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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報
2008年8月アーカイブ

四位置 内海聖史

藝術倉庫

栃木県那須群那須町高久丙3227-1

8/2(土)~8/24(日)

11:00~18:00

内海聖史080802.jpg

Four Positions Satoshi Uchiumi

Nasu Warehouse-a contemporary art field

3227-1,Takaku-hei,Nasu-machi,Nasu-gun,Tochigi-ken

8/2(Sat)-8/24(Sun)

11:00-18:00

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交錯するベクトルと、絵画としての壮大なポテンシャル。

兼ねてから伺いたいと願っていた那須の藝術倉庫、こちらで開催された内海聖史さんの作品展に行ってきました。

車で都下から出発、東北道を北上し、およそ3時間半をかけて辿り着く藝術倉庫。

鬱蒼と茂る緑が降り続く雨でより深々とした雰囲気を増すなかに、写真ではもうおなじみのコンテナを見つけた時の安堵感は言葉にし難いほどではあったものの、思いのほかこぢんまりとした感じが不思議と親近感を醸し出しているような印象でした。

ゆったりとしたひとつの空間、こちらの4つの壁面に、異なる色彩の内海さんの過去の大作が1点ずつ展示されています。

それぞれ、最初に展示される空間にあわせ、サイズや構図も計算し尽くされて制作された内海さんの作品群。

そのうちの4点が一堂に会し、展示された壁面から四方に、そして観る者が立つ前面にと世界を膨張させ、凄まじいイマジネーションの広がりをもたらして、暫し呆然。

その最初の展示を僕が観ている作品は、今回は1点のみ。

昨年のGALERIE ANDOでの個展で発表された、紫の細かいドットがひしめくもので、GALERIE ANDOのコンパクトで変形の空間の壁面1面をほぼきっちりと覆ったサイズで、そのときの展示のインパクトも今でも鮮明に記憶しているのですが、こうやってあらためて拝見すると驚くほどに異なる印象が浮かび上がってきます。

目にして一瞬、「・・・昨年観た作品だよな...」と、一度観ている作品であるという確信が揺らぐほど。

あの閉じた空間での凝縮感、その状況と色彩感とで醸し出される重厚さ。それが解放され、例えばほんの僅かだけ床から高いところに展示された、という状況だけでも、これほどまでに加速するスピードのイメージが煽られるものか、と驚かされた次第で。

画面が顔だとしたら、松濤での展示ではひたすら正面を向いていたのが、ここでは上を向いている、そんな印象も思い浮かんできます。

内海聖史301

内海聖史302

他の3つの壁面に展示されているのはもう少し前のもので、複数のパネルを横長に並べ、それぞれが充分な広さでその世界を力強く押し拡げています。

キャンバスに押し込まれる無数のドット、そのひとつひとつの色彩が放つ存在感、それらが連なってつくり出される力強い深みを持つ色面、そして、余白との関係性によって奏でられる奥行き。

さまざまな視点で見えてくる光景のほぼすべてが発見となって、経験に積み上げられていきます。

内海聖史303

そして、それぞれの画面は壁面に作用し、連なり広がるドットのイメージがキャンバスの外側へと侵食していきます。

それは壁面同士が接する部分で、整然と、イメージのなかに次元の歪みをもたらしてくれます。その部分のイメージは相当に衝撃的でもあり、今まで思い描けなかったほどに斬新な印象を植え付けられます。

これまでひとつの世界観で充分な迫力を放っていた内海さんの大作が隣り合うことで沸き起こる、複数の世界の衝突のイメージ。そのエネルギーの壮大さにも圧倒されます。

内海聖史304

内海聖史306 内海聖史305

内海聖史307

これまで感じることがなかった、イメージのスケール感としての新鮮さとともに、あらためて内海さんの作品の「絵画」としての素晴らしさにも気付かされます。

これまでの展示で空間との作用を大きく意識されて制作、展示された作品群ですが、こうやって複数の作品が同時に展示されることで、単独の絵画である事実も提示し、具体的に何かを描かず、あくまでドットと構図による抽象表現が徹底される内海さんのオリジナリティが、絵画としても力強く貫かれていることに感動を覚えます。

内海聖史308

さらに、今現在、この世代の油彩のペインターで、これほどのサイズの作品を残し、しかもしれらのすべてがエポックなものである、という人はもしかしたら内海さんだけではないか、という想像も湧いてきます。

まだまだ知らないことだらけですが、もしかしたら、世界的にもそうかもしれない、と。

そう思うと、このクリエイションをこれからもリアルタイムでフォローしていけることに対して、格別の嬉しさが満ちていきます。

また、今回の4点の作品の展示でほぼ内海さんの本格的なアーティストとしてのキャリアも抑えられていると思ったのですが、比較的初期の頃に描かれた作品でさえも充分に「今」の感性を「今」の感覚で刺激してくれることにも感じ入った次第です。経歴としての「過去」にも触れつつ、それが「今」にしっかりと機能している事実にも感嘆させられた次第です。

次に内海さんの作品が観られるのは、静岡県立美術館で11/3から開催される「風景ルルル -わたしとソトガワとのかかわり方-」で、こちらではまたこれまでと違う展開が観られそうで、今からホントに待ち遠しいです!

内海聖史309

TEAM13 雨宮庸介 ムチウチニューロン

トーキョーワンダーサイト渋谷

東京都渋谷区神南1-19-8

6/28(土)~8/31(日)月休(月曜日が祝日の場合開廊、翌日休)

11:00~19:00

雨宮・竹村080628.jpg

TEAM13 Yosuke Amemiya Whiplash neuron

Tokyo Wonder Site Shibuya

1-19-8,Jinnan,Shibuya-ku,Tokyo

6/28(Sat)-8/31(Sun) closed on Monday (if Monday is a national holiday,the following day will be closed instead)

11:00-19:00

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あれから、どれだけの奇跡が起きたのだろう。

トーキョーワンダーサイト渋谷で6月下旬から2ヶ月以上の長きにわたって開催されている雨宮庸介さんの個展が、この週末で会期を終えます。

7月までに3度足を運び、その都度異なるシチュエーションでこの展示を観ることができたことを心から幸運に思っていると同時に、8月に入ってからなかなか伺う機会を得られなかったことを、その分他のさまざまな展覧会に足を運んでいるとはいえ、残念に思っていて、やはり心のどこかで「今日はどうだっただろう、今はどうなっているのだろう」と気にかけていました。

それくらい「現在」と大きく関る、壮大で複雑なインスタレーションが繰り広げられている、ということだと、認識しています。

オープニングには伺えず、会期2日目に初めて足を運んだ時、まず小さな入口とその細工に驚かされ、同時に予想に反してがらんと空虚さを漂わせる展示スペース内にも驚かされます。

入口も含めて2ケ所に置かれたロッカー、正面の壁面に大きく映し出された楕円形の映像。この映像は、これまでの雨宮さんのインスタレーションと同じく、この空間を鏡写しに捉えたもので、サイズ的にも力強い臨場感をほとばしらせています。

そして、コンクリートがむき出しの床にふわりと置かれた1枚の白いシャツとリンゴ。ここで何かが起こったことを感じさせる、実に意味深な存在感。

で、この状況で、この空間の過去を映し出し、現在に呼び戻す映像を淡々と眺めながら、時間の歪みを実感できたことがまず印象に残った次第です。

この時点では、こういう展示なのだなぁ、と思ったのですが、その後、ここにさらに雨宮さん自身によるパフォーマンスが加わるのが本来のかたちであることを知らされ、さらに驚かされます。

1週間後。

今度は数人、僕も含め、中には今回の映像でも植木に鋏を入れる庭師として参加している山本修路さんや以前にも同企画に参加された千葉正也さんら、雨宮さんと面識のある面々がいるなかで鑑賞。

初めて雨宮さんのパフォーマンス込みでのインスタレーションを観て、その刺激の分厚さ、濃密さは相当に重々しいインパクトをもたらしてくれました。

編集を駆使してさまざまなシーンを淡々と繰り出す映像と、雨宮さんのリアルタイムのパフォーマンスとが、時にシンクロし、時に関連しながらも突飛な裏切りに突き進んだり、さらにはまったく無関係な行為を衝動的に開始したり。

ひたすら繰り返し1枚、また1枚と床に伏せた状態で白いシャツを着ては脱皮し続ける雨宮さんの謎めいた、というより過剰にシュールな行為の連続。突如昔の想い出を語り始めたと思って耳を傾けていたらそれがどんどんと時間を逆走してなんだかワケが分からない時空へと誘っていったり。

さらに、時おり思いついたように転がすリンゴが実にミラクルな軌跡を辿ったことも、あくまで偶然なのになんだかとんでもないことが、現実的にはあってはならないんじゃないか、ってことが引き起こされているような錯覚も浮かんできました。

映像と、パフォーマンスと、話。

特にこの日に聞いた話は今思い返しても相当に面白く、おおいに好奇心を刺激してくれたのですが、その歪みっぷり、暴走具合は以前読んであまりの難解さになんとか完読したものの、理解についてはほぼ挫折した円城塔さんの黄本のストーリーを思い起こさせ、ふたたび円城さんの本を読んでみたい、あの複雑な時空をさらに引っ掻き回す謎謎謎なストーリーに挑んでみたい、とも思った次第。

さらに2週間後。

今度は、展示室内に入ったら横たわる雨宮さんがいるだけ。

オーディエンスは僕ひとり。1対1の対峙。

一度落ち着きたい、心の準備が必要な気がして、一旦奥の一昨年のYUKA SASAHARA GALLERYでのインスタレーションを再現した部屋で一寸過ごした後、あらためてメインの空間へ。

・・・このときの緊張感は凄まじく。

繰り出される数々の突飛なパフォーマンスに視線が釘付けになりながら、その雨宮さんの一挙手一投足と映像との関連を瞬間瞬間に脳内で結び付け、ここに構築される複雑な時空の歪みのようなイメージに真摯に向き合わざるを得ない、しかしその突き付けられたシチュエーションがまた痛快に感じられる、という...。

あらためて、この「作品」の要素として自分がしっかりと組み込まれて、インスタレーションに作用していることを自覚させられます。

さまざまな想像が過ります。

今回、およそ2ヶ月という期間の区切りで行われているこのインスタレーションですが、もっと長い帯のような、終わりも、始まりすらないずっとずっと長い時間の帯、しかもさまざまなベクトルの時間の複数の帯の複雑な交錯こそがこの「作品」の本質で、たまたまこの会期で表に出てきているのかも、とも思えてきます。

少なくとも表に現れている、観ようと思ったら観られる状況で、どれほどの場面が繰り出され、どんなシチュエーションが沸き起こったのだろう、と想像すると痛快で、それと同時に、一瞬たりとも同じ状況が存在しないという膨大な情報量に思いを馳せると唖然としてしまいます。

そして、自分がこの空間に鑑賞者として入り込み、作品にダイレクトに組み込まれることで、僕の記憶のなかにも「作品」が残されたような感触も湧いてきます。

関る人の数だけ、作品のボリュームも壮大になっていくわけで、そう思うと更に遠い、壮大なスケール感が迫ってくきます。

とにもかくにも、会期は明日まで。

おそらく無数のトライが試みられ、無数のミラクルも積み上げられた今回の展覧会。ひとつの展覧会としては相当に長い会期ではあるものの、たった2ヶ月で積み上げられた集大成をこの目で確認しに、もう一度、最後に足を運びたいと思っています。

雨宮庸介TWS

Nerhol「SOURCE」

CALM & PUNK GALLERY

東京都港区西麻布1-15-15 浅井ビル1F

8/21(木)~9/3(水)

11:00~19:00

Nerhol080821.jpg

Nerhol "SOURCE"

CALM & PUNK GALLERY

1-15-15 -1F,Nishi-azabu,Minato-ku,Tokyo

8/21(Thu)ー9/3(Wed)

11:00-19:00

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「考え手」と「作り手」とのシュアな関係性。

デザイナーの田中義久さんと本をカットするアーティストの飯田竜太さんによるユニット、Nerholの展覧会す。

飯田さんの作品はこれまでも数多く拝見していますが、そういった流れからも実にユニークに感じられ、クリエイションの可能性を一気に押し拡げたような印象が頼もしく感じられます。

まず目に飛び込んでくる、ヴィヴィッドな大判の写真パネル。

そこに彫り込まれた文字、飯田さんの生々しい作風が全面に押し出され、相当な臨場感が迫ります。

Nerhol 01

この切り抜かれた雑誌、この企画のために作られているようで、表紙のタイトルや写真、加えて写真加盟のクレジットなど、さらには背表紙のNerholのサイトアドレスも印刷されていたりと、この芸の細かさとそれが放つユーモア、さらには作風に通されるモラル的なものに対して、深く感じ入ります。

Nerhol 03 Nerhol 04

Nerhol 02

額装の作品、額の中でさまざまな封筒が重ねられてひとつのグラフィカルな構図をつくり出しています。

受動と能動、その両面からさまざまなイメージをもたらしてくれる素材の風合いが活かされ、また組み上げられる図形の面白さも充分感じられて、楽しく和める作品群です。

Nerhol 05 Nerhol 08

Nerhol 07

文庫本に彫られた文字が並べられ、独特な深みを滲ませるグラフィカルな作品。

ちなみにこちらは、アルファベットとワードとが反転しています。

Nerhol 09

そして、ずらりと並ぶ、飯田さんのカットが施された文庫本の列。

上のパネルに用いられているタイポグラフィのオリジナルが展示されていて、これがとにかく圧巻です。

Nerhol 13

両面に、飯田さんらしい等高線を思わせるアプローチによる紙のカットによって表された大文字のアルファベット。

26文字すべてが揃っていることが何より圧巻なのですが、さらに興味深いのがディティール。

これまで具体的な情報が表現されることがなかった、少なくとも僕が観た範囲では記憶にない飯田さんのカットですが、今回は「文字」というもっとも具体性のあるモチーフが切り出されていて、そこに強い興味を抱きます。

で、じっくりとこの列を観ていると、この文庫本自体が、中の文も含めてこの作品のために作られたものであり、さらにそれぞれの背表紙にその文庫本に彫り込まれるアルファベットが印刷されていて、この芸の細かさに唸らされます。さらに、この文庫本の中の文章がオリジナルであることで、「文字」という強い情報を表すことに対してしっかりと筋が通され、そのバックグラウンドを充分に備えているように感じられるのが実に頼もしいです。

そして、一見古びた感じの文庫本ですが、この日に焼けた紙のニュアンスは、1枚1枚プリントされて表現されているとのこと。このあたりのこだわりにも大いに感服した次第です。

Nerhol 15 Nerhol 18 Nerhol 17 Nerhol 16

Nerhol 14

奥の一角では、写真がマウントされたパネルがぐるりとそのコンパクトな空間を囲んでいます。

Nerhol 10

ここにもまた、面白いアプローチが展開されています。

室内の壁際で宙を舞う女性の体躯。その現実空間での非現実的な光景と、そこにさらに非現実性をもたらす飯田さんのカットが挿入され、実にユニークな光景に魅入られます。仕掛けを考えるのもホントに面白い!

Nerhol 12

Nerhol 11

紙を、そして本、雑誌を切り抜くという飯田さんのユニークな表現スタイルと、それを活かす田中さんのアイデアの提供と、グラフィカルな展開。この関係性がとにかく面白い!

お互いの立ち位置を楽しんでいる感じが伝わってきて、今後の展開やこのコラボレーションの可能性へも大きな期待が湧いてきます。

田中功起「End of Summer‐夏の終わり」

青山|目黒

東京都目黒区上目黒2-30-6

8/23(土)~8/30(土)日祝休

11:00~20:00

田中功起080823.jpg

Koki Tanaka "End of Summer"

AOYAMA|MEGURO

2-30-6,Kami-meguro,Meguro-ku,Tokyo

8/23(Sat)-8/30(Sat) closed on Sunday and national holiday

11:00-20:00

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絵!Σ( ̄口 ̄;)

なんかもう、どうしようもなく、絵!Σ( ̄口 ̄;)

もとい。

青山|目黒での田中功起さんの、ペインティングのみによる展覧会です。

いや、もう。

この勢いが。

田中功起06

なんだかもう、すべてが許せちゃうような仕上がり。

「描きたい!」というポジティブ衝動がそのまま詰め込まれたような、痛快な勢いが満ちているような感触が堪らない!

