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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報
2009年2月アーカイブ

上條花梨「There...,that station」

MEGUMI OGITA GALLERY

東京都中央区銀座5-4-14 銀成ビル4F

2/6(金)~2/28(土)日月祝休

12:00~19:00

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Karin Kamijo "There...,that station"

MEGUMI OGITA GALLERY

座5-4-14-4F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

2/6(Fri)-2/28(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

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ゆるやかに、静かに広がる季節、ただよう気配。

MEGUMI OGITA GALLERYでの上條花梨さんの個展です。

今回の個展では、フィンランド滞在期間に制作された作品の発表とのことで、これまでの印象と違う空気感、雰囲気の広がりを感じます。

上條さんの作品としてはお馴染みの手法、無数の飛沫が画面に広がる感触は今回も踏襲されていますが、さらにひとつひとつの色彩の鮮やかさ、それぞれの色が持つ感触や風合いがさらに引き出されて、描かれる場面に横たわる空気の印象がこれまでになく軽やかに伝わってくるような気がします。

子ども、人形のポートレイト。こどもの表情は、実際に作品を前にするとその緊張する面持ちの感触が伝わってきて、なんともいえないやさしい気分が沸き起こります。人形もまた、無垢な感触が伝わってきて、それぞれの背景に広がる絶妙な深みの色彩とやわらかなグラデーションの落ち着いた質感が、それぞれのシルエットを緩やかに引き立てているように感じられます。

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果物を描いた作品、こちらが僕の印象ではもっともこれまでの上條さんの作風に通じているような気がした次第です。

画面全体に広がる、沈み込むような渋めのトーンが奏でる静寂。緻密なグラデーションで現される陰影は、そこにあるものの「もの」としての存在より、気配を、そしてそれらに纏う空気感を描き出しているように感じられます。残像のような風合いも、落ち着いた感情をもたらしてくれます。

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風景を描いた作品は、その色の独特な立ち上がり方に目を奪われます。

こちらの作品では、画面全体における透明感、明るさが印象的です。牧歌的な空気感がやわらかく広がる様子が伝わってきてやさしい気持ちに満たされます。

登場する木製のキツネ(だと思うのですが・・・)、そこかしこに生える大きなキノコがファンタジックな印象ももたらし、不思議な幻想へと誘ってくれるかのようです。

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一転して今度は深い色彩のコントラストが鮮やかで美しい作品。

奥に横たわる赤、さらに奥の濃紺の闇のなかにぽつぽつと漂う赤。画面手前の地面の黄色。さまざまな色彩が、それぞれが持つ風合いを膨らませ、ダイナミックなコントラストを導き出しているように思えます。そして隣り合う色彩の接する部分の絶妙な陰影感が、深い落ち着きをもたらして。。。

羊が1頭、おそらく餌が入ったバケツを前に佇んでいます。その存在感はこの風景に過ぎ行く時間のイメージをもたらすには充分なほどの生命の印象を感じさせてくれるのですが、脚部の木の質感に気付く刹那、一転して気配の印象が変わってしまいます。むしろ、鑑賞者側の想いが気配を紡ぎ出しているかのような・・・。不思議なイメージをもたらしてくれる作品です。

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さまざまなモチーフの具象的に精度、繰り出す技法によって導き出されるテクスチャーの活かし方の熟練。

いろんな要素によって紡ぎ出される上條さんの世界。これまでの一貫した残像的な風合いから広がりを見せてくれたような印象が嬉しいです。

その独創性により、これからどんな時間が紡がれ、どういう気配を描き出してくれるかも楽しみです。

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DREAM AND RIALITY 夢と現 田中真吾個展

eN arts

京都府京都市東山区祇園北側627 円山公園内八坂神社北側

2/1(日)~2/28(土)金土日のみ(その他の曜日は事前予約制)

12:00~18:00

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DREAM AND RIALITY Shingo Tanaka

eN arts

,Gion-kitagawa,Higasiyama-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu

2/1(Sun)-2/28(Sat) only Friday to Sunday (appintment only on anather days)

12:00-18:00

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凄まじいアバンギャルドさと、張り詰めるスリリングな静寂。

eN artsでの田中真吾さんの個展です。

田中さんの作品は、まず昨年秋のstudio Jでの名和晃平さん参加のグループショーと、続いてshin-biでの写真の展示を拝見していて、炎をモチーフに大胆な展開で繰り広げられるアバンギャルドな世界観が強く印象に残っているのですが、そのある種の重厚な世界がeN artsと絶妙の調和を導き出し、さらに深く、そして硬質な空間を創出しています。

最初のエリアで展示されているのは、平面的な展開の作品。

漆喰のような、素材の質感が雰囲気を創り出す画面に広がる、何らかが焦げた陰影。墨のような濃淡の味わいを奏でつつ、そこで起きたこと、起こされたことの生々しさが静かに圧倒してきます。

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若干うろ覚えなところが合って申し訳ないのですが、田中さんに伺ったところでは、この画面の上で紙を燃やしてその焦げた部分を画面に定着させているのだそう。

あたかも筆で描いたかのようで、そのダイナミックな筆跡感に感じ入りつつ、そこにあるのはある結果、結末であるにも関わらず、さらに膨らみ続けているような壮大な感触、凄みを伴う勢いをも感じさせてくれます。

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studio Jで発表されていた作風の展開が続きます。

純白の平たい画面にもたらされる灰の塊は、こちらもあたかも墨で一気呵成に畳み掛けるようにして創出したかのような、ダイナミックな動的な感触を内包しているように思えます。ストロークの先、画面から離れる瞬間を思わせる質感などは実に滋味に溢れているように感じられます。

それでいて、そのストロークの内側の危うさといったら・・・!

朽ちた質感の究極とでも呼ぶべき、僅かな負荷でそのかたちを崩してしまうほどの儚さを纏いつつ、波打つように炭化した紙が導き出すアガウレッシブな質感が、強烈な混沌をも紡ぎ出しているように思えます。

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そして、今回の個展でのもっとも大きな作品が。

視界が捉えた刹那、一気にそのアブストラクトな世界観に引き込まれます。

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尋常でないダイナミズムに溢れています。

ぐんと画面より立ち上がる炭化した紙の塊。

咲く花のような可憐なフォルムをたたえつつ、その質感と色調が、溢れる生命の感触とは真逆の死生観、ダークサイドの儚さを深遠に奏でます。

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studio Jでは壁面に展開されていた立体のスタイルの作品も、こちらでは壁に設置された棚の上に。

ものとしての重力感が前面に押し出され、どっしりとした重厚な質感が伝わってきます。

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eN artsのスペシャルな空間、ブラックキューブにはshin-biでの個展で出展されていたスタイルの写真作品が展示されています。

黒い背景に浮かぶ炎のシルエット。空間ごとの暗い背景が実に効果的で、揺らめく情景の妖しさ、危うさが、むしろ冷徹な感触とともに響き渡ります。

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一方、畳敷きの和室にも同様に写真作品が飾られています。

和の空間に絶妙に響く、無機的なアクセント。不思議な空間がつくり上げられています。

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とにかくかっこいいのです。

基本的に白いものを燃焼、炭化させ、そのコントラストがシャープな風合いを鮮烈に創出しています。

そして、コントロールできないポイント、燃やしてどういう風に炭化するのか分からないところが相当にスリリン樹gな抽象性を生み出し、クールな世界観を構築しているようにも思えます。

同様に炭化させる作品を制作するアーティストというと蔡國強を思い浮かべますが、火薬を使ったサディスティックなスピード感とで作られるクリエイションとはまた異なる、アバンギャルドな危うさを秘めつつも徹底して静謐で、緩やかな時間の経過を思い起こさせるのも興味深いです。

生み出されるかたちの面白さが格別の田中さんのクリエイション、これからどんな静謐が紡がれるかも楽しみです。

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笹田靖人展「U to Pia」

CASHI

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-18-1F

2/6(金)~2/28(土)日月祝休

11:00~19:00

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Yasuto Sasada "U to Pia"

CASHI

2-5-18-1F,Nihonbashi-bakurocho,Chuo-ku,Tokyo

2/6(Fri)-2/28(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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繰り出される無数の精緻な手数。

作り上げられるヴィヴィッドでシャープな絢爛。

CASHIでの笹田靖人さんの個展が凄い!

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これが手描きなのか、と唸らずにはいられないほどの緻密さ。そして鮮やかな色彩感。

画面に現れるさまざまな要素が残らずすべて、鋭い立ち上がりで迫ってきます。

描かれる動物たちは、独創的な階調の解釈であからさまにサディスティックな色彩で描き上げられ、崇拝の対象のような神々しい凛々しさも伝わってきます。

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鳥を描いた作品。

羽根のひとつひとつが緻密に綴られ、さらに絶妙なグラデーションも再現されて、相当に整っていながらもあまりの密度の濃さに思わず目眩が。。。

至近で眺めれば眺めるほどに気が遠くなるような仕事の量がその精度で視覚に攻め込んできます。

そして同時に、あっけらかんとした世界観、軽やかで痛快で壮大で、楽しく頼もしい雰囲気に満ち溢れていて、とにかく楽しいのです、気分がアガっていくんです!

広がる空の青さも気持ちいい!

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雄ライオンの頭部を描いた作品は、これまた痛快極まりない混沌が溢れかえってっています。

たてがみを模す無数のビルディング、ひとつひとつ緻密に描き込まれる窓。伸びる三角の塔、賑やかさに拍車をかける幟、バルーンなどなどなど。

ライオンの顔の表面も、ハシゴなどが随所に掛けられていて前面に突き出す立体都市の様相を呈しているように思えます。

眺めれば眺めるほどに発見が沸き起こる、強烈に楽しい作品です。

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奥の一角では、モノクロームのペン画が展示されています。

これらがまた、凄いんです。

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古代魚から深海魚らしきものまで、さまざまなフォルムの魚がモチーフとなり、色がついた作品よりもさらに緻密なストロークで描き上げられています。

その表面に現れるのどの奥から魚の尾を生やす口元や、それらの奥に潜む機械的、無機的な質感が奏でるリズムがこちらの好奇心を引き込みます。

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鱗の細かい描き込みに圧倒させられます。

絶妙な陰影と緻密な線描で表現される、ある種のゴシック的な世界観。グロテスクな雰囲気を強烈に発し、好奇心をぐいぐいと引き込んでいきます。

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とにかく問答無用に見応えがあります。

ポップでキャッチーで、アバンギャルドでアグレッシブ。

描かれるモチーフのどれを取り上げてもその緻密な描写の精度に隙はなく、それらが硬質でヴィヴィッドな世界を構築しています。

そしてここまでクリアな画像が手描きであることへの驚きと喜びも格別です。

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福島淑子展「fog」

GALLERY MoMo Ryogoku

東京都墨田区亀沢1-7-15

2/7(土)~2/28(土)日月祝休

11:00~19:00

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Yoshiko Fukushima "fog"

GALLERY MoMo Ryogoku

1-7-15,Kamezawa,Sumida-ku,Tokyo

2/7(土)-2/28(土) closed on Sunda,Monday and national holiday

11:00-19:00

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さらに、艶やかに。そして深遠に。

GALLERY MoMoでの福島淑子さんの個展、両国のスペースでは油彩の作品がずらりと並び、あの不思議な幻想世界が満ち溢れています。

入り口すぐ、六本木で紡がれた世界を繋ぐようなちいさな作品が。

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圧巻の、という言葉を使うと強すぎてその繊細さ、揺れるような際どい緊張感が伝わらないような気もするのですが、主に黒を背景とし、長く伸びる手足と身体をくねらせ、横長の楕円の顔に不思議な表情を浮かべる人々の姿が、幽玄に、そしてダイナミックに描かれています。

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仕草のシュールさはこれまでよりもいっそう加速しているように感じられます。

事実、あり得ない姿で、しかし現実の重力感を失せたような感触は奇妙な説得力を伴ってそこに現れ、揺らめくような空気感と美しく艶やかな透明感を思わせるマチエルも手伝って、独創的な深遠さが溢れ来るように思えてきます。

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黒を背景とした作品が大勢を占めるなか、入り口正面の壁面に展示された赤が背景となる作品の鮮烈さが目を惹きます。

過剰にヴィヴィッドな背景が、そこで絡まって円環をなす人々が纏う服の色が強烈に映えます。艶かしい質感に加え、奇妙なうねりを伴う人々の姿、そして凛とした不気味さが漂い、なんともいえない世界観が押し拡げられているように感じられます。どこかコミカルな雰囲気も奏でつつ、動的な感触も楽しげです。

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小品群も魅力的です。

捉えられる表情の奥深さ、黒とそれによって映える様々な色彩、横たわる妖しさ、危うさ。さまざまな要素が無言で感性を刺激してきて、艶かしさとアバンギャルドさとの絶妙のバランスでぐんぐんと魅了してきます。

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カウンターを横切って辿り着く奥のスペースでは、さらに深い色彩の作品が展示され、よりダークで重々しい世界が広がっています。

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順に眺めていって最後に出会う作品のインパクトも相当に強烈です。

座る様子こそ確認できるのですが、その姿は半ばこわれているように思えます。とにかく危うさが半端なく、焦燥感を煽るかのようなアバンギャルドさが凄まじい勢いで迫り来るかのようです。そして同時に、どうしようもない静謐も伝わってきます。叫べども叫べども、届かない声。上方に見える開く口が、締め付けられるような狂おしさを思い起こさせてくれます。

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さらに伸びやかに、そして深々と意識を沈み込ませていくような、分厚い世界観。

ダークな色彩の多様とそれを用いる確固たる理由を思わせる登場人物たちの仕草や佇まい、そして表情。

一貫する暗さは、そのまま深さへと転化し、静かに、揺らめくような不思議な風合いに満ちるシーンを織り上げていくように感じられます。

高画質の無声映画を観るかのように、延々と物語が心の中で続いていきます。

透明感と奥行きも、その想いを押し上げてくれるような感じです。

六本木での展示とあわせて、福島さんが紡ぐ世界の豊かさにあらためて触れることができたのが何より嬉しいです。

これからどういう風に広がり、深まっていくかも楽しみです。

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樋口佳絵 エンシンリョク

西村画廊

東京都中央区日本橋2-10-8 日本橋日光ビル3F

2/3(火)~2/28(土)日月祝休

10:30~18:30

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Kae Higuchi Enshinryoku

Nishimura Gallery

2-10-8-3F,Nihonbashi,Chuo-ku,Tokyo

2/3(Tue)-2/28(Sat) closed on Sunday,Monday,and national holiday

10:30-18:30

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最近よくCDショップに足を運んでいて、だいたいジャズかアヴァンポップのあたりを物色しているのですが、そんななかで樋口さんの作品を見かけました。

midori hiranoさんの「klo:yuri」というCDで、試聴してその深くダークな世界観の印象が雰囲気と合っていてそのセンスに感服した次第。

そしてこのジャケットに採用された作品、教室のなかで席に着く子どもたち、鋭さと何かを希求するような顔がずらりと並ぶさま、このアバンギャルドなリズムが樋口さんが描く世界の好きなところのひとつで、それに思わぬところで出会えたのが嬉しい限りで。

それから間を置かずに開催の今回の展覧会。

西村画廊での樋口佳絵さんのおよそ2年振りの個展です。

一望して、気配が異なる印象を受けます。

空間全体に満ちる雰囲気が2年前と違うような気が刹那、心に広がります。

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大作から小品まで、あの独特の風合いの作品が並びます。

奇妙な構図、危うい気配を強烈に漂わせる、少年少女。

肌の色は異様な生々しさをたたえるような赤みを帯び、そして頭部のサイズから逆算すると不自然なほどに小さくてか細い手足で、そして何より目、鼻、口が、それらが醸し出す表情が、とてつもない狂気の向こう側の達観、冷静、そういった風合いをもたらしているように感じられます。

全体に広がる色調も、その雰囲気に絶妙の深みと響きをもたらしているように思えます。

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言葉では言い表せない思いが。

至近で眺めると細かい穴がびっしりと覆う画面、その質感は、そのままそこに描かれる場面の臨場感へと転化し、そこに漂う空気の肌触りを伝えるような気がします。

そして、そこに描かれる場面。要素の少なさが、背景も含め、それぞれの要素の存在感を凛と立ち上がらせます。

俯せの男の子、青い鳥、外れ落ちるメガネ。それらは饒舌で、しかしそのイメージを言葉にするのは非常な困難を極めます。

少ない要素で過剰なシュール、しかし、そこにあるものたちの存在の説得力は尋常でないように思えるのです。

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こちらの作品、あらためて左右の足の位置に目を向けると、あたかも歩いているかのような印象を受けます。

しかし、動的なイメージはまったくと言っていいほどもたらされない、むしろ静止の状態で時間だけが過ぎていく、過ぎ行く時間に対しての無抵抗さが感じられます。

殺伐とした空間性に、強烈なアクセントとなって、両手の先や履く靴の爪先部分、おかっぱ頭と顔の構成要素、そこから伸びる白の万国旗が淡々と、しかしヴィヴィッドに訴えかけてくるかのようです。

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テイストが違う作品も出展されています。

人が登場しない作品、どこかほっとさせてくれるコミカルな風合いの小品、おじいさんの口元に浮かぶ僅かな笑み。

子どもの無垢さが放つ危うさで静かに満たされる作品たちと、絶妙な関係性を保ちながら、しかし全体の雰囲気を乱すことなく、空間に僅かな弛緩をもたらしているようにも思えます。作品に接しているときに心に訪れる過緊張状態(それが樋口さんの作品の好きなところなのですが)からわずかに解放されるような気がします。

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1作品ごとに対峙してインスパイアされるイメージはこれまでの樋口さんの作品や展覧会と変わらないのです。

しかし、あらためて俯瞰して、今回の個展には一つの作品に複数の人物が登場している作品がないことに気付かされます。

冒頭に紹介したCDに掲載されている作品に見られる、アバンギャルドなリズム感。感情の喪失を思い起こさせる子どもたちの雑然とした配置は強烈に無機質で、匿名性に支配されているように思えます。

しかし、今回の個展では、ひとつの画面にひとり。

そこに登場するひと、男の子であったり女の子であったり、おじいさんもいますが、彼らの仕草や表情に有機性がもたらされ、感情の移入がよりスムーズに引き起こされているような印象を持った次第です。

そういう考えに至り、あらためて思い返してみて、樋口さんが描く人々がどれほど豊かな感情の奥行きを持ち合わせているか、とあらためて感じ入ります。

飛び跳ね、ときにこちらをはぐらかし、眩ませたり。無邪気だなぁ、と思うのです。

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I Wamt to Be Loved Culture-bound syndrome IV 山崎龍一

GALLERY STRENGER

東京都港区南麻布3-3-39 カーサベルマン1F

2/6(金)~2/28(土)日月祝予約制

12:00~19:00

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I Wamt to Be Loved Culture-bound syndrome IV Ryoichi Yamazaki

GALLERY STRENGER

3-3-39-1F,Minami-azabu,Minato-ku,Tokyo

2/6(Fri)-2/28(Sat) appointment only on Sunday,Modna and national holiday

12:00-19:00

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ちょっとお前ら、また最近生意気になったんじゃないかと(汗)

GALLERY STRENGERでの山崎龍一さんの個展です。

山崎さんの作品はこれまで折に触れて拝見していて、白いフードを纏った子どもたちが繰り広げ、滲ませる独特の雰囲気が充分に記憶に刷り込まれているのですが、今回の個展ではその場面や世界のニヒルさ、危うい達観がより先鋭的になったような印象で。

作品たちと目が合うたびに、思わずお説教モードが沸々と(汗)

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いやだからそんな無垢な視線を寄越されても(汗)

しかも部屋の隅っこから。。。

もとい。

今回の展示では平面の作品も多く発表されています。

入り口すぐのところに並ぶドローイング、これがまず楽しいんです。

これまたずいぶんと生意気な口を叩いているもいるのですが、妙に現実を憂いているようなものもあれば、ヒジョーにフジョーリなことを宣うヤツもいたりして。

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平面作品もアプローチの切れ味はさすがです。

お馴染みのパネルの穴の奥から覗く子どもの作品も。

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そして、壁面に作品が凝縮される一角は壮観。

パネルや紙などの支持体の作品は言うに及ばず、チケット裏、業者の封筒などなど、さまざまなものに子どもたちが登場し、いっそうのやんちゃ振り、いたずらっ子的な側面を発揮しているように思えます。

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そして立体。

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あんまり人通りが多くないので外を眺めていても大きな変化は起こらないのですけど。

まあ、外から眺めるといきなり彼の視線が届いて「Σ( ̄口 ̄;)」となるわけでして。

ていうか...

