野口都展 Crimson Lure
10/24(金)~11/2(日)11:30~18:30
Miyako Noguchi "Crimson Lure"
1-5-10,Azabujuban,Minato-ku,Tokyo
10/24(Fri)-11/2(Sun)
11:30-18:30
鮮やかで繊細な「染め」で繰り広げられるシャープな世界。
Azabu Art Salon Tokyoでの野口都さんの個展です。
野口さんの作品はC-DEPOT関連の展覧会で多く拝見していて、鳥の造形作品やコルクを支持体に用いたイラスト風な展開のタブローの印象が強いのですが、今回は本来のテキスタイルの作品がメインに展示されています。
まず、入り口側のスペースに展示されているタブローに目が止まります。
じわじわと滲む深い色彩、そこに浮かぶように、灯るように、赤や青の輪の重なりが。
葉や花を思わせる細かい描き込みも随所に散見され、ひとことで言い表せない色彩の響きによって生み出される独特の深みのなかに、軽やかなリズムを醸し出しているように感じられます。
そしてまず、今回のメインを張るテキスタイルの大作が。
深い赤のグラデーション。圧巻です。
「染め」による、しっとりとした色の広がりの美しさ。さらにそのなかに描かれるダイナミックな世界。頭部が馬、肩より下が人。それが鏡合わせのように向かい合って立っている、そういう情景。シャープな幻想世界をさらにもり立てる細やかな紋様や、色彩の飛沫。
タペストリーとして展示されることでより臨場感を持ってやさしく迫る生地の軽やかな感触も相まって、独特な風合いが紡がれるようで、普段パネルの作品を多く目にすることもあり、新鮮に感じられます。
奥の展示スペースにも「染め」の作品が展示されています。
さまざまなかたちで飾られて、それぞれが緻密さやおおらかさを感じさせてくれて、軽やかな風合いと色彩の深みが心地よく目に届きます。
C-DEPOTではお馴染みのコルクの作品も多く出品されています。
テキスタイル作品とは圧倒的に異なるテクスチャーがまず興味深いです。
そして、そこにていねいに紡がれる世界の物語性も印象的です。童話のなかの世界のような、分かりやすさの中に灯される深みが静かに迫ります。
また、緻密な描き込みも見応えがあります。場面の高貴な風合いをさらにひとつ高いいところへ押し上げるような、渋い絢爛が展開されていて意識も引き寄せられます。
鳥やマスクなど、布の風合いを活かした立体作品も、独特の雰囲気を醸し出しています。
バラエティに富んだ素材を通じて繰り広げられる世界。
それぞれが繊細で、素材の質感から滲む深みや味わいも印象に残ります。
そのまま物語の挿絵になりそうな感触。または立ちのぼる幻想的な妖しさが新たな物語を綴っていく基にもなるような感じもします。
大浦雅臣展 奇想天外
10/27(月)~11/1(土)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
Masaomi Oura exhibition
東京都中央区京橋3-5-3-2F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo
10/27(Mon)-11/1(Sat)
11:00-19:00(last day:-17:00)
圧巻の絢爛。ぎらつく色彩の魑魅魍魎。
アートスペース羅針盤での大浦雅臣さんの個展です。
いやもう、どれだけ待ち望んだことか...。
ずっと個展で拝見してみたいと思っていた大浦さん。メカ竜シリーズの冷徹な鋭さと熱い動的イメージとの共存が放つ独特の迫力に魅了されてきたのですが、先に開催されたグループ展で発表された作品の、これまでのモノクローム基調から一転してあからさまな色彩感の迫力は強烈なインパクトで。
今回の個展では、そのシリーズによる作品で展開され、圧倒的な色彩が凄まじいスピード感と強烈なインパクトが空間を満たしています。
分厚いパネルにマウントされた紙本。
金箔に映えまくっているケレン味ない色彩感はそれぞれが鋭い輝きと透明感とを放ちながら、観る者の瞳孔を射すように迫って来るかのようです。
さらに、緻密な描き込みによって展開される、従来の作品でも徹底して展開されたメカニカルなアプローチも無論健在で、その男の子心をくすぐるかっこよさにも満ちあふれています。
そして何より、描かれるモチーフ、想像上の動物の表情が、もう。。。
血走る目、大きく開かれた嘴、激しい何かを訴えているかのようで、それでいてどこかユーモラスさもたたえているのがたまらない!
大作。参りました。
このダイナミズムを体感できる幸福感、沸き上がる高揚感。
このサイズで眼前に現されると、もうただただ平伏すばかりです。
随所に織り込まれるアクセントやユーモアもまた、画面上に視線を這わせているとどんどと見つかってきて、それもまた楽しい限りです。
過去の作品も展示されていて、こちらも嬉しいです。
現在の作風の基となった作品だそうで、現在のようなメカニカルなアプローチこそこの時点では見受けられないものの、全体を覆うクールさ、緻密な描き込み、低く漂う情動など、現在に繋がるさまざまな要素が見受けられて興味深いです。
とにかく独創的な力強さに満ちあふれています。
色彩と線の過剰が醸し出す混沌、それもまた一興といった趣きを醸し出しています。
ぱっと目にした瞬間の凄まじい意識の高揚、そこから、緻密な描き込みと巧妙な筆致によって施されるさまざまなアクセントに触れる楽しみ。
これからの展開への期待もいっそう膨らんできます!
山野千里「Park」
10/18(土)~11/1(土)月火休
12:00~19:00(最終日:~17:00)
Chisato Yamano "Park"
2-5-22-1F,Yanaka,Taito-ku,Tokyo
10/18(Sat)-11/1(Sat) closed on Monday and Tuesday
12:00-19:00(last day:-17:00)
なんか、もう、すごくかわいいんですよ。
Gallery Jinでの山野千里さんの個展、ほっこりとして、どうしようもなくかわいいきらめきを放つ陶作品と、おおらかさとコミカルな風合いが魅力の平面作品が展示されています。
もう、お出迎えからこれですから。
手の仕事の風合いが醸し出す温かみ。
そこで紡がれる、童話のなかのステキな一場面からポンと飛び出てきたような、何ともいえないいい感じの作品がずらっと。
中央の台の上の作品がすごい!
何がすごいかって、そりゃもう、いろいろ!いろいろですいろいろ!
ころっとした目がかわいらしいフグを思わせる魚。何故か頭部に太鼓になっていて、それをたたいている人もいれば、鰭に乗ってシャウトしてる人、何やっているか分からない人、そもそも
なんでそんなところにいるんだよ!Σ( ̄口 ̄;)
という最大級の、しかし相手は素材が素材、陶器が割れないようにエアツッコミ炸裂連発。そんな楽しい雰囲気に満ちた作品。
フグ(仮)の鱗(この時点でフグではなさそう)の細やかでカラフルな模様も楽しければ、このフグ(仮)(しつこい?)(そうですかそうですよね)の太鼓に合わせて・・・かどうかは未確認ではありますが、輪になって踊って・・・ないね、どう見ても踊ってない!けど楽しげな雰囲気出しまくりの人たちが。
最高です!
フグ(仮)(だからしつこいってばよ)の前の輪になって踊って・・・ないけどなんか不思議なことやっている人サイズの作品がずらっと並んだ棚もそりゃもう壮観でございましてですね。
ひとつひとつ、もといひとりひとり(場合によっては二人、若しくはひとりと一匹)に対して
なにやってんだよ!Σ( ̄口 ̄;)
と問いただしていくたくなるくらいにかわいいんです断定します。
色もやわらかくていい、そしてたくさんいるから楽しいのです。
わぁ、かわいいのがいっぱいで和めるなぁ、などと思っていると唐突に置かれているこちらの作品。
一瞬ぎょっとする訳ですが、猿が表面を覆う、「猿山」ならぬ「猿壷」とか「猿瓢箪」とかそんな感じ、それでしっかり眺めているとあれ、お前・・・?っていうのもいたりして。
平面作品も気持ちいいんです。
ふわっとした色、ふかふかな筆の運びで描かれる、幸せな彩りに満ちた世界。
大きなかたつむりに戯れる子供たち、眺めているだけで目が細くなっていくような気がします。
一転、正面の壁面に展示された大作は、なんだかもう!
どういうことかと!
引き上げられた網が島、すなわち陸になっていて、そこに群がる人たち。
敢えて凄まじく冷静に考えるとまったくどうしようもなく追いつめられた状況のように感じられるのですが、皆楽しそう。
・・・。
お前らいい加減に!Σ( ̄口 ̄;)
ていうか
僕も混ぜてー!(≧∀≦)ノ
みたいな感じです。楽しすぎます。
小さな平面作品での、陶器がちょこんとついた作品もまた堪らないかわいさを奏でています。
もう、眺めているだけで、この空間にいるだけで目尻が下がって、頬が綻んでくるんです。
止めどなく湧いて来る愛着。やわらかい想いがふわふわと膨らんでいく、そんな展覧会です。
越中正人 -double word-
10/4(土)~11/1(土)日月祝休
11:00~19:00
Masato Koshinaka -double word-
4-3-3-B1,Hatchobori,Chuo-ku,Tokyo
10/4(Sat)-11/1(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
体感する写真。
nca|nichido contemporary artでの越中正人さんの個展です。
いつもよりも「白」が強調されたような印象を強く受ける空間。
そこに、ふたつの隣り合う壁面にのみ、大きく引き延ばされたスクエアの写真作品がインスタレーションされ、放たれる色彩のシャープネスがさらにその鋭さを増し、凄まじいほどの臨場感で迫ります。
モチーフとなった青紫の花。
これまで発表されてきた作品と同様に、被写体の一部が溶け出したかのような風合いに仕上げられ、曖昧な雰囲気を醸し出しつつ、しかしその一方で残された輪郭の際立ち方がいっそう鮮烈に迫り、縮尺感のアクロバティックさも重なって、めくるめくようなドリーミーな刺激を受けます。
部分的にモノクロームに仕立てられているのも印象的です。
施されるさまざまな加工がアクセントとなり、現実世界との距離をぐんぐんと広げながら、その方向もひとつではないような感じがして、複雑なイメージのふくらみがもたらされます。
作品が展示された隣り合う壁面と対角の位置にある椅子に座って眺めたときに迫る、全体の深い透明感を奏でる青紫とそこかしこにあるモノクロームや際立つ輪郭、それぞれの質感の力強さによってもたらされる刺激はどこまでも深遠で、意識を沈み込ませるようなおおらかな静謐感を奏でつつ、強い情報の交錯が、アグレッシブなイメージを同時に想起させるような印象を覚えます。
あたかもひとつの花をさまざまな角度で捉えたかのような印象。
そうやって、強烈に引き出される「個」。基本的には動かない花を、しかしさらにわずかな成長やそこに発せられる刹那を捉え、エクスプルーシヴな感触が全面に押し出されているように感じられます。
さらにイメージは膨らみます。
この「個」が集まり、ひとつの集団となったとき...そこへと思いが至ったときの高揚感。そのスケールの大きさの圧倒的な感触にも魅せられます。また、逆に触れ、さらにミニマムなほうへとイメージを押し進めたとき、この「個」のなかにある集合、花びらに走る繊維、色素、細胞...この画面の状況自体が凄まじくスケールが大きく感じられ、深紫の透明感の厚みを思い起こさせられます。
展示されている作品すべてを俯瞰していると、さまざまなイメージが脳裏で交錯します。その刺激が堪らないです。
さまざまな関係性に思いを馳せ、そこで展開される静謐で硬質な感触のさまざまな時間、その複雑な交錯に心をゆだねて、留まるところ知らない浮かぶイメージの膨大さに圧倒されるのも痛快な展覧会です。
納豆木 岩井知子
9/13(土)~10/11(土)日月休
13:00~20:00
Tomoko Iwai
1-9-20-4F,Shinsaibashi,Chuo-ku,Osaka-shi,Osaka-fu
9/13(Sat)-10/11(Sat) closed on Sunday and Monday
13:00-20:00
きままで自由で、キュートでシュールで。
FUKUGAN GALLERYでの岩井知子さんの個展です。
岩井さんの作品は、同じくFUKUGAN GALLERYでの3人展で、板や木製の椅子の表面を焦がしていろんな絵を描いたものを拝見していて、そのキャッチーさ、楽しそうな雰囲気が印象に残っているのですが、この個展ではスタンダードなペインティングから布の作品、そして板を焦がした作品まで、さまざまなメディアでユニークな世界が繰り広げられていたのが印象的で。
今回の個展で一番大きなペインティング。
さわさわとざわめくような色彩の重なりが印象的で、そこかしこに潜むように描き込まれる、もしかしたら何かに見えてくるかもしれないモチーフが、この作品の物語の流れや奥行きを創り出しているように感じられます。
さまざまなかたちの板に描かれたペインティングも、壁面のそこかしこに展示されていました。
かたちの楽しさが、描かれるモチーフの風合いと相まって、その不思議な感触をゆらゆらと立ちのぼらせて、なんともいえない雰囲気を生み出していたような印象があって。
とりとめのない、落としどころを見失ってる童話みたいな、でもその分からなくなっているところがまた愛おしいような、そういうイメージが心地よいです。
そして、今回の展示タイトルを連想させる作品も。
タイトルがそもそも、って話のような気もすごくするのですが、お約束な感じで
ひきわり納豆か!Σ( ̄口 ̄;)
ブロンドのおかっぱの女の子の顔の前にひきわり納豆か!Σ( ̄口 ̄;)
・・・。
いや、ギャラリーで観たときはまさにそんな気分だったのですが、よく見ると納豆じゃないかも(汗)。
未確認ですみません、ファーストインプレッションは大事ですが、思い込みって怖いかも、です。
もとい!
鮮やかな色に染められた布を脱色した作品も、床、壁に。
板にハンダで焦げを作って描く作品と通ずる感触が印象的です。
もちろん、 板の作品も。
モチーフのほっこりとした感触はもちろん、焦げた木の文字通り焦げ茶色と、ナチュラルの木の色とのコントラストもいい感じなんです。
木の板の作品がなかったら、同じ場所で観ているアーティストであることをうっかり忘れそうなくらいにバラエティに富んでいて、それを再び思い起こさせてくれるのがありがたかったり。
空間は思いのほか余裕が感じられたのですが、そのなかにはさまざまな物語性を醸し出すクリエイションがホントにたっぷりと詰まっていて、それがまた痛快だったり。
これからもいろんなストーリーを見せてくれるような気がします。
《10/24》
debut! ver.YU EBIHARA 海老原優個展
@谷門美術
10/24(金)~11/15(土)日月休
13:00~19:00
ゆらゆらと揺らめくようなシルエットの映像が面白いです。
壁面に映し出されたアニメーション、水彩絵の具で描かれた人のシルエットが忙しなく動き回って、その人の動きと同時に水で歪んだ紙の影も細かく変化して、ユニークな味わいを醸し出しています。
10/21(火)~11/13(木)日祝休
11:00~18:00
新作はもちろん、過去に発表された大作も含めて展示、日本画材を用いて描かれるシャープなモチーフが溢れています。
サテライトのクールなフォルムが印象強く、それにイメージが引っ張られてか、花や蝶といった日本画としてオーソドックスなモチーフさえも硬質な風合いを醸し出しているような感触を覚えます。
井上恵子展 -君と行く日々-
10/24(金)~11/6(木)火休
11:00~19:00
ふわふわとしたペインティング。
童話の挿絵のようなメルヘンチックな雰囲気が各作品からやわらかく響き、色彩のやさしさ、モチーフの和やかさがあったかい感触をもたらしてくれます。
10/24(金)~11/5(水)木休
11:00~20:00(最終日:~18:00)
それぞれ、作品にシルエットを印象的なかたちで織り込み、シャープな風合いを放つ3名のアーティストによるグループショーです。
丸の内で発表された佐原さんの作品の再構成、内田さんのクールな色彩の重なり、短いながら引き込まれる榎本さんの映像と、さまざまな刺激に満ちています。
《10/25》
野口都展 Crimson Lure
10/24(金)~11/2(日)11:30~18:30
「染め」の鮮やかさ、洗練されたシャープネスが強く印象に残ります。
手前のスペースに展示された赤が鮮やかなタペストリー、C-DEPOTで拝見しているコルクの作品など、幅広いメディアでの展開も興味深いです。
奥田文子展
10/25(土)~11/15(土)日月祝休
12:00~19:00
昨年のGALLERY MoMoでの二人展、夏にも大阪で個展を拝見している奥田さん。
滲む風合いで描かれるさまざまな季節の情景が溢れ、大作を中心に展示されていることもあって、爽やかな気持ちに満たされます。
TWS-Emerging110 永島千裕「The Strenger」
10/25(土)~11/16(日)月休(月曜日が祝日の場合開廊、翌日休)11:00~19:00
TWS-Emerging112 西村加奈子「妖精/眠る場所」
10/25(土)~11/16(日)月休(月曜日が祝日の場合開廊、翌日休)11:00~19:00
TWS-Emerging111 伊藤雅恵「MIXING IN」
10/25(土)~11/16(日)月休(月曜日が祝日の場合開廊、翌日休)11:00~19:00
とにかく楽しみだった、今回のTWS-Emerging。
IMURA ART GALLERY、都庁、NODA conntemporaryと、それぞれ今年開催された個展も印象的な3名が揃い、それぞれが個性を発揮していて嬉しい!
2階を、線描によるあの妖しげな表情の人々の絵で埋め尽くした永島千裕さん、沈む色彩の西村加奈子さんと発散する色彩の伊藤雅恵さんのコントラストが鮮やかな3階と、見応え充分です。
Opening Exhibition
10/7(火)~10/25(土)日月祝休
12:00~19:00
ようやく伺えた両国のMoMo。
いや、もう、嬉しい!
迷う前に着いちゃった、そういう場所にある道路に面したスペース。ガラス張りの入口からいきなり突き抜けるような奥行きで、空間が気持ちを一気に引き込んでくれます。
奥の展示スペースもあわせ、ここでさまざまなクリエイションが観られると思うとそれだけでわくわくが止まらない!
今回拝見したなかで特に印象的だったのが、福島淑子さんと早川知加子さん。それぞれこれまでの展開から皿に一歩深みへと踏み込んだような感触がこれからの展開の楽しみを増大してくれます。
榊貴美 むかでごっこ
10/25(土)~11/25(火)日祝休
10:00~19:00
GALLERY b.TOKYOでの個展も印象に残っている榊貴美さん。今回は横長の作品でこのギャラリーの複雑な壁面を構成し、奥の広いスペースに展示された大作のシュールさのインパクトがまた引き立つような動線も興味深いです。
《10/27》
會田千夏 新作展 Snow White
@不忍画廊
10/27(月)~11/8(土)日祝休
11:00~18:00(土:~17:00)
変わったー!
深い緑の瑞々しさが印象的な會田さんの久々の個展、今回はこれまでの色調から一転、さまざまな季節感を漂わせる作品が揃い、瑞々しさはそのままに、穏やかさ、暖かさも感じられます。
作風のおおらかな広がりと、しっかりと残る細やかな表現にも嬉しさが込み上げてきます。
大浦雅臣展 奇想天外
10/27(月)~11/1(土)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
彼の個展を待ち望んでいたのです!
モノクロームで展開されていた「メカ龍」のシリーズから一転、過剰なまでに多くの色彩に満ち、アグレッシブな絢爛のインパクトがとにかく強烈です!
