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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報
2009年1月アーカイブ

Multiple Worlds-淺井裕介 泉啓司 西村知巳

ARATANIURANO

東京都中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3A

11/15(土)~1/31(土)日月祝・12/28~1/5休

11:00~19:00

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Multiple Worlds -Yusuke Asai,Keiji Izumi,Tomomi Nishimura

ARATANIURANO

2-2-5-3A,Shintomi,Chuo-ku,Tokyo

11/15(Sat)-1/31(Sat) closed on Sunday,Monday,national holiday and 12/28-1/5

11:00-19:00

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ユニークな視点をもつ3名のアーティストがフィーチャーされた展覧会です。

それぞれ圧倒的に異なる個性がひとつの空間/企画にパッケージされていて、それがひとつの展覧会としての実にユニークな統一感を生み出しているのが興味深いです。

西村知巳さんの写真とテキストによる壁面のインスタレーション。

伺うたびに構成に手が加えられていて、その変化も面白く感じられた次第。

西村知巳02.JPG 西村知巳03.JPG

テキストの存在が実に良く効いています。

正面を向くさまざまな人たち、こちらに向ける強い視線。口は一様にきつく結ばれ、それがその強さをさらに助長しているように感じられます。言葉ではなく目で訴える静かな迫力が伝わってきます。

一筋縄ではいかない、しかし何か鮮烈なメッセージ性を感じる写真群、そこにテキストが、言葉が添えられることで、それぞれの写真を自然とこちらの一色が繋げ始め、そこにある「意味」をもたらしてきます。この展開に意図的なものは感じないのですが、その過程を促すかたちが大変興味深いです。

写真集もあって、もっとシンプルなテキストと写真とで綴られていて、こちらも静かに引き込まれるような世界観が感じられます。

西村知巳01.JPG

泉啓司さんの木彫作品。

彩色も含め、細部までしっかりと再現された緻密さに引き込まれ、同時にシチュエーションのワケの分からない感じも逆に深みをもたらすように感じられます。

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座った表情、泉さんご本人から伺って、記憶違いだと申し訳ないのですが、樹脂で作り込まれた花弁、あるいは羽がびっしり覆ったようなパンツ、その他ジャンパーやブーツの微妙なシワまでがていねいに作り出されていて、そのスキルに大いに驚嘆させられます。

しかし、首の周りの雲みたいなのは一体何?と思わずにはいられない...それがまた独特なユーモアをもたらしています。

泉啓司02.JPG 泉啓司03.JPG

泉啓司04.JPG

ユーモア的な視点ではこちらは実に分かりやすい!

というか造形にも状況にも

!Σ( ̄口 ̄;)

となってしまうのですが、いやもうなんですかこのリアリティの追求具合は、と。

どうしようもなくくだらないことが造形化されていて、しかしすごくかっこいいんです、放たれるナニの爆裂さがアグレッシブさを生み出し、そのかたちの面白さには屈服せざるを得ないという。いや、すごいです。

泉啓司05.JPG 泉啓司06.JPG

泉啓司07.JPG

奥のスペースにも1点。

造形の凄みがさらに加速します。

台の上に立つ人のリアルさはメインスペースに展示された作品からも充分に伝わっているのですが、その下に再現された人間の脊髄と頭蓋骨のリアルさに、一気に引き込まれます。

木彫の荒々しさ、彫り痕のリアルさが強烈な臨場感を醸し出し、この再現性の高さに唖然としつつ、シンプルな構成ながらもそのシチュエーションは混沌ももたらしているように感じられます。徹底してリアリティが追求され、そこに強固な説得力がもたらされているからこそ、その世界観の奇妙さも強く印象に残るんです。

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淺井裕介さんの壁画。

もう、圧巻です。

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茶系の自然色で綴られる壮大で深遠な世界。

模様が奏でるリズムの心地よさと、モノを作るということにおいてのプリミティブな感触がより古代のイメージを思い起こさせる独特な雰囲気。

初日に伺ったときのグランドデザイン的なもののみが壁に施されていた状況から、ここま濃厚で濃密な世界が繰り広げられるとは、と、その創造性のボリュームにも圧倒されます。

浅井裕介02.JPG

壁面に留まらず、床にも模様が這っています。

身近な素材を取り込んで、どんどんと展開していく様子が伝わります。

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ドローイング群も興味深いです。

浮かぶイメージと、描きたいという衝動に対する素直なリアクションがそれぞれの画面から伝わり、素朴さ、無垢さが鼻を突くような痛快な粗雑さ(言葉は悪いのですが...)が堪らないんです。

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同じ建物の階上の階段部分の壁面にも淺井さんの手が加えられています。

長い時間をかけて壁に積もった埃に線が引かれ、この空間の状況に「意義」が引き寄せられたかのような。

このフレキシビリティも実に痛快です。

浅井裕介08.JPG

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3名の繰り出すクリエイションは、メディアの違いが鮮明なのはもちろん、対峙する距離感もそれぞれで異なっています。

それぞれの作品、インスタレーションが隣り合って展示されていることより、その「距離感」の差異が、それぞれの面白さを際立たせているように感じられたのも印象的です。

3つの世界観は少なくとも僕の中では重ならない、繋がらない、しかしその無関係さが深みをもたらしているように思えるんです。

個々の展開も無論楽しみです。同時に、こういうパッケージももっと観てみたいと思う次第です。

浅井裕介04.JPG

大舩真言展 -Prism-

neutron tokyo

東京都港区南青山2-17-14

1/10(土)~2/1(日)月休

11:00~19:00

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Makoto Ofune -Prism-

neutron tokyo

2-17-14,Minami-aoyama,Minato-ku,Tokyo

1/10(Sat)-2/1(Sun) closed on Monday

11:00-19:00

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現実の空間に作用する、平面の中の「空間」。

関西のアーティストを中心に、実にバラエティに富み、しかも強烈な個性を放つクリエイションを紹介し続けるneutronが京都から東京へ新たに進出。

neutron tokyoのこけら落としとして開催されている、大舩真言さんの個展です。

まず、空間の持つポテンシャルに圧倒されます。

アートを紹介するスペースとしては相当にアクロバティックな解釈がなされたような印象。3階建て、1階のコンクリートの床の無機質な空間、2階の吹き抜けのダイナミズム、ロフトも備わる3階、そして自然光をふんだんに取り込む広い窓...さまざまな表情がひとつの建築物に収められていて、ここでこれからどんなクリエイションが紹介されていくかを考えると本当にワクワクしてきます。

入り口の扉を開け、最初の展示室。

暗がりに展示された作品が、異界へと誘う窓のように存在しています。

硬質な雰囲気が充満し、深い静謐が存在しているように感じられます。

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続く通路を兼ねたスペースには、小品が1点。

たったこれだけで壁面を、そしてその空間を支配し、深遠な雰囲気をもたらいているように感じられます。

大舩真言002.JPG

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続いて、コンパクトなスペースが登場します。

こちらには横長の大作が2点。

初日と2度目に伺った際は遅い時間だったこともあり、画面の闇の質感が際立って感じられた次第。

たったひとつのスポットと、上方の白熱灯により、いっそう深い奥行き感がもたらされています。

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あらためて日中の時間帯に伺うと、ガラス張りの壁面から差し込む自然光の影響で、それぞれの絵に描かれた世界がまさに姿を現します。

うねる陰影、ただならぬ奥行き感を奏でる、水平線を思わせる真一文字のライン。大舩さんの真骨頂とでも呼ぶべきダイナミックな静謐が表出されます。

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立ちこめる妖気の存在を想像させるような、独特の世界観。

どこまでも遠くへと、果てなく続くような雰囲気が、イマジネーションを現実から引き離していくかのような錯覚さえ思い浮かびます。

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階段を上って2階へ。

こちらのフロアは応接スペースも兼ねていて、その壁面に並ぶ作品群は、今回の大舩さんの展示作品の中で、外のウィンドウとともに、飾られる作品がもっとも「絵」として機能しています。

緻密さを感じさせてくれる陰影は、そのまま光の表情も導き出し、ふわりと浮かぶ静かな高揚を惹起させてくれます。

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さらに、3階へ。

昇り切ったところに、1列にシンプルに並ぶ小品。

大作のスケール感が直前に脳裏に刷り込まれていることもあり、このサイズでさえ、壮大な想像が紡がれていきます。

加えて、壁面の「余白」の感触とが生み出す世界観にも深みを感じます。

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2階と3階とに渡る大きな吹き抜けのスペースもあるのですが、3階にも豊かな空間性がもたらされています。

高めの位置に展示された作品。ベージュの色調のコントラストと岩絵の具の粒子の質感とが、月の表面を連想させてくれます。

全体に広がる静けさ、至近で眺めたときに目に訴える画面の荒涼とした感触。非常に抽象性が高い世界観だと思うのですが、混沌を来すものではなく、ストイックなまでに静謐なほうへと沈み込んでいくような雰囲気は、この色調の作品においても強く印象に残ります。

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吹き抜けのスペースを3階から眺めます。

下から見上げた今回の個展い出展された作品の中でもっとも大きな作品を正面に見据え、手前には床の高さに置かれた作品が。

水平に展示された作品からも、また不思議で独特な雰囲気を感じます。

波打ち際に訪れているかのようなイメージであったり、また虚空に浮かんでいるような錯覚が想起されたり...。

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空間自体が持つ様々な表情に呼応し、大舩さんが画面に灯す光が空間へも響いて、しっとりとしていて壮大な世界を構築しているように感じられます。

先にも触れましたが、昼と夜とでは圧倒的に空間が表情を変えます。その両方体感し、プリミティブで美しいコントラストがホントに素晴らしいです。

そして、例えば3階のロフト部分や屋上など、今回の大舩さんの個展では用いられなかったアクロバティックなスペースもあり、この空間でこれからどんな世界が展開されていくか、ホントに楽しみです。

Saeko TAKAGI exhibition

GOTANDA SONIC

東京都品川区西五反田3-8-3 町原ビル1F

1/23(金)~ 2/1(日)

11:00~20:00(最終日:~18:00)

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Saeko TAKAGI exhibition

GOTANDA SONIC

3-8-3-1F,Nishi-gotanda,Shinagawa-ku,Tokyo

1/23(Fri)- 2/1(Sun)

11:00-20:00(last day:-18:00)

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そびえる美しい幻想。

GOTANDA SONICでの高木紗恵子さんの個展です。

東京オペラシティでのproject N、VOCA展、そしてなにより昨年の静岡県立美術館で開催された「風景ルルル」、それぞれで拝見し、画面にもたらされるテクスチャーの激しさ、それとは裏腹に爽やかささえ感じられるほどの独特の高貴な世界観が強く印象に残っているのですが、今回の個展では先の「風景ルルル」で繰り広げられスタイルを踏襲し、さらに新たなシリーズ的作品を出展、それぞれじっくりと高木さんの世界に浸ることのできる構成が嬉しい!

ギャラリーに着くと、ガラス張りの入り口の向こうから、まず虚空に浮かぶようにして展示された2点がレイヤー状に重なって目に飛び込んできて、その光景に刹那、圧倒されます。

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薄暗い空間に浮かぶ高木さんの「世界」。

静岡県立美術館での展示で採用されたのとほぼ同様に、キャンバスの直上からスポットが当てられ、鉱石やエナメルなどのさまざまな立体物がシャープな影を画面に落とし、力強い臨場感がもたらされています。

奥に漂うようにして広がっているぼやける情景の儚げな風合いと、その物質感を強烈に表出し、アバンギャルドにさえ感じられるマチエルとのギャップが壮大な雰囲気を生み出しているようにも感じられます。時間の感覚も圧倒的に異なるふたつの世界が重なることで独特光景が創出され、力強い、そして曖昧さももちあわせる幻想世界へと観る者のイマジネーションを引き込んでいきます。

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その奥に展示されている作品、今度は直下からスポットが当てられます。

影が下から上へと鋭く伸びる様子は、さらにそこに流れる時間の速度が増したかのようなイメージをもたらすように感じられます。

画面に溢れるさまざまな抽象がそこかしこでこの情景のハイライトへと転化し、凄まじく過剰なヴィヴィッドさを生み出して、その強烈さを視界が捉えるたびに見入ってしまいます。

あたかも画面方向へと重力が生み出されているかのようなダイナミックさも強く印象に残ります。

そして、奥に広がるペインティングと画面に投入される立体感それぞれに、異なる衝動がそのまま紡がれ、投げ込まれるようにして繰り広げられているこの景色は、凄まじいアバンギャルド性を鮮烈に放ち、こちらの感性を揺らがせるアブストラクトな雰囲気を立ちのぼらせながら、やはりファンタジックなものに触れたときに思い浮かぶ高揚感ももたらしてくれるのがホントに興味深いです。

すなわち、荒々しささえも美しさへと導いていくような...。

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さらに奥まった空間にも1点、スクエアの画面の作品が展示されています。

描かれる動物の姿や生える植物の姿。その具体的な筆致は、この場面のファンタジックな雰囲気をやわらかく提示しているように思えます。

動物の姿が醸し出す生命の感触が抽象性を幾分か抑えたような印象で、それが画面にもたらされる立体的な要素にも天真爛漫な遊び心を感じさせてくれるように思えます。

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もっとも奥まった広い壁面にずらりと並ぶ肖像画。

この壁面でくる広げられるインスタレーションも圧巻です。

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はじめて高木さんの作品を拝見したときの印象は、その「白さ」がもっとも大きいのですが、その白さが再び、かたちを変えて現れたかのような感触です。

滲みが奏でる淡く儚げな風合いが、それぞれの表情に独特な深みを、そして危うさを紡ぎ出しているように思えます。

絵の具が生み出す自然な滲みに巧みな解釈が織り込まれ、その絶妙な「かたち」がそれぞれの肖像に感情の奥行きの存在を感じさせてくれます。

よく見るとおおよそふたつの種類の支持体が採用されていて、木目の細かい真白なものと若干グレーがかって目が粗めのものとが微妙なコントラストを創出しているのも面白いんです。

全体として淡々とした風合いが、不思議な浮遊感をもたらしてくれているような気もします。

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とにかく実に刺激的な空間が生み出されています。

やわらかく静かな感情や激しい衝動などによって織り成されるさまざまな創造性/想像性が、独創的なファンタジーを創出しているように感じられます。

全体を捉えたときに伝わる、どこまでも広がり続けるようなダイナミズム、至近でひとつの部分に焦点を当てたときにぐんと引き込まれるようなミニマムな面白さ、さまざまな味わいで好奇心が強烈に煽られます。

会期が短いのが残念なのですが、ぜひたくさんの方に観て、いろんな刺激を受けてほしい展覧会です。

そして本日、1/29木曜日の20:00からに高木さんのトークショーも開催されるとのことです。お時間が許す方はぜひ!