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コタツか!Σ( ̄口 ̄;)

悠長にコタツか!Σ( ̄口 ̄;)

・・・ていうか...

仕事しろ!Σ( ̄口 ̄;)←理不尽

赤い布団にオレンジの水玉の座布団、そしてみかん。このディテール、山崎さんの真骨頂です。

ギャラリーの真ん中の台の上。

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飛行中か!Σ( ̄口 ̄;)

なんちゃって飛行中ってことか!Σ( ̄口 ̄;)

いわゆる「丘サーファー」的なアプローチか!Σ( ̄口 ̄;)←半ば強引なこじつけ

なんですかこの安定したフォルムは!

仮に両腕を広げてうつぶせになっているだけだったとして、何故か、その格好の奔放さがうらやましくなってきます。

もうひとりはと言えば...

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まあ、なんかありそうなシチュエーションでございますが...

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不満か!Σ( ̄口 ̄;)

そんなに不満か!Σ( ̄口 ̄;)

さっき行ったコンビニでカレーパンが売り切れてたのがそんなに不満か!Σ( ̄口 ̄;)←想像が暴走

今回のキャストのなかでもっとも印象的な、絶妙な表情を浮かべています。

そんな彼らに気を取られて

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教わって気付きましたorz

・・・・・

・・・・・

ていうかどうやって入った?!Σ( ̄口 ̄;)

いやいや、今回も楽しいです、めちゃくちゃ楽しいです。

山崎さんの作品との脳内でのやりとりはいつも面白いのですが、今回は格別な印象で。

コミカルな味わいを堪能する一方で、これらの作品に込められるメッセージ性に思いを馳せたとき、現代のさまざまな、身近な問題に辿り着きます。その深刻さを、これだけ軽やかにユーモラスに変換させているあたりも見事だと思うのです。

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福島淑子展「lunacy」

GALLERY MoMo Roppongi

東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F

2/7(土)~2/28(土)日月祝休

12:00~19:00

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Yoshiko Fukushima "lunacy"

GALLERY MoMo Roppongi

6-2-6-2F,Roppongi,Minato-ku,Tokyo

2/7(Sat)-2/28(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

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六本木と両国、GALLERY MoMoのふたつのスペースで同時開催の福島淑子さんの個展、両国では制作のメインを張る油彩のペインティングで構成されていますが、六本木では先日開催された武蔵野美術大学卒業制作展で発表されたインスタレーションの再構築に加え、鉛筆画のドローイングが出品され、福島さんの表現の幅と奥行きを空間ごと感じさせてくれる展示が繰り広げられています。

いつものように入り口に辿り着くと、鉛筆画のポートレイトが出迎えてくれます。

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独特な表情を浮かべる人々。

モノクロームであることに加え、紙に鉛筆という素材の圧倒的な違い、油彩のストロークのダイナミズムとは異なって無数の手数で描き上げられる過程などの要素がいつも違う雰囲気を醸し出していますが、描かれている人々は確かに福島さんならではの風合いを滲ませています。

そして、グラデーションのていねいさにも感じ入ります。その面影、こころの内側の深いところに存在するセンシティブな部分、さらには達観したような心の静けさを、より緻密に紡ぐような感触が伝わってきます。

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奥のスペースへと踏み込むと、今度はその情報の量に圧倒されてしまいます。

床に並ぶ無数のオブジェ、壁面には、その広さを埋め尽くさんばかりの数のドローイングが。

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さまざまなサイズのドローイングのランダムな配置と、あるリズムを感じさせてくれるオブジェの群れの塊とが、なんともいえない不思議な世界観をもたらしているように感じられます。

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オブジェ群は福島さんの創造性のプリミティブな部分が現れているような、生々しい感触が印象的です。

なかにノイズ的に異なる色調のものが混ざり込んではいますが、全体に貫かれるレンガ色

と手で捏ねた感触がダイレクトに残される有機的な形状とがずらりと並ぶことで、実に不思議な世界観がもたらされているように感じられます。この情景を俯瞰していると、だんだんと呑み込まれてこの状況に同化していっちゃいそうな錯覚も。。。

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一方、ドローイングは自由度が高い印象で、思い浮かぶ仕草、色、場面などが大胆に画面にもたらされ、ドローイングとしての軽みと適度に曖昧な筆致が、佇まいや表情の危うさを静かにもり立てているように思えます。

また、バリエーションに富んでいるのも印象的です。さまざまなトライが繰り広げられているこの、ステキな場面を描き留めておいたようなもの、楽しい雰囲気や脆弱さと対峙しているかのようなものなど、全体から迸る感性のフレッシュさと密度に加え、各作品のもつ雰囲気にも翻弄されてしまうのです。全体に広がるある世界観とともにひとりひとりがそれぞれに個性を持っているかのようで、実に厚みのある展開が繰り広げられているように感じます。

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大胆な色の解釈も、油彩同様にドローイングでも繰り広げられています。

福島さんの作品では具象の精度が追求されることはないように感じるのですが、むしろ最小限の要素で深い表情を描き切ってしまう感覚的な巧みさが伝わります。

その作品点数の多さから体全体を包まれるような印象が伝わると同時に、じっくりと、並ぶ画面に綴られるさまざまな心の動きにこちらの思いを委ねて、空間に満ちるプリミティブな感性と対話するように味わいたい展覧会です。

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鷹取雅一「洋画アポカリプス」

児玉画廊|京都

京都府京都市南区東九条柳下町67-2

1/24(土)~2/28(土)日月祝休

11:00~19:00

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Masakazu Takatori "YOOGA Apocalypse "

Kodama Gallery Kyoto

67-2,Yanaginosita-machi,Higashi-kujo,Minami-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu

1/24(Sat)-2/28(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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入り口。

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見上げると...

!Σ( ̄口 ̄;)

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屈んで覗くと...

!Σ(@口@;)

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....._| ̄|○

・・・と、こんな感じで挑むインスタレーション。

児玉画廊|京都での鷹取雅一さんの個展です。

昨年末に開催されたグループショーでのインスタレーションも見応えがあった鷹取さん、今回はそのときに採用された展開をボリュームアップさせ、あの空間が充分に使い切られたダイナミックな構成で圧倒してきます。

潜って辿り着く穴、そこから首を出して見上げると、無数のドローイングが天井から下がっていて目が眩むかのような情景に囲まれます。

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さらに進むと、そのなかにひとつの空間が。

あたかも露店のように(しかも留守なのですよ、それがスリリングだったり)、その狭い空間のなかにもぎっしりと作品が詰め込まれていて。

なんともいえない賑々しさ、手製の額のぐねぐねとした感触などもあわせ、凄まじいカオスが充満しています。

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その外側には一転して鮮やかな色調が眩しいペインティングが、大胆に床置きで展示されています。

狭く閉じた空間の混沌とは異なる、画面に乗る絵の具のヴィヴィッドな色彩とダイナミックなスロトークが強烈なインパクトをもたらしているように感じられます。

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そして匍匐前進コーナーを脱出、先ほどの空間がそのまま台となっていて、そこに上がって穴から見上げた景色を今度は俯瞰。

吹き抜けから覗かれる2階の天井にもぶら下がるドローイング。そのひとつひとつに描かれる鉛筆画は、そのどれもがタイトルにある「洋画」的いかがわしさを醸し出しています。

おそらくかの時代のグラビアをモチーフに描かれたと思われる女性の姿、顔の部分が舞う髪に隠されていたり、こちらを向いているものはアバンギャルドな抽象模様が施されていたりと、ある種の過剰な匿名性がもたらされ、それがエロティックな部分とは別に危うい感覚も備えられているように思えます。

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その空間から抜けると、今度は広い壁面にドローイングがずらりと。そして床にも。

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インスタレーションとしての構成も前の空間と負けず劣らずのボリュームで迫ってくるのですが、1点1点をじっくりと眺め、画面と対峙するることもでき、描かれる情景にも部分的にうっすらと色が灯され、爽やかさとエロティックさとアバンギャルドさとが絡み合って独特の混沌が紡がれているように思えます。

額の微睡むような甘い色も印象的です、その艶かしい妖しさをさらに強めているように感じられます。

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床置きの衝立ての作品、さらに強烈なインパクトが放たれています。

用いられた色彩が放つヴィヴィッドさ、鉛筆の緻密なストロークと相反するかのような、一度のストロークで面を埋められるダイナミックさがイマジネーションへの反応速度を高めたかのような仕上がりで、その速度が膨張するイメージの挿入を煽るかのように、ペインティングの裏面などに余計な要素が大胆に付け足され、「もの」としてのコミカルな感触、あるエリアを超えてしまってなお留まらないエネルギッシュな危うさが伝わってきます。

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壁に展示されたペインティングもさらに強烈です!

素材の質感の有機的な感触がもたらすスキャンダラスな感触、あからさまなウェットな手触りのイメージが思い浮かんで、なんともいえない雰囲気に包まれます。

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とにかく何よりこの物量に対して敬服する次第。

壁面に映り込む影なども含め、空間全体にみっちりと隙間なく詰め込まれた鷹取さんのクリエイティビティ、さらに屈んで覗いて抜け出して、と窮屈な態勢を促すことがいっそうの臨場感をもたらし、イメージの浸食速度が相当に加速されたような感触も痛快です。

鷹取さんのこれまでの展開も、空間全体を占拠するかのような大胆なものが多く、今回の個展はその真骨頂がもっとも発揮されたような印象で、それに接することができて嬉しい限りです。

空間が持つポテンシャルも充分に引き出され、ペインティング・ドローイングの面白さも堪能できる展覧会です。

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Toru Otsuki Solo Show

galeria de muerte

東京都台東区東上野3-32-1-3F

1/17(土)~1/31(土)水木休

13:00~19:00

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Toru Otsuki Solo Show

galeria de muerte

3-32-1-3F,Higashi-ueno,Taito-ku,Tokyo

1/17(Sat)-1/31(Sat) closed on Wednesday and Thursday

13:00-19:00

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先月末、そぼ降る雨のなかgaleria de muerteでの大槻透さんの個展に行ってきました。

小さなスペースに収められる大作群。

1点の作品が放つ力強さ、存在感は、このコンパクトな空間においても失せることなく、むしろその近さで接しなければいけないある種の脅迫的な観念が、大槻さんが描き上げるダイナミックな絢爛の世界に分厚い臨場感を与えているように感じられた次第です。

大変貴重な、そして楽しい体験だったと思うのです。

まさに「どん!」と聞こえない震動が伝わってくるかのような大作が、視界に飛び込んできて、一気にそのゴージャスでヴィヴィッドな世界に引き込まれます。

古くから連綿と継がれゆく日本の美人画、その21世紀初頭の最高峰のひとつと言い表しても過言ではないと信じられるほどの精度と洗練。

繊細な線と艶やかな色彩感、金色の重用の大胆さとそこにもたらされる盛り上げの緻密さ。描かれる女性の表情は、スタンダードな美しさをたたえているように感じられ、またその美形を際立たせるかのような頭身バランスも、まさにそびえるように強烈な雰囲気を放ちます。

そこにさらに現代的なアプローチが随所に織り込まれているのが楽しい!

中央の女性が纏う着物の柄に、おそらく僕らくらいの世代の男子は驚喜し快哉を叫ぶと思います。

まあ、こんな感じで。

ドムか!Σ( ̄口 ̄;)

ドム柄か!Σ( ̄口 ̄;)

そして気付くのです!

3人か!Σ( ̄口 ̄;)

黒い三連星か!Σ( ̄口 ̄;)

美人のジェットストリームアタックか!Σ( ̄口 ̄;)

まーなんかこういう想像に進んだらもう脳内で盛り上がる盛り上がる(汗)

それぞれに黒いものを身につけているあたりのディテールの細やかさも嬉しい限りです。

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3面の画面による作品。

全体に煙る紫、その奥に広がる金色、そしてその上に乗る黒、赤、白など。

色彩の力が存分に引き出され、ストロークのひとつひとつのしなやかさがそれぞれのモチーフに絶妙な強度をもたらしているようにも感じられます。

両脇の黒いシルエットの女性像や咲く菖蒲の妖し気な姿が醸し出すダークサイドな世界観が画面全体に満ち、同時に貫かれる透明感も印象的です。

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縦長の美人像。

着物の緑のグラデーションがとにかく見事です。

ふわりと浮かび、空を舞う赤毛の髪がクールにセレブリティな雰囲気を奏でます。

そして手提げや履物など、アイテムに織り込まれる遊び心も痛快極まりなく。

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細部まで徹底して描き切られた作品群の説得力に今回も圧倒された次第です。

美しい女性を美しく描く、そのスタンスのストイックさにも感じ入ります。

これからも圧倒的な美しさを力強く紡ぎ出していってくれることにまったく疑いの余地がなく、そこに今度はどんなアクセントや仕掛けが施されてくるかも楽しみなクリエイションです。

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今井裕基 ~空風火水地~

artdish g

東京都新宿区矢来町107

2/3(火)~2/22(日)月休

12:00~22:00

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Yuki Imai exhibition

artdish g

107,Yarai-cho,Shinjuku-ku,Tokyo

2/3(Tue)-2/22(Sun) closed on Monday

12:00-22:00

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時間を追うごとに立ちのぼる魑魅魍魎。

artdish gでの今井裕基さんの個展です。

粗めのキャンバスを支持体として採用された画面に、無数の要素がうごめき、溢れ、混沌を生み出しています。

レストラン/カフェのスペースへ入るとまず、左手に展示された大作が迫ってきます。

サイズが持つ迫力がそのまま強烈なインパクトに転化され、いきなり今井さんの世界に引きずり込まれるような印象です。

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コンパクトなギャラリースペースへ入ると...。

刹那、戸惑います。

狭い壁面をびっしりと埋め尽くすようにして配置されるキャンバスのペインティング。

作品自体の密度の濃さに加え、空間としても相当な濃密さが伝わって、むしろそれが逆に作用し、一本調子な感触がもたらされた次第。

しかし、だんだんと時間をかけて作品、そして空間と対峙していくと、そこに灯る無数の要素が関係しあい、リズムを奏で、そこに潜んでいた奥行きの存在ををじわじわと露にしていくような感じがするんです。

そのイメージはむしろ小さめの作品のほうから伝わってきます。画面のサイズにトリミングされることで、そこに描かれる情景への集中の度合いがそうさせるのかもしれないです。

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ひとたび奥行きが感じられると、今度はそれこそ凄まじい勢いと早さとで、さまざまなイメージがまるで襲いかかるかのようにもたらされていきます。

謎めく要素のかたち、そのひとつひとつが醸し出す妖しさ。それが虚ろな世界観を奏で、漂い彷徨う魂が虚空に灯っているかのような、不思議な臨場感が脳裏に浮かんできます。

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余白の多さによって伝わるイメージにも大きな差が出てくるのも興味深いです。

画面をびっしりと妖しいストロークの蓄積で覆われる作品は、その騒々しい感触が画面のサイズ以上にイメージの広がりをもたらしてくれます。

色彩の連なりが音を立てて流れ、うごめいて、あたかも膨らみ続けるような凄まじい混沌を醸し出しているように感じられます。

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ギャラリースペースのほか、カフェスペースにも多くの小品が展示されています。

それぞれが独創的な世界観を発していて、洗練された空間とのギャップがユニークな雰囲気を創り出しているように感じられます。

個性的なストロークが放つ、さまざまな濃淡。

それが、画面に無数に描かれる要素に、熱を帯びた感触や儚い風合いもたらしているように思えます。

そしてそれらが画面に収まり、関係しあいながら、ひとつひとつの3次元的な解釈と相まってうねるような奥行き感を紡ぎ出してく、そういうイメージへと至る過程も実に面白いです。

そして何より、画面全体から伝わるエキゾチックな感触も興味深いのです。

色調から滲む、いわゆる日本的な妖しさ。おどろおどろしい感触が、今井さんが紡ぐ世界に濃密さをもたらしています。

今回のギャラリースペースの展示はほぼ空間インスタレーションに近いイメージもあるのですが、もっとヴィヴィッドにその魑魅魍魎とした雰囲気に接することができるような空間も体感してみたいような気がします。

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花澤武夫 "between places"

GALLERY SIDE2

東京都港区東麻布2-6-5

1/31(土)~2/28(土)日月祝休

11:00~19:00

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Takeo Hanazawa "between places"

GALLERY SIDE2

2-6-5,Higashi-azabu,Minato-ku,Tokyo

1/31(Sat)-2/28(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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擬態するアカデミズム。

GALLERY SIDE2での花澤武夫さんの約2年振りの個展です。

いやはや、ホントに待ち遠しかった!

