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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報

漆原夏樹展
ギャラリー広田美術
東京都中央区銀座7-3-15 ぜん屋ビル1階
5/30(金)~6/12(火)日休
11:00~19:00
漆原夏樹080530.jpg

Natsuki Urushihara exhibition
Gallery Hirota Bijutu
7-3-151F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo
5/30(Fri)-6/12(Tue) closed on Sunday
11:00-19:00
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緻密な筆致で紡ぎ上げられる軽やかな魑魅魍魎。

ギャラリー広田美術での漆原夏樹さんの個展です。

とにかく、実際に拝見してみて、その過剰なまでに緻密な筆致に圧倒されます。
細かい線が緊張感の途切れが一切なくひとつひとつ画面に刻み込まれ、今回の個展に出品されている多くの作品に登場するパンダの毛並みや背景の黄金色の木々などがうねるような臨場感とともに迫ります。


漆原夏樹09

ケレン味のない細やかな筆致の蓄積は、独特の縮尺感を生み出しています。
リアルにその姿が再現された左手前のペンギンの群れの臨場感と、右手の桃源郷のような、極楽のような、味わい深い黄金色と絶妙のグラデーショントとで描き上げられている景色の壮大な神々しさ。
それぞれ、モチーフの大きさを考えると縮尺的には違和感があってもおかしくないのですが、そこに不安定さはまったく感じられず、むしろその違和感によってダイナミックな想像を導いてくれるような気さえします。


漆原夏樹08 漆原夏樹07

漆原夏樹06

描かれるシーンの構成もユニークです。
、日本画としても充分に味わい深く表現される花の儚げで妖艶な肢体、遠くにはおおらかに、そしてリアルに佇まいを晒す月。
おそらく金泥によって夜空の星々がぽつぽつと灯り、さりげないながらも深遠な雰囲気の演出をおおいに盛り上げつつ、この作品の主役的な存在であるパンダのかわいさと奥に秘めた生まれ持った野生性、さらには緻密な毛並みなどによる奇怪な雰囲気。
それらがユニークな縮尺の関係を保ちながらひとつの画面に収められ、静かな緊張感を押し拡げているように感じられます。


漆原夏樹04 漆原夏樹02 漆原夏樹03

漆原夏樹01

今回の個展でもっとも大きな作品、横長の画面に巨大に、かつ体毛の1本1本までも再現したかのように緻密に描き上げられた蜘蛛の異様なまでの存在感と、それと対峙するような黄金色の穏やかな景色。このコントラストは、かなりのインパクトと不思議な物語性をもたらしています。


漆原夏樹10

日本画というと、連綿と受け継がれるさまざまな技術によって生み出される工芸的な美しさも園大きな魅力のひとつだと思っているのですが、今回拝見した漆原さんの作品は、その工芸的な部分の「過剰さ」が印象的で、徹底して描かれる線や緻密な盛り上げなどにある種の狂気を感じます。
そして、その狂気的なスキルで描かれる世界の独創性も、同時に強く印象に残ります。

パンダやペンギンなど、眺めてほのぼのとするようなかわいらしい動物をモチーフとして採用しておきながら、その野生性を敢えて引き出すかのように鋭い筆致で描くことでギャップをつくり出し、独創的な世界にさらに孤高の雰囲気を立ちのぼらせているように感じられます。


ちいさなスペースをひとつの鮮烈な雰囲気で満たす、さまざまな視点で圧巻のクリエイションです。


漆原夏樹05

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writer name:幕内政治
birth:1971/6/17
mail:exchamber@yahoo.co.jp