樋勝朋巳展 ―あのこのこと―
10/27(月)~11/15(土)日祝休
11:00~19:00(土:~18:00)
緩やかな風合い、やわらかい色調が心地よいです。
ほっこりと、素朴に訥々と綴られる場面。味わい深い容貌のキャラクターがほのぼのとした物語を綴っているかのような、癒されるような感触がなんとも良い感じです。
《10/28》
エマージング・ディレクターズ・アートフェア「ウルトラ001」
10/29(水)~11/3(月)
11:00~20:00
縁があって今回参加させていただいています。
内覧会、レセプションとたくさんの方にご覧いただき、ありがとうございます。
僕の壁面では、このブログでも比較的多く取り上げている3名のアーティスト、神田サオリ、安岡亜蘭、山口英紀を紹介しています。
山口の狂気とも言える過剰な細密の水墨画、神田と安岡の「妖」と「硬」のコントラストを楽しんでいただければ、と思います。
山口の作品をお買い上げいただいた方が、お知り合いの方に「これ、水墨なんだって。」とおっしゃっている時の相好を崩された表情が印象的で、なんとも嬉しく感じられました。
Group exhibition "450"
9/19(金)~11/15(土)木金土のみ
12:00~19:00
Group exhibition "450"
1-8-13-1F,Bakuro-cho,Chuo-ku,Osaka-shi,Osaka-fu
9/19(Fri)-11/15(Sat) Thursday,Friday and Saturday only
12:00-19:00
東京のスペース移転に伴い、しばらくクローズしていたTARO NASU OSAKA。
その久々の展覧会は、たくさんのフレッシュなクリエイションが、まさに「壁面」に詰まっているグループショーです。
壁に並ぶ1辺が450mmのスクエア。そのサイズの作品がギャラリーの壁面に埋まり、実にユニークな空間が構築されています。もともとの空間のスマートさと、それぞれの作品が放つ魅力とのコントラストがさまざまな感触を導き出していて、そこにいるともうどんどんとわくわくと心が高揚していきます。
大阪の問屋街の一角、裏通りの路面に現れるスペース。
ガラス張りの入り口に押し出されるようにして設置された壁面にフィーチャーされているのが、移転前の六本木の最後を飾った渡辺聡さんの作品。
あの一つの画面に小さなシールを並べて貼った状態でまず描き、それをはがして別のパネルに々同じ並びで貼り直す、その組作品の面白さ、リズミカルな感触や下地の白が表面に現れることよる爽やかな質感が印象的です。
六本木での展示はその1対ごのと展示が印象的でしたが、今回は8つのスクエアにより、ふたつの縮尺で描かれる風景が並び、独特なリズム感を放ちます。すっと心に染みて、爽やかに響く色彩による精緻な写実性、しかしその状況を完全に表さず敢えて分解され、アクロバティックな感触を放つ無数のドットの並び。感性と知性との両面から極度に整理された刺激がもたらされるような印象です。
脇の通路を通過して奥のスペースへと向かう刹那、まるでその隙間だけとりあえず暫定的に段ボールを嵌め込んだようなところが。
こちらが、ECHOにも参加し、そちらでも段ボールの幾何学的立体を発表されていた泉孝昭さんの作品。泉さんらしいユーモアとシリアスさとのブレンド具合が嬉しくなってきます。
狭い通路を通過してたどり着く奥のスペース、写真とペインティングからシャープな色彩がまぶしいほどに鮮烈に放たれています。
VOCA展などでも作品を拝見している片山博文さん、どちらかというと人工物の無機的な表情を冷徹に生々しく捉えた写真の印象が強かったのですが、今回は滲む色彩の微睡むような曖昧さと透明感、しかしそのシャープな焦点へと向かっていく瞬間の過程を捉えたかのようなヴィヴィッドなスリルが伝わるような。ぼやけた向こう側には硬質な感触が存在するような、そういう印象が強くもたらされた次第で。
今回もっとも広い展開を繰り広げている高木こずえさん。圧倒的にシャープな光景が眼前に広がります。
東京都写真美術館での写真新世紀展で拝見したときの、縦に引き延ばされたアクロバティックな作品群も大変興味深く、それらで構築された展示インスタレーションも印象的でしたが、今回は、黒の額、黒のマットに納められるモノクロの写真による展開。いくつかのモチーフにおそらくさまざまなエフェクトが施され、さまざまな構図と構成とで組み上げられるそれぞれの画面は、緻密で先鋭的な静謐が詰まっていて、ひとつひとつをじっくり眺めていくとどんどん意識が入り込んでいきます。
東神田のオープニング第2弾でフィーチャーされていた厚地朋子さん。比較的高い位置に並ぶスクエアの画面、さまざまなシチュエーション、場面が連なり、油彩であることとサイズだけの統一感がユーモラスな雰囲気を醸し出しつつ、やはりそのひとつひとつが滲ませる仄かなシュールさや独特な奥行き感が、バラエティに富んだ物語性を際立たせるような印象です。
アートフェア東京でその作品を目にし、アプローチのユニークさのインパクトがとにかく印象に残っている多和田有希さん。
ここから放たれる危うさ、サディスティックな雰囲気とスピード感の充満が強く迫ります。
写真に消しゴムが当てられ、プリントされた景色が精緻に擦られることで生まれる、そこかしこから立ちのぼるような白。
少し離れたところから眺めたときにそれが光に感じられ、不思議な雰囲気が伝わってくる一方、至近で凝視したときのアバンギャルドな質感のクールさもまた堪らない...。
殺伐とした感触の鋭さがとにかくかっこよくて、また観られる機会が、そしてこれからどんな展開が繰り広げられるか、今から待ち遠しいです。
大竹竜太さん、作品点数が少なくて、東神田のオープニングのボリュームに直前に触れていたこともあり、ちょっと物足りなくも感じつつ、しかしまた違うユニークな展開をレコメンドしているかのような2つの作品。ここから始まるストーリーに想像すると、こちらもまた今後の展開が楽しみになってきます。
秋吉風人さんは、ECHOなどで発表された金色のシリーズのドローイング的な作品がシンプルな額に納められて展示されています。
そのECHOなどで拝見したそれぞれの作品の整理された感触が、さらに小さな画面で、しかも額のなかに納められ、その然るべきポイントに落とし込んでいっているようなスマートさ、それへの心地よさが堪らなく感じられます。
いちばん奥の壁面には、東京での個展が終了したばかりの佐々木憲介さんのペインティングが。
独特の筆感が醸し出す深み、そして今回はスクエアの画面でおなじモチーフによる展開、個展での圧倒的なバリエーションとの構図的なコントラストが印象的です。
画面の大きさの統一により、展示に空間にシャープさが貫かれています。
そのコンセプトが、これだけバリエーションに富んだクリエイションを1つの空間に納めながらも、圧倒的な説得力のパッケージとなって迫る感触を生み出しているように思えます。
会期ももうしばらくあるので、余裕があればあらためて伺いたい、いけることなら何度も足を運びたい展覧会です。
植松琢磨個展「珊瑚の森」
10/3(金)~10/26(日)
11:00~20:00
Takuma Uematsu -the forest of coral-
5-2-11-3F,Jingumae,Shibuya-ku,Tokyo
10/3(Fri)-10/26(Sun)
11:00-20:00
世界を彩る「白」。
hpgrp GALLERY 東京での植松琢磨さんの個展です。
植松さんというと日本橋高島屋美術画廊Xでの個展が強く印象に残っていて、その展示で発表されたクリエイションのバリエーションの豊富さに圧倒されたのですが、今回はそのなかから白のオブジェとカラフルな写真とがピックアップされ、バリエーション的にシンプルな構成が、それぞれの面白さをより引き出しているような印象です。
まず、階段を上ってすぐの棚に置かれる1点のオブジェ。
背中に突き出るクリスタルが、幻想的な風合いを奏でます。
そして...
階段を完全に昇りきって、眼前に現れる光景に心が一気に吸い込まれます。
膝より低い高さの大きくて白いテーブル。そこに無数の「白」がところ狭しと置かれています。
分かるものと分からないものと。
さまざまな縮尺の動物たちは、それぞれがいわゆる自然の姿に収まっていず、クリスタルやアンモナイトが施される美しい違和感が、ファンタジックな雰囲気を立ちのぼらせます。
また、ぐんぐんと沸き上がるような抽象的なフォルムのオブジェやアルミ箔を丸めたものがオリジナルらしいテーブル面に小さな盛り上がりをもたらすものなどが、空間的な奥行きをもたらしているように感じられます。
素材も複数用いられていたり、釉薬の有無などによって、「白」にもさまざまな質感があって、それらがさらにこの世界に深みを生み出しているようにも思えてきます。
壁面に展示されたプリント、動物のフォルムのなかにさまざまな植物が織り込まれ、フレッシュな風合いを奏でる作品群。
動物のキュートな表情、目だけが残っていて、その瞳の純朴さが、暖色系のカラフルな色彩の鮮やかさと透明感に小さな、でも強いアクセントとなっているような印象で、その爽やかな美しさの中に軽やかな深みが奏でられます。
また、カラフルさが背景の白の乳白色のやさしさを引き出し、そしてもちろんその白によって花の可憐な色彩感、透明感をぐんと引き出しているように思えます。
ふたつの色彩が1つの空間で展示されていますが、むしろふたつの展示を1つの空間で観られる、そういう印象です。
ひとりのアーティストによるクリエイションに触れるうえで、思いのほか展示されているふたつのシリーズが関連性を強く結びつけるような構成になっていないのがまた嬉しく感じられます。
それぞれ異なる爽やかな刺激と、そこに横たわる深遠な物語性にゆったりと心をゆだねたい展覧会です。
池田恭子 個展 -Unknown Mind-
10/10(金)~ 10/28(火)水休(日:要予約)
12:00~18:30(土祝:11:00~)
Kyoko Ikeda -Unknown Mind-
2-11-10-3F,Nishi-azabu,Minato-ku,Tokyo
10/10(Fri)-10/28(Tue) closed on Wediesday (Sunday:appointment only)
12:00-18:30(Saturday and national holiday:11:00-)
予想以上にさまざまなテクスチャーで迫る、モノクロームの混沌。
art gallery closetでの池田恭子さんの個展です。
すべての光沢を吸収するような白を背景に、黒い線が無秩序に交錯し、大胆な空間性とともに複雑な奥行きを生み出して、焦燥感を煽るような世界が繰り出されています。
黒い線の凝縮と背景とのバランスの不安定さが強く印象に残ります。
多くの作品で、情報の密集は画面の上に集まるように構成されていて、その降るような感触、見上げるような接し方が、不思議なイメージをもたらしてくれます。
浮遊するような印象はないものの、もっと混沌とした光景に触れ、その混迷に意識が呑まれ、まぎれてしまっているような...。
一見黒い線に見える部分も、よ至近で観るとさまざまなテクスチャーが混ざり込んでいるのが分かり、また俯瞰して感じたとき時とは異なる臨場感が迫ります。キャンバスの下地の目がそのまま現れていたり、黒の線も元々色面であるところに白が重ねられ、線状に残されている部分が多く見受けられたりと、この状況に至る過程も生々しく伝わってくるようで、さらにイメージも深遠な方向へと向かっていきます。
黒い線(敢えて「線」と表現しておきます)の1本1本の鋭さも印象的です。
ひとつひとつが持つ強烈なベクトルとそれらが醸し出すスピード感が観る者の感情を煽ります。そしてその線の関係性、平行に走り、交錯し、大きな弧を描いて他の線とかかわり合って生み出される奥行きのミニマムなリズム感も、ぐんぐんと意識を引き込んでいきいます。複数の線で生み出される白の小さな色面の遠近感は、実に複雑な立体感をもたらして、さらに複雑に黒の戦が密集し、ほぼ色面として現れている部分と響きあって、強烈な空間的なコントラストが現れているように感じられます。
様々なサイズの作品が展示され、それぞれの画面でのユニークな空間性がとにかく面白いです。
また、概ねモノクロームでありながら、その中にわずかに入り込む黄色や赤などの色彩も、この混沌の世界にアクセントをもたらしているようにも思えます。
この過剰に無機的で、逆にその無機的な風合いの裏側に尋常でない熱を持って潜む凄まじい情動の存在へも思いが至ります。
そういうアバンギャルドな世界が、ゆったりとしたソファなどの家具が配されるこのスペースと響きあい、激しさに対応する冷静さをもたらしているように感じられます。
安藤智
10/14(火)~11/1(土)日月祝休
13:00~19:00(最終日:~17:00)
Tomo Ando
1-6-6-2F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo
10/14(Tue)-11/1(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
13:00-19:00(last day:-17:00)
観れば観るほど、のポップな味わい。
PUNCTUMでの安藤智さんの個展です。
どこまでもポップでカラフルな色彩、ファットな稜線のコミカルさ、背景とモチーフのシンプルな構図感。
第一印象の「なんだろこれ、でもなんだかおいしそう...」みたいな印象から、今回発表されている作品すべてが金魚を描いているそうで、そのことをふまえてあらためて眺めてみると...
尾びれか!Σ( ̄口 ̄;)
尾びれが揺らめく後ろ姿か!Σ( ̄口 ̄;)
・・・なんてアクロバティック。
金魚がモチーフとなった作品はこれまでも数多く拝見していますが、既に捉える角度の時点で相当に変わっていて、それがまた楽しい!
さらに色使いもかなり、有る意味においてクレイジーで、それがまた面白みを加速させてくれます。
金魚を横から描いた作品、さすがに金魚と分かりやすいですが...
何食べればそうなるんだ!Σ( ̄口 ̄;)
フグかお前!Σ( ̄口 ̄;)
なんだかもういちいちツッコミたくなるキュートさ、面白さ。
イージーなテクスチャーが醸し出す雰囲気がとにかくコミカルで、あったかい高揚感が心の中に膨らみます。
小さな画面の作品も無論、よい感じです。
大きめの画面のどこか不器用な感じへの堪らなさもよいのですが、小さいとそれがかわいらしさを引き立ててくれるようで、色や形、そこに納められるさまざまな要素がきゅっと詰め込まれたような風合いが嬉しいんです。
そして、今回の展示に合わせてリリースされた、新聞風の作品集。
ファイルに入っていて観ることもできるドローイングが広げた新聞の片面にプリントされ、そのキャッチーさ、素朴さが楽しいです。
ギャラリーの壁面を泳ぐ金魚たちに囲まれ、その鮮やかに空間を彩る感触とそこから放たれる痛快なポップさに浸る、それが何とも心地よく、ハッピーな気分に満たされる展覧会です。
junko ohara 写真展
10/11(土)~10/25(土)日祝休
11:00~19:00
junko ohara photo exhibition
1-4-3-6F,Higashi-azabu,Minato-ku,Tokyo
10/11(Sat)-110/25(Sat) closed on Sunday and natinoal holiday
11:00-19:00
分厚く滲む時間。
YOKOI FINE ARTでのjunko oharaさんの個展です。
暗めの照明。訥々と響く、壁掛け時計の振り子の音。
淡々とした静謐がしっとりと染み渡る雰囲気のなかにインスタレーションされた、ピンホールカメラで撮影された風景。ギャラリーの入り口、ガラス張りのドア越しに目に入る光景から、oharaさんが紡ぐ時間の中にするりと引き込まれます。
カラーの風景写真は、グアムで撮影されたもの。
ちいさな画面のなかに収められたカ風景のカラフルな色彩は、まどろむようにそのなかのさまざまなものの形を滲ませ、ガラス細工のうような透明感がもたらされているように感じられます。
広々とした、自然を収めた風景でありながら、不思議とその広大さよりも、むしろ逆にあたかも室内の雰囲気、収まる空間のイメージがわいてきます。人工的、というとちょっとニュアンスが違うような気もするのですが、何かしら演出めいた要素が仄かに伝わってきて、ピンホールカメラで撮影されたことや屋外の光景を捉えたことなどのナチュラルな風合いとのバランスが絶妙な雰囲気を生み出しているような印象を受けます。
また、この小さな写真の展示位置も実にユニークです。見下ろすような高さに展示されていることも、そういう印象を生み出す要素のなっているような気もします。
これらの向かいに展示された大判の写真、oharaさんご自身の後ろ姿が映る、グアムの自然の鮮やかな色彩のなかに紡がれる幻想的な光景も美しいです。
1点1点が深い物語性を奏でる写真。
すこし前のシリーズで、それぞれの画面における、少ない要素で紡がれる隙のない構図に引き込まれます。
わずかな滲みがもたらす時間のイメージ...何となく懐かしいような、柔らかな記憶が蘇って静かで幻想的なイメージがわき起こるような感触がたまらないです。
それぞれの写真で紡がれる時間のイメージが独特のように感じられます。
ひとつのストーリーのような印象もあり、同時にひとつひとつが独立した物語のようでもあり...。
ただ、ピンホールカメラ特有の、撮影される風景を滲ませたような仕上がりは、その広がりを画面の中にとどめず、もっと立体的な、変な例えですが盛り上がるジェルのようなもの越しにその色彩を眺め、そのジェルの厚みがそこに流れる時間を歪ませているようなイメージが思い浮かぶんです。
そして、捉えられる風景の中のいくつかからは、仄かな意図が伝わるのも印象的です。
緑が広がる中に誰も座っていないベンチがあったり、ちょっとした気配を感じる要素を伴うことで、そこに綴られるストーリーに、アーティスティックなスキャンダルが実にさり気なく織り込まれて、時間的な奥行きにも深みがもたらされているような気がします。
物語は言葉にならなくて、淡々と時間だけが目の前を過ぎ行く、そこに時折訪れるちいさくて仄かなアクセントに痛快さも感じながら、その淡々としたものの心地よさにイメージを委ねたい、と感じます。
じっくりと対峙していたい写真群です。
笹倉洋平展「ツタフ」
10/4(土)~10/26(日)月火休
12:00~19:00(水木:18:00~22:00)
Youhei Sasakura exhibition "Tsutafu"
3-17-14,Nakatsu,Kita-ku.Osaka-shi,Osaka-fu
10/4(Sat)-10/26(Sun) closed on Monday and Tuesday
12:00-19:00(Wedinesday and Thursday:18:00-22:00)
納まる混沌、納まる過剰。
まず、ロビー的なスペースに展示された小品から。
暗めの照明に照らし出される、白を背景に無数に絡まる黒い線。
余白との関係性、それらがもたらす空間性が、壁面にも程よく作用し、独特の硬質な雰囲気を漂わせます。
このサイズだからこそ伝わる、把握しうる臨場感。ここで繰り広げられているクリエイションの面白さはもちろん、仕事量などについても、分かる感触、その心地よさが染み入ります。
無論、この小品の展開は序章。
吹き抜けとなっているメインスペースに展示されている作品に、度肝を抜かされます。
この仕事量は把握できない・・・!
一体どれだけの線が引かれているのか、想像もつかず...。
遠目ではもう既に線ではなく、黒い色面と化していて、その塊の迫力は尋常ではなく。
しかもこのサイズ、観る者の想像力を圧倒的な濃密さと熱量とで呑み込んでしまうかのような、凄まじい存在感を放っているように感じられます。
下から見上げ、上から見下ろし、至近で線の感触に触れて...。
吹き抜けの空間、縦に長い壁面、この空間を充分に活かし、圧倒的なサイズで迫る、尋常でない迫力を伴ったクリエイション。
ここへと至る道程のあまりにも愚直な手法、もうただ黒い線を重ねて重ねて、という作業に思いを馳せると、またさらにこの空間で提示されている世界への深みがさらに膨らむような印象を覚えます。
伺った時間帯がまだ陽が高くて、比較的明るかったことも作用してか、パンタロンの空間のすっきりとした感じに気付かされたのも印象的です。
この圧倒的にモノクロームな色彩の画面が上から流れるように展示され、その配色の妙が空間のユニークさをも際立たせているように感じられた次第で。
ロフトの奥のスペースに展示されたタブローも面白い!
