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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報
2008年7月アーカイブ

近藤聡乃「果肉」

MIZUMA ART GALLERY

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F

7/9(水)~8/9(土)日月祝休

11:00~19:00

近藤聡乃080709.jpg

Akino Kondo "Flesh"

MIZUMA ART GALLERY

1-3-9-2F,Kami-meguro,Meguro-ku,Tokyo

7/9(Wed)-8/9(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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現実と反対側のほうへと押し広げられたリアリティ。

MIZUMA ART GALLERYでの近藤聡乃さんの個展です。

近藤さんと言えば、前回、一昨年の個展でも発表されたアニメーションや、その画風を発展させたアクリルのペインティングの印象が強かったのですが、今回の個展では初めてとなる油彩の作品を発表、油絵の具が醸し出す独特の雰囲気により、近藤さんのあのエキゾチックな世界に更に深みがもたらされたような感触が強く迫ります。

近藤聡乃03

シンプルな色調で描き上げられた独創的な世界。

アニメーションやアクリルペインティングの時の軽やかさは影を潜め、どこまでも深遠に、果てなく沈み込んでいくような独特の重厚さが紡ぎ出されているような風合いで、その透明感溢れる濃密な雰囲気を前にしてただただ立ち尽くしてしまうような。

近藤聡乃02

近藤聡乃01

ギャラリー入口正面の壁面に展示された、赤のヴィヴィッドさがより鮮烈に際立つ作品。

色面のなかに身体を沈ませるようにして伏せ佇むアンニュイな表情の女の子。赤の奥から仄かに光が広がるような、微睡むような独特の艶かしい風合いが意識を引き込みます。さらに、ほぼシンメトリーな構図は、謎めいた雰囲気をより深めているようにも思えます。

そして、今回発表されている作品に通じて言えることなのですが、ていねいに施された細やかなテクスチャーが動的なイメージと繊細さとを生み出し、描かれた世界に臨場感を与えているような感触も伝わってきます。

近藤聡乃13 近藤聡乃12 近藤聡乃11

正面から眺めると、濃い青紺色を背景に、画面の中央から広がる赤い色面の形が、今回の展示のタイトルにも通ずる果実のかたちを彷佛させます。

あらためて、近藤さんが描く「人」の目の力の強さを認識させられるのですが、この作品を画面のほぼ真横近く、目の存在を認識できない角度から眺めたときに、赤の色面が天空へと一気に昇っていく火の鳥に見え、おそらく近藤さんご自身の意図とは異なるとは思うのですが、その感激も強く心を満たしてくれます。

近藤聡乃10

奥のスペースに展示された小品も、小粒ならではのインパクトを持っています。

小さな画面に収められた世界の密度は相当な引力をたたえているような感じで、広い壁面が僅かな画面によって支配されているように感じられます。

近藤聡乃09

近藤聡乃08

ひとつの画面に詰め込まれた要素が醸し出す深みは、時間を忘れて魅入られてしまうほど。

そして、アニメーションでは線の展開が中心ですが、今回の油彩の作品には稜線が描かれず、深いグラデーションと緻密な筆のストロークでさまざまな表情や風合いが繊細に紡がれ、それが僕らがいる現実とは反対側にあるリアリティを臨場感たっぷりに現しているように感じられ、その力強い説得力に圧倒されます。

近藤聡乃06 近藤聡乃07 近藤聡乃05

近藤聡乃04

キャンバスに支えられたひとつの層のなかに、アニメーションで提示される「時間」が重ねられたかのような深みも印象的です。

そういった「時間の塊」のような作品が並び、それぞれがイメージのなかで関係しあって、観る人の数だけの新たな時間が構築されていると考えると、そのスケールの壮大さにも呆然としてしまいます。

この油彩の展開も、油彩の大作の制作を経て生み出されるアニメーションの展開も興味津々です。

《7/25》

Summer exhibition 漆原夏樹 狩野宏明 神戸智行 寺内誠 山内隆

ギャラリー広田美術

東京都中央区銀座7-3-15 ぜん屋ビル1階

7/18(金)~7/26(土)日祝休

11:00~19:00

広田美術080718.jpg

こちらのギャラリーでこれまで紹介されてきた若手アーティストの作品を集めた、台湾でのアートフェアのプレビューを兼ねたグループショー。

漆原さん、神戸さん、寺内さんの3名はそれぞれ個展も印象に残っていて、クオリティの高さと独創的な風合い一堂にチェックできたのは嬉しい限りで、さらに、アートスペース羅針盤での個展などで拝見した過剰なまでに緻密な油彩画が強烈に印象に残っている狩野宏明さんはペン画を出品、油彩のアクの強さが相当に抑えられ、要素の密度のみでシンプルに醸し出す混沌に魅入られた次第です。

また唯一の立体、山内隆さんのずんぐりむっくりとした立像は、ユーモラスな佇まいと異様に重厚な存在感とのギャップのインパクトが面白く感じられました。

南館麻美子展「輪ゴムで留めたスナップショット」

シロタ画廊

東京都中央区銀座7-10-8

7/22(火)~8/2(土)日休

11:00~19:00(最終日:~17:30)

南舘麻美子080722.jpg

木版凹版特有の、もってりとした風合いがレイドバックした感触を滲ませ、独特な味わいを感じさせてくれます。

緩やかな、と言うよりもっと直接的に「緩い」雰囲気、そこに漂う懐かしい感触。

数点展示された木彫の立体の作品がまたこの「緩さ」を加速させてくれているような感じです。

渡邊麻衣子 木版画展

@新井画廊

東京都中央区銀座7-10-8-1F

7/25(金)~8/4(月)7/27休

11:00~19:00(最終日:~18:00)

渡邊麻衣子080725.jpg

昨年のしらみず美術での3人展で拝見した多彩色の木版画が印象的だった渡邊麻衣子さんの個展です。

植物をモチーフに、木版画らしく、ほんのりと広がるやわらかな色彩で揺らめくような世界が作り上げられています。

作風も、印象としてひとつの画面に用いられる色彩に統一感が感じられ、混沌とした妖しさが僅かに影を潜め、描かれる形のやさしさがより伝わってくるような感じです。

渡瀬愼也展「積層の森」"layer/rule"

コバヤシ画廊

東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビル B1

7/21(月)~7/26(土)

11:30~19:00(最終日:~17:00)

渡瀬愼也080721.jpg

これまでテープをキャンバスに配列してユニークな光景を描き出してきていた渡瀬愼也さん、今回は手描きの線での展開の作品が発表されていました。

画面全体に広がる線の集積や、その線の配列が生み出す「かたち」によるコンポジションなど、これまでのユニークさをキープしつつ、そこに斬新さを見い出そうとする非常にチャレンジングな作品で、線の集積となるとすでに「線」のスペシャリストと呼んでいいアーティストが数多くいるなかにあってはその1本1本の線の「精度」にもったいない感じを持ったものの、コンポジションの作品は実にユニークな幾何学的イメージを提供してくれたりしていて。今後の展開も楽しみです。

《7/26》

足田メロウ展「Planetica」

neutron

京都府京都市中京区三条通烏丸西入ル 文椿ビルヂング2F

7/21(月)~8/3(日)月休

11:00~23:00(最終日:~21:00)

足田メロウ080721.jpg

画面の上に乗るひとつひとつの短いストロークが組み上がり、さまざまな風景や人々の仕草を表現している楽しいクリエイションです。

足田メロウ04 足田メロウ02

足田メロウ05

ギャラリーの壁面に散らばるように展示された作品群。白い色彩の間にまっすぐの青のラインが横切り、冬のなかの川を思わせる大作から、さまざまな家屋を描き上げた小品、人々のさり気ない仕草など、さまざまなものが独特なタッチで爽やかに描かれていて、そのストロークのひとつひとつが醸し出す時間性も合わせて、さまざまな見どころを持っているように感じられます。

足田メロウ01

one room3 太田麻里 安田知司 大野紅 山野若菜 岡田裕樹 原田拓哉 狩野俊輔 岡村有利子

@元立誠小学校

京都府京都市中京区木屋町蛸薬師

7/21(月)~8/3(日)

12:00~19:00

one room3 080721.jpg

小学校跡地ので開催されているグループショー。教室ひとつひとつに一人ずつアーティストが配され、それぞれがユニークなインスタレーションをつくり出しています。

このバリエーションの多さにワクワクさせられると共に、ひとり一部屋という条件により、個性をめいっぱい発揮していることがとにかく痛快で。

永島千裕展 at the space time

imura art gallery

京都府京都市左京区丸太町通川端東入ル東丸太町31

7/7(月)~7/26(土)日祝休

10:00~18:30

永島千裕080707.jpg

これだけ軽やかな彩色とクリアな線で描かれていながら、そこに潜む爽やかなサディスティックさが堪らない!

憂いを帯びた、と表現するにはあまり深くは考えていなさそうな表情の、だからこその深み、そら恐ろしさが心に広がります。

214号室◎横谷奈歩作品「静かな結末・共有する秘密」

HOTEL T'POINT 214号室

大阪府大阪市中央区東心斎橋1-6-28

7/25(金)~7/27(日)

14:00~20:00

横谷奈歩080725.jpg

ホテルの一室で繰り広げられている、独創的な世界。

他のゲストルームは通常営業されているのですが、その現実感を瞬時に飛ばしてくれるほどに作り込まれたインスタレーション、圧巻でした。

ドアをあけるとまず1点の小品が飾られた黒い壁面との対峙。続いて順路に沿って進むと今度は突如、白の世界へ。

途中のベッドの置かれた空間の、「眠り」という行為の神々しさを包み込むような深遠さ、さらに水まわりの辺りを抜けて再び入口へ。そして外の現実へ帰還。

朽ち果てたような、はたまたこれから何かが生み出されるうごめきの前のような、いろんなイメージが過っていき、そのさまざまなギャップが生み出す非現実感が強く印象に残ります。

こういう展示をやり切った横谷さん、今度はどんな展開へと進まれるのか、さらにはこれからできる作品のイメージ的な奥行きに、大きな期待が沸き起こってきます。

田中洋喜展 Game is over.

CUBIC GALLERY

大阪府大阪市中央区備後町3-1-2 アトラスビル201

7/22(火)~8/2(土)日祝休

12:00~19:00(土:~17:00)

田中洋喜080722.jpg

一昨年のシェル美術賞でのグランプリ受賞作家、田中洋喜さんの個展です。

独特のタッチで描き出される人々の歪んだ表情や佇まい。現実感と妖しげな雰囲気とがせめぎあっているような雰囲気が印象に残ります。

人の姿全体をフォローした作品に加え、小品によって展開されていた、顔のパーツを描いた作品も印象的です。

飯川雄大「Good Situation」

児玉画廊

大阪府大阪市中央区備後町4-2-10 丸信ビル2F

7/12(土)~7/26(土)日月祝休

11:00~19:00

飯川雄大080712.jpg

次の展示からは京都への移転が決まっていて、大阪のこのスペースでは最終日だったこの日に観られたことをまず嬉しく思います。

で、展示されていたのは飯川雄大さんのビデオインスタレーション。バスケット、ボクシング、サッカーといったスポーツにスポットを当て、それぞれの試合は通常の半分の時間で行われていて、さらに、カメラがしつこく追い回すひとりのプレイヤー以外

その「時間が半分」であることを知っている、というもの。

半分なのに、ボクシングの選手はまったく気付いている様子がないのがなんとも面白く感じられます。

東京へも巡回するのだそう。楽しみです!

sensuous 水木塁 山下耕平 水野勝規 芳木麻里絵 伊藤彩 須藤絢乃

AD&A gallery

大阪府大阪市西区京町堀1-6-12 AD&Aビル space1F

7/18(金)~7/30(水)木休

13:00~20:00(最終日:~18:00)

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6名のアーティストがフィーチャーされた展覧会。

時間に余裕がなく、それぞれの作品をじっくりと拝見することが叶わなかったのが残念でしたが(ここを後にして急ぎ足で向かったのに国立国際美術館での塩田千春展の入場時間に間に合わず結局観られなかったんじょでこの悔しさはなおさら)、昨年のレントゲンヴェルケでのグループショーでも相当なインパクトがあった

芳木麻里絵さんの作品を久々に拝見できたのが嬉しかったです。

シルクスクリーンを過剰に重ねて行うことで構築される顔料の塊。その緻密な立体感により、なんとも言い難い造形が生み出されていて、それぞれは実に小さいながらも小粒ならではの存在感をぎゅっと放っていて、ぐんぐんと引き寄せられていくような感覚です。

芳木麻里絵003 芳木麻里絵002

芳木麻里絵001

透明の板に刷られた作品も独創的な美しさを醸し出しています。

緻密な線の集積、モノトーンで描き出される古風な風景。素材感の艶かしい風合いと、描かれる光景の渋味とにより、さらにその個性に拍車がかかって、実に斬新な味わい深さが作り上げられています。

芳木麻里絵006 芳木麻里絵005

芳木麻里絵004

ART IN DOJIMA OSAKA 2008

堂島ホテル8~11階

大阪府大阪市北区堂島浜2-1-31

7/25(金)~7/27(日)

12:00~19:00

art osaka 2008.jpg

時間をかけてていねいにチェックしていくことは叶わなかったのですが、でも観られてよかった!

なにより出展ギャラリーも来場者も楽しんでいる雰囲気、遊ぶ感覚が満ちているのを肌で感じられたのが嬉しかったです。

初めて拝見するギャラリーも、未知のアーティストも多くて、それらの新鮮な個性に翻弄されつつ、よく知るギャラリーやアーティストの作品がいつもと違うシチュエーションで展示されていてまたそれが知らなかった面白さを見せてくれていたり。

ざっくりと印象に残ったのを挙げると、ギャラリー坂巻での田村香織さんのブラックの作品、YOD GALLERYでの町田夏生さんのふわふわとしたキュートなピンク色、GALLERY SIDE2でのドメスティックな風合いを重厚に加速させる花澤武夫さんの新作、ノマル・プロジェクトスペースでの田中朝子さんの写真を複数のキューブに分割し、再構築した作品のみずみずしさと名和晃平さんの無数のドットが配され作品が壁面で震え、そのドットの軌跡が表情を変化させるユニークな提示、ギャラリー椿の朝青龍(爆)、乙画廊での岩澤慶典さんの優しい渋味を持ったシュールなシーンを描いた作品群、GALLERY IDFでの酒井陽一さんの揺らめくような深みをたたえたヴィヴィッドな抽象、など、など、など。

フェア、ギャラリー、アーティスト、それぞれの今後の展開が楽しみです!

流麻二果展 繋/On a String

PANTALOON

大阪府大阪市北区中津3-17-14

7/5(土)~7/27(日)月火休

18:00~22:00(土日:12:00~19:00)

流麻二果080705.jpg

先日のギャルリー東京ユマニテでの個展も素晴らしかった流麻二果さん、それからさほど間を置かずに行われたPANTALOONでの個展は、数点の作品が前回の個展に続いて発表され、そこに新作も織りまぜながら、このユニークな空間の個性と絡んでさらにその世界の奥行きを深くしているように感じられました。

《7/27》

タムラサトル

プラザノース ノースギャラリー5・6・7

埼玉県さいたま市北区宮原町1-852-1

7/19(土)~8/2(土)7/28休

10:00~20:00

タムラサトル080719.jpg

郊外の公共施設に夕立ちの強烈な嵐が起こる寸前に辿り着き、拝見したタムラサトルさんの個展。

まだできたての新しい感触が隅々から匂いたつようなたっぷりとしたゆとりある空間で、過去に発表された作品を中心にブッ飛んだ展開を繰り広げていて、さすがでございます。

タムラサトル301

ダイナミックに後退するためだけに淡々とレールの上を前進する3匹の熊。

いちばん大きな熊のぶち抜かれた身体の穴に設置されたプロペラが、そのシュールさを加速させているように感じられます。

入口近くの、タムラさんの真骨頂のひとつでもある電球を用いたインスタレーション。

50のスイッチと50の電球、通常は付きっぱなしなのですが、回転する棒が草むらのように尖端を伸ばしたスイッチの群れを通過するとカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャとスイッチが音を立てながら同時に電球はランダムに消され、なんともいえない時間のイメージが沸き起こってきます。

タムラサトル303

タムラサトル302

およそ3分置きにバサバサとはためく風車も。

何故そうかと問われると言葉に詰まりそうですが、回転している時に起こる風が涼しかったこともあって好印象、もはや「美」ではない機能の究極形に妙な感慨も湧いてくるから不思議です。

タムラサトル304

他、数点の映像作品なども発表されていて、さすがに階上の都合で火花の作品こそ出品が見送られていたのですが、タムラさんのある一端が力強く垣間見られた感じが嬉しいです。

金昌永 -Kim Changyoung- From where to where

東京画廊

東京都中央区銀座8-10-5-7F

7/16(水)~8/9(土)日月祝休

11:00~19:00(土:~17:00)

金昌永080716.jpg

Kim Changyoung From where to where

Tokyo Gallery

8-10-5-7F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

7/16(Wed)-8/9(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00(Sat:-17:00)

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精緻な再現力と、素材の表現の不可避性とのせめぎ合いが堪らない。

東京画廊での金昌永さんの個展です。

DMや画像などで拝見した段階では、写真かと思っていたのですが、実際に作品を拝見した時の驚き、衝撃はそれはもう凄まじく。

画面にびっしりと敷き詰められた粒子の粗い茶色の砂。そこで緻密につくり出される凹凸感と、さらにていねいに彩色されて生み出される陰影とにより、もはや写真以上の臨場感で、砂浜の風景が眼前に再現されています。

金昌永05

粗い砂の粒子には思いのほかさまざまな色のものが入り込み、それがこういったかたちで用いられることで、実に独創的な風合いを生み出しているように感じられます。

それぞれ、遠くへと淡々と続いていくようなシンプルな遠近感が取り入れられていることも、ここで発せられている臨場感に大きな説得力をもたらしているようにも思えます。

金昌永02 金昌永03 金昌永04

金昌永01

至近の光景をトリミングしたような作品の重厚に迫る感じとともに、強く惹かれるのが、ずっと遠くへと続いていく、そこの風景をほぼ水平視線で俯瞰するように描かれた作品。

手前に広がる比較的大きな砂の凹凸のリアルさにまず意識が引き寄せられ、そこから画面の遠いほうへと視線が動いていった時、ある部分で「景色」が消えるような感触が伝わります。

用いられる砂の粒子の大きさにより、その粒子の単位よりも細かい陰影を再現することが不可能となる瞬間があり、その「風景」と「素材」との認識が入れ代わるギリギリのポイントで発せられるスリルがホントに堪らなく感じられます。

一転して立ちのぼる、凪の趣で静かに横たわるように広がっていく抽象的な美しさ。過剰にも思える描写力が放つ衝撃の向こう側の静謐へと誘われるような。

金昌永10 金昌永09 金昌永08

金昌永07

画面のサイズやそこで再現されている風景の縮尺感こそそれぞれ異なるものの、展示されているすべての作品は色彩的にもモチーフ的にも統一されていて、凛とした空間が構築されています。

砂の色彩の味わい深さなども力強く伝わる、さまざまなイメージが強く印象に残る展覧会です。

金昌永06

Seeing Time Satoshi Osuka|時をみる 大塚聡

hiromiyoshii

東京都江東区清澄1-3-2-6F

7/12(土)~8/2(土)日月祝休

12:00~19:00

大塚聡080712.jpg

Seeing Time Satoshi Osuka

hiromiyoshii

1-3-2-6F,Kiyosumi,Koto-ku,Tokyo

7/12(Sat)-8/2(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

静かに紡がれていく「時」。

hiromiyoshiiでの大塚聡さんの個展です。

一昨年のTSCA KASHIWAでの個展も印象的だった大塚さんですが、今回も奥へと光が放たれるテクノロジカルな作品と、スケールを用いたユニークな構成の写真作品、そして知性を刺激されるインスタレーションが展示されています。

ギャラリーの入口に近いスペースの壁面に展示されている、透明プラスチックのスケールを用いた写真。

自然の美しさが際立つもの、そこに刻まれてきた時の積み重ねを感じさせるものなど、奥深さを滲ませるさまざまな光景が捉えられ、二つの光景を隣り合わせにしたり細かく分割して交互に並べ変えるなど、ユニークなアプローチが施され、そこに方眼が刷られている透明のスケールが上から被せられることで、理知的な雰囲気も静かに伝わってくるように感じられます。

大塚聡003

大塚聡004

透明感溢れる色彩感がスケールによって更に押し上げられ、写真の荘厳な雰囲気とスケールの方眼の現実感、それぞれの縮尺のギャップが究極的に緻密なコントラストを奏でていて、ただ風景の写真を眺めているのとは異なるイメージを惹起してくれるような感触が興味深いです。

大塚聡002

大塚聡001

光を用いた作品は、あらためて言うまでもなく、フューチャリスティックな質感が発する神々しさとミステリアスな雰囲気が堪らないです。

ジュラルミンケースのなかに組み込まれた異空間。果てしなく遠くへと続くようなそのケースの奥へと飛んでいく光は、繊細な軌跡を描きながら、無音のリズムを伴って淡々と「時」を紡いでいくような。

大塚聡005

大塚聡006

正面の壁面に展示された作品は、その光の軌跡が独創的な美しさを奏でます。

「8」の字を描くように、ゆるやかに動く光の軌跡。比較的大きな鏡面を静かに這うその軌跡を目で追っていくだけで、時間を忘れてしまいそうなほどに気持ちが入り込んでいきます。

