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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報
2008年4月アーカイブ

坂口竜太 個展「退屈な一日を過ぎて夜になる」

@Niche Gallery

東京都中央区銀座3-3-12 銀座ビルディング3F

4/23(水)~5/2(金)日休

11:00~18:30

坂口竜太080423.jpg

Ryuta Sakaguchi exhibition

@Niche Gallery

3-3-12-3F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

4/23(Wed)-5/2(Fri) closed on Sunday

11:00~18:30

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スクリーンで体感する映画のような分厚さ。

Niche Galleryでの坂口竜太さんの個展です。

壮大なスケールでダイナミックなシーンを描いたような大作、複雑なテクスチャーを取り込んで屋内を描く作品群などにより、画面の大きさで異なる世界が描き分けられています。

まず目に止まるのが大作群。

「引き」の視点で描き上げられ、ダークな色調でそのときそこで起こっているさまざまなことが盛り込まれて、視線を変えるごとに変化していく状況が、ひとつの静止画面からまさに分厚い時間のイメージがダイナミックな迫力とともに伝わってきます。

坂口竜太04 坂口竜太03 坂口竜太02

坂口竜太01

アバンギャルドな色調も相当なインパクトを放っているように感じられます。

力強く重厚なグラデーションと生々しい筆致とが、焦燥感を煽り、灼熱を帯びた深みを醸し出しているように感じられます。

小さく描かれる人々の様子からも動的なイメージが発せられ、さらに臨場感が分厚く感じられるんです。

坂口竜太08 坂口竜太06 坂口竜太07 坂口竜太09

坂口竜太05

室内のシーンを描いた作品では、今度はさまざまな筆の運びなどでもたらされる深みのあるテクスチャーを駆使し、大作の臨場感と通ずるとも異なるとも言える、不思議なシチュエーションを作り出しています。

坂口竜太16

坂口竜太18

油絵の具が画面を垂れた跡や滴の飛沫などによって壁の凹凸感などが表現され、重厚な色彩とあわせて重々しくも深い説得力を持った状況が伝わってきます。

坂口竜太11 坂口竜太12

坂口竜太10

その室内にあるさまざまなものがしっかりと細かく描き込まれているのも印象的です。

独特の筆致によって視界が揺らめき、歪むような感触があって、この空気感が画面からリアルに広がっているように思えてきます。

大作にある動的なダイナミズムはないものの、それでもそこに凝縮された分厚い時間のイメージにじわじわと呑み込まれていくような力強さに惹かれます。

坂口竜太14 坂口竜太15

坂口竜太13

実験的な、遊び心も感じられる小品も。

明るい色調が妙な妖しさを放ち、その中央に白と青の点で描かれる動物のシルエットが不思議な風合いを醸し出しています。

坂口竜太20

坂口竜太19

坂口さんの作品を拝見して、そのダークで激しい色調と筆の運びに触れ、ヴラマンクや佐伯祐三を観て面白いと思う感覚と通ずる印象を受けた次第です。

ただ、ヴラマンクや佐伯と比較すると、その「温度」のイメージはまさに逆で、ダイレクトに「熱さ」が感じられる風合いなのが新鮮で、相当なインパクトをもたらしてくれるような気がします。

また、そういったアバンギャルドな感触が広がる中で、どこか未来的なイメージを刺激してくるように感じられるのも不思議です。

坂口竜太17

山下美幸「ノンシャランな時々」

TSCA Kashiwa

千葉県柏市若葉町3-3

4/19(土)~5/17(土)日月祝休

12:00~19:00

山下美幸080419.jpg

Miyuki Yamashita "des moments nonchalants"

TSCA Kashiwa

3-3,Wakaba-chi,Kashiwa-shi,Chiba-ken

4/19(Sat)-5/17(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

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屋根裏から屋根裏へ。

なんだかこの空間のつながりが嬉しい・・・!

もとい。

TSCA Kashiwaでの山下美幸さんの個展です。

山下さんは昨年秋のBOICE PLANNINGでの個展も記憶に新しいところですが、それから期間をおかずに始まった今回の個展。

前回に引き続き、今のオイルペインティングの面白さを充分に備えた伸び伸びとした創造性に満ちたおおらかで瑞々しい世界が広がっています。

山下美幸014

階段を上がって最初のロフト。

広い壁面に展示された2点の大作。

水辺を思わせる深い青の透明感、随所に表れる光を放つような青白い色調。

ほぼ実際の大きさで人々が描かれていながらも、大人びたファンタジーが滲み渡っているような、フィクショナルな空間が描き上げられています。

ところどころにもたらされる、絵の具が画面を垂れた痕跡も、このシチュエーションの心地よい曖昧さに合っていて、自然に溶け込んでいるように感じられるのも不思議です。

山下美幸016 山下美幸017 山下美幸018 山下美幸019

山下美幸015

今回の個展のクライマックスのひとつが、TSCAの空間の大きな特徴であり特性でもある長い空間に展示された、およそ10mにも及ぶ絵巻風の展開の作品。

空を飛んでいるような気分になったかと思ったらいつの間にか海に潜っていたり...そんな塩梅で細長い画面で繰り広げられるダイナミックな展開、その随所に織り込まれるキュートなユーモアがまた堪らなく楽しかったり。

山下美幸010 山下美幸013 山下美幸011 山下美幸012

山下美幸009

前回に引き続き、ひとつの画面にさまざまな縮尺で人物が描き加えられている作品も出品されています。

大きな顔の不思議な表情と、のんびりとした感じの佇まいはなんとなくコミカルで、同時に不思議なディープさを醸し出しているように感じられます。

山下美幸006 山下美幸008

山下美幸007

いちばん奥のスペースに展示された大作も面白いんです。

水辺とも森の中とも言えそうなシチュエーションで、発光するような木々やそこにいる人々のシルエットの現実からかけ離れた感触、ところどころ静かに、ほのかに滲む暖色がアクセントとなって、全体から発せられるひんやりとしたイメージにやわらかなぬくもりをもたらしてくれているように思えます。

さらに、深い紺色の透明感も印象的です。筆跡がもたらすテクスチャーが、水の流れ、気の流れを想像させてくれて、このシーンに時間のイメージを与えてくれるひとつの大きな要素になっています。

山下美幸004 山下美幸005 山下美幸003

山下美幸002

冒頭に書いた、屋根裏繋がりのことは、無論ボイスプランニングとTSCAのことなのですが、立て続けにこういう特異な空間で山下さんの作品を拝見、体感できたのはすごくよかったなぁ、と。

いろいろと視覚的ノイズが多くて不器用ではあるけれども、むしろその不器用さが逆手に取られてポテンシャルとなって跳ね返り、展示される作品のクリエイティビティをぐんと立ち上げてくれているような。

そしてこれまでの展覧会もそうですが、今回の山下さんの作品もその空間が持つユニークな特異性に充分に応える実におおらかな世界を紡ぎ出していて。。。

今のアートの面白さを身体で感じ取れる、気持ちのいい展覧会です!

山下美幸001

大沢拓也

ギャラリー広岡美術

東京都千代田区神田駿河台3-1-7 烏山お茶の水ビル2F

4/10(木)~4/19(土)日休

10:30~18:00

大沢拓也080410.jpg

Takuya Osawa exhibition

Gallery Hirooka

3-1-7-2F,Kanda-surugadai,Chiyoda-ku,Tokyo

4/10(Thu)-4/19(Sat) closed on Sunday

10:30-18:00

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加速する緻密、広がる大胆。

アートフェア東京でのギャラリー広岡美術のブースで紹介されたのに続いてギャラリーで開催された、大沢拓也さんの個展に行ってきました。

昨年の個展も素晴らしかったのですが、今回はさらに新たな展開の作品も出品され、その世界に広がりと深みがもたらされるだけでなく、これまでのシルエットの展開もさらに緻密になったような印象で、見応えがあって、もう少し早く伺うベきだった、と。。。

まず、複雑なモチーフを縦横のシンメトリーで描かれた作品、シンプルな構成がその精度の凄みを際立たせているように感じられ、感服した次第で。

大沢拓也016

大沢拓也015

前回の個展に引き続いて展開されるシルエットの作品群。

人口建造物が連なる都市の情景の無機的、図形的なフォルムが発するクールな風合いと、そこに草花や蔓などのこれまで日本の絵画で連綿と取り上げられてきたクラシカルなモチーフとが重なり、独特の世界が作り上げられ、さらに複雑かつ緻密な構成で迫ります。

大沢拓也013 大沢拓也001

大沢拓也007

今回の個展では、大正時代の伝票らしき紙を支持体として採用し、当時の筆書きの文字がそのまま残され独特の臨場感が生々しく伝わる画面に墨が一閃、踊るようなダイナミズムがもたらされた作品が出品されていました。これまでも下地に広がる墨の作品を拝見していますが、それが前面に表れたときの迫力がこれほどの深みをもたらすとは、と、嬉しい驚きと発見が。

時空を力強く貫くような風合いが鮮烈な印象をもたらしてくれます。

大沢拓也014

大沢拓也002

おおらかな墨の広がり、もたらされる無数の飛沫、さまざまな要素が独特のスピード感を感じさせてくれます。

この大胆さが、都市と草花のシルエットの作品と激しいコントラストを生み出していて、複雑に共鳴しあい、これが同じアーティストによって制作されたことに対して大いに興味を抱きます。

大沢拓也009

大沢拓也008

踊り舞う墨の一閃と、蔦のシルエットとがひとつの画面に収まった作品も。

どちらも有機的でしなやかなフォルムで、それが繊細に響きあって、日本画らしい深みと、同時に今までの日本画にはなかったような輝きを醸し出しているように感じられます。

大沢拓也012

大沢拓也011

もうひとつの新たな展開として、蒔絵風の作品が1点展示されていました。

これがまた、いいんです。

緻密さはそのままに、漆の艶やかさが、和紙の作品と異なる質感を奏でます。

その艶やかさが、よりここに描かれルる光景の臨場感を際立たせ、雑踏や車の走る音など、さまざまなノイズのイメージも伝わってくるかのようです。

大沢拓也004 大沢拓也005

大沢拓也003

これまでのスタイルはさらに鮮度と精度を増し、そこに墨と漆とによる新たな展開が加わり、今後どんな作品が発表されるか、凄く楽しみです。

特に蒔絵風の作品は今回1点のみで、色調なども含めてどういったバリエーションが繰り広げられていくか興味津々です。

大沢拓也010

生川晴子 野と薮

白土舎

愛知県名古屋市中区錦1-20-12 伏見ビル地階

4/12(土)~5/17(木)日月祝休

11:00~19:00

生川晴子080412.jpg

Haruko Narukawa

Hakutosha

1-20-12-B1F,Nishiki.Naka-ku,Nagoya-shi,Aichi-ken

4/12(Sat)-5/17(Thu) closed on Sunday,Monsay and national holiday

11:00-19:00

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白土舎での生川晴子さんの個展です。

軽やかに取り込まれるモチーフと色彩が楽しく、奥深さも感じさせてくれる作品が並んでいます。

生川晴子08

さまざまなサイズの作品が並ぶなか、印象的なモチーフが多く登場します

百合が描かれた作品は、背景の色調に溶け込み、混ざりあうようなフォルムが独特の艶かしさを奏でているように感じられます。

生川晴子07

人物のシルエットが登場する作品も多く出品されています。

背景とのコントラストの淡さが不思議な感じを醸し出す色調が印象的で、さらにやはり人の姿という自然にメッセージ性を放つモチーフが取り上げられることで、さまざまな想像、物語が浮かんできます。

生川晴子01 生川晴子04

生川晴子02

さまざまなモチーフのなかでも特にユニークなのが、バナナ。

このキュートでユーモラスなかたちと色が他のモチーフと関係しあって、なんともいえない不思議な風合いをもたらしていて、距離感や奥行き、色調から独特の味わいが伝わってきます。

生川晴子03

なかでも、南国の森とバナナとが描き込まれた作品からにじみ出るユーモラスな風合いが堪らないです。

木々の枝々のシルエットの奥にもりっとその姿を晒すバナナ。

いったいどんな縮尺感なんだろう...(・。・)

と考え、その色合いとかたちから三日月の投影させているのかな、と思いきや、画面の上の方にしっかりと満月がその姿をしっかりと現していたり。

生川さんにもお話を伺ってみたのですが、この作風は今回初めて描いたそうで、でも特に狙いはないとのことで。

逆にその自然な感じ、思いつきの淡い痛快さが心地よく感じられます。

生川晴子06

生川晴子05

今年のART@AGNESに出品された作品の印象からも、もっとダークな色調の作品が揃うのかな、と拝見する間では思っていたのですが、思いのほかカラフルな色に囲まれた空間が作り上げられていたのも印象に残ります。

さらに、サムホールの小品の「穴」をモチーフに描いたコミカルな風合いの作品も楽しいです。

それぞれのモチーフや色彩が独特の味わいの奏でるユニークなクリエイションです。

どこかほのぼのとした感じが広がっていて、特に強いメッセージ性が感じられないのが、観ていて楽な気分に

させてくれるような気がします。

これからいろんなモチーフがひょこっと出てきそうな期待感も湧いてきて、楽しみです。

生川晴子09

居城純子「春先は喪失感で胸がいっぱいなのです」

第一生命南ギャラリー

東京都千代田区有楽町1-13-1

4/8(火)~5/9(金)土日祝休

12:00~18:00

Junko Ishiro Filled with a sense on loss in early spring

Dai-ichi Life South Gallery

1-13-1,Yurakucho,Chiyoda-ku,Tokyo

4/8(Tue)-5/9(Fri) closed on Saturday,Sunday and national holiday

12:00-18:00

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現実と非現実との曖昧な境界。

昨年は大阪のパンタロンでの個展を拝見し、印象に残っている居城純子さんの第一生命南ギャラリーでの個展です。

まず、入口正面に展示された作品のアバンギャルドな感触に驚かされます。

居城純子008

描きかけのような感じでありながら、その状態に説得力を感じるのが不思議です。

キャンバスに叩き付けられたような筆跡の生々しさと画面右下端のキャンバスの下地が生で晒されている部分が、岩山の風景を描いた部分と力強いギャップを生み出し、縮尺感のダイナミズムに凄みを感じます。

多くの作品で、マスキングの手法によってキャンバスの下地が画面に残され、緻密に風景のある部分を切り取るようになっていたり、またはまったくそこには存在しないかたちを思わせたりとさまざまなのですが、それが甘いフォルムで具象的に描かれる風景に抽象性をもたらしているように感じられます。

新緑の鮮やかさ、川面の瑞々しさ、自然の光景に射し込む光の眩しさが鮮やかに描かれるなかで、川面に反射する光の波がマスキングによって抜かれ、現実的な生々しさが自然に折り込まれて不思議なシチュエーションとなっているのがたいへん興味深いです。

居城純子001

今回初めて這い意見する、夜の景色を描いた作品の一角はマスキングの効果がさらに鮮烈に画面に表れています。

夜の公園で遊ぶ子供たちのシルエットが鮮やかに抜かれた光景。遠くに浮かぶ月のような白い丸とマスキングの白とのコントラストもユニークな風合いを立ち上げているように感じられます。

居城純子004

白いキャンバスの下地が夜の風景に鮮烈な光の姿を現し、同時にその上に描かれる絵の具の跡などによってその絵の「もの」としての実感が提示され、独特のギャップが面白く感じられます。

居城純子005 居城純子002

居城純子003

少し前のスタイルの作品も数点展示されています。

粗い目のキャンバスの生々しい素材感と具象的に描かれる風景のどこかのどかな感じとが同時に同じ平面から発せられています。

居城純子006

ロビーには他のアーティストの作品と合わせて、過去のVOCA展に出品された作品も展示されています。

緻密に施される色彩のグラデーションや大胆なマスキングが強烈なインパクトを放ち、新作と合わせてあらためて拝見できるのが嬉しい限りで。

居城純子007

メロウさとアバンギャルドさとが感じられる独特のスタイルが、今後どんな光景を生み出してくれるのかが興味深く、楽しみです。

津上みゆき展

SPACE355

東京都中央区東日本橋3-5-5 矢部ビル1F

4/11(金)~5/10(土)日祝休

11:00~19:00

津上みゆき080411.jpg

Miyuki Tsugami exhibition

SPACE355

3-5-5-1F,Higashi-nihonbashi,Chuo-ku,Tokyo

4/11(Fri)-5/10(Sat) closed on Sunday and natinoal holiday

11:00-19:00

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イマジネーションを広げてくれる風景。

SPACE355での津上みゆきさんの個展です。

さまざまな場所の風景のスケッチをモチーフに、多彩な色とテクスチャーとで抽象表現を展開し、実におおらかでたおやかな世界が描き上げられています。

津上さんというと、ちょうど今回の前期が重なる時期に開催された展覧会も素晴らしかったです。

art-life+vol.10 津上みゆき展「24 seasons-つづるけしき、こころつづく」

スパイラルガーデン

東京都港区南青山5-6-23

4/8(火)~4/20(日)

11:00~20:00

津上みゆき080408.jpg

art-life+vol.10 Miyuki Tsugami "24 seasons"

Spiral Garden

5-6-23,Minami-aoyama,Minato-ku,Tokyo

4/8(Thu)-4/20(Sun)

11:00-20:00

1年を24に分け、二十四節気それぞれを抽象風景ですべて同一の大きなキャンバスに描き現し、入口からずらりと並べられ、動線に沿っておおらかな時間の流れ、季節の流れをイメージで感じ取れるように構成されていていました。

ゆっくりとその動線に導かれるように歩いて、めくるめく色彩の変化のダイナミズムに浸って、壮大なイメージを得られたような。。。

最初の長い壁面。一面の白のなかにぽわんと甘くひろがる赤が印象的な冒頭の作品から、しばらくピンク、青、グリーンなどの淡い色調とフォルムの風景が続いたかと思うと、生命の息吹の力強さをそのまま現したかのような濃厚な緑の世界が突如として迫ってきたような印象が残っています。

続いてホール、パノラマのように円形の壁面が設営されたパートへ。

こちらは、大地、海、空、さまざまな光景を連想させる壮大なスケール感を放つ作品群。

濃厚な色彩も大胆に取り込まれ、さらにダイナミックな色面の迫力とさまざまな色がひしめく混沌とが随所に配されたようになって、より鮮烈な臨場感が伝わってくる空間がつくり出されていました。

2Fのショップをくぐって最後の一角、階段沿いの壁面。

一転、濃厚濃密な世界が重厚に広がる空間。

濃い青と疾走するような赤の閃光、前面を覆う黒の隙き間から覗かせるヴィヴィッドな色彩など、シャープな線がこれまでの大きく広がるような光景から一変し、沈み込むような重々しさとともに凄まじい速度も同時に発していたような。。。

画面のサイズの統一感がバラエティに富んだ展開にひとつの統一感をもたらし、それがさらにそれぞれの光景の、そして全体の深みや奥行きを醸し出していたような感じで、それぞれの画面から伝わる風景、そして時間が与えてくれるイマジネーションの大きさに感服した次第で。

このコンセプチュアルな展覧会に続いて開催された個展。

こちらでは、さまざまなサイズの作品が真っ白な空間に展示され、スパイラルでの展開とはまた違うバリエーションに富んだ構成が楽しいです。

正面の鮮やかな青。

ダイナミックなうねりが壮大なイメージを醸し出しているように感じられます。

津上みゆき01

通りに面したガラス張りの入口、その両側に大作が展示されていて、右手の横長の作品2点が導き出す動線と、それと対面するもっとも大きな作品の、壁一面を完全に覆うほどのサイズから発せられる迫力にどこか遠い風景に包まれたようで。