前回の個展が強烈に印象に残っていて、以降グループ展や横浜住宅展示場でのアートフェアなどで作品を拝見するたびに、ちょっと言葉にし難い味わい深さに感じ入っていたのですが、今回の個展では画面ごと、壁面ごとに異なる世界観、一見すると統一感のなさ気な展開に思えて、その実、根底に存在する一貫するユニークさがじわじわと伝わってくるという、まさに花澤さんのクリエイティビティの真骨頂が繰り広げられています。

しかし、扉を開けてまず出迎える作品に意表を突かれます。

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今回は立体の作品が出品されることは事前に伺っていたのですが、

これか!Σ( ̄口 ̄;)

これのことか!Σ( ̄口 ̄;)

と刹那、思った次第。

しかも・・・

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何だこの余裕の笑みはぁぁぁっ!Σ( ̄口 ̄;)

しかも屈託もなさ気だし!Σ( ̄口 ̄;)

・・・・・!

ていうか鼻!鼻!Σ( ̄口 ̄;)

その鼻メガネのメガネなしみたいなのは何だぁぁっ!Σ( ̄口 ̄;)

なんともいえないイージーさ、しかし妙に説得力があって不思議。

しかも花澤さんの作品といわれて違和感を感じないあたりもなんとも不思議で。

もとい。

ペインティング群、それぞれで繰り広げられる奇妙な構成、しかしそこで展開される情景の「強度」に、強く惹かれます。

描かれる場面は相当にシュール。ファーストコンタクトでキャッチするイメージはむしろ手探り感が強いというか、謎めきに支配されます。しかし、そのシュールさをもたらすひとつひとつの要素を再検分していくと、さまざまな計算や、理論的、感覚的の両面におけるアカデミックさが見つかっていくんです。

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前回の個展以降で目にすることの多かったエキゾチックなモチーフ。

今回はカウンター前の壁面に展示されている作品が、その独特な風合いを漂わせています。

古代的なモチーフと象られたような、なんとも不思議なかたちの一輪挿し。そこに挿され、ゆったりとした弧が際どい緊張感を誘う枝の先に咲く赤い花と葉は、青とも紺色ともつかない独特な色調を背景に、繊細に、そして重厚にその姿を晒しています。

色調の組み合わせが醸し出す尋常でない深み。加えてセンターから微妙なズレで収まる一輪挿しと花、それらが織り成す危うさと背中合わせの安定。

そして何より、油彩のテクスチャーがもたらすウェットな質感がさまざまな要素を包み込んで、絶妙なバランスを生み出しているように感じられるんです。

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テンペラによる肖像画のシリーズも面白いです。

さまざまなミュージシャンが小さな画面に描かれ、さらにそこにユーモア溢れるアクセントも添えられて。

石膏が敷かれ、その上に金箔が貼られた小さな画面。「もの」としての滋味の深さ、しかしその味わいを敢えて翻すかのようにざらりとした質感の筆致で描かれ、巨匠たちの足跡から伝わる存在の分厚さ、重厚さと相まってイメージを深みへと誘い、独特な雰囲気が放たれるように感じられます。

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そして今回の個展のハイライトはやはり、今回出品されたなかでもっとも大きなサイズの油彩画です。

ぱっと目にした瞬間の捕らえ所のない感じ、それがその画面と対峙しているうちにだんだんと、そこにもたらされる垂れる絵の具の痕跡や独特なグラデーションで描かれる植物、そして画面中央に広がる白など、さまざまな情報要素が目から入って脳内で混ざりあい、深い世界観をもたらしてきます。

不思議な気配が漂ってきます。

描かれる景色は花澤さんのスタンスで追求されたリアリティの結末のようでもあり、一方で完全に想像上のものを紡いでいったかのようにも感じられ、眺めていて「一体ここはどこ...」と、だんだんと「迷い」が生じてくるんです。

しかしその迷う感覚、迷わされる感覚が心地よい。。。

少し前に、池上永一の小説「シャングリ・ラ」を読んだのですが、そこに出現するアトラスにある自然はもしかしたらこういう感じかもしれない、そしてこれは自体はこういう風景に「擬態」しているまったく別の物質かもしれない、などなど、想像はぐんぐんと加速していきます。

じっくりとこの深みに嵌まっていきたい...、僕にとってそういう雰囲気に満ちているんです。

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それぞれの作品を拝見し、さまざまな「ズレ」のなかに潜むコンセプチュアルな要素を感じ取っていく...。

花澤さんの作品と対峙するときのいちばんの面白みは、その行為にあるような気がします。

もたらされている様々な要素に対して、もしも、もう少し左に寄っていたら、とか、僅かに明るかったり、と想像してみると、理論的なことは分からないのですが、今保たれているバランスが、あたかも擬態が解かれるかのように崩れていってしまうのでは、と思わずにはいられないほどに、たとえそれが偶然煮えられた結果であっても、僕にとっては「論」を超えた感覚的な際どい絶妙の加減で繰り出されているような気がします。

無論、先にあるコンセプトのユニークさ、深度も相当なものなのだと思います、それが感覚でコントロールされる際どいバランスを可能にしているのかもしれない、と想像します。

・・・とまあ、四の五の言ったところで、結局は「惚れた側の負け」で済んでしまいそうな気もします(汗)。

いずれにしても、これからどんな世界が展開されていくか、どんな情景で魅せてくれるのか、ホントに楽しみです!

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みとま文野展「PARALLEL CHAOS」

THE THIRD GALLERY AYA

大阪府大阪市西区江戸堀1-8-24 若狭ビル2F

2/3(火)~2/28(土)日月休

12:00~19:00(土:~17:00)

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Ayano Mitoma exhibition "PARALLEL CHAOS"

THE THIRD GALLERY AYA

1-8-24-2F,Edobori,Nishi-ku,Osaka-shi,Osaka-fu

2/3(Tue)-2/28(Sat) closed on Sunday and Monday

12:00-19:00(Sat:-17:00)

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THE THIRD GALLERY AYAでのみとま文野さんの個展です。

ウェブで作品画像を拝見していて面白そうだなぁと思って、さてどんな作品なんだろうといろいろと想像して臨んだですが、クリアパネルにマウントされたグラフィカルなプリントで、そこにさまざまなテクスチャーが挿入されていて、実にユニークな空間が作り上げられているんです。

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コンパクトな空間に収められる大きな作品、3面の壁に配され、フューチャリスティックな雰囲気に満たされています。

そして、そこに描かれるポップな風景、組み込まれるさまざまな要素がユニークな奥行きを創り出しています。

画面のほぼ真ん中を走り、上下に分断する地平線。上半分は深い紫から乳白色へと連なる絶妙なグラデーションがほ施され、その左にモクモクと沸き上るような謎めくかたち、右手には植物を連想させる有機的なモチーフ。そして中央に、写真を取り込んでユーモラスなかたちにカットされたパターンがリフレインで用いられることで遠近感がもたらされて、それが左右に配される大きなモチーフのスケール感とのズレを生み、大胆で不思議な世界観が沸き上っているように感じられます。

ところどころに現れるキュートなモチーフも、アクセントとして効いていて、画像的にだけでなく、ここで繰り広げられる物語にも奥行きをもたらしているよう思えます。

とにかく楽しいんです!

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小品群に描かれる世界もファンタジックな雰囲気が溢れています。

主題を画面全面に押し出すシンプルな構図は、遊び心に満ち、実験的な展開も感じられます。

何より鮮やかな色彩が爽やかで、楽しい気持ちを膨らませてくれるんです。

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コラージュ的な作品も面白い!

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写真、手描きのドローイング、CGなど、さまざまなスキルを駆使しながら、大きな画面ではおおらかな空間性と配置で遊び、小さな作品だとモチーフの密度の面白さを押し出しながら、独創的でフューチャリスティックなファンタジーが展開されています。

瑞々しい質感も楽しさを加速させてくれるんです。

そしてさらに、どんどんとこの先どうなるか分からないワクワクするような物語も紡がれていくようで、イマジネーションを刺激してくるエンターテイメント性に富んだクリエイションです。

みとまさんともお話しできて、しかしそのときには思い浮かばず今になってあらためて感じるのですが、機会があれば動画でも観てみたいです。

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《2/11》

田中朝子:Index

東京日本橋高島屋6階 美術画廊X

東京都中央区日本橋2-4-1

2/11(水)~3/2(月)

10:00~20:00(最終日:~16:00)

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一昨年のノマルプロジェクトでの個展も印象的だった田中朝子さん、今回の個展では、これまで発表されたシリーズを一挙に展観、さらに新しいシリーズも加えられ、独特の視点が導き出す面白さや美しさが提示されています。

立体作品が奏でるユーモアとキュートさが堪らない・・・!

山田あゆみ展

ギャラリー山口

東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビルB1F

2/9(月)~ 2/14(土)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

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武蔵野美術大学の学内展、そしてその後に開催されたART AWARD TOKYO2007への参加も記憶に新しい山田あゆみさん。

立体感の力強さと存在感、そこに施されるペインティングの陰影感が、不思議な軽やかなな深みをもたらしてるように感じられます。

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脊髄を連想させるモチーフも。

緻密な作り込みと、豊かなグラデーションで紡がれる色彩とが、立体としての造形に深みを加えているようにも感じられました。

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この日はこのあとにBOICE PLANNINGでの第一回美術犬シンポジウムへ。

楽しかったです。

繰り広げられるさまざまな話を聞きながら自分の考えと照らし合わせていって、むしろ自分自身の考えの輪郭がはっきりとしていったような感じがあって、足を運んでよかったなぁ、と。

また、たくさんの方が足を運ばれていたのも嬉しく思った次第です。

《2/13》

Galerie Sho Presents 8 Emerging Artists 古川卓,星岳大,上條絵奈,Iain Lonsdale,望月梨絵,Michelle Park,吉岡雅哉,ZED

Galerie Sho Contemporary Art

東京都中央区日本橋3-2-9 三晶ビル B1F

2/13(金)~3/14(土)日祝・2/20休

11:00~19:00(土:~17:00)

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8名のフレッシュなアーティストが参加、ボリュームのある世界が展開されています。

入り口すぐに展示されたZEDさんの肖像画のインパクトから始まり、TWSでの個展も印象的だった吉岡雅哉さんのペインティング、星岳大さんの独特な雰囲気が漂う木版画、ポップな混沌が楽しい望月梨絵さんの作品群、上條絵奈さんの緩やかで深遠な陰影、スクラッチが面白い世界観を紡ぎ出す古川卓さんなどなど、楽しい発見に満ちています。

In Battle There is No Law chapter 2

galeria de muerte

東京都台東区東上野3-32-1-3F

2/13(金)~3/8(日)水木休

13:00~19:00

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あのコンパクトな空間に、ヴィヴィッドなクリエイションがぎゅっと詰め込まれていて楽しい!

大槻透さん、FARMで発表された作品に加筆され、緻密さが加速する世界。小川泰さんのドローイングなどの濃密な空気感、野津晋也さんの作品の味わい深い静けさ。それぞれの個性が力強く発揮されるエネルギッシュな作品が揃い、見応えのある展覧会が繰り広げられています。

《2/14》

福島淑子展「lunacy」

GALLERY MoMo Roppongi

東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F

2/7(土)~2/28(土)日月祝休

12:00~19:00

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六本木と両国のふたつのスペースで同時開催の福島淑子さんの個展、まず六本木から。

パーテーションで区切られた2つの空間、まず鉛筆画が並び、絵の具とは異なる質感でありながら、それはもう福島さんならではの世界が静かに広がります。

そして、奥の空間では、今年の武蔵野美術大学での学内展で発表された卒業制作が再構成、ドローイングとオブジェとが空間に溢れ、空間として迫る感触が痛快です。

佐々木加奈子「Drifted」

MA2Gallery

東京都渋谷区恵比寿3-3-8

2/13(金)~3/14(土)日月祝休

12:00~19:00

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資生堂ギャラリーでの展示と会期を合わせて開催されている、佐々木加奈子さんのMA2Galleryでの個展です。

アイスランド滞在中に撮影された写真が1階に展示されているのですが、まず目に飛び込んでくるのが正面の壁面に展示される新聞紙の舟。

カラー写真で掲載されるアイスランドで起こった様々な出来事。その雰囲気が緩やかに迫り、また壁面に映る陰影が深みを生んでいるように感じられます。

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そして、とにかく写真が美しいのです...。

凛とした空気感が画面から伝わってくるとともに、色彩の鮮やかさが爽やかな印象をもたらしてくれます。

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2階で行われている、壁画を模したインスタレーションも興味深いです。

暗がりのなか、ライトを手に見付けていくように眺めるのは新鮮です。

I Wamt to Be Loved Culture-bound syndrome IV 山崎龍一

GALLERY STRENGER

東京都港区南麻布3-3-39 カーサベルマン1F

2/6(金)~2/28(土)日月祝予約制

12:00~19:00

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あのう、さらに生意気になった気がするんですけど(汗)。

お馴染みの山崎さんの作り出す子どもたち、立体からさまざまに展開する平面作品まで、それぞれがあの独特な雰囲気をじわじわと放っています。

久保俊太郎 かわいがり

GALLERY TERRA TOKYO

東京都港区麻布台2-3-5 NOAビル1F

2/14(土)~3/7(土)日月祝休

10:00~19:00

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これは面白い!

見応えあり!

緻密な描き込みに加え、効果的にコラージュが取り込まれ、独特の妖しい世界が組み上げられています。

さまざまなキャラクターや動物たちの仕草や佇まいが危うさとユーモアを醸し出していて、いろんな物語がどんどんと脳裏に展開されていくような感触も。

金子奈央展

Gallery Q

東京都中央区銀座1-14-12 楠本第17ビル3F

2/2(月)~2/14(土)日休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

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実際に作品を拝見して、支持体としてのキャンバスの強度が描かれる女性の肖像に独特な深みをもたらしているように感じられたのが強く印象に残ります。

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グラフィカルな質感、真っすぐな構図感。そこに潜む仄かな妖しさが、空気感としての陰影をもたらしているような感じで、そのしっとりとした色調と相まってなんともいえない深遠な雰囲気に包まれます。

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鳥井林太朗展 ~笑いごと~

和田画廊

東京都中央区八重洲2-9-8 近和ビル302

2/4(水)~2/15(日)

13:00~19:00

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先週に続いて伺い、しっかりと拝見してきました。

やっぱり面白い、くだらないっていうのが褒め言葉になっちゃうこの世界観はどうしようもなく痛快です。

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ずらっと並ぶ大作、そこに描かれるシュールな情景。

「ツボがそこか!それでいいのか!」とツッコミたくなる世界、しかし描き込みの緻密さ、リアルな再現性の凄みなど、巧みさの面からもしっかりと魅せられてしまいます。

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柳ヨシカズ "SIMPLE SHAPE"

不忍画廊

東京都中央区八重洲1-5-3 不二ビル1F

2/4(水)~2/14(土)日休

11:00~18:00(土:~17:00)

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こちらも先週に引き続いて再訪。

一貫してくる広げられるシンメトリーの構成にさらに大胆さが加わって、そのユニークさがぐんと加速したような印象が嬉しい!

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作品ごとに抑制の利いた淡く繊細な色調が、それぞれの世界に深みをもたらしているようにも感じられます。

そして、絶妙なグラデーションが奏でる陰影の深みによって、描かれるモチーフにさらに臨場感や説得力が加えられています。

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伊藤亜矢美 モノタイプ展

不忍画廊

東京都中央区八重洲1-5-3 不二ビル1F

2/4(水)~2/14(土)日休

11:00~18:00(土:~17:00)

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柳さんと同時開催の伊藤亜矢美さんのミニ個展。

凹版と凸版とを駆使して制作される木版画、画面に展開されるリズミカルな感触が、木版画らしい朴訥とした風合いと相まって、独特の楽しさが演出されています。

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ひとつひとつのモチーフが楽しいです。

無垢な感触、レイドバックしたような渋い感じなど、さまざまなイメージが混ざって、心地よくあたたかな雰囲気がふわりと伝わってきます。

随所に現れる顔、その表情のやさしさもかわいらしくて良いのです。

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mayu ten

SAN-AI GALLERY

東京都中央区日本橋蠣殻町1-26-8 三愛水天宮ビル1F

2/9(月)~2/28(土)日祝休

11:30~19:00(最終日:~17:00)

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暴走するmayu語・・・!

これまで折に触れて拝見しているmayuさんの展示、思い返すと個展で拝見するのは今回が初めて。

キュートなかたちがいつものように、もとい、いつも以上に溢れていて、その雰囲気に触れられるだけでなんともいえない嬉しさが心に満ちていきます。

入り口すぐのところに展示されたケーキのオブジェ。ゆっくりと回転しています。

そこに飾りつけられるmayu語のかたちのかわいらしさといったらもう・・・!

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平面をびっしりと埋め尽くすカラフルなmayu語たち。

ひとつひとつはカットされた紙で、その途方もない情報量と仕事量とに圧倒されます。

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今回は立体的な作品が多く出品されているのが嬉しいです。」

かたちのかわいらしさがキュンキュンの臨場感を伴って迫ってくるんです!