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岡本啓展

ギャラリー椿

東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F

1/17(土)~1/31(土)日祝休

11:00~18:30

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Akira Okamoto exhibition

Gallery Tsubaki

3-3-10-1F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo

1/17(Sat)-1/31(Sat) closed on Sunday and national holiday

11:00-18:30

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ギャラリー椿での岡本啓さんの個展です。

ユニークな色彩感が奏でる写真作品はこれまでの展覧会でも拝見していてその鮮やかさ、透明感は印象的なのですが、今回の展覧会では、これまでの抽象的な展開のなかに植物のシルエットが加わり、思い浮かぶイメージに具体的なアクセントが加えられて、いっそう豊かな世界観を奏でています。

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前回までの作品から感じられた独特な透明感は健在です。

有機的な揺らめきは、爽やかさと深み、そして奥行きを同時に感じさせてくれます。

背景の乳白色、そして多くの作品で採用されている縁取りが、豊かな空間性をもたらし、おおらかなイメージの創出を促し、あたかも、ある「空間」が提示されているかのような印象を受けます。

その空間のなかに浮かぶ植物の姿。抽象性に具体的なものが入り込むことで、イメージも具体的になってくるような感じです。

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ひとつの画面に重なるふたつの空間性。

植物のシルエットと鮮やかな色彩、それぞれが巧みな配置によって組み合わさり、それが花と葉との関係祖思い起こさせたりしながら、不思議な雰囲気を導きます。

今回の作品についてはフィルムに直接手を加えるという新たな手法が取り入れられているそうで、それがこのような展開を可能にしているとのこと。その広がりも興味深く感じられます。

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さまざまなスタイルの作品が出品されています。

重なる風景と色彩。透明な色彩のなかに景色のシルエットが収まって、そこに流れる時間の存在を深く感じさせてくれるような印象です。

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もっと小さなサイズの植物の作品も。

標本的なアプローチが楽しく、こちらはむしろ色彩がアクセントとなっているのも面白いです。

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さまざまな色彩が登場していますが、冷しておいしいお菓子に添えられるミントの爽やかなに通ずるアクセントの感触が、なんともいえない心地よさをもたらしてくれます。

余白も含め、広い画面に収められる彩りは、透明のパネルにマウントされることでさらに瑞々しさを増し、よりおおらかなイメージを惹起します。

ほんのりとした繊細さも心に心地よく響く世界観です。

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替場綾乃展「きもちの漂流」

GALLERY MoMo Ryogoku

東京都墨田区亀沢1-7-15

1/10(土)~1/31(土)日月祝休

11:00~19:00

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Ayako Kaeba "Drifting of a feeling"

GALLERY MoMo Ryogoku

1-7-15,Kamezawa,Sumida-ku,Tokyo

1/10(土)-1/31(土) closed on Sunda,Monday and national holiday

11:00-19:00

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あらたな「技」を手にして、広がった世界が痛快!

GALLERY MoMo Ryogokuでの替場綾乃さんの個展です。

一昨年の六本木での展示で発表されたひたすら楽しく軽やかにリズムを奏で、そこにほんのりと妖しさを潜ませる感触から、昨年の替場さんの卒業制作で拝見した作品での、一転してアバンギャルドな質感で迫る世界観を経て、今回の個展ではその両方の面白さが絶妙なバランスで配分された作品が展示されています。

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女の子の姿などのシルエットのかたちに切り抜かれたパネル、そこにぽんぽんとリズミカルに織り込まれていくモチーフ。

その細やかさ、そして色のチョイスの軽やかさが、楽しい雰囲気をもたらします。そこにちょっぴり潜む妖しさもまた、その深みを加速させているように感じられます。

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広い空間、広い壁面で、遊び心もふんだんに取り込まれていきます。

輝く光を思わせるかたちが弧を描き、そこにひとりの女の子がそれぞれ登場している作品群のインスタレーション。

黒い絵の具の、筆の流れの痕跡が線の流れをもたらして、壮大なイメージを奏でます。かたちの楽しさ、そのなかにちっちゃな引力が収められていて、不思議なファンタジーが思い浮かべられます。

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ペインティングが比較的シンプルな作品も。

前に屈み、空をくるりと回っているような格好の女の子のシルエット、銀色の靴と髪の毛に描かれる鹿の角のような模様がユーモラスなリズムを奏でています。画面側面のピンクのヴィヴィッドさもほどよい鮮烈さをもたらします。

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このシルエットくり抜きスタイルのもっとも進化したかたちがこちらの作品です。

パターンの展開がその一部に抑えられ、かわりにさまざまな色彩やモチーフが織り込まれて、そのユニークさに加えて物語性も感じさせてくれます。

複数の女の子が手をつないで輪になっている姿のシルエットの再現性も印象的です。けっこう複雑なかたちをしっかりと表現し、その光景の臨場感と、彩色によるファンタジックさとのコントラストがさらに個性的な世界へと押し上げているように思えます。

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それぞれの作品に、かたちとパターンとで目一杯に遊び心が注ぎ込まれているように感じられます。

色使いの大胆さも加速して、それが、主に黒の絵の具の盛り上がりによる立体感を際立たせています。

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オンキャンバスの作品も面白い!

ひたすらストイックにパターンを綴っていく作品、もっとプリミティブな「絵」の作品など、それぞれが個性的で、そして替場さんらしさはしっかりと挿入されています。なかには実験的な要素を感じさせてくれるものもあったりして、この辺のクリエイティビティがどういうふうに発展していくかも興味深いです。

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いろんな楽しさが伝わります!

パターンの緻密さはどの作品においてもほどよくしっかりとしていて、かたちのインパクトと面白さに留まらず、キャッチーな世界観がそれぞれからひたすら創出されているように感じられます。

描く線の数も相当な分量のはずなのですが、それでいて決して重くならず、むしろそういった要素さえも楽しさへと転化させているあたりにいっそうの面白みを感じます。

そして、さらにそこに潜むダークさ、妖しさ、あやうさも、鋭いアクセントとなって迫ります。例えとして合っているかどうか微妙かもしれませんが、童謡の「赤い靴」の世界観に通ずる物語性、それが現代的な感覚で現されたかのような感触が思い浮かんできます。

遊園地さながらに楽しくかわいらしい色彩とかたち、そして模様が溢れる空間、さまざまなイマジネーションが湧いてきます。

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杉浦慶太「森 -Dark Forest-」

CASHI

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-18-1F

1/10(土)~1/31(土)日月祝休

11:00~19:00

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Keita Sugiura -Dark Forest-

CASHI

2-5-18-1F,Nihonbashi-bakurocho,Chuo-ku,Tokyo

1/10(Sat)-1/31(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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特異な面白さを放つ、機械による色彩の解釈。

CASHIでの杉浦慶太さんの個展です。

杉浦さんといえば、昨年開催されたGEISAI MUSEUM#2とGEISAI11との連続受賞の印象が強く、その際ももちろんブースの展示を拝見しているのですが、あの騒々しい(それがGEISAIの醍醐味なのですが)なかでは感じ取ることができなっかった杉浦さんの世界観を、今回の個展ではしっかりと力強く感じられるのが嬉しいです。

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黒と深緑で染まる作品がずらりと並び、シャープな空間を構築しています。

映し出される景色は、杉浦さんにとって馴染みの深い森林。密集する木々の枝、それを覆う緑の葉が、凄まじく緻密なミニマリズムを放っています。

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その森の精緻な表情が独特なテクスチャーで捉えられています。

何より興味深いのが、黒の色彩としての存在感。

景色として捉えると、作品の中にもたらされる黒はもっとも遠い場所、深く奥へと続く部分と解釈すべきなのですが、ひとたびこの画面を絵画的に観てみたとき、本来もっとも奥まる黒の部分がむしろ手前にそびえ、立ち上がって感じられ、重厚な臨場感をもたらします。

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シャープな陰影と、黒の色彩感がもたらす世界観は実に独特な風合いです。

おそらくオーソドックスな写真、Cプリントなどで提示されるともっと普通の森の景色が提示されると思うのですが、敢えて出力で作品化されることで、強烈なほどに深い世界観を創出しているように感じられます。

無論、森が被写体となっていることに思いを至らせたときに浮かぶイメージもしっかりと存在しています。その存在へのリスペクトを強く感じます。しかし同時に、森の「森」としての機能を敢えて放棄し、その景色を無機質なほどに平面的に捉え、そこに交錯する無数の線の複雑さを捉え提示することで、圧倒的なクールネスの獲得にも成功しているように思えるのがまた、実に興味深いです。

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空間全体に整然と並ぶ艶の消えた漆黒と深緑。それらが森の表情を借り、複雑にせめぎあう様子に接すると、自然の美しさの深みや奥行きに穏やかな精神へと沈み込むような気持ちと同時に、過剰に複雑なパルスが脳裏に展開され、アグレッシブな刺激も受けます。

神々しささえ感じる深遠な静謐、そして現代的なクールな感覚。その両方を持つ世界、じっくりと対峙してほしいです。

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大竹夏紀 展覧会 idola specus

ギャラリーPOINT

東京都渋谷区恵比寿西1-4-7

1/16(金)~1/26(月)

12:00~20:00

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Natsuki Otake exhibition "idola specus"

GALLERY POINT

1-4-7,Ebisu-nishi,ShIbuya-ku,Tokyo

1/16(Fri)-1/26(Mon)

12:00-20:00

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妖しさを秘めるファンタジー。

ギャラリーPOINTでの大竹夏紀の個展です。

昨年夏のb.TOKYOでの個展、秋の青参道アートフェアと続けて拝見し、その独創的な手法によって組み上げられる作品の面白さとユニークな世界観のインパクトが強く心に刷り込まれたのですが、それからわずか数ヶ月で始まった今回の個展、出展された4点の大作はすべて新作されたとのことで、まずそのバイタリティに感嘆させられます。

それほどのサイズの作品が並び、空間を囲んで、その世界観をいっそう鮮やかに現しています。

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テキスタイルを学ばれたとのことで、「染める」という手法が独特な色彩感を展開します。

たくさんのパーツによて構成される壁面インスタレーション的な展開、そのひとつひとつに施される色彩は、絶妙なグラデーションを放ち、不思議な透明感と深みを奏でます。また、支持体の繊維の細やかな輝きも、その色彩感の個性に花を添えているように感じられます。

それらによって描き出される無数の柄、それに囲まれる女の子の恍惚とした表情。ぱぁっと華やかな広がりが伝わり、果てなく広がり続けるようなおおらかな印象が思い浮かぶと同時に、その中にある種の「暗さ」が感じられるのも印象的です。圧倒的な「ハレ」の雰囲気と表裏一体の儚さもそこに感じ取ることができるような気がして、それが大竹さんが紡ぎ出す世界にいっそうの深みをもたらしているように感じられます。

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展示されている4点のうち、入り口から続く壁面に展示された大作のスケール感はまさに圧巻です。

ひとつひとつの色彩が放つ鮮烈な深みが連なり、よりダイナミックに、その世界観を力強く展開します。

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無数のハイライトが視界を覆います。

描き出される花が、模様が、その存在感を際ただせ、お互いを引き立て合いながら、いっそう大きな世界を築き上げているような印象をもたらします。ひとつひとつが踊るようにして、華やかな雰囲気をさらに盛り上げ、真ん中の女の子が浮かべる笑みにその力を集約していくかのように感じられます。

そして、この世界の華やかさの力強い臨場感とともに、ほの淋しい感じ、切なく儚い感じ、そしてダークな雰囲気も伝わります。幻想の世界であることの臨場感も同時に押し出されているような印象です。

大竹夏紀 08.JPG 大竹夏紀 09.JPG 大竹夏紀 10.JPG 大竹夏紀 11.JPG

大竹夏紀 12.JPG

手法の独創性のインパクトと、そのオリジナリティにとどまらない世界観の強固さの説得力。

さまざまなイメージがもたらされます。

色彩感、構成など複雑な要素をふんだんに織り込み、綴られていく妖し気なファンタジックワールド、ここにもし違うモチーフが入り込んだらどうなるんだろう、など、これからの展開も気になってしまいます。

さらに深い世界へと観る者のイメージを導いてほしい、そう期待させてくれるクリエイションです。

LEVEL UP! 深海武範

GALLERY HANA SHIMOKITZAWA

東京都世田谷区北沢3-26-2

1/10(土)~1/25(日)火休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

深海武範090110.jpg

LEVEL UP! Takenori Fukaumi

GALLERY HANA SHIMOKITZAWA

3-26-2,Kitazawa,Setagaya-ku,Tokyo

1/10(Sat)-1/25(Sun) closed on Tuesday

11:00-19:00(last day:-17:00)

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膨らむユーモアとシリアスなシュールさとの絶妙のバランスが。

GALLERY HANA SHIMOKITZAWAでの深海武範さんの1年振りの個展です。

昨年の弾けるような痛快なポップさのは相変わらずの勢いを放ち、しかしそこに潜むメッセージ性の奥行きが感じられるのが印象的で、深海さんの表現する世界に広がりがもたらされているように思えるのが嬉しいです。

まず、小さなキャンバスにぎゅっと押し込められた二つの眼がお出迎え。

そこに「暗さ」が潜んでいるような感じで、構図のアクロバティックさがもたらすアバンギャルドさが、逆に痛快に感じられるんです。

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どうしようもなくどうしようもないシチュエーション、今の深海さんの真骨頂が!

ツッコミどころは実はひとつしかないんですけど、でもツッコミどころしかないような。

そもそも

なぜに寿司ネタに!Σ( ̄口 ̄;)

と思い浮かび、続いて

イナバウアーか!Σ( ̄口 ̄;)

今更イナバウアーか!Σ( ̄口 ̄;)

と二段構えの態勢に、イマジネーションをおおいに持っていかれます。

そもそもこの分かりやすいシュールさが堪らない!

そしていろいろとそこからメッセージ性も引き出せちゃうのがまたその世界に深みをもたらしていたりして。

加えて描写の巧みさにも一本やられた、という塩梅に感嘆させられます。

深海武範302.JPG 深海武範303.JPG 深海武範304.JPG

深海武範305.JPG

こちらは細切れのツッコミどころを備える作品。

いくつもの要素が入り込み、それぞれよくよく考えるといろんな関係性が見えてくるのもホントに面白い、それでいて、そのシュールさには妙に説得力があって、「面白いことに理由がいらないのだ」的な感じもまた痛快極まりなく。

個人的にはコース設定が「念入り」になっているのが特にツボで。

念入りなのか...(・。・)

・・・。

念入りか!Σ( ̄口 ̄;)

旦那が入ってるのに念入りか!Σ( ̄口 ̄;)

終始そんな感じです。

深海武範306.JPG 深海武範307.JPG 深海武範308.JPG 深海武範309.JPG

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暗めの色彩とニヒルな女性たちの表情、独特の華やかさが画面から溢れ、不思議な雰囲気を立ち上がらせる作品も。

描く情景の身近な感じとあり得ない感じとの配分の絶妙さ、ホントに面白いです。

深海武範311.JPG 深海武範312.JPG

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今回の展覧会でのもっとも大きな作品は、凄まじい勢いが伝わる、ダイナミックさがひときわ強烈な世界が放たれます。

構図の安定感の説得力が、その状況へ違和感を感じさせずに迫力をもたらしているのですが、地面が画面に取り込まれていないところに想像を膨らませて、もしかしたら跳び箱100段とか重なってるんじゃね?とか考えてみると

!!!!!Σ(@口@;)

って感じに高揚させられます。

一旦そういうイメージを思い浮かべると、履いてるのが上靴だったりするのも結構可笑しかったり。

そもそも跳び箱を跳んでいるんじゃなくて実は落ちてきてるんじゃないかというのはさておき、この状況にあってさらに高みに目をやり不適な表情を浮かべるその姿に圧倒させられるんです。

深海武範314.JPG 深海武範315.JPG 深海武範316.JPG

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他にもさまざまな世界が綴られています。

色彩感、シチュエーションなど実にバラエティに富んでいて、しかしどれもが深海さんならではの世界だなぁ、と思わせてくれるのも興味深いです。

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深海武範320.JPG

2度伺い、既に若干の展示替えも行われていて、あそこに飾られていた作品が別のところにあったりして、位置の変化が空間も変えてしまってるのもまた楽しかったり。

膨張する勢いと、深まる奥行き感、これからさらに広がり続けることに疑いのない感じもまた嬉しいです。

さらにシリアスに、そしてさらにバカバカしく。

今度はどんな世界が出てくるかも楽しみです!

