トップページ > 触れるTOP > ex-chamber museum | 幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報  > 2007年11月アーカイブ

幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報
2007年11月アーカイブ

片平菜摘子展「small silence/小さな静寂」

Gallery Jin Projects/JinJin

東京都台東区谷中2-5-22 山岡ビル1F

11/23(金)~12/2(日)月火休

12:00~19:00(最終日:~17:00)

片平菜摘子071123.jpg

Natsuko Katahira "small silence"

Gallery Jin Projects/JinJin

2-5-22-1F,Yanaka,Taito-ku,Tokyo

11/23(Fri)-12/2(Sun) closed on Monday and Tuesday

12:00-19:00(last day:-17:00)

Google Translate(to English)

穏やかな、淡い色彩の広がり。

これまで折りに触れて拝見している、片平菜摘子さんの個展です。

若手のプリンターやペインターを積極的に紹介するGallery Jin Projects/JinJinで、タイトルにあるとおり、実に静かに、しかし仄かな暖かみを感じさせてくれる優しい色彩が広がっています。

限られた画面の中で、ふわりとおおらかに繰り広げられる光景が描き出されています。

一見して何もない、ただ広がる海の景色のなかに、サーフィンか何かに興ずる人がちょこんと登場していたり。

その小さなアクセントが、さらに画面の中の世界を大きなものへと押し上げています。

片平菜摘子002 片平菜摘子003

片平菜摘子001

空間の広がりを意識した作品が多く出展されているのが印象的です。

前出の海の作品よりも若干深い青が用いられた作品。たったそれだけで、夜の深い時間が洗わされているように感じられ、また、その青の中に浮かび漂う何かとその光の影とが、揺らぐ時間の流れのイメージも喚起させてくれます。

片平菜摘子009

片平菜摘子008

グラフィカルなアプローチも楽しげです。

指先よりもちいさい大きさで描かれている、ランドセルを背負った女の子二人。

たったこれだけで、そこに描かれる空間へのイメージがより具体的に、キャッチーに伝わってくるのが面白いんです。

片平菜摘子011

片平菜摘子010

描かれる風景へのさまざまな目線の角度もユニークです。

これまで拝見してきた作品は水平の目の高さで描かれているものが多かったと思うのですが、もちろんその角度で取り上げられ、画面に再現された場面のていねいさにも、その風景を眺める視線の温かみを感じます。

そして、今回は上方から俯瞰するような光景も多くて、より立体的に空間の広がりが表現されているような印象を受けます。

片平菜摘子012 片平菜摘子006

片平菜摘子004

片平さんの作品を眺めていると、ふっ、と、ことばや具体的なイメージか解放されるような錯覚を覚える気がします。

木版の木目によって、自然に織り成されるグラデーションを伴いながら広がっている淡い色彩に、いろんなことを忘れる心地よさがもたらされるような。。。

2年ほど前にたまたま入ったギャラリーで開催されていたグループ展ではじめて片平さんの作品を目にして以来、続けてチェックしていて、表現の変化の流れも実感しながら、今回始めてソロでの展覧会を拝見できたのも感無量、そんな思いもよぎります。

この優しくて味わい深い世界、忙しくなってくるこの季節に、ちょっと時間を忘れさせてくれたような。。。

片平菜摘子005

SKIP!

Gallery Stump Kamakura

神奈川県鎌倉市十二所848

11/17(土)~12/15(土)金土日のみ

13:00~20:00

SKIP! 071117パンフ.jpg

SKIP!

Gallery Stump Kamakura

848,Juniso,Kamakura-shi,Kanagawa-ken

11/17(Sat)-12/2(Sun) Friday,Saturday,Sunday only

13:00-20:00

Google Translate(to English)

Gallery Stump Kamakuraに所属するメンバーを3つの空間に分け、それぞれで作品を展示するという企画です。

アーティストが集って運営されるインディペンデントなアートスペースで、鎌倉のちょっと奥へ入ったところにある民家をそのまま使用しているということもあり、なんだか、展覧会を「観に行く」というより、「遊びに行く」「お邪魔する」感覚も楽しかったり嬉しかったり。

まず、栗原一成さんと内山聡さんによる「エアメールを受け取る手」。

庭に面したふたつの部屋で、それぞれのインスタレーションが展開されています。

stumpの代表でもある栗原さん、うねうねと細かく、有機的なフォルムと色彩の線が、画面に走ります。

SKIP栗原一成02

筆が這う痕跡を示しているかのような不思議な線の軌跡。そのなかに人のフォルムや文字・言葉などの存在も織りまぜ、空間的・時間的な奥行きを醸し出しています。奇妙なのに爽やかな感触がするのもまた不思議です。

画面からはみ出て壁や、コタツの掛け布団などにも増殖しています。

SKIP栗原一成04 SKIP栗原一成03

SKIP栗原一成01

内山聡さんの作品。

床にズラッと並ぶ、角材のフェイク。

紙で作られていて、ぱっと見はホンモノ。

SKIP内山聡01

よい意味で「よく作ったねスゴイ精度だね」と呆れちゃうほど。

無理矢理折り曲げて繊維が酒田様子なども絶妙に再現されていたり、妙に笑える作品群なのです。

SKIP内山聡05 SKIP内山聡06

いくつもの作品の中に紛れて、お菓子などの袋の切れっ端も

まあ、こういうのも紛らせて、角材の本物感を演出しているわけで。

SKIP内山聡07

・・・!!Σ( ̄口 ̄;)

これもか!Σ( ̄口 ̄;)

これも紙か!Σ( ̄口 ̄;)

油断したorz

だってなぁ、鉛筆の削りカスとかも混じって展示されてるし、油断するわなぁ。

すっかりだまされた気分。

SKIP内山聡03 SKIP内山聡04

・・・!!!

これも紙かぁぁ!!!Σ( ̄口 ̄;)

いやはや。。。

この他にもカッターの刃を折ったものだとか、消しゴムとか。

ここまでやられるともう、完全に白旗です。このユーモアに完全に負けました(笑)。

SKIP内山聡02

裏のほうへと回り、続いては村岡佐知子さん、村山伸彦さん、坂本美和子さんによる「f」。

斜めになった床。暗室に設置された2台の映写機が淡々とスライドを壁に映していきます。

SKIP f 02

SKIP f 01

暗がりに展示された3名のアーティストの作品、村岡さんは縦長の画面を並べ、それぞれポップな色彩の光景が描き出されています。

SKIP村岡佐知子02 SKIP村岡佐知子04 SKIP村岡佐知子03

SKIP村岡佐知子01

村山さんの作品は、奇妙なかたちの画面の作品によってインスタレーションされ、抽象的な色彩の重なりが醸し出す幻影的な風合いにさらに深みをもたらしているように感じられます。

SKIP村山伸彦02

SKIP村山伸彦01

スライドが上映されている壁の下に床置きされた坂本さんの作品は、画面をケレン味なく横切る線が描かれていて、敢えて水平に提示されることでユニークな奥行きが創出されているような感触です。

SKIP坂本美和子01

さらにぐるりと回り込んで、新井啓太さん、高松伊穂さん、安永太郎さんの「locked room」。

こちらはオーソドックスに、シンプルに絵画が展示されています。

ユーモラスな新井さんのネクタイ。

本物が画面にくっつけてあるのか、と一瞬思ったのですが、しっかりと描かれています。

SKIP新井啓太02

SKIP新井啓太01

ふわふわと画面を漂うループが印象的な高松さんの作品。

ユーモラスなうごめきが画面に動きをもたらしているように思えます。

SKIP高松伊穂02

SKIP高松伊穂01

安永さんの作品は、透明感が広がる色彩の重なりの鮮やかさが清々しいです。

時に強く、時に淡く、作品によってさまざまな厚みで展開されています。

SKIP安永太郎02 SKIP安永太郎03

SKIP安永太郎01

こういうパッケージは楽しく、興味深いです。

それぞれのソロでの展開もぜひ観てみたくなったり。

会期も当初より延長され、栗原さんのパフォーマンスも予定に織り込まれている模様。余裕があればあらためてぜひ伺いたいところ。

鎌倉界隈は鎌倉画廊やポラリスなどの画廊から神奈川県立稀代美術館・鎌倉ちおいった美術館など、興味深いアートスペースが多く、時間を作ってしっかりと回ってみたいです。

ところで、アーティストが運営するスペースというとBOICE PLANNINGが思い浮かぶのですが、山下美幸さんの個展の最終日に開催された「よく研いだサーベルの柄で殴れ!」と題されたトークイベントはどうだったんだろう...。

行く予定でいたのが伺えず・・・。

TOKYO EYE 色山ユキ江 内海陽介 安田悠

大丸東京店10Fアートギャラリー

東京都千代田区丸の内1-9-1

11/14(水)~11/20(火)

10:00~20:00(最終日:~17:00)

TOKYO EYE1111/14DM.jpg

TOKYO EYE Yukie Iroyama Yosuke Uchimi Yu Yasuda

Tokyo Daimaru10FArt Gallery

1-9-1,Marunouchi,Chiyoda-ku,Tokyo

11/14(Wed)-11/20(Tue)

10:00-20:00(last day:-17:00)

Google Translate(to English)

このところ、百貨店の画廊でのコンテンポラリーアートの企画も目立つようになってきましたが、この秋新装開店した東京駅から徒歩0分の大丸東京店のなかのアートギャラリーでもそういった流れに沿う展覧会が開かれました。

このスペースでのふたつめの企画だったこの展覧会、まず、アーティストのクレジットを見てびっくり。

いろいろとアート巡りをしていて今すごく元気で面白い世代のアーティスト3名がピックアップされ、 「ここからやるか!」と思わず唸ってしまうほど。

アーティストだけでなく、スペースのレコメンーション、デモンストレーションとしては、ある意味これ以上ないのでは、と思った次第です。

こちらのアートスペースは、床に敷居がない空間で、それほど広くはないものの、フレキシブルな人の出入りが期待できるような感じです。

まず、横浜で開催された多摩美術大学の油彩の修了制作展示と、それに続くART AWARD TOKYOで印象に残っている内海陽介さん。

とにもかくにも、圧巻です。

大きな画面に注入された情報量の多さ、それらが複雑に重なり、絡み、イマジネーションを刺激して広がるストーリーの重厚さに圧倒されます。

TOKYO EYE内海陽介05

小さな人々のシルエット、テント、遠くに広がる山並み...ひとつひとつの要素が緻密に、ていねいにキャンバス上に再現され、さまざまな縮尺の差異やモチーフ同士が放つ大胆なコントラストを、ダークな陰影によてひとつのダイナミックで力強いストーリーに纏め上げているといった印象が強く感じられます。大きな画面を見上げたときに感じる押し倒されそうな圧迫感も痛快です。

加えて、その物語全体を俯瞰するようなどこか醒めた目の高さも、観る側にイメージさせてくれるような気も。

TOKYO EYE内海陽介02 TOKYO EYE内海陽介03 TOKYO EYE内海陽介04

TOKYO EYE内海陽介01

小品では、大きな画面の作品と色調的な統一感のなかで、紙を切った人形をモチーフにしたどこか軽やかで儚げな風合いに、大作とはまた異なる魅力を感じます。

TOKYO EYE内海陽介06

TOKYO EYE内海陽介07

b.TOKYOでの個展やグループ展などで、今年に入って拝見する機会の多い安田悠さん。

大きな作品は先日開催されたばかりの個展にも出品されたものが再び登場していましたが、小品は新作、こちらがまた実に安田さんらしい、独特の溶けるような色の広がりが味わい深い作品が並んでいました。

TOKYO EYE安田悠03

個性的な色使いと、全体を覆う湿度。。。

暑い空に映る蜃気楼のような、曖昧なフォルムの重なりに、さらに深みを増したかのような、穏やかでもあり、他に例えるのが難しいユニークな緊張感も醸し出していたり。

TOKYO EYE安田悠01

TOKYO EYE安田悠02

色山ユキ江さんの作品は、上記の二人の個性的なダークネスで統一されたカラフルな雰囲気とは一線を引き、無彩色による、無機的なダークさを重厚に醸し出しています。

仄かに青味がかる深み溢れるグレーを背景に、鉛筆で描かれた有機的なフォルムの線が、画面を這い、複雑な軌跡を辿りながら、伸びやかに走ります。

TOKYO EYE色山ユキ江03 TOKYO EYE色山ユキ江02

TOKYO EYE色山ユキ江01

このクールさが堪らないです。

ぎらりと危ない芳香を醸す鉛筆の鉛の色。

花弁を感じさせる線の流れが有機的なイメージを喚起させてくれて、その無機的な色調とのコントラストが絶妙な世界感を放っています。

大画面の壮大さもいいし、その一部を切り取ったかのような小品のミニマムな雰囲気も面白いです。

TOKYO EYE色山ユキ江04

TOKYO EYE色山ユキ江05

ドローイングも出品されていて、こちらも興味深かったです。

安田さんは既に個展も拝見していますが、内海さんと色山さんもぜひソロでの展覧会を拝見したいです。

vDialogue Mifuyu Yasunaka Luna Yasunaka

PROMO-ARTE

東京都渋谷区神宮前5-51-3

11/22(木)~11/27(火)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

安中みふゆ・るな071122.jpg

Dialogue Mifuyu Yasunaka Luna Yasunaka

PROMO-ARTE

5-51-3,Jingumae,Shibuya-ku,Tokyo

11/22(Thu)-11/27(Tue)

11:00-19:00(last day:-17:00)

Google Translate(to English)

さまざまな彩りに溢れた、微笑ましく、素敵なコラボレーション。

PROMO-ARTEでの安中るなさんと、お母様で華道家の安中みふゆさんとの二人展です。

写真、しかもコンテンポラリーな風合いが漂う写真と、活け花。

どういう感じの空間が作り上げられているか興味津々だったのですが、ダイアローグ、対話をコンセプトに据え、お互いの個性が軽やかに調和した実に爽やかな空間ができあがっていました。

安中08

空間を豊かに使った大きな展開のインスタレーション。見事です。

るなさんのとしては珍しいアプローチで、額に収めずにそのまま壁にピンで留められた大判の作品、それをバックにみふゆさんの大振りな活け花が配されています。

安中14 安中12 安中13

写真も、並ぶ3点にかかわりがあって、両端の場面をひとつの画面に重ねたものが真ん中に位置していたり。

一方、モノクロームでひとつの風景を陰影でふたつに分けた作品も。

その風景にあるさまざまな要素が輪郭で表現されたクールさがなんともかっこいいです。

安中11 安中10

その前には、吊られた皿状の籠に活けられた艶やかな花。

横への広がりのおおらかさが爽快で、その影がモノクロームの作品が飾られる壁に映り込んでいるのも示唆に富んでいるような感じが印象的です。

安中02 安中03

この籠の花越しに、ピン留めの大きな写真の一角を眺めて見えてくる色彩のコントラストもまた面白いです。

花の赤と、写真のさまざまな色の中に映える赤とが響きあっているように感じられます。

安中01

さまざまな組み合わせの作品も、自然光が注ぐ空間の中に並びます。

いろんな支持体にプリントされたるなさんの写真を背景に、手のひらに乗るちいさな花瓶に活けられたみふゆさんによる活け花が収まり、お互いが持つ面白さ、ユニークな視点とアプローチによる写真と常に変化し続ける植物の生命感が放つ艶やかさとが引き出され、ひとつのパネルの中で素敵な世界が展開されているもの。

安中05

安中04

紙や布の素材感のやわらかな感触に、プリントされたある風景のシルエットのシャープさ。このコントラストも面白く、そこに活け花が絡んでさらに深みを増しています。

安中07

安中06

今回の展覧会は、母娘ならではの駆け引きも相当にあったようで、それが実に素敵な方向に作用しているように感じられます。

るなさんの写真も、モチーフをはじめ、用いる素材など、これまでにないアプローチによる展開が新鮮だったり。

また、普段あまり接することがない活け花をこういった空間、シチュエーションで拝見できたのも嬉しいです。

写真と活け花との組み合わせながら、奇を衒う感じはまったくといっていいほど感じず、ナチュラルな雰囲気が満ちているのが心地よい展覧会です。

2度伺って、昼と夜と異なる時間で拝見したのですが、自然光がたっぷりと広がっているときの明るく爽やかな雰囲気と、夜の照明に映えた空間の深みと、どちらも味わい深いです。

安中09

上田風子 個展 アクアリウム幻想

span art gallery

東京都中央区銀座2-2-18 西欧ビル1F

11/20(火)~12/1(土)日休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

上田風子11/20DM.jpg

Fuco Ueda exhibition Aquarium Dreamy

span art gallery

2-2-18-1F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

11/20(Tue)-12/1(Sat) closed on Sunday

11:00-19:00(last day:-17:00)

Google Translate(to English)

ひとつの画面の封じ込められるさまざまな要素が醸し出す妖しさ、独特の時代感覚。

上田風子さんのspan art galleryでの個展です。

上田さんの作品は、福原画廊での個展で拝見したことがあり、そのときも繊細な描き込みとシュールさと鋭さが同居する独特の雰囲気が強く印象に残っているのですが、今回の個展でもその雰囲気は相変わらずの妖婉さで、ぐっとそのムードに呑み込まれていくような印象です。

上田風子10

実に繊細な筆致に見入ってしまいます。

髪の毛の1本1本や、赤い稜線など、緻密に描き切られ、そこから放たれる先鋭的な感触が、作品の場面の19世紀末~20世紀初頭辺りを彷佛させる(といって歴史に特別詳しいわけではないのですが、イメージとして...)、特有のセピア的ムードのそこかしこから伝わってきます。

加えて、画面に薄らと散る飛沫が、妖しい雰囲気を更に過剰に演出しているように感じられます。

上田風子07 上田風子06

上田風子08

今回の展示での大きな見どころは、何といっても空間の中に突如現れた「和室」。

畳敷きの一角に、職人によって精緻に採寸、設計、組み上げられ、建てられた四方が襖で囲まれた小部屋。

これが凄い・・・!

