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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報
2008年1月アーカイブ

木原千春
現代HEIGHTS Gallery Den
東京都世田谷区北沢1-45-36
1/24(木)~2/5(火)水休
13:00~24:00
木原千春080124.jpg

Chiharu Kihara exhibition
GENDAI HEIGHTS Gallery Den
1-45-36,Kitazawa,Setagaya-ku,Tokyo
1/24(Thu)-2/5(Tue) closed on Wednesday
13:00-24:00
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真骨頂。

現代HEIGHTS Gallery Denでの木原千春さんの個展です。

マニアックなCDが並ぶ一角を横目に入口をくぐり、カフェスペースの奥にあるギャラリースペース。
白い壁、コンクリートむき出しの床というシンプルな空間に展示されている木原さんの作品、その面白さ、ユニークさが充分に引き出され、見応えのある展示が繰り広げられています。


木原千春009

今回はモチーフのダイナミズムがより際立ち、どこかコミカルな雰囲気も醸し出しつつ、鮮烈で力強い色彩が格別のスケール間を伴って迫ってきます。


木原千春001


巨大に拡大されて描かれた手。
筆の動きの痕跡がそのまま手のひらの肉感的な感触を生み出して、単にひとつの画面にふたつの色彩で描かれているだけに留まらない、おおらかで壮大な「動き」をもたらしているように感じられます。
加えて、手のシルエットが深みもたたえた透明感を持つ鮮やかな色彩で描かれ、それがそのフォルムを囲む黒に引き立てられ、よりいっそう鮮やかに、その色のもつ力を存分に発揮してるようにも思えてきます。


木原千春004 木原千春003

木原千春002

今回の個展を拝見して、木原さんは「色面」の人、というよりむしろ「線」の人、といった印象を受けます。
太い筆(あるいはおそらく刷毛のようなもの)が最初にキャンバス上に接し、それが離れるまでの痕跡に、ひと筆の力強さをひしひしと感じます。
おおらかに描かれモチーフは、究極的にシンプルなフォルムにデフォルメされている上に、ミニマムな視点でそこにあるさまざまなハプニング、例えば画面に残る絵の具の塊であったり、ひと筆ならではのスリルも滲み出ています。


木原千春006 木原千春008 木原千春007

木原千春005

比較的コンパクトなスペースに展示される大作群。

大胆な配色と構図とが放つクレイジーな風合いと、水墨画にも通ずるケレン味のなさ。
どこまでも壮大で、かつめちゃくちゃ痛快で。
シンプルに繰り広げられるユーモラスでパワフルなクリエイションの渦に引き込まれるような。

ポジティブな雰囲気に満ちた展覧会です。


木原千春010

余談ですが、まだアート巡りに没頭するようになるずっと前、この現代ハイツにはちょくちょく伺っていたのでした。
季節の素材を使った日替わりのカレー、絶品です。

《1/22》
大野智史 個展「PYSICAL TREE」
magical,ARTROOM
東京都港区六本木6-8-14
1/22(火)~2/23(土)日月祝休
11:00~19:00
大野智史080112.jpg

TOMIO KOYAMA GALLERYやトーキョーワンダーサイト渋谷などでの弩級のインスタレーションがすごかった大野智史さん。
今回は、これまでの展示スペースからすると相当にコンパクトな空間ながら、平面のなかに壮大なイマジネーションを投入し、今までのと変わらぬスケールのイメージが提示されています。

《1/25》
project N32 名知聡子
東京オペラシティアートギャラリー 4Fコリドール
東京都新宿区西新宿3-20-2
1/26(土)~3/23(日)月(祝日の場合開館、翌火休)2/10休
11:00~19:00(金土:~20:00)
名知聡子080126.jpg

凄い!
たった4点の出品ながら、充分に見応えのある作品。
横幅約12mの超大作など、迫力の平面展開に呑まれます。

「200∞年目玉商品」展
21_21 DESIGN SIGHT
東京都港区赤坂9-7-6
1/26(土)~3/16(日)火休
11:00~20:00
200∞目玉商品パンフ.jpg

アートと企業とがコラボレートし、楽しい空間が作り上げられています。
たくさんのハッピーな発見に満ちた展覧会です!

《1/26》
早川桃代展
Gallery K
東京都中央区京橋3-9-7 京橋ポイントビル4F
1/17(木)~1/26(土)日休
11:00~19:00(最終日:~17:00)

一見すると写実的な絵画。
そのていねいな写実力とほのかにあたたかみを醸し出す独特の色使いも印象的ですが、画面のなかにさりげなく収められているタイトルを見つけたときは「ポイントはそこか!」と狂喜した次第で。
こちらの作品は指の皺が英語の綴りになっています。


早川桃代02

早川桃代01


ほか、教わらないと分からない忍ばせ方の作品もあったり。
細やかな描かれ方で、1点に費やす時間も相当に長そうなのですが、もっといろいろと観てみたいクリエイションです。


早川桃代05

早川桃代03

《1/27》
2007年度 武蔵野美術大学造形学部(通学課程)卒業制作展・大学院修了制作展
武蔵野美術大学鷹の台キャンパス
東京都小平市小川町1-736
1/25(金)~1/28(月)
9:00~17:00

ムサビが面白い!
昨年もたくさんのユニークなクリエイションの発見があったムサビの学内での卒業・修了展示。
今年も、特に油彩でもっと観続けていきたいと思わせてくれるたくさんの作品に出会えて満足で。

暁子の『い』深海武範
ギャラリーHANA下北沢
東京都世田谷区北沢3-26-2
1/26(土)~2/3(月)火休
11:00~19:00(最終日:~17:00)
深海武範080126.jpg

『い』か!Σ( ̄口 ̄;)


今度は『い』か!Σ( ̄口 ̄;)


・・・ていうか、


『暁子』のどこに『い』が!?!?!?!Σ( ̄口 ̄;)


音声分析。


「A」「K」「I」「K」「O」


「I」


これか!?!?!?!Σ( ̄口 ̄;)

これなのか!?!?!?!Σ( ̄口 ̄;)

もとい!
もとーい!

先日まで開催されていた『あ』の好評を受け、立続けに開催されている深海武範さんの個展です。
前回から続けて出品されている作品とともに、今回新たに展示されている新作も。


深海武範201


イナバウアーか!Σ( ̄口 ̄;)

集団イナバウアーか!Σ( ̄口 ̄;)

・・・てか、そこの最前列、

なぜ泣くΣ( ̄口 ̄;)


もう支離滅裂、いったいどんなシチュエーションなのか謎も謎な場面が繰り広げられていて...


もう、満足(^^)。


深海さんの作品は、シーンの切り取り方といい、色彩といい、油彩としては格別に「軽い」と思うんです。
「深み」へと通ずる良い意味での「重さ」を放つ作品には多く出会ってきてその度に感動を得るのですが、深海さんの場合、とことんキャッチー、とことんエンターテイメント。


深海武範203 深海武範205

深海武範202


そしてその「軽さ」が、今回の個展では冴えに冴えているような印象を受け、痛快な気分が突き抜けていきます。
もっともっとダイナミックな展開も観てみたいです。


深海武範204

木原千春展
現代HEIGHTS Gallery Den
東京都世田谷区北沢1-45-36
1/24(木)~2/5(火)水休
13:00~24:00
木原千春080124.jpg

前回のシブヤ西武での個展も印象的だった木原千春さん。
今回は東北沢のカフェの奥にある白い壁の空間での展示で、木原さんの作品の面白さが空間ごと味わえます。

渡辺泰子「コーラス」
GALLERY SIDE2
東京都港区東麻布2-6-5
1/18(金)~2/15(金)日月祝休
11:00~19:00

Yasuko Watanabe "Chorus"
GALLERY SIDE2
2-6-5,Higashi-azabu,Minato-ku,Tokyo
1/18(Fri)-2/15(Fri) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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いちばんキュートなシュール。
いちばんシュールなキュート。

GALLERY SIDE2での渡辺泰子さんの個展です。
渡辺さんの作品というと、フェルト生地を用いて風景のシルエットが切り出されたインスタレーションと、自らの身体の動きを取り込んだユーモラスな映像とを思い浮かべるのですが、今回の個展では映像の作品を中心に、ドローイングなどの小品も交えた構成となっています。


ギャラリーの奥の壁に大きく映し出された映像作品。その冒頭の場面。
カラフルな色彩が軽やかに重なって、描き出されている風景のシルエット。そして星降る夜空。

さて、ここからどうなるのだろう...と、静かに期待が膨らみます。


渡辺泰子005


メインスペースには、モニターが1台設置されていて、こちらでも作品が上映されています。
テーブルか何かの上に並べられたさまざまなもの。
そこには、ものの数だけの色が現れています。

ほぼ無音でほんのしばらくの間、時間が流れ、


何が起こるんだろうねコレ...(・_・)


と考える間もなく...


渡辺泰子002


・・・画面下方からひょこっと顔を出す色鉛筆。


コレ→渡辺泰子003


ヘッドの部分をくねくねゆらゆらと動かしながら、時にするりと移動したりなんかもしつつ、ハサミの柄やらホッチキスやら地球儀やら鉛筆立てやら花瓶やらと同色の色鉛筆がひっきりなしに登場してはダンス。


そして、耳を澄ませると

カッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッスーーーーーカッカッカッカッカッカッ

という音が。

どうやら何かを描いている模様。


渡辺さんに

何描いてるんですか?...(・_・)

と質問するも満面の笑みで

内緒です!(^_^)

とのこと。


・・・・・。


気になるんですけど!Σ( ̄口 ̄;)
すっげー気になるんですけど!Σ( ̄口 ̄;)

それぞれの色鉛筆のヘッドの軌跡を目で追って想像する限り、そこにある光景を写生しているようには思えず...。
言うまでもなく色鉛筆を動かしているのは渡辺さんで、

一体どういう姿勢で描いてんだ!?!?!?!Σ( ̄口 ̄;)

という疑問もあったりもするのですが、その謎を解決しようと淡々と流れる画面を凝視しながら考えている内にあっという間に過ぎ去る数分間。

見えない部分に描かれているものを脳裏にシュミレートしていくのはけっこ楽しいです。

事務所のスペースに、フェルトの作品が1点。
今回の作品は小さめですが、1枚の1色の布を用いてカットされ、折り曲げられることでもたらされる陰影と、素材のぬくもりとが独特の雰囲気を醸し出していて、目にしただけで優しい気分が広がるような気がします。


渡辺泰子001


ほかにもドローイングや、構想が書き留めてられていったものも展示されていたり。


さて。

今回のメインの映像作品。
なんだかんだで小忙しくも楽しい色鉛筆の映像とは異なり、ほぼ無音で淡々と綴られていきます。


渡辺泰子007


重なる色彩のひとつむこうに隠された風景。
平面的な色の重なりに、一気に奥行きとスケール感、さらに隣り合う場面の関係がもたらす時間のおおらかさも印象的で。


渡辺泰子004


最後に夜空だけのシーンに辿り着きます。
おおきく映し出されていることもたいへん効果的に作用して、実際の大きさとイメージ上の大きさとのギャプがさらに大きく現されているのも、静かに、かつおおらかに可笑しみを奏でます。

映像自体はこれ以上ないくらいに淡々と、穏やかに、おそらく一切の編集なしで展開されているのだろう、ということが想像されるほどにシンプルな構成で。
だからこそ、そこに込められた無邪気な遊び心がピュアに再現されているのかな、とも思えてきます。

コンパクトなコンセプトでシンプルに展開される渡辺さんのキュートでキャッチーな映像作品。
あっという間に過ぎるおおらかな時間を、ゆったりと体感してほしいです。


渡辺泰子008

カンバラクニエ ECHO
FOIL GALLERY
東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤
1/18(金)~ 2/11(月)
12:00~20:00
カンバラクニエ080118.jpg

Kunie Kanbara ECHO
FOIL GALLERY
1-2-11,Higashi-kanda,Chiyoda-ku,Tokyo
1/18(Fri)- 2/11(Mon)
12:00-20:00
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軽やかに舞う、線と色。


FOIL GALLERYでのカンバラクニエさんの個展です。

カンバラさんの個展は、ギャラリーをいろいろと観て回り始めた頃に渋谷のロゴスギャラリーで開催されたときのを拝見していて、久々に作品をチェックできるのが嬉しくて。
前回の個展では画集「RESET」のリリースに合わせられたもので、ほぼ出力による大判の作品が並び、orange pekoeのジャケットなどでおなじみの洗練された画風に直に触れられたのがすごく新鮮だったことが思い出されるのですが、今回は新たにリリースされる2作目の画集「

入口沿いの壁には、スケッチ、画集のプリントなどがびっしりと。


カンバラクニエ12

なめらかに画面を往来する洗練された線に、女性らしい軽やかでキュートな彩色で、キャッチーでドリーミーな世界がそこかしこで繰り広げられています。
なかには全てが手描きの作品も。
ほぼ全ての作品に登場する女性は、横顔をこちらに見せていて、フレッシュな色香をケレン味なく放っていて痛快です。


カンバラクニエ02 カンバラクニエ03

カンバラクニエ01

ギャラリーのいたるところにはこっそりとリボンが吊り下げられていたり、ちょっとしたワンポイントがそこかしこに配されているのですが、ひとつだけ、編んだ紐で作られたものが。
紐のあらゆるところにクリスタルが取り付けられていたり。


カンバラクニエ11

絶妙の配置で繰り広げられるカンバラさんの世界は、それぞれのコーナーで作品同士が呼応してさまざまなイメージを提供してくれるような仕掛けも随所に施されています。
例えば、柱を挟んで横に連なる作品が、それぞれ異なる縮尺で同じ場面を描いているかのような印象を抱かせてくれたり、同じサイズの作品が離して展示されていることで、そこへと至る場面の変遷を思い浮かべさせてくれたり。


カンバラクニエ05

カンバラクニエ04


いろんなかたちで提供されている「楽しく見せる」工夫も、嬉しく感じられます。
1点1点の作品の、ピュアな美しさ、艶やかさが際立つような風合い。
ポジティブな閃光がそこかしこから放たれ、重なりあって、空間に清々しさが満たされるような。