深海武範321.JPG

《1/12》

LEVEL UP! 深海武範

GALLERY HANA SHIMOKITZAWA

東京都世田谷区北沢3-26-2

1/10(土)~1/25(日)火休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

深海武範090110.jpg

相変わらずのポップでファニーな場面が繰り出されています、そして、その一方で世界感の重心が低くなったような、シリアスな風合いも感じられるのが印象的です。

ひとつひとつの作品が放つ物語性のボリュームもさすがのクリエイションです。

吉岡徳仁ディレクション Secomd Nature

21_21 DESIGN SIGHT

東京都港区赤坂9-7-6

10/17(金)~1/18(日)火(12/23、1/6は開館・12/27~1/2休

11:00~20:00

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これがすごく面白かった!

まず、ロス・ラブグローブさんのオブジェがすごかったんです。無数の直方体が連なり重なって形成される構造体。骨の構造が原型なのだそうですが、とにかくその無機と有機との両面の面白さを備え、さまざまな角度から無数のリズムを奏でるかのような造形にずいぶんと長い時間見入ってしまいました。

吉岡徳仁さんの空間も圧巻。天井から下がる無数の繊維、その透明感がフューチャリスティックな雰囲気を発散し、そこに置かれる水(おそらく)が満ちたショーケース内展示される結晶構造のオブジェや椅子の美しさも強いインパクト、空間全体の白い世界が独特で。

ART@AGNESでのSCAI THE BATHHOUSEのゲストルームで拝見して印象に残った安部典子さんの、紙を重ねて地層を表したオブジェも、その緻密さが小さい作品ながら壮大なスケール感を放っていて、ホントに観ることができてよかったと思った次第です。

《1/16》

project N 36 原良介

東京オペラシティアートギャラリー 4Fコリドール

東京都新宿区西新宿3-20-2

1/17(土)~3/22(日)月休(祝日の場合開館、翌日休)

11:00~19:00(金土:~20:00)

原良介090117.jpg

めくるめくような世界がダイナミックに綴られています。

昨年のYuka Sasahara Galleryで発表された作品に加え、新作も多数出展されていて、描かれる場面のなかに挿入されるユーモアのおおらかさ、それが醸し出す不思議な感触の味わいも楽しいです。

大作では絵の中に入っていけそうな臨場感もあって嬉しいんです。

ARAM DIKICIYAN PHOTOGRAPHIEN

CLEAR GALLERY

東京都渋谷区渋谷4-2-5 Place Aoyama

1/16(金)~ 2/14(土)日月祝休

11:00~19:00

Aram Dikiciyan090116.jpg

デザインフォトも手掛ける日本在住の写真家、ARAM DIKICIYANさんの個展です。

粗いドットによって紡がれる風景やポートレイト。ゆったりと、そしてシャープに響き、美しく深遠な空間が創出されています。

大竹夏紀 展覧会 idola specus

ギャラリーPOINT

東京都渋谷区恵比寿西1-4-7

1/16(金)~1/26(月)

12:00~20:00

大竹夏紀090116.jpg

昨年のGALLERY b.TOKYOでの個展も印象的だった大竹夏紀さん。それからおよそ半年で開催されている今回の個展でも新作が出展され、その制作ペースにも圧倒されます。

それほどに大きな構成の作品、無数のパーツはていねいな染めでグラデーションが施され、ヴィヴィッドな世界が奏でられています。

《1/17》

冬の夏 三瀬夏之介

佐藤美術館

東京都新宿区大京町31-10

1/15(木)~2/22(日)月休

10:00~17:00(金:~19:00)

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圧巻です。

三瀬さんのクリエイティビティの全貌が収められたかのようなヴォリュームが、壮大に迫ってきます。

3階の屏風、4階のさまざまなインスタレーションそれぞれに引き込まれるような深い味わいと魅力を力強く放っています。

北村怜子 作品展「2018」

FOIL GALLERY

東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤

1/16(金)~1/31(土)日休

12:00~19:00(初日:~18:00)

北村怜子090116.jpg

水彩によって描き出される抽象世界。

絵の具の滲みが生み出す偶然性を巧みに解釈し、透明感溢れる世界が紡ぎ出されています。

パネルにマウントされ、よりシャープに提示されているのも印象的です。

藤本由紀夫「遠/近」

SHUGOARTS

東京都江東区清澄1-3-2-5F

1/17(土)~2/14(土)日月祝休

12:00~19:00

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深いなぁ、と思います。

作品自体は何の変哲もないように思えるものなのですが、しかしそこに力強い想像の奥行きを感じます。

これまで藤本さんが積み上げてきたものがそのまま反映されたかのような説得力で迫ってくるかのような印象です。

じっくりと対峙したいクリエイションです。

入江明日香展

日本橋三越本店本館6階美術サロン

東京都中央区日本橋室町1-4-1

1/13(火)~1/19(月)

10:00~20:00(日祝:~19:30、最終日:~16:30)

入江明日香090113.jpg

さらに広がりを続ける入江明日香さんの世界。

実にユニークな銅版表現のスタイルは変わらないものの、登場するモチーフが多彩になってきているのが嬉しいです。

今回は女の子が描かれ、まずその美しい筆致に見蕩れます。そして、洗練された抽象性と響き合って、深く繊細で、時に硬質な世界観がていねいに綴られています。

既に充分に美しい世界がこれからどう広がっていくのかもいよいよ楽しみです。

水野勝規展 -グレースケール・ランドスケープ-

INAXギャラリー

東京都中央区京橋3-6-18 INAX:GINZA 2F

1/7(水)~1/28(水)日祝休

10:00~18:00

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暗い空間に置かれる1台のパーテーション。そこに淡々と風景画モノクロームで映し出されていきます。

流れる時間と光景の深みに心を委ね、じっくりと沈み込むようにその雰囲気を体感するのはなんとも心地よいです。

昨年の国立新美術館でのさわひらきさんの映像インスタレーションのように、複数のパーテーションを設置し、同時に複数の風景が上映される空間も体感してみたいです。

岡本啓展

ギャラリー椿

東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F

1/17(土)~1/31(土)日祝休

11:00~18:30

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独特の色彩の響かせ方が、やはり面白いです。

これまでの手法を一部変え、作品の中に植物のシルエットも挿入することで抽象世界に具体的なイメージがもたらされ、それがそこから浮かぶイメージの幅を広げているように感じられます。

綴られる世界のキュートさ、よりミニマムなベクトルへと突き進んだかのような風合いも印象的です。

牛来美穂

GALLERY MoMo Roppongi

東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F

1/17(土)~2/6(金)日月祝休

12:00~19:00

牛来美穂090117.jpg

ペンによって描かれる密度の濃い世界。ちりちりと舞うような筆致でかわいい模様が綴られ、そこに登場する女の子の存在の不思議な感触も面白い物語性を奏でているように思えます。

奥のスペースのカラフルな小品、それらが囲む空間もかわいらしい雰囲気に満ちています。

松原正武展「未完成」

EMON PHOTO GALLERY

東京都港区南麻布5-11-12 TOGO Bldg.,B1

1/14(水)~2/5(金)

11:00~19:00(土日祝:~18:00)

松原正武090114.jpg

光の表情を捉え、リズミックに展開した写真群。

光のラインが奏でるフューチャリスティックな妖婉さ、そして無機的な質感のクールさが面白いです。

Dale Berning「たくさんの葉とそのほかのビー玉のための入り混じったアクセントによる練習曲(サナエとウフェミ)」

TAKE NINAGAWA

東京都港区東麻布2-12-4 信栄ビル1F

1/17(土)~2/21(土)日月祝休

11:00~19:00

Dale Berning090117.jpg

なんともかわいい世界が奏でられています。

ペンによる無邪気で同時に大人びたような雰囲気も感じられる世界。切り絵などの要素も挿入されて、ふわふわとした世界観が楽しく感じられます。

前原冬樹展 "wooden sculpture"

YOKOI FINE ART

東京都港区東麻布1-4-3 木内第二ビル6F

1/17(土)~2/14(土)日祝休

11:00~19:00

前原冬樹090117.jpg

言葉を失う木彫作品。

おぶせミュージアムの個展に相当な観客を集めたということも納得の精度です。観られなかったことを無論後悔してしまうほど。

この緻密さ、リアリティが1本の木から掘り出されているという事実が、その凄みをさらに押し上げます。

奥の壁面の鍵にはただただ呆然。。。

《1/18》

PROJECT the PROJECTORS 2009

ZAIM

神奈川県横浜市中区日本大通34

1/17(土)~1/25(日)

11:00~19:00(最終日:~12:00)

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東京藝術大学の先端の卒業制作の展示です。

空間全体を満たす大作がそれぞれの部屋に展示されていて、凄まじい見応えです。

特に印象的なのが、明石侑姫さんの金色の線で神々しいモチーフが綴られる緻密なマントラ風の絵画と、有坂亜由夢さんのかわいらしいオブジェが空間にひしめくインスタレーション。

他の作家も含め、それぞれにどういう展開を繰り広げていくかも楽しみです。

せんたんまる

BankART studio NYK

神奈川県横浜市中区海岸通3-9

1/17(土)~1/25(日)

11:30~19:00(最終日:~12:00)

せんたんまる090117.jpg

こちらは修了制作の展示。

既に拝見したことのあるアーティストも多数参加されていて、さらに見応えがある空間が創出されています。

まず視界にふわりと響く荒神明香さんのインスタレーションが。至近で眺めるとその素材の臨場感が伝わりますが、離れた場所で眺めたとき、まるで色が浮かんでいるかのような感触で、それが儚げな美しさを奏でています。

大いに持っていかれたのが南川憲二さんのパフォーマンスの記録。

wah」というプロジェクトがこれまで行ってきた奇天烈な行動の記録のひとつひとつに目が釘付け。

なかでもヘビ花火一万個に火をつけた映像には、終止

!!!!!!Σ( ̄口 ̄;)

といった感じで。

他、岩本愛子さん、坂本千弦さんの作品も印象的です。

《1/20》

HAPPY WORKS 2009

不忍画廊

東京都中央区八重洲1-5-3 不二ビル1F

1/10(土)~1/24(土)日休

11:00~18:00(土:~17:00)

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不忍画廊とゆかりの深いアーティストの新作がずらりと並んでいます。

なかでも呉亜沙さんの大きなペインティングが観られるのが嬉しい!

ふわっとした世界観、メランコリックさとハッピーな雰囲気が満ちるような風合いが伝わります。

《1/21》

渡辺真子 "MIRACLE☆GIRL"

GALLERY at lammfromm

東京都渋谷区上原1-1-21 山口ビル1F

12/19(金)~1/31(土)12/30-1/3休

12:00~20:00(土:11:00~、日祝:11:00~19:00)

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こまやかな筆致でめくるめく世界が綴られます。

リトグラフの大作のいろんなものを詰め込んだようなおおらかさに圧倒されます。

またキャンバスの作品では、フェイクの花なども大胆に持ちこまれていたりと、大胆さも楽しい世界の創出に一役買っています。

いちばん印象的なのが、黒の画面にスクラッチで女の子の絵などが施された作品。ヴィヴィッドな色調の作品が並ぶ中、ひときわその色彩が引き立って感じられます。

井上加奈 個展「cocoro」

HB Gallery

東京都渋谷区神宮前4-5-4 原宿エノモトビル1F

1/16(金)~1/21(水)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

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スルガ台画廊での個展が強く印象に残っている井上加奈さんの個展です。

今回は小品が中心の展示で、大きな世界のハイライトと収めたかのような場面がそれぞれの絵の中に詰め込まれているようで、楽しく感じられます。

伺った時間が遅くなってしまい、残念ながら大きな作品を拝見することがかなわなかったのですが、またぜひ観たいです。

I'm here.東京展[森の発生/森の腐敗]中田朝乃 土ヶ端大介 古川紗帆

表参道画廊

東京都渋谷区神宮前4-17-3 アーク・アトリウムB02

1/19(月)~1/31(土)日休

12:00~19:00(最終日:~17:00)

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東北芸術工科大学を修了された、または現在籍を置いているアーティストがパッケージされた企画の東京展。

中田朝乃さんの岩彩の作品。

顔に浮かぶ植物の存在が、不思議な物語性を奏でます。

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そして、緻密な線描が独特なリズムを奏でる作品も。

渋い色調にその具現性が引き立ちます。

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これまで何度か拝見している土ヶ端大介さん、ストッキングという特殊な素材を用い、今回はそこに具象性を持ち込み、よりコントロールされた世界が創出されていて興味深いです。

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異なる柄のストッキングが重なり、アバンギャルドさとグラフィカルさとが独創的なバランスで共存しています。

素材感のインパクトと描かれるモチーフのギャップも面白みを加速させているように感じられます。

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古川紗帆さんの作品には唖然!

