Ikejiri,Setagaya-ku,Tokyo

9/7(Fri)-9/24(Mon) closed on Monday(Expect for Monday:9/17,9/24;closed on 9/18)

11:00-19:00(Last day:-17:00)

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元小学校のいちばん奥にあるギャラリースペース。

なんとなく懐かしさを感じる、レイドバックした雰囲気の中を通り抜けて辿り着く風景は...。

PolarisのCDジャケットやコクヨノートでもおなじみのムラタ有子さんの個展です。

油絵の具を集めに塗られたクリーミーな質感の作品が、広い空間にインスタレーションされています。

素朴な表情の動物たちや風景が描かれた作品がいっぱい。

ムラタ有子@IID07

で、何よりもまず嬉しいのが、ぱっと目に飛び込んでくる緑。

床面一面が緑の芝で覆われているんです。

ムラタ有子@IID04

ムラタ有子@IID03

真っ白の壁に展示されたムラタさんの絵の世界と、足元の芝とが合っていて、のんびりとした雰囲気が溢れています。

思わず床に座ったり寝転んだりして、伸び伸びと眺めていたい...そういうゆったりとした気分が沸き上がってきます。

ムラタ有子@IID05 ムラタ有子@IID02

ムラタ有子@IID01

ムラタさんの作品を初めて拝見したとき、なんだか、ぽっと灯るように心に浮かび上がる「淋しさ」みたいなものが印象的でした。

ただ、その淋しさというのは、うまく表現できるか分からないのですが、動物であったり、その動物の「種」であったり、または風景だったり、そういったさまざまなものが本来持ちうる「孤独」に通ずるイメージなのかな。と。

それぞれの「孤独」が隣り合い、関係しあってだんだんと賑やかになっていく...ムラタさんの作品に描かれる動物や風景は、その最小単位(というとえらくムズカシい表現ですけど)のような気がしています。

今回の展示はその「孤独」を広い芝が包んでくれていいるような感じで、ムラタさんの作品のまた違う一面を引き出してくれているような印象です。

この展示のあとすぐに、移転したばかりのGALLERY SIDE2でも個展が控えているムラタさん。

少し前のポーラミュージアムアネックスでの暗めの空間に1点1点スポットを当てて空間に絵が浮かび上がっているようだった展示と今回のインスタレーションを経て、そこではどんなふうに感じるか俄然楽しみになってきます。

ムラタ有子@IID08

Art Camp 2007 第3期

ギャラリーヤマグチ クンストバウ

大阪府大阪市港区海岸通1-5-25 商船三井築港ビル地階

9/1(土)~9/13(木)

11:00~18:00(最終日:~17:00)

Art Camp07パンフ.jpg

Art Camp 2007 part 3

@Gallery Yamaguchi Kunst-Bau

1-5-25,Kaiganndori,Minato-ku,Osaka-shi,Osaka-fu

9/1(Sat)-9/13(Thu)

11:00-18:00(last:-17:00)

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会期中にフィーチャーされるすべてのクリエイションをチェックできないのが悔しい、2ヶ月間で30名を超えるアーティストを紹介する企画。

僕が伺ったのはその第3期。ART@AGNESなどでその名前は目にしていたものの、無論初めて伺ったギャラリーヤマグチ クンストバウの6つに分かれたキューブそれぞれに一人ずつがクリエイションを展開していました。

まず、入口も兼ねている最初のキューブには、小間井佑香さんの大判のタペストリー3連がお出迎え。

素材を確認してこなかったのですが、トレーシングペーパーのようにくすんだ透明のシートに、糸屑のような曲線と未来的な質感を放つ矩形の線とが混然となって視界を占める大きさで展開、さらにそれがわずかな風でも揺れて、不思議な風合いを醸し出していました。

Art Camp小間井佑香02

Art Camp小間井佑香01

続いて、その左のキューブへ。小間井さんのモノクロームの世界から一転、ぱっと明るい色彩が目に飛び込むオブジェを中央に、いろんな素材の作品が展示されています。こちらは大塚朝子さんの作品群。

この空間の主役は何といっても、ほぼ中央に立つ円盤。

何というか、「未確認歩行物体」みたいな不思議な雰囲気を放つ円盤が、実に鮮やかに彩られて空間に浮かんでいます。

その明るさに一瞬呆然とするも、よく眺めてるとそこにいろんなモチーフが織り込まれているのが分かって面白い!

Art Camp大塚朝子03 Art Camp大塚朝子04

Art Camp大塚朝子05

壁のちょっと上のほうに展示されていた何かの動物のようなかたちのシルエット。夕空の写真をコラージュし再構成した作品のようで、美しいです。

Art Camp大塚朝子01

Art Camp大塚朝子02

その反対側。

森糸沙樹さんのリトグラフとアクリルの作品。

ドットが奏でるリズミカルな楽しさがまず伝わって、そこからだんだんと描かれるモチーフのフォルムが浮かび上がってきます。

ちょっと明度を落としたような優しい質感の色彩もいい感じです。

Art Camp森糸沙樹05

アクリルの作品。壁に設置された棚の上に立てて置かれた透明のアクリル板に、透明のドットでいろんなモチーフが描かれています。ジェルに絵の具を本の少し混ぜた素材の透明の質感と、じょうろや牛乳瓶など登場するモチーフの質感とが合っていて、瑞々しさが気持ちいい!

正面から観ると、透明のドットで描かれたモチーフのかたちが美しく現れています。

Art Camp森糸沙樹01

で、展示の形式からだと裏からも見ることができたのですが、これが結構グロテスクというか...(汗)。

盛り上がる粒が、素材感を全面に押し出して結構違う雰囲気が強く漂います。

Art Camp森糸沙樹02

リトグラフのドライな感じがこちらの作品の水分を含んだような質感を引き立てていました。

Art Camp森糸沙樹03

Art Camp森糸沙樹04

辰巳嘉彦さんの作品は、さまざまな大きさの正方形の画面に白色が広がり、さらにそこにドットやパターンなどが画面から盛り上がって展開しています。

海、空、水平線など、具体的な風景のイメージが沸き上がる面白さ。

Art Camp辰巳嘉彦01

この盛り上げの下には、下地をペンで描かれているそうで、それが上に乗るジェッソの水分に滲んでわずかに黒が画面に染み出て、ユニークなグラデーションをもたらしています。

また、ドットやパターンが画面上で繰り返されるリズミカルな面白さと、そのかたちのひとつひとつが違っているアナログ感が放つ面白さと。

Art Camp辰巳嘉彦03 Art Camp辰巳嘉彦02

Art Camp辰巳嘉彦04

岡田聡美さんの不思議な雰囲気のインスタレーション、トプシドウ・オリンピアさんの映像作品も。

時間的な余裕がなくてその面白さをしっかりと捉えられなかったのが残念なのですが、ユーモアや深遠さなどは伝わってきました。

持塚三樹「イト」

MISAKO & ROSEN

東京都豊島区北大塚3-27-6 1F

8/27(月)~9/23(日)月祝休

12:00~19:00(日:~17:00)

持塚三樹8/27DM.jpg

Miki MOchizuka "ITO"

