トップページ > 触れるTOP > ex-chamber museum | 幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報  > 2009年5月アーカイブ

幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報
2009年5月アーカイブ

ROBERT PLATT huntorama 2

muzz PROGRAM SPACE

京都府京都市左京区浄土寺馬場町71 ハイネストビル1F

4/25(土)~5/31(日)土日祝のみ

12:00~20:00

Roert Platt 090425.jpg

ROBERT PLATT huntorama 2

muzz PROGRAM SPACE

71-1F,Jodoji-Banba-cho,Sakyo-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu

4/25(Sat)-5/31(Sun) Saturday,Sunday and national holiday only

12:00-20:00

Google Translate(to English)

muzz PROGRAM SPACEでのROBERT PLATTさんの個展です。

入り口部分と入って正面の壁面上方から空間へと向けられる双眼鏡。ある緊張が走ります。

ROBERT PLATT25.JPG

メインスペースは広く、そこに大作を中心にしたさまざまなサイズの作品が並び、ダイナミックな緩急に満ちるストロークで描かれた、ヴィヴィッドさとアバンギャルドさを感じさせてくれる高密度の場面群が迫ってきます。

ROBERT PLATT24.JPG

階調の解釈がユニークな世界を放ちます。

さまざまな色面が細かく繋ぎ合わせられるようにして構成される景色。至近で眺めた時に伝わるストロークの集積による生々しい臨場感と、全体を俯瞰した時の硬質なイメージとのギャップも、痛快な戸惑いをもたらしてくれるような感じがします。

ROBERT PLATT23.JPG ROBERT PLATT22.JPG ROBERT PLATT21.JPG

ROBERT PLATT20.JPG

ギャラリー小柳での2人展やグループショー、VOCA展、第1回のART AWARD TOKYOと、ここ数年の間に東京で展示された作品は拝見していると思うのですが、その度にROBERT PLATTさんの作品に登場する木目を思わせるストロークによってもたらされる印象的なモチーフ。細かい色面の集積とのコントラストも面白く、不思議な奥行き感と空間性を発しているように感じられます。

さらに、鮮やかでダイナミックな茜色のグラデーションも加わり、幻想性もかさなるような印象も。

そしてそのなかに登場する人や動物の具象的なモチーフが独特の情景のなかで関係し合い、うねり微睡むような時間のイメージを思い起こさせてくれます。

ROBERT PLATT19.JPG ROBERT PLATT18.JPG ROBERT PLATT17.JPG ROBERT PLATT16.JPG

ROBERT PLATT15.JPG

陶器の瓶のようにも、はたまたもっと巨大なものにも思える具体的なかたちが並ぶ作品。

そのひとつひとつに描かれるモチーフがヴィヴィッドな世界観を鮮烈に奏で、ゴージャスな煌めきが騒がしく響き渡るようなイメージ...荘厳な喧騒がぐわんぐわんと脳内に鳴り、揺らめく空気感に包まれるような凄まじい錯覚を覚えます。

ひとつ一つのモチーフの緻密さにも痺れます。高速で変化するグラデーション、そのなかに描き込まれる鮮やかな色彩のシャープさ。それぞれの情景のなかで今にも動き出しそうな動的な想像も浮かんでます。また、全体を覆う背景に繊細なストロークで描き込まれる樹木のモノトーンのシルエットの静謐も、色彩と要素の混沌との深いギャップを生んでいるように思えます。

ROBERT PLATT14.JPG ROBERT PLATT13.JPG ROBERT PLATT12.JPG ROBERT PLATT11.JPG

ROBERT PLATT10.JPG

ギャラリースペースのもっとも長い壁面、正面に構成される壁画と2点の円形の作品。

この迫力も相当なもので...。

サイズのスケール感もさることながら、ふたつ並ぶ作品の気配の鋭さ、こちらを見据える男のサングラス(?)越しの視線の深さ、ミニマムなストロークがノイジーに画面を這い、それらの集積が植物のシルエットなどを形成していく多角的な時間性など、さまざまな角度から攻撃的にイマジネーションを煽る感触が楽しいです。

ROBERT PLATT09.JPG ROBERT PLATT08.JPG

ROBERT PLATT07.JPG

ボリュームがある空間にたっぷりと浸って、今度は2階で開催されているsalon showへ。

こちらがまた、凄いんです。

クレジットされているアーティストの名前を列挙すると、

明石依子 Andrew Ekins Cliff Platt 苅谷昌江 河崎まゆ子

政田武史 増田佳江 Michael Whittle 中山恵美 名和晃平

西村佳子 野原健司 大竹竜太 Robert Platt 馬場晋作

高橋耕平 高島輝実 徳重道朗 渡辺豪 矢部奈桜子

山口智子 吉田龍一 吉岡千尋

と、目も眩むような面々が揃っています。

このアーティストたちの小品が、ROBERT PLATTさんの樹木林のシルエットが壁面に描き込まれた空間に展示されています。

もう、そのめくるめくクリエイションの煌めきに圧倒されます。政田武史さんや増田佳江さんのちいさなペインティングが、苅谷昌江さんや吉岡千尋さんの独特の個性が、額装された矢部奈桜子さんの鉛筆のドローイングが、名和晃平さんのシャープなグルーの作品が、山口智子さんの儚げなキュートさをたたえるドローイングが、高橋耕平さんの絵画的に切り取られた身近な景色の写真が、馬場晋作さんの鏡面が...などなど、そこかしこで存在を軽やかに、力強く奏でているんです!

また、初めて拝見するアーティストの作品にもおおいに惹かれた次第。

さらに、Robert Plattさんの小品もそこかしこに色を添え、楽しすぎる混沌をさらに深化させているように感じられます。

ROBERT PLATT06.JPG ROBERT PLATT05.JPG ROBERT PLATT04.JPG ROBERT PLATT03.JPG

ROBERT PLATT02.JPG

そして、それらと対峙するRobert Plattさんの大作が・・・!

ROBERT PLATT01.JPG

この展覧会、ホントに観ることができてよかったです。

こういう自由度の高い交流、おおらかにクロスオーバーが繰り広げられている現場に接することができるのが楽しいです。

佐藤貢展

PANTALOON

大阪府大阪市北区中津3-17-14

5/9(土)~5/31(日)月火休

17:00~21:00(土日:12:00~19:00)

佐藤貢090509.jpg

Mitsugu Sato exhibition

PANTALOON

3-17-14,Nakatsu,Osaka-shi,Osaka-fu

5/9(Sat)-5/31(Sun) closed on Monday and Tuesday

17:00-21:00(Saturday and Sunday:12:00-19:00)

Google Translate(to English)

子どもの頃、作りたかった世界がここにある、そんな感じです。

PANTALOONでの佐藤貢さんの個展です。

ワクワクするような造形が、このユニークな空間に無邪気に、しかしスマートに展示されていて、童心が蘇ってきます。

佐藤貢22.JPG

海岸で採取した漂流物のみを使って、加えて新たに塗装も施すことなく、ただ純粋に思う描くイメージに、またその過程で膨らむイメージに従って作り上げられる造形。

壁面に展示され、1本1本のか細くも強靭さを感じさせてくれる軸や大きく弧を描く部分、垂れ下がる紐状の素材、さまざまなマテリアルなどが接着され、イマジネーションを刺激するユニークな空間が作り上げられています。

佐藤貢21.JPG 佐藤貢20.JPG 佐藤貢19.JPG

佐藤貢18.JPG

支持体、といっても絵画のそれよりもっと感覚的に実感されるボードが用いられた作品。

廃材の表面の、絵画的な感覚で眺めたときに感じる抽象性の面白さも活かされ、そこに錆び付いたさまざまなかたちの要素を取り付けていくことで、またもや不思議な空間が創り出され、提示されています。

この作品も壁面に設置され、重力感、上下の感触もまた楽しいです。下部のおそらくガラス製の小ビンが効いています。頭の中でこの壁をどうにか登ろうとしている自分の姿を思い描いたり...。

佐藤貢17.JPG 佐藤貢16.JPG 佐藤貢15.JPG

佐藤貢14.JPG

2階ロフトの奥の空間でのインスタレーション。

投網だったと思しきものが浮遊感を醸し出すなかで、それを挟む位置に実に印象的なふたつの造形が。

手前の大きくおおらかな円形、奥の自立する長い軸棒。それぞれの基本形からさらにアクセントが付随して、全体のスケール感とミニマムな面白さとが絶妙なコントラストと豊かなスケール感を導きだしているように思えます。

伺った時間がまだ陽が高かったこともあり、窓から入る自然光がこの空間の爽やかなか感触をさらに押し上げているようにも思えた次第。

佐藤貢13.JPG 佐藤貢12.JPG 佐藤貢11.JPG

佐藤貢10.JPG

もうひとつの2階のスペースにも実に興味深い造形が。

円形のパネルに組み上げられるメカニカルな立体空間。こまやかに施される軸やネジ、マテリアル群、そして全体を覆う錆び付いた色調のなかにさまざまな色が見え隠れします。

ほどよく朽ちた感触が世紀末的なイメージの惹起を促しつつも、やはりワクワクするような楽しい衝動は抑えられず...ただその嬉しい世界に見とれます。

佐藤貢09.JPG 佐藤貢08.JPG 佐藤貢07.JPG

佐藤貢06.JPG

いろんなところに設置、展示された作品、そのひとつひとつが空間に作用し、その場所だけに留まらない、豊かなイメージの広がりをもたらしてくれるんです。

佐藤貢05.JPG 佐藤貢04.JPG 佐藤貢03.JPG

佐藤貢02.JPG

なんともいえない懐かしい気持ちに満たされます。

あの頃、たしかにいろんなものを拾っては「基地」だとかなんか宣って庭に変な物を作ろうとしていたなぁ。そういう想いが蘇ってきて、ああ、こういうのを作ってみたかったんだような、という感慨にも浸ったり。また、それを今作っているさと王さんのことをスジしうらやましくも思えると同時に、こういった実に洗練されたかたちで子の世界を提示してくれていることへも大いに感謝、そんな気持ちもあふれてきます。

なにより、過剰に狙った感じがしないのが嬉しいんです。

元にあるもののかたち、風合いをそのまま活かして、これだけかっこいい造形が、空間が創り出されていることヘの感動も大きいんです。

僕はかなわなかったのですが、夜観たらどういう雰囲気なんだろう...。

ぜひ、もっといろいろと拝見したい、そしてずっと拝見していたいクリエイションです。

佐藤貢01.JPG

田中麻記子 個展「ROSE TUNING」

hpgrp GALLERY 東京

東京都渋谷区神宮前5-1-15 CHビルB1F

5/8(金)~5/31(日)月休

11:00~20:00

田中麻記子090430.jpg

Makiko Tanaka solo exhibition "ROSE TUNING"

hpgrp GALLERY Tokyo

5-1-15-B1F,Jingumae,Shibuya-ku,Tokyo

5/8(Fri)-5/31(Sun) closed on Monday

11:00-20:00

Google Translate(to English)

さらに深まる混沌。。。

hpgrp GALLERY 東京での田中麻記子さんの個展です。

昨年の個展から油彩の作品に本格的に取り組まれている田中さん、それまでの鉛筆画での展開から一転して濃厚に描かれる世界のこれまでとはまったく異なる質感の密度のインパクトは相当なものだったのですが、今回の個展では印象としての色彩感は保ちつつ、そのうねりや揺らめきがさらに深まり、凄まじいまでの妖し気な混沌が創り出されています。

昨年までに発表された世界に手を突っ込み、かき混ぜたかのようなイメージが浮かびます。

画面全体に広がる歪みのダイナミズム。もしかしたらこの前にもっと整然とした情景が存在しているかのような、この分厚い瞬間へと至る歪みの過程さえも思い起こせそうなくらいの臨場感で迫ってきます。

そしてその歪みに潜み、また抵抗するかのように、さまざまなモチーフがその姿を現しています。この作品だと星座がそこかしこに煌めき、また天使のような人の姿がこの混沌の中をそれでも、むしろこの歪んだ世界と戯れているかのように軽やかに舞っているのが、ここで提示される情景の狂気性を加速させているようにも感じられます。