カンバラクニエ09 カンバラクニエ10

カンバラクニエ08

カンバラさんの作品を拝見してまず情景反射的に思い浮かぶのが、僕の場合まず「orange pekoe」で、それがおおいに影響してか、今回のカンバラさんの作品に囲まれていると、フルバンドが奏でるゴージャスなスウィングビートが脳裏に響き渡ってくるような感じで。
大きなホールでぱーっとおおらかに発せられる音楽がまさにしっくりとハマるようなイメージが浮かび上がります。

画集「

いしかわかずはる個展「Dear friends,」
YUKARI ART CONTEMPORARY
東京都目黒区鷹番2-5-2 市川ヴィラ1階
1/10(木)~2/9(土)日月休・火水事前予約制
12:00~20:00
いしかわかずはる0110DM.jpg

Kazuharu Ishikawa solo exhibition "Dear friends,"
YUKARI ART CONTEMPORARY
2-5-2-1F,Takaban,Meguro-ku,Tokyo
1/10(Thu)-2/9(Sat) closed on Sunday and Monday,Tuesday and Wednesday:appointment only
12:00-20:00
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和みの線のスペシャリスト。

YUKARI ART CONTEMPORARYでの、いしかわかずはるさんの個展です。
これまでもギャラリーエスノグループ展などで作品は拝見していて、そのキャッチーさには心底和やかな気分が広がって心地よかったのですが、個展ではその個性がさらに発揮されていて、楽しい空間が満ちています。


入口すぐ。
なんともかわいいちっちゃな作品がお出迎え。


いしかわかずはる21

福助か!Σ( ̄口 ̄;)
昭和時代に生まれた福助の子供の頃か!Σ( ̄口 ̄;)

・・・・

なんだその想像上のディティール設定は!Σ( ̄口 ̄;)


も、もとい。

いしかわさんの作品は、線を用いてさまざまな情景が引き出されています。
普段はノートを持ち歩き、そこにスケッチを重ねられるのが日常となっているとのことで。
それをキャンバスに現すとき、絵の具など何らかの画材線を「描く」よりももっと線の均一さをピュアにで保たせた状態にするため、糸を用いることにされた、というお話を伺い、おおいに膝を打った次第で。

均一に撚られた毛糸が、その素材のあたたかみをそのままに、ゆったりと人々の表情や仕草をシンプルに引き出す線を辿り、ときにくるりと渦を巻いてちいさな色面を作り出しながら、なんとも和やかな風景を生み出しています。

たったひとつの色の毛糸が画面の上に紡いでいった絵。
キャンバスの下地と毛糸とのふたつの色しかない、しかも背景と線しか画面の上には存在しないのに、そうやって描き出された人々のやわらかな表情から、見えていない光景や時間の流れ、さらにはそこから聞こえる音までも、イメージとして浮かんできます。


いしかわかずはる13 いしかわかずはる14

いしかわかずはる12

シンプルだからこそ、画面の空間の活かされ方も絶妙です。
さまざまな大きさのキャンバスに、本来そのサイズに収められる情報はきっともっとたくさんあるはずで、しかしそこからおそらく自然に視線が向く場所の、さらにそのラインを辿って現すだけで、その場面のすべてを現しているかのような。
それが、構図的にもなんとも言い難い収まりのよさ、心地よさが滲み出ていて、嬉しいもどかしさが想像を緩やかに掻き立ててくれるのがまた堪らなく感じられます。

そして、特に子供の表情は、その素朴さがさらに素朴に表現され、なのに決して可能な純粋が放つ危うさは微塵にも感じさせずに、ただキャッチーに、そこに溢れるほっこりとした小さな幸せが表現されているような印象を受けます。


いしかわかずはる17 いしかわかずはる16

いしかわかずはる15

キャンバスの作品は、用いられる糸によって、背景のクリーム色も微妙に異なっています。
そこに、いしかわさんの色への気遣いが感じられます。
その微妙な差異が、それぞれの糸の色を引き立てるだけでなく、色がもたらす季節感や場面のイメージを押し拡げているような気もしてきます。


いしかわかずはる19

いしかわかずはる20

ふたつの展示室のうちの奥のほうへ。
こちらには、キャンバスでなく、透明のパネルに糸が配された作品が並びます。
透明パネルと線、このふたつの素材の面白さがシンプルに活かされています。


いしかわかずはる01

キャンバスと同様に、空間を活かしつつ、照明が当てられることで白い壁に線の影が映り、期せずして二重の線の作品ができあがっています。
至近で眺めたときの細かい毛糸の繊維の表情と、それらが消されてシンプルな線となって壁に映り込む影とのコントラスト。


いしかわかずはる05 いしかわかずはる04

いしかわかずはる07 いしかわかずはる06


影では消えてしまっている、毛糸の微妙な繊維による素材的な「滲み」の存在をさらに強く意識させられるのも興味深いです。
また、白い糸を使った作品の、先に影が見える面白さも。


いしかわかずはる11 いしかわかずはる10

いしかわかずはる09 いしかわかずはる08

さまざまな角度で糸と影とのズレが変化し、実像と残像との関係が生み出されているようで。
近くで確かめると、影を透明パネルの裏側が反射してもうひとつの薄い影を映し出していたりして、いくつもの像のかさなりがそこに見受けられます。
いろんな想像が湧いてくると同時に、このアプローチの可能性も広がっていくように感じられます。


いしかわかずはる03

いしかわかずはる02

イラスト的な軽やかさ、シンプルさが魅力のクリエイションです。
どこまでもキャッチーで、エンターテイメント性に富んでいます。
いしかわさんの作品の楽しい要素としてもうひとつ忘れては行けないのが、タイトル。
作品ごとには添えられていないのですが、それぞれの作品のタイトルを確認しながら観たり、または作品を観てそのタイトルを当ててみるのもまた面白い!


このところ東京ではいつになく気温が低い日々が続いていますが、その冷えきった感覚をあたためてくれそうな展覧会です。
いろんな世代の人、特にこどもたちに観て楽しんでもらえると嬉しいなぁ、なんて思ったり。


いしかわかずはる18

New-laid eggs
GALLERY MoMo
東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
1/8(火)~1/8(土)日月祝休
12:00~19:00
New-laid egg080108.jpg

New-laid eggs
GALLERY MoMo
6-2-6-2F,Roppongi,Minato-ku,Tokyo
1/8(Tue)-1/8(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
12:00~19:00
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6名のフレッシュなアーティストがクレジットされている展覧会です。
GALLERY MoMoらしく、初々しさと清々しさとが心地よく広がる空間が作り上げられています。


まず、今回の展覧会で、唯一僕が存じ上げていた杉田陽平さん。
昨年からの、絵の具で作られたプレートを重ねて作り上げられる作品が展示されています。


New-laid杉田陽平01 New-laid杉田陽平02

New-laid杉田陽平03


ひとつのプレートの中に混ざりあうさまざまな色彩のうねりの抽象的な感触の面白さと、それらが重ねられてある風景や人物の肖像を描き出している面白さ。
さらに、今回はひとつの色のプレートが用いられた作品も出展され、色の迫り方が異なり、力強いテイストを放っていたのも印象的です。


New-laid杉田陽平06 New-laid杉田陽平05

New-laid杉田陽平04

曖昧なフォルムの人の姿が描かれた小品。
西林由佳さんの作品です。


New-laid西林由佳01


どこか可笑しみを内包しながら、小さな画面であることも作用して、独特のかわいらしさを醸し出しています。
大きな画面の作品も拝見してみたいです。


New-laid西林由佳03

New-laid西林由佳02

今回唯一の立体の作品は根上恭美子さんのクリエイション。
犬をモチーフに、ていねいな彩色とフォルムとが、不思議な感触を放ちます。


New-laid根上恭美子03

New-laid根上恭美子02


おそらくほぼ実物大の犬の頭部のリアルさ。
しかし、目が妙に達観しているような風合いを醸し出しているのが、なんだかユーモラスに感じられます。


New-laid根上恭美子01

吉田和夏さんの作品は、ケーキやお菓子をモチーフにキュートな世界が繰り広げられています。


New-laid吉田和夏03


カットされたケーキの断面やなどが見せるファンタジックな光景。
それぞれが実に緻密に描き込まれていて、小さな画面に引き寄せられていきます。


New-laid吉田和夏06

New-laid吉田和夏05


立体のケーキも。


New-laid吉田和夏04


あざやかなグラデーションの背景の美しさと、緻密なケーキの断面とのコントラストが楽しいです。
手のひらに乗るような身近なサイズ感も嬉しい感じです。


New-laid吉田和夏01

New-laid吉田和夏02

石庭美和さんの作品は、動物と人物がそれぞれ描かれています。
動物の作品は、写実的に描かれたことでそのリアルな仕草が再現されています。
絶妙なグラデーションによって紡がれる背景の色合いも印象的です。


New-laid石庭美和01

New-laid石庭美和02


人物の作品は、表情が奥行きを放ちます。
あたたかみややわらかな感情も滲み出てくるかのよう。
さらに、目の表情が、寡黙にしてさまざまなイマジネーションを呼び起こしてくれます。


New-laid石庭美和03

New-laid石庭美和04

ひとつの画面にたくさんの情報を詰め込む中川雅文さんの作品群。
杉田さんのとは質感がまったく異なるノイジーな感覚、そして、詰め込まれるモチーフの関係性を読みといていく面白さが痛快です。


New-laid中川雅文02

New-laid中川雅文01


妖しげなモチーフのひとつひとつが、衝動的な感覚を滲ませます。
局部のミニマムなスピード感と、全体のダイナミックな時間のイメージとのコントラストも壮大な印象を抱かせてくれます。


New-laid中川雅文05 New-laid中川雅文04 New-laid中川雅文06

New-laid中川雅文03

こういった機会に出会える未知のクリエイションは、次に出会ったときにどういう世界を見せてくれるかが、という楽しみも提供してくれます。それぞれの今後の展開も興味深いです。

市村しげの “Time Drops”
BASE GALLERY
東京都中央区日本橋茅場町1-1-6 小浦第一ビル1F
1/18(金)~2/29(金)日祝休
11:00~19:00
市村しげの080118.jpg

Shigeno Ichimura "Time Drops"
BASE GALLERY
1-1-6-1F,Nihonbashi-kayambacho,Chuo-ku,TYokyo
1/18(Fri)-2/29(Fri) closed on Sunday and national holiday
11:00-19:00
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平面に立ち上がる緻密。

市村しげの14

ニューヨーク在住のアーティスト、市村しげのさんのBASE GALLERYでの個展です。

展覧会が始まる前に画像で市村さんの作品を拝見していたのですが、実際に拝見したときの迫力には、ギャラリースペースに入る前、通りに面した窓から見える作品の力だけで充分に圧倒されてしまいました。
予想以上に、画面に幾何学的に配置されるドットが立体的で、その重好感、未来的な感触に、一気に引き込まれます。


市村しげの07

画面に並ぶさまざまな大きさのドット。
その大小のドットがほぼ同心円上に緻密に配置され、複雑に、ミニマムなリズムがかき鳴らされていきます。
その精度は圧巻のスピード感を伴って、視界に迫り、数学的、理系的なイマジネーションがぐんぐんと刺激されます。
大きなスクエアの画面に、敢えて中心を外し、全ての円形が画面よりはみ出るように設定された作品。
その表面に登場しない、描かれないことで「隠された」部分の存在は充分に鑑賞者に提示され、実際の作品の画面の大きさ以上のスケールが容易に想像されるのも、その迫力に一役買っているような気がします。
無論、ずらされた円が醸し出す構図的な美しさも素晴らしいです。中央から何重にも広がっていく円や、同心円状のドットの配列、さらにはひとつ、あるいは複数の同心円で展開されるパターンのなかで、そして複雑に組み込まれるドットによって生み出される奥行きなど、さまざまな動線が導かれているような印象を受け、その複雑に展開していく動線を目で追っていくのもホントに面白く、見応えがあります。


市村しげの12 市村しげの13

市村しげの11

一方、ドットがランダムに画面にちりばめられるような構成のものも。
宇宙の星のような壮大なスケールが思い浮かぶ一方で、さらにミニマムな世界を拡大したかのような感触も浮かんできます。
同心円での展開の作品と比較すると無秩序に配置されているように感じられるドット群ですが、そのひとつひとつが関係しあい、複雑な奥行きを作り上げているのも面白く感じられます。


市村しげの09 市村しげの10

市村しげの08

全ての作品がスクエアで、さまざまなサイズの画面で、さらにさまざまな構図によってそのサイバーな世界が繰り広げられていて、圧倒的な統一感がこの空間に生み出されています。
今回展示されている作品群が互いに呼応しあい、異なるスケール感やドットのサイズの差異が作用しあって、それぞれの関係性が複雑に構築されていくような。。。
そういった空間の展開の中で、電子音で組み上げられるミニマムミュージックの冷徹で緻密なグルーブが脳内に鳴り響いていくような錯覚も心地よかったり。
実際に、この作品をバックにそういった音楽に浸ってみたいという衝動も沸き起こってきます。


市村しげの01 市村しげの02

市村しげの05 市村しげの03

市村しげの04

画面から立ち上がるドットは、照明によって影をつくり出します。
それが、作品を眺める角度により劇的な変化をもたらしているようにも感じられます。
また、すべてがハンドメイドで制作されているところ、例えば、盛り上がるドットの微妙な大きさの差異や盛り上がるドットの絵の具が画面に残された瞬間の痕跡などに、緻密で過剰なまでに理知的な仕上がりを誇る作品でありつつも、人の手によって制作された温かみやそこに詰め込まれた好奇心、情熱のようなものが滲み出てきているようにも感じられます。

白い壁での展示だと、さまざまなシチュエーションでの鑑賞のイメージが喚起されて楽しいのですが、市村さんの作品を、例えば壁に埋め込んだ状態だとどうだろう、とか、または黒い空間で展示されたら...などなど、ぐんぐんと想像も膨らんでいくのも楽しいです。