@MISAKO & ROSEN

3-27-6-1F,Kita-otsuka.Toshima-ku,Tokyo

8/27(Mon)-9/23(Sun) closed on Monday

12:00-19:00 (Sun:-17:00)

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軽やかに広がるメルヘンチックな色彩。

MISAKO & ROSENでの持塚三樹さんの個展です。

一日の「朝・昼・夜」それぞれの表情を描いた作品やインスタレーションが、階段があるユニークな空間のそこかしこにちりばめられています。

今回の展示で一番大きな作品に描かれているのは、夜。

視界のほとんどを占めてしまうほどの画面に広がるブルーの夜空。ぱっと目にしたときにストレートにもたらされる夜のイメージに始まり、まるで闇に目が慣れていくかのように、その夜の光景の中に織り込まれるさまざまなモチーフが浮かび上がってきます。

それぞれがなんともかわいらしく、その場面のワンポイントのようにきらめいていたり、仄かに灯るようだったり。

持塚三樹03 持塚三樹02 持塚三樹04

持塚三樹01

明るい時間を現した作品。

さわさわと降るように描かれる木々の枝のシルエットが折り重なり、濃い色彩のシルエットは夜の残り香を感じさせ、向こうへと行くに従って明るくて淡い色彩の木々や動物たちなどのシルエットが見えて、朝がやってくる様子が現されているような感じもします。

同時に、画面に散らばる黄色の飛沫が立ち篭める空気の様子にも思えて、不思議な高揚感が心の中に広がります。

持塚三樹06 持塚三樹07 持塚三樹08

持塚三樹05

各所に配されたインスタレーション的な展開もキュートです。

この空間の大きなアクセントとなっている隅っこの柱のあたりでさりげなく繰り広げられている世界。

持塚三樹09

夜の闇を引きずる真っ黒の家のオブジェ、昨日のシーンを表面に浮かべているかのような雲。

それぞれがこの入り組んだポジションに楽しいアクセントをもたらしています。

持塚三樹11 持塚三樹12

そして、なによりかわいいのが...

持塚三樹10

隅っこの隙き間から顔を覗かせてる犬〔・・・だと思うのですが...)。

人に見つかるのが恥ずかしいような感じに、ちょこんと佇んでいて、それでいてこちらを覗き込むような仕草が好奇心を現しているようにも感じられて...。

持塚三樹13

奥の小さなスペースにぎゅっと展示された小品や、カウンターに置かれたオブジェなども素敵です。

それぞれの作品で、例えば妖精のような、ファンタジーの世界を彩るキャラクターが行き交っているかのような、子供の頃に思い浮かべてワクワクしたような景色に通ずる匂いが軽やかに放たれている印象です。

附随する物語もいろいろと思い浮かんできます。

観賞後の清々しさも心地よい、素敵な展覧会です。

持塚三樹14

《9/3》

山田朗子 写真展

コダック フォトサロン ギャラリー1

東京都中央区銀座6-4-1 東海堂銀座ビル3F

8/29(水)~9/4(火)日休

10:00~18:00(最終日:~15:00)

山田朗子8/29DM.jpg

人が登場しない、自然の風景を捉えた写真。

その多くに、地平線もしくは水平線が取り込まれ、その線が画面の同じ高さに揃えてあって、自然の光景が並ぶ展示室の中に幾何学的なリズムが感じられるユニークな展開が印象に残っています。杉本博司の「海景」のも通ずる風合い。

そして、作品1点1点に収められた風景の高大さにも強く惹かれました。

閉館直前に伺い、それなりの時間を費やして拝見することはできたのですが、もっとゆっくり観たかったなぁ、と...。

坪谷彩子 個展 森を抜けて

art space kimura ASK?

東京都中央区京橋3-6-5 木邑ビル2F

9/3(月)~9/8(土)

11:30~19:00(最終日:~17:00)

坪谷彩子9/3DM.jpg

横長の画面にプリントされた、グリーンと黄色が鮮やかなたくさんの葉。

白い画面に生える葉脈の線が奏でるパターンの面白さや、何といっても申し分ない爽やかな雰囲気が印象的でした。

彩虹展 ~七人のいろどり~ 泉東臣、小林英且、高橋浩規、田宮話子、永井夏夕、名古屋剛志、日根野裕美

ギャラリーアートもりもと

東京都中央区銀座3-7-20 銀座日本料理会館2F

9/3(月)~9/15(土)日休

10:30~18:30

彩光展9/3DM.jpg

僕にとっておなじみの、芸大デザイン科修了のアーティスト7名がクレジットされている展覧会です。

それぞれの見どころに大いに満足なのですが、特に印象的なのが、まず小林英且さん。ひとつの作品の色彩に統一感がもたらされ、以前からの精緻な彫り込みの表現による女性の髪の細やかな流れや表情、そしてその場面の雰囲気に今まで以上に深みが感じられます。

名古屋剛志さんの金魚をモチーフにした作品も良いです。水の中を揺らぐ金魚の鰭の艶やかさに見愡れます。

第2回 竹ノ輪展 自分らしく秋の夜長を過ごすひとつの提案

銀座幸伸ギャラリー

東京都中央区銀座7-7-1 幸伸ビル2F

9/3(月)~9/8(土)

11:00~19:00(初日:13:00~、最終日:~17:00)

竹ノ輪展9/3DM.jpg

個人的にもお世話になっている竹ノ輪の企画展。

安岡亜蘭さんのプリントの作品、天野由美子さんの白いチムニ-、末宗美香子さんのいつもと若干テイストが違ってキュビズム的なアレンジが面白い肖像など、作品それぞれの見どころに加え、リビングルームを演出した展示会場、習字などで遊べるインタラクティブさなど、竹ノ輪らしい遊び心がこもったおもてなしが堪らない展覧会でした。

《9/4》

佐野研二郎 ギンザ・サローネ

ギンザ・グラフィック・ギャラリー

東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F

9/4(火)~9/29(土)日祝休

11:00~19:00(土:~18:00)

佐野研二郎 .gif

何よりもまず、思い浮かんだアイデアをこのクオリティでサンプル紹介できることがうらやましい!

そして、そのアイテムに込められたユーモアがまた堪らない!

ひとつひとつを眺めているだけで楽しい気持ちが盛り上がります。

《9/7》

Lee Ji-Hyun展

ギャラリー新居 東京店

東京都中央区銀座6-4-7 いらか銀座ビル5F

9/7(金)~9/22(土)日祝休

11:00~19:00(土:~18:00)

Lee Ji-Hyun9/7DM.jpg

緻密にほぐされたペーパーバック、楽譜、本、そして写真。

制作方法やそのアプローチだけを知るとアバンギャルドなイメージでいっぱいになるのですが、実際に作品を観てみると、実にあたたかい、やわらかい質感が印象的です。

貌[ヴィサージュ]佐藤秀貴×澤柳英行×丸橋伴晃

ヴァイスフェルト

東京都港区六本木6-8-14 コンプレックスビル北館3F

9/7(金)~9/29(土)日月祝休

11:00~19:00

貌9/7DM.jpg

3者3様の表現がひとつの空間にパッケージされた展覧会。

佐藤秀貴さんの硬質な髪のタブロー、金属板に開けられ、整然と並ぶ無数の穴が絵になって見える澤柳英行さんのオブジェ、そして、丸橋伴晃さんのいつもより演出された写真、しかし演出されることでその女の子たちの「素」がより伝わってくるような感じが面白いです。