画面を垂れる絵の具の痕跡がむしろ整然として感じられるのがなんとも印象的です。

田中麻記子19.JPG 田中麻記子18.JPG 田中麻記子17.JPG 田中麻記子16.JPG

田中麻記子15.JPG

全体を覆う独特の色彩感、さまざまな色がふんだんに用いられていながらも、そのすべてを蹂躙するような力を持つ「赤」のインパクトも強く印象に残ります。

青と白の陰影が水のイメージを思い起こさせつつも、それすら取り込んでしまっているかのような深いエネルギーに満ちる赤。複雑に絡み合いながら妖しい異次元の幻想空間をもたらし、この世界の重力のベクトルの感覚を麻痺させるほどに情動的な印象の濃密な色彩に、こちらのイメージも呑み込まれていきます。

田中麻記子14.JPG 田中麻記子13.JPG 田中麻記子12.JPG

田中麻記子11.JPG

今回発表のもっとも大きな作品は、画面のサイズに薄められることなく、むしろそれに反してもっとも濃密な混沌が、そして烈しい狂気が繰り広げられているように感じられます。

圧倒的な歪み、色彩の揺らめきがもたらす凄まじい奥行き感。そこにさまざまな人の姿が現れ、さらには目玉がそこかしこから歪みのなかからこちらを見据え、言葉にならない何かを訴えてきます。

ダイナミックな筆致がここに存在するすべてのものが気配に溶け出しているかのような濃密な空気感を生み、尋常でない濃厚な雰囲気を醸し出しています。

田中麻記子10.JPG 田中麻記子09.JPG 田中麻記子08.JPG

田中麻記子07.JPG 田中麻記子06.JPG 田中麻記子05.JPG

田中麻記子04.JPG

小品になると対峙する混沌の量が少ないせいか、凄まじい狂気のイメージから解放され、わずかに落ち着きが保たれるように思えるのも印象的です。

それでもひとつの情景としての存在感の力強さは変わらないのも心に残ります。

田中麻記子03.JPG

田中麻記子02.JPG

この凄まじい混沌の情景が、タイトルに「TUNING」、調整という言葉が入っている展覧会で発表されているのが興味深いです。

ここで「調整」されているものが何か、ということへイメージが膨らみます。これほどまでに狂おしい筆致で描き上げられた情動的な気配にさえ存在する安定...作品と対峙する立ち位置に変化がもたらされ、この世界へむしろ入っていって、何かを探る心の動きも立ち上がります。

一方で、この狂気を描き上げることで現実世界を「調整」する、そんなイメージも思い浮かんできます。

現実から遠い、幻想の見えない底のような世界。アバンギャルドな雰囲気から浮かぶイメージはどれも興味深く、印象に残っていきます。

田中麻記子01.JPG

《5/22》

[DICE PROJECT 005] cloud:山本努

magical, ARTROOM

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F

5/20(水)~6/16(火)日月祝休

12:00~20:00

山本努090520.jpg

INAX GALLERYでの展覧会も印象的だった山本努さんのクリエイション。エレベーターを降りてすぐのユニークな解釈のドローイング作品、そしてスペースの一角の明かりが落とされ、鮮やかなグラデーションの光が提示され、そのフューチャリスティックな美しさに感嘆させられます。

正木美也子 [Who is Stalin?]

magical, ARTROOM

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F

5/20(水)~6/16(火)日月祝休

12:00~20:00

正木美也子090520.jpg

ドローイングとペインティングとが向かい合うように展示され、表現のバリエーションの豊かさに惹かれます。ペインティングでは、抽象性を醸し出しながら、じっくりと眺めていると見えてくる情景や気配に、深いイメージが創出されます。それぞれ有る事件などの映像をモチーフに描かれた作品で、その雰囲気から鑑賞者と作品と作家の位置関係についてもいろいろと考えさせられます

伊藤彩『生まれつきJ』

ArtJam Contemporary

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F

5/22(金)~6/21(日)月休

12:00~20:00

伊藤彩090522.jpg

京都市立芸術大学の卒業終了制作の学内展で観た時のあのキュートな衝撃、ワクワクが膨らむ感じが力強く、そしてもちろんかわいく再現されていて嬉しい!

どーんと真ん中に立体作品が置かれ、カラフルなペインティングがそれを囲むように展示されていて、ヴィヴィッドで賑やかでシュールな雰囲気が楽しいです。

よりどりみどり 富田菜摘

Gallery Strenger

東京都港区南麻布3-3-39 カーサベルマン1F

5/16(土)~6/6(土)日月祝予約制

12:00~19:00

富田菜摘090516.jpg

ふたたび行ってきました。

今回は鳥がテーマになっていて、さまざまなタイプの作品が揃っています。

まず、平面作品(と呼んでいいと思います)。これが楽しい!

富田菜摘14.JPG

富田菜摘13.JPG

缶の箱の蓋を用いてその一部を切り抜き、金属製のネットを重ねたもの、もしくは枠にネットを張って展開したもの、と遊び心が伝わります。そしてディテールの表現がまた凝っていてこれまた楽しかったり。

富田菜摘12.JPG 富田菜摘11.JPG

富田菜摘10.JPG

棚の上に乗る小鳥たちも可愛らしいです。

巧みにさまざまな廃材を使い、その部品の配置でもたらされる色使いの見事さにも感嘆させれます。

富田菜摘09.JPG 富田菜摘08.JPG 富田菜摘07.JPG

富田菜摘06.JPG

大きめの作品もそこかしこに。

床を歩いていたり、空を飛んでいたり、さらには鳥かごまで。

用いられる素材の質感はそのまま残されながらも、逆にその軽めの粗い仕上がりが親しみといとおしさを生み出しているようにも思えます。

とにかく発想の自由さと伸びやかさが面白いんです。

富田菜摘05.JPG 富田菜摘04.JPG 富田菜摘03.JPG 富田菜摘02.JPG

富田菜摘01.JPG

《5/23》

今津景 個展

NODA CONTEMPORARY

愛知県名古屋市中区栄3-32-9 アークロック栄ビル3F

5/8(金)~6/6(土)日祝休

11:00~19:00

今津景090508.jpg

今年のVOCA展でも、ヴィヴィッドな色彩とエキセントリックな雰囲気を漂わせる情景の作品を発表され、拝見する度に作品の精度の向上を感じさせてくれる今津景さん。

今回の個展でも大作がずらりと並び、空間、時間の両面において壮大なスケール感を思わせてくれる作品から、新たな世界観の展開を感じさせてくれるものもあり、見応え充分です。

染谷亜里可 新作展 "Monster"

Kenji Taki Gallery

愛知県名古屋市中区栄3-20-25

5/9(土)~6/20(土)日月祝休

11:00~13:00、14:00~18:00

染谷亜里可090509.jpg

お馴染みのベルベットの作品に加え、機械油を使った作品やドローイング、ペインティングが出品され、メディアのバリエーションが富んだ作品が揃っています。

ベルベットの印象が強いのですが、他のメディアの作品も独特な深みがあってホントにいいんです。

そして、ベルベットの作品は東京での展示では観られないサイズの大作が並び、そのスケール感にも圧倒されます。

生川晴子 けはい

白土舎

愛知県名古屋市中区錦1-20-12 伏見ビル地階

5/16(土)~6/13(土)日月祝休

11:00~19:00

生川晴子090516.jpg

今年のVOCA展で観ることができて嬉しかったアーティストのひとり、生川晴子さんの個展。

前回の個展を拝見していることもあり、それが導入となって、あらたに紡がれる独特の雰囲気の世界観へも自然に入り込んでいけます。

意味深なモチーフのリフレインが謎めく雰囲気を深め、感覚的な面白さの確信も深めてくれます。

近藤ケイジャン個展 "traditional fork"

Ain Soph Dispatch

愛知県名古屋市西区那古野2-16-10(円頓寺本町商店街 JAMJAM奥入ル)

5/16(土)~5/30(土)木休

13:00~21:00

近藤ケイジャン090516.jpg

ご本人とお会いしたことがないのでまったくどういう方が制作されているか分からないのですが(実際、アーティストの諸情報は伏せられています)、作品を拝見するとその精度と確信の高さにやられます。

まず目に飛び込んでくる立体の作品。頭がいくつもある動物のぬいぐるみのかわいいのにちょっと怖い感じ、表面が新聞で構成される立像の力強さ、異なるインパクトがシャープに放たれています。

近藤ケイジャン11.JPG 近藤ケイジャン10.JPG

近藤ケイジャン09.JPG

切り抜きの新聞と鉛筆による精緻なドローイングとで構成される平面作品も面白いです。

とにかく描き込みの緻密さに意識が引き寄せられます。ストイックなスタンスを思い起こさせるほどの精緻な再現性は圧巻で、それが無機質に切り抜かれた新聞と組み合わさって硬質な妖しさを醸し出しているように感じられます。

近藤ケイジャン08.JPG 近藤ケイジャン07.JPG

近藤ケイジャン06.JPG

さらに妖しさを加速させる作品。

新聞の切り抜かれた部分がフォークに刺さっていっしょに展示。画面には今度は色が持ち込まれ、シルエットのなかに描かれる食物のこれまた再現性の高い描写が、シュールな物語性も深めます。

近藤ケイジャン05.JPG 近藤ケイジャン04.JPG 近藤ケイジャン03.JPG

近藤ケイジャン02.JPG

表現のバリエーションの花火ろさとそのひとつひとつの精度に感嘆させられます。

アーティスト自身の謎めいた存在感とともに、さまざまなイメージが脳裏をよぎり、さて次はどんな展開をしてくるか、とさらに好奇心が湧いてきます。

近藤ケイジャン01.JPG

佐藤貢展

PANTALOON

大阪府大阪市北区中津3-17-14

5/9(土)~5/31(日)月火休

17:00~21:00(土日:12:00~19:00)

佐藤貢090509.jpg

海岸に流された廃材をもちいて作られる作品群。

これがいちいちかっこいい!

細かい部品を緻密に組み上げて機械的な感触を構築し、さらにそのひとつひとつの汚れや壊れた感触がアバンギャルドな雰囲気ももたらしています。

親しみ溢れる感触、そして逆にソリッドなイメージも惹起され、その世界に想いっきり入り込んでいって楽しいです。

ACG eyes 3 : 國府理 - ROBO Whale -

ARTCOURT Gallery

大阪府大阪市北区天満橋1-8-5 OAPアートコート1F

5/12(火)~6/20(土)日月休

11:00~19:00(土:~17:00)

國府理090512.jpg

凄い・・・!

カーテンをくぐって入る空間に展示された作品の存在感は圧巻のひとこと。

カットされたワーゲンのボディ、そこから連なる背骨を思わせる要素、全体を多う黒ずんだ色彩。アバンギャルドな雰囲気を重々しく立ちのぼらせながら、今にも動き出しそうな臨場感も放ち、スケールの大きな創造性の迫力にただ気圧されるばかりです。

とにかくかっこいいんです。

ガソリン展 千光士誠×忠田愛

gallery wks.