描かれているモチーフも、ホントに何の変哲もない(というとなんか変な感じもしますが)、シンプルなもの。そういったモチーフがでっかく描かれることで画面から放たれる、

だ、

だ、

だから、何!Σ( ̄口 ̄;)

っていうどうしようもなく楽しいイメージが膨らんで、元気が湧いてくるような感じです。

これも、シュークリーム。

ただただ愚直にシュークリーム。

しかし、力強くキャンバスに乗る絵の具のもりもりとした質感や、リアリティ溢れる陰影、さらには背景の白の白さと絵の具がムラになっててそのいい加減さの味わいなど、そこに投入されるさまざまな要素が田中さんの個性と直結して、まさに「許せる」、そして「それがいい!」「もう全部いい!」という印象を盛り上げてくれます。

田中功起08 田中功起10 田中功起09

田中功起07

主題を白い背景やカラフルな色彩の広がりを感じさせるグラフィカルな背景に乗せてどーん!と描いた作品群のなかに、1点、風景画があわせて展示されています。

これがまた、もう。。。

画面中央をダイナミックに流れる河川、その岸と、広がる住宅街とが、実に滋味溢れる筆致で描き上げられています。

鮮やかな色彩感が白に映え、気持ちが爽やかさと心地よい静けさに満たされると同時に、やはり肉感的な絵の具の乗り具合による痛快な重み、全面に押し出されちゃってる素材感がまたイメージにアサッテ方面への広がりをもたらしてくれます。

田中功起05 田中功起04 田中功起03 田中功起02

田中功起01

奥のスペースに展示された小品群も興味深く、小品らしいぴりっと効いた濃密な個性が楽しいです。

大作へのエスキース的なコラージュ作品の大胆さ、そして独特な深みがもたらされている肖像など。

田中功起12

田中功起13

今回の展覧会の作品は、画集になってリリースされています。

すべての作品がここ青山|目黒の壁面に展示されて撮影され、さらに1点ごとに田中さんによるコメントが添えられていて(この文章がまたいい感じ!)、眺めていて楽しい1冊です。

田中功起14

これまで田中さんのさまざまな映像作品やインスタレーションを拝見してきたのですが、印象としてどちらかというと色彩感は派手さがなく、当たり前のように見過ごされてしまいがちな淡々とした情景を方形に切り取って、そのなかで起こることをさらに淡々と提示することでアバンギャルドな危うさとどうしようもないユーモアを引き出しているような感じだったのですが、今回のペインティングを観てそこにこれでもかという具合に注ぎ込まれる力強い彩色が、こういうイメージも合ったのか、という具合に、とにかく興味深くかんじられます。

おそらくこの展示を拝見して以降、田中さんの他のメディアの作品を目にした時にいままで見えなかった色や感じられなかったイメージがもたらされるような気がしてワクワクしてきます。

そしてもちろん、このポジティブなペインティングももっとたくさん観たい!

たった1週間の展示なのが本当に惜しい、しかしそれさえも田中さんらしいなぁ、と思える展覧会です。

田中功起11

《8/22》

古井智|中村哲也

ギャラリー小柳

東京都中央区銀座1-7-5 小柳ビル8階

8/22(金)~9/20(土)日月祝休

11:00~19:00

Koyanagi 080822.jpg

ペインターの古井智さんと立体作家の中村哲也さんによる二人展。

中村さんのなめらかなフォルムの作品群は、それら1点1点が発するシャープな動線のアグレッシブさと、ある既視感を刺激してそれを膨張させ、好奇心を煽ってくる感触がとにかく堪らないです。

古井さんの展示は、問題提起としても実に深遠で重厚なテーマについて、そのバックグラウンドもしっかりと掲示することで、アーティストとしてのスタンスを力強く提示しているように感じられるのが印象的なのと、その反動というか、ライフワークとして対峙し続ける重厚なテーマのなかでは描くことができないモチーフを描いた作品も発表することで、そのクリエイションの奥深さへも視線を向けさせてくれます。

Nerhol「SOURCE」

CALM & PUNK GALLERY

東京都港区西麻布1-15-15 浅井ビル1F

8/21(木)~9/3(水)

11:00~19:00

Nerhol080821.jpg

デザイナーの田中義久さんと本をカットするアーティストの飯田竜太さんによるユニット、Nerholの展覧会で、田中さんのアイデアを飯田さんがかたちにしていくという関係性で生み出された作品群がとにかく楽しい!

この企画のために製本された素材を用いて切り出された文字など、ワクワクするようなクリエイションが揃っています。

《8/23》

いきづかい -breathing- もりやゆき ユミソン 二人展

The Artcomplex Center of Tokyo Hall Gallery

東京都新宿区大京町12-9

8/19(火)~8/31(日)月休

11:00~20:00(最終日:~18:00)

もりやゆき ユミソン080819.jpg

二人の女性アーティストによる、広い空間を活かして展開されるインスタレーション。

展示構成の動線の明解さと、それぞれのコーナーで展開されるインスタレーションが醸し出す雰囲気の厚みとが強く印象に残ります。

まず、もりやゆきさんの、閉じた空間でのインスタレーション。

暗い一角で、幾重にも折り重ねて吊り下げられる薄い布、そのいちばん奥に展示されている、鉛筆による真っ黒な丸。黒い太陽を連想させる迫力と、そこをゆらゆらと揺れながら覆う白い布が奏でる高貴さとが不思議な雰囲気を満たしています。

もりやゆき02

もりやゆき01

続いてユミソン さんが作り上げている壁面。

通路の階段から随所に飾られる、紙を切り抜いた小さなツリーがかわいらしい雰囲気を盛り上げてくれているような感触です。

そのツリーが散らばるなかに、幾つかの絵があわせて展示され、影絵のようなやわらかく優しい感触が滲んでいるように思えます。また、横長の壁でゆったりと展開されることでストーリー性も奏でられていて、いろんなイメージが湧いてきます。

ユミソン03 ユミソン05 ユミソン06 ユミソン04

ユミソン02

こちらのインスタレーションは、この自作の絵本の挿絵の原画のようで、綴られる言葉と友に楽しむと、また違った味わいが広がります。

ユミソン01

少し狭い壁面では、メッセージ性も織り込まれた展示が繰り広げられています。

今回この一角で唯一展示されているユミソンさんのキャンバスの作品、小品なのですがその小さな画面の中にぎゅっとさまざまな思いが詰まっているような力強さで、ぜひともキャンバスの絵の展示も観てみたいと期待を抱かせてくれます。

ユミソン09 ユミソン08

ユミソン07

いちばん奥の、ステージ状に一段高くなった場所がある広く抜けたスペースでのユミソンさんのインスタレーションは壮観です。

天井から釣り下がる無数の黄色い糸とツリーのシルエット。さらに、床に置かれたツリーと家とこどもをあしらった板のオブジェ。ぱっと目に飛び込んできた時の「うわ~!」って込み上げてくる、素敵な空間を目にしたという嬉しい気持ちが堪らないです。

加えて、暗めの照明にぶら下がるツリーや床置きのオブジェが映えて、そこかしこでいろんな時間が紡がれているイメージが膨らんできます。

ユミソン12 ユミソン11

ユミソン10

真ん中の柱部をぐるりと回って最後に再び登場するもりやさんのインスタレーション。

寝室を思わせる部屋をあしらい、小さな粒を無数に繋いで作られたシャンデリア風のオブジェが雪を、ふたつのキャンバスを裏合わせで展示し、それぞれ太陽と月とを表現したペインティングなどそこにおおきな自然の要素をさまざまなかたちで挿入させ、こちらもいろんなイメージの交錯がもたらされます。

もりやゆき04 もりやゆき06 もりやゆき07 もりやゆき05

もりやゆき03

ひとつひとつの空間の説得力が実にしっかりしていて、見応えのある展覧会です。

施井泰平展 'Binoculars'

YUKARI ART CONTEMPORARY

東京都目黒区鷹番2-5-2 市川ヴィラ1階

8/23(土)~9/20(土)日月火休

11:00~19:00(土:~20:00、最終日:~18:00)

施井泰平080823.jpg

文庫本の背表紙によるインスタレーションで空間にアクセントをもたらす施井泰平さんの個展。

どういうアプローチでくるんだろう、と楽しい心配をしつつ足を運んだのですが、ふたつの空間にさまざまな関連を持たせた、意味深なインスタレーションが繰り広げられています。あらためて、じっくりと対峙したいクリエイションです。

田中功起「End of Summer‐夏の終わり」

青山|目黒

東京都目黒区上目黒2-30-6

8/23(土)~8/30(土)日祝休

11:00~20:00

田中功起080823.jpg

これまでは淡々とした時間の経過を収めたような映像や、去年暮れから今年の初めにかけて開催された東京都写真美術館でのグループショーでのケッタイなインスタレーションなど、相当にシュールな知性に満ちた作品を拝見していている田中功起さんの、ペインティングのみの展覧会。

これまで拝見してきた作品の内に秘められた衝動を爆発させたかのようなヴィヴィッドな色彩感に圧倒されます。

《8/24》

四位置 内海聖史

藝術倉庫

栃木県那須群那須町高久丙3227-1

8/2(土)~8/24(日)

11:00~18:00

内海聖史080802.jpg

行ってきました藝術倉庫。

いや、もう、すごく良かった!

内海聖史さんの過去に発表された大作が4点、それぞれの壁面に展示され、実に贅沢な壮大さに満ちた空間が作り上げられていました。

《8/26》

イ・ヨンミ個展「The closed garden」

東京画廊

東京都中央区銀座8-10-5-7F

8/26(火)~9/20(土)日月祝休

イ・ヨンミ080826.jpg

11:00~19:00(土:~17:00)

ふわっと淡い色彩で描かれるエデンの世界。

蛇や鳥、あるいはところどころに登場している人の顔など、随所にサディスティックな表情が散見されていつつ、全体の軽やかでポップな雰囲気と清々しい色調とが不思議なギャップを生み出していて、ふっと肩の力が抜けるような心地よさが感じられます。

INAXギャラリー特別企画展10daysセレクション -予兆のかたち10- 山本努展

INAXギャラリー ギャラリー2

東京都中央区京橋3-6-18 INAX:GINZA 2F

8/20(水)~8/30(土)日祝休

10:00~18:00

10 Days Selection080801.jpg

10 Days Selection Tsutomu Yamamoto exhibition

INAX Gallery Gallery2

3-6-18-2F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo

8/20(Wed)-8/30(Sat) closed on Sunday and natinoal holiday

10:00-18:00

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ダークでアーバンに構築される光。

INAXギャラリー ギャラリー2での山本努さんの個展です。

いつもより更に暗く設定された照明のギャラリー内に、ダイナミックに組み上げられるように壁面で展開される俯瞰風景を思わせる作品と、アクリル板の作品などが展示、それぞれのコーナーで独特のフューチャリスティックな雰囲気を立ちのぼらせています。

入口越しに目に飛び込んでくる、スクエアの画面が壁に配置されたインスタレーション。

隣り合う壁面で壮大な光景が作り上げられ、圧巻の一言に尽きます。

山本努03 山本努04 山本努02

山本努01

全体を覆うメタリックな彩色。

そこに漂うさまざまな色彩の影が、妖しく幻想的な風合いを強烈に放ちます。

また、緻密に構成されたように感じられるさまざまな立体的なアプローチも実にリアルな感触を発し、年の情景のようにも、あるいは廃虚のようにも感じられ、同時にいくつかの画面を過るしなやかで大きな動線がランダムに設置された画面を繋ぎ、壁面が直に現れた余白の部分を補い、未知のスリルを醸し出しながら、想像の幅を押し拡げてくれます。

山本努06 山本努08 山本努07

山本努05

コーナーに投影される微睡む光。

暗い中に光の筋が回転しながら交差し、独創的な陰影を作り上げています。

山本努09

2点並べて展示されている円形の大画面の作品。

こちらもまた素晴らしく感性を刺激してくれます。

不思議な奥行きを感じさせてくれる画像。森のとある場所を切り取ったかのような感じで、生える樹木のフォルムが静かな物語性を醸し出しているように思えて印象的なのですが、至近で見た時、この作品の仕組みに驚かされます。

比較的厚めの透明アクリル板に開けられた無数の穴が、このアクリル板の奥のおそらく白い面に影をもたらし、さらにはアクリル板の厚みによる影などにより、実に複雑な陰影が生み出されています。

暗い中にほんのりと陰を射す光の様子は、夜の風合いを越え、さらにスケールが壮大な空間のイメージをもたらしてくれます。どこまでも静かな印象とともに、そこを貫く時間のスピードはとてつもなく早い、そういった想像も膨らみます。

山本努13 山本努12

山本努10

さらには、ここに当てられる照明も三原色の光がそれぞれ別個に投影されていて、それもこの不思議な影の間隔をもたらす大きな要素になっているように感じられます。

山本努14

展示されたそれぞれの作品は、ひとつの未来的な景色として機能し、さまざまなイメージが脳裏に浮かびます。

そして、各作品に投入されている数々のアイデアの、そのひとつひとつのクリエイティブな感触や用いるセンスにもおおいに唸らされます。

今回の展示もそれぞれの雰囲気の素晴らしさを充分に引き出していて見応えがありますが、またぜひ、さらに壮大なスケールでのインスタレーションも体感してみたいです。

山本努15

NEW painter's 福田幸久 吉田和夏

MOTT FACTORY & GALLERY

東京都新宿区住吉町10-10

8/5(火)~8/31(日)月休

13:00~21:00(日:~19:00)

MOTT 080805.jpg

NEW painter's Yukihisa Fukuda Waka Yoshida

MOTT FACTORY & GALLERY

10-10,Sumiyoshi-cho,Sinjuku-ku,Tokyo

8/5(Tue)-8/31(Sun) closed on Monday

13:00-21:00(Sun:-19:00)

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福田幸久さんと吉田和夏さん、異なる個性のペインターをパッケージした展覧会です。

福田幸久さんの作品は、何よりもまず、白地に乗る青の深い透明感が強く印象に残ります。

緻密な計算を基に構築されたような安定したかたちの青の塊。実際にわずかに透けるような感触が、水のイメージを彷佛させます。そしてその青の色彩の塊のなかは、絵の具の斑による独特の立体的な仕上がりによる臨場感が放たれ、絵の具が多く重なる部分の青の深みもよりいっそうましているように感じられます。

福田幸久03 福田幸久04 福田幸久02

福田幸久01

鮮やかで深い青が白い背景に引き立てられ、青のかたちの整然とした感触と滲む境界の儚げな風合い、そして深海を思わせる青の濃厚さとのギャップが印象的です。

今回はこのスタイルの作品のみの発表ですが、他の作品もぜひ拝見してみたいです。

福田幸久05

今年初め頃のGALLERY MoNoでのグループショー以来、拝見する機会の多い吉田和夏さん。

今回の展示でも、緩やかなグラデーションを背景に描かれる緻密なでシュールなシチュエーションが楽しい作品が多く出品されています。

吉田和夏108 吉田和夏109 吉田和夏107

吉田和夏106

なかでもひときわ強烈なインパクトとユーモアを発しているこの作品。

背景の薄いベージュ系の彩色など、全体から醸し出される、なんとなくぼやぼやっとした曖昧な雰囲気。それに気を許していると、

歯か!Σ( ̄口 ̄;)

その二足歩行の変な生き物みたいなのは奥歯か!Σ( ̄口 ̄;)

・・・・・

てことは口か!Σ( ̄口 ̄;)

と、なかなかにダイナミックなイメージの展開を脳内にもたらしてくれて最高。

細部の芸の細かさにも楽しませてもらえます。

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吉田和夏101

小さなジオラマを描くような基本的なスタイルを、現時点では大幅に変えることなく、そのスタイルの幅広くイマジネーションを受け入れられるポテンシャルを目一杯活かして、さまざまなバリエーションを繰り出してくる吉田さんのクリエイション。

地層を連想させるところの妙なリアリティとか、なんかもう勝手に考えちゃってるところがホントに楽しくてかわいくて、痛快です。

吉田和夏110 吉田和夏111

吉田和夏112

今井俊介 "emptiness"

遊戯室(中崎透+遠藤水城)

茨城県水戸市北見町5-16 キワマリ荘内

7/19(土)~9/23(火)土日祝のみ 8/16、8/17休

13:00~19:00

今井俊介080719.jpg

Shunsuke Imai "emptiness"

PLAYROOM(NAKAZAKI Tohru+Mizuki ENDO)

5-16,Kitami-cho,Mito-shi,Ibaragi-ken

7/19(Sat)-9/23(Tue) Saturday,Sunday and national holiday only,closed on 8/16 and 8/17

13:00-19:00

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民家に突如あらわれる、ヴィヴィッドな色彩が折り重なる空間。

遊戯室(中崎透+遠藤水城)での今井俊介さんの個展です。

水戸芸術館から程近い平家建ての家屋の一室の内装が改装されたホワイトキューブ。

僕が伺った磁器がお盆前の夏休み時期ということもあり、隣の駐車場に留められている車の数も少なかったこともあって、中堅都市ののんびりとした静かな雰囲気のなかに、まさに唐突に出現したような感のある今井さんの壁画とペインティングのインスタレーション空間。分かっていても、というか、むしろ分かっているからか、通りからぱっと窓越しに壁画が目に飛び込んできたときのギャップが新鮮で痛快な印象をまず受けます。

展示されているのは、広い壁面の全面で展開されるダイナミックな壁画と、キャンバスの作品が3点。

展示の構成自体は実にシンプルで、それが今井さんの配色の鮮やかさをぐんと引き立ててくれているように感じられます。

壁画を正面にして、向かって左手の小品2点。

色調こそ似通っていながら、構図がまったく異なる2点のほぼ同じサイズの作品が真っ白の壁面に並んで展示されています。

「何か」の「ある部分」を拡大し、過剰なまでに鮮やかな配色で再構成された左手の作品は、まさに今井さんの個性が詰め込まれたような風合いが楽しく、もう一方はこの画像の画素を少なくし、ドットのサイズをここまで大きくしたらこういう配色になるとのことで、最終的なプロセスこそまったく異なるものの、実は同じものが描かれていることに驚かされます。左手の画面では結構存在感があり、アクセントとなっている青系統の色彩が右手の画面では消えてしまっていて、なるほどそうかと納得しつつも、その印象の差は思い返してもたいへん興味深く感じられます。もしかしたらさらに緻密に再現したらもっと見えていない色彩も荒らされてくるのかも、という想像も膨らみます。