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フェルト製のmayu語の羅列がひとつのおおきなmayu語を描き出しています。

カラフルさ、フェルトの質感のあたたかみなどがほっこりとした感触をもたらしてくれます。

エンターテイメント性に富んだmayuワールド、今回も思いっきり楽しませていただいた次第です。

いつか読めるようになりたいなぁ(笑)。

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福島淑子展「fog」

GALLERY MoMo Ryogoku

東京都墨田区亀沢1-7-15

2/7(土)~2/28(土)日月祝休

11:00~19:00

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六本木に続いて、両国へも。

こちらにはキャンバスの油彩作品がずらりと並んでいて、あの広い壁面を埋め尽くしていて壮観です。

艶やかさが深みを生み出しているように感じられる独特な世界観が満ち溢れ、さらにアクロバティックな構図の作品もそこかしこに登場していて、嬉しい空間が作り上げられていて嬉しいです。

笹田靖人展「U to Pia」

CASHI

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-18-1F

2/6(金)~2/28(土)日月祝休

11:00~19:00

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圧巻の描き込み、一気に引き込まれます!

緻密に紡がれるグラフィカルな世界、そのすべてが手描きであることが放つ濃密な説得力。

カラーの作品は強烈なヴィヴィッドさ、モノクロの作品は緻密さがさらに加速し、それぞれが強烈なインパクトを放っています。

じっくりと対峙したい作品群です。

TWS-Emerging115 増子博子「行為の庭」

トーキョーワンダーサイト本郷

東京都文京区本郷2-4-16-2F

2/14(土)~3/8(日)月休(月曜日が祝日の場合開廊、翌日休)

11:00~19:00

昨年のGallery Jinでの個展も印象的だった増子さん、今回の個展ではそのときに発表された作品がもう一度観られることに加え、新たな展開の作品も出品され、そのクリエイションの広がりや深みに接することができるのが嬉しいです。

閉廊ギリギリでなんとかその雰囲気に触れることができたのですが、改めて伺ってしっかり拝見したいと思ってます。

今井裕基 ~空風火水地~

artdish g

東京都新宿区矢来町107

2/3(火)~2/22(日)月休

12:00~22:00

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画面に溢れるさまざまな要素、ぱっと目にした瞬間はあまりの情報の多さに逆に単調に感じてしまったのですが、ひとたびそこに描かれる要素の関係性が感じ取れると、一気にそれぞれの作品に収められる情景に奥行きが見えてきて、ぐんぐんとその魑魅魍魎とした世界に引き込まれていきます。

強烈な妖しさ、熱を帯びる空気感。強いインパクトを受けた次第です。

《2/15》

この日は京都へ。

京都市立芸術大学の卒業・修了制作展とそれにあわせて開催されるオープンアトリエなどなどを観たくて2週続けての関西遠征となったわけですが、その最初にチェックしたのがこの展示で、

INTERIM SHOW 樫木知子/馬場晋作/羽部ちひろ/ヒョンギョン/柳澤顕

京都市立芸術大学新研究棟4F平面B

京都府京都市西京区大枝沓掛町13-6

2/11(水)~2/15(日)

10:00~17:00

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いやもう反則です、いきなり凄すぎました。

フィーチャーされる5名とも個展で拝見して強く印象に残っているアーティスト、そのそれぞれが素晴らしい作品を出品されていて、いきなり度肝を抜かされたような感じで。

ヒョンギョンさんの大作と額に収められた小品によるスケールの大きな壁面インスタレーション、鏡面を駆使し、なかでも合わせ鏡で途方もない広がりを連想させる馬場晋作さん、メロウな筆致が印象的な羽部ちひろさんの世界、エキゾチックな雰囲気に磨きがかかる樫木知子さんの大作、そして静岡県立美術館での「風景ルルル」の再演よろしく、テープによる壁画とペインティングを組み合わせた壮大な構成を繰り広げる柳澤顕さん、なんかもういきなりやられました。

もっとじっくり味わいたかったという思いと、観られてよかった達成感とがせめぎあってます。

以降、修了制作を観て回り、その充実度に圧倒された次第。

面白いを通り越して凄かったです。既知のアーティストも、ここで初めて拝見するクリエイションも、皆さんしっかりとピークを持ってきているといった印象です。

FIX

@元立誠小学校

京都府京都市中京区木屋町蛸薬師

2/9(月)~2/15(日)

12:00~19:00

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8組のアーティストによって組み上げられる、壮大なトリック。

いやはや、やられました。

階段を上って踊り場で出迎える本武史さんのチリトリなど、そこから羽部ちひろさんのペインティングや吉岡千尋さんの寒冷紗の作品、妖しい雰囲気を奏でる谷澤紗和子さんの立体作品などなど、各教室に配置され、それぞれが持つ雰囲気に惹かれながら1点1点を眺めていきます。先週PANTALOONで拝見した今村遼佑さんのおおらかな空間性、描く痕跡が強烈に伝わる鈴木宏樹さんのドローイング、ユーモアの感覚が楽し過ぎる桝本佳子さんの焼き物のオブジェ、さらには昨年のオオタファインアーツでの展覧会も印象的だったSHINCHIKAのアニメーションに接し、それぞれ堪能したあとで3階へ。

その踊り場でいきなりデジャヴに襲われます。

まったく同じように配置されるチリトリ。「あれ?」と思いつつもそういうものか、と何となく納得しながら進んでいくと、同じところにやはり同じような作品が。

空間ごとリフレインされていて、しかも微妙な違いがだんだんと現れてきて、その仕掛けに気付かされていくのがなんとも痛快で。

最後にSHINCHIKAの手製ムックを揃えてホクホクで階上を後にした次第。いやはや、楽しいインスタレーションでした!

DREAM AND RIALITY 夢と現 田中真吾個展

eN arts

京都府京都市東山区祇園北側627 円山公園内八坂神社北側

2/1(日)~2/28(土)金土日のみ(その他の曜日は事前予約制)

12:00~18:00

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昨年のstudio Jでの名和晃平さんの企画で拝見し、印象に残っている田中真吾さんの個展、しかも場所はeN arts

炎が奏でるアグレッシブでアブストラクトな情景、痕跡が、静謐な空間に配置され、凛とした雰囲気に満ち、緊張感ももたらされています。

その抽象性が醸し出す美しさ、危うさ、妖しさなど、さまざまな刺激を受けた次第です。

ヤマガミユキヒロ SynchroniCity

neutron

京都府京都市中京区三条通烏丸西入ル 文椿ビルヂング2F

2/3(火)~2/15(日)月休(祝開廊)

11:00~23:00

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接するふたつのスクリーン、そこに映し出される街の通りの情景。

微妙にスローで流されるふたつの景色は、あたかもひとつの通りのように演出され、さまざまな場所へと移り行きながら、ゆったりと展開していきます。

よく知る通りも時折現れて、いきなり自転車に乗った自分が横切ったら笑うなぁ、などと余計な想像しながら、なんだかその映像が紡ぐ時間に心を委ねるのが心地よくて。

中林誠治展

市立ギャラリーいけだ

大阪府池田市栄町1-1 池田駅構内2F

2/11(水)~2/16(月)

10:00~19:00(最終日:~16:00)

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この人の作品をもう一度、観たかった!

その思いが達せられて、なにより嬉しいです。

前々回のリキテックスビエンナーレでグランプリを受賞したのと同コンセプトの作品の凄み、そしてそれ以降の展開もまた素晴らしくて、圧倒された次第。

そして、ペインティングの面白さにも引き込まれました。

藤田しず香 個展

浜崎健立現代美術館

大阪府大阪市中央区南船場4-11-13 RED BLDG.

2/1(日)~2/28(土)第1~第3水休

12:00~20:00

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Shizuka Fujita solo exhuibition

Ken Hamazaki Red Museum

4-11-13,Minami-senba,Chuo-ku,Osaka-shi,Osaka-fu

2/1(Sun)-2/28(Sat) closed on first to third Wednesday

12:00-20:00

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赤い空間に満ちあふれる無邪気!!!!!

浜崎健立現代美術館での藤田しず香さんの個展です。

おそらく何も飾られていなくても充分にインパクトがある空間、あらゆるものが真っ赤に染め上げられている浜崎健立現代美術館(英語表記からしてあんた・・・!)。そこに、言葉に偽りなくところ狭しと藤田さんの作品が詰め込まれています!

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カワイーーーーーーーッ!!!(≧∇≦)ノ゛

なんかもう、溢れるイメージがそのまま、痛快な焦燥感に煽られるかのようにして、ヴィヴィッドなストロークで描かれる女の子たち。クリックリのおっきな目が無垢な無邪気さをぱっと伝えてくるんです。

入り口すぐのショーケースには人形がぎっしりと!

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ひとつの作品に繰り出されるさまざまなストローク。

コラージュやモリッと乗っかる絵の具のかたまり、さらにリボンのパターンが散らかされていたりと、さまざまなテクスチャーはキュンキュンのかわいさを放つ女の子を囲みます。

そして、パーンと立ち上がる痛快な雰囲気がもたらされるんです!

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弾けるような元気さの中に潜むメランコリックな雰囲気も印象的です。

大きな目は一貫して無邪気さの存在を奥底に感じさせてくれますが、それがさまざまな表情となって現れてきているようにも思えます。

危うさと背中合わせの無垢さ。周りのさまざまなモチーフは、その世界観をどちらの方向へも加速させているような気もしてきます。

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思い描いた景色や浮かんだモチーフを画面に直に描き込むようなダイナミズムも痛快です。

描き手の無邪気さは、ここまで痛快だとストイックにすら思えてくるから不思議です。

そしてそのヴィヴィッドな感性を、この真っ赤空間が鮮烈に引き立てているからもう・・・!

はまぐちさくらこさんや細川真希さんあたりの展開にも通じる、キャラクターの個性が立ち上がる世界観。

おそらく日本のある世代が共有するアニメ文化が根底にあって、そこから引き出されるクリエイティビティが際立つ個性となって画面に現れ、その世界に出会えたとき、どうしようもなく嬉しい気分になるんです。

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岩田小龍 -GET WHAT YOU NEED-

帝塚山画廊

大阪府大阪市住吉区帝塚山東1-3-34 PLOTビル1・2F

2/6(金)~2/27(金)日月休

11:00~19:00

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Kotatsu Iwata -GET WHAT YOU NEED-

Tezukayama Gallery

1-3-34-1&2F,Tezukayama-higashi,Sumiyoshi-ku,Osaka-shi,Osaka-fu

2/6(Fri)-2/27(Fri) closed on Sunday and Monday

11:00-19:00

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NY仕込みのファットな世界観が堪らない!

帝塚山画廊での岩田小龍さんの個展です。

身近なモノなどをモチーフに据え、ユーモアも交えたユニークな階調の解釈で、膨らむような痛快な臨場感が迫ってきます。

ふたつのフロアで展開されている今回の個展、まず1階、落ち着いた雰囲気の空間に、鮮やかな青色を背景に描かれる黄色いTシャツが、弾けるような爽快感を放っています。

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2階は壁面も白く、さらにそれぞれの作品の鮮烈さ、フレッシュな色彩感が弾けます。

アンチョビの広告(らしきもの)がモチーフになった作品、いやもう、ホントに気持ちいいんです!

モチーフと背景の色の組み合わせがそれぞれの色が持つフレッシュネスを引き立てあって、その奥行き感がぐんと立ち上がって感じられます。その前に乗る太文字の迫力も痛快です。

そして、グラフィカルな色調や構成に加え、支持体の仕上がりが独特な味わいを醸し出します。壁の風合いを演出しているかのような絶妙な質感で、それがさらにグラフィティ的な雰囲気と味わいを加速させているように感じられるんです。

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ポップでイージーな花柄がキャッチーなリズムを奏でる作品も。

花のかたちの丸みとは裏腹の、画面に乗るゴシック体のアルファベットの文章。これらはローリングストーンズの楽曲の歌詞から引用されているそうで、ストーンズへのリスペクトも鮮烈に感じつつ、その言葉の世界観を花柄が引き立てているように思えます。

一部に用いられるコラージュもコミカルな痛快さを奏でます。

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今回の個展でもっとも大きな作品、ただでさえファットな雰囲気が溢れているのに、そこにサイズの迫力が加わり、臨場感の痛快さもさらに大きく、おおらかに伝わってきて気持ちいい!

ミルクの紙パックをこのサイズで再現することのユーモアも堪らないです、そして作品のダイナミックさと階調の再現の緻密さ、その両面に好奇心も膨らませられます。

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大作から比較的小さな作品まで、気分があがっていくような楽しい世界が繰り出されています。

描かれるモチーフの説得力もまた痛快で、それぞれが内包している面白みがめいっぱい引き出されて、楽しい迫力がもたらされています。

アメリカンコミックからの大胆な引用もあったり、ずいずいと前に出て行く勢いの良さも頼もしく感じられます。

アメリカの現代美術のクラシックの影響を強く感じさせながら、その痛快さを独自に展開されてダイナミックに繰り広げられる世界観はとにかく気持ちいいです!

大胆さと緻密さとの絶妙なバランスがもたらすポップな味わい、また観たいです!

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冬の夏 三瀬夏之介

佐藤美術館

東京都新宿区大京町31-10

1/15(木)~2/22(日)月休

10:00~17:00(金:~19:00)

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summer in winter Natsunosuke Mise exhibition

Sato Museum

31-10,Daikyo-cho,Shinjuku-ku,Tokyo

1/15(Thu)-2/22(Sun) closed on Monday

10:00-17:00(Fri:-19:00)

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綴られゆく異界。

佐藤美術館での三瀬夏之介さんの個展です。

集められる三瀬さんの近作群。

東京都現代美術館でのMOT ANNUALの際に創出された空間も相当な凄みがありましたが、密度としてはそれ以上の印象です。

凄まじいボリュームがこの空間に詰め込まれ、圧倒的な臨場感で迫ります。

2つのフロアのうち、3階から。

まず、屏風作品が出迎えてくれます。

壮観です。山並み、空、地上の建造物、それぞれが三瀬さん独特の筆致で描き込まれ、濃密な熱を帯びたダイナミズムが、それでいてどこか冷静さも含みながら展開されているような印象です。

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さらに圧巻なのが、この空間のほぼ全体を取り囲む屏風作品。

ライフワーク的に現在も作り続けられているとのことで、三瀬さんのさまざまな変遷が一望できる作品です。

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縮尺感も変化しながら、重厚な世界が綴られています。

独特の重々しい空気感に貫かれ、時に遠くへと続く風景の広さに、そしてそびえる巨大な何かに自らの小ささを思い知らされます。

用いられる画材、顔料の独創性も、異なる世界観の雰囲気をぐんと深めているように感じられます。

強烈なアバンギャルドさ、敢えて例えるとかつての中央線沿線界隈のジャズシーンを思い起こさせるような、魑魅魍魎とした混沌が、一度体験すると忘れられないほどのずしりとしたインパクトをもたらしてくれます。

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4階へ。

こちらにはさまざまな作品がところ狭しと詰め込まれ、3階とはまた異なる濃密な世界が静かに満ちています。

昨年京都のneutronで発表された作品との再会も嬉しい限りで。

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紙の質感の独特な風合い。

乾き、皺が寄り、「モノ」としての感触が全面に押し出され、さらにそこに乗る墨や緑青、箔などの素材感も加わり、尋常でない臨場感がもたらされます。

そのただならぬ「もの」が醸し出す雰囲気は、描かれる世界の凄まじさや妖しさとかみ合って、描かれる世界が持つスケール感を加速させ、観る者のイメージを力づくで呑み込んでいくかのように感じられます。

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モノクロームで描かれる風景も。

凄まじい数のストロークで綴られる景色の濃淡、それがもたらす深い陰影。

随所にズレを、意図的、無意識的、どちらにも解釈可能な感触で挿入させているような感じで、それが痛快な歪みを創出しているように感じられます。

そしてやはり、その手数の多さがもたらす混沌の面白さにも引き込まれます。さらに紙のシワによる無数の線も加わり、とてつもない情報の分厚い奥行きが生み出されています。

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さらにさまざまな「もの」がこの空間に投入されています。

そのひとつひとつが持つ「魂」が立ちのぼるように放たれ、揺らめくような空気感が演出されているように思えます。

とにかくそのひとつひとつが持つ存在感が強烈なんです。

凄まじく「気配」を放ち、全体を貫く朽ちた世界観が臨場感をもって迫ります。

一角に設置されたアトリエの再現も興味深いです。

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三瀬さんが描く、作る世界の面白さはその「過剰さ」がもっとも大きいような印象をあらためて認識したような気がします。

余白でもたらす空間性とは真逆の、描きまくることで生み出すうねりや奥行き、それによって創出される分厚い空間性。

素材の用い方の独創性も、制作行程のアクロバティックさも、描くモチーフの奇天烈さも、「過剰さ」を加速させ、油断すると火傷するような密度を生み出しているように思えます。

そして、貫かれるジャポネスクも強く印象に残ります。

この、現在の日本のアートシーンにおける「色もの」「際もの」的なスタンスは、ホントに貴重で、それが持つエンターテイメント性にこの密度で触れられて、大変嬉しい体験が得られたような気がしています。

「過剰さ」は「賑やかさ」とも言い換えられると思います。このおどろおどろしさも、どこかユーモラスな賑々しさへと変換されているように感じられます。

こちらが心配するまでもなく、これからもさらに唯我独尊の道を三瀬さんは突き進み、追求されることにまったく疑いを抱かないのです、これからどんな未知の世界へと僕らを誘ってくれるか、今後の展開も楽しみです。

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小池一馬展 [Juggler]

clementsalon*workshop

東京都港区南青山4-26-16-B1

2/4(水)~2/16(月)火休

11:00~20:00(日祝:10:00~18:00、最終日:~18:00)

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Kazuma Koike "Juggler"

clementsalon*workshop

4-26-16-B1,Minami-aoyama,Minato-ku,Tokyo

2/4(Wed)-2/16(Mon) closed on Tuesday

11:00-20:00(Sunday and national holiday:10:00-18:00,last day:-18:00)

Google Translate(to English)

clementsalon*workshopでの小池一馬さんの個展です。

立体、平面と大胆にメディアを横断しながら、しかもそれぞれの作品のオリジナリティと精度の両面において充実したクオリティが貫かれ、バラエティに富んだ見応えのある構成が繰り広げられています。

天井から吊り下げられ、大きく羽をひろげて羽ばたく木彫作品。

床に映り込む影も、ダイナミズムを加速させ、おおらかなスケール感と沈み込んでいくような深遠な世界観が創出されているように感じられます。

この合板を重ねた木彫は、昨年の3人展で発表されたものを再構築したものとのこと。あの造型に手を加える大胆さにも感嘆させられます。

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入って左手の壁面の一角に展示されるドローイング群。

風景を思わせるものから何かのディテールを描き留めたようなものまでバリエーションに富み、ここに提示されているアイデアが、さまざまなベクトルへと展開する基点かと思うと、貴重な部分に接するような感触がスリリングにもたらされます。

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お馴染みの水彩の作品も。

この透明感溢れるグラデーションと緻密な縁取り、凛とした妖しさが放たれ、何度拝見してもすっと吸い込まれるような感覚を覚えます。

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今回の新たな展開、ペインティング作品。これがまた面白いんです!