大阪府大阪市北区西天満3-14-26 中之島ロイヤルハイツ1103

5/11(月)~5/23(土)日休

11:00~19:00(土:~17:00)

ガソリン展090511.jpg

千光士誠さんと忠田愛さんによる二人展。

忠田さんの作品は2点、おなじみの殺伐とした筆致で、今回は労働者が描き上げられています。

ドローイング的な作品の風合い、いきなりアバンギャルドな雰囲気が立ちのぼります。

忠田愛08.JPG 忠田愛07.JPG

忠田愛06.JPG

キャンバスの大作はさらにその前衛的な雰囲気が加速。

描くだけでなく。削る、燃やすといったある種の「破壊行為」的なアプローチも大胆に行われ、それが瞬間の緊張感を過度に高めているように感じられます。

なにより、血走るような目の描き込みが凄かったです。

忠田愛05.JPG 忠田愛04.JPG 忠田愛03.JPG

忠田愛01.JPG

千光士さんの作品は、ふたつの壁面を覆うようにしてタペストリー状の作品がずらりと並んでいました。

そこに描かれる無数の人の姿、その密度は圧巻です。

千光士誠03.JPG 千光士誠02.JPG

千光士誠01.JPG

羽部ちひろ

MEM

大阪府大阪市中央区今橋 2-1-1 新井ビル4階16号室

5/16(土)~6/6(土)日月祝休

11:00~18:00

羽部ちひろ090516.jpg

羽部さんの作品を観る度に、なんだろうこのほんわかとする感じは、と思うんです。

筆遣いが奏でるほのぼのとした雰囲気、しかし壮大なスケール感。今回は室内、ドールハウスがモチーフとなった作品が多く、これまでのイメージとは若干ズレが合ってそれがまた楽しいです。

独特の世界観とシュールさ、大作から小品までさまざまなサイズで展開されて、のんびりとした独特な緊張感が満ちています。

荒木由香里 個展 waltz

studioJ

大阪府大阪市西区新町3-14-8

5/13(水)~6/13(土)日月火休

13:00~19:00

荒木由香里090513.jpg

並ぶ作品が放つシュールな危うい雰囲気。。。

造形のイメージは相当にサディスティックな感じもするのですが、実際に作品を拝見すると、例えば造花などが用いられることで思いのほか軽やかな印象を受けます。

そしてそれが、伝えたい世界観の本来の深みを連想させてくれる、もっと深いものを伝えようとしているような感じもしてくるんです。

荒木由香里08.JPG 荒木由香里07.JPG

荒木由香里06.JPG

クリスタルを用いる作品は、伝わるイメージの深度が一気に深まります。

危うげな臨場感がぐんと加速し、加えて脆さも醸し出されて、独特の物語性が想い起こされます。

荒木由香里10.JPG

荒木由香里09.JPG

さまざまな作品がギャラリーのそこかしこに配置され、それぞれが持つ味わいや深みがいろんな想像をもたらしてくれます。

脆さと強さの関係性や、自身が使ったものを用いることで得られる時間性などが、複雑なストーリーを組み上げているように感じられます。

荒木由香里05.JPG 荒木由香里04.JPG 荒木由香里03.JPG 荒木由香里02.JPG

荒木由香里01.JPG

原口佳子「床屋のかがみは海へつづく」

FUKUGAN GALLERY

大阪府大阪市中央区西心斎橋1-9-20-4F

5/7(木)~6/6(土)日月休(火:予約制)

13:00~20:00

原口佳子090507.jpg

鮮やかな色彩とシャープな構図が空間を囲みます。

どこにでもあるような海岸、海辺の風景。そこを走る舗装されない道路や空き地を覆う雑草の緑、そして水平線。光のなかに消えゆく瞬間を連想させるような色合いのスリルと神々しさが、ここに収められる情景に独特の深みをもたらしているように思えます。

そして、構図の面白さも。画面を分断する水平線や道が、絵画的に硬質な展開も生み出しているように感じられて興味深いです。

この日はギャラリーノマルのリニューアルオープンのレセプションにも行ってきました。

これまでと比較するとコンパクトになったギャラリースペース。そこに詰め込まれるようにして展示されるクリエイションの、一貫する硬質な世界観に感じ入った次第で。

なかでも強烈な存在感を放っていたのが榎忠さんのキャノン砲。僕は観ることがかなわなかったのですが、実際に祝砲が上げられたようで、その様子はいろんな方のお話からも凄かったことが伺えました。

あと、田中朝子さんのも面白かったです。実際にある風景やものの文字を手書きのものに置き換えた作品で、なんともいえない知性とユーモアの絡まりが楽しいです。

これから続く展覧会の予定を眺めると、ワクワクする感じはいっそう高まります。

《5/24》

大阪で一泊して、まず国立国際美術館で開催中の展覧会「杉本博司 歴史の歴史」へ行ってきました。

観に行ってよかった、ホントに良かったです。

杉本博司展と杉本博司コレクション展、そういった両面の趣きがあり、杉本氏によって集められた化石や仏像や軸など、ホントに素晴らしいものを見せてもらえている充実感を覚えた次第で。博物館的な構成ではなく、ひとりの(敢えて言いますが)「酔狂」が集めたものの説得力、それがここにある理由が「貴重」だからというよりも「素晴らしい」から、という感じが伝わるのが新鮮で、長い時間を経て眼前に現れ、対峙を許された「もの」たちとの邂逅をじっくりと味わえたことにまず感謝、感激。

杉本氏の作品については、いつ拝見しても深い感動を得られる「海景」のシリーズが並ぶ空間に加え、五重塔の再現というとてつもないアプローチにも唖然とさせられ、そして今回のいちばんの見どころ「放電場」のシリーズには、現象でこんなにもミニマムな造形を提示されたらかなわない、とただただその世界の凄さにお口半開き、そして平伏すばかり。

また、「放電場」の展示室のインスタレーションも見事です。マン・レイの肖像、木彫の雷神、ライトケースで提示される放電の痕跡、そして壁一面の鏡面、さらに・・・!

見応えのある展覧会です。

After School 放課後の展覧会 天野萌 碓井ゆい 木内貴志 木藤純子 佐川好弘 笹倉洋平 花岡伸宏 宮永甲太郎 ムラギしマナヴ 森田麻祐子 山口和也

元立誠小学校

京都府京都市中京区蛸薬師通河原町東入備前島町310-2

5/23(土)~5/31(日)15:00~20:00(土日:12:00~19:00)

放課後の展覧会090523.jpg

それぞれの教室に加え、講堂や階段、階上の畳の部屋でそれぞれのアーティストが個性を発揮しています。

まずは木内貴志さんと花岡伸宏さんが面白い!敢えて言うんですけど、この「どうしようもなくしょーもない」感じは堪らん!花岡さんの作品、僕のなかではすでにお馴染み「ずり落ちる」展開はもちろん、粘土で出来たキリンとか折り紙で出来たのとか、

そりゃそうだろ!Σ( ̄口 ̄;)

そりゃそうだけど!Σ( ̄口 ̄;)

といちいちツッコミを入れざるを得ない展開が楽しいです、一方木内さんは勉強机の表面を版木として用い、それで木版画を作るというこれまたキテレツな展開。何て言うか、やったこと、やっちゃったことにただただ感心した次第。

木藤純子さんのインスタレーションも意味深です。

施錠された教室からとぎれとぎれに聞こえてくるオルガンの演奏。その隣の部屋には虚空にダイオードの光が浮かび、その真ん中に置かれる一組の机と椅子が深遠な雰囲気を奏でています。

講堂に展示された佐川好弘さんのインタラクティブな立体作品も楽しいです。白い球体から言葉が飛び出ていてその造形もなんともいえないかっこよさがあって、しかもそこに入れたり登れたり、実際登ってみてなんとも痛快な気持ちになったり。

山口和也さんの作品は畳敷きの広い部屋に。大作で展開されるストロークの激しさが、空間の雰囲気と相まって独特な空気感を生み出しています。

夜はパンタロンでの個展も印象的だった笹倉洋平さんのライブドローイングを最後の10分だけ鑑賞、プロジェクターで花が映される画面に、そこから導きだされるさまざまな線をトレースして複雑な混沌が生み出されていく過程に触れられたのは貴重でした。

井上隆保 続・間主観的人格 -京都- -線状の快楽-

MORI YU GALLERY KYOTO

京都府京都市左京区聖護院蓮華蔵町4-19

5/2(土)~5/24(日)月火祝休

12:00~19:00

井上隆保090502.jpg

東京での展覧会を見逃してしまった井上隆保さんの個展を京都で、しかも最終日、滑り込みでチェックしてきました。

かっこいいです。桃太郎のシリーズのいかにもやんちゃそうな目つきと歪む口元、その肌にもたらされる紋様の美しさにも惹かれます。

奥の一角には少し前の作品も展示されていたり、とにかく観ることができてよかったです。

ROBERT PLATT huntorama 2

muzz PROGRAM SPACE

京都市左京区浄土寺馬場町71 ハイネストビル1F

4/25(土)~5/31(日)土日祝のみ

12:00~20:00

Roert Platt 090425.jpg

細かいストロークで紡がれる複雑な情景。大胆な配色の妙、描かれる情景のどこか異界にいるような感触など、さまざまなかたちでイマジネーションを刺激してくれます。とにかく見応えがあります!

2階でのsalon showも面白いです。所属ギャラリーの垣根を軽やかに越えて、実にバリエーションに富んだクリエイションがロバートさんの壁画の上にぎっしりと配され、そのゴージャスさに見とれます。

北条貴子 Resonating light part.2 Paintings

sowaka

京都府京都市南区東寺東門前町90 sowakaビル2F

5/15(金)~6/14(日)金土日のみ

12:00~19:00

北条貴子090403.jpg

前回のドローイング展に引き続いて開催の、今度はペインティングの展覧会。

淡く繊細な筆遣いが印象的だったドローイングから一転して、力強さと濃密さが際立ちます。

艶やかな画面の深み、さまざまなグリーンにが重ねられて鬱蒼とした感触が導かれ、そこにひっそりと織り込まれる淡い赤や黒がアクセントとなり、深い臨場感が奏でられています。

大谷有花展 -life-

GALLERY MoMo Ryogoku

東京都墨田区亀沢1-7-155/9(土)~5/30(土)日月祝休

11:00~19:00

大谷有花090509.jpg

Yuka Otani exhibition -life-

GALLERY MoMo Ryogoku

東京都墨田区亀沢1-7-15,Kamezawa,Sumida-ku,Tokyo

5/9(Sat)-5/30(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

GALLERY MoMo Ryogokuでの大谷有花さんの個展です。

毎年この季節に開催される大谷さんの個展、その度に新しい世界を築き上げ、生み出していて、一昨年、昨年とだんだんアブストラクトな世界へと突き進んでいるような印象がありました。

お馴染みのキミドリがだんだんと薄く淡くなっていく情景に触れ、展開する世界観もアプローチも異なりますが、内藤礼さんのピンクにも通じるような繊細さを思い返せば感じていたのかも、と今更想像するのです。

さてこのまま行ったら次はどうなるんだろう、どこへ向かっていくんだろう、と心配と期待とが入り交じるようなイメージを持って臨んだ今回の大谷さんの個展は、そういった緊張感をはぐらかすかのように、霧深い高い場所から降りてきて久しぶりにポップな展開が繰り広げられていて、まずはなぜだかホッとした次第。

新たに「本」がモチーフとなって登場し、いつもの色やキャラクターたちがそのなかでいろんな物語を繰り広げていて、久々に身近に感じられるような場面が描き上げられています。

大谷有花25.JPG

見開きの本が基本構図となった作品がずらりと並びます。

大谷さんにとってもちろんこの両国のスペースでの個展は初めて。この空間を自分の世界に染めよう、というワクワクしたフレッシュな気持ちが伝わるような構成も楽しいです。

大谷有花24.JPG

「本」を描く、というユニークなスタンスから、これまでは登場しなかったようなタッチの描写も多数登場していて、新鮮な一面が垣間みられるのも嬉しいです。

みずみずしさもそなえるピンク色を背景に、赤い表紙の本が見開かれ、そのページの花瓶と花の凛とした表情と佇まいは落ち着きと可憐さを軽やかに放ちます。

これほどリアルにモチーフが描かれた作品を拝見した記憶がなくて、その意外さがまた嬉しかったり。

大谷有花23.JPG 大谷有花22.JPG 大谷有花21.JPG

大谷有花20.JPG

いつもよりスマートなウサギネズミが挿絵に登場する作品。

窓の夜空にふわふわと、降る雪にも滲む星にも見える白の点は、それが本であることを忘れさせてくれるようなファンタジックな臨場感をもたらし、そして扉の枠をほんのりと染めるキミドリにも大谷さんらしさを感じ、おおいに惹かれます。

