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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報
2008年11月アーカイブ

メインスペースと、エレベーターすぐのスペースでコンパクトに展開される「DICE PROJECT」。magical,ARTROOMのそれぞれのエリアで行われている個展、恵比寿移転以来毎度面白いのですが、今回もそれぞれが個性を発揮していて嬉しい!

[roller coaster island]村上滋郎

magical,ARTROOM

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F

11/1(土)~11/30(日)12:00~20:00

村上滋郎081101.jpg

Jiro Murakami "roller coaster island"

magical,ARTROOM

1-18-4-3F,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo

11/1(Sat)-11/30(Sun)

12:00-20:00

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まず、村上滋郎さんの個展から。

アングラ感溢れる幻想世界が広がるペインティングがずらりと並ぶ中、コーナーに設置されたレコード盤のオブジェに目が向かいます。

重なるレコード、それぞれに小さな緑とプラスチックによるジオラマが設けられていて、池上永一氏の小説「シャングリ・ラ」の積層都市アトラスのちっちゃい版を連想させます。

で、近寄るといきなり回転して

!Σ( ̄口 ̄;)

となるワケですが...。

随所に持ち込まれたプラモデルのランナー部分が素材としての実感をもたらし、ジオラマとのギャップが生まれて、不思議な縮尺感が脳裏に浮かびます。

村上滋郎05

このジオラマがモチーフとなったようなペインティング群。

垂れる絵の具の痕跡や散らばるる飛沫が醸し出すアバンギャルドなテクスチャーのかっこよさ、加えて平面に納められることで奥行きや立体的な展開がダイナミックに挿入され、壮大に展開されるいスケール感が痛快です。

そういった中にほのかにメランコリックな風合いも織り交ぜらているような印象もあり、鮮やかさとにブザ、様々な風合いが混在する光の表現と相まって、実に不思議な味わいの世界が繰り広げられています。

村上滋郎02 村上滋郎03 村上滋郎04

村上滋郎01

個人的には上に掲載の全体が深いグリーンの作品の印象が強くて、全体も緑の印象を持ち帰ってきているのですが、小さめの作品での黒い背景も、さまざまな意味での「闇」を連想させ、物語性を膨らませてくれるような印象を覚えます。

村上滋郎07

村上滋郎06

続いて、Hyon Gyonさんの個展へと。

[いよいよ]Hyon Gyon

magical,ARTROOM

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F

11/1(土)~11/30(日)

12:00~20:00

HyonGyon 081101.jpg

Hyon Gyon "Iyo-iyo"

magical,ARTROOM

1-18-4-3F,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo

11/1(Sat)-11/30(Sun)

12:00-20:00

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まず、エレベーター正面に設置されたモニターで上映されていた映像作品に引き寄せられます。

TWS本郷での個展でも映像作品は上映されていましたが、スローなテンポで妖しさを充満させながらゆらゆらと流れる時間と、そこで繰り広げられるシュールな行為とに煽られ、さまざまな「なぜ・・・?」が妄想を思い起こさせます。

Hyon Gyon 20 Hyon Gyon 19

Hyon Gyon 18

コーナーの壁面にびっしりと飾られたインスタレーション。この圧巻な風合いも強く印象に残ります。

無数の包丁、そのあからさまな危なさ。それらを過剰に彩る装飾が放つ幻想的な絢爛の風合い。

ただ単にものを詰め込んだイージーなアプローチで、しっかりとクリエイションの導入となって迫り、このあと続くペインティングとしっかり響きあう構成が印象深いです。

Hyon Gyon 01

Hyon Gyon 02

そして、ずらりと並ぶ大作群。

独特の世界感を充満させ、それはもう圧巻です。

しかし、TWS本郷で拝見したときのあの暗めの照明の中に浮かび上がって、それでいてその果てを掴ませないような、どこまでも広がり続けるような妖しい気配が演出された空間から一転し、今回の個展では明るい照明での展示が行われ、Hyon Gyonさんの鮮やかな色彩感、シャープな筆致などの、これまでだと雰囲気に呑まれて気付けなかった美しさ、面白さが全面に押し出されているような感じです。

そして、髪の毛や刀などといった要素の持つイメージがもたらすちょっと怖いような物語性の印象がほどけ、天真爛漫で、実は相当な「おかしみ」、もっというと「笑いどころ」「ツッコミどころ」に満ちているように感じられたのも大変興味深いです。

Hyon Gyon 05 Hyon Gyon 06 Hyon Gyon 07

Hyon Gyon 10 Hyon Gyon 09 Hyon Gyon 08

Hyon Gyon 04

ひとつひとつの美しい筆致への感嘆、大胆な描きっぷりの痛快さ。

妖しさとおかしみとのコントラストが奏でる不思議な世界観。

その面白みのひとつひとつがポジティブな高揚をもたらします。

Hyon Gyon 13 Hyon Gyon 16 Hyon Gyon 14 Hyon Gyon 15

Hyon Gyon 11

無論、全体を覆うおどろおどろしさも大きな魅力のひとつです。

以前、ラジオで聞いた話で、米国人が日本のホラー映画を観て「なんでアタック(攻撃)しないんだ?」と強く疑問に思ったそうなのですが、まさに日本的、もとい東アジア的な感性による、心に訴える怖さも随所に織り込まれているように感じます。

しかし、Hyon Gyonさんの作品には、少なくとも僕の記憶ではこちら側の誰かが何らかの形で攻撃されたり、なんてことがないのはもちろん、刃物があれだけ登場していても刃傷を連想させる要素はたしかになく、このことに気付かされたのも面白く感じられた次第です。

そう思い始めると、Hyon Gyonさんが描き上げる世界は実にファッショナブルに感じられます。

無数の刃物はそこに多少の「守護」の思いは詰まっているかもしれないですが、むしろアクセサリー的に思えてきます。

遊び心がふんだんに詰まった不思議な世界、そこに織り込まれるさまざまな絢爛。

もっとダイナミックな展開も観てみたい、そんな好奇心も沸き起こってきます。

Hyon Gyon 03

保井智貴「capsule」

MEGUMI OGITA GALLERY

東京都中央区銀座5-4-14 銀成ビル4F

11/4(火)~11/29(土)日月祝休

12:00~19:00

保井智貴081104.jpg

Tomotaka Yasui "capsule''

MEGUMI OGITA GALLERY

5-4-14-4F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

11/4(Tue)-11/29(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

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フューチャリスティックに塗り替えられる漆芸のイメージ。

MEGUMI OGITA GALLERYでの保井智貴さんの個展です。

保井さんの作品をこれまで拝見してきて、分かっていてもその風合いが漆芸で表現されていることに驚かされます。

どうしても漆というと、伝統工芸から連綿と続く一貫したスタイルを思い起こさせ、無論そちらの流れに属する作家の作品でも感動を得たことはあるのですが、保井さんの作品は、その工芸的にも高度なスキルでフューチャリスティックな雰囲気をシャープに充満させ、漆であることの驚き、漆だからこその工芸的な、また素材的な味わい、そして一貫したスタイルの強靭さなど、さまざまな要素のひとつひとつが新鮮な響きを奏でているように感じられます。

入り口の扉を開けると正面、女性の立像と対面します。

すらりと立つ姿の凛とした風合い、硬質な表情が放つ鋭い雰囲気。

纏うワンピースとブーツに緻密な螺鈿が施され、その細かい正方形のセルがずらりと並んで美しいモザイクのような鮮やかさが奏でられます。特にブーツの格子模様と、つま先の平滑な面におけるシャープさが、リアリズムを臨場感たっぷりに醸し出す立像のなかに未来的な感触を鮮烈にもたらしているような印象を受けます。

また、漆らしい色使いも印象的です。ブーツの金色、頭髪の渋い色調など、シンプルな色の構成が発するコントラストは実にスマートに感じられ、そこに過剰な「奇を衒う感」が感じられない、絶妙な違和感が存在しているように思えるのも興味深いです。

保井智貴03 保井智貴04 保井智貴02

保井智貴01

壁面に設置されたアクリルケースに納めらたミュールにも魅せられます。

無機的な造形が高められ、そのかたちを構成する様々なかたちがシャープな印象をもたらし、かたちの鮮烈さ、かっこよさに感嘆させられます。

そしてもちろん、施される螺鈿の精度などのアクセント味わい深いです。

保井智貴06

保井智貴07

たった3点で組み上げられた、独特のシャープな雰囲気に満ちた世界。

ぱっと明るいコンパクトな空間にもたらされる絶妙な配置の妙。素朴、というよりむしろ過剰に醒めたような印象の表情は、木彫の温もりとも石彫の重厚さとも明らかに違う、そしていわゆる一般的な漆芸から思い浮かぶイメージからもっとも乖離した、独創的な雰囲気を醸し出します。

前回の個展で拝見した小動物の作品なども合わせ、実に貴重な個性だと思います。

強固に貫かれるワンアンドオンリーのスタイルがこれからどんな広がりや方向性を放っていくか、興味深いです。

保井智貴05

《11/21》

鈴木雅明展 -Untitled 2008-

BUNKAMURA GALLERY

東京都渋谷区道玄坂2-24-1

11/19(水)~11/26(水)

10:00~19:30

鈴木雅明081119.jpg

フューチャリスティックな雰囲気を奏でながら、独創的な階調の解釈で街灯や窓から滲む夜の光を表情する鈴木雅明さん。昨年に続いて開催された今回の個展では、大胆な色使いが幾分か抑えられ、今までより随分とアダルトな風合いが深々と空間を満たしているように感じられたのが印象的です。

森淳一 minawa

void+

東京都港区南青山3-16-14-1F

11/22(土)~12/20(土)日月祝休

14:00~19:00(土:12:00~)

森淳一081122.jpg

あのコンパクトな空間に、たった2点。しかしそれだけでも充分に、見応えのある展示です!

木彫の、彫刻の可能性について、その先入観を鮮やかに、そして静かに崩してくれ、深い驚きに満たされます。

MY Harmonious Exhibit 2008 大矢加奈子 佐原和人 永井桃子

Shonandai MY Gallery

東京都港区六本木7-6-5 六本木栄ビル3F

11/21(金)~11/28(金)

12:00~19:00(最終日:~17:00)

MY Harmonious081121.jpg

よく知る3名のアーティストがパッケージされたグループショー。

佐原和人さんは丸の内での展示の再構築を基に、新作も交えて構成。あのとき体感したシーンがかたちとシチュエーションを変えて、また新鮮な感触をもたらしてくれます。

永井桃子さんは、ウサギのシリーズで構成。花の作品とはひと味違って、ファンタジックな物語性がおおらかに、そして穏やかに奏でるられています。

大矢加奈子さんもお馴染みの世界観ながら、背景にすべてを吸い込むような黒を採用した小品のインパクトが印象に残ります。

松本尚「うずまき」

SCAI X SCAI

東京都港区六本木6-8-14 Patata六本木203

11/21(金)~12/20(土)木金土のみ

12:00~19:00

松本尚081121.jpg

入り口から続く壁全面にドローイングがプリントされた壁紙が貼られ、それがいつもの雰囲気に大きな変化をもたらしています。

そして、ペインティングの独特のマチエルで淡々と、かつほっこりと醸し出されるファンタジックな物語性にも魅入られます。

“白”展 The White 大西伸明 セルジオ・カラトローニ 樋口明宏 彦坂敏昭 ローラ・ランカスター

MA2 GALLERY

東京都渋谷区恵比寿3-3-8

11/21(金)~12/20(土)日月祝休

12:00~19:00

白展081121.jpg

こういうシンプルの色調のテーマでの構成が実に巧みで素晴らしい空間。今回はもっともさまざまな解釈が可能な色のひとつである「白を取り上げそこかしこに静かな発見が隠れていて、それをそっと見つけていくのが楽しいんです。

若野桂 Black Market

GALLERY SPEAK FOR

東京都渋谷区猿楽町28-2 SPEAK FOR B1F

11/21(金)~12/3(水)

11:00~20:00(最終日:~18:00)

若野桂081121.jpg

シャープなかたちとヴィヴィッドな色彩、そしてそこにユーモアとハイセンスが加えられ、鮮やかなデザインが広がります。

実際の広告にも使われた作品など、観ていて楽しい展覧会です。

《12/22》

シェル美術賞展2008

代官山ヒルサイドフォーラム

東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟

11/12(水)~11/24(月)

10:00~19:00

シェル美術賞081112.jpg

面白かったです!

フレッシュな個性の発見、その新鮮な嬉しさが昨年、今年とよりいっそう増えたような印象です。

シェル美術賞には、ある傾向を感じ、その中で立ち上がってくる個性への興味はもちろん、そういった方向性の中に鮮烈な開くsねとをもたらすクリエイションも随所に見受けられたり。

特に印象に残っているのが、瓜生剛さん、丸子万葵さん、小林麻美さん、小山暁雄さん、笠井麻衣子さん。個展を開催中のサガキケイタさんもすごかった!

城戸悠巳子 個展“ビ・ビ・ビ”

YOKOI FINE ART

東京都港区東麻布1-4-3 木内第二ビル6F

11/22(土)~12/6(土)日祝休

11:00~19:00

城戸悠巳子081122.jpg

ベルベットのようなふわふわとした質感、同時にしっとりとしたなめらかな風合い。

描かれるさまざまな情景に淡く繊細に綴られる、現実的な、またはあからさまにシュールなシチュエーションやストーリー性も、こちらのイマジネーションをゆりやかに、そして鋭く刺激してきます。

Ultramarine Tadashi Hirajkawa Exhibition

GALLERY KINGYO SD602

東京都文京区千駄木2-49-10

11/18(火)~11/23(日)

12:00~19:00(最終日:~17:00)

平川正081118.jpg

昨年のムサビからほど近い場所での公開アトリエで拝見し、その大胆で緻密な木彫作品の製作途中の状況を目にして、これがどうなるんだろう、と興味津々だった、平川正さんのクリエイション。

あれから1年、今回の個展でその完成形を拝見し、その力強さに圧倒させられた次第で。

平川正02 平川正03

平川正01

ダイナミックに彫り上げられたクラゲの木彫作品。

大胆な配色のもの、木の質感を全面に押し出したものとそれぞれの風合いが興味深く、なによりゆらゆらと揺らめかせる足の感じがしっかりと、しかも複雑緻密に再現されているだけでなく、かさの部分の空洞などもしっかりと再現されていたりして、充分な見応えがとにかく嬉しいいです。

平川正05 平川正06

平川正04

他にドローイングや面の作品もあり、このスキルと大胆さがどんな作品を製作していくかを想像すると好奇心がグンと盛り上がってきて、もっといろんなこれからの展開も楽しみです!

平川正07

コイズミアヤ -瘡蓋の中-

Gallery Jin

東京都台東区谷中2-5-22 山岡ビル1F

11/21(金)~11/30(日)火休

12:00~19:00(最終日:~17:00)

コイズミアヤ081121.jpg

ナチュラルな木の色や木目も鮮やかに白い空間に映え、それらが奏でるファンタジックな感触も、爽やかな心地良さをこの空間にを満たします。

遊び心もふんだんに織り混ぜられた作品群によるインスタレーションは、程好く理知的な感じがするのも興味深いです。

まず入り口すぐに、これまでのキューブを基調とした作品がお出迎え。

コイズミアヤ010

メインスペースには、爽やかな木の色が心地よい空間が創り出されています!

それぞれ、身近な家具などを基に、そこから積み重ねられ、構築されていくイメージの過程も楽しく感じられる作品たち。

丸椅子の上にそびえる塔。

ていねいな作り込みのリズムが楽しいです。

コイズミアヤ003 コイズミアヤ002

コイズミアヤ001

引き出しの上の建造物もまた、緻密な構造に好奇心がぐっと引き寄せられます。

コイズミアヤ005

コイズミアヤ004

ほぼ中央に置かれているテーブル。

ナチュラルな木目が目にやさしく、手作りの感触が素朴な風合いを奏で、それだけで心地よいのですが...

コイズミアヤ007

その中央の膨らみ/窪みに施されるお城のような情景がわくわくるするようなシーンを紡ぎ出し、いろんなイメージが湧いてきて堪らないのです。

コイズミアヤ008

奥の小部屋には、おもちゃのダイヤブロックで作られたかたちがずらりと。

ひとつの部品から自然に思い浮かぶ、最短距離の「かたちの解決」を導きだしたような感じで、このシンプルさが木の作品にも活かされているような感じも大変興味深いです。

コイズミアヤ009

木彫のナチュラルさ、素朴さと、コイズミさんのシンプルなクリエイティビティが心地よく響きあっている様子が爽快です。

それらがGallery Jinの清潔な白さが満ちるコンパクトな空間に清らかに響いているのがなんとも嬉しいインスタレーションです。

コイズミアヤ006

竹川宣彰

OTA FINE ARTS

東京都中央区勝どき2-8-19-4B

11/22(土)~12/20(土)日月祝休

11:00~19:00

竹川宣彰081122.jpg

エレベーターの扉が開いて飛び込んでくるほぼモノトーンの光景の圧倒的なボリュームにまず驚かされます。

実に緻密に、そして大胆に組み上げられたインスタレーションと、これまた緻密な構成のペインティング群が奏でる分厚い時間のイメージとユーモア、さまざまな情報が絡み合って迫ります。

《11/23》

Art Program Ome 2008 空気遠近法・青梅-U39

@青梅織物工業協同組合施設、東京都立青梅総合高等学校・講堂

11/9(日)~11/24(月)

11:00~17:00

空気遠近法 ・青梅081109.jpg

クレジットされているアーティストを見て、これは観ねば、と思い立ち、行ってきた次第。

なんとなく国分寺と八王子の間くらいに思っていた青梅があんなに遠いとは(汗)

もとい、まず、青梅総合高等学校講堂、長い廊下の両壁面に展示された木島孝文さんのダイナミックな深遠さを重厚に放つ、ほぼ「壁画」と呼んでいいインスタレーションを通り、奥の部屋に展示されていた小林耕二郎さんの圧巻の作品に呆然。雪に覆われた山肌の一部を切り出して再構築したような作品のダイナミックな動線は壮大なイメージをもたらしてくれます。他の素材と質感とのギャップを提示した作品群のユニークさも印象的です。

外庭の馬場稔郎さんのインスタレーションも面白かったです。建てられた小さな井戸、ふたを開けて覗くとそこにカエルの彫刻が。なかなかユーモラスな構成が何とも楽しくて味わいがあって。

南条嘉毅さん、今回は平面作品はなく、ほぼ廃屋となった部屋に土を持ち込んでのインスタレーション。随所に細やかなテクスチャーを持ち込んでそれがアクセントとなり、南条さんのスタンスの基点を知ることができた気がして、貴重な体験をさせていただいた次第です。

《11/24》

TOKYO CONTEMPORARY ART FAIR 2008

東京美術倶楽部「東美アートフォーラム」

東京都港区新橋6-19-15

11/22(土)~11/24(月)

11:00~18:00(最終日:~17:00)

TCAF2008.jpg

昨年に続いて開催のTCAF。

2回目ということもあり、この空間での展示に熟れた印象があり、昨年よりもじっくりとそれぞれの作品やギャラリーの面白さがしっかり表われていたように感じられたのがまず嬉しかったです。

印象的だったのが、まずGallery Shorewoodでの日根野裕美さんと山科理絵さん。それぞれいつもとほんのり違うテイストで、日根野さんのふわりとした風合いと、山科さんの渋い色彩と緻密な描き込みで描かれる落ち着いた絢爛とのコントラストが絶妙に響きあっていました。

また、GALLERY IDFではよく知るアーティストの作品に混じって佐藤香菜さんの作品が面白かったです。繊細な色合いで描かれる、ほんのりと危うさを秘めたような微睡み揺らめく景色、そこに刺繍で描き上げられる花の鮮やかさとコントラストが、ユニークな雰囲気を紡ぎ上げていました。

観られてホントによかったのが、YUKARI ART CONTEMPORARYの田代裕基さんの彫刻。再び登場の雄鶏の大作は、天を突き空を裂くように広がる尾の羽のダイナミズムと、深い色彩で染め上げられた沈み込むような質感とが、ちょっと暗めのこの空間に合い、生み出される壮大な雰囲気を体感できた次第で。

DOUBLE CHRONOS

Zuishoji Arts Project -ZAP-

東京都港区白金台3-2-19 瑞聖寺内

11/15(土)~11/24(月)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

DOUBLE CHRONOS 081115.jpg

5組6名のアーティスト、それも相当に興味深いクレジットがどんな展覧会になっているか興味をそそったのですが、ますは大巻伸嗣さんの「ECHO」が床に広がり、そこに東恩納裕一さんの蛍光灯のオブジェが下がるというなんともゴージャスでそれぞれの色がシャープなインパクトを放つ空間をしばし体感。

続いて水木塁さんの水面と、高木正勝さんの映像とのコンボも深遠な雰囲気が創り出されていました。正面に映される高木さんの映像が水木さんの水面にも映し出されていましたが、鋭い展開と揺らめくような艶かしさの同居が印象的な映像を敢えて逆さに上映して、水面に映るものの天地を合わせるようにした状態でも観てみたいような気がしました。

大西麻貴さんと百田有希さんによる野外でのインスタレーションは、雨で中に入ったりすることが出kなかったのは残念。機会があればあらためて体感したいです。

《11/25》

小村希史 絵画・素描

MUSEUM at TAMADA PROJECTS

東京都中央区月島1-14-7 旭倉庫2F

11/25(火)~12/20(土)日月休

12:00~19:00

小村希史081125.jpg

今年の春にこちらで開催されたグループショーで、そのアグレッシブな筆緻とアバンギャルドな色彩と構図で強烈なインパクトを受けたことが今だに生々しく思い出せる、小村さんのペインティング。今回は個展で、メディアも含めて実にバリエーションに富んだ構成がなされ、あの世界が低い重心と説得力に満ちた動線で、観る者の意識を呑み込みます。