痛快な理知がとにかく気持ちいい展覧会です。


市村しげの06

中岡真珠美展 -白い眺め-
INAXギャラリー ギャラリー2
東京都中央区京橋3-6-18 INAX:GINZA 2F
1/8(火)~1/29(火)日祝休
10:00~18:00
中岡真珠美080108DM.jpg

MASUMI NAKAOKA exhibition
INAX Gallery Gallery2
3-6-18-2F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo
1/8(Tue)-1/29(Tue) closed on Sunday and natinoal holiday
10:00-18:00
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究極的にスマートなテクスチャーが奏でる、未来的な景色。


INAXギャラリー ギャラリー2での中岡真珠美さんの個展です。
中岡さんの作品は、東京のOギャラリーでの関西のアーティスト2人をフィーチャーした企画展や東京オペラシティアートギャラリーでのProject N、そして昨年のVOCA展と、拝見する機会が多く、そのたびにそのヴィヴィッドで爽やかな色彩感が放つ鮮烈な風合いを目にして、清々しさが心の中に大きく膨らむような感触を覚えました。


今回は、まだ階を移して新しいINAXギャラリーでの個展。
淡いグレーの床、シンプルで洗練され、清潔感が広がる空間。
いつもよりも明るめの照明設定で、大作から小品までの中岡さんの作品が絶妙の位置に配され、独特のフューチャリスティックな雰囲気が充満した空間が作り上げられています。


中岡さんの作品は、ふたつの階層から作り上げられています。
キャンバス地がそのまま表出し、布の織り目が確認できる部分と、特殊な塗料によるフラットな盛り上げとにより、立体感が醸し出されています。

ふたつの層に広がる、それぞれ異なる質感の白が、お互いの清潔か感じを引き立てあい、どこまでも爽やかな
コントラストを構築しているのにも惹かれます。
さらに、その白の上に、実に軽やかなパステルカラーがふわりと、ときに強い意志を持ったかのように鮮烈な勢いを伴ったかのように、被さっています。
キャンバスの中に収められるさまざまな色面がお互いに作用しあい、突き抜けるような爽快感と、同時に滲ませたようなグラデーションなどがフューチャリスティックな穏やかさを醸し出し、さまざまなかたちでイマジネーションを刺激してくれます。

層と色面によってつくり出されているかたちもユニークです。
大きな画面の作品ではおおらかな弧を描くようなケレン味のないフォルムが、ちいさな作品では木漏れ日や地図を思わせるような複雑なシルエットが導き出され、それぞれの空間性がさまざまな縮尺のイメージを創出させてくれるような感じで、どこかの風景のようにも感じられたり、未来の景色を眺めているかのような錯覚を惹起させられたり。


そのなかで、作品によってところどころにくしゃっと画面に筆を擦った痕跡が見受けられます。
これが、ホントにユニークな効果を生んでいるような印象で...。
背景となっているヴィヴィッドな色彩とは異を成す、もっと身近な有機的な風合いを放つ部分。
はっきりと何かのかたちが描かれているようには思えないのに、その色合いによって、野鳥、あるいは金魚のようなイメージを受けるんです。
未来的な空間に漂うようにそこにいる野鳥や金魚が、またさらにこの画面の中に奥行きや景色のイメージを作り上げているような感じです。

もうひとつ、ぜひ触れておきたいのが、絶妙な照明設定です。
作品ごとに当てられるスポットも、小品は意図的に外してライトの広がりの部分で穏やかに照らしたり、大きな画面の作品はその広がりのスピードをさらに加速させるかのように設定されていたり。
そして何より効果的なのが、スポットとは異なる、白熱灯の白い照明です。
3ケ所ほど、作品にではなくコーナーなどに向けて照明が放たれ、明るい空間を演出し、中岡さんの作品が展示された空間全体をさらにヴィヴィッドに作り上げるための大きな要素となっているように感じられます。


さまざまなユニークな要素が一体となり、いろんなイメージを受けられる、至高の展覧会です。

《1/16》
Jane Dixon Regeneration
東京画廊
東京都中央区銀座8-10-5-7F
1/16(水)~2/9(土)日月祝休
11:00~19:00(土:~17:00)
Jane Dixon080116.jpg

エッチング、ドローイングと、都市の破壊と再生をテーマに据え、それぞれの作品1点ずつで展開される制作方法やコンセプト、さらにお互いの作品の関係性から、複雑に入り組む時間軸が提示されています。
作品自体のクールさと、コンセプトを知ることで分かる奥行きと。
TABのインタビューやギャラリーがリリースし、過以上に置かれているパンフレットなどをチェックしてご覧になられるのをお薦めします。

《1/17》
Hanayo
ギャラリー小柳
東京都中央区銀座1-7-5 小柳ビル8階
1/17(木)~2/22(土)日月祝休
11:00~19:00
花代080117.jpg

作品によっては手作りのイージーな額に収められている写真作品群。
小屋の窓枠を想像させるような雰囲気が放たれます。

花代さんの目線で切り取られる風景からは、狂気と隣り合わせの無垢に溢れているような印象を受けます。
統一感があるようなないような、あいまいで、でも繋がりも感じられるいくつもの風景。
ぼやけたピントの向こうには、掠れた青空や女の子。

どうしてこんな風景が切り取られたんだろう、という興味と、何故だかその風景へするすると進んでいく僕自身の思い入れとが交錯し、知らないのに懐かしい、すっぱいような甘いような、優しいような痛いような、いろんな感情が静かに混ざりあっていくようで。

奥のスペースでは、映像作品が上映されています。
空の画像の上から綴られていく手書きの文字による文章。
原住民を思わせる半裸のコスチュームの人間と女の子とが焦燥感を煽る分厚くノイジーなBGMとともに無邪気に振る舞う情景。
無邪気と狂気とを隔てていた1枚の薄紙が取り除かれていっしょくたになって迫る、鋭利さを増した切なさに羽交い締めにされるような感触。

時間をかけて鑑賞し、心に広がる言葉にできない感情を味わいたい展覧会です。


オープニングでは、花代さんと、実の娘さんの点子ちゃんとによる、舞妓の日本舞踊が披露され、今年も半月すぎたところでいちばんお正月らしい雅びな気分に浸れたのも嬉しかったです。


《1/18》
カンバラクニエ ECHO
FOIL GALLERY
東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤
1/18(金)~ 2/11(月)
12:00~20:00
カンバラクニエ080118.jpg

ストリングスも配したフルバンドによるゴージャスな4ビートが鳴り響くような。
オレンジペコーのCDジャケットなどでもおなじみのカンバラクニエさんの、東京では久し振りの個展です。
華やかで楽しい色彩と線。

市村しげの “Time Drops”
BASE GALLERY
東京都中央区日本橋茅場町1-1-6 小浦第一ビル1F
1/18(金)~2/29(金)日祝休
11:00~19:00
市村しげの080118.jpg

幾何学的に、緻密に配置されたドットと、画面全体を覆うシルバー。
ミニマムなリズムが知性を刺激します。
予想以上に画面から立体的に立ち上がるドットの迫力にも圧倒されます。

渡辺泰子「コーラス」
GALLERY SIDE2
東京都港区東麻布2-6-5
1/18(金)~2/15(金)日月祝休
11:00~19:00

さまざまなメディアを無邪気に往来するアーティスト、渡辺泰子さん。
今回は映像作品を中心とした個展。
映像の中で淡々と綴られるかわいいシュールとユーモア。和やかな可笑しみを爽やかに奏でます。

《1/19》
榊貴美 secret in secret
GALLERY b.TOKYO
東京都中央区京橋3-5-4 吉井ビルB1F
1/14(月)~1/19(土)
11:00~19:00(金:~21:00、最終日:~17:00)
榊貴美080114.jpg

無垢な子供達をモチーフに、どこかシュールな狂気も仄かに滲んだ世界が描かれています。
独特の深みがもたらされた色彩。ひとつひとつのいいろのくっきりとした感触と、色と色とが接する部分のスリリングな質感。
ていねいに表現された子供達の表情からは、その純粋なこころの動きが臨場感たっぷりに伝わってくるような印象を受けます。


榊貴美06 榊貴美07

榊貴美05


木版画の作品も。
こちらは線で輪郭が引き出され、この場面の展開がより刹那的に表現されているような感じです。


榊貴美10 榊貴美09

榊貴美08


感情の揺れが激しい子供たち、絵の中では穏やかでかわいらしい表情をしていても、もしかしたら次の瞬間には泣いていたり叫んでいたりするかも知れない...
そんな刹那的な純粋さがスリルに変換されて伝わってくるような、子供が登場している絵なのに大人の世界があるような感覚が、たいへん興味深いです。


榊貴美03 榊貴美04 榊貴美02

榊貴美01


増殖するイメージ VISIONS 名和晃平 廣澤仁 元田久治 山田純嗣
東京日本橋高島屋6階 美術画廊X
東京都中央区日本橋2-4-1
1/9(水)~1/29(火)
10:00~20:00(最終日:~16:00)
VISIONS080109DM.jpg

4名のユニークな個性がパッケージされた展覧会。
名和晃平さんのシルクスクリーンのスリリングな雰囲気は圧巻です。
廣澤仁さんはおそらく今回はじめてちゃんと拝見したのですが、ざっくりとした抽象的なフォルムと、鮮やかな色彩感とのギャップが面白いです。
これまでも多く作品を拝見している元田久治さんと山田純嗣さんも、これまでとは違う展開のクリエイションが出展されていて、その広がりがさらに楽しみになってきます。

夜は白金に移転したギャラリーのオープニングへ。
神楽坂のスペースよりもぐんと広くなって、ここでこれからどんなクリエイションが繰り広げられるかと思うとホントにワクワクしてきます。

CHIKA KATO|BETWEEN
Azabu Art Salon Tokyo
東京都港区麻布十番1-5-10
1/11(金)~2/9(土)日月休
12:00~19:00
カトウチカ080111DM.jpg

CHIKA KATO|BETWEEN
Azabu Art Salon Tokyo
1-5-10,Azabujuban,Minato-ku,Tokyo
1/11(Fri)-2/9(Sat) closed on Sunday and Monday
12:00-19:00
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Real+Real=Virtual。


Azabu Art Salon Tokyoでのカトウチカさんの個展です。

淡々とした、淡白で単調な映像。

・・・もとい。

淡々とした、淡白で単調な「はずの」映像。
そこにたゆたうありのままの時間がありのままのかたちで「切り取られ」、再構築されてひとつのストーリーが曖昧に奏でられていく...そういった不思議な時間的体験をもたらしてくれる映像が、カトウさんの真骨頂のような気がしているのですが、そのことを再認識させられます。

まず、ウインドウに飾られた2点大判の写真が出迎えてくれます。
そして、通り沿いのガラス張りの空間、こちらでは蝶の視線をコンセプトに制作された、いかにもカトウさんらしい映像世界が展開する作品が上映されています。


カトウチカ012


緑の中、地下鉄の線路の上、横たわる人の傍...時おりサブリミナル的に、前後の時間の流れを寸断するような唐突な画像の変化を迎えつつ、淡々とそこにある景色のなかを視線が彷徨い動いていく様子を収めたような映像が流れていきます。
無声でまず鑑賞すると、無声だからこそのスリル、音声情報が遮断されることの「怖さ」に似た感覚が湧いてくるのですが、設置されているヘッドホンで音声とともに作品を鑑賞すると...


むしろ、「音」の作品なのかも、という印象さえ受けるほどに、圧倒的な臨場感が力強く、静かに迫ります。
その場所を通る車の騒音や、もっと単純に集音マイクを擦り付けていく風のノイズなどが、映像以上の存在感を轟かせるような印象です。

同じ空間には、小さな段ボール箱の内側に投影される映像作品も。
あまりにも身近な、しかも普段はその存在を意識から外されているようなものをこうやって取り込み、ちいさな空間をインスタレーションするのもカトウさんらしいです。
「・・・なんだろう...?」という小さな「はてな」から始まる発見に面白さを感じます。


カトウチカ013


さらに、横長で展開していく写真も。
伺った時間が遅かったこともあり、車両のヘッドライトやブレーキランプ、向かいの店舗のネオンなど、外のさまざまな光が画面に反射しているのが妙に効果的に感じられるのも面白いです。


カトウチカ009

カトウチカ010

奥の空間には、昨年BankARTで開催された「都市との対話」展に出品された映像作品が、壁にオープンに上映されています。
ピントがぼかされた、人の朧げなシルエット。人の姿の上をさらに別の光源が彷徨う場面。

薄い紙もある角度からは人の肌を傷つけるに充分な鋭さを内包しているように、緩やかで曖昧な映像の中にシャープな側面が常に見え隠れするような印象を受けます。


カトウチカ011

暗がりのなかに、多くの写真作品も展示されています。


カトウチカ008

カトウチカ007


カトウさんが制作した映像作品の一場面を抽出したようなものから、その映像を上映しているところを撮影したものなど、時間的な立体感を醸し出すシチュエーションが収められた作品が並びます。


カトウチカ005 カトウチカ002

カトウチカ001


もっとも人が登場する場合は動きの「支持」こそあると思われるものの、ほぼ演出されない、何気ないはずの映像作品からさらにたったひとつの瞬間が切り取られ、刹那的にすぎてしまう時間が醸し出すほのかな儚さや、逆にひとつの平面に切り取られた瞬間の存在の力強さなど、さまざまなイメージが喚起されます。


カトウチカ003 カトウチカ006

カトウチカ004

今回の展示は2階でも行われていて、こちらではカトウさんの比較的過去に制作された映像作品が続けて上映されていて、これらが一挙にチェックできるのもありがたいです。

白眉なのは、花火の作品。
夜、ある場所に佇む人の衣服に映し出されていく花火の爆発のシルエット。
さまざまな場面が織り込まれながら綴られていく作品で、人の影のかたちに切り取られた花火の残像の美しさが印象的です。


カトウチカ014

カトウチカ015

カトウさんの作品からは、被写体へのいとおしさとより、時に過剰なほどにも感じられるほどの冷静な視線の存在が伝わってきます。
過剰な無垢は狂気なのかもしれない、という想像すら湧いてきます。
さらに、そのクール過ぎる視線の奥にある好奇心。
クールで、斜に構えたスタンスが、実にユニークな時間を紡ぎあげるような気がしています。