細かいストロークの蓄積で繰り広げられる、斬新さと独特の色調が実にユニークな雰囲気を放っています。

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水彩絵の具と透明のメディウムを混ぜた自作の顔料を用い、さらに下地となる支持体にカラーのコットンを採用することで、ひとつのストロークのなかに不思議なグラデーションが現れ、それが不思議な瑞々しさをもたらしているように感じられます。

描かれるモチーフのギリギリの具象性とそれを浸食する抽象性。どちらへの比重も高く感じられる大胆なバランスが、強烈な世界観をもたらしているように感じられます。

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色の質感の独創性が訴える力の強烈さとは裏腹に、「何色」の作品とカテゴライズできない感じも新鮮に映ります。敢えて表現するとすれば、パネル側面で確認できる支持体の布の色彩がいちばん適当かもしれないです、絵の具の下にうっすらと広がる色調が、その個性的な色彩感をもたらしています。

さらに、スーラやシニャックの点描を彷彿させる短いストロークの展開は、複雑なリズムを奏で、渦を巻くような混沌を生み出しているようにも思えます。

全体から伝わる動的なダイナミズムのインパクトがこれまでにない痛快さをもたらしてくれるような気がします。

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木彫、ドローイング、水彩、ペインティングとそれぞれ圧倒的に異なる質感の作品がパッケージされ、あたかも4人展のような様相を呈しているのも興味深いです。

展示された作品の、表面的な印象としてすべて小池さんが制作されているという唯一の共通点は、さらにその奥に潜む繋がるイメージの存在をだんだんと感じ取っていくことで、それぞれのクリエイションが響き合っていくような感触です。

そして、今回発表されたペインティングは、さらに今後の展開が楽しみです。現時点ではここで展示されている3点のみだそうで、すでにユニークな世界観を構築しているスタイルがこれからどういう風に広がっていくか、興味深いです。

小池一馬320.JPG

《2/3》

樋口佳絵 エンシンリョク

西村画廊

東京都中央区日本橋2-10-8 日本橋日光ビル3F

2/3(火)~2/28(土)日月祝休

10:30~18:30

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空間全体を見渡したときに、なぜかしら、これまでと違う雰囲気を感じます。

樋口さんが描く子供や老人たち、こちらの意識を刺すょうに見つめかえす小さな目は変わらない、危険な無垢がそこにあるのですが、いくぶんか、やわらかさ、と言葉に表してしまうと違和感を感じてしまうのですが、異なる雰囲気がもたらされているような印象です。

Ricarda Roggan

ANDO GALLERY

東京都江東区平野3-3-6

2/3(火)~4/25(土)日月祝休

11:00~19:00

RICARDA ROGGAN 090203.jpg

ぱっと観て第一印象、正直なところ、森を撮った写真にしか見えず、おおいに戸惑います。整然と空間に配置される大判の写真、ここに提示された情景の「仕掛け」はいったいどこに潜まされているのか、探れども見つけられず。。。

ギャラリーのスタッフの方に伺ったのですが、ここに提示された作品はすべて、道路脇に植林された木々なのだそう。すなわち、人工物で、それが解ると一気にこの世界観に臨場感が分厚く伴ってきます。

画面に収められていないところにガードレールが、標識が、もしかしたらもっと生々しく人の存在を思い起こさせる何かがあると思うと、この深い緑が、人間のエゴに見えてきて、その深いメッセージ性に感じ入ります。

《2/4》

MASAKO

都庁舎と都議会議事堂をつなぐ第一本庁舎3階南側空中歩廊

東京都新宿区西新宿2-8-1

2/4(水)~2/26(木)土日祝休

9:00~17:30

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Galarie Shoでの展示が強く印象に残っているMASAKOさん、今回はトーキョーワンダーウォールでの展覧会です。

いや、いい!すごくいいんです!

家族の肖像、ステージを描いた作品、黒をベースにダークな雰囲気が画面に充満すると同時にうっすらと広がる寂しさ、そしてあたたかさが、それぞれの情景に奥行きを与えているように感じられます。そして透き通る透明感も独特な雰囲気に拍車をかけます。

また、多数のドローイングをひとつの平面の塊にして展示された作品も面白いです。一見すると脈絡を感じないさまざまな情景が綴られていて、あたかも記憶の断片を綴ったような臨場感が強く伝わります。

三井統 個展

アルスギャラリー

東京都渋谷区神宮前5-13-1 アルス表参道

1/27(火)~2/8(日)月休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

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ちいさな画面に繰り出されるミニマムな世界。毎年この時期に開催されている三井さんの個展、今回も変わらぬ面白さがそれぞれの画面に凝縮されています。

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パネルの作品、余白と細密とのコントラストが面白く、加えて線をフォローする影がシャープな深みを創出しています。

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ハガキサイズのラミネートされた作品、パネルの作品と、真新しい展開こそ特にないものの、圧倒的にかっこいい世界に今回も魅了された次第です。

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小池一馬展 [Juggler]

clementsalon*workshop

東京都港区南青山4-26-16-B1

2/4(水)~2/16(月)火休

11:00~20:00(日祝:10:00~18:00、最終日:~18:00)

小池一馬090204.jpg

まるで3人展、いや4人展のような様相です。

木彫、水彩とこれまでも発表されている作風に加え、ペンによるドローイング、さらに新たな展開によるペインティングも出展され、すでに相当な奥行きを感じさせる小池さんの想像性のバイタリティがさらに分厚くなったような印象です。

ペインティングの斬新な質感、ユニークな絵の具の用い方によって放たれる雰囲気は、新鮮、そして鮮烈です!

風間サチコ 昭和残像伝-炭鉱夫編

無人島プロダクション

東京都杉並区高円寺南3-58-15 平間ビル3F

2/4(水)~3/14(土)祝休

13:00~20:00

風間サチコ090204.jpg

木版画の渋み、ぬくもりがむしろ過剰に、濃密に醸し出される風間さんの作品群。

今回は炭坑夫をモチーフに、あの独自の味わいのユーモアをふんだんに織り交ぜながら、重たくてでも滑稽な物語が空間に横たわっています。

なんかすごい!って感じに再会できて嬉しい、相変わらずの世界観の切れ味は健在です!

《2/5》

TAKA新作写真展「vital -kissing tree-」

hpgrp GALLERY 東京

東京都渋谷区神宮前5-1-15 CHビルB1F

2/6(金)~3/1(日)

11:00~20:00

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hpgrp GALLERY 東京の移転第一弾、TAKAさんの写真展です。

昨年の色彩が滲む作品群の印象から一転、今回は額に収められたモノクロームの写真作品が一列に並び、沈み込むような静謐が空間に満ちています。

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モノトーンの色調が、山の様々な風景に潜む無数のかたちの鋭さを際立たせ、あるいはゆったりと流れる時間の存在を引き出し、ずっしりとした世界観をもたらしているように感じられます。

ストイックな美しさが強く印象に残ります。

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debut! ver. TOMOYO KAWASE 川瀬知代個展

谷門美術

東京都港区北青山3-3-7 第一青山ビル1F

2/6(金)~2/27(金)日月祝休

13:00~19:00

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キュンキュンなクリエイションが小さな空間のそこかしこに溢れています!

ペインティングの仄かなキッチュさといい、くねくねとした樹脂製のオブジェのイージーな多佇まいに触れ「かわいいんですけどチクショー」みたいな気持ちがわいてきたりと、楽しいクリエイションが展開されています!

《2/6》

上條花梨「There...,that station」

MEGUMI OGITA GALLERY

東京都中央区銀座5-4-14 銀成ビル4F

2/6(金)~2/28(土)日月祝休

12:00~19:00

上條花梨090206.jpg

独自の表現に磨きがかかり、さらに増す精度。

加えて、用いられる色彩にも広がりがもたらされて、その世界観がより豊かになったような印象が嬉しいです。

実際に作品を拝見すると、緊張しているのがむしろ愛くるしく感じられる子どもの肖像や、広がる風景に存在する現実からの乖離を思わせる要素など、それぞれの作品でのバランス感覚も大変興味深いです。

金崎由紀子展 いつくしいめ

ギャラリーなつか

東京都中央区銀座5-8-17 GINZA PLAZA58 8F

2/2(月)~2/7(土)

11:30~18:30(最終日:~17:30)

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ボールペンで緻密に紡がれる細かい線の集積。ところどころに言葉やセンテンスが織り込まれ、聳える荘厳な情景のなかにさまざまな思いが潜んでいます。

その言葉があらわすのが、金崎さんが世話をした牛たちのさまざまな出来事で、画面の下部にはそれらの認識番号と最期が書き留められていて、それがこの作品に豊かな深みをもたらしているように感じられます。

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ギャラリーの壁面に設置された棚には、牛たちを描いたドローイングが纏められて展示されていました。

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抽象的な世界観が印象に残ります。牛たちとの関わりがこの風合いをもたらしている感じも、金崎さんの誠意が伝わってくるような気がした次第です。

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山崎怜太展 -Light Classic-

フタバ画廊

東京都中央区銀座1-5-6 福神ビルB1F

2/2(月)~2/8(日)

11:00~19:00(最終日:~16:00)

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面白いです!

圧倒的な写実力をもってして、敢えてそこにズレを挿入することでなんとも言えない不思議な空間性がもたらされているように感じられます。

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情景のありふれた感じが、歪みのインパクトをさらに強烈なものに押し上げています。

現実に潜む非現実、そういう世界観が思い浮かんできます。

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人が登場し、その気配が物語性に奥行きを与える作品、逆に「もの」のみを描き、単なる具象画とは異なる、なんとも言えない雰囲気を奏でる作品と、それぞれに広がりが感じられます。

もっとさまざまな作品を観てみたい、スキルとアイデアのバランスも絶妙で、今後の展開も楽しみなクリエイションです。

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鳥井林太朗展 ~笑いごと~

和田画廊

東京都中央区八重洲2-9-8 近和ビル302

2/4(水)~2/15(日)

13:00~19:00

鳥井林太朗090204.jpg

ちょw

なんだかすごいです、シャレの効かせ方があからさまで独特、という...。

巧みな構成により、画面上で繰り広げられるハイブリッドな世界は、爆発的なユーモアを供え、独特な凄みと強引な説得力とで迫ってきます!

柳ヨシカズ "SIMPLE SHAPE"

不忍画廊

東京都中央区八重洲1-5-3 不二ビル1F

2/4(水)~2/14(土)日休

11:00~18:00(土:~17:00)

柳ヨシカズ090204.jpg

さまざまなものをシンメトリーに描くさん柳ヨシカズの個展です。

その制作のコンセプトはストイックなまでに守られていますが、その雰囲気に奥行きが感じられ、これまでの丸い雰囲気に加え、鋭さや危うさも加味されているように思えます。

伊藤亜矢美 モノタイプ展

不忍画廊

東京都中央区八重洲1-5-3 不二ビル1F

2/4(水)~2/14(土)日休

11:00~18:00(土:~17:00)

伊藤亜矢美090204.jpg

かわいいんです、和紙の上にころころと乗っかる様々な要素、そのリズミカルな感じと木版画特有の朴訥とした風合いが、豊かな味わいと心地よさをもたらしてくれます。

《2/7》

AGC eyes 2:太田三郎を中心に -日常の、アート- 太田三郎、林勇気、寺田就子、寄神くり

ARTCOURT Gallery

大阪府大阪市北区天満橋1-8-5 OAPアートコート1F

1/13(火)~2/14(土)日月祝休

11:00~19:00(土:~17:00)

4名のアーティストのクリエイションがパッケージされた展覧会です。

ずっと観たいと思っていた、寺田就子さんの作品に接することができて嬉しい限り。

台の上に乗るちいさなインスタレーション。水平に置かれた鏡面が、不思議な世界を爽やかに灯らせます。

絶妙のコントロールがなされていて、映り込むちいさな景色の軽やかな驚きがなんとも心地よく。

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遊び心と、そこにピンと張る緊張感とがシャープな世界観をもたらしています。

寺田就子03.JPG

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床に置かれたバケツ、その上に機影。

斜めに眺めると白い機影が浮かぶだけなのですが、真上から眺めてみると、下に青い影が映っています。

ある角度から観ないと分からない、その行為を促す感じがまた面白いです。

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寄神くりさんの刺繍作品。

オーソドックスな刺繍の風合い、さまざまなモチーフを織り込みつつ、パターンのシンプルさ、シンメトリーで色を変えていく巧みさなどが、不思議な味わいを醸し出しています。

もっといろいろと観てみたいです。

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岩田小龍 -GET WHAT YOU NEED-

帝塚山画廊

大阪府大阪市住吉区帝塚山東1-3-34 PLOTビル1・2F

2/6(金)~2/27(金)日月休

11:00~19:00

岩田小龍090206.jpg

かっこいい!

アメリカナイズドされた世界観、ファットな雰囲気が痛快さをもたらしています。

アメリカンコミックからの引用の大胆さ、ローリングストーンンズへのリスペクトなど、ストレートな表現を躊躇なく織り込みながら、さらに支持体の凹凸感のアーシーな感触も加わって、アッパーな雰囲気がもたらされているように感じられます。

大竹竜太新作個展

TARO NASU OSAKA

大阪府大阪市中央区博労町1-8-13-1F

1/16(金)~3/14(土)木金土のみ

12:00~19:00

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六本木での個展や東京と大阪で開催されたグループショーで、未来的な世界観が展開されたペインティングが印象に残っている大竹さん、至近のグループショーでの比較的小さな画面で展開されていたコンセプトが、大作からさまざまなサイズで繰り広げられています。

ある共有する近未来の世界観がポッブな雰囲気を放っているように感じられます。

藤田しず香 個展

浜崎健立現代美術館

大阪府大阪市中央区南船場4-11-13 RED BLDG.

2/1(日)~2/28(土)第1~第3水休

12:00~20:00

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コンナカンジ----(@∀@)ーーーー!!!!!

赤い空間を埋め尽くす、目の大きな女の子たち。ぎゅうぎゅう詰めのバイタリティが画面にそのままぶつけられたかのような世界、やりすぎな雰囲気も痛快です!

みとま文野展「PARALLEL CHAOS」

THE THIRD GALLERY AYA

大阪府大阪市西区江戸堀1-8-24 若狭ビル2F

2/3(火)~2/28(土)日月休

12:00~19:00(土:~17:00)

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ドローイング、写真、CGなどをパソコン上でコラージュし、フューチャリスティックな世界がさまざまなリズムとともに繰り広げられています。

透明アクリルのパネルにマウントされ、そのシャープさに拍車がかけられているように感じられるのも面白いです。

Ai Sasaki "GOLDEN"

graf media gm

大阪府大阪市北区中之島4-1-18

12/20(土)~2/8(日)月(祝日の場合開廊、翌火曜休) ・12/29~1/5休

12:00~20:00

佐々木愛081220.jpg

これまで滞在された国内外の景色を描いたドローイングやペインティングが、あのもっとも個展的な空間の各所に展示され、さまざまな空気感が演出されていました。

いろんな臨場感がキュートに紡ぎ出しされていて、不思議な心地よさに満たされていたのが印象に残ります。

冬景'09 小畑公未子 坂本優子 下出和美 杉浦美江 谷澤紗和子 横谷奈歩

MATSUO MEGUMI+VOICE GALLERY pfs+w

京都府京都市南区東九条西岩本町10 オーシャンプリントビル/OAC1F

2/1(日)~2/21(土)月休

12:00~19:00

冬景'09 090201.jpg

6名の女性アーティストの作品が並びます。

まず嬉しいのが下出和美さんの作品。

全体的にダークな色調ながら、フレッシュな雰囲気が溢れます!

絵の具の質感、画面から筆が離れる感じも残っていたりして、その辺りの臨場感もいとおしく感じられます。

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昨年の横浜の住宅展示場でのアートフェアに出品された大作が再登場しています。

あのベッドルームの間接照明のなかで拝見したときの雰囲気とはまた異なり、ぱっと明るい光のなかで、新鮮なインパクトが伝わってきます。

下出和美002.JPG

(アーティストの名前をしっかり確認していないのに帰郷してから気付いたため、もし間違っていたらごめんなさい、おそらく大丈夫かと思うのですが・・・)横谷奈歩さんの写真がすごくいい!