画面に至近で観ないと分からないくらいの薄さで繰り広げられる線の混沌。それらは絡まり、寄り集まって例えば花の形を編み出していたり。
さらに、白と黒だけのシャープな感触に実に繊細に、色鉛筆で薄くひかれる線が、浮遊感が漂うような淡い雰囲気を醸し出し、笹倉さんのクリエイションに一貫する無機的な、そしてある視点において幾何学的な感触の中に神々しさをもたらしているように感じられ、それが違う次元への広がりが生み出されているような気がします。
違う階段を上がったコンパクトな空間。こちらの作品は、大胆な濃淡によって、今回の展示の中で最も複雑な混沌が紡ぎ出された平面作品が展示されています。
基本的にグラデーションが存在しない黒と白の構成、それが発する無機的な質感の硬質さ。しかし、複雑に入り組む線の重なりや蠢きは、例えば葉脈や毛細血管をモノクロ撮影して得られるような有機的な感触も漂わせます。
そして、こちらの作品にも緻密で繊細な色彩の線が潜むようにして展開され、全体として淡いグラデーションがもたらされて、強い混沌と脆弱さを漂わせる浮遊感が、複雑に次元が重なりあったような不思議な奥行きを構築している、そういうイメージももたらしてくれます。
手法のシンプルさと、圧倒的な分量を積み重なる愚直さ。
それによって真っすぐな、あまりにも直球な刺激を受け、そのケレン味のなさに想像力が蹂躙されたような感触です。
空間に作用し、その空間が持つ個性をも引き出しながら、少なくとも能率とかを考えるような計算はいっさい抜きにして突き進むような迫力がとにかく痛快です。
もっといろんなシチュエーションで観てみたい、そしてその空間にどういう変化をもたらすかを体感したい...そう思わせてくれる、これからの展開に大きな期待を寄せたくなる、壮大なダイナミズムに溢れた展覧会です。
渡邊香織展 祈り紙 inOrigami
10/6(月)~10/25(土)日祝休
10:00~18:30
Kaori Watanabe "inOrigami"
31,Higashi-maruta-machi,Sakyo-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu
10/6(Mon)-10/25(Sat) closed on Sunday and national holiday
10:00-18:30
シャープな筆致で描かれる無垢。
そこに添えられるユーモア。
imura art galleryでの渡邊香織さんの個展です。
展示されているほとんどの作品が絹本着彩、その凛とした風合いが奏でる純粋さに、まず心を打たれます。
すらりと引かれる稜線の迷いを感じない清々しさ、彩りの淡さ、配色のシンプルさ、余白の絹の透明感。澄んだ気配の中にほんのりと純朴な心が灯るような雰囲気が静かに充満しているような感じで、作品のピュアな佇まいにこちらも居住まいをしゃんとさせられるかのような...。無垢だからこその強さも繊細に響いているような印象を受けます。
子供の頃、七夕の季節に作って笹にふわりと乗せた記憶が蘇る...色紙のリングを繋げた飾り。それと戯れる女の子。
小さな輪が連なってひとつの大きな輪になっている、そしてそれが虚空に浮き、漂い、そのおおらかな軌跡が醸し出すスケール感。長い色紙の輪と戯れる・・・というよりも、まるで何かに向かい、その輪の力をも借りて念を送っているかのような女の子も、足下が浮いていることで奏でられる浮遊感や、ひときわ険しさを感じさせてくれる表情、そして神々しい力強ささえ伝わってくるような立ち姿に、いろんなイメージが湧いてきます。
一風変わった作品。
それぞれ、描かれているひとりの女の子。
その周りに飛んでいる折り紙の鶴。顔の前にも数匹飛んでいて、しかし画面を見るとちょっと不思議なテクスチャーが伝わります。
2枚の絹がひとつの絵に重ねられ、下地というか、奥のほうに張られた絹には女の子だけが、そして画面表面の絹には無数の折り紙の鶴が描き込まれていて、不思議なシチュエーションをもたらしています。
この、2枚の絹が重なられた作品がそういう構造になっていることを知り、不思議な安心感がもたらされるのも面白いです。
無垢な女の子の顔の上に直に描かていないこと、その無垢さは守られている、そういうイメージが湧いてくるんです。
絹本着彩の美しさ、ピンと張られる絹の澄んだ感触が、おおらかな空間性に緊張感をもたらしていて、それが展示されている作品にすべてに貫かれているのが強く印象に残ります。精度の高い日本画の高貴な風合いが心地よいです。
そういうなかで、作品によって登場する折り鶴が、ふわりとした広がりをさらにもたらしている一方、その鶴の1匹1匹が、普通の折り鶴の、上に向かってピンと立つ尾の部分がそうなっていなくて、折り返されずに2本の脚になっているのも印象に残ります。そのどこか酔いどれたようなコミカルな脚の運びが、無垢さと緊張感とで奏でられる凛とした穏やかさにユーモラスな要素をもたらし、また違う方向への広がりが生み出されているように感じられるのが痛快で。
1点だけ紙本の作品もあり、こちらのもっと楽しげなテイストも印象的、また、ファイルに収められたドローイングの強さ、見事な描写にも心を打たれます。
誠意やおかしみ、さまざまな要素のハーモニーが嬉しいクリエイションです。
《10/18》
田中圭介「青山」
@山本現代
10/4(土)~10/24(金)日月祝休
11:00~19:00(金:~20:00)
ギャラリーに入ってすぐ感じる木の香り。
木彫作家の展覧会は、そういう木の香りが鼻を突くところからこの場所で繰り広げられている世界へと誘われるのですが、今回の田中圭介さん、圧巻の木彫作品が展示されています。
とにかく大きい。そして、そこで紡がれる世界観も実に奥行きがあり、緑に覆われる地面のそこかしこに池や鳥居、道、さらには扉が開かれた祠があって、その上空には力強く立ちのぼるキノコ雲。その大きさから伝わってくる壮大さに加え、ひとりの人間の一生を紡ぎ出したかのような深いイメージが詰め込まれたような風合いも強く印象に残ります。
壁面に展示された横長の作品、奥の一角とミーティングルームに設営された畳の間とに展示された柱の作品、それぞれが醸し出す人生観の深みと、彫り削られる木の表面の生々しさ、フレッシュな彩色、そして細やかなアクセントが、さまざまな発見とともにイマジネーションを深く刺激してくるような印象です。
佐藤姿子「海底の王国」
10/11(土)~11/8(土)日月祝休
11:00~19:00
ちいさなペインティングから壁画、照明の作品など、さまざまな手法を通じて紡がれていく世界。
しかし、いかにもSIDE2らしい、たっぷりととられた空間の余白にいろんな思いが注がれていって、それが小さな作品同士を繋いでひとつの緻密で深遠な物語となって静かに淡々と迫ります。
ペインティングの大人のキュートさ、大人ならではの遊び心がとにかく印象深く感じられる展覧会です。
junko ohara 写真展
10/11(土)~10/25(土)日祝休
11:00~19:00
展覧会前の段階で作品の画像を拝見していて、ダークな静謐を思わせる作風の印象が強かったのですが、思いのほか、というより、意外にもさまざまな色彩に溢れた写真作品が展示されていて、少々びっくり。南の島で撮影されたさまざまな光景も、展示スペース内に訥々と流れる掛け時計の音も相まって不思議と室内の感触が伝わり、独特な滲みがさらに深いイメージをもたらしているように感じられます。独特な時間の感触に満ちた展覧会です。
Animal Garden
10/14(火)~11/15(土)日月祝休
11:00~19:00
なんて贅沢な展覧会だろう・・・。
まず展示全体を一望し、そして展示されている様々な時代の作品、もとい作品と呼ぶにはもっとおそらく当時の生活に直結していると思われる古代の中国の土器などを目にしていって、そのひとつひとつが醸し出す深みに、その時代感が満ちた世界に、心が静かに入り込んでいきます。
日本画、という言葉が生まれる前に描かれた屏風や軸、そこに描かれる動物たちのさまざまな仕草や表情は臨場感に満ちていて、そしてもし美術館であれば確実にショーケースに入った状態での鑑賞になるところを、この展覧会では、何にも間に挟まるものがない生の状態で、その作品とじっくりと対峙することが許されていて、この幸せな感じといったらもう...。
古代中国の土器、江戸時代の日本の絵画、現代日本のコンテンポラリーアートのクラシックなどとともに展示される、このギャラリーでお馴染みのアーティストの作品も印象的です。次に個展を控える竹川宣彰さんの無数の蝉などが描かれて構成される家系図を連想させる壮大な作品や、さまざまな動物がシンクやバスルームなどの生活空間を駆け巡るモノクロームの映像作品の訥々とした深さに出会え、観られるのもまた嬉しいのです。
山野千里「Park」
10/18(土)~11/1(土)月火休
12:00~19:00(最終日:~17:00)
参った!
かわいい!
ちいさな陶器のインスタレーション、それぞれがやんちゃでキュートで、結構シュールなシチュエーションを生み出しているのにそれすらも笑顔で眺めていたくなるような感触がたまらないんです。平面作品の伸びやかさもまた楽しくて、随所で繰り広げられるコミカルな世界がとにかく楽しいんです。
西野正将「Wandering Wonder」
10/18(土)~11/22(土)日月祝休
11:00~19:00
西野さんの視点のユニークさが今回も発揮された映像作品や写真、そしてドローイングもまた独特の味わいを醸し出しています。
そして何より、ギャラリースペースを寸断する大きなインスタレーションの迫力といったら!
絶対異質的自己同一 ―新しき平面― パラモデル 井上隆保 片野まん 西松鉱二
10/18(土)~11/8(土)月火祝休
12:00~19:00
先週は京都、そして今週は東京で。
そこに壁があったら作品を飾る、隙間があったら作品で埋める、そういう濃さがこちらでも充満しています。
はまぐちさくらこ「ささんこ」展
10/17(金)~11/2(日)月休
12:00~22:00
大阪での個展で拝見して強く印象に残っている、溌剌としてキュートで、そしてサディスティックでアバンギャルドな風味も随所に感じられるはまぐちさくらこさんの世界。
artdishのギャラリースペースに収まることのない勢いに溢れたクリエイション、カフェスペースからいきなりの大作とドローイングが出迎えてくれます。
さまざまなサイズの画面を埋め尽くす、独特の筆致で描かれるキャラクターたち。
エネルギッシュで、そこから発散されるパワーは、そのひとつひとつは小さくてもしっかりと届き、激しく煽るかのようなアグレッシブさが伝わります。そこに点される色彩の燃えるような感触がとにかく痛快で!
リトグラフの作品も。
それぞれ石版で刷られたという版に、もはや手彩色というカテゴライズの範疇をはみ出しすぎているほどに画面に叩き付けられるような色彩。この勢いはとにかく圧巻、イマジネーションの凄まじさに圧倒されます。
この日、伺った時間が相当に遅くなってしまったのですが、その直前まで描かれていたというライブペインティングの途中経過も。
こちらの続きは会期の最後のほうで行われるそうで、こちらも楽しみです。
色もモチーフもとことん元気さに満ちていて、観る側のイマジネーションの膨らみも加速させる展覧会です!
TORU OTSUKI EXHIBITI0N ~Memories~
東京都港区北青山2-7-18 山崎ビル5F10/18(土)~10/28(火)日休
19:00~27:00
ずっと個展で観たかったアーティストのひとり、大槻透さん。
今回はカフェでの展示、しかも出品作品は1点のみなのですが、それでも充分にその独創的なエキゾチックワールドが展開され、空間を満たしています。
横長の画面に展開するさまざまなシーン。
この夏に、大槻さんが経験した様々な想い出が、それらのひとつひとつを象徴するモチーフにその思いを詰め込まれて描き加えられています。
画面の各所に現れる虫や動物が滲ませる存在感が、作品の世界のアクセントとして機能しているような感触です。
そして、大槻さんの作品に登場するものと言えば、やはり女性。
21世紀の美人画の最高峰とでも呼びたくなるほどに、強烈に艶かしさを発しながら横たわる女性の色香。今回はサイズがサイズだけあって、その臨場感も相当なもので。
さらに随所に施される金箔が、絢爛の風合いを鮮やかに奏でます。緻密な盛り上げで繰り出される立体感も見事で、迫力の装飾がこの世界のエキゾチックな深海をもり立てます。
それぞれに際立つ美しさ、具象的な表現の精度、そしてなにより鮮烈で力強いオリジナリティ、さまざまな要素が重なり絡み合って繰り広げられる世界は、ひとりの女性をダイナミックに描いていながら、絵巻物さながらに壮大に展開しているように感じられます。
このカフェ、階段をひたすら昇った5階にあるのですが、実に昇り甲斐のある展示、ぜひ直にその世界に触れてほしいクリエイションです。
《10/19》
Audrey Fondecave "Le Musee des Histories - The Museum of Storis"
10/17(金)~ 11/3(月)木休
12:00~19:00
随所に現れる宗教観、そこに感じる西洋人としてのアイデンティティに感じ入ります。
直接的な表現が自然に繰り出されると同時に、実に手間の込んだというか、それこそ説明が内と分からない、しかし説明されると様々なことがクリアになるのが痛快なくらいに嬉しい、隠喩と暗喩に満ちた世界もそこかしこに見受けられたり...。
水彩のドローイングの作品が、イージーな動線に導かれるようにして展示され、美術館のシチュエーションを微妙に再現しながら、現代とクラシックの絵画をモチーフにした作品が交互に現れ、分厚い時間性、時代性を独特の知性と宗教観とを織り交ぜながら展開される展示のように感じられます。
そして、そういった状況の中で、色彩のコラボレーションの美しさの発見がまた楽しく、ほのかな感動をもたらしてくれるんです。
高橋将貴 新作個展
10/6(月)~10/25(土)日祝休
12:00~19:00(土:~17:00)
Masaki Takahashi exhibition
1-17-8-4F,Kyomachibori,Nishi-ku,Osaka-shi,Osaka-fu
10/6(Mon)-10/25(Sat) closed on Sunday and national holiday
12:00-19:00(Sat:-17:00)
・・・・・なんかもう...
かわいいじゃないか!Σ( ̄口 ̄;)
GALLERY ZEROでの高橋将貴さんの個展、ほんわかふっくらとしたあったかい雰囲気が満ちている、何とも心地よい、そしてそのひとつひとつにたいして嬉しい悔しさっていうような気持ちが浮かんでくるんです。
石膏のオブジェ。
この収まりの良さといったら...。
素直に直立する姿、あたかも・・・
重力は上から下へと向かってます先生!
とアピールしているかのような...素材の質感もあって、すとんと落ち着いたような雰囲気とその佇まいはとっても爽やか。
そして同時に、手作りの温かみやぱっと明るい彩色など、観れば観るほどに不思議な味わいが伝わってくるんです。
台の上に並ぶ立体の作品も、それぞれ水着の女性と同様にまっすぐ立っていて、でもシャキーンとした緊張感はまったくなくて。
さらには実はけっこう細かいディテールが作り込まれていたりして、デニムのパンツの女の子のヒップのところの色が褪せてる感じとか制服の女の子のリアリティとか(実際はどこかの制服をコピーしているのではないとのことですが...)、その説得力も、不思議と引き込まれるポイントになっているような気がします。
さらに、それぞれが浮かべている、妙に達観したような風合いに表情もまたたまらないんです。
ペインティングもいい味出してます!
背景の白が石膏の白と調和して、ふたつの異なるメディアの世界を繋げ、統一感をもたらしているようにも感じられます。
女性のポートレイト、と思いきや...
いや、まさしくそれは女性のポートレイトですが、、どうも主役はメガネらしかったり。
そこか!Σ( ̄口 ̄;)
ポイントはそこか!Σ( ̄口 ̄;)
とツッコミたくなるのですが、そういうこちらの気持ちはいっこうに解しない風情というか、むしろ、もしこの絵の女性がしゃべってくるとしたらいきなり
「あの、お茶冷めちゃうんですけど。」
とか結構その状況の核心を突いてきそうな冷静さを持っていそうでちょっと怖いって考え過ぎですかそうですか(汗)。
上の絵がメガネだとするとこちらも。
だからそのちょっと困ったような目を若干あさっての方向に向けるんじゃない!!!Σ( ̄口 ̄;)
・・・
「若干あさって」て!Σ( ̄口 ̄;)
もとい、とにかくいい味醸し出してます。
人物を描いていない作品も。
妙においしそうだったり、それより「エレクトーン!Σ( ̄口 ̄;)」(改行がメンドクサくなってきたです)がまた。
今はこの型のはないですよたぶん。しかし僕くらいの世代だと「今のオペレーター室みたいなエレクトーンはエレクトーンじゃない、エレクトーンと言ったらこれ!膝の部分にラメラメの布が張ってあるやつ!」というのが絵になっていたりするのがまた嬉しくて。
これだけ味わい深くて、でも爽やかで、そしてカチンコチンになるような緊張感がぜんぜんないはホントに嬉しくなってきます。
平面も立体も、すべてほどほどの大きさというのもまた良い感じで。
また、純粋さ、素朴さが一貫する一方、それぞれの作品におけるディテールの細かさ、筆の運びや石膏の風合いの中にしっかりと、それがそれであることへの筋を通している感じも痛快で、さまざまな要素が相まって、独特の臨場感をもたらしているように感じられます。
安田佐智種展
10/3(金)~11/8(土)日祝休
11:00~19:00
Sachigusa Yasuda exhibiton
1-1-6-1F,Nihonbashi-kayambacho,Chuo-ku,TYokyo
10/3(Fri)-11/8(Sat) closed on Sunday and national holiday
11:00-19:00
引き込まれてしまう拡張の動線。
BASE GALLERYでの安田佐智種さんの個展です。
とにかく壮観です。
画面からこちら側に向かって来るような建設物群の圧倒的な動線。
ギャラリースペースに展示されているすべての作品は、高所からの俯瞰風景を捉えたものなのですが、本来は、上から眺めた光景なので「上から下」、画像だと、手前から奥へと向かうような動線が導き出されて然るべき、という感じなのですが、実際に画面を目にしたときに印象はむしろ逆で、無効からグンと迫ってくるような印象が強烈です。
階上からの視点、それを生々しく提示する、画面下方のビルの壁面。
あたかもそれが地面であるかのように、そしてこれ以上ないくらいにシャープに水平感を保ちながら、画面奥へと伸び、突き進んでていきます。
その上に、ごっちゃりと乗るスカイスクレイパー。全体が半円を描くような形の塊となり、その中心点からぶわっと伸び、まるで爆発の瞬間を捉えたかのような、あるいは一カ所から各方向に飛び立つミサイルの発射、とにかく凄まじい勢いの瞬間をひとつの画面に納めたかのような、尋常でないスリリングな世界が広がっています。
ひとつの風景を収めていながら、そこにあるのは圧倒的にシャープな無数の線の凝縮で、その幾何学的な情報量にもイマジネーションが蹂躙されるかのような錯覚も覚えます。
ひとつの手法により、さまざまなシチュエーションが導き出されています。
レンガ造りのビルの隙間を捉えた作品の、色調の渋みと壁面の平滑性が引き出されるシャープネスとが相まって迫る感触、生み出される不思議な重力感。
安田さんの今回の作品群、初めて目にしたときにいきなり心の中に膨らむ、
どうなってるんだこれはぁぁぁ!!!!!Σ( ̄口 ̄;)
というとてつもない驚きから、時間をかけて眺めていると、次第に徹底して考え抜かれたと思われる構図のユニークさと、それぞれの作品から発せられるストイックさにも心を打たれます。
この凄まじいほどに「瞬間」を捉えたかのような作品、実は相当に手の込んだ行程を経て制作されるのだそうで、そのお話を伺ったときに、ホントに呆然としてしまうほどの行程数と作業量に、心の中に広がる弩級の感嘆が満ちていった次第。
また、この視点、アイデアに至るプロセスも大変興味深く感じられます。
もともと「足下からの視点」というコンセプトで作品を制作されることが多かったそうで、そこから一転し、高所から見下ろすスタイルへ移行、しかし、そうやって制作された今回の作品群からも、やはりその根底に感じられる「下方」から、画面でいうと奥のほうからの視点をヴィヴィッドに感じられるような気がします。
それぞれ、大きなサイズの画面にプリントされた作品、その前に立って思わずのけぞりそうになるくらいに発せられる静かなエネルギーへの感動。
さまざまな角度からのイマジネーションの刺激が得られる展覧会です。
北川宏人「ポスト・ニュータイプ2008」
@東京画廊
10/1(水)~10/25(土)日月祝休
11:00~19:00(土:~17:00)
Hiroto Kitagawa Solo Exhibition "Post New Type 2008"
10/1(Wed)-10/25(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00(Sat:-17:00)
洗練されたフォルムの説得力。
東京画廊での北川宏人さんの個展です。
ほぼ等身大の彫刻が2点並び、まずそれが空間をフューチャリスティックに支配します。
浮かぶアンニュイな表情、彩りの鮮やかさ、そして細身の肢体。昨年の新宿高島屋での個展で拝見した時もその洗練された立ちのぼるシャープな雰囲気は強く印象の残っているのですが、やはり実物を目にすると、その記憶が鮮やかに蘇ると同時に、テラコッタ独特の温かみ作品自体のクールネスとが混ざりあって迫る独創的な世界に引き込まれます。
スカートに散らばる小さな花柄の鮮やかな模様が醸し出す、ほのかな和のテイストも、北川さんの作品に新しいテイストをもたらしているように感じられます。
ちいさな台の上に並ぶ2人。
ふたつ並んだときに生み出される空間性も、このサイズでありながら実に味わい深く感じられます。
ずらりと並ぶ作品群。
実物大の作品のマケット的なものもあり、このサイズならではの親しみやすさも印象的です。
また、腕が身体に吸収されているようなフォルムは実に自然で、腕がないことの違和感はほとんど感じず、むしろそうなっていることで垂直方向に導き出されるすらりとした動線の美しさが、よりスマートな臨場感を伴って提示されているような気がします。
入り口方向を見据えるように配置された作品。この作品の力強い視線に迎えられ、一気に北川さんのテラコッタ彫刻の世界に引き込まれていくんです。
焼き物としての味わい深さ、随所に見受けられる、ぼこぼことした手作業、手仕事の痕跡や、焼く過程で土が縮んで現れる割れのような部分が醸し出す生々しさ。パーカーの背中やパンツなどの土の立体感が、作風の未来的な質感とは逆のベクトルのフィクショナルな感触を独特の渋みで奏でます。
しかし、やはりシャ-プでクールな佇まいが醸し出す、凄みとも言えそうな静謐感の鮮烈さといったら...。
彫刻だから動かない、のではなくて、動くけど「動いていない」「じっとしている」、そういう臨場感がじっくりと伝わるような錯覚を覚えます。
奥の一角、こちらはぱぁっとはじけるような色彩感も楽しいインスタレーションが繰り広げられています。
FRP製のエディション作品、しかしすべて手彩色。
ちょうど一番後ろの台の上に乗る8体がカラーバリエーションのすべてとなっていて、それらが3つの台で展開され、ちょっとツンとしたような顔立ちがずらりと並んで、澄んだ楽しい雰囲気が満ちています。
大阪のヨシアキイノウエギャラリーで同時開催されている個展も拝見してきて、どうやらこちらでの展示のすべてを見損ねているらしく(未確認ですが、フロアが2つあるらしい?)、そうだとしたら残念至極なのですが、しかしそちらで拝見した過去の北川さんの作品が提示していた作風の変遷も大変興味深く、今回発表の最新作に至るまで、どんどんと洗練度、未来的な質感が高まっているように感じられます。さまざまな要素がそがれていくと同時に、そのさらにシャープになっていくスタイルの中でバリエーションや世界感はぐんぐんと広がっていっている、という...。
タイトルの「ポスト・ニュータイプ」という言葉は実に言い得て妙。
テラコッタとしての重みの心地よさ、作品が発するシャープな雰囲気の透明感。北川さんの作品を観るのは初めてではないのに、さまざまな感動が今更ながらにわき起こるんです。
三木サチコ「震度1の微震」
10/3(金)~10/25(土)日月祝休
11:00~19:00
Sachiko Miki "Slight erthque with a seismic intensy of 1
2-5-18-1F,Nihonbashi-bakurocho,Chuo-ku,Tokyo
6/6(Fri)-6/28(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
素朴な表情に潜む強烈な妖しさ。
CASHI゜での三木サチコさんの個展です。
FRPのオブジェがギャラリーの空間に配され、無垢な表情で迎えてくれます。
過剰なまでに有機的なフォルムと、艶やかな彩色が醸し出すフューチャリスティックな妖しさが、独特の臨場感で迫ります。
人のかたちにていねいに作り込まれ、表情だけでなく仕草も実に味わい深く、それらが持つ世界感をさらに深く押し広げているように感じられます。
そして、その妖し気な風合いをもっとも加速させているように感じられるのが、左右が異なる質感で描かれる目。見開かれる大きな右目と、瞳孔が閉じられたかのような小さな左の瞳、それぞれが異なる世界を眺めているような感触を、もしくはひとつのものを違う視点で見つめているように感じさせてくれます。
奥まった一角の赤いカーペット。その鮮やかな色彩が、シチュエーションに鋭さをもたらしています。
両目から涙を流すオブジェ、左の瞳の涙が巨大な水滴となっていて、その表面に施される緻密な紋様の鮮やかさ、艶やかさが、涙の意味にさまざまな要素をもたらしているようにも感じられ、そしてその下に広がる一面の赤が、この空間が放つシュールな物語性をさらに加速させているような印象を覚えます。
相当なインパクトのある空間です。
奇妙なかたちの軽いグロテスク感が、非現実的な感触を滲ませます。
壁に設置され、浮遊しているような感じもまたユーモラスで、ひとつひとつの状況的要素も、作品へのイメージを豊かに、シュールに押し進めます。
ドローイングも大変興味深いです。
平面、二次元からこそ、そこに投入されるイメージの自由度が痛快なシチュエーションを生み出していて、それぞれの作品へのイメージのボリュームに厚みをもたらしてくれます。
どこか物悲しげな、すごくプリミティブな淋しさを思わせる雰囲気もたたえつつ、やはり素材や彩色のシャープさ、ヴィヴィッドさが強烈なインパクトを放つ作品群。
さまざまな物語性を漂わせながら、観る者と独特の距離感をで迫り、その素朴さにだんだんと愛着も湧いてくるんです。
絶妙な設置も作品それぞれの雰囲気を盛り上げてくれているように感じられます。
展示スペースに一貫する世界観も印象的な展覧会です。
栗原森元「ラッキーハムレット」
東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F
9/23(火)~10/26(日)
12:00~20:00
Kuribara Morimoro "Lucky Hamlet"
1-18-4-3F,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo
9/23(Tue)~10/26(Sun)
12:00~20:00
詰め込まれる想像力と、とりあえずやってみる実行力が久々に発揮された、magicalらしいインスタレーション。
magical,ARTROOMでの栗原森元の展覧会です。
この栗原森元、栗原良彰さんとと森元嶺さんによるユニットで、主に栗原さんがアイデアを出し、それを森元さんがかたちにしていく、という関係で制作を行っているようなのですが、なんかもう、そこかしこに
それでいいのか!!!Σ( ̄口 ̄;)
という感じの痛快な「やっちゃってる感」が詰まっていて、とにかくその、変な言い方ですけど「迷いがあることへの迷いのなさ」、という勢いを感じます。
そんななかで、ペインティングの興味深さが目を引きます。
木枠に張られる支持体、そこに描かれるダークでシュールな世界。くっきりとしたフォルムととことん曖昧で謎めいた彩色とのコントラストが不思議な雰囲気を強烈に醸し出しています。
このペインティングの配分は、背景となる暗くて曖昧な彩色が森元さんによるもの、その上に描かれるメカニカルなモチーフが栗原さん、とのこと。
で、下地になってしまっている森元さんの手によるペインティングは、ご本人から伺った所によると、夜、明かりのない場所にイーゼルを立てて見えたものを見えたように描いたのだそうで、明かりがないので当然どの絵の具を使っているのかもよくわからず、しかも時によっては雨が降っているときも敢行していたようなので、雨で絵の具が流れてしまった後のようなテクスチャーも残っていたり...