ムラタ有子 nowhere picnic

IID GALLERY

東京都世田谷区池尻2-4-5 IID 世田谷ものづくり学校1F

9/7(金)~9/24(月)月休(月祝の場合開館、翌火休)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

ムラタ有子9/7DM.jpg

気持ちいい...。

寝転がって、ムラタさんの描く風景や動物たちを眺めていたい、そんな素敵なインスタレーション。

《9/8》

大阪、初。

観たい展示が重なり、「思い立ったが吉日」的なノリで行ってきました。

田中朝子展

ノマル・プロジェクトスペース キューブ&ロフト

大阪府大阪市城東区永田3-5-22

9/1(土)~9/29(土)日祝休

11:00~19:00(土:13:00~19:00)

田中朝子9/1DM.jpg

水中に沈められたさまざまなアイテム。

普段の日の光では見せてくれない表情が捉えられているような感じがして。

Art Camp 2007 第3期

ギャラリーヤマグチ クンストバウ

大阪府大阪市港区海岸通1-5-25 商船三井築港ビル地階

9/1(土)~9/13(木)

11:00~18:00(最終日:~17:00)

Art Camp07パンフ.jpg

4期に渡って開催される、若手作家を紹介する企画、この週は第3期の展示が行われていました。

6つのキューブが重なる空間に一人ずつのアーティストがフィーチャ-され、個性を発揮しています。

木村友紀 "FORGETTING RANGE"

児玉画廊

大阪府大阪市中央区備後町4-2-10 丸信ビル2F

9/8(土)~10/20(土)日月祝休

11:00~19:00

木村友紀9/8DM.jpg

昨年はTAKA ISHII GALLERYで個展を開催された木村友紀さん。

今回は、一部がモノクロームに加工された古い写真を中心に、「ありのまま」感が醸し出す味わいのなかに、色がフェードンしている箇所などのアクセントが独特のインスタレーションも。

モノクロームとカラーの狭間からは、歪んだ時間の流れのようなものをイメージし、写真の中で広がっている光景がなんとも不思議に感じられてきて興味深いです。

ryuta iida [Fact of accumlation 07] 蓄積の事実

graf media gm

大阪府大阪市北区中之島4-1-18

9/8(土)~10/14(日)月・10/3休

12:00~20:00

飯田竜太9/8DM.jpg

面白い!

飯田さんの魅力がいかんなく発揮されたインスタレーション。

複雑なつくりの空間を見事に飯田さんのカラーに染め上げています。

久保昌由展

GALLERY wks.

大阪府大阪市北区西天満3-14-26 中之島ロワイヤルハイツ11F 1103

9/3(月)~9/15(土)日休

11:00~19:00(土:~17:00)

久保昌由9/3DM.jpg

マンションの11階にあるギャラリー。

閉廊時間を過ぎていたのですが、無理をいって開けていただきました。感謝です。

入ると、温かみのある有機的なパターンが展開する作品がお出迎え。

久保昌由04 久保昌由05

そして、メインの空間へ。こちらには2作品が展示されていて、そのうちのひとつは横長に展開する大作。

まず、グリーンのグラデーションがかっこいい!

さらに、3つの壁を跨ぐダイナミックな展開とうねるようなモチーフが動線を生み出していて、歩いて画面沿いに動きながら眺めているとまるで静止した動画のような風合いが。

久保昌由02 久保昌由03

久保昌由01

居城純子展 もうわかっていたことなのに、言葉になるのはずっとあと

PANTALOON

大阪府大阪市北区中津3-17-14

9/1(土)~9/30(日)月火休

18:00~22:00(土日:12:00~19:00)

居城純子9/1DM.jpg

地図を見ながらでも心配になってくるほどに細い路地を通って辿り着くPANTALOON

こちらでは、一昨年のVOCA展拝見し、強く印象に残っているアーティストのひとり、居城純子さんのキュートでダイナミックなインスタレーションが繰り広げられています。

大西康明 inner skin

neutron

京都府京都市中京区三条通烏丸西入ル 文椿ビルヂング2F

9/4(火)~9/16(日)

18:00~22:00(土日:12:00~19:00)

大西康明9/4DM.jpg

遅くまで開いているのに甘えて、京都で途中下車、つい先日b.TOKYOでの個展を拝見した大西康明さんの個展です。

ガラス張りの空間に展示されているのは1点だけ。白くて薄い外のカバーに映り出すキラキラとした光の残像。それらは高速でカバーの表面を回転しています。

カバーの中を見ると、そこに機器があるのですが、ほぼ機能のみを追求されているからこその美しさ、かわいらしさが印象的です。

すごく遠くから観てみたい、そんなインスタレーションです。

《9/9》

立体7人展 vol.16

GALLERY 52

東京都千代田区飯田橋3-2-12

8/31(金)~9/11(火)木休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

立体7人展vol.16.jpg

7名の立体のアーティストがフィーチャ-されている展覧会、なかでも既知の二人の作品が印象的です。

まず、いしばしめぐみさんのFRP作品。

棚の上にまずひとり。

立体7人展いしばしめぐみ01

・・・・・。

よ、

よ、

よく立ってるなオイ!!!Σ( ̄口 ̄;)

見事すぎる爪先立ち。

ホントに支えがないのに驚愕。

立体7人展いしばしめぐみ02

もう一体は、ふたつの顔を持つオブジェ、迫力の顔に圧倒されまくり(汗)。

立体7人展いしばしめぐみ04

立体7人展いしばしめぐみ03

一転、長田堅二郎さんの作品は、素材そのものが放つ白と、繊細なフォルムが印象的です。

骨状のグラス、かっこいい...。

立体7人展長田堅二郎02

立体7人展長田堅二郎01

再興 第92回 院展

東京都美術館

東京都台東区上野公園8-36

9/1(土)~9/16(日)

9:00~17:00(最終日:~15:00)

秋の院展、先週は間に合わなかったのでこの日曜日にあらためて。

好きな日本画家の渾身の大作が観られるので楽しみなのですが、今回も圧倒されました。

川瀬伊人さん、久々のカフェテリアをモチーフとした作品。極力抑えられた色彩感、人が通るあたりの場所に描かれる墨のスプレッドと、そこにさらに施される稜線がクールさを醸し出しています。

立木美江さん、花の脈や樹皮の表面などが徹底して細やかに再現され、そのパルスが画面いっぱいに広がって、連綿と続く花鳥画に現代的な感性が滲みます。

松下雅寿さんが描く夜明けを思わせる闇とそこに浮かび上がる激しい川の流れの力強さ。

中本千絵さんのリズミカルな作品は、この展覧会のかわいらしいアクセントとなっています。全面を覆うグレー、その隙き間から覗くピンクやブルーの線、明るい黄色にさまざまな色が弾ける色面。そのなかを、青と赤の彩りが印象的なおもちゃが行き交っています。ほっこりとした楽しい雰囲気がいい感じです。

荒木恵信さんは、日常のありふれた光景を描いています。画面を凹ませた線と、手描きの稜線とが重なり、思う時間と流れる時間の差を現しているかのよう。じっくりと眺めていると、だんだんと、ゆるやかに、場面の空気が伝わってきます。