《11/26》

池田学展

MIZUMA ART GALLERY

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F

11/26(水)~1/17(土)日月祝・12/27~1/7休

11:00~19:00

池田学081126.jpg

(≧∇≦)ノ゛

山本竜基展「私心景」

ミヅマ・アクション

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル5F

11/26(水)~1/17(土)日月祝・12/27~1/7休

11:00~19:00

山本竜基081126.jpg

並ぶ大作が放つユーモア、その一方で、鉛筆で描かれた作品、特にたったひとりだけ、うずくまる自画像の重く深遠な雰囲気に、意識が沈み込んでいくような感触が心を満たします。

《11/27》

Janaina Tschape "Moon Blossom"

nca|nichido contemporary art

東京都中央区八丁堀4-3-3 ダヴィンチ京橋B1

11/27(木)~12/20(土)日月祝休

11:00~19:00

Janaina Tschape081129.jpg

おおらかに空間を彩る大作、そこからほとばしるみずみずしさ。

プリミティブな感触に溢れ、膨らみ続ける想像が放つダイナミズムも、とてつもなく痛快に感じられます。

NEXT DOOR vol.8 松上剛 中坪弓子 佐藤梢 菊地彩 中村正

T&G ARTS

東京都港区六本木5-9-20

11/27(木)~12/25(木)日月祝休

11:00~19:00

NEXT DOOR vol..8 081127.jpg

NEXT DOORももう8回目、なんだか感慨深い気持ちも沸き起こります。

今回もフレッシュで、粗削りなところも見受けられるものの、これからの可能性も感じさせてくれるクリエイションが揃えられています。

中坪弓子さんのバリエーションに富んだペインティング/ドローイング群が特に印象に残ります。大胆な色使いの痛快さとダイナミックでシュールな世界観。

ギャラリーなつかで小さな展覧会を行っていた中村正さんも、こういう空間に感性を響かせ、無数の人形を使ったヴィヴィッドなインスタレーションを繰り広げているのも大変興味深いです。

佐藤好彦 TRACHEA

ラディウム-レントゲンヴェルケ

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17

11/7(金)~11/29(土)日月祝休

11:00~19:00

佐藤好彦081107.jpg

Yoshihiko Sato TRACHEA

Radi-um von Roentgenwerke AG

2-5-17,Nihonbash-bakurocho,Chuo-ku,Tokyo

11/7(Fri)-11/29(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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抽出される圧巻の造形美。

ラディウム-レントゲンヴェルケでの佐藤好彦さんの個展です。

このところ、「音」関係の作品の展示が続いていた佐藤さん、今回は一転し、ホンダF1エンジンをモチーフとしたその名も「SOICHIRO」というプロジェクトを開始、そのイントロダクションは既にレントゲンヴェルケ移転前後のグループショーや、今年のアートフェア東京でリリースされたアートポスターで提示されていましたが、今回の個展がその本格始動第1弾とのこと。

まずそのイントロダクション、連なるエンジンのマケットが階段壁面に展示されています。

模型の面白さを感じつつ、これが現実化されたら一体どうなるんだろう、と鳥肌が立つような想像も膨らみます。

佐藤好彦201

佐藤好彦202

2階へと上がると、圧巻の造形が飛び込んできます。

もっと混沌とした、グチャグチャとしたものを想像していたこともあり、実際に目にした瞬間の、鋭くほとばしる「洗練」に圧倒させられます。

佐藤好彦203

空間に1点、その鮮烈な存在感。

足下からの白熱灯による照明が、この白の白さを際立たせ、フューチャリスティックな雰囲気で空間を染め上げます。

そして、至近で眺め、この複雑に入り組む造形に視界を占めさせたときのわくわくするような感触。何ともいえない嬉しさが心を満たします。

佐藤好彦209

すべてにおいて計算された、理知的な造形美に魅入られ、同時にそれぞれのパイプが発する動線のダイナミズムが高揚感を煽ります。

鎌首をもたげるヤマタノオロチの様相を思い起こさせ、その迫力にも圧倒させられたり、積もるような繊細な清廉とした風合いに心を沈み込ませ、浸るのもまた嬉しく感じられます。

パイプの外側の白と、内側の黒とのコントラストもシャープな美しさを奏でます。

佐藤好彦208 佐藤好彦206 佐藤好彦205 佐藤好彦204

佐藤好彦210

おそらく相当にフィクショナルな要素が注ぎ込まれているはず...とは言え、導き出されたこの造形に意図的なものを強くは感じないのも興味深いです。伸びるパイプのバランス感というか、全体の収まり具合が実にナチュラルな印象で、それが壮大な臨場感をもたらしているようにも思えます。

佐藤好彦207

今回、「SOICHIRO」プロジェクトの一端がまず提示され、果たしてそれがコンプリートされたとき、どんな空間が作り上げられるのだろう、と想像すると、もういてもたってもいられないほどに、「絶対観たい!」という好奇心が大いに沸き起こってきます。

既にこれほどのスケール感。エンジンの内部、という本来目にすることの出来ない閉じた空間に詰め込まれた究極の機能美。それをの精度で提示されたらもう、これからのこのプロジェクトへの期待も凄まじい勢いで高まります。

どうなっていくのか、どんな展開を見せるのか、これから何巻も続いていく壮大な物語を読み始めたような感覚で、続きがホントに楽しみです!

佐藤好彦211

山本麻友香

ギャラリー椿

東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F

11/8(土)~11/29(土)日休

11:00~18:30

山本麻友香081108.jpg

Mayuka Yamamoto

Gallery Tsubaki

3-3-10-1F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo

11/8(Sat)-11/29(Sat) closed on Sunday and national holiday

11:00-18:30

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無垢さと、無垢だからこその達観と。

ギャラリー椿での山本麻友香さんの個展です。

着ぐるみを纏う子どもがモチーフの作品が並び、独特の澄んだ静謐が空間を満たします。

山本麻友香04

まず印象的なのが、ギャラリーの遠く向かい合う壁面にそれぞれ展示された、同じ構図の作品。

それぞれ朝と夜の時間を思い起こさせる色彩で、しかしうつ伏せに横たわり、顔を横向きにして布団に身体を沈める(おそらく)男の子の表情や佇まいから、布団のシワまでもが同じ構図で描かれていて、その関係性が実にさまざまなイメージをもたらしてくれます。

山本麻友香03 山本麻友香02

山本麻友香01

男の子の瞳のどこか醒めた感触。まったく同じであることが、お陽さまが昇って沈んで、もしかしたら沈んで昇って、かもしれませんが、いずれにしても「動いていない」ということを想像させられます。

時間性の不可思議さ、果てはこの子は生きているのかなぁ、なんていう思いさえも浮かんできて、大きな作品ではありますが、たった2点のペインティングによって紡がれる空間に観る側の心も漂い、この世界へ、すうっと入り込んでいくかのようです。

山本麻友香07

色彩感や絶妙にぼやけたフォルムなど、空間全体を覆うひとつの空気のようなものが伝わると同時に、それぞれの作品が持つ物語性の深みも強く印象に残ります。

わずかな情報量、そこから滲み出るストーリー。緩やかに、儚げに流れる時間をふわりとつつみ取り、そのナイーブな感触をそのまま画面に映し出したような。実にセンシティブな風合いが伝わります。

着ぐるみの鮮やかな赤と、そこに朧げに、仄かな模様が広がって、かわいらしい感触とは裏腹に妙に大人びた雰囲気が滲んだような。そんな色を纏う男の子のほんのりと俯いた視線に浮かぶ表情からは、どこまでも深く、憂いにも似た達観のような印象が伝わります。

山本麻友香11 山本麻友香10

山本麻友香09

上の赤の着ぐるみの作品があって、次に紹介する画像の作品の、着ぐるみを脱いだ男の子が浅瀬に立っている姿を目にすると、そこに自然と関連性を導いて、より具体的な物語のワンシーンとして迫ってくるように感じます。

両手に抱えられた熊の着ぐるみが伝えるイメージのどもまでも深い切なさ。何か大事なものをなくし、憂いているようにも、また、自らなくしたその大事なものを弔い、次へと視線を送るようなポジティブさも感じられ、曖昧ながらもさまざまなイメージが浮かんできます。

山本麻友香12

少ない要素ながら、それらひとつひとつが持つ深いメッセージ性やさまざまなテンション感のインパクトを感じさせてくれるんです。

脆さと強さが背中合わせになったような世界観。あるいは無垢の強さが繊細に奏でられているような。

山本麻友香08 山本麻友香13 山本麻友香06

山本麻友香14

繊細にぼやかされた筆致で描き出される、シチュエーションの奇妙なファンタジックさが醸し出す独特の雰囲気に囲まれ、その無垢さに心が浄まるような感じもします。そして、そこにほんのりと灯るように懐かしさというか、その無垢、純粋だからこその強さへのうらやましいような感触も浮かんでくるんです。

山本麻友香05

サガキケイタ「Birthday」

CASHI

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-18-1F

11/7(金)~11/29(土)日月祝休

11:00~19:00

サガキケイタ081107.jpg

Keita Sagaki "Birthday"

CASHI

2-5-18-1F,Nihonbashi-bakurocho,Chuo-ku,Tokyo

11/7(Fri)-11/29(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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有機的な細密表現が放つ、シャープな混沌。

CASHIでのサガキケイタさんの個展です。

今年初めのCASHIのこけら落としのグループショーや昨年のシェリ美術賞でのインパクトも忘れられないのですが、今回の個展ではその表現に磨きと幅が加わり、さらに鋭く複雑に、混沌とした世界が繰り広げられています。

入ってすぐ、右手に展示された作品。

余白と情報過多のコントラストが放つダイナミックな空間性、そこに織り込まれる無数のさまざまなキャラクターやモチーフ。いったい九つの要素から構成されているのか想像もつかないほどのボリュームで、そしてそれらミニマムな関係性が各部分で物語を醸し出し、時間的な奥行きも生み出しています。

サガキケイタ004 サガキケイタ005 サガキケイタ006 サガキケイタ002

サガキケイタ001

モナリザをモチーフにした作品、ある素材を無数の要素で再構築する手法はサガキさんの真骨頂のように思えます。

全体の印象と、至近での印象のギャップの大きさがとにかく痛快!

線の密度や精緻な塗りつぶしによって生み出される濃淡で、見事にその姿を再現していることに感嘆させられます。

サガキケイタ011 サガキケイタ012 サガキケイタ010

サガキケイタ009

入り口から向かって奥正面の壁面に展示されたシンメトリーの作品の精度にもおおいに唸らされます。

こうやって提示され、その完璧な左右対称の情景を目の当たりにしたときのすっとその構図を受け入れてしまうスムーズさとは裏腹に、一帯どれだけの行程を経て描き出されたのかを想像すると途方もない感触に圧倒させられます。無論、中に描かれる情報の複雑な関係性にも目を見張らされ、単に細密ではない凄みがじんじんと熱を帯びて滲み出しているように感じられます。

サガキケイタ016 サガキケイタ017

サガキケイタ015

各ポイントに展示されている小品も魅力的です。

線の緻密さはそのままに、それぞれが遊び心をふんだんに持ち合わせていて、肩の力が抜けたような風合いが心地よかったり。

サガキケイタ008

サガキケイタ007

浮世絵の再構築作品も面白い!

モナリザと同じく、全体の再現性の高さ、特にこちらはモノクロームではあるものの、その和の風合いは充分に滲み広がっていて、しかし要素のひとつひとつがサブカル的風味も備えたポップさを持ち合わせ、それが充満させているという...。敢えてこのモチーフを取り上げるところが痛快に思えてくるんです。

サガキケイタ014

そして、今回の展覧会で最大の作品は、奥まったスペースに展示されています。

ただただ、その密度に平伏します。

構図は太陽とコロナを描いたようにも、あるいは神秘的な生命観のようにも捉えられ、いずれにしても実にプリミティブな風合いが伝わってきます。

しかしやはり、その情報のボリュームの尋常でない感触が放つ迫力に、すごい勢いで圧倒させられます。

真ん中の真円の余白にすべての要素が向かっているような動線のイメージが、凄まじいスピード感をもたらしているように感じられます。

直に目にするとその分厚い混沌に、視覚のズレがもたらされ、水平感覚を失いホントに酔うような、垂直にじっと立っていられず、思わずよろめいてしまうほど。

サガキケイタ022 サガキケイタ020 サガキケイタ021 サガキケイタ019

サガキケイタ018

それぞれの作品の情報量のとんでもない密度が実に絶妙にコントロールされ、ほぼ一貫してモノクロームの展開を繰り出していながら、実にヴィヴィッドな印象が残ります。

今年のシェル美術賞にも入選されていて、そちらも拝見しましたが、さらに絶妙な濃淡が凄み溢れるダイナミズムを生み出していたのも強いインパクトを感じた次第で。

そして、やはりさらに作品としての精度が格段に上がっている印象も忘れ難いです。

これからどういう風に発展していくか、ホントに楽しみです!

サガキケイタ023

栗原一成 個展「盲視/Blindsight」

東京画廊

東京都中央区銀座8-10-5-7F

11/5(水)~11/29(土)日月祝休

11:00~19:00(土:~17:00)

栗原一成081105.jpg

Issei Kurihara Solo Exhibition 'Blindsight'

Tokyo Gallery

8-10-5-7F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

11/5(Wed)-11/29(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00(Sat:-17:00)

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鮮やかに繰り出される魑魅魍魎。

東京画廊での栗原一成さんの個展です。

Gallery Stumpでもお馴染みで、作品もインスタレーションとともに鎌倉で拝見していたのですが、今回の個展では平面による構成で、独特な雰囲気が満ちあふれています。

栗原一成110

これまでは、背景となる色は白っぽいものが多かった印象なのですが、今回の個展ではさまざまな色彩に染め上げられた背景の作品が多く出店され、さらにおおらかな広がりを放っているように感じられます。

重なり混ざりあう色の混沌。ざっくりとした筆の運びがもたらすアグレッシブな抽象性を滲ませる背景にさまざまな場面が小さなモチーフとなって去来し、分厚いイメージの層を形成しています。

コミカルなキャラクターもいれば、リアルな臨場感を放ち強いアクセントをもたらすものもいて、それらのさまざまな縮尺感により、複雑な奥行きももたらされています。

栗原一成102 栗原一成104 栗原一成103 栗原一成105

栗原一成101

何やら謎めいた思いを抱いていそうな表情を浮かべる子どもなどが画面に漂い、妖しげな風合いを奏でる有機的な線もそこかしこに浮かぶ、幻想的な光景。背景の青の清々しさも印象的で、そこにふらりと浮かび上がる「呼吸」の二文字が、その文字の情報としての強さを遺憾なく発揮して、この世界の物語性に一気に具体性をもたらしているようにも感じられます。それ自体が大きなヒントとなっていて、逆に混乱を来すような感触も興味深いです。

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正面の壁面に展示された大作の迫力も強く印象に残ります。

画面の広さはそのまま情報の多さへと転化し、さらにダイナミックな物語性を醸し出します。

イマジネーションへのリアクションに重きを置き、すらすらと走らせた筆の痕跡が薄塗りの色の重なりとなって、儚げな風合いを奏で、それがこの世界の幻想性を高めているような気もします。

濃密な箇所と下地がそのまま出ているような何もないところとのコントラストも面白いです。

栗原一成114 栗原一成115 栗原一成113 栗原一成116

栗原一成112

奥まった一角に展示された作品も印象的なものが多いです。

栗原さんの作品のユニークな要素のひとつに文字や言葉が有機的な線にまぎれるようにして織り込まれるところがありますが、こちらの作品はもはや文字や言葉といったサイズを大幅に超え、ほぼ文章、散文詩の様相を呈します。

不思議な思いを綴った味わい深い文体の力が、ぽかんと浮かぶ子ども姿と風に戦ぐ線とモチーフにシュールな物語性をもたらしているように感じられます。

栗原一成121 栗原一成120 栗原一成119

栗原一成118

向かいの壁面のドローイング群。

もっとリアクションに忠実に描かれたような感触で、さまざまなモチーフの基がそこかしこにあるような気がして、大変興味深いです。

栗原一成117

魑魅魍魎とした幻想が広がります。

さまざま線やかたちの混沌がどこまでも深く、底なしの畏れを感じる一方で、そういった危うさの中に色の鮮やかさ、美しさがほとばしるような不藍も伝わってきたりと、さまざまなかたちでのイマジネーションの刺激をもたらしてくれます。

タイトルの意味する「見えないのに見えているような感覚」、それを再現しようとして紡がれた世界。妖しさや混沌、そこに爽快さや高揚感も入り込んだ、深い奥行きのある光景が印象に残ります。

栗原一成122

GENIUS FIELD 関口光太郎 久保田沙耶

AISHO MIURA ARTS

東京都新宿区住吉町10-10

11/7(金)~11/30(日)月休

13:00~21:00(日:~19:00)

GENIUS FIELD 081107.jpg

GENIUS FIELD Kotaro Sekiguchi, Saya Kubota

MOTT FACTORY & GALLERY

10-10,Sumiyoshi-cho,Sinjuku-ku,Tokyo

11/7(Fri)-11/30(Sun) closed on Monday

13:00-21:00(Sun:-19:00)

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素材のアプローチのユニークさが際立つふたつのクリエイションが紹介されている、MOTT factory & galleryあらためAISHO MIURA ARTSでの展覧会です。

入り口すぐ、いきなり登場。

関口光太郎14

ジャクソンか!Σ( ̄口 ̄;)

・・・・・!

この場合ファミリーネームだと分かりにくい!Σ( ̄口 ̄;)

とまあ、こんな調子で関口光太郎さん製作による紙とセロハンテープの半身像がお出迎え。

妙にリアルで臨場感あって、笑えます。

まず、久保田沙耶さんのキュートな渋さを滲ませる作品たちから。

床に近い位置に展示された小品群、マリオネットの脚部を透明感溢れる軽やかな色彩で表したような感触ですが、これらがすべて紙を重ねてコラージュに似た手法で描き表されているようで、さらにはそれぞれのパーツの輪郭は線香の火で紙を焼き切ることで形作られています。

紙の縁の焦げた感触が、作品そのものから漂う静かな爽やかさにまったく異なる要素をもたらして、それが繊細な開くん遷都となって伝わってくるのも興味深いです。

久保田沙耶02 久保田沙耶04 久保田沙耶03

久保田沙耶01

コーナーには、大胆なアプローチが詰め込まれた作品が。

赤と黒の透明の分厚いシミのようなかたちが目の高さに展示されていると同時に、その足下にも水たまりのように同じような質感と色合いのものが横たわっています。

奇妙な一角が演出されていて、全体に漂う妖しさ、何かが変に思えるんだけど不思議なかわいさを秘めているような雰囲気が紡ぎ出されています。

そしてこちらにも、細かい線香の焦げ痕がこのシミのようなかたちの縁に連なっていて、そのコントラストもコミカルな静けさを演出しています。

久保田沙耶06 久保田沙耶07 久保田沙耶08

久保田沙耶05

この奇妙な繊細さに満ちた風合いから一転し、関口光太郎さんの畳み掛けるような感触がいかにも痛快なクリエイションへ。久保田さんの作品群のほぼ向かいの壁面に沿って作品が展示されていますが、新聞紙とガムテープでもって作り上げる様々なかたちから、リアリティもしっかりと追求されていると同時に素材と手段の瞬発性が伝わってくるのがとにかく面白いんです。

なんてったて、入り口の半身像に続くのが、スニーカーですから!

関口光太郎13

関口光太郎12

デカイよ!Σ( ̄口 ̄;)

デカ過ぎるよ!Σ( ̄口 ̄;)

誰が履くんだよ!Σ( ̄口 ̄;)

・・・と、目にした瞬間からこちらもツッコミで応戦、負けずに畳み掛けるようにしてさまざまなイメージをぶつけていくのですが、それがまたいちいち楽しくて!

で、続くのが、このダイナミズムからさらに変化し、何かの動物の骨が創り出されています。

もうそれは新聞紙とガムテープ、誰が観ても単に新聞紙とガムテープの塊でしかないはずなのですが、やはりそのかたち、目指しリアリティがしっかりと作り上げられているところに感嘆させられます。

関口光太郎11

今回の展覧会のメイン、というか、必然的にそうなってしまう作品。

よい意味で、おおいに呆れます。

よく作ったな、と。

それにしてもよく詰め込んだなぁ、と。

自転車か!Σ( ̄口 ̄;)

関口光太郎01

すげぇかっこいいのー!!!(≧∇≦)ノ゛

関口さんの作品は、これまで多摩美での卒業・修了制作の学内展と、21_21 DESIGN SIGHTでの展覧会に出品されたそれぞれ超デカい大作を拝見していてそのインパクトが居売れるに印象に残っているのですが、今回の展覧会のスペースではどんなサイズの作品を作ってくるのかと興味津々で。

いや、こう来るとは!

関口光太郎05 関口光太郎02 関口光太郎04

関口光太郎03

とにかくこ凝りまくりのディテール、それぞれの要素が実にリアルに作り出されていて、まるで様々な物語がひとつの造形の中に半ば力づくで詰め込まれたような風合いが充満し、その痛快さが高揚感をもたらしてくれます。

そしてそれは「これ作りたい!」という瞬間の思いつきとそれをすぐにかたちにしてしまえるスキル的、かつ素材の費用的なフレキシビリティもおおいに良いほうへと作用しているように感じられます。

もう、ホントに楽しいです。この作り手の楽しさがいちばん強く伝わってくるような要素という気もして、さすがに実行には移さないものの、自分でも作ってみたくなるような思いも抱かせてくれます。

関口光太郎06 関口光太郎07 関口光太郎09

関口光太郎08

スケール感こそ異なりますが、それがお互いの作品の面白さを引き立てあっているようにも感じられます。

これからそれぞれどんな展開を繰り出すかも大変興味深いです。

関口光太郎10

―Black State― 名和晃平 藤井秀全 小宮太郎 田中真吾

studioJ

大阪府大阪市西区新町3-14-8

11/8(土)~11/29(土)日月休

13:00~19:00

Black State 081108.jpg

Black State 名和晃平 Hidemasa Fujii, Taro Komiya, Shingo Tanaka

studioJ

3-14-8,Shinmachi,Nishi-ku,.Osaka-shi,Osaka-fu

11/8(Sat)-11/29(Sat) closed on Sunday and Monday

13:00-19:00

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名和晃平さんを中心に、名和さんのゼミに籍を置くアーティスト2名、さらにもうひとりの関わりの深いゲストを迎えた4名によるグループショーです。

「黒」という色彩、それが持つ質感や関係性をテーマに取り上げ、平面とか立体とか、あるいは素材などのカテゴライズを痛快に横切るようなパッケージが面白い!