これまでカトウさんの作品が上映された空間でもっとも印象に残っているのが、移転してしまった原宿のNADiffの店内で、本棚に直接、川面の映像が映し出されていて、たったそれだけでさらに亜ーティスティックに、不思議な空間に作り替えられていて。

またそういう場所で拝見したい、と、今回の作品を拝見してそれらの持つポテンシャルに思いを馳せた次第です。

山口英紀
新生堂
東京都港区南青山5-4-30
1/16(水)~1/26(土)日休
11:00~18:00(最終日:~17:00)
山口英紀080116.jpg

HIDENORI YAMAGUCHI EXHIBITION
SHINSEIDO
東京都港区南青山5-4-30,Minami-aoyanma,Minato-ku,Tokyo
1/16(Wed)-1/26(Sat) closed on Sunday
11:00-18:00(last day:-17:00)
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水墨画の滲みが醸し出す味わい、奥深さには抗い難い魅力を感じます。

・・・しかし。

これまで観てきた水墨画は何だったのだろう、とも思えるほどの...。

新生堂で開催されている山口英紀さんの個展です。
「水墨画」「書」「篆刻(印)」を一人でこなし、それらがひとつの画面に展開される作品。
これまでも何度か拝見していて、その空間的な面白さの魅力は承知していたつもりでしたが、今回の展覧会では特に「水墨画」のあまりの緻密さに、静かな、しかし大きな衝撃を受けた次第です。


まず、正面に展示される軸の作品が出迎えてくれます。
今回出品されたもっとも大きな作品、味わい深いたわみを伴った「書」と、大きな画面の空間を大胆に活かしきって描かれた仔犬とが、おおらかな静謐感を漂わせます。


山口英紀008

前回の個展でもそうだったように、一角に「篆刻(印)」のコーナーが設けられています。


山口英紀005


ひとつひとつに何の言葉が印字されているか、キャプションが添えられているのもありがたいです。
緻密に彫り上げられている印の存在感と、捺された朱のグラフィカルな面白さに引き込まれます。


山口英紀002 山口英紀004 山口英紀003

山口英紀001

古来から伝わる手法の三位一体がなす作品群。
文字、印、絵の配置が、それぞれ和の技法が用いられているにもかかわらず、どこか西洋的な洗練の感覚も伝わってくるような気がします。

そして、何より圧巻なのが、過剰と言えるほどに緻密な水墨画。
どこかの街並みの風景が、実に精緻に描き込まれています。
水墨画がここまで細かくコントロールすることができるという事実には衝撃を覚えずに入られません...。
じっと画面の前に立ちすくみ、じっくりと目を凝らして眺めてしまいます。


山口英紀015 山口英紀013 山口英紀014

山口英紀012

実物大の切手を描いた作品も印象的です。
より空間性が全面に押し出され、知性溢れるユーモアが感じられます。


山口英紀019

山口英紀018

観覧車が描かれた作品。
この線の精度といったら...。
どうやって描いているのか伺ってないのですが、瞬間的にはちょっと古い写真かと見間違えるほど。
水墨のやさしい風合いに、鋭い緊張感がもたらされているような印象を受けます。


山口英紀017

山口英紀016

橋の遠景。
ここまで描くのか...描けるのか...と感嘆しきり。
橋を渡る人影からは、その心の動きまでが伝わってくるようにも感じられます。
ここに流れた時間がじんわりと滲み出てくるような...。


山口英紀021

山口英紀020

ほかにもさまざまなモチーフが描かれています。
それぞれに、山口さんの優しい視線が感じられ、緻密な作品ながら、やわらかな気分が広がります。


山口英紀010 山口英紀006 山口英紀009

山口英紀011

このところ、書の奥行きの面白さに気付いたこともあり、縁があるのか、書に触れる機会が多いのも嬉しいです。
また、「篆刻(印)」にもまたあらたな面白味を見出せるかも知れない、と思うと、また時間をかけて観たくなってきます。

そして、もし機会があれば、もっと大きな画面での緻密な水墨も拝見したいです。


ぜひ、直にこの素晴らしさを多くの方に体感してほしいと願います。


山口英紀007

田部井勝 Platform
CLEAR GALLERY
東京都渋谷区渋谷4-2-5 Place Aoyama
1/11(金)~ 2/23(土)日月祝休
11:00~19:00
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Masaru Tabei Platform
CLEAR GALLERY
4-2-5,Shibuya,Shibuya-ku,Tokyo
1/11(Fri)-2/23(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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昨年のEXHIBITION C-DEPOTに出展されていた、黒い砂利の敷き詰められた床。
歩くと数秒の間隔を置いた後に「ジャッ、ジャッ、ジャッ」と踏んだ床の砂利が鳴る、インタラクティブな作品。

この作品の制作者が田部井勝さんで、今回の個展では同作品がかたちを変えて出展されています。


長方形の床の真ん中に、「通ってください」という感じに設置された長い黒の砂利道。
おそるおそる踏み入れ、ゆっくりと歩いていくと、踏んだ歩数と同じ数の「ジャッ」という石と石とが擦れあって鳴る摩擦音がついてきます。

この音が不思議と心地よいんです。
片手で握って包めるほどの大きさの石の自然の音。普通の砂利道とはまた異なる未来的な感じも面白いです。
無論、前回のC-DEPOTのときよりも精度が増し、感度が良くなった感じで、律儀に砂利のノイズが続いていきます。

思いのほか、何度も何度も往復したり横切ってみたりしてしまった次第で。


田部井勝01

奥のスペースにはもうひとつ作品が。
砂利石に覆われたオブジェが台の上に鎮座しています。


田部井勝02


艶やかな石の黒。
この石の塊を拝見して、床の作品もこの石の色合いに田部井さんの美的感覚が注がれているのだろうなぁ、などと想像し、鑑賞を終えようとしたのですが...


田部井さんに退出の挨拶をしているとき、「奥の作品も試されましたか?」と。


え?

試す?

てっきり石の塊のオブジェだと思い込んでいたのですが...
慌てて踵を返す僕。


こんなところにスイッチが!Σ( ̄口 ̄;)

田部井勝03


ここに顎を乗せると、骨伝導により振動音が聴こえてきます。
かける重力により、その音も変化。
顎を乗せるというよりも、顎で押し付けるようにするつさらに倍音が増し、音圧も上がるようです。

こんな仕掛けが施されていたとは...。


石の風流な印象と、作品のフューチャリスティックな感覚とが渾然一体となって不思議な体験が生み出される空間が作り上げられています。
さらに、新しく立ち上げられたCLEAR GALLERYの新鮮でフレッシュな静謐感もこの作品の体感的な面白さを引き立てるのに一役買っているようにも感じられます。

堀込幸枝展
ギャラリー椿
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
1/8(火)~1/21(月)日祝休
11:00~18:30
堀込幸枝080108.jpg

Sachie Horigome exhibition
Gallery Tsubaki
3-3-10-1F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo
1/8(Tue)-1/21(Mon) closed on Sunday and national holiday
11:00-18:30
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緻密なグラデーションが醸し出す独特の奥行き。


ギャラリー椿での堀込幸枝さんの個展です。
堀込さんの作品を初めて拝見したのは2005年のシェル美術賞展で、それ以来何度か作品を拝見しています。
瓶をモチーフにし、シンプルな構図で描かれた作品の印象が強いのですが、今回の個展でも同様の作品を中心に、大作から小品、パステルによるドローイングまでが展示され、ほぼ統一されたコンセプトの中でバラエティ豊かな空間が作り上げられています。

堀込幸枝06

テーブルの上に置かれた瓶を描いた作品。
こう表現すると、静物画のなかにカテゴライズしてもいいような印象を受けるのですが、実際に拝見すると、配置される瓶がもたらす空間性を、緻密なグラデーションとさまざまな色彩で再現しているような...。
フォーカスが極度に拡大され、ボトルの表面の凹凸、曲面がつくり出すなめらかさが全面に押し出され、瓶そのものの奥行き感、立体感と同時に、フラットな面に鮮やかな色の変化が紡ぎ出されていて、眺めていると、どこか抽象的な感じ、曖昧な感覚が心の中に穏やかに広がっていくような。

異なる糸が接する部分の、それまでゆるやかだったグラデーションが狭いエリアで一気に変化するようなスリリングな感じも。


堀込幸枝09 堀込幸枝10 堀込幸枝08

堀込幸枝07

丸みを帯びたボトルのやさしいフォルムが、あたたかみを帯びた親しみ溢れる感覚も、また逆に未来的な静謐感ももたらしていて、ひとつの画面からさまざまなイマジネーションが去来します。


堀込幸枝03

堀込幸枝01

有機的なモチーフの作品も。
暗めの色彩の中に射す光が僅かに認識させるかのように、仄かに浮かび上がるフォルム。


堀込幸枝04 堀込幸枝05

堀込幸枝11

パステル画も、それぞれ透明のパネルにラミネートされ、ずらりと展示されています。
油彩の作品よりも瓶のフォルムがくっきりと描かれていて、パステルに紙という親近感ある素材であることも加味され、こちらはさらにおだやかな優しい風合いが感じられます。


堀込幸枝12 堀込幸枝14

堀込幸枝13

並ぶ複数の瓶。
透明なものが重なって、実際にその光景を眺めてみると、瓶の向こう側の瓶のフォルムは歪み、色合いもより複雑に変化します。
そうやって生み起こされる図形的な複雑さと色彩的な複雑さを平面に表現することで、ユニークな構図や色調がつくり出されるだけでなく、絵の具の美しさをも引き出しているような印象を受けます。

沈み込むような深い色、作品によって微妙に、かつ大胆に異なる奥行き。
いろんなイメージが得られるだけでなく、観終わった後の落ち着いた感覚も嬉しいです。


堀込幸枝02

《1/3》
田中麻記子展 La chambre
新宿高島屋10階美術画廊
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-2
12/27(木)~1/8(火)1/1休
10:00~20:00(土:~20:30、12/31:~18:00、1/2:~19:30、最終日:~16:00)
田中麻記子071227DM.jpg

今年のアート巡り初めはここから。
この日はKATHYのパフォーマンスが行われる日で、始まる午後3時前にはたくさんの人だかり。

事前のKATHYの知識と言えば、ほぼ横浜美術館で開催された「アイドル」展での映像作品のみで、いったいどんなふうになるのだろう、と期待と心配が入り交じって、その始まりを待ってたのですが...


着物を纏ったひとりがしずしずと歩いてきたかと思えば、途中で何かに引っ張られて前進することができなくなって、それまでのお淑やかな仕草が一転、激しく引っ張るものを手繰って唐突に綱引きみたいなのが始まったところからもうKATHYワールド爆発。

タカシマヤの紙袋に群がって両腕にいっぱいの紙袋を抱えながら踊るわ、突然床に突っ伏すわ...その唐突で過剰な仕草の連続になんだかもうお客さんみんな置いてかれたような痛快な感じで。
そして両腕の紙袋を振り回してそこから飛び散る紙吹雪は圧巻!

いやぁ、お見事なお手前でございました。
KATHYと田中麻記子さん、それぞれのガーリーな雰囲気がマッチして、お正月らしい賑やかな時間を楽しく過ごさせていただきました。

《1/10》
いしかわかずはる個展「Dear friends,」
YUKARI ART CONTEMPORARY
東京都目黒区鷹番2-5-2 市川ヴィラ1階
1/10(木)~2/9(土)日月休・火水事前予約制
12:00~20:00
いしかわかずはる0110DM.jpg

キャンバスと毛糸が奏でるポップでキュートな世界。
ほのぼのとして、楽しい雰囲気が広がっています。

《1/11》
田部井勝 Platform
CLEAR GALLERY
東京都渋谷区渋谷4-2-5 Place Aoyama
1/11(金)~ 2/23(土)日月祝休
11:00~19:00
田部井勝090111DM.jpg

昨年のC-DEPOTにも出展された、黒い砂利が敷き詰められた床。
その際は「床」でしたが、今回は「路」です。
何度通っても不思議と飽きないインスタレーション。

木原智代展「混沌」
clementsalon*workshop
東京都港区南青山4-26-16-B1
1/6(日)~1/28(月)火休
11:00~20:00(日祝:10:00~18:00)
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青く塗られた自転車がギャラリースペースの入口手前で出迎えてくれるのですが、白いカーテンでで仕切られたその中に入ると...


ぬおぉぉわぁぁぉあおぉあおおぉぉぉぉ!!!!Σ( ̄口 ̄;)


まさに混沌。
よくぞここまで、と。
刹那的で大胆な行為の積み重ねの痕跡が、ド迫力で提示されていてギョッとします。

第2回 shiseido art egg 窪田美樹
資生堂ギャラリー
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビルB1F
1/11(金)~2/3(日)月休
11:00~19:00(日祝:~18:00)
shiseido srt egg 2008.jpg

昨年に引き続き、今年も開催されるshiseido art egg。
その最初にフィーチャーされたのが、窪田美樹さんの彫刻作品。
実際に窪田さんの作品を拝見するのは今回が初めてでしたが、画像などで観たときの予想とはまた違う、不思議と漂う透明感が印象的で。

何杰 作品展 He Jie works exhibition
ZEIT-FOTO SALON
東京都中央区京橋1-10-5 松本ビル4F
1/11(金)~2/9(土)日月祝休
10:30~18:30(土:~17:30)
He Jie080111DM.jpg

ほぼモノクロームで描かれた大作がそれぞれの壁にダイナミックに展示されていて圧巻です。
そのシンプルな色合いや筆の運びにより、スピード感が画面から立ち上がるように迫ってきます。
あらためて時間を作って伺い、じっくりとこの空間に浸ってみたいです。

CHIKA KATO|BETWEEN
Azabu Art Salon Tokyo
東京都港区麻布十番1-5-10
1/11(金)~2/9(土)日月休
12:00~19:00
カトウチカ080111DM.jpg

観るならば、夜。
静かに流れる、何の変哲もないはずの場面。
そこから伝わるユニークな視点、視線が深いイメージを惹起してくれるような感じです。

食堂ビル1929 食と現代美術part4
BankART 1929 Yokohamaほか
神奈川県横浜市中区本町6-50-1
1/11(金)~1/29(火)
11:30~19:00
食と現代美術part4パンフ.jpg

レセプションに伺ったのですが、人でいっぱいの1階のスペースはまさに「食堂」。
ソファに身体を埋めて談笑する人々とさまざまなアートがちりばめられる空間は、現実と非現実の狭間の中に実際に踏み込んだかのような感覚が印象的です。

3階には大きなインスタレーション作品が展示されていて、ユーモア満載のさまざまなクリエイションが爆発していて楽しいです。
BOICE PLANNINGの横手山慎二さんの一角は、「やらかしてる」感が痛快!