本物の毛皮と漆、という相当にアクロバティックな組み合わせがユニークな雰囲気を生み出しています。

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制作の過程も実に面白そうで、その辺りの情報があとから加えられていくとどんどん古川さんのクリエイションに奥行きがもたらされていくんです。

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時々 New Creaters Exhibition

TURNER GALLERY

東京都豊島区南長崎6-1-3-3F

1/17(土)~1/24(土)

11:00~19:00

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いやぁ、やりもやったり、総勢30名近くのアーティストが一堂に介し、ボリューム満点の展示空間を創り出しています。

さまざまなメディアが揃い、それぞれ力一杯その創造性を発揮しているような感触が痛快です。

《買ったCD》

「GLOOMY SUNDAY」矢野沙織

吉岡千尋/和田典子

Yuka Sasahara Gallery

東京都新宿区西五軒町3-7 ミナト第3ビル4F

12/20(土)~2/14(土)日月祝休

11:00~19:00

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Chihiro Yoshioka/Noriko Wada

Yuka Sasahara Gallery

3-7-4F,Nishi-gokencho,Shinjuku-ku,Tokyo

12/20(Sat)-2/14(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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ふたつの密度が生み出すコントラスト。

Yuka Sasahara Galleryでの和田典子さんと吉岡千尋さんの2人展。僕は僭越ながら勝手にYuka Sasahara Galleryで紹介されるアーティストを「男子部」「女子部」「映像部」と部門分けして悦に入っているのですが、今回はその「女子部」の新顔出現!といった様相で、今までの流れからも納得の既知と未知のクリエイションが揃い、ここで紹介されることがホントに嬉しく感じられます。

それぞれのキュートなシュールさをたたえた個性が豊かに響き合って、不思議な風合いの空間をつくり出しています。

まず、名古屋でのアトリエをともにするアーティストとのグループショーでも印象に残っている和田典子さん。

今回の展覧会がクリスマス時期に始まることもあって、ツリーを模した作品が空間を軽やかに彩ります。

やわらかな風合いの色彩感、質感を枝が纏う様子が白い壁に映え、不思議な爽やかさを奏でているように感じられます。

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そしてペインティング群、こちらもまた名古屋で拝見したスタイルで、そこからさらに新作も加えられて展示されているのですが、ベッドやソファなど、洋風な生活空間のなかでうねうねと様々な色彩の線が絡まって、なんとも無邪気で、同時に全体的な雰囲気のどこか大人びた感触が不思議な響きをもたらして、独特な世界観を醸し出しているように感じられます。

絡まる色彩のリボンの塊、そのなかに人が丸まって忍び込んでいて、そこへとイメージを思い至らせたとき、さらに無邪気方面へと、またもっとシリアスな感情の存在へと、各方向へと想像が膨らんで、物語性に心地よい混迷が生み出されるような気がします。

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そして、昨年秋に拝見したときよりも、このスタイルで表現できる雰囲気がより広がって感じられるのも嬉しいです。

その場所がどこであるかがより分かりやすくも、同時に作品によってはさらに抽象性を増したものもあったりして、ひとつの統一感のなかでバリエーションが広がって感じられます。

これだけ豊かな色彩観を誇りながら、独特なトーンが全体から伝わり、不思議な深みとかわいらしさを感じさせてくれるのも相変わらずで、インスタレーションとの関係性なども含め、これからどういう作品が生み出されるか楽しみです。

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吉岡千尋さんは、むしろ統一されないさまざまなスタイルの展開に興味がそそられます。

ペインティングだけでもさまざまな質感のものが揃い、ひとりのアーティストが生み出したイメージの幅の広さに惑わされたり。

こちらの作品、さまざまなスピードを連想させる筆の運びによって、抽象性で具象性を引き出すかのような不思議なリアリズムが紡ぎ出されているように感じられます。

しかもそのなかにさまざまな「ズレ」が含まれていて、その不安定さがまた微妙な雰囲気を生み出していて、それが面白かったりするんです。

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一方で、大胆な配色と構図がユニークな情景をもたらしている作品も。

赤の地に濃い青の組み合わせのヴィヴィッドさに目を奪われつつ、そこに食パンやカップなどがそのものの色彩で描かれていて、またここでも独特なアンバランスさが展開されています。その違和感が妙に好奇心に引っかかりをもたらして、なんだか痛快な気分がゆるゆると湧いてくるんです。

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個性的な手法が際立つのが、メッシュ地を用いた作品。

カーテン状のメッシュに描かれる風景、支持体の透過性が軽やかさや儚さを醸し出し、同時にそこに施される紙粘土の部分の存在感がぐんと立ち上がって伝わります。

そこにあるかないか、全体の存在の曖昧さが不思議なイメージを奏でているように感じられます。

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それぞれの作品の独立性と、しかしそれぞれにアクセントとなる要素はしっかりと持ち込まれていて、その遊び心が興味深い世界を生み出しているように感じられます。全体的にポップでイージーで、その軽みが痛快に感じられるクリエイションです。

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このふたつの世界、濃密な色彩感がたまらない和田さんと、淡く浅い感触が印象深い吉岡さんとのコントラストも、それぞれを引き立て合っているように感じられるのもまた嬉しいです。

当初は今月いっぱいまでだったこの展覧会、2月14日土曜日まで会期が延長になったとのこと。

もう何度か、このフレッシュで独特な味わいの世界に浸りにいきたいと思います。

日韓若手作家交流展 Asian Young Artists Exhibition 2 -continuous stories-

クムサンギャラリー東京

東京都中央区東日本橋3-5-5 矢部ビル1F

1/7(木)~1/30(金)日祝休

11:00~19:00

AYA 090107.jpg

Asian Young Artists Exhibition 2 -continuous stories-

SPACE355

3-5-5-1F,Higashi-nihonbashi,Chuo-ku,Tokyo

1/7(Thu)-1/30(Fri) closed on Sunday and natinoal holiday

11:00-19:00

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昨年末に開催された第一弾に続いて開催の、日本と韓国のアーティストを紹介するグループショー。

今回も面白いです!

入り口、気配を感じて上を向くと...

!Σ( ̄口 ̄;)

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・・・ちょっと、おい(汗)

Lee So-Yoonさんの作品が絶妙な位置からお出迎え。

なんだか妙に達観したような大きな目とこちらの目が合って一瞬びっくり。

眺められている感触がなんともいえないです。

もとい。

まず、増田智己さんの作品。

画面にレースや印刷された紙などがコラージュされ、そこに描かれる動物の表情や落ち着いし色調と相まって、大人びたファンタジックな世界を奏でています。

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さまざまな要素が重なり、独特な奥行きがもたらされています。

画面の上に垂れる絵の具の痕跡、貼られたベージュの布にぐりぐりと擦り付けられたかのような黒の質感。異なるアバンギャルドさが不思議な説得力を放ち、そういったアクセントに囲まれて、妙に洒落た格好のカンガルー(?)が据わった目とニヒルな表情で正面を向いていて...グラフィティ的な痛快さは、このアンバランスさを逆に嬉しく感じさせてくれます。

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バラエティに富んだ構成、しかし強固な個性は強い統一感を感じさせてくれます。

作品ひとつひとつの物語性の幅の広さに感嘆しつつ、同時に絵の中のさまざまな要素がいろんなイメージを惹起してきます。

抽象性と具体性の絶妙な加減も面白く、その関係性が独特な深みを醸し出しているように感じられます。

もっと大きな作品やインスタレーションなどもぜひ拝見したいクリエイションです。

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Noh Kyoung-Heeさんのペインティングは一転して、オーソドックスな絵画性が心を打ちます。

淡々と美しく、美しい景色を再現していく、そういうプリミティブなモチベーションが感じられるのが新鮮です。

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巧みな具象表現がもたらす説得力。

クラシカルな風合いはこのパッケージのなかでむしろ異質さを醸し出しています。

さらに、その具象性の中に潜むミニマムな抽象性、至近で眺めたときに現れる異なるイメージにも引き込まれます。

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先日、大阪での個展を拝見できなかった添野郁さんの作品が観られるのも嬉しい限り・・・!

ある現代の風景がシャープに切り取られ、モノクロームで緻密に再現されるペインティング。

引き出す要素やそれらを表現する色彩の解釈がとにかく面白く、かつ絵の具の質感も直に拝見するとその臨場感も伝わってきて、見入ってしまいます。

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現実風景の緻密で巧みな再解釈がもたらすユニークさが、大胆な空間性をもたらします。

虚空に浮かぶ日常。ありふれた光景であることが分かるだけに、その浮遊感がもたらす不思議な感覚がより鋭く立ち上がって伝わります。

また、消される無数の背景が描かれる要素を引き立て、硬質なリズムを生み出しているように感じられるのも面白いです。

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荒木愛さんの岩彩の作品。

画面いっぱいに描かれる果物、それを表現する色彩の臨場感は痛快です!

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鮮やかな色彩に加え、箔なども取り込んで、日本画の画材の質感の面白さを活かして力強い世界観を生み出しているように感じられます。

果実の表面の表情は、無数のドットによってもたらされる緻密な陰影で再現され、おおらかなスケール感も創出しているように思えます。モチーフのもとのサイズがこのダイナミズムへと転換される痛快さも興味深いです。

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で、奥まった一角へと到達した刹那、

!Σ( ̄口 ̄;)

またお前か!Σ( ̄口 ̄;)

と。

Lee So-Yoonさん制作の子どもが再び登場。

フードをかぶった顔に浮かぶ奇妙な笑み、左手に握られるコード、さまざまな要素がもたらすシュールさはさらに加速します。

暗さが漂う中、しかしコミカルな印象も妙に心に残るんです。

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それぞれ、もっと大きな作品や、ソロでの空間構成などを期待したくなってきます。これからの展開も楽しみです。

定点09 -FIXED POINT '09- New Painters Gropup Show 板垣悠 児玉麻緒 佐藤理恵

Gallery惺

東京都武蔵野市御殿山1-2-6 ビューキャニオン吉祥寺御殿山B1F

1/10(土)~1/25(日)火水・1/18休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

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-FIXED POINT '09- New Painters Gropup Show

Gallery SATORU

1-2-6-B1F,Gotenyama,Musashino-shi,Tokyo

1/10(Sat)-1/25(Sun) closed on Tuesday,Wednesday and 1/18

11:00-19:00(last day:-17:00)

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3名のアーティストがフィーチャーされた展覧会です。

それぞれの個性が絶妙なバランスで響き合っています!

まず、児玉麻緒さんの油彩の作品。絵の具の使いっぷりが痛快で、画面に大胆に乗る絵の具の盛り上がりが力強さを放っています。

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例えばルオーとかヴラマンクあたりのクラシックの絵画の風合いを感じさせてくれるマチエルを、今の感覚で再現されているような感触が何とも嬉しい世界観です。

自ら感情を煽るかのような筆致がダイナミックなうねりをもたらしているように感じられます。

瞬間を捉え、ひとつのストロークで表現する水墨の書画を思わせる、用いられる黒のケレン味のなさ。さらにそこに咲く花の濁ったような色調が生み出す臨場感。どこか和の風合いも醸し出ているようでもあり、強く印象に残ります。

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ふたりのオイルペインティングに挟まれて、板垣悠さんの岩彩の作品がその静けさを際立たせます。

淡々とした構図とモチーフが、岩絵の具の質感と相まって、しっとりとした雰囲気をもたらしています。

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渋く、朴訥とした感触が何ともいえない味わいを緩やかに滲ませます。

皮を剥いたリンゴを描いた作品の淡いシュールさも面白みを感じますが、その一方で布団に横になっている人を描いた作品の物語性にも惹かれます。脱ぎ散らかされるヒール、スリッパのそばのタワーなど、「何もない」ところにぽつんと描き込まれる要素が淡い雰囲気の中にユニークなアクセントをもたらしていて、それがここに流れる時間に奥行きを与えているように感じられます。

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一転して、ラメが含まれたヴィヴィッドな色彩で大胆な世界をおおらかに描き出す佐藤理恵さんの作品。

モチーフの捉え方、色彩の解釈など、さまざまな要素が大胆に再現され、イマジネーションが膨らみます。

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色調の瑞々しさ、色彩の透明感が、その色が水面に浮かんでいるかのような風合いも思い起こさせます。

そして、そういう独特な雰囲気を保ちつつ、細やかな表現もふんだんに織り込まれて、モチーフのリアリティの再現性のほどよさがコミカルな臨場感ももたらしているように感じられます。

もしこの画面に触ることができたとして、触れた瞬間にその部分が揺れてフォルムが崩れてしまいそうな感触も思い浮かびます。

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三者の作品の雰囲気がシャープなコントラストをもたらしていて、大変面白い空間になっています。

それぞれ、あらためて個展でも拝見してみたいクリエイションです。

吉田朗 個展「仏間でクリスマス」

YUKARI ART CONTEMPORARY

東京都目黒区鷹番2-5-2 市川ヴィラ1階

12/6(土)~1/24(土)日月火・12/21~1/6休、水要予約

11:00~19:00(最終日:~17:00)

吉田朗081206.jpg

Akira Yoshida "Merry Christmas in Buddist Alter Room"

YUKARI ART CONTEMPORARY

2-5-2-1F,Takaban,Meguro-ku,Tokyo

12/6(Sat)-1/24(Sat) closed on Sunday and Monday,Tuesday and 12/21-1/6,and Wednesday:appointment only

11:00-19:00(last day:-17:00)

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異文化の異種格闘技的なハイブリッド・・・!

YUKARI ART CONTEMPORARYでの吉田朗さんの個展です。

展示作品数こそ少ないものの、それぞれが放つ説得力、存在感は圧倒的で、しかもそこに協力に注入されているユーモアがまた堪らない、壮大なスケール感さえ漂わせる作品が登場しています。

ふたつある展示室のまず最初、今回の展覧会タイトルの基となるインスタレーションが。

吉田朗301

FRPによって創出される、美しいフォルム。

2体並ぶ立像は、仏の恭しさや、慈しみが溢れる表情に魅了させられるとほぼ同時に、その艶やかな白の肢体とそこに施される無数のアイコンが、複雑な世界観を生み出しているような印象を覚えます。

おそらく表現したいいちばん大きなものはユーモアだと思うのですが、それを造形とスプレーによるペイントの尋常でないテクニックで創出されることで、そのユーモアもより過剰に立ち上がり、面白さからさらにひとつ進んで深い、そういう感触さえ伝わってきます。

とにかく目にする要素のひとつひとつに感心させられるんです。

ある種の「この世界観を表現するためにここまでやるか!」的な感触が実に痛快です。

吉田朗304 吉田朗302 吉田朗306 吉田朗305

吉田朗303

あわせて展示されているエスキースもたいへん興味深いです。

描かれている文字の下描きなど、この時点で充分に見応えがあります。

吉田朗309 吉田朗308

吉田朗307

奥のスペースでは世界観は一転します。

どん、とその存在を主張する巨大な般若面。

そのリアリティに思わず目を剥きます。

吉田朗311

どこまでも深く。畏れさえも心に抱いてしまうほどの迫力です。

壁面に映り込む影が有機的な模様を紡ぎ出しスケール感をさらに壮大なほうへと押し上げます。

・・・しかし、この作品のタイトルを拝見すると、

そこか!Σ( ̄口 ̄;)

ポイントはそこか!Σ( ̄口 ̄;)

と。思わず、でも奇妙に納得。

もしこの作品が、

ゴロがいいから。(・∀・)

とか

韻踏んでるから。(・∀・)

だったりするんじゃないか、ホントにそうではないか、と、一度そのイメージを脳裏に思い浮かべると最後、この作品もまたそれを表現するために以下同、そういうどうしようもなく痛快な感想が過るんです。

吉田朗310

作風から、グラフィティ的なアプローチがサブカルチャーの味わいが強く感じられます。

さらに、ユーモアの中に潜む社会性も大きな要素のようにも思えてきます。

今回のふたつのインスタレーションも、異なる文化を強引に、でもスマートに混ぜ込んでしまう、そのあたりのスタイルの痛快さも相変わらずの切れ味!

今回発表された作品、どちらも結構なサイズで、その大きさも説得力の強さに拍車をかけています。

今度はどんなイメージを、どんなかたちで見せてくれるのか、興味津々です!