まず、入り口すぐのポジションにゲストアーティストの小宮太郎さんの作品が。

台上に乗る鉛筆、そして羽。これが高速回転しています。

鉛筆は垂直に立ち、そこに回転が加わることで、削られ尖った先端が導き出すベクトルが、さらに鋭さを増しているように感じられ、羽はさまざまな気の流れによってか、フィギュアスケートのフィニッシュでのスピンのようにそのフォルムの優雅に変化させます。

小宮太郎02

小宮太郎01

この台と向かい合う壁面には、黒いシミのようにドットが散らばっています。

白い壁の余白がもたらす空間性、小さなドットとのコントラストも静かな心地よさを醸し出し、それだけでも充分に味わい深い深遠さが伝わります。そしてこのドットを至近で観てみると、これもまた、高速に回転しているんです。

小さな回転、気付くと思わずさらに近づいて、こまこまきゅんきゅんと小虫のように動き続ける様子に魅入られます。動くものに対する本能的な興味が一気に立ち上がって、それ自体が位置を移動するワケでもないのにわくわくした楽しい気持ちに満たされます。

小宮太郎04

小宮太郎03

一転して、並ぶ田中真吾さんの作品は大胆な素材感がアグレッシブなインパクトを放ちます。

壁から突き出る白いキューブ、この一部が燃やされ、キューブを形成する紙が炭化して、ダイナミックな造形を生み出しています。

田中真吾01

黒い花弁、そういう感触をもたらすアバンギャルドな造形美。

コントロールされたものではないぶん、その刹那的な感触、脆さが反転して鋭く迫る存在感、そして何よりその抽象性のかっこよさが提示されているような印象で、ここへと至る過程はすべて経験的にも分かることであるにも関わらず、このクールネスに高揚感がわき起こります。

ケレン味なく素材の質感を全面に押し出し、タネをすべて明かした上でそこからさらにアーティスティックな面白さをアピールしてくる大胆さにもおおいに感じ入ります。

田中真吾02

田中真吾03

ちょうど「ウルトラ」と入れ違いにスパイラルでの展示を終えた藤井秀全さん。

そのときの作品のシャープでフューチャリスティックな感触も印象に残っていますが、今回は一見してどういう仕組みになっているか分からない、シャープな質感を放った作品が展示されています。

藤井秀全01

アクリルケースに収められた、おおらかなうねりを導き出す光。

中で複雑で美しい流線をもたらすのは、セロハンテープなのだそう。だからこの複雑な造形をキープしているのかと感心させられると同時に、田中さんの大胆さとは違う、素材の可能性を超越したように思える感触がフューチャリスティックな刺激をもたらします。

繰り返しになりますが、あの身近な素材がこんなにシャープな造形を生み出すのが信じ難いほどに、新鮮ないインパクトがもたらされるんです。

藤井秀全02

藤井秀全03

フレッシュなアプローチが興味深いクリエイションが並び、最後に名和さんの平面作品が登場します。

おなじみ、グルーのシリーズ。支持体の、フラットさを全面に押し出すかのようなスマートな白の広がりに、さまざまな紋様を盛り上がる黒が導き出していきます。

名和晃平001

展示されている作品は3点、名和さんの過去の作品群を思うと今回の展示は小さなサイズではありますが、そこに納められる世界は何かの過程の瞬間をシャープに切り取ったかのようなスリリングな感触に満ち、ものすごいスピード感がある瞬間に凝縮されたようなエネルギーの膨張を、また異なる力によって押さえ込んでいるかのようなアグレッシブな感触で、それが独創的なアプローチで提示され、ソリッドな臨場感で伝わってくるような印象に巡り会えたことがとにかく嬉しいです。

名和晃平002

それぞれ、まったく異なる素材とアプローチでありながら、ひとつの統一感にしっかりと纏められ、同時に4名のクリエイションの構成の面白さにも感じ入った次第で。

それぞれのソロでの展開も楽しみです!

伊庭靖子 SENSE OF TOUCH

eN arts

京都府京都市東山区祇園北側627 円山公園内八坂神社北側

11/1(土)~11/30(日)金土日のみ(その他の曜日は事前予約制)

12:00~18:00

伊庭靖子081101.jpg

Yasuko Iba "SENSE OF TOUCH"

eN arts

,Gion-kitagawa,Higasiyama-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu

11/1(Sat)-11/30(Sun) only Friday to Sunday (appintment only on anather days)

12:00-18:00

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素晴らしいことは分かっていて、それでもなお、感動を与えてくれる空間と絵。

eN artsでの伊庭靖子さんの個展です。

伊庭さんの作品はそれこそギャラリー巡りを始めた頃に初めて出会い、そのときの感動がさらにアートへの関心を深めたのは僕に間違いなくて、それ以来拝見していて、いつもその具象性の精度の高さに感嘆させられるのですが、今回は京都の至高空間、eN artsでの個展ということで。

それはもう観なくても素晴らしいことは分かっているじゃないか、と。

だからこそ・・・観たい!

お茶屋さんが並ぶ八坂神社の北側の通り、和の光景のなかにまさに唐突に表われる現代美術のギャラリー。

少々急な坂を上ってガラス張りのエントランスに辿り着き、そこで、ここで伊庭さんの作品を観ることの意味を瞬間的に実感します。

青で鮮やかな模様が施された器。そこに描かれた器の柄の和の風合いが、この和の風合いがしっとりと漂う場所にしっくりと響きます。

伊庭靖子008

複雑な動線を持つ空間に、透明感溢れる伊庭さんのペインティングが展示され、穏やかな静謐感を奏でています。

モチーフはお馴染みのクッション、磁器の皿など。そこに究極の描写で現され、写真以上の臨場感を放ちながら、爽やかな深みに心が沈み込んでいきます。

伊庭靖子001

大きな画面に、そこに収まりきらないサイズに描かれるクッション。

表面に寄るシワなどの陰影が、信じられないほどの緻密なグラデーションで画面に描かれます。

そのことによって、モチーフに対するこれまでにない想い浮かぶだけでなく、大きく描かれていることでおおらかな雰囲気が奏でられ、クッションのやわらかな感触に包み込まれるような心地よさが心を満たします。

伊庭靖子003

清潔感溢れる色彩が印象的です。

クッションなのに、そのふんわりとしたやさしい手触りはもちろん、その色彩の爽やかさが澄んだ情景を思い起こさせてくれて、モチーフが単に精緻に描かれているだけでなく、そこにそよぐ空気の流れも実感するような錯覚も伝わってきます。

至近で眺めたとき実感する、滑らかな色彩の移行。その絶妙さも感動的です。

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エントランスにも展示されているのと同サイズの、磁器の皿の柄を描いた作品。

磁器の艶やかさを油彩で表現し、その艶やかさが鮮烈な臨場感を伴って迫ってきます。

思わず、自分の姿が映っているのではないか、と確認してしまいそうなほどに徹底して追求されるリアリティ、そしてそれが繊細に奏でる珠玉の美しさに圧倒されます。

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eN artsお馴染みの「ブラックキューブ」へと向かう階段の正面に作品が。

椅子のアップのを描いた小さな作品。白が登場しない色彩の構成と現実的な風合いが他の作品よりも強められたような佇まいが、空間にちょっぴり強いアクセントをもたらしています。

エントランスからギャラリーの中へと向かう途中の展示構成と同様に、ちょうどこの位置に展示されることで、ここから世界が変わりますよ、とアナウンスされているかのような印象も覚えます。

伊庭靖子016

伊庭靖子015

そしてブラックキューブ。それぞれ、水が注がれたグラス、そしてソーサーとカップを描いた小さな作品が並んで展示されています。

画面の白さがスポットに照らし出され、シャープな光となってこの空間に神々しいまでの存在感を醸し出しています。 ほぼモノトーンに近い色彩で表現され、そこにもたらされるわずかな陰影が淡々とした時間の流れを奏でつつ、空間とのコントラストが美的感性だけでなく、硬質で同時に膨らむような雰囲気が、知性も刺激してきます。

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再び階段へ。見上げると今度はその手前に飾られている額装作品が違う世界からの帰りを迎えてくれるかのようです。

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もうひとつのエフェクティブな空間、畳の間の和室にも1点の小品が展示されています。

こちらは赤の透明感と鮮やかさが印象的です。

既にそれが何であるかすぐには認識できないほどに拡大、トリミングされた世界。そこにあらたに紡ぎ出されていく幻想にも似た時間の流れもまた、心地よい刺激をもたらしてくれます。

伊庭靖子022

伊庭靖子021

もはや孤高のクリエイションにも思えます。まさに至高のペインティング。

そして、初めて拝見したときからその高い水準を常に保ち続け、ハイクオリティが「当たり前」であり、そこへの期待もまったく裏切らないことへの嬉しさ。思い返すと、驚かされ、そして感動させられます。

淡々とした静けさが京都のこの場所で観られ、体感できたのはホントに幸せなことだなぁ、と、その思いをあらためてかみしめている次第です。

伊庭靖子002

さかぎしよしおう展

GALERIE ANDO

東京都渋谷区松濤1-26-23

11/4(火)~11/22(土)日月休

11:30~19:00

さかぎしよしおう081104.jpg

Yoshioh Sakagishi exhibition

GALERIE ANDO

1-26-23,Shoto,Shibuya-ku,Tokyo

11/4(Tue)-11/22(Sat) closed on Sunday and Monday

11:30-19:30

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きっと、世界でいちばんうつくしい造形のひとつ。

GALERIE ANDOでのさかぎしよしおうさんの個展です。

僕自身、さかぎしさんの個展をこちらで拝見するのはもやは3年目。毎年恒例という感もあり、この季節にさかぎしさんの個展が観られるのが楽しみな感じです。

松本楼の百円カレーがそうなのだから、さかぎしさんの秋の個展も季語として認めてもいいのではないか...というと大げさですが、それくらいに風物詩化しているような印象なのです。

それにしても...

さかぎしさんの粒のセラミックの作品、この空間への収まり具合の穏やかさといったら。

入り口の扉越しに青と白のコントラストを目にしただけで、嬉しさがこみ上げてきます。

さかぎしよしおう102

この小さなスペースで個展を何度も開催していることもあって、空間の作り方にも感心させられます。

台や棚の絶妙な位置が紡ぎ出す動線が、空間全体を俯瞰したときのわくわくするような高揚と、さてそれからその作品の細やかさを間近に堪能しようと近づいていく嬉しさとが、そこかしこで心の中にわき起こってきます。

さかぎしよしおう108

さかぎしさんの作品と一目で分かり、その嬉しさを噛み締めつつじっくり眺めていると、やはり精度は確実に上がっているように感じられます。

さかぎしよしおう103

粒の小さなであったり、造形の面白さであったり、何か狙ってこうしてやろうという強い意図は感じないのですが、作る時期に、あるいは作りながらふっと湧いたようなアイデアや

遊び心がそこかしこに潜んでいて、そこに気付く楽しさもふんだんに満ちています。

さかぎしよしおう106 2 さかぎしよしおう107 さかぎしよしおう105

さかぎしよしおう104

今回特に印象的だったのが、渦のようにぐるりと回る作品。

上から眺めると、巻物のようにくるくると、ひとつの動線が見て取れます。

分かりやすいので外側から目で追ってみるのですが、中央に近づくにつれてだんだん分からなくなってきて、ある瞬間に集中が切れて分からなくなってしまったり。

悔しいんですけど、それもまた楽しくて、痛快に感じたりします。

さかぎしよしおう109

さかぎしよしおう110

これから出会うさかぎしさんの作品への思いは、きっと素晴らしい、きっと裏切られない、という安定した期待感が大きくて、そしてその期待へは必ず応えてくれて、そのぱっと出会った瞬間にわき起こる嬉しさの持続だけで、ずっとそのクリエイションを楽しめる、味わえるんです。

大きくても、両手の手のひらを合わせた広さに充分乗ってしまうほどのサイズで、そこに凝縮されたさまざまなもの、極められ続ける技術であったり、これだけのものを紡ぎ出すだけの誠意のようなものであったり、何より少しずつ積み重ねられて形成されていく過程に沿う好奇心であったり...作り手の想いも一緒に詰まっているような感触にも強く惹かれます。

変わらぬクオリティ。それでいて、少しずつ上がっていく精度。

それが、出会った瞬間の嬉しさの鮮度を保たせてくれるような印象も浮かんできます。

たくさんの人に知ってほしい、この作品たちが奏でる心地よさを味さって欲しい、と、いつもながらに思った次第です。

さかぎしよしおう101

水田寛展「かくれんぼ」

ARTCOURT Gallery

大阪府大阪市北区天満橋1-8-5 OAPアートコート1F

10/21(火)~11/8(土)日月休

11:00~19:00(土:~17:00)

水田寛081021.jpg

Hiroshi Mizuta exhibtion "Hide and Seek"

ARTCOURT Gallery

1-8-5 -1F,Tenmabashi,Kita-ku,Osaka-shi,Osaka-fu

10/21(Tue)-11/8(Sat) closed on Sunday and Monday

11:00-19:00(Sat:-17:00)

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視点を定めさせないトリッキーな面白さ!

ARTCOURT Galleryでの水田寛さんの個展です。

これもぜひ観たかった展覧会、なんとか最終日の閉廊間際に滑り込み。

田中恒子コレクション展を通過し(これもまたなんだかわくわくしてくる空間で・・・!)、ふたつの大きな空間を繋ぐ通路空間から、水田さんのペインティングが出迎えます。

全体を眺めて感じる爽やかな色彩感がまず心地よいです。

澄んだグレーの地にふわりと重なる鮮やかなグリーン。画面全体からほとばしるフレッシュさ、透明感が清々しい風合いを奏でます。

そして、そのグリーンが葉を現すのはすぐ分かるのですが、地のグレーの部分に描かれるたくさんの鳩の姿をだんだんと認識していくにつれて、何とも不思議なイメージをもたらしてくれます。弾けるようなブルーで描かれる羽の緻密な筆致が、グリーンのおおらかな広がりとコントラストを生み出し、フラットな色の中にさまざまな要素が、展覧会タイトル通りに「かくれて」いるような印象がとにかく面白いのです。

水田寛02 水田寛04 水田寛03 水田寛05

水田寛01

葉と鳩のシリーズは続きます。

今度は秋の装い、落ち着いた風合いが画面から柔らかく響いてきます。

そして、鳩の頭のちょっと濃い色彩がまず立ち上がってきて、それを葉のシルエットが隠したり隠さなかったり。ところどころの精緻な描き込みもまた、楽しいリズムを響かせているように思えます。眺めていて、「ああ、あっちも観たい、こっちも観たい!」と翻弄される感じが堪らないのです。

水田寛11 水田寛09 水田寛10 水田寛08

水田寛07

深い緑と突き抜けるような白とのコントラストが力強い感触を放つ作品。

上半身を折る女性のスカートの柄に潜む花柄の、ほのかに鮮やかな色彩。濃い緑の中にも緻密な線でさまざまな草が描き込まれているという強い色彩の濃密な展開のなかにほんのりとしたアクセントともたらしているように感じられます。

水田寛16 水田寛17 水田寛18

水田寛15

再び鳩の作品、今回出展された作品の中で最大の画面で、全体を覆う深いオレンジ色のインパクトがおおらかに迫ってきます。

今度はもっと凝縮して、この印象的な色彩のなかに無数の鳩が描き込まれ、同時にマンホールの蓋のようなものが強烈なアクセントとなって、全体に不思議な「ズレ」の感覚をもたらします。

さまざまな情景がレイヤー状に重ねられ、それが繰り出す不思議な奥行き感もたいへん興味深いです。

水田寛20 水田寛22

水田寛19

小品の味わいも忘れがたいです。

それぞれが「何色の作品」と言えてしまうほどに、色彩の印象が強く、さらにまずその画面に代表される色彩と敢えて鋭いコントラストを構築するような色彩を取り込んで、その大胆さが独特な空気感を紡ぎ出しています。

水田寛23 水田寛25

水田寛24

展示全体に広がる、観る者の興味を想いっきり揺さぶってくる層の構図のダイナミズム。鮮やかな色彩のチョイス。

ほとばしるフレッシュな感性がそこかしこから伝わり、その軽やかさが何とも心地よく感じられます。

そして何より、一貫する素朴さも心地よく印象に残ります。

またぜひ観たい、観続けたいクリエイションです!

水田寛06

《11/12》

池谷保「入れかわる」

児玉画廊|東京

東京都港区白金3-1-15-1F

11/12(水)~12/20(土)日月祝休

11:00~19:00

池谷保081112.jpg

ヴィヴィッドな色彩と画面から溢れるように盛り上がる絵の具の立体感。その艶かしい臨場感と、イマジネーションに任せたインプロビゼーショナルな展開とグラフィカルにコントロールされたもののリズム感と、さまざまな面白さに満ちた見応えのある作品群です!

《11/14》

羽毛田優子展

第一生命南ギャラリー

東京都千代田区有楽町1-13-1

11/14(金)~12/15(月)土日祝休

12:00~18:00

羽毛田優子081114.jpg

染織、というだけで充分に新鮮な印象を覚えます。

おおらかな空間に配される大作群、ほぼすべてが縦の動線、降るような、あるいは気泡が水中を浮かび上がっていくような風合いが、不思議な心地にさせてくれます。

《11/15》

田村香織

TAIMEI Contemporary Art

東京都中央区銀座7-3-5 リクルートG7ビルB1F

11/14(金)~11/19(水)

10:00~19:00(土:~18:00、日:~17:00)

田村香織081114.jpg

スクラッチによる細密の展開がとにかく面白い田村香織さんの個展です。

田村香織309

まず、入り口エントランスの両壁面に展示された小品が出迎えてくれます。

小さな画面の中に納められた密度の濃さに、瞬間的に引き寄せられます。

田村香織311

田村香織310

先に開催されたギャラリー銀座フォレスト・ミニでの個展で発表された作品も多く出品され、あらためて引きの余裕がある空間で観られたのが嬉しい限りで。

田村香織304 田村香織303 田村香織302

田村香織301

透明感溢れるグリーンのフレッシュな感触と、そこに緻密に彫り込まれる線が描き出す不思議な生き物のうごめきが、独創的なファンタジーを繰り広げています。

田村香織306 田村香織307

田村香織305

モノクロームの作品、このメタリックな風合いも面白いです。

田村香織308

今回の個展では、ライブペインティングならぬライブスクラッチングが行われていて、床に積もる絵の具の削りカスや制作に用いられる道具も見せていただけて、大変興味深く感じた試合。

もう一度伺う帰化kが得られず残念だったのですが、その過程に触れられたことを大変貴重に感じました。

田村香織312

西山ひろみ展

ギャラリーなつか

東京都中央区銀座5-8-17 GINZA PLAZA58 8F

11/10(月)~11/15(土)11:30~18:30(最終日:~17:30)

西山ひろみ081110.jpg

錆が施された紙に緻密なドットを紡いで描く肖像。

これまで折に触れて拝見している西山ひろみさんの個展、今回はこれまでの展開から1歩、2歩と進んで、ひと味違う情景を描いた作品が展示されていたのが嬉しかったです。

肖像作品の滋味溢れる感触は今までのまま、ほっこりと緩やかな温かみが伝わります。

西山ひろみ204 西山ひろみ205

西山ひろみ203

花を描いた作品。

ふわりとした色彩とドットの陰影の広がりが、その可憐さをやさしく紡ぎ出しているように感じられます。

西山ひろみ202

西山ひろみ201

そして、あるシーンを描いた作品も。

こちらのロマンチックな風合いも印象的です。最小限の彩りによって、それが淡い雰囲気を醸し出しています。

西山ひろみ207

西山ひろみ206

山本麻友香

ギャラリー椿

東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F

11/8(土)~11/29(土)日休

11:00~18:30

山本麻友香081108.jpg

着ぐるみを纏う子どもを描いた作品群、その無垢な、しかしその無垢さが放つ達観。

絶妙な精度でぼやけたシルエットが、絵の中の世界の儚さ、脆さを感じさせてくれます。

子どもだけあって時間の積み上げがないぶん、想いのひとつひとつが占める大きさが、ある感情を膨らませている、そういうイメージも伝わってきます。

独特の雰囲気に満ちた、さまざまな想いを抱かせてくれるペインティング群です。

Multiple Worlds-淺井裕介 泉啓司 西村知巳

ARATANIURANO

東京都中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3A

11/15(土)~1/31(土)日月祝・12/28~1/5休

11:00~19:00

Multiple Worlds 081115.jpg

まったく異なる3つの個性のコラボレーション。

これから滞在制作なども行うという淺井裕介さんの壁画のインスタレーションが既に雰囲気を創り出していて、隣り合う壁面に展示された西村知巳さんの写真はテキストと合わせて提示されることで鋭い物語性を放ち、そして泉啓司さん木彫作品のおかしみが、その彫りの精度で臨場感たっぷりに展開されています。

Shingo Francis

hino gallery

東京都中央区日本橋2-13-12 日本生命江戸橋ビル1F

11/10(月)~11/29(土)日祝休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

Shingo Francis 081110.jpg

ZAIMでのRED展で印象深かったフランシス真悟さんの個展。

こちらでは、シャープな構図が硬質な雰囲気を放ち、その重厚感が心地よいペインティングが並んで展示されていて、ZAIMで発表された作品とはテイストが異なるものの、圧倒的な存在感が迫る感触に、静かに壮大な高揚感がもたらされます。