加來万周さん、相変わらずの重厚さ。ほぼ黒と金色のグラデーションと精緻な盛り上げで描き出される、横たわる女性。全体が放つ神々しさと、至近で眺めたときに分かる細やかさと、どちらからの視点でも充分な見応えを提供しています。

廣瀬貴洋さんは、ネガポジが反転したような印象を受ける色彩で染め上げられた熱帯魚や周りを覆う珊瑚の迫力と、その鱗のパターンなどにおける精緻さ、そしてその背景に垣間見える南太平洋の地図。描かれるモチーフが複雑に絡んで、ユニークな世界を作り上げています。

都市との対話 Dialogue with the city

BankART Studio NYK

神奈川県横浜市中区海岸通3-9

9/1(土)~9/17(月)

11:30~19:00

都市との対話パンフ.jpg

Dialogue with the city

@BankART Studio NYK

3-9,Kaiganndori,Naka-ku,.Yokohama-shi,Kanagawa-ken

9/1(Sat)-9/17(Mon)

11:30-19:00

Google Translate(to English)

橋本誠さんのキュレーションによる、作品のテーマにさまざまな角度で「都市」の一面を表現するアーティストを揃えた企画、初日にさっそく行ってきました。

この日はかなりの数の展覧会がオープニングを迎えた日だったこともあり、正午頃にBankART NYKに着き、まだ搬入・作業の余韻が残るなか、鑑賞開始。

ユニークなインスタレーションアーティストが多くクレジットされる中、最初に出迎えてくれた作品は山下律子さんのペインティングでした。

都市との対話 山下律子02

暗がりの中に浮かび上がる、独特のテクスチャーの油彩の作品。

画面に彫られたように展開する細かい線、そこに擦り込まれる色彩。表面の薄いベージュ色と筋のオレンジっぽい色、ギリギリのコントラストで、実に精緻にある風景が描かれています。

頭部の髪をオミットして登場する人物の性別が曖昧になり、描かれる光景の再現度はそれを覗くと相当に写実的でありながらも、その人物が醸し出すフィクショナルな肌触りが独特の奥深さをもたらしているように感じられます。

都市との対話 山下律子03 都市との対話 山下律子04

とにかく個性的なテクスチャーは見応えがあります。

画面の凹凸が放つ立体感を、至近で凝視し、作品の物質的なかっこよさに強く惹かれるんです。

都市との対話 山下律子05

展示スペースの中央部にも、過去の作品が数点展示されていて、線の色が違うときのもたらされる絵の雰囲気の変化、それでも損なわれない統一感等、いろんな角度で味わえるクリエイションです。

都市との対話 山下律子01

映像アーティストのカトウチカさん。

カトウさんが取る映像は、いつもさりげない...。

パーテーションで作られた細長くて狭い空間の奥で流れる作品、いくつかの場面を繋いだだけのシンプルな編集で、淡々と綴られる時間。それ以上でもそれ以下でもない、ありのままの「何か」が提供され、そこで時間を過ごしているとこちらも様々な意思や意図が削がれていくような感触。

都市との対話 カトウチカ03

その、川面だけを取ったりしたような何の変哲もない映像を、敢えて日常感を現したかのようなインスタレーションの中で、通り過ぎただけでは気付かないほどにさりげなく映し出されているものも。

なんだろう、このほっとする感じ...。

都市との対話 カトウチカ01

細長く綴られたスナップの作品も。

都市との対話 カトウチカ02

展示会場に入って、設営の残り香のようなものを感じてた理由は、インスタレーションユニットのパラモデルの公開制作のせいでした。

天井や壁を縦横に走る青いプラスチックのレール。僕が伺った時間は早かったこともあり、まだまだ箱の中にはこれから取り付けられようとしているプラレールでいっぱい。

公開制作は会期のはじめの頃しばらく続いていたようなので、今はきっと、もっと空間をびっしりとレールが覆っているのかな、と思うとまた見に行きたくなってきます。

都市との対話 パラモデル02 都市との対話 パラモデル03

まさに、進化し蠢く都市のイメージを表現したインスタレーション、童心にもかえって、楽しくアグレッシブな印象を受けます。

都市との対話 パラモデル01

圧巻の黒。

塩津淳司さんの大作です。

塩津さんといえば、フューチャリスティックでダイナミックなインスタレーション、ギャラリー山口B1やタマビの企画などで観た作品が強く印象に残っているのですが、今回は広い壁一面を覆う、これまでとはひと味違うダイナミックさが溢れる作品。

都市との対話 塩津淳司01

磨かれ、擦られた表面。

磨かれた部分はその前にあるあらゆるものを飲み込むように映し出し、スクラッチ部分は何かの残像が刹那的に現れていくようなスピード感や、どこか殺伐としたかっこよさが感じられます。

都市との対話 塩津淳司04 都市との対話 塩津淳司03

すぐ側にはガラス張りの壁、自然光が遠慮会釈なく入り込む空間での展示だけに、時間帯によって雰囲気も激変してそう。夜に改めて体感してみたい空間です。

都市との対話 塩津淳司02

岩田とも子さんのインスタレーションは、細い白の角材を組み上げて、建物のようなオブジェを床一面に配したインスタレーション。

都市との対話 岩田とも子01

都市との対話 岩田とも子02

その奥の部屋では、狩野哲郎さんの日常を切り取り、大きな印画紙に小さくプリントして空間的なユニークさがもたらされた作品が。

都市との対話 狩野哲郎02

都市との対話 狩野哲郎01

個人的に、今回の展覧会でもっとも楽しみにしていたのは、西野壮平さんのコラージュ写真。

art and river bankで開催されたファイルでのレコメンデーションのときに拝見し、ずっと実際の作品で観てみたいと思っていたのですが、やはりあのサイズで実際に眼前にあらわれると、うねるように組み上げられたまちの風景とその迫力に圧倒されます。

都市との対話 西野壮平01

都市を構成する様々な建造物。

それらの正面、あるいは斜め上の位置から撮影したものをカットし構築して再び1枚の写真で提示。

画面の至る所でミニマムに繰り広げられている都市の時間が放つ熱をも凝縮され、静止画の連続が骨太な時間の経過となって迫ります。

また、モノクロームなのもイメージを掻き立てます。様々な色彩をひとつのトーンで強引に纏めてしまったかのような力技にも凄みを感じます。

とにかく見応え充分です。

都市との対話 西野壮平04 都市との対話 西野壮平03 都市との対話 西野壮平05

都市との対話 西野壮平02

横浜での展覧会を終えたら神戸へと巡回するこの企画。

空間との関係性で作品の表情が変化するクリエイションで詰まっているだけに、神戸での展示を見に行くのが難しいのが残念。

しかし、斬新な角度やアプローチで表現され他都市の様々な表情にはひとつひとつに引き込まれていって、満足の展覧会です。

月刊ギャラリー9月号の展覧会案内を担当いたしました。

眼差しと好奇心 vol.2

ギャラリーエス

東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエスビル1階

8/30(木)~9/15(日)月休

11:00~19:00

ギャラリーエス パンフ.jpg

Curious Look vol.2

Gallery ES

5-46-13-1F,Jingumae,Shibuya-ku,Tokyo

8/30(Thu)-9/15(Sun) closed on Monday

11:00-19:00

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昨年は、ミヅマ・アクションで8名のアーティストを紹介した企画の第2弾。