おい!!!!!Σ( ̄口 ̄;)
とその時点で思いっきり突っ込みたくなるのですが、しかしその自然児的発送でもたらされるテクスチャーの独特の危うげな味わいもまたたまらないのも確かで、それがアバンギャルドな世界を感じさせてくれ、それに栗原さんの描くモチーフとシュールな構図感が映えるのも面白く思えてくるんです。
展示スペースの何カ所かに置かれる杖。
こちらも独特のフォルムが気になってしまいます。
深緑とオレンジ、それぞれ杖としては相当にヴィヴィッドな彩色。しかもフォルムの複雑さが興味を引きつけます。
まるで古代西洋建築の柱のような(ってよく知らないんですけど、イメージ的に)かたちがまた妙にかっこ良く感じられてそそられます。
そして、一応地面に接する部分は硬質な素材が取り入れられているとのことで、杖としての機能性はしっかりともたらされているようで、そのある視点では「どーでもいいぞ!Σ( ̄口 ̄;)」という要素もまたユーモラスに感じられます。
壁面一面を覆う圧巻の光景。
服を開かれ、つなげられた布の上にたくさんのヒーローが並んでいます。
このヒーローたちがまた...。
そんなでいいのか?!Σ( ̄口 ̄;)
そんなかたちでいいのか?!Σ( ̄口 ̄;)
と、正義を守る上で特別必要なさそうな格好が、それはそれでまた違うかっこよさを想像させてくれたり。
展示の中で、嬉しくなってしまったのがこちら。
自作のミニ四駆のコース。なんでも森元さんにとっての「夏休みの工作リベンジ」といった赴きの作品だそうで、小学生の頃の夏休みの宿題としての工作での消化不良だった思いをここで解消してしまいたい、という思いらしく、手作りの工作感が作品から立ちのぼっていてそれがまたたまらないんです。
あのころの「作る楽しみ」が蘇ってくるんです。
作品が放つ雰囲気としては、こちらもなかなか興味深く。
木箱の中に収められたスピ-カーのような物体、カラフルなフェイスがフルフルと震えているのが妙にそそられ、そのワケの分からない感じが不思議とかわいらしく感じられるんです。
砂が詰め込まれたリュックの存在感もけっこうなもので。
初日の時点ではこのリュックがギャラリースペースの半分にずらりと並べられていたのですが、再度伺ったときには壁面に1列だけになっていた次第。
「とりあえずやってみよう」感が生み出す勢いが興味深いです。
面白いか面白くないか、有意義か無価値か、そういう計算なんてすっ飛ばして繰り広げられるクリエイション。緻密と雑が入り組んでいて、そのなかに光る面白さが見つかっていく感じが面白く、そしてこのお二人にとってもどの部分が残っていくのか、ということにも興味がわいてきます。
《10/10》
池田恭子 個展
10/10(金)~ 10/28(火)水休(日:要予約)
12:00~18:30(土祝:11:00~)
白い背景に黒の線の密集、上方から降るような感触の空間性もユニークに感じられます。
そして、至近で観た時に伝わってくる緻密な混沌、さまざまなテクスチャーが複雑に入り込んでいて、熱を帯びるような感触が焦燥感を煽ります。
《10/11》
野村仁展 Graviational Shape and Flavor -The Sun,Meteorites and The Body-
9/24(水)~10/18(土)日月祝休
11:00~19:00(土:~17:00)
太陽の軌跡を捉えた写真の神々しさに圧倒されます。
大きな壁面に構築される壮大な時間の経過、さまざまな惑星の軌跡が現し出す美しい曲線、そして奥のスペースに展示されている硝子の作品のキュートな神々しさなど、さまざまな角度での見応えが詰まっています。
「思考と絵画」展 浅場祥庫 梅村奈緒子 田中加織 三木愛奈 吉川舞
大阪府大阪市北区西天満3-14-26 中之島ロワイヤルハイツ11F 1103
10/6(月)~10/18(土)日祝休
11:00~19:00(土:~17:00)
5名のアーティストの作品がパッケージされ、フレッシュな個性が満ちる展覧会です。
三木愛奈さん、入口付近に並ぶ小品に描かれる花のふくらむような感触が出迎えてくれます。
艶かしく力強い筆致が、小さい画面ながらも1点1点にしっかりとした存在感を感じさせてくれます。
浅場祥庫さんの作品は、ベージュっぽい色彩のなかに僅かなグラデーションが注ぎ込まれ、微妙な感触が漂う抽象世界が繰り広げられています。
吉川舞さん。
色彩感が奏でる、爽やかで淡い雰囲気が印象的です。
ひとつひとつの彩色が醸し出す儚げな感触が、繊細さを醸し出し、凛としたイメージを創出させてくれます。
東京での個展も控える田中加織さん、この鮮やかな色彩感とキュートでユーモラスなフォルムが堪らない!
一度観たら忘れられない、強烈に楽しいインパクトを持った個性のように感じられます。
梅村奈緒子さん、ざらつきのある風合いのなかに潜む、独特な雰囲気。
それが何であるか確実に分かると同時に、うねるような抽象性も伝わります。
ヒント日展
10/1(水)~10/31(金)日月・10/24、10/25休
11:00~19:00
キャンバスにプリントされ、組み込まれた写真群。
仄かにエロティシズムが漂い、シャープな雰囲気が鮮烈に届きます。
キャンバスの素材としての存在感も、これまでにない写真作品としての新鮮な重みを感じます。
絵画と写真との距離感が一気に縮められたような感触で、作品によっては上からメディウムらしきものが施され、一瞬「描いたのかな?」と思ってしまうようなものも。
松岡亮 EXHIBITION+PLAY PRAY PAINT!
@福住画廊
10/6(月)~10/18(土)日祝休
11:00~19:00(土:~16:00)
CARM & PUNK GALLERYでの個展も印象に残っている松岡亮さん、今回は地下のスペースで、暗い照明のなかにモノクロームの展開が浮かび上がり、圧迫されるような熱い静謐感が満ちているような感触が伝わります。
このスペースの床面に広げられた紙に描かれた作品とのこと。その半分が吊り下げられることで、不思議な空間性が立ち上がってきます。
壁面にみっしりと貼られたドローイングも、刹那的な雰囲気を加速させるような。雑然とした雰囲気、増すキングテープの生々しさが、混沌とした感触を盛り上げます。
Group exhibition "450"
9/19(金)~11/15(土)木金土のみ
12:00~19:00
9名のアーティストが、壁面のひとつのブロックにちょうど嵌まるサイズのパネルや額の作品を出品し、ユニークなインスタレーションが繰り広げられています。
さまざまなクリエイションの面白い展開がそれぞれの個性のレコメンドとしても大変興味深く感じられます。
納豆木 岩井知子
9/13(土)~10/11(土)日月休
13:00~20:00
気付けば初日と最終日に伺ったことになりました。
さまざまなメディアの作品で繰り出される、イージーでキュートな世界。バリエーションに富んだ展開のなかでも、ペインティングの面白さが際立って感じられ、それがさまざまな素材の感触を前面に押し出した作品群のユニークさも」引き出しているように感じられた次第です。
北川宏人 個展 POST NEW TYPE 2008
10/4(土)~10/31(金)日休
11:00~19:00
東京画廊と同時開催の、北川宏人さんの個展。
こちらでは、これまでの北川さんの作風の変遷が分かるほどにさまざまな制作年の作品が並べられ、大変興味深い構成となっています。
そのなかで最新作のシャープさ、フューチャリスティックな感触がより鮮烈に感じられたのも印象的です。
高橋将貴 新作個展
10/6(月)~10/25(土)日祝休
12:00~19:00(土:~17:00)
かわいいじゃないか!Σ( ̄口 ̄;)
立体作品の朴訥とした感触、ペインティングの空間性とモチーフの面白さ、それぞれがなんともいえないキュートさを醸し出しています。
いちいち、楽しい感想に「チクショー!」と添えたくなるようなコミカルさがとにかく良いのです。
笹倉洋平展「ツタフ」
10/4(土)~10/26(日)月火休
12:00~19:00(水木:18:00~22:00)
圧巻の仕事量、緻密さ。
PANTALOONのユニークな空間を活かし、ダイナミックな構成が強烈なインパクトを放っています。
パネル作品の緻密さも見応え充分です。
渡邊香織展 祈り紙 inOrigami
10/6(月)~10/25(土)日祝休
10:00~18:30
もっと妖しい想像をしていたのですが、繊細で爽やかで、描かれる女の子の無垢な風合いが凛とした空気を漂わせているように感じられます。
絹本の質感とすらりとした線描が奏でるしなやかさとやわらかさが心に清々しさをもたらしてくれます。
『百花京乱』
10/11(土)~12/7(日)月火祝休
12:00~19:00
もうお腹イパーイ!!!!!(≧∇≦)ノ゛
いやもう凄い、めくるめくモリユウワールドが炸裂しまくりの、教徒のスペースのリニューアルオープンのグループショー。
濃厚で濃密、はっちゃけていて重厚な世界がぎゅうぎゅうに詰め込まれ、1階と2階それぞれで強烈な個性が充満しています。
《10/12》
竹崎和征「BIO TOPOS バイオ トポス」
9/8(月)~10/12(日)月休(初日を除く)
12:00~19:00(日:~17:00)
気になってしまう個性。
インスタレーションまで含め、さまざまな手法やアイデア、素材が盛り込まれ、観る者の感性を欺くようでもあり、力強く受け止めているようでもあり...。
イージーな質感が随所に織り込まれるなか、圧倒的に力強い存在感を放つ箇所もあって、それらのギャップがまたさまざまな想像を掻き立ててくれます。
どこまでが本気でどこまでがジョークか、意識的と無意識の境も曖昧、しかしそういう質感で繰り広げられる世界は独創的な臨場感を持っていて、竹崎さんにしか繰り出すことのできないさまざまな要素の関係性が独特な深みを感じさせてくれます。
《10/13》
液晶絵画 STILL MOTION
(土)~(水)月休(祝日の場合開館、翌日休)
10:00~18:00 (木金:~20:00)
最終日に伺いました。観たかったのは、小島千雪さんの映像作品。
砂浜を思わせる光景から淡々と紡がれていく時間。曖昧で、そこがどこか分からなくなるような幻想的な雰囲気が続き、その世界観に意識が沈み込んでいくかのような想像が浮かびます。
おそらくおよそ10分くらいの作品だったと思うのですが、2度、3度といることができたらもっとさまざまな発見があったかも知れない、とも思います。
井上洋介展「そして、奴等はやってきた」
10/13(月)~10/18(土)11:00~19:00(最終日:~16:00)
漆を駆使して紡ぎ出される妖しげな雰囲気。
緻密な盛り上げとくっきりとした配色、そしてなにより素材感が奏でる独特の深みが印象的です。
和の風合いを強く滲ませるモチーフが、素材の質感と相まって、渋いインパクトを生み出しています。
入口から右手にある壁面に展示された大作、暗い照明にてらてらと照らし出され、うねりを帯びる濃紅色の背景に浮かび上がる2匹の鯉。このダイナミックな動きを感じさせるモチーフの臨場感もさることながら、さり気なく添えられるカエルの骸骨が、さらに危うさを醸し出していて、ぐんとこの世界へと観る者の意識を引き込みます。
素材の物珍しさにとどまらず、そこに描かれるモチーフの、特に骸骨の表現などで見受けられる緻密な展開、そしてそれぞれの色彩が際立つように描かれる配色の妙、さまざまな要素が絡み合って迫り、見応えをもたらしています。
佐藤裕一郎展
10/13(月)~10/18(土)
12:00~19:00(最終日:~17:00)
昨年の個展では空間をぐるりと覆うダイナミックなインスタレーションが凄かった佐藤裕一郎さん。
今回はいわゆる平面作品で、まずその色の変化にぐんと意識が向かいます。
ほぼ壁面の高さいっぱいの大きな画面に広がる、無彩色の重厚な混沌。なにより垂直な動線を思わせる構成が感じさせてくれるダイレクトな重力感も心地よく伝わってきます。
ふわっと明るい照明が、この深い色彩のコントラストに透明感をもたらし、力強さに加えて神々しい雰囲気も広がります。
至近で眺め、この作品に視界を占められた時に感じる迫力も相当な力強さです。
空間での展開ではなく、画面に収められることでさらに世界の広がりを感じさせてくれます。
大作はもちろん、比較的コンパクト(それでもそれなりの大きさ)な画面の作品が並ぶ壁面のダイナミックなリズム感と荘厳な雰囲気も印象的です。
下嶋知子展
@藍画廊
10/13(月)~10/18(土)
11:30~19:00(最終日:~18:00)
美しい緑のグラデーション。
水辺に浮かぶ光の波、そしてどこまでも遠くへと続いていくような奥行き感によって、なんとも美しい光景を紡ぎだしています。
緻密にもたらされる濃淡が、艶やかさを際立たせるように感じさせてくれます。
濃い色が下に、淡い色が上に、という構成も、自然な感触が伝わってきて、それがイマジネーションを素直に刺激してくれるような気もします。
深い緑の鮮やかさが際立つ作品が並ぶ一方、若干黄味がかった色彩感の作品も。
光の臨場感とわずかなセピア感が、ひと味違うレイドバックしたようなイメージをもたらしてくれます。
さまざまなサイズの画面にそれぞれ収められる光景の安定した感じが、素直なイメージを創出してくれます。
画面に満ちる透明感に清々しさを覚え、観た後にもたらされる心地よさも印象に残ります。
北川伶菜展
10/13(月)~10/18(土)
11:00~19:00(金:~21:00、最終日:~17:00)
紫の濃淡で繰り出される、人の部分のアップを描いた作品群。
ダイナミックなモチーフの切り出し方が独特の迫力をもたらしています。
瞳とコメカミのアップ。
もっとも力強いモチーフが精緻なグラデーションで描かれています。
腹部のアップを描いた作品、おおらかに弧を描くフォルムと、そのシンプルな構図が、壮大なスケール感を醸し出しているように思えます。
力強いインパクトに満ちた作品が並びます。
大作で発せられるダイナミズムは、色調の深みとグラデーションによって意識をずっと奥へと引き込み、沈み込ませるような深みを深遠に奏でているように感じられます。
《10/14》
安藤智
10/14(火)~11/1(土)日月祝休
13:00~19:00(最終日:~17:00)
キャッチーな配色とコミカルなフォルム、ノーヒントで観たらそれぞれフルーツとかを思い浮かべ、「おいしそう...」なんて感じてしまったりするのですが、展示されている作品すべてが金魚をモチーフとしたペインティング。それはもう痛快で、「なるほど」の連発です!