今井俊介02 今井俊介03

今井俊介01

その向かいの壁面には、大きめの作品が1点。

今井俊介08

昨年ZENSHIでの個展で拝見した時よりも、ひとつの画面に取り込まれる色彩が鮮やかな印象を受けます。

もしかしたら用いられる色彩の数の差はそれほどないかも知れない、とも思うのですが、ひとつひとつの発色の鋭さが、お互いにそれぞれの色が持つ力を際立たせ、さらにそれが色面の複雑な形をも全面に押し出しているように感じられ、凄まじくシャープな迫力が伝わります。

ある瞬間を切り取った刹那な感触が発する、ヴィヴィッドな際どさの妙が充満し、イマジネーションをアクティブに煽ります。

今井俊介05 今井俊介06 今井俊介07

今井俊介04

そして、壁画。

キャンバスの作品も素晴らしいのですが、壁面に直接描かれる絵を目にすると、空間にダイレクトに作用する壁画でさらに今井さんのクリエイティビティのポテンシャルが存分に活かされるような印象を強く受けます。

今井俊介09

いくつかのシルエットがレイヤー状に重ねられ、ひとつの「層」に収められたような構成。

植物のフォルムを連想させるひとつひとつの色面は、その色が持つ鮮やかなスピード感を過らせ、余白さえもヴィヴィッドに弾けるような感触が迫ります。

ひとつの有機的なかたちの色面の中に、入り込み侵食するようなさらに有機的な模様が随所にあり、あるミニマムな空間に紛れ込んだような錯覚も沸き起こります。

配色や構図のグラフィカルな面白さも鮮烈で、そこからさまざまなイメージが広がっていくのが楽しいです。

今井俊介10

ダイナミックな壁画のおおらかな混沌と、キャンバスの緻密な混沌とがひとつの空間に収められ、それらが関係しあうことで生み出されるインスタレーションとしての縮尺感のズレも、イメージに作用してきます。

さらには、板や角材がむき出しの屋根の裏側の臨場感とのコントラストも、純粋に面白い光景に感じられます。

水戸芸術館でのジュリアン・オピーのテクノロジカルなアプローチも随所に挿入された展示とあわせて拝見することで、彩色は構成こそヴィヴィッドでフューチャリスティックな匂いが充満していながら、制作行程のアナログさ、すべてが手作業であることの重みも印象に残ります。

《8/19》

「ゼロの庭」The Story Box 塋水亜樹 小野瀬裕子 勝本みつる 松原健 安田悠

MA2 Gallery

東京都渋谷区恵比寿3-3-8

8/19(火)~9/20(土)日月祝休

12:00~19:00

ゼロの庭080819.jpg

それぞれのアーティストの作品から香り立つ雰囲気が見事に調和し、繊細で深いインスタレーションが紡ぎ上げられています。

全体的にモノトーンのテイストが横たわっているような、ある種の文学的な感触が印象に残ります。

《8/20》

渡邊貴裕展 -日本画をモザイクする-

GALLERY olive eye

東京都中央区銀座6-6-1 銀座風月堂ビル3F

8/19(火)~8/31(日)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

渡邊貴裕080819.jpg

日本画家、渡邊貴裕さんの個展です。

青山のギャラリーでの展示で拝見した時のさまざまなメディアを交錯させたインスタレーションが強く印象に残っているのですが、今回はシンプルに絵画を展示、画家としてのユニークさが全面に押し出されています。

渡邊貴裕001

入口沿いの壁面にずらりと並んだ、花や風景を縦長の画面に収めた作品が出迎えてくれます。

そして、今回多く出品されている女性をモチーフにした一連の作品が、独特の渋味を放っています。

渡邊貴裕006

太い稜線、艶かしい表情。

日本的なモチーフと、西洋的なエッセンスを独特のバランスで織り込んで、オリジナリティ溢れる世界を構築しています。

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渡邊貴裕007

岩絵の具や箔といった日本画の素材を用い、その素材感を全面に押し出しつつも、連綿と続く日本画のスタイルだけに落とし込むことなく、独自のセンスでヴィヴィッドさと渋さとが織りまぜられているように感じられます。

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INNOCENCE II 山田彩加「命の繋がり」

Pepper's Gallery

東京都中央区銀座7-13-2 銀座パインビルB1

8/18(月)~8/23(土)

11:00~19:00(最終日:~16:00)

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麻布アートサロンでのグループショーにも参加されている山田彩加さんの個展です。

リトグラフとタブローが出品されていて、どちらも見応えがあります。

タブローは、油彩とおそらく鉛筆による作品とが出品されています。

全体はほぼモノクローム、そこにほんのりと彩色されている作品は、線の緻密さと繊細な陰影により、深遠な幻想的場面が描き上げられています。動物たちの凛とした表情が、うっすらと仄かな鉛筆のテクスチャーによって、独特の深みを醸し出しています。

山田彩加03 山田彩加02 山田彩加04

山田彩加01

額装された淡い陰影が印象的なモノクロームの作品、そして力強い配色とていねいな描写がひときわ強い存在感を放つペインティングも。

山田彩加05

山田彩加06

リトグラフの作品は、リトグラフらしい緻密なドットによる陰影と、1本1本はすらりとしていながら複雑に交差して混沌を生み出す線とにより、写実性と抽象性が絡み合う独創的な世界が構築されています。

山田彩加07

山田彩加08

縦長の大作はその迫力に圧倒されます。

尋常でない情報量の分厚さは、そのままこの作品から思い起こされる物語の奥行きに転化していくような印象です。

山田彩加11 山田彩加10 山田彩加12

山田彩加09

牧ゆかり

Galley 58

東京都中央区銀座4-4-13 琉映ビル4F

8/18(月)~8/23(土)

12:00~19:00(最終日:~17:00)

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ギャラリースペースと奥のスペース、あわせて5点の作品が展示されています。

まず、横長のドローイング作品に目が向かいます。

広い画面になにが描かれているか、一瞬把握できないのですが、だんだんとさまざまなものが認識できて、なんともいえないキッチュな世界が伝わります。

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牧ゆかり01

油彩の作品は、ドローイング作品よりもさらに、最初に眺めた時の印象が謎めいています。

しばらくして、水墨画のような黒の部分とそこにするりと入り込む色数が少ない虹のような彩色が描くものが分かった瞬間に立ち上がる奥行きの迫力は、「うわっ!」と驚くほどに強烈です。

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これまで拝見してきた牧さんの作品は、今回のと比較してみると抽象性が高かったと思うのですが、その展開で培ったクリエイティビティがこういった形で提示されることがたいへん嬉しく感じられます。

牧ゆかり05

2008新進作家4人展 鈴木啓正 全民玉 寺内誠 渡辺明鈴香

ギャラリーゴトウ

東京都中央区銀座1-7-5 中央通りビル7F

8/18(月)~8/23(土)

11:30~19:00(最終日:~16:30)

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昨年に続いて開催されるギャラリーゴトウでの油彩のアーティストの4人展。今回初めて拝見する鈴木啓正さんの作品、さまざまな角度で接してみて得られる緻密さや表現力の豊かさに大いに惹かれます。

鈴木啓正02

鈴木啓正01

全体的に金属的な光沢が僅かに広がる作品や、渋い茶色による対岸の風景を描いたものなど、センチメンタルさと重厚な深みが印象的です。

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鈴木啓正05

やわらかく味わい深いマチエルや、作品ごとに統一された色彩感など、さまざまな要素が印象に残ります。

鈴木啓正03

鈴木啓正04

渡辺明鈴香さんは、ドローイングで描かれてきたポップでかわいらしい彩色の作風をパネル作品に昇華したような感触です。

これまでにない大きな画面に描かれる、室内のキャッチーな光景からは、軽やかで楽しい雰囲気と同時にメランコリックな感触も満ちているように感じられます。

渡辺明鈴香201 渡辺明鈴香202

渡辺明鈴香203

谷門美術での個展が素晴らしかったことも記憶に新しい全民玉さん。

グラデーションが奏でる豊かな雰囲気はそのままに、白ぬけの余白を大胆に取り入れ、描く世界に広がりをもたらしています。

全民玉102 全民玉103

全民玉101

寺内誠さんの作品も素晴らしいです!

さまざまなサイズの作品が出品されている中で、もっとも大きな作品がとにかく良いです。

寺内さんにとっての専売特許、「自分の色」とでも呼ぶべき透明感溢れる青と、光を受けて輝いているような白など、一瞬で引き込まれ、見入ってしまうほどに神々しい世界が紡ぎ上げられています。

寺内誠302 寺内誠304 寺内誠303

寺内誠301

Underground Girls EIMI 太田佳奈 眞田絵梨香 菅田美幸 高橋つばさ

BUNKYO ART

東京都中央区八重洲2-11-7 ます美ビル2F

8/18(月)~8/30(土)日祝休

11:00~18:30

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5名の女性アーティストがパッケージされた展覧会です。

緻密な描写や場面のシュールさなど、見応えのあるクリエイションが並ぶ中、先に開催されたGEISAI MUSEUM#2でも格別に印象深かった高橋つばささんのペン画がとにかく面白い!

白の上にリズミカルに乗る青い線の集積。線同士の間隔を広げたり狭めたりしながら生み出される奥行き感や立体感が痛快です。

INAXギャラリー特別企画展10daysセレクション -予兆のかたち10- 山本努展

INAXギャラリー ギャラリー2

東京都中央区京橋3-6-18 INAX:GINZA 2F

8/20(水)~8/30(土)日祝休

10:00~18:00

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いや、もう、めちゃくちゃかっこいいです。

ランダムな配置で壁面を占めるラメ入りの俯瞰図のクールさといい、穴の開いた透明パネルの作品など、じっくりと、ヴィヴィッドな発見の連続に浸りたくなります。

藤井俊治

OギャラリーUP・S

東京都中央区銀座1-4-9 第一田村ビル3F

8/18(月)~8/24(日)

12:00~20:00(最終日:11:00~15:00)

藤井俊治080818.jpg

2004年のシェル美術賞のグランプリアーティスト、藤井俊治さん。

昨年のグループショーでシェル以来初めて作品を拝見できて、そのときの作品の、シェルのときの作品無ォ更に発展させたようなサーモグラフィ的なアプローチの作風は今でも強く覚えているのですが、今回は実にバリエーションに富んだ作品が発表されています。

まず、j巨大な雪の結晶と一緒に降ってくる、豆粒大のパラシューターがキュートすぎて楽しい作品から。

藤井俊治002

藤井俊治001

「逆さ富士」風の構図が面白い作品。

上のパラシューターの作品もですが、コミカルなタッチが緩くて楽しい雰囲気を盛り上げているように感じられます。

藤井俊治005

藤井俊治003

緑に生い茂る草葉を描いたような作品は、白抜けの余白が光を現しているような感触が興味深いです。これまでのサーモグラフィー風の作品の発展系のような印象も、

藤井俊治011

藤井俊治010

いちばん大きな作品、アバンギャルドなタッチで描き上げられる女性の半身像のシルエット。

ヴィヴィッドな色彩の飛沫のひとつひとつの抽象性の高さが、高速のミニマルリズムをはじき出し、危うさを充満させているように感じられます。

藤井俊治009 藤井俊治007 藤井俊治008

藤井俊治006

これまでのサーモグラフィ的なものも含め、今回新たに出品されたそれぞれのスタイルの展開も楽しみです。

藤井俊治004

俵萌子

Oギャラリー

東京都中央区銀座1-4-9 第一田村ビル3F

8/18(月)~8/24(日)

12:00~20:00(最終日:11:00~15:00)

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今年のVOCA展にも出品され、大阪のO eyesで拝見した個展も印象に残っている俵萌子さん。

ダークな色彩と重々しく激しいタッチの抽象画です。

これまで拝見した作品は横の動線のダイナミックな展開が印象強いのですが、今回出品されている作品は、その動線がさまざまな方向へと飛散し、スケールの展開に広がりが出てきたような印象を受けます。

俵萌子04 俵萌子03 俵萌子02

俵萌子01

俵さんの抽象画を拝見していて、田舎の景色がフラッシュバックされます。

重鈍な色彩も大いに影響を与えているとは思うのですが、子供の頃に、田圃道で遠雷が目に入ってきて、夕立ちがバーッと降ってくるまでの妖しい雲行きに感じる印象と近いものを想像します。

俵萌子07 俵萌子06

俵萌子05

青山裕企展「undercover」

和田画廊

東京都中央区八重洲2-9-8 近和ビル302

8/12(火)~8/24(日)

13:00~19:00(最終日:~17:00)

青山裕企080812.jpg

Yuki Aoyama exhibtion "undercover"

Wada Art Gallery

2-9-8-302,Yaesu,Chuo-ku,Toyo

8/12(Tue)-8/24(Sun)

13:00-19:00(last day:-17:00)

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卑怯って思っちゃうほどの、速攻の擦り込み。

その向こうのフレッシュな美しさ。

和田画廊での青山裕企さんの個展です。

これまでも、東京都写真美術館での写真新世紀展や、ワンダーシードなどの展示で青山さんの作品は拝見してきているのですが、もう最初に目にしたときに、「え、いいの?ありなの?」と一瞬の躊躇いがぱっと浮かんでしまったのが運の尽き。

今思い返せば、なんだか青山さんの思惑にあっさりと嵌まってしまったかのような感じで。

もう、一度見ると忘れられない写真です。

青山裕企01

夏服の制服を着た女の子を被写体としたおなじみのシリーズが、今回の和田画廊での個展で出品されています。中には過去に発表された作品もあって、これまでの展示シチュエーションとは異なる、画廊での個展という形式でこの作品群を改めて拝見すると、第一印象のちょっとエッチな感じの向こうに潜む鮮やかさに気付けるような印象が沸き起こります。

青山裕企02

スクエアの画面に、白の額に収められた写真群。

この世代の女の子が持つかわいらしさが、ワケ分かんないポーズやシチュエーションを許させてしまうシュールな面白さが充満し、そこには同時に脆弱性というか、刹那的な時間の存在も感じられます。

そして、それを敢えてスクエアの画面におさめることで絵画性が立ち上がり、まったくの写真でありながらも非現実的な雰囲気が強烈に迫り、伝わってくるような感じがします。

青山裕企05

青山裕企04

さらに、あらためて気付かされる色の美しさも深く印象に残ります。

爽やかさと脆さとをはらむ、ほのかに霞むようなうっすらとした色合いを演出する薄い布。

また、例えば押し入れから突き出るナマ足などの室内のシチュエーションくっきりとした仕上がりは、シーンのキッチュさを際立たせます。

青山裕企03

制服の女の子というのは「洋服」ではあるものの、よくよく考えてみると実に現代の日本を現すアイコンのひとつ、も捕らえることができて、そう思うとまた、このシリーズの印象にも変化がもたらされます。

ある意味、21世紀の美人画と言えるかも、などと強引に考えてみたり...。

同時に登場する女の子には匿名性が貫かれ、それが独特なスリルを奏でているように感じられるのも興味深いです。

これらの作品、海外の方々が観たらどう感じるだろう、ということにも興味が湧いてきます。

現在、TWS本郷でも青山さんの個展が開催されていますが、こちらは「飛ぶサラリーマン」がずらりと並んでいます。

追求され、提示されるのは地面から浮かぶサラリーマンを撮る、という行為に感じられ、そのケレン味のなさは実に痛快です。

作品のクオリティが高いことにもこだわりが感じられるこの和田画廊での個展とあわせて観ると、青山さんのクリエイションのユニークさや奥深さがより立ち上がってくるように感じられ、興味深いです。

佐原和人「Behind Yourself」

HP FRANCE WINDOW GALLERY

東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング1F

7/11(金)~9/4(木)

11:00~21:00(日祝:~20:00)

佐原和人080711.jpg

Kazuhito Sahara "Behind Yourself"

HP FRANCE WINDOW GALLERY

2-4-1-1F,Marunouchi,Chiyoda-ku,Tokyo

7/11(Fri)-9/4(Thu)

11:00-21:00(Sunday and national holiday:-20:00)

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最近ニュースなどでも話題になったGoogleストリートビューを、少し先取りした構成が楽しい、佐原和人さんのHP FRANCE WINDOW GALLERYでの個展です。

丸ビルの1階のウィンドウを通ると目に止まる青い風景。

さまざまなサイズのパネルを配置し、日本橋の風景を360°ぐるりと一周し、そこから見られる光景がそのパノラマに壮大に収められています。

佐原和人001

佐原さんのクエイリションらしい、微睡むような色彩の広がりと連なりが、黒い壁面に映え、その色の鮮やかさを引き立て、独創的な臨場感をもたらしているように感じられます。

豊かな色彩感と陰影で描き出される風景のシルエットは現実の風景の再現性の緻密さと押し出し、同時に妖しげに滲むような色が曖昧さを奏で、不思議な雰囲気を満たしています。

佐原和人004 佐原和人005 佐原和人003 佐原和人002

そこに黒く描き加えられている、行き交う人々のシルエット。ひときわ強いインパクトを醸し出しています。

皇居をジョギングで周回する人や銀座の街を歩く人など、たしかにこの場所で目にする人の仕草がていねいに描写され、匿名性が押し出されることでそれぞれのシルエットが一般的、普遍的な様相を呈し、ある人のシルエットの中に無数の人々の同様の行為の集積が凝縮しているようなイメージも浮かんできます。