自作されたらしい廃墟のジオラマを撮影し、そこに静かに横たわる澄んだ透明感を伴ったダークネス。深いインパクトがもたらされます。

昨年の大阪のホテルでのインスタレーションとも通じる、危うさを抱えるアバンギャルドさ、もっといろんな展開を通じて味わいたいです。

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横谷奈歩02.JPG

内海聖史「十方視野」

ラディウム-レントゲンヴェルケ

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17

1/10(土)~2/14(土)日月祝休

11:00~19:00

Satoshi Uchiumi "The Unrestricted Field of View"

Radi-um von Roentgenwerke AG

2-5-17,Nihonbash-bakurocho,Chuo-ku,Tokyo

1/10(Sat)-2/14(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

組み上げられていく、鑑賞者の想像力。

内海聖史さんのラディウム-レントゲンヴェルケでの個展です。

静岡県立美術館での「風景ルルル」で発表された「十方視野」の再構築。

溢れる色彩があらゆる方向から迫り、美術館での展示と比較してさらに閉じた空間での展開に圧倒されます。

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ずっとこういう空間を体感したかったんだ、という思いを再認識した次第です。

内海さんの繰り出すリズムに、グルーブに包囲される感覚。シャープな刺激や問いかけが溢れ、視覚だけでは追いつかない世界が広がっています。

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今回の作品のもっとも大きな特殊性は、ここに展示される100近い個々の作品(と敢えて表現します)すべてが異なるサイズであることのように思われます。

すべて同じサイズで展開された「三千世界」のアプローチと劇的に異なる、正反対の今回の構成。3段ずつ揃えて、しかもショーケースに配置した静岡での展示からも変化し、既に複雑な構造のラディウムの空間に各画面がランダムに配置されることで、さらに複雑な臨場感が創出されているように思えます。

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各画面で繰り広げられる実験も興味深いです。

これまではほぼ、どの作品も「何色の」という冠を付けられるほどに、それぞれに色調の統一感があったのですが、今回展示されている一部には敢えて色彩の衝突をもたらしている構成のものもあり、その展開は実に新鮮で、かつ興味深いです。

キャンバスの地の色を背景としたものがスタンダードだとすると、相当にアクロバティックな構成のものも多く存在していて、想像がいっそう深まります。

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内海聖史 07.JPG

この空間を体感して、画面の数だけの「色面の層」が存在しているようなイメージがさらに強く思い浮かびます。

壁面から浮く画面の高さがそれぞれ異なることで、画面ごとの色彩の広がりが脳内でさらに拡張し、画面の数だけの「層」が実はそこにあるかもしれない、というとめどない想像が膨らんでいきます。

たとえ小さな画面であっても、このイメージのなかではそれは、その部分がトリミングされているに過ぎず、層考えるとどれだけの情報が潜んでいるのかと、気が遠くなっていきます。。。

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この想像の飛躍をもたらすのがやはり過去の大作群のように思えます。

例えば資生堂ギャラリーで発表されたあの青の世界であったり、水戸の床面に広がる色彩であったり、既にさまざまなシチュエーションを経験していることが鑑賞者としての蓄積となり、内海さんの作品を拝見するたびに想像の扉が開かれ、壮大なイメージに広がりが一気にもたらされるような気がします。

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無数のバリエーションが脳裏に浮かんでくるんです。

たとえば、一つの画面が昨年の東京都現代美術館に出品された作品の規模を持ちうるのだと想像したら、それだけで既にイマジネーションのキャパシティをオーバーしてしまいます。

それでもさらに脳内で組み替え、変換がなされていきます。

今回の展示においても、一部の作品の位置が変えられるだけでもしかしたら空間の印象が劇的に変化するかもしれないですし、ここにある画面の色彩がすべてひとつの色調で統一されたら、などなど...。

内海さんの描く世界がきわめてシンプルな手法で制作されていること、ストイックなほどにひとつの手法で展開されることが、イメージの拡張を簡単に促してくれます。

どれだけ余裕があっても、時間が足りない、という焦燥感も湧いてくるんです。

無数のミニマムな面白さも充満していて、それすべての把握が無理であることはやはり口惜しく思えてきます。

尽きない好奇心もどんどんと膨張していきます。

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空間の面白さの創出に加え、内海さんが「画家」であることの強い主張も感じられるのも嬉しいです。

自らが描くことへの拘りが、この空間の密度をより濃密なものにしているように感じられます。この世界のオリジネイターとしてだけでなく、まさにワンアンドオンリーであることへの自負がそこに強固に存在していて、その感触へのリスペクトも毎度ながらに浮かんできます。

いったいどれだけの創造性が秘められているのだろう、と途方もない思いに駆られると同時に、その想像力に観る側もしっかりと追いついていかなければいけない、続けて拝見していると自然と積み上がっていく要素は大いにあるのですが、さらにそういう思いもあらためて強くした次第です。

田中秀和「camouflage」

児玉画廊|東京

東京都港区白金3-1-15-1F

1/10(土)~2/14(土)日月祝休

11:00~19:00

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Hidekazu Tanaka "camouflage"

Kodama Gallery Tokyo

3-1-15-1F,Shirokane,Minato-ku,Tokyo

1/10(Sat)-2/14(Sat) closed on sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

アンダーグラウンドな世界観を纏い、ソリッドに響き渡る咆哮。

児玉画廊|東京での田中秀和さんの個展です。

とにかく昨年、移転前の大阪の児玉画廊で開催された個展の素晴らしさが強烈に印象に残っているのですが、そのときの作品の剥落が醸し出す鈍いクールネスから一転し、今回は前回の個展後に繰り広げられたウォールペインティングの、あのおおらかな衝動が反映されたようなストロークがキャンバス上で繰り広げられ、前回の内側へと入り込んでいくようなミニマムな世界観から、壮大なスケール感をはらんだ抽象世界が展開されています。

前回の展開にもっとも近い質感の作品、カウンター奥の壁面に展示されています。

このざっくりとした粗さがかっこいいんです。

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まるで焦燥に煽られているかのような、スピード感溢れるストロークが画面全面を覆います。

脳裏に現れるイマジネーションより先に身体を反応させたかのような、ある種サディスティックな質感の行為の蓄積が痕跡として画面に現れ、膨張する世界が創出されています。

全体に広がる紫、振り下ろされ、反転し、ダイナミックに弧を描くストローク。そうやって生み出される絵の具の濃淡、そして情報の密度の複雑なコントラストがさらなる壮大さをもたらしているように感じられます。

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画面に現れるうねりが、眺めていてこちら側の意識を引き込んでいきます。

ストロークの動線を追うごとに、その深みにはまり込んでいくかのような。。。

比較的明るい色彩の作品が多いなか、ひときわダークな色調が印象的なこちらの作品。

無彩色が持つ硬質な感触と、大きなストロークのために絵の具が伸ばされたことで伝わる「層」としての「薄さ」とがギャップを生み出し、ダークさとおおおらかさとが混在する不思議な世界観が引き出されています。

スモッグのような風合いの奥にさまざまな色彩が潜んでいるような感触も興味深いです。

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そして、濃密な色彩のインパクトが鮮烈な作品も。

圧倒的な重厚感で迫ってきます。

随所に施される異なる色のスクラッチが奇妙なリズムを紡ぎ出し、グラフィティ的な遊び心も創出。さらに艶やかさが透明感へとイメージのなかで転化され、ひときわブリリアントなシチュエーションが展開されています。

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それぞれの作品で繰り出される色彩のフレッシュさは、弾けるようにして視界に飛び込んできます。

各作品の画面全体が放つ鮮烈なヴィヴィッドな色彩感に広がり続けるイメージを感じ、そこから至近で眺めていってミニマムな面白みがどんどん見つかっていくんです。

全体に凝縮される抽象的な世界観のなかに時折姿を見せる矩形波のような筆跡、そのノイズ感も堪らないんです。

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鏡面に描かれた作品も。

さらにアバンギャルドな匂いが鼻を突いてくるかのような、「もの」としてのリアルな臨場感が満ちています。

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僕が田中さんの作品をしっかりと認識しながら拝見したのが前回の大阪の個展で、以来、神戸と京都でのウォールペインティングを経て今回の東京での個展、といった具合に、かなり短いタームで劇的に変化するクリエイティビティを目の当たりにしているのですが、その流れで拝見してきて、ひとつひとつの「経験」がしっかり蓄積されて、さらに次の新鮮な展開へと結実していっているような印象を覚えます。

それらは連続しているようでもあり、経験を前提として敢えて異なるアプローチに挑んでみたりと、ひとつのクリエイティビティが紡ぎ続けていく時間軸への侵入角度はさまざまなのですが、そこに感覚的な理由はしっかりと存在しているように感じられて頼もしいです。

その時間軸に貫通しているアンダーグラウンドな空気、その中で繰り広げられるシャープでソリッドな世界観。そこに大いに惹かれているような気がします。

今後の展開もすごく楽しみです!

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前原冬樹展 "wooden sculpture"

YOKOI FINE ART

東京都港区東麻布1-4-3 木内第二ビル6F

1/17(土)~2/14(土)日祝休

11:00~19:00

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Fuyuki Maehara "wooden sculpture"

YOKOI FINE ART

1-4-3-6F,Higashi-azabu,Minato-ku,Tokyo

1/17(Sat)-2/14(Sat) closed on Sunday and natinoal holiday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

ひとつの木から彫り出される奇跡。

YOKOI FINE ARTでの前原冬樹さんの個展です。

信じられない光景が静かに現れます。

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壁に接する1枚の錆び付いた金属片。

本来あるべき4本のボルトのうち、左下のひとつは外れてしまっています。

そこに1匹の小さな蟹。

あたかも長い年月を経て干涸びてしまった蟹の屍骸が金属片に乗ってともに風化しているかのような、深い時間のイメージをもたらしてくれます。

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造形として素晴らしく味わい深い、広い壁面にアクセントをもたらすこの作品。

これが一つの木から彫り出されているとは...深いため息が思わず。。。

展示されている作品は、1点を除いてすべて同様に、ひとつの木から制作されているとのこと。

そう思っていくら眺めても、頭では理解しているつもりでも、前原さんの作品を目にすると、究極的に追い求められるリアリティのあまりの精度に、それが木彫の作品であることさえ疑わしくなってくるほど。。。思わず涙が出てしまいそうなほどの、静かな感動が包み込んできます。

タイルの上に置かれる、枝に付いた柿。

朽ちた枝の様子、タイルに入るひび、微妙な質感が緻密に再現され、その佇まいの深遠さにそこに流れる時間を忘れて見入ってしまいます。。。

この「枝」も彫っているのかと思うと・・・言葉を失います。

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使い込まれたカミソリ、その刃の部分は錆び付いて。

いつからそこにあるのだろう、と、この作品の世界を通り過ぎていった時間の長さに圧倒されるような思いも過ります。

たったこれだけ(木彫作品としては「だけ」ということはありえない存在感なのです...)で、そこに横たわる時代性に感じ入った次第です。

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いちばん奥の壁面に刺さる、古びたゼンマイのつまみ。

このわずかな存在が、空間を深く支配します。

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これが一木。。。

壁面に映り込む影さえも神々しい深みを醸し出すこの作品、つまみの穴から下がるチェーンも彫られているわけで...。

ちょっとした空気の震えで、揺れるんです。

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どれだけ眺めていても、言葉にならない感動が溢れてきます。

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冒頭のほうで「1点を除いて」と書きましたが、その1点は前原さんをして「ふたつと作れない」という作品。

ちいさな蟹の作品なのですが、脚だけでなく、ハサミ、そして目に至るまで、本物の蟹の可動部分がすべて動くように再現されています。

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このような作品は、もっと硬質な素材で制作されることはあるそうなのですが、木で作るとなると、乾燥などによる僅かな狂いといった理由から相当に難儀だそうで、こちらの木彫の蟹はまさに奇跡の造形とのこと。

手のひらに乗るほどの大きさのかわいらしいその佇まいに、どれだけの技術と時間とが注ぎ込まれたのだろう...。

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前原さんは、昨年長野のおぶせミュージアムで個展を開催されていて、(行ったことがあるので敢えて言いますが)あんな交通の便のよろしくない場所にも関わらず相当な観客動員を記録したとのこと。

今回出品されている作品を拝見すると、その理由もよくわかります、今更ながら行けなかったことを後悔しています・・・。

木彫で超絶的にリアルな造形を表現するアーティストといえば須田悦弘さんを思い出しますが、須田さんの作品のリアルさが放つ鋭さとはまたひと味違う、落ち着いた深遠な静謐を伴う緊張感。溢れる滋味をぜひ体感してほしいです。

束芋「ハウス」

ギャラリー小柳

東京都中央区銀座1-7-5 小柳ビル8階

12/20(土)~1/31(土)日月祝・12/28~1/7休

11:00~19:00

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Tabaimo "House"

Gallery Koyanagi

1-7-5-8F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

12/20(Sat)-1/31(Sat) closed on Sunday,Monday,national holiday and 12/28-1/7

11:00-19:00

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ギャラリー小柳での束芋さんの個展です。

エレベーターのドアが開き、ギャラリーの空間と接する刹那、すっと感性に染み入るように、展示タイトルとその下部に僅かに描かれた「落書き」の静かなユーモアが目に飛び込んできます。そして、凛として、同時に澱んだ気配が包み込んでくるかのような印象を覚えます。

暗めに設定された照明、そこに展示されるドローイングは、大袈裟なほどに重厚な額にセットされ、ドローイングとしての「軽さ」と額の「仰仰しさ」のアンバランスな感じ、そして逆に、そういう額に見合うだけのドローイングの説得力とその力を加速させる額の強さが、なんともいえない不思議な雰囲気を放っているように思えます。

1点ずつ、対峙していきます。じっくりと。。。

・・・美しいのです。

文句なしに美しいのです。

奥の空間て上映されているアニメーションのさまざまなハイライトを再構築し凝縮させたかのような、相当にシュールでキッチュな内容。ところどころにグロテスクな感触も潜んでいるように感じられるほどですが、しかしそれらは、敢えて表現すれば「楷書」のストローク、思い浮かぶイメージが迷いを感じさせないスマートな筆致によってその輪郭が捉えられているように思えるんです。

究極のスタンダードな筆致。

そういう言葉が思い浮かび、だからこその素晴らしさをあらためて実感します。

いわゆる「味」で勝負していない、そういう印象です。無論味わい深い線の作品も大好きで、例えばユーモラスな表情が溢れる山口晃さんの線も、太さの緩急が異様な妖しさを醸し出す町田久美さんの線も言うまでもなくそれぞれに素晴らしいです、しかし束芋さんの線は比較して実に淡白で、その淡白さ、味気なさ・・・と表現してしまった刹那、そのひとつひとつのストロークの鋭さが神々しい深みを伴って脳裏に蘇ってくるのですが・・・によって世界観の「純度」が極限まで高められ、それによって強烈さや危うさ、とてつもなく冷静な狂気が際立たってて提示されているのでは...とも思えてきます。

シンプルに、ただその「こと」だけを伝えるドローイングの冷静さは、鮹の足や血管、内蔵などのモチーフが持つ有機の極みとでも呼びたくなるようなグロテスクな感触を抑制し、落ち着き払って、単なる平滑な紙に過不足のない線の密度とストレートな空間性とでとてつもない深みをもたらしながら、こちらにさまざまなイメージを問いかけてきます。

1点だけ、大きな作品が展示されていて、これはあ映像作品の入り口すぐの壁面にあるのですが、今度は束芋さんの「色」が分厚く強烈な世界観を放ち、静かに圧倒してきます。

アクロバティックな支持体の用い方で、映像作品と直結するような内容がよりダイレクトに描かれ、ただただ冷静で抑制された雰囲気を滲ませるドローイングから一転、鈍い重厚感がどろりと画面から溢れているような作品で、およそ実物大に再現されていることもあり、あらためて思い返しいてみて、映像への導入としても効いていたように感じられた次第です。

映像作品、広い壁面いっぱいに映し出され、相当な力で迫ります。

ゴポゴポという効果音などが臨場感を高め、壮大に、しかしかなり身につまされるような展開が心を深く抉ってきます。

かなりシュールな展開ながら、そのストーリー性は妙に納得できるものだったりするのもたいへん興味深く感じられます。

今回の束芋さんの映像作品を拝見し、「痒み」という辛さの根源を取り除きたいという、常につきまとう妄想を爆発させているような感触をいっそう強く感じた次第。

今年のはじめに歯茎の外科手術を行い、歯の根元の膿をこそぎ出すという治療を行い、まさに身体の良くない部分を取り除く体験をしたのですが、むしろ、寝違えて首筋を痛めたとき、皮膚から手を突っ込んで捩じれた筋をグキッと直せたらどれだけ気持ちがいいことか、と思う感覚のほうに近いような。。。

画面に登場するひとつひとつのアイテムや要素、ドールハウスがあり、そこに置かれていくさまざまな家具や日常品、唐突に登場する鮹、暴力的なクライマックス、エンディングから冒頭へと戻ってまた繰り返し、それぞれが何かを表現しているように思えるのも、この物語性に深みを感じさせてくれます。

ファンタジーへの没頭も許さない、さらにはそれを壊してしまうほどの体内のノイズの生々しさは強烈で、変わらぬ束芋さんの世界観が投入されています。

ただ、もしかしたらこの作品が2007年ヴェネツィア·ビエンナーレで発表されたものであり、そこでの発表を前提に制作されたからかもしれないのですが、やや具体的なメッセージに傾き過ぎているように感じられます。で、僕としてはギニョッてる束芋さんの作品が好きなこともあって、この作品の僕的ハイライトは、

タコ!!!Σ( ̄口 ̄;)

タコキタ----!!!!!(≧∇≦)ノ゛

タコがギニョッてキタ----!!!!!(≧∇≦)ノ゛

・・・・・

そこからギニョッてくるか!Σ( ̄口 ̄;)

ていうかそのナベ四次元ポケットかよ!Σ( ̄口 ̄;)

と、こんな塩梅でして。

いや、いい!

タコ、いい!