《10/15》
天明屋尚「闘魂」
10/15(水)~11/15(土)日月祝休
11:00~19:00
「絵」を見せてもらっていること、それに対する嬉しさが満ち、深い感動と感嘆が溢れます。
1点1点、一切の隙を見せず、圧倒的な筆致で繰り広げられる、さまざまな時代の日本の「武」に、じっくりと対峙したい展覧会です。
小笠原美環 ひとりごと
10/3(金)~11/8(土)日月祝休
12:00~19:00
Miwa Ogasawara "Hitorigoto" ("Talking to oneself")
10/3(Fri)-11/8(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
12:00-19:00
描かれる気配。
SCAI THE BATHHOUSEでの小笠原美環さんの個展です。
淡々と、静かに...。
ダークな色調で、沈み込んでいくような深遠な世界が、それぞれの画面から繊細に放たれているような...。
淡い青のなかに浮かぶ女性。
クラシカルな風合いがゆるやかに漂い、行間を読ませる幻想的で幽玄な叙情詩のような...。
仄かな生命の感触を伝える、どこか希薄で、しかしそのふす差のなかの濃密さが尋常ではないような感じです。画面のなかにおさめられる情報の少なさ、しかし、たったそれだけで、むしろそれだけだからこそ、圧倒的な深みを奏でているように感じられます。。
影になった窓辺。
カーテン越しの明かりが、そしてそれに照らされて仄かにそのフォルムを浮かび上がらせる内装が醸し出す気配の不思議さ。
・・・さまざまなイメージが喚起されます。
すぐ前に人がいたかも知れない...もしかしたらずっと人がいないのかもしれない...。
静かな色調とそれによって醸し出される落ち着いた雰囲気が、ここから紡がれる物語にゆたかな奥行きをもたらしてくれるような印象です。淡々とした雰囲気に、心を磁場楽委ねていたくなるような、優しい感触が心地よいのです。
大作から小品まで、ダークな色調の作品がゆったりと展示され、深遠な気品で空間が満たされているような感触が伝わってきます。
ほぼモノクロームで描かれるシーン、淡々としていて、透明感があって、その風合いがすうっと心のなかに自然に入ってきます。
そして、それぞれの場面で、どんな「想い」が行き交っているのだろう...優しくナチュラルなイメージが、心のなかをゆっくりと満たしていくと同時に、ダークななかに潜んでいる爽やかな静けさに、なんともいえない心地よさを感じます。
独特の幻想的な雰囲気に、心が沈み込んでいく感触が堪らない...。
一転、こわい雰囲気の作品も。
深い黒を背に、こちらを見つめる女の子。
グレーの肌の暗い生命の感触。ひときわダークに引き立つドレスの赤。
気配の伝わり方が他の作品と一線を画し、どこまでも深い色彩が、力強く迫ります。
ちいさな画面に収められるさり気ない情景も、そのひとつひとつに見入ってしまいます。
色調も構図も、実に淡々としていて、しかしそれが画面に止まらず壁面全体、さらには空間にも作用して、澄んだ広がりを感じさせてくれます。
作品それぞれを通じてうっすらと感じられる気配が強く印象に残ります。
色彩がもたらす空間的な統一感も、その深みを静かに加速させているように思えます。
時間をかけてゆっくりと、この世界に意識を沈み込ませたい...そうやって得られる静かな刺激が格別の
心地よさをもたらしてくれる展覧会です。
ついに来る!Σ( ̄口 ̄;)
190×340cmて!Σ( ̄口 ̄;)
池田学展
11/26(水)~1/17(土)日月祝・12/27~1/7休
11:00~19:00
Manabu Ikeda exhibition
1-3-9-2F,Kami-meguro,Meguro-ku,Tokyo
11/26(Wed)-1/17(Sat) closed on Sunday,Monday,national holiday and 12/27-1/7
11:00-19:00
海老原靖「Flow」
10/1(水)~10/30(木)日月祝休
11:00~19:00
Yasushi Ebihara "Flow"
10/1(Wed)-10/30(Thu) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
薄紙一枚の厚みに封じ込められる生命の感触。そのつめたい温もり。
WADA FINE ARTSでの海老原靖さんの個展です。
海老原さんといえば、今年2月の京都での展覧会も印象的でしたが、今回は海老原さんが持ついくつかの、「多重人格のなかのひとつ」とでも言い表わしたくなるほどにバラエティに富んだシリーズの中から「Lust」シリーズでの展開が繰り広げられています。
とにかく、凄い。
そのサイズに呆然とさせられます。
おそらく海老原さんのすべてのシリーズの作品のなかでももっとも大きなサイズ。
ちいさなギャラリーの壁面一面のすべてを覆うほどの画面に広がる、降り積もる雪のような白。
そこに髪の毛を広げた状態の半身の女性が描かれています。
「Noise」シリーズの分厚い絵の具の塗りが繰り出す強烈な色彩感、その力強い刹那感から一転して、全体を覆う白、そこに、女性の輪郭や髪の毛の1本1本が、その白の上を這うようにして描き込まれる緻密な線。そしてそこに、身体の先の部分をほのかに灯らせる赤が映えます。
シンプルな色彩で繰り広げられ、それらの存在感のコントラストが、このシリーズの雰囲気に繊細な深みをもたらしているように感じられます。
またしても「Noise」のシリーズとの比較になってしまいますが、一瞬を捉え、そのスリリングさがもたらすアバンギャルドなインパクト、時間軸を縦に割ったのが「Noise」シリーズだとすると、こちらはほんのりと僅かに滲み、広がる繊細な生命の感触で、ひとつの時間の流れを水平方向にスライスしたかのような、脆弱で儚げで、だからこそ美しく感じられる、そんなイメージが湧いてきます。
放たれるエロティシズムは無論強烈に伝わってくるのですが、それは神々しくて、どこまでも繊細で透明感があって、高貴な雰囲気に満ちているように感じられます。
その臨場感が、このサイズでダイナミックに感じられるのはある意味、感無量です。
「白」が際立つ作品が、他にも展示されています。
緑を背景に立つほぼ全裸の男(の子)。
こちらは男性ということもあって、大作に満ちる優雅さこそ押さえ込まれていますが、繊細な筆の運びと画面に灯される浮遊感溢れる色彩が、ギリギリの鋭い危うさを醸し出しているように感じられ、独特の臨場感を滲ませているよう思えます。
小品は、一転して濃密な筆の運びが印象的です。
小さな画面に収め込まれる過剰なインパクト。
そのあからさま加減に、小さい作品でありながらも強烈な引力のような風合いを感じます。
小さいからこそ、奔放さが前面に押し出されていて、尋常でない勢いを伴って迫られるような印象です。
WADA FINE ARTSのちいさな空間に、とにかく強烈なカオスが満ちています。
それぞれの画面、壁面が放つ、さまざまな魅力。それらが絡み合い、イメージに混沌を生み出すかのような。。。
とにかく、今回も強烈に印象に残る展覧会です。
MASAKO -MY HOME
10/2(木)~11/15(土)日祝休
11:00~19:00(土:~17:00)
MASAKO -MY HOME
3-2-9-B1F,Nihonbashi,Chuo-ku,Tokyo
10/2(Thu)-11/15(Sat) closed on Sunday and national holiday
11:00-19:00(Sat:-17:00)
ダークな色調の中に潜む、あたたかさ。
Galerie Sho Contemporary ArtでのMASAKOさんの個展です。
黒を基調にして繰り広げられるさまざまな情景や場面。今年の春先に開催されたグループショーでも印象的でしたが、今回は個展ということもあり、Galerie Shoの複雑なユニークな構成の空間、壁面でそれぞれに統一感のある展開がなされ、バリエーションに富んだ構成が見応えを生み出しています。
今回の展覧会で格別に印象的なのが、家族を描いた作品です。
煤けたような黒の向こう側に、ふわりと浮かびあがるような家族の肖像、それぞれの顔立ちはくっきりと描き込まれているわけではないのですが、それがかえってその微笑みのやわらかさをほんのりと際立たせているように感じられます。
奥へと続く通路の壁面に展示された作品群もひときわ、家族のぬくもりが滲み出ているように思えます。
暗い色調からは華やかさは伝わってこないのですが、そういったシチュエーションも、家族の絆であったり、もっと大事なものをあたたかく提示しているよう感じられ、優しい感動が包み込んでくるような印象です。
いやもう、本当に良いのです。
ひとつ戻って、メインスペース、ずらりと並ぶ、顔のアップの作品群。
ざっくりとした筆致で描かれるさまざまな表情の生々しさ、臨場感に、そしてその数に圧倒されます。
この向かいの壁面に並ぶ作品群も、観るものの意識を呑み込むような力強さを静かにたたえているように感じられます。
もっと曖昧に、煤けた風合いの色彩感と筆致で描かれる人物の姿、肖像。その人物への謎めきや、何か強い思いを伝えようとしているかのごとく迫る雰囲気が強烈に印象に残ります。
風景を描いた作品も、展示の随所に織り込まれています。
人物が描かれない作品での雰囲気の立ち上がり方も絶妙で、MASAKOさんのクールさが前面に押し出され、どこか殺伐とした感触、何かが始まりそうな予感めいた感触が脳裏に浮かんできます。
ミステリアスな雰囲気のカッコよさが格別です。
さまざまな場面の描いた、動きを感じる作品も。
なにかの物語の一場面を切り取ったかのような。それぞれの展開がもたらすスピード感は、尋常でない速さだったり、まるで止まっているかのような淡々とした感じであったりと様々ですが、この刹那に始まってしまう危うげな期待感も不思議と盛り上がってきます。
奥のコンパクトな空間の統一感溢れる構成にも、深いストーリー性がもたらされています。
手術室の場面、ダークさがひときわその1分1秒のスリリングな時間性さを際立たせています。
もうひとつの壁面に展示されているオペレーターらしく女性の作品も、この閉じた空間にパッケージされて、ひとつの物語としての奥行きを与えているように思えます。
更に奥の通路に展示されている小品群も印象的です。
ひとつひとつの場面が今回展示された多くの作品の中でも特にキャッチーで、バラエティに富んでいて、楽しい雰囲気が満ちています。
写真では紹介していないのですが、もっとも大きな作品の、サイズが放つ重厚さとざらりとした筆跡が醸し出す儚げな雰囲気も印象的です。
とにかくこの分量に圧倒されます。
キャンバス、あるいはパネルに走る筆の痕跡の刹那的な感触が、MASAKOさんのイメージと実際に描かれる作品との距離感の近さを思わせ、さらにこの出品作品数が、溢れるイマジネーションの分厚さを思い起こさせてくれます。
そして、素朴さも大きな魅力のひとつです。それぞれの場面を描く衝動のピュアさも伝わってきて、それがダークな色調をそのまま暗いイメージに留めず、なにかしらの温もりを感じさせてくれるんです。
そういった作品群が見せるさまざまな表情、もの寂しかったり、あたたかさが滲んでいるように思えたり、ひとつの統一された画風で展開される世界の豊かさにも感嘆してしまいます。
どんな場面が紡がれていくのか、これからの展開も楽しみです。
大畑伸太郎 個展「さよなら三角」
10/2(木)~10/25(土)日月火休
11:00~19:00(土:~20:00、最終日:~17:00)
Shintaro Ohata "SAYONARA SANKAKU"
2-5-2-1F,Takaban,Meguro-ku,Tokyo
10/2(Thu)-10/25(Sat) closed on Sunday and Monday and Tuesday
11:00-19:00(Sat:-20:00,last day:-17:00)
楽しむために、何もいらない...。
昨年のYUKARI ART CONTEMPORARYのこけら落としとして開催された時以来の、大畑伸太郎さんの個展です。
これほど言葉を尽くして感動を伝えたい展覧会もそうそう出会えないと思うと同時に、はたしてそんなつたない言葉は必要なのかな、とも思ってしまいます。
でも、書くのです。
ちいさなドアから入ってすぐ右手、ペダルに立って自転車を余力で進ませる女の子。
後ろを振り向き顔のかわいらしさ、靡く髪の初々しさ。
ずっと奥、通りが吸い込まれるように遠くへと続いていて、その先に空の明かり。きっと暮れ行く空。
無数の筆の運びによってたくさんの色が重ねられ、それによって紡ぎ出される街の表情。それだけでぐっときます。
この場面の主役の女の子へのイメージはもちろん、通りを横切るセダン、赤く灯る信号、淡々と陽の光を受けて静かに横たわる横断報道、そこに描かれているものすべてがいとおしく迫ってくるような気がします。
大畑さんの手によって生み出される風景の臨場感は、写真と見紛うほどの超絶な写実よりもそこの空気の味わいや風の匂いが滲んでいるように感じられるんです。
シンプルな「知」としての記憶はもちろん、それだけではなくて「感」のほう、その場所から思い起こされるパーソナルな想い出のようなものを優しく引き上げてくれます。たとえ、その風景を実際に知らなかったとしても、「きっとそう」と、感覚的な確信が沸き起こって、それが嬉しい気分を盛り上げてくれます。
YUKARI ARTのふたつの展示スペースの内、こちらでのいちばんの見どころは、こちらの作品。
大畑さんほど、平面の世界観を3次元に引き出して成功しているアーティストはいないと思っているのですが、その立体の精度に拍車がかかり、
こ
こ
こんな複雑な造形まで再現しちゃうのかぁぁぁぁ!!!!Σ( ̄口 ̄;)
と、驚きを隠し得ないほど。
こちらも自転車。
しかも立体、背景の淡く仄かに渋さを漂わせる桜並木が自転車越しに過ぎ行く光景になっていく、その瞬間を捉えたような爽やかな刹那を背景に、立ち漕ぎで疾走する女の子。
動いてくれないのがもどかしいような、それほどの精度。立体に現されることでさらに臨場感が盛り上げられています。
そして、たまに出てくるこの謎の羊のようなキャラクター。
タバコかΣ( ̄口 ̄;)
タバコをふかしている場合か!Σ( ̄口 ̄;)
ていうかそれより
落ちるぞお前!Σ( ̄口 ̄;)
と、こんなユーモアもまた堪らなかったり。
夜の渋谷です。
「知ってる!」が嬉しさをぐんと加速させてくれます。
絶妙な光の表現に、それが生み出す闇夜と照明のグラデーションこころがどんどんと入り込んでいっていきます。
なんとなく雨降りの後の渋谷を思い起こしたのですが、その匂いや、響く雑踏、車のクラクションの音なんかも脳裏にぐんぐんと蘇っていきます。
上の自転車を漕ぐ女の子の作品の両脇に展示された作品も、ちいさいながら、ちょっとした新しい展開が小粒なアクセントをもたらしています。
菱形の画面に描かれる、正面を向いた女の子の肖像。同じ構図の違う時間、そういう風合いの作品が、反対側に展示されていて、そのコントラストも空間に奥行きを与えているような感じで楽しいんです。
この展示スペースだけでも充分に大きな感動が得られた次第。
大畑さんの作品ごとに込められた風景への想いや精度に対してのこだわりも力強く伝わってきて、でもそこに押し付けがましさが一切なくて、ただただ一途にエンターテイメントに徹しているように思えるんです。
そして大畑さんの作品を目にする度にそのことをしっかりと感じられるような気がして、それがいちばん新しく目にした作品でもっとも強く感じられるのもまた嬉しく、感動も沸き起こります。
さて、もうひとつ、奥の展示スペースですが...
こちらについては、実際にご覧いただきたく。いやもう、終わってしまう前にひとりでも多くの方に、ぜひ観てほしい・・・!
ひとことだけ感想、もし初日にひとりで目にしたら、おそらく感動で泣いてた、と思います。
SOHEI NISHINO EXHIBITION Dioramamap i-LAND
9/15(月)~10/17(金)
11:00~19:00(土日祝:~18:00)
SOHEI NISHINO EXHIBITION Dioramamap i-LAND
5-11-12-B1,Minami-azabu,Minato-ku,Tokyo
9/15(Mon)-10/17(Fri)
11:00-19:00(Saturday,Sunday and national holiday:-18:00)
混沌としたダイナミズムで攻撃的に現し迫る、都市の臨場感。
EMON PHOTO GALLERYでの西野壮平さんの個展です。
とにかく圧巻。
不器用に、愚直に紡がれていく都市の情景。
無数の写真からピックアップし、切り取った画像をひとつの支持体に貼り合わせ、それぞれの都市のランド素ケープ的な光景や建築物、さらにはその都市で観られる情景などを織りまぜて...もとい、詰め込み、強烈に重厚な臨場感で観るものに迫ります。
しかし、今回の展覧会でまず圧倒されるのが、カラーの作品。
渋い木目の床、すっと落とされる照明など、落ち着いた空間にいきなり、もう唐突と言えるほどに視界に入ってくるヴィヴィッドな俯瞰光景。
特に特定された場所で、そいうかたちではないようで、西野さんご自身で撮影されたさまざまな光景を詰め込み繋げて紡いで制作された、想像状の吹かん風景。尋常でないエネルギーを孕んでいるように感じられるほどの膨張感が、凄まじいエネルギーを伴って迫ります。
海や空が無数の写真をつなぎ合わせて作り上げられ、さまざまな濃淡の青によって凄まじいアバンギャルドなインパクトを醸し出していたり、ビルひとつひとつの存在感の凝縮されることで構築される硬質な雰囲気に呑まれたり...。
ほぼ楕円に構築されて、それが強烈な生々しさを醸し出しているように感じられます。
奥のコンパクトな空間に、モノクロームの作品もずらりと並びます。
嬉しいのが、コラージュされたオリジナルの状態で眺められることで。
国内外の都市の情景。
モノクロームの写真のみで構成されていて、さらにカラーの作品が展示されていることもあり、モノクロならではの深遠さ、静謐感が漂い、同時にこの作品を作る作業の生々しさも強く放たれているような印象を受けます。
良く知る都市だと、それがどこかを探り、地理感を駆使してその作品のさまざまなランドマークの位置を確認してその整合性に唸ったり。関係性が認識されていくと嬉しくて、さらに想像してみて「このあたりにはあの建物があるんじゃないか」と予測してやっぱりあるとまた楽しくて。
このオリジナルのコラージュ作品を、おそらく再び撮影した写真も出品されています。
昨年の「都市との対話」展では大判の画面の作品が出品されていましたが、今回なコンパクトなサイズで、ビルの窓などの細かい部分がさらに無数のミニマルなリズムを発しているように感じられます。
また、
あらためて写真に収められることでひとつの塊としての感触が生み出され、それがこの画面としての面白さをさらに押し上げているようにも思えます。
かっこいいユーモアがあり、それを実現させるだけのモチベーションにも感服です。
作品のコンセプトが実にシンプルで、そのシンプルさがこのクリエイションの面白さをダイレクトに伝えてきます。
絶妙なバランス感覚で織り成されるというより、むしろ強引とも思えるほどの力技が冴え、取り込まれる画像の縮尺の関係性、角度なども相当に無視されているのことで凄まじく硬質な混沌が現れ、それにぐんぐんと意識が呑み込まれれていくんです。
過剰な作業が奏でるクールネス、現実が積み重ねられて提示されるフィクショナルなシチュエーションの力強さ。直に目にして感じてほしいです。
Ryuro Fukuda What Have We Found
9/20(土)~10/18(土)日月祝休
14:00~19:00(土:12:00~17:00)
Ryuro Fukuda What Have We Found
3-16-14-1F,Minami-aoyama,Minato-ku,Tokyo
9/20(Sat)-10/18(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
14:00-19:00(Sat:12:00-17:00)
爽快で雄大な風景に潜む、痛快なトリック。
void+での福田龍郎さんの個展です。
ふたつの空間、まずコンパクトな、僕が思いつく限り、都内でもっとも美しいホワイトキューブのほうへ。
雲の上を飛行するパラシュート、空の青と雲の白とにカラフルなパラシュートが映え、雲なのでどういうか思いつかないのですが、雲の地平線がずっと奥に真直ぐ伸びていたり、雲の波がより壮大なシチュエーションを醸し出していたりと、どこまでもおおらかなイメージが伝わってきます。
このコンパクトなホワイトキューブ、しかも照明は内装全体を真っ白に照らす蛍光灯が床に設置されていて、相当に閉じた窮屈な容積の空間でありながら、それがむしろ写真作品が放つ壮大さ、突き抜けるような奥行き感を発し、その雄大なイメージへと誘ってくれるような印象を受けます。
この写真、実際にこの空を落下中のパラシュートを捉えたものではないそうで、撮影した空にコラージュしたものとのこと。テクノロジーの進化、発達で相当なことができるようになっているとはいえ、あまりの精度の高さにすっかりと空にいる気分に満たされてしまった次第で。
もうひとつのスペースには、島を撮影した写真が展示されています。
パラシュートの写真同様に、相当なスケール感で繰り広げられている世界。
海の青の美しさといい、浮かぶ雲のダイナミズムといい、その画面に収められているさまざまな要素が壮大な臨場感で迫ってきます。
収められた写真の中に浮かぶ島は、実にアクロバティックなプールが建設されています。
海抜が低そうな島に水田と格子模様のようにして組み合わさっているプールや、断崖に半ば強引と思えるような位置にあったり。
これらも、よくよく見ると僅かなズレをも見い出せなくもないのですが、相当な高精度で繰り広げられているコラージュなのだそう。
それぞれの写真を眺めていて、そういうところにプールがある意味が分からない、何故そんなところに作るのか見当もつかない、しかしもしかしたら何らかの政策によって然るべき理由があるのかも、と、いろんなイメージを思い巡らせたのですが、逆にコラージュだと知らされて安心したり...。
パラシュートといいプールといい、アクロバティックなシチュエーションを生み出し、その風景の壮大さを前面に押し出しつつも、同時にそこにユーモアを織り込んでいるように感じられるのがとにかく「やられた・・・!」という嬉しく痛快な敗北感のようなものに満たされます。
それ以前に、写真として際立つ美しさが強く印象に残ります。
それぞれの作品のどこを切り取っても感じられる鮮やかな色彩感、爽快さ、鮮度。そういうイメージをもたらすことを可能にしている、それぞれの作品の精度。それはまた、実際は起こっていないシチュエーションであることを許せてしまう寛容さももたらしてくれるように感じられます。
出品作品数が少ないことが、それぞれのシチュエーションに広がりをもたらしてくれていて、展示されて眼前に現れた画面と対峙し、その痛快な違和感に時間を忘れさせて、ゆっくりじっくりと浸らせてくれます。
こういう状況があったら...そういう妄想を高精度で画像化した、ユーモアも溢れるクリエイション、今度はどこに連れていってくいれるか楽しみだったりします。
佐々木憲介
9/26(金)~10/18(土)日月祝休