大谷有花19.JPG 大谷有花18.JPG 大谷有花17.JPG

大谷有花16.JPG

それぞれの作品ごとに、自由なシチュエーションを手にした大谷さんの膨らむ想像性とそれを描く楽しさとが伝わってくるようで、それがまた嬉しく思えたりするんです。

ウサギネズミの耳を思わせる栞など、遊び心、もといエンターテイナー振りも随所に感じらます。

大谷有花15.JPG 大谷有花14.JPG

大谷有花13.JPG

見開きではない本の作品は、入り口正面の作品と、下の作品の2点が展示されています。

キャンバスの中の空間を鮮やかに染めるキミドリは溌剌さを取り戻し、これまでソファを囲んでいた花の群れが本のページをめくりながら風に舞っている様子、そこにある気配に触れることへの喜びも沸き起こってきます。

大谷有花12.JPG 大谷有花11.JPG 大谷有花10.JPG

大谷有花09.JPG

そして、今回のこの空間の個展で久々に登場した作品、細長い巻物が、入り口から続く長い壁面に展示され、あらためてその途方もない情景に触れられるのもありがたく。

粗目のキャンバスにただひたすら描かれる起伏、そこに点在する家。「やっちゃった」的なコミカルなアプローチも楽しげです。

大谷有花08.JPG 大谷有花07.JPG 大谷有花06.JPG 大谷有花05.JPG

大谷有花04.JPG

数は少ないですが、小品も展示されていて、この展示での小気味よいアクセントとなっています。

大谷有花03.JPG

大谷有花02.JPG

一時期のストイックなスタンスから解放され、楽しむように描かれたと思われる作品群が、この空間を爽やかで賑やかに彩っています。

大谷さんのブログで今回発表されている作品の説明が綴られていて、それを読むとまたイメージが具体的になり、同時に広がりももたらされるんです。

この季節にもぴったりと合う、実に清々しく楽しい空間です。ぜひ爽やかなキミドリとそれぞれの本が奏でる物語を体感してほしいです。

大谷有花01.JPG

高橋つばさ -とこしえ-

文京アート

東京都中央区八重洲2-11-7 ます美ビル2F

5/16(土)~5/30(土)日祝休

11:00~18:30

高橋つばさ090516.jpg

Tsubasa Takahashi solo exhibition

Bunkyo Art

2-11-7-2F,Yaesu,Chuo-ku,Tokyo

5/16(Sat)-5/30(Sat) closed on Sunday and national holiday

11:00-18:30

Google Translate(to English)

文京アートでの高橋つばささんの個展です。

高橋さんの作品はこれまで2度のGEISAIで拝見していて、ボールペンの無数の青い線で描かれる世界はシンプルに僕のストライクゾーンのど真ん中に入り込んできて、この情景に出会えたことが嬉しくて。

初めて拝見したGEISAIミュージアム2ではブースの壁面を覆い尽くした画面がダイナミックなうねりと線の1本1本キュートさが印象的で、それが今回はひとつの画面に収められ、しかもそれらでひとつの空間が作られているということもあり、僕にとってただただ嬉しい、こういう緻密系、描き込み系の作品が好きな人には堪らない展覧会です。

高橋つばさ18.JPG 高橋つばさ17.JPG

高橋つばさ16.JPG

さまざまなサイズの作品が並びます。

小品から不葛生の画面によって組み上げられる壁面のインスタレーションなど、提示の方法に豊かなバリエーションがもたらされ、それがイメージの膨張を促します。

1本ずつのストロークは実に身近な、普段ペンで線を引いたときの感じそのままの親しみを醸し出していながら、それが密集し、配列されることで複雑なパルスを生み出し、さらにダイナミックな濃淡を持つ情景を導いていくのも痛快です。

高橋つばさ15.JPG 高橋つばさ14.JPG 高橋つばさ13.JPG 高橋つばさ12.JPG

高橋つばさ11.JPG

さらに今回展示されている作品の一部には、紙粘土による有機的な立体感が創り出されています。

線自体によってもたらされる情景群も相当に有機的なのですが、そこに異なる質感がもたらされ、面白い効果が得られているのも興味深いです。

高橋つばさ10.JPG 高橋つばさ09.JPG 高橋つばさ08.JPG 高橋つばさ07.JPG

高橋つばさ06.JPG

とにかく、仕事の量がそのままボリュームとなって画面に現れている感触が痛快です。

青の濃淡の深み、至近で眺めた時のふわっと広がるような描き込みや数本の弧がもたらす

動きのイメージなど、さまざまな想像が導きだされていき、さらに全体的な独特の重力感も楽しいです。

高橋つばさ05.JPG 高橋つばさ04.JPG 高橋つばさ03.JPG

高橋つばさ02.JPG

ストイックな感触が伝わる一方で、なんともいえない独特のかわいらしさが滲んでいるように感じられるのもまた楽しかったり。

全体的な密度の圧巻さ、これが至近で眺めた時に、もっと強靭なストロークを想像しているとはぐらかされるように素朴な線の表情がまた印象的です。

この線の表情の可愛らしさ、親しみはひとつの個性であり、味わいだと思いつつ、もしその線のひとつひとつが、今の個性を保ちながら強さを得たらどうなるだろう、と思うと、好奇心もさらに膨らんでいきます。

描かれる情景の面白さは格別で、これからの展開が凄く楽しみなクリエイションです!

高橋つばさ01.JPG

澤柳英行 FISSION - FUSION

ラディウムーレントゲンヴェルケ

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17

5/8(金)~5/30(土)日月祝休

11:00~19:00

Hideyuki Sawayanagi FISSION - FUSION

Radi-um von Roentgenwerke AG

2-5-17,Nihonbashi-bakurocho,Chuo-ku,Tokyo

5/8(Fri)-5/30(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

理詰めのアプローチが生み出すシャープなインパクト。

ラディウムーレントゲンヴェルケでの澤柳英行さんの個展です。

1階、いつもの朱赤の扉を押して中へ入ると出迎えてくれる、流し目の女性。

天井から吊り下げられ、素材の硬質な感触と壁面に映し出される影の妖し気な静けさとに、すっと引き寄せられます。

澤柳英行15.JPG

至近で眺めると、美しい女性の表情が消え、中心が整然と並ぶ大きさの異なるホールの無機的な感触に加え、今度は美しく磨き上げられた金属面の煌めきが「モノ」としてのケレン味ない存在感で迫り、異なるインパクトがもたらされます。

澤柳英行14.JPG

階上へと向かう刹那、今度はあたかも雲影のような風合いの、不思議な時間の経過のイメージを奏でる作品が。

漢数字の「一」を筆で書いたかのようなフォルム、その両端に浮かぶ女性の表情。右側は強い視線を送り、一方左側は官能の表情を浮かべ、そのふたつが空気の中の塵によって繋がれているかのような、立体的な時間の流れを思い起こさせる不思議な世界。ふたつの顔をつなぐ部分に見受けられる星形のような穴は、壁面に映る影で歪む時空のように艶かしい濃淡を生み出し、それがたった1枚のプレートのなかに濃密な物語性をもたらしているように感じられます。

澤柳英行13.JPG 澤柳英行12.JPG

澤柳英行11.JPG

ここから、さらに大きなサイズの作品が続きます。

かたちのユニークさは、さらに有機的な複雑さで展開され、硬質な素材の質感とのギャップを一双深めていくような印象が痛快です。

澤柳英行10.JPG

澤柳英行09.JPG

あたかも液状、飛び散る飛沫のようなフォルム。

真ん中の顔からそれぞれ四方に飛び広がり、異なる表情となってひとつの心が持つさまざまな想いが現れるような感触がもたらされます。

澤柳英行08.JPG 澤柳英行07.JPG

澤柳英行06.JPG

この空間の正面奥の壁面に展示された作品も圧巻です。

中央に浮かぶ、こちらを静かに見据える表情。そこからスパークする火花のような広がりが、何か強大な気配を思い起こさせてくれます。

背後に広がる淡い影も繊細な美しさをたたえています。

澤柳英行05.JPG

至近で拝見するとその地位から強さにさらに圧倒されます。

中央の顔の部分から広がる複雑なかたち、これらを構成する無数のホールはそれ自体が複雑にうごめき、凝縮と離散を繰り替えしているかのような動的な印象を一見受けますが、それすらすべて、その穴の中心部分で整然と配列されていることに気付かされ、簡単させられます。ある角度から眺めたときに見つかる列の無機的な存在感の冷徹さには分かっていても驚愕させられ、背筋に電気が走るようなスリルを感じます。

澤柳英行04.JPG

澤柳英行03.JPG

さまざまな美しさが潜むクリエイションです。

徹底して研磨されることで導きだされる素材の美しさ。正面から対峙すると自身の姿が鏡面を化したプレートにしっかりと映り込み、微妙な撓みと無数の穴による平面的な欠落で、不思議に歪んだ姿として提示されるのも、作品それぞれが持つ妖艶でスリリングな世界観と相まって興味深いイメージがもたらされるように思えます。

さらに、ホールの配列の緊張感が放つ美しさ、そしてこの金属のプレートのエッジのシャープな美しさにも強く惹かれます。すべてのホールのひとつひとつの円形としての安定感、敢えてひとつのホールを抽出して眺めたときに、数ミリの厚みをもつ円環としてのシャープさに感嘆させられ、この精度が連なってひとつの大きな情景を導きだしているのかと考えるとさらに深く感じ入る次第で。

澤柳英行02.JPG

そして、全体の世界観の面白さも。

至近で眺めた時の硬質な面白さから一転し、さまざまな女性の表情が生み出されている事実、そしてそれに気付いた瞬間の驚きは格別です。

新聞などに掲載される、ドットの大きさで濃淡がつけられる写真と同じ理屈で提示される情景は、理屈で捉えると確かに理解できるのですが、素材の重厚感に加え、素材が持つ美しさを徹底した研磨によってさらに押し出すなどによって深いギャップが生み出され、それがスリルとなって世界観に転化される感触は実に痛快です。

また、空間的な面白さにも溢れています。

そこかしこに潜むアクロバティックな情景にも大いに楽しませられた感じも嬉しいです。

澤柳英行01.JPG

宮永愛子展「はるかの眠る舟」

MIZUMA ART GALLERY

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F

4/22(水)~5/23(土)日月休(4/29、5/4~5/6開廊)

11:00~19:00

宮永愛子090422.jpg

Aiko Miyanaga "Dwelling in a boat"

MIZUMA ART GALLERY

1-3-9-2F,Kami-meguro,Meguro-ku,Tokyo

4/22(Wed)-5/23(Sat) closed on Sunday and Monday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

封じ込められる時と、放たれる時と。

MIZUMA ART GALLERYでの宮永愛子さんの個展です。

資生堂ギャラリー、国立新美術館と大きなスペースでの展示が続き、3次元的にダイナミックなインスタレーションを展開してきた宮永さん、いったいどんな空間をつくり出しているだろうとさまざまな想像を巡らせて臨んだのですが、前者ふたつとはことなり実にシンプルに構成され、空間的な「間」が印象に残るインスタレーションが紡がれています。

入り口右手にある1枚の作品。

畳まれたテーブルナプキンを開いて、そこに鏡写しで左右に書かれることば。清楚な文字と鏡写しであることが、この空間で繊細な存在感を放ち、ちいさなアクセントとなって不思議なイメージをもたらしてくれます。

宮永愛子209.JPG

宮永愛子208.JPG

眠るように置かれる1台の箱、長持が置かれただけの空間。

宮永愛子207.JPG

箱と蓋との隙き間から闇へと滲む光が神々しい雰囲気を立ちのぼらせています。

宮永愛子206.JPG

開けると、お馴染みのナフタレンのオブジェが積み木といっしょに収められています。

宮永愛子205.JPG

底に広がる白い光が、半透明のナフタレンを直に照らし、その素材の繊細な質感を引き出します。

そして、緩やかな時間を経て昇華し続ける素材は、生々しく時間が流れ、過ぎ行く事実を実感させてくれます。

ナフタレンでできたブロック、積み木の家の中に並ぶ椅子、そしてうさぎのぬいぐるみ。それぞれのモチーフはおそらく実際にあるものを象って制作されていて、それぞれのものの持ち主、それに触れ、かかわった人々との関係性や気配、残り香のようなものが消えゆく様子を思い起こさせてくれるような感触も。