佐原和人007 佐原和人009 佐原和人008

佐原和人006

ショップの入口の左右のスペースで展開されているこの絵画のインスタレーション、端と端とが繋がって、ちょうど一周するような構成になっています。敢えて例えたら、ホールで買ってきたケーキを2つに切り分けて、それを開いたような感じ。

ウィンドウからゆっくりとひとつの方向へと視線を動かしていくと、最初と最後がくっついて、ひとつの世界を俯瞰できることになるのですが、その行為をもたらす構成も、改めて考えてみると、展示の中にさらに複雑で不思議な時間のイメージが重ねられるような印象もあって興味深いです。説明しにくいんですけど、ある視線、この場合佐原さんの、ということになるわけですけど、他人の視線を俯瞰している、という図式はたいへん興味深いです。

佐原和人010 佐原和人011 佐原和人012

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このスペースが視界に入ってくるのは、ショップの左右だけでなく、正面の昇りエスカレーターや、吹き抜けを縦に伸びる下りエスカレーターの側面から、など、さまざまな位置から眺められて、それぞれの角度がイメージにアクセントやエフェクティブな効果をもたらすのも楽しいです。特に下りエスカレーターに乗っている時、視界にこの展示が目に入ってきた時、もう既に至近で充分に眺めているはずなのに、なんだか嬉しい高揚感が膨らんできました。

ショップのウィンドウという相当に制限がある空間を逆手に取り、刺激と静かな感動に満ちたインスタレーションが繰り広げられています。

《8/13》

Trace Elements 日豪の写真メディアにおける精神と記憶

東京オペラシティアートギャラリー

東京都新宿区西新宿3-20-2

7/19(土)~10/13(月)月休(祝日の場合開館、翌日休)

11:00~19:00(金土:~20:00)

Trace Elements 080719.jpg

アーティスティックな匂いが展示の最初から最後まで充満し、シャープな静謐と衝動が入り交じってイマジネーションと好奇心をくすぐります。

それぞれのコーナーのどこに立っても、観るものの挑発してくるような、刺激的な展覧会に感じられました。

ずらりと並ぶ写真の列、ノイズさえも神々しく感じられてしまう映像作品。この展覧会を「静」と「動」に分けた時、その静謐なパートでは、対峙した時間だけ、心の中に創造性が繊細に広がり、高貴で、鬱の向こう側に見える凪のような沈んだイメージが響きます。

方や、ハードな一角ではテクノロジーをユーモアとともにインスタレーション内に持ち込んで、

人が入ってきた!Σ( ̄口 ̄;)

(振り返る)

!!!Σ( ̄口 ̄;)

みたいなインタラクティブな要素でエンターテインしてくれたり、エフェクトをかけすぎてグロくなっちゃったパフュームみたいな当て声とさらに派手なエフェクト音とでミュージックビデオをリミックスした作品にはもう視覚と聴覚ががっちり釘付け。

田口和奈さんの作品は、これまで拝見してきた人物がモチーフとなったもので、これまでの肖像的な雰囲気からさらに瞬間を捉えた風合いが加えられ、展示されている作品の画面内に凝縮された刹那的なスリルとその瞬間の永遠性とのギャップにさらに深みを感じます。おそらくこれまでの作品と同じように複雑で独創的な過程を経て制作されていることをあわせて考えるとなおさら、そこに過るさまざまな時間のイメージのギャップの溝の深遠さが静かな力強さを秘めて迫るような感触が伝わります。

project N 34 近藤恵介

東京オペラシティアートギャラリー 4Fコリドール

東京都新宿区西新宿3-20-2

7/19(土)~10/13(月)月休(祝日の場合開館、翌日休)

11:00~19:00(金土:~20:00)

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ギャラリーカウンタックでの個展を見逃していて、今回は意見する機会が得られたのがたいへん嬉しかったのですが、やっぱり個展も観ておきたかった、と後悔も浮かんでしまうほどの面白くて新鮮なアプローチ。

朴訥とした要素が絶妙の間を持って画面に収められ、それぞれのモチーフが持つ奥行き感をお互いの存在が消しちゃってるような平面的なユーモラスさといい、ぱっと観てリラックスさせてくれる薄いベージュ色の背景といい、いちいち「いい感じ」なのが堪らないです。

謎解きのようなアカデミックな雰囲気が滲んでいるように感じられるのもなんだか悔しくて、それがまた痛快だったり。

西村加奈子

都庁舎と都議会議事堂をつなぐ第一本庁舎3階南側空中歩廊

東京都新宿区西新宿2-8-1

8/4(月)~8/26(火)土日祝休

9:00~17:30

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オイルペインティングらしいメロウなテイストで描かれる、花や磁器。

ジャポネスクな雰囲気を滲ませるモチーフが独特の味わいを放っているのが印象に残ります。

Art Scope 2007/2008 -Face of Existence

原美術館

東京都品川区北品川4-7-25

6/28(土)~8/31(日)月休(7/21は開館、7/22休)

11:00~17:00(水:~20:00)

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2度目。

今回はじっくりと拝見でき、展示されている作品の深みに唸らされることが多く、それがアーティストへのリスペクトへと昇華していくような。

1階の広いほうの展示室、加藤泉さん。

おなじみのユーモラスでちょっとコワイ感じの人の肖像画と、木彫の作品。使い込まれた木彫の古びた床が醸し出すどこか懐かしげでアンティークな雰囲気にしっくりと嵌まり、あたかもそこにずっといて、いっしょにこの空間と時間を過ごしているかのような印象さえ伝わってきます。

あらためて感嘆させられたのは、絵画の「絵画」という「もの」としての精度。

キャンバスの布の目が消えるほどにていねいに絵の具が塗り込まれた背景部分のていねいな仕上がりに見蕩れ、変顔の人物のシュールな姿と脆弱な恐ろしさが迫る表情の無垢さを描く、伝えたいイメージを可能な限り正確に現そうとしているかのような表情溢れる筆致が引き立てられているように感じられたり、それ以外にも大きなパネルに張られたキャンバスのピンとした張り具合や、パネルの側面にいっさい絵の具が乗っていない、キャンバスの白の清潔さがそのまま残されているところなどにもおおいに唸らされます。

なんていうか、「・・・絵だなぁ...」という感動がふつふつと沸き起こってくるのがすごく新鮮です。

絵画の精緻さから一転、木彫の敢えて雑に仕上げられたような風合いもまた、独特の味わいを放っているように感じられます。

立体だからこその親しみやすさ。鋸で切り出したそのままの質感が、その親しみやすさを更に押し上げ、キャンバスの作品とはまったく反対へと突き進んでいきながら、やはり神々しい雰囲気を生み出しています。

日中だと自然光が入るこの空間、夜だとスポットの明かりが絶妙な陰影を生み出し、その神々しさがさらに深まるような印象が堪らないです。

照屋勇賢さんは、いかにも照屋さんらしく、自然を巧みにインスタレーションの中に織り込んでいるのが心に響きます。

小枝の散文は、それと気付いた時の嬉しさが痛快。

2階の階段を昇り切ったところにも展示されているトイレットペーパーの芯から生える木々の林もスポットであわや仮名陰影が映し出されていて感動的です。

外国人アーティストの作品では、ふたつの映像が奇妙な時間の経過の感覚が興味深いです。

《8/14》

舟越桂 夏の邸宅

東京都庭園美術館

東京都港区白金台5-21-9

7/19(土)~9/23(火)7/23、8/13、9/10休

10:00~18:00(8/25~8/31:~20:00)

舟越桂080719.jpg

もうね、観る前から思うわけですよ。

「庭園美術館でフナコシやりゃ、そりゃいいに決まってるでしょう」と。

分かってるから!

観なくても、素晴らしいことは分かりきっているから!

・・・・・

・・・・・(汗)

やっぱ観たいデス...(汗)

というわけで観に行きましたが、すばらしかったです。

もう、予想通り。これ以上ないくらいに満足な、予想通り。

木彫の温もり溢れる静謐感と臨場感が、庭園美術館の内装の古めかしさと見事に響きあって、得難い感動が静かに心の中で膨らみます。

《8/16》

青山裕企展「undercover」

和田画廊

東京都中央区八重洲2-9-8 近和ビル302

8/12(火)~8/24(日)

13:00~19:00(最終日:~17:00)

青山裕企080812.jpg

TWS本郷と同時開催の、和田画廊での青山裕企さんの個展。本郷ではその場面を撮る「行為」にスポットを当てたような潔さが印象的なのですが、こちらはこれまで制作されてきた女の子が登場する作品による構成です。

もう「反則」な擦り込みスピードの強さ、そのインパクトを越えたところで感じる行動しいまでにきれいな色調。

この日は、ラディウムで開催のコレクターグループのコレクション展へ。

いろんな人がいろんな思いで作品を手元に置いていて、それについて言葉を尽くして語っていたり、たくさんの作品に囲まれていたりと、展示に参加されている方々の嬉しそうで楽しそうな表情が印象的です。

そして、出品された作品そのものからも、気になっているアーティストのちょっと前の作品があったりして、「学ぶ」という意味で貴重な機会を持てたのも嬉しかったです。

《8/17》

NEW painter's 福田幸久 吉田和夏

MOTT FACTORY & GALLERY

東京都新宿区住吉町10-10

8/5(火)~8/31(日)月休

13:00~21:00(日:~19:00)

MOTT 080805.jpg

今年に入って拝見する機会が多い吉田和夏さんと、福田幸久さんという、タイトル通り二人のペインターをフィーチャ-した展覧会です。

吉田さんの細かい描き込みで生み出されるシュールでユーモラスな世界、そして、白地に透明感溢れる青の重なりで構築される奥行き感が面白い福田さんの作品。二人のアーティストの作品のテイストのコントラストも面白く感じられます。

「真夏の夜の夢」興梠優護 村上友重

CASHI゜

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-18-1F

8/1(金)~8/23(土)日月祝休

11:00~19:00

村上友重080801.jpg 興梠優護080801.jpg

A Midsummer Night's Dream Yugo Korogi Tomoe Murakami

CASHI゜

2-5-18-1F,Nihonbashi-bakurocho,Chuo-ku,Tokyo

8/1(Fri)-8/23(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

ペインティングの興梠優護さんと写真の村上友重さんをフィーチャーした二人展です。

村上友重さんの写真作品、まずは、ナチュラルのフレームに収められた大判の作品に目が向かいます。

淡く広がる鮮やかな緑と青。自然をそのまま捉えた作品は、この季節に合い、清々しい気分を届けてくれます。

村上友重01

霧がかる草原、ナイアガラの滝の落ちる水の飛沫が放つ靄、そういった自然の現象が淡い色彩のグラデーションをもたらし、これらの風景の写真をより絵画的なものへと押し上げているように感じられます。

村上友重02

絵画性は、夜空を撮影した作品で押し進められ、よりその抽象性を高めているような印象を受けるのも興味深いです。

真っ黒な画面にわずかに灯る白抜けの光。本来は壮大な光景が収められているはずなのに、あるシュの究極的なミニマム感を放ち、展示のアクセントとしても機能しているように感じられます。

村上友重03

興梠優護さんのペインティングは、まず、口腔部をリアルに描きあげた作品に目が止まります。

強烈な生々しさは尋常でないインパクトをもたらしているように感じられ、背景の黒が、血の赤に力強い臨場感をもたらしています。

興梠優護04

強烈な導入から他の作品へ止めを向けると、おそらくこちらも相当に生々しい作風ながら、いくぶんかそのグロテスクなイメージにストッパーがかかったような感じで眺めることができた次第で。

しかし、艶かしい筆致でもたらされるとろけるような配色は、それはそれで相当に妖しげな雰囲気を充満させています。

このモチーフが本来持つあからさまなエロティシズムから、内面性がぐんと引き出され、緩やかな臨場感ももたらしているように感じられるのはたいへん興味深いです。

興梠優護03 興梠優護02

興梠優護01

もっとも大きな作品、それでも比較的小さなサイズなのですが、冒頭の作品を除くすべてに統一されるピンク色の背景の中に、裸の肢体とそれをひくように、画面奥へと向かう黒い馬の組み合わせは、よく考えると実にシュールなシチュエーションで、しかし全体のとろけ微睡むような筆致によって見事にひとつのシーンに仕立てられていて、そのエロティシズムさにさらに奇妙な物語性を加えているような感触です。

興梠優護06 興梠優護07

興梠優護05

今回展示されている興梠さんの作品を眺めていると、外見のひとつ内側の状態を見せられているような印象を受けます。作品から想像される、取り上げられたもともとのモチーフの画像を淡々と眺める視線の感覚よりさらに踏み込んだ、猥雑だとか不憫さだとか、ひとつの言葉にしてしまえないほどに複雑な思いが交錯している視線が関っているような感じというか...。

生々しさ、生臭さは過剰にも感じられ、描かれるモチーフの曖昧なフォルムが、そのものの脆弱さを引き立てていると同時に、その脆さが跳ね返って観る側の弱さをやさしく突かれているような感覚も沸き起こります。

土屋多加史展「the reality of Hear-say」

WADA FINE ARTS

東京都中央区築地3-2-5 第2平和田ビル

8/1(金)~8/29(金)日月祝・8/11~8/18休

11:00~19:00

土屋多加史080801.jpg

Takafumi Tsuchiya "the reality of Hear-say"

WADA FINE ARTS

3-2-5,Tsukiji,Chuo-ku,Tokyo

8/2(Fri)-8/29(Fri) closed on Sunday,Monday,national holiday and 7/11-8/18

11:00-19:00

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重厚な進化を推し進む、知性。

WADA FINE ARTSでの土屋多加史さんの個展です。

はじめて土屋さんの作品を拝見した時、マルセル・デュシャンの作品群に触れた時に感じた、謎めきながら未来を見据えるような、深い知性を滲ませる雰囲気に通ずる印象を持ったことを今でも強く記憶しています。

金属的な色彩にサイバーなグラデーションが施された背景、それぞれのモチーフははっきり具象的に描かれていながらも組み合わせが言葉には言い表せない不思議な関係性と奥行きを構築していて、「なんだろう...」と首を傾げつつも、その謎めきに緩やかに意識が滑り込んでいくような感覚。

その不思議な謎めきのテイストはそのままに、今回は昨年の個展で発表された作品以上にバリエーションに富んだ素材が画面に投入されていて、そのダイレクトな素材感が現実との距離を近しいもの、その画面に描かれている世界に対して親しみを感じられるへと押し上げているような感触に、まず嬉しい驚きが湧いてきます。

無論、さまざまな素材を用いるセンスに加え、失われない絵画性というか、コラージュとしてのスキルにも目を見張らされます。

今回の作品で初めて使用されたという、大きな画面全面に貼られる箔の見事な絢爛具合、画面から沸き上がるような毛皮の異様なまでのリアリティ、こぼれる廃油を連想させる風合いの部分、そして絵の具に混ぜ込まれたと思われる粗めの粒子が醸し出す立体感。それぞれの素材のテイスト=や色彩感などが複雑に関係しあい、独創的なクールさを充満させているように感じられます。

土屋多加史004 土屋多加史002

土屋多加史005 土屋多加史003 土屋多加史006

土屋多加史001

小さなスペースの隣り合う壁面に向かい合うように展示された、フューチャリスティックなシルエットの大きな兎。背景を彩る箔の金銀が、金属的な光沢を力強く、同時に鈍く放ちます。

土屋さんの作品に多く登場する印象がある兎は、現実世界のそれとは異なり、そのまま月へとイメージが繋がったり、そのフォルムから宇宙人にも思えたり...シャープな角度で切り出され、構築される知性溢れる壮大な世界に圧倒させられます。

土屋多加史008 土屋多加史009

土屋多加史007

もう1点の大作でも、素材やモチーフの取り上げ方や関係性からさまざまなイメージをもたらしてくれます。

大判のフェルトに描かれる薔薇のような花の群れ。

フェルトのもりもりとした質感と、薔薇の花のかたちとしての立体感が、天井から床まで垂れ下がる大画面で迫ってきます。

そして、その薔薇の群れによって現されるかたちは、キノコ雲。

過去に人工的に生み出された最強の光の痕跡が描かれていて、他の2点の大作が現す箔の素材の光沢や描かれるテーマ性によって伝わる太陽や月といった自然の光のイメージと関係しあい、さまざまな想いが心を過ります。

土屋多加史012 土屋多加史011

土屋多加史010

今回も、ドローイング的な作品も多く展示されています。

土屋多加史013 土屋多加史014

土屋多加史015

モチーフが単独で描かれたものから、さまざまな要素が織り込まれて複雑なストーリーを展開するものまで、バリエーションに富んだ構成の作品が並びます。

作品によっては、紙のコラージュなども織り込まれ、イメージの創出の過程が臨場感を伴って伝わるような感触が興味深いです。

土屋多加史019 土屋多加史017 土屋多加史016

土屋多加史018

よりいっそう全面に押し出される素材感や、ペインティング作品における分厚いパネルなど、絵画の「もの」としての迫力もかなりのインパクトを発しているように感じられます。

当初、抽象的な言葉でストーリーを綴っていた小説家が、より分かりやすい言葉を用いてディテールを精緻に表現しながらも、伝える物語はより複雑に進化している、そういう感想と通じる、土屋さんのアーティストとしての展開が思い浮かんできます。