11:00~19:00
Kensuke Sasaki
1-2-11,Higashi-kanda,Chiyoda-ku,Tokyo
9/26(Fri)-10/18(Sat) closed on Sunday, monday and national holiday
11:00-19:00
さまざまなモチーフで繰り広げられる、豊かな深み。
ひとりの小説家、もしくは詩人の感性に触れているかのような...。
TARO NASUでの佐々木憲介さんの個展です。
佐々木さんの作品は、移転したTARO NASUのリニューアルの企画で拝見し、その渋い色使いと、現実と曖昧のバランスを絶妙に現すようなさまざまな筆遣いが印象に残っていて、今回の個展ではその個性に存分に浸れます。
階段を降り、まず緩い雰囲気を漂わせる女性の横顔と流し目、ふたりの人物のポートレイトがお出迎え。
高い壁、広い壁面、新しくなったTARO NASUの立体空間を、驚くほどたくさんのキャンバスが埋め尽くしています。
しかし、それぞれは組作品とのことで、となると出品点数自体はそれほどでもないようです。
組まれる作品群は、それぞれのパネルに描かれているモチーフ同士の関係性がさまざまなイメージを喚起してくれます。
豊かな色彩感。
濃いとか淡いとか、そういう言葉は思いつかないのですが、なんだか自然な風合いで、乾いているようでもあり、淡々とした落ち着きに満ちている印象を覚えます。
佐々木さんとのお話で印象的だったのが、描かれるモチーフの多くは、雑誌やCDのジャケットなど、印刷物からピックアップしているのだそう。
そしてそれは、印刷物を印刷物として描いているのではなくて、それが描きたい風景や場面であって、その衝動が綴られているとのことで。
なかには見開かれたページを描いているものもあるのですが、ほぼすべて、ひとつのモチーフやシーンがひとつのキャンバスに描かれています。
そして、先にも書きましたが、組み合わせは実にユニークです。
整えられる基準が実にまちまちで、組作品ごとのコントラストが、観る者のイメージを曲げ、複雑な想像へと引き込んでいくかのようです。
すこし上に写真で紹介した、椅子に座る女性を描いた大きな画面のものと、その上方に黄色い背景に描かれた蛾、という、サイズといい位置といい、さまざまな関係性の謎めき具合が痛快すぎる作品もあれば、下に紹介している作品のように、壁面の高さを目一杯使った構成により、さらにアクロバティックなイメージの創出をもたらす作品も。
この作品、さらにユニークなところが、下のどこか寂しげな風景を想わせる画面は、一見こってりと画面に絵の具が乗っていると思いきや、実際は下に別の絵があってそこに上塗りされているようで。
逆に、その遥か上、天井に接している画面の絵の具は相当に重たくて、その重力感も軽やかな混沌をイメージのなかにもたらしてくれます。
コーナーに展示されている作品、これは隣り合う壁面ごとに違う組の作品で、さまざまな構成が織り成されるなか、組作品同士の組み合わせもさらに世界観を押し拡げているように感じられます。
深い緑、そこに何かを想うような表情で描かれている男女。
シャープな筆遣いが、どこかソリッドな雰囲気を醸し出しているように感じられます。
縦に並び接するふたつのパネル。
女性の凛とした表情と背景の深い青、纏うドレスの鮮やかな青、そのコントラストも美しいです。
そのすぐ上に、イージーな描き振りがなんともいえない味わいを放つ模様があって、不思議なシチュエーションが構築されています。
いちばん奥の壁面で組み上げられる作品は圧巻です。
中央に女性、そのまわりにさまざまなモチーフ。それぞれの画面の色彩感が、壮大な雰囲気も奏でているように感じられます。
実にボリュームのある展覧会です。
そして、ひとつひとつを観ていて思い浮かぶのが、ひとりのストーリーテラーが綴った物語集に触れているような...そういうイメージ。
ひとつの組作品が、1冊の短編集で、たくさんの短編集が集められたかのような...。
ある小説家の短編集を読むと、そこにはさまざまな物語が収められていて、それぞれ関連がありそうでなさそうで。でも、ひとりの小説家が書いた作品としての統一感はしっかりと伝わってきて。。。
今回の佐々木さんの作品に囲まれた空間にいると、そんな想いが心に広がっていくような感じがします。
ひとつの組に収められるモチーフはバリエーションに富んでいて、でもひとりのアーティストのクリエイションの説得力に満ちていて。
そういったインスタレーション、こういうかたちで触れられるのがなんだか嬉しく思えてきます。
作品によっては、画面上に薄く筆を這わせただけのところもあれば、絵の具自体が盛り上がって生々しい部分もあったりと、さまざまな質感で迫ります。絵柄だけでなく、質感のバリエーションも実に豊かです。
モチーフ、組み合わせ、展示位置、統一と意表とを交互に繰り出しながら、さまざまな大胆さによって紡がれる独創的な世界観。そこで繰り広げられているいろんな関係性に思いを馳せながら、ゆったいと想像の世界に心を委ねたい展覧会です。
姉川たく you重力未訂正衛星「ねけだせれない」
9/26(金)~10/13(月)火休
12:00~21:00
Taku Anekawa vol.1
2-19-18,Kaminarimon,Taito-ku,Tokyo
9/26(Fri)-10/13(Mon) closed on Tuesday
12:00-21:00
濃密な妖しさが満ち満ちて...。
GALLERY efでの姉川たくさんの個展です。
姉川さんというと、今年の春にNANZUKA UNDREGROUNDで開催された個展がホントに素晴らしかったことが記憶に新しいのですが、今回の個展ではカラフルに煌めく糸と、それが表面を覆う立体作品により、GALLERY efの1階と2階とを繋げたインスタレーションが繰り広げられています。
蔵の入口をくぐると、薄暗い空間にお地蔵様ほどの大きさの、街灯の下でふたりが寄り添う作品がその姿が現れます。
その上に、混沌とした雰囲気を放つ浮遊体。
深遠な映り込みをもたらす艶やかな床の黒、浮遊するもののなかに灯される、際立つ明かりの強さ、そして、カラフルながら、暗い空間で鈍い輝きを滲ませるさまざまな色彩の糸。沈み込むような深い雰囲気のなかに、危ういほどに妖しい感触が満ちています。
空間のほぼ中央に置かれ、その収まりのよさ、見事さも、心地よい重力感を奏でているように感じられます。
2階へ。
まず、ちいさな棚に置かれたオブジェに魅せられます。
水平方向に糸が巻き付けられ、鮮やかな衣装を纏っている佇まいが、その無言で淡々とした存在感に奥行きを与えているような印象を受けます。
ここから、静かに自然に、心のなかで紡がれていく物語性も、オブジェが醸し出す深みに奥行きを与えます。
1階と繋がるインスタレーションは、サイズ的にこそ空間を占めるほどのものではないものの、さらに深みをもたらすような感触が満ちています。
吹き抜けへ向かって伸びる無数の糸の束。
さまざまなオブジェから、吸い込まれるように、あるいはひとつの流れを生み出すかのように、糸が1階へと伸びています。階下の浮遊体を支えるさまざまな「念」や「想」のようなものを思い起こさせてくれます。
深みに謎めきが加わり、さらに濃密なイメージが沸き起こってきます。
なにより、姉川さんの真骨頂とでも呼びたくなるような、繊細さとダイナミックさとを持ちながら繰り広げられる糸使いが、神々しく深遠な静謐感に斬新な雰囲気をもたらしているようにも思えてきます。
床に置かれたオブジェからだけではなく、天井から吊られる、あるいは天井に逆さに立つオブジェからもさまざまな色の糸が垂らされています。
床までの距離があることで、糸の束のたわみもよりおおらかな弧を描いて、ダイナミックな雰囲気がさらに膨らみます。
その中央の世界を遠巻きに眺めるかのように配されるものも。
室の隅っこにちょこんと置かれていて、これらが放つ存在感もまた格別。不思議なかわいさを醸し出し、楽しげなアクセントをもたらしています。
過剰なまでにヴィヴィッドで、NANZUKA UNDERGROUNDでの個展で発表された多くの平面作品で繰り広げられたスピード感溢れる大胆な世界を体感していて、そしてこのインスタレーション。姉川さんの、アートシーンのみならず、もっと大きな枠で捉えたい超独創的なクリエイティビティがこの空間にしっくりと嵌まり、どこか宗教的な、呪術的な雰囲気さえ漂わせる圧巻の展開が繰り広げられています。
心を沈み込ませるようにして堪能できるのがまた嬉しくて...。じっくり味わいたい空間です。
この展示が終わると、引き続き姉川さんの展覧会が第2弾として開催される、そのときは平面作品も出品される予定とのこと。こちらも楽しみです。
進藤万里子 作品展「bibo 1681-2127」
10/3(金)~10/25(土)日月祝休
10:30~18:30(土:~17:30)
モノクロームの写真が整然と並ぶ、深遠な場所。
徹底して硬質に展開され、紡がれていく時間と風景。
数ある写真の多くは、おそらく被写体そのものがダイレクトにファインダーに収められているのではなく、何らかに反射していたり、あるいは硝子か何かを通してあるように感じられ、それがそれぞれの画面のなかの時間の奥行きを静謐に奏でているよう思えます。
きっと、何気ないはずの場面であるのに、ここに並ぶ景色の壮観さは実に重厚で、アバンギャルドさ、サディスティックさ、ナイーブさ、イマジネーションを刺激するさまざまな要素を持ち合わせていて、実に凛とした説得力を持って迫ります。
時間を忘れ、じっくりと対峙したい、もとい、そうさせてしまう強い力、魅力を持った展覧会です。
藤原裕策 Cloud Ensemble
10/6(月)~10/18(土)日祝休
12:00~19:00(最終日:~17:00)
今年のVOCA展にも出品されていた藤原裕策さんの個展です。
ぶわっとダイナミックに滲む色の抽象性と、そこに施されるスクラッチや彫りがシャープに放つ先鋭性。前者の曖昧さを後者の鋭さが整えていく、しかしその過程を経て生み出される逆のベクトルも加わった混沌が、独特の味わいで迫ります。
色彩の鮮やかさのインパクトは痛快です。
蠢くような、うねるような、膨らむような感触。爆発源を包み隠していそうなほどに、エネルギッシュな展開が取りなされています。
奥の壁面に並ぶ大作の不思議な深みも印象的です。
彩色にしろ、その色面の縁を整えるようにして紡がれる線にしろ、何が描かれているのか分かりそうで分からない...その混沌とした曖昧な感触がイメージを侵食していきます。
刹那「あっ!」と何かに気付く、何かに見える、そういう発見の嬉しさも伝わります。
濃密な色彩と、画面を削り、あるいは彫り、そこを彩色されることで生まれる白とのコントラストも鮮烈です。大胆な余白は結局いちばん最後に登場するプロセスも、藤原さんが描く世界の曖昧さを加速させているように感じられます。
パネルのタブローの作品にあわせ、ドローイングも展示されています。
すべてがペンなどの用具で描かれていて、藤原さんの線や色面のイメージの根源に触れられるような印象です。
また、長い壁面に展示されている作品もユニークです。
一度プリントして、それを基にさまざまな緻密な要素を描き込んだ作品群。モチーフは野武士の面のようです。
白と黒との額が交互に並び、その効果が意外に作品の雰囲気にもたらされているように感じられるのも興味深いです。
彫る、という行程が加わることで、抽象的な雰囲気がそれだけに止まらず、どこかのんびりとした味わいのような感触もそこはかとなく滲んでいるように思えます。
配色の大胆さが生み出すダイナミズム、緻密な線による色面の縁のトレース、そして後からもたらされる真っ白の余白。それぞれが絡み合って、不思議な混沌が生み出されているように感じられます。
石橋貴男展
10/6(月)~10/11(土)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
T&G ARTSでのグループショーから間隔を置かずに開催されている、石橋貴男さんの個展です。
コンパクトな閉じた空間が良く合うオブジェ群、数こそ前回のT&Gには及ばないものの、独創的な仕草や佇まいには未来的な感触が入り込んでいるような印象を覚えた次第です。
東悠紀恵展
10/3(金)~10/11(土)日休
12:00~19:00
久々に拝見する東悠紀恵さんの個展。
展示のお知らせはいただいていたものの、なかなか伺えず残念に感じていたのですが、今回の個展ではこれまでの西洋的な雰囲気に加え、日本的なモチーフも随所に織り込まれ、独創的な雰囲気の場面がていねいに描かれた作品が多数出品されていて、広がっていく世界に心地よい痛快さを覚えた次第です。
さまざまなモチーフが独特な雰囲気を醸し出しながら、なお美しく描き上げられています。
そして、一緒の画面のなかに描かれる様々なもの同士が不思議な物語性を奏でます。
大人びたメルヘンや、中世に思いを馳せてしまいそうな世界観を描いた作品なども、そのていねいな仕上がりによって味わい深さを醸し出しています。
東さんのお話では、描きたいと思ったもの、絵にしてみたいものを描いてみるのだそうで、それが以前も充分に説得力に満ちた魅力的な作風にさらにおおらかな幅をもたらし、渋くて淡々とした雰囲気にバリエーションがもたらされているような印象を受けます。
島嵜りか展 ~妄想族~
10/6(月)~10/11(土)
11:00~19:00(金:~21:00、最終日:~17:00)
Rika Simasaki "MousouZoku"
3-5-4-B1,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo
10/6(Mon)-10/11(Sat)
11:00-19:00(Fri:-21:00,last day:-17:00)
緻密で大胆、圧巻のジャポネスク。
GALLERY b.TOKYOでの島嵜りかさんの個展です。
まず、階段を降りたところに尋常でなくごっちゃりと重量感溢れる鱗を纏った金魚の作品に出迎えられ、いみなり度胆を抜かされます。
もう、圧巻の一言、艶やかな黒を背景に、金属的な質感さえ漂わせる金魚の姿にいきなり引き込まれます。
人工的な交配が繰り返されることで美を追求された金魚をモチーフに、その存在を現代人、とりわけ島嵜さん自身と重ね合わせながら、妄想の世界をダイナミックに描かれた作品群。
繊細さと大胆さとが一挙に押し寄せる、圧巻の世界が繰り広げられていて、展示されているそれぞれの作品に確実に意識が掴まれ、呑み込まれていくような錯覚を覚えます。
淡い色彩に浮かぶ肢体。
ひとりでは有り得ないその姿を目にして、それでもその違和感に嫌悪感は起こらず、むしろ四肢や頭髪のなめらかさ、艶やかさに見愡れます。
さらに、その肌にうっすらと施される墨、その危ういまでに繊細に流れる動線とそれにまぎれるようにして数匹、姿を覗かせる金魚が、全体を覆う青い色彩とともに、静かな世界に澄んだ印象をもたらしてくれます。
髪の毛を思わせる無数の線、そしてそれらが集まって生み出される濃密な色面。
ダイナミックな動線が導かれているシチュエーションのなかを、ちいさな金魚が泳ぎます。
独特の深みをたたえる青、それに映え、美しさを際立たせる金魚の赤。この色彩のコントラストも絶妙で、優雅な雰囲気を押し上げます。
もっとも強烈なインパクトを放つ作品、どこまでも奥へと続くような深い闇を連想させる艶やかな黒を背景に、優雅に鰭をたゆたわええる巨大な金魚と、身体中に大胆すぎる刺青を纏わせる女性の肢体。
生々しいほどにリアルな臨場感を奏でつつ、どこかしら幻想的な雰囲気も滲ませているように感じられ、このジャポネスクなモチーフによる渋い感覚と刺青が煽る不良願望、それらが混然となって迫る独特な力強さに、感性がねじ伏せられるような印象です。
それぞれ、すべての作品に金魚の姿を何らかのかたちで描き入れ、さまざまな作風が揃う一方で、しっかりとした統一感が保たれています。
緻密な筆致といい、構図や配色の大胆さといい、見応えのある展覧会です。
桜井美奈子展 NIPPON PUZZLE
9/22(月)~10/16(木)日祝休
11:00~18:00
Minako Sakurai NIPPON PUZZLE
3-9-5,Minami-aoyama,Minato-ku,Tokyo
9/22(Mon)-10/16(Thu) closed on Sunday and Monday
11:00-18:00
懐かしさとそこに潜むほのかな危うさと。
GALLERY SHOREWOODでの桜井美奈子さんの個展です。
運動場、体操服、マスゲーム。
高校までの年中行事、運動会やら体育祭やらで必ずやってたような気がする団体演技。記憶はすんなりと蘇ってくるのですが...。
桜井さんとお話ししていると、一時期の海外での生活で、日本的なものへの興味が湧いてきたとのことで、そのモチーフとしてこの運動場での団体演技の様子を取り上げたのだそう。
しかし、失礼ながら意外にも実にバリエーションに富み、一定のパターンが画面上で繰り広げられるという独特なリズム感や、土のグラウンドが醸し出すどこかうら寂しい感じなど、さまざまなイメージの惹起をもたらしてくれる作品が並んでいます。
水平線を排除し、ひとつの色面として土の色が広がる中、体操着を着た人がずらりと。
この横長の作品では、ブリッジをする人の姿がつらつらと並び、おそらく実際にこういう場面はありそうだな、と思う反面、その状況が凄くシュールに思えてくるのがなんとも不思議で。
さらに、ところどころで身体の部分が消えていたり、人によっては頭部がなかったりして、ただでさえ匿名性が満ちているなかでそういった要素も静かなアクセントとなってシュールさを加速させているように感じられます。
とにかく不思議な味わいに満ちています。
白いシャツと黒のパンツ、そこから伸びる四肢の肌の色の妖しい陰影。動きが速い場面ではなくとも、ある瞬間を捉えている感触の強さが伝わってきます。
先ほども触れた、身体の一部が消えてしまっている様子がもっとあからさまに描かれ、そのシュールさがさらに臨場感を持って迫る作品も。
押し進められる匿名性、しかしそれでも失われない気配も印象的です。
ナチュラルの仕上げによる木製の額に収められているのが、作品のともすると危うい雰囲気が出過ぎてしまうのを抑えているように感じられるのも興味深いです。
画面にさり気なく織り込まれる石灰の白線や三角の万国旗なども、それぞれの場面の臨場感を絶妙なバランスで盛り上げています。
なにより、作品それぞれが現実の光景として、しっかりと説得力を持っていることが、現実と非現実との距離感を独創的なものにしているような印象です。
このシリーズのさらなる展開、まったく違うモチーフによる展開、どちらにも期待してしまいます。
大矢加奈子“Empty Rooms”
10/3(金)~10/13(月)月火休・10/13開廊
12:00~19:00(最終日:~17:00)
Kanako Ohya "Empty Rooms"
2-5-22-1F,Yanaka,Taito-ku,Tokyo
10/3(Fri)-10/13(Mon) closed on Monday and Tuesday(10/13 is open)
12:00-19:00(last day:-17:00)
保たれ続けるクオリティと、膨らみ続けるクリリティビティ。
Gallery Jinで昨年に続いて開催されている大矢加奈子さんの個展です。
昨年の個展以来、芸大の修了制作と続いて開催されたART AWARD TOKYO、さらに現在開催されている群馬青年ビエンナーレの大賞受賞と、ここ1年でエポックなことが続いた大矢さん。今回の個展では、これまでのオレンジ系の色と背景の白との色彩感にさらに青紫系の色が加わり、そのシンプルな要素がさらに大矢さんの描き出す世界に広がりをもたらしてます。
おなじみの水まわりの光景を描いた作品。
そこにあるひとつひとつのものが緻密に、ていねいに描かれ、その場所が放つ臨場感がリアルに再現されていると同時に、ヴィヴィッドでなめらかな色調とグラデーションで洗面台と床とがひとつの色面で描かれ、さらに背景となる白の平面感とで、独特のシュールな雰囲気が生み出されているように感じられます。
随所に織り込まれる濃い赤の粒の凝縮も、妖しい雰囲気を立ちのぼらせています。
「もの」をピックアップした作品のなんともいえない味わいも魅力的です。
それがそれとすぐに分かるクリアなリアリティ、そして「何故それを?」という謎めきも、さまざまな想像を喚起してくれます。
何せ、爪切りですから。爪切りの静物画って、ちょっと思い浮かばないわけで...。
人物がモチーフとなった作品も多数展示されています。
赤と青紫で描かれる女性の肌や顔の感触は、ギリギリで分からない表情が怖いような雰囲気も仄かに漂わせているように思えます。
上の大人の女性の作品の隣に展示されている、女の子を描いた作品。
こちらの画面に収められた世界の奥行きに、ぐんぐんと引き込まれていきます。
飛び跳ねる、というよりも空中に停止しているような女の子の姿、大矢さんの真骨頂とでも呼ぶべき鮮やかで深いグラデーションに加え、筆を走らせた痕が意外にも生々しく残るスカートのフリルの部分がキラキラとラメのように輝いて見えたり、さらには髪飾りのように咲く薔薇の花や、足元にほんのりと浮かぶ椅子のシルエットなど、さまざまなテクスチャーが駆使され、それらが渾然一体となってひとつの明るく鮮やかで、なお深い世界を作り上げています。
隣り合う二人の女性の作品、一部が繋がっているような心憎い演出などもさり気なく潜んでいたりして、なおとなくひとりの女性の大人と子供の頃を同時に目にしているような気分も浮かんできます。
人物を登場させた小品では、シュールさを加速させたシチュエーションの作品が多いような印象を受けます。
さらに、ファンシーなモチーフを取り上げたものと並べて展示されていたりして、それが奏でるキュートな世界観もなんとなく楽しげで、くっきりとした像と、曖昧な風合いとがイメージの中で混ざりあう感触が心の中で膨らむような感触も。
大矢さんが描く世界は、水まわりやら身近なアイテムなどの決して特別ではないものを取り上げながらも、一度目にしたら忘れられない色調やバラエティに富んだ筆遣いで繰り広げられることでその存在のステージが上げられたような印象がするくらいに、独創的な妖しさが貫かれています。
そしてもうひとつ特筆すべきなのが、作品の「もの」としての精度。支持体に厚めの板のパネルが採用されることで、反りなどが起こり得ず、それが作品の独特な平面感に説得力をもたらしているように感じられます。
空間の白とも相まって、インスタレーションとしても孤高の雰囲気を築き上げているように感じられます。
さまざまな要素を直に目にして体感してほしいクリエイションです。
吉田和夏展「メガラニカの一顆」
9/27(土)~10/18(土)日月祝休
12:00~19:00
Waka Yoshida 'One drop of Magallanica
6-2-6-2F,Roppongi,Minato-ku,Tokyo
9/27(Sat)-10/18(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
山椒は小粒でピリリと《アート編》。
GALLERY MoMo Roppongi(「Roppongi」がついたー!(≧∇≦)ノ゛)での吉田和夏さんの個展です。
相変わらずのポップでキャッチー、ちょっぴりシュールな断層。
今回は個展で、ずらりと並んでいてもうそれは壮観の一言でございます。
いきなり手の込んだ作品が!