宮永愛子204.JPG

奥のスペースではコンパクトな作品が。

宮永愛子203.JPG

大きめの台の上に置かれるふたつの平たい透明の円柱のケース、そのなかに外向きに円形に並ぶちいさな椅子のオブジェ。ひとつは包みが解かれぬまま、中に並ぶ椅子も原形を留め続け、もうひとつはまるで並ぶ椅子の円の一部から朽ちていくかのように、だんだんとそのかたちが現象によって消し去られていっています。

椅子の脚の部分、床面と設置するところだけがかろうじて残る様子などはなんともいえない切ないイメージをもたらしてくれたり。

宮永愛子202.JPG

コーナーに置かれたちいさな台の上には、樹脂でコーティングされた鍵が。

ほんのわずかに外気との接触があるようで(最初は絶たれているのですが、この作品のオーナーに外気との接触を「解く」タイミングが委ねられているのだそう)、このひと月ではどれだけかたちが消えてしまっているか分からないのですが、果たして1年、3年、10年と時間が経ったときにいったいどうなっているのだろう、と想像するとそのゆったりと横たわる時間の長さに気が遠くなるような感じもして、また、たったこれだけのサイズの作品にそれだけの壮大さを感じることへも感動させられます。

宮永愛子201.JPG

会期中4回拝見し、これまでの同様のインスタレーションと比較すると昇華の速度がコントロールされていて原形を比較的しっかりとどめているものが多く、とはいえ、部分的に朽ちてしまっていてそれが儚さと冷静な狂気性を思い起こさせてくれたり、さらに昇華して箱やケースの内側に再結晶されたナフタレンの現象の臨場感へも引き込まれます。

宮永さんのさまざまな作品を拝見して、一貫して感じるのがそこに緩やかでもしっかりと過ぎる時間の存在とその事実の儚さで、さらに「もの」や「場所」と「人」、その「想い」を繋ぐものとして、それぞれが機能しているように思えます。

ナフタレンの作品ではそれがもっとも顕著に伝わってくるように感じられます。

また、ナフタレンという素材の美しさと、それが持つ現象の神々しさが、さらにさまざまなイメージの創出を促してくれているようにも感じられます。

独特なスタンスと繊細な感性で紡がれる、深遠なファンタジー。そんな印象に包まれます。

どんな「気配」が導かれるか、これからの展開ももちろん楽しみです。

海老原靖 SLEEPERS

WADA FINE ARTS

東京都中央区築地3-2-5 第2平和田ビル

5/8(金)~5/29(金)日月祝休

11:00~19:00

海老原靖090508.jpg

Yasushi Ebihara SLEEPERS

WADA FINE ARTS

3-2-5,Tsukiji,Chuo-ku,Tokyo

5/8(Fri)-5/29(Fri) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

「背景」が描かれることで、深まる危うさのリアリズム。

WADA FINE ARTSでの海老原靖 さんの個展、前回に引き続いての「LUST」シリーズの新作が発表されているのですが、今回のキャンバス作品にはすべて、背景が描き込まれていて、これまでの「LUST」の極度に過剰な無垢が放つものとはまた異なる臨場感で、独特の危うさが溢れているように感じられます。

海老原靖19.JPG

肌の色と背景とが同じく白で表現され、妖し気な奥行き感と微妙な筆致で表現される陰影、そして髪の毛の細密な描き込みがシャープに立ち上がる従来の「LUST」シリーズから一転、実に濃い色彩と情報密度が背景にもたらされ、描かれる人物の肌の白さ、神々しい気配がいっそう際立って感じられます。

さらに、シチュエーションがよりリアルに伝わってきて、それがさらにその場面の空気感をナイーブなものへと押し上げているようにも感じられます。

背景の描写の巧みさにも惹かれます。ベッドや枕の複雑でランダムなパッチワークの硬質なうねりや手前のベッド傍の板の木目、花と葉が這うような壁など、強い表現が横たわり甘い表情を浮かべる裸の男の子の儚げな存在感とのギャップを加速させているように思えます。

海老原靖18.JPG 海老原靖17.JPG 海老原靖16.JPG

海老原靖15.JPG

鮮やかな芝の緑が鋭く目に届く作品。

この鮮烈さ、インパクトも強く印象に残ります。

そこに群れるようにして横たわる3人の(おそらく)男の子。同じように上半身裸で青紺のパンツを履き、パンツの皺の濃淡とほぼ凪ぎの質感で透明感溢れる白が広がる上半身の肌、そこに芝の深い緑が加わりこの3つの色彩の美しい「衝突」が、状況の妖し気な感触とは裏腹の爽快なアグレッシブさを奏でているように感じられます。

色彩が訴える力にあらためて感嘆させられる、そういう印象が伝わります。

海老原靖14.JPG 海老原靖13.JPG 海老原靖12.JPG

海老原靖11.JPG

淡い色彩で一つの画面が貫かれる作品も。

細密な頭髪やふわりと鮮烈に染まる頬や耳などは「LUST」の世界感そのままに、奥の薄いグリーンのストライプとチェック模様のシャツとが仄かなテイストの色調で描かれ、印象として裸のように思えてくるのが不思議で、それが独特のスリルへと昇華されているように感じられるのが興味深かったりします。

海老原靖10.JPG 海老原靖09.JPG 海老原靖08.JPG

海老原靖07.JPG

ドローイング作品も多数展示されています。

こちらはおよそ一つの画面にひとりが登場するシンプルな構成で、仕草の艶かしさと濃密とも淡白とも取れる気配の感触が、白いマット紙に白の額の中に収められることでさらに独特の豊かな繊細さや鋭さを伴って放たれているように思えます。

海老原靖06.JPG 海老原靖05.JPG 海老原靖04.JPG 海老原靖03.JPG

海老原靖02.JPG

背景がその場面の物語性を、状況の輪郭を強く表出させ、海老原さん自身が表現する世界のオリジナリティをさらに多角的に押し拡げたような感じがします。

立体的な広がりを見せるクリエイション、多様性がもたらされてもその強く懐の深い個性はいささかも薄まることはなく、むしろさらに特別で格別な濃密さを得ているような感じさえします。

このスリルがどういうふうに広がり、変化していくか、大変興味深いです。

海老原靖01.JPG

《5/16》

秦 絵里子 “Submerged Flower”

アート★アイガ

東京都中央区八丁堀2-22-9 宮地ビル2F

5/5(火)~5/30(土)日月休

13:00~19:30

秦絵里子090505.jpg

今年のムサビの卒制展やGEISAIで拝見して印象に残っている秦絵里子さん。

パネルに直に描かれた女性と花。緻密な描写と豊かな空間性とで、艶やかな雰囲気を醸し出しています。

秦絵里子12.JPG 秦絵里子11.JPG 秦絵里子10.JPG 秦絵里子09.JPG

秦絵里子08.JPG

シャープな線の凛とした表情と、細やかなストロークで紡がれる色彩との調和も絶妙です。

新しい展開だそうなのですが、滲むようなテクスチャーで画面の一部を染め、また異なる空間性が生み出された作品も。

秦絵里子07.JPG 秦絵里子06.JPG

秦絵里子05.JPG

愛おしい風合いが画面から溢れてきているように感じられ、独特の絢爛の感触が印象に残ります。さまざまなサイズの作品が揃っている上に、ドローイングも多数展示されていて、コンパクトな空間が華やいで感じられます。

秦絵里子04.JPG 秦絵里子03.JPG 秦絵里子02.JPG

秦絵里子01.JPG

高橋つばさ -とこしえ-

文京アート

東京都中央区八重洲2-11-7 ます美ビル2F

5/16(土)~5/30(土)日祝休

11:00~18:30

高橋つばさ090516.jpg

GEISAI MUSEUM#2、GEISAI12などで拝見して印象に残っている高橋つばささんの個展、もう見れば僕が好きな感じなのは一目超然の緻密な線描で綴られるクリエイションです。

さまざまなサイズの作品が並び、ブルーのストロークがさまざまな密度をもたらして、ミニマムで豊かな奥行き感が生み出されています。加えて紙粘土を画面に乗せて立体感を出す実験的なアプローチも繰り出されるなど、興味深い展開にも引き込まれます。

なにより、この細密の世界に囲まれるのがなんとも嬉しい!

坂口竜太 個展 NEW PAINTING

NICHE GALLERY

東京都中央区銀座3-3-12 銀座ビルディング3F

5/5(火)~5/16(土)日休

11:00~18:30

坂口竜太090505.jpg

前回の同ギャラリーでの個展や、先日開催された岡本太郎賞でも拝見している坂口竜太さんの作品。

揺らぐような空気感が凄まじくアバンギャルドな雰囲気と危うさを醸し出し、その独特の力強い世紀末的アングラな世界観は健在です。

坂口竜太20.JPG

深い色彩と大胆な配色で作り上げられるトワイライトゾーン。

衝動的なイメージの膨張がそのまま画面に注ぎ込まれたかのような印象で、その鬼気迫るような分厚いスリルが溢れているように思えます。

坂口竜太19.JPG 坂口竜太18.JPG 坂口竜太17.JPG 坂口竜太16.JPG

坂口竜太15.JPG

大きな作品での、描かれた場面のなかで起こっているさまざまな「事件」がシュールな雰囲気を導きだしているように感じられるのも興味深いです。

立ちのぼる炎のような感触、その熱で蜃気楼のように背景や空が歪んで、揺らめくような空間性がもたらされているにのも引き込まれます。

坂口竜太10.JPG 坂口竜太09.JPG 坂口竜太08.JPG 坂口竜太07.JPG

坂口竜太06.JPG

小品での独特の遊び心に満ちた作品も楽しいです。

実験的なストロークや配色が随所に感じられるものや、前回の個展でも多数発表された室内を描いたものなど、大作とはまた違う味わいが感じられます。

坂口竜太05.JPG 坂口竜太04.JPG 坂口竜太03.JPG 坂口竜太02.JPG

坂口竜太01.JPG

稲葉寛乃展

Galley 58

東京都中央区銀座4-4-13 琉映ビル4F

5/11(月)~5/16(土)

12:00~19:00(最終日:~17:00)

稲葉寛乃090511.jpg

前回は天井から吊るされた紐に彩色し、歩く狼を空間に浮かび上がらせていたのが面白かったのですが、今回はメッシュ地を重ね、膨らむ画面に何層にもかさなる絵が不思議な陰影を生み出すユニークな展開が試みられていました。

稲葉寛乃09.JPG

壁面いっぱいの幅の大作は圧巻。

かさなるメッシュの効果で微妙に陰影が滲み、モノクロームの影が重なって、横断歩道を行き交う人々の気配が引き出され、動きの表情がうまく表現されているのが面白いです。

稲葉寛乃08.JPG 稲葉寛乃07.JPG 稲葉寛乃06.JPG 稲葉寛乃05.JPG

稲葉寛乃04.JPG

小品も面白い!

ちいさな画面で細やかな描き込みが展開され、気配の臨場感が豊かに、そして静かに再現されています。メッシュも固定されておらず、風に揺れて影も揺れる、それがまた味わいを深めています。

前回に引き続き楽しいアイデアがユニークな効果をもたらしていて、今後の展開も楽しみです。

稲葉寛乃03.JPG 稲葉寛乃02.JPG

稲葉寛乃01.JPG

廣江友和 "Uneasy place"

MEGUMI OGITA GALLERY

東京都中央区銀座5-4-14-4F 銀成ビル4F

5/15(金)~6/13(土)日月祝休

12:00~19:00

廣江友和090515.jpg

人形やミニチュアの家が確かなスキルによってリアルに描き上げられ、さらにユニークな空間性が繰り広げられています。人形の絵の着せ替えのアプローチの面白さも際立っています。

また、画面をビニールで覆い、艶やかな感触をもたらしているのも興味深いです。

不思議な妖しさに満ちたクリエイションです。

よりどりみどり 富田菜摘

Gallery Strenger

東京都港区南麻布3-3-39 カーサベルマン1F

5/16(土)~6/6(土)日月祝予約制

12:00~19:00

富田菜摘090516.jpg

なんだかもう、楽しいです、かわいいです!