大塚聡007

大塚聡008

小さな部屋で展開されているインスタレーションは、知性を力強く刺激してくれるような雰囲気が静かに充満しています。

光の粒がスクリーンに滲み、それが消えては光り、を繰り返していくのですが、この光源がさまざまな写真のフィルムを透過してきていることを知ると、そこに収められたさまざまな光景がすべて一様に「光」へと還っていくようなイメージが沸き起こってきて、不思議な感慨が心のなかに広がっていきます。

このスペースの入口近くに設置された棚の存在も、この空間のイメージ的な奥行きをさらに深めているような印象を与えてくれるような感じです。

さまざまな手法と角度で「時」を提示しているような、実に深遠なイメージをもたらしてくれる展覧会です。

TARO NASU "Opening Exhibition II"

TARO NASU

東京都千代田区東神田1-2-11

7/18(金)~8/9(土)日月祝休

11:00~19:00

TARO NASU 080718.jpg

TARO NASU "Opening Exhibition II"

TARO NASU

1-2-11,Higashi-kanda,Chiyoda-ku,Tokyo

7/18(Fri)-8/9(Sat) closed on Sunday, monday and national holiday

11:00-19:00

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TARO NASUのこけら落としの第2弾、若手の日本人ペインターをフィーチャーしたグループショーです。

東神田に移転したTARO NASU、1階の事務所と瀟洒なミーティングルーム、そして地下の高い天井のギャラリーと、これからここでどんな展覧会が行われるのだろう、と期待がぐんぐん膨らみます。

地下ということもあり、床の形が長いギャラリーには3本の柱があるのですが、インスタレーションのアーティストも多く所属するTARONASU、これをどういうふうにアレンジし、クリエイションのなかに取り込んでいくかを考えるだけでもワクワクしてきます。

今回は平面のアーティストが揃えられ、その個性がヴィヴィッドに発揮されています。

1階のミーティングルームに展示されている長谷川純さんの作品。

くっきりとクリアな色彩感、ポップな線描、そしてなんといってもフォルムそのままのかたちにカットされた支持体がとにかくキャッチーで、しかし落ち着いた色調とどこかアンニュイな雰囲気が渋く知性を漂わせるような印象です。

長谷川純04 長谷川純03 長谷川純02

長谷川純01

手すりのない階段を降りていくとその正面に渡辺聡さんの小品が展示されています。

キャンバスにシールが貼られた状態で一旦ペインティングを完了し、貼ったシールを剥がして別の同サイズのキャンバスに配置し再構成する、という実にユニークな手法で、ふたつに分割された画面のコントラストはやはり面白いです。

渡辺聡01

秋吉風人さんは、今回はゴールド一色の画面に色面の流れで図形的な奥行きを構築している作品。

究極的にシンプルな構成ですが、そこから放たれるシャープな感触に魅入られます。

秋吉風人01

秋吉風人02

今回初めて紹介されるひとり目のアーティスト、佐々木憲介さん。

ヴィヴィッドな色調で描き出される4点のオイルペインティング。陽炎のようにぼやけ、ゆらゆらと揺らめく色使いが醸し出す気品が、まだまだ未完成な魅力のなかから溢れてくるようで、奥行きのあるストーリー性をを紡いでいるように感じられます。フレッシュさと老獪さとが同居するようなその独特の味わいに引き込まれます。

佐々木憲介05 佐々木憲介03 佐々木憲介04

佐々木憲介01

大竹竜太さん、斬新な展開に驚かされます。

長い壁面にずらりと並ぶ、アニメーションチックなポートレイト群。

ほぼすべての画面はフューチャリスティックなシーンで統一されています。

このテイストで刺激されるのが、ほぼすべての日本人が共有する「既視感」で、それをこういったかたちでやってのけられることが痛快です。

大竹竜太04 大竹竜太03 大竹竜太02

大竹竜太01

もうひとりのニューカマー、厚地朋子さん。

こちらは構成がとにかく興味深いです。

工事現場に張られるパーテーション。そこに描かれているのが、そのパーテーションの向こう側を観んとする人々の群れ。ひとつの画面にふたつの方向が交錯し、それが実にユニークな奥行き感を放っています。

さらに、ひとつひとつの色面の描かれ方も見応えがあって深いです。

厚地朋子03 厚地朋子04 厚地朋子02

厚地朋子01

いちばん奥に展示されているのが、昨年末の個展も印象的だった薄久保香さん。

大きな画面に緻密なグラデーションでていねいに紡ぎ上げられるように描かれた、毛糸の鞠。そこにさまざまな身近なものが組み合わさって、鳥の頭を思わせます。

そういうユーモアはいわゆる「笑い」へと直結することなく、大きな画面に大きく描かれていながら迫るような圧迫感もなく、ただただ淡々と、その「美しさ」を静かに漂わせているように感じられます。

薄久保香001

新生TARO NASUへの期待はよりいっそう高まった次第で、この豊かなポテンシャルをたたえる新たなスペースと、この移転に伴いしばらくお休みしていた大阪のスペースの再始動と合わせ、今後の展開がホントに楽しみです。

KYOTARO「天界トリップ」

ミヅマ・アクション

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル5F

7/9(水)~8/9(土)日月祝休

11:00~19:00

KYOTARO080709.jpg

KYOTARO "Heaven's Trip"

MIZUMA ACTION

1-3-9-5F,Kami-meguro,Meguro-ku,Tokyo

7/9(Wed)-8/9(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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めくるめくモノクロームの絢爛。

ミヅマ・アクションでの青木京太郎さんの個展です(ちなみにKYOTAROさん、女性です)。

洋紙とキャンバスの作品が空間を取り囲み、さらには壁面にまでその世界は展開していって、鉛筆による曲線が織り成すうねりは留まるところを知らず、力強く観るものの意識を呑み込んでいきます。

まず、額装作品がお出迎え。

白い額の清々として爽やかな風合いのなかに、緻密でダイナミックなうねりが凝縮されています。

KYOTARO 01

鉛筆画という究極的にシンプルな色調構成でありながら、KYOTAROさんが描く世界から伝わるイメージは絢爛きわまりなく、臨場感溢れる色彩が満ちていくように感じられます。

入口から壁伝いの順に眺めていって、額画の次に迫る、凛としたその姿を晒す一角獣。

隆々として艶やかな毛並みと豪勢な両翼、そしてセクシーな瞳をたたえ、そこから発せられる光の動線と煙る雲が、その存在感をさらに神々しく押し上げているようも思えます。

KYOTARO 03 KYOTARO 05 KYOTARO 04

KYOTARO 02

KYOTAROさんの作品群からは、描かれるモチーフそのものがもつ雰囲気や緻密な曲線のたわみなど、ある種のジャポネスクをその感触から汲み取られるのですが、そういう第一印象に僅かに違和感が忍んでいるような気が。。。

キャンバスや洋紙を用いていたり、鉛筆画であったりという要素もその一助となっていることは否定できませんが、不思議と西洋的な印象が伝わってきます。

繊細なグラデーションなどに魅入られていると、想像ではむしろ「少女マンガ」的といってもいいくらいに、幻想的な風合いを奏でているように感じられます。

今回出品されたなかでももっともドメスティックなモチーフを画面いっぱいに描き切られた昇竜図。ダイナミックな奥行きなどにより凄まじい迫力を発散している力強い作品ですが、そこから伝わるイメージが不思議と西洋的に感じられるのも興味深いです。

KYOTARO 06

そして、キャンバスの作品。

正面の壁面いっぱいを使い、、エネルギーと躍動に満ちたダイナミックなシーンが展開されています。

KYOTARO 07

キャンバスということもあり、用いられているの鉛筆だけではなく、その鉛筆で描いた上からも白が重ねられ、青味がかって感じられるほどに白の鋭さが際立たち、それが繊細なグラデーションに透明感をもたらしているようにも感じられます。

そんななかに描かれている、画面中央からこちらの世界を射抜くように力強い視線を送る龍の神々しさと存在感。ぐんぐんとどこまでも膨らみ続けるような気配の発散とともに、凄まじい臨場感が容赦なく迫るような感触も痛快です。

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KYOTARO 08

独特の世界観が醸し出す妖艶な魅力に包まれる感触が強く印象に残ります。

鉛筆画というメディアでありつつ、そこから放たれる高貴な雰囲気には、現代の日本で長きに渡って積み上げられた「マンガ」の美しい部分を抽出し、その究極を感じさせてくれるような気がします。

不思議なドメスティック感覚はたいへん新鮮で、鉛筆画としての「緻密さ」の魅力も、描かれるシーンが放つストーリーを想像したときの面白味も溢れています。

KYOTARO 13

泉太郎「ジャングル・ブック」

Gallery Stump Kamakura

神奈川県鎌倉市一二所848

7/5(土)~7/27(日)月火水休

13:00~20:00

泉太郎080705.jpg

Taro Izumi "Jungle Book"

Gallery Stump Kamakura

848,Juniso,Kamakura-shi,Kanagawa-ken

7/5(Sat)-7/27(Sun) cloesd on Monday.Tuesday and Wednesday

13:00-20:00

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泉太郎最強説。

Gallery Stump Kamakuraでの、映像作家、泉太郎さんの個展です。

はじめて泉さんの展示を拝見したのは六本木にあった頃のHIROMI YOSHIIの5階の踊り場のスペースでだったのですが、そのとき持った印象は今もほぼ変わらず。

その後も拝見する機会はあって、作風といいスタンスといい、相変わらずのペースに「しょうがないねこの人は」と呆れつつ、それが実は泉さんのクリエイションへの讃美の表現になっている、という...。

泉太郎004

で、なぜに「最強」なのかと。

おそらく、泉さんにはこちらの「攻撃」が効かないのでは、と思うワケです。

ご本人とお会いしていろいろとお話ししたりする印象では、失礼ながらけっこう「打たれ弱い」印象の方なのですが、仮に「攻撃」を受けたとしても、まず作風に何らかの影響を及ぼすとはちょっと考えづらいなぁ...と。

加えて、「分からない人は....ま、いいか。」的な、自身の作品への積極的な諦めのようなものも感じられます。

泉太郎006

泉太郎005

しかし、泉さんが繰り出す「攻撃」、すなわち作品のインパクトはこれはこれで相当に破壊力があるから厄介で(汗)。

敢えて例えるとしたら、その昔、確か「笑ってる場合ですよ」という番組で東京乾電池がやってたコントで、ベンガル扮する正義の見方が繰り出すしょーもない技に高田純二が「そんな子供だましがぁ!・・・効いた~」とやられてしまうという、そんな類いの攻撃。

・・・・・。

例えが伝わりづらくてスミマセンスミマセン。orz

泉太郎014

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なんやかんやとワケが分からないことを書いてきましたが、とにかく面白い!

編集時にはDVDが用いられるとのことですが、撮影や構成は超初期的な手法によって、これらの作品が制作されているそうで、テクノロジーが猛スピードで進化を遂げ、思いついたことは道具によってほぼ何でも再現可能になっているし、さらになっていくこの御時世に、このプリミティブなプロセスが醸し出す純粋さが堪らなく「おかしみ」のツボを刺激してくれます。

今回の展示では、いつもの各部屋と庭(!)にさまざまな映像作品が配され、それぞれが何の関係もなく、しかもオチもなく、淡々と強烈な衝撃波を観る人に与え続けている、そういう構成になっています。

多くの作品では泉さんご自身の無意味で、無意味だからこそ面白すぎるパフォーマンスを捉えていますが、なかには一般の人が登場しているものあり、「日々の生活にこういう視線が光っているのか・・・!」と思うとある意味で空恐ろしくなったり(笑)。

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いちばん複雑な構成になっているのが、モニターをカメラが捉え、その映像をリアルタイムで別のモニターに映し出し、さらにそれをまた別のカメラが...という、こういうのは思いつくけど実際に行われるとやっぱすげぇ、と感じさせられる映像インスタレーション。

ぶっちゃけ相当に足元が邪魔だろ!Σ( ̄口 ̄;)

という感じもなくはないものの、逆にその「かき分けて進む」感触がまたスリリングだったり、この複雑な過程を経て最後のモニターに映し出される荒れ荒れの画質に妙に魅入られたり、結局のところ泉ワールドにまんまと嵌められていて、それがもう痛快で痛快で。

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泉太郎001

各所にドローイングやエスキースも多数展示されていて、

泉さんの脳内はやっぱりこうか!Σ( ̄口 ̄;)

と唸らされたり。

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膝の力をカクンカクンと抜かれて、アチャーと世界でいちばん緩くてぬるい断末魔が心のなかに響き渡るような、どうしようもなくどうしようもないクリエイション。

しかし、全体に一貫するタフさもしっかりと伝わります。

期待すればするほどその期待を期待通りに裏切っていく、この唯我独尊なクリエイション。

これからどんなふうになっていくのか、期待も高まりますって期待もきっと期待通りに裏切られるんだろうなって期待しちゃってたりしててああもうなんだかワケ分かんなくなってきた(≧∇≦)ノ゛

泉太郎003

STRENGER PROJECT Part1 Youhei SUGITA & Natuko UNO

GALLERY STRENGER

東京都港区麻布十番2-12-4 第2コーポービル

7/11(金)~8/9(土)月要予約

12:00~19:00(日祝:13:00~18:00)

杉田陽平 卯野夏子080711.jpg

STRENGER PROJECT Part1 Youhei SUGITA & Natuko UNO

GALLERY STRENGER

2-12-4,Azabu-juban,Minato-ku,Tokyo

7/11(Fri)-8/9(Sat) apponintment only on Monday

12:00-19:00(Sunday and natinoal holiday:13:00-18:00)

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GALLERY STRENGERでの、若い二人のアーティストをフィーチャーした展覧会です。

1階では、卯野夏子さんの作品が展示されています。

日常的で、でもその日常のなかの気付かない範囲にある非日常的な風合いを捕らえ、画面に描き出していくような独特な雰囲気が印象に残ります。

卯野夏子08

多くの作品でアクロバティックな額装、もとい額ではないのでどう表現すればいいか悩ましいのですが、ちょっと変わった提示がなされているものの、落ち着いた背景の色調や精緻な具象性など、総じて生真面目な静物画の様相を呈しているのですが、そこから緩やかに溢れる空気感は、何故だか、ほんのりとシュールな感触を漂わせているような感じです。

ギリギリの緊張感が伝わってきたり、あるいは静かに続く妖しい気配の存在が感じられたり。

卯野夏子01 卯野夏子03

卯野夏子02

多くの作品では登場する人はおよそ手のみで、それが匿名性やシチュエーションの希薄さを発しているのも印象的なのですが、1点だけ女性の表情も描かれた作品が展示されていて、一転して、淡々としていつつも強烈に濃密なストーリー性が感じられます。

卯野夏子05 卯野夏子06 卯野夏子07

卯野夏子04

2階には杉田陽平さんの作品が展示されています。

まず心を奪われるのは、階段の壁面に展示された作品。

杉田さんの最近の油絵の具のプレートをキャンバスに重ねていくスタイルの作風がさらに進化し、その極度に立体的な画面の奥に描き込まれた暗い視線を送る目に、刹那、驚かされます。

杉田陽平201

大作が展示されているのはたいへん嬉しいです。

比較的生活空間に近い雰囲気の展示スペースですが、杉田さんのこの強烈な画風はこの重鈍さを弱めることなく、空間の柔らかな雰囲気に混沌をもたらしているかのように感じられます。

杉田陽平204 杉田陽平203 杉田陽平206 杉田陽平205

杉田陽平202

ミニマムな視点で眺めていったときの複雑に絡まりあうさまざまな色彩のうねり、全体で眺めたときの過を重々しく、かつ荘厳に滲ませる剰あな濃密さ。オリジナリティ溢れるこのスタイルは時を経るごとに着実に緩やかな進化を遂げているように感じられます。

最初にこの手法の作品を拝見したときよりも描き出される光景のダイナミズムがいっそう壮大になっているのも興味深いです。

杉田陽平211 杉田陽平210 杉田陽平208 杉田陽平209

杉田陽平207

そういった作品が額装されたものも。

アバンギャルドさはそのままに、絵画性が凛と立ち上がってくるように感じられるのも面白いです。

杉田陽平212

《7/18》

田内万里夫 "PSYCHE-GA-DEILC 2008"

void+

東京都港区南青山3-16-14-1F

7/18(金)~7/31(木)日月祝休

14:00~19:00(土:12:00~)

void+の空間としての機能を活かしたマジカルなインスタレーションが繰り広げられています。

鏡面に描かれるマリオ曼陀羅、ダイナミックな曲線のうねりが放つ、イメージを呑み込むような有機的な奮起とその奥に映し込まれる景色の硬質さ、このギャップが絡み合って独特の世界が作り上げられていて、体感する空間として濃密な刺激を受けるような感触が伝わります。

「続・続」展 大平龍一 森一朗

@市田邸

東京都台東区上野桜木1-6-2

7/19(土)~7/27(日)7/26休

11:00~19:00(最終日:~18:30)

続・続080719.jpg

木彫の大平龍一さんと陶芸の森一朗さんの二人による展覧会です。

旧家屋の滋味溢れる独特な風合いのなか、畳が敷かれた床の間に展開される森さんの陶芸彫刻。身体と抽象的な光景とが混ざりあい、それが畳の間の和の風合いとかかわり合い、不思議な空間をつくり出しています。敷かれる畳が海面を思わせるダイナミズムがたいへん興味深く感じられます。

今回の展示のために制作された大平さんの作品は、意表を突く場所に展示されています。遠目に眺めるぶんには金色で展開するパターンなのですが、その実、無数の蝉が整然と並んでいて圧巻。人海戦術の果てに生み出された超現実的な光景に圧倒させられます。

そして、大平さんで畳といえば例のアレの再登場もあり、嬉しい限りです。

《7/19》

シリーズ「旅するふたり」第2回展 池田晶紀+ワタナベアニ「ふたりのサイゴン」

CALM & PUNK GALLERY

東京都港区西麻布1-15-15 浅井ビル1F

7/18(金)~7/30(水)

11:00~19:00

サイゴン080718 1.jpg サイゴン080718 2.jpg

ふたりの写真家による、ベトナム、サイゴンでの光景を捉えた写真の展覧会です。

まず、入口側の壁面。ワタナベアニさんのコーナーで、こちらにはオートバイに乗るサイゴンの人々の写真が壁面を埋め尽くしています。

それぞれどこかからりとした抜けるような感触が、なんだか嬉しさを心にもたらしてくれます。

ふたりのサイゴン05

奥の壁面は、池田晶紀さんのさまざまなサイズやプリントによるものが所狭しと展示されています。

池田さんの統一感のある展開とは一線を画すかのように、その土地の日常が日常のまま切り取られたような場面が並んでいます。

ふたりのサイゴン02

ふたりのサイゴン03

そして、もうひとつの壁面もアニさんの写真。

こちらは一転して、アーティスティックなアプローチが楽しいです。

2点から4点の写真がひとつの額に収められているものは、その関係性からいろんなイメージが醸し出されているような感じで、繋ぐ時間を鑑賞者の想像で埋めていく面白さにも満ちています。

ふたりのサイゴン01

ふたりのサイゴン04

東南アジアを実感として知らないのですが、比較的最近(といっても4、5年前のような気もするのですが...)読んだ真保裕一の「黄金の島」というハードボイルドミステリーで、そこに文章で東南アジアの日常や社会などが書かれていて、そのときに思い浮かべた想像が記憶となって残っているのですが、その「記憶」のディテールをこの展覧会が埋めてくれているような感じがして、それがなんとも嬉しいです。

金昌永 -Kim Changyoung- From where to where

東京画廊

東京都中央区銀座8-10-5-7F

7/16(水)~8/9(土)日月祝休

11:00~19:00(土:~17:00)

金昌永080716.jpg

DMを拝見した限りでは写真かと思っていたのですが、実際に作品を前にすると、凄まじい写実性と粗い粒子の素材のユニークさが充分活かされた珠玉の展開にただただ呆然とするばかりで。

見応え充分の作品群。

後藤靖香 個展「よせがき」

MUSEUM at TAMADA PROJECTS

東京都中央区月島1-14-7 旭倉庫2F

7/8(火)~8/14(金)日月休

12:00~19:00

後藤靖香080708.jpg

TWS本郷での個展と、同ギャラリーで行われたグループショーで拝見している後藤靖香さん。

今回は個展で、この複雑かつ、だからこその壁面の広さを誇るMUSEUM at TAMADA PROJECTSの空間の個性とがっぷり四つに組み、生のキャンバスや包装用のロール紙などに大胆な筆致で描かれた巨大な画面の作品がどん、どんと展示され、圧巻の構成が繰り広げられています。

太平洋戦争の兵隊をモチーフに描かれた作品群は、大きな画面ながらそれが狭く感じるほどに、あるい映画館で観る映画のの迫力にも似た密度で描かれ、暗く、悲しい覚悟に満ちた場面がそれぞれの壁面に綴られています。小学生の頃に学んだ間接的な戦争体験が呼び起こされるような感覚を呼び起こされるような。

実に力強い展覧会です。

個人的には明るいのが好きなので、もし機会があれば後藤さんのそういった作品も観てみたいです。

TARO NASU "Opening Exhibition II"

TARO NASU

東京都千代田区東神田1-2-11

7/18(金)~8/9(土)日月祝休

11:00~19:00

TARO NASU 080718.jpg

東神田に移転したTARO NASUのこけら落としのグループショーの第2弾、今回は若手の日本人ペインターがセレクトされています。

今回がデビューの二人のアーティストの新鮮な個性、同ギャラリーではすでにおなじみのアーティストたちの新展開など、楽しくもあり、今後への期待感もぐんと高まる構成が嬉しいです。

桑久保徹

TOMIO KOYAMA GALLERY

東京都江東区清澄1-3-2-7F

7/19(土)~8/9(土)日月祝休

12:00~19:00

桑久保徹080719.jpg

素晴らしい!