細かい描き込みによって、コミカルなシチュエーションが現れています。
ミニチュア感が醸し出すキュートさも楽しいです。
3点のパネルによって構成される作品。
それぞれが身体の部分を連想させるのもユーモラス、ぜんぜんグロテスクになってないのがとにかく面白いんです。
背景の無彩色のグラデーションが、宇宙を連想させる作品。
広大な空間に浮遊している、ミニチュアの風景。やっぱり断層!
赤の背景、この鮮やかさもインパクトがあって痛快です。
青の背景の作品も多数展示されています。
その色彩がそのまま空を思わせ、爽快感がぐんと広がって感じられます。
立体作品も、長い棚にずらりと展示されています。
まさしくリアルミニチュア断層。
手のひらにひとつの世界が乗る感覚もまた痛快で、さらにこのサイズが醸し出すかわいらしさもイイ感じです。
ところで、今回の展覧会のタイトルにある「メガラニカ」って何だろう、と。
吉田さんの作品に雰囲気も合っている感じで、語感といいカタカナの並びといい造語感たっぷり、という印象でしたが、試しにgoogleにかけてみると...
ウィキペディアに載ってるのか!!!Σ( ̄口 ̄;)
とまずびっくり、でもその内容を読んでみて大いに納得。
確かに「未知の大陸」というのは吉田さんの作品にぴったり。
しかし、掲載されている画像のダイナミックさを見ると、吉田さんの描くキュートな風合いもちょっと変わってきて、画面の真ん中にちょこんと浮かぶちいさな世界も、
じ
じ
実はでかいのか!!!Σ( ̄口 ̄;)
と思い、さらに、
どんだけでかいイメージに囲まれてたんだよぉぉぉぉぁおぉあおおぉおあおぉおおああ!!!Σ( ̄口 ̄;)
という風に印象がぐ~んと壮大に。
謎めきといい、それでいてやっぱりポップな遊び心はふんだんに、大きな画面の中の小さなモチーフにぎゅっと緻密な描き込みとともに詰め込まれている感じといい、とにかくコミカルな雰囲気が楽しいクリエイションです。
今年最初のグループショーで拝見して以来、吉田さんの作品を拝見する機会はたくさんあって、その度に楽しい気分にさせてくれたのですが、さてこれからどんな世界が生み出されるんだろう、と思うだけで痛快な気分が盛り上がってきます。
熊澤未来子「謎の世界へ」
9/27(土)~10/18(土)日祝休
11:00~18:00
Mikiko Kumazawa "PARANOID WORLD"
1-11-8-1F,Tsukuda,Chuo-ku,Tokyo
9/27(Sat)-10/18(Sat) closed on Sunday and national holiday
11:00-18:00
凄まじい勢いで膨らみ続けるシーン。
Gallery Art Compositionでの熊澤未来子さんの個展です。
大きなガラス張りの空間に、ずらりと並ぶ大作群。
それぞれの画面の中に、広い画面であるにもかかわらず、尋常でないエネルギーが凝縮されているかのような、エネルギッシュな光景が描き上げられています。
入口のほうに展示されている、岩彩の作品。
岩絵の具特有の土っぽい乾いた感触が、画面の中で繰り広げられるどこか殺伐とした騒々しさをさらに強く匂わせるような印象です。
熊澤さんが大学在学中は日本画を専攻されていたとのこと。
日本画の素材を用いて繰り広げられるアバンギャルドさは、油彩のそれらと比較して妖しさ、危うさの面における生々しさは幾分か抑え目に感じられ、その反面、そこに吹き荒ぶ乾いた空気の感触による、シャープでソリッドなダイナミズムがぐんと立ち上がって感じられます。
東京タワーと周辺のビル群を眼下に大暴れする輩のとてつもないおおらかさ、同時に都市の姿が緻密に描かれているところ、そのギャップが、このシュールな光景が持つただでさえ大きなスケール感に力強い臨場感をもたらしているように思えます。
先にホテルニューオータニで開催されたアートフェアでも見かけて印象に残っている鉛筆画。
これがまた、凄い勢いを内包しているんです。
何よりもまず、この広い画面を鉛筆で描き尽くしているという事実に圧倒されます。
居並ぶビル群の中で暴れまくる子供達の表情の、
脳内からアドレナリンが出まくっちゃって大変です先生!Σ( ̄口 ̄;)
みたいな感触によって、暴力的な衝動を掻き立てられるような錯覚が浮かび、眺めていて、猛スピードで焦燥感と高揚感とが同時にぐんぐんとイメージを侵食していくような。
とにかくシチュエーションのシュールさが堪らないんです。
だ
だ
脱線してる!Σ( ̄口 ̄;)
ていうかまず
浮いとる!Σ( ̄口 ̄;)
と思わずツッコミたくなるこの状況。
しかも絵の中に登場する誰もがそれ自体についてあんまり困った感じがしてないというか、むしろ、
眠ーい!
眠たーい!
というとりあえずは他者に対して危険をもたらすことはない安全な衝動が詰め込まれているかのような、このコミカルな感触もまたたまらなく痛快に思えてきます。
徹底してアクロバティックなシチュエーションで迫るダイナミックな光景。
抑えられないイメージの衝動を一心不乱に画面に投げ込み、叩き付けるような感覚で筆や鉛筆を走らせ、構築されるアグレッシブな世界は、その尋常でない勢いを強烈に感じさせてくれる大胆さとは裏腹に、繊細で緻密な描き込みやスマートな縮尺感などのていねいさも収められていて、それが、これだけシュールな展開であるにもかかわらず、どっしりとした説得力をもたらしているように感じられます。
小さな頃に思い描いていた止まるところを知らず膨らみ続ける夢のような世界、眺めているだけでポジティブな気持ちが湧いてくるような気がします。
《10/1》
青木絵里子 個展
9/29(月)~10/4(土)
11:00~19:00(金:~21:00、最終日:~17:00)
ひとつの画面にさまざまなテクスチャーが挿入され、その場面への想いの強さが際立つような、ユニークな仕掛けが興味深い作品群です。
ぼやかす筆の運びによって乱れるシルエットや輪郭、ところどころにコラージュを折り込んだり、支持体のパネルの板の質感がそのまま表出していたりと、相当に大胆な構成で繰り広げられる記憶の断片。交錯する質感の差異が、イマジネーションを刺激してくるような感触です。
なかにはキャンバスの作品もあったりしながら、良い意味での統一感の無さが、ざっくりとしたソリッドな風合いを築きあげているように感じられます。
奥の広い壁面に展示されていた大作の見応えも相当なもので。
コタツの上に置かれるさまざまなものに加え、そのコタツを囲む女の子たちの手だけが写真によるコラージュで、コタツ布団の細かい紋様は逆に手描きであったり。奥の本棚の鮮やかな彩色など、さまざまな要素がアクセントとなって、現実と記憶との間に存在する奇妙な混沌を醸し出していたように感じられたのが強く印象に残ります。
今回出品された作品は、青木さんのパーソナルなシーンがモチーフとして取り上げていたようで、それによって生み出される臨場感も、乾いた生々しさを放っているように感じられました。
さまざまな情景を独自の切り口で現した作品をぜひ観てみたいクリエイションです。
山本浩生展 ‐檻の泉の彼方に‐
9/29(月)~10/4(土)
12:00~19:00(最終日:~17:00)
水彩紙に飛び散るさまざまな色彩の飛沫。
この抽象的なかたちの縁をトレースし、さらに、作品によっては細かい具体的なモチーフを描き加えることで、独創的なクールネスを生み出しています。
紙、という支持体の魅力が、おそらく山本さんにとって無意識的に、と思うのですが、巧みに引き出されているような感触がたいへん興味深いです。キャンバスやパネルには無いフレキシブルな感触が、軽やかさを導きだしているように感じられます。
展示の大半を占める大判のドローイングはそれぞれが抗い難い普遍的なカッコよさを感じさせてくれます。
事務所のスペースも含めて数点展示されていた写真作品も面白いです。
ある部分を引き出した感じに仕上げられ、ユニークな空間性が生み出されています。
北川宏人「ポスト・ニュータイプ2008」
@東京画廊
10/1(水)~10/25(土)日月祝休
11:00~19:00(土:~17:00)
昨年の新宿高島屋美術画廊の個展も印象的だった北川宏人さん。
今回は、ほぼ実物大(という表現にはなんとなく違和感を感じるのですが...)の人物のオブジェは2点、その他、カラフルに彩色されたマルチプル作品で構築されているインスタレーションが相当にユニークな空間となっています。
テラコッタの彫刻、というユニークなアプローチで制作される人物像、今回も斬新な味わい深さに満ちています。
《10/2》
大畑伸太郎 個展「さよなら三角」
10/2(木)~10/25(土)日月火休
11:00~19:00(土:~20:00、最終日:~17:00)
初日に伺って、初日なのに、
「あぁ、あと何週間かしたら終わっちゃうんだなぁ....」
と切なくなってしまうほど。
最初に目にした瞬間のプリミティブな感動。それがいつまでも続くのです。
お願いだから観にいってくださいまし。
《10/3》
植松琢磨個展「珊瑚の森」
10/3(金)~10/26(日)
11:00~20:00
日本橋高島屋美術画廊Xでの個展が実にバリエーションに富み、ボリュームある構成だったこともあり、今回の個展がどういうふうになるか興味津々だったのですが...。
たくさんのオブジェで魅せる白い世界が実に美しく、深遠な風合いを奏でています。
さらに壁面には。動物のシルエットに無数の花が重なり広がるカラフルな写真も展示され、ファンタジックな雰囲気が満ちています。
山部宏延 "Bitter Havest"
10/3(金)~10/25(土)日月祝休
11:00~19:00
一見、つかみどころのないインスタレーション。
床に直置きされるたわんだたくさんのボード、などなど。
それらが実はタブロー。支持体も廃品となったボードを使用しているようで、とりあえずこの展覧会の初日の時点での経過を収めた、という感触の作品などが無機質に重ねて立て掛けられています。
数点は額装され、壁面に展示されていたりするのですが、額に収められるとそのざっくりとした行為の痕跡が硬質な世界を発しているように感じられるのが実に興味深いです。
海老原靖「Flow」
10/1(水)~10/30(木)日月祝休
11:00~19:00
多重人格と表現したくなるほどに、異なるテイストの作風を持ち、それぞれが強烈な世界観を持つ海老原靖さん。今回は「Lust」のシリーズの展開です。
何よりもまず、これまでにない大作に圧倒されます。あのぎりぎりの、薄紙の薄さで広がるかのような生命観が圧倒的な臨場感で迫ってきます。
小品に描かれる、ある種の鮮烈なスキャンダラスな感触も印象的です。
安田佐智種展
10/3(金)~11/8(土)日祝休
11:00~19:00
壮観です。
ビルから見下ろす地上の風景。本来であれば視線の方向、すなわち上から下へ、重力と同じ方向の動線がもたらされるのが本来のあり方だと思うのですが、安田さんの今回の作品は逆で、下から迫る、爆発的に凄まじい動線に圧倒させられます。
高山陽介展
10/3(金)~10/25(土)日月祝休
11:00~19:00
かわいいかたちが組み上げられ、塔のようになった作品がちいさなギャラリーのスペースに小気味よく並び、その合間にちいさなオブジェがぽんぽんと置かれています。気を付けないとつい踏んだり蹴ったりしそうなくらい。
木彫作品でありながら、ポップな彩色と、そこにさらに施される細やかな模様が、おっとりとした浮遊感と軽やかな妖しさを醸し出しているように感じられます。
三木サチコ「震度1の微震」
10/3(金)~10/25(土)日月祝休
11:00~19:00
FRPのオブジェ、なめらかな丸みを帯びて艶かしいフォルム、それが放つ鋭い妖しさ、危うさ。
「人」と思えるぎりぎりのかたちで、つるりとしたフェイスに描かれる目の左右の差異が醸し出す奇妙さなど、さまざまな要素がグロかわいい風合いを醸し出し、なんともえいない不思議な感触が満ちている立体作品です。
Simon Patterson 'in orbit'
10/3(金)~10/25(土)日月祝休
11:00~19:00
淡々と、どこまでも淡々と。。。
展示スペースに配されたパネル作品。一面の黒に整然と刻まれる西暦と名前。
背景の黒に仄かに、わずかに滲む白。
すべてのさまざまな要素に理知的なバックグラウンドを感じ、シンプルな配色と文字だけが醸し出す深いイメージが緊張感をもたらします。
小笠原美環 ひとりごと
10/3(金)~11/8(土)日月祝休
12:00~19:00
ダークな色調で繰り広げられる深遠な場面。
淡々としていて、それでいて重厚な雰囲気を奏でているように感じられます。
ゆったりと、豊かな空間で展示されたそれぞれの作品から伝わる気配が印象的です。
大矢加奈子“Empty Rooms”
10/3(金)~10/13(月)月火休・10/13開廊
12:00~19:00(最終日:~17:00)
昨年の個展からおよそ1年、そのときに初めて拝見して感じた、作品の精度への信頼感はそのままに、さらにより鮮やかな世界が描かれています。
これまでのオレンジと白との色彩の展開に青紫色が加えられ、さらにさまざまな筆の運びで生み出される質感の豊かさが独創的な世界観を導きだしているように感じられます。
《10/4》
SOHEI NISHINO EXHIBITION Dioramamap i-LAND
9/15(月)~10/17(金)
11:00~19:00(土日祝:~18:00)
キャノン写真新世紀展や昨年の「都市との対話」展で強く印象に残っている西野壮平さんの個展、今回は先の展示で出品されたプリントの写真作品に加え、そのオリジナルのコラージュ作品も展示され、あらためてその表現の奥深さ、ユニークさに臨場感たっぷりで接することができるのがとにかく嬉しい限りです。
さらに、カラーの作品も出品されていて、これまでのモノクロームの作品に接してその印象が強いだけに鮮烈なインパクトを放っています。
桜井美奈子展 NIPPON PUZZLE
9/22(月)~10/16(木)日祝休
11:00~18:00
運動会での体操服の子供達が繰り広げるマスゲームを描いた作品群。
このスタイルでしっかり統一された作品が多数出品され、しかも、失礼ながら意外にも相当にバラエティに富んだ展開が繰り広げられているのが面白く、興味深いです。
あの土のグラウンドと体操服の光景から滲む、なんとなくうら寂しい感触が印象的です。
debut ver.YOSHIE KAWAMURA 河村好恵展
@谷門美術
9/27(土)~10/17(金)祝休・日月:要予約
13:00~19:00
東京大丸での展覧会も印象的だった河村好恵さんの個展です。
最初に観た時はリトグラフだと思って疑わないほどの独特の味わいで繰り広げられる、ひと味違う緻密なテクスチャーの銅版画です。
今回出品されている作品は、その多くがケーキがモチーフとなっています。
かわいらしい風合いとは裏腹に、モノクロで描かれていることやどこか変な感触があったりするなどの要素により、仄かにダークな雰囲気を清らかに醸し出しているように感じられます。
アクリルのキューブにマウントした作品も面白い効果が生み出されています。
作品の平面的な感触がより引き出されたような風合いです。
銅版画でこれほどまでに余白が綺麗なのはなかなかお目にかかれないような気がします。
そしてその余白の抜けるような白さがモチーフが描かれている部分の奥行き感、立体感とのギャップを生み、背景の白さがいちばん手前に立ち上がっているような感触が、河村さんの作品のユニークさをさらに押し出しているように感じられます。
越中正人 -double word-
10/4(土)~11/1(土)日月祝休
11:00~19:00
ぶわっと膨張するように広がる鮮やかな色彩、そのエネルギッシュな力強さの隙に、そこがどこであるか、しれがいつであるかが分かる...。
不思議な構成で繰り広げられる独創的な世界観を収めた写真群。 鮮やかで透明感溢れる光景がギャラリーを満たしています。
MASAKO -MY HOME@Galerie Sho Contemporary Art
10/2(木)~11/15(土)日祝休
11:00~19:00(土:~17:00)
黒基調で描かれるさまざまな場面。
大作から比較的小さな作品まで、煤けたような風合いの奥に潜む人肌のぬくもりに触れ、これだけダークな世界が描かれているにも関らず、ふっくらとあたたかいイメージが湧いてきます。
同時にその逆、ネガティブなイメージもひとたび広がり始めたら留まるところを知らず...。
深遠な魅力に満ちた作品がずらりと並んでいます。
坂川守「ぶどうの木」
10/4(土)~11/8(土)日月祝休
11:00~19:00
どこまでも鮮やかで、キャッチーな色彩が印象的です。
展示タイトルの「ぶどう」がなるほどと思えるような作品群。丸みを帯びたモチーフがポンポンと画面に乗り、そこからさらにさまざまな色彩がヴィヴィッドに展開し、アクティブな抽象世界が描き上げられています。
Yoshimi Endou Exhibition 溢れて 固まる 涙のあと
10/4(土)~10/17(金)日祝休
19:00~
今年の武蔵野美術大学の学内での卒業・修了展示で印象に残ったアーティストのひとり、遠藤芳美さんの展覧会、見応え充分の細密表現です。
水彩紙に抽象的に広がる深い色彩。その濃淡や色面の縁のかたちなどを基にしながら、女性の顔や蝶など、さまざまなモチーフがペンによる線の凝縮によって表現されています。
縦長の大作が2点、スクエアの作品が数点。
バーなので暗い照明の中、凝視してどんどんと現れてくる無数のモチーフに圧倒させられます。
魑魅魍魎とした妖しさとともに、神々しい感触も伝わってきます。
《10/5》
第17回 奨学生美術展
10/1(水)~11/16(日)月休(月曜日祝日の場合開館、翌日休)
10:00~17:00(金:~19:00)
バラエティに富んだメディアの平面作品が揃う、毎年恒例の展覧会です。
既知、未知のアーティストの大きな作品が多数展示されていて見応えもあります。
印象に残ったのは、まず、シェル美術賞でゼロの刻印が画面に無数に施された作品が印象に残っている田中幹さん。今回もやはりゼロのスタンプを画面に押していくという作品なのですが、ここまでやられると何もいえない、というくらいに濃密な世界が繰り広げられています。ゼロのスタンプを押し続けてできあがる絵の具の重厚な盛り上がり。絵の「もの」としての存在感が重厚になる一方で、結局「ゼロ」であること、「ない」といい続けているように思えることに対して、不思議な深みを覚えた次第です。
薄久保香さんのペインティングも面白いです。
例によって巧みに目を隠した仕草の男の子がいて、後ろに机が。その机の上が海になっていて、いくつかのヨットが浮かんでいる、というシュールな場面設定が実に爽やかに、軽やかに描かれていて、その痛快さが心地よく感じられます。
大沢拓也さんのおそらく漆を多用し、その奥に緻密に描かれる塔のシルエットの独特な渋いクールネス、相変わらず膝の力が抜けるようなリラックスしたユーモアが堪らない麻生知子さんの蚊帳の中を描いた作品、小田志保さんのさまざまなテクニックが駆使されて描かれる女性など、見応えのある作品が並びます。
トモエ「Cut & Paste &」
9/27(土)~10/12(日)月休
12:00~22:00
プラモデルについてくるデカールのコラージュをモチーフにしたような、ポップなアプローチが楽しい作品群です。
ヴィヴィッドな色彩を背景とし、さまざまなかたちが重ねられ、背景に負けないくらいにヴィヴィッドに展開していきます。大きめの作品については、そのデカールのかたちを自ら切り出して構築しているのには驚かされます。
MY BODY,SURFING,SO TIRED -shade off construction- 坂川弘太、村山伸彦
@GALLERY OBJECTIVE CORRELATIVE
9/19(金)~10/5(日)9/23休
11:00~19:00
Gallery Stumpに所属する村山伸彦さんの最新のペインティングがとにかく面白いんです!