恵比寿に移転したmagical,ARTROOMのこけら落としとしてのグループショーに続いて開催される、ふたつの個展。

エレベーター付近の一角と、メインの空間とで、それぞれのユニークな個性がその感性を力強く放っています。

今回はエレベーターでのみ入れるようになっています。まずは内海陽介さん。

[ghostwork]内海陽介

magical,ARTROOM

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F

8/8(金)~9/7(日)

12:00~20:00

内海陽介080808.jpg

Yosuke Uchimi "ghostwork"

magical,ARTROOM

1-18-4-3F,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo

8/8(金)~9/7(日)

12:00~20:00

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昨年のART AWARD TOKYOの準グランプリ受賞も記憶に新しい内海陽介さん、出品数は5点と少ないものの、ジオラマ的、演劇的なシチュエーションをダークに描いた作風はそのままに、さらに緻密な描写により、そこで起こっている状況の表現の奥行き感がぐんと増した印象を受けます。

中学生くらいの頃にタミヤの1/35MMシリーズのプラモデルをさんざん作った身としては、この雰囲気のカッコよさにはまったく抗えず・・・、そのとき自分の心に植わったある衝動を再び呼び起こしてくれるような感触が堪らないです。

内海陽介005 内海陽介006 内海陽介007

内海陽介004

昨年の大丸東京店でのグループショーでも出品されていたシリーズの新作も、さらに凛としたフォルムで紙のオブジェが描かれているのが印象的です。

一風変わったアプローチの情景に加え、暗い空間を彩る絶妙な陰影が、絵画史に連綿と綴られる静物画の流れにもユニークなアクセントをもたらしているように思えてきて痛快です。

内海陽介001

内海陽介002

人の群れが登場する作品における特徴的なダイナミズム、切り紙を描いた作品の独特な渋さ。どちらのシリーズも今後の展開がすごく楽しみです。

内海陽介003

続いて、秋山さんの個展スペースへ。

[ミクロマクロモノクロームカラー]秋山幸

magical,ARTROOM

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F

8/8(金)~9/7(日)

12:00~20:00

秋山幸080808.jpg

Miyuki Akiyama "micro macro monochrome color"

magical,ARTROOM

1-18-4-3F,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo

8/8(金)~9/7(日)

12:00~20:00

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4つの要素を一まとめにした展示タイトルにより、最初に心に「ひっかかり」がもたらされます。

このタイトルは秋山さんの制作の過程を端的に現したものだそうで、今回発表された作品も、イマジネーションがそれぞれの要素を行き交い、関係性を伴って制作されているようで、それを頭の片隅に入れて拝見すると更に奥行きが増して伝わってきます。

ドローイングがばらばらと壁に配された一角。

この雑然とした壁面に配される無数のモチーフが、束になって迫ってくるような感触。

まさに、浮かんだイメージの断片をさまざまなかたちで切り取り、あるものによっては軽やかに展開させたような感じが伝わってきます。

比較的青が多く用いられているせいか、この季節に眺めていて涼しく感じられるのも嬉しい限りです。

秋山幸08 秋山幸06 秋山幸07 秋山幸05

秋山幸04

このドローイングが「ミクロ」で、それら同一のキャンバス上で重なり、絡み合うことで「マクロ」が構成されていきます。

その壮大なマクロの世界のひとつ手前、キャンバスの小品では、ドローイングでひとつ転がったイメージのサイコロがもう2回くらい転がされたような軽やかさと、その分だけもたらされる深みが印象的です。

秋山幸01

秋山幸02

一転して、大きな画面の作品は、重厚でヴィヴィッドな混沌が生み出されています。

鮮やかな色彩感でダイナミックに描き上げられる世界。

素材感がそのまま表れるアバンギャルドな絵の具の飛沫によるパワフルなテクスチャー、そのシャープさとは裏腹の、アブストラクトな透明感をたたえた微睡むような色の広がり。それらが複雑に関係しあって、激しさと緩やかさとのギャップ生み出し、ここから溢れるストーリーに深みをもたらしているように感じられます。

秋山幸11 秋山幸12 秋山幸13 秋山幸10

秋山幸09

今回の展示でもっとも大きな作品は、まさに圧巻です。

画面全体に広がる赤のエネルギッシュな迫力、その赤の侵食にまるで対峙するかのように、それぞれが力強い自然のイメージを思い起こさせる青や緑が存在感を際立たせているように感じられます。

そして、描き込まれるさまざまな動物のシルエット。大型哺乳類のおおらかで艶やかなラインと、小動物の脆弱さを詰め込んで画面の中のノイズとして機能している様子、そのかかわりによってダイナミックな時間の感覚が、過剰な曖昧の中で紡がれているように感じられます。

随所に見受けられる絵の具の垂れた痕跡や飛沫が、現実との距離感を複雑にしているような風合いも痛快です。

秋山幸17 秋山幸15 秋山幸18 秋山幸16

秋山幸14

秋葉原での101アートフェアで秋山さんの作品を拝見した時は、多くの人が行き交う騒々しくもワクワクする雰囲気の中で、もっと雑然とした混沌が放つインパクトに圧倒されたのですが、今回はもっと強固なストーリー性が感じられ、印象に残ります。

秋山幸03

源生ハルコ「スイソウ」

GALLERY TERRA TOKYO

東京都港区麻布台2-3-5 NOAビル1F

7/26(土)~8/23(土)日祝休

10:00~19:00

源生ハルコ080726.jpg

Haruko Gensho "SUISOU"

GALLERY TERRA TOKYO

2-3-5-1F,Azabudai,Minato-ku,Tokyo

7/26(Sat)-8/23(Sat) closed on Sunday and national holiday

10:00-19:00

Google Translate(to English)

緻密な筆致で紡がれる、ざらついた残像のような。

GALLERY TERRA TOKYOでの源生ハルコさんの個展です。

源生さんの作品はこれまでも拝見する機会があり、ていねいな描写で描かれる金魚などの姿が印象にこっているのですが、今回はそこにさらに展示全体の構成によって深遠な雰囲気が作り上げられ、作品が奏でる臨場感に、より説得力がもたらされているような感じです。

源生ハルコ06

入口近くのモノクロームの作品。

鉛筆などによるていねいな陰影で描き上げられた金魚。それを覗き込む子供の無垢な表情。

濃淡だけでなく、異なる質感の黒がひとつの画面に用いられることで複雑な時間のイメージがもたらされているような感じがします。

また、モノクロームだからこその深みが、ざらりとした妖しい風合いや、その場面に登場するそれぞれの生命の関係性の脆弱さのようなものを滲ませ、さらにそれが強さへと転化しているようにも思えてきます。

源生ハルコ02 源生ハルコ04 源生ハルコ03

源生ハルコ01

実に緻密の描き上げられた蘭鋳。

水中にぷあぷあと佇むどこかコミカルで味わい深い姿。その背や尾鰭に蝶が止まることで、なんとも不思議なシチュエーションがつくり出されています。

画面中に添えられるように取り入れられた乾燥植物も、現実との距離感をさらに曖昧で不思議なものへと押し上げているよう感じられます。

源生ハルコ08

源生ハルコ07

女の子の顔を大きく描いた作品は、この展示の大きなアクセントとなっています。

「スイソウ」、水槽の音をカタカナ表記した展示タイトルに、他の女の子が登場する作品と呼応しあい、物語性に深みと重厚さをもたらしています。

ほぼ全体をモノクロームで描かれた、静かでやわらかい表情。閉じられた目蓋だけがほんのりと赤く染まり、それが現実的な生々しい感触をもたらしています。

源生ハルコ10

源生ハルコ09

いちばん奥に展示された作品は、萎んだ花と咲き誇るが登場し、さらにその萎んだ花のなかにモノクロームの光景が描き込まれています。

穏やかな大胆さを持つ空間性に、この複雑な構成で描かれた作品が、さらに深い物語の世界へと誘ってくれるような気がします。

源生ハルコ12 源生ハルコ13 源生ハルコ14

源生ハルコ11

金魚というある視点において日本的なモチーフを大きく取り入れ、その華やかなで儚げな姿をていねいに表現し、そこにひとつ統一感を通しておいたうえでおおらかな余白やバリエーション豊富な素材の使用、女の子や萎んだ花などの他の要素を絡めるなどにより、実に深く豊かな世界が繰り広げられているような印象を受けた次第です。

全体に満ちる深みと、作品それぞれの見応えとが、実に分厚いイメージをもたらしてくれます。

源生ハルコ05

Midsummer Show 2008 -10 emerging artists-

Azabu Art Salon Tokyo

東京都港区麻布十番1-5-10

8/1(金)~8/22(金)日月休

12:00~19:00

AZABU 080801.jpg

Midsummer Show 2008 -10 emerging artists-

Azabu Art Salon Tokyo

1-5-10,Azabujuban,Minato-ku,Tokyo

8/1(Fri)-8/22(Fri) closed on Sunday and Monday

12:00-19:00

Google Translate(to English)

10名のユニークなアーティストがピックアップされたショーケース的な展覧会です。

アーティストによっては今年の卒業・修了制作で発表された作品の再登場もあり、それに再び、卒業修了展示と比較すると格段に余裕がある空間で再び観られるのも嬉しい限りです。

先日の文京アートでの個展も面白かった麻生知子さん。

これまでも折りに触れて拝見しているアーティストですが、ありふれた、あまりにありふれた日常を

そこ、そうやって切り取るか!Σ( ̄口 ̄;)

とおおいにツッコミを入れたくなるようなかたちで提示するスタイルがさらに進化し、今回出品された3点はこれまで以上にケッタイな感触が堪らない!

麻生知子202

麻生知子201

中村恭子さんは、ご自身のライフワークでもある蘭とのかかわりの延長として制作されたような、蘭をモチーフに描いた作品です。

とにかくこの表現力と渋い色調とに魅入られます。

ゆたかな弧を描く花弁の稜線、蜘蛛、蝿と、虫の形へと進化した花のフォルムのどうしようもなく魅力的な妖しさ。

拝見することができて嬉しい、特別な雰囲気を持った作品です。

中村恭子04 中村恭子02 中村恭子03

中村恭子01

谷下田朋美さんの油画は、日本の油画としてのクラシカルな雰囲気を今に再現したような感触がまず印象に残ります。

何度も重ねられた筆のストロークの痕跡が独特なテクスチャーを編み出し、鈍く渋い色彩感が奏でる独特な味わいが、連綿と続くストレートアヘッドなオイルペインティングらしい深みをもたらしているように感じられます。

描かれるシーンはクラシカルな雰囲気と同時に、双子葉もなく妖しい感触が伝わり、それによるコントロールされた混沌が存在しているように思えます。

谷下田朋美03 谷下田朋美04 谷下田朋美02 谷下田朋美05

谷下田朋美01

今回唯一の立体作家、松下由紀子さん。

堂々とした存在感で強烈に濃厚なインパクトを放つ、重鈍な木彫作品が鎮座しています。

どこか滑稽な風味も滲ませつつ、重たい妖しさを充満させる独特な表情。そして何より、自らの髪を鋏で切る仕草の重々しさは、ぐっと力づくでこの世界に観る人の意識を引き込んでいきます。

現代の木彫の面白さをふんだんに備えたクリエイション。ぜひ、他の作品も拝見してみたいです。

松下由紀子04 松下由紀子02 松下由紀子03

松下由紀子01

枝史織さんの横長の大作は尋常でない迫力を醸し出しています。

深く重厚な、しかし乾いた色調。そこに描かれる光景は、さまざまな動物たちや人間の姿を織り込みながら、巨大な建造物のなかで綴られるゆったりとした時間の流れを奏でているように感じられます。

独特の静謐感を放ちながら、緻密な筆致でおおらかに放たれる壮大なダイナミズムに、思わず言葉を失って見入ってしまいます。

枝史織02 枝史織03 枝史織04 枝史織05

枝史織01

今年のトーキョーワンダーウォールで初めて拝見して強く印象に残った国本泰英さん。

落ち着いた淡いベージュを背景に、水着の子供達のシルエットが描かれた作品が2点出品されています。

国本泰英01

用いられる色彩ひとつひとつは沈み込むような落ち着きを保ちながら、全体として、実に鮮やかな「キレ」を感じさせてくれます。

シルエットのシャープさと、そのシルエットを至近で眺めるとなめらかなグラデーションではなく、微妙な階調が施されていて驚かされます。

国本泰英03 国本泰英04

国本泰英02

他、日本画の松岡歩さん、菅かおるさん、直近に迫るPepper's Galleryでの個展も楽しみな山田彩加さんの緻密なリトグラフ、画廊るたんでのグループショーでも同日に拝見したタケイチユリさんの作品も出品されています。

それぞれに、今後の展開が楽しみなクリエイションです。

《8/8》

[ミクロマクロモノクロームカラー]秋山幸

magical,ARTROOM

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F

8/8(金)~9/7(日)

12:00~20:00

秋山幸080808.jpg

ひとつひとつの「要素」を収めたようなドローイングと、それらが混然となったキャンバスの作品とが展示され、めくるめく色彩の世界が繰り広げられています。

ドローイングの凝縮の一角からさまざまなサイズのキャンバス作品までを見渡していると、分厚い微睡みという風合いの、力強い奥行き感を伴った光景とそこに横たわる時間の存在が思い浮かんでくるかのようです。

[ghostwork]内海陽介

magical,ARTROOM

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F

8/8(金)~9/7(日)

12:00~20:00

内海陽介080808.jpg

昨年の東京大丸アートギャラリーでの展示も印象深かった内海さん。

出品数は少ないものの、あのジオラマのような雰囲気は相変わらずの興味深さで、そこに加えて表現の精度が格段に上がった印象を受けます。

切った紙の置き物を描いた作品の展開も面白いです。

《8/9》

Midsummer Show 2008 -10 emerging artists-

Azabu Art Salon Tokyo

東京都港区麻布十番1-5-10

8/1(金)~8/22(金)日月休

12:00~19:00

AZABU 080801.jpg

今後こちらのギャラリーでの個展が予定されている方を中心に、10名のアーティストのクリエイションがパッケージされた展覧会です。

さまざまなテイストの油彩、日本画、リトグラフの平面に加え、松下由紀子さんの木彫の大作も。

それぞれのアーティストにとってのエポック的な作品も出品され、見応え充分です。

源生ハルコ「スイソウ」

GALLERY TERRA TOKYO

東京都港区麻布台2-3-5 NOAビル1F

7/26(土)~8/23(土)日祝休

10:00~19:00

源生ハルコ080726.jpg

個展や目黒区美術館でのグループショーなどで拝見している源生ハルコさん。おなじみの金魚をモチーフにした作品を中心に、鉛筆画特有の緻密なグラデーションと大胆な素材の使用などによって、作品それぞれに豊かな表情が生み出され、そこから滲むゆったりと水のなかを揺らぐような物語性も味わい深い奥行きを奏でているように感じられます。

うつつの水たまり

画廊るたん

東京都中央区銀座6-13-7 新保ビル2F

8/4(月)~8/9(土)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

うつつの水たまり080804.jpg

3名のアーティストによるグループショーで、先に紹介したAzabu Art Salon Tokyoの展示にも参加されているタケイチユリさんの作品が印象に残ります。

比較的メルヘンチックな雰囲気を奏でているギャラリー内の展示とは別に、階段に展示されていた作品のユーモアと味わい深さが堪らない!

鮮やかな青の水面に浮かぶ桃。その巨大さが発する

なんじゃぁそりゃぁぁぁ!Σ( ̄口 ̄;)

的なインパクト、過剰に痛快です。

タケイチユリ01

《8/10》

Brand New World ~夏の光~ 上原雅美 小泉春香 福田千穂 牧野夏奈 松沢真紀

横浜市民ギャラリーあざみ野

横浜市青葉区あざみ野南1-17-3

8/4(月)~8/10(日)

9:00~21:00(初日:14:00~、最終日:~18:00)

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女子美術大学の油画研究室に在籍する5名のアーティストの、大学入学あたりから現在に至るまでの作品を揃えた展示です。

まず、これまでも折りに触れて拝見してきた上原雅美さん。ジャパニズムを強烈に発する絵を油絵の具で描く面白さは今回もしっかりと伝わってきました。卒業制作の、キャンバスで作られたフェイクの襖絵の迫力も印象的です。

福田千穂さんの作品は、ダークな色調とそれに呼応する主題の取り上げ方の深遠な関係性が心に残ります。萎んだ小さな花のシリーズのコンセプチュアルな興味深さと、1点だけ幻想的、伝奇的な作風の絵のインパクトなど、またあらためて拝見したいです。

松沢真紀さんのダイナミックな光景も強烈なインパクトを放っていました。人々がハプニング的に空を舞う壮大さ、キノコ雲などをモチーフにしたダークな作風など、それぞれ細やかな仕上がりも印象的です。

横浜から水戸へ。

新幹線で関西へ行く感覚とあまりかわらないです。時間的な距離感がほぼ同じような印象をあらためて持った次第。

Julian Opie

水戸芸術館

茨城県水戸市五軒町1-6-8

7/19(土)~10/15(日)月休(祝日の場合開館、翌日休)

9:30~18:00

Julian Opie 080719.jpg

オピーっていったらもう、すぐにどんな絵か思い浮かんじゃうほどのキャッチーさで、だいたいのイメージを持って観に臨んだわけですけど、なんだかんだ言ってもやっぱり面白い!

・・・ていうか無条件に面白い!面白すぎる!