小沢さかえ個展「宇宙の色彩学」

mori yu gallery TOKYO

東京都新宿区西五軒町3-7 ミナト第3ビル4F

12/20(土)~1/31(土)日月祝・12/28~1/6休

12:00~19:00

小沢さかえ081220.jpg

Sakae Ozawa solo exhibition "Weltraumfarbenchemie"

mori yu gallery TOKYO

3-7-4F,Nisni-gokencho,Shinjuku-ku,Tokyo

12/20(Sat)-1/31(Sat) closed on Sunday,Monday,natinoal holiday and 12/28-1/6

11:00-19:00

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おとぎ話のような、深み。

mori yu gallery TOKYOでの小沢さかえさんの個展です。

ひとことでは言い表せない幻想風味がそれぞれの画面から伝わってきます。

ホントにこの感触、味わいをどう表現すれば良いのか、迷ってしまいます。

しかし、グリム童話の統一感というか...子どもの頃に読み聞かされたさまざまな物語、それぞれは繋がっていないのに、ある世界観で通じているような、そういう統一感を空間全体から感じます。

入り口から、着ぐるみかな、と思わせる3匹の直立の動物たちが、ふわりとした白とそこにほわっと淡い色彩が滲む背景に描かれ、ファンタジックさと現実との絶妙なバランスを思い起こさせる、ちょこちょこっと描き加えられる落書きのような線も遊び心を伝える、浮遊するようなあったかい高揚をもたらす世界が出迎えてくれます。

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小沢さんのペインティングは、なんといってもまずその独特な色彩感が楽しく、興味深いです。

さまざまなストロークでもたらされる陰影。影はより深く、その深さが立ちのぼる、湧き上がる光の臨場感を神々しく引き立てます。

また、画面に現れる色彩も、原色のど真ん中から微妙にずらされ、それが小沢さんの世界をさらに独特なものへと引き上げているように感じられます。ひとつひとつの色が愛おしいんです。

そういった独創的な色調で描かれるストーリー感、それが何であるかしっかりと分かる描写でありつつ、もしかしたらすべてが幻影かもしれない、とも思わせてくれるような絶妙な透明感も伝わって、いろんなイメージが溢れてくるんです。

小沢さかえ002.JPG 小沢さかえ003.JPG 小沢さかえ004.JPG

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画面に滲むように広がり、深く複雑な陰影を紡ぎ出す紫/群青が印象的な作品。

中央の人物の顔の表情、さまざまなパーツの消えゆきそうなぎりぎりの存在感が、この淡い筆致が、描かれる世界の繊細さを感じさせてくれます。

強い、深い色の部分と、キャンバスの目が見えるほどの薄塗りの部分、絵の具が垂れる様子がそのままに残る部分、一度塗られてそこを引っ掻いたような部分など、さまざまな描き跡がもたらす層がいろんなグラデーションを生み出し、それがさらにシチュエーションの深さを思い起こさせてくれます。

それにしても、どんな物語なんだろう、と。。。

オーロラのなかに紛れ込んで見付けてしまった幻想世界。目の前の存在の臨場感と、例えば左上のリズミカルなテクスチャー、左端の白地に赤の大きなドット、上のほうにまるで電波の振幅のように上下に揺れる線、その豊かな抽象性とのコントラストが、不思議な距離感を放って、この状況を俯瞰する感覚とぐんぐんと入り込んでいく感覚とを同時にもたらしてくれるような感じです。

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風景を描く作品の深みもホントに素晴らしいです。

感覚的な解釈がふんだんに盛り込まれて、おそらくそういう景色は現実にあるとも思うのですが、しっかりと小沢さんの感性のフィルターを通過して、独特な雰囲気が紡ぎ出されているように感じられます。

味わったことのない空気がふわっと包み込んでくるかのような、そういう独特な臨場感が感じられます。

小沢さかえ011.JPG 小沢さかえ012.JPG 小沢さかえ013.JPG

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おもに小品で描かれる、ひとつの場面のクローズアップのような作品も、やはり良いのです。

淡い、曖昧な筆遣いが描き出す、感情を捉えることのできない表情。しかしそのもどかしさも受け入れて。。。

かわいらしい雰囲気がより前面に押し出され、きゅっと思いが詰め込まれたような強さがインパクトとなって、心にその場面への愛おしさを灯します。

小沢さかえ015.JPG 小沢さかえ016.JPG

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今回の個展のハイライトは、なんといっても壁面の両端に達する大作。

さまざまな物語が、さまざまな縮尺で織り込まれています。

ひとつひとつの色彩がその力を鮮やかに、そして深遠に発揮しています。

繋げて展示される3つのキャンバス、それぞれの関係性も、いろんなイメージを思い起こさせてくれます。そしてそれらを繋げる深い青の空燃える焚き火の炎の鋭い尖端を、散らばる星を、冬の木々の枝の複雑な広がりを、屋根に積もる雪の厚みを、くっきりと引き立てます。

パノラマのような情景を、ぼーっと俯瞰していると、ぴりっと肌を刺すような冬の冷たい空気感やわずかな光を受けて輝くさまざまなものの感触が脳裏に思い浮かび、膨らんでいきます。

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小沢さかえ022.JPG 小沢さかえ023.JPG 小沢さかえ024.JPG 小沢さかえ025.JPG

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ひとつのストロークがもたらす動きのイメージ、ある色彩が伝える臨場感、そしてそれらが重なり、隣り合うことで生み出される世界観。

孤高の感触がひしひしと伝わります。またそこから感じる物語も独特な味わいを奏でます。

まさに小沢さんの絵の中でしか感じることができない世界があって、それにじっくりと触れられるのがとにかく嬉しいです。

そしてもっとたくさんの幻想を体感したいと思わずにはいられないんです。

これからもどんな世界が綴られ、奏でられていくか、楽しみです。

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Peter McDonald New Paintings and Prints

GALLERY SIDE2

東京都港区東麻布2-6-5

12/13(土)~1/24(土)日月祝・12/25~1/5休

11:00~19:00

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Peter McDonald New Paintings and Prints

GALLERY SIDE2

2-6-5,Higashi-azabu,Minato-ku,Tokyo

12/13(Sat)-1/24(Sat) closed on Sunday,Monday,national holiday and 12/25-1/5

11:00-19:00

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キュートなシュール。そこに潜む実験性。

GALLERY SIDE2でのPeter McDonaldさんの個展です。

痛快なほどに鮮やかな色調で描き上げられ、そこに無数に計算が行われているかのような緻密な構成、とにかく楽しいポップな世界を生み出しているように感じられます。

Peter McDonald 09

登場する人物の空豆をおおきくしたような頭部がまず目に留まります。

おでこの辺りが出っ張って、それが「想像」や「思考」を、まさにその部分が司っている様子を思い起こさせるような印象です。

そして、そこかしこにある奇妙なかたち、これらは「石」だそうなのですが、具象の要素でありながら、ここに抽象表現の挿入をもたらしいているのも興味深いです。

さらに左右の下のコーナーで抽象性が爆発しているようなアプローチと、右上のほうの3つのクリアな色彩がシャープな雰囲気を構築している様子とのギャップも面白く感じられます。

Peter McDonald 13 Peter McDonald 12 Peter McDonald 14

Peter McDonald 11

入り口から左手、奥の壁面に展示された大作は、軽さと重さとをダイナミックに共存させ、強烈なインパクトを発しています。

画面の上のほう、窓から見える街の景色のポップな雰囲気、棚に並ぶ石のコレクションの奇妙なリズム。机を前にして石を手に取る人の絶妙な仕草にも惹かれます。

Peter McDonald 05 Peter McDonald 04 Peter McDonald 03 Peter McDonald 02

その一方で、下半分を浸食するアバンギャルドな抽象性の重々しさが、この絵の世界のポップな雰囲気を蹂躙します。

暴れる筆先の痕跡。そのクレイジーな感触が、尋常でないエネルギーを放っているように思えてきます。

Peter McDonald 07 Peter McDonald 08 <Peter McDonald 06

これだけ異なる雰囲気の要素が画面を隔てているにも関わらず、そのキャンバスに描かれる絵の世界は説得力に満ちていて、何とも不思議な印象を覚えます。

Peter McDonald 01

今回の展覧会では、リトグラフの版画作品も展示されています。

鮮やかな色彩感が精度の高いリトグラフ技術によって再現され、色とかたちのシャープな美しさが奏でるユーモアがすこーん!と心に届いてきます。

Peter McDonald 16 Peter McDonald 17 Peter McDonald 18

Peter McDonald 15

ミーティングスペース近くに展示された作品のひと味違う風合いにもおおいに惹かれます。

小さな画面ながら、ダイナミックな構図と筆致、大胆な色彩の組み合わせ、3つの色彩が隣り合い奏でる奥行き感など、さまざまな刺激がイマジネーションに影響を与えてきます。

Peter McDonald 19

ユニークなかたちと色彩の解釈。

ユーモアに溢れ、同時に鋭い視線の存在も際立って感じられます。

そして、そこに横たわる物語にも興味がそそられ、いろんなイメージがぽこぽこと現れてくるような感触も楽しいです。

Peter McDonald 10

Girl's Zone 04 苅谷昌江 井上恵子

ART JAM CONTEMPORARY

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F

12/12(金)~1/18(日)月(祝日を除く)、12/29~1/5、1/13休

12:00~20:00

Girl's Zone 04 Masae Kariya,Keiko Inoue

Art Jam Contemporary

1-18-4-2F,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo

(Mon)-(Sun) closed on Monday(holiday is open),12/29-1/5 and 1/13

12:00-20:00

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若手女性アーティストを二人ずつ紹介するART JAM CONTEMPORARYの企画、Girl's Zoneも今回で第4弾。

苅谷昌江さんと井上恵子さんがフィーチャーされています。

まず苅谷昌江さん。

さまざまなストロークで描き上げられる独特な幻想風味が印象的なペインティングがさまざまなサイズで展開されています。

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現実と幻想の、知らなかった隙間、そういう場所を思わせる風景が並びます。

ざらつくようなテクスチャーで描かれるモチーフからは、決して甘くない曖昧さが感じられ、またシチュエーションの奇妙さ、滑らかな混沌をもちあわせるような複雑な縮尺感も、その風合いに深みをもたらしているように感じられます。

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苅谷昌江03.JPG

そして大作は圧巻です。

密林を思わせる深く鮮やかな緑。それは広がる空をも染め上げるようにして、その色の存在感を際立たせています。

しかし、鳥が舞う空は無骨さを感じさせる樹木の枠のテーブルの中に広がっていて、またそこが異なる世界であるような印象も抱かせます。加えて鳥の姿はすべてマスキングを駆使して描かれ、その部分の背景の透明感溢れる色調にくっきりとそのフォルムを現しているのもシャープなインパクトをもたらしています。

まさに、一体ここは何所、と問いかけたくなるような状況。さまざまな時間も複雑に入り組んで、その関係性でぐいぐいと観る者の意識を引き込んでいくような、実に力強い世界観。入り込む感触と、膨張するスケール感、その両方の臨場感が同時に迫ってきます。

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鋭い幻想の切れの良さはすごく新鮮です。

さらにダイナミックな展開を期待してしまいます!

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続いて、井上恵子さんの作品群。

ギャラリー58での個展や東京藝術大学の修了制作展などで作品を拝見していて、そのスタイル、手法はもとから僕が好きなものなので印象にも強く残っていて、ここで井上さんの作品が拝見できるのが楽しみだったのですが、今回展示されている作品群はさらにその精度を増し、凄まじくケレン味のない鋭さと緻密で複雑な諧調の展開で迫ってきます。

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ウレタン樹脂とエナメルというアクロバティックな素材を用いて描かれるシャープな景色。

空を描いたこの作品は、緻密な雲の陰影に対して精密な諧調解釈がなされ、まずその緻密さに心が持っていかれます。

その細やかさは今まで以上、この複雑さがとにかく文句なしにかっこいい!

そしてこのかっこよさをさらに高いステージへと押し上げる素材感の硬質な感触もまた堪らない。

空の雄大さを臨場感たっぷりに想像させつつ、この「もの」としての存在の重みへの期待にも充分に応えてくれているような印象です。

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大作は、もう圧巻です。

鬱蒼とした森の奥行き感が緻密に再現され、しかもモノクロームの展開がその硬質な雰囲気に拍車をかけています。

奥へと引き込むような高度な写実感、一方でパーン!と跳ね返すような画面の平滑性。この両面の感触が、しかもこのサイズで体感できるとあって、とにかく痛快です。

井上恵子307.JPG 井上恵子308.JPG 井上恵子309.JPG

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床に近い位置に置かれるようにして展示された作品も。

濃い色彩が醸し出す深みと独特の光沢感も印象的です。

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実にも見応えのあるパッケージです。

そして、画面の質感は相当に異なりながら、両者ともマスキングを駆使したクリエイションという共通点もあるのがまた興味深かったりします。

コンパクトなスペースに迫力溢れる世界が充満しています、ぜひ体感してほしい展覧会です。

《1/6》

上根拓馬

GALERIA SOL

東京都中央区銀座6-10-10 第二蒲田ビルB1F

1/5(月)~1/10(土)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

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古代生物の化石標本などをモチーフにユニークな空間を展開する上根拓馬さん、昨年4月以来となる個展です。

壁面に展示されたガラス作品、これがまず興味深いです。

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ずらりと、まさに標本のように並ぶ作品群。

絶妙な塩梅でラメが入る、透明な素材で描かれる、さまざまな古代生物の骨格。その緻密な筆致に目が奪われます。

一緒に展示されていた、この色調のイメージの基になったという特殊な薬剤を用いた本物のカエルの標本にも驚かされた次第で。

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そして、上馬さんの真骨頂である、壮大なイメージを挿入したインスタレーションも。

今回は緑のボディがうねり、その数カ所に配されるモニターに映るグラフィカルな骨格とで、分厚い時間のイメージを創出しているように感じられました。

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《1/9》

第3回 shiseido art egg 宮永愛子

資生堂ギャラリー

東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビルB1F

1/9(金)~2/1(日)月休

11:00~19:00(日祝:~18:00)

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時間が経つほどに失せゆくかたち。

ナフタレンでできたオブジェ群が、このゆったりとした空間に美しく繊細に落とし込まれ、実にひんやりとした静謐がしっとりと漂っているように感じられます。

会期の最初のころと最後のころとでチェックし、そこに流れた時間を実感したい展覧会です。

大矢加奈子新作展「Empty room(gradation)」

HP FRANCE WINDOW GALLERY

東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング1F

1/9(金)~2/5(木)

11:00~21:00(日祝:~20:00)

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平面のアーティストの大矢さんがこのユニークなスペースでどういう風に展開してくるか大変興味深かったのですが、モチーフに多用されるプライベートなアイテムを持ち込み、絵の世界の臨場感と呼応させて、作品が持つ妖しさと現実にあるものとのふたつの距離で想像に幅をもたらしてくれる、面白いインスタレーションが作り上げられています。

作品から、そして空間から放たれる分厚い臨場感が印象的です。

宮川一郎個展「UH-HUH」

hpgrp GALLERY 東京

東京都渋谷区神宮前5-2-11 H.P.DECO 3F

1/9(金)~2/1(日)

11:00~20:00

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面白い!

ひとつの写真をシンメトリーに展開した作品が、厚めの紙にプリントされて展示されています。

アイデアのタネ事体は実にシンプルなのですが、だからこそ現実世界から切り取られるさまざまな景色の面白さが際立ちます。

有機的なものさえもシャープなリズムを刻む、幾何学的なかっこよさにも溢れた空間です。

《1/10》

ART@AGNES 2009

THE AGNES HOTEL APARTMENTS TOKYO

東京都新宿区神楽坂2-20-1

1/10(土)11:00~19:00

1/11(日)11:00~18:00

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今回が最後のART@AGNES。そういうこともあってなのか、個展形式で展開されているゲストルームが多かったのが印象的でした。

オオタファインアーツで紹介されていた梅田哲也さん、ジュリアン・オピーの個展の時期の水戸芸術館のクリテリオムで拝見したときの生々しさもいまだに強く印象に残っているところで、扇風機のカバーを使った接点をああいうふうに機能させてホテルで展開してくるとは、と驚かされた次第です。

TARO NASUの佐々木憲介さん。昨年秋に個展を終えたばかりのタイミングで。これほどまでに空間全体を覆うほどの点数のペインティングが展示されていたのにはその筆の早さにまず感嘆、そして空間の雰囲気に合う世界観も印象的でした。また、白と黒の額に収められた作品の、通常の組みの作品とはまた異なる味わい魅力的です。

Yuka Sasahara Galleryのベッドの上に置かれていたましもゆきさんの作品。画面に無数に走る艶かしい線の集積、それらが醸し出す強烈な妖しさ、清楚でありながら、過剰に絢爛で。こういう空間で観る臨場感も格別です。

白土舎のバスルームの坂本夏子さんの作品が素晴らしかった!