Stumpでも拝見しているのですが、あらためてこの数量でのインスタレーションで魅せられると、そのユニークな質感が立ち上がってきて、より強いインパクトを伴って感じられます。
メッシュ越しに表出する絵の具。それぞれが立体的に画面に垂直に立つようになっています。
ぱっと観た時の印象はタオルのような感触というと分かりやすく、その工芸的なテクスチャーがとにかく面白いですが、その彩色の鮮やかさと抽象的な構図の面白さがぐんぐんと迫ってくるかのようです。
抽象的な画面でありつつも、その色調などはしっかりとコントロールされているように感じられるのも嬉しいです。
"GIRLS" -vol.1- Kathleen LOLLEY,Annie AUBE,EKKO(白川悦子)
9/19(金)~10/19(日)水木休
13:00~19:00
3名の国内外の女性アーティスト3名がフィーチャーされた展覧会。
入口すぐに展示されたペインティングがとにかく良いのです。
Annie AUBEさんの刺繍も、かわいいのにブラッディ、というギャップがブラックな面白味を醸し出しています。
今村綾展
9/29(月)~10/5(日)
12:00~20:00(最終日:11:00~15:00)
Aya Imamura exhibition
9/29(Mon)-10/5(Sun)
12:00-20:00(last day:11:00-15:00)
さらにクリアに。さらにリズミカルに。
Oギャラリーでの今村綾さんの2年振りの個展です。
闇に滲む光の像を画面に捉えた作風で、それがさらにクリアになったような印象を受けます。
ふわふわと浮かぶようにして連なる、丸い光の像。
そのひとつひとつのていねいなグラデーションも鮮やかで、わずかに濃密な縁の部分が重なって連なり、それが爽やかな深みを奏でます。
そして今回出品された作品でふっと目に止まるのが、背景に登場する朧げな風景の影。さらに淡い濃淡によって醸し出される奥行き感が、光の像によって展開される淡々としてどこかポップなリズムを凛と際立たせているように感じられます。
出品されている小品、今回も魅力的な光景が並びます。
さまざまな色彩の光を捉え、グラフィカルな展開がフューチャリスティックな感触を放つ作品に加え、小さい画面だからこそ試せる実験的な構成もあったりして、ここからどんな展開が繰り広げられるかも楽しみで。
赤い光が画面全体に広がる作品。
夜空から降り注ぐような静かな紺色の背景が作品の多くに広がっているなかにあり、暖色が画面のほぼ全面を覆う作品は展示のアクセントとしても機能しているように思えます。
ふわっと広がって、闇に滲む光の様子の臨場感と、その真ん中で煌々とその姿を、より強い輪郭で晒すライトの存在感。それぞれの色彩で織り成されるそのシーンの空気の感触のギャップもいろんなイメージをもたらしてくれます。
さらに、ぐんと「引き」の構図が描かれたような作品も。
どこかの陸橋に灯る明かりを連想させてくれます。それぞれの光の球体はほぼ同じ大きさで描かれていながら、右手前から左奥へとだんだん遠くなっていく奥行き感がリズミカルに導かれているような感じで、不思議な浮遊感や、静かな高揚感に心が満たされていきます。
シェル美術賞で最初に拝見し、一昨年の個展やその後に開催されたいくつかのグループ展で今村さんの作品を続けて観てきて、その都度新たな要素が入ってきていたり、それでいて変わらない精度がしっかりと保たれていたりと、安心感と期待感とが同時に伝わります。
どちらかといえば抽象表現だと思うのですが、どこかの景色を連想させる具体性と、そこにある光の部分だけを引き出して描くことで生み出される抽象性とのバランスが心地よく、軽やかにイマジネーションの刺激をもたらしてくれるような印象です。
よりダイナミックな展開がもたらされ、そして緻密さも増していく今村さんのクリエイション、これからどういうイメージをもたらしてくれるか楽しみです。
好奇心 青山ひろゆき展
9/13(土)~10/4(土)日祝休
11:00~19:00
Hiroyuki Aoyama CURIOSITY
1-4-3-6F,Higashi-azabu,Minato-ku,Tokyo
9/13(Sat)-10/4(Sat) closed on Sunday and natinoal holiday
11:00-19:00
透明感溢れるポップな世界!
YOKOI FINE ARTでの青山ひろゆきさんの個展です。
とにかく気持ちいい!
キャンディやラムネの瓶など、そのものが楽しいイメージを持つモチーフがふんだんに盛り込まれ、そこにエンジェルが登場し、天真爛漫に、無邪気に遊び、無垢な仕草で魅せてきます。
それにしても、これはある意味やり過ぎ、遊び過ぎかと!(≧∇≦)ノ゛
ツッコミどころ満載、それがまた楽しくて楽しくて堪らない、突き抜けたポップワールド。そんな痛快なインパクトに満ちています。
入口正面に展示された、複数のパネルによる大作。
青山さんらしさに満ちた、遊び心とファンタジックな雰囲気が溢れる世界。
宙を舞うラムネ瓶の透明感、イチゴやキャンディなどの鮮やかで鮮烈な色彩のアクセント、このなかをちょこちょこと飛び回っているかのようなエンジェルの無邪気さ。広い画面だからこそ伝わるダイナミックな臨場感も清々しく、さまざまなものが浮かんでいて、そrてがある一瞬を捉えたかのようなスリリングな雰囲気も発しているように感じられます。
このスタイルの作品も堪らない!
うっすらと広がるピンク色の背景。そして、鮮やかな色彩が屈折して、妖しく艶かしい透明感を醸し出す瓶。
特にキャップが咬む部分の配色は魅力的で、その臨場感にはぐんぐんと意識を引き込んでいく引力のようなものを感じます。
そんなところにまたひとりのエンジェルが。これがまたかわいくて良いんです。
おなじみのモチーフから、青山さんらしい組み合わせのシチュエーションなど、バラエティに富んだ風合いの作品が並びます。
加えて、作品によって大胆な空間性がもたらされているのもたいへん興味深いです。
世界でいちばんキュートな静物画、そんなキャッチも思いついてしまうような。
ポップで、ドリーミーで、なんとなく懐かしさもあったりして。
さまざまな嬉しさが込み上げてくるような感じも楽しいクリエイション。
あらためて青山さんのペインティングを拝見して興味深く感じたのが、至近でそれぞれの作品を眺めると、いわゆる具象画としての精度は思いのほか甘くて、描かれているモチーフよりも絵の具の質感のほうがけっこう前面に押し出されているような感触があるのですが、これこそむしろ青山さんのペインティングの真骨頂で、ちょっと離れて眺めた時にぐんと迫ってくる臨場感、この色使い、筆遣いが奏でる微睡むような風合いを生み出し、オリジナルなものへと昇華させているような印象を強く持った次第です。
original program vol.10 岩渕華林 菅野静香
9/22(月)~10/4(土)日祝休
12:00~19:00(最終日:~17:00)
original program vol.10 Karin Iwabuchi Shizuka Kanno
2-8-18-B2F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo
9/22(Mon)-10/4(Sat) closed on Sunday and national holiday
12:00-19:00
ポップとシリアスのコントラストがまたまた楽しい、二人のアーティストがフィーチャーされた展覧会です。
まず、岩渕華林さん。
くりくりっとした黒い稜線で描かれる人物、キュートな表情も楽しく、それでいて細やかな装飾が描き込まれているなど、一見して伝わるおおらかさと裏腹に、そこかしこに潜む緻密さもまた楽しいんです。
2つの点だけで現される表情の素朴さ、かわいらしさが堪らない女の子。赤いドレスのインパクトも鮮烈に感じられます。
岩渕さんの多くの作品は、男生徒女性、そこに赤ちゃんという組み合わせの家族が描かれています。
太い線が醸し出すシンプルな雰囲気がそのままコミカルな味わいとなって、それがけっこうやんちゃなモチーフを丸く収めているように感じられるのもいい感じです。
そして、遊び心がふんだんに織り込まれているのもとにかく楽しい!
パターンを活かし、ユーモアたっぷりに豊かなバリエーションが展開されていて、それぞれの個性が際立つような描き味がまた堪らなかったりするんです。
同時に、これだけくっきりとした画像であることを考えると、意外と描いた感触がしっかりと残されているのも印象に残ります。
一転して、菅野静香はどこまでも静謐に、シリアスに迫ります。
油彩でくりひろげる緻密な描写。ダークな要素を多数登場させ、ギリギリのグロテスクさ、アバンギャルドさが発せられ、同時にジャポネスクな風味をも織りまぜて展開される世界が強く迫ります。
とにかくその細かい描き込みに意識が引き寄せられます。
それぞれが生々しさをしっかりと主張しているような凄みを漂わせながら、それでもなお保たれるひとつの統一された空気感、世界観がその画面にピンと緊張感をもたらしているように感じられます。
アバンギャルドな味わいの奥にほのかに漂うメルヘンチックな雰囲気も、菅野さんが描く世界の大事なアクセントになっているような気がします。
この画風が岩彩ではなく油彩で展開されていることの面白さ、油彩だからこそ持ち込める、乾き切らない危うさが漂っているよう感じられるのも興味深いです。
このふたりの極端ともいえるほどに異なる個性がひとつの空間にパッケージされている面白さも痛快です。
それぞれの描き味や雰囲気を、これだけ差があるとどうなんだろう、という先入観からすると意外なくらいにじっくりと堪能できる、見応えのある展覧会です。
仙谷朋子「contact #2」
9/6(土)~10/4(土)日月祝休
12:00~19:00
Tomoko Sengoku "contact #2"
1-3-2-6F,Kiyosumi,Koto-ku,Tokyo
9/6(Sat)-10/4(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
12:00-19:00
朴訥として、妖しく...。
ZENSHIでの仙谷朋子さんの個展です。
MA2 GALLERYでのグループ展でもひときわその淡々として独特な雰囲気を滲み渡らせるような焼物のオブジェ。今回もその有機的な風合いのフォルムは無論健在です。
仙谷さんのソロということもあり、空間にもたらされる統一感が仙谷さんのクリエイションが醸し出す独特な味わいに臨場感をもたらしているように感じられます。
細かく緻密に編まれた糸、それによって縛られ、吊り下げられた磁器。
浮かぶ雲、もしくは内蔵を連想させる、極端なイメージをもたらす独特なフォルムが、それらを釣り下げる糸でその全体を包み込まれ、その様子がまた妖しい雰囲気を深遠に放っているように感じられます。
壁面での展開もたいへん興味深く、ユニークに感じられます。
壁面からこんもりと盛り上がるようにして設置されているものもあれば、反対になり、内側をこちらに見せるようにして壁面に埋まっているものもあり、特に壁面に対して「凹」の部分がたいへん不思議な感覚をもたらしてくれます。
わざわざこのインスタレーションのために壁面から設置した、ということのようなのですが、それにしてもこのアクロバティックな感覚、奇妙な世界に紛れ込んでしまったような錯覚といったら...。
黒と白、表と裏。
それぞれ相反する要素がひとつの空間にいくつか、コロニーを作るように展開され、仙谷さんのクリエイションのユニークさを際立たせています。
そこかしこに見受けられる陰影、それらが導き出す濃淡の美しさも印象的です。
仙谷さんが作るオブジェは、そこにひとつあるだけで充分にその空間に作用し、不思議な世界をふわふわと引き寄せ手くるような印象です。
磁器としての素朴さや、釉薬による艶やかな感触、もこもことした有機的なフォルムなど、作品から見受けられるさまざまな要素のひとつひとつが混ざりあって、オブジェそのものの存在感も独特なものへと押し上げ、具体的な言葉がなかなか見つからないんですけどなんだかあたたかくて、ほんのり知的でユーモラスで、そばにあると何故だかほっと和めるような不思議さに満ちているように感じられます。
そんな不思議な魅力が静かに溢れる作品によってインスタレーションされた今回の個展、壁面をこの展示のために設置しただけあって、空間そのものがオブジェ化してしまっている痛快さが思い浮かんできます。
体全体で感じ、この不思議な空気に包まれ、なんともいえない心地よさがゆっくり、じわじわと心に響いてくるような展覧会です。
矢津吉隆「Holy and Commom」
9/20(土)~10/25(土)日月祝休
12:00~19:00
Yoshitaka Yazu "Holy and Commom"
3-3,Wakaba-chi,Kashiwa-shi,Chiba-ken
9/20(Sat)-10/25(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
12:00-19:00
回転運動が放つアーティスティックな光。
TSCA KASHIWAでの矢津吉隆さんの個展です。
矢津さんはあのANTENNAの元メンバーで、主にドローイングを担当されていたそうなのですが、今回の個展ではまさに一転、さまざまなものを回転させ、そこに現れる像の美しさ、鮮やかさをアーティスティックに提示するという、実にドリーミーなインスタレーションを展開しています。
まず、吹き抜けの部分に設置される、花畑。
どこかのんびりとのどかでありながら、回転のスピードのヴィヴィッドさが、コンクリートむき出しの空間が放つソリッドな雰囲気に鮮烈に立ちのぼります。
階段を上がって2階のロフトへ。
いつもと異なり、壁面などが真っ黒に塗られた空間。
壁に設置されたキューブのなかで、さまざまなものが高速回転しています。
何せ回転しているので分かりにくいのですが、目を凝らして観てみて、予想外の物が回っていることに驚かされます。
思いもつかない手法によって引き出される美しさ。ただ単に回転させているだけ、そのシンプルな手法が逆に大きな意外性を導き出しているような印象で、感心や感動がふわっと広がり、心地よい高揚感に包まれます。
続く長いスペースには、写真作品が展示されています。
被写体は、先ほどの回転体。静止画に収められた時の美しさもひときわ鮮やかです。
平面に収められる残像、そのフォルムが放つフューチャリスティックなシャープネス。
静止画だからこそ感じ取れる、揺らぐような、溶けるような光の広がり、滲みによって提示去れるさまざまな光の色彩の表情。この鮮やかさへ至る道程に思いを馳せてさらにイマジネーションは刺激され、それ以前に美しいものを美しいと、かっこいいものをかっこいいと感じるプリミティブな感性で楽しめる一角です。
最後のスペースは暗室になっています。
そして、これまでは基本的に既成の物を回転させた作品でしたが、ここからは作品そのものが発光し、回転、それが実に鮮やかで、シャープな微睡みを提示してくれるかのような感触が堪らない空間となっています。
ここで展示されている作品すべて、回転する羽のようなものに設置されたダイオードがランダムに発光し、その表情を変化させながら、さまざまな光景が導き出されています。
まず、入って左、床置きにされた3点の赤い回転体。
ひとつの色彩、しかも赤、という強く深い色。3つの回転体がランダムにさまざまなかたちの組み合わせを提示し、変化が更に複雑に提示されています。
ランダムに光の色も変えていく、壁面に設置された作品。
色の変化がとにかく楽しく、加えてかたちの変化もイマジネーションを刺激してきます。
少し高い位置に設置されている、小さめでひときわ強く鋭い白色の回転体。
光そのものの強さが、強烈な存在感を放っているように感じられ、シンプルであることがかたちの変化を臨場感たっぷりに展示してくるような感じです。
いちばん奥の壁面に設置されている巨大な(敢えてこの言葉で表現させていただくと)謎の重機。
このサイズ、連続作動はおよそ10分で、ひとたび回転が始まると、その風圧もリアルな臨場感を醸し出します。
そして、さすがにこのサイズだけあって、迫力もケタが違うような印象です。
変化もさらに複雑で、最初はシンプルなフォルムを提示ししていながら、時間が経つにつれてランダムにさまざまな光景を提示してきます。
とにかく見応えのある展示です。
回転する作品は、写真だとやはりその臨場感が伝わらず口惜しい限りなのですが、ぜひとも足を運んでいただいて、このユニークなクリエイションに直に触れていただきたいです。
モーターやダイオードなど、テクノロジーを駆使しながらも、アートがアートとして面白い大事な要素である「手仕事」だからこその面白さ、さらにそれが手法やアイデア、技術の提示だけに留まらず、動くそれぞれの作品を観ていて斬新な刺激をたっぷりと受けた次第です。
冒頭で矢津さんがANTENNAのドローイングを多く手掛けられたと書きましたが、今回の個展でも事務所にタブローが展示されていて、これも実に良い味わいなのです。
ひとりのアーティストが持つ奥行きとしては相当な深さを感じます。
これからの展開もすごく楽しみです。
《9/25》
姉川たく you重力未訂正衛星「ねけだせれない」
9/26(金)~10/13(月)火休
12:00~21:00
NANZUKA UNDERGROUNDでの個展で発表された、アートとカルチャーの両シーンを貫くようなクリエイションがとにかく痛快だった姉川さん、今回はがらりと雰囲気を変え、Gallery efの深遠な空間でのインスタレーション。
1階と2階とがリンクし、どこか宗教的な感じさえ漂う、高貴さとアングラ感じとが混ざりあった空間が作り出されています。
《9/26》
堂本右美「After All」
9/26(金)~10/25(土)日月祝休
11:00~19:00
背景に広がる鮮やかで突き抜けるような透明感と壮大さ、その表面に展開される白い線。抽象的な絵から伝わるイメージは実にクリアで、爽快な感触に充たされます。
大作がそれぞれの壁面にゆったりと配置され、さまざまなサイズの作品により、ひとつの凛とした統一感のなかで豊かなバリエーションが繰り広げられています。
佐々木憲介
9/26(金)~10/18(土)日月祝休
11:00~19:00
多彩なモチーフ、さまざまな筆使いによって繰り出される風合いの豊かさ。
先に開催されたオープニング展でレコメンドされ、独特な味わいを奏でていた佐々木さん。多数の組作品による展開で、深いイメージの刺激がもたらされるような印象です。
《9/27》
TWS-Emerging107 日置智也「Internal Flower -continuity solids-」
9/27(土)~10/19(日)月休(月曜日が祝日の場合開廊、翌日休)
11:00~19:00
薄暗い展示室内を覗くと、そこには何やら謎めいた浮遊体が...。
圧巻のオブジェです。
アルミニウムのリングとメッシュを用いて組み上げられたパーツ、それらをさらに繋げあわせ、巨大なオブジェを構築しています。
至近で眺めてみると、パーツの臨場感が力強く伝わってきます。
壮大なスケール感がとにかく気持ちいいんです。
展示室1室の隅々まで作用する巨大なオブジェ、これだけでも充分に大きいのに、さらに大きなもの、広大な風景のイメージが思い浮かんできたり、白の美しさ、神々しさも際立って感じられます。
加えて、シルエットも実に美しい静謐感をたたえているように感じられた次第です。
TWS-Emerging109 笹田晋平「法華経フォン・ド・ボー」
9/27(土)~10/19(日)月休(月曜日が祝日の場合開廊、翌日休)
11:00~19:00
とにかくその圧倒的な筆致に見入ってしまいます。
朽ち、古くなったかのような仕上がりの画面。そこに登場するさまざまな神様(?)の側に貼られるようにして描かれた札には、さまざまな肉だの料理だのの言葉が書いてあってそれがとにかく最高で。
緻密な筆致によって表現される仏様、圧巻の筆致でつらつらと綴り描かれます。
そして、
に
に
肉か!Σ( ̄口 ̄;)
肉なのか!Σ( ̄口 ̄;)
なんかもう全力で呆れるほどに圧巻の筆致で描き上げられた、霜降りの牛肉。
なんてったって、遠めから眺めた限りでは、肉にちゃんと見えるから面白いのです。
熊澤未来子「謎の世界へ」
9/27(土)~10/18(土)日休
11:00~18:00
ずらりと並ぶ大作、日本画の画材を使用した少し前のスタイルのものと、ニューオータニでのアートフェアにも出品された鉛筆画、それぞれが画面に納まりきれないくらいのイメージの膨らみを感じさせてくれる、スケールの大きな展開が迫ります。
original program vol.10 岩渕華林 菅野静香
9/22(月)~10/4(土)日祝休
12:00~19:00(最終日:~17:00)
二人の女性アーティストをフィーチャーした展覧会です。
岩渕さんの飄々とした風合いで描かれる人物、家族の痛快で愉しげなポップさ、菅野さんの、緻密な描写で繰り広げられる、おどろおどろしさも湛えた深く妖しさい世界。どちらもインパクトがあり、コントラストもシャープに提示されています。
狂った一頁02:問谷明希
9/24(水)~10/11(土)日月休
13:00~19:00(最終日:~17:00)
Gallery TEOでの展示の記憶も新しい問谷さん、今回はコンパクトな空間での個展。
前回と比較すると、明るさ、何を描いているかがより具体的になったような印象です。
1点だけ出品されている立体の作品も、妖しい雰囲気を静かに発散しています。
流れるような動線、そこに有機的な抽象性が、立体という、よりイマジネーションを具体的に刺激する媒体で提示され、彩色されていないシンプルな外装でありながら、じっくりとした存在感を感じさせてくれます。
抽象表現の可能性がそれぞれの画面から鮮烈に発せられているような気がします。
爽やかな色彩の多用とそれらの重なりが、抽象であることの重々しさから解放されているかのような印象も湧いてきます。
衝動的な感触と、繊細な風合いとが同時に伝わって、広がりと収まりとが整える心地よいバランスと、それでいてやはり抽象であることの危うさと、さまざまなかたちで想像を刺激してくるような感触です。
好奇心 青山ひろゆき展
9/13(土)~10/4(土)日祝休
11:00~19:00
相変わらずのポップさ、キュートさがたまらない!
キャンディーなどのお菓子が例によってふんだんに登場し、そんなファンシーなシチュエーションで無邪気に遊ぶエンジェルが、ぱっと軽やかで、でも深い世界を紡ぎ上げています。
廣瀬遥果 Arcadia
9/27(土)~10/22(水)日祝休
10:00~19:00
紺色のモノクローム。切り取られる場面はさまざまで、しかしその深い色調によってシャープな統一感がもたらされています。
並ぶ写真な1点1点、風だけが吹き抜けるような草原のうっすらと広がる淡い青の繊細な風合い、たくさんの履き物でぎっしりと埋め尽くされた玄関の、人の気配をも封じ込めたような濃密な青、アルバムの1ページを捉え、セピア風の渋味をかもし出す濃淡など、画面によっていろんな表情かがもたらされているのも印象的です。
色彩が奏でる深遠な雰囲気に時間を忘れて浸り、心の中で物語を紡いでいきたい、そんな写真展です。
吉田和夏展「メガラニカの一顆」
9/27(土)~10/18(土)日月祝休
12:00~19:00
もうお馴染みのキュートな断層。今回もユーモアたっぶりに展開、緻密な描き込みと背景のおおらかで深く、鮮やかなグラデーションが、コミカルでちょっとシュールな世界を作り出しています。