これまで何度か作品を拝見している桑久保徹さんの個展、これまではゴッホを彷佛させる独特な絵の具の使い方で力強い風景などを描き上げた作品の印象が強かったのですが、今回はさらにオリジナリティが突き詰められたかのような、ユニークかつ説得力のある空間性とそこに盛り込まれる要素の面白さがとにかく楽しく、ずっと眺めていても飽きることのないシーンがダイナミックに展開されています。

《7/20》

泉太郎「ジャングル・ブック」

Gallery Stump Kamakura

神奈川県鎌倉市一二所848

7/5(土)~7/27(日)月火水休

13:00~20:00

泉太郎080705.jpg

今回の展覧会において、僕のなかであらためて

『泉太郎最強説』

が芽生えました。

無論よい意味で、こんなにどうしようもないしょーもない唯我独尊っぷりにただただ感嘆。

最高です。

この日は、stumpの他に横浜そごうでの呉亜沙さんの個展も観てきました。

これもすごくよかったです!

さまざまな空間を描いた作品、アトリエがモチーフとなった大作、キュートなアニメーションなど、会期が1週間なのがもったいない展示でした。

《7/21》

堀恵子展

ぎゃらりぃ朋

東京都中央区銀座1-5-1 第三太陽ビル2F

7/21(月)~7/26(土)

12:00~19:00

堀恵子080721.jpg

全体的に抑え目のトーンながら、軽やかな色の構成が楽しく、そこに施される線のスクラッチが独特の味わいを醸し出しています。

以前の個展の時よりもさらに「今」の感性が自然に織り込まれ、ちょっとユーモラスな雰囲気が滲んでいるように感じられるのもいいんです。

堀恵子102 堀恵子101

堀恵子103

いわゆるコンテンポラリーアートシーンのうねりに接し、そのダイナミックな動きに翻弄される痛快さの一方で、この堀さんのような、オーソドックスなスタイルの絵画が奏でる「和み」もやっぱり捨て難く...。

「どこに飾ってあったら楽しいかなぁ...」と想像するときの静かな高揚感。きっと過ごした時間の積み重ねが作品に奥行きや深みをもたらすだろうなぁ、というのんびりとした好奇心がほっこりと沸き起こってきます。

堀恵子105 堀恵子106

堀恵子104

早川剛

K's Gallery

東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル6F

7/17(木)~7/29(火)

12:00~19:00(土日:11:30~17:30)

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まず、この小さな空間によく展示したなぁ、という巨大な作品に呆然!

早川さんのアグレッシブで焦燥感が交錯する抽象世界がこのサイズで展開されるともう、観る側としては白旗を掲げて無条件降伏。凄まじい圧巻の光景です。

早川剛105 早川剛104 早川剛103

早川剛101

そして、比較的(というかこの作品と比較すると大抵のものは小さいわけですが)小さな作品でもその世界にさまざまなバリエーションがもたらされているのも興味深いです。

切迫するようなある種の狂気を秘めた抽象性を保ちながら、どこかに具象的なイメージの源を漂わせるような作風のものもあり、その展開も楽しみです。

早川剛106 早川剛108

早川剛107

距離感主義 高松和樹展

@Gallery銀座フォレスト

東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル5F

7/21(月)~7/26(土)

12:30~19:00(最終日:~17:30)

高松和樹080721.jpg

GALLERY b.TOKYOでの個展から、短いインターバルで開催される高松和樹さんの個展、今回はテーマもぐっと絞り、「視点と物体」、「現実と妄想」という2種類の「距離」を織り込んだ作品が出展されています。

高松和樹301

ジークレー版画の高精度な再現性を活かし、グラフィカルに展開、再現されるさまざまな妄想。

妄想の温度と作風のクールさとのギャップもたいへん興味深く感じられます。

高松和樹303 高松和樹302 高松和樹304

高松和樹305

竹川リサ 添景

ギャラリー現

東京都中央区銀座1-10-19 銀座一ビル3F

7/21(月)~7/26(土)

11:30~19:00(最終日:~17:30)

竹川リサ080721.jpg

一昨年の日経日本画大賞展で印象に残った竹川リサさんの個展です。

滲むグラデーションが醸し出す幽玄な雰囲気が堪らないです。

竹川リサ05

厚めの麻紙を支持体とし、そこにまず墨で描かれ、そのグラデーションの上に水彩絵の具と僅かな油絵の具を乗せて仕上げる、という実にユニークな過程を経て紡がれる独特の光景。

揺らめくような深遠な色彩感、そして至近で眺めたときに画面に浮かぶ麻紙の繊維の臨場感。

竹川リサ02 竹川リサ03

竹川リサ01

油彩とはひと味もふた味も違う独特の感触。

同時に、いわゆる日本画とも異なる、どこか澄んだような幻想的な風合い、凛とした緊張感を感じさせてくれるのも心に残ります。

竹川リサ04

金子朋樹

Gallery Q

東京都中央区銀座1-14-12 楠本第17ビル3F

7/21(月)~7/26(土)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

金子朋樹080721.jpg

特に大作において、全力で燃えるような創造性を画面に激しく投入していくような、アグレッシブな日本画を制作されてきた金子朋樹さんの久々の個展です。

今回は、そのアグレッシブさが影を潜め、ほぼ無彩色の構成で、衝動から冷静へと趣を変えたような、」しかし金子さんらしい激しい筆致はそのまま、という作風のものが並び、深遠なイメージをもたらしてくれます。

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金子朋樹105

例によって大作の屏風作品も。

こちらもこれまでになく、沈み込むような深遠さと、静かに広がる壮大さが伝わってきます。

画面に描き出される富士山のシルエットがもたらすイメージはどこか神々しさをはらんでいるように感じられます。

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金子朋樹101

この独創的で情動的な筆致で、もし桜などのいわゆる日本画的な主題に挑まれたらどういう世界があらわれるか、たいへん興味があります。

多田布美子展

ギャラリー山口

東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル1F

7/21(月)~7/26(土)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

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これまでも折りに触れて拝見している多田布美子さんの、国内では久々の個展です。

下地とその表面に張られた透過性のある薄い布、この2層で繰り広げられる浮遊感溢れる抽象的な光景。広い空間に大作を中心に展示され、宇宙を連想させるおおらかな深みに満ちた空間が作り上げられています。

大竹夏紀展

GALLERY b.TOKYO

東京都中央区京橋3-5-4 第1吉井ビルB1

7/21(月)~7/26(土)

11:00~19:00(金:~21:00、最終日:~17:00)

大竹夏紀080721.jpg

圧巻のろうけつ染め。

ヴィヴィッドな彩色に加え、細かいピースがいくつも連なって構成され、祭りのときの熱を思わせる緻密で大胆な展開に圧倒されます。

大竹夏紀04 大竹夏紀02 大竹夏紀03

大竹夏紀01

小さなパーツが重なる作品、パネルの作品と、「もの」としての感触こそ異なるものの、その未来的な雅びやかさは突き抜けるような圧巻さを放ちます。

緻密なグラデーションはわずかな色面でも高精度で、それがひとつの壁面に凝縮されたときの説得力にも脱帽です。

大竹夏紀05 大竹夏紀07

大竹夏紀08

《7/22》

debut! ver.YUKO MURASE 村瀬裕子 個展

谷門美術

東京都港区北青山3-3-7 第一青山ビル1F

7/19(土)~8/8(金)日月祝休

13:00~19:00

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なんかもうワケが分からない!

でも楽しい!

このツッコミどころの多さにはある種の潔ささえも強烈に感じる、ユーモアに満ちたクリエイションです。

原良介「ゆらめき地平面」

YUKA SASAHARA GALLERY

東京都新宿区西五軒町3-7 ミナト第3ビル4F

7/5(土)~8/9(土)日月祝休

11:00~19:00

原良介080705.jpg

Ryosuke Hara Flickering Horizon

Yuka Sasahara Gallery

3-7-4F,Nishi-gokencho,Shinjuku-ku,Tokyo

7/5(Sat)-8/9(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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薄い層のなかに軽やかに封じ込められる時間と空間。

YUKA SASAHARA GALLERYでの原良介さんの個展です。

下地の潔い白の広がりが引き立てる、その上に乗る色彩の鮮やかさ。

原さんの作品の好きなところでもある、伸びやかで透明感溢れる色彩感がいっそう爽やかに広がっています。

原良介006

入口正面の壁面に展示されている作品は、重なり緑の鮮やかさがなんとも心地よいです。

陽射しを受けた新緑が、そのいきいきとした生命力を放ち、風を受けてダイナミックに靡く...画面全体から伝わるそういう痛快なフレッシュさと、至近で眺めたときに気付く1本1本のストロークから放たれる、描く行為としての伸びやかさ。

よい意味での粗さが嬉しいです。描きたいイメージとの時間的な距離をギリギリ最短に縮めていて、その粗さが生み出している「隙き間」は鑑賞者のイメージでどんどん埋めていくような感じで、それがさらに描かれる光景のイメージの広がりをも加速させているようにも思えます。

原良介009 原良介007 原良介008

原良介010

こういった自然の光景をモチーフにした作品がある一方で、もっとダイナミックな自然、宇宙を描いたものも数点展示されています。

原良介011

一瞬「断層かな?」と思ってその実、

・・・・・。

・・・・・!

木星か!Σ( ̄口 ̄;)

という作品、表面の木星の横縞がこういうふうに画面に納められていて、極めて分かりにくい、伝わりにくいわけですが、そのユーモラスな視点もまた嬉しかったり。

原良介005 原良介004 原良介003

原良介002

さまざまな縮尺感によって繰り出されるダイナミズムに加え、数点出品されているいかにも原さんらしい、一人の女性が無邪気に戯れる振る舞いの軌跡をひとつの画面に納め、ユニークな時間性を爽快感とともに奏でたおなじみの作品がひとつの空間に配されて、そのフレッシュな感覚、軽やかな色彩感や筆のストロークのおおらかさ、下地の白が活きる薄塗りの彩色などが鮮やかに、爽やかに立ちのぼってきます。

大作に描かれた充分な広さをもつ独特の場面も、そのさまざまな要素によって、さらに大きく広がっていくイメージを叶えてくれるような印象も心地よいです。

機会があれば、もっともっと大きな画面の作品も拝見してみたくなる、期待感や好奇心もおおいに膨らませてくれるクリエイションです。

原良介001

関根直子展

GALERIE ANDO

東京都渋谷区松濤1-26-23

7/8(火)~7/26(土)日月休

11:30~19:00

関根直子080708.jpg

Naoko Sekine exhibition

GALERIE ANDO

1-26-23,Shoto,Shibuya-ku,Tokyo

7/8(Tue)-7/26(Sat) closed on Sunday and Monday

11:30-19:30

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加速するシャープさと深遠さ。

GALERIE ANDOでの関根直子さんの個展です。

今年のVOCA展やMA2 GALLERYでのモノクロームがテーマの3人展、昨年だと目黒区美術館での鉛筆画のアーティストが多数フィーチャーされた展覧会など、関根さんの作品を拝見する機会は多かったのですが、今回出品された作品では、支持体となる紙の状態がこれまででもっともよく、ピンと張られてエッジが立ち、それが作品の雰囲気に大いに作用して、関根さんが描くモノクロームの世界にこれまででもっともシャープな雰囲気をもたらしているように感じられます。

関根直子004

GALERIE ANDOのおおきな特徴である、コンパクトで変形の空間に、ふわりと浮遊するようなやわらかな線の重なり、あるいはどこまでも深い濃厚な黒い色面がさまざまなサイズで並んでいます。

バリエーションに富んだ濃淡とストロークでさまざまなテクスチャーが生み出され、小品、大作共に、異なる空気の流れ、風の存在を感じさせてくれます。

関根直子003 関根直子002

関根直子001

大きな作品は、やはりそのサイズにより、よりおおらかな広がりがもたらされて、独特の雰囲気にすっと包まれるような感触が沸き起こります。

紙の微妙な凹凸に乗る鉛筆の黒が霧のように広がって、繊細な空気感を醸し出しているように感じられます。

関根直子008 関根直子007

関根直子005

強いストロークで無数の線が画面に広がる作品。

遠目で眺めたときのダイナミックな濃淡が生み出すうねりに感性が引き込まれるような錯覚が起こり、線が認識できる距離まで近付くと、今度は動物の毛並みを連想させるリアルな臨場感が伝わります。

関根直子010 関根直子011 関根直子012

関根直子009

最初にも述べましたが、紙の水張りの精度が格段に上がった印象が、関根さんの世界にもシャープネスをもたらしているように感じられ、そのことがたいへん嬉しいです。

よりシャープになった平面性が、画面の世界に広がりや引力をもたらし、繊細なテクスチャーがさらに際立っているように思えます。

関根直子013

増子博子「木+人」

Gallery Jin

東京都台東区谷中2-5-22 山岡ビル1F

7/17(木)~7/26(土)月火休(7/21は開廊)

12:00~19:00(最終日:~17:00)

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Hiroko Masuko "Tree+Man"

Gallery Jin

2-5-22-1F,Yanaka,Taito-ku,Tokyo

7/17(Thu)-7/26(Sat) closed on Monday and Tuesday (7/21 is open)

12:00-19:00(last day:-17:00)

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緻密な線が駆使されて、健やかにヴィヴィッドに育つ「盆栽」。

Gallery Jinでの、増子博子さんの個展です。

もう、とにかく素晴らしいです!

ペンで描かれる緻密な線描によるクリエイション。即興性の高い展開によって壮大な世界を紡ぎ上げています。

・・・しかし、基本的に「盆栽」であることが堪らなくユーモラスだったり。

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まず、入口にさり気なく展示されている「種子」

そもそも種子として相当にアバンギャルドな形だったりするのからして堪らなかったりするのですが、これが実際にイメージの源泉というか、ここから始まってさまざまな盆栽が生み出されているのも面白く感じられます。

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そして、つくり出された盆栽。

盆栽にはおそらく緻密な定義があって、その定義にどれだけ従っているのか分からなかったりもしますが、もはやそんなのどうでもいい!

これまで何度か増子さんの作品は拝見していますが、今までずんぐりとした感触だったのが一気にソリッドなフォルムへと変容して、それがこれまでとは違うおおらかさ、壮大さを生み出しているように思えます。

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今回出品された中でもっとも大きな作品、これがとにかく凄い!

画面が大きくなっても変化することのない情報密度に圧倒させられます。

そして、さまざまな種類の花や葉をつけ、それぞれが紋様としても実にユニークだったり、あるものは平面的な広がりを漂わせ、あるものは奥行きをもたらし、まず全体を一度で把握することが不可能な光景の各部分が異なるテイストを放っていて、見応えが充分、というより過激なほどに面白いです!

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それにしても、妖しげな味わいに満ちたフォルムの盆栽の絵が並びます。

「前衛盆栽」とでも呼びたくなるような、平面の世界だからこそ生み出されるシュールなかたち。

その意表をつく感触と、そこに収められる徹底した緻密な描き込みが、観ていて飽きさせない先鋭的な魅力を放っています。

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奥の小部屋に展示されている小品も、小粒だからこその魅力に満ちています。

ちいさな画面に描かれる盆栽は、不思議な縮尺感を放ち、小さいながらも壮大なイメージをもたらしてくれます。

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そして、新たな試みでもある和紙に描かれた作品。

洋紙の爽やかな白とはまた異なる、軽く赤茶けたような和紙の独特の味わい。それが、壮大な広がりをもたらす世界観を失うことなく、盆栽の日本的な雰囲気を盛り上げているように感じられるのも興味深いです。

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増子さんの作品を初めて拝見したのは一坪展のときで、もともと緻密な線描の作品は好きなこともあって一発でその魅力に引き寄せられたのですが、あらためて今回のように白い閉じた空間で拝見すると、そのシャープさと宇宙的な広がりを思わせる壮大なスケール感が力強く鮮烈な臨場感を伴って感じられ、感無量です。

色こそ登場しないものの、そこに描かれる形や模様は実にバリエーションに富み、思いつきでどんどん増殖してさせていく遊び心もふんだんに盛り込まれていて、とにかく眺めていて楽しい!面白い!

ぜひとも至近でご覧いただいて、さまざまな発見を堪能してほしい展覧会です。

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Girls' Zone 01 抜水摩耶×YUKARINA

Art Jam Contemporary

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F

7/7(月)~8/3(日)

12:00~20:00

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Girls' Zone 01 Maya Nukumizu x YUKARINA

Art Jam Contemporary

1-18-4-2F,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo

7/7(Mon)-8/3(Sun)

12:00-20:00

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恵比寿のNADiff A/P/A/R/Tのビルに新たにオープンしたArt Jam Contemporaryのこけら落とし、ユニークな二人の女性アーティストがフィーチャーされている展覧会です。

これまで何度か拝見し、その強烈なインパクトが頭から離れないパワフルでアグレッシブなクリエイションを繰り出す抜水摩耶さん。

日本のマンガのスタイルのある部分を踏襲したようなキャッチーでヴィヴィッドな顔立ち、出で立ちのキャラクターが、画面の中で相変わらずハイテンションで弾けまくっているような雰囲気は痛快です。

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無彩色でほぼ全面を統一されたフューチャリスティックな雰囲気が充満している大作。

画面の奥のほうから放たれる光の筋を連想させてくれるシャープな放射状の色面が交錯するなかで、さまざまな派手な装飾とラメをダイナミックに纏った女の子がこのサイバーな空間を高速で舞っているかのような、凄まじいスピード感が溢れています。

小さな部分に潜むように女の子がさらに描かれていたりしていて、俯瞰して得られる壮大なイメージとは裏腹に、緻密な描き込みに見入っていくのも楽しい!

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抜水摩耶01

ギャラリーのほぼ中央に置かれたテーブルに並ぶ小品。

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この「いっぱいいる!」って感覚がまた楽しかったり。

鉛筆やマジックなど、比較的身近なもので描かれていることで、親しみを感じると同時に、だからこそこうやって描かれている場面の勢いの凄さとのギャップがリアルな臨場感とともに立ち上がってくるような印象も湧いてきます。

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過剰なまでのヴィヴィッドさが大きな魅力の抜水さんとは対照的に、緻密な線を重ねて淡々と、やわらかい景色を紡ぐYUKARINAさん。

やさしい色調の短い線がひとつの大きくおおらかな色面とグラデーションを生み出して、どこか仄かな春の装いと、メルヘンチックな楽しい雰囲気を滲ませています。

しかし、そういう細やかな風合いの部分に気持ちが入っていくなかでひとたびその色面の部分から外れると、一転して力強いかたちが現れ、ひとつの画面の中に収められる二つの雰囲気の強烈なギャップに戸惑いを覚えます。妖艶に揺らぐ木々のシルエットが、心地よさと危うさとが隣り合うスリルを鮮烈に立ちのぼらせているような斬新な感触が新鮮です。

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白い額に収められた、ちょっとしっかり確認してないのですが、ペンか鉛筆の線が紡がれ、それが涼しげなシルエットを描きだしている作品が並ぶ壁面。

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シンプルさがそのまま爽やかな風合いを軽やかに放っているようで、同時に揺らめくようなシルエットのかたちが面白く、気持ちいい光景が広がっています。

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ふわふわと舞う綿毛のような線の軽やかさ。

それが無数に集まっても、その心地よい軽やかさは失われてることなく、ていねいな仕上がりに優しい気持ちが沸き起こってくるような...そして同時に、その脆さと、強い色面の妖しさとが独特の危うさも放っていて、さまざまなイメージの喚起を導いてくれるクリエイションです。

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中千尋展 Delicious

アートガイア・ミュージアム東京

東京都品川区上大崎3-1-4 RE-KONW目黒4F

7/11(金)~7/28(月)火休

11:00~19:00

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Chihiro Naka exhibition Delicious

ART GAIA MUSEUM MEGURO

3-1-4-4F,Kami-osaki,Shinagawa-ku,Tokyo

7/11(Fri)-7/28(Mon) closed on Tuesday

11:00-19:00

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水墨の濃淡が奏でるしなやかさ。さわやかな深み。

アートガイア・ミュージアム東京での中千尋さんの個展です。

中さんは、もともと初動などに親しみがあったわけではないのだそうで、僕自身水墨画について詳しくはないのですが、和紙と墨、という日本的な親しみのあるメディアであることを差し引いても、中さんが描く水墨画には実に日本的な、自分が日本人であるからこそ感じ取れる味わい深さが伝わってくるような印象を受けます。

特別なことをしているわけではないという素直で真直ぐな描きっぷり。そこに敢えて「狙い」のようなものを探るとしたら、植物を描いていながら、そのもっとも華やかな部分である「花」ではなく、葉、茎、実にむしろ焦点を当てているところで、ある瞬間に気付くふとした仕草から伝わってくる心地よさと近い感触を引き出し、それと同時に水墨画の面白さも引き出しているような印象を、中さんの描く水墨画から感じます。

いかにも力強い葉のたわみが伝わる、アロエを描いた作品。

一気の筆の運びでケレン味なく描き現されたダイナミックな佇まいに圧倒されます。

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こちらのスペースのもっとも長い壁面では、スクエアの小品がずらりと並んでいます。

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等間隔に並べられることで醸し出されるリズミカルな軽やかさ。

さまざまな親しみある植物がおよそ一種類似つき2点ずつ描かれ、それらがちょうど左右対称な構図で向かい合うように並べて展示されていたり、またそれぞれの画面の空間性の面白さなど、さまざまな見どころを秘めた構成が楽しいです。

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先のアロエもそうですが、なかにはオリーブなどの西洋由来の植物もいっしょに並んでいたりするのも、水墨画であることとのギャップなどがユーモラスに押田されているように感じられて面白いです。

繊細な濃淡によって、葉や実が陽射しを受けてその葉脈を透かすような風合いも奏でられていて、淡々としたなかに爽やかさがすっと織り込まれているような、さり気なくも洒脱な感触がまた堪らなく感じられます。

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この展示のメインを張る横長の圧巻の大作。

ヤツデの大きく力強い葉の迫力を、画面いっぱいに大胆な濃淡でダイナミックに描き上げ、充分な距離をおいて眺めてもその存在感は充分すぎるほどに伝わってきます。

無論、近付いて眺めたとき、その葉の大きさがダイレクトに伝わってきて、その迫力にも相当な凄みが感じられます。

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ほぼ一度の筆の運びによって描き出されるおおらかさ、ダイナミズム。そこに生み出される偶然性。

同時に、緻密な濃淡を施すことで紡がれる繊細な風合い。細やかな表情。

さまざまな見どころと味わいに満ちていて、オイルペインティングなどの力強さや痛快さに接することが多い僕にとっても、またこの暑い季節的にも実に涼しげで爽やかで、今のアートシーンのなかでの嬉しいアクセントのような、清々しい展覧会です。

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澁谷忠臣個展「澁谷動物園」

hpgrp GALLERY 東京

東京都渋谷区神宮前5-2-11 H.P.DECO 3F

7/3(木)~7/27(日)

11:00~20:00

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Tadaomi Shibuya exhibition "Shibuya Zoo"

hpgrp GALLERY TOKYO

5-2-11-3F,Jingumae,Shibuya-ku,Tokyo

7/3(Thu)-7/27(Sun)

11:00-20:00

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組み上がっていくフォルムが面白い!