ART AWARD TOKYOに参加されていたアーティストを中心に5名、すべて女性のアーティストのユニークなクリエイションがダイナミックにパッケージされています。

ギャラリーに着いて、ガラス張りの中を眺めると否応なく目に飛び込んでくる大きなギフトボックス。

白い箱に鮮やかな赤のリボン。そしてその上には女の子の上半身がふたつ。

ART AWARD TOKYOで大きな靴の中に女の子がすっぽりと入っていた作品で通る人々の度胆を抜いた、岩本愛子さんの作品です。

眼差しと好奇心 岩本愛子01

一瞬見るとまるで本当に人がそこにいるかのようなリアルさには心底ぎょっとさせられます。

肌の艶や髪など、臨場感は抜群です。

岩本さんともいろいろとお話しすることができたのですが、その上で受けた僕の印象では、この作品はオブジェというよりもむしろパフォーマンス的。自らを象った女の子の像に、実際は演じることが不可能なシチュエーションを再現しているような感じです。

・・・にしても、この精度すごいです。

眼差しと好奇心 岩本愛子03 眼差しと好奇心 岩本愛子04

眼差しと好奇心 岩本愛子02

ART AWARD TOKYOではパスタのインスタレーションを出品し、グランプリに輝いた荒神明香さん。

こちらはグラフィカルな展開が鮮やかなインスタレーションが繰り広げられています。

空に浮く色とりどりのパターン、およそ目の高さの辺りでちょうど対照的になるように設置されていて、いくつかのパターンの重なりが角度を変えて眺めるごとにさまざまな表情を見せてくれます。

眼差しと好奇心 荒神明香04 眼差しと好奇心 荒神明香02 眼差しと好奇心 荒神明香03

よくよく考えると、水平にそろえるのは結構難儀なように感じられ、あらためて感服。

新宿のとあるウィンドウギャラリーでも今月下旬から作品が展示されるそう、こちらも楽しみ。

眼差しと好奇心 荒神明香01

今回の作品とART AWARD TOKYOでのパスタの作品とを観て感じたのですが、 荒神さんのインスタレーションは、その作品そのものは原始的なアイデアのみを具現化したシンプルなものなのですが、そこに意図的か無意識にか、副次的な要素が入り込むポテンシャルがものすごい感じがします。

パスタのインスタレーションも、ART AWARD TOKYOのパンフレットか何かで観た暗い中で発光するように見え、素材そのものの可能性を軽々と越えたフューチャリスティックな風合いは、小さな画像でしか確認し庭内にもかかわらずスケールの大きな創造が湧いたのは結構なインパクトで心に残っています。今回の作品も、そのユニークな可変性はいろんなシチュエーションで活かされるような気がします。

藤田桃子さんの作品は、重厚な色彩と複雑なマチエルが画面を覆う平面の作品です。

コンテンポラリーアートの企画にまぎれると、もしかしたら日本画的な感性では比較的オーソドックスなアプローチにも思える感触も、ユニークさがより際立って感じられるのはたいへん興味深いです。

眼差しと好奇心 藤田桃子04

盛り上げの技術を駆使し、立体的に作り込まれた画面に登場するさまざまな生き物のリアルさは眺めていて意識をぐんと引き込みます。

岩本さん、荒神さんの華やかな色彩の作品と対照的に、「陰」の力が充満しているかのような、力強いクリエイションです。

眼差しと好奇心 藤田桃子02 眼差しと好奇心 藤田桃子03

眼差しと好奇心 藤田桃子01

モノクロームである場面をていねいに再現する野田仁美さん。

素材の持つやわらかさと適度な荒さによってあらわれるふわりと霞むような感触は、レイドバックした雰囲気を演出しているようで印象的です。

加えて、モノトーンのシンプルな色彩の画面には自然に奇妙なアクセントが潜んでいて、その奇妙さに気付くと結構なインパクトを感じます。描かれる場面の時間に、別の流れの時間が交差しているかのような。。。

タブローと、リトグラフの作品とが出品されています。

眼差しと好奇心 野田仁美01

眼差しと好奇心 野田仁美02

塋水亜樹さんの作品は、まず大きな画面の平面作品に目が向かいます。

画面に無数の白いドットが広がり、ベ-ジュ色の下地に淡い像が浮き上がります。

カなりの大きさの作品であるにも関らず、重たさをまったく感じさせず、雪とか綿毛とか、仄かで繊細亞んものに包まれるような気分して、なんとも心地よかったりします。

眼差しと好奇心 塋水亜樹03 眼差しと好奇心 塋水亜樹02

眼差しと好奇心 塋水亜樹01

台の上にはちいさなオブジェが。

白さがそのまま、清さや爽やかさ、かわいらしさを創出しているように感じられ、もちろん触らないのですが、手のひらに乗せて眺めてみたくなるような愛らしさが溢れているよう。

眼差しと好奇心 塋水亜樹04

塋水さんの作品もこれまでに何度か拝見しているのですが、もたらされるイメージはシチュエーションや気分で大きく変化します。「白」と「ドット」とで繰り広げられる世界は、今回のようにかわいらしくい案じられることもあれば、逆に「怖さ」のようなイメージが湧いてきたり、凝縮、拡散、それぞれの印象を感じたり...。

それぞれ相当な完成度を感じさせながらも、これからどうなっていくんだろう、という、新たな「好奇心」も湧いてきます。

テイクオフし続けるクリエイション、一体何所まで高みや深みが追求されていくのか、興味津々です。

Atsuko Imaizumi "woman"

WADA FINE ARTS

東京都中央区築地3-2-5 第2平和田ビル

8/28(火)~9/14(金)日月祝休

11:00~19:00

今泉敦子8/28DM.jpg

Atsuko Imaizumi "woman"

@WADA FINE ARTS

3-2-5,Tsukiji,Chuo-ku,Tokyo

8/28(Tue)-9/14(Fri) Closed on Sundays,Mondays and National holidays

11:00-19:00

Google Translate(to English)

独特のフォルムの女性。

深く鮮やかな青で描かれる空。

それらによって醸し出される、中世的な雰囲気と未来的な風合いが不思議なバランスで混ざりあった独特の世界。

WADA FINE ARTSで開催されている今泉敦子さんの個展です。

コンパクトなスペースを、壮大なイメージを抱かせる色彩と構成で描かれた作品が囲んでいます。

今泉敦子04

おそらく油彩とテンペラとの混合技法によって、どこか古めかしさをたたえつつ、大きなスケールで描き上げられた壮大な風景。そこで空を飛んだり悠然と歩いたりしながら、自由さを発散させている独特なスタイルの女性たち。

楕円形の顔の輪郭と小さな目、鼻、口で描かれ、それに加えてなんとな彫像的な感触を抱かせるグレーの肌の色で描かれる女性を観ていると、有元利夫の絵画に登場する人物を観て思い浮かぶ中世的なイメージに通ずる感覚が沸き上がってきます。