昨年の個展を拝見していて、無数のストロークで紡ぎ出す圧巻の構成力がすごいことはしっかりと存じ上げていたものの、しかも小さめの作品でありながら、観る者を呑み込むような力強さ、深い味わいは圧倒的です。

他、SCAI THE BATHHOUSEでの安部典子さんの緻密なオブジェ、Taka Ishii Galleryの五木田智央さんのプロレスラーの肖像が描かれた色紙とオブジェ、ペインティングで構成されるモノクローム空間、MISAKO & ROSENのゲストルームのテレビで上映されていた奥村雄樹さんのサッカーボールと戯れる不思議なヴィデオアート、での染谷悠子さんの繊細な筆致とおおらかな空間性の作品たち、1階ロビーに展示されていた福居伸宏さんのシャープな写真など、いろんな発見があって今回も楽しめました。

あと、箱持ってる人が結構いて、「どこかのスタッフかな?」などと思っていたらカイカイキキの福袋でした。

袋じゃない、箱!Σ( ̄口 ̄;)

というツッコミは置いといて、というか袋は早々になくなったようで。

この遊び心にも脱帽です。

Haptic -触覚

トーキョーワンダーサイト本郷

東京都文京区本郷2-4-16

11/22(土)~1/12(月)月・12/29-1/5休(月曜日が祝日の場合開廊、翌日休)

11:00~19:00

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各階で日本人と海外のアーティストの作品があわせて展示、それぞれに存在感たっぷりのインスタレーションが繰り広げられていて見応えもあります。

しかし、なかなかゆっくりと拝見することがかなわず残念でもあったのですが、日本人アーティストのチョイス、窪田美樹さん、宮永愛子さんときて長井朋子さん、この3名がひとつの空間にパッケージされた展示をすごく観たい!

あらためて、選者であるヴィック・ムニーズさんの感性に感嘆した次第です。

杉浦慶太「森 -Dark Forest-」

CASHI゜

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-18-1F

1/10(土)~1/31(土)日月祝休

11:00~19:00

杉浦慶太090110.jpg

昨年のGEISAI MUSEUM2とGEISAI11で連続受賞され、注目を集める杉浦慶太さんの個展、GEISAIの雑然とした(それがいいのですが)場所で拝見したときには気付けなかったも白さをしっかりと実感できるのが嬉しいです。

出力によって画面にプリントされ、その色調感、質感が実にユニークな奥行き感を創り出しているように感じられます。

内海聖史「十方視野」

ラディウム-レントゲンヴェルケ

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17

1/10(土)~2/14(土)日月祝休

11:00~19:00

こういう空間を体感したかった!

替場綾乃展「きもちの漂流」

GALLERY MoMo Ryogoku

東京都墨田区亀沢1-7-15

1/10(土)~1/31(土)日月祝休

11:00~19:00

替場綾乃090110.jpg

前回は2人展の形式だったので、今回がGallery MoMoでは初めての替場綾乃さんの個展です。

パネルを女の子などのシルエットにカットし、そこにリズミカルでキュートなパターンなどを描いて実に楽しくかわいいクリエイションを展開、その面白さは前回から引き継がれ、さらに、昨年の卒業制作で発表されたダークな作風も活かされ、よりその個性が加速しています!

春木麻衣子 片山博文 多和田有希 高木こずえ 新作展

TARO NASU

東京都千代田区東神田1-2-11

1/9(金)~1/17(土)日月祝休

11:00~19:00

4名の若手写真家をパッケージした展覧会、面白いです!

六本木クロッシング以来に作品を拝見する春木麻衣子さん。独創的な空間性が独特な迫力を放ちます。深い情景は、観始めると思わず時間を忘れそうになるくらいに心が入り込んでいきます。

春木麻衣子01.JPG

驚かされたのは、片山博文さんの作品。

VOCA展など、これまで何度も作品を拝見しているのですが、もう一回あの時を取り戻したい、と激しく思います。

今回展示されている作品は、宇宙風景的なもので、写真と他の素材を組み合わせて制作されている作品、かと思いきや。

すべてイラストレーターで「描いて」いるそうなのです・・・!

片山博文01.JPG 片山博文02.JPG

片山博文03.JPG

だとしたら凄まじく緻密な仕事で、あの静謐なビルの内装も、昨年のTARO NASU OSAKAでのぼやけた情景も、もう一度そういう目で、もっとしっかりと観たいです。

日韓若手作家交流展 Asian Young Artists Exhibition 2 -continuous stories-

クムサンギャラリー東京

東京都中央区東日本橋3-5-5 矢部ビル1F

1/7(木)~1/30(金)日祝休

11:00~19:00

AYA 090107.jpg

荒木愛さん、増田智己さん、添野郁さん、Lee So-Yoonさん、Noh Kyoung-Heeさんの日韓の5名のフレッシュな個性がパッケージされたグループショー。

昨年末に開催されていた同企画の第一弾もたいへん面白かったのですが、今回も見応えあります、驚かされます!

いや、ほんと、驚きます(汗)。

Manfredi Beninati「置き直された風景」

TOMIO KOYAMA GALLERY

東京都江東区清澄1-3-2-6F

1/10(土)~1/31(土)日月祝休

11:00~19:00

M. Beninati090110.jpg

じわりと滲み、心に響く世界観。

平面作品、モノクロームの静謐と重厚に溢れる色彩の作品と、そこに流れる時間のイメージのおおらかさ、深さがじわりと心に満ちていきます。

立体作品の退廃した感触のリアリズムも静かなインパクトを放ち、コンパクトな展示スペースが閉じられて設置された小窓から眺めるインスタレーションも、それぞれが訥々としていながら深く、滋味が溢れ迫るような感触が心を打ちます。

じっくりと対峙したい空間です。

うらうらら展

Gallery Q

東京都中央区銀座1-14-12 楠本第17ビル3F

1/9(金)~ 1/24(土)日休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

うらうらら090109.jpg

あのTWS本郷での個展を拝見していると、今回の個展は物足りないです。

しかし、その物足りなさには理由もあり、必然もあるのです。

青と赤の明るい色彩のストライプを背景に、ぼんやりと、しかし動きを感じるようにしてその存在をギリギリ現している半身像の写真。

うらうららさんからお話を伺えてここで試されているのが、動かない、しかも動きを感じさせないあの半身像に動きのイメージをいかにもたらすか、ということのようです。

動きを感じさせるポーズで動きのイメージを伝えるのではなく、あの生命の存在すら遠ざけるような硬質な佇まいから、いかに動的な要素を引き出すか...壮大な試行を伺えて、感嘆した次第で。

映像作品と写真とのみなのですが、うらうららさんの今後の展開はむしろ高まります。

田中秀和「camouflage」

児玉画廊|東京

東京都港区白金3-1-15-1F

1/10(土)~2/14(土)日月祝休

11:00~19:00

田中秀和090110.jpg

昨年の大阪での個展がとにかく印象的だった田中秀和さんの、待望の東京での個展です。

前回の個展で発表された作品の、画面の絵の具の無数の剥落が放つアバンギャルドな風合いは影を潜め、その後に神戸や京都の展示で敢行されたウォールペインティングの延長を思わせる、動的なイメージをダイナミックにもたらすストロークの集積がまた堪らない抽象世界を構築しています。

山田郁予「いいわけ」

高橋コレクション(白金)

東京都港区白金3-1-15-2F

1/10(土)~2/7(土)金土のみ・祝休

11:00~19:00

山田郁予090110.jpg

その世界へと入ってく...

脆く繊細な色彩が淡く溢れる作品群。

それらが奏でる世界感の妖しさ、さまざまな感情が行き交い、時に身体の表面で消え去り、時に心までしっかりと貫くようにして、いろんなイメージが届いてきます。

西尾康之「Drown」

山本現代

東京都港区白金3-1-15-3F

1/10(土)~2/7(土)日月祝休

11:00~19:00(金:~20:00)

西尾康之090110.jpg

!Σ( ̄口 ̄;)

というよりむしろ

!!!Σ(@ロ@;)

って感じです。すごい!すご過ぎる!

大舩真言展 -Prism-

neutron tokyo

東京都港区南青山2-17-14

1/10(土)~2/1(日)月休

11:00~19:00

大舩真言090110.jpg

いよいよ東京進出を果たしたneutronのこけら落とし、大舩真言さんの個展です。

さまざまなサイズの画面に描かれる深い青が、ユニークな空間に配され、澄んだ静謐がそこかしこから溢れ、放たれます。

アンテナ「トコ世ノシロウツシ」

TSCA KASHIWA

千葉県柏市若葉町3-3

1/10(土)~2/28(土)日月祝休

12:00~19:00

Antenna090110.jpg

2年振りの「ジャッピー詣で」。

前回の個展が、歴史方面からジャッピーの存在を分厚くさせていたとすると、今回は「今」、もっと身近な感覚というか、さらに生々しい臨場感が作り上げられているような印象を覚えます。

最初の吹き抜けからとにかく圧巻です!

《1/11》

第3回府中ビエンナーレ トゥルー・カラーズ 色をめぐる冒険

府中市美術館

東京都府中市浅間町1-3

11/15(土)~2/1(日)月、12/29~1/3休(月曜祝日の場合開館、翌火曜休)

10:00~17:00

トゥルーカラーズ081115.jpg

フィーチャーされたアーティストのクレジットを眺めるだけで充分楽しみで、そしてそれが「色」をテーマに揃っているとなると、さらに興味が増します。

ずっと行きたいと思っていてようやくこの日に伺えたのですが、それぞれのアーティストが渾身の作品を発表、展開していて、相当な見応えです。

定点09 -FIXED POINT '09- New Painters Gropup Show 板垣悠 児玉麻緒 佐藤理恵

Gallery惺

東京都武蔵野市御殿山1-2-6 ビューキャニオン吉祥寺御殿山B1F

1/10(土)~1/25(日)火水・1/18休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

定点2009 090110.jpg

3名の女性アーティストがフィーチャーされた展覧会、異なる色彩感のふたりのペインティング、そこに岩彩の作品が収まることで、バランスが絶妙に保たれ、それぞれの個性も引き立て合いながら自身のユニークさを力強く放っています。

佐藤万絵子 うけとめるひとのいるところ

遊工房アートスペース

東京都杉並区善福寺3-2-10

1/11(日)~1/25(日)月火休

12:00~19:00(最終日:~17:00)

佐藤万絵子090111.jpg

アラタニウラノなどでの空間構成がそれぞれ忘れ難い佐藤万絵子さん。

今回は床に銀紙を配し、また窓から木々がその姿をのぞかせるなど、また異なる空間での展開が繰り広げられるようで、どうなっていくか楽しみです。

表現の必然、そこに強烈に漂うプリミティブさ、いろんなインパクトやイメージが届いてきます。

《買った本》

・「二○○二年のスロウ・ボート」古川日出男(読了)

・「ベルカ、吠えないのか?」古川日出男

・「推定少女」桜庭一樹

・「グラスホッパー」伊坂幸太郎

恵比寿に移転後、メインスペースと「DICE PROJECT」としてのコンパクトなエリアとでそれぞれ一組ずつ、二つの展覧会を開催するmagical,ARTROOM。今回は星野武彦さんと竹内翔さんがフィーチャーされています。

まず、竹内翔さんのコーナーから。

[HEART STATION]竹内翔

magical,ARTROOM

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F

12/12(金)~1/18(日)12/29~1/4休

12:00~20:00

竹内翔081212.jpg

[HEART STATION] Sho Takeuchi

magical,ARTROOM

1-18-4-3F,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo

12/12(Fri)-1/18(Sun) closed on 12/29-1/4

12:00-20:00

Google Translate(to English)

エレベーターを降りて左手、まずヴィヴィッドな、そして蛍光色的な透明感をたたえた鮮やかな色彩のストロークが「シャッ、シャッ」と音を立てるように画面に重なるペインティングが。

現代的な感覚と空想的なイメージ、その両方が不思議なバランスでがびりびり伝わって、なんとも不思議で独特な臨場感が奏でられています。

竹内翔001.JPG

竹内さんというと、ギャラリー惺での個展や昨年度の東京藝術大学の修了制作展示など、空間におおいに作用する、素材感の印象が強い平面作品の展開が思い浮かぶのですが、今回の個展ではそれぞれキャンバスの作品として、無論そのちいさなエリアにはしっかりと作用しつつも1点の平面の中で作り上げられる世界観で魅せてきているような感触を強く受けた次第です。

だから、それぞれの作品が持つエネルギーが今まで以上にきらびやかで、それでいてこれまでのナイーブでメランコリックな雰囲気もしっかりと漂って、そのオリジナリティが心に染み入るような印象です。

細やかな筆致で表現される、竹内さん的な写実性も随所に織り込まれて、それがリアリティと幻想との距離感を曖昧に、その境面を複雑なものにしているように思えて興味深く、同時に、僕が思いつく限りだと例えば西加奈子さんとか瀬尾まいこさんとかの小説の中の回想シーンに通ずるような、繊細な感情が綯い交ぜになったような雰囲気も思い浮かんでくるような気もするんです。

竹内翔002.JPG 竹内翔003.JPG 竹内翔004.JPG 竹内翔005.JPG

竹内翔006.JPG

1点だけ、額に収められたドローイングも。

おそらく水彩絵の具、そのふわふわと儚げな風合いが何とも言えない切なさや淋しさ、そういう気持ちと背中合わせの心地よい孤独感とか、いろんな繊細な思いが過るような感触です。

竹内翔007.JPG

独特のバランス感と色彩感、そこに説得力も今まで以上に強靭に備わって。

作品に登場する男の子や女の子たちが浮かべる表情のニヒルさやメランコリックな感触。

そこから伝わる物語にも耳を傾けながら、これからも観続けていきたいクリエイションです。

竹内翔008.JPG

続いて、六本木時代に開催された個展や昨年のECHOでも印象に残っている星野武彦さんの作品が展示されるメインエリアへ。

[My Heart And The Real World]星野武彦

magical,ARTROOM

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F

12/12(金)~1/18(日)12/29~1/4休

12:00~20:00

星野武彦081212.jpg

[My Heart And The Real World] Takehiko Hoshino

magical,ARTROOM

1-18-4-3F,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo

12/12(Fri)-1/18(Sun) closed on 12/29-1/4

12:00-20:00

Google Translate(to English)

さまざまなテンションが混ざり合い、ソリッドでメロウな世界観が綴られていきます。

カウンター右手の壁面に展示されている作品、画面のほぼ全面を覆う黒が実に印象的。なんとなくマジックで塗りつぶしたようなイージーな感触を残し、それが独特の距離感や危うさを醸し出しているように感じられます。

その黒に浮かぶ人々のシルエット...とつい「人々」と表現してしまったものの、ホントにそれでいいのかな、と自身のイメージに疑いを持ちつつ・・・、彼らが誰で何をやろうとしているのか、もといむしろ、彼らが「誰か」で「そこにいる」ことにあまり疑問を持たないというか、不思議な説得力と安定感が伝わってきて興味深いです。

星野武彦01.JPG

作品ごとに色調も変われば、ストーリー性もダイナミックに、むしろドラスティックに変化します。

この作品がもたらしてくれるイメージの豊かさも実に幅広くて面白い!