昨年の青参道アートフェアで印象的だったアーティスト、澁谷忠臣さんのhpgrp GALLERY 東京での個展です。

とにかく、カチカチと音を立てて色面のパーツが組まれていくようなグラフィカルな感覚がかっこいいです。

僅かな陰影さえも、直線のみで構成されたくっきりとした色面で再現され、ガンダム前後の日本サンライズのロボットアニメ的なクールネスが鮮烈に放たれているような痛快さが、その頃プラモデルにはまりにはまった世代としては問答無用のかっこよさへの共感が湧き起こって、イマジネーションがぐんぐん刺激されるような感覚が堪らないです。

階段を昇り切った正面に展示されたオウムの胸像。

ヴィヴィッドな発色の突き抜けるような痛快さに加え、巨大なものを見上げるような錯覚も。

背後に浮かぶ月のシルエットと、胸部にぽつんと灯るドットが、全体の矩形構成にユニークなアクセントをもたらしているように感じられます。

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一角には小品がずらりと並び、圧巻。

そして、たくさんあることが、このスマートでシャープなクリエイションへの好奇心も加速させてくれます。

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額装作品も。

緻密な図形の構成により、描かれる動物や昆虫の丸みなども鮮やかに再現されていて、感嘆の嵐が。

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モノクロームのプリント作品。

モノトーンということもあり、さまざまな太さの線の構成で展開され、さまざまな動物の頭部が緻密なシンメトリーで再現されていて、カラフルな作品とはまた違う面白味に溢れ、それでいて共通したクールさが滲みます。

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この「動物園」にいる動物たちは多種に及び、哺乳類、爬虫類、鳥類はもちろん、昆虫、さらには恐竜(!)までいたりします。

このヴァラエティに富んだ動物が集合していつつ、描かれているのはすべてが「図形」という、有機的なじょのと無機的なものというある点において相反する要素が同時に迫るイメージも楽しいです。

そして、なによりいちばん驚いたのが、これらの作品はパソコンでシュミレーションをしてそれを基に描かれているのではなく、下描きさえない状態からインスピレーションで構築されていく、という過程を伺ったとき。

これだけ強固に組み上がって隙のないグラフィカルな展開が、どうなるか分からないスリルとともに生み出されていったことを知って、さらにその臨場感がシャープに迫るような印象を受けた次第です。

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藤芳あい flower under flower

ラディウム-レントゲンヴェルケ

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17

7/4(金)~7/26(土)日月祝休

11:00~19:00

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Ai Fujiyoshi "flower under flower"

Radi-um von Roentgenwerke AG

2-5-17,Nihonbash-bakurocho,Chuo-ku,Tokyo

7/4(Fri)-7/26(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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「見えない」ところへ想像を巡らす...。

ラディウム-レントゲンヴェルケでの藤芳あいさんの個展です。

前回の個展での「swimming pool」の衝撃的な静謐感から2年、今回は植物の「根」を主なモチーフにピップアップし、立体と平面の作品によってさまざまなイメージを惹起してくれます。

というわけで、1階。

入口の扉を開けた瞬間に視界に飛び込んでくる信じ難い光景。

赤い根が、あたかも炎が逆さまに燃え盛るかのように展示されています。

透明な樹脂を用いて、ぐんぐんと力強くその存在感を押し出し、相当にアクロバティックな状況が生み出され、暫し呆然。

それからだんだんと、透明な樹脂のなかから滲む赤のグラデーションや複雑に構築された立体的な奥行き感などに魅入られていきます。

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続いて2階へ。こちらではペインティング作品による展開がなされています。

まず、階段を昇り切った正面に展示された、今回の展自作品のなかでひときわ「おとなしい」色調の作品が。

薄く柔らかなベージュのなかに、僅かなコントラストで描かれた根。そのラインの複雑な絡まり具合に幾何学的な面白味を感じます。

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こちらに展示された作品群は、実にグラフィカルです。

配色といい、色面といい、さまざまな要素がくっきりと描き上げられ、水面下の根っこがさまざまなほうへと向かっていく様子や水面に茎があらわれてそれを中心にして広がる波の臨場感など、何を描いているか、ということに加え、不思議な奥行き感が奏でられて、ここから浮かぶ重力のイメージなどがたいへん新鮮です。

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正面の壁のスマートな鉢の断面図的な作品も面白いです。

3つの色が並び、それぞれの色のなかで、根によって繰り出される複雑な動線。さらに、この作品に一貫した透明感がとにかく爽やかで心地よいです。

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FRPによる立体とペインティングの平面、それぞれの展開が発せられるキャッチーな感触が痛快です。

同時に、今回でいうならば「根」という地中、あるいは水面下にあって通常では目にすることのない光景を元にして、それがさまざまなイマジネーションの変化を経てこうやってクリアに提示されていることも面白く、興味深いです。

本来見えない完全に閉じた場所だからこそ、そこに投入されるイメージが自由になるのかな、と想像したり。

で、その過剰に暗いはずの光景がヴィヴィッドな色で表現される行程にも思いを巡らせることで、観るほうとしてもさまざまな新鮮な想像が得られるのも楽しいです。

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帆苅祥太郎「Behind the Sun」

CASHI゜

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-18-1F

7/4(金)~7/26(土)日月祝休

11:00~19:00

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Shitaro Hokari "Behind the Sun"

CASHI゜

2-5-18-1F,Nihonbashi-bakurocho,Chuo-ku,Tokyo

7/4(Fri)-7/26(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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この時点での集大成にして、出発点。

新しくオープンしたCASHI゜のこけら落としのグループショーに続いて開催されている、帆苅祥太郎さんの個展です。

まず、奥から。

奥まったスペースには、蝋を用いた人物像が展示されています。

台の上に膝を折ってしゃがむ、人の姿。

顔に当てられる左手が、どこか泣いているような仕草を思わせます。

しかし、垂れる蝋の痕跡が生々しく残った表面の強烈さ、深く窪んだ眼球部など、 静かに佇むその像の全体からアバンギャルドな空気が放たれ、充満しているような印象を受けます。

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手前のスペース、壁面に展示された小さなオブジェも謎めいています。

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何かの塊、それも生命的なイメージよりむしろ素材的に有機物としての存在感が伝わってくるのですが、さまざまな角度から眺めていると、全体を覆う溶けるようなフォルムのなかに鳩か何かの鳥の姿が浮かび上がってきます。

ダークな色調、アバンギャルドな全体の存在感、そこに潜むちいさな生命のシルエット。このギャップが生み出す展開は、小さな3次元のなかにさまざまな時間の交錯を思い起こさせてくれて、たいへん興味深いです。

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そして、犬のオブジェ。

現時点での帆苅さんの台名詞的な作風。

一段奥まったスペースに、そこへ向かう人を威嚇するような姿で置かれる犬の、未来的な雰囲気を放ちながら 凛々しくこちらへと向ける肢体の美しさにしびれます。

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そして、101 TOKYO CONTEMPORARYにも出品された巨大な犬のオブジェも再登場。

その荘厳ささえ滲ませる姿は、ただただ圧巻です。

ぐっと深く曲がり込んだ頭部の力強さ、いうまでもなく全体を覆うなめらかな曲面とそのスマートさが醸し出すシャープな雰囲気。

この巨大な犬の像をさまざまな角度で眺められる楽しさ、それぞれの視点から届くシルエットの圧倒的な存在感。あっさりと空間を支配してしまう圧巻の出で立ちに、さまざまな角度からイマジネーションを刺激してくれます。

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制作順としては、FRP素材の犬のオブジェなどがあって、最近作は奥の蝋を用いた作品のようです。

黒、という色調の統一感と、表面が一方は究極的にシャープに仕上げられ、もう一方は垂れる蝋の質感をそのまま妖しさ、危うさのイメージへと転化させた感触であることのギャップも印象に残ります。

白い空間に浮かぶ黒い太陽は日蝕を連想させます。

その黒い太陽のシルエットが、さらにこの空間に展示された作品群のかかわりをより強固なものへと押し上げているようにも思えてきます。

これまで積み上げてきた経験と想像をいちばんダイナミックなかたちで提示し、同時に今回初めて挑戦された新たなアプローチが奏でる可能性とが共存している展覧会です。

伸びやかな感性を活かしたダイナミックなアプローチがこれからどういうふうに展開、発展していくか、たいへん興味深く感じられます。

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Heroic by HIRO KURATA

ギャラリーPOINT

東京都渋谷区恵比寿西1-4-7

7/4(金)~7/20(日)

12:00~20:00

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Heroic by HIRO KURATA

GALLERY POINT

1-4-7,Ebisu-nishi,ShIbuya-ku,Tokyo

7/4(Fri)-7/26(Sat)

12:00-20:00

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うねる線、弾ける色彩。

ニューヨークをを拠点に活動されるアーティスト、倉田裕さんのギャラリーPOINTでの個展です。

もう、なんていうか、痛快きわまりない、とてつもなくシャープで、そしてそこかしこにバイオレントな要素、あるいはポップアイコンな的要素もさらりと織りまぜながら、実に躍動感溢れるシーンが描き上げられています。

厚めのパネルに直に描かれ、さらに画面表面の仕上げも、おそらく何らかの樹脂を塗布されたうえでフラットに施されていて、素材感としても独特な風合いが伝わって新鮮です。

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明るめの色調の多様で演出される鮮やかさ、ケレン味のない線が醸し出す緻密さとおおらかさ。

作品を構成するさまざまな「成分の精度」が、カートゥーン的、あるいはグラフィティ的な、その粗雑さが痛快に感じられる風合いに、それだけにとどめず深みや説得力をもたらしているように感じられます。

それで、もう、とにかく楽しいんです!

展示のテーマとなっているヒーローとして野球選手が描かれていて、ちょっとダブついたユニフォームのやんちゃな感触、ゆらゆらとのびる手足、そして動物なども混ぜ込みながらさまざまな表情を見せる頭部など、シュールな混沌を作り上げながらも、不思議と画面全体の収まりのよさに感心してしまったりと、いろんなイメージが過っていきます。

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そして、今回の展示の主役、ウォールペインティングとパネル作品との組み合わせで作り上げられたインスタレーション。

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巨大な野球選手のユニフォーム胸元に踊る「Tigers」ロゴ。

頭部の丸いパネルに走る「Home Run」の文字と、そこから放たれるヴィヴィッドな色彩のストライプが発するシャープネス。

左右に配されたパネルのなかで繰り広げられる、あたかも剣豪同士の対決を思い起こさせてくれるようなスピード感が溢れダイナミズムに満ちたシーン。

凝縮されたさまざまな要素のなかにはユーモアもふんだんに盛り込まれ、イマジネーションの刺激とストーリー性の厚みをもたらしているように感じられます。

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ドローイング作品も、パネルとはまた違った味わいが滲みます。

紙の質感に加え、若干セピアがかった色調がなんとなく懐かしい風合いを奏で、描くこと、想像することのプリミティブな面白さを伝えてくれるような印象がもたらされます。

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倉田さんの作品のなかには、アメリカでの日々で培われた感性と、日本人であることのアイデンティティとの両方が入っているように思えます。

色調のヴィヴィッドさや構図の大胆さからはアメリカ的な、そしてさまざまな表情を見せる線の豊かなダイナミクス、構図の緻密さは日本的となんとなく感じつつ、、それぞれのセンスが絡み合って、オリジナリティに満ちた独特の世界を作り上げているように思えます。

さまざまな作品が出品されているのも嬉しい、見応えのある痛快きわまりないクリエイションです。

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《7/11》

阪本トクロウ/ビューティフル・ドリフター

ART FRONT GRAPHICS

東京都渋谷区猿楽町29-18 ヒルサイドテラスA棟

7/1(火)~8/3(日)月休

11:00~19:00

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阪本トクロウさんの旧作と新作が展示されています。

いちばん大きな作品での広々とした空とほぼ地平線上に広がる光景による大胆な構図や、公園の遊具だけがぽつんと空間に浮かぶように描かれたものなど、阪本さんらしいおだやかでゆったりとした時間を感じさせてくれる世界が広がっています。

中千尋展 Delicious

アートガイア・ミュージアム東京

東京都品川区上大崎3-1-4 RE-KONW目黒4F

7/11(金)~7/28(月)

11:00~19:00

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墨絵の剛胆さと繊細さを楽しめる展覧会です。

奥ゆかしい空間性の魅力に加え、植物の花ではなくて葉や茎にスポットが当てられ、爽やかな風合いなども実に心地よく感じられます。

STRENGER PROJECT Part1 Youhei SUGITA & Natuko UNO

GALLERY STRENGER

東京都港区麻布十番2-12-4 第2コーポービル

7/11(金)~8/9(土)月要予約

12:00~19:00(日祝:13:00~18:00)

杉田陽平 卯野夏子080711.jpg

若い二人のアーティストがピックアップされた展覧会。

これまでも折りに触れて拝見している杉田陽平さんは、すでにおなじみの毒々しいほどにダイナミックに画面に乗る油絵の具の迫力と魑魅魍魎の世界で迫りつつ、そこに新たな展開ももたらしていて興味深いです。

卯野夏子さんの具象画的な展開も見応えがあります。馴染み深いものをモチーフに取り上げ、淡々とそこに置かれた感じを醸しつつ、そこになんともいえない謎めきや妖しさが広がっているように感じられます。

神谷徹「closer」

SCAI X SCAI

東京都港区六本木6-8-14 Patata六本木203

7/11(金)~8/2(土)木金土のみ

12:00~19:00

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一昨年の個展での大作での展開とは一変し、今回は主にスクエアの画面の小品を壁に一列に配置することで得られる空間的な展開が印象に残ります。

鮮やかなグラデーションをたたえるヴィヴィッドな色彩を背景に、緻密に描き出される線の風景と、揺らめくパターンが着物の柄模様を思い起こさせる作風のものとの組み合わせで、同サイズの画面の羅列でさまざまな縮尺感を展開し、イマジネーションを刺激してくれます。

坂本佳子 KEELUNG2

WADA FINE ARTS

東京都中央区築地3-2-5 第2平和田ビル

7/8(火)~7/25(金)日月祝休

11:00~19:00

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メッシュらしきものや柄物の布などを大胆に用いたコラージュ展開もふんだんに織り込まれ、加えて透明感溢れる明るく鮮烈な色彩が印象的です。

そして、コラージュが多用されていてそこにアーティスティックな要素を感じつつも、描かれている部分がとにかくいいんです!

むしろ、特に小品でなのですが、作品によってはペインティングの部分が布などによってオーバーダブされることで観られなくなっているのがもどかしく感じられるくらい。

ぜひ、ペインティングのみの作品も拝見してみたいです。

佐原和人「Behind Yourself」

HP FRANCE WINDOW GALLERY

東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング1F

7/11(金)~9/4(木)

11:00~21:00(日祝:~20:00)

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面白い!

ウィンドウという特異かつさまざまな制約があるシチュエーションを巧みに活かし、複数の大小さまざまなパネルの作品を配置することで、ユニークな空間が作り上げられています。

佐原さんらしい色使いの妙もいつもよりさらに鮮やかな臨場感を伴って迫るような感じです。

《7/12》

関根直子展

GALERIE ANDO

東京都渋谷区松濤1-26-23

7/8(火)~7/26(土)日月休

11:30~19:00

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MA2 GALLERYでのグループショーでも印象的だった関根直子さんの、今回は個展です。

鉛筆で描かれる抽象的なモノトーンの世界はさらにバリエーションが広がり、さまざまなテクスチャーの作品が並びます。

加えて、パネルへの紙の張り込みの精度も格段に増し、関根さんが紡ぎ出す世界がより力強く伝わってくるような印象も受けた次第です。

坂本知野展 -もう一人の私-

Shonandai MY Gallery

東京都港区六本木7-6-5 六本木栄ビル3F

7/11(金)~7/18(金)

12:00~19:00(最終日:~17:00)

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これまでも何度か拝見している坂本知野さん。

油彩らしい過剰なまでに濃厚な世界に、ユーモアの感覚がふんだんに織り込まれています。

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鮮やかな色調やエネルギッシュな展開をキープしつつも、ツッコミどころも満載なシチュエーションがとにかく面白いです!

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坂本知野101

ダイナミックな構図や展開に度胆を抜かされることも。

もっと大胆な展開を期待してしまいます!

坂本知野106 坂本知野107

坂本知野105

D-party展 C 岡部忍 冨田典姫 永井夏夕 中本千晴

77 gallery

東京都中央区銀座7-5-4 毛利ビル5F

7/7(月)~7/12(土)

11:00~19:00(土:~17:00)

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芸大デザイン科出身のアーティストを4名ずつ4週間に渡って紹介していく企画展の3週目。

デザイン科出身としては珍しい岡部忍さんの油彩による作品、穏やかな色調と緩やかな空気感、ゆったりとした時間の流れの感覚はいつ拝見しても和めます。

一方で、永井夏夕さんの作品は、鮮やかな青い空とコンビナートを描いたおなじみのスタイルですが、シャープさがさらに加速したような印象を覚えました。

冨田典姫さんの猫の作品も、いつもながらに秀逸です。ゆったり悠然とした猫の仕草と何所か達観したような表情が堪らないです。

実に久し振りに拝見した中本千晴さんのペインティングは、仄かなやわらかい色が白をバックに重なり、ふわふわと柔らかそうな感触がユニークでで、色の展開やかたちの組み合わせなどがとにかくかわいらしいです。

山田純嗣展 "FOREST "

不忍画廊

東京都中央区八重洲1-5-3 不二ビル1F

7/1(火)~7/19(土)日祝休

11:00~18:00(土:~17:00)

山田純嗣080701.jpg

日本橋高島屋での展覧会と一部会期を合わせて開催されている山田純嗣さんの不忍画廊での個展、こちらでは比較的旧作品がラインナップされ、山田さんの遍歴を垣間見られる貴重な機会も提供されています。

おなじみのジオラマもシンプルだったり、それこそ「もの」が置かれるだけのような感じだったりと、さまざまなアプローチの変遷をチェックでき、同時に新作での現時点での完成型と見比べるのも楽しいです。

綿毛の作品が特に秀逸!