津上みゆき04

横長の2点の作品のひとつ奥、こちらには小品が並んでいます。

コンパクトな画面がこの壁面の、さらにはこの展覧会のアクセントになっています。

小さな画面の連続がリズミカルで、しかしそれぞれの画面では鮮やかに色彩が絡みあっています。

津上みゆき05

奥まった一角には、正面の青の作品とまるで対を成すかのような、情動的な赤が前面を覆う作品が。

真っ白の壁が囲む空間に鮮やかに映え、「赤」という色が本来持つエネルギーがダイレクトに発散されているような、力強い印象を受けます。

津上みゆき03

今回出品された作品に限らず、津上さんがつくり出す抽象の世界には「元絵」となるスケッチが存在しています。

今回の個展ではそのスケッチは展示はされていないのですが、拝見させていただくと、油彩の抽象画とはまったく異なる質感で、実に穏やかに、その風景の空気も捉えているようなやわらかな風合いが伝わってきます。

そして、実際の風景とそのスケッチ、それをもとに描かれた抽象画の関係性がたいへん興味深く感じられます。

目の前の光景をていねいに紡ぎ、それをもとに描かれたパネルの作品は、制作の過程で沸き起こるインスピレーションも大きく影響し、その風景とはかけ離れた色彩も登場しているようです。ギャラリーの方から伺ったのですが、冒頭の青の作品がもともとは桜が咲く時期を描いたものだそうで、そういった色彩の自由さもたいへん興味深く感じられ、こちらに展示された作品だけでなく、スパイラルで拝見し、体験して得たイメージの記憶にもさらに奥行きを持たせてくれます。

津上みゆき02

今回、同じ時期にこの津上さんと、5/8(木)までの会期延長が決まったギャルリー東京ユマニテでの流麻仁果さんの個展を拝見し、抽象の面白さを再認識した次第です。

僕の中では色合いや風合いなどに共鳴しあっているような印象を持つこのお二人のクリエイションですが、それぞれのモチーフをどこから得ているかの差異、津上さんは風景で流さんは人物であることが、作品を拝見してきちんと違いとして伝わってくるのがたいへん興味深く感じられます。

もしこのお二人が偶然まったく同じ色調で同じ構図の作品を生んだとしても、きっとそれぞれが与えてくれるイメージは違うだろうなぁ、という確信が湧いてきます。

ぜひともこのふたつの展覧会を合わせて楽しんでいただければ、と思う次第です。

奥原しんこ「眠る人」

SCAI THE BATHHOUSE

東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡

4/11(金)~5/17(土)日月祝休

12:00~19:00

奥原しんこ080411.jpg

Shinko Okuhara "Sleeping Figure"

SCAI THE BATHHOUSE

6-1-23,Yanaka,Taito-ku,Tokyo

4/11(Fri)-5/17(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

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ウキウキと微睡むシチュエーション。

SCAI THE BATHHOUSEでの奥原しんこさんの個展です。

SCAIらしい、大きな画面の作品がおおらかに並び、鮮やかな色彩とキュートなユーモアで、清々しさがふわぁーっと膨らむようなシーンが繰り広げられています。

奥原しんこ04

描かれるさまざまな場所は、実は日常的で身近な感じのはず。。。

しかし、ヴィヴィッドかつどこか大人びた落ち着きも漂わせる色調で描かれることでファンタジックな雰囲気が広がり、、なんだか特別な場所のようなイメージが伝わってきます。

奥原しんこ01

そんな不思議なシチュエーションに描き加えられる「眠る人」。

「描く」と表現すると語弊があるのですが...これがおそらく雑誌か何かの印刷物の切り抜きによるコラージュであることに嬉しい驚きを感じます。

大きな作品で、しかも気持ちいいくらいに伸びやかな奥行きやその光景をおおらかに俯瞰するような視点が心地よいので、しばらく離れた距離から作品を眺めるのですが、いざ近付いてみると、そこに横たわる女性が実に巧みなコラージュで構成されていることに気付き、そのお洒落なユーモアに大いに感服させられます。

仕草といい表情といい、ホントにお見事で、見つけた瞬間から弾けるような発見の連続に「うわっ、楽しい!」って思わず内心で叫びそうになる次第で。

奥原しんこ07 奥原しんこ08

奥原しんこ06

大きな作品とあわせて比較的小さな画面での展開の作品も展示されているのですが、登場する人や風景の縮尺感が大きな作品と同じサイズで表現されているので、小さな画面でもおおらかなスケール感を放っているように感じられるのもまた楽しいです。

また、ほぼすべての作品で、登場する女性はモノクロームのコラージュで表現されているのですが、おそらく1点だけカラーなのがまた、ちょっとしたアクセントになっていたり。

奥原しんこ05

奥原しんこ02

奥の一角では、今度は全然違う展開のインスタレーションが。

ここまでふわっと明るくて大人びた微睡みの空間の心地よさに浸っていたところで、振り返った刹那

!Σ( ̄口 ̄;)

と思わずに入られない相当にショッキングな光景が。

奥原しんこ10

奥原しんこ11

大きな壁一面にびっしりと、さまざまな虫がくっついていて、壮観、圧巻。

相当にぎょっとするのですが、さまざまな印刷物をコラージュし、両面にプリントされて緻密にひとつひとつ作り上げられているのに加え、その行程がここにいる何千という数の虫たちついて行われたと考えると、やはりこちらも感服せざるを得ないのです。

奥原しんこ09

「眠る人」の一連のペインティングと壁びっしりの虫の群れ、どちらからも、奥原さんの「想像することの楽しさ」と「作ることの楽しさ」、このふたつの作り手の醍醐味が伝わってくるような気がします。

オープニングの際に奥原さんとお話できて、「こういう場所で眠れたら... 」みたいなお話をされたのが印象的で、そういう自然体で思い浮かぶ素敵なシチュエーションが絵の中で繰り広げられているのがホントによく伝わってきます。

今回の「眠る人」の作品、画集になるようなので、こちらも楽しみです。

奥原しんこ03

《4/20》

松山賢展「探索」

新宿高島屋10階美術画廊

東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-2

4/16(水)~4/29(火)

10:00~20:00(土:~20:30、最終日:~16:00)

松山賢080416.jpg

まず何より、松山さんの「巧さ」が鮮烈に伝わってきます。

カブトムシやクワガタと女の子のツーショットの作品を眺めていると、キュートな佇まいで笑みを浮かべる女の子の天真爛漫さと、甲殻昆虫の無機的な感触とのギャップがユニークで強烈な雰囲気を発しているように感じられます。

ART IN TIME AND STYLE MIDTOWN VOL.3 DRAWING

TIME & STYLE MIDTOWN

東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア D-0301

2/1(金)~5/31(土)

11:00~21:00

TIIME AND STILE0802.jpg

お洒落でスマートな家具や生活アイテムがシンプルに並ぶ空間、その壁にさまざまなアーティストのドローイングが展示されていて、すごく面白いことになっています!

既知、未知のアーティストそれぞれで発見があったのですが、まず、大杉沙絵子さんの独特の明度の絵がぱっと目に入ってきます。どこか曖昧に滲むような感触に、独特の暖かみ、温もりが伝わってくるような感じです。

ジャンボスズキさんのジャンボじゃない(笑)作品も楽しい!ポップでライトな色彩感がモチーフをキュートに立ち上げています。

ひときわ目立つのが藁谷由香里さんのドレスを描いた作品、たしか壁面に直接描かれていて、ふわっとしたおおらかさが印象的です。

奥の方に展示されている横内賢太郎さんの小品2点。小さな画面にめくるめくような色彩の滲みと、そこによく見ると見えてくる線の輝きとが収められてて、静かで艶やかな風合いを醸し出しています。 ほか、

田口和奈さんや手塚愛子さんほか、さまざまなアーティストの小品がずらりと展示され、それらがお洒落な家具と空間と響きあって心地よい雰囲気を奏でています。

ARTIST FILE 2008 The NACT Annual Show of Contemporary Art

国立新美術館 企画展示室2E

東京都港区六本木7-22-2

3/5(水)~5/6(火)火休(4/29、5/6開館、4/30休)

10:00~18:00(金:~20:00)

アーティスト・ファイル2008.jpg

実はもう2度、見に行ってます。

でも、もう一度見に行きます。

姉川たく Secret Allegory

NANZUKA UNDERGROUND

東京都渋谷区渋谷2-17-3 渋谷アイリスビルB1F

4/12(土)~5/11(日)月火休

13:00~20:00(土日:11:00~18:00)

姉川たく080412.jpg

すごくいいです!

平面に展開されるシュールなイラスト、そこに絡む刺繍や糸での展開。それらが巧く絡み合っていて、ある部分では過剰に、ある部分では適当に...そのバランスも面白く、ユニークでキャッチーな世界が繰り広げられています。

画面に収まりきれない、というかおさめる糸が最初からおそらくないほどに長く垂れた糸など、実際に観てみないと分からない要素も多いんです。

《4/22》

MY Collection 2008 廣澤仁 洪昇恵 ―刷る―

Shonandai MY Gallery

東京都港区六本木7-6-5 六本木栄ビル3F

4/21(月)~4/28(月)

12:00~19:00(最終日:~17:00)

廣澤仁 洪昇惠080421.jpg

木版画とシルクスクリーンプリント、それぞれ異なる版画作品を制作されるアーティストの二人展です。

廣澤仁さんは日本橋タカシマヤ美術画廊Xでのグループショーで拝見して、そのヴィヴィッドな色調とダイナミックな抽象性が印象に残っているのですが、今回もぱっと弾けるような色調ともりもりとしたテクスチャーが前面に押し出されるようなさまざまなサイズの作品がずらりと展示されています。

MC廣澤仁05

MC廣澤仁03

シルクスクリーンによる、ある意味での無機的な作業で施される彩色と、わずかにそれが何であるかをイメージさせるぎりぎりの具象性とが、コクのある味わいを放っているように感じられます。

MC廣澤仁01 MC廣澤仁04

MC廣澤仁02

洪昇恵さんの木版画は、木版特有の淡い色調で繰り広げられ、廣澤さんとはまた異なる抽象性が楽しいです。

MC洪昇恵04 MC洪昇恵02

MC洪昇恵01

いかにも木版らしい、版を彫って生み出されるストロークの膨らみがさまざまなかたちで重なり、ウォームな雰囲気とメロウな奥行きを作り出しているような印象です。

MC洪昇恵06 MC洪昇恵07

MC洪昇恵05

そして、2点だけ、事務所に通ずる狭いスペースに隠れるように展示されたタブロー。

これがすごくいい!

MC洪昇恵03

《4/24》

SEMEAR:川内倫子

FOIL GALLERY

東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤

4/24(木)~5/25(日)

12:00~20:00(初日、日:~18:00)

川内倫子080424.jpg

無邪気だなぁ...。

まず、そんな印象を受けます。

ふっと過ぎる、あまりにも何気ない瞬間や、偶然巡り会ったようななんだか楽しげなシーン。

視点もさまざまで、ひとつの展示として観てみてもそこに統一感があるようには感じられないのですが、むしろその「きままさ」がゆるやかな痛快さを放っているようにも感じられます。

そして、ひとつひとつの写真を眺めたときになんともいえない清々しさであったり、懐かしさであったり、意外な発見であったり、さまざまなエポックを与えてくれるような感じもなんだか嬉しくて。

エリザベス・コップフ air cigarette Tokyo Ideal

Gallery ef

東京都台東区雷門2-19-18

4/25(金)~5/19(日)火休

12:00~21:00

Elisabeth Kopf 080425.jpg

アイデアの「種」のようなクリエイションです。

作品を楽しむとともに、こういう表現もあるんだっていう新鮮さも感じられます。

永岡大輔「曖昧な庭」

hpgrp GALLERY 東京

東京都渋谷区神宮前5-2-11 H.P.DECO 3F

4/3(木)~5/6(火)

11:00~20:00

永岡大輔080403.jpg

New works by Daisuke Nagaoka "ambiguous garden"

hpgrp GALLERY TOKYO

5-2-11-3F,Jingumae,Shibuya-ku,Tokyo

4/3(Thu)-5/6(Tue)

11:00-20:00

Google Translate(to English)

モノクロームの集積が発する迫力。

モノクロームの集積が奏でる美しさ。

hpgrp GALLERY 東京での永岡大輔さんの個展です。

永岡さんというと、鉛筆で描いては消し描いては消しを延々と続けて繰り広げられる超アナログ原始的コマ送りのアニメーションがまず思い浮かぶのですが、今回の個展では映像作品は出品されてはいないものの、鉛筆やペンを駆使して細かい線・作業を集積させた緻密なテクスチャーが観る者の意識をがっちりと掴む作品が多く展示されていて、映像での面白さと通じていながらいつもと異なる永岡さんのクリエイションの面白さを堪能できます。

・・・とはいえしかし。

階段を昇ってまず視界が捕らえるのが...

!Σ( ̄口 ̄;)

永岡大輔05

なんかぶら下がってるぞオイ!Σ( ̄口 ̄;)

なんかデカくて黒いモノがぶら下がってるぞオイ!Σ( ̄口 ̄;)

刹那、ぎょっとした次第。

とにかく圧巻です。

数十パターンにも及ぶ細かい線が凝縮されたペン画のコピーが幾重にも重ねられ、それぞれが放つ遠心状、もしくは求心状のベクトルが異様なエネルギーを生み出しているように感じられ、それよりなにより

何だこれはぁぁ!!!Σ( ̄口 ̄;)

と心の中に無数の「?」が表れ、同時にその「?」を片っ端から蹂躙していく迫力に大きく感性を揺さぶられるような。

とにかくファーストインパクトの凄みが鮮烈です。

全面を覆う無数の線、それらが不思議な静けさ、深みを放ち、重いとも軽いとも言い切れない独特の重量感がイメージとして浮かんできます。

永岡大輔10

永岡大輔09

だんだんとそのフォルムにも慣れ、しげしげと眺めてはその圧巻の集積に感心し、その裏側にまわってみると、その内側にさまざまな毛皮が重ねられ、そこにさらにひとつぶら下がる紙。なんとも妖しげな風合いが堪らない...。

毛皮のさまざまな色合い、本物の有機物の質感と、その中央の有機的な絵のモノクロームの非現実的な感触毛皮の立体感と、両面に描かれていながらも基本的には1枚の紙の平面感。さまざまなギャップがひとつの閉じた空間に凝縮され、その関係性が深いイメージをもたらしてくれます。

具体的なイメージに直結する毛皮が、例えば本来外側を覆うものが内側に広がっていることやいろんな種類のが無秩序に繋がっていることなどの要素が逆に非現実的な感覚を伝えてくれて、さらにその現実的なものを支配するかのように、絵といい平面性といい、現実性からもっとも遠い要素がその中央に浮かんでいてまわりを支配しているような感じがしたり。。。

永岡大輔06 永岡大輔08

永岡大輔07

平面作品は、モノクロームの硬質な感触と、細かい集積が放つ妖婉さとに引き込まれます。

動物たちの凛々しい表情、うねる線の重なりから「ぬぅ」と姿を現しているかのような風合いなど、妖しい感触を立ち昇らせていながらも、シンプルな色調と線の密度が生み出すグラデーションとが相当にクールな感触を放っているように感じられます。

永岡大輔02 永岡大輔04 永岡大輔03

永岡大輔01

小品が凝縮された一角も見応え充分で。

それぞれの画面で展開されるシーンはどこまでもクールでハードボイルド。

緻密に紡ぎ出されるテクスチャーによる原生的な要素や、そこから姿を現す動物たちの姿の堂々とした姿などの情報が一体となり、実にポジティブなイメージが伝わってきます。

永岡大輔12 永岡大輔13

永岡大輔11

ともあれ、一もニもなくかっこいい世界が展開されています!

発見に満ちていて、さまざまなクリエイションと響きあうポテンシャルを持ったクリエイションに溢れています。

永岡さんとお話しするとそれぞれの作品や制作のスタンスについて実に明解な説明が得られて痛快なのですが、今回に限らず永岡さんの作品を拝見していると自らが持つクールなイメージを加速させてくれるような印象を覚えるのは、そういったしっかりとしたバックボーンを持って制作されるからこそなのだな、と感じる次第です。

永岡大輔14

《4/16》

鴻池朋子「隠れマウンテン&ザ・ロッジ」

MIZUMA ART GALLERY

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル

4/16(水)~5/17(土)日月祝休

11:00~19:00

鴻池朋子080416.jpg

鴻池朋子さんがミズマアートギャラリーの2階と5階を使って個展を開催、と聞いてただ事ではないことが起こる予感はもちろんしていたのですが、もうそれは予想以上に予想通りっていうか、予想通りによそう以上っていうか、なんとまあ立体的な展覧会なのだろう、と。

そして、そこに込められたメッセージ性、エンターテイメント性にもじっくりと浸って感じたい展覧会です。

《4/17》

JangーChi/チャンチ『精神の肉体』

T&G ARTS

東京都港区六本木5-9-20

4/17(木)~5/22(木)日月祝休

11:00~19:00

Jang Chi 080417.jpg

昨年のNEXT DOORで知った抽象画。

フォルムも色彩もふわりと曖昧に描かれていて、しかしそこにしっかりと抽象表現としての「ルール」が見え隠れしていたりして。

《4/18》

エマージェンシーズ!2008 八木良太「回転」

ICC 5階 ラウンジ・ウエスト

東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4F

4/19(土)~6/29(日)月休(祝日の場合開館、翌日休)

10:00~18:00

八木良太080419.jpg

タイトル通り、八木良太さんの「まわる」クリエイションを一望できる、素敵な展覧会です。

さすがにおなじみの氷のレコードは映像での展示ですが、ターンテーブルをろくろとして使ったパフォーマンスの記録とともにそれぞれ大きなモニターに、しかも高画質の映像で上映されています。

ほぼ無人島プロダクションでの個展で発表された作品が出品されていますが、2点の新作がまたいい味を出しています。

3枚のターンテーブルを重ねて違う速度で回転させた作品、車窓から眺める過ぎ行く風景が至近はすぐに視界から消え、遠くの山並はずっとその風貌を視界で捉えられている、そういう様子をキュートに現していて、なんとも和めます。

もうひとつは、すっきりとしているんですけど、

あーもう!Σ( ̄口 ̄;)

すっごくもどかしいんですけど!Σ( ̄口 ̄;)

っていう感じの最高にシュールな作品で。

それぞれの作品がスマートに展示されていて、八木さんのクリエイションの楽しさがていねいに伝わってきます。

《4/19》

大沢拓也

ギャラリー広岡美術

東京都千代田区神田駿河台3-1-7 烏山お茶の水ビル2F

4/10(木)~4/19(土)日休

10:30~18:00

大沢拓也080410.jpg

昨年の個展と今年のアートフェア東京でも印象に残っていた大沢拓也さん。

緻密な構成による風景や草花のシルエットの作品に加え、大正時代の和紙を支持体に採用し、墨がダイナミックに一閃する大胆な作品や蒔絵風のものなど、新たな展開のものも出品されて、じっくりと見応えのある展覧会でした。

フローリアン・ズースマイヤー展

MIYAKE FINE ART

東京都江東区清澄1-3-2-5F

4/5(土)~5/10(土)日月祝休

12:00~19:00

Florian Sussmayr080405.jpg

一見して写真と思ってしまうほどの精度が何よりの凄みを感じます。

焦点がぼやけた風合いなども精緻に再現され、それがしかも油彩によって描かれていることで増す臨場感も印象的です。

そして、何かの走り書きを再現した作品がまたかっこいい!