際どい写実性で表されるこの状況の具体性、それが分かるだけに余計に加速する謎めき。

用いられる色彩の少なさ、さらに情報の少なさ、そしてその情報自体が例えば銃であったり車であったりと硬質なものが占める割合も多いもあって、まずはハードボイルドなイメージを思い浮かべるのですが、よくよく考えると

ツッコんだ方がいいのか?!Σ( ̄口 ̄;)

と思い直したり。。。

いや、何とも言えない深みが楽しいのです。

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いちばん奥の壁面に展示されている大作は、僕がイメージする星野さんの色彩感がふんだんに詰め込まれています。

さらに軽みを増したパステル調の色彩、それが描かれる世界自体をポップなものへと押し上げ、ぱっと目にした瞬間の気持ちいい感じを持続させてくれます。

しかし、そういったふわふわとした心で接して、そこに描かれるモチーフの関係性の不思議さ、思いのほかこってりと画面に乗る絵の具のボリューム感、そういったいろんな要素が、描かれる世界へ抱いたイメージの重心を徐々に下げていくんです。

そしてさらに同時に、加速するワクワク感。そのフォルムを観ただけでディストーションがかかった激しい咆哮を脳裏に蘇らせる鋭いエッジのギターのヘッド、スピーカーアンプ、いかにも分厚い音圧を放ちそうなレトロなシンセサイザーなどなど、いろんな音のアイコンが、しかも放射形の背景をバックに登場しているのは、それこそいろんな音をイメージさせてくれてやっぱり楽しいのです。

だから逆によくわからないモチーフがまた別のユニークさを、不思議なバランスをもたらしているようにも思えます。

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とにかくバリエーションに富んだ世界観は痛快です。

最初に紹介した黒でさえポップな感触を漂わせていて、そしてそれぞれのキッチュな風合いもまた心地よく感じられます。

星野武彦10.JPG 星野武彦11.JPG

星野武彦12.JPG

敢えて表現するとしたら、星野さんが描く世界はマシュマロの食感なんだと思います(なんだかあらためてすごい大胆な表現で恐縮です)。

そのマシュマロの味が、期待通りのものもあり、でも中には味というより違う食感のものも隠されていたりして、そこに「やられた!」と思ったり、また別のおいしさに気付かせてもらえたり。

空間全体に満ち渡る爽やかな雰囲気。

そこに現れるイメージの中のアクセント。

ひとつひとつの作品がフレッシュな空間に映えます。

時折そのアクセントにつまずいちゃってそれに笑ったりしながら、ふわふわとした世界に浸るのが何とも心地よく楽しいです。

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-Emotional Colors- はまぐちさくらこ 町田夏生

BUNKAMURA GALLERY

東京都渋谷区道玄坂2-24-1

1/2(金)~1/12(月)

10:00~19:30(1/2、1/3:~18:00、最終日:~17:00)

はまぐち・町田090102.jpg

-Emotional Colors- Sakurako Hamaguchi,Nao Machida

Bunkamura Gallery

2-24-1,Dogenzaka,Shibuya-ku,Tokyo

1/2(Fri)-1/12(Mon)(1/2,1/3:-18:00,last day:-17:00)

10:00-19:30

Google Translate(to English)

まるくふわっとしたかたちと、ズバッとサディスティックにはしるかたちと。

BUNKAMURA GALLERYでの、ふたりの女性アーティストをフィーチャーした展覧会です!

まず、町田夏生さんのグラフィカルワールドがダイナミックに眼前に現れます!

町田夏生01.JPG

鮮やかな色彩が溢れる世界。

ぱあっと明るい花の模様が連なり、そこに登場する女の子たちもどこか夢を見ているかのようなふわふわとした表情を浮かべています。

何とも楽しい世界観、この明るさは痛快です。

そして、圧倒的なのが、入り口正面の壁面全体に連なる大きな作品!

町田さんの色彩、と呼びたくなるような、あたたかくてかわいらしい赤系統の色で描かれた無数の花の模様が繋がり合い、さらにその隙間隙間に女の子たちが顔をのぞかせてきます。

とにかくこのサイズに、一気にこの世界に包まれ、誘われます。

ダイナミックな奥行き感といい、女の子たちのうるうるとした表情といい、あたたかい妖しさというか、何とも言えない不思議な雰囲気が充満しているように感じられます。

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町田さんの作品は紙にアクリル絵具のものがほとんどなのですが、このエリアに2点だけキャンバスの小品が展示されていて、キャンバス独特のものとしての強さが異なる味わいを放っているように感じられるのも印象的です。

町田夏生06.JPG

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で、町田さんの描く世界に溢れる花柄や女の子の姿は、実にグラフィカルな、「模様」としても素晴らしく楽しげなリズムを奏でていて、さらに危うさや妖しさも潜んでいるように感じられるのが大変興味深いのですが、その一方で、実際に作品を拝見したときに、紙の質感が醸し出す身近な感じ、絵の具が滲み、微妙な色斑を生んでいたりする様子なども、独特の味わいをもたらしているように思えます。

そして、情報量の多さで言えばむしろ凄まじいほどの分量なのにも関わらず、若干離れて眺めたときになんともハッピーな高揚感が惹起されたりと、さまざまな面白さが溢れているようにも感じられます。

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そして何より、エキゾチックな感触が伝わります。仄かに漂う「和」の感触。それは鮮やかな赤から来るのかもしれないですし、模様や構図の緻密さからかもしれないのですが、いずれにしても、そういった風合いがさらに町田さんの世界の奥行きや立ち上がり方にユニークさをもたらしているように思えるんです。

町田夏生13.JPG

ていねいな筆遣いに酔って描き出されるキャッチーな模様と世界感。

かわいくて妖しくて、謎めいている様子もまた楽しくて。

おおらかさと緻密さとが手をつないで、リズミカルに展開するそれぞれの世界。いろんな発見があって楽しいです!

町田夏生14.JPG

続いて、はまぐちさくらこさんのコーナーへ。

いきなりの大作のお出迎えがたまらない!

背景の黒が、画面に投げ込まれるすべての色彩を鮮やかに、そして深く、その力を引き出しているように感じられます。

右と左にぼーん!といった様相で描かれる大きな顔。もうこれだけで笑っちゃいたくなるほどに力強い世界が創り出されているのですが、このサイズの顔すらひとつの背景のようにして、細かいストロークで緻密にたくさんの人々が描かれていたり。またそうやって描かれているそれぞれのシーンが面白いんです。

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はまぐちさんらしい、天真爛漫なダイナミックワールドが続きます!

「こうなってたらどうなるんだろう」みたいな想像の枠をポーンと飛び越えちゃって、いきなり「こうなっちゃえ!!!」って感じで、おてんばな好奇心がスケール感や縮尺の概念をどんどん痛快に裏切っていっちゃう、そんな場面の連続です。

この作品も、問答無用ですごい!どーん!とビルにしがみつく巨大な女の子、その真っ赤な髪の毛のアグレッシブな動線、眼下に広がる都会の喝采などなど、観ていて

でけぇ!Σ( ̄口 ̄;)

あり得ないくらいでけぇ!Σ( ̄口 ̄;)

そういうのがサイコー!(≧∇≦)ノ゛

みたいに、そのはっちゃけた雰囲気に思わず破顔、ホントに元気になってきます。

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大作から小品まで、さまざまなサイズの作品が壁面を埋め尽くします。

それぞれにイマジネーションのスピードのエネルギーがそのまま叩き付けられたようなストロークが溢れ、それが描かれる場面におおらかさ、やんちゃさを思い起こさせ、そしてなおかわいらしさも感じさせてくれます。

大胆な色使いも痛快きわまりない!

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最初に紹介した黒の作品が展示されているパーテーションの裏には、ちいさな作品が踊っています!

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会場外の壁面、GALLERY+にも興味深い作品が展示されていて、必見です。

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4日に開催されたライブペインティングで、およそ4時間ほどで描き上げられた作品も早速展示されています。

僕がその様子を眺めていたのは始まりのおよそ1時間くらいなのですが、そのときからは想像もつかないほどにヴィヴィッドな赤のストロークが走っていて、驚かされた次第で。

まぐちさくらこ118.JPG

ふたつの個性の競演がとにかく楽しいです!

年の始め、寒い季節にこれ以上ない痛快でホットな色彩が空間に溢れているように感じます。

そして、町田さんのじわじわと画面に広がっていくていねいな模様の連続性、そこに密集する花の艶やかさと潜む女の子たちの妖しさ、またはまぐちさんのスパッと画面に閃光を走らせるような、ぐりぐりと焚き付けるようなストロークの衝突やオーバーダブの集合が放つスピード感、このギャップもたいへん面白く、それぞれの個性がより際立っているように感じられます。

ぜひご覧いただきたい世界たちです!

千葉正也 新作展「三ツ境」

SHUGOARTS

東京都江東区清澄1-3-2-5F

11/29(土)~1/10(土)日月祝休

12:00~19:00

1/11(日)臨時開廊、12:00~17:00

千葉正也081129.jpg

Masaya Chiba new paintings "Mitsukyo"

SHUGOARTS

1-3-2-5F,Kiyosumi,Koto-ku,Tokyo

11/29(Sat)-1/10(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

1/11(Sun) 12:00-17:00

Google Translate(to English)

エレベーターを下りた刹那、迫る画面。

千葉正也01

素晴らしくダイナミックなペインティングが視界を覆います。

SHUGOARTSでの千葉正也さんの個展です。

千葉正也02

その独特なスタイルをいきなり超弩級の迫力で提示してくる、凄まじい大作。

そのままのサイズで密林へと誘うかのように...それでいて、その前にそびえるように佇む白い人形の塊が、現実と非現実との酒井を曖昧にどころか。ごちゃ混ぜにしてしまっているかのような、不思議なイメージのベクトルをもたらしてくれるような印象です。

しかもこのサイズ。イメージの「像」は限りなくはっきりとしているのに、それが現実なのか幻想なのか、真実なのか虚なのか...複雑な混乱で脳内が満たされるような感覚です。

千葉正也05 千葉正也06 千葉正也07 千葉正也04

千葉正也03

ペインティングとしてはアクロバティックなスタイルの作品が次々と登場します。

背景ののどかな冬景色と、やはりその前に佇む白い像。色調の雰囲気が背景と像とで合っている感じが、さらにそれぞれの世界観との差異を近づけ、違和感が失せるぶんだけ、全体としての世界観の不思議さをより強く感じさせてくれます。

千葉正也10

入り口の作品と比べるとさすがにおとなしいサイズながら、その状況のシュールさが何とも言えない混乱をもたらすような作品。

前に存在する彫刻の目からは涙がほとばしり、しかしそれが下方からのホースで供給されているところまでしっかり描かれているのが、これ自体のリアリティを立ち上げていて、その涙へのイメージも何とも言葉に表現し難い曖昧な感触となって湧いてくるんです。

衝立て状の展示も、枠からはみ出してそのままのキャンバス地も、鑑賞者側の世界と絵の世界との距離を独特なものにしているような感じがします。

千葉正也09

背景の具体的な世界から一旦離れ、こちらの作品ではふたつの青にさまざまなパネル状のものが配されています。

パネルの上に何かが置かれ(その「何か」はぎりぎりでそれが何であるか分かるようなかたちに表現されていて)、それらが微妙なパースで二つの画面同士が向かい合うようになっていて。

よく目を凝らすとさまざまな色彩が混ざり込んでいるそれぞれの青、それらが醸し出す無重量感も、なんだか不思議なシチュエーションを想起させてくれます。

千葉正也15 千葉正也14 千葉正也13 千葉正也12

千葉正也11

もっとも奥に展示された作品は、格別の臨場感が備わっているように感じられます。

壮大な背景、その前に置かれるクロスが掛けられた台と、たくさんの塑像群。あたかも今回の展覧会に出展された各作品に登場している塑像がオールスターで集まったかのような賑やかさ、しかしそこに漂う無機的な質感もそれぞれのかたちとは裏腹な風合いを、爽やかに、しかし鈍く放っているように感じられます。

それにしても、不思議な空間です。

若干うろ覚えのところもあるので申し訳ないのですが、千葉さんにお話を伺ったところ、まず背景となる風景を描き、今度はその自らの手によって景色が描かれた「絵画」を支持体とし、その前に並べられたオブジェ群を描いているのだそう。その過程を知ると、ひとつの画面に挿入されるふたつの距離感のギャップがそれぞれ強い臨場感を伴って伝わってきて、さらに、千葉さんが描く世界への興味深さが増すんです。

千葉正也19 千葉正也20 千葉正也18 千葉正也17

ひとつひとつのモチーフのしっかりとした写実性。

その写実力が、このふたつの現実をよりリアルに伝えてきます。

そして、そのふたつの現実が、「無関係」という要素も含めた様々な「関係」を生み出し、何とも言えない空間を創出しているんです。

一体どの距離感でこの世界に自身を投影させればいいのだろう...そう考えると、この作品からでしか得られないイメージがインスパイアされ、やはりその面白みへとはまり込んでいくような印象です。。

千葉正也16

千葉さんの作品を拝見するのはもちろん今回が初めてではなく、特にトーキョーワンダーサイト渋谷でのグループショーと、昨年のVOCA展が印象に残っているのですが(もとい、おそらく千葉さんの作品を意識して拝見したのはこの2度だけです)、TWSではもっとダークな印象を持ち、さらにVOCA展出品作品はアクロバティックな質感のインパクトを思い出します。

しかし、今回の個展で拝見して、予想以上、というか予想外にも明るく爽やかな色調をキャッチした次第で。

すべての作品に挿入されるオブジェの白が画面全体にもたらすアクセントもそういう印象を抱かせるのかもしれないのですが、その白さはそのオブジェの意味を墓石的なモニュメントのようにも、またユーモラスなものにも転化させ、さらに背景のさまざまな色彩を引き立てているようにも思えるんです。

今週末に開催されるART@AGNESのシュウゴアーツのゲストルームは千葉さんの個展形式となる模様で、さらにそれに合わせ、本展覧会も日曜日に臨時開廊されるとのこと。

それぞれの空間で独特の響きをもたらす千葉さんの世界、あらためてじっくりと体感したいです。

千葉正也08

山本竜基展「私心景」

ミヅマ・アクション

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル5F

11/26(水)~1/17(土)日月祝・12/27~1/7休

11:00~19:00

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Ryuki Yamamoto "SHI SHIN KEI -Super Privatism-"

MIZUMA ACTION

1-3-9-5F,Kami-meguro,Meguro-ku,Tokyo

11/26(Wed)-1/17(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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それぞれのベクトルへと爆走する、シリアスとユーモア。

ミヅマ・アクションでの山本竜基さんの個展です。

前回に引き続いて、鉛筆によるモノクロームの作品と、オイルペインティングとが出展され、それぞれが実に特徴的な世界を繰り広げているのが大変興味深く感じられます。

まず出迎えてくれるのが、巨大な鉛筆画。

そのサイズ自体が強烈に重々しい迫力を醸し出し、そこに描かれる、頭を抱えて、あるいは抱えるようにしてうずくまっている姿の群れは、ただならぬ暗く深い闇を思わせる世界観を滲ませているように感じられます。