森を遊ぶ 木村崇人

すみだリバーサイドホールギャラリー

東京都墨田区吾妻橋1-23-20 墨田区役所1F

6/14(土)~7/15(火)

10:00~17:00

木村崇人080614.jpg

なんか凄かったぞ!Σ( ̄口 ̄;)

なんか凄かったぞ!Σ( ̄口 ̄;)

でも途中の小山に足を取られてころびそうになったのはここだけの内緒だ。

Seeing Time Satoshi Osuka|時をみる 大塚聡

hiromiyoshii

東京都江東区清澄1-3-2-6F

7/12(土)~8/2(土)日月祝休

12:00~19:00

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一昨年のTSCA KASHIWAでのこけら落としの展覧会も印象的だった大塚聡さん。

今回は、奥へと飛んでいくような光の筋の作品に更にユニークな要素が持ち込まれたものと、透明の定規を使った写真作品、そして小スペースでのインスタレーションと、大塚さんらしい知的で緻密な展開が構築されています。

高嶺格「The SUPERCAPACITOR」

ARATANIURANO

東京都中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3A

7/12(土)~9/6(土)日月祝休

11:00~19:00

高嶺格080712.jpg

高橋コレクションでの展示と横浜美術館での水をテーマにした企画に出品された映像インスタレーションから、相当にお洒落なクリエイションと思って伺ったこの展覧会、先入観が大いに邪魔をして

よく分かりませんでしたー!(≧∇≦)ノ゛

もとい、あらためて観に行きたいと思います。

アン・ジュンジュ 鬼頭健吾 増田佳江 森弘治 ロバート・プラット 佐藤允 田幡浩一

ギャラリー小柳

東京都中央区銀座1-7-5 小柳ビル8階

7/12(土)~8/9(土)日月祝休

11:00~19:00

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すさまじく豪勢な面子が揃ったグループショー。

ペインティング、映像それぞれから伝わる豊かな知性とエネルギーに大きな感動が迫ってくる、珠玉の展覧会です。

増田佳江さんのキュートな色使いのペインティング、鬼頭健吾さんはおそらく最大の平面作品を出品、そこでの展開は圧倒的に艶やかな混沌となって迫ります。鬼頭さんがパターンの混沌だとしたらロバート・プラットさんのヴィヴィッドな色彩の混沌、それによって描き出されるマジカルでドリーミーな世界も印象的です。

そして、佐藤允さんの鉛筆による作品も強烈なインパクトを放っています。細微に渡って描き込まれたどこかおどろおどろしさをたたえた世界、鮮烈に香り立つ青臭さが、独特の妖しい鮮やかさをさらに加速させているような印象です。

《7/13》

「A+A」exhibition

@A+A

東京都荒川区南千住6-67-8 荒川区リサイクルセンター南側1F

7/13(日)~7/21(月)

13:00~19:00

A+A 080713.jpg

6名のアーティストの作品が、いかにも工業的な空間に設置、展示されています。

なかでも印象的なのが、広瀬敏史さんの立体作品。さまざまなモチーフや場面をかたちに嵌め込み、さらに全体のフォルムにまで何らかのシルエットのラインを織り込んだオブジェ、超立体型金太郎飴といった風情がとにかく痛快です!

《7/17》

増子博子「木+人」

Gallery Jin

東京都台東区谷中2-5-22 山岡ビル1F

7/17(木)~7/26(土)月火休(7/21は開廊)

12:00~19:00(最終日:~17:00)

増子博子080717.jpg

凄いです。

白を背景に、ペンによる過剰に緻密な線の集積によって描き出されるダイナミックな盆栽。

まさに宇宙そのもの、凄まじいスケール感、縮尺感、加えて信じられないくらいに緻密な描き込みにも圧倒させられます。

古川弓子 渡辺泰子 二人展 TRANSACTION

GALLERY SIDE2

東京都港区東麻布2-6-5

6/27(金)~7/25(金)日月祝休

11:00~19:00

古川・渡辺080627.jpg

Yumiko Furukawa Yasuko Watanabe TRANSACTION

GALLERY SIDE2

2-6-5,Higashi-azabu,Minato-ku,Tokyo

6/27(Fri)-7/25(Fri) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

朗らかな感性で独特なスタンスを奏でるふたりの女性アーティストをフィーチャーした展覧会です。

古川弓子さん、前回はオリジナルの小説をモチーフにして展開されるインスタレーション、という実にユニークなアプローチが印象的でしたが、今回は素材に木材を用い、素材のあたたかみによってこれまでの樹脂などの作品から放たれていたシャープさが幾分か抑えられているような印象です。

古川弓子102 古川弓子103

古川弓子101

壁に設置されたさまざまな「空間」。

そこからは不思議な知性が滲みます。

軽やかで爽やかな色彩がさり気なく、しかしふんだんに取り込まれ、それぞれ作り上げられた小さな場面からやわらかい空気がふわふわと。そこには人の存在を現すものは一切織り込まれていないのにも関らず、何故かしらその場面を過ごした人の残り香のようなものを感じさせてくれるのが不思議で、興味深いです。

そこから醸し出されるストーリーは淡々としていながら、いつもの日々でのさり気ない仕草に潜む心象の深みを伝えてくれるような...長い時間をかけてすこしずつ積み上げられた「想い」や「考え」「こだわり」、あるいは「疑い」「謎めき」といった類いのメッセージを、静かにあたたかく滲ませているような印象で、なんだか和めます。

古川弓子106 古川弓子105

古川弓子104

床置きの作品はいくつかのちいさな部屋がひとつの建物のなかにあって、それぞれが不思議さ、謎めきを醸し出しています。

木という素材のナチュラルな質感、丸みを帯びたフォルムの優しい風合いと、そこかしこに収められた不思議なかたちのオブジェ、小さな壁面に描かれた絵ひとつひとつの関りなど、そこに詰め込まれたさまざまな要素が折り重なって、想像に深みをもたらしてくれるような印象です。

古川弓子108 古川弓子109 古川弓子110 古川弓子111

古川弓子107

木という素材で出品された作品が統一された古川さんとは対照的に、渡辺泰子さんはいかにも渡辺さんらしく、さまざまなメディアを軽やかに行き交っていて、バラエティに富んだ構成が楽しいです。

まず、昨年の武蔵野美術大学の修了制作、続くART AWARD TOKYOで発表された映像作品が。

頭上に設置された小さなモニター、画面のなかに広がる青い空、白い雲。天空へと向かう気球。

気球の軌跡が連なっている静止画と思ってぼーっと眺めていると、その心の弛みに鞭打つように、画面下方から華奢な腕が伸び上がってその青い空に向かって気球を叩き付けます。

分かっていても痛快で、爽快です。

渡辺泰子101

映像や写真のシャープな作品が並ぶなか、水彩のドローイングはその緩さが全面に押し出されて、なんともいえない味わいが醸し出されています。

2本の足だけが描かれていて、歩いているようにも、あるいはひとつの足が移動していて二つの時間をひとつの絵のなかに納めたようにも感じられます。シンプルなのに、時間のイメージが豊かに膨らむような印象です。

渡辺泰子102

2点出品された写真作品は、それぞれ渡辺さんらしい視点がふんだんに織り込まれているような感触です。

3つの風景が並ぶ作品は、それぞれ異なる場所、異なる時間でありながら、ほぼ統一された構図によってひとつの硬質な展開が作り上げられているように思えます。

それぞれの画面下方に広がる山並や雲のシルエットの図形的な面白さがイマジネーションの刺激をもたらしてくれます。

渡辺泰子103

もうひとつの写真は小さななかに、さまざまな色が詰め込まれています。

前回の個展で発表された、重ねた色紙を1枚ずつ外していく映像作品を思い起こさせるような感じが興味深いです。

渡辺泰子104

二人のそれぞれのクリエイティビティからは、女性的な繊細さも、そしてキュートな感性も感じられます。

その繊細さ、キュートさが響きあって、やわらかな空間が静かに広がっているような風合いも心に残ります。

中山玲佳展[yume-utsutsu]

mori yu gallery

東京都新宿区西五軒町3-7 ミナト第3ビル4F

6/21(土)~7/19(土)日月祝休

11:00~19:00

中山玲佳080621.jpg

Reika Nakayama[yume-utsutsu]

mori yu gallery

3-7-4F,Nisni-gokencho,Shinjuku-ku,Tokyo

6/21(Sat)-7/19(Sat) closed on Sunday,Monday and natinoal holiday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

まるで出品されている作品ひとつずつに異なるアーティストがいるかのような(汗)

mori yu galleryでの中山玲佳さんの個展です。

ホントにこのバリエーションの多彩さには呆気に取られてしまいます。

具象画のラインに乗せたくなるようなていねいな写実表現のものもあれば、アバンギャルドなアプローチのグラフィカルな作品、シュールな雰囲気を鮮烈に漂わせるものなど、言ってしまえばバラバラなんですけど、それぞれに強い個性が感じられて逆にこの統一感のなさが痛快に思えてきます!

中山玲佳01

敢えてひとつ共通点を見い出すとすると、オイルペインティングの魅惑が貫き通されている、というところ。

油彩独特の重厚感が漂っていると同時に、中山さんのダイナミックな創造性、瞬発性を受け止める素材的な力強さに満ちているように感じられます。

一見するとなんとなく日本画的な構図を想わせる光景が描かれた作品。

濃厚な青の静けさと黒のシルエットの優美さ、妖婉さが、絵の具の艶やかさとは裏腹に霧がかったようなアンニュイな静けさを漂わせていて、不思議な雰囲気を立ちのぼらせています。

中山玲佳05 中山玲佳04 中山玲佳03

中山玲佳02

このペンギンの作品も強烈なインパクトを放っています。

ペンギンの身体に広がる赤い斑模様が醸し出すシュールさに、イメージの現実からの乖離をもたらしながら、力強く意識が引き寄せられていきます。

その他の部分が意外と「いかにもペンギンがいる光景」なだけに、その違和感がさらに強烈に伝わってきます。

中山玲佳06

一転して、そのフォルムからバッファローの頭部を連想しつつも、バックに広がっている垂れた絵の具の痕跡も生々しいヴィヴィッドな色調の迫力と相まって、パワフルな謎めきが強烈に感じられる作品。

この辺りのユーモアセンスにも惹かれます。

中山玲佳10 中山玲佳11 中山玲佳12

中山玲佳09

その他も、作品によっては関係性が感じられるものもあり(実際に一貫したコンセプトを持ったシリーズ物もあるようです)、そういった関連を探りながら、展示された作品を眺めていくのも面白いです。

中山玲佳16 中山玲佳14 中山玲佳13 中山玲佳08

中山玲佳07

で、入口付近に展示されているドローイング的な作品もまた違った味わいを醸し出しています。

ユーモラスでキッチュな構成が楽しいだけでなく、結構緻密なコラージュが織り込まれていたりして、なかなかの見応えです。

中山玲佳17

大作から小品まで、止めどなく溢れてくるイマジネーションをどんどんキャンバスの上に詰め込んでいった過程、軌跡を見せてもらっている痛快さも堪らない展覧会です。

空間自体、相当に濃い雰囲気が充満していますが、これだけのパワフルでエネルギッシュな作品に囲まれたらそれはもう観ているこちらもポジティブになるというものでして。

季節感さえも無視したシーンのラインナップというのもご愛嬌、しかし雪だるまの絵さえも何故かこの季節に出品されて違和感がないのもなんだか面白い、そして嬉しい、さまざまな痛快さに満ちた展覧会です!

中山玲佳15

肥沼義幸 untitle

GALLERY TERRA TOKYO

東京都港区麻布台2-3-5 NOAビル1F

6/21(土)~7/19(土)日祝休

10:00~19:00

肥沼義幸080621.jpg

Yoshiyuki Koinuma untitle

GALLERY TERRA TOKYO

2-3-5-1F,Azabudai,Minato-ku,Tokyo

6/21(Sat)-7/19(Sat) closed on Sunday and national holiday

10:00-19:00

Google Translate(to English)

過剰なまでに重々しく、しかしどこか透明感をたたえた世界。

GALLERY TERRA TOKYOでの肥沼義幸さんの個展です。

青や緑を基調とした、深く重厚な場面がそれぞれの画面で展開され、観る者の意識を呑み込んでいくような迫力を感じます。

肥沼義幸13

描かれる世界は現実世界に存在するさまざまなものを具象的に表現して配しつつも、そこに登場する人物の表情や佇まい、そして背景の独特の青により、幻想的な雰囲気を充満させているように感じられます。

その一方で、ひとたび至近で眺めてみると、大胆に画面に盛られた絵の具の素材感が醸し出す重々しさが迫ってきます。

肥沼義幸03 肥沼義幸04

肥沼義幸02

どこか呪術的な風合いが漂うのも印象的です。

濃厚に、濃密に展開される場面はダイナミズムと静謐感とのあるポイントにおいて相反する要素が満ち溢れているような感触が伝わります。

どこかムンクの絵画にも通ずるシュールでどこまでも底がないようなとてつもない深みが、感情に覆い被さるように圧倒してきます。

肥沼義幸09 肥沼義幸07 肥沼義幸08 肥沼義幸10

肥沼義幸06

多くの作品で「ある場面」が描かれている一方で、一人の人物に焦点を当てた肖像画的な作品も数点展示されています。

憂いを帯びた表情に引き寄せられるような風合いで、目の表情、口許に浮かぶ歪み、静かな佇まいやどこか謎めいた仕草など、それぞれの要素がその登場人物の存在に深みをもたらしているように感じられます。

肥沼義幸12

肥沼義幸11

奥の壁面に展示された3点の大作の迫力も凄まじいです。

肥沼義幸05

いかにも油彩らしいこってりとした絵の具の使われ方で、背景の青の蠢きを思い起こさせるような仕上がりが、それぞれの画面から滲む世界によりいっそうの深みをもたらしているように感じられます。

風が吹くだけでなく、あたかも魂が淀み、彷徨っているかのようなうねりが放つ独特の雰囲気。揺れるような気の流れを連想させ、さまざまな想いが過っていくような感触に支配されます。

しかし一方で、用いられる色彩は一様に濃く、重くはあるものの、画面に「黒」がほとんど登場していないことが、肥沼さんが描く世界をただ重々しいだけの展開に留めず、仄かに、このダークな世界に不思議な爽やかさをもたらしているように感じられるのも興味深いです。

肥沼義幸01

西嶋雄志彫刻展 -存在の気配-

Gallery ef

東京都台東区雷門2-19-18

7/4(金)~7/21(月)火休

12:00~21:00

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Yuji Nishijima sculpture exhibition

GALLERY ef

2-19-18,Kaminarimon,Taito-ku,Tokyo

7/4(Fri)-7/21(Mon) closed on Tuesday

12:00-21:00

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まるでそこだけ違う時空であるような、異なる時間が流れているかのような神々しさ。

Gallery efでの西嶋雄志さんの個展です。

蔵の入口を前屈みになってくぐり、半身を持ち上げて刹那、その光景に立ち尽くしてしまいます。

西嶋雄志01

眼前にその体躯を浮かべる、大柄な人物の像。

小さな渦となった銅線の部品が連なってひとつの体のパーツをつくり出し、それらが天井から吊るされて、見事に人のかたちを形成しています。

その足元に置かれた大きな器にはたっぷりと水が張られ、この空間の世界の深みを演出しています。

この巨人が空間を横切っていく瞬間に立ち会っているかのような、凄まじく重厚な臨場感が空間に満ちあふれているように感じられます。

黒光りする床に映り込む銅色の体躯、スポットが奥の壁面へ浮かび上がらせる揺らぐようなシルエットなど、二次的に生み出されたものさえもこの深遠さを大いに盛り上げます。

時間を忘れてただただ圧倒され、この謎めいた神々しさに浸ってしまいます。

西嶋雄志05 西嶋雄志03 西嶋雄志02

西嶋雄志04

2階では、面や球体などの作品が展示されていて、この空間が持つ深みと銅という素材の渋い色調とが響きあっています。

西嶋雄志10

1階のただただ圧倒される空間から一転し、今度はそのひとつひとつをじっくりと眺められるような展示です。

かわいく巻かれた渦の連なりは、銅という素材の持つ金属でありながら渋い感触と、その渦のひとつひとつ、さらにはそれらが連なって作り上げられるかたちの有機的なイメージとを同時に発しているように感じられます。

西嶋雄志09 西嶋雄志08

西嶋雄志07

床の中央、吹き抜けを囲むように置かれたオブジェも独特の深みをもたらしています。

半球を象ったものは、床に接する円の部分に鏡が置かれ、表面の直の視線で触れる丸みと鏡面に映る凹面とで、まるで球体が浮かんでいるかのような演出がなされていて面白いです。

西嶋雄志15

西嶋雄志16

その大小さまざまの床に浮かぶような球体と顔との組み合わせもまた、独特のスケール感を発します。

特に顔のオブジェは、渦からするすると天上へ向かって伸びていくような線がさらに有機的なイメージを押し上げてくれるような感じです。

西嶋雄志13 西嶋雄志12

西嶋雄志14

そして、ここにも浮かぶ、1個の球体とそれを挟む顔。

一列に並び、神々しい知性が奏でられ、なんともいえない深遠な物語が時空を超えて紡がれているような印象を覚えます。

西嶋雄志11

西嶋さんはこれまではコンクリートの重量感溢れるオブジェや鉄線による渦を組み上げた作品などを制作されてこられたようなのですが、銅という素材を用いたのは今回が初めてとのこと。

これも、この空間での展示を充分に踏まえられ、その素材の味わいと空間の個性と組み合わせの妙が考え抜かれた末の新たな挑戦だったようで、それが見事にはまり、西嶋さんのクリエイティビティとGallery efが持つ空間の強い個性、それぞれのポテンシャルが引き出された美しいインスタレーションが作り上げられています。

まさに至高の空間です。ぜひこの迫力を直に体感してほしいです。

西嶋雄志06

銭谷江理展 New Abstruct Spiritualism

Azabu Art Salon Tokyo

東京都港区麻布十番1-5-10

6/13(金)~7/18(金)日月休

12:00~19:00

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Eri Zenitani exhibtion New Abstruct Spiritualism

Azabu Art Salon Tokyo

1-5-10,Azabujuban,Minato-ku,Tokyo

(Fri)-(Sat) closed on Sunday and Monday

12:00-19:00

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爽やかな色調の散らばりが清々しい抽象の世界。

Azabu Art Salon Tokyoでの銭谷江理さんの個展です。

大胆にキャンバス上に乗せられた絵の具の盛り上がりが醸し出す素材の力強さとは裏腹に、フレッシュな色使いが清々しい作品が並びます。

銭谷江理13

大きな画面におおらかな弧を描くように連なる赤や青の鮮やかな色彩。

風のように舞う壮大さがそのまま爽快感へと繋がって、爽やかな高揚が沸き起こるような印象です。

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銭谷江理09

奥の展示スペースでは比較的小さな作品が展示されています。

黒を背景とした作品、散る色彩を閃光のように鮮やかに引き立てているように感じられます。

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銭谷江理04

動的なイメージをもたらす作品がある一方で、より図形的なアプローチがなされた作品群も独特の爽やかさを奏でています。

銭谷江理07

ペインティングナイフを用いてなめらかに画面に乗せられる絵の具の立体感。

白と明るめの色彩とのシンプルな組み合わせで、瑞々しい光景を生み出すと共に、安定したかたちで組み上げられた構成が落ち着いた風合いをもたらしてくれるように感じられます。

銭谷江理02 銭谷江理01

銭谷江理03

銭谷さんは徳島のご出身だそうで、幼少の頃から触れている「阿波踊り」が作品の根源の大きな要素のひとつのなっているとのことで、踊っているときの、どんどんと上がっていく「アクティブな無心」、沸き立つような爽快感が伝わってくるような印象です。

それぞれの作品において、動線がむしろ下から上へと向かっているように感じられるのもたいへんユニークなポイントです。

描かれた色彩の爽快なバランスや絵の具の力強さ、そしてそれによって失われることのない軽やかさが、爽やかにイマジネーションを刺激してくれます。

銭谷江理08

review:debut! ver.CHOUN MINOK 全民玉 個展《7/4、7/10》

debut! ver.CHOUN MINOK 全民玉 個展

谷門美術

東京都港区北青山3-3-7 第一青山ビル1F

7/4(金)~7/16(水)祝休(日月:要予約)

13:00~19:00

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debut! ver.CHOUN MINOK exhibition

TANIKAD ARTS

3-3-7-1F,Kita-aoyama,Minato-ku,Tokyo

7/4(Fri)-7/16(Wed) closed on national holiday (Sunday and Monday:appointment only)

12:00-19:00

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ふくよかな色調とユニークな縮尺感。

谷門美術での全民玉さんの個展です。

昨年のギャラリーゴトウでのグループショーなどで作品を拝見してきて、ていねいな写実の表現と、そこに流れているようなやわらかな風のイメージ、水の匂いなど、どこか懐かしいようなイメージを創出させてくれるのが印象的なのですが、今回はそこにユニークな視点、風景の切り取り方の大胆さがたいへん面白く興味深い構図の作品が多く出品されていて、よりコンテンポラリーな雰囲気が立ち上がっています。

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画面の広い面積を覆う、鮮やかでやわらかな赤。

大きく描かれた花の姿は、可憐さよりも咲き誇る艶やかさを全面に押し出しているように感じられます。

ていねいなグラデーションで現される鮮やかな色の深みにもぐいぐいと引き寄せられるよう力強さを感じる一方で、その奥に広がっている光景の淡々とした雰囲気、ぽっと灯るようなピンクの花の可愛げがまた、ほっこりとしたアクセントとなってあたたかな気持ちを沸き起こさせてくれます。

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全民玉001

ちいさな空間の一角と随所に展示された小品群も多彩な魅力に満ちています。

小さい画面では、その風景の切り取り方のユニークさが際立ち、それぞれの絵のていねいな仕上がりが醸し出すあたたかみはもちろん、画面に用いられる色彩のバリエーションの豊かさやお互いの画面同士、さらには構図の差異が生み出すがコントラストも楽しく感じられます。

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構図の大胆さを全面に押し出し、ヴィヴィッドな色調を際立たせつつ、風景画としての精度と穏やかさも心にやさしく広がる、やわらかな風合いが心に残ります。

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Gallery TEOで、二人の女性アーティストの個展が行われています。

インタラクティブなインスタレーションと抽象のペインティング、それぞれのフレッシュな個性が楽しいパッケージです。

猪股あき

Gallery TEO Room 1

東京都品川区東五反田2-5-15-3F

6/28(土)~7/26(土)日月祝休

11:00~19:00

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AKI INOMATA

Gallery Teo

2-5-15-3F,Higashi-gotanda.Shinagawa-ku,Tokyo

6/28(Sat)-7/26(Sat) closed on Sunday,Mondayu and national holiday

12:00-19:00

Google Translate(to English)

ギャラリーの入口の左手、さらにそこに設けられた入口の奥に見えるなんだか不思議な雰囲気。

なんだろう、と心が引き寄せられます。

猪股あき02

部屋の中に入ると...