津田久美恵「Perfect is Not Perfect」

TOMIO KOYAMA GALLERY

東京都江東区清澄1-3-2-6F

4/5(土)~4/26 (土)日月祝休

12:00~19:00

津田久美恵080405.jpg

磁器のオブジェがずらりと並び、澄んだ音が聴こえてきそうな臨場感が清々しいです。

ぽこぽこと連なる球体に人の半身が逆さに突っ込まれたようなコミカルな風合いの作品などもあって、なんだか不思議な雰囲気も。

山本磨理展

ぎゃらりぃ朋

東京都中央区銀座1-5-1 第三太陽ビル2F

4/19(土)~4/26(土)

12:00~19:00

山本磨理080419.jpg

昨年のgallery OPEN DOORでの個展や東京芸大の修了制作も印象に残っている山本磨理さん。

今回は女性の肖像や草花を描いた作品が展示されています。

何より、背景の黒の独特の味わい、広がりが何ともいえない風合いを奏で、妖艶な深遠さを醸し出しています。

企画-2008 そこからの景色 上出由紀 こづま美千子 豊泉綾乃

ギャラリーなつか&b.p

東京都中央区銀座5-8-17 GINZA PLAZA58 8F

4/14(月)~4/26(土)日祝休

11:30~18:30(最終日:~17:30)

そこからの景色080414.jpg

3名の女性アーティストがフィーチャーされた展覧会、タイトル通りに風景を思わせる作風のクリエイションが揃えられています。

上出由紀さんの作品は、キャンバスに日常的な風景がプリントされ、その上からドローイングが重ねらる、というユニークな手法で制作されています。

そこからの景色 上出由紀03 そこからの景色 上出由紀01

そこからの景色 上出由紀02

透明感や曖昧さが画面全体からほのかに醸し出されているような感触が伝わってきます。

今回は個展で出品された球体の作品はお目見えしていないのですが、平面の展開だけでも充分に、そのデジャヴ的な感覚が印象に残ります。

そこからの景色 上出由紀05 そこからの景色 上出由紀06

そこからの景色 上出由紀04

ドライポイントで風景をダイナミックかつ繊細に紡ぎ出す豊泉綾乃さん。

昨年の個展なども印象に残っていますが、これまでの海や陸地などの広がりを感じさせてくれる作品から描く世界に広がりが出てきたのような印象を覚えます。

豊泉さんが描き出す「空」。

モノクロームの展開でありながらも清々しさが現れていているように感じられ、ずっと遠くまで続いていく空や風にたゆたう雲のダイナミックさが鮮やかに伝わってきます。

そこからの景色 豊泉綾乃01

そこからの景色 豊泉綾乃03

円形のプールがモチーフに登場する作品も。

シンプルな情景構成が、穏やかに感性を覆ってくれるかのような。凪の感情が広がります。

そこからの景色 豊泉綾乃02

-5人の今- 青木美歌 荒木知子 植木庸子 安岡亜蘭 渡邊早苗

@ギャラリーしらみず美術

東京都中央区銀座5-3-12 壹番館ビルディング4F

4/17(木)~4/26(土)日休

12:00~18:30(初日:14:00~、最終日:~17:00)

5人の今 080417.jpg

たいへん興味深いセレクションによる、女性アーティスト5名のグループショー。

まず、僕にとってはおなじみの安岡亜蘭さん。

春らしい艶やかな彩りに加え、箔なども随所に配され、いつもよりもメカニカルさが影を潜めたデフォルメでさまざまな動物がクールに描き出されています。

-5人の今-安岡亜蘭03 -5人の今-安岡亜蘭02

-5人の今-安岡亜蘭01

植木庸子さんの作品は、妖しげな色調とモチーフとが面白く感じられます。

僕はおそらく今回初めて拝見するのですが、2点のみの出品で、他にどんな作品あるのか拝見してみたいです。

-5人の今-植木庸子02

-5人の今-植木庸子01

渡邊早苗さんの抽象も、支持体のチョイスからユニークさが感じられます。

家、建物を思わせるモチーフが随所に見受けられ、楽しげな風合いが伝わってきます。

-5人の今-渡邊早苗04 -5人の今-渡邊早苗01 -5人の今-渡邊早苗03

-5人の今-渡邊早苗05

荒木知子さんの作品。

5点出品され、バリエーションに富んだ展開が印象的です。

ぼやけたように滲む赤の鮮やかさと、黒い線で描かれるイチゴの絵とが重なり。フレッシュさと妖しさが混ざりあって面白い風合いを奏でています。

-5人の今-荒木知子01

-5人の今-荒木知子02

滲んだ色彩と、多様な色調によるカラフルさとによって、不思議な時間の流れが感じられるような。

フォルムの曖昧さと色合いの爽やかさとが同時に伝わってきます。

-5人の今-荒木知子03

-5人の今-荒木知子04

荒木さんの作品はこれまで何度か拝見していて、それぞれで異なる展開の作品が出品されているので、来んごどういう作風が表れるのかワクワクしてきます。

-5人の今-荒木知子05

青木美歌さんのガラス作品。

TARO賞でもひときわ印象に残った、閉じた空間でのインスタレーションとは異なり、今回はテーブルの上であの有機的な広がりと繊細さを奏でる作品が、フラスコや試験管、注射器などを取り入れた作品と合わせて並んでいます。

-5人の今-青木美歌03

菌糸を連想させるさまざまなフォルムのユニークさがとにかく面白く、しげしげと眺めてしまいます。

有機的なフォルムが、さまざまな実験用具の機能だけが追求された無機的なかたちから生えてきているような感触がなんとも奇妙で、それでいてガラスの透明感や脆さとが繊細な緊張感を放っていたりして、さまざまなイメージが浮かんできます。

-5人の今-青木美歌01 -5人の今-青木美歌02 -5人の今-青木美歌05

-5人の今-青木美歌04

齋藤芽生 都市隠棲類図鑑 part 1「徒花園」

gallery ART UNLIMITED

東京都港区南青山1-26-4 六本木ダイヤビル3F

4/19(土)~5/17(土)日火休

13:00~19:00

齋藤芽生080419.jpg

過剰に緻密で繊細な描き込みによる、妖艶でグロテスクな世界。

ヴィヴィッドな色彩感がさらに奇妙な感触を加速させてくれているように感じられます。

ひとつひとつの画面から放たれる先鋭的な雰囲気に呑み込まれるような。

山下美幸「ノンシャランな時々」

TSCA Kashiwa

千葉県柏市若葉町3-3

4/19(土)~5/17(土)日月祝休

12:00~19:00

山下美幸080419.jpg

BOICE PLANNINGでの個展でのダイナミックな構成が未だフレッシュに思い出される、山下美幸さん。

今回は、というか今回も屋根裏、もとい、空間が持つ広さや動線が大きなポテンシャルを感じさせてくれるTSCA Kashiwaでの個展で、どこかシュールでゆらゆらとしていて、でもフレッシュな世界がまたまたダイナミックに展開されています!

―パチモン― 上田順平

imura art gallery

京都府京都市左京区丸太町通川端東入ル東丸太町31

4/9(水)~5/2(金)日祝休

10:00~18:30

上田順平080409.jpg

- PACHIMON - Junpei Ueda

imura art gallery

31,Higashi-maruta-machi,Sakyo-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu

4/9(Wed)-5/2(Fri) closed on Sunday and national holiday

10:00-18:30

Google Translate(to English)

なんかもう、もりっとしてるんですよ。

そう、もりっと。

この焼物の感触が堪らないんです。

今年の岡本太郎賞で、敏子賞を受賞された上田順平さんの、京都imura art galleryでの個展に行ってきました。

TARO賞展で拝見したときも、さまざまなメディアのクリエイションが並び、フューチャリスティックなムードが加速するなか、なんだか妙にゴージャス、きらびやかな一角があって、そこが上田さんの作品のコーナーだった次第で。

のっしりと置かれた大きな焼物のオブジェ群に刹那、圧倒されたのですが、最終日の閉館時間間際ということもあっれじっくりと拝見することが叶わず、あらためていつかチェックできると嬉しいなぁ、などと考えていたら予想外に早いタイミングで展覧会を拝見することが出来て、いやもうホント嬉しいわけでして。

で、初めて伺ったimura art gallery、ガラス張りの路面の1階のスペースでは、TARO賞の再演が。

路面から射し込む陽の光を反射し、釉薬の艶がさらに艶やかに表れ、どことなくキッチュな感触が余計に強く感じられ、なんとも痛快で。

上田順平07

今回あらたてめて拝見できて嬉しく感じたのが、その堂々とした風貌の作品の全面に施される細工や塗りの細やかさをじっくりと時間をかけて眺めることが出来たことで。

絢爛の風合いを構築するさまざまな要素、内装まで再現された天守閣や身体を覆う緻密なパターンなど、これらが渾然一体となって独特の風合いを立ち登らせているように感じられます。

そして何よりこの表情と姿の迫力が素晴らしいんです。

強い意志を感じさせる目、ピンと張られた胸。すべてを説得してしまうような勇ましさが滲み出ています。

それを、小脇に抱える鯛や壺、そして拡声器。

え?

拡声器かよ!Σ( ̄口 ̄;)

なんて、まさに「パチモン」感出まくリのユーモラスな感触もしっかりと収められているのがまた楽しいです。

上田順平03 上田順平04 上田順平02

上田順平01

頭の上の日本庭園も最高。

上田順平05

で、この空間のど真ん中に鎮座していたのが...

上田順平06

こんなにちっさな一寸法師風のオブジェ。でっかい怪物っていうか、アクも相当に強そうなキャラクターを従えるようにして構成されているのがまたいいんです。

2階にも数点の小品が展示されていて、また違った味わいが堪らない...。

まず、霊柩車。

金と黒銀のツートーンの霊柩車。

でも荷台の部分が何故か誕生日に食べるようなデコレーションケーキ。

そのケーキの上に乗ってるのが、何故かお城。

上田順平09 上田順平10

おかしいだろ!Σ( ̄口 ̄;)

そんなの絶対おかしいだろ!Σ( ̄口 ̄;)

・・・・

「死んだその日が誕生日」か!Σ( ̄口 ̄;)

ど根性ガエル音頭」か!Σ( ̄口 ̄;)

・・・・

よくこのタイミングでその引き出しが開くのな俺!Σ( ̄口 ̄;)

ていうか、インターネットってすげぇな!あるのな!Σ( ̄口 ̄;)

・・・・

もとい!(゜∀゜)

面白いからいい!(゜∀゜)

側面のいちご柄も見逃せないポイントではありますが、この荷台の屋根が外せるんですね、外してもらうとまた

!!!Σ( ̄口 ̄;)

なんです。

しかし、深いメッセージ性というか、ユーモアとシリアスの相反する要素がせめぎあっている感じもまた面白く感じられます。

上田順平08

1階にいた作品の足型も。

そしてこれが版になっていて、足跡が魚拓風に刷られて展示されているのもいい感じです。

上田順平12

上田順平11

残念ながら上田さんとはお目にかかれなかったのですが、ぜひともコンセプトなどを伺ってみたいと思わずにはいられない、さまざまなイメージを与えてくれる不思議なファンタジーに溢れた作品群です。

山本修路 松景 其ノ貳

ラディウム-レントゲンヴェルケ

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17

4/3(木)~4/26(土)日月祝休

11:00~19:00

山本修路080403.jpg

Shuji Yamamoto "SHO-KEI vol.2"

Radi-um von Roentgenwerke AG

2-5-17,Nihonbash-bakurocho,Chuo-ku,Tokyo

4/3(Thu)-4/26(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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植木や盆栽を宇宙に例える話はこれまで何度か耳に、あるいは目にしたことがありますが、それをまさに実感させてくれるようなスケール感。

山本修路さんのラディウム-レントゲンヴェルケでの個展です。

山本さんというと、松をモチーフにした立体作品とその平面展開とで、さまざまなシチュエーションを生み出し、独特のドメスティックな味わいを放つ印象が強いのですが、今回はそのスケール感がさらにダイナミック、かつアクロバティックに加速し、なんとも痛快なイメージを観る者に提供してくれます。

1階、こちらでは、まさにこれから明けようとするような時間を連想させる、新たな展開の作品が並びます。

山本修路001

艶やかな黒の素材でもりもりと作り上げられた、松景のシルエット。

鮮やかで深い色調で表現される明け方の空とともに、これからとんでもなく大きなことが始まるかのような壮大な想像が脳裏にぐんと広がります。

山本修路004 山本修路003

山本修路002

色調の美しさも印象に残ります。

スケール感とともに緊張感も醸し出すオレンジと濃紺とのグラデーション、黒い影にひとり佇む松の木のシルエットが、単に日本的なワビサビに留めず、もっと壮大なイメージを伝えてくれるような感触が痛快です。

山本修路005

2階へ。

当然、上を見上げるわけですが。

!Σ( ̄口 ̄;)

山本修路006

今回はこう来たか!と唸らせる、山本さんのアクロバティックサイドの作品としての真骨頂。

ラディウムの空間のユニークさを活かし、相当にキッチュなシチュエーションが構築されています。

さすがにそれはないだろ!Σ( ̄口 ̄;)

って感じのツッコミが瞬間的突発的に心に弾けるように表れると同時に、

いや、もしかしたらあるかも...( ̄口 ̄;)

という妙な説得力も思い浮かび、その葛藤がまた楽しかったり。

山本修路008 山本修路009

山本修路007

2階では一転して青空が広がります。

しかし、そのシチュエーションのアクロバティック度が尋常でない!

そっちか!Σ( ̄口 ̄;)

そっちが上か!Σ( ̄口 ̄;)

と、空の上にぐんと聳える岩場のダイナミズム、そこに堂々と生える松のダンディズム。

加えて、立体的な厚みを持つパネルの側面までしっかりと作り込まれ、

いったいどんな場所だよ!Σ( ̄口 ̄;)

さすがにそれはないだろ!Σ( ̄口 ̄;)

という感じに、にさらにアクロバティックで痛快なイメージをもたらしています。

山本修路012 山本修路011 山本修路013

山本修路010

正面の壁に展示された縦に長い作品では、松の姿が大きく表現され、山本さんの作品の面白さのひとつである松の幹の表皮のごつごつとした感触が味わえます。

画面のかたちが生み出す動線もまた、おおらかで圧倒的なスケール感を創出していることに貢献しているように感じられます。

山本修路019 山本修路017 山本修路018

山本修路016

2階は、それぞれの壁面で同じ大きさのパネルが並んで展示され、隣り合う作品同士の関係性がまたさらにユニークなスケール感を想像させてくれます。

もはやドメスティックな範囲では収まりきれない、まさに宇宙的なイマジネーションでの展開がとにかく痛快な展覧会です。

山本修路014

この春にオープンする十和田市現代美術館にも山本さんの作品が収蔵、展示されるとのことで、機会があればぜひ観に行ってみたいです。

服部知佳展

ギャラリー椿

東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F

4/12(土)~4/26(土)日休

11:00~18:30

服部知佳080412.jpg

Chika Hattori exhibition

Gallery Tsubaki

3-3-10-1F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo

4/12(Sat)-4/26(Sat) closed on Sunday and national holiday

11:00-18:30

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光りを放つ絵。

ギャラリー椿での服部知佳さんの個展です。

驚くほどに、その精度に磨きがかかっている印象を受けます。

服部さんが思う「こういうふうに描きたい」というイメージ、時間をかけて育んできたイメージと、描く作品との距離感が縮まったかのように思わせてくれる、素晴らしく美しい透明感に満ちた作品が並んでいます。

服部知佳003

描くモチーフも、これまでと比較するとさらに広がりが出てきたような感じがします。

花や葉などの植物は、穏やかで静かに、やわらかな光を発しているかのような艶やかなグラデーションで、その有機的なフォルムがていねいに描き上げられています。

おおきく引き伸ばされて描かれるさまざまな植物の表情が、おおらかな風合いを奏でます。

服部知佳005 服部知佳006

服部知佳002

今回は、動物を描いた作品がおそらくこれまで以上に多く出品されています。

くっきりとした色調で描かれる水鳥は、背景の透明感溢れる青に映え、かわいらしく独特な可憐さを放っています。

服部知佳001

一見して何かの模様に見えるほどにユーモラスにデフォルメされた魚。

滲むような風合いの色調で紡がれる世界は深く穏やかで、シンプルな構図でありながらおおらかな広がりがもたらされ、同時にそのシンプルさが未来的なイメージを感じさせてくれます。

服部知佳004

小品ではこれまでの渋めの色調の作品も出品され、バラエティに富んだ世界が展開されています。

そして、やはり今回の個展では、なによりその色彩感の幅広さに感服させられます。

さらに大胆なチョイスでさまざまな生物が描かれ、温かみに溢れるヴィヴィッドな光景がなんとも心地よく感じられます。

それぞれの壁面に統一感がもたらされていて、その展開の美しさも味わえる展覧会です。

服部知佳007

"Who's Next" アート界のイチロー探し

MUSEUM at TAMADA PROJECTS

東京都中央区月島1-14-7 旭倉庫2F

4/3(木)~4/25(金)月休

12:00~19:00

タマダ080403.jpg

"Who's Next"

MUSEUM at TAMADA PROJECTS

1-14-7-2F,Tsukishima,Chuo-ku,Tokyo

4/3(Thu)-4/25(Fri) closed on Monday

12:00-19:00

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参加アーティスト:

阿部岳史 今津景 岩野仁美 河合政之 ギマトモタツ 後藤靖香 小村希史 佐々木愛 塩津淳司 志村信裕 田中千香子 塚本智也 寺江圭一朗 遠山裕崇 中村宏太 袴田京太朗 松宮硝子 水本剛廣

MUSEUM at TAMADA PROJECTSで開催されている、さまざまなメディアのクリエイションが揃った展覧会です。

平面、立体、インスタレーションと、多くのアーティストが個性を発揮し、それぞれのエリアでユニークな雰囲気を発しています。

すべてのアーティストの作品については、こちらが詳しく、ありがたいです。

で、そのなかで特に印象に残ったのが、まず、エントランスをくぐって最初のスペースでに展示された志村信裕さんのインスタレーション。

志村さんというと、これまで2度、恵比須siteでのおおらかに深く滲む群青が延々と上から下へと流れていくダイナミックな作品と、横浜ZAIMで開催されたグループショーでカラフルなクリップが降ってくるヴィヴィッドで斬新な作品と、映像作品を2度拝見していて、今回はいつも映像で展開される世界をインスタレーションで表現したような印象で、それがたいへん興味深く感じられます。

テーブルの上にていねいに配列されたカラフルなギフトボックス。

かわいらしい雰囲気に加え、リズミカルな佇まいがなんとも楽しげな動きを連想させてくれます。

TP志村信裕01

TP志村信裕02

ひとつ奥の部屋は、こちらも何度か拝見している塩津淳司さんのインスタレーション。

暗がりに浮かぶ光の帯がさまざまな色で彩られ、フューチャリスティックな空間を立ちのぼらせています。

塩津さんの作品も、ギャラリー山口B1での個展やBankARTでの「都市との対話」展などで、スケールの大きな展開が毎回なされていてその圧倒的なダイナミズムに体全体で浸れる感触が心地よいのですが、今回もまさに真骨頂といった赴きです。

TP塩津純司02 TP塩津純司03

TP塩津純司01

最初の展示スペースから別の隣のスペースに展示されていた小村希史さんのペインティングも圧巻です。

小村さんの作品はおそらくはじめて拝見するのですが、いかにもoil on canvasらしい力強い筆致で展開される、グロテスクなテクスチャーに意識が呑み込まれ、蹂躙されてていくような錯覚を覚えます。

TP小村希史03 TP小村希史02 TP小村希史04

TP小村希史01

顔の部分がめためたに塗り困れ、その表情が壊されたような感触のインパクトがとにかく凄いです。

大きなサイズでの展開、背景に広がる深く鈍い色彩の重々しさなど、さまざまな要素が関係しあって重厚で鮮烈な世界を構築しています。

TP小林希史06

TP小村希史05

同じスペースの一角。

松宮硝子さんのガラスのインスタレーションが、この展覧会でひときわ危ういほどに繊細なアクセントをもたらしています。

TP松宮硝子01

ドゥークーヒープーという想像上の生物を登場させ、脆さと鋭さとが背中合わせで混在するガラスという素材のユニークさが全面に押し出され、だからこその美しさが心を打ちます。

水の中にいるかのような透明感、照明が当てられて生み出される鮮やかな輝き。

閉じた空間で、めくるめく想像の世界に浸れて、なんともいえない不思議なイメージに満たされます。

TP松宮硝子04 TP松宮硝子02 TP松宮硝子05

TP松宮硝子03

他にも、今津景さんや遠山裕崇さん、塚本智也さんのペインティング、河合政之さんの静かに展開される妖しげな映像美、ひときわ目立っちゃってるその「アホ」さが堪らない寺江圭一朗さんの作品、大垣美穂子さんのパネルの作品など、あらたな発見と力強いクリエイションに溢れています。

JEAN-LUC MOERMAN

nca|nichido contemporary art

東京都中央区八丁堀4-3-3 ダヴィンチ京橋B1

4/4(金)~4/26(土)日月祝休

11:00~19:00

JEAN-LUC MOERMAN080404.jpg

JEAN-LUC MOERMAN

nca|nichido contemporary art

4-3-3-B1,Hatchobori,Chuo-ku,Tokyo

4/4(Fri)-4/26(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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!Σ( ̄口 ̄;)

で、

で、

でけぇ!Σ( ̄口 ̄;)

JEAN-LUC MOERMAN 02

なんていうか、ガンダムとかダンバインとかエルガイムとかバイファムとかサンライズアニメのメカをぜーんぶ合わせたようなモリモリとした立像がぁぁっ!