何で天井から!Σ( ̄口 ̄;)
割り箸かよ!Σ( ̄口 ̄;)

と全ての「なぜ」がそのまま瞬間的にツッコミへと変化していきます。
もっとコンパクトな空間で、横手山さんのクリエイションに浸ってみたいです。

泉太郎さんの例によってごちゃっとしたインスタレーションの中に埋もれるモニターで醸成されているたくさんの映像も、いちいち面白い!

《1/13》
ART@AGNES 2008
アグネスホテルアンドアパートメンツ東京
東京都新宿区神楽坂2-20-1
1/12(土)11:00~19:00、1/13(日)11:00~18:00
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事前予約制で、かつ冷たい雨の降る土曜日の早い時間に行ったこともあり、余裕を持ってそれぞれのゲストルームをチェックできました。
これだけのギャラリーが一堂に会し、それぞれの空間でその個性を発揮しているのをいっぺんにチェックできるのはホントにありがたいです。

堀込幸枝展
ギャラリー椿
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
1/8(火)~1/21(月)日祝休
11:00~18:30
堀込幸枝080108.jpg

シェル美術賞展などで拝見している堀込幸枝さんの個展。
ビンなどをモチーフに、ユニークな空間性と色彩のイメージが提示されています。

中岡真珠美展 -白い眺め-
INAXギャラリー ギャラリー2
東京都中央区京橋3-6-18 INAX:GINZA 2F
1/8(火)~1/29(火)日祝休
10:00~18:00
中岡真珠美080108DM.jpg

やわらかな色彩と気持ちいいくらいに爽やかな白。
未来的な風景を思わせる抽象的なモチーフに思わず見とれます。

SATO HIDEMASA EXHIBITION
Gallery La Mer
東京都中央区銀座1-9-8-205
1/7(月)~1/12(土)
12:00~19:00(最終日:~17:00)
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これまでも折りに触れて拝見している佐藤秀政さんの作品。
独特な表情のキャラクターが描かれていますが、今回は鋭さが増したような印象です。


佐藤秀政02

佐藤秀政01


幾何学的なかたちや線が大胆に取り込まれ、クールな雰囲気が鋭く立ち上がるようなポートレート。
描かれるさまざまな表情は、無機的にも、だからこそ、その奥に秘められる強い意志も感じ取れるような...。
未来的な質感なども合わせて、とにかくかっこいいです。


佐藤秀政03 佐藤秀政05

佐藤秀政04

大竹利絵子 "とりとり"
TOMIO KOYAMA GALLERY
東京都江東区清澄1-3-2-7F
1/12(土)~2/2(土)日月祝休
11:00~19:00
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これからどうなるんだろう、と、この先がすごく楽しみな木彫です。
ていねいに彫り上げられた鳥の羽根、その鳥に乗っていたり、背中にしがみついていたりする女の子の表情。
生意気で恐縮なのですが、正直なところ、さまざまなところにできあがっていない甘さ、粗さを感じてしまうのですが、特に人物のシルエットやフォルムが放つ独特の味わいに、今度はどんな感じの作品が出てくるんだろう、どんなイメージがもたらされるのだろう、と期待が高まります。

Radi-um von Rontgenwerke AG Grand Preview
Radi-um
東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17
1/12 15:00~23:30、1/13 11:00~17:00
Radi-um GP DM.jpg

レントゲンヴェルケの新しいスペースの一足早いお披露目。
大好きなアーティストの作品が並ぶなか、藤吉あいさんのペインティングに新しい展開が感じられたり佐藤好彦さんのマケットの完成に期待が膨らんだり、

監視カメラが金色かよ!Σ( ̄口 ̄;)

と思ったら案の定

大平さんの作品キタ-----(゜∀゜)-----!

ひとつの木材から彫り上げているのかよ!Σ( ̄口 ̄;)


と驚かされたりとさまざまなワクワクに溢れた空間だったのですが、夜も更けた10時過ぎの


鳩バス080112


鳩バスがこの夜のチャンピオンでした。

《1/14》
Obsessional object
エリスマン邸
神奈川県横浜市中区元町1-77-4 元町公園内
1/10(木)~1/14(月)
9:30~16:30(初日:12:00~、最終日:~16:00)
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主にペインティングがメインのアーティストが集まって、これまで数回にわたって行われているグループショー。
今回は、インスタレーションや立体の作品が出品され、興味深い内容で。

はじめて拝見する田村香織さんの作品。
タブローですが、立てて置けるように支えを取り付けて展示されていたのですが、とにかくいい!
独特の透明感を放つグリーンの中に、細かく施されるスクラッチでさまざまな生き物の姿や有機的なモチーフが緻密に描き込まれています。
もっといろんな展開を拝見したいです。


Oo田村香織03 Oo田村香織02 Oo田村香織04

Oo田村香織01


伊東明日香さんの作品は、女性の胸部を模した小箱。
なんとなく凝視するのがはばかられるのですが、ていねいに作られた箱と、施される色、下着のかたち、さらに中に置かれるバラの花のおおきさなどで、それぞれの箱の年齢や性格を表現していて、見比べてみるとその違いにいろんなイメージが湧いてきて面白かったり。


Oo伊東明日香04 Oo伊東明日香03 Oo伊東明日香01

Oo伊東明日香02


岩渕華林さんのすごろく。
それぞれの場所に書かれたイベントがいちいちシュールで笑えます!
いっしょに置かれていた小冊子も面白い!


Oo岩渕華林02

Oo岩渕華林01


動物の絵などを描かれる湯浅加奈子さんは、その世界をそのまま具現化したようなインスタレーション。
平面の作品の雰囲気が別のかたちで提示されて、このインスタレーションを拝見してあらためて平面もチェックしてみたいです。


Oo湯浅加奈子01


ほかにも、本田奈津子さんの蝋を使ったツリー、大矢加奈子さんの化粧品のようなオブジェ、シュールな遊び心が溢れる大村雄一郎さんの立体など、興味深い作品が溢れていました。

GOTH展
横浜美術館
神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
12/22(土)~3/26(水)木休(1/3、3/20開館、12/29~1/1、3/21休)
10:00~18:00(金:~20:00)
ゴス展パンフ.jpg

観る人によってその見どころは大きく変わっていくと思うのですが、リッキー・スワローがすごい!
そして、束芋さんの「ギニョる」の再登場もまた嬉しいです。

深海武範展 暁子の『あ』
GALLERY HANA SHIMOKITZAWA
東京都世田谷区北沢3-26-2
1/12(土)~1/21(月)火休
11:00~19:00(最終日:~17:00)
深海武範080112DM.jpg

Takenori Fukaumi exhibition
GALLERY HANA SHIMOKITZAWA
3-26-2,Kitazawa,Setagaya-ku,Tokyo
1/12(Sat)-1/21(Mon) closed on Tuesday
11:00-19:00(last day:-17:00)
Google Translate(to English)

甘く爽やかな毒味が堪らない世界。


GALLERY HANA SHIMOKITZAWAでの深海武範さんの個展です。
ebcアトリエやさまざまなグループ展、コンペティションなどで折りに触れて作品をチェックしていたのですが、以前から個展で拝見したいと思っていたペインターの、満を持しての展覧会。

独特のバランス感覚で繰り広げられる、コミカルでシュールな場面群。
伸び伸びとキャンバスに塗られる絵の具のケレン味のなさと、個性的な描写のスタイルが醸し出す独創性で、ひと味違う世界が繰り広げられています。


深海武範110

ダークな雰囲気が充満する中にも織り込まれるユーモラスな感触。
描かれる場面の奥になにやら斜に構えたようなスタンスで世の中を斬っている醒めた視線の存在を強烈に感じるような気もする一方、思わず笑ってしまいそうなシュールな展開も思い浮かんできたり。


深海武範113 深海武範114

深海武範112

人物、女子学生や奥様などをモチーフに好き勝手に(これが深海さんの作品の面白さを表現するのにもっとも「言い得て妙」な感じです)展開されるさまざまなシーン。
穏やかで味わい深い表情が、実に軽やかに画面の中で再現されているのも印象的です。


深海武範103 深海武範101 深海武範109

深海武範111

小品もいい感じです。
モチーフの幅の広さにも感心させられます。
それでいて、ほぼ失われない統一感、一人のアーティストが作り上げている世界のつながりもしっかりと伝わってきます。


深海武範108 深海武範106 深海武範102


そして、たまに出てくる過剰なユーモアには




どこに座ってんだよ!Σ( ̄口 ̄;)

と激しいツッコミで応戦(笑)。


深海武範104

1点だけ、ずいぶんと雰囲気が異なる作品が展示されています。
大胆な配色とフォルムでダイナミックに描き切られた富士山。
ずいぶん前の作品とのことで、芸大デザイン科描画造形出身の匂いを感じ、納得する次第。


深海武範107

ebcアトリエでも拝見している紙粘土の作品も出品されています。
こうやって並べて展示されると、ちゃんとストーリーができあがっていて、その面白さももっと臨場感を伴って伝わってきて楽しいです。


深海武範115

今後、それも直近の今後の展開がもっとも楽しみなペインターのひとりです。
今いちばん、たくさんの人に観てほしい世界。
また近い時期に別の場所で開催される個展では、深海さんのユーモア方面の展開における真骨頂、世界の有名絵画の引用の作品を中心に展示されるそう。
どうなるんだろう、と、わくわくしてきます。


とりあえず、もうひとつ。

何でそんなところに!Σ( ̄口 ̄;)

深海武範105

希水展 KISUI EXHIBITION
store & gallery S.c.o.t.t
東京都中央区銀座7-7-1 幸伸ビルB1
1/10(木)~1/15(火)
11:00~20:00(最終日:~17:00)
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KISUI EXHIBITION
store & gallery S.c.o.t.t
7-7-1-B1,Ginza,Chuo-ku,Tokyo
1/10(Thu)-1/15(Tue)
11:00-20:00(last day:-17:00)
Google Translate(to English)

現在、東京都写真美術館B1F展示室で開催されている展覧会「文学の触覚」の冒頭のコーナーのモニターで上映されている映像。以前に個展も拝見した大橋陽山さんの書く文字を3Dで再現し、回転しながら「書」の構造を立体的に提示しているものがあり、これがすごく興味深いんです。

普段触れる文字は圧倒的に印刷物だったりモニターに映っていたりするいわゆる「書式」に則ったものということもあり、それはそれで整った美しさは感じることもなくはないのですが、普通は平面的なものとして捕らえる文字を、その映像では書かれる文字が持つ「奥行き」の存在を分からせてくれて、以来、「書」への考え方が変わった次第で。大橋さんとお話しする機会もあり、そのときにも拝見した映像のようなイメージを伺っていたのですが、その時点では正直なところピンと来なくて、実際に映像を観て「そういうことだったのか!」と大いに衝撃を受けました。


「書」を観たい、と思っているタイミングで始まった、中澤希水さんの個展。
草書の魅力はそれまでも感じてはいましたが、今回はそれに加え、新たに「奥行き」も堪能したい、と。

中澤希水07


透明のパネルにラミネートされた作品。
静謐な穏やかさをたたえながら、なのに力強く、墨が半紙の中を舞っています。
すらりと筆先がなぞった痕跡、ずんと沈み込むように深く筆が突かれ、黒の色面とそのまわりの滲みが独特の深みを奏でていたり。


中澤希水01 中澤希水02

中澤希水04


太い線と細い線、薄い部分と濃い部分。
さまざまなコントラストで、文字、言葉が持つ意味に、さらに思いや魂が宿ったかのように迫り、イマジネーションを刺激してきます。


中澤希水05 中澤希水08

中澤希水06


読む楽しみ、観る楽しみ。
文字の意味を感じ、噛み締めつつ、同時にその言葉が、さまざまな要素によってイメージが刺激されることで景色へ昇華して。
濃淡や折れ、曲がりなどがだんだんと風景の稜線のように感じられ、これまで思ったこともない想像が喚起されて、壮大な、あるいは繊細なイメージが沸き上がってくるのが心地よいです。

書に触れた機会は多くないのでまったくの門外漢ですが、中澤さんの筆の運びの痕跡を眺めて、ひとつの文字により大胆な空間性がもたらされているような印象を受けるのと、さらさらとそよぐ気の流れに誘われたかのような細身の線のしなやかさ、洗練された風合い、ケレン味のなさに魅力を感じます。

新鮮な発見も多い展覧会です。
機会があればまた、「書」もいろいろと拝見したいと思います。


中澤希水03

花鳥風月2008 -折々の-
SAN-AI GALLERY
東京都中央区日本橋蠣殻町1-26-8 三愛水天宮ビル1F
1/8(火)~1/19(土)祝休
11:30~19:00(日、最終日:~17:00)
花鳥風月080108DM.jpg

Kachofugetsu2008
SAN-AI GALLERY
1-26-8-1F,Nihonbashi-kakigaracho,Chuo-ku,Tokyo
1/8(Tue)-1/19(Sat) closed on national holiday
11:30-19:00(SUnday and last day:-17:00)
Google Translate(to English)

花鳥風月それぞれにひとりずつアーティストをフィーチャーする展覧会です。
「和」と「洋」の要素がよい塩梅で収まっているような感じも心地よい組み合わせ。


まず、入口すぐには柏田彩子さんのペインティングが。


花鳥風月 柏田彩子03


ほっこりとしたやさしいフォルムの板に、のんびりとした色調でおだやかな景色が描かれています。
板の形がマンガの吹き出しのようなイメージも湧いてきて、空に浮かぶ遠い想い出がそのままかたちになったかのような。