計8枚の襖に、今回の展示タイトルにある海中をモチーフに幻想的な場面や風景が織り込まれた絵が大きく描き出されています。

外側は、比較的浅い海中のイメージだそう。

上田風子03 上田風子01

上田風子02

中に入ると、こちらは深海。

奇妙な生物がそこかしこに登場し、上田さんらしい妖しげな表情と仕草をたたえた女性も独特のオーラを発していて、さらに、まさに深遠な世界が繰り広げられています。

畳敷きの床の上に座って、見上げるようにして眺めるのが気持ちいいです。

上田風子04

上田風子05

すべての面が見どころといってもいいくらいのインスタレーションとなっています。

壁掛けの作品の小さな世界と襖絵のおおらかで深遠な雰囲気。

その両方から、上田さんの繊細にして大胆なユニークさを堪能できる展覧会です。

上田風子09

NEXT DOOR Vol.5

T&G ARTS

東京都港区六本木5-9-20

11/15(木)~11/29(木)日月休

11:00~19:00

NEXT DOOR vol.5DM.jpg

NEXT DOOR Vol.5

T&G ARTS

5-9-20.Roppongi,Minato-ku,Tokyo

11/15(Thu)-11/29(Thu) closed on Sunday and Monday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

今回で5回目、今年最後のNEXT DOOR。

4名のユニークでフレッシュなアーティストがパッケージされています。

各アーティストの作品が飾られたウィンドウを通り過ぎ、入口でまず、今回唯一の女性のアーティスト、西祐佳里さんのペインティングがお出迎えしてくれます。

ND5西祐佳里01

スタンダードなマチエルのペインティングが、入口沿いの壁にスムーズに並んで展示されています。

誠実ささえも伝わる、ていねいな写実表現。深みと奥行きを放つ、沈み込むようなダークな色彩。

描かれるシーンもそのひとつひとつが現実と非現実との狭間を絶妙に行き交っているような風合いです。

一見するとユーモラスに感じられるはずのアクセントも、逆に作用しているような気がして、さらに作品のなかの妖しげな雰囲気が強められているような。。。

ND5西祐佳里04 ND5西祐佳里03

今回は比較的小さめの作品がずらりと並んだ展示でしたが、ぜひ大きな画面での作品を拝見してみたいと思わせてくれるクリエイションです。

ND5西祐佳里02

西さんの深い世界とスペースを共有するのが、伊達久誌さんのダイナミックな作品。

嫌が応にも目に飛び込んでくる3本の柱。

ND5伊達久誌03 ND5伊達久誌04 ND5伊達久誌02

有無を言わさぬ凄み。

圧巻の仕上がり。

ND5伊達久誌06 ND5伊達久誌07 ND5伊達久誌05

段ボールを重ねてノコギリで切り、それをさらに再び組み合わせたものとのこと。

切っただけか!Σ( ̄口 ̄;)

段ボール重ねて切っただけなのか!Σ( ̄口 ̄;)

思わず内心で嬉しい絶叫をあげてしまいたくなるほどの大胆さ。

しかも、ただ重ねただけではなく、斜めに重ねてカット面に異なる動線をもたらしてみたりと、そのざっくりとした仕上がりには実は細やかなアイデアも盛り込まれていたり。

ND5伊達久誌01

段ボールを用いた作品がずらりと並び、各所に配置されています。

それも、角材に挟んだだけのもの、ブロックと合わせてみたもの、とその外見は段ボールの素材感がそのままに表出。段ボールの断裁面がアバンギャルドでリズミックな感触を鮮烈に放っています。

ND5伊達久誌12 ND5伊達久誌10

ND5伊達久誌09 ND5伊達久誌11 ND5伊達久誌13

ND5伊達久誌08

もうひとつ圧巻なのが、重ねた段ボールをぎゅっと圧縮した様子を提示したもの。

必要とか不必要とか、意味とか無意味とか、そういうことは全然関係ない、ただシンプルに提示されていることの痛快さが堪らないです。もちろん、このかたちもかっこいい。

ND5伊達久誌14

ND5伊達久誌15

バースペースには、渡辺おさむさんのテーブルの上のインスタレーション。

一見本物と見違えるほどの精度で、スポンジケーキや生クリームを模したオブジェが配されています。

なんだか楽しくなってきます。

ND5渡辺おさむ03 ND5渡辺おさむ04 ND5渡辺おさむ02

ND5渡辺おさむ01

2階、長田哲さんのドローイング。

ND5長田哲01

軽やかに染まる色彩、しなやかに走る線。

それぞれが織り成すキュートでキッチュな風景。山のシルエットに浮かぶ人の顔の素朴な表情。

実にシンプルな場面が描かれていて、その軽妙さが実に楽しげ、そして浮かぶ表情は仄かに淋しげで。。。

ND5長田哲02

ND5長田哲03

ふっとナチュラルに入り込める、やさしい風合いが嬉しです。

紙、色鉛筆など、親しみある画材・素材が用いられているのも親近感を沸き起こさせてくれます。

今回始めて制作されたというアニメーションも。

ND5長田哲04

土曜日は、長田さん自らにより、ウォールペインティングが行われていました。

僕が伺った時点ではおおきなラインが引かれ、そこに少しずついろんなモノがこれから描き加えられていく最初のところを拝見していたのですが、今、どんなふうになっているか興味津々です。

ND5長田哲06

いちばん遠いところに、額に渡辺さんのクリームのレリーフが施された共作が。

微笑ましいコラボレーション、いい感じです。

ND5長田哲05

このフロアの渡辺おさむさんの展示は、主に大画面のもで構成されています。

大画面にびっしりと生クリームの模様が敷き詰められた真っ白な作品は圧巻の一言。

すごいです。単純に、仕事量を考えてもすごい、ひとつひとつのクリームのリアルさも凄い、全体のダイナミックな動線も、すごいです。

ND5渡辺おさむ08 ND5渡辺おさむ06 ND5渡辺おさむ07

ND5渡辺おさむ05

カットしたいちごのほんのりとした赤色が、視覚だけで無く味覚も刺激する作品も。

なんかもう、口のなかが甘いものを求めてきてしょうがない!

ND5渡辺おさむ12 ND5渡辺おさむ11

ND5渡辺おさむ10

デコレーションケーキを目の前にしたときのワクワクする感じ。

それと似た衝動が渡辺さんの作品からも感じられます。

で、これだけフレッシュな視覚アピールをしていながら、実際はむろん食べられない、というもどかしさもまた、作品を面白くしているように感じられます。

ちょっと穿った見方ではありますが、渡辺さんの食べられそうで食べられない作品と、伊達さんの、小致死ニュースで報じられたように肉まんのなかに入れたら食べられる段ボールとが同居しているのが何ともシュールに感じられます。

ND5渡辺おさむ09

このフロアの渡辺さんの作品で、もうひとつのディープインパクトは下の作品。

チョコレートケーキを思わせる、金縁の額もゴージャスな作品。

一部拡大で留めておきますが、使用素材が絶句もの(爆)。ぜひ実際にご自分の目でチェックなさってくださいまし。

ND5渡辺おさむ13

《11/15》

NEXT DOOR Vol.5

T&G ARTS

東京都港区六本木5-9-20

11/15(木)~11/29(木)日月休

11:00~19:00

NEXT DOOR vol.5DM.jpg

面白い!

5回目となるこのシリーズも今年は今回が最後。

弾けるようなフレッシュなクリエイションが今回もぎゅっと凝縮されています!

《11/16》

荒川眞一郎 'レントゲン'

ヴァイスフェルト

東京都港区六本木6-8-14 コンプレックス北館3F

11/16(金)~11/30(金)日月祝休

11:00~19:00

荒川眞一郎071116DM.jpg

ファッションデザイナーの荒川眞一郎 さんがレントゲンヴェルゲで展覧会、ということで「一体どんな展覧会に...」と想像ができなかったのですが、蓋を開けてみたら...

「お見事!」の一言。

ちゃんと「平面」と「立体」の展示になっていてびっくり。

布や毛糸を使った作品は実にポップな仕上がりで、鮮やかな赤の素材のあたたかい雰囲気も嬉しいです。

同じ赤の糸の作品というと塩田千春さんのKENJI TAKi GALLERYでのオブジェが思い浮かぶのですが、複雑に行き交う赤い線が放つイメージはそれと通じるような印象もあるようで、真反対でもあるようで。

立体は、本物の葉っぱの葉脈を使った究極的に繊細な作品。そこに織り込まれたイメージにも深みを感じます。

石川直樹 「POLAR」

SCAI THE BATHHOUSE

東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡

11/16(金)~12/22(土)日月祝休

12:00~19:00

石川直樹071116DM.jpg

SCAIで写真、という意外な組み合わせ。

よく存じ上げないのですが、写真家というより「冒険家」といったイメージが強そうな石川直樹 さんによる、冬の景色を収めた写真がずらりと並び、おそらく日本からずいぶんと遠い場所の光景が届けられ、その鮮やかな白と淡い青が放つ幻想的ともいっていい美しさに「いいなぁ、行ってみたいなぁ...」と心を揺り動かされます。

氷山の壁面を走る線の力強さ、流氷が浮かぶ海面がどこまでも続くスケールが大きな光景、深い雪に埋まり、十字架が僅かに顔を出す墓場、寒気のなかに人々の行き交う熱気のようなものを感じる港町...さまざまな風景が爽やかに展示され、観ていて実に気持ちがいい展覧会です。

目黒区美術館でのグループ展にも参加される石川さん、そちらではどんな場所の風景が届けられるか、そちらも楽しみです。

《11/17》

物語の彫刻

東京藝術大学大学美術館 陳列館

東京都台東区上野公園12-8

11/16(金)~12/2(日)月休

10:00~17:00(最終日:~16:30)

物語の彫刻071116パンフ.jpg

さまざまな世代の彫刻の作家の作品が一堂に会した展覧会。

確かなスキルをバックボーンに、ダイナミックなイマジネーションが投入された大作、力作が揃います。

まず、1階の小部屋での小谷元彦さんのインスタレーションが...。

まず一瞬、そのおどろおどろしさに腰が引けます。骨が露出した能面、過剰なまでに原始的な仕上がりの巨大な人の頭部の木彫。そして、映像。

凄まじいチェーンソーのノイズが延々と鳴り響く、荒れた映像で展開されるアバンギャルドな作品。

・・・しかし、最後には何故か吹き出してしまった次第。人によって違うかも知れないもですが、かなり笑える!

棚田康司さんの立像。

穏やかで繊細な彩色、人の心の奥底を覗き込むような味わい深い表情。

淡く、深々と醸し出される雰囲気に、ぐっと心を捕まれます。

大竹利絵子さんの木彫も印象的。

細かく組み合わさった組木を彫られた作品で、すっと立つ箒と椅子に座る人がなんとも優しく、仄かにユーモラスな風合いも醸し出しつつ、木の素材の温かみも感じさせてくれます。

SKIP!

Gallery Stump Kamakura

神奈川県鎌倉市十二所848

11/17(土)~12/2(日)金土日のみ

13:00~20:00

SKIP! 071117パンフ.jpg

アーティストが集まって運営されるインディペンデントスペース、Gallery Stump Kamakuraに所属する作家が3つに分かれてそれぞれ展開されるさまざまなインスタレーション。

提示される可能性も興味深いです。

《11/19》

渡邊香月 個展 憧景 ~The GARDEN~

@Gallery銀座フォレスト

東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル507

11/19(月)~11/24(土)

12:30~19:00(最終日:~17:30)

渡邊香月071119DM.jpg

油彩で展開されるジャパネスク。

今、個人的に、シーンのなかで一番おもしろい部分だと感じているのですが、渡邊香月さんはそのなかで思いつくアーティストの一人。

今回は、キャンバスだけでなく、板や和紙に描いた小品を組み合わせ、小さなスペースに凝縮してユニークな空間を作り上げています。

渡邊香月01 渡邊香月02

異なる画面が繋げられ、ひとつの大きな流れのなかに詰め込まれていて、独特の雰囲気が」醸し出されているのが印象的です。

渡邊香月03

鹿野氏郎展「シロップ」

ギャラリーツープラス

東京都中央区銀座1-14-15 白井ビル2&3F

11/19(月)~11/24(土)

12:00~19:00(最終日:~17:00)

鹿野氏郎11/19DM.jpg

いい!

昨年に続いて開催されている鹿野氏郎さんの個展。

前回は油彩とドローイングとの展示でしたが、今回はパネルの油彩の作品のみ。

取り上げられるモチーフに幅が広がり、描かれる場面が敢えてフィクショナルな雰囲気をつくり出していた以前のと比べて、ナチュラルな構成なのも印象的です。

鹿野氏郎106 鹿野氏郎101 鹿野氏郎103

鹿野氏郎102

そして、さらに鮮やかに、艶やかに発せられる色彩。

それぞれの色が持つポテンシャルが存分に引出され、濃厚な色彩はさらに深く、軽やかな色彩はよりポップに発色、隣り合う色彩同士のコントラストも鮮烈です。

過剰にエッジの効いた色面が独特の緊張感を醸し出しながら、どこかほっとするようなユーモラスな雰囲気も味わえた次第です。

鹿野氏郎108 鹿野氏郎105 鹿野氏郎107

鹿野氏郎104

《11/21》

上田風子 個展 アクアリウム幻想

span art gallery

東京都中央区銀座2-2-18 西欧ビル1F

11/20(火)~12/1(土)日休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

上田風子11/20DM.jpg

繊細な線と未来的なセピア風、といった感じの独特な色彩、そしてシュールな場面が印象的な上田風子さんの絵の世界。

妖しい雰囲気がそれぞれの画面に充満しています。

そして、ギャラリーのなかに突如現れた襖に囲まれた部屋。これがすごい!