フラットに広がり、絵の具の艶やかさを露にする青に、その色が象徴する空や海といったイメージ以上のものを感じ取り、どんどんと想像が膨らんでいきます。

藤浩志「Happy Forest」

mori yu gallery TOKYO

東京都新宿区西五軒町3-7 ミナト第3ビル4F

11/15(土)~12/13(土)日月祝休

12:00~19:00

藤浩志081115.jpg

現在、水戸芸術館での展覧会にも参加されている藤浩志さんの個展です。

とにかく遊び心が満載、作り手の楽しさが伝わってくる立体からドローイングまで、わくわくするような世界が展開されています。

同色の素材で作り上げた鳥のオブジェ。こういうのを観ると忘れていた童心がくすぐられます。

藤浩志02

藤浩志01

立場柄(という表現も変な気がしますが・・・)、たくさんのおもちゃが集まってくるそうで、それらを用いた作品も。

単純に同じものをぐるりと並べた作品のグラフィカルな痛快さがまたたまらなかったり。

藤浩志09

藤浩志08

主に色鉛筆を用いたドローイングの軽やかな光景も心地よいです。

藤浩志06

藤浩志07

その水戸でのインスタレーションなどをももとに描かれたそうで、まさに心躍るような世界が描き上げられています。

色のふわりとした感触、紙をそのまま壁面に貼ることで生み出されるスマートさも、その心地よさやポップなリズム感を加速させてくれます。

藤浩志06 藤浩志04

藤浩志05

カワニシタカヒ「RE」

artdish g

東京都新宿区矢来町107

11/7(金)~11/23(日)月休

12:00~22:00

カワニシタカヒ081107.jpg

重々しい色調と構図で展開される、重厚な情景。

アバンギャルドな質感で提示される世界の深遠さ、濃密さに圧倒されます。

カワニシタカヒ02 カワニシタカヒ04

カワニシタカヒ01

ひとつのダークな雰囲気の統一感の中に、さまざまな場面が繰り出されているのも興味深く感じられます。

幻想も含んでいたり、その一方で、非現実が現実の向こう側にあるとして、その非現実のほうから見て現実のさらに手前にある深い世界をえぐり出すかのような生々しい感触も強く漂わせていたり。

ある種の暴力的ともいえる筆致と、それとは裏腹な細かいピースを重ねたような緻密な描き込みもあり、さまざまな見応えが内包されたクリエイションのように思えます。

カワニシタカヒ08 カワニシタカヒ06 カワニシタカヒ07

カワニシタカヒ05

《11/16》

上田風子展 Symbiosis

コート・ギャラリー国立

東京都国立市中1-8-32

11/13(木)~11/25(火)水休

11:00~18:00(最終日:~16:00)

上田風子081113.jpg

昨年のスパンアートギャラリーでの個展も印象的だった上田風子さん。

今回は、平面を中心に、一部インスタレーションと組み合わせられた作品で構成され、ひとつひとつの世界にじっくりと退治できる構成となっているのが嬉しいです。

すらりと艶かしく走る線のケレン味のなさ、ていねいに重ね、紡がれる色彩。それらが生み出す世界のサディスティックなユーモアがとにかく興味深く、髪の長い女性がクラゲやタコと膳をともにしているコミカルな作品や、ダイナミックにその肢体を揺らめかせて泳ぐウツボ、凛と咲く花の花びらの間に潜む金魚など、シュールな場面設定のユニークさも鮮やかに発揮されています。

《11/18》

幻日の箱 大島梢 野田幸江

IID GALLERY

東京都世田谷区池尻2-4-5 IID 世田谷ものづくり学校1F

11/18(火)~11/30(日)月休(祝日の場合開廊、翌日休)

11:00~19:00

野田・大島081118.jpg

静と動、もとい、爆発するような凄まじい速度の広がりと、遅々としていながら力強く浸食していく深遠さ、それぞれ細密に繰り出される個性が向かい合う、見応えのある展覧会です。

立体も含むさまざまな世界が提示される大島梢さんの作品群の色と線の美しさ、そして1点の大作でじっくりとその世界を繰り広げる野田幸江さん。異なる味わいの個性を一つの空間で体感できるのが嬉しく、その響き合う感じも面白いです。

《11/20》

阪本トクロウ展「エンドレスホリデイ」

新生堂

東京都港区南青山5-4-30

11/19(水)~11/29(土)

11:00~18:00

阪本トクロウ081119.jpg

今回の阪本トクロウさんの個展、公園などの遊具を描いた作品で統一されています。

静かな背景にぽつんと描かれる滑り台など、どこか寂しげで、その寂しさ、孤独さが何ともいえず心地よい風合いを奏でる、阪本さんらしい世界がていねいに紡がれています。

阿部未奈子展

BASE GALLERY

東京都中央区日本橋茅場町1-1-6 小浦第一ビル1F

11/20(木)~12/20(土)日祝休

11:00~19:00

阿部未奈子081120.jpg

面白い!

さらに緻密な展開が施される風景群、リアルな描写部分と歪んだ情景のコントラストも今まで以上に大きなギャップを生み出しているように感じられます。

また、作品によってはほぼ完全に抽象化されたものもあり、そのオーバードーズな感触の痛快さも堪らないです。

小柳裕展 -Father is an alamist-

KENJI TAKI GALLERY

愛知県名古屋市中区栄3-20-25

10/29(水)~11/29(土)日月祝休

11:00~13:00、14:00~18:00

小柳裕081029.jpg

Yutaka Koyanagi -Father is an alamist-

KENJI TAKI GALLERY

3-20-25,Sakae,Naka-ku,Nagoya-shi,Aichi-ken

10/29(Wed)-11/29(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-13:00,14:00-18:00

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徹底した生真面目な視点や展開の中に潜むユーモアが...。

KENJI TAKI GALLERYでの小柳裕さんの個展です。

小柳さんといえば、昨年の東京での個展などで発表されている夜景をモチーフにした作品を思い浮かべますが、今回の個展では一転、淡々と鉢植えの花の生涯を記録した組作品による構成で、これまでとはまったく異なる雰囲気が空間を満たしています。

目の粗い麻布を支持体に描かれる鉢。

その鉢には土が盛られ、ここに植えられた種がまだ芽を出さないところから始まります。

小柳裕001

ずらりと並べられた作品群。

最初に置かれた鉢の位置のこれ以上ない安定感、そのまま花開いたときのその花の位置までしっかり計算された構図が、実際に花が咲いたときの構図としての見事なまでの収まりの良さに「なるほどなぁ」と感心させられます。

小柳裕002

粗いキャンバスの味わいも印象的です。

そこに塗り込まれる油絵の具の質感も、独特の深く渋い色彩感を引き立てて、味わい深い世界を静かに滲ませているように感じられます。

小柳裕010 小柳裕009 小柳裕011

小柳裕008

背景の色味が作品によって微妙に異なるのも、よい感じです。

時間の経過をじっくりと感じさせてくれるような風合いが漂います。

小柳裕005

小柳裕003

しかし。

気まぐれな花は、この安定した構図をいとも簡単に裏切り始めます。

小柳裕004

!Σ( ̄口 ̄;)

おい!Σ( ̄口 ̄;)

画面からはみ出た花。

一番大事なところが収まらないこのジレンマ、この予想外の展開に思わず吹き出してしまった次第。

だってアンタ、ここまで実に渋く、滋味に溢れる世界が淡々と展開されていたはずなのに、いきなり

そっちか!Σ( ̄口 ̄;)

と全力でツッコミたくもなるというもので。

小柳裕006

枯れてしまっても

おい!頭!頭!Σ( ̄口 ̄;)

と叫ばずにはいられないような、このなんだか絵として一番大事な部分が台無しな感じがとにかく面白いのです。

この裏切られ感、色彩が奏でる渋い雰囲気や、枯れた花としてのどこか寂しい感触ももちろん伝わってきてそこにしんみりとした想いにも浸ってしまうのですが、それでも消えないおかしみが何とも言えない想いをもたらしてくれます。

菱形に画面を設置し、同様にひとつの鉢植えの花の一生を描いた作品。

粗目のキャンバス、渋い色彩はそのままに、種類の違う花が描かれています。

小柳裕013

こちらも同様に、最初の安定した構図をどんどんと裏切っていきます。

年をとるにつれて気ままでわがままな心がどんどん大胆に表出していくような過程が、妙にそういうところは人とも似てるのかも、と思ったり。。。

小柳裕020 小柳裕021 小柳裕022

小柳裕019

こちらは背景の色彩の変化もより大胆に繰り広げられているように感じられます。

花も一輪ではないぶん、それぞれの花の風合いを引き出すような配色がなされているような印象で、その微妙な心配りが、描き手である小柳さんのこの鉢植えへの想い、あたたかい視線を思い起こさせてくれます。

そして、こういう表現をしてしまうと失礼になってしうようで申し訳ないのですが、敢えて書くと、最初の構想からどんどんと外れていく花の気ままさに対して出る小柳さんの「せっかく構図を計算したのになぁ...」というため息も聞こえてきそうで...。それもまたこの作品、インスタレーションへの深みを醸し出しているように思えます。また、それでも最初の構図を貫き通す小柳さんの姿勢の堅牢さも、逆におかしみを膨らませているような感じがまた...。

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小柳裕018

さまざまなおかしみをたたえつつ、やはりひとつの物語としての流れにより、最後の枯れた姿の寂しさにぐっと心がつかまれるような感触を実感します。

小柳裕017

実にシンプルなコンセプトでの展開が、信じられないほどに豊かなイメージをもたらしてくれます。

あらゆる視点から切り取ることで異なるテンション感のストーリーが脳裏に紡ぎ出されていくのですが、何よりもまず、絵画としての精度、説得力を実感できるのが嬉しいです。

どの場面も同様に取り組まれ、絶妙な陰影と深く渋い色彩で表現されることで、花の絵としての充実感がしっかりと伝わります。

そしてまた返っていきますが、その精度が組作品によってダイレクトにストーリー性がもたらされ、深い奥行き感を生み出しているように感じられます。

広くゆったりとしていながら、カウンターや階段などがアクセントとなり、複雑な動線を構築するこの空間のユニークさも充分に活かされた構成も興味深いです

展示空間の真ん中で俯瞰したり距離をつめて絵の具やキャンバスの質感に魅入られながら、じっくりと対峙し、味わってほしい展覧会です。

小柳裕016

「花鳥異景」栗田咲子新作展

FUKUGAN GALLERY

大阪府大阪市中央区西心斎橋1-9-20-4F

11/1(土)~11/29(土)日月休

13:00~20:00(11/1:~16:00)

栗田咲子081101.jpg

Sakiko Kurita [another scene]

1-9-20-4F,Nishi-Shinsaibashi,Chuo-ku,Osaka-shi,Osaka-fu

11/1(Sat)-11/29(Sat) closed on Sunday and Monday

13:00-20:00

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いやぁ、いい!

なんか分かんないけど、いい!

ていうか分かんないのが、いい!

FUKUGAN GALLERYでの栗田咲子さんの個展です。

なんだかもう、このかわいいっていうかシュールっていうか不思議っていうかまあアレですひとことで言い表すのが非常に難しいわけですですけどこの味わいがまたたまらなくていったいどういうシチュエーションなんだろうと考えるとまたイメージが膨らんできたりっt

長げぇよ!Σ( ̄口 ̄;)

余計分かんねぇよ!Σ( ̄口 ̄;)

というわけでひとことでいうと、たまらん味わいです、はい。

栗田咲子01

展覧会のタイトル通りに花や動物たちなどが登場し、鮮やかな色彩で何ともいえないキュートでシュール、そして何といってもユーモラスな世界がほくほくと紡ぎ出されています。

軽やかな色のコントラストが、難しいイメージをもたらすことなく楽しい気持ちを盛り上げてくれます。

のんびりと気分がアガっていく感じが心地よいのです。

栗田咲子11

それぞれの作品が独特な雰囲気を漂わせながらもひとりのアーティストが繰り出してきたものとしての統一感はしっかりと感じられます。

さらに、さまざまな筆遣いで表現されるバラエティに富んだ風合い、イージーなところとリアルなところのコントラストも、栗田さんが描く世界の奥行きをぐんと押し広げるように思えます。

栗田咲子04 栗田咲子03 栗田咲子05

栗田咲子02

さらに、それぞれの作品から奏でられるエキゾチックな風合いも印象的です。

ときに淡々とした筆の走りによって寂しげな雰囲気も滲ませながら、孤独の静けさが伝わってくる世界が提示され、全体に充満するアッパーな感触の中に逆にアクセントになっているような印象です。

栗田咲子07 栗田咲子08 栗田咲子09

栗田咲子06

一転してヴィヴィッドな色彩が溢れる作品は、どこまでも痛快で爽快なイメージが加速し続けます。

下あごが妙に居移調されたような黒ヤギ(たぶん...)の顔のコミカルさ。

子どもの頃に「何だバカヤロー」と真似した猪木と同じようなおかしみがゆる~く滲んでくるわ、「角!角!」とか、そのちょこんと上になぜシギ(だと思ったのですが...)が、と謎めかせるわ、そもそもこの配色バランスはどういうことだとか、もうさまざまな

!Σ( ̄口 ̄;)

が詰め込まれていて、この作品を観ている、もとい一緒にいるとなんだか楽しくなってくるんです。

栗田咲子14 栗田咲子13 栗田咲子15

栗田咲子12

文句なく楽しいペインティング群です。

神戸でのグループショーに展示されている作品もまたすごくいい!

おそらくどんな場面が表われるか予想不可能で、その分からない感じもまたたまらない、きっと

どんなシチュエーションだよ!Σ( ̄口 ̄;)

とツッコまずにはいられない、ワクワクするようなクリエイションです!

栗田咲子10

谷澤紗和子展 HUG

MEM

大阪府大阪市中央区今橋2-1-1 新井ビル4F

10/30(木)~11/20(木)日月祝休

11:00~18:00

谷沢紗知子081030.jpg

Sawako Yazawa HUG

MEM

2-1-1-4F,Imabashi,Chuo-ku,Osaka-shi,Osaka-fu

10/30(Thu)-11/20(Thu) closed on Sundey,Monday and nationali holiday

11:00-18:00

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それでもなお、紡がれゆく不思議な風合い。

MEMでの谷澤紗和子さんの個展です。

昨年夏のBUNKAMURA ART SHOWに出品された作品のバラエティに富んだ素材や手法のインパクトは相当なもので、それらのひとつひとつが奏でる妖しさ、危うさも実に奥深い印象を受けたのですが、今回の個展では、金箔を大胆に用いた平面作品が中心の構成。

入り口の扉を開けてまず目に飛び込んでくる、正面の壁面に展示された大作にいきなり圧倒されます。

谷澤紗和子001

予想外の展開に、大いに戸惑わされます。

止めどなく広がる金色をバックに横たわる熊のぬいぐるみ。それに抱きつく手足が奇妙な世界観をじっくりと放たれているように感じられます。

何より、いったいどれくらいのストロークが繰り出されたのだろう、その制作の過程を思い浮かべると気が遠くなるくらいに、ぬいぐるみをだく手足にまとわりつく毛が描かれているのにも驚かされます。色面としての圧迫感と部分的に過剰に追求されるリアリティが、これだけの大きな画面でありながら、漂う妖しさにさらに早さが加えられているように思えます。

谷澤紗和子006 谷澤紗和子003 谷澤紗和子004 谷澤紗和子005

谷澤紗和子002

この作品の前に転がる手縫いのぬいぐるみからも強い存在感が空間に滲みます。

実際にお使いになられた毛布をもとに制作されたのだそうで、その雰囲気が生々しく伝わってきて、正面の大作と空間的にかかわり合い、物語性をさらに膨らませているように感じられます。

一般的にぬいぐるみ自体がそういう存在であるような気もしますが、記憶の存命装置、というと硬い表現になってしまいニュアンスも若干変わってきますが、そういう印象が静かに思い浮かびます。

谷澤紗和子007

谷澤紗和子008

大作の存在により、小品の精度とスケール感が力強く引き出されているように思えます。

小さいことでコントロールできる要素が増え、それが箔の質感や注ぎ込まれる感触に強烈な臨場感がもたらされているように思えます。

箔の美しさといい、そこに描き出される抱かれるぬいぐるみのリアリティであったり、このサイズでありながら充分な見応えがあり、さらに大作のスケール感がこの作品における縮尺のイメージを壮大なものへと押し上げてくれているような気がします。

谷澤紗和子010

谷澤紗和子009

隠されているワケではないのですが、大作のインパクトと箔の作品の絢爛な風合いにより、うっかりすると気付かないかもしれないような存在感で、ひっそりと立体の作品も数点、空間に配されているのも印象的です。

ひとつの統一された雰囲気の中でキュートなアクセントとなっていて、かつ別の種類の妖しさを醸し出しているように感じられた次第です。

谷澤紗和子011

現実世界との独特の距離感を保ちながら、ときに大きく覆うように、ときに鋭くイマジネーションを刺激する物語性は今回も強く印象に残ります。

谷澤さんの作品を続けて拝見していると、奇妙な小説の小品集を読んでいるような感じにも似た、不思議な世界へと誘われていくような気分が心を満たします。

今度はどんな展開が繰り広げられるか、ちょっと怖いものを観るような好奇心も重なって、楽しみです。

小橋陽介

GALLERY MoMo Ryogoku

東京都墨田区亀沢1-7-15

11/1(土)~11/22(土)日月祝休

11:00~19:00

小橋陽介081101.jpg

Yosuke Kobashi ecxhibition

GALLERY MoMo Roppongi

6-2-6-2F,Roppongi,Minato-ku,Tokyo

11/1(Sat)-11/22(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

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広い空間に響きまくる伸びやかなクリエイション。

GALLERY MoMo Ryogokuでの小橋陽介さんの個展です。

とにかく痛快!

いきなり天井の高さいっぱいの大作がお出迎え!

小橋陽介101

跳び箱か!Σ( ̄口 ̄;)

いきなり大跳躍もとい飛行状態の自画像のダイナミックさが気持ちいいことこの上ないのはあらためて言うまでもなく、段ごとに色分けされた跳び箱といい、カラフルに彩られた葉っぱや鳥といい、背景のシュールな光景といい、さまざまなものがダイナミックに繋がりあって迫ってきます!

しかしですねこの体勢、

これから跳び箱に手をつこうとしていないか!Σ( ̄口 ̄;)

そしてそれより

ヤケに膝下が長くないか!Σ( ̄口 ̄;)

といった具合に突っ込みどころが満載なのもまたイイ!

小橋陽介102

縦があるなら横もある、と言わんばかりの、大作の連続攻撃。

思わず

いい加減に(略)Σ( ̄口 ̄;)

と叫びたくなるような過剰な痛快さに満ちあふれて、それがカラフルで軽やかな色彩感によってさらに盛り上げられているように感じられます。

際限のない、とどまるところを知らない自由人的アプローチは観ているこちらにまでしっかりと届き、爽快な気分を膨らませてくれるのですが、その一方で、随所にさり気なく織り込まれるさまざまなモチーフのリアルな描写にも目が奪われ、画力の奥行きをも力強く感じさせてくれます。

もっとも、左端の「カリスマ」っていうのがすべてを打ち壊しているような感じがしないでもなく、そのケレン味のなさがさらに楽しさを加速させてくれるわけで。

小橋陽介104 小橋陽介108 小橋陽介106

小橋陽介109 小橋陽介105 小橋陽介107

小橋陽介103

なんだかもう縮尺感も何でもありになってきてて、もちろんそれは以前からそうであると言えばそうなのですが、今回はそれが特に顕著に見受けられるのが大変興味深いです。

これなんて、どんだけでかいんだよ自分、と。

小橋陽介121

カウンターを通り過ぎて奥のスペースへ入ると、ひと味違う小橋さんワールドに出会えます。

今気付いたけど

地層か!Σ( ̄口 ̄;)

地層がピンクか!Σ( ̄口 ̄;)

・・・!

大阪かよ!Σ( ̄口 ̄;)

ていうか地表から煙出いているのがそこだけてあんた...。

いや、これだけで終わらない展開、そのピンクの地表にまぎれる無数の言葉が面白い!

例によってあんまり意味や脈絡がないような感じがまたイイ!

「観る」に「読む」が加えられて、楽しさ、面白さも尋常でないほどの加速度を獲得して迫るシュールな世界。

小橋陽介114 小橋陽介116 小橋陽介117 小橋陽介115

小橋陽介112

さらにディテールをどーんと。

すみません、突っ込みたい気持ちはやまやまですが、ここまでやられるとお手上げ、つっこむ余裕がないですorz。

小橋陽介113

例によって、大作中心ながらもさまざまなサイズの作品が展示されています。

そして、六本木から両国の新しい空間になって、その広さや空間性に呼応、反応するかのように、よりいっそうの伸びやかさでオリジナルな自画像ワールドを展開しているような印象を強く受けます。

なにより、前回までは必ず小さな自画像いっぱい、っていう感じの作品がありましたが、今回の個展に登場する自画像はおしなべて大きい!

画面ギリギリに収まるくらいのサイズで描かれているものが多く、それももしかしたらこの空間がそうさせたのかもなぁ、と想像する次第です。

小橋陽介119 小橋陽介120 小橋陽介118 小橋陽介110

小橋陽介111

随所に織り込まれる遊び心は無論満載、もといそれしかないと言っても過言ではない、今回もさらにキッチュに展開された世界が満ちあふれている展覧会です!

小橋陽介122

坂本夏子展

白土舎

愛知県名古屋市中区錦1-20-12 伏見ビル地階

10/11(土)~11/8(土)日月祝休

11:00~19:00

坂本夏子081011.jpg

Naoko Sakamoto exhibition

Hakutosha

1-20-12-B1F,Nishiki.Naka-ku,Nagoya-shi,Aichi-ken

10/11(Sat)-11/8(Thu) closed on Sunday,Monsay and national holiday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

ぶわっと広がる、圧倒的なダイナミズム。

白土舎での坂本夏子さんの個展です。

プレスリリースなどを拝見し、これはぜひ観たい!と思ってなんとか最終日に滑り込みで。

いや、これがホントによかった!