花鳥風月 柏田彩子01 花鳥風月 柏田彩子02

花鳥風月 柏田彩子06 花鳥風月 柏田彩子04


のんびりとした感触が印象に残ります。


花鳥風月 柏田彩子05

これまでも何度か拝見している大西明子さんの、銅版の作品。
ちいさなプレートが腐食されることで緻密な凹凸が施され、銅の深みのある陰影も相まって、静けさが滲み出てくる風景が収められています。


花鳥風月 大西明子005


今回は、特に道路が見える風景に浮かぶ月の作品が印象的です。
「銅」という素材の「洋」の感覚、それを用いて、月など「和」の深みを滲ませるモチーフが作り込まれて、さらにそこに現代の人口建造物の「洋」の要素が入り込んで。。。
独特の味わいが感じられ、ちいさな画面に見入ってしまいます。


花鳥風月 大西明子001 花鳥風月 大西明子002

花鳥風月 大西明子003 花鳥風月 大西明子004


金属の魅力をたいへんユニークな手法で引き出しているのも興味深いです。
素材の存在感と、儚げな風景とのコントラストも、それぞれの深みを引き出しあっているように思えてきます。


花鳥風月 大西明子006

中千尋さんの水墨画。
水墨の世界が古くから連綿と紡がれるなかに育て上げられてきた「間」・・・空間性の美しさに引き込まれます。


花鳥風月 中千尋04


墨の濃く深い黒が放つケレン味のなさに、穏やかな痛快さを感じます。
べたっと塗られる黒の色面の堂々とした存在感。
薄い部分とのコントラストが絶妙で、一筆から放たれる奥行きに魅入られます。
いかにも「和」のテイストを滲ませつつも、斬新さ、先端の鋭い感覚も伝わってくるのが興味深いです。
「古さ」と「新しさ」の距離感のユニークさがぐんと迫ってきて、もっといろんなかたちで触れてみたいような気がします。


花鳥風月 中千尋02 花鳥風月 中千尋03

花鳥風月 中千尋01

こうの紫さんのペインティングは、色の取り上げ方が独特です。


花鳥風月 こうの紫01


仄かな、それでいて大胆なグラデーションを伴った色面、それらが敢えて逆手を突いてくるかのような意表を突く配色で、心地よい奇妙な感覚が沸き上がってきます。
今回の展示では、こうのさんご自身のいくつかのスタイルの作品が出品されていて、そのバリエーションの広さにも惹かれます。

花鳥風月 こうの紫04 花鳥風月 こうの紫02

花鳥風月 こうの紫03

それぞれの個性がその面白さを発揮していて、楽しめます。
13日の日曜日には午後2時から三味線、箏、尺八によるライブも開催されるとのことです。


花鳥風月 中千尋05

佐々木悠展
ART TRACE GALLERY
東京都墨田区緑2-13-19 秋山ビル1F
1/4(金)~1/30(水)月休
11:00~19:00(金:~21:00)
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Sasaki Yu Exhibition
ART TRACE GALLERY
2-13-19-1F,Midori,Sumida-ku,Tokyo
1/4(Fri)-1/30(Wed) closed on Monday
11:00-19:00(Friday:-21:00)
<Google Translate(to English)

そう来るか!Σ( ̄口 ̄)


・・・そう思わずにはいられない、まさに「お見事」な引用。


ART TRACE GALLERYでの佐々木悠さんの個展です。
佐々木さんの作品は、昨年の武蔵野美術大学の学内での卒業展示を拝見していて、ていねいな描写とユニークな視点とで作られる大作のインパクトが印象的だったのですが、今回の個展ではそのときに気付くことができなかった佐々木さんが作る世界の面白さがより全面に押し出されて、とにかく「やられた!」という痛快さに満ちています。


佐々木さんの作品は、柄がプリントされた布やシート、または特種な素材が用いられ、その柄や質感が大胆に引用されて、実にユニークな世界が描かれています。


それもまあ、


よく見つけてきたねこんなデーハーな柄の布...Σ( ̄口 ̄;)


と全力で呆れてしまいたくなるほどの支持体。
しかし、佐々木さんの手にかかると、どうしてそんな柄の布をつくっちゃったのよ一体何に使うつもりだったのよと小一時間問い詰めたくなるような布が




ファインアートに見えるじゃないかぁぁぁぁおぁぁおえぉぉあぇぁぁぁ!Σ( ̄口 ̄;)

と、思わず見入ってしまうのですいやほんと。

とにかく面白いです。


派手な花柄がプリントされた支持体に、基本1色に白を加えてグラデーションを作り、プリントの輪郭を縫うように描かれるワンシーン。
派手な支持体の色合いのインパクトに意識が奪われて一体何が描かれているかすぐには分からないのですが。。。


佐々木悠07


どんなシーンが描かれているか分かった瞬間

・・・・・

・・・・・ん?

ちょ%^@&\%$@&\&%#&*@%!!!!!!Σ( ̄口 ̄;)

・・・・みたいな衝撃が脳幹を突き抜けた次第ってちょっとまあ大げさですけどですけど。

プリントされた布なので、そのパターンを活かし、描くものにもパターンを取り入れた作品も。
こちらは黒地に鮮やかな花が咲く支持体ですが、そこにさまざまなパターンが重ねられて、独特の奥行きが生み出されています。
どういうふうに背景と上塗りされたパターンやモチーフがかかわり合っているかを見つけていくのも楽しいです。


佐々木悠04 佐々木悠02 佐々木悠05 佐々木悠03

佐々木悠01

こちらもすごい支持体。
全面にびっしりと、燃える炎のフォルムが細かくプリントされたもの。
こういうふうに描かれると、支持体のプリントが描かれているものよりも手前に迫ってくるように感じられるから不思議で、そう感じさせられるところにもまた、痛快な思いを抱きます。


佐々木悠10 佐々木悠09

佐々木悠08

昨年拝見した卒業制作の大作も2点、展示されています。

こちらは、バスの内装がモチーフとなった作品。
まず、分厚いパネルの立体的な臨場感と、モノトーンで描かれた上に窓には金と銀のふたつのおおきな月の姿が大胆に折り込まれることでフューチャリスティックなシーンが繰り広げられていて、そのダイナミズムに意識が一気に呑まれるのですが、そこからじっくり探っていると、えんじ色の部分がフェイクのスエード地に、上のほうの白いのがビニールであることに気付かされ、本物のバスのシートの素材がそのまま活かされていることが分かります。

描かれるフィクショナルな感触と、素材の身近な感触とのギャップが堪らないのです。


佐々木悠14 佐々木悠12 佐々木悠13

佐々木悠11

もう1点は、歪んだ黒と白のストライプが巨大な画面を横切っている作品。
現代建築風のデザインが施されたマンモスマンションの風景、そこかしこに生活感漂うモチーフが描かれているのもユーモラスでいい感じですが、これも布を張ってその模様を活かして描かれた作品。
布が薄いせいか、本来は無機的にプリントされているストライプが歪んでしま?たそうで、しかしそれをまたうまいこと活かしているのにも感心させられます。

ちょこっと描かれるものがいちいち緻密でていねいなのもまた、見つけるたびに嬉しい気持ちにさせられます。


佐々木悠17 佐々木悠18 佐々木悠16 佐々木悠19

佐々木悠15

引用、もとい「逆コラージュ」みたいな感じの手法。
こういったことを思いついて、それを思いついたことの面白さだけに留めず、精緻な描写のスキルとさらにユニークなクリエティビティトとでしっかりとしたオリジナリティが形成されているのが、頼もしく感じられます。

今回の個展では大作のみの展示ですが、以前の個展などでは小品も出展されていたようなので、ぜひ小さな画面で発揮される佐々木さんのクリエイションも堪能してみたいです。


佐々木悠06

<トーマス・ボーレ陶器展 ちび陶
GALLERY ef
東京都台東区雷門2-19-18
1/1(火)~1/21(月)火休(1/1を除く)
12:00~21:00(1/1:~19:00)
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Thomas Bohle ceramic exhibition CHIBI-Toh
GALLERY ef
2-19-18,Kaminarimon,Taito-ku,Tokyo
1/1(Tue)-1/21Mon) closed on Tuesday (1/1 is open)
12:0021:00(1/1:-19:00)
Google Translate(to English)

不思議な魅力を放つ、たくさんの陶器。

GALLERY efが2008年最初に紹介する企画が、トーマス・ボーレさんの小さな陶器です。

土蔵のちいさな入口をくぐると、低い台の上にずらりと、さまざまなかたち、さまざまな色の、独特のかわいらしさと味わいを放つ陶器が並んでいます。


トーマス・ボーレ01


やさしい膨らみをもったもの、すらりと平らにその縁を広げているものと、今まで観たことがない斬新なフォルムの陶器の列。
もちろん、ひとつたりとも同じ形のものはなく、色についても陶器らしい渋い色味のものもあれば、澄んだ黒のものもあったりと、バリエーションに富んでいて、たくさんあることも楽しい気分にさせてくれます。


トーマス・ボーレ03 トーマス・ボーレ04 トーマス・ボーレ05

トーマス・ボーレ02

それにしても...

ホントに不思議なかたちです。
多くの器が小さなくぼみを持っていて、いわゆる「和」の食材、料理がそこに盛り付けられるイメージが湧いてこない...。
およそ縁の直径が十数センチの中央に、あるいはほぼ球体の天辺にある、ちょっと深めのほぼ御猪口くらいのくぼみで、醤油とかお酒を注ぐにしても、体積的にはちょうどよくてもちょっと使いづらそうだったり...。

・・・しかし、この独創的なかたちが、陶器そのものがもつ雰囲気をより個性的なものへと押し上げているだけでなく、西洋の感性が捧げる東洋文化へのリスペクトが伝わってきたり、それでも「どうやって使おうかな
...」と考えを巡らせてしまいたくなるほどに抗い難いかわいらしさも醸し出しています。


空間の中にひとつだけ、香炉として使われているものがあって、なるほどなぁ、と思ったり。


トーマス・ボーレ06

2階にもたくさんの器がずらりと。
階段を登っていって、こちらではちょっと高めの台に並べられている陶器の側面のフォルムが視界に入ってきて、その洗練されたフォルムにもぐっと心を掴まれます。


トーマス・ボーレ14

くぼみの内側に塗られた釉薬の透明感や、外側の滋味溢れる色調など、目に届くさまざまな色は、そのまま「自然」のイメージへと繋がっていくような印象を受けます。
瑞々しい果実のようでもあったり、あるいは清流に誘われて磨かれた石のようでもあったり、人の手を介した「クリエイション」であるにもかかわらず、ナチュラルな味わいが伝わってきて、そのやさしい風合いもたいへん心地良く感じられます。


トーマス・ボーレ10 トーマス・ボーレ11 トーマス・ボーレ09

トーマス・ボーレ15

で、なにより印象的なのが、この独特の「膨らみ」です。
展示されている器はすべて轆轤で形成されるそうなのですが、陶器のお皿としては有り得ないこのファットな感じはいったいどうなっているのだろう、と。

・・・中が空洞になっているのです。
手にとってみると、イメージよりもずいぶん軽いことに驚かされます。
丸みを帯びたものはもちろん、表面がフラットなものまで...作品によっては折り返された縁が脚の部分でくるりと巻き込んであったりして、さらにびっくり。

いったいどうやって形成していっているのだろう、と、その制作風景も実際に観てみたい、という衝動も湧いてきます。
実際にご覧になったこちらのギャラリーのスタッフの方のお話によると、「観ても信じられなかった」そうなのですが...(笑)。

嬉しいことに、現在発売されている雑誌「ソトコト」に、ボーレさんの陶器のレントゲン写真が掲載されています。
スパッと輪切りにされたような陶器の姿。外側のシルエットが洗練されているだけでなく、見えない部分も実になめらかなフォルムが形づくられていることには、驚きと同時に、心底感動させられます。


トーマス・ボーレ08 トーマス・ボーレ07

トーマス・ボーレ12

思い返すと陶器、焼物の展示も拝見する機会は以外と多いような気がしますが、作品そのものの魅力に加え、どんなに若いアーティストの作品であっても、太古から連綿と続けられる手法が積み上げてきた歴史がもつ懐の深さが感じられ、さらに東洋人としてのアイデンティティなども認識させられるような気がします。

だからこそ、今回のトーマス・ボーレさんの作品群を拝見し、やはり歴史の流れに沿う焼き物の独特の深みのなかに、穏やかな斬新さを感じとり、そこに感動を覚えます。

Gallery efの「和」の空間で拝見することができたことも、おそらくボーレさんの陶器のここでしか味わえない魅力を引き出してくれていたのだろう、と思えて、この空間での一期一会の出会いに感謝する次第です。


トーマス・ボーレ13

鑑賞を終えて、時間も遅かったこともあり、カフェスペースで食事も。
注文したものが目の前にサーブされ、それまで読んでいた本を閉じて視線をテーブルに移したとき、その中央に置かれたボーレさんの器が視界に入ってきました。

さっきまでいろんな新鮮なイメージをくれた轡のひとつが目の前に現れた嬉しさ。
テーブルの上を静かに彩る渋い色と独特なフォルムが醸し出すやさしい雰囲気に、思わず笑みがこぼれてしまいました。

一色映理子展「日々」
フタバ画廊
東京都中央区銀座1-5-6 福神ビルB1F
1/5(土)~1/13(日)
11:00~19:00(最終日:~16:00)
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Eriko Isshiki exhibition
Futaba Gallery
1-5-6-B1F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo
1/5(Sat)-1/13(Sun)
11:00-19:00(last day:-16:00)
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祖父母へ、そして祖父母が過ごした時間へと向けられる、やわらかな視線。

フタバ画廊での一色映理子さんの個展です。

実に穏やかな、明るい光が緩やかに広がるシーンが描かれています。
長い時間をいっしょに過ごしてきた祖父母。
その長い時間が作り上げる雰囲気。

現在の日々の何気ない光景、祖父母のまわりを包み込むやさしい空気や光までもが、実に繊細であたたかみに溢れるグラデーションで描かれています。
そこにあるさまざまなものの輪郭がぼやけて、特に床や外からの光がやさしくおおらかな色で表現されているところに、この絵の中の光景に独特の浮遊感が漂っているように感じられます。