廃材を用いて作られるたくさんの鳥たち。

立っているものは足がスプリングで出来ていて、頭にちょこんと触れるとゆらゆらと揺れて、その仕草がまたなんとも...。

ユーモラスな雰囲気も溢れる空間が作り上げられています。

和田絢「sleep/motif」

児玉画廊|東京

東京都港区白金3-1-15-1F5/16(土)~6/20(土)日月祝休

11:00~19:00

和田絢090516.jpg

なんとも不思議な空間性、そしてユーモラスな味わいも心地よいです。

ちいさな画面の作品を密集させる、あるいは並べる展開、また大きな画面の作品など、それぞれの構成が面白い情景を導きだしています。

今年のVOCA展でもひと味異なる雰囲気が印象的だった和田さんの個展、キュートさとコミカルさとが響きあって生み出される雰囲気が心地よいです。

村山留里子「色とマント」

山本現代

東京都港区白金3-1-15-3F

5/16(土)~6/13(土)日月祝休

11:00~19:00(金:~20:00)

村山留里子090516.jpg

展示されている作品は2点。

空間が分けられ、それぞれが深いイメージをもたらしてくれます。

メインスペースでは、府中市美術館で開催された府中ビエンナーレで発表された作品が再登場。異なる状況で展示され、まったく違う、さらに深いインパクトがもたらされています。

もうひとつの作品は村山さんの真骨頂、繊細で危うい華やかさをもつ装飾が美しいです。

川元陽子個展「for the present」

NANZUKA UNDERGROUND

東京都港区白金3-1-15-2F

5/16(土)~6/13(土)日月祝休

11:00~19:00

川元陽子090516.jpg

こんなにも「明るさ」が際立つ空間が、ギャラリー名にアンダーグラウンドが入る場所で観られるとは!

描かれる風景の空の明るさが突き抜け、この白い空間に射し込んで眩しいです。

具象表現の巧みさも印象的な、絵画として実に真っ当な感じも新鮮です。

Mai Yamashita + Naoto Kobayashi The Small Mountain

TSCA Kashiwa

千葉県柏市若葉町3-3

5/16(土)~6/27(土)日月祝休

12:00~19:00

山下麻衣小林直人090516.jpg

なんだか凄いです、もうそこかしこで繰り広げられていることがいちいち凄いです!

「これをやったらどうなるだろう」という奇天烈な好奇心をそのまま実行してしまったかのようなインスタレーションや記録映像がずらりと並び、そのひとつひとつの存在感に圧倒され、引き込まれます。

《5/17》

門田光雅 俯瞰する樹形図

遊工房アートスペース

東京都杉並区善福寺3-2-10

5/7(木)~5/24(日)月火休

12:00~19:00(最終日:~17:00)

門田光雅090507.jpg

圧巻の抽象画です。

うねるようなストロークが無数に画面を交錯し、ダイナミックな情景が創出されています。

門田光雅18.JPG

大胆な色彩の投入と、一部の色の絵の具に砂が混ぜ込まれることで艶やかさが失せ、そのマッドな質感の存在がヴィヴィッドで激しい情景への「入り口」となって、スムーズに引き込まれていくような効果が生み出されているように感じられるのも興味深いです。

門田光雅17.JPG 門田光雅16.JPG 門田光雅15.JPG

門田光雅14.JPG

重なる絵の具にダイナミックなストロークがかぶさることで、ミニマムなテクスチャーも生み出され、部分的に数多くのエポックが発せられているのにも引き寄せられます。

画面に近づいて視線を画面上に這わせていくと、そこかしこで魅力的な表情と衝突して、時間を忘れてじっくりと、しかし相当なスピードと大きな情動でこの世界の中を好奇心が彷徨っていきます。

門田光雅13.JPG 門田光雅12.JPG 門田光雅11.JPG 門田光雅10.JPG

門田光雅09.JPG

全体を覆うアグレッシブな感触にも圧倒されます。

ざっくりとした、ある種の殺伐とした感触が詰め込まれるかのようなテクスチャー。今でもうごめいているようにも思えてきます。

門田光雅08.JPG 門田光雅07.JPG 門田光雅06.JPG 門田光雅05.JPG

門田光雅04.JPG

小品も奥のスペースなどに展示されています。

大画面との対峙への覚悟から解放されて、ちいさな画面ではリラックスした感触も伝わってきて印象的です。

門田光雅03.JPG

門田光雅02.JPG

とにかく無数の発見に溢れる世界観は痛快です。

何か大きなエネルギーに衝き動かされ、呑み込まれてしまう、その痛快さがなんとも心地よいです。

門田光雅01.JPG

David Franklin RUINS 廃墟

遊工房アートスペース

東京都杉並区善福寺3-2-10

5/7(木)~5/24(日)月火休

12:00~19:00(最終日:~17:00)

David Franklin 090507.jpg

さまざまなスタイルの作品が並ぶ中、まず目に留まるのが階段を登り切った正面に展示されたペインティング。

色使いの大胆さとさまざまなストロークが奏でる不思議な幽遠さ、人々の後ろ姿の臨場感に静かに引き寄せられます。

David Franklin06.JPG

ドローイング的な作品が並ぶ一角はまた異なる沈むような雰囲気を醸し出しています。

謎めく情景群、この展覧会のタイトルにある「廃墟」という言葉が脳裏に響き渡ります。

大胆な空間性とストイックな色調が、力強い説得力を創出しているように感じられます。

David Franklin05.JPG David Franklin04.JPG David Franklin03.JPG

David Franklin02.JPG

ちいさなドローイングが展示された一角もそれぞれが面白い空間性や物語性を放っています。

David Franklin01.JPG

有園絵瑠 ・ 有園絵夢(HAMADARAKA)「ひねもすいみんからのめざめ」

artdish g

東京都新宿区矢来町107

5/3(日)~5/17(日)月休

12:00~22:00

有園絵瑠・絵夢090503.jpg

姉妹アーティストの作品がちいさな空間とかフェスペースに展示され、妖し気な世界観を放っていました。

黒い画面に想像上の生物を緻密に描く作品、添えられる説明も妙に面白かったり。

また、大きな仮面のような作品などは、実に妖しい雰囲気が滲み出ているように感じられたり。

二人の共作も展示されて、興味深い物語性が印象に残っています。

《5/19》

井上裕起展 salaMandala/NIPPON-ISM

和田画廊

東京都中央区八重洲2-9-8 近和ビル302

5/19(火)~5/31(日)

13:00~19:00

井上裕起090519.jpg

個展のたびに大胆になっていく井上さんの空間構成。

今回はそれも極まるたった1体による展示、しかし充分に魅せられます。

ユーモラスさもたたえながら2本の後ろ足で立ち、見栄を切るサンショウウオ。この痛快さが堪らない!

この日は上野の森美術館で開催の高橋コレクション展「ネオテニー・ジャパン」のレセプションへ。

感動と感謝が押し寄せます。まさに日本のコンテンポラリーアートのアーカイブ、加えてなかでもエンターテイメント性の高いもの、そして世代的にも中堅から若手のいちばん「おいしい」クリエイションが揃えられた感もあり、次から次へと現れるクライマックスに、大いに翻弄された次第。

数多くの関係者の方々ももちろん来館されていて、そこかしこでそれぞれの作品のエピソードが耳に飛び込んできてそれらに聞き入って感嘆するのもまた楽しく、そして僕自身も、展示されたクリエイションとの自分なりの「距離」「関係」を持っているので、いろんな想いがよぎってそれもまた嬉しかったり懐かしかったりで。

また観にいかなきゃ、と思ってます。

高松和樹展「距離感主義」

ギャラリー戸村

東京都中央区京橋2-8-10 丸茶ビルB1

4/24(金)~5/23(土)日祝休

11:00~19:00(土:~17:00)

高松和樹090424.jpg

Kazuki Takamatsu exhibition "Distanfeerism"

Gallery Tomura

2-8-10-B1,kyobashi,Chuo-ku,Tokyo

4/24(Fri)-5/23(Sat) closed on Sunday and natioinal holiday

11:00-19:00(Sat;-17:00)

Google Translate(to English)

より高精度に世界観を表現するために。

ギャラリー戸村での高松和樹さんの個展です。

お馴染みのコンセプトによる、ある1点からの距離で階調分解されたモチーフを青みがかったグレートーンのグラデーションで表現されたシャープな情景群、ペインティングの大作とジークレープリントを取り入れた作品とで構成されています。

高松和樹222.JPG 高松和樹221.JPG 高松和樹220.JPG 高松和樹219.JPG

高松和樹218.JPG

ペインティングの大作は3点が出品されていて、折り重なる女の子がさらに緻密な臨場感を伴って再現されています。

表現法のスキルも確実に精度を増しているように感じられ、身体の線の美しさや表情なども豊かに描かれているのも楽しいです。また、登場する人々に一貫して匿名性が保たれていることと、シチュエーションのフューチャリスティックな感触とが相まって、独創的なファンタジーのようにも思えてきます。

高松和樹217.JPG 高松和樹216.JPG 高松和樹215.JPG 高松和樹214.JPG

高松和樹213.JPG

ガスマスクやライフル、サバイバルナイフ、手榴弾などの物々しいモチーフが大胆に織り込まれた作品。女の子たちの無邪気さはさらに先鋭的な雰囲気を加速させているように感じられます。

人の身体の有機的なイメージがこの無彩色の世界へさまざまな「色づけ」をなしていくと同時に、ある部分における機械的で無機的な質感、決してそこには落とし込まれないのですが、乱暴に言ってしまうと結局はグレートーンのかたちが重なっただけという冷徹さも、情景の深度を押し拡げているように思えます。

高松和樹212.JPG 高松和樹211.JPG 高松和樹210.JPG 高松和樹209.JPG

高松和樹208.JPG

そして、ジークレープリントを取り入れた作品群。

今後はこちらの手法を中心に展開されるのだそう。

高松和樹207.JPG

手描きの作品だとどうしても出てしまう筆痕や詰め切れない精度などを克服するために、ジークレープリンとが採用され、それによって平滑性が格段に上がっています。

支持体となる下地は手描きで黒く染められていて、そのテクスチャーが人の手による風合いをしっかりと伝えながら、高松さんの独自の解釈をよりプリミティブに提示しているように思えます。

高松和樹206.JPG

テクノロジーを取り入れることで、緻密な表現が可能となり、全体的なシャープさもさらに鋭く展開されいるように感じられるのも興味深いです。

細密な部分と大きな部分、手描きよりも確実に精緻な等距離の解釈と展開とが可能となることで、その臨場感も高まると同時に、幻想的な透明感も放たれているように思えます。

高松和樹205.JPG 高松和樹204.JPG 高松和樹203.JPG

高松和樹202.JPG

高松さんの作品は長きにわたって拝見していますが、その最初に観た「距離感主義」の作品から比べると、確実に階調の解釈が繊細で緻密になってきているように思えます。そしてそれが、描かれる世界観に鋭さをもたらします。

危うさと未来的な質感にも満ちた世界。これからの展開も楽しみです。

高松和樹201.JPG

いしかわかずはる 個展「welcome home」

YUKARI ART CONTEMPORARY

東京都目黒区鷹番2-5-2 市川ヴィラ1階

5/2(土)~6/6(土)日月火、5/10~5/18休(水:事前予約制)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

いしかわかずはる090502.jpg

Kazuharu Ishikawa "welcome home"

YUKARI ART CONTEMPORARY

2-5-2-1F,Takaban,Meguro-ku,Tokyo

5/2(Sat)-5/30(Sat) closed on Sunday,Monday,Tuesday and 5/10-5/18(Wednesday:appointment only)

11:00-19:00(last day:-17:00)

Google Translate(to English)