この辺りのプラモデルにハマった人間にとってけっこうツボ!

しかも直撃!

ちょっとメタボ気味体型な気もしないでもないが問題なし!

もとい(落ち置け自分)

nca|nichido contemporary artでのJEAN-LUC MOERMANさんの展覧会です。

とにかくかっこいい。

タトゥー風のグラフィカルな模様がさまざまな支持体で繰り広げられ、クールでホットな世界が展開しています。

平面作品、大胆なラメが施されたツヤツヤの支持体の上を、黒い稜線の模様が力強く妖艶に展開しています。

JEAN-LUC MOERMAN 07 JEAN-LUC MOERMAN 06 JEAN-LUC MOERMAN 08

JEAN-LUC MOERMAN 05

分厚いパネルもゴージャス感を煽ります。

めくるめくイマジネーティブでダイナミックな空間性に、

細かいことなどどうでもいい!Σ( ̄口 ̄;)

といった感じに感性が蹂躙されていくかのような迫力です。

JEAN-LUC MOERMAN 11 JEAN-LUC MOERMAN 10 JEAN-LUC MOERMAN 13 JEAN-LUC MOERMAN 12

JEAN-LUC MOERMAN 09

金属板の作品は、パネルの作品から模様が飛び出て壁を這って移動したかのようなコミカルさと素材のソリッドな質感とのギャップが面白いです。

ギャラリーの意表を突くところに展示されていて、見つけるのも結構楽しかったり。

JEAN-LUC MOERMAN 14 JEAN-LUC MOERMAN 15

JEAN-LUC MOERMAN 16

入口右手の壁は一面が赤を下地としたヴィヴィッドな西洋現代絢爛柄壁面が展開....とう表現するとちょっと違う気もしますが、いずれにしても目を奪う強烈鮮烈なインパクトの壁面がつくり出されて、そこにはさまざまな西洋絵画のクラシックやタブロイド誌の写真などに例によってタトゥー風の柄が緻密に描き込まれていている作品が凝縮して展示されていて、ある種の痛快なグロテスク世界が繰り広げられていてこちらも意識を引き寄せられます。

そして。

巨大な立像。

ずんぐりとした白いボディに他の作品と同様に黒い線が施され、未来的なフォルムと無国籍感が充満する表面の紋様の風合いとのギャップがこれまた強烈です。

何よりこのサイズで作られているのが堪らない!

地下に入ってまさか...!と思わずに入られない、凄まじい存在感を放っています。

JEAN-LUC MOERMAN 04 JEAN-LUC MOERMAN 03

JEAN-LUC MOERMAN 01

さまざまな作品に施される線は、すべてがイマジネーションにゆだねられ、展開していくのだそう。

そういったスタンスで生み出されるのがし怒りと伝わってきて、自由で破天荒な感触がさらに痛快に気分を盛り上げてくれます。

会期終了が迫っていますが、ぜひとも実感してほしい展覧会です!

流麻二果展「融景」

ギャルリー東京ユマニテ

東京都中央区京橋2-8-18 昭和ビルB1F

4/3(木)~5/8(木)日休(会期延長)

10:30~18:30

流麻二果080403.jpg

Manika Nagare exhibition "Melting Scene"

Galerie Tokyo Humanite

2-8-18-B1F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo

4/3(Thu)-5/8(Thu) closed on Sunday

10:30-18:30

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横たわる色彩、佇むかたち。

艶かしく広がり滲んでいく抽象世界。

ギャルリー東京ユマニテでの流麻二果さんの個展です。

油彩の抽象画を中心に、過去の作品も合わせて展示されています。

流麻二果02

人の姿が根源となって発展、変化した抽象世界。

ヴィヴィッドな色彩が重なり、イメージの中で有機的に絡み合って、なんとも艶かしい世界を展開していきます。

そこに描かれるかたちは、かろうじてそれが人の姿であった(姿である)ことを連想させるのですが、その究極的な曖昧さが、さらにその妖しさを加速させ、透明感と深遠さを奏でます。

人のかたちのイメージを離れ、もっと遠くの風景のようにも感じられたり、スケール感に広がりがもたら割れるような印象も湧いてきます。

流麻二果05 流麻二果06 流麻二果07

流麻二果04

それぞれの画面での色彩の広がり方や滲み具合、さらに色彩の密度などのバリエーションが幅広く、ギャラリーの複雑なかたちのそこかしこでさまざまな奥行きや広がりがもたらされ、季節感や温度のイメージなども非常に幅広く伝わってくるような気がします。

それぞれの色がもたらすイメージは比較的そのまま素直に響き、それが僕にとって、流さんの描く絵画が抽象世界であってもその雰囲気に自然に入り込んでいけているのかもしれない、とも思えてきます。

それでいてひとつの統一感に満ちているように感じられるのも興味深いです。

一人のアーティストが紡いだ世界の説得力に満ちているような印象を覚える次第で。

流麻二果01

奥の事務所のスペースには、さまざまな小品が展示されています。

小さな画面の油彩の作品は、色合いこそ大きな画面と同様な展開がもたらされていますが、そのコンパクトさがなんともかわいらしく感じられます。

そして、実験的でもあり、この世界がフロがルとどうなっていくのだろう、というような好奇心も芽生えます。

流麻二果15 流麻二果13

流麻二果14

流さんのもうひとつのスタイルである、ペン画や糸を使った小品も数点展示されています。

流麻二果08 流麻二果09

流麻二果10

油彩と正反対の質感で、自らの心に深く入り込んでその世界を引き出してくるかのような油彩の深い世界感から一転し、ときおり写実的に描かれた人の姿を織りまぜながら、リラックスして淡々と紡ぎ上げられるような風合いです。

無論こちらのスタイルの作品にも独特の深みが奏でられていますが、このやわらかな印象が展覧会に嬉しいアクセントをもたらしているように感じられます。

流麻二果12

流麻二果11

さまざまなシチュエーション、季節感や温度など、幅広いイメージをもたらしてくれる流さんの抽象世界ですが、僕には総じて「夜」のイメージを感じます。

その曖昧な世界に佇み横たわる色彩は、眠りのイメージが滲み出ているかのような印象を受けます。

透明感が穏やかに広がる深遠な世界に心を沈み込ませ、浸るのはなんともいえない落ち着いた気持ちをもたらしてくれるような気がします。

ひたすらに静かに、しかし深く妖しく広がる世界です。

流麻二果03

奥村美佳展 ~いざない~

@ギャラリー青い風

京都府京都市左京区岡崎円勝寺町91

4/8(火)~4/20(日)月休

11:00~18:30(最終日:~17:00)

奥村美佳080408.jpg

Mika Okumura exhibition

@Gallery AOI-KAZE

91,Okazaki-enshoji-cho,Kyoto-shi,Kyoto-fu

4/8(Tue)-4/20(Sun) closed on Monday

11:00-18:30(last day:-17:00)

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やわらかな霞が漂い浮かぶ景色。

京都のギャラリー青い風での奥村美佳さんの個展に行ってきました。

枯れた深み溢れる色調、微睡むような空気感、岩絵の具で巧みに綴られる独特の滋味に満ちた風合いに更に磨きと奥行きが深化し、時間の流れが止まるかのような穏やかなイメージが心を満たしていきます。

奥村美佳003

大作から小品まで、さまざまなサイズで、さらにさまざまな主題の作品が並び、奥村さんの描く世界が豊かなバリエーションで拝見できるのがまず何より嬉しいです。

奥村美佳001

奥村さんというと、まず思い浮かぶのが独特の雰囲気をたたえた風景を描いた作品です。

その風景を紡ぎ出している色彩は渋味、深みをたたえ、淡々とした時間の流れを感じさせつつ、それでいて凛と落ち着いた佇まいで観るものをやわらかく包み込んでくれます。

奥村美佳007 奥村美佳006

奥村美佳005

一方で、静謐感が緩やかににじみ出るような静物などをモチーフにした作品も。

いつもと異なる距離感や縮尺でが取り上げられ、ちょっと違うテイストの作風もあって、興味深く感じられます。

奥村美佳004 奥村美佳002

奥村美佳008

今奥村さんのさまざまな作品を拝見して、奥村さんはその風景そのものを描くというより、風景を描くことでそこにある「風」を描く、あるいは「気」を描く...そんな印象が新たに心の中に浮かんできます。

本来触れられないもの、雰囲気...そこにあるさまざまなものが放つ風合いというか、心や魂を、そのかたちを借りて現しているかのような、そんな印象です。

加えて、静かに、しかし大胆に織り込まれる矩形のモチーフも健在で、その未来都市的な感触がまた不思議な風合いを醸し出しています。むしろかたちとしてはくっきりと表現されているはずなのに、そのイメージはより曖昧に、その空気に混ざって霞むようにして、静かに空間をひたひたと満たしていきます。

清廉で凛としていて、懐かしいような風合いもあって、なのにどこか未来的な退廃感もあって。

そういうさまざまな想いが観るものの記憶と絵の中の雰囲気とを行き交い、それぞれの関係性を導き出して、静かに物語を紡いでいくような印象。

ここから生まれ、始まり、紡がれていく、ひとりひとりのさまざまな物語にも思いを馳せたい...そんな気持ちも過ります。

落ち着いた静けさが、心を凪の落ち着きへと導いてくれる展覧会です。

奥村美佳009

中西信洋展 Halation

ノマル・プロジェクトスペース キューブ&ロフト

大阪府大阪市城東区永田3-5-22

3/22(土)~4/19(土)日祝休

11:00~19:00(土:13:00~)

中西信洋080322.jpg

Nobuhiro Nakanishi exhibition "Halation"

nomart project space cube & loft

3-5-22,Nagata,Joto-ku,Osaka-shi,Osaka-fu

3/22(Sat)-4/19(Sat) closed on Sunday and national holiday

11:00-19:00(Sat:13:00-)

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揺らめく緻密な集積。

ノマル・プロジェクトスペース キューブ&ロフトでの中西信洋さんの個展に行ってきました。

中西さんの作品は、昨年の六本木クロッシングでの無数のフィルムが重ねられたインスタレーションと、今年のVOCA展でいちばん最後のコーナーに展示された鉛筆によるドローイングを拝見し、そこに提示された時間のイメージや不思議な光景の感覚が印象に残っていることと、このふたつの異なるテクスチャーのクリエイションが同じアーティストによるものであることがたいへん興味深く感じられたのですが、今回の個展では、鉛筆によるラインで紡ぎ出されるドローイングを中心に、映像作品によるインスタレーションも合わせて展示され、ふたつの異なる手法により、ユニークな時間と空間のイメージがていねいに提示されています。

手前のキューブで展開されているウォールペインティング。

囲む四方の白い壁全面に鉛筆による線が描き上げられ、閉じた空間で体感する線の集積。

ある瞬間に閉じ込められたかのようなイメージに支配されたような...。

さまざまな風景の影のようにやわらかく繊細に迫り、爽やかな静謐感に包まれる感覚が印象に残ります。

奥の広いスペースでは、大判の紙に描かれたドローイングの連作が展示されています。

中西信洋05

キューブでのひとつの空間としての展開とは異なり、異なる画面での展開を列ねて展示されることで、隣り合う画面で展開される光景の関係性や、さらにもっとダイナミックに、全体をひとつの流れとしてなど、さまざまな角度での想像が惹起されます。

中西信洋12 中西信洋08 中西信洋07

それぞれの画面に、鉛筆の縦の線で紡がれる光景がさまざまな表情を見せています。

ときに膨らむような丸みを帯びたり、ときに鋭く縦横へと伸びていたり。

緻密な線の集積で表現されるいろんなフォルムは、揺らぐ水面、あるいは水泡のようなイメージを抱かせてくれたり、または光を想像させてくれたりと、線自体のくっきりとした質感とは裏腹に、曖昧で揺らめくようなイメージを提供してくれているのもユニークに感じられます。

中西信洋11 中西信洋10 中西信洋09

中西信洋06

ミーティングルームには、小さめの画面でのドローイングの連作が展示されています。

こちらは壁一面に縦横に並べて展示され、異なる関係性を提示してように思えて、その差もまた興味深く感じられます。

さらに、こちらではもっと具体的な何かのシルエットを想像させるかたちも織り込まれ、さらにバリエーションに富んだイメージの創出を促してくれます。

中西信洋02 中西信洋03

中西信洋01

もうひとつのロフトは暗室で、ちょっと数を正確に覚えていないのですが、6台か7台のモニターで映像インスタレーションが繰り広げられ、コンセプト的には六本木クロッシングでのレイヤーの作品と通ずるものを感じます。

ロウソクの炎、交差点、割れる目玉焼きの黄味など、さまざまなシーンが、6台のモニターで同様のシーンを等間隔のディレイがかけられて上映され、その向かいの1台で、そのすべてが重ねられてひとつの映像として同時に上映されている、というもので、音声も合わせて繰り出される正確名リズムが不思議な時間の経過を体験させてくれます。

なかでも、目玉焼きの黄味の映像の独特の色調には相当なインパクトを感じた次第です。濃厚な黄色が緩やかに滲み、画面を侵食していく様子は相当に奇妙で。

このふたつの異なる手法で提示される時間の集積はそれぞれに興味深く感じらます。

思い返すと、鉛筆によるドローイングはひとつの画面、もしくは空間から得られるイメージは「瞬間」で、それが実に膨大な時間の集積によって紡ぎだされていることを考えあわせると、そのギャップに感じ入らざるを得ないような思いが広がります。

情景のイメージがあって、それがすべてシンプルな線によって表現され、線のひとつひとつは至近で眺めるとフリーハンドらしい「揺れ」がなんともいえない風合いを醸し出していますが、それらがあの数量の集積となると、壮大なイメージを提供してくれるところに、凄みを感じます。

また、組作品というアプローチによって、「瞬間」同士が複雑に関係しあい、時間の帯を構築していることも面白く感じられます。

一方で映像作品は、今度はさらに高次元へと踏み込んだかのようなアプローチに斬新さを覚えた次第です。

中西信洋04

《4/10》

馬場恵展 "moments"

art gallery closet

東京都港区西麻布2-11-10 霞町ビル3F

4/10(木)~4/29(火)水休・日曜予約のみ

12:00~18:30(土祝:11:00~)

馬場恵080410.jpg

ぱっと膨らむような色調のペインティングと版画作品が展示されています。

ペインティング作品は、大きめの画面での展開で、花などの植物の姿がモチーフとして取り込まれ、ヴィヴィッドな色調が鮮やかで、同時にふわりとしたやわらかな感触も感じさせてくれます。

馬場恵03 馬場恵02

馬場恵01

版画作品は、「刷る」という行為が入ることもあってか、すこし落ち着いた印象を受けます。

馬場恵04

ちいさい画面で繰り広げられるシリーズ作品は、一転してモノトーンでの展開。

花などの有機的なかたちと線の緻密さ、細やかさとがバリエーションに富んだ構図で繰り広げられ、リズミカルな風合いが楽しく感じられます。

馬場恵07 馬場恵06

馬場恵05

《4/11》

池松江美(a.k.a.辛酸なめ子)展 セレブ犯罪トリップ

無人島プロダクション

東京都杉並区高円寺南3-58-15 平間ビル3F

4/11(金)~5/31(土)祝休

13:00~20:00

池松江美080411.jpg

思わず「こうキタか!」と唸ってしまう、アナログでシュールな世界。

展示タイトル通りにセレブで犯罪でトリップな写真、と説明してしまうと

あまりにもそのまんまやないかぁぁぁ!Σ( ̄口 ̄;)

てな感じなわけですが、一般市民に伸びる魔の手の危うい感じやATMにかざされるバールなどが醸し出す狂気など、かなりのインパクトで、いろいろ考えさせられる...ってもとい、かなりシュールな笑いが込み上げてきます。

そのなかで1点、車のウィンドウに映り込む顔がすんごくコワ~。

正木隆「Requiem 2」

Gallery Jin Projects/JinJin

東京都台東区谷中2-5-22 山岡ビル1F

3/27(木)~4/12(土)月火休

12:00~19:00(最終日:~17:00)

正木さんの作品を拝見したのは今回がはじめて。

それまで画像などで拝見していて、その限りではもっとグラフィカルな作風をイメージしていて、それが実際に作品を前にすると、筆の運びの痕跡が生々しい、ペインティングとしての力強さに強烈なインパクトを感じました。

おろらく深い青の上から塗り込まれた黒を背景に、白で描き出されるビル群のシルエットはぐねぐねと歪み、突き刺さるような重々しさで画面にその姿を殺伐と晒しています。その力強さに圧倒されてしまいます。

洗練された重厚感とは一線を画す、ダークな衝動が封じ込められたかのような重々しさが強く印象に残る作風です。

そういった「もの」としての凄みを醸し出すキャンバスに油彩のペインティング作品が、ホワイトキューブで白熱灯に照らし出されてその表情を生々しく晒し、ぐんぐんと絵の世界に呑み込まれいくかのような錯覚も沸き上がってきます。一度眺めはじめると、すぐには動けないほどの説得力が心を掴みます。

ご本人はすでに他界されているのですが、僕と同い年ということもあり、生前にお会いしてみたかったなぁ、できることなら生きていてほしかったなぁ...この続きを観てみたかったなぁ...などなどと、強く思った次第です。

奥原しんこ「眠る人」

SCAI THE BATHHOUSE

東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡

4/11(金)~5/17(土)日月祝休

12:00~19:00

奥原しんこ080411.jpg

面白い!