一色映理子08 一色映理子06 一色映理子07

一色映理子05

さまざまな仕草を捉えた小品も魅力的です。
横たわる布団の皺や影も繊細に表現され、重ねられる手や横たわる爪先の仕草から穏やかさ、あたたかみが伝わってきます。


一色映理子01

一色映理子02

床に近いところに展示されたひと組の小品。
これが、この空間にユニークなアクセントをもたらしているように感じられます。
窓の外の光を受けて、膨らむようにそのやわらかな色彩を輝かせるカーテン。
外から吹き込んできている緩やかな風は、暖かい季節の陽気をも運んできてくれているかのような印象も受けます。
たったふたつの作品が、隣り合わせで飾られていることで、そこに流れていた時間の存在をよりリアルにイメージできるのも興味深い構成です。

さらに、この絵の中には祖父母の姿は描かれていないものの、その残り香は広がっているようにも思えて、絵の中の光景を通っていったやさしい笑顔が思い浮かべられて、こちらもやさしい気持ちが沸き上がってきます。


一色映理子03

一色映理子04

近くで眺めてみると、描かれる祖父母の表情が硬く感じられるのも微笑ましかったり。

絵の前に立って、その場面と過ごしているとき、そして観終わった後の清々しさも心地よい...。
小春日和のあたたかな陽射しに出会えた嬉しさにも似た感覚です。

長い時間をともに過ごし、いまも寄り添う祖父母の姿を見つめる、見守るような、やさしい雰囲気に溢れた絵、そして展覧会です。


一色映理子09

日本の新進作家vol.6 スティル/アライヴ
東京都写真美術館 2階展示室
東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
12/22(土)~2/20(水)月(祝日の場合開館、翌日休)・1/1休
10:00~18:00 (木金:~20:00、12/28:~18:00、1/2~1/4:11:00~)
スティル|アライヴ.jpg

Contemporary Art & Photography in Japan: STILL/ALIVE
TOKYO METROPOLITAN MUSEUM OF PHOTOGRAPHY Exhibition Gallery 2F
1-13-3 Ebisu Garden Place,Mita,Meguro-ku,Tokyo
12/22(Sat)-2/20(Wed) closed on Monday and 1/1( Tuesday if Monday is a national holiday)
10:00-18:00(Thursday and Friday:-20:00,12/28:-18:00,1/2-1/4:11:00-)
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至高のSonud & Visual Trip。

東京都写真美術館で開催されている、4名の現代美術作家を紹介しているグループショー、「日本の新進作家vol.6 スティル/アライヴ」。
伊瀬聖子さん、屋代敏博さん、大橋仁さん、田中功起さんが各々のブースでその個性を発揮していて見応えがある展覧会なのですが、なかでも鮮烈に印象に残るのが、最初のコーナーで紹介されている伊瀬聖子さんの映像インスタレーション「Swimming in Qualia」です。

暗い展示スペース。
コーナーで隣り合う2面の壁にそれぞれプロジェクターで映像が大きく映され、入り口沿いの壁にはヘッドホンが設置されています。
そして、スローで理知的なトリプレットリズムのループが、ナチュラルノイズとともに大人しめの音量で流れてる空間。


隣り合う映像は、ピックアップされる場面は同一で、ヘッドホンから流れる音楽を聴かないうちは、時おり無機的なアタック音とともにサブリミナル的に異なる画面を折り込んでいきながら、会場内に流れる音楽と合わせて進行していく映像に意識がだんだんと引き込まれていきます。

硬質なハット音が刻む秩序。
定期的に、しかし常に唐突な、サブリミナルなアタックノイズ。
訥々と繰り出される静謐で美しい映像とリンクしながら、淡々と過ぎ行く時間。敢えて奥行きとストーリー性を排除したかのようにも感じられる映像と緻密なサウンドを前に、感覚が純化され、その映像と音楽と共に終わりも始まりもなく無機的に刻まれ続ける秩序に意識が沈み込んでいくかのような錯覚を覚えます。


年が明け、あらためて写美へ。
レセプションも含めて3度目の鑑賞、まだ耳にしていないヘッドホンをこのときは装着し、また異なるアプローチでこの展示を体感した次第。

ヘッドホンから流れる音楽は、ヘッドホンが設置されている壁の対面に上映されている映像とリンクしていて、通して観るとほぼ25分の映像作品ということが分かります。


冒頭。
倍音も豊かなシンセストリングスの分厚い単音が頭蓋骨の内側に響くなか、そこを歪んだギターの音、ホイッスル、ディレイが掛かったシンセ音が行き交い、さらにその上を澄んだピアノの曖昧なメロディが流れていきます。
正面に映し出されるのは、生命感を奪われたような真っ白な花の群れのアップ。しかしその花の中央部は鮮やかな青に染まり、それが過剰に洗練された精神世界へと誘います。

続いて、青い光に人の群れのシルエットが黒く浮かび上がる場面が。
一瞬だけ、イルカと思われる影が青い光の中をたおやかに動いていくのが視界に入り、おそらくここが水族館らしきことに気付かされます。
鮮やかで深いブルーとシルエットの黒のコントラストが放つ深遠な美しさが、空間を満たします。

モノクロームの森の映像。
そこには何の意図も存在しないかのような、有機物に溢れていながらも無機的な表情を伺わせる森。
だんだんと画面に水滴のようなものが広がっていき、その水滴の飛沫の部分だけが白抜けとなった闇。そこに、3面の線路の映像が登場します。
冒頭近くの水族館の人の群れよりも、あるいはその後に登場するあらゆる場面よりも、この場面で綴られる映像に「意識」を感じます。スピーディーに線路の上をすべるように移動する映像。線路が「進む方向」を連想させてくれるからか、動いていく映像に意識的な無意識の存在を感じさせてくれるような印象です。

その線路の映像からだんだんと、林の映像、さらに深い霧がかかった湖面の映像へと移り変わっていきます。

画面いっぱいに映る野草の真っ白なシルエット。
繰り出される映像すべてから、無意識だからこそに醸し出される神々しさが伝わってきます。
何の意図も存在せず、偶然にそこにあるシーンの鮮やかさ。儚げな風合い。

いつの間にか、流れる音楽の音声情報の数も減り、ピアノに変わって時おりエレクトリックピアノの音が混ざり込んできて、それまでとはまた異なるクールネスが綴られていきます。


光を反射した水面。
底面に刺さっているのか、あるいは生えているのか、水面から突き出す木の枝が。
その先には、虫が飛んできて止まったり飛び立ったり。。。
実に透明感溢れるシーン。この辺りから登場してきた、ぐるぐると回転するようなシンセノイズとのギャップ
が、不思議な感覚を呼び起こしてくれます。

水面の色が透明感をそのままに、まるで一瞬で時間が過ぎ去ったかのように、色彩が変化します。
ゴールドに輝く水面。緩やかな揺れが生み出すグラデーションもまた、美しいです。


続いて、蓮が登場します。
宗教的な匂いをその姿から放つ蓮。
葉脈もリアルに浮かび上がらせるほどに大映しとなった蓮の群れ。シンセストリングスとエレピの音をバックに右から左へと画像が移動していきます。陽射しを受ける上側の鮮やかさと、影になった濃い緑とのコントラスト、さらには先端を赤く色付かせたつぼみや清廉とした白の花弁をたたえた花などの姿も織りまぜつつ、右から左へと流れていく映像。

そして、知らぬ間に横長の画面は分断され、およそ20ほどに分かれ、ほんの僅かな現在と過去との差を表現したかのようなトリッキーな蓮の群れのシーンが流れます。
複雑に入り組むような映像、延髄の部分に刺激を与えるような、最初に聴こえたときに「一体何の音?」と自問自答を促すようなシンセノイズやグロッケンの甲高いアタック音、冒頭より続く分厚いストリングスが、この濃厚な緑が視界を占め、なおかつ分割された映像の幾何学的なアプローチが、この独特の世界に力強く浮遊するような錯覚を意味だしているように感じられます。
細かい分割も時間が経つにつれだんだんと減っていき、深いグリーンだった画面もいつしか奇妙なほどに鮮やかなオレンジ系のグラデーションのシーンを経て、最後には再び蓮が大きく映し出され場面へと進んでいきます。


さらに再び、モノクロームの人々の群れの映像が現れてフェイドアウト。

現実の時間との乖離の心地よさ、映像と音楽との関係性、それらが一体となって迫り、作り上げられる美しい世界。
無機的な清澄感そのものが感動的です。

伊瀬さんは多くの音楽家とのコラボレーションも手掛けられているようで、ぜひそのステージも観てみたいと思うのですが、近いところでは今回の展覧会の音楽を担当しているスティーヴ・ジャンセンのコンサートに映像で参加されるそう。
ぜひ観に行きたいと思っています。


で、スティーヴ・ジャンセンのCD「Slope」も購入し、聴いているのですが、これがいいんです。
冒頭の、今回のサウンドトラックにも通ずる理知的なシンセ音の重なりから始まる、数年前にジャズ/クラビミュージックシーンで大きな話題となったNils Petter Molvaerを彷佛させるアブストラクトな曲といい、続く変拍子のフューチャリスティックな牧歌的ムードをたたえたボーカルナンバー、クールなパターンの上を浮遊するギターやホーンなどのさまざまな音の重なり、さりげなく始まるドラムンベース以降の流れを汲むような淡々としたビートが印象的な4曲目など、この手のサウンドが好きな人には堪らない内容です。

佐伯洋江展
TAKA ISHII GALLERY
東京都江東区清澄1-3-2-5F
12/22(土)~1/26(土)日月祝・12/29~1/7休
12:00~19:00
佐伯洋江 071222.jpg

'HIROE SAEKI
TAKA ISHII GALLERY
東京都江東区清澄1-3-2-5F,Kiyosumi,Koto-ku,Tokyo
12/22(Sat)-1/26(Sat) closed on Sunday,Monday national holiday,and 12/29~1/7
12:00-19:00
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究極の「間」が放つ先鋭的な「わび、さび」。

TAKA ISHII GALLERYでの佐伯洋江さんの個展です。
現在の場所に移転する前、茅場町にあった頃のTAKA ISHII GALLERYでの前回の個展ではじめて佐伯さんの作品を拝見したときのインパクトは未だ褪せることなく心に残っています。

わずかな歪みもなくピンと張られた紙に、おおらかで大胆な「間」と、鉛筆によるどこまでも緻密な描き込みとで構築されるシャープな世界。鉛筆の独特の鈍い輝きを放つ黒のなかに、金銀の色鉛筆や白色の絵の具などによる描き込みが絶妙に織りまぜられ、時間を忘れて画面に近付いてじっくりと見入ってしまいました。

その後、VOCA展や目黒区美術館で鉛筆画のアーティストの作品を集めたグループショーなどで作品を拝見するたび、再びこの世界に出会え、味わえることに純粋に喜びを感じて、緻密な絵を堪能したのですが、今回はおよそ2年ぶりに開催される個展ということで、期待も尋常でないほどに膨らんだ状態でその会期を迎えた次第で。


入口すぐに展示された小品。コンパクトな画面に収められた描き込みだけで、充分にその鋭さに魅入られます。

そしてその先に整然と展示される大作群。
まだ観ぬ大胆で繊細な世界が眼前の空間に広がっていると思うと、もったいなくて先へと進むのが躊躇われるほど。


初日にまず伺い、ギャラリーの2007年最期の開廊日にあらためてじっくりと拝見していました。


入口沿いの壁では、横長の画面の作品が2点ずつ対になって展示されています。


佐伯洋江06


隣り合う作品同士が類似したテーマの設定になっているような構成。
あるものは虚空に浮かぶ、どこかはかなげな雰囲気を漂わせる有機的なフォルムのモチーフが。
あるいは、柄布などによって飾られたグラスが置かれたテーブル。

ひとつの画面での大胆な余白が醸し出すある種無機的にも感じられる静謐感が、同様のモチーフで異なる構成の作品が並べて展示されることで、さらに深い奥行きをもたらしているように感じられます。
また、並べて展示されることでその違いを比較し、それがお互いの世界の特徴的な部分を引き立てあい、佐伯さんが紡ぎ出す世界の面白さがぐんと立ち上がって迫るようにも思えます。

描かれる部分の緻密さは至近でじっくり。。。
俯瞰して「間」を感じる楽しみと、至近でその緻密さに陶酔する楽しみと。


佐伯洋江03 佐伯洋江02

佐伯洋江01

正面奥の壁とその向かい側とには、それぞれ複数のパネルで構成される大作が展示されています。
前回の個展と、おそらくその頃に制作された作品はナチュラルな木目の額に収められていたものが多かったのですが、目黒区美術館での展覧会に出品された新しい作品がそうだったように、新作は透明のアクリルケールが被せられて展示されていて、額がないことでこういった「繋げる」構成を可能にしているようです。

ただでさえ大胆な空間性がもたらされている佐伯さんの世界に、より壮大なダイナミズムも加えられています。
ただただ圧巻、の一言に尽きます。
余白に僅かに灯された線や色なども、その広さ、空間性を引き立てています。


佐伯洋江09 佐伯洋江10

佐伯洋江08

今回の展覧会以前に拝見した作品は、像のクリアさは圧倒的に異なるものの、そこに漂う時間の流れは「水墨画」のそれに近いような印象を受けていました。間の取り方といい、モチーフのフォルムの有機的な感触といい、日本文化が積み上げてきた「わび、さび」の系列にある珠玉の異端として、その鋭い描き込みとは裏腹にゆったりとおおらかな時間が捉えられているような風合いを感じ取っていたのですが、今回出品された作品からは、より「写真的」というか...瞬間を捉えたような刹那的なインパクトを感じさせてくれるような印象です。多用される鉛筆の芯の粉を広げて描いたようなグラデーションの妖しげな繊細さがそういった印象を抱かせてくれるような感じです。