映像とドローイングとで、強烈な束芋さんの世界観がどっしりと提示されていたような印象です。

狂気の奥にはシリアスさとともにユーモアも潜んでいて、束芋さんの作品を見たときにしか感じ得ない、言葉に表現できない感情が湧いてきます。

今後の展開もすごく楽しみです。たっぷりとギニョる世界観が提示されてたりしたら堪らないなぁ....。

山田郁予「いいわけ」

高橋コレクション(白金)

東京都港区白金3-1-15-2F

1/10(土)~2/7(土)金土のみ・祝休

11:00~19:00

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Ikuyo Yamada "Excuse"

Takahashi Collection Shirogane

3-1-15-2F,Shirokane,Minato-ku,Tokyo

1/10(Sat)-2/7(Sat) Friday and Sunday only,closed on national holiday

11:00-19:00

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いったい何を思いながら、描いているのだろう....。

何を思い浮かべながら...。

高橋コレクション(白金)での山田郁予さんの個展です。

山田さんの作品は、昨年の武蔵野美術大学の学内展での修了制作を拝見し、そのときの「面白いか否か」という選別を超えたところで強いインパクトを受け、そして昨年ミヅマアクションで開催された「眼差しと好奇心」では1点のみのでありながらも充分に独特な雰囲気が奏でられいて、ますます深い印象を持った次第で。

展示されている作品は4点。

学生の頃に制作された大作がとてつもないインパクトを放っていて、そこに充満する雰囲気に吸い込まれるように、その世界観に意識が入っていきます。

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包まれる視界、包まれる意識。。。

そこにあるストロークのひとつひとつに繊細な衝動が詰まっているような印象で、その行為の積み上げがいつの間にか症状のシルエットを紡ぎ出していた、そんな感触が伝わってきます。

そして、いろんなイメージが渦巻きます。

とめどなく溢れるイメージを天真爛漫に表したようにも、逆に内側へと入り込んでいってしまう鬱々とした感情を紡いでいったようにも...いずれにしても、それぞれの方向へも振り切ってしまった衝動によって・・・もちろんこのサイズなので相当な時間の集積ではあるはずですが・・・表面に現された繊細な狂気、そういった印象が湧いてきます。

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入り口正面に展示された作品、ふたりの女性の淡いシルエットが浮かぶようにして、迫ってきます。

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くしゃっとシワや折れが寄る紙、その余白に現れる空間。ずっと遠くへと続いているかのような、不思議な臨場感が満ちています。紙の「もの」としての質感も、刹那な感触、わずかの力で破られてしまう儚さ、脆さが、その奥行きに満ちる際どい危うさに臨場感をもたらしているように感じられます。

そこに浮かぶふたつのシルエットは、まさにわずかの加減でその瞬間に消えてしまうかもしれない、そんな切ない薄い影の風合いを放ち、朧げな世界観を醸し出しています。

その影を導き出しているストロークは、その淡さ、脆さが裏返って強い存在感をもたらしているようにも思えます。次の瞬間にはもしかしたらいなくなっているかもしれない、そういうイメージが切迫した静謐を感じさせてくれます。

そこかしこにあるノイズも確実に緊張感を引き立てています。

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金色で綴られた、女性のシルエット。

その抽象的な感触が、一瞬そこに女性が描かれていることを気付かせず、ただ繊細な色が浮かんでいるかのように感じられます。だんだんと、さらに繊細な雰囲気を滲ませながら、女性の存在が浮かび上がってくるんです。

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言葉にならない小説(「物語」というよりも「小説」という感じがします)が綴られているような印象も受けます。

すごく情動的で、でもそれと同じくらいに繊細で。。。

幽玄な雰囲気を漂わせながら、ある瞬間にさまざまな方向から過る心の動きがそこに留められたかのような風合いが広がって、それが瞬間であってもひとつの言葉(ではない「何か」でも・・・)で言い表せない世界観が伝わってきます。

大きな作品にまぎれて新しい小品も1点展示されているのですが、それでさえも思い浮かぶイメージは分厚く、饒舌に語りかけてくるような感じなんです。

食べて寝て、人と話をする山田さんがいて、もうひとり、違う世界にもいるのかな...そういうイメージも思い浮かんできます。

そのふたつの世界をひとつの心が行き交って、向こう側の世界をこちら側へと導いてくれているような...。

これからどんな世界が伝えられていくかを思うと、深い興味が湧いてきます。

松原正武展「未完成」

EMON PHOTO GALLERY

東京都港区南麻布5-11-12 TOGO Bldg.,B1

1/14(水)~2/5(金)日祝休

11:00~19:00(土:~18:00)

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Masatake Matsubara "Unfinished"

EMON PHOTO GALLERY

5-11-12-B1,Minami-azabu,Minato-ku,Tokyo

1/14(Wed)-2/5(Fri) closed on Sunday and national holiday

11:00-19:00(Sat:-18:00)

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鋭く、深く、魅せる光。さまざまな表情。

EMON PHOTO GALLERYでの松原正武さんの個展です。

アーバンさと落ち着いた感触が絶妙のバランスで備わる空間、そこにさまざまなサイズのモノクロームの写真が配され、深い静謐が緩やかに漂います。

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さまざまなかたちで、光の表情が捉えられています。

そして、それらが奏でるリズムのシャープさ。モノクロームであることがソリッドな触感を加速させ、より無機的なグルーブを放つと同時に、単調なリズムに落とし込まれることのない有機的なかたちの連続が、実にスリリングな雰囲気をもたらしているように感じられます。

抽象的な情景に潜む奥行きの独特な深さも印象的で、イマジネーションに複雑な刺激をもたらしてくれるんです。

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並べて展示される作品群。そのバリエーションの豊かさにもおおいに惹かれます。

一列に配される作品は額も含めてサイズが統一され、それがそれぞれの画面の中で繰り広げられているリズムの面白さをいっそう引き立てています。

光が当たって美しい弧を導き出す水滴の群れ、さらにミニマムに密集する円形の美しすぎる混沌、オーロラのようなおおらかな歪み、それぞれが独創的な静謐を奏でているように感じられます。

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おおきくプリントされた作品の迫力も強く訴えかけてきます。

黒の深さが放つ鋭くて分厚い静謐、そこから凄まじい勢いで放たれるかのように、無数の光の軌跡が画面に屹立しています。

画面から伝わるスピード感も圧倒的、さらに奥行きの深さにも引き込まれます。

また、至近で眺めたときに感じるプリントの粗さがこの作品の世界観の際どさを加速させ、さらに深く一色が入り込んでいきます。

ある瞬間のスリルが凝縮されたかのような、ホットさとクールさとが極限で交錯しているような印象です。

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大胆な空間性をもつ作品もかっこいいんです。

左側に大きく広がる黒。その色としての質感と深みが、光の立体感を際立たせているように感じられます。

光の表情の過剰に複雑なパルスとまったくの凪の様相を呈する黒の闇。この共存がさらに深いイメージの世界へと導いてくれます。

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このミニマムな世界観。その画面に現れない部分、裏側に潜むストイックさや鋭敏な視覚など、この情景を創出するための感性にも感嘆した次第です。

松原さんは他にもユニークなシリーズ作品を制作されていて、今回の個展にも奥のカウンター付近に展示された病院食のあまりにも無機的な表情が放つ圧倒的な世界観や、アブストラクトな情景を捉えた各シリーズなど、それぞれに見応えがあって、また今後の展開も楽しみです。

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アンテナ「トコ世ノシロウツシ」

TSCA KASHIWA

千葉県柏市若葉町3-3

1/10(土)~2/28(土)日月祝休

12:00~19:00

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Antenna "Tokoyo no Shiro-Utsushi"

TSCA Kashiwa

3-3,Wakaba-chi,Kashiwa-shi,Chiba-ken

1/10(Sat)-2/28(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

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生涯何度目かの「ジャッピー詣で」。

これが、けっこうありがたい気持ちに(笑)。

TSCA KASHIWAでのアンテナの展覧会です。

TSCAに到着してすぐにドーン!

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でかくないか?!Σ( ̄口 ̄;)

ちょっとありえないくらいでかくないか?!Σ( ̄口 ̄;)

いきなり現れるその圧倒的な光景にしばし呆然。

よくもまあ、作りも作ったり、もとい奉りも奉ったり。

吹き抜けのたっぷりとした空間を充分に活かした荘厳さとチープさとが混在してアッパーな痛快さを充満させたインスタレーション、いやはや、ありがたいことこの上なし。

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そびえるすべてのキューブにはびっしりとジャッピーの世界の通貨紙幣が貼られ、その上にはなぜか金塗りのさまざまなオブジェが鎮座。

謎です、謎めきが高まります、もといワケなど最初から分からないのですけど、しかしそのワケの分からない感じを蹂躙する迫力と説得力は今回も健在、圧倒的な世界観で迫ります。

そしてちゃっかりジャッピーの金塗りオブジェも。

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続く2階の最初のコーナーでは、吊るされたオブジェ群が。

木組みに暗い銅色の飾りが四方に向き、重厚な雰囲気を醸し出します。

しかし、その飾りもまたいろんな、それも身近なアイテムを組み合わせて形成されているものだったり。

なんだかすごい、分からないけどすごい、やり切った達成感がバーン!って感じで放たれているように感じられてすごいんです!

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そしてこの空間の中央に浮かぶ、巨大な木組みの祠。

さらに複雑に、さらに複雑な飾りが供えられています。

飾りの混沌とした感触と、木組みの清廉とした雰囲気のギャップも面白みを加速させています。

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細長い空間、こちらには平面作品が。

現代的な街並、都市の風景が俯瞰で、加えて線描で描かれ、構図のシャープさと、支持体のここで再び登場「ヤマト紙幣」の色味が不思議な雰囲気を生み出しています。

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支持体の奥に潜むヤマト紙幣の存在が、この世界を裏で支配している、そういうシュールなメッセージを伝えているようにも思えてきます。

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向かいの壁面には小品が。

妖し気な風貌の、異界の生物のようなモチーフ、そのエキゾチックな感触が独特のかっこよさを醸し出しています。

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さらに先へ、最後のコーナーへと。

こちらにも平面作品がずらりと。

古めかしい画風と素材で描かれるジャッピー像。

この緻密さに一気に引き込まれます。

滑らかに、おおらかに弧を描く、ケレン味ない稜線。ほんのりと淡くていねいに施される彩色。細密に描き上げられる塔。

構図の大胆かつどっしりとした構えの中にさまざまなハイライトが織り込まれています。

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もう1点も同様に見応え充分。

うねる波の緻密な表現、純日本のクラシカルな画風を大胆に引用し、そこにまた別の意味で日本的なアイコンがふんだんに挿入されたジャッピーがお馴染みの両手広げのポーズ、この世界観がこれほどの説得力で再現されているのがどうしようもなく痛快で。表装もその重厚感をさらに際立たせます。

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奥の壁面には軸の作品。

洗練された画風、これは絵師の小鐡裕子さんによるものなのですが、織り込まれる絵の細部に至る表現の深さ、緻密さ、繊細さは深遠な説得力をもたらします。

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そして、横長の絵巻的な作品も。

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さまざまな場面が織り込まれます。

その時代でどれだけジャッピーが崇め奉られ、民衆のなかに入り込んでいたかがよくわかり、その文化が作ったもの、風俗的なものなどがていねいに伝えられています。

・・・ておい。

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面白いです。

やはり面白いです。

この宗教をパロディとして扱っちゃう痛快さは堪らないです!

現存する宗教を扱わない、あくまで想像上のものであることに彼らのデリカシーを強く感じ、その姿勢をおおいにリスペクトしたいと思う次第。

加えて、ただ宗教をパロディとして扱うところに留まらず、それにしっかりとバックボーンを伴わせるだけの精度とボリュームで、痛快な説得力をもたらしているところも、アートを楽しみ側として嬉しい限りです。パロディとして徹底されているからこそこちらも遠慮なく入り込めて、しかし精度は徹底して追求されているので「もしかしたら・・・」と思わせちゃうあたりもまた痛快だったりするんです。

前回の展覧会では「ジャッピー」の歴史的な要素、背景が力強く、臨場感たっぷりに提示されていましたが、今回は身近な感じが演出されている印象を受けます。

さて次はどんな展開を見せてくれるのか、楽しみです!加えて、メンバー個々のポテンシャルも相当に高いはずで、それぞれのソロでの展開も興味津々です!

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《1/24》

G5展 泉東臣 大久保智睦 大沢拓也 川又聡 三枝淳

彩鳳堂画廊

東京都中央区銀座6-7-7 第3岩月ビル3F

1/20(火)~2/7(土)

10:00~18:00(土日:~18:00)

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5名の芸大日本画出身のアーティストによるグループ展。

落ち着いた空間に、重厚な作品が展示され、見応えのある空間が創出されています。

まず、入り口正面に構える川又聡さんの作品に圧倒されます。

墨、胡粉、箔などでモノクロームで展開される狼犬の群れ。ひとつひとつの筆致の鋭さ、広がる闇を現す黒の深さなど、ぐんと引き込む力強さを感じます。

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大久保智睦さんの4点組の大作も圧倒してきます。

燃える炎を連想させ、同時に幻想と現実とを貫くような独創的な赤、そのなかに鳥の姿が緻密に描き込まれ、混沌としたダイナミックな世界観をもたらしています。

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泉東臣さんの屏風の作品。

房のひとつひとつがていねいに再現された藤の花。渋い色調の背景に、濃淡で奥行き感を

紡ぐ葉、そこに灯る藤の花の白。落ち着いた静けさと、神々しさが伝わってきます。

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三枝淳さんの作品は、相変わらずのアバンギャルドな世界が構築されています。

鮮やかな背景の色彩、そこに登場する超現実的風景。危うい雰囲気が充満しているように感じられます。

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大沢拓也さんの作品、漆を用いた相当に重厚な作品。沈み込む深い艶を放つ黒、そこに大沢さんの作品の真骨頂でもある緻密で硬質な風景が描き込まれています。

シャープさは無論そのままにの精度で、しかも漆という素材の質感が強いものを用いて描かれることで、独特な力強さがもたらされているように感じられます。

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他、小品もそれぞれ出品されていて、現在の日本画家のもつポテンシャルを体感できる機会としても素晴らしいように感じられます。

松下雅寿 個展

@銀座スルガ台画廊

東京都中央区銀座6-5-8 トップビル2F

1/19(月)~1/24(土)

11:00~19:00(最終日:~17:30)

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先に開催された紫鴻画廊での2人展も素晴らしかった松下雅寿さんの、今度は個展。

松下さんらしい、暗く重い情景を大胆に、かつ緻密な筆致で描かれた大作がずらりと並び、壮観のひとことに尽きます。

冬の風の音が聞こえてくるかのような臨場感が迫り、画面からじわりと放たれる静寂感に思わず心が引き止められ、立ち尽くしてしまうような感じがします。

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もう1点はあらたな展開がなされていて大変興味深く感じられた次第で。

岩絵の具を用いず、墨などのシンプルな素材のみで描かれる風景。水平線の凛とした表情、両脇にそびえる崖の重厚な存在感、何より鮮やかに、渋く染まる空と海の景色の独特の落ち着き。これまでの力強さとはまた異なる深みが強く印象に残ります。

今後のこちらのスタイルでの展開も楽しみです。

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名雪園代 漆展

銀座煉瓦画廊

東京都中央区銀座4-13-18 医療ビル2F

1/20(火)~1/27(火)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

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一昨年の個展も印象に残っている、漆芸でリズミカルな抽象世界を築く名雪さんの個展です。

今回は素材を変え、金属の硬質なかたちと漆の深い質感とにより、さらに無機的な風合いが増し、それがこの作品が奏でる空間性に面白み、深みをもたらしているように感じられます。

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もうひとつのスタイルの作品も興味深いです。

「田んぼの刈り入れ後の轍」からインスパイアされて制作された作品、画面を這う動線が緩やかな時間の流れを連想させ、その画面に乗る立体物がアクセントとなって、不思議な落ち着きをもつ抽象世界が作り上げられています。

イマジネーションの膨張を促すようなアグレッシブさではなく、足さず引かずの淡々とした抽象性が心地よい刺激をもたらしてくれます。

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長谷川泰子展

SAN-AI GALLERY

東京都中央区日本橋蠣殻町1-26-8 三愛水天宮ビル1F

1/19(月)~2/7(土)日休

11:30~19:00(最終日:~17:00)

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セラミックで創出されるさまざまな部屋の風景。

かわいらしさとポップなリズム感、さらに繊細な造形に「焼く」行程が入ることでユーモラスな

歪みがもたらされて、楽しい世界を奏でています。

入り口に展示されるインスタレーション。ニンニクとかタマネギとか、そういった有機物を連想させます。

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平面作品も面白いリズムを奏でます。かわいらしい抽象性が印象的です。

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平面のなかに部屋、という作品も。画面の中の立体感、言葉にするのが難しい、心地よい落ち着きを滲ませています。

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小品のオブジェ群は、眺めているだけで楽しい気分に・・・!

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それぞれの小さな空間性が心地よく感じられます。

セラミックの白、釉薬を塗られないことで素朴さが残って、それが独特の味わいをもたらしています。

このサイズでもっと大きな空間を見てみたい、閉じた空間のなかにこういうオブジェがいっぱい配置されているような、そういうインスタレーションも拝見してみたい気がします。

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Cornelius Quabeck "C Monster"

TARO NASU

東京都千代田区東神田1-2-11

1/23(金)~3/21(土)日月祝休

11:00~19:00

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ロックです。

作品を拝見して、ソウルであったりクラシックであったり、さらにジャズやミニマムミュージックなど、音、音楽を連想させるものは少なくとも僕には多いですが、「ロックだ!」と思わせてくれるクリエイションに出会えたのは記憶する限り今回が初めてのような気がします。

ケレン味のないかかっこよさとスピード感が痛快なクリエイションです。

オープニング記念展[壱]

LOWER AKIHABARA

東京都千代田区東神田1-11-7 東神田M.Kビル1F

1/19(月)~2/13(金)日祝休

11:00~19:00

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秋葉原、というより東神田、TARO NASUやFOIL GALLERYが入るビルからもほど近い、靖国通り沿いに出現の新しいギャラリーのこけら落としの展覧会。

そうそうたるアーティストの力作が並ぶなか、石黒健一郎さんの作品が圧巻で。

以前、未完の状態で展示されていたのを拝見していて、それが時を経て再びお目見え、だんだんとその写実世界が現実に、実にゆっくりとした早さで、しかし追いついてきているような感触が強く印象に残ります。未だ未完とのことで、さらに遅々と進みゆく様子をイメージすると、好奇心も尽きず湧いてきます。

Mr.FREEDOM X

@A+

東京都荒川区南千住6-67-8 荒川区リサイクルセンター南側1F

1/24(土)~2/15(日)

13:00~19:00

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アーティスト、岩永忠すけさんの企画による展覧会。

magical,ARTROOMでお馴染みのアーティストが多数参加しています。

しかし、広い!