展示作品数こそ、大作3点とエスキース的な小品数点と少なかったものの、その大作のなかで繰り広げられている、力強く空間を歪ませられている空間性。眺めているこちらの感覚までもが変調をきたされるかのような、凄まじい説得力がド迫力で伝わってきます。

高級な店舗の入り口エントランスを連想させる、タイルだかガラスだかのパーツが積み上げられたような空間を思わせるシチュエーション。

パーツががっちりと組むなかで、そのひとつひとつが相当にいびつなかたちをしていて、それぞれチェックしていくとおかしくなってしまいそうなくらいにぐにゃりとねじ曲げられた時空がそこに広がっているように感じられます。

このパーツひとつひとつの関係性も実に面白いです。それぞれの箇所で強引に辻褄を合わせるようにスクエアが連なって、おそらく基となる光景はもっと硬質かと思うのですが、奇妙なくらいに有機的な、不思議な奥行き感が構築されています。

坂本夏子05 坂本夏子02 坂本夏子04 坂本夏子06

坂本夏子01

もう1点の作品も、ぐんと力づくで感性を引き込むような強烈な空間性を醸し出しています。

大胆に歪みうねる手前の部分のパワフルな雰囲気。

裸で浮かぶように描かれたふたつの人影は、その関係性に想像が膨らみます。

歪む光景も、そこにある要素は律儀なまでに再現されているのも、分厚い説得力をもたらす大きな理由のひとつとなっているような印象を受けます。

坂本夏子19 坂本夏子20 坂本夏子21 坂本夏子22

坂本夏子17

もう1点の、今回出品された中でもっとも大きな作品もまた、凄まじい世界感です!

赤茶けた水の流れのなかに沈む女性、その川岸の草の上を歩く一団。ホラーなシチュエーションがうねうねと紡ぎ出され、全体を覆うダークな雰囲気が重鈍な臨場感をもたらしているように思えます。

これだけ大きな作品であっても、全面が細い線のストロークで覆われていることにも凄みを感じます。ところどころにダークグレーの下地が表出し、それが緻密なリズムを繰り出し、緻密な陰影感も奏でながら、それらが束になってこの世界のアグレッシブなダイナミズムへと昇華しているように感じられるのも強く印象に残ります。

ひとりひとりの女性の表情にもバリエーションがあり、それもまたストーリー性に深みをもたらしているような。

坂本夏子09 坂本夏子13 坂本夏子14 坂本夏子10

坂本夏子08

エスキース的な作品も実にいい味だしてます。

キャンバスに筆が擦る瞬間の音が聞こえてきそうなくらいにざっくりと繰り出されるストロークの痕跡。

大作におけるダイナミックな歪みはこの時点では見受けられず、そしてイマジネーションに対するリアクションを最重視したような仕上がりが、なぜかしらファッショナブルに感じられるのが大変興味深いです。

これがどんな世界へと帰結していくのかを想像するだけでもういてもたってもいられない感じで、好奇心がおおいに煽られます。

坂本夏子23

坂本夏子24

チェックできてホントに良かった、と。

大作で活きるおおらかで大胆な創造性、もちろん比較的小さな作品でもその創造性に触れてみたく感じるのですが、それより、やっぱり大きな画面で見たいと思わせてくれるクリエイションです。

鑑賞者の視界の全面を独占し、強引にその奇妙な世界へと引っ張り込むパワフルな感触。それに感性が蹂躙されるような錯覚は痛快で、むしろこちらからその世界へと突っ込んでいきたくなるような世界。

また観たい、絶対観たいです!

坂本夏子18

Stump Autumn Event「THE NEXT」

Gallery Stump Kamakura

神奈川県鎌倉市一二所848

11/1(土)~11/3(月)

13:00~20:00

THE NEXT 081101.jpg

Stump Autumn Event "THE NEXT"

Gallery Stump Kamakura

848,Juniso,Kamakura-shi,Kanagawa-ken

11/1(Sat)-11/3(Mon)

13:00-20:00

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Gallery Stump Kamakuraのこの秋の展覧会、どんだけっていう数のアーティストのクリエイションが壁という壁を埋め尽くし、床にもいっぱい立体やら映像やらを並べる、という、とにかく

勢いか!!Σ( ̄口 ̄;)

勢いだけか!!Σ( ̄口 ̄;)

・・・・・!

だがそれがいい!

そんな感じでしたよホントにもう!

とにかく楽しい、フレッシュなクリエイションが溢れて、それはもう溢れまくっていて、それをファイル片手に「これが誰の何で・・・」といった感じでチェックしていった次第。

Gallery Stumpのメンバーはもちろん、その周辺のアーティストをダイナミックに巻き込んで集まったおよそ30名のアーティストによるグループショーです。

まず、入って正面の黒い壁に展示されたジャンボスズキさんのペインティング。

ジャンボさんの作品は、特に大作での「大きいことはいいことだ!」と言わんばかりのおおらかさが大好きなのですが、それを小さなキャンバスにきゅっと詰め込んじゃった感じもまたキュートで。

もこもことした筆致、緻密な陰影などを駆使して、明るい謎めきを展開しているように感じられます。

ジャンボスズキ001

ジャンボスズキ002

マリローさんのペインティング、今回の展示の中で随一のキャッチーさを放っていました!

いったいここは何所よ、と思うようなダークな断崖に、犬。この無邪気な明るさ、ポップさが逆にアバンギャルドなストーリー性を醸し出しているようにも思えます。

もっといろいろと観てみたいアーティストです。

マリロー01

村岡佐知子さんのペインティング。

ダークな配色で、イージーな展開の中に深みも伝わるクールな抽象世界が紡がれています。

村岡佐知子101

村岡佐知子102

村山伸彦さん。

先日の四ッ谷での展覧会も強く印象に残っているのですが、今回は1点のみの出品。

それでもその複雑な質感により、充分な存在感が放たれています。

独創的な色彩の構成もかっこよくて、画面からほぼ垂直に生えるようなセルのひとつひとつの立体感が活きています。

村山伸彦003 村山伸彦002

村山伸彦001

PLAZA GALLERYでの個展も拝見している烏山秀直さんの作品は、緻密な構成により、ミニマムなリズムが緻密に構築されています。

透過する素材を支持体に採用し、その半透明感の視覚的なライトさも活かしながら、徹底して工芸的な展開が繰り広げられているのが面白く、このグラフィカルな感触が今回の展示の中でいい感じのアクセントとなっていたような印象です。

烏山秀直02 烏山秀直03

烏山秀直01

烏山さんのグラフィカルな展開は透明感が印象的な要素だとしたら、田中良太さんのペインティングはヴィヴィッドな色彩感が強烈に我見から立ち上がっているように思えます。

複雑なグラデーションが駆使され、そこに具体的な要素がするっと描き込まれ、シチュエーションの不可思議さを加速させているような感じがします。

田中良太01

襖の向こうの小さな部屋、こちらにもさまざまな作品が。

坂本美和子さんのモノクロームのペインティング。ふたつのトーンで織りなされる世界の暗さ、しかしそこに人の残り香のようなものも伝わってくるかのようで。

シンプルな花のシルエットも、静かに独特な美しさを奏でています。

坂本美和子001

坂本美和子002

江川純太さんがまた興味深い!

それ自体は、スピーディな筆の運びを彷彿させるペインティングです。

しかし、描かれるさまざまな場面に流れる時間のスピードはバラエティに富んでいて、ゆったりとした感じからスリリングなストーリー性を放つものまであり、フレッシュでありながら、懐の深さを感じさせてくれます。

江川純太01 江川純太03 江川純太02

江川純太04

いつもは事務所として使用されている部屋には、ドローイングやエスキース、小作品など、メインのスペースに劣らずのさまざまな作品が、それこそところ狭しと飾られていて圧巻。

ただ描き殴ったようなものもあれば、ほぼ最終形と言っても差し支えないくらいのクオリティのもの、さらには実験色の強いものまで。

stump NEXT03 stump NEXT02

stump NEXT01

あらためて、すごく楽しい企画でした。紹介していない中にも面白いものはもちろんいっぱいあって。

こういうフレキシブルな機会だからこそ出会えるクリエイションもあったし、既知のアーティストのもの一堂にチェックできる喜びもあって。

11月の最初の連休の中日で天気もよくて、車で鎌倉に来ている方がめちゃくちゃ多くてStumpから駅まではバスを使わずに歩いて帰ったのでそれは難儀でしたが(それでも駅へ向かうバスを4、5台追い越したので、間違ってなかったかと)、チェックできてよかった展覧会でした。

姉川たく vol.2 you重力ベイビー「ボくぷまれたよ」

GALLERY ef

東京都台東区雷門2-19-18

10/31(金)~11/30(日)火休

12:00~21:00

姉川たく081031.jpg

Taku Anekawa meets Gallery ef vol.2

GALLERY ef

2-19-18,Kaminarimon,Taito-ku,Tokyo

10/31(Fri)-11/30(Sun) closed on Tuesday

12:00-21:00

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思わず「こういうのを観たかった」と唸ってしまう、たまらない世界。

先月のvol.1に続いてGALLERY efで開催されている姉川たくさんの個展です。

前回も、この空間が持つ独特な雰囲気と自身の創造性が組み合い、ある種の宗教的な深遠ささえ感じられるほどの重厚さと、合わせて姉川さんならではのキッチュなポップセンスが発揮された濃密なインスタレーションが強く印象に残っていますが、そのときの印象も覚めやらぬまま、さらに緻密でダイナミックな空間が紡ぎ出されています。

いつになく明るい照明の蔵の中。

まずは、その中央に吊り下がるオブジェの連なり。

気の流れを受けてか、緩やかな回転を続けます。

姉川たく001

1階には、前回の展覧会に登場したキャラクターがいくつか隠れていたり。

それぞれの場所が妙に収まりが良いのも楽しげです。

姉川たく002

こんなところにも。

ちょっとしたユーモアが、この展示の心地よいアクセントとなっています。

姉川たく003

今回のハイライトは、まず1階の壁面にずらりと並べて展示された小さな平面作品群。

これが、すごくいい!

姉川たく006 姉川たく005

姉川たく007

さまざまな色の糸が縫い付けられ、刺繍が施されたちいさな作品が、この空間に整然と並べられている様子、情景は圧巻のひとこと。

無数のパターンで繰り広げられる世界の、やはりそのバリエーションの多さがとにかく嬉しいんです。

姉川たく012 姉川たく010 姉川たく009 姉川たく008

姉川たく015

無論、ただ刺繍が施されているのではなく。

長い糸の束をだらりと画面下方に垂らし、立体的な表現を大胆に取り込んだ作品群。

小さな画面から溢れるように伸びる糸。わさわさと乱れ、だらりと垂れ下がる気怠げな風合い、それが醸し出すアバンギャルドさ。

きらめくような鮮やかな色彩の糸のシャープさとのギャップも静かに痛快な印象をもたらしてくれます。

姉川たく035 姉川たく013 姉川たく034 姉川たく032

姉川たく014

無論、同じ情景はいっさいなく、それぞれ異なるモチーフ。

あるものは遠い風景のシルエットを思わせれば、あるいは人の頭部、骸骨などの象徴的なものを提示してきたり。

1点1点をじっくりと眺めていると時間も忘れます。今年のNANZUKA UNDERGROUNDでの姉川さんの個展で最も刺激的だった要素が充満していて、その空間に浸れることが何とも嬉しく感じられます。

姉川たく011 姉川たく033

姉川たく036

2階へ。

階段から見えてくるその状況。分厚い妖しさが、ずん、と心に迫ります。

姉川たく017

前回の遊び心に満ちた感触は一掃され、どこまでも深い、ダークなインスタレーションが紡ぎ出されています。

棚にも前回とは異なる作品が。

黒い糸が空間と響きあいます。

姉川たく021 姉川たく020

姉川たく019

もう一方の棚の作品も、姉川さんならではのユニークさが充満しています。

木製のフレームに吊られたような状態の作品。こちらでも、危うさを秘めたさまざまなイメージがよぎります。

姉川たく023

姉川たく022

天井から滝のように吊るされる黒と赤の糸、それ越しに見えてくる、中央部の1体の立像。

凄まじい存在感を放ちます。

姉川たく024

鮮やかな糸を巻き付けて形成されたような頭部。

そのかたちの有機的な風合いも、この雰囲気の謎めきを加速させます。

さらに、ボディを覆う白い糸の清らかさ、黒い空間に浮かび上がる姿の神々しさ。黒と対峙し、悠然とした佇まいを思わせつつ、同時に繊細さ、消え入りそうな危うげな風合いも漂わせているように感じられます。

姉川たく028 姉川たく027 姉川たく029

姉川たく025

前回のインスタレーションを彩ったものたちは、その隅に構え、ひとつの塊となってその存在を静かに滲ませています。

一角に寄せられたことで重厚な密度が醸し出されているのも印象に残ります。

姉川たく031

閉じた空間の圧倒的な密度と、姉川さんの作風とが今回も重厚な雰囲気を導き出しているように感じられます。

流れる時間も、早いとか遅いとかの表現では言い表せない、違う時間が漂っているような印象を受けます、

一部の平面の作品で彩色が見受けられるものの、もたらされる色彩は糸の色のみ、それだけでここまで深く、複雑な世界が組み上げられ、紡がれていることにも驚きを感じます。

ここは毎度そうなのですが、今回も溢れる発見や刺激にじっくりと身を委ね、浸っていたい、そういう気分をもたらしてくれる展覧会です。

姉川たく004

牡丹靖佳 個展「into the forest」

hpgrp GALLERY 東京

東京都渋谷区神宮前5-2-11 H.P.DECO 3F

10/31(金)~11/24(月)

11:00~20:00

牡丹靖佳081031.jpg

Yasuyoshi Botan "into the forest"

hpgrp GALLERY TOKYO

5-2-11-3F,Jingumae,Shibuya-ku,Tokyo

10/31(Fri)-11/24(Mon)

11:00-20:00

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階段を上りきっていきなり表われるゲートに

!Σ( ̄口 ̄;)

と度肝を抜かされるところから始まるこの展覧会。

大胆と繊細のバランスに独特の感性の構成力を感じるクリエイション。

hpgrp GALLERY 東京での牡丹靖佳さんの個展です。

はいはいこっから先は違う世界ですよ、と言わんばかりのダイナミックなゲートをくぐって見始める牡丹さんの作品群。

そのゲート越しに振り返って目にきゅんと飛び込んでくる楕円の小品。

牡丹靖佳01

遠目から見つけた瞬間の、引力を持っているかのような存在感、しかし至近で眺めると、そこには妖し気な情緒がひっそりと満ちています。

鉛筆や絵の具、さまざまな素材を用い、さらにその質感や特性を駆使しながら、エキゾチックで謎めく世界が淡々と展開されていて遠目からとはまた違う刺激を受けます。

牡丹靖佳02

さまざまなサイズの作品に紡がれる光景。

色の強さで攻め、大胆な構図で迫り、鉛筆の線で繊細に風景を再現し...一つの画面にもたらされるさまざまな要素、統一された縮尺感とそれでもそこから投げ込んでくるズレ、いろんな関係性が観るものの感性を翻弄してくるかのような。

この作品では、とにかく過剰なまでに濃い黒と、あっけらかんと下地の色を残す部分とのコントラストのインパクトが鮮烈すぎるのです。沈み込むような「静」の佇まいで、しかし叫びたくなるような衝動も沸きここって来るかのようなアグレッシブさを感じます。

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3面のパネルによる組作品の迫力も相当なインパクトをもたらしています。

黄緑色の地平線、真っすぐに伸び、全体をおよそふたつの色彩にきれいに分け、そのなかにさまざまな光景が細かく精緻に描き込まれています。

至近で眺めればいくつもの発見に溢れる情景、それらが小さな混沌をそこかしこに引き起こして入るものの、それだけであればひとつの安寧が満ち、穏やかに整えられる世界の印象なのですが、真ん中と右の画面にまたがり、殴りつけられるように画面に残る凄まじくアグレッシブな筆致の痕跡が、すべてを打ち壊します。

ラジオを聴いている最中に、まったく予期せぬ方角から爆音のノイズが発せられたかのような強烈さ。それまで耳を傾けていた音楽の印象を一掃してしまうほどのインパクトが、この作品の中で起こっているような印象を強く受けます。

そうなんです、牡丹さんの描く世界は、どんどん音へと変換されていくんです。

細やかだけど、どこか不安定なリズム、エキゾチックな妖しさを秘めるメロディ、そして唐突にもたらされる爆音のノイズ。音へのイメージがひとたび直結すると、そこからすべての要素が分厚い音の重なりとなって迫るような錯覚を覚えます。

牡丹靖佳15 牡丹靖佳14 牡丹靖佳13 牡丹靖佳12

牡丹靖佳11

それぞれの作品に内包される世界の独創性もたいへん興味深いです。

秩序と雑然とが混ざりあい、どんなレコードも逆回転させて針を落とせば奇妙な音になって、しかしハーモニー的な美しさは随所に表われるように、不思議な謎めきが繰り広げられているような気がします。

牡丹靖佳04 牡丹靖佳03

牡丹靖佳10

そして、さまざまな混沌をもたらすなかに感じる和の風合いも印象に残ります。

暴れまくり、一方では微動だにしない構えを見せつつ、さまざまな刺激をもたらすなかで、いわゆるワビサビのような味わい深さも持ち合わせているように感じられるのも大変興味深いです。

牡丹靖佳05

長井朋子「子供と梟と灰色ネコもキラキラの日曜日」

TOMIO KOYAMA GALLERY

東京都江東区清澄1-3-2-7F

11/1(土)~11/22(土)日月祝休

12:00~19:00

長井朋子081101.jpg

Tomoko Nagai "A child and an owl and a gray cat sparkling on Sunday"

TOMIO KOYAMA GALLERY

1-3-2-6F,Kiyosumi,Koto-ku,Tokyo

11/1(Sat)-11/22(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

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充満する、爽やかさと危うさをはらんだ空気感・・・!

TOMIO KOYAMA GALLERYでの長井朋子さんの個展です。

めくるめく繰り広げられる、シャープなファンタジー。

壁に描かれた今回の展覧会のタイトルバックと、ここから始まる物語のイントロとして、とっても印象に残るちいさな作品に出迎えられて、メインスペースに通じる通路の壁に展示された横長の作品から、これから現実では味わえない、想い浮かべることのできない世界へと誘われるかのような印象が心にすうっと入り込んできます。

たくさんのモノが描き込まれたキュートな光景、さまざまな筆の運びがそれだけバラエティに富んだ世界のイメージをもたらしてくれます。

長井朋子01

その前に、この作品の向かいの部屋へ。

スマートでコンパクトなキューブのなかに、いろんなアイテムが詰まっています。

長井朋子17 長井朋子19

長井朋子18

イマジネーションが溢れ返るようなドローイングなどはもちろん、おもちゃやら家具やら...。

そのひとつひとつが小さな世界を創り出しているような感じで、この空間にはいくつものハイライトが目に届いてきます。またそれが一つの空間に納められることで、お互いが響きあい、かかわり合って、加速的に、でも楽しくイメージを膨らませてくれます。

長井朋子20

広い展示スペース。

入った瞬間に、壁面に飾られる大きな作品からほとばしる匂いのイメージに、歩む足が一瞬止まります。

空間全体を覆うのはむしろキュートなパステル調の色彩がおおいような印象は無論最初に受けるのですが、その表面的、というか、ぱっと目にしたときの印象とは裏腹なスリリングさが、ぶわっと迫るような感触が不思議なことに心にわき起こってきた次第で。

画面に描かれる世界のファンタジックな風合いに心躍らせ、でも同時に警戒感というか、あんまり近づいちゃいけないような、あのキラキラしたものを吸っちゃうと危ないんじゃ...そんな予感が脳裏をよぎります。

長井朋子06 長井朋子03 長井朋子04 長井朋子05

長井朋子02

力強い色彩と筆致、ふわりと広がるような表現、さまざまなテクスチャーを織り交ぜて繰り広げられる世界。

おそらく瞬発的に危うさを感じたのは、子供のころに読み聞かされた童話の世界を惹起させられたからかも、と。

思えばたいていの童話には、無垢な心を持つ主人公といっしょに、よこしまな心を隠さない人たちもいて、そういった相反する心がひとつの世界に共存しているわけで、長井さんが描く絵には、そういう幸福感と危うさとの境界の世界が現されているような気がします。

長井朋子14 長井朋子16 長井朋子15

長井朋子13

そんな中、雪の中の世界を描いた作品に心打たれます。

絵の中にふんだんに用いられる白が、雪の白とともにイメージ的に無垢な風合いを繊細に奏でているような印象です。

そこにぽつんとしゃがむひとりの子どものすがた。無垢なその佇まいが醸し出すほのかな淋しさと、寒いなかに温もりが灯っているのようなあたたかな雰囲気が心地よく響きます。

さらに、降る星のシルエットなどの遊び心、遠くに広がる夜空の深さ、幾重にも筆が重ねられることで紡がれる奥行き感など、いろんな見どころに目が向かい、そのぶん過ごす時間も長くなって、その時間がそのまま物語へと転化されていくような。。。

長井朋子11 長井朋子10 長井朋子08 長井朋子09

長井朋子07

いろんなものが表われては、その世界におおらかなアクセントをもたらしていきます。

童話のクライマックス、その先を知るのがちょっぴり怖くて、でもだからこそ押さえられない好奇心、そういう想いを蘇らせてくれるような世界に満ちています。

ダイナミックな風合いも秘めるファンタッジックな物語を体感できたような気分です。

長井朋子12

review:天明屋尚「闘魂」《10/15、10/25》

天明屋尚「闘魂」

MIZUMA ART GALLERY

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F&5F

10/15(水)~11/15(土)日月祝休

11:00~19:00

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Hisashi Tenmyouya "Fighting Spirit"

MIZUMA ART GALLERY

1-3-9-2F&5F,Kami-meguro,Meguro-ku,Tokyo

10/15(Wed)-11/15(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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実感する「絵」を観る喜び。

MIZUMA ART GALLERYでの天明屋尚さんの個展です。

2階と5階とで開催されている今回の個展、まず2階から。

それぞれの壁面に、まさに堂々と展示された大作。空間の重量もいくらか増したように感じられるほど、圧巻の構成で迫ります。

無機の境地、そんな想像を思い起こさせるほどに、一切の「雑」を省ききったまっさらな色彩の背景。沈み込むような深い奥行き感が、適度に過度な緊張感とともに静かに、遠くへと続きます。