ほんのちょっとのアイデアが、想いに広がりとあたたかみをもたらして。

YUKARI ART CONTEMPORARYでのいしかわかずはるさんの個展です。

前回の個展から1年とちょっと。

いつもの画面に毛糸を乗せただけのシンプルな線で豊かな表情を描き出すいしかわさん、今回の個展では、ひとつひとつの作品にほんのわずかに情報のバラエティが増やされて、その行き過ぎないバランス感が絶妙で、これまで紡がれ続けられてきたほんわかとした楽しげな雰囲気がいっそう和やかになったような印象を受けた次第です。

さまざまな試みが独特の糸の作品に注ぎ込まれていきます。

透明アクリル板に着くグリーンの糸、画面の底にはファーが敷かれていて、浮かぶような空間性が演出されています。

眺める角度によって変わるファーの陰影。それが描かれる人の顔に静かな表情をもたらし、その場面で流れる時間もイメージさせてくれるような感じがしてきます。

いしかわかずはる110.JPG

最初の展示室でのもうひとつのユニークな支持体の作品。

銀色のラメが入った布の上に黒の糸で男性の横顔が。

こちらの作品、直に目にするとなんとも不思議な雰囲気が伝わってきます。この鯔背な横顔の味わい深いリアリティとは裏腹に、線がまるで画面からわずかに浮いて定着しているかのような感触が。

銀色の布を鏡面にかぶせているそうで、そのこと自体に気付くにはけっこう分かりづらいのですが、そのアイデアが充分に活かされて、今回の個展でも、またこれまで拝見した石川さんの作品の中でもある種異色な風合いを醸し出していて、一旦視線をこの作品に送るとなかなか外せない、懐の深い魅力を盛った世界が放たれているように感じられます。

いしかわかずはる109.JPG

いしかわかずはる108.JPG

これまでの作品と同様にシンプルに、一色で塗られたキャンバスに糸を置く作品も。

しかし、これまでのいしかわさんんの作品を考えると「禁じ手」的に、ひとつの作品にいろんな色の糸が用いられていて、カラフルさを手にした自由さと、それでもなお雰囲気を伝える必要最小限の線のみを場面から引き上げて画面に落とし込んでいる感じは和やかな痛快さをもたらしてくれます。

いしかわかずはる107.JPG

白い糸と黄色い糸とで描かれた作品。シンプルに線を場面から引き上げて画面に落とし込むスタイルが堪能できるのはもちろん、いしかわさんの真骨頂のひとつでもある大胆な空間性も実におおらかでユーモラスで、楽しく感じられます。

こちらの作品でもさまざまな試みが繰り出されています。パラレルでくっついておおらかなラインを形成する線、その平行する2本の糸の上にさらにわずかに濃い色の糸が乗せられ、線に表情を出すことが試されていたりと、さまざまなアイデアがシンプルな線にユニークな要素が持ち込まれているのがなんとも興味深いです。

いしかわかずはる106.JPG

いしかわかずはる105.JPG

続く奥の展示室では、前回の個展でも発表された透明アクリル板を用いたスタイルの発展型とも呼べるような作品が。

複数のアクリル板が重なり、それぞれに毛糸の線が施されて三次元的な要素が直接的に織り込まれ、ユニークな立体感が生み出されています。

そして、手法の面白さ、新鮮さとともに、描かれている場面の和やかな雰囲気が実にふくよかに表現されていることがなんとも嬉しく感じられます。

いしかわかずはる104.JPG

いしかわかずはる103.JPG

今回のメインとも呼ぶべき作品からは、やさしい気持ちが伝わってくるように感じられます。

赤い糸、その赤さをやさしく引き立てるバックの、ほんのりと染まるピンク色。

描き現されている線のシンプルさ、おおらかでユーモラスな空間性が奏でる和やかな空気感。その情景のほかの要素が思い浮かぶような楽しさ、繊細な色彩に包まれるような心地よさが、豊かな味わいをもたらしてくれるような感じで、思わず笑みがこぼれてしまいます。

いしかわかずはる102.JPG

用いられる糸の色とバックの色彩との色調のバランスの巧みさと大胆さ、さまざまな場面から必要最小限なだけ引き上げられる線のユーモラスな風合い。

楽しくて和やかな要素がほどよく詰まっているように感じられます。

そして、前回まで感じられたストイックな感触が幾分か抑えられているような感触、さらに1点ずつ完結されるストーリー性も興味深いです。

そんな作品がそろって生み出される空間の雰囲気は、やはり、いかにもいしかわさんらしい、どこかのどかで緩やかで、空間性のおおらかさややさしい色彩がさまざまなユニークなイメージの創出を促してくれるように思えてきます。

素材の親しみやすさも、描かれる世界を身近に感じさせてくれます。懐かしいような風合いも嬉しいです。そこに自由なアイデアが絶妙に織り込まれて、いっそう楽しく伝わるような感じがまた、さらに嬉しさを膨らませてくれます。

ぜひ実際に観て、その和やかさを感じてほしいです。

いしかわかずはる101.JPG

《5/8》

田中麻記子 個展「ROSE TUNING」

hpgrp GALLERY 東京

東京都渋谷区神宮前5-1-15 CHビルB1F

5/8(金)~5/31(日)月休

11:00~20:00

田中麻記子090430.jpg

昨年より展開される田中麻記子さんの油彩画、今回はさらにダイナミックに色彩やかたちがうねり、そのなかにさまざまなモチーフが混沌とした縮尺感で描き込まれ、めくるめく世界が繰り広げられています。

この世界観が揃う展覧会のタイトルに「TUNING」、調整という言葉が入っていることも興味深いです。

海老原靖 SLEEPERS

WADA FINE ARTS

東京都中央区築地3-2--5 第2平和田ビル

5/8(金)~5/29(金)日月祝休

11:00~19:00

海老原靖090508.jpg

さまざまなシリーズを展開する海老原靖さん、今回は「LUST」シリーズの新展開で、これまでは背景と肌の色とが支持体そのままの白が採用されている作品の印象が強かったのですが、そこにさまざまな背景が描き込まれ、物語性の立ち上がりがよりリアルなインパクトを伴って迫るような印象です。

その場所的なイメージが具体的に伝わるぶん、また新たな「危うさ」が醸し出されているような気がします。

澤柳英行 FISSION - FUSION

ラディウムーレントゲンヴェルケ

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17

5/8(金)~5/30(土)日月祝休

11:00~19:00

金属のプレートに精緻に大小の穴を配し、新聞などに掲載されている写真と同じくドットの大小で陰影を生み出し、さまざまな女性の表情がもたらされているお馴染みの作品が、さらに大きなサイズ、そしてユニークなかたちで展開されています。

1階のシンプルな作品から階上にある大作群への導線も高揚感を煽ります。

《5/9》

吉田博 個展『WORLDS』

waitingroom

東京都世田谷区三軒茶屋1-5-9 メゾン湘樺101号室

4/18(土)~5/30(土)金土のみ

13:00~19:00

吉田博090418.jpg

深く暗い色彩で綴られるさまざまな気配。

さまざまなシチュエーションが描かれ、その独特の静謐、世紀末的な荒んだ雰囲気や時間の経過の速度が遅くなったかのような場面などが豊かなタッチで表現されています。

吉田博12.JPG 吉田博11.JPG 吉田博10.JPG

吉田博09.JPG

DMなどを拝見していてもっとポップなイメージを抱いていたのですが、虚無の幻想感が広がり、淡々としたなかに押さえ込まれた焦燥が潜むような、なんともいえない沈んだ感触が伝わってきます。

吉田博08.JPG 吉田博07.JPG 吉田博06.JPG 吉田博05.JPG

吉田博04.JPG

不思議な後味も印象的です。

ダークな世界観ながら、もしかしたら仕上げの効果もあるかもしれないのですが、透明感にも満ちているように感じられます。

吉田博03.JPG 吉田博02.JPG

吉田博01.JPG

藤田勇哉展「果物や花」

GALLERY SHOREWOOD

東京都港区南青山3-9-5

4/20(月)~5/21(木)日祝休

11:00~18:00

藤田勇哉090420.jpg

さまざまな果実などが精緻に描かれ、ユニークな構図が爽やかさと豊かな空間性を紡ぎ出しています。

輝きを放つブドウの粒。明るい背景にていねいに光の陰影が表現されていて、その艶やかさに心が打たれます。

加えて、直に作品を拝見すると絵肌の味わいもしっかりと伝わります。

Prints/Workshop OGIWARA 版画工房と作家たち展 祐成政徳/谷山恭子/大浦和代/津田亜紀子/祐成勝枝

gallery EM nishiazabu

東京都港区西麻布4-17-10

5/9(土)~5/24(日)月火休

12:00~19:00

em 090509.jpg

普段立体や3次元のクリエイションを展開されるアーティストが信頼できる刷り師との邂逅によって制作された版画作品が並びます。

なかでも、久々に谷山恭子さんの作品が観られたのが嬉しかったです。フェルトなどを用いて鮮やかな色彩で不思議な空間を作る谷山さんの銅版画作品、パースの効かせ方などがいかにも谷山さんらしく、また平面だからこそ自由に空間のイメージを作り上げられることもあって、実に深い世界が描かれています。

西野達「バレたらどうする」

ARATANIURANO

東京都中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3A

5/9(土)~6/13(土)日月祝休

11:00~19:00

西野達090509.jpg

ばっ

バレたらどうするんですかぁぁぁっっ!Σ( ̄口 ̄;)

佐藤雅晴「ピンクのサイ」

Gallery Jin

東京都台東区谷中2-5-22 山岡ビル1F

5/9(土)~6/6(土)月火休

12:00~19:00(最終日:~17:00)

佐藤雅晴090509.jpg

岡本太郎賞や101ではアニメーションをメインに出展されていた佐藤さん、今回の個展では平面作品で空間を構成しています。

複数の写真を組み合わせてフィクションの場面を創り出し、それをパソコン上で再構築、アニメーションと写真との狭間を絶妙のバランスで突くかのような、現実感とシュールさとがせめぎあう臨場感が興味深いです。

大谷有花展 -life-

GALLERY MoMo Ryogoku

東京都墨田区亀沢1-7-155/9(土)~5/30(土)日月祝休

11:00~19:00

大谷有花090509.jpg

前回までの個展での展開で、いったいどこへと向かうのだろう、と興味津々でいた大谷さんの世界。今回はアブストラクトな方向からハンドルを切り替えるかのようにして、本をモチーフに取り入れることで描かれる要素に自由がもたらされ、伝わりやすく、そしてやはり大谷さんならではの深みも持ち合わせる豊かな情景が描かれています。

縦長の空間を活かして、過去に発表された細長い巻物風の作品が展示されているのも楽しいです。

《5/10》

マリロー『シークレット・アンダークリーク』

petal fugal

東京都青梅市東青梅2-5-25 メゾン東青梅101

5/2(土)~5/17(日)土日祝のみ

12:00~19:00

マリロー090502.jpg

Gallery Stumpでのグループショーで拝見して以来、気になっているアーティスト、マリローさんの個展です。

展示されている作品は4点、前回発表された作品の世界観が、こうやって複数揃うと広がりがもたらされてイメージも膨らみます。

マリロー007.JPG

マリロー006.JPG

全体を覆う暗い色調は夜の闇を思い起こさせ、そこに登場するアニメーション的にキャッチーなモチーフの鮮やかな色彩や無邪気な表情が、その楽しげな感じとは裏腹の危うさを醸し出しているように感じられます。

もっといろんな場面を観てみたい、どういう物語が綴られていくか、好奇心も湧いてきます。

マリロー005.JPG マリロー004.JPG マリロー003.JPG マリロー002.JPG

マリロー001.JPG

《5/13》

入谷葉子展「お山の家」

neutron tokyo 1F Main Gallery + 2F Salon

東京都港区南青山2-17-1-1&2F

5/13(水)~5/31(日)月休

11:00~19:00(最終日:~18:00)