床面に映し出される波紋。

小さなスプラッシュから生まれる波紋は透明感溢れるグラデーションで波打ちながら大きく広がっては消え、その画像が延々と続いていきます。

その空間にいると、だんだんと感覚が失われていくような感じになっていくような錯覚を覚えます。

延々と紡ぎ出されていく床面の揺らぎが視界を独占して、水面に立っているかのような、そんな印象です。

猪股あき09 猪股あき08 猪股あき06 猪股あき07

猪股あき03

天井に設置された機器からプログラミングされたパターンに従って落ちる水滴をその上方の明かりが照らすことで生み出される空間。設置された透明の薄い水槽に水滴が落ちる音、機器から水滴が放たれる機械音も心地よかったり。

猪股あき01

相当にバーチャルな体感を得られるインタラクティブなインスタレーションです。

心に広がる抽象的なイメージも印象に残ります。

猪股あき05

入口右側のスペースでは、一転して日中は自然光も射し込んでくる明るい空間に、軽やかな色調の抽象画が展示されています。

問谷明希

Gallery TEO Room 2

東京都品川区東五反田2-5-15-3F

6/28(土)~7/26(土)日月祝休

11:00~19:00

問谷明希080628.jpg

AKI TOIYA

Gallery Teo

2-5-15-3F,Higashi-gotanda.Shinagawa-ku,Tokyo

6/28(Sat)-7/26(Sat) closed on Sunday,Mondayu and national holiday

12:00-19:00

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広々とした床面積の空間に展示された大作の抽象画。

どこかの風景や人の姿をほのかに感じさせてくれることが、この絵の世界へ入っていく導入になっているような印象を覚えます。

また、軽やかな色彩がふんだんに取り込まれ、作品ごとに統一感がある色調で展開されているのも印象的です。

おおらかな中に繊細さも感じる筆の運びは浮遊感を醸し出し、自然にそのファンタジックな世界へと導いてくれるような感じです。

問谷明希02 問谷明希03 問谷明希04

問谷明希01

淡い色調の作品が多く出品されているなかで、もっとも大きな作品は幾分か濃厚な色調で描き上げられ、サイズと色彩感から放たれる深遠なイメージとそれでも失われない軽やかさが広がり、迫ります。

ひとつひとつの色が花弁の薄く繊細な風合い、ある小さな光景をぐんと広げて描き上げられたような雰囲気を醸し出しているようにも感じられたり、もっと壮大な景色があって、ここからさらに広がり続けていくような痛快なイメージも湧いてきたり。

問谷明希08 問谷明希10 問谷明希11 問谷明希09

問谷明希07

作品それぞれのタイトルも、問谷さんの描く世界のやさしさ、やわらかさ、そしてかわいらしさを引き立てているように感じられたのも興味深いです。

油彩の抽象画でありながら、これだけ爽やかな刺激を受けられることも嬉しい発見です。

問谷明希06

ペインティングと合わせて立体作品も2点ほど展示されていて、その実験的な感触がこれからどう作用していくかも興味津々です。

異なるメディアのクリエイションがパッケージされ、それそれのフレッシュさと可能性がイマジネーションに広がりをもたらしてくれる展覧会です。

問谷明希05

大城カズ Untitled Recordings

CLEAR GALLERY

東京都渋谷区渋谷4-2-5 Place Aoyama

6/27(金)~8/2(土)日月祝休

11:00~19:00

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Kazu Oshiro Untitled Recordings

CLEAR GALLERY

4-2-5,Shibuya,Shibuya-ku,Tokyo

6/27(Fri)-8/2(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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信じられないわけですが。

何度観ても信じられないわけですが。

CLEAR GALLERYでの大城カズさんの個展です。

もうね、いったいどういうことかと。

すごいです。

今回の展覧会で、ギャラリーのメインスペースの中にあるもの。

見掛け的には、

・棚

・棄てられた絵画

・フェンダーの安価ギターアンプ

・ジュラルミン製旅行カバン

・マーシャルのスピーカー

なわけですが、実際は、ざっくりと言ってしまうと

・oil on canvas

・・・。

・・・・・・。

!!!Σ( ̄口 ̄;)

マジかよ!!!Σ( ̄口 ̄;)

あぁ、何度思い返してもすごい...。

ギャラリーに整然と配置された、音を発することのないユーズドのギターアンプ。

整然とした空間の静謐を破ることなく、むしろその静謐を助長するかのように、その存在感を静かに発しています。

この構造を形成するすべてがペインティングで、コーナーの部品やロゴのパーツも実物を流用せずにフェイクを作って付けているのだそう。

実際の作品を目の前にして、そういった要素をひとつひとつ確認していくと、過剰なほどの精度が醸し出す説得力に圧倒させられます。

大城カズ04 大城カズ02 大城カズ03

大城カズ01

実際の臨場感を発する要素として、微妙な傷や汚れさえも精緻に再現しているところにも好奇心が引き寄せられていきます。

このテープで塞がれた戸棚も、彩色されて僅かに表面に浮かぶ木目さえもしっかりと描かれています。

で、さすがにこの貼られたテープは実際のものを使っていて...と思ってやっぱり疑わしくて、至近で凝視したのですが...

描いてある!!!Σ( ̄口 ̄;)

やっぱり描いてある!!!Σ( ̄口 ̄;)

ビニールテープの幅にカットされたキャンバス地に、1mm以下の繊維さえもしっかりと描かれています。

大城カズ05

徹底して追求される精度には、大城さんの「もの」へのリスペクトが力強く伝わってくるような気がします。

そして、その「もの」が機能を果たすフィールド、この展示であれば音楽であったり、旅行、日常、そして美術へのリスペクトを、さらにそれらが経てきた時間、歴史へのリスペクトも強く感じます。

こうやって尋常でない精度で再現された「絵画」を拝見すると、フェイクという括りをあっさりと突き破り、まさに「本物」の存在感、説得力も静かに、しかし力強く滲んでくるのを実感します。

その場面を緻密に描くことが絵画の信条かつモラルだった(と個人的には思っています...)何百年も前の時代からいわゆる「具象画」の歴史は連綿と続き、その精度は写真というメディアが現れて久しい現代でも追求され続けていると思うのですが、その「究極」に接しているような衝撃です。

感動せずにはいられない、珠玉のクリエイション。

どんな作品か分かっていても、実物を目にするとため感嘆の息しか漏れてこないんです。

今行われている展覧会で面白いものはたくさんあって、どれもぜひたくさんの方々に観てほしいと願っているのですが、敢えてひとつ、と問われたらこの展示を推したいです。

大城カズ06

山田純嗣展 "DEEP FOREST -既視感の森-"

日本橋高島屋6階美術画廊X

東京都中央区日本橋2-4-1

6/25(水)~7/15(火)

10:00~20:00

山田純嗣080625.jpg

Junji Yamada exhibition "DEEP FOREST"

Tokyo Nihonbashi TAKASHIMAYA Art Gallery X

2-4-1,Nihonbashi,Chuo-ku,Tokyo

6/25(Wed)-7/15(Tue)

10:00-20:00(last day:-16:00)

Google Translate(to English)

時空を超えるモノクロームの記憶。

日本橋高島屋6階美術画廊Xでの山田純嗣さんの個展です。

自ら制作したジオラマをモノクロ撮影し、その写真に銅版画をオーバーダブするという実にユニークな手法で制作される作品群。色調とモチーフのフォルムの統一感とそこに広がるアーバンな世界が深く印象に残ります。

山田さんの作品はこれまでも続けて拝見してきていますが、個展で拝見するのは今回が初めて。

この作品が醸し出す独特の雰囲気が高島屋美術画廊Xの硬質な空気感に見事に合致し、その魅力が一段と引き出されているように感じられます。

山田純嗣101

今回の展示タイトルになっている「既視感の森」。

これまでの展開では俯瞰した光景を捉えたものでしたが、この作品ではじめて水平視線での展開が試みられていて、いつもと違う広がり、奥行き感が立ち上がってきているように感じられます。

おそらくもともとのジオラマはもっとコンパクトだと思うのですが、それがこのサイズまで引き伸ばされることで臨場感も力強く伝わり、圧巻です。

これまでの俯瞰の作品の第三者的な、「観る」ことを意識させられる印象から、その深い世界へと入り込んでいくような、風景に呑み込まれていくような気持ちが心に満ちていきます。

山田純嗣103 山田純嗣104 山田純嗣106 山田純嗣105

山田純嗣102

動物の群れがモチーフとなっている黒い作品。

黒の色調がそのまま「夜」を彷佛させ、一様にこちらに向けられる光る瞳に圧倒されつつ、それでもどこか都市的な印象が感じられるのが不思議です。

表面を覆う銅版による緻密な紋様、それによって醸し出される、ある「層」の存在も、動物たちの群れの風景に知性をもたらしているように感じられるのも興味深いです。

山田純嗣110 山田純嗣109

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ひとつのモチーフが収められた小品も印象的です。

丸みを帯びたそのフォルムのかわいらしさがいっそう際立ち、どこか牧歌的な風合いが広がります。

山田純嗣112 山田純嗣111

山田純嗣113

いちばん奥の壁に展示された2点の作品も圧巻です。

白と黒、それぞれで描き分けられた、都市の俯瞰風景。

距離をおいて眺めたときの「俯瞰」の視点、まさに「眺めている」といった感触がより心に響き、そのスケール感に感動が膨らむ一方、間近で接したときは今度はその上に展開する銅版画が一気に立ち上がり、複雑な展開をもたらす「層」の存在に意識が入り込んでいきます。

白いほうは、山田さんの作品の真骨頂のひとつでもあるメルヘンチックな雰囲気が滲みます。表面の模様もリズミカルです。

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山田純嗣118

一方、黒い作品は、都市の息づきを感じさせてくれます。

灯る明かりを思わせる、黒の中から抜けてくる白の臨場感も鮮烈なインパクトとなって迫ります。

銅版画の線もその混沌をより複雑にしているような印象も印象的です。

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ジオラマの写真と銅版画がひとつの画面で絡み合って生み出す独特の静謐な世界。

俯瞰と至近、それぞれの距離感で感じる、作品の二つの異なる表情も、山田さんの作品の大きな魅力です。

そして、今回はその銅版画の部分がさらに緻密に、そして有機的になったような印象も受けた次第です。

水平視線の展開、さらに有機的に複雑になっていく銅版の展開、さまざまな要素が発展していって、これから山田さんがどんな世界を紡ぎ上げていくのかもたいへん楽しみです。

山田純嗣114

風能奈々、渡辺豊

TKG Contemporary

東京都江東区清澄1-3-2-6F

6/21(土)~7/12(土)日月祝休

12:00~19:00

風能奈々 渡辺豊080621.jpg

Funo Nana,Yutaka Watanabe

TOMIO KOYAMA GALLERY

1-3-2-6F,Kiyosumi,Koto-ku,Tokyo

6/21(Sat)-7/12(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

Google Translate(to English)

二人のアーティストのフレッシュなクリエイションをパッケージした展覧会です。

まず、渡辺豊さん。

渡辺さんの展示を初めて拝見したのはもうずいぶん前で、上野にあったギャラリーJ2で開催された個展でしたが、そのときはまだ定まりきれていないというか、何を描くか探っているような印象が残っています。

で、先日の東京大丸でのグループ展で久々にお目にかかり、確信と意志を感じるクリエイションを拝見することができて嬉しく思っていたのですが、今回の展示ではそのユニークさが加速し、さらに力強い迫力を伴った大作も発表され、それに圧倒されるのがまたさらに嬉しく感じられた次第で。

カラフルな色彩を取り込んで描かれる、荒涼とした風合いを醸し出す光景。

ヴィヴィッドな色調と鮮烈でバリエーションに富んだ筆致を大胆に組み合わせ、生々しくもダイナミックな世界を構築しているように感じられます。

先にも述べた東京大丸での展示では比較的小さな作品のみの発表だったと記憶しているのですが、このサイズで拝見すると画面中央に廃材で組み上げられたような謎めいた立体の存在によりいっそうの臨場感がもたらされて、さらにその構図の面白さが際立ちます。

渡辺豊004 渡辺豊003 渡辺豊005 渡辺豊002

渡辺豊001

構図の統一感も印象的です。

ほぼ同じ構図での展開が、作品ごとの違いをキャッチーに提示し、そのバリエーションの厚みと広がりを感じさせてくれます。

渡辺豊008 渡辺豊009 渡辺豊007

渡辺豊006

色調によって思い浮かぶ空気感、温度のイメージなどが劇的に異なるように感じられるのもたいへん興味深いです。

鮮やかな赤で染まっていると切迫感が煽られ、寒色の展開ではその静けさが妖しく立ちのぼります。くっきりとした筆致からはどこか理知的な雰囲気も漂ってくるようで、垂れる絵の具や横に流れる筆の痕跡はそのままアバンギャルドさを醸し出すような感じです。

渡辺豊010

今回はこのひとつの流れでの展開で統一されていましたが、これからどんな世界が構築されていくか凄く楽しみです。

ART AWARD TOKYOでも印象的だった風能奈々さんは、一転してグレートーン、モノトーンのシンプルな色調での展開で、独特の深みをもたらしています。

淡々と紡ぎだされる、植物をモチーフとしているようなレリーフ。黒い線が滲んで、その上に被さる白が侵食をやわらかく抑えているかのようで、繊細な雰囲気を漂わせます。

さらに背景の銀色のなかにびっしりと書き込まれた筆記体のアルファベットが、その中央のパターンと相まって不思議な問いかけをもたらしてくるような感触が興味深いです。

風能奈々14 風能奈々13 風能奈々12

風能奈々11

もっと植物をダイレクトの感じさせてくれる作品も。

パターンの繰り返しによってもたらされる、有機的な高密度世界に引き込まれていきます。

風能奈々10

風能奈々09

円形の作品は、有機的な風合いを加速させます。

敢えて平面的に押し込められたような草花を描き出している線の群れ静かに躍動し、独特のかわいらしいリズムを奏でているように思えます。

風能奈々17 風能奈々16

風能奈々15

風能さんの作品は、会期を合わせてTKG Editionsでも展示されています。

風能奈々 ‐旅行シリーズ‐

TKG Editions

東京都中央区銀座1-22-13 銀座カーサ1F

6/21(土)~7/12(土)日月祝休

11:30~19:00

Nana Funo:Serie of Travel

TKG Editions

1-22-13-1F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

6/21(Sat)-7/12(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:30~19:00

タイトルからも伝わるように、風景をモチーフとした作品がずらりと並びます。

風能奈々01

小さな画面の分厚いパネル、多くの作品では側面まで描かれていて、その緻密で溌溂とした線により、都市も田舎も、さまざまな風景を描き出しています。

ひとつひとつ異なる背景の配色も味わい深く、ところどころに織り混ぜられるアルファベットの筆記体が、その言葉の力によってユニークなアクセントとなっているのも楽しいです。

風能奈々03 風能奈々04 風能奈々06 風能奈々07

風能奈々02

壁面にすらりと並んだ様も壮観です。

清澄で展示されている作品とは異なる雰囲気ながら、その色調の線の展開が風能さんのクリエイションの奥深さを物語っているように感じられるのも興味深いです。

今回はこちらでは小品のみの展示ですが、ぜひともこの風景の作品を大きな画面でも観てみたいです。

風能奈々08

《7/3》

西嶋雄志彫刻展 -存在の気配-

Gallery ef

東京都台東区雷門2-19-18

7/4(金)~7/21(月)火休

12:00~21:00

西嶋雄志080704.jpg

これまでコンクリートや鉄などの素材を用いた立体作品を発表されている西嶋雄志さん、今回は銅を用い、このユニークな空間を充分に活かして、蔵の入口に立った瞬間に息を呑むほどに深遠な神々しささえ漂う圧巻のインスタレーションを展開しています。

《7/4》

Heroic by HIRO KURATA

ギャラリーPOINT

東京都渋谷区恵比寿西1-4-7

7/4(金)~7/20(日)

12:00~20:00

倉田裕080704.jpg

まず、海外のマンガ的、カートゥーン的な雰囲気が印象的です。

独特の筆致とフラットな仕上がりも特徴的で、緻密な線描の凝縮で実におおらかな動きをイメージさせてくれます。

澁谷忠臣 個展「澁谷動物園」

hpgrp GALLERY 東京

東京都渋谷区神宮前5-2-11 H.P.DECO 3F

7/3(木)~7/27(日)

11:00~20:00

澁谷忠臣080703.jpg

昨年の青参道アートフェアでも印象に残った澁谷忠臣 さんの個展です。

矩形のソリッドな色面が構築され、さまざまな動物の姿がヴィヴィッドに描かれています。

未来的な臨場感と、構築する過程の楽しさ、面白味がふんだんに詰め込まれたクリエイションです。

debut! ver.CHOUN MINOK 全民玉 個展

谷門美術

東京都港区北青山3-3-7 第一青山ビル1F

7/4(金)~7/16(水)祝休(日月:要予約)

13:00~19:00

全民玉080704.jpg

昨年のギャラリーゴトウでのグループ展、芸大の修了製作と直後のART AWARD TOKYOで印象に残っている全民玉さん。

ぼやかした色面のシルエットがエキゾチックな雰囲気を醸し出すのですが、作品によってさらにユニークな奥行き感、縮尺感が織り込まれて、絵画としてのシンプルな美しさとコンテンポラリーアートならではの視点の面白さがやわらかく迫ってきます。

藤芳あい flower under flower

ラディウム-レントゲンヴェルケ

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17

7/4(金)~7/26(土)日月祝休

11:00~19:00

藤芳あい080704.jpg

前回の個展の「透明な青」から一転、独特の質感の「赤」が出迎えてくれる今回の藤芳あいさんの個展。

1階のインスタレーション、グラフィカルな構図が楽しくシュールなペインティング作品を展示している2階、それぞれが藤芳さんのクリエイティビティのユニークさを際立たせ、さらに奥行きを与えているように感じます。

帆苅祥太郎「Behind the Sun」

CASHI゜

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-18-1F

7/4(金)~7/26(土)日月祝休

11:00~19:00

帆苅祥太郎0870704.jpg

先月のこけら落としのグループショーにも出品されていた帆苅祥太郎さん。

黒い素材を用いた巨大な犬のオブジェが横向きで出迎えてくれ、FRPに留まらずさまざまな素材へのチャレンジも展開されています。

帆苅さんにとっての初個展、これまでの集大成と同時にここから始まっていくイマジネーションの広がりも興味深いです。

《7/5》

野依幸治 -空の想い出-

YOKOI FINE ART

東京都港区東麻布1-4-3 木内第二ビル6F

7/5(土)~7/26(土)日月祝休

11:00~19:00

野依幸治080705.jpg

野依幸治さんといってまず思い浮かべるのが落ち着いたトーンのグリーンなのですが、今回はその肩書きといってもいい色調がいくぶん抑えられ、さまざまな、しかし統一感のある色を用いて描かれた作品が並んでいます。

額によってカットされたさまざまな情景は、小さい作品でもその周辺に作用して、なんともいえない懐かしいような時間が広がっていくイメージを創出させてくれます。

猪股あき

Gallery TEO Room 1

東京都品川区東五反田2-5-15-3F

6/28(土)~7/26(土)日月祝休

11:00~19:00

猪股あき080628.jpg

面白い!