また、一面を丁寧に貼られた金箔が覆い、絢爛の度合いを極める平面空間を生み出します。

そしてそれぞれの背景が異なる雰囲気を醸し出しながら、しかしそこに登場する主役をこれ以上ないくらいに引き立て、その存在を鮮烈に立ち上らせているように感じられます。

展開される世界観の唯我独尊ぶりは言うに及ばず。

あらゆる技巧が駆使され、大胆に、緻密に、「侠」の美が繰り広げられ、思わず前のめりになりながら、作品の様々な視点における精度に魅入られます。

さらに、特筆すべきは、額や表装の力と精度。

それだけで充分に作り手の意気が伝わってくるほどの重厚感。

天明屋さんの作品へのリスペクとが額や表装しっかりと作品を引き立てているのは見事です。

さらに、特筆すべきは、額や表具の力。

それだけで充分に、作り手の意気が伝わってくるほどの重厚感で、しかししっかりと作品を引き立てているのは見事です。

奥の空間に展示された軸作品も含め、そういった日本の美を支え、美しさを引き出す仕事の力へも想いが至り、感服させられます。

5階は、日本経済新聞に掲載された連載小説の挿絵の原画がずらりと並びます。

北方謙三氏の小説「望郷の道」とのことで、北方謙三の小説は読んだことが残念ながらないのですが、機会があれば読んでみたいです。

そして、天明屋さんに挿絵を依頼する、ということはおそらくある意図が働いていると思うので、それを含めて味わえるといいなぁ、と。

そういう意味では、読んでいる方々にとってのこの展示がうらやましく感じられます。

ちなみに、天明屋さんが手掛ける本の仕事では、大森望さんと豊崎由美さんによる「文学賞メッタ斬り!」のシリーズが好きで、本屋でその表紙を見かける度に痛快な気分が湧いてきます。

とにもかくにも、「絵」を観ること、しっかりと観られることへの喜び、楽しさで心が満たされるように感じられます。

作品の力に触れ、じっくりと味わい過ごす時間の充実感。サインに添えられた「画強」という肩書きも痛快に思えます。

石居麻耶 見果てぬ夢

BUNKAMURA GALLERY

東京都渋谷区道玄坂2-24-1

11/8(土)~11/16(日)

10:00~19:30

石居麻耶081108.jpg

Maya Ishii One day, one life, one more dream

Bunkamura Gallery

2-24-1,Dogenzaka,Shibuya-ku,Tokyo

11/8(Sat)-11/16(Sun)

10:00-19:30

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ひかりの向こうがわにある色を。

BUNKAMURA GALLERYでの石居麻耶さんの個展です。

思い返せば僕がギャラリー巡りをするようになってから随分になり、今でこそホントにいろんなことに関われるようになって、そんな自分を取り巻く状況の変化にもさまざまな感慨が過りますが、石居さんの作品はそういうギャラリー巡りのし初めの頃に知って、緻密に画面に再現された景色や細かいスクラッチのマチエルが発する工芸的なテクスチャーに驚かされ、そして「こんなに素晴らしい絵を描ける人がいるんだ!」ということに心から感動したことを今でもしっかりと思い出せます。

以来、折りに触れて石居さんの作品は拝見していて、その都度、最初に受けたときと変わらない、むしろそれ以上の驚きや感動に満ちた世界に触れているのですが、昨年のBUNKAMURA ART SHOWで発表された作品で、これまでとは違った風合いが感じられたのが深く印象に残っていたところでした。

今回の個展では、その時の世界観がさらに押し進められたような、清々しさと透明感に満ち、どこまでも遠くまで届いているかのような深遠さ、セイヒツ感が溢れ広がる空間が紡ぎ出されているように感じられます。

石居麻耶302

以前のようなスクラッチは影を潜め、下地の朴訥とした感触の自然な凹凸が味わいを醸し出し、また、これまでの徹底した緻密な描写からも解放されたかのような...。

しかし、そこにあるさまざまなひかりの表情や微妙な陰影に対しては、その存在への誠実な心配りが伝わってきます。

遠目から眺めたときの印象、まさにひかりのさまざまな屈折や膨らむようなひかりの表情などが、実に自然な、しかし魅入られるほどに美しい臨場感を伴って迫ります。

石居麻耶303

描かれる情景はこれまでとほぼ同じく、海が見える景色やこれから暗くなっていく街、青空などの風景が揃っています。

それらが概ね青い画面で、その色彩感が空間に統一感をもたらしているようにも思えます。

そして、全体として、その風景を描いているというより、むしろそこにある風景をそう見せている光を描いているかのような、独特な風合いが伝わってくるような感じです。

光と影であり、そのコントラストが絶妙に色分けされていてそれぞれの色が実に誠実な美しさを奏でていて。。。

ぱぁっと広がる光のふくらみを感じさせてくれるポジティブな世界から、すうっと心をやさしく吸い込んでくれるような澄んだ静けさに満ちた世界だったり。

瞬間を捉えたかのようなスリリングな臨場感と、そこを過ったさまざまな人の想いが重なって温かみが感じられるものと。

さまざまな表情がひとつの空間に詰め込まれていて、でもそのすべては石居さんの目を通して表われたものであることの嬉しさも心に感銘をもたらすような気もします。

石居さんとお話するなかで印象的だったのが、ようやくスタートに立てたような気がする、といった旨のことを言われたことです。

もとから持っていた色彩のイメージや、光の表情の表現の仕方などが思うようなかたちで現せるようになってきた、そういう趣旨のことを伺い、もちろん以前の作品もきっと今見ても充分に素晴らしい、ハイクオリティのものだと確信していますが、そういったお話を耳にし、この向こう側にはどんな世界が広がっていくのだろう、と、わくわくしてきます。

最初に目にした瞬間の感動の持続で、きっと一生、心を豊かにしてくれそうな、し続けてくれそうな作品群。

決して過剰な表現は行われず、ただ美しいものを美しいと感じる心があればきっと感動できるクリエイションです。

石居麻耶301

TWS-Emerging110 永島千裕「The Strenger」

トーキョーワンダーサイト本郷

東京都文京区本郷2-4-16-2F

10/25(土)~11/16(日)月休(月曜日が祝日の場合開廊、翌日休)11:00~19:00

永島千尋081025.jpg

TWS-Emerging110 Chihiro Nagashima "The Strenger"

TOKYO WONDER SITE Hongo

2-4-16-2F,Hongo,Bunkyo-ku,Tokyo

10/25(Sat)-11/16(Sun) closed on Monday (If Monday is a national holiday,the following day will be closed instead.)

11:00-19:00

Google Translate(to English)

サディスティックな展開と、そこに秘められるポップなエンターテイメント性。

トーキョーワンダーサイト本郷での永島千裕さんの個展です。

もうつい先日、京都での個展を終えたばかりの印象ですが、今回の展覧会でも作品の重複はなく、さらにさまざまなシーンが展開されていて見応え充分です!

まずは、僕が拝見した永島さんの作品としては相当にコミカルな感触の世界。

律儀に図形的に、真横から描かれたバスが、妖し気な線での展開が真骨頂の永島さんの展開にずいぶんと毛色の違った味わいをもたらしているように感じられます。

永島千裕014 永島千裕015 永島千裕016

永島千裕013

バスから船へ。

こちらはいかにも永島さんらしい、さまざまな人々の感情が混ざりあって刻まれる、複雑なリズムが画面から満ち溢れています。

大胆な縮尺感、髪を振り乱す人々のマッドな仕草や何かに失望したような悲しげな虚ろな表情。そんな中に頭に白無垢だけをかぶって並んで祈りを捧げる人の列が、その姿とは裏腹に強烈な危うさをはらんでいるようにも思えてきます。

そして、飛び交う魚やしれっと乗船しているウサギなどがそこにユーモラスな風合いを織り込んでいきます。

永島千裕009 永島千裕008 永島千裕007

永島千裕006

正面の壁面に展示された、重厚な黒が背景に採用された作品の深み、インパクトも強烈な印象をもたらしてくれます。

手をつなぎ輪になった人たちの奥行き感、そして、重力とは別のベクトルに導かれるような不思議な浮遊感。

さまざまな表情もいろんなストーリーを奏でているように感じられ、もしかしたらひとりの人間の感情の流れのようにも想像できたり、あるいは輪廻をポッブに提示している気もしてきたり。

大きな画面での展開の迫力も相まって、相当に強く記憶に刷り込まれるような感じがします。

永島千裕004 永島千裕002 永島千裕003

永島千裕001

ちいさな作品も多数展示されています。

頬を染める危うさを感じさせる赤のサディスティックな風合いは一貫していますが、ていねいな線とシンプルながらも鮮やかな色彩とで繰り出されるそれぞれのシーンは、さまざまなアイテムを纏った人は言うまでもなく、たとえ裸が描かれたものであっても、その作品自体からおしゃれな感触が伝わってくるのも面白いです。

永島千裕005 永島千裕012

永島千裕010

繰り返しになってしまうのですが、前回の京都での個展からほぼ間隔がないなかでの今回の展覧会を観て、わずかな期間でしっかりと世界観の広がりを感じさせてくれるところに敬服してしまいます。

押し進められる個性、風合いがさまざまなベクトルに向かう大胆な方向性。線を基調とした、敢えて言い表すとマンガ的な作風かと思うのですが、その軽み、軽快さこそ、永島さんのスタイルのおおきな武器というか、大きな可能性を感じさせてくれる大事な要素のような気がします。

これからどうなっていくのだろう、どんな世界で魅せてくれるのだろうと、興味がつきないクリエイションです。

永島千裕011

@GALLERY TAGBOATでの連載「ex-chamber memo vol.7」がアップされました。

ご覧いただければ幸いです。

《11/5》

栗原一成 個展「盲視/Blindsight」

東京画廊

東京都中央区銀座8-10-5-7F

11/5(水)~11/29(土)日月祝休

11:00~19:00(土:~17:00)

栗原一成081105.jpg

Gallery Stumpのメンバーとしてお馴染みのの栗原さん、個展で作品を拝見するのは今回が初めて。水墨の筆致を思わせる独特の風合いで描かれる妖しげ/怪しげなモチーフが混沌を紡ぎ出し、そのなかに紛れ込む言葉の連なりを目が捉えた刹那の引き込まれる感触に深い臨場感が感じられます。

水色などの鮮やかな色彩を背景にした作品の新鮮さも印象に残ります。

《11/6》

「ザリゲナクネータ」堤岳彦 深海武範 二人展

新生堂

東京都港区南青山5-4-30

11/5(水)~11/15(土)日祝休

11:00~18:00

深海・堤081105.jpg

ebcでもお馴染み、堤岳彦さんと、特に今年のはじめからユーモアに満ちたペインティングをたくさん発表している深海武範 三んの2人展。

まず、堤さん。箱を展開し、平面に貼ってグラフィカルに再構築、そこに味わい深い染めのテイストを醸し出すような色彩が入り、不思議な雰囲気を生み出しています。

堤岳彦202

堤岳彦201

深海さん、いきなりこの状況、どうしうようかと。

お嬢さん、鼻!鼻!Σ( ̄口 ̄;)

みたいな、早速ユーモアが炸裂。

深海武範405

畳の作品も面白いです。

猫と貝の関係ももちろん、徹底してていねいに描き込まれた畳の鮮やかな緑にも目が向かいます。

深海武範402 深海武範403 深海武範404

深海武範401

で、本物の畳。

置いちゃいました(笑)。

堤岳彦 深海武範01

《11/7》

鷹野隆大「ゆらぎ」

CALM & PUNK GALLERY

東京都港区西麻布1-15-15 浅井ビル1F

11/7(金)~11/26(水)

11:00~19:00

鷹野隆大081107.jpg

硬質な映像インスタレーション。

Calm & Punk Galleryの高い天井の空間にシャープに嵌ま込まれる映像群が、それぞれ抑制されたなまめかしさや淡々とした時間の経過をかもし出し、鋭く知性を刺激してきます。

保井智貴「capsule」

MEGUMI OGITA GALLERY

東京都中央区銀座5-4-14 銀成ビル4F

11/4(火)~11/29(土)日月祝休

12:00~19:00

保井智貴081104.jpg

分かっていても、それが「漆芸」であることへの驚きを隠せない、フューチャリスティックなシャープさ小さなギャラリーのなかに佇む女の子の立像から放たれているように感じられます。

大橋博「性善説」

WADA FINE ARTS

東京都中央区築地3-2-5 第2平和田ビル

11/4(火)~11/29(土)日月祝休

11:00~19:00

大橋博081104.jpg

今回はこう来たか!

異様な大きさの目を、1体1体がさまざまな色に充血(といっても赤以外の色は充血ではないような気もしますが)させたFRP製の女の子のオブジェ群。妙に強い生命の感触を滲ませる一方で、白い色は逆に希薄な生命感を漂わせているように感じられます。

そして、壁のでっぶりとした魚の存在感といったら!

サガキケイタ「Birthday」

CASHI゜

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-18-1F

11/7(金)~11/29(土)日月祝休

11:00~19:00

サガキケイタ081107.jpg

圧巻の細密。

緻密なペンの線がさまざまなモチーフを描き出し、その線の密度が画面全体にダイナミックな濃淡を生みだしているだけではなく、そこに組み込まれるひとひとつのモチーフもしっかりとその存在を認識させるのに充分な精度で、凄まじい混沌と無数のユーモアがが画面から溢れています。

佐藤好彦 TRACHEA

ラディウム-レントゲンヴェルケ

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17

11/7(金)~11/29(土)日月祝休

11:00~19:00

佐藤好彦081107.jpg

エキゾーストパイプを引き出し、徹底して機能を追求されて生み出される造形の美しさをダイナミックに提示した印廃れ^書ン、たった1点の作品が展示されただけでありながら、充分な説得力で迫ります。

予想ではもっとぐちゃぐちゃと混沌としたものをイメージしていたのですが、提示された造形の洗練された風合いが強く印象に残ります。

GENIUS FIELD 関口光太郎 久保田沙耶

MOTT factory & gallery

東京都新宿区住吉町10-10

11/7(金)~11/30(日)月休

13:00~21:00(日:~19:00)

GENIUS FIELD 081107.jpg

ユニークな素材を用いるふたりのアーティストをパッケージした展覧会です。

紙を焦がしてかわいらしいかたちを紡ぐ久保田沙耶さんの繊細さ、一方、紙とガムテープとでがしがしとダイナミックな造形を繰りだす関口光太郎さん。このコントラストも楽しいのです。

《11/8》

小柳裕展 -Father is an alamist-

KENJI TAKI GALLERY

愛知県名古屋市中区栄3-20-25

10/29(水)~11/29(土)日月祝休

11:00~13:00、14:00~18:00

小柳裕081029.jpg

ずらりと並ぶ、粗い麻のキャンバスに描かれた鉢植えの作品群。

それぞれ、植えられた植物の種から枯れるまでを追い、詳細に記録し続け、それを並べたインスタレーションが各階で構成されていて、そこに流れる時間の深さを感じさせてくれます。

しかし同時に、予期できない要素があってそれがふっと笑いも誘うのです。

坂本夏子展

白土舎

愛知県名古屋市中区錦1-20-12 伏見ビル地階

10/11(土)~11/8(土)日月祝休

11:00~19:00

坂本夏子081011.jpg

どうしても観たかった、そして観てホントによかったと思える、ダイナミックこの上ないペインティング。展示されていた3点の大作は、下地のグレーを絶妙な塩梅で残しながら、広い画面全てを刷毛や幅広の筆などはおそらくいっさい用いられず、細身の筆によって絵の具が塗られ、生まれるズレのようなものがさらにダイナミックな

歪みとなって展開されます。

川田英二 個展

AIN SOPH DISPATCH

愛知県名古屋市西区那古野2-16-10

11/8(土)~11/22(土)木休

13:00~21:00

川田英二081108.jpg

1年振りの川田英二さんの個展、今回は鮮やかな色彩が印象深い銅版画と、ガラスのオブジェの作品によって展示が構成されています。

銅版画は、昨年の深い緑から、爽快な青へ。この青、フラットに広がる感触など、ホントに気持ちがいいんです。

川田英二005 川田英二006

川田英二004

ガラスの作品は、岩の造形のミニチュアのような風合い。

かわいらしさと清々しい味わい深さとが印象的です。

川田英二001 川田英二002

川田英二003

垣谷智樹「うそつきとわからずや」"LIARS AND BLOCKHEADS"

Kodama Gallery|Kyoto

京都府京都市南区東九条柳下町67-2

10/24(金)~11/29(土)日月休

11:00~19:00

垣谷智樹081024.jpg

大阪から京都に移転した児玉画廊、そのこけら落としとして開催されている垣谷智樹さんの個展にも行ってきました。

とにかく広い!凄い!

繁華街から離れた場所に忽然と現れる巨大空間、アバンギャルドな雰囲気が充満しています。

そのなかに立てられた巨大なパーテーション、そこに映し出される映像。

ドローイングを動かす、そういう感触で、さまざまな謎めいたモチーフが入れ替わり立ち替わり登場し、シュールな物語性を構築しいていきます。

垣谷智樹03

全部で3点の映像インスタレーション。

残りの2点はほぼ静止画です。

垣谷智樹02

淡々と紡がれる時間、一方は動かない絵を撮り続けたループで、もう一方はポジを投影したもの。

この辺りから感じ取れるタイトルの意味も印象的です。

垣谷智樹01

水田寛展

ARTCOURT Gallery

大阪府大阪市北区天満橋1-8-5 OAPアートコート1F

10/21(火)~11/8(土)日月休

11:00~19:00(土:~17:00)

水田寛081021.jpg

大作から小品までさまざまなサイズの作品で展示が構成され、それぞれの画面で展開されるレイヤー的な表現が、おおらかな色面と細密な色の重なりとのコントラストを生み出し、それが観る者の視点を一ヶ所に留まらせることを許さない不思議な魅力に満ちた絵画群、とにかく面白かったです!

谷澤紗和子展 HUG

MEM

大阪府大阪市中央区今橋2-1-1 新井ビル4F

10/30(木)~11/20(木)日月祝休

11:00~18:00

谷沢紗知子081030.jpg

昨年のBUNKAMURA ART SHOWでのシュールな作品群が印象的だった谷沢紗知子さん。

今回は金箔と茶系のペインティングとが重なる作品が主に出品され、またさらに不思議な世界がシャープに紡ぎ出されています。

「花鳥異景」栗田咲子新作展

FUKUGAN GALLERY

大阪府大阪市中央区西心斎橋1-9-20-4F

11/1(土)~11/29(土)日月休

13:00~20:00(11/1:~16:00)

栗田咲子081101.jpg

この味わい!

シュールでカラフルで、ざっくりと強い原色が重なる部分もあるかと思えばしっとりと風情を感じさせるところもあったり、さまざまなテクスチャーが強烈なギャップとなってコミカルに迫ります。

―Black State― 名和晃平 藤井秀全 小宮太郎 田中真吾

studioJ

大阪府大阪市西区新町3-14-8

11/8(土)~11/29(土)日月休

13:00~19:00

Black State 081108.jpg

名和晃平さんと、名和さをのゼミに籍を置くアーティスト、さらに一人のゲストアーティストを加えた4名によるグループショーです。

展示タイトルをコンセプトに据えそれぞれがユニークなアプローチと独創的なセンスを発揮、既知の素材概念によるイメージとフューチャリスティックな斬新さとが絶妙なバランスで配合されたかのような、痛快な刺激に溢れたクリエイションが詰まった展示が繰り広げられています。

《11/9》

メルシ 辻元小百合展

itohen

大阪市北区本庄西2丁目14-18 富士ビル1F

10/29(水)~11/9(日)月火休

12:00~19:00(最終日:~18:00)

辻元小百合081029.jpg

弾けるように鮮やかに描き出される花。

緻密な描き込みにぐんぐんと引き込まれます。

辻元小百合02 辻元小百合03 辻元小百合04

辻元小百合01

さまざまな花を描いた作品が空間に溢れていました。

それぞれに付けられたタイトルが、単に花の絵だけにとどまらせない深みも醸し出していたのも印象に残ります。

辻元小百合09 辻元小百合06 辻元小百合05

辻元小百合08

圧倒的な臨場感と物語性の奥行き感が横たわり、それでいて軽やかさや華々しさもしっかりと感じさせてくれます。

ファイルを拝見するとさまざまなモチーフの作品もあり、もっといろいろと拝見してみたいです。

辻元小百合07

片桐功敦展「凍土の星」

PANTALOON

大阪府大阪市北区中津3-17-14

11/1(土)~11/30(日)月火休

12:00~19:00(水木:18:00~22:00)

片桐功敦081101-01.jpg

片桐功敦081101-02.jpg

今回のパンタロンは華道家、片桐功敦さんのインスタレーションです。

空間の解釈が新鮮に感じられて面白いです。

1階に置かれた巨大な焼き物の器、そこに盛られる籾。

片桐功敦03

そこで何かが起こった臨場感、同時にその焼き物が作られ、使用された時間の厚みも伝わってきます。

片桐功敦02

暗い2階のインスタレーションも深遠な美しさに満ちています。

天井に設置された大きな箱、その下面にびっしりと貼られる枯れ葉。床に横になり、見上げるようにして鑑賞するのですが、無数に複雑なかたちを生み出す葉脈の緻密な模様越しに届くやわらかな明かりに、ふっと吸い込まれるかのような心地よさが訪れます。

片桐功敦01

アートイニシアティヴ・プロジェクト Exhibition as media 2008「LOCUS」

神戸アートビレッジセンター

兵庫県神戸市兵庫区新開地5-3-14

11/1(土)~11/24(月)火休

12:00~20:00(最終日:~17:00)

LOCUS 081101.jpg

5名のユニークなアーティストをフィーチャーした展覧会です。

それぞれの個性が発揮され、見応えのある空間が創り出されています。

展示会場のビルのガラス張りの壁面いっぱいに施される田中秀和さんのインスタレーションにまず圧倒されながら、それぞれの展示室へ。

1階には、Yuka Sasahara Galleryでの個展も印象的だった三宅砂織さんの印画紙を用いたドローイング的作品と、FUKUGAN GALLERYでも個展開催中の栗田咲子さんのペインティングがそれぞれの空間で展示されています。三宅さんはさらに大判の作品も出品、モノクロームで紡がれる世界の中に膨らむように広がる透明感と、そこで繰り広げられるメルヘンチックなまどろみ満ちる雰囲気を繰り広げ、そこに意識が引き込まれます。一転して栗田さんのペインティング群は個展と同様にさまざまな味わいと鮮やかな色彩に満ち、コミカルでポップでシュールな雰囲気が痛快!