大きな画面でのダイナミックな奥行きが痛快、実際の風景とはおそらく異なるヴィヴィッドな色調に描き上げられた街角などの風景に、ひとり横たわる女性が登場していて、そのストーリー感覚も痛快な作品が並びます。

そして、壁一面で展開されるインスタレーションのインパクトも強烈です。

津上みゆき展

SPACE355

東京都中央区東日本橋3-5-5 矢部ビル1F

4/11(金)~5/10(土)日祝休

11:00~19:00

津上みゆき080411.jpg

スパイラルホールでも個展を開催中の津上みゆきさん、こちらはさまざまなサイズのペインティングがバリエーション豊かに並んでいます。

抽象的に表現されたひとつひとつの風景、さまざまな縮尺や広がりを感じさせてくれる色やかたちの美しさや時間の流れのイメージに酔いしれる心地よさ。もっと深い感情を膨らませてくれるような感じです。

Aurora

IID GALLERY

東京都世田谷区池尻2-4-5 IID 世田谷ものづくり学校1F

4/11(金)~5/11(日)月休(祝日の場合開廊、翌日休)

11:00~17:00

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塩川いづみさん、のりたけさん、服部あさ美さん、HIMAAさんの4名のドローイング作品がフィーチャーされたユニークな展覧会です。

究極的にシンプルな絵が空間を覆い、なんとも不思議なファンタジーを奏でています。

《4/12》

松井沙都子 ドローイング展

CAFE BRANCH

京都市中京区丸太町通小川西入ル ITPクリエイターズビル2F

3/31(火)~4/12(土)日祝休

11:00~21:00(最終日:~17:00)

松井沙都子080331.jpg

すらりとしたケレン味のない線で描き出される不思議な世界。

さまざまなモチーフが絡み合い、ひとつの形態をつくり出していて、それぞれの線の弧の迷いのなさとモチーフの奇妙さとのギャップがユニークさを作り上げています。

プラスチックのパネルの破片を使った作品は、ドローイングの鋭さとは異なる不思議な味わいを醸し出していたのも印象的でした。

―パチモン― 上田順平

imura art gallery

京都府京都市左京区丸太町通川端東入ル東丸太町31

4/9(水)~5/2(金)日祝休

10:00~18:30

上田順平080409.jpg

先日まで開催されていた本年のTARO賞で、敏子賞を受賞した上田順平さんの個展です。

そのときに出品されていた作品も出品され、あらためて拝見できたのがホントに嬉しかったです。

陶芸で表現されるユーモアの独特の深みといったら。。。

奥村美佳展 ~いざない~

@ギャラリー青い風

京都府京都市左京区岡崎円勝寺町91

4/8(火)~4/20(日)月休

11:00~18:30(最終日:~17:00)

奥村美佳080408.jpg

これまでも佐藤美術館やギャラリー和田で拝見している奥村美佳さんの個展。

霧がかかったような独特のテクスチャーとおだやかで落ち着いた色彩感、すうっと心の中に染み入っていくような不思議な透明感を奏でる日本画。その雰囲気によりいっそうの深みが感じられます。

山口和也 -TRACES-

アートスペース虹

京都府京都市東山区三条通神宮道東入3丁目東町247

4/8(火)~4/20(日)月休

11:00~19:00(最終日:~18:00)

山口和也080408.jpg

コンパクトなスペースに整然と、モノクロームの抽象世界が凝縮されています。

アルミニウムのプレートを支持体とした版画の作品、アルミの鈍くも明るい金属的な光沢がその独特の風合いを引き立てます。

山口和也02

山口和也01

黒いパネルの組み作品は圧巻です。

画面を這う線の立体感のインパクト。

山口和也05 山口和也04

山口和也03

山口さんの作品はこの展示で始めて拝見しましたが、今回の展覧会は通り沿いの路面がガラス張りのスペースで、おそらく伺う時間によってその表情や雰囲気も劇的に変わるかも、などと想像したり。

もっと閉じた空間でも拝見してみたいです。

山口和也06

中西信洋展 Halation

ノマル・プロジェクトスペース キューブ&ロフト

大阪府大阪市城東区永田3-5-22

3/22(土)~4/19(土)日祝休

11:00~19:00(土:13:00~)

中西信洋080322.jpg

昨年の六本木クロッシングでの無数に重なるフィルムの作品と、本年のVOCA展で順路の一番最後の展示されていた鉛筆による線の集積が水面の揺らめきを想像させてくれた作品が印象的だった中西信洋さんの個展です。

3つの空間でそれぞれ鉛筆画の展開、暗いロフトでの映像と、それぞれで独特の光景やイメージが提示されていて、そこに提示される時間のイメージに理知的な深みを感じます。

生川晴子 野と薮

白土舎

愛知県名古屋市中区錦1-20-12 伏見ビル地階

4/12(土)~5/17(木)日月祝休

11:00~19:00

生川晴子080412.jpg

今年のART@AGNESの白土舎のゲストルームで拝見した生川晴子さんのペインティングと、今回の展覧会のDMとで、シンプルで暗めの色調の作品が多いイメージを持っていたのですが、思いのほか明るい色彩感の作品が多く、加えてバリエーションに富んだ展開がなされ、意外な発見に満ちていました。

それぞれの画面から醸し出されるユーモアとシリアスのバランスにユニークさを感じます。

Junko Kido exhibition "Vostok"

GALLERY CAPTION

岐阜県岐阜市玉姓町3-12 伊藤倉庫

3/4(火)~4/12(土)日月祝休

12:00~18:30

木藤純子080304.jpg

昨年夏にギャラリー小柳での二人展で至高のインスタレーションを拝見している木藤純子さんの個展。

GALLERY CAPTIONのふたつの空間で繰り広げられているインスタレーションは、やはりこの空間で体験できて良かったと思える、その場所のかたちに深く作用した展開が印象に残ります。

まず、入口からの通路の脇のコンパクトなキューブ。

こちらは入口が暗幕で仕切られ、閉じた空間が演出されていました。

中へ入ると、明かりが煌々と灯るなか、真ん中に1本の柱がそびえ、その中央のアクリルケースに樹木の根が。

「なんだろう・・・」とその状況への問いかけを脳裏に浮かべている刹那、一転して明かりが消え、闇が広がります。

その瞬間、中央の柱を中心に広がっているようなかたちをした、光の飛沫の像が浮かび上がります。

地中に埋まっている根っこの更に下方、本来見えない場所の存在を提示しているような感じで、その深遠さとスケール感に身体ごと沈み込むような印象が体感できた次第です。

木藤純子2

メインスペースでは、ちいさな林がつくり出されていました。

人工的な閉じた空間での自然。枝々のなかをくぐるようにしてその中をうろうろと動くとなんともいえない不思議な感覚が広がっていくような。

木藤純子1

今回の展覧会タイトルの「Vostok」は南極大陸の地底湖の名称だそうで、見えないものの存在を立ち上がらせる、というイメージの象徴を現しているように感じられます。

ユニークなインスタレーションで繰り広げられる時間と空間。そこから得られる深遠なイメージが心に残ります。

昨年と今回と、木藤さんのインスタレーションを拝見し、このアーティストにもっと大きな空間が与えられたらどんな壮大な世界を見せてくれるのだろう、と想像するとワクワクしてきます。

《4/13》

いくつものいのちと響きあうものたち 千々岩修展

新宿高島屋10階美術画廊

東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-2

4/2(水)~4/15(火)

10:00~20:00(土:~20:30、最終日:~16:00)

千々岩修080402.jpg

これまでも続けて拝見している千々岩修さんの岩絵の具の抽象画。

岩絵の具の素材の美しさが充分に引き出され、揺らぐような麗らかな世界が印象的なのですが、今回の深めの色調の落ち着いて広々とした空間で、その高貴な風合いがさらに立ち上がり、凛とした雰囲気がひろがっていました。

そして、今回金箔を散らした作品があり、それが千々岩さんが描き出す世界に新たなアクセントをもたらしていたのも印象的でした。

第63回 春の院展 東京展

日本橋三越本店7階

東京都中央区日本橋室町1-4-1

4/1(火)~4/13(日)

10:00~20:00(日祝:~19:30)

毎年楽しみな院展。

ギャラリー巡りを始めたころは日本画のアーティストの展覧会を相当チェックしていたこともあって、既知の作家の出品が多いのと、新たな発見もあるので必ずチェックしているのですが、今年特に印象に残ったのは、川瀬伊人さんの、鳥の凛とした存在感が渋い鋭さを放つ深遠な世界、宍道圭さんの生の布地のベージュの色調を背景にシンプルに描き出される遠い風景とそこに佇む女性のポップなシーン、中本智絵さんの馬車などのモチーフがキュートな色彩で踊るように描かれ、遊び心を感じさせてくれる作品、染谷泰介さんがモノクロームで描き出す矩形のシルエット。

もちろん他にも拝見できて嬉しい作品もたくさんありましたが、僭越ながら生意気なことを書かせていただくと、院展に入選されるほどのアーティストの技量には疑いの余地はなく、だからこそそのスキルを活かし、もっと繊細で重厚で圧倒的で、研ぎ澄まされた世界で魅せてほしい、と思わずにはいられないのです。

ART AWARD TOKYO 2008

@行幸地下ギャラリー

東京都千代田区丸の内2-4-1 行幸通り地下

4/4(金)~5/6(火)11:00~20:00

AAT2008.jpg

昨年に続いて開催のART AWARD TOKYO、やはり面白い企画です。

関東圏以外の大学からも多くピックアップされているのがまた嬉しい!

芸大の作家の作品は学内展で印象的だったのがほぼエントリーされていて再会を喜んでいる次第ですが、新たにその素晴らしさに触れられて印象的なのが、藤本涼さんの不思議な切り口で撮られた風景の透明感、北川瑶子さんの確かな写実力で繰り広げられるシュールな重厚感を放つ油彩画。

そして、Limoconのお二人の「キューティー30分クッキング」。

そこからか!Σ( ̄口 ̄;)

そこから作るのか!Σ( ̄口 ̄;)

と、ツッコミどころ満載。

敢えて言いますが、こういうアホさは大好きです。

《4/14》

足立知美展 ―想―

ギャラリー新居 東京店

東京都中央区銀座6-4-7 いらか銀座ビル5F

4/14(月)~4/26(土)日休

11:00~19:00(土:~18:00)

足立知美080414.jpg

一度描いた絵を切って貼り、再構成する、という斬新な手法が盛り込まれたユニークな日本画。

淡い色調で、落ち着いたシーンが淡々と、しかし新鮮に綴られています。

上根拓馬展[Project of NOA]

GALERIA SOL

東京都中央区銀座6-10-10 第二蒲田ビルB1F

4/14(月)~4/19(土)

11:00~19:30(最終日:~17:00)

上根拓馬080414.jpg

前回は恵比須でマケットの展示を拝見した上根拓馬さんの、今回は「本番」とでも呼ぶべき個展です。

何より、空間にダイナミックに展示される、さまざまな動物の頭蓋骨と頚椎がずらりと並んだ舟のインスタレーションが圧巻です。

壮大なスケール感での展開に圧倒されると同時に、そのひとつひとつの作り込みにもじっと見入ってしまいます。

上根拓馬004 上根拓馬003 上根拓馬002

上根拓馬001

壁沿いに展示される小品もかっこいい!

メカニカルな部分と動物の骨の有機的な部分とが合わさり、クールな風合いを発しています。

上根拓馬009

上根拓馬010

硝子の平面の展開も独特の深みを放ち、ユニークに感じられます。

上根拓馬008

そして、ひとり、人形のオブジェが。

単純にかっこいい作品なのですが、床にひとつぽつんと置かれた感じが、この展示のメッセージ性に深みをもたらしているような印象を受けます。

上根拓馬006 上根拓馬007

上根拓馬005

長沢明展

Galeria Grafica

東京都中央区銀座6-13-4 銀座S2ビル

4/14(月)~4/26(土)日祝休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

長沢明 080414.jpg

パワフルな日本画です。

MOTアニュアルでの日本画展でもフィーチャーされたのも記憶に新しい長沢明さんの個展、モチーフの太古の壁画的な感触と素材が醸し出す有機的な風合いが、独特の世界を作り上げています。

1階の大作、2階の小品と、見応え充分です。

岩田俊彦展「I LOVE 樹液2」

なびす画廊

東京都中央区銀座1-5-2 ギンザファーストビル3F

4/14(月)~4/19(土)

11:30~19:00(最終日:~17:00)

岩田俊彦0804114.jpg

漆で展開されるグラフィカルな世界。

素材、そしてモチーフが奏でる「和」の感触も印象的です。

部分的に斑があってそれが残念ながら目に突いてしまうのですが、素材のユニークさなどもあり、精度が突き詰められたときに凄く深遠な世界を見せてくれるような気がして、今後が楽しみなクリエイションです。

服部知佳展

ギャラリー椿

東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F

4/12(土)~4/26(土)日休

11:00~18:30

服部知佳080412.jpg

1年ぶりの服部知佳さんの個展。

穏やかなグラデーションで繰り広げられる花や生物たちの油彩画、今回はまるで絵が光っているかのような、艶やかな透明感が印象に残ります。

狩野宏明展 -garden-

アートスペース羅針盤

東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル2F

4/14(月)~4/19(土)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

狩野宏明080414.jpg

こういう凄まじい描き込みの作品は、それだけで相当のインパクトを放ちます。

昨年のトーキョーワンダーウォールでひときわ印象的だった狩野宏明さんの個展です。

狩野宏明01

とにかくその情報量の多さと精度に圧倒されます!

狩野宏明05 狩野宏明04 狩野宏明03

狩野宏明02

ジャングルと、そこに置かれるベッドなどの人工物。

それらがシュールな雰囲気を作り上げ、独特な世界を醸し出しています。

狩野宏明07 狩野宏明09 狩野宏明06

狩野宏明08

観れば観るほどに新たな発見と、そこに描かれた要素同士との関係性からさまざまなイメージが生まれていきます。

そしてなにより、その複雑な構成を描き切ることへも感服する次第です。

狩野宏明10

POP=

アートフロンティア

東京都中央区新川2-7-4 矢島ビル1F

4/14(月)~4/19(土)

12:00~20:00(最終日:~17:00)

pop080414.jpg

いやもう最高!

若いアーティストのやんちゃさがめくるめく展介している、ユニークな企画。

初日はもう、祭っていうか、

お前らアホだな!(≧∇≦)

どうしようもないアホだな!(≧∇≦)

と叫ばずに入られない賑やかさ。

しかし、展示されている作品群には見どころが満載なのです。

POP=04 POP=01 POP=02

POP=03

入江明日香展

シロタ画廊

東京都中央区銀座7-10-8

4/7(月)~4/19(土)日休

11:00~19:00(最終日:~17:30)

入江明日香 080407.jpg

Asuka Irie exhibition

Gallery Shirota

7-10-8,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

4/7(Mon)-4/19(Sat) closed on Sunday

11:00-19:00(last day:-17:30)

Google Translate(to English)

さらに繊細に。

さらに艶やかに。

1年ぶり、ここ数年この季節に開催されている、シロタ画廊での入江明日香さんの個展です。

続けて拝見しているアーティストは、同じ時間を過ごしながらその過程をフォローしていくことが何よりの醍醐味なのですが、今回の入江さんの展覧会は、そんな嬉しさがいっぱいに広がっています。

入江明日香006

銅版による鮮やかに広がるグラデーションを伴った色彩や線がさらに緻密に、複雑に重なり、それらによって描かれる花や動物たちが、今までよりももっと伝わりやすいかたちで作品の中に凛とした佇まいでその姿を現し、さらに高貴な風合いを奏でているように感じられます。

入江明日香005 入江明日香002 入江明日香004 入江明日香003

入江明日香001

空間の活かされ方も印象的です。

より大胆な余白の清らかな白の広がりと、より自然にもたらされるさまざまな色調のグラデーションとが相まって、おおらかな世界をつくり出していて、その豊かな空間性が、さらに深化した密度で繰り広げられる線と色彩の凝縮が生み出す美しい混沌をぐんと引き立てています。

入江明日香010 入江明日香011

入江明日香009

また、今回出品されている作品の随所に、おそらく胡粉による白で緻密に描かれた線が登場しています。

前回の個展で発表された、背景の白の全面で繰り広げられた白い線の集積がある作品の印象は相当に強かったのですが、今度はその密度での展開によってさまざまなかたちを描き、一見して背景の白と同調して隠れ、至近で眺めたときにそこにその存在を現して、鮮やかなアクセントとなっていて、そのひとつひとつの気付きが嬉しい驚きをもたらしてくれます。

入江明日香007 入江明日香013

入江明日香008

これまで以上に鮮やかに、めくるめくような世界が繰り広げられています。

銅版による彩色が施された紙をコラージュ風に画面に配し、そこにさらにこれまでよりも細かい描き込みがなされ、繊細な美しさで紡ぎ上げられるファンタジックな風合いが印象に残ります。

緻密で鮮烈な線や色彩で描き出されるさまざまな花や動物たちは、それぞれが溌溂と生命感を発し、瑞々しく爽やかな静謐感に満たされた世界がもたらされているように思えます。

発見とフレッシュな感動に溢れている展覧会です。

入江明日香012

梅津庸一 POST GRADUATION

ARATANIURANO

東京都中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3A

3/29(土)~5/2 (金)日月祝休

11:00~19:00

梅津庸一080329.jpg

Umetsu Youichi POST GRADUATION

ARATANIURANO

2-2-5-3A,Shintomi,Chuo-ku,Tokyo

3/29(Sat)-5/2 (Fri) closed on Sunday,Monday, and national holiday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

少し前に、偶然覗いたあるブログサイトの書き込みで、アート的な面白さを「スキャンダラスである」と表現されていて、実に言い得て妙だなぁ、と感心したのですが、そのスキャンダラスな雰囲気をさまざまな角度で提示している展覧会だと思うのです。

ARATANIURANOでの梅津庸一さんの個展に行ってきました。

梅津さんの作品をはじめて拝見したのはギャラリーエスでの展示でしたが、そこでの真鍮で描く緻密で硬質なドローイングの印象が強く、その後にART@AGNESで他のスタイルの作品も拝見し、その奥深さが醸し出す妖しげな存在感に度胆を抜かされた次第で。

そして今回の個展。

さらにさまざまなクリエイションが配され、観る者の意識を揺さぶります。

梅津庸一006

バリエーションに富んだ油彩のペインティング、真鍮や鉛筆のドローイング、自身の写真などなど、さまざまなものが溢れたインスタレーション。

大作が中心に展示されたペインティングの一角では、さまざまな色彩の重なり、集積によって描き出される仄かにメランコリックな雰囲気を立ちのぼらせる情景が印象に残ります。