内なる領域 / Inner realm

東京画廊

東京都中央区銀座8-10-5 第4秀和ビル7F

11/21(水)~12/8(土)日月祝休

11:00~19:00(土:~17:00)

内なる領域071121DM.jpg

4名の若手のアーティストが」ピックアップされた、ユニークなアプローチとフレッシュな世界が楽しいグループショー。

ペインティング2名、興味深いメディアの作品のが2名。それぞれが充分に個性を発揮しています。

Liquid/Crystal

MA2 GALLERY

東京都渋谷区恵比寿3-3-8

11/9(金)~12/8(土)日月祝休

12:00~19:00(19:00~20:00アポイント可)

Liquid/Crystal11/9DM.jpg

Liquid/Crystal

MA2 GALLERY

3-3-8,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo

11/9(Fri)-12/8(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00 (apponintment:19:00-20:00)

Google Translate(to English)

重なり、絡み、響きあう3つの個性。

MA2 GALLERYで開催されている、3名の女性アーティストをピックアップした展覧会です。

それぞれ、ユニークな個性が主張しあっていて、しかしそれがぶつかりあうのではなく、お互いの存在が複雑なイメージを喚起してくれるような印象です。

1階と2階のフロアがあるこちらのギャラリー、入口の大きなガラスの窓からも1階の様子が覗けるのですが、なによりもまず目に飛び込んでくるのが諸橋明香さんのおおらかなインスタレーション。

水回りのプラスチックの諸道具を大胆に取り入れて、実にカラフルでフレッシュ。伸び伸びとした自由さが感じられる空間が提示されています。

L/C諸橋明香02 L/C諸橋明香04

L/C諸橋明香03 L/C諸橋明香05

L/C諸橋明香01

諸橋さんのインスタレーションは、フタバ画廊での個展や平櫛田中邸でのグループショーでも拝見していて、そのケレン味のなさが痛快なのはよく知っているのですが、天井が高く、加えて上方から自然光も入る空間でさらにその快活さが発揮されているような気がします。

ギャラリーのスタッフのお話によると、このギャラリーの前を通る子供達がガラス窓から諸橋さんの展示を観て激しく反応するとのこと。そのシーンを観たい(笑)。

一転して、モノクロームのくすんだような妖しい世界を放っているのが、仙谷朋子さんのオブジェ群。

過剰に有機的なフォルムの陶のオブジェと、細やかに紡がれる糸とが、神妙で深遠な雰囲気を鮮烈に、しかしじんわりと床や壁を這うような独特の重々しさで醸し出されています。

L/C仙谷朋子03 L/C仙谷朋子04 L/C仙谷朋子05

L/C仙谷朋子06 L/C仙谷朋子07

空間のほぼ中央に垂れ下がる糸の束、その床面には白い陶のオブジェ。

諸橋さんのインスタレーションが華やかなだけに、この渋味が異彩を放ち、そのコントラストも圧巻です。

L/C仙谷朋子01

L/C仙谷朋子02

渡辺紅月さんのタブローは、1階には大きな作品が2点、展示されています。

こちらはまた、諸橋さんとはまったくテイストが異なる鮮やかな色彩による作品。

もっと直接的に、日本的な繊細な表現や色彩感覚を伴わせながら、妖しく、危ない感性を刺激してくるような印象です。

鮮やかな色彩のなかに引かれる線が織り成す女性の表情が強烈に印象に残ります。

L/C渡辺紅月02 L/C渡辺紅月04 L/C渡辺紅月03

L/C渡辺紅月01

階段を登り切ったところには、仙石さんの繊細なオブジェが壁に。

以前拝見した、ポーラミュージアムアネックスでのインスタレーションの印象が蘇ってきます。

紡がれた紐でさらに有機的なかたちへと仕上げられ、どこか抜け殻のようなもの悲しさに似たようなものを感じさせつつ、まるで蝋燭の炎のように妖艶な雰囲気を緩やかに漂わせています。

僅かな一角での展開が、より深いイメージを思い起こさせてくれます。

L/C仙谷朋子08 L/C仙谷朋子10

L/C仙谷朋子09

2階のフロアは少し小さめの作品により、さまざまなクリエイションぎゅっと詰め込まれているような印象。

やはりまず目に留まるのが諸橋明香さんの作品。

1階のインスタレーションをコンパクトに纏めたようなものがふたつ。

L/C諸橋明香09 L/C諸橋明香10

なによりインパクトが強いのが、下のトラの作品。

遠目で見ると一体何で作られているのか分からない、いやむしろ布を編んだ作品かと思い込んでいたのですが、実際に直に観てみてびっくり。そして諸橋さんらしいと納得。

この展開が今後どういうふうに発展していくかもすごく興味深く、楽しみす。

L/C諸橋明香08 L/C諸橋明香07

L/C諸橋明香06

仙谷さんのオブジェは、1階とは異なり、黒の展開。

この黒の深みが、有機的なモチーフの妖しげな風合いをさらに奥深いものへと押し進めているような印象です。

何より興味深いのが、編んだ糸の細やかさと、それに相反するような半端な感触。

充分に作り込んでいない、精度を究極まで追求していないふうな素振りが垣間見られるような仕上がりが、いかにも女性らしい雰囲気を漂わせているように感じられます。

この雰囲気は、おそらく男性には出せないだろうなぁ、と。黒の色彩のインパクトもかなりのもの。

L/C仙谷朋子13 L/C仙谷朋子12 L/C仙谷朋子14

L/C仙谷朋子11

同じく展示されている、仙石さんによるモノクロームの写真作品群も独特の深みを放っています。

L/C仙谷朋子15

渡辺さんのペインティングも、1階の作品に続き、独特の妖しさが漂う世界が繰り広げられています。

ばっと散る鮮やかな色彩の飛沫のなかに、線描の女性が、そして手が、鋭さをたたえた深みある表情でその存在を覗かせています。

L/C渡辺紅月05

真っ白な余白と色彩とのコントラストも実に鮮烈。

漂う「和」の風合いが油絵の具で展開されている斬新さが堪らないです。

L/C渡辺紅月08 L/C渡辺紅月07

L/C渡辺紅月06

1点、映像作品が出品されています。

ふたつのパターン。最初のかたちがだんだんと溶け出すように歪んでいき、再生する...。

じっと見入ってしまう、瑞々しくも妖艶な世界が流れ出しています。

L/C渡辺紅月09

三者三様の、バラエティにとんだメディアが集まった作品がそれぞれに放つ強烈に「女性」的な雰囲気が互いに関係しあい、「リキッド」の水溶性と「クリスタル」の輝きとが新たに創出、発散されているような...。

さまざまなイマジネーションが湧いてくる展覧会です。

阪本トクロウ展「呼吸」

GALLERY MoMo

東京都港区六本木6-2-6

11/3(土)~12/1(土)日月祝休(初日除く)

12:00~19:00

阪本トクロウ11/3DM.jpg

Tokuro Sakamoto exhibition "Breath"

GALLERY MoMo

6-2-6,Roppongi,Minato-ku,Tokyo

11/3(Sat)-12/1(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

Google Translate(to English)

あらためて、ホワイトキューブがよく合うことを実感。

阪本トクロウさんのGALLERY MoMoでの個展です。

阪本トクロウ001

阪本さんの作品や展覧会は観続けているのですが、ホワイトキューブでの個展を拝見するのはギャラリー山口で初めて阪本さんの個展を拝見して以来、実に久し振り。

白い空間に白熱灯で明るい照明設定がなされた空間に展示され、いつになく明るい、爽やかな雰囲気が画面から発散されているように感じられます。

阪本トクロウ003 阪本トクロウ004

阪本トクロウ002

意識に入らない要素を削ぎ落とし、軽妙さと仄かに漂う孤独感とが滲む風景。

それと同時に、描かれるモチーフ、残されるもののディテールの細やかさにも目を見張ります。穏やかな支店の存在を感じつつ、阪本さんの作品が醸し出す淡いユーモアが印象的です。

阪本トクロウ008

阪本トクロウ009

おなじみのモチーフ、林のシルエット。

こちらの作品の色調構成のシンプルさと有機的な構図との面白さはいろんな阪本さんの作品のなかでも特別な感じがして印象的。

なんてったって、このワンポイントが嬉しい。

複雑に入り組んだシルエットのなかに一羽。

阪本トクロウ006

これを見つけるのが結構楽しい作業だったりします。

阪本トクロウ005

描かれる光景は、身近なものが多く取り上げられているにもかかわらず実にドリーミーで、静かです。

ノーグラデーションの空の淡いブルーやアスファルトのグレーなどを背景に、幾何学的な印象さえ受けるほどにクールに再現されるさまざまなシーン。

たったそれだけで、そこに込められる「心地よい孤独感」のようなものがふわりと漂います。

阪本トクロウ010 阪本トクロウ011

阪本トクロウ007

作品の精度から感じる「描くこと」への誠実さ。

穏やかな静謐感、大胆な省略から放たれる、安心感と緊張感。

観る人ごとに思い浮かぶイメージや蘇る記憶が違うだろうなぁ。そんな想像が浮かんできます。

観る人の数だけのイメージの広がりを持つクリエイションだと思います。

阪本トクロウ012

輪派絵師団

maru gallery

東京都港区海岸3-7-18-902

11/10(土)~11/24(土)日月祝休

12:00~18:00

輪派絵師団11/10DM.jpg

Rinpa Eshidan exhibition

maru gallery

3-7-18-902,Kaigan,Minato-ku,Tokyo

11/10(Sat)-11/24(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-18:00

Google Translate(to English)

めくるめく変化を遂げていく、「ライブペインティング」。

輪派絵師団での展覧会です。

YouTubeにアップされた映像は膨大なアクセスを記録し、注目を集めるクリエイティブ集団。BOICE PLANNINGでの展示も印象に残っているのですが、今回は会期中延々とライブペインティングを敢行、それをすべて撮影するというかっ飛んだ企画。

輪派絵師団101

僕が伺ったのは初日のオープニングパーティーの時間、夜8時頃でしたが、既に広い画面は一度描き尽くされ、そこにオーバーダブが始まっているところのようでした。

輪派絵師団105 輪派絵師団103 輪派絵師団104

メンバーの内の3名が参加し、粛々と、しかし遠慮なくどんどん上描きされていく画面。

モノクロームで描かれたポップでダイナミックな線画の上に、鮮やかな色がどんどんと侵食していき、時おりお下の絵のラインをそのままトレースしたり活かしたりしながらグラフィカルな展開がどんどんと進んでいきます。

この様子はなんとも痛快!

映像作品では速回しによる展開がクールで面白いのですが、リアルタイムで眺めていると、スピードこそ映像に慣れていると遅く感じてはしまうものの、まるで将棋とかの実況を眺めているかのように、「次、どう出るか・・・」というなんともいえない緊張感によって画面に目が釘付け。

ライブペインティングの経過は写真にも撮影され、その都度掲示されていっているのもありがたい。

輪派絵師団106

それに加えて、パネルの作品も数点展示されているのもまた嬉しいです。

小さな画面でも溢れるポップな感覚。

輪派絵師団107

現時点では結局のところ初日しか伺えて無いのですが、何とか最終日にも覗いてみて、荒れからどんな感じに画面が変化しているかをチェックしたいと思っています。

また、撮影された映像がどうなるかもすごく楽しみです。

輪派絵師団102

中村ケンゴ "スピーチバルーン・イン・ザ・ビーナスと21世紀のダンス"

MEGUMI OGITA GALLERY

東京都中央区銀座5-4-14 銀成ビル4F

11/6(火)~12/1(土)日月祝休

12:00~19:00

中村ケンゴ11/6DM.jpg

Kengo Nakamura "Speech Balloons in the Venus and Dance for 21st century"

MEGUMI OGITA GALLERY

座5-4-14-4F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

11/6(Tue)-12/1(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

Google Translate(to English)

「スピーチバルーン・イン・ザ・ビーナス」と「21世紀のダンス」。

ポップに、キャッチーに繰り広げられるふたつのシリーズ。

MEGUMI OGITA GALLERYでの中村ケンゴさんの個展です。

中村さんのアプローチはいつも楽しい!

まずなにより、テーマのピックアップや引用の軽妙さが堪らない感じです。

これまで、延々と携帯メールの返信のマーク「Re:」が延々と続くシリーズや部屋の間取りを描いたものなど、

敢えてこれを描くか!Σ( ̄口 ̄;)

という、鑑賞者の膝の力を「スパーン!」と抜く展開を軽々とやってのけちゃう痛快なテーマが面白くて、さらにそこにどこかシュールな視点が込められているように感じられるのも興味深いのです。

そして今回、大胆な引用がこれまた痛快なふたつのシリーズが発表されています。

小さなスペースの四方の壁に、いい感じのバランスで展示された作品群。

まず、「スピーチバルーン・イン・ザ・ビーナス」。

中村さんの名刺代わりのモチーフでもある「スピーチバルーン」、いわゆるマンガの「吹き出し」。

これまでも富士山やら日の丸やらに登場してきたこのモチーフが、今回は誰でも知ってる名画のシルエットのなかにぎっしり。

中村ケンゴ04

中村ケンゴ05

敢えて言うまでもなく、ビーナスと言ってまず思い浮かぶボッティチェッリの「ヴィーナスの誕生」が大胆に引用されています。

岩絵の具独特の粒子の美しさも際立つマッドな質感でつくり出される深みのある霞みを背景に浮かび上がる、世界でいちばん有名なビーナスのシルエット。

珠玉の名画を前にしていろんな人がいろんなことをしゃべっている様子が思い浮かんできて、なんとも愉快な気持ちに。

もうひとつのビーナスは黒が基調となっていて、また違う鮮やかさを放ち、上の作品とのコントラストも鮮やかです。

もうひとつのシリーズ、「21世紀のダンス」。

中村ケンゴ03 中村ケンゴ02

なんだこの既視感は。。。

僕はすぐに気付くことができず、作品を前にしてずいぶんともどかしい気持ちが続いてしまっていたのですが。

分かると思いっきり膝を叩きたくなった次第。

中村ケンゴ01

こちらもやっぱり痛快!

中村さんの作品でモチーフとはまた別に印象的なのは、日本画の画材である「岩絵の具」を用いていること。

いわゆる「花鳥風月」を描くのではなく、このようにポップでシュールでキャッチーなモチーフを取り上げて描くことで、岩絵の具の持つ美しさを逆に引き出しているように感じられるのも痛快です。

パネル側面の絵の具の垂れた痕がまた、すごくかっこよく感じられたり。

何を持って「日本画」とするのか、今の時代はますます曖昧になっているのですが、はじめて中村さんとお会いしたときにいろいろとお話しして、そのときの「江戸時代以前の頃には今で言う『日本画』という概念は無かったはず」という指摘がすごく印象に残っていて、「日本画の画材を使っているから日本画」というざっくりとした見方への醒めた視点も、中村さんの作品から強烈に発せられているような気がして、その辺りもすごく痛快に感じられて好きだったりします。

Tシャツにプリントされたスピーチバルーンなど、作品から離れて他のメディアへまったくナチュラルに転化されるのも面白い!