大きな画面にはそういった女性たちがたくさん登場していますが、それぞれが互いに関係するような印象は抱かず、それでいて絵のなかの1人1人は広大な景色の中での孤独に身を置くことを自然に受け入れているような懐の深さを醸し出しているようで、寂しさというより、むしろ優しげなシュール感が漂ってきます。

今泉敦子08 今泉敦子09 今泉敦子07

今泉敦子06

それぞれの作品のシチュエーションもたいへん興味深いです。

建築物らしきものはおろか、他の静物の存在さえも見受けられない風景に、何故か置かれているテーブルに付く女性の仕草、相当にシュールな状況であるはずなのに、むしろこの違和感が心地よく思えてくるほどの収まりの良さに思わず笑みもこぼれます。

浮き輪に水着に水泳帽、どれだけ歩けば泳げる場所へたどり着けるのかイメージできないのですが、そこへ向かっている淡々とした雰囲気にもまったく迷いが感じられないんです。

それぞれの作品での場面は実に自然に感じられるのはたいへん興味深いです。

今泉敦子03 今泉敦子05

今泉敦子02

縮尺の自在さも痛快です。

現代的な斬新さ、展開や構成の思い切りの良さは今泉さんの作品の様々な箇所から感じ取れますが、それでいてたいへん穏やかで、変な表現ですが、「新しすぎない新しさ」と「古すぎない古めかしさ」とが絶妙の塩梅で絵のなかに込められているような感じで、時間が許せばじばらく今泉さんの絵の世界に心を委ねて、難しいことを考えずにただただその雰囲気に浸って和んでいたい、そういう思いも湧いてきます。

今泉敦子01

笛田亜希展 Animaless Zoo Project #004 -INOKASHIRA-

ガレリアグラフィカbis

東京都中央区銀座6-13-4 銀座S2ビル1階

8/27(月)~9/8(土)日休

11:00~19:00

笛田亜希8/27DM.jpg

Aki Fueta Animaless Zoo Project #004 -INOKASHIRA-

@Galleria Grafica bis

6-13-4,Ginza.Chuo-ku,Tokyo

8/27(Mon)-9/8(Sat) closed om Sunday

11:00-19:00

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井の頭動物公園に実際にいる動物達やその光景をモチーフに制作されたタブローや立体作品が配された展覧会です。

これがなかなか、ユニークな面白味をたたえていていい感じ。

まず、入口左手のちょっと高い位置に展示された絵。

他の平面作品が油彩なのにたいして、これだけ笛田さんご自身で作った顔料を用いて描かれています。

空の青の透明感が印象的で、至近で見ると手で砕いた顔料の粒子の素材感や紙の質感もリアルに伝わってきます。

広くて透明な空と、その空の下を悠然と歩む像。独特の雰囲気をもった、スケールが大きな作品です。

笛田亜希02

笛田亜希01

その向かいの壁に並ぶ油彩の平面作品。

ぼやけたような風合いに描かれた光景のなかに、無機的な三次元の表現でデフォルメされて描かれた動物達が佇みます。

くっきりとした線と幾何学的にも思えるフォルム、それと背景の曖昧さが放つコントラストも印象に残ります。

笛田亜希04 笛田亜希03

笛田亜希05

入口すぐのところには、ゾウ。

粘土で造形され、それを樹脂でコーティングされた作品。

何層にも重なる透明な樹脂の層と層の間に滲む粘土の油分が、ゾウがいる場所の空気を、あるいはそのゾウを思い描いたときのぼやけた残像を表しているかのよう。

なかのゾウも実にていねいに作り込まれていて、それぞれの角度から眺めてみても見応えがあるんです。

笛田亜希06

笛田亜希08 笛田亜希09

笛田亜希07

そして、正面の壁とその手前にはツルが。

奥の絵には2羽のツルが歩く姿が描かれています。

手前の立体作品は、その仕上げのていねいさとすっきりとしたフォルムに凛とした風合いが感じられます。

一度つがいになったら生涯ずっといっしょというツル。立体になっているツルは雌で、そのつがいの雄は実際は亡くなっていて、その面影は立体のツルのからだ部分に、首を畳んで丸まっている姿で再現されています。

そう思ってみると、なんとも奥深い印象を受けます。

絵と立体のツルは別のものだそう。

キャプションでは種類も違うようです。

笛田亜希10

笛田亜希11

それぞれのキャプションにはその動物の種類なども動物園さながらに書かれていて面白いです。

ギャラリーなつかで開催されている、ふたつの個展。

女性の銅版画家が、それぞれ個性的なモノクロームの世界を展開しています。

豊泉綾乃展

ギャラリーなつか

東京都中央区銀座5-8-17 GINZA PLAZA58 8F

8/27(月)~9/8(土)日休

11:30~18:30(最終日:~17:30)

豊泉綾乃8/27DM.jpg

Ayano Toyoizumi Exhibition

GALLERY NATSUKA

5-8-17-8F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

8/27(Mon)-9/8(Sat) closed on Sunday

11:30-18:30(Last Day:-17:30)

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豊泉さんの作品を初めて拝見したのは、ギャラリー巡りを初めて間もないの頃に偶然伺ったグループ展でした。7名ほどの学生の版画作品が展示されているなかで、消えていく、しかし消えてしまわない記憶を思わせる、どこかざらりとした感触のモノクロームの風景は印象的で、以来折りに触れてチェックする機会にも恵まれてきました。

なかでもエポックメイキングだったのはやはり2006年のVOCA展。

僕の記憶では、縦3×横4の12面の構成でどこまでも向こうへと続くような風景を描き出していて、そのスケールの大きさに圧倒されるというより、独特の静謐に包まれるような感覚があって、以来、さらに豊泉さんがつくり出す景色に深みを感じるようになった次第で。

今回の個展でも、豊泉さんのスタンダードであるスクエアの画面の大判の作品が並び、観る者の意識を記憶のなかに潜む少し淋しげな孤独へと誘う世界が広がっています。

豊泉綾乃06

豊泉綾乃05

これまでは広がる海を思わせるものが多かったのですが、今回は滝を表現した作品があり、これまでの遠くへと続いていく光景と異なって眼前に立ちはだかるように佇んでいます。

4枚の構成による作品は、その大きさが放つ壮大さと、独特の静けさが縦の動線で迫る感触が印象的です。

豊泉綾乃04 豊泉綾乃03

豊泉綾乃02

縦に2面を列ねた作品も、その縦の動線がさらに強調され、これまで感じられなかった静謐なダイナミズムが感じられて新鮮です。

豊泉綾乃01

版の腐食を行わないドライポイントというもっとも原始的な手法で描き出される豊泉さんのモノクロームの風景。腐食を行わないぶん、版の耐久性も弱く、そのぶん、1回1回の刷る行為に対する思い入れの強さも

伝わってくるような気がして、絵の残像を探るような質感が放つスケールの大きさと同時に深い繊細さも感じられます。

Landscape 山岡夏子

ギャラリーなつかb.p

東京都中央区銀座5-8-17 GINZA PLAZA58 8F

8/27(月)~9/8(土)日休

11:30~18:30(最終日:~17:30)