種を明かせばシンプルなシステムで床面に投影される水の輪のシルエット。

Gallery TEOの入口に入って左側の閉じたスペースで行われている感覚的にインタラクティブな要素が強いクリエイション。

床面を眺めているとホントに不思議な気持ちに満たされていきます。

問谷明希

Gallery TEO Room 2

東京都品川区東五反田2-5-15-3F

6/28(土)~7/26(土)日月祝休

11:00~19:00

問谷明希080628.jpg

明るい空間に展示された、抽象的な要素が強いペインティング。

大作を中心に展示されていて、それぞれが持つ雰囲気の面白さ、そこに繊細に広がる色彩のイメージなど、抽象的でありつつも爽やかな雰囲気を発しているように感じられ、ふわりとした気分が心地よく感じられます。

中沢研

ANDO GALLERY

東京都江東区平野3-3-6

7/1(火)~8/23(土)日月祝休

11:00~19:00

File0015中沢研080701.jpg

薄いベージュ系の色彩が広がり、そこに矩形や線が大胆に重なる大きなペインティング群。

そこに描かれるかたちが放つ縮尺感がユニークで、構築された奥行き感や、こちらへと迫るような迫力も伝わってきます。

東京都現代美術館と清澄のギャラリービルを繋ぐ通り、現美から歩いて約3分ほどの場所に新たにできたたっぷりとした空間、ANDO GALLERYのこけら落としにふさわしい、独特のおおらかさを滲ませている展覧会です。

鈴木健司・藤野尋子「dualscape」

アトランティコギャラリー

東京都新宿区築地町13 赤城印刷ビル4F

7/5(土)~8/9(土)木金土のみ

12:00~19:00

鈴木健司 藤野尋子080705.jpg

最近の個展をこのブログでも紹介した二人のアーティストをパッケージしたグループ展。

鈴木健司さんの金属的な色面とそこに置かれる線が発するダイナミズム、藤野尋子さんのジオラマ的なオブジェ群、それぞれが奏であい、理知的な世界をつくり出しています。

原良介「ゆらめき地平面」

YUKA SASAHARA GALLERY

東京都新宿区西五軒町3-7 ミナト第3ビル4F

7/5(土)~8/9(土)日月祝休

11:00~19:00

原良介080705.jpg

昨年は鎌倉のGallery Stumpでの個展が印象的だった原良介さんのYUKA SASAHARA GALLERYでの個展、薄塗りのおおらかなペインティングがなんとも清々しいです。

そこに描き込まれる同一の人の複数の姿が醸し出している、描かれた世界の時間のイメージのユニークさモチーフの切り取り方のユニークさなど、いかにも原さんらしいクリエイションが紡ぎ上げられています。

《7/6》

TWS-Emerging099 HyonGyon「ぞくぞく」

トーキョーワンダーサイト本郷

東京都文京区本郷2-4-16-2F

7/5(土)~7/27(日)月休(月曜日が祝日の場合開廊、翌日休)

11:00~19:00

HyonGyon080705.jpg

画面の中をうねる黒髪などにより、異様なまでにダークなエネルギーに満ちた空間が作り上げられています。

荒れ狂うような動的イメージ、深く沈み込むような静謐感など、描かれる作品それぞれが実に重厚にその世界を押し出しています。

謎めいていて、妖しげな風合いが鮮烈な映像作品も印象的です。

TWS-Emerging100 高倉吉規「THE GIFT」

トーキョーワンダーサイト本郷

東京都文京区本郷2-4-16-2F

7/5(土)~7/27(日)月休(月曜日が祝日の場合開廊、翌日休)

11:00~19:00

高倉吉規080705.jpg

さまざまな縮尺感も面白い抽象世界で、弾けるような発色のグリーン、さまざまな色を滲ませる白のそれぞれを背景にして、そこに透明感を持った扇形の色面が幾重にも重なり、独特の立体感を発するペインティングがずらりと並びます。

図形的なリズミカルさと、混沌とした雰囲気が同時に迫ってきます。

TOKYO EYE 05 塩川彩生 全民玉 平田由布

大丸東京店10Fアートギャラリー

東京都千代田区丸の内1-9-1

7/2(水)~7/8(火)

10:00~20:00(最終日:~17:00)

TOKYO EYE 05.jpg

東京大丸でのおなじみの企画も5回目、今回は既知のアーティストがフィーチャーされていて、それぞれの展開が面白かったです。

素朴さに深みを滲ませる木版画の塩川彩生さん、谷門美術での個展も面白い全民玉さんはエキゾチックな筆致でやわらかな風景を描き、久々に拝見する平田由布さんは過去の作品のキャンバスからカットし再構築した作品や、小さなドットが重なってひとつの風景を描く作品など、新たな展開が見受けられました。

《7/7》

この日、恵比須に移転した新生NADiffのこけら落とし。

もう、すごい人の数。感覚的には清澄のギャラリーのグランドオープンを上回るような印象。

Girls' Zone 01 抜水摩耶×YUKARINA

Art Jam Contemporary

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F

7/7(月)~8/3(日)

12:00~20:00

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一度観たら忘れられない抜水摩耶さんのヴィヴィッドでシャープなキャラクターが天真爛漫な世界を繰り広げるクリエイションと、それとは対照的に緻密な線の重なりがふわりとしたやわらかな雰囲気を奏でるYUKARINAさんの二人の女性アーティストがパッケージされた二人展。

そのコントラストも面白く、なんとも複雑なイメージが交錯する空間となっています。

new beginning the show must go on!

magical,ARTROOM

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F

7/7(月)~8/3(日)

12:00~20:00

magical 080707.jpg

出し惜しみなし、所属アーティストの勢いをそのまま出しちゃってる感じがとにかく痛快な、六本木コンプレックスから移転の新生magical,ARTROOMのこけら落とし。

それぞれのクリエイションが弾けまくって、グランドオープンを高らかに宣言しているかのような力強さも満ちています。

《7/8》

○展

@メリーロード高輪内 MAYSTONE

東京都港区高輪2-2-17 テラノ高輪1F

7/6(日)~7/13(日)

12:00~20:00

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5名のアーティストの咲く非遠賀展示されている中、これまで折りに触れて拝見している山口英紀さんの作品がとにかく素晴らしいです。

今年初めの新生堂での個展でもその信じられないほどに細密な水墨画に感動させられたのは記憶に新しいのですが、そのとき描かれていたパーソナルなあたたかい想いを滲ませるやさしい風景から一転、今回は都市の複雑な風景を切り取り、さらに信じられない精度で再現しています。

その精度、もう信じられないくらいの凄さ。

絹本に墨、という組み合わせでなぜここまでコントロールできるのか、と。

聳えるビル群、縦横に展開する道路、そこを走る無数の車両が一切の狂いなく再現されている様は圧巻の一言です。

今後の展開がホントに楽しみです。

山口英紀105 山口英紀102 山口英紀103 山口英紀104

山口英紀101

《7/9》

近藤聡乃「果肉」

MIZUMA ART GALLERY

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F

7/9(水)~8/9(土)日月祝休

11:00~19:00

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一昨年の個展も面白かった近藤聡乃さん、今回はアニメーション映像やそのためのドローイング、アクリルのペインティングではなく、オイルペインティング作品のみの展示です。

独特の憂いを帯びたような表情の女の子が登場するのは変わらないものの、油絵の具特有の質感によって時間が凝縮されたような風合いがもたらされ、それぞれの画面に物語性に深みを与えているような感覚です。

脆弱な重厚感が、心にすっと広がり、底へと沈み込むような不思議な感触に満ちています。

KYOTARO「天界トリップ」

ミヅマ・アクション

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル5F

7/9(水)~8/9(土)日月祝休

11:00~19:00

KYOTARO080709.jpg

鉛筆で描かれるモノクロームの世界。

外へ外へと広がり、遂には画面から溢れてしまう展開が放つ力強さとスピード感。

描かれるモチーフのエキゾチックさとは裏腹に、どこか西洋的な風合いが過るのもユニークです。

シリーズ企画「ズレ」その2 小寺絵里 ~メガロごっこ~

ギャラリー揺

京都府京都市左京区銀閣寺前町23

6/17(火)~6/29(日)月休

12:00~19:00(最終日:~17:00)

小寺絵里080617.jpg

Eri Kodera exhibition

Gallery Yuragi

23,Ginkakuji-maecho,Sakyo-ku,..Kyoto-shi,Kyoto-fu

6/17(Tue)-6/29(Sun) closed on Monday

12:00-19:00(last day:-17:00)

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ペインティングとインスタレーションで織り成す不思議な世界観。

ギャラリー揺で開催された小寺絵里さんの個展です。

以前から伺いたかったギャラリー揺の奥の展示スペース、家屋がそのままギャラリーになっていて、畳や板の間の普段使いの空間が醸し出す雰囲気に、コンテンポラリーアートが配され、実に不思議な雰囲気が広がっていました。

まず目に飛び込んできたのが、板の間に突如として現れる砂の風景。

中央の蟻地獄を思わせる窪みと、そこへと向かう馬の姿が壮大なスケール感を醸し出しています。

小寺絵里13

壁にはユニークな絵が飾られていました。

これがホントに面白いんです。

おそらく水彩かと思われるのですが、ほんのりレイドバックしたようなやわらかな筆致、配色で、なんともいえない不思議なシチュエーションがつくり出されています。

登場するもののひとつひとつは実に緻密でていねいに描かれ、例えば下の作品の犬の姿を見ると「あー、わかるわかる!」という具合にリアルなり情感を放っているのですが、一方でそのまわりの諸々が有り得ない縮尺の関係を感じさせてくれたり、何かを現す記号とも、あるいはシュールさを際立たせるアクセントにも思えてきたりと、想像に幅をもたらしてくれるように感じられます。

小寺絵里03 小寺絵里05 小寺絵里04 小寺絵里02

小寺絵里01

自然の風景が描かれた作品、いかにも普遍的な絵画の装いを奏でつつ、そこに大きな手が挿入されていることに一瞬遅れで気付かされて驚いたり。

他の作品でも、モチーフの関係性が実にユニークで、絶妙で大胆な忍び込ませ方にそれぞれ感服した次第です。

小寺絵里06 小寺絵里07

小寺絵里08

一転、インスタレーションはそのサイズ通りの臨場感が伝わってきます。

障子張りの扉に絵が描かれ、さらに敷かれた布団の上にころころと散らばって乗る緑の球体。

布団は実感的には断固として布団でもあり、にもかかわらずこの空間では何かの風景を感じさせてくれます。

小寺絵里11

小寺絵里10

蟹の甲羅を使ったジオラマ風のオブジェもユニークです。

こちらと同じような索引が屋外の小さな庭園に撒かれるように展示され、僕が伺ったときは雨でしたが、その雨にドーム表面を雨粒の水滴で濡らし、そのことが外界と半球の中の世界との境界としての機能をしっかりと主張しているように感じられたのも興味深かったです。

小寺絵里09

インスタレーションと絵画とに共通する自在な縮尺感がとにかく面白いです。

残念ながら小寺さんとお話しできず、機会があればいろいろと伺ってみたいです。

過剰に知性をも求めることなく、むしろ子供のなぞなぞとか楽しいファンタジックな想像の園長にあるような、ちょっと古めかしいキュートさが印象に残る展覧会でした。

小寺絵里12

下出和美個展

voice gallery w

京都府京都市上京区河原町通今出川下ル梶井町448 清和テナントハウス2F

6/7(土)~6/29(日)月休

13:00~20:00(最終日:~18:00)

下出和美080607.jpg

Kazumi Shimode exhibition

voice gallery w

448-2F,Kajii-cho,Kamigyo-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu

6/7(Sat)-6/29(Sun) closed on Monday

13:00-20:00(last day:-18:00)

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深くて、揺らめいていて、憂いを帯びていて、そして、でもキュートな色彩とシーン。

voice gallery wでの下出和美さんの個展です。

はじめて下出さんの作品を拝見したときは、登場する女の子が工藤麻紀子さんが描くキャラクターと重なり、その強烈な既視感に苛まれてどうにも入り込んで行けなかったのですが、何度か作品を目にし、今年春のART AWARD TOKYOでのマラソンレビューで下出さんのお話も伺えたこともあって、「あー、やっぱりいい!すごくいい!」という気持ちに到達できた次第で。

鮮やかな発色が、どこかアクティブさとメランコリックさ、センチメンタルさを同時に醸し出す、独特の世界がそれぞれの作品で繰り広げられています。

下出和美01

特徴的なのが、暖色系の色調の多用です。

これらのヴィヴィッドさ、女の子の象徴とか憧れとかを現すようなかわいらしさを内に秘めるような感触などが、例えば白や黒など、その他の色彩と深くて艶やかなコントラストを生み出し、描かれる世界にさらに深度をもたらしているような印象を受けます。

下出和美15

先述しましたが、工藤麻紀子さんのそれとよく似た表情や輪郭のキャラクターが、画面の中にさまざまな縮尺で登場し、そのシュールさを加速させているような感じです。

そして、すべての作品を貫通しているひとつのストーリー性の独特さ、個性的な印象に加え、バリエーションに富んだマチエルのひとつひとつも見どころのひとつとなって迫ります。

油彩特有のダイナミックな筆遣いに圧倒される一方で、下の作品であれば画面下方の白い線の凝縮に施される黒の稜線の緻密さや絵の具の盛り上げでリズミカルな立体感をつくり出していたり、といった具合に楽しくさせてくれる要素が詰め込まれていて、そういった細かなポイントにも魅入られてしまいます。

下出和美03 下出和美04 下出和美05 下出和美06

下出和美02

下出さんの作品というと、主にオレンジを用いた作品が多い印象を持っていたのですが、今回は妖しい深みをたたえる紫っぽい赤が全面に広がるものも。

オレンジのキュートなイメージ(ピンクとは違ってどこか溌溂とした感じの...)から一転、さらにさらに、もっと深いイメージの世界へと導いてくれるような...。

下出和美11 下出和美10 下出和美12 下出和美09

下出和美08

小品群も魅力的です。

そのひとつひとつが謎めいていて、小さいからこそのアクセント感というか、ぽつんと展開する世界の、そこにきゅっと詰め込まれた深みが独特の味わいを奏でます。

下出和美14 下出和美13

下出和美16

シンプルな色の構成とダイナミックな構図、ちょっと困ったような表情が堪らない感じの女の子たちの仕草、そういったものが絡まり、かかわり合って、ほのかに大人びているメルヘンの世界に、現実との特異な距離感をもつ不思議な神々しさをもたらしているようにも感じられます。

とにかく、一にも二にも、このかわいらしさがいいんです。

暖色と黒とのハーモニーにゆるゆると浸るのが心地いいんです。

下出和美07

大田ゆら展 -覆う眺め-

imura art gallery

京都府京都市左京区丸太町通川端東入ル東丸太町31

6/4(水)~6/28(土)日祝休

10:00~18:30

大田ゆら080604.jpg

Yura Ota exhibition -Covering view-

imura art gallery

31,Higashi-maruta-machi,Sakyo-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu

6/4(Wed)-6/28(Sat) closed on Sunday and national holiday

10:00-18:30

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伸びやかな静謐感のなかに生み出されるユニークな空間性。

シェル美術賞やトーキョーワンダーウォールなどで作品を拝見していて印象に残っていた大田ゆらさんのimura art galleryでの個展です。

空、あるいは海を思わせる独特の深みを帯びた青を背景に、ある風景にいる人々がその場所を行き交い、佇む姿だけを抜き取り、それを俯瞰して描いたような、視点が既にユニークな作品が展示され、そのダイナミックな構図が放つおおらかさとそこからほのかに感じ取られるなんともいえない淋しさが迫ります。

大田ゆら05

スクエアの大作、画面中央のグリーンの鮮やかさがアクセントとなり、それを囲む青のおおらかな深みとで、お互いの色としての美しさを引き立てあっているように感じられます。

そして、そのグリーンの中に長く伸びる人々の影が、作品が本来持つスケール感をさらにダイナミックに感じさせてくれます。

「こういうふうに描く」という、それぞれの要素にユーモアを感じるのですが、それらがユーモアだけに落とし込まれることなく、そのシーンに沈んでいくような奥深さも生み出しているような印象です。

大田ゆら03 大田ゆら02 大田ゆら04

大田ゆら01

その向かいの壁面に並ぶ作品は、おそらくデパートの光景を描き出したものかな、と。

警備員の姿もそこかしこに見受けられ、何を買おうかと選んでいるような人やら通路を歩く人など、描かれる人々それぞれの時間がこれだけ小さく描かれていながらもしっかりと滲み出ています。

例えば通路であったり、それぞれのショップやそこを埋め尽くすディスプレイなどなど、本来あるものが描かれていないことで、より描かれる人々の「心」の部分、意識の部分が引き上げげられているように感じられるのも面白いです。

そしてそれが生み出す空間性が縮尺感へも作用して、実は小さな世界を覗き観ているのかも、とか、逆にもっと壮大な、それこそ宇宙規模のイメージも創出させてくれたり。。。

大田ゆら07 大田ゆら08 大田ゆら09 大田ゆら10

大田ゆら06

大田さんの作品をどういう作品か説明しようと考えてみると、その手法のシンプルさがよく分かるような木がするのですが、その「こういう作品」で終わらせない味わい深さがあるのがたいへん興味深いです。

おおきな作品のどの部分に焦点を当ててもそこにしっかり物語が奏でられていて、それらの関連性がまた違うイメージをもたらしてくれたり...観る側にゆだねられるものの大きさ、おおらかさも嬉しいクリエイションです。

大田ゆら11

Just like yourself 鳴海愛 山崎龍一 mayu

Shonandai MY Gallery

東京都港区六本木7-6-5 六本木栄ビル3F

7/1(火)~7/8(火)

12:00~19:00(最終日:~17:00)

Just like yourselfDM.jpg

Just like yourself Ai Narumi Ryuichi Yamazaki mayu

Shonandai MY Gallery

7-6-5-3F,Roppongi,Minato-ku,Tokyo

7/1(Tue)-7/8(Tue)

12:00-19:00(last day:-17:00)

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素朴も知性も毒気も含んだファンシーな世界。

Shonandai MY Galleryで開催されている、3名のユニークなクリエイションを展開するアーティストがパッケージされたグループショーです。

それぞれ、高いクオリティで繰り広げられている独自の世界を持っていて、それらが調和して実に面白い空間が展開されています。

先日開催されたGALLERY b.TOKYOでのグループ展での作品も楽しかったmayuさん。

目にした瞬間、そのポップでキュートな展開が気持ちを高揚させてくれる。キャッチーなクリエイションが

ずらりと並んでいます。

mayu006

鮮度高めの色のチョイスの爽快感、さまざまな箇所で見受けられるグラフィカルなパターン、整った配列のケレン味のなさなど、眺めただけの印象の痛快さは相変わらず!

そして、これらの作品に多く挿入される、いろんな色のさまざまな「かたち」はご本人曰く「mayu語」という言葉なのだそう。ひとつひとつのかたちがそれぞれ仮名と対応しているそうで、その配列は読むこともできるとのこと。

そういった話を伺うと、見え方が変わってきます。

もちろんそのかわいらしさ、究極的なファンシーな雰囲気の心地ょさはそのままに、そういった要素を隠れ蓑にするかのように、意味が潜んでいることが、「じゃあ読み取ってみようか!」なんて好奇心を煽ってきます。

以前、イギリスの田舎の大学に留学した僕の友人から聞いた話で、東南アジアからのルームメイトが日本語の本を目にし、意味こそ分からないものの、助詞として繰り返し登場するひらがなを見つけて、そこから法則を導き出してその聡明さに驚いたらしいのですが、それと同じようなアプローチで、そこに挿入されたセンテンスの意味を見つけてみたくなってきます。

mayu005 mayu008 mayu007

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いたるところにさまざまなかたちでmayu語が挿入される作品を続けて製作されているmayuさんですが、今回はそのmayu語が入っていない大作も発表されています。

ちいさくかわいくデフォルメされたたくさんの動物たちが画面いっぱいに広がり、そこにスピーチバルーンもたくさん描かれ、不思議な奥行き感と緩くておおらかな時間性を醸し出しています。

mayu003 mayu002

mayu001

相模原での個展に行けず残念に思っていた鳴海愛さんの作品も拝見できて嬉しい限りで。

石粉粘土を用いたオブジェです。

まず、その精度に目を見張ります。

壁に設置されたちいさな棚に並ぶさまざまな食材。それぞれの素材のユニークなフォルムをていねいに再現し、いい塩梅で作り込みを終えていて、ほのぼのとした温かみ溢れる質感が伝わってきます。

鳴海愛02 鳴海愛03 鳴海愛01

鳴海愛04

壁を這うカタツムリも。

過剰に磨き込まれることなく、ちょっとざらついた独特の表面の質感と、空間とのかかわりが醸し出す味わい深さなど、ちいさな展開ながらもその素朴なかわいらしさややさしさが印象に残ります。

鳴海愛06

鳴海愛05

これまで折りに触れ拝見している山崎龍一さん。

もう、おなじみの白いフードを冠ったやんちゃそう、お転婆そうな子供が、相変わらずそのやんちゃっぷりを余すところなく発揮しています。

今回の展示では平面作品が多めです。

そこに込められた遊び心、破られたパネルの表面などから顔を出す仕草が何とも

オッ!!Σ( ̄口 ̄;)

な感じで、ちょっとした驚きをそのユーモアから感じます。

山崎龍一206 山崎龍一205

山崎龍一204

パネルに直描きのドロ=イング作品も。

こちらも、やっぱりそのいたずらっぽい仕草や表情が堪らないです。

山崎龍一201 山崎龍一202

山崎龍一203

おなじみのオブジェも展示されています。

ていうか、今回は布団をかぶってうつぶせに寝る状態のがもっとも大きな作品で、妙に達観したような表情や、ほぼ実物大に近いサイズの臨場感なども相変わらずの精度とインパクトでじわじわと迫ってくるような感じです。

山崎龍一209 山崎龍一208

山崎龍一207

で、毎度おなじみの

そこか!Σ( ̄口 ̄;)

そこにいたか!Σ( ̄口 ̄;)

的な展開も。

山崎龍一210

取り合わせの楽しさも印象的です。

それぞれ醸し出す雰囲気は異なっているものの、このキャラクターの幅の広さは、例えば学校のクラスみたいに、ある集まりにそれぞれの個性がアクセントをもたらしているのと似ていて、それぞれのユニークさが他の二人の面白さをそれぞれのかたちで引き立てあっているように感じられるのも興味深いです。

作り手、選び手、その両者の楽しさが伝わってくる展覧会です。

鳴海愛山崎龍一01

はまぐちさくらこ展 -STORY-

YOD Gallery

大阪府大阪市北区西天満4-9-15

6/18(水)~7/5(土)日月祝休

11:00~19:00

はまぐちさくらこ080618.jpg

Sakurako Hamaguchi exhibition -STORY-

YOD Gallery

大阪府大阪市北区西天満4-9-15,Nishitenma,Kita-ku,Osaka-shi,Osaka-fu

6/18(wed)-7/5(sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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とてつもなくポップに展開するエネルギッシュな世界・・・!