昨年の横浜美術館でのダイナミックなインスタレーションも強く印象に残っていますが、例えばもっと大きな画面、もとい壁面での展開なんかも観てみたい気がします。

北出 ART 北出健二郎

hpgrp GALLERY 東京

東京都渋谷区神宮前5-2-11 H.P.DECO 3F

11/8(木)~12/9(日)

11:00~20:00

北出健二郎11/8DM.jpg

KITADE ART

hpgrp GALLERY TOKYO

5-2-11-3F,Jingumae,Shibuya-ku,Tokyo

11/8(Thu)-12/9(Sun)

11:00-20:00

Google Translate(to English)

ユーモラスな圧迫感。

ニューヨーク在住の陶芸アーティスト、北出健二郎さんの個展です。

「どぉん!」としたたっぷりの身体の、極度に擬人化された羊の作品がギャラリー内に配置された台の上に鎮座しています。

北出健二郎15

もう、なんか、すごい。

有無を言わさぬ存在感。

独特のおおらかなフォルムに加え、圧巻のサイズが醸し出す存在感、さらにもってりとした風合いが放つインパクトは強烈です。

そして、特に「目」と「歯」のリアルさが印象的。

北出健二郎03 北出健二郎02

北出健二郎01

作品のなかには、現在の社会や環境へのさまざまなメッセージも込められています。

石油問題やら温暖化など、擬人化された羊の表情とそれぞれに織り込まれる素材の引用から伝わってくるのも興味深く、そういったアプローチがニューヨーク的のような印象を受けます。

北出健二郎05 北出健二郎06

北出健二郎04

悶える表情、びっしりと表面を覆う「汗」。

コーンの上に乗るアイスクリームを模した羊。

釉薬による仕上げもいろんな意味で効果的です。

北出健二郎08

北出健二郎07

ギャラリーの一角には男女の染色体を現す「X」「Y」を纏った作品も。

台の上の作品とくらべるとサイズも小さく、黒と赤とのコントラストの深みも鮮やかで、表面の艶やかさとともに、独特の質感を放っています。

北出健二郎09

北出健二郎10

作品に込められたメッセージはリアルで生々しく、表情もまた臨場感があって、それでいてユーモラスで素朴な感触もなんだか堪らなく思えてくる...。

なんとも不思議な面白さをたたえた作品群、それらが作り上げるインスタレーションの雰囲気もコミカルでシリアスで。

北出健二郎12 北出健二郎13

北出健二郎11

カラフルな色彩や作品それぞれの仕上げの違いによるさまざまな味わいもじっくり堪能したい、そこからニューヨークの陶芸の一端を肌で感じられる、さまざまな興味が湧いてくる展覧会です。

北出健二郎14

シリーズ 彫刻/新時代 Vol.1 森淳一展

東京日本橋高島屋6階 美術画廊X

東京都中央区日本橋2-4-1

11/7(水)~11/27(火)

10:00~20:00(最終日:~16:00)

森淳一11/7DM.jpg

Jun-ichi Mori exhibition

Tokyo Nihonbashi TAKASHIMAYA Art Gallery X

2-4-1,Nihonbashi,Chuo-ku,Tokyo

11/7(Wed)-11/27(Tue)

10:00-20:00(last day:-16:00)

Google Translate(to English)

究極。

「彫刻」のイメージが変わってしまうほどの。。。

東京日本橋高島屋6階 美術画廊Xでの森淳一さんの個展です。

森さんの作品は、void+での棚田康司さんとのトークショーの際にテーブルに置かれていた大理石のちいさなものを拝見したことがあるのですが、「彫る」というより「残す」という印象の、ギリギリの緊張感が手のひらに乗りそうなサイズの作品からひしひしと伝わってきたのが鮮烈に印象に残っているのですが、今回の個展では素材を変え、柘植の木を用い、大理石とはまた違う「和」の深みを感じさせる作品が、広い空間に5点のみ出品されています。

森淳一02

森淳一01

作品を目にすると、刹那的に好奇心のスイッチが入ります。

魚の骨を連想させる緻密さ。しかし、骨のような無骨さは微塵も感じられず、凄まじいほどに複雑で有機的なフォルムでありながら、無用なものをすべてを削ぎ落として得る無の境地を思わせ、かつ美しく妖艶に弧を描くひとつひとつの枝のような部分からは、靡く髪のような可憐で流麗な印象も強く受けます。

作品の体積は相当に絞られているはずなのですが、その存在感は圧巻。ケースに収められて展示されていてもなお、観る側に相当な緊張を強いるような気さえ湧いてきます。

森淳一04 森淳一05

森淳一06 森淳一07

森淳一03

たった5点の作品を、時間を忘れて凝視してしまいます。

柘植の気の艶やかさも美しい渋味を放ち、深み溢れる色斑が実に味わい深く感じられます。

森淳一11 森淳一12

森淳一10

平面の作品も少しだけ展示されています。

立体のアーティストが作る平面の作品はいつも興味深いのですが、今回もそのまま彫刻作品へと通ずる緻密さと、一部シメントリーの構図の幾何学的な風合いや透明感溢れる鮮やかな色彩のフューチャリスティックな感触など、森さんのイマジネーションの別の一面も垣間見られ、彫刻作品から得るイメージにもさらなる広がりをもたらしてくれます。

森淳一09

今年拝見した彫刻、立体の展示で思い浮かぶのは、山本現代での小谷元彦さんの個展を思い浮かべますが、それに匹敵する凄みに満ちた展覧会。ぜひたくさんの方にこの緊張感を体感してほしいです。

森さんは、現在カスヤの森現代美術館で開催中の「アテンプト」にも出展されていて、そちらもぜひ伺いたいです。

森淳一08

新井コー児

なびす画廊

東京都中央区銀座1-5-2 ギンザファーストビル3F

11/5(月)~11/10(土)

11:30~19:00(最終日:~17:00)

新井コー児11/5DM.jpg

Koji Arai exhibition

Nabis Gallery

1-5-2-3F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

11/5(Mon)-11/10(Sat)

11:30-19:00(last day:-17:00)

Google Translate(to English)

僕は観てないのですが、映画の「三丁目の夕日」効果でコンビニなどでもずいぶんとまあ懐かしいお菓子が青の頃のままのかたちで並んでいて遠い記憶に思いを馳せてついついチョコベビーとかいろいろ買ってしまって食べるとあの頃の味とか触感もそのまま思い出されてさらに郷愁の度合いが加速するわけですがってここではまあそんな情報は余計なわけですが。

もとい。

おゆおそ1年ぶり、ここ数年はほぼ1年おきに開催されているなびす画廊での新井コー児さんの個展に行ってきました。

セピア色のなんとなく懐かしい雰囲気が溢れるユーモラスな世界が、セーラー服の女の子とか動物たちなんかのキュートなキャラクターによって和やかに繰り広げられています。

新井コー児04

いや、もう、いちいち面白いんです。

思わずにやついてしまう引用とか、キャラクターたちのなんともいえない独特な表情とか、ひとつひとつがあったかい感じです。

現実的に有り得ないシュールな構成だったりもするのですが、どこかマンガチックなところがほっこりと楽しい雰囲気を醸し出しています。

そして何より、これをキャンバスに油彩で描いてしまっているのがいいんです。

油絵の具の素材の力がこんなふうに活かされることってそんなにないような気がして、そこのところで実は斬新だったり。

新井コー児08 新井コー児09 新井コー児10

新井コー児07

ユーモラスにデフォルメされ、丸っこいフォルムが印象的な作品が並ぶなか、「たまにはちゃんと描いてみました」的な作品が逆にアクセントとなっていて面白い!

で、ちゃんと描いてあってその写実の画力にも感心した次第なのですが、そこで終わっていないのがまた良いんです。

新井コー児05

数点の立体の作品もユーモラスです。

憎めない生意気さを感じるネコとか、良い意味で、褒めてる意味で「アホヅラ」を晒しているフグとか。

こちらも平面の作品と同様に楽しい気分を喚起してくれます。

新井コー児01 新井コー児03

新井コー児02

このほか、銅版画の作品も数点。

こちらはより「マンガ」に近い仕上がり。

やさしい彩りで描き出されるおおらかな場面。

多く採用されている上から見下ろしたような構図もすごく気持ちよくて、その光景が描かれた作品が壁に展示され、水平に眺めるときの不思議な感触がまた楽しかったり。

ユーモアとか懐かしさとか、こういうのを喚起してくれるのもありだなぁ、と新井さんの作品を観るたびに思います。

新井コー児06

さかぎしよしおう展

GALERIE ANDO

東京都渋谷区松濤1-26-23

11/6(火)~11/24(土)日月休

11:30~19:30

さかぎしよしおう11/6DM.jpg

Yoshiou Sakagishi exhibition

GALERIE ANDO

1-26-23,Shoto,Shibuya-ku,Tokyo

11/6(Tue)-11/24(Sat) closed on Sunday and Monday

11:30-19:30

Google Translate(to English)

変わらぬ魅力。

さかぎしよしおうさんの個展。

昨年、一昨年と拝見して、まったく変わらない素晴らしさに、時間を忘れてじっとその手のひらに乗るほどの小さな世界に魅入られてしまいます。

さかぎしよしおう006

ちいさな立体のなかに凝縮された細かい粒。それが、ちょっと変な例えになってしまいますが、キノコが育つように実にナチュラルに、しかしどこかほっこりとしたユーモラスな奇妙さを伴って、楽しげなかたちが作り上げられています。

さまざまな角度で見せる表情も実に豊かです。スポットが当てられて広がる影のグラデーションも、白い壁に美しく広がります。

さかぎしよしおう002 さかぎしよしおう005

さかぎしよしおう004 さかぎしよしおう003

さかぎしよしおう001

さかぎしさんが、自然なインスピレーションを基にひとつひとつスポイトで積み上げていった粒の配列がもたらしているこの秩序は、またまた例えが稚拙で恐縮なのですが、えのき茸とか、マッチ箱のなかのマッチとか、はたまた透明の筒のなかにぎゅっと収められた綿棒とか、そいいったものに感じるものと通じているような気がします。

その秩序の究極。どこまでもやさしく、ユーモラスという意味では実におおらかで、澄んだ白と爽やかな青色のコントラストも気持ちよく響きます。

その秩序のなかで、僕がひときわ引き寄せられるのは、底面です。

すべての作品にもたらされている安定感、そこからにじみ出る安心感。それをもたらしているのは、粒子がつぶれてフラットになった底面の、上部の立体的な感覚とはまた異なる真っ平らなケレン味のなさに、なぜだか大きな魅力を感じるんです。

さかぎしよしおう009

さかぎしよしおう008

たったこれだけのサイズなのに...ギャラリエアンドウの空間はどちらかといえばコンパクトなほうで、空間を占める比率でいえばほんの僅かなはずなのに、絶妙な配置で展示された作品が放つ存在感は空間に充満しているように感じられます。

粒のひとつひとつを確かめるように、さらに青の粒のなかの、サックスブルーのなかに混ざり込む濃い青の粒子を眺ていくように、至近で堪能するのはもちろん、空間全体を俯瞰したときにも心のなかになんともいえない清々しさ、心地よさがもたらされるような感じです。

さかぎしよしおう011 さかぎしよしおう012

さかぎしよしおう010

・・・と、つらつらと感想を書いたりしたものの、すべては期待通り。

しかし、この期待は「素晴らしいことは分かっている!」という最上の期待で、それが裏切られないことの嬉しさといったら。。。

そして実はやはり精度という点ではしっかりと進化していて、ひとつひとつの粒はさらに小さくなっているよう。さらに凝縮の度合いが進み、緻密さとおおらかさとがぐんと増しているようにも思えるんです。

現在森美術館で開催されている六本木クロッシングにも参加、さらに来週から神奈川県立近代美術館・葉山で始まる「プライマリーフィールド」にもフィーチャーされているさかぎしさんの作品群。

森美術館の「最初ッからメインディッシュ」的な贅沢な構成が続くなか、途中、絶妙のタイミングとポジションに展示されているさかぎしさんの作品は、まさしく「箸休め」として、ほっとするような気持ちをもたらしてくれたのが印象に残っています。

壁沿いに、しかも壁との間に人が通れる充分な間隔を開けて設置された台の上に置かれ、そのかわいらしい世界を全方位から堪能することができる配慮がなされていて、まさにいわゆる「別腹」的な好奇心でそこで皿に時間をかけて観てしまった次第。

このほっとするミニマムな世界。

美術館の大きな空間と、このギャラリエアンドウのちょっと変わったかたちの真っ白な空間とでたくさんの方に味わってほしいです。

さかぎしよしおう007

石橋貴男「彫刻人形展 伍 - battle against bad infinity -」

PUNCTUM

東京都中央区京橋1-6-6 ハラダビル2F

11/12(月)~11/18(日)木休

12:00~19:00(最終日:~16:00)

石橋貴男11/12DM.jpg

Takao Ishibashi - battle against bad infinity -

PUNCTUM

1-6-6-2F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo

11/12(Mon)-11/18(Sun) closed on Tuesday

12:00-19:00(last day:-16:00)

Google Translate(to English)

ZAIMで拝見して印象に残っていた石橋貴男さんのPUNCTUMでの個展です。

コンクリートの床に配された5つの「彫刻人形」が放つ鮮烈な色彩のコントラストとしなやかなフォルムによる独特な未来的感覚に、一気にこの空気に入り込んでいくような感触が。

木や竹の枝の、自然がつくり出すおおらかで有機的な形状をそのまま活かしつつ、樹脂で形成された、自然物とはまた異なる質感の有機的な要素とにより、ユニークなフォルムの立像がつくり出されています。

曖昧な曲面で表現される人の顔のような箇所にも惹かれます。

石橋貴男04 石橋貴男05

石橋貴男03

2本の木が現す脚部、あるいは無数の細い枝で靡く髪のようにもたらされた広がり。

さまざまな取り込み方がそれぞれに面白いアクセントを持ち込んでいます。

さらに、漆に通ずる艶やかな黒で塗り上げられた表面も、明かりを映し込んできらびやかに輝きを放ったり、影の部分はまさに漆黒と呼ぶべき深遠さが感じられたり、ひとつの作品のなかの陰影からもさまざまなイメージが浮かんできます。

石橋貴男07

石橋貴男06

4体の黒の立像のなかにひとりだけ、真っ赤な作品が。

多の4体が直立しているイメージなのもあり、屈むような仕草も、華やかなで鮮烈な赤の色彩が放つイメージと相まって、より動的な印象を覚えます。

何より、赤と黒とが生み出すコントラストが素晴らしいです。

石橋貴男01

石橋貴男02

それぞれの作品は、「人形」と銘打っているだけあり、それぞれのパーツに分割することが可能のようです。

石橋さんにこのうちの一体の頭部を外していただいたのですが、胴体部分から離れた頭部も、頭部を外された胴体も、それぞれ「頭部」「胴体部分」のイメージから解放されてさらに自由なイメージがもたらされたようなき気がしたのも興味深いです。

シンプルながら、独特の深みが放たれているインスタレーションが展開されています。

コンパクトな空間だからこその臨場感も嬉しい展覧会です。

石橋貴男08

和泉賢太郎展「彩宴 -SAIEN-」

art space kimura ASK?

東京都中央区京橋3-6-5 木邑ビル2F

11/12(月)~11/17(土)

11:30~19:00(最終日:~17:00)

和泉賢太郎11/12DM.jpg

Kentaro Izumi -SAIEN-

art space kimura ASK?

3-6-5-2F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo

11/12(Mon)-11/17(Sat)

11:30-19:00(last day:-17:00)

Google Translate(to English)

立ち上がる色彩の混沌。

先日開催されたオープンスタジオで制作途中の作品を拝見し、完成したものは絶対観たい!と思わざるを得なかった、和泉賢太郎さんの個展です。

散らばる色彩は圧巻の一言につきます。

淡い芥子色の和紙を背景に、めくるめく色彩の連続が画面に凝縮され、展開していきます。

和泉賢太郎05

モチーフに植物を取り上げているのもたいへん効果的に思えます。

そこに現れる有機的な線、色面、微妙な陰影までも緻密に分割し、一度平面に押し込まれたものが再構築され、別のテクスチャーを伴って立ち上がってきます。

ひとつひとつの色が画面からぐんと迫ってくるように感じられるのは、細いながらくっきりとした線の高架化も知れません。隣り合う色をしっかりと隔てる黒い線の存在が、ここに描かれた世界のフューチャリスティックな風合いをより鮮烈に押し上げているような気がします。

和泉賢太郎08 和泉賢太郎07

和泉賢太郎06

徹底的に、過剰に描きまくる部分と、おおらかにすらりと線が走る部分、大胆な余白。それぞれが生み出しているコントラストも面白いです。

色が入らない部分にもどんどん色彩の重なりが侵食していくそうな動的なイメージも湧いてきます。

和泉賢太郎04 和泉賢太郎02

和泉賢太郎03

先日拝見した制作途中の作品は、正面の壁に展示されています。

複数の画面を繋いで構成された絢爛の世界。

ぱっと開く花のダイナミズムと萎んだ花弁の儚げな表情と、そのどちらもが例によって過剰な色調分割と再構築そ経て画面に現れ、広げた巻き物のような景色の流れもさらに壮大な空間的イメージをもたらして、スケールの大きな世界が繰り広げられています。

和泉賢太郎11 和泉賢太郎10

和泉賢太郎09

これだけ華々しく未来的な世界を描き上げていながらも、根っこのところに広がるジャパネスクな風味、静かに横たわる渋味も印象的です。

独特の伸びやかさとそのベクトルと反発するような緻密な描き込み。

とにかく見応えがある展覧会です。

和泉賢太郎01

Liquid/Crystal

MA2 GALLERY

東京都渋谷区恵比寿3-3-8

11/9(金)~12/8(土)日月祝休

12:00~19:00(19:00~20:00アポイント可)

Liquid/Crystal11/9DM.jpg

異なる3つの個性がひとつの空間にパッケージされ、まったく異なるテイストなのにもかかわらず、不思議と響きあっているのがなんとも興味深いです。

女性のアーティストで統一されているのが相当効果的なのかも知れません。

呉亜沙 個展 "the FLOATING"

不忍画廊

東京都中央区八重洲1-5-3 不二ビル1F

11/1(木)~11/10(土)日祝休

11:00~18:00(土:~17:00)

呉亜沙11/1DM.jpg

ギャラリー椿と佐藤美術館での個展を経て、今年3回目の呉亜沙 さんの個展。

不忍画廊のちいさなスペースと温かさで満たす、素敵な空間が作り上げられていました。

まず、広いウィンドウでカラフルな背景のウサギたちと女の子がお出迎え。

ふわっとした輪郭が懐かしい...