あの太い線だけで豊かに創出される女性たちの艶かしい動作におおいに感心し、黒の線のみで描かれ、淡々とモニターに流れるフランスの風景に見入り、もう大きな画面には太い曲線が2、3本描かれているだけなのに悔しいくらいにセクシーな脚線美に見えてしまって痛快な絶句が起こったり。

そして、日本八景シリーズの芸の細かさといったらもう感涙もの。

いやはや、観られてよかった。

クリテリオム73 梅田哲也

水戸芸術館現代美術ギャラリー第9室

target="_blank">茨城県水戸市五軒町1-6-8

7/19(土)~8/24(日)月休(祝日の場合開館、翌日休)

9:30~18:00

梅田哲也080719.jpg

併設ギャラリーで若手作家を紹介するシリーズ、今回は梅田哲也さん。

梅田さんの作品を拝見するのは初めてですが、展示室に入った瞬間の「何、これ。」風な第一印象から、近付いてみれば見るほどにその淡白な第一印象がどんどんひっくり返されて、そこにあるものへの興味がぐんぐんと盛り上がっていきます。

カカカカカカン、カカカカカカン、カカカカカカンと間をおいて、扇風機のカバーに引っ掛かり音を立てながら回転する接点。細やかな火花を散らせると同時に、その接点を経由させていると思われる館内のひとつの照明もゆらゆらとその明かりを揺らめかせます。

他にも、天井からぶら下がる安っぽい受話器やら壁に散らばる磁石やら床に置かれた携帯ラジオやら、目にするだけだと単なる「もの」がさまざまなアクセントを空間にまき散らしているようなインスタレーションで、思わず童心に戻っていろいろと堪能した次第です。

今井俊介 "emptiness"

遊戯室(中崎透+遠藤水城)

茨城県水戸市北見町5-16 キワマリ荘内

7/19(土)~9/23(火)土日祝のみ

13:00~19:00

今井俊介080719.jpg

昨年のZENSHIでの個展で展開されたダイナミックな壁画、そして今年の丸ビルでのNEW TOKYO CONTEMPORARIESでエレベーター前に展示された作品、目にする度に爽快なインパクトが心地よい今井俊介さんの個展です。

平家建ての民家を改装したホワイトキューブ(!)、そこに描き上げられた壁画のダイナミズム、キャンバス作品の緻密さと提示しているコンセプトのユニークさ。

コンパクトな空間での展示ですが、「山椒は小粒でぴりりと辛い」的な痛快さがぎゅっと凝縮されている展覧会です。

《8/12》

日根野裕美展

シブヤ西武B館8階美術画廊

東京都渋谷区宇田川町21-1

8/5(火)~8/17(日)

10:00~20:00(木金土:~21:00、最終日:~16:00)

日根野裕美080805.jpg

先日のGALLERY SHOREWOODでの個展も面白かった日根野裕美さん、今回はその時に出品された作品に加え、それ以降に制作された新作と旧作も合わせて出品され、見応えのある展示となっています。

日本画は日根野らしいやわらかい色使いが心地よく、この季節に観るとその爽やかな風合いがより清々しく伝わってきます。

細密度が増したペン画も多数出品されています。少女が主役のサディスティックな場面が淡々と紡がれ、そこに収められた時間の重みが静かに実感できるような感覚が心に広がります。

RYOONO 個展「UNDEULATION」

hpgrp GALLERY 東京

東京都渋谷区神宮前5-2-11 H.P.DECO 3F

7/31(木)~8/31(日)

11:00~20:00

RYOONO 080731.jpg

RYOONO solo exhibition "UNDEULATION"

hpgrp GALLERY TOKYO

5-2-11-3F,Jingumae,Shibuya-ku,Tokyo

7/31(Thu)-8/31(Sun)

11:00-20:00

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おおらかに、そして緻密に発揮されるグラフィティのポテンシャル。

hpgrp GALLERY 東京でのRYOONOさんの個展です。

大きなウォールペインティングと、鉛筆によるユニークなタブローが展示され、植物の妖しげな曲線をモチーフとしたグラフィカルでポップな世界が繰り広げられています。

RYOONO 11

鉛筆の作品、これがホントに新鮮なテクスチャーです。

花の華やかさ、艶やかさを全面に押し出したような風合いが鮮烈なインパクトを放つ、グラフィカルに重なり絡み合う曲線や黒面。微妙な濃淡による陰影や豊かに弧を描く線は、濃密に連綿と連なっていく時間の一瞬を捉えたかのようなスリリングな感触と、その瞬間のスピードがはらむダイナミズム、さらに華やかな姿へと加速していくその迫力、激しさを現しているように感じられます。

それを表現するこの作品、取り入れられた手法のユニークさもたいへん興味深いです。

それぞれの部分は、異なる紙のパーツに描かれていて、そのコラージュでひとつの画面のなかにこのめくるめく世界が組み上げられています。

「手描きのパーツによるコラージュ」という手法が、鉛筆画のノイズの部分、例えば支持体の弛みや余白の汚れといった難点をすべて解決してしまっているうえに、微妙な立体感が「もの」としての面白さをも提示しているように思えます。

RYOONO 07 RYOONO 08 RYOONO 09 RYOONO 10

RYOONO 06

無論、グラフィティ的なテイストも面白いです。

柱で分けられた壁面の内の一方は、大きめのスクエアで、しかも額装の作品が6点並べられ、本来であれば相当に狭く、それが切迫感となって伝わると思うのですが、壁面の大半を画面が占めても、うるさく感じるどころかむしろクールな柄、紋がたくさんあることのワクワク感が増長されて感じられ、それぞれの画面に描かれるものを無意識に引き上げて、その壁面全体が放つ世界観に独自の感性の刺激を得るべく、意識がぐんぐんと引き寄せられていきます。

RYOONO 03 RYOONO 02 RYOONO 04

RYOONO 01

壁画からは、創造性の力強さを感じます。

感性の鋭さがそのままダイレクトに反映されたような痛快さと、しかしそこに注ぎ込まれる緻密さへの感心とが混ざりあって眺めていると別次元へと誘ってくれそうなポジティブでアクティブな世界。

これだけのものが描けることへのうらやましさも沸き起こってきます。

RYOONO 05

モチーフとなった植物が持つ生命の感触と妖しげな姿から醸し出されるアート的な面白さに加え、そこに大胆に挿入されるフューチャリスティックな質感がたまらないです。

ひとつひとつの線や色面の精度の高さが奏でる工芸的、デザイン的な素晴らしさもあり、それらすべてが絡まりあって、このスタイルのクリエイションの可能性も押し拡げているように感じられます。

ファイルを拝見すると、既に多方面でご活躍のようですが、そのバイタリティも含め、これからの展開もすごく楽しみです!

RYOONO 12

狂った一頁01:柳瀬あかね

PUNCTUM

東京都中央区京橋1-6-6 ハラダビル2F

7/29(火)~8/16(土)日月休

13:00~19:00(最終日:~17:00)

柳瀬あかね080729.jpg

Akane Yanase exhibition

PUNCTUM

1-6-6-2F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo

7/29(Tue)-8/16(Sat) closed on Sunday and Monday

13:00-19:00(last day:-17:00)

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衝動と世代感覚の交錯。

3名の同世代のアーティストを紹介していくシリーズの第1弾、柳瀬あかねさんの個展です。

思い浮かんだイメージへのリアクションを直に投影し、さらにそれをまさぐるかのような、迫力のあるペインティングが展示されています。

柳瀬あかね01

全体的にダークな色調の作品で空間が作り上げられています。

色によって醸し出される「気」の重みの臨場感。それと同時に、この世代らしい華やかな色使いも随所から滲み出ているように感じられ、そのギャップが紡ぐ世界の独創性がまず印象に残ります。

柳瀬あかね06 柳瀬あかね07 柳瀬あかね08

柳瀬あかね05

大胆きわまりない筆致と色の選択で、ぐんぐんと迫ってくるかのような抽象の風景。

濃厚な色調のなかにヴィヴィッドな色彩が乗り、闇を切るかのようなケレン味のなさやが画面から発せられ、そういったテイストの色面の構成やさまざまな形が構築していく様子などにより、ダイナミックな奥行きを生み出しているように感じられます。

そういったなか、何かにもがいている焦燥感に似た感覚も乱雑に飛び交っているようなアバンギャルドさ、激しさも伝わってきます。

柳瀬あかね12 柳瀬あかね13 柳瀬あかね14

柳瀬あかね11

比較的大きな作品から小品までバラエティに富んだサイズの作品が並んでいるのですが、一様にその支持体のスペースに詰め込まれた景色のボリュームは分厚く、その広さに納まりきらない感触があり、そのプリミティブな魅力、作品の純粋な力によって、眺めていて意識がぐんぐんと引き込まれていくように感じられます。

柳瀬あかね10 柳瀬あかね04 柳瀬あかね02

柳瀬あかね03

描かれた作品を拝見する限り、伝えたいイメージとの距離感は近い、近いけれども追えども追えども届かないなにかがあって、それを求めているような風合いが緊張感ともに届きます。

もっとキャッチーな作風によるアプローチのクリエイションが溢れ、もちろん僕はそのキュンキュンに弾けるような楽しさも大好きなのですが、この世代にして敢えてこういう描く行為への純度を突き詰めていくような作風も興味がそそられます。

時間をかけて、じっくりと追っていきたいと思わせるクリエイション。これからどんな色が現れ、どういう世界を紡ぎだしていくのかも楽しみです。

柳瀬あかね09

桑久保徹

TOMIO KOYAMA GALLERY

東京都江東区清澄1-3-2-7F

7/19(土)~8/9(土)日月祝休

12:00~19:00

桑久保徹080719.jpg

Toru Kuwakubo

TOMIO KOYAMA GALLERY

1-3-2-6F,Kiyosumi,Koto-ku,Tokyo

7/19(Sat)-8/9(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

Google Translate(to English)

グイグイと引き込むような力強い筆致に激しく耽る。。。

TOMIO KOYAMA GALLERYでの桑久保徹さんの個展。こちらの7階のギャラリーで開催される展示はすべてそのゆったりとした空間が活かされ、全体がアーティストの個性に満たされるのを毎度堪らなく感じているのですが、今回の桑久保さんの展示もホントに素晴らしいです。

メインのギャラリーに展示されているのは大作5点のみ。

しかし、それぞれの作品から発せられる、聳えるような奥行きの迫力、無数に重なる水平線の緻密な騒々しさ、ひとつの作品に詰め込まれる情報の凄まじいボリュームなど、それぞれが充分すぎるほどの見応えで、ひとたびその世界へと感性を放り込むと、しばらくはさまざまな発見の連続で、新鮮な面白さが いつまでも、どこまでも持続していきます。

さらに、描かれるモチーフやシチュエーションの絡まりにも思いを馳せていくと、そこから生み出される新たなイメージは止めどなく膨張していきます。

桑久保徹02 桑久保徹04 桑久保徹05 桑久保徹03

桑久保徹01

ギャラリースペースの入口正面の壁面に展示された、DMにも採用されている作品。

ぱっと軽やかな色彩感と、生々しいほどの臨場感を強烈に醸し出す筆跡とのギャップが、アトリエをモチーフに描かれたと思われるこのシチュエーションにさまざまなイメージが交錯していくような感触が痛快です。

桑久保徹12 桑久保徹11 桑久保徹08

上部の気流の流れを思わせる色の重なりのなかにさり気なく描かれている照明、中央に設置される描きかけのキャンバス、床に散らかるオーディオやキッチンなどなど、それぞれが日常のアイコン的な風合いを醸し出し、同時に、このダイナミックな筆致による混沌が、日常から離れたドリーミーな世界観も構築しているように感じられ、沸き起こるいろんなイメージと発見に耽溺していきます。

桑久保徹07 桑久保徹10 桑久保徹09

桑久保徹06

コンパクトなサブスペースには大作1点と、台上に立つ人々を描いた作品が展示されています。

その、台の上の人々、向かい合う壁面に男女それぞれ分けて並べられ、そのシュールなシチュエーションが奏でる個々のさまざまなストーリー性が、同一の構図によってもたらされる統一感によって引き締められ、ひとつの空間として迫ってきます。

桑久保徹18 桑久保徹15 桑久保徹16

桑久保徹17

その台の上の人々の展開は、メインスペースに展示された大作でさらに壮大なストーリーへと広がっていきます。

暗い色調、揃う衣服、しかしそれぞれが異なる仕草で、台の上で佇んで。。。

ひとつの世界に纏められた時、荘厳な迫力となて観るものの感性を圧倒してきます。

そういったなかに、さり気なく遊び心も織り込まれていたりするのも嬉しく感じられたり。

桑久保徹13

大作を描いてその個性を発揮するアーティストにそのチャンスを与えるギャラリストの眼力と、それに応えて素晴らしい世界を提示してくれるアーティストのポテンシャル、それぞれにおおいに感服した次第。

それぞれの作品は個々に異なる物語性を奏でながら、ひとりのアーティストのクリエイションのボリュームを充分な迫力で見せつけられてしまった痛快な敗北感、さらにその向こうに仄かに見え隠れする余力にも脱帽で。

今観られた幸せを思い返しながらそれに浸りつつ、次に観られるのが本当に楽しみです。

桑久保徹19

新世代への視線2008 時松はるな展

ギャルリー東京ユマニテ

東京都中央区京橋2-8-18 昭和ビルB1F

7/28(月)~8/9(土)日休

10:30~18:30

時松はるな080728.jpg

Haruna Tokimatsu exhibition

ギャルリー東京ユマニテGalerie Tokyo Humanite

2-8-18-B1F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo

7/28(Mon)-8/9(Sat) closed on Sunday

10:30-18:30

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マンガやアニメーションをルーツに持つと思われるクリエイションは数あれど。

ギャルリー東京ユマニテでの時松はるなさんの2年ぶりとなる個展です。

おおきな画面にすし詰めの人々。

それぞれがなんともいえないいい感じの緩~い表情を浮かべていて、それがまたなんともいえない不思議な迫力を滲ませているように感じられます。

時松はるな110

今回の個展では、従来のシャープペンシルの作品に加え、ペンを用いた作品も発表されています。

紙の質感と同様に、ペンだとまたその感触が独特の風味が伝わってきます。鉛筆の生々しさと異なって、もっと軽やかで、黒い線なのに透明感が感じられるような。

時松はるな102 時松はるな103

時松はるな101

昨年拝見し、この個展でも展示されている卒業制作の作品あたりから取り入れられているカラフルな展開も時松さんの世界をさらに楽しく仕立てています。

ぱっと華やかな色調がリズミカルに取り込まれているものもあれば、薄めのダークトーンで軽やかな渋さを見せてくれている作品も。

時松はるな108 時松はるな109

時松はるな107

緩い線で描く人々の群れで、「いい感じ~」な場面がさまざまなサイズの画面で繰り広げられているのですが、そこに織り込まれる空間性の面白さも印象的です。

画面全面をみっしりと、でも飄々と覆う作風もいいですが、その一方で大胆な余白を取り入れた作品も。

なんにも描いていないところがしっかりと背景として機能しちゃってて、影のないマンガチックな画風がすこぶる平面的であるにも関らずずいぶんとまあ遠くまで景色が続いてるのね~、ってな感触で、これがまた痛快で堪らんのです。

時松はるな113 時松はるな114

時松はるな112

さらに、背景が見えてくるような独特の臨場感が感じられて面白い小品も。

もっともなかには

どこだよそこ!Σ( ̄口 ̄;)

っていうシチュエーションもあったりするのですが、それもまたご愛嬌。

むしろ許せるというか、もっとやって頂戴、って感じです。

時松はるな105 時松はるな106

時松はるな104

それぞれの画面に織り込まれるユーモアの味付けも心地よいです。

すいぶんと壮大なテーマ性が潜んでいたりして驚かされることも。

時松はるな117 時松はるな115

時松はるな116

すごく乱暴な括りをしてしまうと、時松さん、

長谷川町子直系の現代アートか!Σ( ̄口 ̄;)

という感触です。

ぱっと目に入った時に感じる嬉しさや、画風そのものが発するユーモラスな緩さへの心地よさなどは、子供の頃に新聞の4コママンガが楽しみだった気持ちに通じているような印象です。

軽妙で絶妙な線で描かれる人々の緩い仕草や表情がまず堪らなくて、そこに、大胆な空間性や構図の面白さを持ち込んで、さらには紙質や筆圧などの生々しい要素も見せつけるような風合いで、ホントに独特の世界が紡ぎ上げられています。

作風からもいろんな展開が想像できて楽しいです~!