山岡夏子8/27DM.jpg

Landscape Natsuko Yamaoka

@GALLERY NATSUKA b.p

5-8-17-8F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

8/27(Mon)-9/8(Sat) closed on Sunday

11:30-18:30(Last Day:-17:30)

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豊泉さんの有機的な風合いと対照的に、山岡さんの銅版画は、幾何学的な構成が印象的です。

その細かい方形が画面の隅々まで隙なく展開される画面によってミニマムなリズムが作りあげられています。

全体を俯瞰したときに延々と同じパターンをリピートするような無機的な迫力に圧倒される一方で、至近で改めて眺めると、窓のようなスクエアのなかのグラデーションがひとつひとつ異なっていることに興味が向かいます。無機的だと思われていた眼前の光景に、有機的なイメージが重なります。

山岡夏子06 山岡夏子05

山岡夏子07

小さな作品は、幾何学的な構成の他に、夜景を思わせる作品も。

まるで闇に立ち上がる夜景のよう。インクが乗らない部分が発光しているように感じられ、それがまたインクの黒の深みをさらに際立たせているように感じられます。

小さな画面のなかから壮大なスケールを放っています。

山岡夏子04 山岡夏子01 山岡夏子03

山岡夏子02

しかし、このパターンが銅版によって描き出されていることに改めて感服です。

至近で観てみると、版の凹凸が立体的に画面に表されていて、そのような視点でも見応え充分です。

山岡夏子08

二人の作品のコントラストもたいへん興味深いです。どちらも1版で作り上げられるモノクロームの銅版画。

この手法の幅広さや可能性も実感した次第です。

《8/31》

村田朋泰 ルリカケス/八釜礒辺と満月定休日

ヴァリエテ本六

東京都文京区本郷6-25-4

8/31(金)~9/8(土)月火休

12:00~19:00(最終日:~17:00)

村田朋泰8/31DM.jpg

村田朋泰さんの初のコミック本「ルリカケス」のリリースに併せて始まった展覧会です。このコミックの各ページが和紙にプリントされ、ヴァリエテ本六の壁を一周しています。

・・・それにしても、相当にいっちゃってる物語だこと(笑)。

シチュエーションの飛び具合の凄みといったら...ちょっと良い例えが思いつかん(汗)。

1冊買って読んでみたのですが、それはもうめちゃくちゃに奇妙なストーリーなんですけど、それでもナンダこの読後感の気持ちよさは(笑)。

《9/1》

ユリー・ケンサク展 桃太郎ガールの冒険

横浜美術館アートギャラリー2

神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1

9/1(土)~9/17(月)木休

10:00~18:00

ユリーケンサク パンフ.jpg

タイの20代の女性アーティスト、ユリー・ケンサクさんが横浜でのレジデンス期間中に制作した作品を中心とした展示です。

印象として、いかにも東南アジアのアーティストらしい、カラッとしていて痛快で、キュートなクリエイションが溢れています。

なかでも印象的なのが、日本のさまざまなクリエイションを引用したイラスト風の連作。主役の「桃太郎ガール」が日本に漂流して...と、大雑把に表すとそんな構成なのですが、最初泣いてた桃太郎ガールがだんだん幸せそうな顔になってく流れがちょっと嬉しかったり。

で、引用されているのも最初は北斎などの日本のクラシックから、奈良美智や村上隆のポップなモチーフ、日本のゲームなどのキャラクターがいたりして、そこにユリーさんの日本のクリエイションへのリスペクトが読み取れて興味深いです。

都市との対話 Dialogue with the city

BankART Studio NYK

神奈川県横浜市中区海岸通3-9

9/1(土)~9/17(月)

11:30~19:00

都市との対話パンフ.jpg

橋本誠さんの企画による、7組のアーティストがピックアップされた展覧会です。

それぞれのアーティストがさまざまな角度で「都市」を表現しています。

未知、既知のクリエイションを堪能できて満足で、なかでもこの展覧会の企画段階でファイルを拝見して樹になっていた西野壮平さんの写真が圧巻。

ジュン・グエン=ハツシバ「The Ground,the Root,the Air」

ミヅマアートギャラリー

東京都目黒区上目黒1-3-9藤屋ビル2F

9/1(土)~10/6(土)日月祝休

11:00~19:00

JunNguyen-HatsushibaDM.jpg

2階と5階のふたつのフロアで展開されているジュン・グエン=ハツシバさんの個展。

初日の早い時間に伺った時点では2階の作品に音声がまだ付いておらず、あらためて時間をとってしっかりチェックしたいと思ってます。

・・・そのうえで、思ったこと。

ジュン・グエン=ハツシバさんの今回の作品を拝見して、面白いとか、それにエンターテイメント性が含まれているかに関らず、思いついたアイデアとそれを「伝えたい」という強い衝動、さらにはそれを実現するバイタリティに感服。

このアーティストにとって一度の人生はあまりにも短すぎるなぁ、と。

何せ思いつくアイデアのスケールの大きさが尋常でない。でもやる。実行に移してしまう。その行為自体が充分にパワフル。

そしてさらにその行動がしっかりと作品として提示されていて、単に記録に留まっていない、「アート」の匂いを充満させているように感じられるのも興味深いんです。

太湯雅晴 Ourboros

銀座芸術研究所

東京都中央区銀座7-3-6 洋菓子ウエスト2F

9/1(土)~9/14(金)日休

15:00~20:00

太湯雅晴9/1DM.jpg

太湯雅晴さんといえば、お札。

今回は、「無限円」のお札のインスタレーション。

なんていうか、もう、「やっちゃった」感が凄まじい(笑)。

壁と天井を覆うお札。さらに、壁に設置された大判の鏡で無限円札が無限に。

なんだかもうこの雰囲気、ヤバすぎです。

太湯雅晴03 太湯雅晴02

太湯雅晴01

及川聡子

ギャラリー山口

東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル1F

8/27(月)~9/1(土)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

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氷の張った地面に生える草。東北の冬の一場面を描いた日本画の展示です。

このギャラリーの大きなスペースを活かした、横長の大画面の作品が圧巻。

しかし、これだけ大きな作品にもかかわらず、穏やかな色彩が広がっていることもあってやさしく軽やかな風合いが印象的です。

及川聡子02 及川聡子03 及川聡子04

及川聡子01

他の作品も同様な色彩感でほぼ統一されていました。

縦長の作品、小品、それぞれに、地面をやさしく覆う雪解けの氷の淡い色彩が広がります。

ていねいに描かれた草の様子からも、ゆったりとした時間の流れが漂ってくるようです。

及川聡子06 及川聡子07

及川聡子05

アキ・ルミ作品展「Traceryscape」

ツァイト・フォト・サロン

東京都中央区京橋1-10-5 松本ビル4F

9/1(土)~9/25(火)日月祝休

10:30~18:30(土:~17:30)

アキ・ルミ9/1DM.jpg

かっこいい!