呉亜沙101

さまざまなサイズの作品が展示されていて、小さな空間のそこかしこに心地よいアクセントを灯していました。

独特のメランコリックな風合いで、ちょっぴりシュールなシチュエーションも仄かにコミカルで、それでいてやさしさと淋しさとが混ざりあったなんともいえない雰囲気が漂ってきます。

呉亜沙103 呉亜沙104

呉亜沙102

横長の画面で展開された作品が、今回の展覧会の主役。

ニューヨークでの日々を綴り、挿絵と英語の文章とで展開されている作品。後々、巻き物になるのだそう。

何せ英語なのでじっくりと拝見することができなかったのですが、来年のアートフェア東京の頃に本か冊子かのかたちとしてもリリースを予定しているそうで、あらためてじっくりと読めそうで、楽しみです。

呉亜沙105

新井コー児

なびす画廊

東京都中央区銀座1-5-2 ギンザファーストビル3F

11/5(月)~11/10(土)

11:30~19:00(最終日:~17:00)

新井コー児11/5DM.jpg

いやもう、楽しいでしょうこれは。

およそ1年おきになびす画廊で開催されている新井コー児さんの個展。あの雰囲気がおおきなキャンバスで展開されて、とにかく気持ちいい。

山口暁子 個展

ギャラリーアートもりもと

東京都中央区銀座3-7-20 銀座日本料理会館2F

11/5(月)~11/17(土)日休

10:30~18:30

山口暁子11/5/DM.jpg

オーソドックスな日本画を描く、山口暁子さんの久々の個展。

前回は紙本の作品のみだったと記憶しているのですが、今回は絹本が中心。

その繊細な風合いを活かし、軽やかな風合いの空間が描き上げられています。

山口暁子01

絹本のしっとりとした感じの画面の上に、1本1本の線がていねいに引かれ、それによって鳩の羽や花弁の撓みがもたらす滋味溢れる表情、置かれたおもちゃが奏でる温かみが細やかに表現され、爽やかな風合いも加勢して、穏やかな緊張感に満ちています。

山口暁子05 山口暁子06 山口暁子02

山口暁子03

紙本の作品もよい感じです。

絹本を扱うときの緊張から解放され、 紙に絵の具を乗せていく自在な感じが、画面にダイナミズムをもたらしているような印象で、おおらかに感じられます。

凛とした力強さを感じる花の姿、そして、幼い頃の想い出が蘇ってきそうな風景。

山口暁子04

山口暁子07

対峙するのではなく、自然に込み上げる感情を味わうような感触が嬉しい展覧会です。

中村ケンゴ "スピーチバルーン・イン・ザ・ビーナスと21世紀のダンス"

MEGUMI OGITA GALLERY

東京都中央区銀座5-4-14 銀成ビル4F

11/6(火)~12/1(土)日月祝休

12:00~19:00

中村ケンゴ11/6DM.jpg

中村ケンゴさんのユーモアはホントに深い。

キャッチーで、分かりやすくて、引用のあざとさがなんとも痛快で。

今回も、出品数こそ少なめですが、そこに込められているさまざまなメッセージのようなものを探るとどもまでも深入りできそうな雰囲気に溢れています。

輪派絵師団

maru gallery

東京都港区海岸3-7-18-902

11/10(土)~11/24(土)日月祝休

12:00~18:00

輪派絵師団11/10DM.jpg

この展覧会は、何度か足を運ばねば。

会期中、変化し続ける絵。たっぷりと時間をかけて敢行されるライブペインティング。

すでに初日、遅い数時間を眺めていただけで2、3層、絵が重ねて描かれているという凄まじさ。

《11/13》

北出 ART 北出健二郎

hpgrp GALLERY 東京

東京都渋谷区神宮前5-2-11 H.P.DECO 3F

11/8(木)~12/9(日)

11:00~20:00

北出健二郎11/8DM.jpg

ニューヨーク在住のセラミックアーティスト、北出健二郎さんの(たしか)国内では初の個展。

先日開催された青参道アートフェアでもその一端を垣間見ることができたのですが、なんだかもう、作品が放つあの存在感は一度目にすると忘れられないです。

《11/14》

小西真奈展「どこでもない場所」

第一生命南ギャラリー

東京都千代田区有楽町1-13-1 DNタワー21 第一生命本館1F

11/2(金)~11/30(金)土日祝休

12:00~18:00

小西真奈2007DM.jpg

この展示、観ることが出来てまずは嬉しいです。

ゆったりと距離をおいてそれぞれの作品を眺めて、そこに収められた空気の流れが肌で実感しているような錯覚が、こちらでも。

さらに、絵のなかに駆け出していきたくなるような衝動も湧いてきちゃったりして、痛快です。

そんななか、いちばん印象的なのが、入口側の壁、入口から入って右手の作品。

阿蘇、草千里の風景。

大きな水たまりのような湖面。手前からつらつらと人の流れが。向かう人、戻る人、なぜかひとつの轍のうえを行き交う。。。

いつだったかはさすがに覚えていないのですが、同じような風景の記憶がぐんと立ち上がってきて、すごく懐かしく感じられた次第。。。

この絵のなかに描かれた風景をその場で眺めて、なんとなく不思議な感じがした記憶が僕のなかに残っていたことにも驚きつつ。

もう1回観にいけるかなぁ。。。

阿蘇にもまた、久し振りに行ってみたいなぁ。。。

井上裕起展 salamandala

和田画廊

東京都中央区八重洲2-9-8 近和ビル302

11/11(日)~11/25(日)

13:00~19:30(最終日:~17:30)

井上裕起11/11DM.jpg

今年の張る頃に続いて開催されている、井上裕起さんの個展です。

前回はたくさんの木彫のサンショウウオがカラフルな淡い色彩を纏い、床を無数に這っていましたが、今回は石彫の作品が。

・・・の前に。

井上裕起103

地雷か!Σ( ̄口 ̄;)

いきなり地雷か!Σ( ̄口 ̄;)

なんかもうずいぶんとまた物騒なもの作ってきたねそれにしても随分な臨場感だね、とそのユーモラスな構成に膝を打ちつつ。

サイズも大きく、ずっしりとした質感も印象的なサンショウウオが床を這っています。

なんかもう、迫力が。。。

石の白さが放つ光沢が、おおらかで神々しく感じられるのも印象的です。

井上裕起102

井上裕起101

松川はり展

GALLERY b.TOKYO

東京都中央区京橋3-5-4 第1吉井ビルB1

11/12(月)~11/17(土)

11:00~19:00(金:~21:00、最終日:~17:00)

松川はり11/12DM.jpg

重ねられる薄い生地で展開される、繊細で脆さ、儚さが充満するシーン。

ふたつの画面の重なりが立体的に奥行きをもたらし、水干の淡い色彩が霞のような風合いを醸し出し、微睡みにも似た風合いを醸し出しています。

松川はり04

松川はり02

松川はりさんの作品は久々に拝見するのですが、捕らえ所のないもどかしさに惹かれ、今回は更に敢えてふたつの層の効果も活かしながら、その独特な世界にぐんと深みをもたらしているような印象を受けます。

さまざまなサイズの作品が並び、もやもやとした輪郭のなかに緻密な描き込みも取込みながら、ユニークな空間が繰り広げられています。

松川はり06 松川はり05

松川はり01

和泉賢太郎展「彩宴 -SAIEN-」

art space kimura ASK?

東京都中央区京橋3-6-5 木邑ビル2F

11/12(月)~11/17(土)

11:30~19:00(最終日:~17:00)

和泉賢太郎11/12DM.jpg

立ち上がる色彩の混沌。

圧巻の展開。

じっくりと作品に近付いてそこに描かれた線の細やかさと大胆な色彩の構成に、一気に呑まれます。

石橋貴男「彫刻人形展 伍 - battle against bad infinity -」

PUNCTUM

東京都中央区京橋1-6-6 ハラダビル2F

11/12(月)~11/18(日)木休

12:00~19:00(最終日:~16:00)

石橋貴男11/12DM.jpg

ZAIMで拝見して面白いと思っていて、もう一度しっかり拝見したいと思って気に留めていた石橋貴男さんの個展。

5体の「彫刻人形」による統一感ある色彩による構成で、深い雰囲気が立ち篭めるインスタレーションが繰り広げられています。

シリーズ 彫刻/新時代 Vol.1 森淳一展

東京日本橋高島屋6階 美術画廊X

東京都中央区日本橋2-4-1

11/7(水)~11/27(火)

10:00~20:00(最終日:~16:00)

森淳一11/7DM.jpg

凄い。

あの作品が、ひとつの木から彫り出されていると分かっていても、それだけで充分な驚きです。

TOKYO EYE 色山ユキ江 内海陽介 安田悠

大丸東京店10Fアートギャラリー

東京都千代田区丸の内1-9-1

11/14(水)~11/20(火)

10:00~20:00(最終日:~17:00)

TOKYO EYE1111/14DM.jpg

3名のユニークな個性をパッケージしたグループショー。

新装開店した大丸東京店に新しくできあがったアートスペース、自由に気軽に出入りできる空間です。

そこで、安田悠さんの独特の滲みがもたらされたさまざまな場面の作品、内海陽介さんのめくるめく展開がそれぞれの画面で繰り広げられる緻密で大胆な作品、色山ユキ江さんのモノトーンのシンプルな色彩構成による有機的でアーバンな世界が展示され、それぞれ大作も出品されて、それほど大きな空間ではないにもかかわらず、見応えがある展示となっています。

小西真奈展「どこでもない場所」

ARATANIURANO

東京都中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3A

10/27(土)~12/1 (土)日月祝休

11:00~19:00

小西真奈2007DM.jpg

KONISHI Mana "nowhere in particular"

ARATANIURANO

2-2-5-3A,Shintomi,Chuo-ku,Tokyo

10/27(Sat)-12/1(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

どんどん広がっていく...

小西真奈さんのARATANIURANOでの個展に行ってきました。

小西さんの作品は、オペラシティでのproject Nで拝見して以来、続けてチェックしているのですが、特にVOCA展での大きな作品以来、おおらかに画面に広がるスケールの大きな風景に、画面の前に立つ度に爽快な感情に満たされます。

昨年まではSpace Kobo & Tomoで開催されていた個展、あの小さなキューブのなかでの小西さんの作品もよかったのですが、今回は立ち上がって間もないARATANIURANOのフレッシュな雰囲気も溢れる広めの空間と、合わせてさらに広い第一生命ギャラリーとの同時開催で、よりダイナミックに小西さん替えがか出す世界の素晴らしさが引出されています。

小西さんが描く風景。

昨年までは、海に近い場所、あるいは新緑が芽生える季節を捉えたシーンが描かれているという印象が強く、透明感溢れる青や瑞々しい緑の色彩のイメージがまず浮かぶのですが、今回、ドアを開けてまず正面に現れた秋色の風景に、これまでとはまた違う魅力に一気に惹かれます。

小西真奈206

阿蘇の風景を取材されて描かれたそう。

そう伺い、熊本出身の僕としては、子どもの頃にいったことが有る風景が描かれていることにさらに親しみが湧いてきて嬉しくなります。

それにしても、鮮やかな黄金色です。

緑や青が放つ清々しさの魅力に並ぶ美しさ。

その場所の音が聴こえてきそうな臨場感も素晴らしいです。

振り返ると今度は無彩色の風景が目に飛び込んできます。

まるで氷の風景を思わせる無彩色の景色。そこに傘をさした人々の一団が佇み、フィクショナルでシリアスなムードが漂います。

小西真奈203 小西真奈204 小西真奈205

画面のコーナーの部分がわずかにグレーに染まる白い空。

奥の山の硬質な表情。そしてぽっと灯るような人影。

モノクロの写真がベースとのことで、色彩のコントロールはあるものの、こちらも現実の風景を基に描かれたのだそう。

映画のワンシーンのような、不思議な臨場感が溢れます。

小西真奈202

小西さんの作品は、至近で観てみると筆の運びが実に生々しく残っていて、部分だけピックアップして眺めたら抽象的な響きさえ感じられます。

しかし、距離をおいて俯瞰すると、その場所の空気の存在、吹く風の感触や草木が放つ匂い、水のざわめきといったさまざまな要素がひしひしと脳裏に沸き上がってくるほどにリアリズムを発揮してきます。

このギャップはたいへん興味深く、かつ大きな魅力です。

思い浮かんだのは晩年のモネの作品群。庭の橋を描いた作品は何度も拝見して、周年のようなものは感じるものの、どうしても「風景」には見えてこない、抽象的な感じしか伝わらないもどかしさ心に広がるのですが、対照的に小西さんの作品はタッチのひとつひとつは行為の痕跡を強烈に放っていながら、描かれた風景の臨場感は実におおらかで、その場に実際に訪れたかのようなデジャヴ感さえ浮かぶほど。。。

展示タイトルの「どこでもない場所」という言葉が、さらに作品へのイメージに自由さをもたらしているのも嬉しいです。

すべては取材に基づいて描かれていながら、観るものにその場所を強くは限定せず、キャンバスに描かれた風景を基点にする想像の広がりもダイナミックです。

第一生命のほうは土日祝日が休み、平日も6時までと、オープニングを逃すとなかなか伺えないのですが、何とか観にいきたいです。

小西真奈201

野口里佳「マラブ・太陽」

ギャラリー小柳

東京都中央区銀座1-7-5 小柳ビル8階

10/27(土)~11/30(金)日月祝休

11:00~19:00

野口里佳10/27パンフ.jpg

Rika Noguchi "Marabu/The Sun"

Gallery Koyanagi

1-7-5-8F,Ginza,Chuo-ku.Tokyo

10/27(Sat)-11/30(Fri) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

澄み切った時間に包まれます。

暗い空間。ていねいにトリミングされたスポットが当てられ、ひとつひとつの作品が浮かび上がるように展示されています。

作品のひとつひとつの前に立つ、あるいは空間の真ん中に立って並ぶ画面を俯瞰する...それぞれの位置から届く光景に、さまざまな思いがよぎります。

ギャラリー小柳での野口里佳さんの個展です。

野口さんというと、僕が初めて行った原美術館での展覧会が、野口さんの個展でした。

記憶を辿ると、ロケットの発射場の、何もない自然のなかに機能性を押し出した人工物が醸し出すギャップ、しかしその写真のなかに収められた空気感の鮮やかさ、さらにその写真と瀟洒で古めかしい原美術館の内装とのギャップ、といろんな新鮮な体験が思い浮かんできます。

今回はピンホールカメラによるふたつのシリーズの紹介。

野口さんの作品が包む空間への思い入れもあり、原美術館で拝見したものとはずいぶん違うものになりそう、と、期待して伺いました。

ぼやけた輪郭。

僅かの空気の揺らぎで消えてしまうのでは、と錯覚してしまいそうなほどに、繊細で朧げな場面が、くらい空間に仄かに膨らむように迫ります。

それぞれの作品にはアクリルのカバーがかかっているのですが、おそらく特殊なもので、映り込みが極力抑えられ、照明の光源のみが灯っています。

至近で眺めると、ざらついた色のドットが散らばるような感じが見受けられ、その飛沫が凝縮して濃い緑を織り成していたり、また薄らと重なる色層の部分はより儚げな風合いを醸し出します。

事前に目にした情報などで、今回の主題のひとつである「マラブ」はほとんど動かない鳥だそう。

濃緑が広がり、木々の間から届く軽やかな木漏れ日も美しい風景の真ん中に佇むマラブは、まるで妖精のように、神々しい妖しさを放っているように感じられます。

動かないはずのマラブも、時に羽を広げながら足元の池に嘴を寄せていたり、思いのほか豊かな仕草を見せてくれています...が、それでもひとつひとつの画面に収められた時間には悠久を感じ、たおやかな体躯とともに、そこに流れる緩やかさに魅了され、時間と自分の存在を忘れ、その空気に浸ります。

時計と逆まわりに順に観ていって、それぞれの壁に並ぶ作品が同じ場所であることに気付く楽しみも堪能しながら、ふいにマラブの姿が消えたときになんだか急に切なくなったり、かと思えばその次に展示されている作品で唐突な場所に出現していて「何でこんなところに」とちょっと微笑ましくなったり。

1点、空を飛ぶマラブを捉えた作品が出展されています。

「動かない」という先入観が強すぎたこともあり、薄い雲による淡いコントラストも美しく、壮大な奥行きをもたらす背景に、翼を広げて飛ぶマラブの姿には心底驚かされます。

オープニングの日に野口さんと少しだけお話しする機会に恵まれたのですが、この作品について問うと、アフリカではマラブも飛ぶのだそう。

動かないマラブも、先天的に空からの風景を知っているのだろうか...