その広さにそれぞれのアーティストの作品が、その広さを持て余し気味に展示されていて、この「引き」のスケール感を体感できるのは大変貴重なような気がします。

土川藍さんと小林亮平さんの共作のヴィヴィッドな色彩がぎゅっと詰め込まれ、アッパーな混沌が痛快な世界、田口和奈さんのさらに深みと妖しさを増す闇の世界などが特に強く印象に残っています。

《1/28》

棚田康司「結ぶ少女」展

MIZUMA ART GALLERY

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F

1/28(水)~2/28(土)日月祝休

11:00~19:00

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ヴァンジ彫刻庭園美術館の個展にも、そして岡本太郎美術館での展示さえも伺えなかったことを、今更ながらに後悔。。。

ホントに素晴らしいです。さまざまな感情、情動をくぐり抜けて到達したような、棚田さんの木彫作品が奏でるあたたかい世界。やさしさやぬくもりに包まれるような、そしてあやうさや切なさもそこかしこに広がり、空間に滲んで。。。

じっくりと堪能したい世界です。

《1/31》

耀樹孝鷺鴬“Mr.DAILY”

gallery福果

東京都千代田区神田神保町1-11-2F

1/26(月)~2/7(土)日休

12:00~19:00(最終日:~17:00)

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昨年の個展も面白かった耀樹孝鷺鴬さん、今回は前回と比較すると小さめの画面の作品で纏められています。

画面から盛り上がる素材で描かれる線のコミック的な感覚の面白さ、痛快さは相変わらずの味わいです。

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身近な街の風景や人の姿を捉えたものはもちろん、車の作品も面白い!

線自体の有機的な輪郭と、その線が紡ぐ無機的な表情、そのバランスが生み出す雰囲気が独特のほっこりとした楽しさをもたらします。

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Toru Otsuki Solo Show

galeria de muerte

東京都台東区東上野3-32-1-3F

1/17(土)~1/31(土)水木休

13:00~19:00

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21世紀の美人画と呼ぶにふさわしい、相当にゴージャスな女性のポートレイト。

その絢爛の光景は圧倒的です。

大作も展示され、その力強い美しさの臨場感にやられてしまった次第で。

酒井崇 ボールペン画展

GALLERY b.TOKYO

東京都中央区京橋3-5-4 第1吉井ビルB1

1/26(月)~ 1/31(土)

11:00~19:00(金:~21:00、最終日:~17:00)

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面白い!

ボールペンで描かれる肖像画、際どい陰影や流れも緻密に紡ぎ出して、独特の歪んだ深みが創出されています。

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仄かに古めかしい雰囲気をたたえるポートレイト、独特な味わいが印象的です。

細かい描き込みで生み出される具象と抽象、それぞれのバランスも独特で、時に過剰な混沌を生み出していたりして。

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抽象性が高まった作品も面白いです。

繊細に紡ぎ出される混沌が観る者の想像力を煽ります。

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櫻庭明夢 ねているあいだ -During Sleep-

GALLERY TERRA TOKYO

東京都港区麻布台2-3-5 NOAビル1F

1/17(土)~2/7(土)日月祝休

10:00~19:00

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日本画を学ばれていたという櫻庭さん、現在は絵本の挿絵なども描かれているようで、今回の個展ではその風合いがよくわかる、ポップな世界が繰り広げられています。

素材も、絵の具だけじゃなく、チョークも使われていて、その質感の懐かしい感じもなんともいえない嬉しさをもたらしてくれます。

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画面にこれでもかと描き込まれるさまざまなもの。

それらはもう、見たままの印象がすべてと言わんばかりに、楽しい雰囲気を躊躇なく放ちます。

子どもの頃に思い描いた楽しいイメージ、ファンタジーの世界が創出されています。

実に自由度の高い世界。子どもたちも巻き込んでのライブペインティングなども行われると面白いような気がします。

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花澤武夫 "between places"

GALLERY SIDE2

東京都港区東麻布2-6-5

1/31(土)~2/28(土)日月祝休

11:00~19:00

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参った!

前回、2年前の個展が強く印象に残っている花澤武夫さん、前回の個展から今回までに何度か作品を拝見する機会はあって、それぞれで独特な色使いと世界観を紡ぎ出してきていてその都度強烈に引きこまて行ったのですが、今回はまた違う展開、一瞬「おや?」とすかされたような感触がするのですが、だんだんとその独特な色の使い方が目にゆらゆらと響いてきて、それでスイッチオン。

深く面白い世界観です。

さわひらき展

OTA FINE ARTS

東京都中央区勝どき2-8-19-4B

1/31(土)~3/6(金)日月祝休

11:00~19:00

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なんだろう、この曖昧なイメージは...。

淡々と紡がれるモノクロームの映像世界。その淡々とした雰囲気をさらに押し上げるかのようにサウンドトラックが付けられ、ゆったりとして緊張感にも満ちた映像世界が繰り広げられています。

映像作品なのでこう表現するとちょっとおかしいのですが、敢えて「目を瞑って」、その映像作品を感じたいような静かな衝動が湧いてきます。

《買った本》

「重力ピエロ」伊坂幸太郎

「卵の緒」瀬尾まいこ

「阿修羅ガール」舞城王太郎

《買ったCD》

MELOS」 Vassilis Tsabropoulos, Anja Lechner, U.T.Gandhi

MOOD」Robert Glasper trio

「美術犬(I.N.U.)」第一回企画シンポジウム「美術」

日時:2/11(水・祝)14:00~17:00

会場:BOICE PLANNING

主催:美術犬(I.N.U.)

入場料:500円

パネリスト:青山悟(美術家)、池田剛介(美術家)、田中功起(美術家)、雨宮庸介(美術家)、土屋誠一(美術批評家)

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興味深いユニットが発足、活動が開始されます!

現在のアートシーンをもっと面白くしたい、面白くしていこう、という趣旨が伝わってきて、僭越ながら、僕もおおいに共感、そして楽しみな活動で、個人的にも内から外から関わっていければ、と思っている次第です。

その第一弾として、「美術」をテーマとしたシンポジウムが開催されます。お時間がある方はぜひ。

■開催趣旨

美術」とは何でしょうか。とりわけ現代美術をとりまく今日の状況を見渡すと、前世紀から今日へと至る「美術」というジャンルの領域確定の崩壊と拡張は、今更声高に述べるまでもなく進行し、美術作品は様々な様相を呈している現状です。そこでは、写真、映像、身体、インスタレーションといった様々な表現の媒体や様態、あるいは、エスニシティー、ネーション、ジェンダーのような社会的諸制度に関する条件が、美術作品の制作・読解双方において、重要なものとして話題の俎上に上げられます。それは、美術というジャンルをきっかけとして、いかにも現代的な諸問題をテーマとしているかのように見えます。このことは、美術を世界に対して開かれたものとするための方便、換言するならば、グローバリゼーションの必然的な要請であるかもしれません。

 しかしながら、そのような多様な「開かれ」を、アートワールドの内部において言祝いでいる一方、今日の情報環境を下部構造とした文化の隆盛を鑑みるならば、「美術」がいかにも旧弊な閉域へと陥っていることを、事実として認めざるを得ないでしょう。このことは、今日なお生産され続けている美術作品のみならず、美術についての様々な言説もまた、同様の閉域において空転しているように見えます。

 私たちは「美術」というジャンルそのものの意味や意義について考えることを、あまりにも蔑ろにしてきたのではないでしょうか。今日、「美術」という概念そのものを考察の主題とすることは、あまりにもナイーヴに見えるかもしれませんし、高級文化と大衆文化の領域確定が不可能である今日においては、あまりにも反動的な主題に過ぎるかもしれません。しかし、今日「美術」がそれでもなお存在しているのは事実であり、「美術」とは何か、「美術」はいかなる意義があるのか、あるいはそもそも「美術」などは今日必要とされていないのであろうか、といった問題について考えることは、美術の生産活動に関わる限りにおいて、無意味な問いではあり得ません。「美術犬(I.N.U.)」主催による第一回企画である本シンポジウムでは、「美術」という言葉そのものを主題として、一線で活動する美術家、評論家による討議空間の創出を目論むものです。このあまりにも直截的な主題による討議を第一歩として、継続的な言説空間の創出へと開かれる一助となればと考えています。

北村怜子 作品展「2018」

FOIL GALLERY

東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤

1/16(金)~2/11(水)日休

12:00~19:00(初日:~18:00、最終日:~17:00)

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Reiko Kitamura exhibition "2018"

FOIL GALLERY

1-2-11,Higashi-kanda,Chiyoda-ku,Tokyo

1/16(Fri)- 1/31(Mon)closed on Sunday

12:00-20:00(opening and Sunday:-18:00,last day:-17:00)

Google Translate(to English)

深みへと沈む混沌。

FOIL GALLERYでの北村怜子さんの個展です。

水彩絵の具の滲みや広がり、さまざまな要素が生み出す抽象性を重ね、透明感と静謐な混沌とが満ちる独特な世界が展開されています。

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入り口すぐに並ぶ小品群。

異なる色彩がひとつひとつの画面に収められ、さまざまな風景をパノラマのように提示されている感じで、それぞれの色のもつイメージにより、それぞれ時間や場所への連想が紡ぎ出されていきます。

独特の縮尺のイメージも面白いです。

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実に奥行きの豊かな抽象世界が綴られています。

水面に映る情景を思わせる、清廉とした感触、透明感。

全体が響き、揺らぐような深遠さが思い起こされると同時に、ミニマムな部分の表情の複雑さにも引き寄せられます。

こちらの作品では、黒が印象的です。垂れ、画面を這う絵の具の痕跡が複雑な揺らめきを生み出しているように感じられます。

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一転して、白の上に鮮やかな色彩が浮かぶ作品。

アブストラクトな雰囲気が鋭く、そして儚げに表出し、その次の瞬間には消えてなくなってしまうかもしれない、そんなスリリングなイメージも伝わってきます。

同時に、アバンギャルドな感触も鮮烈です。青や赤、黒の色彩の危ない雰囲気、凄まじいスピード感もこの世界に独創的な混沌をもたらしているように感じられます。

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さまざまな色の組み合わせ、そしてサイズもあらゆる大きさが採用され、それぞれがこの場所に作用して、深い静謐と激しい混沌とで空間を満たします。

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額に収められた作品も。

パネルの作品とはひと味違うテイストが印象的です。アクリルの奥に広がる透明な世界、いっそうその透明感が加速します。

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紙に水彩の作品、それがパネルにマウントされて提示されているのが、北村さんが描く世界の風合いに大きく作用しているような印象も覚えます。

普通だとまずパネルに水張りされた紙に描くのですが、敢えて描いた作品をあとから水張りする、という大胆な手法を採用されていいて、ここにそうとう驚かされたのですが、そのために側面にもこのあばんギャルドでアブストラクトな世界が続き、また画面のエッジもより鋭くなって、それがパーンと視界に響く感触が堪らく感じられるんです。

そしてなにより、混沌とした抽象性が深い面白さを紡いでいます。

コントロールされる偶然。画面に施されるひとつひとつのストロークが次のストロークのきっかけを生み出し、スリリングな展開が繰り広げられているんです。

会期も2/11までの延長が決まり、嬉しい限りです。

さまざまな色彩が調和し、反発しながら奏でられる深遠な世界観、ぜひ体感してほしいです。

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牛来美穂

GALLERY MoMo Roppongi

東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F

1/17(土)~2/6(金)日月祝休

12:00~19:00

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Miho Gorai exhibition

GALLERY MoMo Roppongi

6-2-6-2F,Roppongi,Minato-ku,Tokyo

1/17(Sat)-2/6(Fri) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

Google Translate(to English)

淋しさと可笑しさの混沌が奏でるガーリーワールド。

GALLERY MoMo Roppongiでの牛来美穂さんの個展です。

ひたすらに濃い密度のボールペン画、そこから溢れるメランコリックな雰囲気。

このなんともいえない切なさと、圧倒的なストローク数に一気に引き込まれます。

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ユニークな世界観が印象的です。

画面に溢れる様々な模様は、それぞれが複雑な時間の流れ、交錯を連想させ、そういう謎めいた妖し気な背景に登場する女の子たちは、特に目の辺りがぎゅるぎゅるとしたひときわ強い筆致で描き上げられていることもあり、どこか呆然として、というか濃密な世界に流されている、翻弄されているような感触も思い起こされます。

そしてこの作品、面白いのが、近くで見ると分かるのですが、元はポストカードくらいの大きさの作品で、そこから広がっていったのだそう。中央の葉っぱの渦の中でうずくまる女の子がいるあたりがまずそうで、もうひとつそれより右手に静かに佇む女の子あたりもまた別の紙に元々描かれているもので、それがコラージュ的に紙に貼られ、そこから広がって出来上がった世界。この時間差制作も興味をそそられます。

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黒のボールペンンのみで描かれた作品もずらりと並びます。

色の統一感がもたらす深み、複雑に紡ぎ上げられた模様のうねり、さらにファンタジックに展開する世界観。色がなくても、溢れるイメージが詰め込まれたような印象を感じます。

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そして、色がない分、緻密さへのストイックな感触も鮮烈に力強く引き出されているような印象も覚えます。

さまざまなかたちや模様がどんどん湧いてくる感じ、画面の余白をどんどん浸食しいていく様子が目に浮かび、その臨場感にも引き込まれていきます。そうやって紡がれた高密度の世界に出会えたのが嬉しくて。

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1点だけ出品されている、布を支持体とした作品。

煉瓦模様が淡々と積み上げられた、このクラシカルな感触。新鮮な静謐感を奏で、手描きの味わい深さがあたたかみを滲ませているように感じられます。

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パーテーションで区切られた奥の一角には、今度は色鉛筆と水彩によるドローイングのかわいらしい作品がずらりと並んでいます。

溢れる色、奏でられるキュートなリズム感、描くことの楽しさとストイックさとがきゅっと詰まったそれぞれの作品。軽やかな壮観、なんとも心地よく、あったかいです。

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より自由に、いろんな色やかたちの解釈が繰り広げられています。

ボールペンの筆圧がもつ強さとは一線を画し、やさしい風合いも軽やかな雰囲気をもたらします。

仄かに潜むシュールさ、しかしそれは暗さをダイレクトに引き寄せたりはせずに、コミカルさ、楽しげな雰囲気をもり立てているように思えます。

額におさめられた作品以外にも、ちいさなファイルにいっぱいドローイングが入っていて、こちらも見応えがあるんです。

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都合3回伺って、最初に感じたメランコリックな風合い...淋しげな、言葉に言い表せない不思議な切ない気持ちが詰まった印象も、3度目には何故か笑みがこぼれるような世界観に感じられ、自分でも不思議なのですが、僕の中でのその一連のイメージの変化も興味深いです、単に緻密なものに出会えて嬉しいというのもあるのかもしれないんですけど...。

もちろん、切迫するような感触、何かから逃げる感覚も伝わります。子どもの頃に見た怖い夢、大人になった今では一笑に付してしまうような想像にも似た世界観も思い浮かび、なんだか懐かしい感じと、大丈夫と言ってあげたくなるような思いも沸き起こります。

すごく繊細な衝動が紡ぎ出す世界、これからどういう風に広がり、あるいは内側へと入り込んでいくのかもしれないですが、どうなっていくか楽しみです。

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世界の終り the end of the world 林勇気

IID GALLERY

東京都世田谷区池尻2-4-5 IID 世田谷ものづくり学校1F

12/5(金)~1/18(日)月(祝日の場合開廊、翌日休)・12/27~1/5 休

11:00~19:00

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the end of the world Yuki Hayashi

IID GALLERY

2-4-5-1F,Ikejiri,Setagaya-ku,Tokyo

12/5(Fri)-1/18(Sun) closed on Monday(Tuesday if Monday is a national holiday),12/27-1/5

11:00-19:00

Google Translate(to English)

よくよく思い返してみて、タイトルが深いなぁ、と。

IID GALLERYでの林勇気さんの個展に行ってきました。

ギャラリー内にはおよそ2つの映像作品が出展され、それぞれのコーナーでインスタレーション的な構成がとられ、キャッチーな展開で淡々とした、シャープなアニメーションが上映されていました。

入って右手。

ひたすら細い通路や通管を進み、時に落下しながらいくつもの部屋を渡り歩く、という内容の映像作品。

手前に、その展開図的なものが展示され、壮観なさまが提示されています。額装されて繋げられてた展示手法もシャープさを押し上げています。

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映像は、ひたすら淡々と進みます。

クライマックスが訪れる様子はいっさいなく、さまざまな部屋での行為が時折ユーモアを醸し出している程度で。

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通過していく、あるいは袋小路のように別の部屋に続かない、それぞれの部屋にあるものは緻密に表現されていて、しかしどれもが、花や木々でさえ単調さを思い起こさせて、なんともいえない静寂感が貫かれます。

歩く音や飛び上がる音、落ちる音などは小気味よいBGMとなってこの映像の「おかしみ」を醸し出してるのですが、この延々と続くさまはどうにも絶望的で。かといって、絶望感に入り込んでいくかというと、やっぱりこの小気味よさ、映像自体のキャッチーでリズミカルな雰囲気、テレビゲーム的な感触が楽しい印象をもたらしてもくれるんです。

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大きく映し出される作品とは別に、3つのモニターにもこのバリエーションが上映されていました。

こちらでもまた、見入ってしまうのです。

エンディングはいつまでたっても訪れませんが、この先はどうなってるんだろう、という好奇心を引き寄せるんです。

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もうひとつのコーナーでは、先に紹介した作品の前面を覆う無機的な色調から一転し、色彩もふんだんに織り込まれた映像が繰り広げられます。

ただやはり、こちらも延々と終わりのこない感触が貫かれます。

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ずらりと並ぶブラウン管のモニター、こちらではそれぞれの場面のループが流されていました。

男性と女性のカップルが基本の登場人物、いきなり増殖していたり、空を飛んだり、地面に埋まる家がどんどん虚空へと浮かび上がっていったりと相当に奇天烈な展開が繰り広げられていて、強烈なシュールさは相当に面白くて、ツッコミどころも尽きるところがないのですが、やはりこの延々と続く感じが仄かに淋しさを醸し出しているように感じられるのです。

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つまるところ、「終わらない」ことがタイトルの「世界の終り」なのかも、という思いに至った次第で。

この考えをいろんなものに当てはめてみると深いなぁ、と。。。確かにそうかもしれない、と。

もとい、アニメーションの精度、幾何学的で硬質な雰囲気でどうしようもなくシュールな要素を大胆に織り交ぜて、痛快に展開してく様子は相当に引き込まれます。

今回はメッセージ性の強さも印象に残ったのですが、もっと抽象的なものや、徹底してエンターテイメント性が追求されたも林さんの作品も観てみたい、と。

・・・そう思っていると3月に.neutron tokyoでの個展が予定されていて、あの空間で林さんの映像が観られると思うと、期待が大きく膨らみます!

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