3つのレイヤーで繰り広げられるクリエイション。

さまざまな場所でのシーンを捉えたモノクロームの写真、そこに昆虫の羽のシルエットと、無機的な線と彩色によるグラフィカルなドローイングが重なって、さまざまなイメージを喚起させてくれる世界が展開されています。

アキ・ルミ02 アキ・ルミ03

アキ・ルミ01

写真が横に提示されているのは、アキ・ルミさんによると、横にすることで観る者に具体的なイメージの導入を遠ざける意図があるそう。

横になることで風景にある種の無機的な要素が持ち込まれた印象もあり、それでいてモノクロームであることによって醸し出されるどこかレイドバックした雰囲気も。

それが本来有機的なはずなのに、有機的とも無機的ともとれる印象の昆虫の羽のフォルムと、フューチャリスティックなドローイングか重なり、重なる3つの層から同時に伝わる混在した時間のイメージ、縮尺のコントラストなど、詰め込まれたギャップに強烈な斬新さを感じます。

アキ・ルミ04 アキ・ルミ05

もうひとつ、カラーの写真のシリーズも。

こちらは軍用機を撮影したものとのこと。

鮮やかな色調の奥に潜む機体のフォルムの無機的な存在感。若干ぼやけたシルエットが時間の流れを感じさせてくれると同時に、そのシーンのなかに入り込んで轟音や空気の熱さなども脳裏に沸き起こってくるような感触も印象的です。

アキ・ルミ06

アキ・ルミ07

清水智裕展「たべちゃいたいくらい。」

トーキョーワンダーサイト本郷

東京都文京区本郷2-4-16

9/1(土)~9/23(日)月休

11:00~19:00

清水智裕9/1DM.jpg

DMを拝見した時点では、もっとキャラクタリスティックな作品を予測していたのですが、予想に反してかなりグロテスク。

大きな画面に描かれていることで迫力があって、グロテスクさにも拍車がかかってるように感じられます。

長浜憲二展「絶壁に咲く花達」

トーキョーワンダーサイト本郷

東京都文京区本郷2-4-16

9/1(土)~9/23(日)月休

11:00~19:00

長浜憲二郎9/1DM.jpg

まず、圧倒的な写実力に目を奪われます。

さらに、かなりシュールな構成の作品も。作品によっては描かれる女の子のこちらを向く視線の強さが尋常でないものも。

順に眺めていって、最後に目にする白のキャンバスに赤のオイルバーでなぐり書きされたようなドローイングにアバンギャルドさにぐっときます。

竹村京展「はなれても」

Taka Ishii Gallery

東京都江東区清澄1-3-2 5F

9/1(土)~9/29(土)日月祝休

12:00~19:00

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大判に出力されたコラージュ写真、そこに被さる薄い布、薗ぬのに施されたデッサンのような刺繍。

空気で揺れる布、その揺れで、写真に重なる刺繍の絵も揺らめいて、不思議な雰囲気が生み出されています。

工藤麻紀子展

Tomio Koyama Gallery

東京都江東区清澄1-3-2 5F

9/1(土)~9/22(土)日月祝休

12:00~19:00

工藤麻紀子9/1DM.jpg

工藤さんの絵は面白いです。

かわいらしさと力強さとが独特かたちで同時に全面に押し出されて、かなりの迫力で圧倒されます。

大きな画面に伸び伸びと描かれている感触。それでいて、どこか切ない雰囲気も充満していて。。。

さまざまな色彩が織り込まれているのも、弾けるようなポジティブな明るさと同時に、そこにメーターが振り切っちゃっているような危うさだったり、もの悲しい感触なんかも感じられて。

さまざまなイメージが喚起されます。

大作がたっぷりのスペースに展示されていて、空間的な迫力も素晴らしい展示です。

小柳裕 新作展

KENJI TAKI GALLERY/東京

東京都新宿区西新宿3-18-2-102

8/29(水)~9/29(土)日月祝休

12:00~19:00

小柳裕8/29DM.jpg

Yutaka KOYOANAGI Night Painting 06-07

@KENJI TAKI GALLERY/TOKYO

3-18-2-102,Nishi-shinjuku,Shinjuku-ku,Tokyo

8/29(Wed)-9/29(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

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ありふれた夜の景色のなかにおさめられた、現実と非現実の境界のスリル。

KENJI TAKI GALLERY/東京での小柳裕さんの個展です。

小柳さんのクリエイションにはいくつかの分かりやすく特徴的なところがあります。

ひとつ、夜の場面を描いていること。

ひとつ、夜景の中の明るい部分、光源となる部分はキャンバスの地の白がそのまま使われていること。

ひとつ、角の丸い画面に描いていること。

このどれもが有機的に機能しあっていて、そこに描かれた光景、そして展示された空間を異なる次元へと導いているように感じられます。

小柳裕01

今回拝見してまず鮮烈に感じ入ったのは、キャンバスの地の白が放つ光。

闇の中に浮かび上がる光が、それこそ弾かれるように、強い存在感を放っています。

若干距離をおいて眺めるとその光の明るさが際立って感じられるのですが、至近で観てみると今度はその部分には絵の具が乗せられていない生のキャンバスが顔を除かせているのが良く分かり、そのまわりのキャンバスに絵の具が乗っていく状況が実にリアルに現れていて、精緻に描かれている光景の写実的なリアルさと、目にしているのがキャンバスと絵の具という「もの」を突き付けられたような感触とが混然となって迫り、それがものすごくスリリングに感じられた次第。

本来、絵の具の厚みだけいちばん遠い色がもっとも近付いて迫って見える錯覚とその絵の具の厚みのリアルさ。印象的には相反する要素が同じ部分から感じられるのがたいへん興味深いです。

小柳裕05 小柳裕04 小柳裕06

小柳裕03

無論、その緻密な写実力にも目を見張ります。

しかも、人が登場しないシーンでありながら生活感のようなものも感じられ、かつその場面の温度...もしかしたらこの季節に観たことも影響してるいかも知れませんが...、昼間の熱が残る宵の空気の感触も伝わってくる感じがします。

そして、丸まった画面はまるでテレビのブラウン管のよう。

展示された壁と併せて、そこに巨大なブラウン管のモニターがあって、そこでその画面の観ているようなイメージも湧いてきます。

静止画でありながら、そこに描かれる場面に時間が流れる感覚もあって、ある場面の覗いているような印象も。

小柳裕02

その「光」の表現にたいへんユニークな印象を覚えるのですが、今回の展示で1点だけ、その光が登場しない作品も出展されています。

円形の画面に道端に割く草花が佇む夜の場面。この空間でこの作品を観ると、絵の中でていねいに再現されたシーンのリアルさとともに、全面が絵の具でコーティングされた素材的な印象がひときわ強烈に感じられ、展示の流れの中でのアクセントとしても機能しているよう思えます。

小柳裕08

小柳裕07

奥の事務所のスペースには木炭画が数点展示されていて、こちらがまた素晴らしいんです。

紙に、こちらは方形の画面で、同じく夜のシーンが描き出されているのですが、油絵の具のキャンバスに食い込んでいるような素材的な力強さが放つ質感と異なり、紙に「ひっかかる」ようにして残る木炭の繊細な感触が際立ちます。

そこに彩色が施され、モノクロームの世界に彩りがほんの少し添えられることでぐんとリアルさが増し、丸でその場面を知っているかも、という錯覚が沸き上がるほど。

小柳裕10

緻密な再現力とそこに織り込まれるアイデアで、深い世界が表現されています。

ホワイトキューブに映える夜の場面の深遠さは深く心に残ります。

小柳裕09