そう思うと、それまで眺めていた深い緑のなかのマラブへの思いも広がって行きます。

初日に続いて、それから2週間後の土曜日に再び伺いました。

この日も雨。

しかし、しっとりした空気が、ピンホール写真の曖昧さにはなんとなく合っているような気もします。

再び訪れても、やはりその繊細な臨場感に満ちた空間に引き込まれます。

今回も時計と逆まわりに何度も観て、ある既視感にとらわれます。

画面のなか、マラブが立つ場所にまるでスポットが当たるかのように明るくなっていて、そのまわりが薄暗い。。。

マラブのまわりの風景の色がイメージのなかで薄らぎ、消えて。。。

マラブのシルエットが引力を持ち、そこに意識がどんどんと集中していくような錯覚。

ステージのような雰囲気。

今年の夏に亡くなった、僕がもっとも尊敬していたエンターテイナー、パントマイマーのマルセル・マルソーのステージが脳裏に蘇ってきました。

身体だけを使ってさまざまなモノを表現し、彼の演技を思い返すと、何もないステージのはずなのにその情景までもがしっかりと思い浮かんできます。

マルセル・マルソーの訃報を耳にしたとき、不思議と悲しみよりも、ほっとしたような気持ちが湧いてきました。彼の最期を知ることが出来た安堵感というか...不謹慎かも知れないのですが...。

しかし、ここでマラブの姿にマルソーの面影がふいに浮かんで、淋しい気持ちが湧いてきた次第で。。。

もうひとつの「太陽」の作品をあらためて観てみて、太陽が灯る画面の中央に吸い込まれていくような感触に、

「あれ、同じシリーズなのかなぁ・・・」

という錯覚を覚えます。

マラブと太陽とではスケール感がまるで違うはずなのですが...。

主役が放つオーラに、どちらも同じような引力を感じます。

おそらく意図されたことではないと思うのですが、このふたつのシリーズが同時に展示去れることで、お互いに通ずる世界観に静かな感動が沸き上がりました。

暗い空間から離れるとき、開くエレベーターの明かりが一気に現実の世界に引き戻してくれます。

2度伺い、2度とも立ち去るのが名残惜しく感じられた展覧会です。

関山晃治 個展“代官山傍観”

ヒルサイドフォーラム

東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟

10/30(火)~11/4(日)

11:00~19:00

関山晃治10/30DM.jpg

Koji Sekiyama solo exhibition

HILLSIDE TERRACE

18-8,Sarurakucho,Shibuya-ku,Tokyo-to

10/30(Tue)-11/4(Sun)

11:00-19:00

Google Translate(to English)

描かれた風景の面白さ。

DMを拝見した時点では「写真の展覧会」と思っていたのですが、実にリアルな風景画の展覧会。

これだけ緻密に風景を再現できるスキルをもって、なぜ風景を描くのだろうという興味と、なぜただ風景を描いた作品に見えないのだろう、もっと別の要素が全面に押し出されているように感じられるのだろう、という疑問との対峙。。。

関山晃治さんの個展に行ってきました。

ちょうど会期を合わせて行われた青参道アートフェアで偶然関山さんとお目にかかって、その際にお知らせいただいたのは今思えばたいへん運がよかったなぁ、と。

リアルな描写の風景画が、ずらりと並びます。

東京で生活していて、そこがどこか実感できる、分からない場所でもその場所の空気を思い出せる...それほどの臨場感が画面から静かに、しかし独特の「熱さ」...醒めた熱さを伴って溢れます。

関山晃治09

これだけていねいに実際に風景が再現されていながら、すべてをそのまま画面に再現してしまう写真とは異なり、描き手の「印象」がより画面に反映されているように感じられるのも興味深いです。

関山晃治 関山晃治12 関山晃治11

関山晃治10

描かれる風景は、真昼の時間帯ではなくて、夕暮れ、夜、明け方、そういう特別な雰囲気が淀む時間の印象が伝わります。

空の色が独特です。青とも紫とも言い切るのがはばかられる、微妙な色合い。

また、空が描かれないユニークな構図の作品もありますが、不思議とその空気の色彩も描かれているような感じがします。

関山晃治04 関山晃治01

関山晃治03

作品に随所に登場する、遠く暗く深い空の奥行きとコントラストを成す照明の明るさ。

あるいはショーウィンドウに映り込む明かりの臨場感。

そこに人の存在が醸し出されつつ、それでも画面のなかには人の姿は見受けられない、そのあたりがもしかしたら関山さんが描く風景をただの写実画に留めず、スリリングな雰囲気を充満させるコンテンポラリーなものに押し上げているような気もします。

関山晃治07 関山晃治02 関山晃治06

関山晃治08

秋空が爽やかな天気の明るい時間に伺ったにもかかわらず、独特の落ち着きと深みが広がる空間に浸れたのはたいへん貴重な体験でした。

さらにどんな風景が現れるか、たいへん興味深いです。

関山晃治。05

大沢拓也

galleria grafica bis

東京都中央区銀座6-13-4 銀座S2ビル

10/29(月)~11/3(土)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

大沢拓也10/29DM.jpg

Takuya Osawa exhibition

galleria grafica bis

6-13-4,Ginza.Chuo-ku,Tokyo

10/29(Mon)-11/3(Sat)

11:00-19:00(Last day:-17:00)

Google Translate(to English)

繊細にして鮮烈な視点で描かれる、クールな風景。

これまで何度も拝見していて、個展を観たいと思っていた大沢拓也さん。

満を持して、の展覧会。

渋い色彩、重なるシルエット。

古い時代から連綿と伝わって作り上げられた味わい深い色彩や紙の質感など、日本画の素晴らしさの大きな要素と、いかにも現代的な、さりげない光景をレイヤーで重ね、フューチャリスティックな雰囲気を放つ構成。

大沢拓也06

大沢拓也05

文句なしのかっこよさです。

大正時代の和紙が張られた襖を支持体として再利用する、というアプローチもある種現代的。

さまざまな時間の感覚を織りまぜながら、独特の奥行きを醸し出す渋い世界が作り上げられています。

大沢拓也09

大沢拓也08

そして、何より圧巻なのが、その緻密さ。

ザンと撒かれた色彩の飛沫の輪郭がトレースされ、さらに絶妙の配置で重ねられる異なる縮尺の風景や場面が無機的なリズムを放ち、作品によってはさらに、実に細やかな線が重ねて施され、微妙な陰影がもたらされています。

写真ではその繊細さ、緻密さを捉えられず口惜しいのですが、その精密さに気付かされ、ただでさえ画面に近付いてその精密さを堪能しているところに、さらに至近でさまざまな要素を発見し驚嘆した次第。

大沢拓也02 大沢拓也03 大沢拓也04

大沢拓也01

色合いも独特です。

これまでは暗い色彩の作品を拝見することが多く、僅かなコントラストの中に浮かび上がる硬質なモチーフのクールさに一気に惹かれていったのですが、今回は小品ということもあってか、穏やかで淡い色彩の作品も出品され、大沢さんのこれまで知り得なかった一面にも触れることが出来たような印象です。

大沢拓也14 大沢拓也13

大沢拓也12

しかし、やはり大沢さんが取り込む「黒」の存在感は圧倒的。

同時に登場する他の色彩とのコントラストも鮮やかで、特に箔などが放つ金属色とにより発せられる重厚な質感からは、どこまでも深い印象が脳裏によぎります。

大沢拓也15 大沢拓也07

大沢拓也11

少し前に開催された芸大の記念館での壮大な作品を拝見していただけに、今回はどうなるんだろうといろいろと勝手ながらシュミレートしていたのですが、やはりその想像は実際に作品を前にしたときにはまったく追い付いていなかった事を実感。。。

今度は4月に作品が観られる機会があるようなので、今から待ち遠しいです!

大沢拓也10

舟田潤子

シロタ画廊

東京都中央区銀座7-10-8

10/29(月)~11/10(土)日休

11:00~19:00(土:~17:30)

舟田潤子10/29DM.jpg

Junko Funeda

Shirota Gallery

7-10-8,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

10/29(Mon)-11/10(Sat) closed on Sunday

11:00-19:00(Sat:-7:30)

Google Translate(to English)

ユーモラスなお辞儀でお出迎え。

舟田潤子05

カラフルで楽しい銅版画の展覧会。

舟田潤子さんの個展です。

・・・の前に...

まず、大きな布のコラージュ作品が目に飛び込んできます。

黒い大きな布にいろんな素材がマウントされ、のびのびとおおらかな世界が繰り広げられています。

「刷る」という醒めた行為がひとつ間に加わる版画のアーティストが、直に画面をコントロールして作り上げる作品は、アーティストの「より」プリミティブなイメージに触れているような気がしていつも興味深いです。

舟田潤子01

銅版画作品は、とにかく活発で楽しい雰囲気が伝わってきます。

池田満寿夫の版画作品にも通ずる鮮やかな色彩と踊る線とのコラボレーション。

池田の版画がアダルトな雰囲気を発しているとしたら、舟田さんの作品はより自由に、まるでまだどんどんと展開していっているような動的な印象を受けます。

舟田潤子07

サーカスのさまざまなシーンをモチーフに作り上げられた作品たち。

そこに登場するピエロのハッピーでキュートで、ちょっとセンチメンタルな立ち振る舞いや佇まいが、ダンサーやパフォーマーのコミカルな演技が画面のそこかしこに織り込まれ、めくるめくファンタジーが繰り広げられます。

舟田潤子09

舟田潤子12 舟田潤子04 舟田潤子03

舟田潤子10

画面を舞う黒い線、版画らしいフラットに広がる鮮やかな色面、そのどちらも魅力的です。

画像だと伝わらないのですが、銅版画のインクの温かみがまだ仄かに残っているかのような風合いもいいんです。

舟田潤子06 舟田潤子08

舟田潤子13

コラージュが大胆に取り入れられたエディション作品も展示されています。

版を用いつつ、布、紙とさまざまな素材を大胆に持ち込み、大きな画面をダイナミックに彩ります。

舟田潤子02

ギャラリーのなかに足を踏み入れた瞬間、カラフルな世界によって視界が占められたときの痛快さ、気持ちよさ、ぱっと沸き上がるポジティブで楽しいイメージが印象的な展覧会です。

舟田潤子11

《11/1》

青参道アートフェア

H.P.DECOほか

東京都渋谷区神宮前5-2-11

10/31(水)~11/4(日)

青参道2007パンフ.jpg

この秋に青山界隈で行われたいくつかのアート関連のイベントでいちばん面白かったような気がします。

表参道と青山通りを結ぶ裏通りに面したさまざまなブティックやヘアサロンのウィンドウなどにいろんなアートインスタレーションが登場し、通りを歩く目を楽しませてくれました。

この界隈のショップなどのフットワークの軽さ、「なんか楽しそうだから参加しちゃう?」みたいなノリの良さも伝わる、嬉しい企画です。

すべてはチェックできませんでしたが、メイン会場のH.P.DECOでの永岡大輔さんの映像とイラスト、北出健二郎さんのテラコッタ、インテリアに溶け込んだ伊藤一洋さんのブロンズ、矩形がかさなってリズミックなアプローチが面白い澁谷忠臣さん、ブティック「io」のウィンドウで展開されていた田中麻記子さんのキュートなインスタレーション、「KIMONO 紫藤尚代」に展示されていた岩井健一さんの花火の写真などが印象的でした。

《11/3》

悶 ゆ る ら

ヴァリエテ本六

東京都文京区本郷6-25-14

10/26(金)~11/3(土)月火休

12:00~19:00

悶ゆるら10/26DM.jpg

TOMOYASU MURATA COMPANYのスタッフ、大井芙美さん、大澤幸恵さん、来海昌哉さん、水本香澄さん、笠間路代さん、唐木優さん、小山倫矢さん、渡邉悠子さんのクリエイションが展示された展覧会。

さまざまな平面作品と映像作品とが展示され、穏やかなヴァリエテ本六の空間を楽しく染め上げていました。

悶ゆるら01

やはりユニークな人のところにはユニークな才能が集まるのだなぁ、と。

それぞれの個々の展開もぜひ観てみたいです。

悶ゆるら05 悶ゆるら03

悶ゆるら04 悶ゆるら06

悶ゆるら02

サスティナブル・アートプロジェクト2007『事の場』

旧岩崎邸ほか

東京都台東区池之端1-3-45

10/20(土)~11/4(日)(旧岩崎邸会場は10/20(土)~11/30(金))

事の場2007パンフ.jpg

谷中界隈の各会場で行われていた毎年恒例のイベント。

こちらもすべてを観て回ることは叶わず、旧平櫛田中邸と旧岩崎邸とをチェック。

で、旧岩崎邸は初めて入ったのですが、瀟洒な洋館のなかでいろんなアートクリエイションが展示され、印象深い世界が展開されていいます。

椅子に投影された小瀬村真美さんの映像作品、より臨場感溢れる雰囲気が部屋のなかに立ち込めます。

事の場04

いろんな場所で展開される映像作品やその空間を活かしたインスタレーションなど、見どころも満載です。

ここだけ会期が長く、今月いっぱい観られます。

事の場03 事の場07 事の場02

事の場05 事の場01 事の場06

志水児王さんの光のインスタレーションも、建物のムードのギャップが面白いです。

事の場08

大沢拓也

galleria grafica bis

東京都中央区銀座6-13-4 銀座S2ビル

10/29(月)~11/3(土)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

大沢拓也10/29DM.jpg

ずっと個展で拝見したかった大沢拓也

少し前に芸大で行われた展示での巨大な作品から今回の展示はどういったものになるのだろう、といろいろと想像していたのですが、これまでの大沢さんの手法を全面に出した、もっともかっこいい日本画のひとつと呼びたくなるクールな世界が展開されていました。

舟田潤子

シロタ画廊

東京都中央区銀座7-10-8

10/29(月)~11/10(土)日休

11:00~19:00(土:~17:30)

舟田潤子10/29DM.jpg

作品によってさまざまなメディアを取り入れ、ユニークな色彩感覚により、楽しげでポジティブな世界が繰り広げられています。

阪本トクロウ展「呼吸」

GALLERY MoMo

東京都港区六本木6-2-6

11/3(土)~12/1(土)日月祝休(初日除く)

12:00~19:00

阪本トクロウ11/3DM.jpg

ホワイトキューブで阪本さんの作品を拝見するのは久し振り。

やはり、白い壁に映える作品だなぁ、と改めて実感。

いつもと変わらないはずなのにいつもより明るい雰囲気が広がっています。

《11/4》

関山晃治 個展“代官山傍観”

ヒルサイドフォーラム

東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟

10/30(火)~11/4(日)

11:00~19:00

写真の作家かと思いきや...

