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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報

荒井経展「対岸」

MA2 Gallery

東京都渋谷区恵比寿3-3-8

5/9(金)~6/7(土)日月祝休

12:00~19:00

荒井経080509.jpg

Kei Arai exhibition

MA2 GALLERY

3-3-8,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo

5/9(Fri)-6/7(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

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近付いて、なお広がり続ける...

MA2 Galleryでの荒井経さんの個展です。

プルシアンブルーという独特の深みを持つ色彩を用いて、ギリギリの精度で重ねられる滲むような風合いにより、実におおらかな世界が紡がれています。

1階。

まず、今回出品されている中でもっとも大きな作品が目に飛び込んできます。

入口付近に佇み、眼前に広がる壮大なスケールの青にただただ圧倒され、しばらくその遠い位置から眺めてその情景をじっくりと味わった次第で。

重なる青がつくり出す奥行きのいちばん遠いところにぽつぽつと灯るような実に小さな白い点が、さらに作品のダイナミズムを演出し、どこまでもおおらかな雰囲気を奏で上げます。

このおおらかな風合いは遠めの距離感でこそ感じられる、と思いきや、至近で眺めてみて、むしろぐんと臨場感を増し、さらに空間性が立ち上がってくるように感じられるのがたいへん興味深いです。

絶妙で繊細な青のグラデーションと、その色面が重なりあう部分の濃淡の淡く劇的な質感。遠い風景を望遠鏡で眺めてみるような感覚と近いような、より具体的に情報を得ることでさらにその風景の奥行きを実感できたような感覚です。

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荒井経01

出品されている作品はどれもほぼ同じ構成でありながら、微妙な差異に意識が導かれ、そこに面白味を強く感じます。

白い斑点が、地平線に灯る明かりのようなイメージをもたらしてくれて、色彩や構図のシンプルさなど相当に抽象性が高いにもかかわらず、浮かぶイメージは具体性を帯びて、デジャヴのような、なんとも懐かしい感触に浸れます。

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荒井経05

2階では、すべて同じサイズの小品が同一の高さに展示され、作り上げられた空間の幾何学的な感触もまた面白くインスタレーションされた展示が繰り広げられています。

荒井経10

濃い青によって浮かぶさまざまなかたちが、山あいに見えてきたり、あるいは海を連想させてくれたり...。

白い斑点とともにさまざまな情景が紡ぎ出され、そのほの明るい風合いとともに実に深遠な静謐が生み出されていて、眺めていて心が穏やかに凪ぐんです。

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そして、この緻密なインスタレーションがつくり出すリズム感も印象的です。

色とかたちの統一感と、等間隔、同じ高さに展示されていることが、実に硬質なリズムを構築しています。

自然光、スポットと、光の入る具合や種類の違いなど、無機的に同一の条件で展示されていることが逆にさまざまな差異の存在に臨場感をもたらしているように感じられます。それが、1点1点の個性を際立たせているように思えるのも興味深いです。

荒井経09

荒井さんのこのシリーズの作品をホワイトキューブで拝見するのはおそらく今回が初めてだと思うのですが、それが実に功を奏しているように思えます。

無機的な空間が、荒井さんが紡ぎあげる繊細な情景の穏やかさ、温かみをよりリアルに立ちのぼらせている要の思えます。あらためて、このプルシアンブルーのシリーズの魅力を実感した次第です。

荒井経08

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writer name:幕内政治
birth:1971/6/17
mail:exchamber@yahoo.co.jp