地下は国谷隆志さんと木藤純子さんのインスタレーション。

国谷さんの、くねくねとうねり、青い光を放つ白熱灯の未来的な不思議空間、奇妙なところに紛れ込んでしまったかのような感触に包まれます。木藤さんは3カ所でそれぞれ異なる空間をつくり出していて、暗闇に置かれたコップの底に広がる風景で魅了され、さらに床を這うサイバーな赤い光が先鋭的な雰囲気を構築していて、それぞれ、貴重な体験をさせてもらった印象です。

忠田愛 個展

neutron

京都府京都市中京区三条通烏丸西入ル 文椿ビルヂング2F

10/28(火)~ 11/9(日)月休(祝開廊)

11:00~23:00

忠田愛081028.jpg

さまざまな素材が画面に擦り込まれるように施されるだけでなく、ところどころには焦げた痕なども見受けられる、実にアバンギャルドなマチエルが興味深い作品です。

老人を描き続けたシリーズの完結的な展示で、その雰囲気の重厚さも強く印象に残ります。

伊庭靖子 SENSE OF TOUCH

eN arts

京都府京都市東山区祇園北側627 円山公園内八坂神社北側

11/1(土)~11/30(日)金土日のみ(その他の曜日は事前予約制)

12:00~18:00

伊庭靖子081101.jpg

茶屋が続く京都八坂神社の北側の通り、その並びのガラス張りのエントランスに展示された青い紋様が入った器の絵を観た瞬間に、伊庭さんの作品をここで観る意味を実感します。

展示内容はあらためて言うまでもなく素晴らしいです、空間との相性も文句なく、お互いの美しさ、理知的で静謐な雰囲気を引き出し合いっているように感じられます。

西野正将「Wandering Wonder」

Yuka Sasahara Gallery

東京都新宿区西五軒町3-7 ミナト第3ビル4F

10/18(土)~11/22(土)日月祝休

11:00~19:00

西野正将081018.jpg

Masanobu Nishino "Wandering Wonder"

Yuka Sasahara Gallery

3-7-4F,Nishi-gokencho,Shinjuku-ku,Tokyo

10/18(Sat)-11/22(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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キュートでシュールで、ファニーでマッド。

・・・・・。

全部かよ!Σ( ̄口 ̄;)

もとい。

Yuka Sasahara Galleryでの西野正将さんの個展です。

やっぱりこの人の視点は面白い、そう唸ってしまう、ユニークなクリエイティビティが並んでいます。

まず、入り口すぐの壁面に展示されたドローイング群に迎えられます。

西野正将003

日記のように、目に入る気になるものを描き留めたような作品群。

例によって思わず

そこか!Σ( ̄口 ̄;)

そこなのか!Σ( ̄口 ̄;)

ポイントはそこなのか!Σ( ̄口 ̄;)

と気持ちが少々前のめり状態で、カラフルな色彩とさまざまな筆の運びで描かれる風景/状況のパーツに引き込まれます。

西野正将007 西野正将006 西野正将005

西野正将004

写真作品も面白い!

どこで情報を仕入れたのか、ヤケにバカでかい鯉のぼり。

もちろんこれだけだとまさにそのもの、そういうイベントの記録写真でしかないわけですが、西野さんが撮った、こうやって提示してきたとなると意味がぐんと変わってきます。

現実の場面に余計な解釈をもたらさせてくれるクリエイション、これが結構ツボを刺激してくるんです、そうなのです。

西野正将008

そして、これこそ

!!!Σ( ̄口 ̄;)

なわけですが。

これまだお馴染み、ド○え○んのの○太○ん(「太」と「ん」の間は伏せ字にする必要があるのか俺)を連想させる顔がどーんとでかく描かれ、それがギャラリーを手狭にしてしまっています。

西野正将001

その、ド○え○んのの○太○ん(「太」と「ん」以下略)を思わせる顔がべたべたと真っ黒に塗りつぶされ、それがまた危ない雰囲気を強烈に醸し出しています。

もちろんこれで終わるはずはなく。ランダムに、この黒の部分に熱風が当てられて、そこにはさまざまな表情の顔が浮かび上がります。

ひとつのおおきな顔のなかに隠される無数の表情。次の瞬間何を思っているか分からない不安定さや、呼び起こされる過去のさまざまな喜怒哀楽など、さまざまなイメージに考えが至ります。

西野正将002

映像作品がまた面白いんです。

まさに西野さんの真骨頂、「撮っただけ」のはずの映像に、

そこか!Σ( ̄口 ̄;)

以下同!

そして略!

・・・・・。

(伝わりづらいですねそうですよね反省)

(それでも分かってくれた皆様ありがとう)

えーと。

痛快なほどにポイントを抜き出されるスマートでシンプルな英語のタイトルが、その映像の意味をシャープに置き換えてしまっています。

西野正将014 西野正将013

西野正将016 西野正将015

西野正将017

なかでも一番ツボったのがこちらの「777」。

僕にとってはブラックコメディー映画「フォー・ルームズ」の最終章にも通ずる破壊力で。

西野正将010

西野正将018

一連の映像作品の中で、ひと味違うのがこちらの「Hose」。

「777」が最終章だとしたら、こちらは第3章かと。押して押して押しまくる展開が痛快です。

西野正将012

西野正将011

相変わらずの斬新な視点が、発見と驚きをもたらしてくれます。

こういう目線でさまざまなものを眺めていったらさぞ楽しい...と間違いなく思うけど時間が足りん!たぶん!

さらに、特に映像作品の映像の美しさ、精度も印象的です。ただシュールを追求しない、中には手で持つカメラのブレさえも西野さん的な「美」をひとつ上のステージへと押し上げているように感じられます。

これからどんな切り口が現れるかも楽しみです!

西野正将009

樋勝朋巳展 ―あのこのこと―

ギャラリー新居 東京店

東京都中央区銀座6-4-7 いらか銀座ビル5F

10/27(月)~11/15(土)日祝休

11:00~19:00(土:~18:00)

樋勝朋巳081027.jpg

Tomomi Hikatsu exhibition

Gallery Nii Tokyo

6-4-7-5F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

10/27(Mon)-11/15(Sat) closed on Sunday and national holiday

11:00-19:00(Sat:-18:00)

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ほっこりと響く、やさしくてやわらかい物語。

ギャラリー新居 東京店での樋勝朋巳さんの個展です。

ふわっとした色彩で描かれる場面。マラカスを振りながら歩く二本足で立つ犬のような動物と、宇宙服を着たような人が登場し、和やかに物語を綴っていきます。

樋勝朋巳07

色彩が、そして空間性が何とも心地よいです。

やさしい淋しさ、という感触。登場人物たちの繊細に滲むようなグラデーションや、素朴な色合いが広がる空や建物とのコントラストもその想いを膨らませてくれるような印象を覚えます。

樋勝朋巳02

左から右へと歩く犬。

いったいどこなんだろう、どういう状況だろう、と首を傾げてしまいつつも、なんだかユーモラスな風合いに思わず頬も緩んでしまうシチュエーション。

これから二本足の家と家とを繋ぐハシゴを渡ろうとしている犬に対して、ヒヤヒヤするような心配が湧いてくるのは案外ほんのちょっと、コミカルな状況の味付けのような程度が浮かぶだけで、なんとなく落ちても大丈夫、まあ、きっと大丈夫だろうなぁ...という感じの、不思議な安心感が伝わってくるんです。

樋勝朋巳06 樋勝朋巳05

樋勝朋巳04

ひとつひとつの場面の楽しげな風合いがイメージを押し広げてくれます。

おおらかに、ゆったりと時間が流れているかのようで、宇宙服と犬とが出会う瞬間ものんびりと見届けているような感じだったり。

けっこういろんな場面が描かれていて、それらはすべてひとつの物語のさまざまな表情を現しているようにも思えてきます。

樋勝朋巳10 樋勝朋巳01 樋勝朋巳09

樋勝朋巳03

コミカルな情景がつらつらとていねいに綴られていくような展覧会です。

そのひとつひとつのやさしい風合い、例えていうと子供のころに綿飴を買ってもらったときの嬉しさというか・・・。

そういうほっこりとしたメロウなものに出会えたときの充実感に満たされるような印象です。

樋勝朋巳08

榊貴美 むかでごっこ

GALLERY TERRA TOKYO

東京都港区麻布台2-3-5 NOAビル1F

10/25(土)~11/25(火)日祝休

10:00~19:00

榊貴美081025.jpg

Kimi Sakaki "play centipede"

GALLERY TERRA TOKYO

2-3-5-1F,Azabudai,Minato-ku,Tokyo

10/25(Sat)-11/25(Tue) closed on Sunday and national holiday

10:00-19:00

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溢れる無垢のなかに潜まされた、強烈なシュールさ。

GALLERY TERRA TOKYOでの榊貴美さんの個展です。

GALLERY b.TOKYOでの個展に続いて開催された今回の個展は、GALLERY TERRA TOKYOの独特の空間が活かされ、横長の作品で動線がもたらされて、ユニークなインスタレーションが印象に残る展示が組み上げられています。

榊貴美001

トリミングされたライトが当てられた入り口すぐの作品に続き、ぱたぱたと折り畳まれるように連なる壁面、そこに、椅子にぎゅうぎゅうに腰掛ける子供たちの絵が並んで展示されています。

空間への落とし込まれ方が絶妙で、この連なりが、繋がっていない画面の間隔をイメージのなかで補って、どこまでも続いているようにも思えてきます。

榊貴美002

独特のテクスチャーも印象的です。

緻密なグラデーションで描かれる子供たちの服。それぞれの色面が深みを醸し出しています。

さらに、ずらりと並ぶ子供たちひとりひとりの表情は、無垢な風合いを奏でつつも、そこに妙な大人びた冷静さを感じさせてくれて、それが榊さんが描く世界に奥行きを与えているようにも思えます。

榊貴美004 榊貴美003

榊貴美005

続く壁面をたどり、最後の開けた空間へとたどり着くと、今回の展覧会で最も大きなサイズの作品が姿を現します。

この作品が、相当にシュールな雰囲気を充満させているんです。

深い赤の服を纏う女の子たち。手にカラフルなショベルを持ち、砂場で遊んでいるようなのですが、その真ん中にまるで植物が生えているかのように、ショベルを手に取る女の子たちとおなじ年を思わせる人の足。

埋めているのか掘り出しているのかも分からない、あまり唐突で残酷なシチュエーションに言葉を失うのですが、このユーモアが逆に振れて過剰に強烈なシュールへと変容した情景に慣れてしばらく眺めていると、

そこにも足が!Σ( ̄口 ̄;)

とか

左上に立っている足だけ見えている子は見張りか!Σ( ̄口 ̄;)

などなど、さらにおかしな状況がどんどんと見つかっていって、この画面の中の物語性に深い奥行きがどんどんともたらされていくのです。

榊貴美010 榊貴美009 榊貴美008 榊貴美007

榊貴美006

緻密な筆の運びによる、絵画としての美しさ、そこに潜む大胆なシュールさ。

鮮やかな色彩感とグラデーションによって紡がれるそれぞれのモチーフのリアルで繊細な再現性が、そのシュールさを強烈に際立たせているように思えます。

独創的な情景が生み出す物語性の深みが強烈に印象に残り、同時に絵画としての美しさにも心が動かされるんです。

榊貴美011

奥田文子展

GALLERY MoMo Roppongi

東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F

10/25(土)~11/15(土)日月祝休

12:00~19:00

奥田文子081025.jpg

Fumiko Okuda exhibition

GALLERY MoMo Roppongi

6-2-6-2F,Roppongi,Minato-ku,Tokyo

10/25(Sat)-11/15(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

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透明感溢れる、膨らむ風景。

GALLERY MoMo Roppongiでの奥田文子さんの個展です。

昨年の二人展、今年夏の大阪での個展と拝見している奥田さんの作品。今回の個展は旧作も織り交ぜて、ということなのだそうですが、とどまりを知らない、おおらかな広がりを思わせる景色を独特の風合いで描いた大作がずらりと並び、透明感と爽快感に溢れた空間が創り出されています。

奥田文子101

どこかのんびりと、牧歌的な雰囲気が画面の中から漂ってくるような印象を覚えます。

本当はもっといろいろと細かく存在するものもひとつの色彩に溶け込んでしまって、それが曖昧な風合いをさらに押し広げているように感じられ、独特の心地よさを醸し出していいます。また、そういったなかに小さく描かれる人影や建物が、不思議な縮尺感を生んでいるのもなんともいえず面白いんです。

奥田文子104 奥田文子103 奥田文子105 奥田文子106

奥田文子102

その縮尺感が紡ぐ奥行きやいろいろなものが消えて何もないような状況によって、コミカルな風合いも奏でられているような気がします。

妙なもどかしさが心の中に湧いてきて、さまざまな情景がぼやけた感触で描かれているのもその想いを加速させてくれます。

奥田文子109 奥田文子108 奥田文子110

奥田文子107

画面の全体を覆う、およそ白い色彩感も印象的です。

すうっと吸い込まれるような滑らかな透明感が、奥田さんが描く世界観のイメージをさらにもり立てます。

「いらないもの」を外したシンプルな構図が、描かれているものの存在感や質感を際立たせて、独特のストーリー性を思い起こさせてくれるのもまた面白く感じられます。

奥田文子111

《10/30》

青参道アートフェア

H.P.DECO

東京都渋谷区神宮前5-2-11

10/31(金)~11/3(月)

11:00~20:00

青参道2008.jpg

昨年に引き続き開催の青参道アートフェア

参加亜アーティストも大変興味深いクレジットが並んでいて楽しみだったのですが、その期待に違わぬ充実っした内容で、満足です。

昨年と同様に各店舗にさまざまなクリエイションが配されていて、目を楽しませてくれたのですが、メイン会場のH.P.DECOdふぇの展示はまさに白眉。

好き者には嬉しくて堪らない感じでした。

比巴さんのペインティング。広大なキャンバスの上で展開される、アングラ感漂う圧巻の絢爛模様がとにかくかっこいい。

比巴101

b.TOKYOでの個展も印象的だった大竹夏紀さん。

カラフルな色彩に染まる布で構成された作品が、辺りを照らし出すような風合いを醸し出しているように感じられました。

大竹夏紀001

個展を終えたばかりの植松琢磨さん。

不思議な奇妙さをたたえつつ、更にクールな謎めきを放ちます。

植松琢磨101

佐原和人さん、この秋の活躍振りには頭が下がります。

ふわりと心を引き込んでくれる幻想的なシルエット。

佐原和人301

穴薪可南子さんは、さらに自らの世界の混沌の度合いを深めるような感触が痛快です。

強烈にキッチュでシュール、それでいてポップでキャッチー、魅力としての捕らえ所のなさが加速しているように感じられました。

穴薪可南子001

今回ちゃんと拝見するのがおそらく初めて、岡村透子さんの作品。

モチーフのクリアなフォルムと、軽やかななかに鋭さを秘めた色彩感が印象に残ります。もっといろいろと拝見してみたいクリエイションです。

岡村透子01

小池一馬さんの水彩のドローイング。ギリギリのところで、ある情景やモチーフへと滲みがコントロールされているような風合いのスリリングさは相変わらずの素晴らしさです。

小池一馬201

他にも、永岡大輔さんや、別のショップで拝見したトモエさん、澁谷忠臣さんほか、印象的な空間や展示が多く、来年もまた楽しみになってきます。

《10/31》

蜷川実花展

東京オペラシティアートギャラリー

東京都新宿区西新宿3-20-2

11/1(土)~12/28(日)月休(祝日の場合開館、翌日休)

11:00~19:00(金土:~20:00)

蜷川実花081101.jpg

溢れる色彩にはただただ圧倒されます。

そういったなかで、金魚のシリーズは、アートを見始めの頃に渋谷のパルコギャラリーでの個展で拝見していることもあって、感慨深くなってしまいます。

今回はレセプションですらりと通り過ぎるようにして眺めただけだったので、またじっくりとこの志キサのシャワーをたっぷり浴びに行きたいと思っています。

project N 35 ましもゆき

東京オペラシティアートギャラリー 4Fコリドール

東京都新宿区西新宿3-20-2

11/1(土)~12/28(日)月休(祝日の場合開館、翌日休)

11:00~19:00(金土:~20:00)

ましもゆき081101.jpg

凄いです。

今年のトーキョーワンダーウォールで拝見して、その圧倒的に緻密な描写にぐっと引き込まれたましもゆきさんのペンとインクで描かれる細密作品。インクの黒で展開される線、その1本1本の強烈な主張が束になって迫ってくるかのようです。

そして何より、さまざまなモチーフの表情の勇ましさが印象的です。モノクロームの紋様の絢爛を纏い、鋭く何かを射抜くかのような視線に、思わず平伏すような強さを感じます。

牡丹靖佳 個展「into the forest」

hpgrp GALLERY 東京

東京都渋谷区神宮前5-2-11 H.P.DECO 3F

10/31(金)~11/24(月)

11:00~20:00

牡丹靖佳081031.jpg

複数のパネルによって構成される大作から小さな作品まで、さまざまなサイズで展開される独創的な世界。

鉛筆などによる緻密でコントロールされた描き込みが醸し出す景色の奥行き感と、敢えてその秩序を壊すかのようなパワフルな色彩の爆発とが凄まじいギャップを生み出しているように感じられます。

そしてその力は、脳内で音へと変換され、さらに臨場感をもたらしているように思えるのも興味深いです。

《11/1》

小橋陽介展

GALLERY MoMo Ryogoku

東京都墨田区亀沢1-7-15

11/1(土)~11/22(土)日月祝休

11:00~19:00

小橋陽介081101.jpg

いや、もう、あれですよ。

もはや説明不要の小橋さんの自画像世界、今回もまたやっちゃってます!

新しいGALLERY MoMo Ryogokuの空間で、さらに伸びやかに展開しているような印象もまた痛快で。そしてその伸び伸びとできる空間と小橋さんの感性が響きあったのか、今回はチッチャーイのがイパーイな作品はあまりなくて、

俺どーん!でっかくどーん!

な風合いが多いのもまた良い感じです。

長井朋子「子供と梟と灰色ネコもキラキラの日曜日」

TOMIO KOYAMA GALLERY

東京都江東区清澄1-3-2-7F

11/1(土)~11/22(土)日月祝休

12:00~19:00

長井朋子081101.jpg

思わず口を手で覆い、塞いでしまいそうになってしまうくらいに、何か危ない空気が充満していそうな雰囲気。入口の小さな作品から始まるキュートな作風に導かれて、心を許していくと、とたんに「ヤバいところにきちゃったかも!」というスリルが一気に迫るような感触が印象的です。

手前のコンパクトなスペースでのインスタレーションもさまざまな発見に満ちていて秀逸、実に刺激的な世界が繰り広げられています。

三嶋りつ恵「百年後-未完の考古学」

SHUGOARTS

東京都江東区清澄1-3-2-5F

10/18(土)~11/15(土)日月祝休

12:00~19:00

三嶋りつ恵081018.jpg

ショーケースに展示されたガラス作品。

そのひとつひとつの造形の美しさと、空間への落とし込み方の安定した感触が、硬質な静謐感を満たしているように感じられます。

テーブル型のショーケースの下方から白熱灯の照明を当てられ、実に奥深い陰影を奏でる複雑な凹凸をもつガラスの表面の独特のリズム感と、知性が溢れるような展示方法に、ゆったりと時間を忘れて心を委ねる心地よさがなんともいえないです。

末松歩展 the layer of life

トキ・アートスペース

東京都渋谷区神宮前3-42-5 サイオンビル1F

10/27(月)~11/2(日)水休

11:30~19:00(最終日:~17:00)

末松歩081027.jpg

おそらくどこかの風景のシルエットをモチーフとして取り上げ、有機的な切り抜きが緻密に施された紙。

それが例えば額に収められて展示されるといった感じではなく、敢えてだらりと垂れ、弛んで、撓んでしまうように展示され、立体としての感触も面白い風合いを醸し出しているのが興味深かったです。

そして、奥の開けた場所、その床に置かれた大判の紙を用いた切り抜きの作品が奏でる情景の風合いも印象的で。木目調の焦茶色の床と紙のほんのりとしたクリーム色とが響きあい、深みをもたらしていました。

前田さつき 徴 sirusi

YOKOI FINE ART

東京都港区東麻布1-4-3 木内第二ビル6F

11/1(土)~11/15(土)日祝休

11:00~19:00

前田さつき081101.jpg

これまでの作風とはがらりと世界を変え、刺青を纏う人々を描いた作品。

ペンで縦横に緻密に線が重ねられ、紡がれる手描きのアミ点でここまで深く繊細な陰影が生み出さるのか、と、溜め息がもれるほどの美しさを奏でています。

メロウな風合いと危うさとが響きあって、この手法の可能性と奥行きをぐんと押し拡げているような感触も伝わってきます。

須藤由希子 鉢植え展

TAKE NINAGAWA

東京都港区東麻布2-12-4 信栄ビル1F

11/1(土)~12/20(土)日月祝休

11:00~19:00

須藤由希子081101.jpg

葉っぱの1枚1枚もしっかりと描かれていたり、人工物の真直ぐなフォルムはしっかりと真直ぐ、直線に描かれていたりと、ずいぶんと律儀なアプローチで描かれる身近な雰囲気の光景。その律儀さが、具象的な絵画のなかにズレをもたらしているように感じられて、それが大変興味深いです。

[roller coaster island]村上滋郎

magical,ARTROOM

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F

11/1(土)~11/30(日)12:00~20:00

村上滋郎081101.jpg

渦巻く世界。

近付くと回転するレコードのオブジェのキッチュなお出迎えに始まって、ダークな色彩でユニークな世界がめくるめく展開していて、その深みに引き込まれます。

[いよいよ]Hyon Gyon

magical,ARTROOM

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F

11/1(土)~11/30(日)12:00~20:00

HyonGyon 081101.jpg

TWS本郷でのあのどろりとした印象から一転。

この人の作品って、こんなにも鮮やか、フレッシュな色彩に溢れ、鋭利な風合いが満ちる危うさのなかにさらりと織り込まれるユーモアが溢れていたのか、とおおいにイメージが変わりました。