独特の雰囲気を持つペインティングにびっくり。

「現在」を独特の視線で切り取った作品が並ぶ展示でした。

アンテ・ヴォジュノヴィック 展“真直ぐな曲線~光を含む全ての物質を流体と捉えた場合の重力と放物線の因果関係”

ヒルサイドフォーラム

東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟

10/30(火)~11/4(日)

11:00~19:00

インテリアに接近したアート。

おおらかでシャープな曲面の鮮やかさ、ケレン味のなさが気持ちいい!

斬新で大胆な感覚に加えて、ユーモアも込められたクリエイションが楽しい展覧会でした。

Ante Vojnovic 01 Ante Vojnovic 02 Ante Vojnovic 04

Ante Vojnovic 03

写真新世紀東京展2007

東京都写真美術館 B1階映像展示室

東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内

11/3(土)~11/25(日)月休

10:00~18:00(金:~20:00)

写真新世紀2007パンフ.jpg

このところ見逃していた写真新世紀展を今年はしっかりとチェック。

まず、昨年のグランプリ受賞者の高木こずえさんの展示、縦の動線を過剰に提示されたインスタレーションにシャープなイメージが喚起されます。

響くものと響かないもの、いろいろとあるなかで、まず山口理一さんの作品に目が行きます。

東京画廊での個展で拝見したシャープな雰囲気が抑えられ、そこにいるヌードの男女の温もりのようなものも伝わるナチュラルな感触が印象的でした。

青山裕企さんの作品はこれまでも拝見したことがあり、今回のダイナミックな展開の展示ではよりおおらかな清々しさを感じます。

明るい画面が気持ちいいです。

仲里伸也さんのたった4点の作品の説得力にも感嘆。良く分からないのですが、若干の加工がその世界をぐんと引き立て、クールな世界を演出しているように感じられました。

六本木クロッシング2007:未来への脈動@森美術館 10/13(土)~1/14(月)10:00~22:00(火:~17:00、12/25、1/1:~22:00)

森美術館

東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53F

10/13(土)~1/14(月)

10:00~22:00(火:~17:00、12/25、1/1:~22:00)

六本木クロッシング2007.jpg

もうコレは現代アートの遊園地です。

楽しすぎます。

現代美術二等兵 駄美術

ショップ・ディテール

東京都渋谷区千駄ヶ谷2-28-3

10/31(水)~11/4(日)

10:30~20:00

Design Tideの一環で開催された現代美術二等兵の展覧会。

いやもう笑った~!

いちいち「そう来たか!」というユーモアが楽しい作品が溢れていて。

少し前に開催されていた京都での展覧会に行けなかったので、こちらでチェックできたのも嬉しかったです。

MINUTE MOON AND THE GARDEN OF TRIANGULAR SUNSHINE CRISTINA TORO

hpgrp東京GALLERY

東京都渋谷区神宮前5-2-11 H.P.DECO 3F

10/12(金)~11/4(日)

11:00~20:00(初日:13:00~)

青参道アートフェアのひとつの会場として、それより少し前から始まっていたCRISTINA TOROさんの個展です。

ポップな色彩が楽しい作品が空間を覆います。

クリスティーナ・トロ03 クリスティーナ・トロ02

クリスティーナ・トロ01

幼少から親しんだテキスタイルの感覚が作品に大きく反映され、ステッチ風の点描がリズミカルな風合いを醸し出していたり。

絵画だけではなくて、彩色された立体の作品や布の作品も。

クリスティーナ・トロ05 クリスティーナ・トロ06

クリスティーナ・トロ04

からりと乾いた風合いも気持ちいいクリエイションです。

クリスティーナ・トロ09 クリスティーナ・トロ06 クリスティーナ・トロ10

クリスティーナ・トロ07

キン・シオタニ個展 生活詩人@B GALLERY 10/18(木)~11/20(火)11:00~20:00

B GALLERY

東京都新宿区新宿3-32-6 BEAMS JAPAN 6F

10/18(木)~11/20(火

11:00~20:00

キン・シオタニ10/18DM.jpg

いちばん広い壁にびっしりと書かれた自己紹介文がまず楽しい!

さらに、ぎゅっと凝縮されるように展示された作品群もいい感じです。

この日はパフォーマンスも行われて、イラストを描きながらのネタも面白くて。

何より、アルファベットの並びから顔を描いてしまうその鮮やかさには感動。

《11/6》

勝国彰展 mental sketch modified

Bunkamura Gallery

東京都渋谷区道玄坂2-24-1

11/1(木)~11/11(日)

10:00~19:30

勝国彰11/1DM.jpg

緻密さと渋い色彩とで描かれるジャポネスク。

さまざまなモチーフが放つ洗練された深みにポップさも醸し出されて、ずらりと並ぶ作品により実に見応えのある世界が繰り広げられています。

勝国彰01 勝国彰02

勝国彰03

さかぎしよしおう展

GALERIE ANDO

東京都渋谷区松濤1-26-23

11/6(火)~11/24(土)日月休

11:30~19:30

さかぎしよしおう11/6DM.jpg

変わらない個性の説得力に、分かっていても感動してしまいます。

六本木クロッシングにも参加されているさかぎしよしおうさんの個展です。

台の上に置かれた小さな作品に込められた世界の豊かさ、時間を忘れて味わいたくなってきます。

山下美幸 個展「リリパット・フォー・ミー」

BOICE PLANNING

神奈川県相模原市相原5-12-47

10/27(土)~11/25(日)土日祝のみ

13:00~20:00(初日:13:00~)

山下美幸10/27パンフ.jpg

Miyuki Yamashita solo exhibition "Lilliput for Me"

BOICE PLANNING

5-12-47,Aihara,Sagamihara-shi,Kanagawa-ken

10/27(Sat)-11/25(Sun) Saturday Sunday and national holiday only

13:00-20:00(opening:13:00-)

Google Translate(to English)

溢れる色彩、めくるめく物語。

BOICE PLANNINGのアーティストの紅一点、山下美幸さんの個展です。

前回の机上位で、テーブルに描かれた木の枝とボーリングのピンが印象に残っていて楽しみだったのですが、ペインターの面目躍如といった感のある伸び伸びとした感性が画面から溢れるユーモラスでフレッシュな世界が繰り広げられていて、期待以上の内容です!

まず2階の入口の小さなスペース。

こちらは小品が中心の展示となっています。

今回の展示でメディアなどに露出していた作品が、小さくてちょっとびっくり。

山下美幸01

シンプルだけど透明感もたたえた色調で、風景・・・というか山のなかに埋もれる顔とそこを登る人影とのシーンとしてのギャップが面白く、スケールが大きな展開も楽しいです。

山下美幸02 山下美幸03

山下美幸04

3階の屋根裏へ。

入口にキュートなロゴ。

山下美幸05

入ると...

・・・・!!!!!

屋根のせいで斜めの天井になっているユニークな空間を活かした展示です!

山下美幸09 山下美幸14

山下美幸06

見上げる絵画。

壁に展示され、水平な視線でじっくりと対峙して味わうのももちろん楽しいですが、こうやって展示されると絵の世界のおおらかさがより引き立てられ、高揚感もより大きく盛り上がってきます。

普通の空間の天井に、絵が水平に展示されるときっと圧迫感が先に立つような気がするのですが(天井画などどで観てみたい世界もあるのですが...)、よい塩梅に斜めになっているおかげで程よい圧迫感がまた新鮮です。

大きな空間だけあって、大きな画面の作品がゆったりと展示されています。

なんとも不思議なシチュエーションが繰り広げられ、そのなかには妖しさを感じる色もあれば、さりげなく絶妙な陰影で描き出される人などのシルエットがより具体的なイメージを喚起させてくれたり...曖昧でどこかつかみどころがなくても、絵のなかのさまざまな要素が呼応して自由なイメージが浮かんできて...。

加えて、伸びやかな色彩が繰り出す奥行きに清々しさも感じます。

深く濃く、それでいて澄んだ青の背景。雨降る夜空だけでなく、海の底のイメージも沸き起こります。

山下美幸11 山下美幸12

山下美幸10

このかたちで展示されて、作品をさまざまな角度から作品を眺められるのも嬉しいです。

普段はほぼ水平の角度でのアプローチのみなのですが、天地さえ逆に眺められるのはホントに楽しく、無重力のようなイメージも。

山下美幸07

山下美幸08

今、いちばん旬なアートシーンの面白さをたっぷり含んだ、自由なイマジネーションが発揮された世界。

画面のなかのさまざまなものをきっかけに始まり、育つイメージのユニークさも楽しく、おおらかで、女性らしいキュートな雰囲気、ロマンティックな風合いも随所に感じられて。

この日は一日雨でしたが、たっぷりと水分を含んだ空気を丸一日くぐって辿り着いたことも、絵の世界から瑞々しさをより実感できたのかも、と。そう考えれば雨も悪くない...自転車乗れないけど...。

2階にはBOICE PLANNINGの各アーティストの作品も展示されています。

ヴァイスフェルトに出展された丸橋さんの写真作品の別バージョン、雨宮さんによる、アクリルケースのなかに並んださまざまなサイズのリンゴ、横手山さんの作品は実に空間に馴染んで作品と分かっているのにぐっと沸き立つ親近感などなど...(すみません佐藤さんの作品が思い出せず...)。

ちょっと足を伸ばして見に行ってほしい展覧会です。

最終日、11/25(日)には「よく研いだサーベルの柄(つか)で殴れ! 」というアグレッシブで...しかし文章を咀嚼すると「ちょっと待てオイ(笑)」とツッコミを入れたくなるタイトルのイベントも予定されています。

山下美幸13

大畑伸太郎 個展 ひかり

YUKARI ART CONTEMPORARY

東京都目黒区鷹番2-5-2 市川ヴィラ1階

10/25(木)~12/15(土)日月休(火水:事前予約制)

12:00~20:00

大畑伸太郎10/25DM.jpg

Shintaro Ohata Solo Exhibition

YUKARI ART CONTEMPORARY

2-5-21F,Takaban,Meguro-ku,Tokyo

10/25(Thu)-12/15(Sat) closed on Sunday and Monday (Tuesday and Wednesday:appointment only)

12:00-20:00

Google Translate(to English)

胸に浮かぶ、切なさに。

学芸大学にオープンbしたYUKARI ART CONTEMPORARYのこけら落とし、大畑伸太郎さんの個展です。

ホントにいい。

ここに、この画面に、空間に込められた物語にゆっくりと浸って、仄かな淋しさ、しかしすべてが削がれたときに残る細くても強い何かに思いを馳せて。

大畑伸太郎101

ギャラリーエスで開催された田代裕基さんとの二人展ではじめて拝見したときから、その穏やかな色使いと筆使い、そこから放たれるその場所の雑踏や車のクラクションなどのさまざまなノイズと奥行き、そしてそこに佇む女の子の存在感に惹かれ、今回の展覧会も楽しみだったのですが、ギャラリーエスの最後の展覧会となった田代さんの個展と同様に、ひとつの個性で空間が占められたときにその雰囲気はさらに鮮やかに、深く伝わってきます。

大きなドットというか、色面の重なりによって紡ぎ出される街並みの雰囲気。

スーラやシニャックの点描による風景に通ずる感触。それが今の時代に蘇ったかのような、独特の風合い。

用いられるひとつひとつの色もどこか曖昧で、微妙な深みを持っていて、それが雨に滲む光の様子を鮮やかに再現しています。

そこに佇む一人の女の子。このこの存在が、その場面にもたらす切なさ、淋しさ、憂い、儚さ。

重たいネガティブさはなくて、あの頃に思い浮かんだ仄かな感情が再び沸き上がってくるような。。。

不思議と大事にしたい、遠くで見守りたい、そういう気持ちが浮かんでくるんです。

大畑伸太郎103

大畑伸太郎102

新しくできたこちらのギャラリー、ふたつの空間があります。

入口がある手前のスペースには、大きなアクリルケースに収められた立体の作品が展示されています。

今回の大畑さんの個展での嬉しい驚きのひとつは、立体作品の精度がぐんと上がっているように感じられること。

大畑伸太郎113 大畑伸太郎114

ほぼ実物大に作り上げられた羊、電話器や受話器、羽織るジャンパー、そして何より、デザインもユーモラスな靴の細やかな作り込みに見入ってしまいます。

大畑伸太郎112

深い夜の色彩を纏う羊。

公衆電話の受話器を抱え、受話器の向こうの話をただただ黙って聞き入るような。

絵の世界そのままの立体作品。壁にかかる平面作品とまったく違和感なく、統一感ある世界で空間を満たします。

大畑伸太郎111

奥のスペースは、もう少し小さめのサイズ。

こちらには、これまでの夜の風景に加え、明るい時間の場面を描いた作品も登場します。

大畑伸太郎105

この色彩に、またもや惹かれます。

早朝というより、深夜よりも深い時間を思わせる雰囲気。

いろんなものが始まるなか、終わらないままに。。。

思い返すと、確かに「夜」を描いた作品を拝見してきたのですが、少なくとも観ていて「夜」を意識したことはなかったような。。。

もっと何か別の時間のイメージ、もちろん明るい時間ではないのだけれど...渋谷だったり新宿だったり、描かれる風景がどこか分かっても、それを表現する色彩はむしろそこに佇む女の子の心象を現したような感触を持っていたような気がしています。

だから、白い空の作品を拝見しても、すぐにはいつもと違う時間を思い浮かべることはなく...。

思い返すと不思議です。

こちらにも立体の作品が展示されています。

・・・といっても、こちらは平面と組み合わさった作品。

立体と平面とがいっしょになっている自然さはホントにすごいです。

大畑伸太郎106

ホントに絵のなかから飛び出てきてくれたかのような女の子。

背景に広がる場面と一体となって、穏やかで切ない雰囲気を作り、さらに具体的なイメージで迫ります。

大畑伸太郎107 大畑伸太郎109 大畑伸太郎1111 大畑伸太郎110

大畑伸太郎108

大畑さんの作品を観ていて、勢いとかはぜんぜん違うんですけどYUIのどこか繊細で不安定な魅力や、たまたまこの展覧会のオープニングの帰りに買って読んだ瀬尾まいこさんの小説「幸福な食卓」のストーリーとか、そういったものに感じるのと同じような思いが浮かんできます。

いや、ホント個人的な感想なののですが...大事にしたい、その上でどうなるんだろうという期待を持っていきたい、そういうクリエイションです。

大畑伸太郎104

この秋開催されている塩田千春さんの展覧会。

ギャラリーでの小品や写真、ドローイングと、ホールでの壮大なインスタレーション。

加えて、ホールでは掻くイベントも企画され、その独特の世界にさらに鮮やかで深いアクセントをもたらしています。

塩田千春展《10/17、10/19》

KENJI TAKI GALLERY/TOKYO

東京都新宿区西新宿3-18-2-102

10/17(水)~11/24(土)日月祝休

12:00~19:00

塩田千春10/17DM.jpg

Chiharu Shiota exhibition

KENJI TAKI GALLERY/TOKYO

3-18-2-102,Nishi-shinjuku,Shinjuku-ku,Tokyo

10/17(Wed)-11/24(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

Google Translate(to English)

春頃に開催された個展ではひとつのスタイルの作品が揃う展示でしたが、今回はさまざまな作品が出展されています。

神奈川県民ホールギャラリーでのインスタレーションで大きな展開を行っていることもあり、こちらではその「模型」的なアプローチの立体作品が並びます。

台の上に小さな窓が積み上げられた空間、そこに置かれた一脚のミニチュアの椅子。僕が伺った二日でそれぞれ椅子が空間の中に収まっているときと外に出ているときとあり、それだけで台上から広がる雰囲気、物語の進む向きが違って感じられるのが興味深かったり。。。