無論、徹底して緻密に繰り出される細微なパターンの、観るものの意識を呑むような力強さ、上記のグラデーションの中にも箇所によってはさらにそこに矩形の線が潜んでいたりするなど、余白の遠い広がりとは打って変わる描き込み部分が鑑賞者の好奇心に対して放つ強力な「引力」は圧巻です。

時間を忘れていついまでも眺めていたい世界です。


佐伯洋江05

佐伯洋江04

もうひとつ。
今回の展覧会に合わせて制作された、佐伯さんの画集が素晴らしい...!
あの緻密な世界を、高精度なプリント技術で再現されています。
カウンターに置かれていて、手にとって眺めることができるのですが、色調といい、紙質といい、佐伯さんの描く世界の魅力を存分に引き出していて、こちらもぜひチェックしていただきたいです。


佐伯洋江07

佐々木加奈子 Walking in the jungle
MA2 GALLERY
東京都渋谷区恵比寿3-3-8
12/20(木)~1/31(木)日月祝・12/27~1/7休
12:00~19:00
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Kanako Sasaki Walking in the jungle
MA2 GALLERY
3-3-8,Ebisu,Shibuya-ku.Tokyo
12/20(Thu)-1/31(Thu) closed on Sunday,Monday national holiday,and 12/27~1/7
12:00~19:00
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重厚なテーマが垣間見られる、深遠なストーリー。

2007年のVOCA展にも参加された、佐々木加奈子MA2 GALLERYでの個展です。

「アンネの日記」をモチーフに展開される写真。
さまざまなサイズにプリントされた場面から、暗い歴史が持つヘビーな雰囲気が滲み渡っています。


佐々木加奈子13

とにかく、切り取られた風景のひとつひとつが素晴らしいです。
旧ソ連、ラトビアで撮影されたシーン。凄まじい説得力を放つ風景が並びます。
そこに、佐々木さん自らが、ほぼ全ての作品でただひとり登場することで、その風景に収められたさまざまなもの...廃虚、海、青空、さらにはその張り詰めるような空気まで...と複雑にかかわり、絡み合い、ひとつの画面に深い物語性を生み出しているように感じられます。

じっと眺めているだけで、これまでさまざまな形で見聞きして知った歴史の知識が画面の静かな風景に纏わり、まるでその風景に自らが入ってしまったかのように、その世界へと意識が沈み込んでいきます。


佐々木加奈子02

佐々木加奈子01

1階には大判のタペストリーが壁いっぱいに掛かり、ここで綴られる物語へと観るものの心を誘います。
褪せたようなグラデーションで再現される北の海景が孤独感を醸し出すなか、そこに施される赤い糸の刺繍が、そこに人の残り香を鮮烈に感じさせてくれます。
虚空に浮かぶように、タペストリーの前に吊られた小舟の上には透明のガラスと赤い布の塊とが乗っているのですが、赤い布は人間の心臓をあらわしているとのこと。ガラスは涙でしょうか...行き交う魂の存在を強く感じさせるインスタレーションが展開され、それが見上げるようなかたちで提示されて、ここで繰り広げられる重厚な物語を身体ごと入り込んでいくような錯覚を覚えます。


佐々木加奈子16 佐々木加奈子15

佐々木加奈子14

2階へと続く階段を昇り切ったところに、深い青の作品が縦に並んだ一角が視界に入ってきます。
暗い水の中で何やら手繰るような仕草を見せる手の写真の連作。並べて展示されることで、そこに流れる時間が臨場感を伴って迫ります。
情報量の少なさにより、この展覧会で貫かれるひとつの物語の深層を表現したかのような雰囲気が漂います。


佐々木加奈子05 佐々木加奈子04

佐々木加奈子03

1階と比べ、暗めの照明がより深遠な雰囲気が演出されている2階。
こちらではまず、ひと組に組み合わせて展示されたふたつの作品に引き寄せられます。

古い建物の螺旋階段の上から何かを落とす姿。


佐々木加奈子10


そして、蓮の葉に満たされる池面に落ちた何かを感じるような姿。


佐々木加奈子11


強い意図・・・もしかしたら「無意識の」、かもしれませんが...を感じる「始まり」と、その強さに靡くような、促されるような印象を受ける「終わり」。。。
ふたつの写真が隣り合って提示され、異なる場所なはずなのに始点と帰結とが折り込まれているような展開が感じられ、その曖昧な展開から醸し出されるもどかしさに意識が呑み込まれていきます。

それ以前に、それぞれの場面が実に美しいんです。
屋内の暗がりと、深い緑の重厚なコントラストにも魅せられます。
深遠な奥行きが感じられるストーリーが、静かに繰り出されているような印象です。


佐々木加奈子09

暗めの照明のせいか、ひとつひとつの写真が強い臨場感を伴って、より刹那的に迫ってくるような気がします。
心に迫るものを感じつつも、どこか俯瞰したような感覚があった1階よりも、ぐんと内面にダイレクトに接近してくるかのような...。


佐々木加奈子07

佐々木加奈子08

階段の所にあった手の写真と同じようなテイストの作品がもう1点展示されています。
こちらは深海に沈む船影を捉えたような場面。
手の作品の至近の感じと打って変わり、小さな画面ながら壮大なインパクトを放っているように感じられます。そのスケールの大きさが、この展示での「重り」のようなアクセントとなっているようにも思えてきます。


佐々木加奈子06

1点1点の作品から広がる深い物語性に自然と心を委ね、無意識に深く入り込んでいくような感触。
繋がるようで繋がらない...繋がらないようで繋がる、空間全体で貫かれるひとつの鋼のようなストーリーの筋。
それぞれの画面の時間軸的な関り合いに曖昧さが感じられるのも、そこに想像が入り込む余白をもたらしているような感じで、そのおかげでどんどんと奥へと意識が向かっていくのかも知れないです。

そしてなにより、展示されている全ての場面が、美しいのです。


佐々木加奈子12

中ザワヒデキの全貌 -記号と色彩の絵画-
Bunkamura Gallery
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
12/28(金)~1/7(月)1/1休
10:00~19:30(12/31、1/2、1/3:~18:00)
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The Entire Picture of Hideki Nakazawa - Paintings in Symbols and Colors -
Bunkamura Gallery
2-24-1,Dogenzaka,Shibuya-ku,Tokyo
12/28(Fri)-1/7(Mon) closed on 1/1
10:00-19:30(12/31,1/2,1/3:-18:00)
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中ザワヒデキさんの各年代の作品が出品され、これまでの軌跡を俯瞰できる展覧会です。

あらためて、捕らえ所のないアーティストだなぁ、というのが第一印象、しかし、それぞれの作品のコンセプトに思いを馳せると、そこには確固たる新年というか、確信に基づいたクリエイティビティの匂いが充満しているような印象を受けます。


まず、オーソドックスな絵画が入口すぐのコーナーで目に飛び込んできます。
これがかっこいい!


中ザワヒデキ001


1963年生まれの中ザワさんの、今から20年少し前に制作された絵画群。
マティスを彷佛させる色彩やフォルムの作品や、チーズか何かのパッケージをコピーしたユーモラスな毒をはらんだ印象を受けるもの、そして、メタリックカラーが大胆に取り込まれた風景の作品と、ペインティングひとつとってもこれほどのバリエーションの幅の広さに感服です。

なかでもメタリックカラーの作品に興味が湧いてきます。
ここから先、実際に金属素材をそのまま作品に取り入れ、マテリアルを強調したような作品が出てくることを思うと、金属的なものへの傾倒はこのあたりから始まっていたのかな、という想像が起こります。


中ザワヒデキ004 中ザワヒデキ002 中ザワヒデキ003

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脳内混色絵画のシリーズ。
明るい赤、青、黄の矩形がグラフィカルにパネルを覆う作品。
クリアでグラフィカルなモチーフからドライな印象を受けるのですが、脳内では色の三原色によってグレーを認識するそうで、これらの作品も想像な距離をおいて眺めたらグレーに見えるらしい...。
例えば、どこかの屋上にこの作品を展示して、それを六本木ヒルズ森ビルの展望台から眺めたらホントにグレーに見えるのかな、見てみたいな、と。

もっとも、そういうコンセプトうんぬんを抜きにして、この鮮やかさが放つポジティブな風合いには心踊ります。


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中ザワヒデキ006

続いて、少し前のCGを用いた作品。
モノクロームの矩形のアミ点が拡大されたようなダイナミックな絵。
全像のイージーな感じと、矩形による計算されたような理知的な感触とのギャップがユーモラスに思えてきます。
また、広い画面が分割、印刷され、それぞれが貼られて組み合わせられているという、アナログな作業の痕跡も妙に印象的だったり。
「これでいいのか・・・?」という疑心が湧けば湧くほどに、「・・・だからいいのだ!」という確信も思い起こされるという、なんとも不思議なイメージの惹起をもたらしてくれます。


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中ザワヒデキ010 中ザワヒデキ011

中ザワヒデキ008

ひたすら単語単位での回文が並ぶ作品。
アルファベットの羅列で、もしかしたらもっと緻密な法則性もあるのかもしれないのですが、わざわざ母音を挟み込んで音声のイメージが得られるようになっているのが心憎い(笑)。
読もうと思ったら読めてしまう、しかし相変わらず意味不明。このもどかしさにしてやられたような感触を覚えます。


中ザワヒデキ016

中ザワヒデキ015

アクリルケースに文字がびっしりとプリントされた作品も数点展示されています。
逆さまのひらがなの連なりと、複雑な漢字の羅列が繰り広げる究極の知的ファンタジー。
ちゃっかりサインと制作年が織りまぜられているのも魅力だったりします。


中ザワヒデキ018

中ザワヒデキ017

このほか、脳はドローイングや硬貨をつかったもの、分銅のミニインスタレーション的な作品などなど、さまざまなメディアの、敢えていうと「インチキ臭さ」と「考え抜かれた理知的な雰囲気」とがごちゃ混ぜになったような作品が並びます。
「だから何?」というツッコミが、逆にむしろ楽しさの要素となっているように思えるクリエイションです。


中ザワヒデキ020 中ザワヒデキ013 中ザワヒデキ014

中ザワヒデキ021

中ザワさんの経歴を拝見すると、医学部のご出身だそう。
アートを感じるひとつひとつの行為、例えば「観る」ことや「考える」ことへの独特のこだわりはこの辺りにもルーツがあるのかも、と思ったりします。

その独特のスタンスが強烈な「違い」を放つクリエイティビティ、今後どんな世界へと向かうのか、興味が月ないのです。


中ザワヒデキ019

田中麻記子展 La chambre
新宿高島屋10階美術画廊
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-2
12/27(木)~1/8(火)1/1休
10:00~20:00(土:~20:30、12/31:~18:00、1/2:~19:30、最終日:~16:00)
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Makiko Tanaka exhibition "La chambre"
Shinjuku TAKASHIMAYA 10F Art Gallery
5-24-2,Sendagaya,Shibuya-ku,Tokyo
12/27(Thu)-1/8(Tue) closed on 1/1
10:00-20:00(Saturday:-20:30,12/3:-18:00,1/2:-19:30,last day:-16:00)
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めくるめくモノクロームのファンタジー。

田中麻記子さんの個展です。
さまざまなイメージが沸き上がるような鉛筆画の作品を中心に、額などにも過剰な装飾が施されたものはもちろん、さまざまな演出が随所に折り込まれたインスタレーションが繰り広げられています。


田中麻記子120

まず、入口沿いの壁に展開されているウォールペインティングに紛れて展示されている木炭のドローイング作品に引き寄せられます。
シャープペンシルで描かれた細密なファンタジーの無邪気さとは異なるテイスト、ふわりと広がるグラデーションが描き出す女性のシルエットの不思議な艶かしさが、水彩絵の具で程よく彩られ、大人びた雰囲気が印象的です。


田中麻記子102 田中麻記子103

田中麻記子101


この一角に木炭のドローイング数点と、主にシャープペンシルを用いて描かれたおなじみの田中さんのファンタジックな大作が展示されています。
むくむくと生え起こるような線で溢れた壁のドローイングとのコントラストにより、それぞれの作品のムードが引き立てられているような感じです。


田中麻記子106 田中麻記子105

田中麻記子104

水彩の作品も展示されています。
額に施されたお転婆な遊び心の表れを思わせる演出が、カラフルな色彩に溢れた画面の楽しげな感触をさらに押し上げているように思えます。


田中麻記子108

田中麻記子107

もうひとつ、これまでとは異なるテイストの世界が。 銅版画の作品です。


田中麻記子112


銅版画特有のグラデーションが、シュールさとキュートさとが混在する世界を作り上げています。
インクによるモノクロームの風合いが鉛筆とは違う味わいを感じさせてくれていて、独特の深遠で静謐な感触を穏やかに、やさしく滲ませています。


田中麻記子109 田中麻記子110

田中麻記子111

そして、田中さんの真骨頂でもある細密な鉛筆画によるファンタジックな世界は今回も健在です。
比較的ちいさなパネルに張り込まれた紙に描かれた作品群。
紙の色を残すことで表現される人のシルエットといい、渦巻くように空を舞うリボンを思わせる黒の帯状のグラデーションがそれぞれの小さな画面に収まり、水彩絵の具による仄かな彩色によって豊かなイメージも創出しながら、キラキラと瑞々しい世界がコンパクトに纏められています。


田中麻記子116 田中麻記子114 田中麻記子113

田中麻記子115

さらに、大きな紙に描かれ、額に収められた大作も。
大きな画面なだけあって、ひとつの画面に溢れるさまざまな情報が壮大なストーリーを編み上げているように感じられます。
伸び伸びとしたおおらかさと緻密さ、細やかさを同時に感じさせる独特の画風、いかにも女性らしい、やわらかくて儚げな感性が広がっています。


田中麻記子119 田中麻記子117

田中麻記子118

天井からは無数のリボンが吊り下げられていたり、おおきなプレゼントの箱を連想させる巨大なキューブも置かれていたり。
田中さんのクリエイションをさまざまな形で触れられる展覧会です。

1/3の午後3時からは、KATHYによるパフォーマンス「頌春参鱒唱」(ショウシュンシャンソンショー)が行われるとのこと。
田中さんとKATHYの組み合わせの妙。どんな内容になるのか興味津々...!


田中麻記子121