振り乱され、荒れ狂うような髪の毛のアバンギャルドなダイナミズムも無論大きな魅力です。

《11/2》

Stump Autumn Event「THE NEXT」

Gallery Stump Kamakura

神奈川県鎌倉市一二所848

11/1(土)~11/3(月)

13:00~20:00

THE NEXT 081101.jpg

たくさんあるのはいいことだ、とつくづく。

楽しかったです、壁面を埋め尽くすフレッシュなクリエイションに圧倒され、さまざまな発見やイマジネーションの刺激があって、見応えももちろん、これから展開が楽しみなものもたくさん見つかって。

Red カデム・アリ ダタン・クリスタント エヴァ・テッペ カトウチカ 今井俊介 フランシス真悟

ZAIM別館4F

神奈川県横浜市中区日本大通34

10/11(土)~11/2(日)

11:00~18:00(土日祝:~19:00)

Red081011.jpg

最終日に滑り込みで鑑賞。観ながら、観られて良かった、とあらためて。

まず、フランシス真悟さんのインスタレーションが意識を深みへと引き込んでいきます。

空間に吊るされる大判のロール紙。その中央に、赤いラインが端から端へと描かれ、薄く始まって濃く、そしてまた消え行くように。

フランシス真悟02 フランシス真悟04 フランシス真悟03

フランシス真悟01

赤、という色が持つさまざまなイメージのなかで、もっとも深く強い「血液」を、そしてそれが象徴する「生」をおおらかで壮大なスケール感とともに想像させるインスタレーションです。

人の一生を連想させるだけでなく、その赤の線がずっと遠くの風景にも、あるいは1本の血管にも見えてきたりと、縮尺的にも実に多彩な解釈ができて、じっくりと対峙していると最初に心のなかに灯ったイメージが静かに深みを増していくような感触でした。

フランシス真悟05

水戸での個展も素晴らしかった今井俊介さん、今回はさらに広い空間があてがわれたこともあり、そのクリエイティビティのユニークさをさらに発揮し、レイヤー状にさまざまなモチーフが強烈なインパクトをもたらす原色で重ねられ、混沌が激しく活性化しているような感じがとにかく痛快です。

今井俊介002 今井俊介003 今井俊介006

今井俊介005 今井俊介007 今井俊介004

今井俊介001

その向かい、柱の近くに敢えて描かれたような壁画も。

今井俊介010

シンプルに2色のみ、しかし描かれるモチーフの組み方が実に巧みで、一見するとどうなっているか分からないところにある瞬間から何かを捉えた時にぎょっとする感触がまた痛快で。

今井俊介009

さまざまな縮尺が大胆に重ねられ、既成概念がどんどんと壊されて再構築されていく面白さ、ヴィヴィッドな色彩が放つモチーフのフォルムを意識的に目で追ってギリギリでそれを交わされ、なのにまったく脈絡のない瞬間にそのフォルムを現してきたりと、感性を揺さぶられるのがとにかく楽しいです。

今井俊介008

あれ と これ の あいだ 小金沢健人

神奈川県民ホールギャラリー

神奈川県横浜市中区山下町3-1

11/1(土)~11/29(土)

10:00~18:00

小金沢健人081101.jpg

文句なく素晴らしい映像インスタレーションの数々。

僕のイメージでは小金沢さんって、失礼ながら「三の線」のクリエイションだと解釈しているのですが、しかしその独特な映像美は圧倒的で、その情景の美しさへの誠意、または敢えて高彩度で展開することで立ち上がるユニークさなど、さまざまな思いを脳裏に過らせつつ、しかしもう何もいらないってくらいに美しい映像にただ心を委ねるのが心地よくて。

またじっくり観に行きます。

姉川たく vol.2 you重力ベイビー「ボくぷまれたよ」

GALLERY ef

東京都台東区雷門2-19-18

10/31(金)~11/30(日)火休

12:00~21:00

姉川たく081031.jpg

もう、最高です。

前回のvol.1からどんな展開をしてくるのか楽しみでしたが、平面作品を大胆に織りまぜたインスタレーションはただただ深い、の一言。いつもより明るい、というかこれまでで一番明るい照明設定で、それでもなお、沈み込んでいくような雰囲気が満ちているように感じられます。

《11/4》

さかぎしよしおう展

GALERIE ANDO

東京都渋谷区松濤1-26-23

11/4(火)~11/22(土)日月休

11:30~19:00

さかぎしよしおう081104.jpg

毎年この時期に観られる、さかぎしよしおうさんの個展。

深まる秋に、ポン、と灯る、淡い青と清らかな白の粒が織り成す世界。

さかぎしさんのセラミックのオブジェを眺めている時間はまさに至高で、もしかしたら世界でいちばん美しい造型かも、という想いも湧いてくるほどに、自然な感動で満たされます。

@GALLERY TAGBOATでの連載「ex-chamber memo vol.6」がアップされました。

ご覧いただければ幸いです。

TWS-Emerging111 伊藤雅恵「MIXING IN」

トーキョーワンダーサイト本郷

東京都文京区本郷2-4-16-3F

10/25(土)~11/16(日)月休(月曜日が祝日の場合開廊、翌日休)11:00~19:00

伊藤雅恵081025.jpg

TWS-Emerging111 Masae Ito "MIXING IN"

TOKYO WONDER SITE Hongo

2-4-16-3F,Hongo,Bunkyo-ku,Tokyo

10/25(Sat)-11/16(Sun) closed on Monday (If Monday is a national holiday,the following day will be closed instead.)

11:00-19:00

Google Translate(to English)

吸い込まれるような、膨らみ迫るような。

トーキョーワンダーサイト本郷での伊藤雅恵さんの個展です。

今年だけでもVOCA展出品で拝見して以来、これまでに鎌倉画廊でのグループショー、NODA CONTEMPORARYでの個展と出品点数も比較的多い展覧会が続いた伊藤さん、今回の個展はより空間との調和を試みた展開がなされ、空間的な余白や自然光が入る窓も作品のひとつになっているような、インスタレーション的な展示となっています。

伊藤雅恵101

展示された作品は4点のみ。

3階の奥のコンパクトなスペースとはいえ、壁面に柱による凹凸があるなどの要素により、作品の数も若干少なめな印象を受けます。

しかし、大作でもいわゆる意図的な余白がない伊藤さんの作品に、空間的な余白が意図的にもたらされていると想像すると、この構成も興味深く感じられます。

弾けるように画面の中に溢れ返る色彩、それをもっと広い壁面のなかにトリミングされたような構成に、これまで伊藤さんの作品自体からは感じることのなかった「閉じる」イメージが浮かんできます。むしろ画面に収まりきらないエネルギーの膨張が、イメージのなかで壁面を浸食していくことはありましたが、逆にそのエネルギーを押さえ込むような感触というか...。脳内で展開される空間で起こるせめぎ合いに圧倒されるような感触です。

伊藤雅恵104

伊藤雅恵103

無論、ひとつひとつの作品で繰り広げられるおおらかなダイナミズムは痛快です。

構図的なアクセントにも溢れていて、例えば今回出展されている中で最も大きな作品での右下の暗色の無機的な静けさや、随所を疾走する白のケレン味のなさ、閃光のように画面を横切る鮮やかな赤のインパクトなど、見どころも多く感じられます。

伊藤雅恵108 伊藤雅恵109 伊藤雅恵107 伊藤雅恵110

伊藤雅恵106

窓から差し込む自然光の勢いも、作品のエネルギッシュな色彩感と響きあって、空間をさらに、ただ照らすよりもずっと明るく、活性化しているように感じられます。

伊藤雅恵105

空間にもたらされているさまざまな関係性が、イマジネーションを活発に動かすことを促すような印象です。

空間全体も込みでこのいきいきとした色彩の生命感やフレッシュな空気感などを体感し、ポジティブな心が湧いてくるのが堪らなく気持ちいい展覧会です。

伊藤雅恵102

TWS-Emerging112 西村加奈子「妖精/眠る場所」

トーキョーワンダーサイト本郷

東京都文京区本郷2-4-16-3F

10/25(土)~11/16(日)月休(月曜日が祝日の場合開廊、翌日休)11:00~19:00

西村加奈子081025.jpg

TWS-Emerging112 Kanako Nishimura "fairy/sleeping place"

2-4-16-3F,Hongo,Bunkyo-ku,Tokyo

10/25(Sat)-11/16(Sun) closed on Monday (If Monday is a national holiday,the following day will be closed instead.)

11:00-19:00

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油彩らしい筆感から滲む、和の風合い。

トーキョーワンダーサイト本郷での西村加奈子さんの個展です。

3階のコンパクトなスペースの手前、自然光が入らない空間。暗めの照明で、油彩としてのオーソドックスなマチエルのなかから滲み出るユニークでユーモラスな渋みが、独特の味わいを醸し出しているように感じられます。

西村加奈子01

描かれるものに対する真っ当で誠実な視線の存在を感じます。

モチーフのひとつひとつは、イマジネーションを素早く捉えるかのような筆の運びでまずはそのシルエットをおおらかに掴むように描かれていつつも、それが何であるかしっかりと分かるような丁寧さで再現されています。

しかし、描かれる景色からは不思議な風合いが伝わってきます。現実感が遠ざかっていくような...おそらくこういう光景はきっとあると確信できるものの、その場所に息づく生命の「魂」の存在を絵に起こしているような、何ともいえない印象を受けます。

西村加奈子05 西村加奈子04 西村加奈子03

西村加奈子02

仏壇の絵。静かなインパクトを放っています。

大きなキャンバスいっぱいにトリミングされた構図がまずユーモラスな雰囲気を奏でます。

そして、素朴さを醸し出す筆の運びによるほどよい具象表現が、ほっこりとした和やかな味わいをもたらしてくれるように感じられます。

この奥には「仏様」が眠っている、そういうことを子供心に知って、そのときのおそらく多くの人と共有できるトラウマ(というのかな...)のような、仏壇に対するどこかおどろおどろしさに触れるような感情や、大人になってその温かさというか、見ていてくれる、そこにいてくれている、そういうどこかありがたいような感情など、さまざまな想いが呼び起こされつつも、そもそもこれを描いちゃっているというあたりが、ドリフのコントに仏壇が出てきて爆笑を誘うシーンにも通じる痛快さを感じます。

西村加奈子08 西村加奈子07 西村加奈子09

西村加奈子06

1点だけ展示され、空間にひとつの方向性をもたらしていうように感じられる雪村の模写(らしいです、タイトルによると)。

全体の静けさから一転し、動的なイメージが発せられつつも、これが模写であることが、逆に動かないものを描いていてそう考えると他の作品とも響きあっているように思えたり、またはこの一環の作品のイマジネーションの元となっているような印象を受けたりと、イメージに軽やかな混沌をもたらしてくれます。

西村加奈子11雪村模写

空間に静かに満ちる痛快さと深み。

絵の具の質感といいモチーフの取り上げ方、そこに横たわるコンセプトなどの油彩画の面白さが詰まっていると同時に、ひとつひとつの作品が醸し出す独特の「和」の味わいも印象に残る、しかもこういった情景がコンテンポラリーのアートシーンの中で楽しめるのがまた嬉しい展覧会です。

西村加奈子10

會田千夏 新作展 Snow White

不忍画廊

東京都中央区八重洲1-5-3 不二ビル1F

10/27(月)~11/8(土)日祝休

11:00~18:00(土:~17:00)

會田千夏081027.jpg

Chinatsu Aita "Snow White"

Shinobazu Gallery

1-5-3-1F,Yaesu,Chuo-ku,Tokyo

10/27(Mon)-11/8(Sat) closed on Sunday and national holiday

11:00-18:00(Sat:-17:00)

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変化し、広がる色彩感と、変わらない味わい。

不忍画廊での會田千夏さんの個展です。

會田さんの作品は比較的長く、折に触れて拝見しているのですが、これまでの鬱蒼とした瑞々しい緑が広がる壮大で深遠な俯瞰風景を思わせる統一感のある作風から一転し、さまざまな色彩が登場、想い浮かぶ季節感に広がりがもたらされたかのような、軽やかで鮮やかな風合いに満ちた空間となっています。

會田千夏001

描かれるモチーフ自体には大きな変化は感じられない、むしろこれまでと同じ場所を思わせる光景が描かれているような印象を受けるのですが、ただ、現実の景色でも朝焼けと夕焼けでとで表情を変え、季節によっても異なる感触を見せるように、もっと身近であったかいイメージが浮かんできたりするんです。

ひとつの画面にもたらされる色彩のコントラストもより引き立って感じられます。幸せなハーモニーが紡がれていくかのようで、そこに漂う生命の感触にも思いが至り、さらに和やかでふっくらとした深みが感じられるような気がします。

會田千夏006

グラデーションの繊細さは相変わらずの美しさを放っています。

艶やかな画面表面の質感、まるで透明な層がひとつ覆っているかのようで、その奥に広がっている色合いの深々とした風合い。素朴で淡くて、でもその仄かな質感から緩やかに溢れる優しさが伝わってくるかのようです。

會田千夏004 會田千夏005

會田千夏003

合わせて出展されているドローイング作品。

こちらはちょっと違う味わいを醸し出しています。

支持体が紙であるこことや、そこにペンなどで点描や塗りつぶすなどされ、小さな振れ幅の中での遊び心がきゅっと詰まっているように感じられて、楽しい気分が湧いてきます。

凝縮する細やかさやそれによってもたらされる小さなダイナミズム、どこか妖し気な風合いも独特の感触をもたらしているように思えます。

會田千夏002 會田千夏010

會田千夏009

もちろん、以前まで、というか、會田さんといえば、というよく知る作風のものも展示されています。

さまざまな色彩に囲まれているせいか、絶妙のグラデーションで紡がれる世界に対してより幻想的な印象が浮かんできて、新鮮な感触ももたらされたような気がします。

會田千夏008

會田千夏011

最初に新しい作品を拝見したときに「えっ?あれっ?」という、予想外の感触の痛快さもまた忘れられなかったり。

その驚きがすぐに嬉しさに変わって、これはどんな世界なんだろう、と、これまでの會田さんの作品で思い描いていた景色とオーバーラップさせながら、時間や空間的な想像を膨らませて、繋げていくのがまた楽しいんです。

そして何より、用いられる色から伝わるナチュラルさが何とも言えず良い感じで、思いもよらなかった世界に初めて接しているのに、新鮮で優しいインパクトはもったまますぐに馴染んで、ほこほこと心が和やかになっていくんです。

會田千夏007

佐藤姿子「海底の王国」

GALLERY SIDE2

東京都港区東麻布2-6-5

10/11(土)~11/8(土)日月祝休

11:00~19:00

Shinako Sato Kingdom of Seabed

GALLERY SIDE2

2-6-5,Higashi-azabu,Minato-ku,Tokyo

10/11(Sat)-11/8(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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お洒落にアーティスティック。

GALLERY SIDE2での佐藤姿子さんの個展、GALLERY SIDE2らしい空間の余白に満ちる深みが印象的な展覧会です。

入り口の扉を開けてすぐ。

鮮やかな光を放ち、周りの空気をほんのり静かに、ピンク色に染める正面の電飾。

「え?あれ?」という唐突な物語の導入に、心がするりと引き込まれます。

佐藤姿子01

ちいさなペインティングがそこかしこにちりばめられています。

キャンバスに描かれるだけでなく、そのなか、あるいは側面にちょこんとつけられるアクセントが放つ大人びているかわいらしさが、深い風合いを漂わせているように感じられます。

描かれる場面のなんとなく身近な感じ、それが醸し出すその場面と現実との距離感も不思議なイメージをもたらしてくれるようです。

佐藤姿子02

すこーん、と抜ける空間。壁面の面積との関係から言うと、あまりにもちいさな画面。

しかし、その小ささをもってして、しっかりと余白に作用し、きゅぅっと視線を画面に、そしてそのおおらかな空間性に吸い込んでいくんです。

あそこまでいかないとしっかりと見えない、かもしれない...なんだか曖昧な、でも確信として...作品の画面に触れる、そこまでの過程、時間、作品と観る者との関係性に物語が自然と綴られていっているような、そんな深みが心地よく、そして興味深く感じられます。

佐藤姿子04

佐藤姿子03

佐藤さんの作品を眺めていて、まずその筆使いの巧みさに引き込まれます。

シャープな陰影、程よく突き詰められたリアリティ、さらりと残る筆圧の痕跡。きらきらとしたビーズや陶器の花がデコレートされ、さらには壁面にドローイングも施されたりすることで、そのアダルトな雰囲気に遊び心が重なって、独特の臨場感を放っているように思えます。

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ウォールペインティングのインスタレーションも印象的です。

薄紫と明るい緑の色彩が奏でるシャープで爽やかな感触。そこに白く仕上げられた銛。

これだけで、ひとつの物語が紡がれているように感じられます。その象徴のような印象。今回の展覧会タイトル「海底の王国」、その物語の大事な場面を回想するかのような、味わい深い重厚感がひたひたと広がっているように感じられます。

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さまざまなイメージの喚起がもたらされます。

冒頭の電飾から白い銛まで、その間のちいさなペインティングに描かれる大人の女性のポートレイト。

それらの関係性も実に不思議な印象で、ゆったりとした空間的な余白がじっくりとそれらを繋げているようにも思え、壮大な物語のなかに紛れ込んだかのような錯覚ももたらされます。さまざまな情景を断片的に提示され、イメーージが揺さぶられて...なんていうか、もてあそばれている感じもしたり。

ひとつひとつに対して、じっくりと向かい合って、作品と観ず仮名のイマジネーションとの関係性で、どんどん深いイメージに入り込んでいく、その深みに浸る心地よさが印象に残ります。

佐藤姿子06

Reconcilale Generation 内田文武 榎本貴政 佐原和人

GALLERY SPEAK FOR

東京都渋谷区猿楽町28-2 SPEAK FOR B1F

10/24(金)~11/5(水)木休

11:00~20:00(最終日:~18:00)

Reconcilable 081024.jpg

Reconcilale Generation Fumitake Uchida Takamasa Enomoto Kazuhito Sahara

GALLERY SPEAK FOR

28-2-B1F,Sarugaku-cho,Shibuya-ku,Tokyo

10/24(Fri)-11/5(Wed) closed on Thursday

11:00-20:00(last day:-18:00)

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3名のアーティストがフィーチャーされたグループショーです。

それぞれ、作品にシルエットが効果的なかたちで織り込まれ、それが作品への深みとシャープさとを醸し出していて、さらに三者三様のアプローチが対外の個性を引き立てあっています。

佐原和人さん。

丸の内での展示も素晴らしかったのですが、それから間を置かずに今回の展覧会。

あらためて、白い空間で拝見すると、佐原さんの色使いそのものの面白さが際立って感じられます。

画面全体、お互いの色の境界を曖昧にして、滲むようなグラデーションで広がるうつろな風合いの色。きらきらと光る和紙の繊維。その繊細な甘さをもたらす色の感触をその奥に残しながら、白と黒のシルエットが街の情景を綴ります。

暖色の優しさ、広がる透明感。パノラマのように広がる景色はリアルな臨場感が発せられるとともに、そこを過ぎ行くさまざまな人々のあたたかい想いが残り香となってやわらかな風合いを奏でているような気がします。

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丸の内で発表された作品も再び登場、異なるインスタレーションで、それぞれの構図としての面白さが押し出され、また違う味わいを醸し出しています。

佐原和人105

そこに流れる時間の緩やかさ、微睡む色彩へと気持ちが入り込んでいく心地よさ。

手をかざすとすべて蜃気楼のように消えてしまいそうな儚げな風合いもいい感じです。

佐原和人106

内田文武さんは一転して、シャープに風景を切り取り、再構築していくクールな作風が印象的です。余白となる空間も活かす作風では阪本トクロウさんに通じるところもあるのですが、沈んでいくような深みが心地よい阪本さんの作品群とは一線を画し、画面にピックアップされたモチーフは色彩もフォルムも過剰なまでにシャープに作り替えられたかのようで、そこから飛び出て来るかのようなケレン味のなさも痛快です。

内田文武01 内田文武02

内田文武03

内田さんの作品からは、リズムが聞こえて来るかのようです。

プログラミングで構築されるビートの機械仕掛けのシャープさに留まらず、そこに投影されるアイデアやひとつひとつの色彩がぱっと軽やかに弾ける感触が、軽快なポップさを放っているような印象が痛快です。

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内田文武05

一つの作品に持ち込まれる色彩が相当に限られていて、画面のテクスチャーもフラットな色面が色の数だけ重なったようなシンプルなスタイルですが、なのになぜこんなに奥行き感が豊かなのだろう、と、興味深く感じられます。

内田文武04

榎本貴政さんは映像作品。

壁面に並ぶ3つのモニター。両脇の2つはダミーで絵は動かないのですが、この演出が実に効いていて、真ん中のモニターで流れる映像にイメージ的な奥行きをもたらしているように思えます。

榎本貴政01

深青の空、そこに浮かぶ様々なシルエット。

電信柱や家屋のシャープさ、木の枝にびっしりとついた葉のリズム感。最終場面の人々。

映像自体は短くてほんの数分で終わってしまうもので、そこに織り込まれるさまざまなフォルムのシルエットがシャープなカメラワークで展開し、そのクールな視点とアイデアがとにかくかっこいいのです。

榎本貴政03 榎本貴政05

榎本貴政04 榎本貴政02

榎本貴政06

もう1点の映像作品は、ろうそくの煙りを生きを吹きかけて決してその逆戻り、とこれを延々と繰り返します。

謎です、訳が分かりません、ですがそれがいい!

そして、ケーキということもあり、周辺機器やモニターに施されたイチゴと生クリームの模様は、もちろん渡辺おさむさんの手によるもの。

この辺りの軽やかなコラボレーションも嬉しかったり。

榎本貴政07 榎本貴政08

榎本貴政09

シルエット、というひとつのスタイルによってパッケージされた3つのクリエイション。

シルエットという見所を意識させられることもあり、面白い視点で作品を拝見できたのは貴重な体験のような気もします。

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writer name:幕内政治
birth:1971/6/17
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