時松はるな111

新世代への視点2008 山内幾郎展

Gallery Q

7東京都中央区銀座1-14-12 楠本第17ビル3F

7/28(月)~8/9(土)日休

11:30~19:00(最終日:~17:00)

山内幾郎080728.jpg

Ikuro Yamauchi exhibition

Gallery Q

7東京都中央区銀座1-14-12-3F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

7/28(Mon)-8/9(Sat) closed on Sunday

11:30-19:00(last day:-17:00)

Google Translate(to English)

そびえ立つヴィヴィッドなフォルムの彫刻、フューチャリスティックなイマジネーションの広がり。

Gallery Qでの山内幾郎さんの個展です。

ギャラリースペースの壁面と床それぞれ2点ずつ、4点の作品が展示され、それらのフォルムが放つ鮮烈な雰囲気がとにかくかっこいいです。

入口にいちばん近い床面に展示された作品。

羽ばたかんとする鳥の雄大な姿を彷佛させる形の先鋭的な雰囲気に意識が掴まれます。

山内幾郎01

黒と白のツートーンのさまざまな幾何学形のプレートが複雑に接し、連なってひとつの立体を構築しています。

それぞれのフラットな表面の仕上がりや形状のシャープさに加え、ところどころに施されているマンモスマンションのシルエットが、作品のクールネスをさらに加速させているように感じられます。

そして、そうやって連なる風景が、この作品の展開を立体的な視点だけに留めず、複雑に交錯する、あるいは展開する時間のイメージも惹起させてくれます。

さまざまな角度や接地部分の大きさなどから、平面の交錯がそのまま違う時間の交錯へとイメージの昇華がなされているような感触で、このアプローチはたいへん興味深いです。

山内幾郎07 山内幾郎05

山内幾郎04 山内幾郎03 山内幾郎06

山内幾郎02

壁面に展示された作品、床の作品の見下ろす感覚から一転し、見上げた時に、さらにそのヴィヴィッドなフォルムの先鋭的な感触が押し上げられて感じられます。

虚空に浮かぶ姿が、ダイナミズムも加速させ、壮大なイメージが沸き起こってきます。

山内幾郎11 山内幾郎09 山内幾郎10

山内幾郎08

観る角度によって、そのフォルムのクールな雰囲気が目まぐるしく変化していくのも楽しいです。

山内幾郎13 山内幾郎14

山内幾郎12

奥の床面に展示された作品は、カラーの画像が数カ所に施されています。

時間のイメージがより具体的に提示されつつ、そのいくつかはパターン化していて、その画像のなかでさらにリズミックに展開する時間のイメージが、作品全体へも作用し、より複雑な印象がもたらされます。

山内幾郎18 山内幾郎17 山内幾郎16

山内幾郎15

事務所の壁面に展示された小品もいいんです。

複雑でアグレッシブな展開が幾分か影を潜め、形と手法の面白さがぐんと引き出されているような風合いが堪らなかったり。

山内幾郎19

それぞれの作品に込められた伝えたいイメージの壮大さ、複雑さにも大いに入り込めるクリエイションであるとともに、「ガンダム」を観てカッコイイと思う感性をスパッとシンプルに刺激してくるクールさが心に響きます。

この作品の風貌の素晴らしさには抗い難いものを感じてしまいます。子供の頃に思い描いた「かっこよさ」が再現されている実にシンプルな嬉しさも印象的です。

《7/31》

RYOONO 個展「UNDEULATION」

hpgrp GALLERY 東京

東京都渋谷区神宮前5-2-11 H.P.DECO 3F

7/31(木)~8/31(日)11:00~20:00

RYOONO 080731.jpg

正面の壁面に描かれた伸びやかな壁画、主に植物をモチーフに、鉛筆で描かれたパーツをひとつの画面に重ねて構築されたユニークな作品と、グラフィティならではの自由奔放さと緻密さとが伝わる見応え充分のクリエイションです。

《8/1》

新世代への視点2008 山内幾郎展

Gallery Q

7東京都中央区銀座1-14-12 楠本第17ビル3F

/28(月)~8/9(土)日休

11:30~19:00(最終日:~17:00)

山内幾郎080728.jpg

ヴィヴィッドに組み上がるシャープなフォルムが堪らなくかっこいいです!

フューチャリスティックな雰囲気を鮮烈に発散する立体作品が、観る角度によりさまざまな表情を展開しています。

土屋多加史展「the reality of Hear-say」

WADA FINE ARTS

東京都中央区築地3-2-5 第2平和田ビル

8/1(金)~8/29(金)日月祝・8/11~8/18休

11:00~19:00

土屋多加史080801.jpg

面白い!

ファーなどの素材も大胆に取り込まれたキャンバスの作品、壁面に垂れ下がる大作、独特の知性を提示するような謎めきに満ちたドローイング的作品と、土屋さんらしい深い独創性が発揮されています。

混沌から躍り出る星たち展2008

スパイラルガーデン

東京都港区南青山5-6-23

8/1(金)~8/9(土)11:00~20:00(初日:~19:00)

混沌080801.jpg

恒例の、京都造形芸術大学主催のグループショー。

さまざまなメディアの作品が揃うなか、受付に沿った壁面に展示されている平面作品群がとにかく見応え充分です。

なかでも強烈なインパクトを受けたのが、藤井千波さんの作品。中央に浮かぶ人物の仕草のダイナミズムに加え、その存在を作品の物語性の軸にしながら、水鳥さながらに水面に並ぶ手などのさまざまな要素が収められ、不思議な雰囲気を充満させています。なにより藤井さんが日本画出身であることが興味深いです。

水野悠衣さんの黒いスカイスクレイパーの林立が眼前を覆い深い迫力を醸し出す大作、福島春香さんのキュートに丸っこくなったヒコーキのオブジェとそれをモチーフにヴィヴィッドな抽象性が立ちのぼるペインティングも印象に残っています。

《8/2》

Summer Show

WAKO WORKS OF ART

東京都新宿区西新宿3-18-2-101

7/26(土)~8/30(土)日月祝・8/10~8/18休

11:00~19:00

WAKO WORKS 080726.jpg

政田武史さんの水彩のドローイングがずらりと並ぶ壁面、やっぱり良いです!

仄かな滲みがコントロールされ、ひとつの単位となってさまざまなものを描きあげていて、その色調の涼しげな風合いとモチーフを取り上げる視線のシャープさに強く惹かれます。

さまざまなアーティストの作品が揃うなか、Wolfgang Tillmansの写真の色の美しさ、構図の美しさが得に印象に残った次第です。

南館麻美子展「輪ゴムで留めたスナップショット」

番町画廊

東京都中央区銀座6-7-19 空也ビル3F

7/22(火)~8/2(土)日休

10:30~18:00

南舘麻美子080722.jpg

シロタ画廊と同時開催で行われている南館麻美子さんの個展、こちらのコンパクトなスペースでも木版らしい独特の味わいに満ちた版画作品と、キュートな木彫作品が展示されていました。

手彩色の温かみも加わり、レイドバックしたような雰囲気に仄かな爽やかさが滲むような風合いも印象的で。

で、展示されていた作品ではないのですが、南館さんの少し前の制作の油彩の作品も拝見することができ、これが凄く良い雰囲気を持っていて、こちらでの展開も楽しみです。

さの☆あや展

GALLERY b.TOKYO

東京都中央区京橋3-5-4 第1吉井ビルB1

(月)~(土)

11:00~19:00(金:~21:00、最終日:~17:00)

さの☆あや080728.jpg

まず、新しい作風のキャンバス作品が目に入ってきます。

ぼやけた光景の挿入されるさなざまなかたちが織り成すの抽象性が、暗いながらもさまざまなイメージを提供してくれます。

さの☆あや03 さの☆あや04

さの☆あや01

筆のストロークで綴られ、描かれるもののかたちもしっかりと提示された作品は、暗めの色調ながらその手法のキャッチーさとリズム感が楽しく感じられます。

さの☆あや07 さの☆あや08 さの☆あや06

さの☆あや05

部分で観てみても不思議とほっこりと和める気分が広がります。

ストロークの手法ので、小さな作品もぜひ拝見してみたいです。

さの☆あや02

新世代への視線2008 時松はるな展

ギャルリー東京ユマニテ

東京都中央区京橋2-8-18 昭和ビルB1F

7/28(月)~8/9(土)日休

10:30~18:30

時松はるな080728.jpg

緩い線で描かれる、おっとりとした人の表情のユーモラスな風合いが堪らないです。

なんていうか、「長谷川町子直系コンテンポラリーアート」的な世界がなんともいえないイメージをもたらしてくれます。

狂った一頁01:柳瀬あかね

PUNCTUM

東京都中央区京橋1-6-6 ハラダビル2F

7/29(火)~8/16(土)日月休

13:00~19:00(最終日:~17:00)

柳瀬あかね080729.jpg

描くことへの「衝動」を、よりプリミティブなかたちで感じさせてくれる抽象絵画です。

色の深みが力強く発揮され、さまざまなサイズの作品が揃い、小さなものであっても描いている景色の壮大さを思い起こさせてくれます。

Galley Fabian=Miller

nca|nichido contemporary art

東京都中央区八丁堀4-3-3 ダヴィンチ京橋B1

7/25(金)~8/23(土)日月祝休

11:00~19:00

Galley Fabian=miller.jpg

美しいです。

深い黒を背景に、そこに浮かび上がるオレンジのスクエアや無数のドット、そして、ずっと遠くまで、奥まで続いていくような鮮やかな水平線。

緊張感のある陰影、グラデーションも息を呑むほどに鮮やかな深みをたたえていて、淡々と手法の美しさ、素材の美しさが引き出され、計算され尽くされたような構図で実に深遠な世界が紡ぎ上げられています。

Gert & Uwe Tobias

TKG Contemporary

東京都江東区清澄1-3-2-6F

7/19(土)~8/9(土)日月祝休

12:00~19:00

Gert & Uwe Tobias080719.jpg

ファンキーな重厚さが痛快です!

比較的コンパクトな空間の壁面は深く濃い赤でヴィヴィッドに配色され、そこにざっくりとしたいなたい仕上がりがわくわくさせる、アングラ臭も強烈に漂う力強いペインティングと小さな立体とが展示されています。

都市の裏道の雑踏のノイズを地下のスタジオでリミックスして構築したグルーブのような、不良願望を煽るクールさに満ちているような感じです。

川原直人「Ourobros ウロボロス」

TAKA ISHII GALLERY

東京都江東区清澄1-3-2-5F

8/2(土)~8/30(土)日月祝休

12:00~19:00

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こんなにも繊細な、そしてその繊細さがそのまま大胆さへと押し上げられているような...。

まるで映画のひとつのシーンの時間をひとつのキャンバスに凝縮したような、それぞれのペインティングが醸し出す分厚い存在感に圧倒させられます。

究極的にロマンチックで、ゆったりとした時間がたゆたうような雰囲気も満たしつつ、さらにその間を射るように無数のスリルが過っているような緊張感も伝わってきたり。

展示されている作品の数の圧倒的な少なさも、この展示をよりいっそう深遠にしているように思えます。

時間を忘れてじっくりと味わいたいクリエイションです。

「真夏の夜の夢」興梠優護 村上友重

CASHI゜

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-18-1F

8/1(金)~8/23(土)日月祝休

11:00~19:00

村上友重080801.jpg 興梠優護080801.jpg

ペインティングの興梠優護さんと写真の村上友重さんがパッケージされた二人展。

興梠さんのペインティングはスリリングです。人の姿や頭部など、その脆弱さを敢えて引き出して朧げな雰囲気を作品から充満させています。

一方、村上さんの写真はどこまでも爽やかに感じられます。青い空や新緑の、それぞれの色がまず刺激してくる心地よさがそのまま写真に収められているような。おそらく星空を捉えた作品も、空間のアクセントとしてユニークに機能しているように感じられます。

馬場晋作展「スレチガウマナザス」

マキイマサルファインアーツ

東京都台東区浅草橋1-7-7

8/2(土)~8/14(木)金休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

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鏡面を支持体に用い、そこから生み出される効果を活かしたペインティング。

今回はこれまで拝見してきた作品より、さらに緻密なテクスチャーでレース生地やシャンデリアを描いた作非品が展示され、そのユニークさが加速しているように思えます。

馬場晋作103 馬場晋作102

馬場晋作101

コーナーを使い、さらに鏡面の効果を押し出した作品。

円形のレース地が、メビウスの輪のように複雑な軌跡を紡ぎだしています。

馬場晋作106 馬場晋作107

馬場晋作105

小品も楽しいです。

小さな画面でも細やかなテクスチャーの精度は失われず、ぐっと見入ってしまいます。

馬場晋作110

馬場晋作111

もうひとつ、ユーモラスな作品も。

ガラスに描かれた男女の踊り手が、向かい合ってセットされ、それぞれ円舞しているというインスタレーション。

クルクルと回る様子もなんだか楽しげです。

馬場晋作109

馬場晋作108

夜明け前 Before the Dawn 井上隆保 小沢さかえ 片野まん 神藤知子 前田吉彦

MORI YU GALLERY TOKYO

東京都新宿区西五軒町3-7 ミナト第3ビル4F

8/2(土)~8/23(土)日月祝・8/14~8/18休

12:00~19:00

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先週の堂島ホテルでのアートフェアでもひときわ濃い空間を充満させていたMORI YU GALLERY、その所属アーティストをピックアップしたグループショー。

小沢さかえさんの独特の色彩で綴られるファンタジックな世界を描いた最新作と過去の作品、片野まんさんの相変わらずのコテコテ詰め込み痛快ペインティング、淡い色彩の静謐が心地よい神藤知子さんと、やはり濃密な個性がひしめき合っているなか、前田吉彦さんの作品の絶句もののケッタイさが強烈です。

入口とギャラリー中央に展示されている、律儀にも木枠とアクリル板のケースに収められた「パン」。

一見し、

・・・・・。

と刹那、思い巡らせた挙げ句結局

何じゃこりゃぁ!Σ( ̄口 ̄;)

と叫びたくなってしまうほどにただの「パン」。

この呆れた感じから鋭い痛快さが脳裏を貫きます。ワケ分かんないけどスゴイ、という、尋常でない問答無用感、「ザッツ現代美術」的な説得力がなんともかんとも。

飯川雄大「グッドシチュエーション」

児玉画廊|東京

東京都港区白金3-1-15-1F

8/2(土)~8/30(土)日月祝休

11:00~19:00

飯川雄大080802.jpg

大阪での展覧会が東京へ巡回。

大阪で発表された作品に加え、24時間ループの作品も数点展示されています。

いろんな想像が脳裏を過ります。

たったひとりだけ、数台のカメラが執拗に追い回すそれぞれの作品の主人公だけが知らされていない、半分になった試合時間。

一瞬、感覚的にその事実に気付いたのかな、と思わせる仕草が見受けられるような気もするのですが、自分以外のプレイヤーがまったく普段通りなことに、その疑いを伏せてしまう、あるいはまったく気付いていなさそう、という事実が、映像作品だけをただ眺めていたら、まず淡々とした記録映像にしか見えないこの作品にさまざまな奥行きや可能性を提示してくるような感じです。

例えば、何人まで時間を同時に「盗む」ことができるのだろう、とか。

例えば、今回は本来の試合時間のちょうど半分ですが、どれだけの時間を「盗む」ことができるだろう、とか。

さらに、もしかしたら、例えば味スタでJリーグの試合を観ていて、盗み手が選手、監督らと審判全員だったとして、同じことをされたら観客全員見事に時間を「盗まれる」可能性もあるんじゃないのか、とか。

沸き出すイメージは止めどなく、それがまた楽しくて、ワクワクする感じが創出されます。

他、24時間のループの作品も、そのコンセプトが実に面白いです。

24時間ただただ同じ場所を撮影し続けたもの、いくつかの場面が編集されたものとパターンは様々ですが、それぞれのシーンが24時間のある瞬間に対応していて、その映像が時計として機能してしまうというのがとにかく興味深いです。

流麻二果展 繋/On a String

PANTALOON

大阪府大阪市北区中津3-17-14

7/5(土)~7/27(日)月火休

18:00~22:00(土日:12:00~19:00)

流麻二果080705.jpg

Manika Nagare exhibition On a String

PANTALOON

3-17-14,Nakatsu,Kita-ku.Osaka-shi,Osaka-fu

7/5(Sat)-7/27(Sun) closed on Monday and Tuesday

18:00-22:00(Saturday and Sunday:12:00-19:00)

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空間と関る抽象表現の本領。

PANTALOONでの流麻二果さんの個展です。

流さんの個展はギャルリー東京ユマニテでこの春に開催され、それに続いて行われたこちらの個展でも数点同一の作品が展示されていて、それらの作品が異なる美しさを醸し出していたのも印象に残ります。

細かく編まれたカップ、アッシュトレーがお出迎え。

油彩ともうひとつの流さんの真骨頂である、糸を使った作品やインスタレーションも多数展示されていたのも嬉しい限りで。

流麻二果001

木のナチュラルな風合いが心地よいPANTALOONの空間を、各所に配置された流さんのヴィヴィッドで強い色彩のペインティング作品が鮮やかに彩っていき、深いアクセントをもたらします。

流麻二果003 流麻二果004

流麻二果019

このスペースのもっとも特徴的な場所、おおきな吹き抜けでは、その壁面に飾られた縦長のキャンバス作品が堂々とその存在感を放ちます。

鮮やかな色彩が滝のように落ちてくるような感触を連想させるダイナミックな動線、縦にも広い壁面に展示されることでさらに豊かさを増す奥行き。同じスペースに配された糸のインスタレーションなどのさまざまな要素と絡み合い、浮遊感を持ち合わせたナチュラルなイメージの世界を奏でます。

流麻二果013 流麻二果012 流麻二果014

流麻二果011

ロフト部分で繰り広げられていた糸とドローイングのインスタレーションも深遠な世界を醸し出していました。

流麻二果010

縫って繋がるドローイングの群れ。

描かれているものは油彩のペインティングと比較してもより具体的なのに、この一角には独特な雰囲気が満ちています。

絵画的、アート的な抽象性と同時に、不思議と文学的な抽象性も感じられるような気がして、そこから湧き起こるイメージに耽っていく感じです。

流麻二果009 流麻二果007 流麻二果008

流麻二果006

窓辺にちょこんと収めれた、ちいさなインスタレーションもなんともかわいらしく。

流麻二果016 流麻二果017

流麻二果015

ユマニテでの個展で、作品の単独の面白さ、素晴らしさを充分に堪能し、それに続いて拝見した今回の展覧会では、流さんのクリエイティビティのポテンシャルの懐の深さを再認識させられたと共に、それぞれ異なる味わいも楽しめ、たいへん貴重な体験ができたような気がしています。