YOD Galleryでのはまぐちさくらこさんの個展です。

はまぐちさんの作品をしっかりと拝見するのは今回が初めてで、さまざまな媒体でその作風には触れてはいたのですが、実際にあのサイズで作品を拝見すると、そこに詰め込まれたエネルギーというか、弾けまくってパンパンに膨らんだようなポップな世界に一気に気分が高揚します。

はまぐちさくらこ11

ずらりと並んだ作品群、それぞれでさまざまな表情のシーンが展開されています。

バラエティに富んだ色彩が背景に取り入れられて、「スパーン!」とケレン味なくもたらされる空間の広がりのイメージからして痛快で。

そしてそこに描かれるこれまたさまざまなキャラクターが、伸び伸びとやりたいことをやりたいようにやりたい放題やってる感じで登場しているのがさらに痛快です。

はまぐちさくらこ02 はまぐちさくらこ03

はまぐちさくらこ01

展示されている作品には、側に言葉が壁に直接書き加えられていて、それがキュートさを加速させているようにも感じられます。

はまぐちさくらこ04

もっとも大きな作品、まず背景の前面に迫るような鮮やかな青が気持ちいいです。

そこに、「どーん!」と登場している猫のような動物の頭部、

目が!Σ( ̄口 ̄;)

目がでけぇ!!!!Σ( ̄口 ̄;)

とそのインパクトに下方の赤い丸とともに圧倒されてしまった次第。

なんかもー、このむちゃくちゃなスケール感にいろんなことがどーでもよくなってくるような感じもしてきます。

で、ぱっと目に入った瞬間のポップな雰囲気のなかにサディスティックな表現もするっと織り込まれ、全体のヴィヴィッドな色調とポップな雰囲気がその感覚を逆に際立たせ、危険なムードも鋭く漂わせているような感触も印象的です。

はまぐちさくらこ08 はまぐちさくらこ06 はまぐちさくらこ07

はまぐちさくらこ05

さまざまな作品が一堂に展示されていて感じるのが、そのバラエティの豊富さ。

背景の色のチョイスといい、キャラクターの描き分けといい、それぞれが重ならない物語を展開しているような印象を受け、興味深く感じられます。

1話完結の小品を集めた短篇集のような感じの展覧会。しかし、それぞれのシーンが放つボリューム、時間的な奥行き感はかなりダイナミックに思え、猛スピードで吹き荒ぶ色彩の嵐が痛快な圧迫感をもたらしてくれるような感じです。

はまぐちさくらこ13 はまぐちさくらこ09

はまぐちさくらこ12

展示空間の至る所にちょこんちょこんと添えられた落書きも楽しい!

はまぐちさくらこ15 はまぐちさくらこ16

はまぐちさくらこ14

今回の展覧会ではライブペインティングも行われていて、個展会期中に外壁に設置された横長のパネルに描き加えていく、というかたちで進行していっているようで、ライブということもあり、その激しさにより臨場感が備わった世界が展開していたのも印象に残ります。

はまぐちさくらこ10

宮本佳美展 華を去る視界

ギャラリー16

京都府京都市東山区三条通白川橋西入ル石泉院町394 戸川ビル3F

6/24(火)~7/5(土)月休

12:00~19:00

宮本佳美080624.jpg

Yoshimi Miyamoto exhibition

ギャラリー16

394-3F,Sekisenin-cho,Higasiyama-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu

6/24(Tue)-7/5(Sat) closed on Monday

12:00-19:00

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モノクロームのおおらかで繊細な色香。

ギャラリー16での宮本佳美さんの個展です。

展示スペースに入る刹那、緻密で鮮やかなグラデーションを駆使して描かれる大輪の花が目に届き、不思議な縮尺感のほのかな痛快さが心にすっと広がります。

宮本佳美09

描かれるモチーフは押し花なのだそう。

そして、用いられる「黒」も、そのなかに厳選された色彩も混ぜ込ませてあるようで、作品により、その黒にほのかな青など、単にモノクロームでは収まらない絶妙の色として現れているのが伝わってきます。

宮本佳美03 宮本佳美04 宮本佳美02

宮本佳美01

大作がずらりとダイナミックに展示されていて、その画面には拡大された花の姿が見事に描き上げられているのですが、このサイズでありながら、細密画を観ているような感覚で、実に繊細な風合いが漂い、その儚さが放たれる光の動線を思わせるような広がりをもたらしているように感じられます。

宮本佳美06 宮本佳美07

宮本佳美05

透けるように描かれた花弁は、その薄さや、そこを伝う脈の臨場感などがていねいに描き上げられ、色調なども相まって未来的に感じられるのも興味深いです。

また、モノクロームで描かれることで、生命としての臨場感が発せられているようにも感じられます。おそらく本来のヴィヴィッドな花の色が充満させるいきいきとした感触は抑えられ、その儚い部分、脆い部分が神々しく立ちのぼるような印象も浮かび、未来的な風合いとも絡んで、「今」とは異なる時間の存在を思わせます。

宮本佳美08

宮本佳美11

ほぼすべての作品で、花の全像が描き上げられているのですが、小品ではその花の姿がトリミングされ、拡大されたような感触が、サイズにとらわれないダイナミックな迫力をもたらす構図になっていて、より壮大なイメージを創出させてくれているような気がします。

宮本佳美12

宮本佳美13

描写力に脱帽させられるのはもちろん、彩色、構図、空間性においても緻密さが伝わります。

モノクロームであることがさまざまな効果をもたらしていて、先述した通りに未来的なイメージをもたらしてくれ、そして独特の深遠さ、静謐感も漂います。また、大作であるのに迫るような感触が抑えられ、むしろ吸い込まれるような風合いも印象的です。

そして、それぞれの作品に流れる時間のイメージのユニークさもたいへん興味深いです。

宮本佳美10

《6/27》

大城カズ Untitled Recordings

CLEAR GALLERY

東京都渋谷区渋谷4-2-5 Place Aoyama

6/27(金)~8/2(土)日月祝休

11:00~19:00

大城カズ080627.jpg

!!!Σ( ̄口 ̄;)

マジかよ!!!Σ( ̄口 ̄;)

必見でございます。

太郎智恵藏展 二つのタワー ビルディングの幻と山水

第一生命南ギャラリー

東京都千代田区有楽町1-13-1

6/27(金)~8/6(水)土日祝休

12:00~18:00

太郎千恵藏080627.jpg

広々とした空間に、ダイナミックな大作がずらりと並び、実に見応えのある構成となっています。

ポップでヴィヴィッドな色調で構築されるさまざまな景色や光景、独特の壮大さで迫り、天地を揺るがせ、震わすような迫力を伴いつつもそこにいる人のカラフルなシルエットからは何故か素朴さが伝わってくるような印象も。

漆黒の巨大なFRP製の立体作品も迫力充分です。

山田純嗣展 "DEEP FOREST -既視感の森-"

日本橋高島屋6階美術画廊X

東京都中央区日本橋2-4-1

6/25(水)~7/15(火)

10:00~20:00

山田純嗣080625.jpg

ユニークな行程を経て制作される山田純嗣さんの作品、今回は銅版で刷られる線が今まで以上にさらに緻密に、かつ洗練された風で、モノクロームの世界がさらにユニークに展開されています。

その写真に乗る細かい線の密集、ノイズがノイズでなくなる瞬間が堪らないです。

Art Scope 2007/2008 -Face of Existence

原美術館

東京都品川区北品川4-7-25

6/28(土)~8/31(日)月休(7/21は開館、7/22休)

11:00~17:00(水:~20:00)

Art Scope 2008パンフ.jpg

国内外の4名のアーティストをフィーチャーした展覧会、レセプションで大勢の方がいらっしゃってたこともあり充分に展示を拝見していないのですが、加藤泉さんの展示は、僕がこれまで拝見した中でもダントツに素晴らしいと思います。1階の広いほうの展示室が加藤さんのコーナーなのですが、おなじみの平面と木彫の作品で、空間との調和が尋常でない気がします。

夜にご覧になることをお薦めしたいです。

古川弓子 渡辺泰子 二人展 TRANSACTION

GALLERY SIDE2

東京都港区東麻布2-6-5

6/27(金)~7/25(金)日月祝休

11:00~19:00

古川・渡辺080627.jpg

古川弓子さんの木を用いた作品、これまでの展示で拝見した作品の繊細に放つ知性がいくぶんか抑えられ、よりポップで丸みを帯びたやさしい感触が印象的です。

渡辺泰子さんは、さまざまなメディアを軽やかに行き交ういかにも渡辺さんらしい構成で、写真、ドローイング、映像とバラエティ豊かなに展開されています。

黒川知希「ユース」

NANZUKA UNDERGROUND

東京都渋谷区渋谷2-17-3 IBIS Bldg.B1F

6/28(土)~7/27(日)月火休

13:00~20:00

黒川知希080628.jpg

おそらくこのサイズでないと表現できない、伝えられないイメージがあるのだ、という鮮烈な主張がヴィヴィッドに立ちのぼり、充満しているような、痛快な雰囲気に満ちています。

《6/28》

今年4度目かの関西。

時間の都合でFUKUGAN GALLERYや児玉画廊、studio Jなど足を運べなかったギャラリーもあったものの、充実した時間を過ごせて満足です。

はまぐちさくらこ展 -STORY-

YOD Gallery

大阪府大阪市北区西天満4-9-15

6/18(水)~7/5(土)日月祝休

11:00~19:00

はまぐちさくらこ080618.jpg

弾けるような色彩とキャラクターの振る舞いや出で立ち、表情などなど、ぱっと観たときの痛快さ、爽快さが堪らない!

そして、徹底したポップさのなかにさまざまな危うさも潜んでいて、それらが放つアクセントとしてのパワーにも圧倒させられます。

冨倉崇嗣展

O galley eyes

大阪府大阪市北区西天満4-10-18 石之ビル3F

6/23(月)~6/28(土)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

冨倉崇嗣080623.jpg

東京で拝見したときはもっと曖昧なフォルムの印象だったのですが、くっきりとしたシャープな色彩構成や色面のかたち、あるいは描いた痕跡が絵の具の盛り上がりとともに大胆に残る部分など、さまざまな要素が力強く存在を主張しているように感じられ、迫力が伝わります。

冨倉崇嗣06 冨倉崇嗣05 冨倉崇嗣08

冨倉崇嗣07

それぞれの作品から感じるイメージも幅広く、表面的に描かれているものに留まらず、そのさまざまなテクスチャーによって隠されたイメージへも入り込んでいくような面白さがあるように思われます。

もっとも大きな作品は、深い色の展開も実に印象的で、ゆったりとおおらかに広がる景色のダイナミズムと、そこかしこに見受けられるシュールな感触もあり、さまざまなイメージが過ります。

冨倉崇嗣04 冨倉崇嗣03 冨倉崇嗣02

冨倉崇嗣01

澤田知子展「BRIDE」

MEM

大阪府大阪市中央区今橋2-1-1 新井ビル4F

6/24(火)~7/16(水)日月祝休

11:00~18:00

澤田知子080624.jpg

一度拝見したら忘れない、さまざまなシチュエーションに身を投じるセルフポートレイト作品がおなじみの澤田知子さんの個展。

個展で拝見するのは初めてなのですが、やはりその迫力には圧倒させられます。

今回は花嫁衣装を纏い、洋装と和装との組み合わせでウエディングドレスと白無垢が背景の艶かしい赤に浮かび上がり、独特の迫力を生み出しています。

澤田知子03

上の今回のすべての写真をひとつの額におさめた作品の他は、洋装と和装の写真がが1対となって並んで展示され、空間をぐるりと囲んでいます。

すべて同位置に頭部が収まるような写真の構成の精度と、展示のリズム感とが、何故か杉本博司さんの「海景」シリーズを思い起こさせてくれました。

澤田知子02

澤田知子01

坂井淑恵 近作展

GALLERY ZERO

大阪府大阪市西区京町堀1-17-8-4F

6/16(月)~7/5(土)日祝休

12:00~19:00(土:~17:00)

坂井淑恵080616.jpg

色の艶やかさ、素朴で大胆な展開が印象的です。

粗いキャンバス地にがっしりと食い付くような絵の具の盛り上がりの力強さなどにも目が向かいます。

さまざまな景色や人物像が、その独特の筆運びによってまろやかに、曖昧に描き変えられ、ぬくもりと穏やかさ、おおらかさが伝わってくるような印象を受けます。

「観る」だけでなく、「眺める」という若干アクティブさを抑えた接し方でも充分に味わい深さを堪能できる作品群です。

坂井淑恵04 坂井淑恵03 坂井淑恵02

坂井淑恵01

奥田文子展

58(Gallery Den)

大阪府大阪市西区京町堀1-13-2 藤原ビル5F

6/9(月)~6/28(土)日休

12:00~19:00(土:~17:00)

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GALLERY MoMoでの展示も印象的だった奥田文子さん。

白の爽快さと曖昧さが漂うフォルムで描かれる光景の爽やかで軽やかな深みが印象に残っていますが、今回の個展では主に冬景色をを思わせる光景が描かれ、さらに一歩押し進んだ感のある楽しい遊び心もそこかしこにさり気なく挿入されていて、さらに見応えも深みも感じられます。

奥田文子004 奥田文子003 奥田文子002

奥田文子001

ちいさく描かれる人の姿が醸し出す縮尺感も面白いです。

ときおり「何故そこにいる!Σ( ̄口 ̄;)」と思わざるを得ないのもあったりして。

そこの光景の白が陽射しを浴びてさらに輝きを増したかのような、煌めく風景の軽やかな力強さはなんとも心地よく感じられます。

奥田文子007 奥田文子005

奥田文子006

宮本佳美展

ギャラリー16

京都府京都市東山区三条通白川橋西入ル石泉院町394 戸川ビル3F

6/24(火)~7/5(土)月休

12:00~19:00

宮本佳美080624.jpg

モノクロームで描かれる押し花。

さまざまなサイズの画面に描かれ、若干青味がかって感じられる独特の黒での展開と緻密な表現に見入ってしまった次第で。美しさも儚さも伝わってくるような気がします。

大田ゆら展 -覆う眺め-

imura art gallery

京都府京都市左京区丸太町通川端東入ル東丸太町31

6/4(水)~6/28(土)日祝休

10:00~18:30

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シェル美術賞やトーキョーワンダーウォールなどで拝見して印象に残っている大田ゆらさん。

独特のブルーなどを背景、というか地面にして小さくたくさんの人々の姿が緻密に描き込まれ、そこに大胆な空間性を持ち込んでいるのが痛快で、イメージも膨らみます。

シリーズ企画「ズレ」その2 小寺絵里 ~メガロごっこ~

ギャラリー揺

京都府京都市左京区銀閣寺前町23

6/17(火)~6/29(日)月休

12:00~19:00(最終日:~17:00)

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以前から伺ってみたかったギャラリー揺

銀閣寺方面、哲学の道を通って辿り着くギャラリー、家屋をそのまま活かして畳の間と板の間、そして中庭でインスタレーションが繰り広げられ、シュールさが印象に残ります。蟹の甲羅の作品もユニーク。

緻密にさまざまな情報が詰め込まれているドローイングも興味深かったです。

下出和美個展

voice gallery w

京都府京都市上京区河原町通今出川下ル梶井町448 清和テナントハウス2F

6/7(土)~6/29(日)月休

13:00~20:00(最終日:~18:00)

下出和美080607.jpg

それ以前から存じ上げていながら、今年のART AWARD TOKYOでもっとも印象に残り、そのクリエイションの魅力に引き寄せられた下出和美さん。

主にオレンジ色と黒の組み合わせで、どこかメルヘンチックでメランコリック、そしてシュールな世界が描かれます。色合いの深みが心地よく感じられます。

《6/29》

TEAM14 竹村京 Apart a part

トーキョーワンダーサイト渋谷

東京都渋谷区神南1-19-8

6/28(土)~8/31(日)月休(月曜日が祝日の場合開廊、翌日休)

11:00~19:00

TEAM13 雨宮庸介 ムチウチニューロン

トーキョーワンダーサイト渋谷

東京都渋谷区神南1-19-8

6/28(土)~8/31(日)月休(月曜日が祝日の場合開廊、翌日休)

11:00~19:00

雨宮・竹村080628.jpg

TWS渋谷での、共に空間に作用させる展開を繰り広げるアーティストがパッケージされた展覧会。

自然光の清々しさと透明感が醸し出す時間の曖昧さがユニークな竹村京さんのクリエイションと、雨宮庸介さんのダークな世界と独特の味わいのユーモアとのコントラストも鮮烈です。

雨宮さんの映像インスタレーションはおよそ40分くらいということもあり、時間をかけてイマジネーションの刺激を得たい展覧会です。

《7/1》

Just like yourself 鳴海愛 山崎龍一 mayu

Shonandai MY Gallery

東京都港区六本木7-6-5 六本木栄ビル3F

7/1(火)~7/8(火)

12:00~19:00(最終日:~17:00)

Just like yourselfDM.jpg

三者三様のキュートさが堪らない!

鳴海愛さんのリアリティ、山崎龍一さんのおなじみの白いフードの子供の生意気さ、こちらもおなじみのmayuさんのキャッチーでファンシーな世界。それぞれにもちろん深みもあり、さまざまな面白さに満ちています。

華雪ノ展示 雨日

ギャラリーMITATE

東京都港区西麻布3-16-28 le bain1F

7/1(火)~7/13(日)月休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

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圧巻の「書」。

未来的なショールームに配された力強い筆の運びを感じさせる書がずらりとインスタレーションされ、そのひとつひとつに魅入られます。

書の奥行きということに興味があり、じっくりと眺めて、「文字を書く」という刹那が種となり、実におおらかな風景がその文字の中に感じられ、深遠なイメージが湧き起こります。

小池一馬+冨田結+西成田洋子 生まれ出る形と繋がり

clementsalon*workshop

東京都港区南青山4-26-16-B1

6/25(水)~7/21(月)火休

11:00~20:00

生まれ出る080625.jpg

Kazuma Koike+Yu Tomita+Yoko Nishinarita Birth of shapes and relations

clementsalon*workshop

4-26-16-B1,Minami-aoyama,Minato-ku,Tokyo

6/25(Wed)-7/21(Mon) closed on Tuesday

11:00-20:00

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鮮烈に漂うアバンギャルド性。

clementsalon*workshopでの、小池一馬さんを中心に集められた3名のアーティストによるグループショーです。

三者三様のクリエイションが力強く、その個性を主張しています。

展示スペースの外側での展開、小池一馬さんのインスタレーションがまず目に飛び込んできます。

今回は合板を組み合わせた木彫作品が出品され、その巨大な風貌に圧倒されます。

小池一馬111

合板の目が生み出す幾何学的な美しさも充分に活かされた木彫作品。

ヤスリでなめらかな仕上げが施されていることで、表面にあらわれる合板のリズミカルなストライプの模様が際立ちます。

また、一昨年の個展や昨年SCAI THE BATHHOUSEでの展示などでも発表された溶かした紙を再定着させた立体作品でも感じられた、丸みを帯びてざっくりとしていながらも緻密さを感じるフォルムは健在で、紙よりも硬質な素材であるからか、羽を広げて逆さに着陸している鳥の足や両羽のダイナミズムにも、より壮大で重厚なインパクトと説得力がもたらされているような印象を受けます。

奇妙なかたちで置かれたこの鳥の木彫、天上へと突き出される脚部の幾何学的な面白さに加え、これだけのサイズのものを見下ろしていることの痛快さと一抹の申し訳なさが、イメージの幅を広げてくれている気がします。

小池一馬103 小池一馬102 小池一馬104 小池一馬105

小池一馬101

ちなみにこちらの作品には背中に部分にエクステンションが付いていて、吊るして展示することも可能のようで、その状態でもぜひ拝見してみたいです。

インクによるドローイングも数点出品されています。

こちらは、特に今回の展示ではその洗練された感触、透明感溢れる色彩で描き上げられたシルエットのクールさがより際立って感じられます。とにかくかっこよくて、そこに描かれているシーンのスリリングさに感情をすぱっと射られるような、鋭い鮮烈さが印象的です。

小池一馬108 小池一馬109 小池一馬110

小池一馬107

本来の展示スペースは暗めの照明設定で、ダークでグロテスクな世界が構築されています。

西成田洋子さんの作品。

ドローイングや小品も展示されていますが、なによりもまず、大きな立体作品にぎょっとします。

西成田洋子05

布や段ボール、紙紐など、身近にあるものを素材とし、特に布は細かく縫って締め上げられていることで、頑丈で有機的な雰囲気を力強く放っています。

蠢くような生命の感触がまず心の中で沸き立ちます。

全体のフォルムの過剰なまでにグロテスクな風合いと、至近で眺めたときの重なる段ボールや紙紐のテクスチャーが放つリズム感とが、渾然一体となっ容赦なく迫るような印象を覚えます。その迫力に圧倒されっぱなしで。

西成田洋子04 西成田洋子03 西成田洋子02

西成田洋子01

で、西成田さんから伺った話で興味深かったのが、この作品を幼稚園で飾ったところ、ジブリ映画などで慣れているからか、子供達は恐がるよりむしろ「なんかすごいものがある!」みたいな感じで楽しんでいたのだそう。

その光景もみてみたい気がします。

冨田結さんの油性インクの木版画は背景の黒と顔の黒く塗りつぶされたような目とが、力強く観る者の感性を容赦なく圧倒してきます。

木版画が持つレイドバックした質感が、尋常でない深みに、さらにイメージ的な奥行きを与えているような、実に重厚なパワフルさを秘めたような作品群。

描かれる女性の身体のラインは思いのほかなめらかであることがアクセントとなっているのも印象的です。

冨田結02 冨田結01

冨田結03

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writer name:幕内政治
birth:1971/6/17
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