大胆なかたちで自身の姿も登場させ、それが相当な危うさを醸し出し、強烈なインパクトを放っています。

梅津庸一003

梅津庸一002

その反対側にはいろんなものが置かれていたり貼られていたりと、プライベートな空間の雰囲気が演出されていて、その生々しさにどこまで踏み込んでいいのかと不安や心配のような気持ちもよぎります。

梅津庸一008

梅津庸一007

個人的にすごく気になったのが、水切りのボールを描いた比較的小さな油彩の作品。

ピンク色のボールが伏せられただけの単調なモチーフながら、水切りの隙き間から覗くさまざまな色彩に、いったいこの中に何があるのだろう、何に被せられているんだろう、とさまざまな想像を惹起させてくれます。

もしかしたらものすごい危ないものがあるんじゃないか、と、おそらく周りの作品との関係性から、単に伏せられたボールを描いただけに終わらせていない存在感に呑み込まれてしまうような...。

梅津庸一001

奥のミーティングルームに展示された風景画。

狭いスペースで、梅津さんの緻密なペインティングを、パーソナルな要素に溢れた空間ととりあえずは切り離された場所でシンプルに眺められるのはありがたいような気がします。

どこかメランコリックな雰囲気も漂わせる、洋風な空気感の風景。デジャヴのような、なんとなく懐かしい気持ちが心を静かに浸していきます。

梅津庸一005

ギャラリースペースのインスタレーションに詰め込まれるさまざまなもののギャップに、観ていて視点が乱されるような印象を覚えます。

照明写真、グラビアの切り抜き、何かのプラスチック容器などもあれば、描き込みの集積といえる緻密なドローイングや尋常でない写実力を感じさせてくれる絵、逆に居眠りしながら描いたかのようなイージーな落書きのようなものもまで、さまざまなものが紛れ込んでいます。

それぞれのものを「作る」または「関る」時間の差があまりにも激しいような印象がする一方、それをあっさりひとつの空間に収めてしまっているあっけらかんとした感触もまた伝わってきます。

そして、過剰なまでにプライベートな雰囲気を立ちのぼらせつつも、実はこの雑多な感触すらコントロールされたもの、演出されたものなのでは、なんて「疑念」も浮かんできます。

そうだったとしても、まんまと意図にハマってしまった感じがまた痛快だったりもするのです。

時間性といい密度といい、あらゆる角度で揺さぶってくる「問題作」と表せるような展覧会。

おそらく、観るひとりひとりの過ごした時間がこの展覧会の印象に大きく関ってくるような気がして、その数だけの感想やイマジネーションが生み出されると思われます。

梅津庸一004

大谷有花展 -peace-

GALLERY MoMo

東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F

3/29(土)~4/26(土)日月祝休

12:00~19:00

大谷有花080329.jpg

Yuka Ohtani exhibition -peace-

GALLERY MoMo

6-2-6-2F,Roppongi,Minato-ku,Tokyo

3/29(Sat)-4/26(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

Google Translate(to English)

ぐんぐんと先へ、さらにおおらかに。

大谷有花さんのGALLERY MoMoでの個展、今年はいつもより少し早く始まりました。

昨年の個展では、それ以前の作品までに登場してきていたさまざまなおなじみのキャラクターたちが消え、ひとつ先の世界へと自らを「追い込む」ように展開していった感じが強く印象に残っています。

その未知の世界は秋の第一生命ギャラリーでの個展でパネル2枚組でダイナミックに展開される「picnic」シリーズの大作群である意味あっさり「やりきっちゃった」感があって、今度はどうなるんだろう、と楽しみでいたのですが、今回の展覧会タイトルの「peace」にふさわしく、昨年のMoMoでの個展でいちばん最後に制作された作品の淡いキミドリが全体に広がる。なんともピースフルな空間が作り上げられています。

大谷有花203

同一の大きさのキャンバスに描かれた透明感溢れるキミドリの世界。

ギャラリーに足を一歩踏み入れてこの光景に触れ、もう一歩も進まなくてもいい、それで充分に気持ちよさが心の中にいっぱいに広がるような印象です。

この淡いキミドリのなかに濃いグリーンなどの線がおおらかな軌跡を描いて舞い、風景を、そして奥行きを作り上げていくような感触がまた堪らなかったり。

大谷有花204

これまで以上に空間のおおらかさが素晴らしく爽快に伝わってきます。

いつになく、ひとつの画面の中に収められた情報量は少なくて、それがこれまでの大谷さんの作品群と圧倒的に異なっているのですが、それでも大谷さんの「オリジナルな世界」であるっていう感触は揺るがない、そして、あたらしい世界を見せてもらっている、という嬉しさが込み上げてきます。

大谷有花202

大谷さんというと、色彩、キャラクターなど、描くさまざまな要素に対してひとつひとつそれが何を象徴しているかを具体的にご自身で説明・分析できるところがユニークに感じられて興味深いのですが、前回、そして今回と、それまでとは異なり、描いているものがいったい何なのか、手探りの状態で描いているような印象を受けます。

もちろん、そこには感覚的な「確信」の存在を感じます。

今見えてないものを見に行こう、というご自身のインスピレーションへの好奇心に急かされているような痛快さが堪らなく頼もしく思え、それがこんなに清々しい景色を生み出していることに、続けて拝見している者にとして、素直に嬉しさが沸き上がってきます。

ちょっと違う話題ですが、ちょっとジャズに詳しい人だと、「peace」といえば二人のジャズジャイアンツの曲がすぐに脳裏に思い浮かびます。

そのうち、ホレス・シルバーのほうを思い浮かべて、普段はコッテコテのコブシが効きまくった曲を書くオヤジが書いた「peace」というタイトルの曲が、実に静かで、淡々とした美しさが繰り広げられていて、そのギャップは感動的ですらあるのですが、これまでのいろんなキャラクターで物語を紡いできた大谷さんのクリエイションがこのタイトルでこんなに静謐な世界を見せてくれたことに、ホレス・シルバーの珠玉のバラードとなんとなく共通のイメージを感じて、なんだかウキウキとした気分も広がった次第です。

さて次はどこへ連れていってくれるのだろう・・・!

大谷有花203

杉山尚子展 Eklipse-Ellipse

Wada Fine Arts

東京都中央区築地3-2-5 第2平和田ビル

3/25(火)~4/18(金)日月祝休

11:00~19:00

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Hisako Sugiyama exhibition Eklipse-Ellipse

WADA FINE ARTS

3-2-5,Tsukiji,Chuo-ku,Tokyo

3/25(Tue)-4/18(Fri) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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幾何学的な造形が醸し出す知的な雰囲気と動的なイメージ。

Wada Fine Artsでの杉山尚子さんの個展です。

枠の内側に配されたステンレスのスティック。そのシンプルな構成が、さまざまなイメージの創出を促します。

杉山尚子12

カラフルで、かつ落ち着いたトーンで染め上げられた枠が奏でる知性。

くっきりと塗り分けられ、そこから真直ぐに伸びるステンレスのラインと相まって、硬質な雰囲気を感じさせ、そのさっぱりとした風合いが心地よく思えます。

杉山尚子04 杉山尚子03 杉山尚子02

杉山尚子01

等間隔で並ぶステンレスのスティックのラインが放つ動的なイメージも印象的です。

すべてが水平方向に走り、そこから感じられるスピード感溢れる横の動きと、1本1本の尖端の軌跡が今回の展覧会のタイトルにも含まれる楕円を生み出し、おおらかなイメージが創出されます。

このふたつの幾何学的な動線がかかわり合ってより複雑な世界を作り上げているような印象を覚えます。

杉山尚子09 杉山尚子08 杉山尚子07

杉山尚子06

作品によって、スティックの尖端の仕上げが異なっているのも面白い要素となっています。

至近で眺めたときに、尖端が丸い面となっているものと、カットされた跡がそのまま採用されたような尖ったものとでステンレスのラインが感じさせてくれるスピード感に差が感じられ、後者のさらに加速する感触、そして前者のより理知的な、瞬間を収めたような印象と、それぞれがユニークなイメージをもたらしてくれます。

杉山尚子10

杉山尚子11

床に置かれた立体の作品、壁掛けの平面構成の作品と、シンプルながらもそのユニークなアプローチを用いてそれぞれの作品の中で3次元的な展開がなされているところも興味深く感じられます。

今回出品された作品はステンレスの感覚にゆとりがあり、その感覚が計算され尽くされた作品の理知的な感覚の中に「和み」をもたらしているように感じられるのですが、もっと高密度のステンレスが収められた作品もぜひ観てみたいです。

杉山尚子05

《4/3》

アートフェア東京2008

東京国際フォーラム・展示ホール1

東京都千代田区丸の内3-5-1

4/4(金)11:00~21:00

4/5(土)11:00~20:00

4/6(日)11:00~17:00

内覧会へ。

ほぼ挨拶巡りで終了。

改めて伺う予定も、根性が足りずに再訪ならず。orz

"Who's Next" アート界のイチロー探し

MUSEUM at TAMADA PROJECTS

東京都中央区月島1-14-7 旭倉庫2F

4/3(木)~4/25(金)月休

12:00~19:00

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平面からインスタレーションまで、さまざまなスタイルのクリエイションが揃った展覧会です。

松宮硝子さんの繊細なガラスのインスタレーションのコーナーや、いちばん奥のペインティングが揃った空間など、見応えのあるスペースの連続で、新たな発見にも満ちています。

《4/4》

カン・アイラン One Life,Some Books

CLEAR GALLERY

東京都渋谷区渋谷4-2-5 Place Aoyama

4/4(金)~ 5/31(土)日月祝休

11:00~19:00

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美しいです。

光る本のインスタレーション、さまざまな光を放つ本がギャラリーのなかに設置された棚の上のそこかしこに並び、ファンタジックな空間が繰り広げられています。

奥の白い部屋もまた、素敵なアクセント。

永岡大輔「曖昧な庭」

hpgrp GALLERY 東京

東京都渋谷区神宮前5-2-11 H.P.DECO 3F

4/3(木)~5/6(火)

11:00~20:00

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ひたすら描く、その集積は圧巻です。

今回はおなじみの映像作品こそ展示されていないものの、ペンと鉛筆によるモノクロームの世界が緻密に紡ぎ出され、ぐんぐんと意識を引き込んでいく展覧会です。

JEAN-LUC MOERMAN

nca|nichido contemporary art

東京都中央区八丁堀4-3-3 ダヴィンチ京橋B1

4/4(金)~4/26(土)日月祝休

11:00~19:00

JEAN-LUC MOERMAN080404.jpg

!Σ( ̄口 ̄;)

ガンダムか!Σ( ̄口 ̄;)

いやガンダムではもちろんないのですが、すごい!

とにかく観たほうがいい!

山本修路 松景 其ノ貳

ラディウム-レントゲンヴェルケ

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17

4/3(木)~4/26(土)日月祝休

11:00~19:00

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レントゲンきってのドメスティックなアーティスト、山本修路さん。

今回はパネルの作品が中心に出品され、これまでのスタイルを踏襲しつつ、ぐんとスケール感を増し、壮大な世界が繰り広げられています。

《4/5》

道草 堀由樹子

GALLERY千空間

東京都渋谷区代々木1-28-1

3/14(金)~4/8(火)水木休

11:00~19:00

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もりもりとした油絵の具のテクスチャーとぬくもりを感じる色調での展開が印象的です。

牧歌的な風合いで、のんびりとした風景を思わせるシーンがおおらかに描かれているのが印象に残ります。

橋村至星 NEAR FUTURE

九美堂ギャラリー

東京都港区西麻布1-3-21-1F

4/2(水)~4/12(土)日月火休

12:00~19:00

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メカニカルなモチーフでシュールな場面を描かれた作品のインパクトが堪らないです!

床に落ちて崩れてしまったようなケーキを眺めてよだれをたらすアイボの、つるりとしているのに妙に表情があるように感じられる顔がなんだか笑えたり。

C-DEPOT solo project 安立喬展

ギャラリー金輪

東京都港区西麻布1-2-12-E-101

4/4(金)~4/14(月)

10:00~18:00(最終日:~17:00)

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長きにわたってチェックし続けているC-DEPOTのさまざまなクリエイションのなかにあって、その謎めいた雰囲気が忘れられない安立喬さん。

多くのC-DEPOTの作品がキャッチーな要素を少なからず持っているのに対し、ひとり無機的な世界を訥々と奏でていて、「なんだろう...」と、作品と対峙して自問自答を繰り返してしまいます。

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安立喬001

シンプルな構図は、平面的にも、どこかの光景をそういうふうに切り取ったようにも感じられます。

と同時に、画面に残る無数の細かいスクラッチ痕がさまざまな方向へと走り、ときに円を描いたりしながら、ミニマムな動線を作り上げ、不思議な展開をもたらしています。

安立喬008 安立喬006 安立喬007

安立喬005

ハシゴ型の木彫の作品も数点出品されています。

こちらもまた、何かを問いかけているかのような、哲学的な雰囲気を漂わせます。

残念ながら今回も安立さんとお目にかかれなかったのですが、機会があればいろいろとお話を伺ってみたいです。

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安立喬003

喜多順子 "The Way Home"

TAKE NINAGAWA

東京都港区東麻布2-12-4 信栄ビル1F

3/22(土)~4/26(土)日月祝休

11:00~19:00

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新丸ビルでのNEW TOKYO CONTEEMPORARIESで、いちばんの発見だったのが、通路の端に展示されていた喜多順子さんの作品でした。

TAKE NINAGAWAでの個展は初日にも伺ってはいたものの、その時点ではピンと来ず、自分の中でいろいろと思いを馳せていたのですが、あの空間の茶色い壁に生のキャンバスのままのドローイング風の作品が直に展示され、それが描かれる世界に広がりをもたらして、さまざまな光景が脳裏をよぎる感覚が堪らなく心地よく感じられた次第で。

あらためて個展に伺ってチェックしてみて、異なる風景をひとつの画面に収め、一見とある風景を描いたドローイング風の絵画でありながら実は非現実的な世界が繰り広げられているのですが、そこに描かれるシーン同士の境界は曖昧で、切れ端風の布地に描かれることで壁と布との境界も曖昧に感じられ、描かれていない見えない部分で本来違う場所の風景が脳内で混ざりあう感覚に面白味を感じました。

瀬山智子 ワタシ ハタチ モンゴロイド

GALLERY TERRA TOKYO

東京都港区麻布台2-3-5 NOAビル1F

4/1(火)~4/26(土)日祝休

10:00~19:00

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クリクリのペインティングがなんとも楽しい!

けっこうシュールな雰囲気も漂わせつつ、ぱっと明るい色調がキャッチーな風合いを発散していて痛快です。

伊藤雅史“移動マッサージin ART FAIR GINZA”

彩鳳堂画廊

東京都中央区銀座6-7-7 第3岩月ビル3F

3/25(火)~4/12(土)

10:00~19:00

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落ち着いた空間で、やっぱり落ち着かないめくるめく世界。

・・・と思いきや、今回は深い色調がいくぶんか影を潜め、明るい色彩でいつものケレン味のない世界が展開しています。

無論、モリモリとしたテクスチャーは健在!

岡本東子展

ぎゃらりぃ朋

東京都中央区銀座1-5-1 第三太陽ビル2F

4/4(金)~4/12(土)日休

12:00~19:00

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先日のギャラリー銀座フォレストでの打越月見さんとの二人展に続いて開催されている、岡本東子さんの個展です。

まず、正面の大作、描かれる女性が仄かに放つ色香に見愡れます。

女性の白い肌と、黒い着物に施される模様の緻密さ、鮮やかさ。陰るような背景に物憂げに佇むその姿が実に美しいです。

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岡本東子001

ひとつひとつの作品での細やかな表現に、画面に顔を近付けて見入ってしまいます。

岡本東子006

岡本東子007

黒い小品も魅力的です。

花、小鳥が、黒の背景に映え、小粒ながらも力強い風合いを奏でています。

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岡本東子008

どこかレトロな雰囲気を漂わせながら、ひとつひとつのしっとりとした雰囲気が印象に残ります。

日本画らしいていねいな表現で、奥ゆかしく奥深い雰囲気が紡ぎ出されています。

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流麻二果展「融景」

ギャルリー東京ユマニテ

東京都中央区京橋2-8-18 昭和ビルB1F

4/3(木)~4/26(土)日休

10:30~18:30

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人の姿にイマジネーションの根源をおいた抽象絵画がずらりと並んでいます。

斬新な配色が醸し出す妖しげなインパクトが、観るもののイメージをうねらせ、ずらし、歪み広げていくような印象で、その違和感が妙に堪らない感じです。

奥のスペースに展示された、流さんのもうひとつの世界でもある糸の作品も展示され、そのかわいらしさもこの展覧会の大きな魅力となっているような気がします。

五木田智央

Taka Ishii Gallery

東京都江東区清澄1-3-2-5F

4/1(火)~4/26(土)日月祝休

12:00~19:00

五木田智央080401.jpg

モノクロームで静かに、しかし熱く構築されるさまざまな場面、光景。

絵の具の筆の運びが生み出すうねりが絶妙の陰影を奏で、艶かしく、同時に未来的な重厚感を醸し出しています。ずっと浸っていたい世界です。

福永大介 Local Emotion

TOMIO KOYAMA GALLERY

東京都江東区清澄1-3-2-7F

4/5(土)~4/26 (土)日月祝休

12:00~19:00

福永大介080405.jpg

前回の6階の展示スペースから7階へと移り、たっぷりとした空間に、大作が堂々と展示されています。

また、前回はダークな色調の印賞が強かったのですが、今回はさまざまな色彩に溢れています。

ただ、一度拝見した段階では今一つ福永さんの世界に入っていけず...。6Fの津田久美恵さんの展示と合わせ、もう一度時間を作ってしっかりと拝見してきたいと思います。

《4/6》

「第11回岡本太郎現代芸術賞」展

川崎市岡本太郎美術館

神奈川県川崎市多摩区枡形7-1-5

2/9(土)~4/6(日)月休(祝日は開館、翌日休)

9:30~17:00

TARO賞080209.jpg

最終日になんとか滑り込みで。

岡本太郎賞は「なんでもありのVOCA展」みたいなイメージでいるのですが、今年もシンプルな平面作品からさまざまな素材を用いた立体、インスタレーション、インタラクティブな作品などなど、ずいぶんとまあ幅広いクリエイションが並んでいました。

昨年、トーキョーワンダーサイト本郷での個展で拝見した勝正光さんの「富士山の天辺」。床に置かれた大きな鉛筆画なのですが、先の個展で拝見したときよりも閉じたコンパクトな空間で展示され、その臨場感が増して感じられました。この作品の面白さが引き出されていていて、再びチェックできて嬉しい限り。

neutronでの個展を拝見し、青い空の写真の集積が澄んだ美しさと未来的な透明感をもたらしていたヤマガミユキヒロさん。こちらでは都市の情景を描いた大きな画面に、そこを行き交う車などの映像が重ねられ、また違ったテイストのフューチャリスティックな作品。スピード感やスケール感が素晴らしかったです。

青木美歌さんのガラスのインスタレーションもこの上ない美しさ。植物を連想させる瑞々しいフォルムのガラスのオブジェが閉じた空間に吊るされたプレートに配され、虚空に浮かぶように展示されて、ガラスの繊細さも相まって実にファンタジックな光景が広がっていました。