山本さんの作品は基本が自画像であることもあり、ここに描かれるひとりひとりも自身の姿と捉えて差し支えないと思うのですが、これだけの「苦悩の仕草」があたかも虫のように密集しいている情景が提示されると、思わずのけぞってしまいそうな凄まじく危うい雰囲気を感じてしまうと同時に、やはりその精緻な筆致には力強く興味が呑み込まれていくような感触です。

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その絵の中からひとり、別の画面に登場したような作品も。

ひとりになるとそれはそれで、今度は孤独の臨場感がぐんと立ち上がってきます。群れの作品はそれでもその状況自体にユーモアを感じてしまうところもあるのですが、こちらになるとシチュエーション的なリアリティがより際立ち、ここに至る道程への想像なども重なって、ある意味この精緻な再現性以上にこの物語性へと意識が引き込まれていくような印象を覚えます。

顔の表面は画面からは伺えないようなポーズを敢えて選択し、しかしその仕草で充分な臨場感が放たれているように思えます。

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鉛筆画のシリアスな世界から、油彩の作品では一転して、ユーモアがふんだんに織り込まれています。

今回の展示もほぼ大作のみで構成されていると言っても過言ではないのですが、なかでも強烈なインパクトを放つこちらの作品、観てまず思うのは、

似てる!Σ( ̄口 ̄;)

と。

本人そっくりで、この徹底されたリアリティの追求には呆然とさせられます。

こちらの作品は、お母様の昔のスナップに自身の姿を入れ込んだもので、その巧みな写実の再現性が、時代性の微妙な違和感さえも感じさせてくれて、そのギャップにもむしろリアリティが感じられてしまうという。

で、ベージュの縁取りも、額に収められているのではなく、キャンバスに描かれているから驚きはさらに膨らみます。

随所に見受けられる絵の具の飛沫がセピア的な雰囲気にさらに臨場感をもたらしているように感じられたりと、もおう観たまんまの世界でありながらも無数の発見が潜む作品のように感じられた次第で、

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ヘンな世界はこちらの作品でさらに暴走しています。

満面の笑顔を浮かべる、お母様の近景。それがこうやって窓の外にずらりと並んで

スネークマンショーかお前は!Σ( ̄口 ̄;)

・・・って何となくなんですけどそんな世界観。

くだらないことこの上ない展開なんですけど、この精度でひとつひとつの要素が描かれていたらそれはもう持っていかれますよって話でして。

室内の人気さえ感じられないような暗い雰囲気と、窓の外のクレイジーなまでに華やかで派手な世界とのギャップが痛快すぎます。

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実はもう1点が、ある意味で尋常じゃなく凄まじい危険な混沌が爆発しているんですけど、こちらは直に作品をご覧いただいてその臨場感に接していただければ、と。

鉛筆画と油彩画、それぞれに持つ方向性がぐんぐんと離れていっているように感じられる一方で、それぞれにもやはりユーモアやシリアスの要素がさり気なく織り込まれているように思えるのも、興味深い点です。

このふたつの世界をひとつの脳に持つ山本さんが、これからそれぞれをどう展開させていくのか、興味津々です。

飯田竜太「ewiges equivalent ―永遠なる同等物―」

TSCA KASHIWA

千葉県柏市若葉町3-3

11/8(土)~12/13(土)日月祝休

12:00~19:00

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Ryuta Iida "ewiges equivalent"

TSCA Kashiwa

3-3,Wakaba-chi,Kashiwa-shi,Chiba-ken

11/8(Sat)-12/13(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

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身近な、実に身近な素材から、かくも緻密で壮大な世界が。

TSCA KASHIWAでの飯田竜太さんの個展に行ってきました。

紙を、本を切る、至極分かりやすい行為が積み上げられ、紡ぎ上げられて構築される作品群は、その空間を力強く支配し、沈むような静謐と凄まじい情報の渦をもたらしているように感じられます。

TSCA KASHIWAのユニークきわまりないさまざまな空間区間において、そのユニークさに負けないシャープなクリエイティビティとキャッチーなアイデアとで応えまくる飯田さん、入り口を入って最初の吹き抜けから圧倒的なインスタレーションが繰り広げられていました。

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無数に降る紙帯の雨。

一体どこから入手したのだろうと不思議な想いも過る古びた雑誌の各ページをジグザグにカットし、それを上方から垂らしてあります。

コンクリート剥き出しの床にふわりと乗る紙の塊、そのふたつの質感のコントラストや、上から下へ、あるいは下から上へのダイナミックな動線など、いきなり圧倒してきます。

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階段を上ってまず目に止まる壁面、飯田さんの名刺代わりの文庫本による展開。

まずその光景からして、階下に引き続いて圧巻です。

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それぞれ、ひとつのセンテンスが引き抜かれ、上向きの尾のようにひょろりとその姿を覗かせています。

それぞれ実にユニークな言葉が引き上げられていて、こういったかたちで提示されることでそれぞれの物語がユーモラスな一文に支配されているような印象も痛快です。

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さらに文庫本の展開は続きます。手前が名刺代わりなら今度は真骨頂。

お馴染みの展開、等高線状に1ページ1ぺージにカットが施され、それらが重なってミニマムなリズムをシャープに、そして深遠に放ちます。

目の高さに提示されることで伝わる臨場感にも強いインパクトを感じた次第。

また、それぞれのページに印刷される文字が複雑かつ高密度な模様となって現れる面白さも。

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細長い空間では、まず地図を切り抜いた作品から。

文字の部分が徹底してカットされ、消去された部分は手前に置かれたシャーレに収められています。

淡く映り込む影が洗練された美しさを奏でていたりと、そのものとしてのスマートな佇まいへも心動かされる一方で、この「案内図」の案内を消すという行為自体へもさまざまな想像で真意を探ってみたりと、様々なベクトルへの面白さが伝わってきます。

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その向かいの壁面には、こちらも飯田さんならではの展開の作品が並んでいました。

とある洋書のとあるページ、そこに印刷される文字という文字をすべて切り抜いた作品や、さらにユニークなカットを施した実験的な様相を呈したものなど、ここに展示された額装作品群のもつ可能性にも期待が広がります。

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なかでも、きわめて複雑なカットが施された作品のインパクトは強烈で。

シャープなかたちが重なり、実にテクニカルな雰囲気がとにかくかっこいいんです。

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いちばん奥のエリア、こちらではまず、マネキン状の作品がその存在感を際立たせていました。

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縁が焼けた古い紙を重ねて人の身体のかたちをトレースしたような作品。

それぞれの文字や文面、そして何より紙の雰囲気が醸し出す時代性に、何とも不思議なイメージがもたらされます。

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台の上に置かれた大判の作品は、まさに壮絶を極めます。

新聞を纏めた分厚い資料本といった様相の支持体。もののサイズは大きくなっても、文字のサイズはむしろ小さくて、それが、カットによって導かれる模様を混乱へと転化させているように感じられます。

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とにかく圧倒的です。

クレーターのようにぼこっと凹む部分のダイナミズムは尋常でない臨場感を滲ませ、深く、複雑な世界へと脳が引き込まれていくかのような。あたかもすべてを呑み込む渦のように、とてつもない混沌を構築しています。

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今回の飯田さんの個展は、ユニークな空間を得て、その想像力を余すところなく発揮したような展覧会でした。

しかしそれでもまだすべてを吐き出したような印象はなく、むしろ予想できなかった、知らなかった面や、これまでの展開をさらに進化、深化させたようなものなど、それぞれに見応えと見所をもたらしていたのも印象的です。

そしてまだ出していない、今回は隠された部分の存在も感じさせてくれるんです。

言葉が、文字へのリスペクトを持ちながら、それらが持つエネルギーを時折ひっくり返りたりして、さまざまな展開を繰り広げる飯田さん、ミステリアスな部分も含め、今後の活動も楽しみです。

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伊藤一洋 個展「The baby can dance,phantom cry」

hpgrp GALLERY 東京

東京都渋谷区神宮前5-2-11 H.P.DECO 3F

11/26(水)~1/5(月)

11:00~20:00

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Kazuhiro ITO "The baby can dance,phantom cry"

hpgrp GALLERY TOKYO

5-2-11-3F,Jingumae,Shibuya-ku,Tokyo

11/26(Wed)-1/5(Mon)

11:00-20:00

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空間に響く感性。支配する静謐。

hpgrp GALLERY 東京での伊藤一洋さんの個展です。

階段を上っていってギャラリーの床が目の高さに届く瞬間に、伊藤さんならではの有機的なフォルムと艶やかで渋く輝きをほとばしらせるブロンズの彫刻作品がその姿を現します。

無垢さと大人びた雰囲気とを同時に漂わせる独特の佇まい。

骨を連想させる太さやかたちが強烈な生々しさを感じさせる一方で、金属的な煌めきが、素材としての重厚感をもたらし、ふたつの感触がそれぞれの作品から奏でられることで空間全体は独特の静謐に満たされているように感じられます。

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独創的なかたちはさまざまに展開しているのも大変興味深いです。

素材の具体性とかたちの抽象性、完全にコントロールされているような印象はそれほど持たないのですが、しかし層出なければいけない説得力はじっくりと伝わってきます。

そして、その説得力はかっこよさへと力強く転化していきます。随所にもたらされる先鋭さ、実にスリリングな要素がふんだんで、全体のうごめくようなかたちとともに、ミニマムな部分の面白さにも強く惹かれていきます。

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なかにはグロテスクさを過剰に強調されたようなフォルムの作品も。

圧倒的な存在感はその付近の空間を、そのアバンギャルドさで支配します。

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ナチュラルな木目が印象的な床に置かれた作品の、その床の色感、質感との調和も素晴らしく、その一方で壁面に展示された作品は、白い壁面に映り込む陰影とともに、そのシャープさをより強い臨場感を伴って、観るものに訴えかけるように感じさせてくれます。

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ブロンズの鈍い青が全面を覆う作品の、退廃的な感触も印象に残ります。

有機的な感触はそのまま、その大きさがイメージさせてくれる抽象世界のリアリズムも面白く、そしてもっとスケールが大きい、隕石とか惑星とか、そういった宇宙的な風景感で、もっとダイナミックな静謐を思い起こさせてもくれるんです。

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シャープさや抽象性、さまざまな質感はそれこそすべてが伊藤さんのクリエイティビティの真骨頂とでも呼ぶべきもので、それらがさまざまなかたちとバランスでそれぞれの作品に挿入され、そのひとつひとつがあたかも引力を持ち合わせるかのように、力強き説得力と存在感を醸し出しているんです。

床と壁面に絶妙に配置されインスタレーションされた展示空間。さまざまな距離感で目に入るものから豊かにイマジネーションを刺激されます。

無数の発見と想像をじっくりと体感したい、してほしい展覧会です。

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池田学展

MIZUMA ART GALLERY

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F

11/26(水)~1/17(土)日月祝・12/27~1/7休

11:00~19:00

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Manabu Ikeda exhibition

MIZUMA ART GALLERY

1-3-9-2F,Kami-meguro,Meguro-ku,Tokyo

11/26(Wed)-1/17(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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探せ!

探し尽くせ!

前回からおよそ2年振り、MIZUMA ART GALLERYでの池田学さんの待望の個展です。

 勇んでギャラリーに踏み込むとそこには大作がどーん!

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2008年、もっともたくさんのアートファンが待ち望んだと言っても過言ではないその圧巻の風景は、実にエキゾチック。

今や日本が世界に誇る至高の細密表現は、大胆な余白をもってさらにダイナミックな世界を構築、その光景を目にした瞬間に一気に高揚させられます。

言うまでもなく、その緻密な描き込みの中には、尋常でない数の場面が。

あらゆる時代設定がなされ、さらに場面ごとの関係性も複雑を極め、めくるめく物語が広い画面を駆け巡ります。

そしてその無数の物語を呑み込む大波はあたかも聳える崖のようでもあり、それが倒れ込んでくるかのようなスケール感もまた壮絶な凄みを伴っていて、轟音が脳裏に鳴り響き、圧倒的な臨場感が伝わってくるんです。

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その繊細なストロークは画面全面から鋭く伝わってきますが、余白との際の部分、泡立つ波しぶきのあたりの表現も絶妙です。

浮世絵からの影響と、その過去から連綿と伝わる日本的な構図へのリスペクトを漂わせつつ、無数のシャープな線によって細微な陰影が描き上げられ、緻密さへの好奇心とともに、その美しさへもおおいに魅入られます。

瞬間を捉えたスリリングな感触がダイナミズムとともに画面に再現され、その分厚く、そして刹那な情景にただただ絶句するばかり。。。

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随所に現れるリズミカルな描写へも大いにそそられます。

さまざまなモチーフに潜む白抜けの人影、それらがある部分ではずらりと列をなし、ある部分ではぎゅっと凝縮され塊となって、見にマルな面白さを奏でています。

さらに、数多く挿入される車両や建造物も、その硬質なフォルムと大胆な歪みや破壊によってアクロバティックな雰囲気を弾けるように放っています。

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ひとつひとつの場面を取り上げていったらきりがない、しかしそのすべてを把握したいという衝動にも駆られ、何度も足を運びたくなってしまうのです。

ある場面に興味がわいて視線を向けているとその隣にあるモチーフにも興味が湧いてきて、じゃあそっちに目を移すと今度はまた別のシーンに、という具合に無限のループへと彷徨うことを余儀なくされる、興味も好奇心も高揚感も尽きさせない珠玉の世界です。

奥の部屋には小品が2点、しかし充分に魅せてくれます。

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それぞれのスケール感も、このサイズにして圧倒的。

充分すぎる数のストロークがこのサイズの画面にひしめき合い、さらにアクロバティックな光景が創り出されていて、何というか、子どもの頃に想像で追求した無茶苦茶なかっこよさが再現されているかのようで、ほんのりと懐かしさも心に浮かびつつ、やっぱり今の感性の好奇心が充分に刺激されて、凝視してしまうのです。

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さて、池田さんの作品の面白さは、ただ無数の要素が過剰に投入されているのはもちろん、そこに「探す」というインタラクティブな行為を煽る要素もさり気なく入っているところもありまして。

大作のなかにはサインは2カ所。それをこの混沌の中から見つけ出すのも実に楽しい!

僕は自力で見つけることができました!

嬉しい!(≧∇≦)ノ゛

すごく嬉しい!(≧∇≦)ノ゛

昨年時点で、

これで心置きなく年が越せる!(≧∇≦)ノ゛

と。

その歓喜をスタッフの方にお伝えしたところ、

日本列島は見つかりました?(・∀・)

・・・。

見つけとらんぞ!!!Σ( ̄口 ̄;)

ていうか聞いてない!Σ( ̄口 ̄;)

というわけで、もう一回足を運ばなければならないのです。

絶対見つけてやるからな!

・・・ああ楽しい!

というわけで、一度ご覧になられた方も、見付けてなければサインと日本列島を探しに足運ぶべし。

ご覧になられてない方も、ぜひこのエンターテイメント性に満ちあふれた世界、その素晴らしい迫力による臨場感を直に感じていただきたいと切に思う次第です。

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