流麻二果018

中沢研

ANDO GALLERY

東京都江東区平野3-3-6

7/1(火)~8/23(土)日月祝休

11:00~19:00

File0015中沢研080701.jpg

Ken Nakazawa

ANDO GALLERY

3-3-6,Hirano,Koto-ku,Tokyo

7/1(Tue)-8/23(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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色彩と線とが織り成すうつろな空間。

清澄にできた新しいギャラリー、ANDO GALLERYのこけら落とし、中沢研さんの個展です。

いかにもコンテンポラリーな雰囲気を充満させながらも、空間のかたちとしての安定感が心地よく感じられるギャラリースペースに、ベージュ系の色彩を駆使し、豊かな縮尺感、奥行き感を醸し出す大作が展示され、落ち着いた感触がゆったりと満ちているように感じられます。

中沢研05

薄いベージュを背景にさまざまな太さや色調の線が折り重なり、バラエティにとんだかたちを構築していく作品。

そこに描かれている光景は抽象性が高くて、ある瞬間にはずっと大きな空間が続いているようにも思えたり、時間が変わると逆にミニマムな場所をぐんと拡大したようなイメージも湧いてきたりと、いろんな想像がもたらされ、穏やかな痛快さに浸れるような感触です。

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中沢研01

数点の大作のなかでも比較的新しい作品は、ひとつの画面に挿入される情報の密度が激減します。

今回の中沢さんの個展で展示されているすべての作品から、蜃気楼のような乾いた曖昧さを発しているような感じが伝わるのですが、最近作ではその空虚さが押し広げられ、何か消えゆく朧げな印象が静かに満ちているように感じられ、眺めていてなにかが消えていくことに対する、落ち着いた、不思議な焦燥がもたらされるような感じです。

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ひとつの壁面では額に収められたドローイング作品が展示されています。

キャンバスの、ものとしての「強さ」からも放たれて、中沢さんが紡ぎ出すイメージをよりプリミティブに現したような風合いが心に届くような。

中沢研11

中沢研12

僕は中沢さんの展示をしっかりと拝見するのは今回が初めてなのですが、過去にはユニークなインスタレーションも発表されているようで、そちらの展示を体感していたらもっとヴィヴィッドにさまざまなイメージがもたらされるような気もします。

広々としていて、用いられる色彩の感触によって独特の生々しさを醸し出しながら、どこか荒涼とした風合いが心地よく感じられるクリエイションで、パノラマのような展示情景もその思いに拍車をかけてきます。

中沢研10

永島千裕展 at the space time

imura art gallery

京都府京都市左京区丸太町通川端東入ル東丸太町31

7/7(月)~7/26(土)日祝休

10:00~18:30

永島千裕080707.jpg

Chihiro Nagashima exhibition at the space time

imura art gallery

31,Higashi-maruta-machi,Sakyo-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu

7/7(mon)-7/26(Sat) closed on Sunday and national holiday

10:00-18:30

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クールでライトなサディスティックワールド。

imura art galleryでの永島千裕さんの個展です。

なんだかもう、参ったなぁ、と。

こんなに軽やかに...ふわっとした柔らかな色彩はすごく軽やかなのに、描かれる世界はすごくサディスティック。

すらりとしたシャープな稜線が構築する、描かれる人々のシルエットのタイトさ、そこを彩るライトタッチのナチュラルな色。

その上にうっすらと染みわたる赤は滲む血を連想させ、さらに人々の表情が一様にダークさをたたえているところなど、ぱっと作品を目にした時のふわりと浮遊するような心地よさと、描かれているシーンの極めて危い雰囲気とのギャップは、一度観たらなかなか忘れることのできないインパクトを生み出しているように思えます。

2面のキャンバスを用いながら、その1枚は丸々何も描かれていないという、広大な余白の存在感が強烈な、大胆な構図の作品。

上の方につらつらと列を成す人々の存在感の鋭さも際立って感じられます。

永島千裕01

DMにも採用された作品は、まず背景の青の独特の深みが印象的です。

そこに描かれた人々のさまざまな仕草、そのひとつひとつにネガティブなエッセンスがちょこっとずつ注入されているような感じで、どこか生気を失ったような冴えない表情がさまざまなサイズで並んで描かれていて、その連続性が紡ぐ時間のイメージもなんだか例えようがなく...。

淡々としたものが積み重ねられて、脆弱なのに強固なイメージを思い起こさせる不思議な静寂が構築されているように感じられます。

永島千裕03 永島千裕04 永島千裕05

永島千裕02

カードが登場する展開の作品もシャープな魅力を放っています。

色調といい、線描といい、アニメーションの一場面を彷佛させるような、絵画としての精度が、この軽やかな淀みに説得力をもたらしているように思えます。

永島千裕07

永島千裕08

アンモナイトを輪切りにしたようなモチーフが登場する作品は、その妖しさが強烈な臨場感を伴って、力強く立ちのぼって伝わってきます。

ひとつひとつのセルのなかにひとりずつ人が描かれて、まるで進化の過程を現すかのような構成が謎めいた雰囲気をさらに深めます。

複雑なモチーフを再現する緻密さにも惹かれます。

永島千裕10 永島千裕11

永島千裕09

ほぼすべての作品に貫き通されているサディスティックな雰囲気、しかし一部にさらりと流し込まれるユーモアに気付くと、またそれが堪らなく感じられたりします。

この秋にはTWSでも個展が行われるようで、そちらも今から待ち遠しいです!

永島千裕06

debut! ver.YUKO MURASE 村瀬裕子 個展

谷門美術

東京都港区北青山3-3-7 第一青山ビル1F

7/19(土)~8/8(金)日月祝休

13:00~19:00

村瀬裕子080719.jpg

debut! ver.YUKO MURASE

TANIKADO ARTS

3-3-7-1F,Kita-aoyama,Minato-ku,Tokyo

7/19(Sat)-8/8(Fri) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

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あのね、もうね、なんかどうしようもなく

おもしろーい!(≧∇≦)ノ゛

って感じの痛快なクリエイションでございます。

谷門美術での村瀬裕子さんの個展です。

いや、もう、面白い!

・・・・・

ていうかさっき言っただろ!Σ( ̄口 ̄;)

とにかく、ユーモアが溢れてます、ほとばしっています。

村瀬裕子05

基本、すべての作品に登場しているのは種ラフであったりテントであったり、まあそういったもの。

そのテントやらシュラフやらに描かれている柄が、絵のなかの世界と絶妙にリンクしてなんともいえないワケの分からない世界を作り上げている、という、

一本トラレタ-----!!!!!(≧∇≦)ノ゛

的な雰囲気が堪らない、鮮やかな色彩感も合わせて、「そりゃ実際にこういう状況は現実にも再現可能でしょうけどねこういう風に絵のなかに収められるともうなにがなんだか!」という痛快な場面が描かれています。

村瀬裕子02 村瀬裕子03 村瀬裕子04

村瀬裕子01

そして何より圧巻なのが。

村瀬裕子07

で、でけぇ!Σ( ̄口 ̄;)

「いったいどうやって入れたのよ」級サイズ、

この小さな空間を敢えてここまでアクロバティックに使う必要があるのかと。

ていうか・・・

ヤッチャッテル-----!!!!!(≧∇≦)ノ゛

ちょっとサイズが壁面からはみ出てたりするのもご愛嬌。

手前のこの大作のエスキース的な作品が導入部。

村瀬裕子06

で、この作品、もう何がなんだか...なんですかこの観ていて「負けた...」的な感覚は(汗)。

ツッコミ所満載のようでいて、その実、思いのほかおかしいところがひとつもなかったりするという、なんとも悔しい作品。って悔しいのか俺!Σ( ̄口 ̄;)

テントのゴリラの重々しい臨場感と、風に靡く点数掲示板や客椅子などの後ろに広がっている光景のクリアな仕上がりとのコントラストも鮮やかで、随所にキラキラと描写の巧みさを織りまぜつつ、でもって

何でゴリラだよ!Σ( ̄口 ̄;)

何でテニスコートにゴリラだよ!Σ( ̄口 ̄;)

・・・あ、テントか。

って、

何でテニスコートにテントだよ!Σ( ̄口 ̄;)

何でテニスコートにゴリラのテントだよ!Σ( ̄口 ̄;)

と、基本的なシュチュエーション設定でなにかが間違っていないか!という素朴にして巨大な疑問がまた痛快で堪らないという(笑)。

村瀬裕子11 村瀬裕子10 村瀬裕子12 村瀬裕子09

村瀬裕子08

この狭い空間を作品のサイズ的にも、そして描くシーン的にも圧迫する、なんとも天晴れな展覧会です!

one room3 太田麻里 安田知司 大野紅 山野若菜 岡田裕樹 原田拓哉 加納俊輔 岡村有利子

@元立誠小学校

京都府京都市中京区木屋町蛸薬師

7/21(月)~8/3(日)

12:00~19:00

one room3 080721.jpg

one room3 Mari OTA Tomoshi YASUDA Kurena ONO Wakana YAMANO Yuki OKADA Takuya HARADA Shunsuke KANO Yuriko OKAMURA

@Rissei Primaly School

京都府京都市中京区木屋町蛸薬師Takoyakushi,Kiyacho,Chukyo-ku,Kyoto-shi,Kyoro-fu

7/21(Mon)-8/3(Sun)

12:00-19:00

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小学校跡地ので開催されているグループショーにいってきました。

8名のバラエティに富んだクリエイションを繰り広げるアーティストひとりひとりがひとつの教室で個展形式の展覧会を開催、見応えもあると同時に、なんとなく懐かしい雰囲気が満ちた空間とアートとが関係しあって独特の雰囲気を作り上げているのがたいへん心地よく感じられました。

後者の入り儀口を通って1階の教室、東京でもたびたび拝見している太田麻里さん。

教室の小さな机の上に、その数だけ置かれた鉢植えの庭木、しかも枝葉が無惨に切り刻まれ、相当に乱雑な空間。太田さんのパフォーマートとしてのアバンギャルドさ全開になった痕跡が充満しています。

太田麻里204

巨大な絵も展示されていて、その迫力も凄いです。

先日のミズマ・アクションでのグループショーで発表された作風をさらに大きく展開したようなもので、そのなんとも謎めいたモチーフとともに、大判のサイズがダイレクトに痛快さをもたらしてくれます。

太田麻里202

太田麻里203

プロジェクターには、ここで繰り広げられたパフォーマンスの映像が上映されています。

無垢な狂気をはらませ、淡々と枝を切る太田さんの雰囲気に呑み込まれます。

太田麻里201

2階は4つの教室、4名のアーティスト。

まず、安田知司さん。立体とペインティングによるインスタレーションです。

教室のほぼ真ん中に置かれた塔、後側の茶目っ気がなんとも味わい深くて(笑)。

安田知司01

安田知司02

力強い筆致でリアルに描き上げられたペインティング群と原色が立ち上がるオブジェ群ぐぁ放つ重厚な雰囲気も印象に残ります。

安田知司04 安田知司06 安田知司03

安田知司05

大野紅さんの、おそらく出力の作品。

くっきりとした階調がキャッチーな風合いを発し、その空間性のシャープな面白さも同時に伝わります。

大野紅04 大野紅03 大野紅01

大野紅02

山野若菜さん。

犬のオブジェがかわいらしい仕草で佇んでいて、僕はそこからこの空間へ導びかれていった次第で。

山野若菜01

このキュートさと対を成すように、破壊された犬の石彫のオブジェがその破片を散らばらせています。

唐突に殺伐とした雰囲気が充満してきます。

山野若菜02 山野若菜03

山野若菜04

そして、壁面いっぱいのサイズのタブローも。ここからもたらされる不思議な縮尺感。

山野若菜05

Art Complex Centerでのグループショーでも印象に残っている岡田裕樹さんのシルクスクリーン作品。

モノトーンに施された陰影が、フューチャリスティックな雰囲気を構築しているように感じられます。

岡田裕樹005

シンプルな作風が繊細な感触を際立たせているように感じられ、それが教室のレイドバックした雰囲気と鮮烈なコントラストを生み出しています。

岡田裕樹001 岡田裕樹003

岡田裕樹004

また、机に置かれた横長の展開の作品がサイズ的にもヴィヴィッドなインパクトを放っていて、サイバーな感触も見応え充分です。

岡田裕樹002

3階は3名のアーティストが展示を行っています。

原田拓哉さんが構築する硬軟取り混ぜた形が混在する空間はとにかくユニーク。

巨大な球がお出迎え。

原田拓哉01

硬質な造形と有機的な造形、それらがひとつの視界にパッケージされることで、独創的な時間性を紡ぎ出しているように感じられます。ここからもたらされる重厚なイメージに浸るのも痛快で。、

原田拓哉02

原田拓哉05

平面の作品も面白いです。

黒く塗りつぶされる矩形と繊細なタッチで写実的に描かれるキュートなアイテム、そのものとしての差異だけでなく、画質のコントラストも相まって、シャープなギャップが展開されています。

原田拓哉03

原田拓哉04

加納俊輔さんの作品は、その視点がまずなによりユニークです。

写真とマンガの1コマ、それぞれ類似した構図のものを見つけ出し、隣り合わせて提示する、という実にシンプルな構成ですが、それぞれまったく無関係のものがこうやって繋がれることで妙な関係性が引き出されているのがなんとも興味深く感じられます。

この構成の他にも、一部を加工して不思議でシュールなシチュエーションを現した写真作品なども。

加納俊輔01 <加納俊輔02

加納俊輔03

岡村有利子さんは、モニターに上映されているアニメーション映像作品とエスキース的な作品はモノクロームでの展開。

映像作品を時間の都合でしっかりと観られなかったのは残念。。。

岡村有利子02 岡村有利子03

この空間で一番のインパクトは、巨大なペインティング作品。

大きなキャンバスに満面の笑みを浮かべ、しかし機械的な雰囲気も漂わせる女の子の顔。

まさに「どーん!」といった感じの迫力は凄まじいです!

岡村有利子01

田中洋喜展 Game is over.

CUBIC GALLERY

大阪府大阪市中央区備後町3-1-2 アトラスビル201

7/22(火)~8/2(土)日祝休

12:00~19:00(土:~17:00)

田中洋喜080722.jpg

Hiroki Tanaka exhibition Game is over.

CUBIC GALLERY

3-1-2-201,Bingo-machi,Chuo-ku,Osaka-shi,Osaka-fu

7/22(Tue)-8/2(Sat) closed on Sunday and national holoday

12:00-19:00(Sat:-17:00)

Google Translate(to English)

揺らめく表情とシャープなフォルムが醸し出す鮮烈なコントラスト。

CUBIC GALLERYでの田中洋喜さんの個展です。

田中さんの作品は、一昨年のシェル美術賞でのグランプリ作品を拝見していて、画面に大きく描き出された躍動する肢体の、蜃気楼のようなぼやけた風合いの妖しさと、落ち着きをはらんだ色調がその風合いとは逆に触れて危うく感じさせる様子などが印象に残っています。

その時に発表された作品に描かれた人の姿はそれ自体が動きをイメージさせてくれるダイナミックなものでしたが、今回の個展で発表されている作品はむしろ静かな佇まいで、それが画風やプロセスのユニークさをまた違う形で引き出しているように感じられます。

田中洋喜07

シングルトーンの背景に人の姿がひとり描かれる、という実にシンプルな構成。

こういった構成の作品を拝見することは多いのですが、だからこそ田中さんの個性が際立って感じられます。

絶妙な陰影がつけられ、写実的にていねいに描かれる、普段着の人の後ろ姿。淡々とした雰囲気でありながら匿名性が感情移入を拒むようなしなやかや強さも伝わります。

田中洋喜10 田中洋喜11

田中洋喜09

顔の部分の歪みが強烈なインパクトをもたらしている作品。

モデルを敢えてエフェクトをかけて撮影し、それを基に描いているのだそう。

背景の色彩によってシャープに削り取られていくフォルムの強靱さと、描かれる女性の服や表情の緩やかなグラデーションがほのかに漂わせる脆弱性との共存が、実に身近なシチュエーションを思わせつつも、なんとも言い難い妖しげな雰囲気を立ちのぼらせているような感触が印象に残ります。

田中洋喜05 田中洋喜06

田中洋喜04

女性の全体像を描いた作品が中心に展示されるなかで、顔のパーツにスポットを当てた小品がアクセントとなり、展示に深みをもたらしているように感じられます。

アンニュイな表情の顔、あるいはそれぞれの部分が画面全面に描き上げられ、色調の独特の渋味とともに、妖しさや謎めきが緩やかに空間に滲んでいくような雰囲気が印象に残ります。

田中洋喜02 田中洋喜03

田中洋喜01

写実的に人を描くというスタイル自体は比較的オーソドックスだと思うのですが、田中さんが描くそれは、そこに「ズレ」と「シャープさ」とが同居していて、独特な雰囲気を奏でているように思えます。

ひとつの画面にひとりしか描かれていないことが、そこに描かれている人の仕草に臨場感を与え、淡々としていながらもそこに独特な艶かしさと、凝縮された時間が充満しているように感じられます。

田中洋喜08