国谷隆志さんのインタラクティブな砂時計みたいな作品での時間と行為の提示のユニークさ、塩津淳司さんの壮大なスケールのフューチャリスティックなインスタレーション、もりもりとした線で戦時中の様子を臨場感たっぷりに描く後藤靖香さんの大作、金子良さんのツッコミどころ満載「のびアニキ」の

誰か止めろぉぉぉ!!!Σ( ̄口 ̄;)

てか

そこに居んのかおまえぇぇぇ!!!Σ( ̄口 ̄;)

的なインスタレーション、

上田順平さんのオブジェ、そして太郎賞受賞のKOSUGE 1-16のインタラクティブな自転車の作品は残念ながら実演を見ることができず「いったいどうなってるんだろう」と思ったり...など、など、など。

それぞれのアーティストの展開と、来年の岡本太郎賞も楽しみです。

大巻伸嗣 ECHOES - INFINITY,Cherry Orchard

BALS TOKYO NAKAMEGURO 2F unwrap

東京都目黒区中目黒1-10-21 BALS STORE 2F

3/14(金)~4/7(月)

11:00~21:00

大巻伸嗣080314.jpg

こちらも最終日直前に滑り込みで鑑賞。

ユニークなかたちの家具が配置された空間に、幹が伸び、花が咲く...。

さまざまな色彩の桜の花は、ところどころ踏まれるなどしてかたちを崩してしまってたるのですが、その儚さ、花のかたちを失ったときに残る顔料の粉末の素材の存在感など、それはそれで深遠なメッセージが含まれているような印象も受けます。

こんな「花見」も悪くないなぁ、と。

《4/8》

居城純子

第一生命南ギャラリー

東京都千代田区有楽町1-13-1

4/8(火)~5/9(金)土日祝休

12:00~18:00

昨年の大阪での個展も印象に残っている居城純子さん。

今回は、過去の作品も含めつつ、夜を思わせる作品群からアバンギャルドなテイストを激しく残す作品など、バラエティに富んだ展示が繰り広げられています。

art-life+vol.10 津上みゆき展「24 seasons-つづるけしき、こころつづく」

スパイラルガーデン

東京都港区南青山5-6-23

4/8(火)~4/20(日)

11:00~20:00

津上みゆき080408.jpg

ずらりと並ぶ24点の風景。

さまざまな色調と密度で、抽象的な色彩がその季節のイメージを押し拡げてくれます。

連なる画面に時間の流れも感じながら、めくるめく色彩に浸る心地よさ。

《4/9》

高松和樹展 距離感主義

GALLERY b.TOKYO

東京都中央区京橋3-5-4 第1吉井ビルB1

4/7(月)~4/12(土)

11:00~19:00(金:~21:00、最終日:~17:00)

高松和樹080407A.jpg 高松和樹080407B.jpg

ひとり二役。

高松和樹さんの個展です。

まず、入口からは、さまざまなモチーフが登場し、めくるめく展開をもたらすスピード感溢れる作品が。

高松和樹013

出力とペインティングとを取り入れ、それぞれの良さを活かして、実にスケール感の大きい、それでいて緻密な世界が構築されています。

大作の壮大さは圧巻です。

高松和樹018 高松和樹016 高松和樹017 高松和樹015

高松和樹014

3面の壁ではモノクロームの作品が展示されています。

こちらもプリントが取り入れられていてエディション作品もあるのですが、制作過程を伺うと圧倒的に「手描き」の要素が多く、出力のテイストが実にうまく活かされて、より精度が増し、さらに緻密なグラデーションが未来的なイメージを加速させてくれます。

高松和樹012高松和樹009 高松和樹011 高松和樹010

高松和樹008

オールペインティングの作品も。

大きな画面の作品はペインティングのみで制作されているとのことです。

高松和樹004 高松和樹002 高松和樹003

高松和樹001

線の面白さ、距離を基本としてつくり出されるモノクロームのグラデーション、ふたつのスタイルそれぞれが実にユニークで、見応えのある展覧会です。

高松和樹006 高松和樹007

高松和樹005

入江明日香展

シロタ画廊

東京都中央区銀座7-10-8

4/7(月)~4/19(土)日休

11:00~19:00(最終日:~17:30)

入江明日香 080407.jpg

すごくいいです。

銅版による鮮やかな色彩が麗らかさを増し、いっそうの絢爛の世界を紡ぎ上げています。

そして、緻密に描かれる部分はより緻密に。

これまでの妖しげな風合いはそのままに、織り込まれる動物や花がよりその姿をはっきりと現しているのも印象的です。

富士登山/南条嘉毅

YUKARI ART CONTEMPORARY

東京都目黒区鷹番2-5-2 市川ヴィラ1階

3/22(土)~4/26(土)日月火休

11:00~19:00(土:~20:00)

南条嘉毅080322.jpg

"FUJI TOZAN -climbing Mt.Fuji-" by Yoshitaka Nanjo

YUKARI ART CONTEMPORARY

2-5-2-1F,Takaban,Meguro-ku,Tokyo

3/22(Sat)-4/26(Sat) closed on Sunday,Monday and Tuesday

12:00-20:00

Google Translate(to English)

古くから主題として多くの作品に登場する、富士山。

それを、「そう来るか!」といったアプローチで斬新に表現。

YUKARI ART CONTEMPORARYでの南条嘉毅さんの個展です。

まず、大地に横たわる富士山の凛としておおらかな全姿から。

南条嘉毅109

例によって、その場所の「土」を採取し、それが作品に用いられています。

支持体に塗布される「白」の清潔感、洗練とした感触と、土の素材感とのコントラストの鮮やかさは今回も健在です。

その富士山を、全体像ではなく、実際に登って目にできる光景が描かれています、

普段、「富士山の絵」といって想像するのは冒頭のような全体を描いた勇姿だと思うのですが、今回の南条さんの個展では、冒頭の作品を除いたすべてが富士山「で」見る光景が描かれた作品が並んでいます。

もっとも大きな作品は、火口がモチーフ。

火口を挟んだ向こう側にきちんと観測所が描かれていたり、万年雪もあったりと、リアルさを失うことなく、そこから見えるさまざまなイメージもていねいに再現され、そしてときに独特なテクスチャーを放ちながらダイナミックな光景を緻密かつ壮大に表現しています。

南条嘉毅102 南条嘉毅104 南条嘉毅103

南条嘉毅101

こういう視点の富士山の絵ってあったかな、と思い返してみると、改めて新鮮な印象を覚える次第です。

南条嘉毅108

奥の展示室では、浅間大社を描いた作品が展示されています。

こちらも同様に土が用いられ、実際の景色から引き出されるシルエットが絶妙のバランスで画面に収められ、不思議な深遠さ、静けさを醸し出しています。

南条嘉毅106 南条嘉毅107

南条嘉毅105

さまざまな角度や縮尺で浅間大社が描かれています。

いちばんちいさな画面の作品が、実はもっとも「引き」の光景であったりと、その風景の切り取り方、画面への収め方からおおらかなユーモアも感じられます。

南条嘉毅111

これまで拝見した南条さんの作品にも、そのときの展示テーマの場所の土が画面に塗布されていたのですが、そういうことも踏まえ、今回の「日本」を代表するような主題が取り上げられたことで、南条さんが実にドメスティックなアーティストなのだなぁ、と感じた次第です。

独自のアイデンティティの折り込み方はシュールといってもいいくらいにユニークで、日本の絵画の系列に名を列ねるような要素も持ちつつ、現代的、未来的な雰囲気もしっかりと感じさせてくれることがたいへん興味深いです。

見たこともない新鮮さをもった富士山の絵。

僕は富士山に登ったことも、富士山も間近で見たこともなく、せいぜい車窓や飛行機の窓から全景を拝んだ程度なのですが、もし富士山にもっと親しみを持っている人が今回の南条さんの作品を観たらどう思うだろう、と考えるとなんだかワクワクしてきます。

もし、浅間大社でそこを描いた作品が展示されたとして、どんなふうにその実際の場所と作品とが呼応するんだろう...と。

これまでは比較的日常に近い場所を取り上げて来られた南条さんの視点と感性を通って現れた富士山と浅間大社、僕は色調のケレン味のなさや大胆なシルエットなどからたいへん斬新に感じたのですが、いろんな方々の感想を伺ってみたい気分です。

南条嘉毅110

a sense of girl 田村香織&高津戸優子

gallery坂巻

東京都中央区京橋2-8-18 昭和ビルB2F

3/31(月)~4/12(土)日休

12:00~19:00

a sense of a girl080331.jpg

a sense of girl Kaori Tamura & Yuko Takatsudo

gallery Sakamaki

2-8-18-B2F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo

3/31(Mon)-4/12(Sat) closed on Sunday

12:00-19:00

Google Translate(to English)

横浜でのグループショーで拝見してその緻密さと透明感が強く印象に残っている田村香織さんと、ポップな風合いがコミカルに広がる高津戸優子さん。 gallery坂巻で開催されている、ふたつの個性のコントラストが楽しい展覧会です。

田村さんの透き通るような鮮やかな緑の世界。

深い緑と淡い緑とのグラデーションが、幻想的な光景を生み出します。

田村香織002 田村香織003 田村香織004

田村香織001

画面に緻密に施されるスクラッチは、それぞれが繊細なきらめきを放ちます。

奥のほうからさまざまな色彩がその風合いを幽かに、しかし鮮烈に覗かせ、仄かな光が灯っているかのような錯覚も湧きおこるほど。

動物や建物など、独特のテクスチャーで描き出されるさまざまなモチーフが、どこか古めかしい西洋的な感触を浮かび上がらせて、オリエンタルな優雅さと、同時に幼少の時分にファンタジックな世界に浸ったときのような、懐かしくもフレッシュな感情が心の中に広がっていきます。

田村香織006 田村香織008 田村香織007

田村香織005

まさに魅惑的な情景です。

描かれるほぼすべてのものが虚空に浮かび、浮遊感を伝えてくれるのもなんとも心地よかったり。

なにより、この透明感溢れる緑の爽やかさは格別です。

田村香織010 田村香織009

田村香織012

一転して、高津戸さんが描く世界は、どこまでもキャッチー。

ポップで明るい配色とのんびりとした風合いで、コミカルな雰囲気を漂わせます。

高津戸優子01

もこもことした稜線で描かれるさまざまな場面は、その表面的なユーモラスさとは裏腹に、案外シュールなシチュエーションだったりもします。

一旦油断させておいてから

おい!ちょっと待て!Σ( ̄口 ̄;)

・・・てな感じで唐突に沸き起こるツッコミ衝動が、また堪らなく楽しく感じられます。

高津戸優子03 高津戸優子02

高津戸優子04

正面の壁では、この空間で行われたライブペインティングによる作品も展示されています。

遊び心だけ、といってしまうとアレですが、それでも無論充分で、伸び伸びと感性に素直に筆を走らせた感触がいいんです。

そこかしこに観られる笑顔がまた楽しい!

高津戸優子05

緻密な静謐とおおらかなユーモア、それぞれが独自のファンタジーを繰り広げています。

冷たいゼリーとほかほかの饅頭を同時に出してもらって、どちらも美味しくて満足で案外いっしょに食べてもいける!・・・そんな嬉しい展覧会です。

Photo×Print Session[溶 -melt-]

京王プラザホテル1階 ロビーギャラリー&ギャラリー&アートロビー

東京都新宿区西新宿2-2-1

4/1(火)~4/9(水)

10:00~19:00(最終日:~16:00)

Taxedo Lake 080401.jpg

Photo×Print Session -melt-

KEIO PLAZA HOTEL 1F

2-2-1,Nishi-shinjuku,Shnjuku-ku,Tokyo

4/1(Tue)-4/9(Wed)

10:00-19:00(last day:-16:00)

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「溶」。

溶ける情景。

京王プラザホテル1階 ロビーギャラリー&ギャラリー&アートロビーでの、増田茂さん、八木克人さんの二人の写真家と、神田サオリさんによるコラボレーション作品展です。

一昨年に丸の内で拝見し、和紙にプリントされた増田さんの湖面の風景と八木さんの女性の体躯の重なり、その上をつたう神田さんの線、その三位一体の情景が醸し出す妖しげな空気感が深く印象に残っているのですが、今回の展覧会では、そのときに発表された作品とともに、大作を含めた新作が出品され、異なる時間で作られた作品の違いを堪能できるとともに、広い空間でゆったりと作品が放つおおらかで深い世界を味わうことが出来、なんとも嬉しい限りです。

さまざまな人々が行き交うホテルのロビーにアクセントをもたらす大作。

3点の軸の組作品となっています。

溶 -melt- 01

観れば観るほどに、そこに作り上げられている凄みがじわりと伝わってくる作品です。

さまざまな場所の風景が、あらゆる縮尺で織り込まれています。

それが実に複雑な奥行きを生み出し、ぐんと遠くへと広がる空や手前で激しく揺れる海、向こうに静かに横たわる湖岸などが一体となって、不思議な情景が生み出されています。

さらに女性の体躯が重なり、そのなめらかで美しいラインがおおらかで深い動線をこの情景に与えているように感じられます。

最後に描き加えられる神田さんの線は、その情景から沸き上がってくるように、自然な流れを醸し出しています。

ひとつの画面に注ぎ込まれる3つの個性。

お互いの存在への尊重が、それぞれのよさを引き立てあい、素晴らしく壮大でおおらかで、深い世界へと引き上げている感触。

ひとりの表現の境界は以前より曖昧になり、その曖昧さがこの作品の独特な深遠さをもった風合いをより高貴なステージへと押し上げているような。。。

溶 -melt- 03 溶 -melt- 04

溶 -melt- 06 溶 -melt- 05

溶 -melt- 02

ラウンジスペースにも4点の新作が展示されています。

奥まった棚に、その大きさにあつらえられたかのような大きさの作品。

神田さんが添えるちいさな人影が緩やかで静かな世界を展開させ、その独特の雰囲気にゆったりと浸れます。

溶 -melt- 07

溶 -melt- 08

以前発表された作品は、ロビーギャラリーに展示されています。

新作との雰囲気の違いもたいへん興味深いです。

以前の作品は、それぞれのクリエイションのエッジが立っていたというか、コラボレーションであることを踏まえつつも、「競演」的な要素、他の2人の存在へ「挑む」ような感触があるように、特に今回あらためて拝見し、新作と比べて拝見することで感じられるような気がします。

その「挑み」、よい意味での「狙い」が生み出す緊張感が、おだやかな和紙の質感の上に凪の風合いで漂い広がって、独特の味わいを奏でているように感じられます。

溶 -melt- 10 溶 -melt- 11

溶 -melt- 09

翻って、繰り返しになってしまいますが、新作ではそのシャープさが絶妙のバランスで抑えられ、全面に出るところは鮮烈に表出し、同時にお互いのクリエイションへのリスペクトや信頼がもたらす「余裕」や「理解」が随所から感じられて、さらに深く穏やかな世界をつくり出しているように感じられるんです。

このスペースの階下では、映像作品が上映されています。

これもまた、すばらしいんです。

オリエンタルなサウンドが流れる中、三者の絵や写真が浮かび上がっては消え、重なりながら、仄かにメランコリックでセンチメンタルで、でも優雅で妖艶な時間が紡がれています。

そして、映像で拝見して感じる画像のシャープさが、和紙の風合いの面白さにあらためて気付かせてくれるのも嬉しかったり。

「和紙」を支持体として選んでいることが、もともとはおそらく切れるような鋭さをもった三者のクリエイションを穏やかにまとめあげているような印象を受けた次第で。

今回の展示タイトルの「溶」という文字は、ホントにここにあるさまざまな関係性を表現しているように思えます。

このコラボレーションの今後の展開への期待も無論高まったのですが、それと同時にそれぞれのソロの展開も待ち遠しいです。

今回の展示で、昨年初めまで開催された2ヶ月に及んだライブペインティングを経たことが感じられる要素が随所に垣間見られた神田さんの作風が、今回のコラボレーションを経たあとどうなるかも興味津々で、まだ拝見していない八木さんと増田さんのソロの作品もぜひとも拝見したいです。

藤野尋子 ±展

SPAZIO BRERA GINZA 10Fギャラリー

東京都中央区銀座1-4-3

4/1(火)~4/6(日)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

藤野尋子080401.jpg

fujino hiroko ± exhibition

SPAZIO BRERA GINZA 10F GALLERY

東京都中央区銀座1-4-3,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

4/1(Tue)-4/6(Sun)

11:00-19:00(last day:-17:00)

Google Translate(to English)

台の上におさまる都市の情景。

SPAZIO BRERA GINZA 10Fギャラリーでの、ガラス作家、藤野尋子さんの個展です。

藤野さんの作品は、先日ギャラリーQで開催された4人展で拝見し、その複雑な造形とそれが発するスケールの大きさが強く印象に残っているのですが、それから期間をおかずに今回の個展が開催され、あらためて藤野さんのクリエイションに浸れる機会が得られているのが嬉しい限りです。

この「SPAZIO BRERA GINZA 10Fギャラリー」ははじめて伺ったのですが、

銀座にこんな展示空間があったとは!!!Σ( ̄口 ̄;)

と驚きを隠せないほどの、スケールの大きな空間です。

何せ天井が尖っている!