黒い糸がキューブの中に巡らされた作品も。

大小のキューブ、黒の糸に絡まり宙に浮かぶ子どもの靴や大振りの鋏。ただそれだけでミステリアスな雰囲気を醸し出しつつ、今回に限らないのですが、イメージとの実際にその作品を舞えにしたときの印象とのギャップもあり、思いのほか軽やかに感じられて意外な驚きも。

そしていちばん意識が深く入り込んだのは、すべてが張り詰めていると思い込んでいた糸が部分的に弛みを見つけたところ。逆にスリリングです。

また、赤い糸の作品も。

こちらはその赤の鮮やかさに一気に引き込まれます。

炭化したイメージを漂わせる黒とは異なり、エネルギッシュで焦燥感すら浮かんでくるような風合い。

中空に留まる赤い靴とともに、細い赤の糸が放つ線の凝縮に魅入られます。

ドローイングの作品もたいへん興味深いです。

空間的なイメージの基なのか、それとも先に空間がありそこから浮かぶ絵なのか...その辺りは分からないのですが、いずれにしても平面に収められた塩田さんのイメージの深みや、意外にもざっくりとした筆跡、同時に施される刺繍など、ドローイングらしい軽みも保ちつつ、その前後の時間にイメージを馳せて...。

塩田さんの展示をそれほど多くみていないこともあってか、知らない場面のものもあり、どうなるんだろ..と好奇心も煽られます。

その週末に横浜へ。

「沈黙から」塩田千春展《10/21》

神奈川県民ホールギャラリー

神奈川県横浜市中区山下町3-1

10/19(金)~11/17(土)

10:00~18:00

塩田千春10/19パンフ.jpg

From the Silence Chiharu Shiota

Kanagawa Civic Hall Gallery

3-1,Yamashita-cho,Naka-ku,Yokohama-shi,Kanagawa-ken

10/19(Fri)-11/17(Sat)

10:00-18:00

Google Translate(to English)

これはもう。。。

まず、受付でチケットを渡しているときに左手にふっと視界に入る展示風景に、居ても立ってもいられなくなるほどに惹かれます。この瞬間の高揚感、刹那的にあの世界に沈み込む感覚。その場にいないと伝わらない、表現し難い一瞬。

映像の作品から展示は始まります。

設営風景を記録したものと、モノクロームで綴られる映画的な作品と。

奥のほうの映画的な作品は、鳴り響く金属音と映像のセピア的な雰囲気のとギャップに、そして淡々と描かれていく時間の経過に、心の中に穏やかさと不安定な感情とが同時に沸き起こります。

インスタレーションは、まず黒い糸の部屋から。

床、壁、天井で複雑に折り返し、部屋の中を占める黒の糸。

炭化する空間。

その奥に置かれたアップライトピアノ。

視界は黒の糸の重なりがつくり出す像に遮られ、現実にすぐそこに存在しているにもかかわらず、やはり届かない現実にもどかしさを感じます。

割れたガラス窓が嵌まる古い窓枠のインスタレーションも圧巻です。

かろうじて、この空間がホールであることが分かることで心の均衡を保っている感じなのですが、もしもっと深く気持ちが入り込んでしまったら、危ないのでないか...そういう思いに駆られます。

朽ちてほろほろにペンキが剥がれ欠けている窓枠の木。汚れたガラス窓。

棄てられた存在が放つ静かなエネルギーが空間にひしめきます。

写真作品の展示室。

赤と黒の衝撃。

鮮烈と暗黒との共存。

写真の中の女性が裸で泥の中をのたうちまわる...黒の糸が張り巡らされた部屋のベッドに横たわる...鮮血を連想させる赤に塗れる...さまざまなシチュエーションの写真が静かに、重々しく並びます。

塩田さんの黒い糸のインスタレーションは、こうやって写真に収められると一気にオカルトチックな雰囲気を充満させるような印象。「死」のイメージすら漂います。

最後の展示室。

すべてを包み込む、圧巻のインスタレーション。

炭化したピアノ、それを囲むように並ぶ椅子、ピアノから湧き、渦巻くように張り巡らされた黒の糸。

壁、柱にも黒い糸が巻き付き、這い、凄まじく静謐で深遠な雰囲気の空間が作り上げられています。

焼けこげた白いピアノを覗き込むと、おそらく焼かれている間に弦が弾けたイメージもありありと浮かんできます。ざらりと横たわる太い低音弦が醸すリアリティに圧倒されます。

ふらふらと彷徨うように、時おり立ち止まりながら、そこから見える風景に感じ入り、さまざまな角度からイマジネーションを刺激され、大きく呼吸をしながら会場を後にした次第。

今年観たなかではもっとも「凄い」インスタレーションのような気がします...。

いくつか企画されているイベントの中で、僕が足を運んだのは...

多和田葉子×高瀬アキDUO 音の間 ことばの魔

11/2(金)19:30~

多和田葉子×高瀬アキDUO.jpg

若干遅刻してしまったのですが、すぐに二人が塩田さんのインスタレーションの中で紡ぎ出す時間に入り込んでいくことができました。

多和田葉子さんが独特のリズムで放つ単語。

文脈をぶつ切りにし、ストレートに発せられたときとはおそらく異なる展開をもたらしながら、ありきたりな場面から唐突に奇妙な世界へと息つく間もなく展開していきます。

そこにピアノと言葉とで絡む高瀬アキさん。高瀬さんはずいぶん前からお名前は拝見していたのですが(新宿ピットインでは毎年「2DAYS」とか「3DAYS」のライブを行っていた記憶が...)、実際に拝聴するのは初めて。

やはり、シーンの最前線を長きに渡って張ってこられた方から放たれる音の説得力は違うなぁ、と...。

多和田さんの物語に歩調をあわせて緩やかに展開するかと思えば、凄まじいアタックの応酬が繰り広げられたり。

天国で眠るエリントンが思わず片目を開けてしまうのでは、と思わせる魅惑的な響きと流れが紡がれ、爪先と踵とくるぶしと膝でぎこちなくステップを踏むようにラグタイムが演じられ、10本の指で鍵盤を叩き付けて疾走、ひとつのシンプルなコーラスのなかにどんどんと入り込む不協和音の音塊...。

めくるめく展開に、椅子に座ったまま動けなくなり...。

さらには、天板が外されたピアノのなかにピンポン球がじゃらりと流し込まれ、思いきり左手で鍵盤が叩き付けられた刹那、ぽーんと中空へと弾かれるその滑稽さも。

焼けこげたピアノに手を突っ込んで死んだ弦をかき鳴らしたときは思わず息を呑んだ次第。

前衛のインタープレイでここまで入り込めたのは久し振り。

その間、さまざまな照明が塩田さんのインスタレーションに当てられ、この瞬間にしか味わえない美しさが」放たれていきます。

黒の糸が「黒」を放つのが、照明が外されて影になったときだけで、その深さに感じ入ったり、明るい光が強烈にあたってあたかも光の線が天空へと向かうようなポジティブな雰囲気が溢れたり...。

何よりもっとも印象的な光景が、赤い光があたったとき。

赤く染まる糸。その鮮やかさ。

言葉もなく、ただただ見とれつつ、同時に繰り広げられていく二人の魂の応酬にさらに引き込まれて。

1時間ほどのパフォーマンスを堪能し、その後しばらく、再び展示を観てまわりました。

大勢の方がいらっしゃる中で観る塩田さんのインスタレーション。どこか「観光地」てきな雰囲気があって、ちょっとコミカルに感じられたり。

ただ、夜であることは、この空間にしっかり作用しているような感触で、あの時間のあの場所で過ごせたのは貴重だったなぁ、と思い返しています。

「靴を収集する」という来年の塩田さんの大阪での展示も楽しみです...。

月刊ギャラリー11月号の展覧会スポットを担当いたしました。

城戸悠巳子展 ~夢闇彩色~

麻布アートサロン

東京都港区麻布十番1-5-10

10/19(金)~12/20(木)日月祝休

11:00~19:00

城戸悠巳子10/19DM.jpg

Yumiko Kido exhibition "Colouring the Dream Darkness"

Azabu Art Salon

1-5-10,Azabu-juban,Minato-ku,Tokyo

10/19(Fri)-12/20(Thu) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

清々しい歪み。

新しいギャラリー、麻布アートサロンのオープニングを飾る、城戸悠巳子さんの個展です。

大きな通りに面したガラス張りの空間と、その奥の落ち着いた空間。ユニークなかたちとともに、いろんな展開も考えられる楽しみなギャラリーです。

城戸悠巳子さんの作品は、ART AWARD TOKYOなどで拝見しているのですが、まずまさにそのときに出展されていた、一度見たら忘れられないインパクトを放つ異様に目が大きくデフォルメされた女の子の絵が入口で出迎えてくれます。

いちばん奥の作品。

この作品だけ唯一雰囲気が異なるのですが、こちらは少し前に制作されたシリーズのひとつとのこと。

暗めの色調で、大きな画面に大きく描き出された肖像。その重々しくも力強い迫力に呑まれます。

城戸悠巳子01

この作品の頃は肖像を描いたものが中心だったようなのですが、その時に培った描写力が現在の作品にしっかりと活かされているように感じられます。

重厚さのかわりに気品を感じる、眠る女性の横顔。

風景や植物など、さまざまなモチーフが作品によっては微睡むような歪みがもたらされて再現され、夢の中の風景や場面を思わせる軽やかなシュールさに溢れた世界が広がっているのですが、この眠る女性の表情がその世界の導入のようにも思えて興味深いです。

城戸悠巳子04

暮れる空に溶けかかる摩天楼と、もっと生々しく歪み、消えゆく窓枠。

本来ない時間の流れを感じさせる奇妙な感覚が広がる世界。

渋さと瑞々しさとを動じに感じる独特の色彩感も印象的です。

城戸悠巳子08 城戸悠巳子06 城戸悠巳子07

城戸悠巳子05

花を描いた作品が多いのも特徴的に思えます。

その有機的なフォルムが瑞々しく描き出され、僅かにぼやけたフォルムが透明感を演出しているような。

さらにそこに加えられるフィクショナルな要素がもたらす歪みのインパクトも新鮮です。

城戸悠巳子03

城戸悠巳子12

シュールな場面を描いた作品も面白いです。

爽やかささえ感じる風景のなかに唐突に描き込まれる唇。繊細に、緻密に描かれた写実的な風景が、たったそれだけで奇妙な場面へ。どちらもリアルなだけあって、余計にそのコントラストが強烈に感じられます。

城戸悠巳子09 城戸悠巳子10

城戸悠巳子02

大作から小品まで、さまざまなサイズの作品がユニークな空間に展示され、それぞれが独立した世界のようにもひとつの繋がった物語のようにも捉えられるような展開です。

会期も長く、若干の展示替えもあるかも知れないとのこと。

「揺らぎ、曖昧さ、歪み」といった要素が精細な写実のスキルと透明感や瑞々しさをたたえた画風で表現される城戸さんの世界。これからの展開も楽しみです。

城戸悠巳子11

青山悟「Crowing in the Studio」

ミヅマアートギャラリー

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F

10/17(水)~11/17(土)日月祝休

11:00~19:00

青山悟10/17DM.jpg

Satoru Aoyama "Crowing in the Studio"

MIZUMA ART GALLERY

1-3-9-2F,Kami-meguro,Meguro-ku,Tokyo

10/17(Wed)-11/17(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

昨年のグループショーがイギリスからの「おみやげ」だとしたら。。。

今年は「ギフト」。

そんな印象。

どちらももちろん、貰って嬉しくないはずがない・・・!

2年ぶりの青山悟さんのミヅマアートギャラリーでの個展です。

青山さんとは、個展前に(個展前にもかかわらず・・・!)お目にかかる機会が多く、その都度今回の展覧会のコンセプトなどを伺って期待も大きく膨らんでいたのですが、無論その期待に違わぬ、むしろ嬉しいほうに大きく振れた感もある、ユーモアもいっぱいのインスタレーションが繰り広げられています。

まず、ギャラリーの入口の扉をあけると、左手に青山さん流の「ドローイング」がずらりと並んでいるのが視界に飛び込んできて圧倒されます。

これがもう、たまらない!

下描きなしで紙に直接ミシンで縫い付けられた糸が描き出すさまざまなモチーフ。

このイージーな感覚が楽しすぎ!

青山さんというと、緻密な仕上がりのインパクトが強く印象に残っているのですが、こういったかたちでキュートに展開されると、難しいこととか何も必要ない、目の前にある作品が放つ面白さだけで充分にその雰囲気に浸れます。

青山悟104 青山悟105 青山悟102 青山悟103

デスクの上にたまたまあったようなもの、楽器、イラスト風のもの、それぞれがイイ感じにデフォルメされてコミカルな風合いが滲み出ているのですが、それでもやはりそこに細かい再現力というか、くしゃっと丸められた紙の感じなども実はていねいに表現されていて、ひとつひとつをじっくりと眺めていくとさまざまな驚きもいっぱい見つかります。

青山悟101

これだけで充分に楽しませてもらえたなぁ、などと思ってると、次の展開が。

ギャラリーのほぼ真ん中の止まり木に羽を広げた一羽のカラス。

青山悟106

ここからが青山さんの真骨頂。

今度は、これらのドローイングが画面をびっしりと覆う刺繍の作品に織り込まれていきます。

僕に言わせると「魔法のミシン」があるアトリエで、ドローイング作品が作られている様子が、そしてそれを眺めているカラスが、細微な部分に至るまですべて刺繍で再現されていて、小さい画面であっても、わかっていても圧倒されます。

青山悟109

ドローイングと刺繍作品、これらがお互いに絡みあって、ひとつの大きな時間の流れの中に紛れ込んだような印象が沸き起こってきます。

さらに、刺繍作品の中に登場するドローイング作品がどれかを探すのもまた楽しい作業。

青山悟108

青山さんから制作の話を伺っていると、その節々から「何か違うことをやってみたい」という印象を受けます。

あそこまで緻密に仕上げられた刺繍作品を拝見すると、まずそのスキルの凄さに圧倒されるのですが、オーディエンスに「感心」で終わってほしくない、もっと楽しんでほしい...そういうエンターテイナーとしての青山さんのスタンスが、今回の構成によって、こんなに楽しい展示をつくり出したのかなぁ、と思う次第で。

もちろん、緻密な刺繍の「凄み」も青山さんの作品の面白さの要素として大きいんです。

しかし、それだけじゃなくて...うまく表現できないんですけど、まず何より「青山悟」というひとりの人間が、アーティストが面白いんだ、と思うわけです。

そして、「刺繍だから面白い」わけですけど、「刺繍でやっちゃうから面白い!」ということのほうがおおきのかも...。

・・・などなどといろんなことに感じ入りつつ思いを馳せつつ。

今回の展覧会の見どころのひとつ、倉重迅さんとの共作によるアニメーションをチェックするべく、奥の部屋へ。

暗い中に、まずひとつ、照明パネル(でいいのかな)の作品が。

青山悟110

「なんかのんびりしてるねー」なんて楽しい雰囲気がいい感じ。

・・・で、さっきからタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタて延々と鳴ってるわけですが

正面。

青山悟111

これか!Σ( ̄口 ̄;)

こんなにシンプルなのか!Σ( ̄口 ̄;)

壁に張り付けられた布に延々と赤い糸を縫い付けていくミシンの動画。

「4秒のループ」ということは聞いてはいたのですが、何故かもっとゴチャッとした雰囲気のものをイメージしていただけに、このあっけらかんとした作品に凄まじく脱力。

しかし、かわいく揺れるキュートなミシンの映像を見ていて、

スクリーンセーバーにしたい!!!(≧∇≦)ノ゛

UNIQLOCKに勝てるのはこれしかない!!!(≧∇≦)ノ゛

などと実は相当に贅沢な衝動にかられたり。

青山悟112

いやもう、参りました。

面白すぎますです。

もとい。

常々、たくさんの人に、普段、音楽を聴いたり小説を読んだりするような感覚でアートを楽しんでほしいと思っているのですが、ホントにそういうふうにたくさんの人に楽しんでほしい、楽しんでもらえる展覧会です!

青山悟107