加えて、自然光もたっぷりと注ぎ込まれ、僕が伺ったのが遅い時間ということもあり、ほぼすべてのガラス窓にブラインドがかけられていましたが、おそらく日中と夜とではまったく違う表情を見せてくれるだろうな、と。

そんなスペシフィックな空間で、藤野さんの惑星のジオラマを思わせる壮大なガラスのオブジェが展示されていて、素晴らしく壮大なスケール感をもつインスタレーションが繰り広げられています。

藤野尋子03

朧げな広がりをみせる「地の面」と、そこから真直ぐにそびえる軸、そして摩天楼を思わせる直立体。

敢えて、それぞれの作品にとって本来の重力とは逆さまに置かれ、惑星のサイズのスケール感が伝わってきます。

また、ガラスという素材のユニークさも随所に垣間見られるのも興味深いです。

全体を覆う黒の奥に、透明な輝きが封じ込められているような感じで、それがまた未来的なイメージを作り上げているように感じられます。

藤野尋子02

藤野尋子01

壁沿いにずらりと並ぶオブジェとは別に、1点だけ、大きなサイズの作品が空間の中央に配されています。

サイズの大きさがそのまま、伝えるイメージの大きさへと変換され、より壮大な臨場感を伴うだけでなく、この空間の特徴さえも取り込んで、よりダイナミックなイメージの創出を促しているように感じられます。

藤野尋子08 藤野尋子10 藤野尋子07 藤野尋子09

藤野尋子06

ちょっと窪んだ一角では、異なるスタイルの作品が展示されています。

藤野さんとしての「平面」での展開。もちろんこちらの作品もガラスを用い、立体的な造形をもっているのですが、その3次元的なフォルムの提示よりも、照明などの要素が関ることで、眺める角度を変えていくとその表情が変化していく、そういう色調の変化を伝えたい、という印象が湧いてきます。

藤野尋子13 藤野尋子12

藤野尋子11

おそらく「円」を基本形とし、それを崩したような床面の仕上がりが儚げな雰囲気を醸し出し、同時にそこから突き出るさまざまな要素や透明感を内包した黒などが未来的なイメージを加速させてくれるような印象です。

さらに、これらの作品を撮影したモノクロームの写真なども展示され、藤野さんのクリエイションを多角的に観られる工夫がなされているのも楽しいです。

空間の個性とアーティストの個性とが噛み合った、素敵な展示です。

藤野尋子04

渕沢照晃展

ギャラリーなつかb.p

東京都中央区銀座5-8-17 GINZA PLAZA58 8F

3/31(月)~4/12(土)日祝休

11:30~18:30(最終日:~17:30)

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Teruaki Fuchizawa exhibition

Gallery Natsuka b.p

5-8-17-8F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

3/31(Mon)-4/12(Sat) closed on Sunday

11:30-18:30(last day:-17:30)

Google Translate(to English)

緻密な線の凝縮がつくり出す、圧巻の有機的世界。

ギャラリーなつかb.pでの渕沢照晃さんの個展です。

渕沢さんの展覧会は昨年以来で、そのときは色が入った作品も多く出品されていましたが、今回はギャラリーなつかのコンパクトな空間の特性を活かし、白地の支持体に黒の線のみで展開しモノクロームで統一、渕沢さんのクリエイションがよりソリッドに立ち上がってくるような空間が作り上げられています。

昨年のシェル美術賞展で発表され、油彩画が多くを占め、クリエイションと色彩とが溢れている中で、その緻密さと繊細さとが鮮烈なアクセントとしてひときわ目を引いた作品が再登場。印象もかなり異なって感じられます。

渕沢照晃009

とにかく凄いです。

フラットな画面の清潔で凛としていて、かつ静謐な白。そこに、緻密な線がうねり、ヘアピンカーブのようにぐっと曲がり、それらの凝縮と拡張とによって、観る者の好奇心をどんどん呑み込んでいくようなミニマムな強さと、それがさらに増殖しているかのようなスケール感を同時に受け取るような感覚です。

渕沢照晃002 渕沢照晃003 渕沢照晃004

渕沢照晃001

何かの風景のようにも感じられるからホントに不思議です。

「ごぉっ」と音を立てて全体が蠢いているかのような迫力を放ちながら、さまざまな縮尺設定を想像して、その作品から無数のイメージがインスパイアされるような感じもまた堪らないです。

渕沢照晃007 渕沢照晃008 渕沢照晃006

渕沢照晃005

銅版画の作品も出品されています。

同じ線でも、銅版とペンとではずいぶん印賞が違って感じられます。

渕沢照晃010

ホワイトキューブの中に無数の線の蠢きがあって、小さな画面からも強烈なエネルギーが発せられているような印象です。

白いからこそ、イマジネーションの自由度も得られていて、そこも嬉しく感じられます。また、作品そのものの臨場感から、もしかしたら空間全体がこの緻密で有機的な線の凝縮のなかにあって、その一部だけが表に現れているのかも、なんていう想像も湧いてきます。

ミニマムな展開が好きな方には堪らないクリエイションです。

《3/27》

Esquire CAFE '08/SS マリーナ・カポス/佐原和人/タムラサトル

un cafe

東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山ガーデンフロア

3/19(水)~4/6(日)

11:30~23:00

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青山界隈ののカフェで開催されているEsquire CAFE '08/SS、まずは既知のアーティストの作品が展示されているun cafeへ。

広い空間の各所に展示された佐原和人さんのペインティングやタムラサトルさんの立体が、レストランのアクセントになっています。

奥の個室スペースでの展示が印象的です。

《3/28》

NEW TOKYO CONTEMPORARIES "End of the tunnel"

新丸の内ビルディング7階 (marunouchi) HOUSE

東京都千代田区丸の内1-5-1-7F

3/28(金)~4/6(日)

11:00~28:00(日:~23:00)

NTC2008DM.jpg

ずっと楽しみだったこの企画、初日のレセプションにさっそく行ってきました。

好きなアーティストの作品が新丸ビル7階の共同スペースの各所に展示され、それぞれのギャラリーでの展示で目に馴染んだ作品がいつもと違う場所で、いつもと同じ表情で、でもいつもとちょっと違う味わい亜お感じさsてくれる、楽しい展覧会です。

現代アートファンにとってのギフト、そんな感じです。

またあらためて行ってみたいと思っています。

Esquire CAFE '08/SS 穴薪

SunshineStudioCAFE

東京都渋谷区神宮前3-25-12-BF

3/24(月)~4/6(日)

11:00~23:30

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Esquire CAFE '08/SS 、2軒目にチェックしたのが、穴薪ペインティングのふたり、穴薪可南子さんと比巴さんの作品が展示されているSunshineStudioCAFE

昨年のワンダーシードで知り、気になっている二人の作品が、席側の壁にずらりと展示されています。

比巴さんの作品では、奥の柱に展示されていた黒基調でさまざまな色彩がグラフィカルに折り重なる世界が堪らなくツボに入ります。

穴薪可南子さんは、複数の作品をまとめて拝見する機会が今回はじめてで、そのどこかシュールで不思議なキュートさをもった世界が魅力的!

《3/29》

大谷有花展 -peace-

GALLERY MoMo

東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F

3/29(土)~4/26(土)日月祝休

12:00~19:00

大谷有花080329.jpg

ステキです!

昨年の個展で拝見した、次に繋がっていくような淡い透明感のあるキミドリ。それがギャラリーをふわりと包み込んで、おおらかで、展示タイトル通りのピースフルな世界が広がっています。

Re:JAPAN art COEXIST×UNDER-FOREST 河原隼平小西俊也サダヒロカズノリ美術太郎、任田進一、松下康平

COEXIST

東京都港区赤坂3-8-8-2F

3/25(火)~4/11(金)

11:00~19:00

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バラエティに富んだセレクションが楽しいグループショーです。

まず、鮮やかな青が刹那的に画面を彩る河原隼平さんの作品が出迎えてくれます。

大胆な濃淡がつくり出すフュ=チャリスティックな雰囲気が鮮烈です。

RJA河原隼平01

松下康平さんの炭の作品。

実際に拝見して、その静謐な美しさに感動。

角材、竹などの炭を組み上げて構築され、素材のナチュラルな質感と正方形の重なりによる幾何学的な風合いとが凛とした静けさを醸し出しています。

また、空気清浄の効果もある作品なのだそう。ホントにきれいで、直にご覧になってほしい作品です。

RJA松下康平03 RJA松下康平02

RJA松下康平01

サダヒロカズノリさんの作品は、有機的なフォルムが楽しいです。

RJAサダヒロカズノリ02 RJAサダヒロカズノリ01

たしか木版だったと記憶しているのですが、その朴訥とした感触で作品に描き出されている不思議なかたちのモチーフが、またさらに仄かな妖しさを持つあたたかい世界をつくり出しています。

RJAサダヒロカズノリ04

RJAサダヒロカズノリ03

任田進一さんの写真。

水面に沈められた菊の花。映るシルエットとによって、幽玄な雰囲気を醸し出しています。

RJA任田進一01

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美術太郎さんのクリエイションは、伸び伸びとしていて楽しい!

リズミカルに展開されるさまざまな視覚的ノイズの重なりが、ポジティブなイメージを喚起してくれます。

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小西俊也さんのおなじみの映像展開。

今回は女の子がガラスの壁面に桜色のポストイットを貼っていく様子が映されているインスタレーションです。

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和歌から導く絵画 永井健志 日本画展

上野松坂屋 南館5階 美術画廊

東京都台東区上野3-29-5

3/26(水)~4/1(火)

10:00~19:30(最終日:~17:00)

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花や葉が凛と描かれ、緻密に、繊細に、自然が溢れる風景が描き上げられています。

あらためて永井さんの作品をまとめて拝見し、金泥で描かれる線の細さ、同時にその強靱な感触とに魅入られた次第です。

沈むような落ち着いた色調で、立ちのぼるような高貴な風合いも印象的。

屏風の大作の深遠さ、金箔と妖しい赤とのコントラストの鮮烈さなど、さまざまな主題からそれらがもつ鋭さ、敏さをぐんと引き出していく独特の感性。これからも観続けていきたい世界です。

谷口浩 写真展 ただ、それがある

FOIL GALLERY

東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤

3/28(金)~4/18(金)

12:00~20:00(初日、日:~18:00)

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日常の光景の写真が並びます。

それらが醸し出す日常感と、同時に不思議と引き出されるフィクショナルなイメージ。

正面に展示された、百合の花が活けられた花瓶が、まるで絵画のような佇まいを奏でているのが深く印象に残っています。

井上織衣「いき」

SAKuRA GALLERY

東京都江東区常盤2-10-10

3/25(火)~3/30(日)

12:00~19:00(最終日:~17:00)

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一昨年の女子美術大学の卒業・修了制作学内展示で拝見したタマネギの薄皮のオブジェが印象に残っている井上織衣さんの個展。

今回もまたけったいな作品が出品されていました。

牧草を有機的なフォルムに紡ぎ上げ、中が空洞になっていて、ふたつの穴が繋がっています。

すごくプリミティブな生物を彷佛させ、タマネギの作品に負けないなんとも奇妙な印象です。

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岩田壮平・阪本トクロウ二人展

いつき美術画廊

東京都中央区京橋3-3-8 新京橋ビル1F

3/24(月)~4/5(土)

10:00~18:00

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既知のふたりのアーティストによる展覧会。

異なる個性が揃い、そのコントラストが鮮やかでお互いを引き立てあっています。

岩田壮平さんが描く花の妖婉さ。

濃厚な色彩を大胆に用い、ダイナミックな濃淡によって力強い生命感を感じさせてくれます。

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凛とした佇まいの静けさの中に、ほとばしるような鮮やかさが感じられます。

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今年のVOCA展で、おおらかなシーンを淡々と描いた作品が静かで穏やかな感触がいい感じでアクセントになっていた阪本トクロウさん。なんだかいつもとちょっと違う雰囲気が漂います。

淡々とした色使いはそのままに、今回は描かれる場面の中に存在するスピード感が織り込まれていたり、人口建造物がない風景が描かれていたりと、ひと味違う感じで、ここから始まっていく世界にも興味津々です。

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阪本トクロウ103

Sleepy Sheep ;Soap[Simply]

store & gallery S.c.o.t.t

東京都中央区銀座7-7-1 幸伸ビルB1

3/27(木)~4/1(火)

11:00~20:00(最終日:~17:00)

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小坂井美穂さんのフェルト作品の展覧会です。

このかわいらしさに抗う術をなくします、もう無条件降伏。

フェルトを用い、さまままな動物たちを素朴に再現、それらがテーブルにちょこんちょこんと並べられて、なんともあったかくてほっこりとした世界が紡ぎ上げられていました。

梅津庸一 POST GRADUATION

ARATANIURANO

東京都中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3A

3/29(土)~5/2 (金)日月祝休

11:00~19:00

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静かに、しかし激しく立ちのぼるスキャンダラスな雰囲気のインパクトが印象的な展覧会です。

梅津さんのさまざまな距離感で繰り出されるクリエイションがふんだんに、大胆に投入されたインスタレーション。多くの発見と、プライベートを覗いているかのようなスリリングな感触に溢れています。

《3/30》

ebcオープンアトリエ『YURIGAOKA ZOO』

ebcアトリエ

神奈川県川崎市麻生区高石1-11-1-1F

3/28(金)~3/30(日)

12:00~20:00

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今までになく絞られたテーマを設定していながら、それに無理にとらわれず、それぞれのアーティストがソのユニークな個性を肩肘張らずに伸び伸びと繰り広げているように感じられたのが嬉しかったです。

ebcの可能性をあらためて感じられました。

ワビサビ展

(g)

東京都渋谷区恵比寿西1-31-12-2F

4/1(火)~4/12(土)月休

12:00~19:00

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これは楽しい!

ポップでユニークなグラフィックアートが、さまざまな企業のポスターで繰り広げられていて、それらがずらりとギャラリーを囲み、実にポジティブな雰囲気に満ちています。

グラフィックにデフォルメされたさまざまな盆栽のモチーフが堪らないです。

《4/1》

渕沢照晃展

ギャラリーなつかb.p

東京都中央区銀座5-8-17 GINZA PLAZA58 8F

3/31(月)~4/12(土)日祝休

11:30~18:30(最終日:~17:30)

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有機的な線がダイナミックなうごめきを作り上げている、緻密なペン画、見応え充分です。

前回の個展と異なり、白の支持体に黒で描かれた作品が揃い、シンプルな展開が空間に統一感ももたらしています。

武田倫子 ― Thermal space ―

フタバ画廊

東京都中央区銀座1-5-6 福神ビルB1F

3/31(月)~4/6(日)

11:00~19:00(最終日:~16:00)

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ぼやけたシルエットで描かれる、曖昧な世界。

透明感溢れる暖色に新鮮さを感じます。

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作品によって投入される青や紫も、透明感が溢れます。

大きな画面に鮮やかなオレンジで描かれたソファの作品などもあり、不思議なシチュエーションが生み出されているような気がしたのが印象的です。

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a sense of girl 田村香織&高津戸優子

gallery坂巻

東京都中央区京橋2-8-18 昭和ビルB2F

3/31(月)~4/12(土)日休

12:00~19:00

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横浜エリスマン邸でのグループ展で拝見して印象にこってる緻密なスクラッチの田村香織さんと、ポップな風合いが楽しい高津戸優子さんの二人展です。

緻密で見応え充分な田村さんの作品と、もりもりと展開する高津戸さんの作風とのコントラストが楽しいです。

Photo×Print Session[溶 -melt-]

京王プラザホテル1階 ロビーギャラリー&ギャラリー&アートロビー

東京都新宿区西新宿2-2-1

4/1(火)~4/9(水)

10:00~19:00(最終日:~16:00)

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増田茂さん、八木克人さんの二人の写真家と、以前より親しくさせていただいているアーティスト、神田サオリさんによるコラボレーション、再び。

ホテルのロビーのゆったりとした空間に、この3名によって紡ぎ上げられた幻想的な風景が広がっています。

ホテルというさまざまな人々が行き交う場所に現れた朧げな世界、素晴らしいシチュエーションです。

Emerging Buds - Debut 2008 清水亮輔

exhibit Live & Moris

東京都中央区銀座8-10-7 東成ビルB1F

3/31(月)~4/5(土)

12:00~19:30(最終日:~17:30)

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昨年のVOCA展でひときわ異彩を放つ、不思議なかたちの作品を発表されていた清水亮輔さんの個展です。パネルで組み上げられた立体的な支持体を用い、そのユニークなかたちを活かして、見上げたり覗き込んだりとさまざまなアプローチを観る者に引き起こさせています。

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清水亮輔01

波状のパネルに描かれた風景も面白い!

裏面にも描かれていたりと、ユニークな要素はすべて活かして、痛快なアプローチがなされています。

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このかたちで提示される奥行きも見事です!

都市の遠近感や、摩天楼の迫力なども鮮やかに再現されています。

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遠藤良太郎展

BASE GALLERY

東京都中央区日本橋茅場町1-1-6 小浦第一ビル1F

4/1(火)~4/30(水)日祝休

11:00~19:00

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出力とおそらく水彩によって、キャッチーで瑞々しい光景が描き出されています。

有機的に画面を這う線のコミカルさや、手描きの樹木など、明るい色調とポップなモチーフによって、公園のような楽しい空間がたくさんの画面で作り上げられています。

ずらりと並ぶ作品に占められた展開は圧巻!

未来的なイメージを放ちつつ、楽しい気分が心に広がるほのぼのとした感触もある展覧会です。

《4/2》

First Impression 中北紘子展

Olive eye

東京都中央区銀座6-6-1 銀座風月堂ビル3F

4/1(火)~4/16(水)日祝休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

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画面にもたらされる絵の具の染みから想像されるモチーフをかたちにしていく中北紘子さん。

あたたかみ溢れる世界が繰り広げられています。

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中北紘子004

今回はパネルに直に描かれた作品も出品されているほか、過去の作品も数点展示されていて、中北さんのこれまでを辿れる展覧会となっているのも嬉しいです。

やわらかな彩りにやさしい気分が広がります。

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中北紘子005

Stanley Donwood solo exhibition 'O LOVE THE MODERN WORLD'

東京画廊

東京都中央区銀座8-10-5-7F

4/2(水)~4/26(土)日月祝休

11:00~19:00(土:~17:00)

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レディオヘッドのCDジャケットなども手掛けるStanley Donwoodさんの個展です。

ポップなペインティング、クールな版画、さまざまな発見すべてが新鮮!

藤野尋子 ±展

SPAZIO BRERA GINZA 10Fギャラリー

東京都中央区銀座1-4-3

4/1(火)~4/6(日)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

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先日のギャラリーQでのグループ展でも印象的だったガラス作家の藤野尋子さんの個展です。

高い天井に、都市の姿を再現したような大きなスケール感を伝えるガラスのオブジェが、高い天井の空間に静かに展示され、美しい造型を放っています。

101TOKYO Contemporary Art Fair 2008

@旧練成中学校

東京都千代田区外神田6-11-14

4/3(木)~4/6(日)

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気をつけろ!

面白すぎるぞ!

山下律子展

アトランティコギャラリー

東京都新宿区築地町13 赤城印刷ビル4F

3/22(土)~4/19(土)木金土のみ

12:00~19:00

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Ritsuko Yamashita exhibition

Artlantico Gallery

13-4F,Tsukiji-machi,Shinjuku-ku,Tokyo

3/22(Sat)-4/19(Sat) only Thurday,Friday and Saturday

12:00-19:00

Google Translate(to English)

緻密な線が紡ぎ出す、奇妙な臨場感。

アトランティコギャラリーで開催されている、山下律子さんの久々の個展です。

まず、キャンバスにフラットに白系統の絵の具が塗布され、そこにスクラッチによって彫り込まれた線が形づくる、たいへん具体的で同時に曖昧な世界。

登場するすべての人物がスキンヘッドで描かれることで、その人物の性別が曖昧になるだけでなく、なんとも不思議な、現実とは別の種類のリアリズムが作り上げられているように感じられます。

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今回の個展では、未発表の新作は2点のみなのですが、そのうちの1点は、青い線の爽やかな感触が新鮮です。

青焼きの図面のような風合いもあって、ユニークな雰囲気を醸し出しているように思えます。

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もう1点は、オレンジのヴィヴィッドな鮮やかさが気持ちいい作品。

線の濃さと密度が、まさに山下さんの真骨頂といった趣です。

まるでその風景にあるすべての線がフォローされているかのようなリアルさと、そこにいるスキンヘッドになった人が醸し出す奇妙な非現実感、そして各所に潜むさまざまなアルファベットの文字が何かの暗号のような感触も彷佛させて、実際の風景はもっと身近なはずだと思うのですが、まったく異なる世界の光景へと描き変えられているのがたいへん興味深いです。

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以前の個展で発表された、ドローイング風の作品。

パネルに塗布された白系の絵の具を背景に、さまざまなシチュエーションが描かれていたり、ひとつの光景のもあったりしますが、線がより細く、また別の面白味が感じられます。

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昨年の「都市との対話」展に出品された作品も。

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昨年のVOCA展で発表された作品も再登場。

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色の数自体は究極的に少ないながら、山下さんの作品群にはある種の「混沌」が生み出されているような気がします。

ほぼすべてが線で構成され、その密度で紡ぎ上げられる濃淡。衣服の皺や木のヒビなど、日常に潜む無数の視覚的ノイズがこうやってひとつの色彩で表現されることで、尋常でない動的な感触が発せられているような印象を覚えます。

そして、スキンヘッドや文字など、非現実的なモチーフが織り込まれることで、さらに不思議でオリジナリティ溢れる世界がつくり出されています。

アバンギャルドでスリリングな感触が鮮烈なクリエイションです。