入谷葉子090513.jpg

庭などの身近な風景を描いたような、春らしいカラフルな色彩が気持ちいい作品が並びます。ユニークな色彩の解釈も楽しいです。

大きな作品も少なくなく、そしてこれらがすべて色鉛筆で描かれていることへも驚かされます。

櫻井智子展 「わらべの目」

neutron tokyo 3F Mini Gallery

東京都港区南青山2-17-14-3F

5/13(水)~5/31(日)月休

11:00~19:00(最終日:~18:00)

櫻井智子090513.jpg

入谷さんのカラフルな空間から一転して、3階は櫻井智子さんの水墨画が並び、静かな空間が広がります。

さまざまな生物が描かれ、墨独特の豊かな陰影、そして随所に緻密な描き込みと、迫力があって見応えも充分、小品の可愛らしい作品も多数展示されて楽しいです。

《5/14》

MIX EXHIBITION 弱肉強食

T&G ARTS

東京都港区六本木5-9-20

5/14(木)~6/11(木)日月祝休

11:00~19:00

弱肉強食090514.jpg

これまで開催されたNEXT DOORで紹介されたアーティストが多数揃い、実にバリエーションに富んだクリエイションが詰まった空間が創り出されていて楽しいです。

通り沿いのウィンドウに飾られた渡辺元佳さんの蛍光色を纏ったサルが通る人を威嚇(笑)、壁に上に描いたタブローを貼り、その上にキャンバスの作品を飾って、一双鮮やかな色彩でおおらかなイメージをもたらすJang-Chiさん、渡辺おさむさんの生クリームが楽しいのはもちろんで、 松山晃子さんの鉛筆画とコラージュとの組み合わせが知的なシュールネスを奏で、山城えりかさんはいつもと違うちょっと怖い情景を描いた作品を発表などなど、見どころも多い軽やかな展覧会です。

《5/15》

塩田千春

Kenji Taki Gallery Tokyo

東京都新宿区西新宿3-18-2-102

5/14(木)~6/13(土)日月祝休

12:00~19:00

塩田千春090514.jpg

塩田さんの作る空間を観るたびに、拝見する前のどこかダークなイメージとは異なる、もっと朴訥としたような印象がもたらされます。

今回は純白のドレスと赤い紐とによるインスタレーション。赤と白とのコントラストが奏でる絶妙な色彩感、紐の赤やドレスの白が提示するイメージは、拝見した痕にさまざまな想像となって膨らんでいくのですが、実際に目にしているときは、美しく染まる紐のものとしての感触が伝わり、思いのほかやさしい雰囲気に包まれているような印象があって、なんとも興味深いです。

そして今回はドローイングも数点展示されているのですが、これらがとにかく素晴らしいです。平面だからこそ表現できる空間がそれぞれの画面にもたらされ、ストロークは力強く、黒や赤の存在感も鮮烈かつ重厚です。アバンギャルドなイメージが遺憾なく発揮されたかのように感じられ、それがインスタレーションからキャッチするイメージにも影響して、より深い何かに触れられたかのような思いももたらされるような気がします。

昨日より始まった新国立劇場での演劇プログラム「タトゥー」の舞台美術も担当されているとのことで、こちらも時間が合えばぜひ観に行ってみたいと思います。

中島吏英 -Unwind-

void+

東京都港区南青山3-16-14-1F

5/16(土)~6/13(土)日月祝休

14:00~19:00(土:12:00~)

中島吏英090516.jpg

至高のサウンドインスタレーション。

視覚情報を一切排除し、特殊なシステムによって発音され、その臨場感はどこまでも分厚く...。

別室に展示された回転する2本の金属のスティックも、いつまでも眺めていられる味わい深いインスタレーションです。

池田幸穂展「晴れた日」

GALLERY MoMo Roppongi

東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F

5/15(金)~6/5(金)日月祝休

12:00~19:00

池田幸穂090515.jpg

楽しい!そしてかわいい!

さまざまな「庭」が描かれ、ほどよく緻密、徹底してポップ、なんとものどかでそして大胆な空間性が面白過ぎる、いくつもの楽しさに溢れたペインティングが並んでいます。

平田あすか "dejavu"

YOKOI FINE ART

東京都港区東麻布1-4-3 木内第二ビル6F

5/15(金)~5/30(土)日月祝休

11:00~19:00

平田あすか090515.jpg

このイメージの感覚は何に近いだろう、と過投げ、まず円城塔と思い、その後、舞城王太郎かと。

シュールな短編小説を読んだかのような不思議な充足感。

名古屋での個展を見逃していたので今回拝見できたことがまず嬉しい平田あすかさんの作品、ドローイング的な軽やかなテクスチャーのなかに注ぎ込まれる世界観はなんとなく難解で、具体的、なんだけど具体的に表現しようとするとどうしても曖昧な、という独特さが心に残ります。

「サイボーグの夢」-なぜ絵画はSF的なのか?-

ART TRACE GALLERY

東京都墨田区緑2-13-19 秋山ビル1F

5/15(金)~5/28(木)

12:00~19:00(金:~21:00)

サイボーグの夢090515.jpg

長沢秀之さんの企画による、見応えのあるタブローがずらりと並ぶ展覧会です。

それぞれが自身の個性を発揮し、力強いクリエイションが展開されています。

小西紀行さんや小林浩さんのお馴染みの世界観、坂光敏さんの緻密な線描、今年のムサビの卒修展で印象的だった菅亮平さんのモノトーンのグラデーションが奏でる静けさ、奇妙なモチーフが不思議な空間性を生み出している安田京平さんの作品など、じっくりと対峙したい作品が並んでいます。

太田麻里

ミヅマ・アクション

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル5F

4/22(水)~5/23(土)日月休(4/29、5/4~5/6開廊)

11:00~19:00

太田麻里090422.jpg

Mari Ota exhibition

MIZUMA ACTION

1-3-9-5F,Kami-meguro,Meguro-ku,Tokyo

4/22(Wed)-5/23(Sat) closed on Sunday and Monday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

行為が思考を追い越す瞬間を。

ミヅマ・アクションでの太田麻里さんの個展です。

階段を登り切ったところに過去のパフォーマンスを収めた映像がモニターに上映されていて、それも思わず引き込まれてしまいそうなスリリングでシュールな世界観が展開されています。

そこを通過し、ギャラリーの中へと入ると、大判のドローイング作品がずらりと並び、なんとも不思議なテイストに惑わされます。

太田麻里217.JPG

ひとつの画面の中に、それが何か分かるものと分からないものがあり、「分からないもの」のなかにも分かる感覚と分からない感覚とがひしめき合っているように感じられます。

あるモチーフがあって、作品によってはそれ自体の不確定さ「戸惑い」をもたらす大きな要素だと思うのですが、さらにそれを覆い尽くすかのようなストロークの集積が、3次元的というよりも時間的、感覚的な奥行きを生み出しているように感じられます。

画面をストロークで浸食していく、というこの「行為」が始まってから終わるまでの刹那な感触が、全体的にポップな風合いを逆に危うげなものへと押し上げているような気がするんです。

太田麻里216.JPG 太田麻里215.JPG 太田麻里214.JPG

太田麻里213.JPG

こちらの作品では、「分かるもの」と「分からないもの」のギャップがより鮮明に現れているように感じられます。

今回展示されている多くの作品での太いストロークの密集にさらに鉛筆でぐりぐりと塗り潰されていく...行為自体のアバンギャルドさ、危うさはさらに加速し、あたかも「女性がピアノを弾く」という一見穏やかな情景に潜む切羽詰まった感触、弾くという行為に意識が入り込んでいるさまを表現しているようで、それにしてはあまりにも乱暴なテクスチャーがもたらされていることに、なんともいえない焦燥感が心に沸き起こってきます。

太田麻里212.JPG 太田麻里211.JPG

太田麻里210.JPG

小さな作品も。

思い浮かんだイメージが軽やかに、感覚を動かして描かれているといったような風合いです。

太田麻里209.JPG

ストロークがもたらす動線も、大きな作品と比較すると幾分かやさしく感じられるような気がします。

サイズの小ささが、太田さんの今回の作品の画風が持つイラスト的なポップさを押田しいているように思えて、それが「楽しい実験」という感触を導いているようにも思えてきます。

こういうステージで鍛えられた瞬発力が、大きな画面の作品やパフォーマンスなどに活かされているのかも、という想像も浮かびます。

太田麻里208.JPG 太田麻里207.JPG 太田麻里206.JPG

太田麻里205.JPG

そして、パフォーマンス。

残念ながら5/5は外出が叶わず、直に接することができなかったのですが、その模様を収めたドキュメント的な映像が既に上映されていて、かつその痕跡もアバンギャルドな臨場感を空間に残しています。

太田麻里204.JPG

いったい何が行われたんだろう、と、一瞬目を剥きます。

茶色い砂状の物質の山。においはそれほどきつくなくて安心(ユマニテではにおいがきつくてかなわなかったのが忘れられず・・・・)。

太田麻里203.JPG

映像は、思わず見入ります。

「ドーナツ」をモチーフに繰り広げられる狂気の時間。

映像で拝見することで、その状況と冷静な距離を保って接することができるのですが、それでも驚かされます。

太田麻里202.JPG

太田さんのパフォーマンスの記録を拝見する度に思うのは、自らが持つ「迷い」を上回るために感覚のギアをトップに上げ、メーターを振り切らせていくような切羽詰まる感覚を大胆に蹂躙していくような「過剰な大胆さ」です。

パフォーマンスのためにあらかじめ用意されたものはあるものの、それ自体が既に「追いつめている」「追い込んでいる」ようなところもあって、ある瞬間から行為が思考を追い越しているように思えてきます。その瞬間以降はただ狂気に導かれているかのようで、そのスリルにさまざまなインパクト受けるのも印象的です。

これからどうなるんだろう、どこまで深化するんだろう、という好奇心が湧いてくるクリエイションです。

太田麻里201.JPG

田口和奈 そのものがそれそのものとして

ShugoArts

東京都江東区清澄1-3-2-5F

4/11(土)~5/23(土)日月祝休

12:00~19:00

田口和奈090411.jpg

Kazuna Taguchi It is as it is

ShugoArts

1-3-2-5F,Kiyosumi,Koto-ku,Tokyo

4/11(Sat)-5/23(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

Google Translate(to English)

ユニークなアプローチがスタイルへと力強く昇華する。

ShugoArtsでの田口和奈さんの個展です。

ここ数年、数多くのアーティストの作品や展覧会を拝見してきて、そのことについては多少は胸を張っていいかな、と思っているのですが、そういったなかで田口さんはちょっと特別というか、初めてその作品に接したときの印象とそれ以降とのギャップがもっとも大きな方のひとりで。

最初に拝見したときは、正直まったく分からず...。ただのモノクロームの写真にしか見えなかった作品は、それでも、分からないまでもなんだか「気になる」存在で、以降そのユニークな行程を知ってあらためて興味が沸き、モンタージュの作品を拝見してノックアウトされてから後は常にそこに漂う独特の気配とどこまでも深くへと沈み込んでいくような闇の奥行き感に魅せられて、今ではむしろ前傾姿勢で「気になる」アーティストの一です。

もっとも、最初にその魅力に気付けなかったことは記憶にしっかりと残っていて、田口さんの作品を拝見するたびに、大げさにいうと「懺悔」の気持ちが沸き起こり、第一印象で決めてしまうことの危うさともったいなさを思い出させてくれるんです。

そして今回の個展では、僕が初めて拝見した田口さんのシリーズ、天体を描いた作品が登場していて、その面白さに、深みにあらためて接する機会が得られたことがとにかう嬉しく感じられます。

田口和奈15.JPG

空間を支配する情景。

展示されている5点のうち3点が天体がモチーフとなった作品。

今では多くの方がご存知の通り、田口さん自身の手による絵画が被写体となり、撮影された写真作品で、大きな画面に引き伸ばされ、壮大なスケール感を放っているように感じられます。また、黒のフレームに収められ、それが空間的にシャープにトリミングするような効果をもたらし、イメージもいっそう膨らんでいきます。

そして、至近で眺めると微妙にキャンバスの目地が見えるようであったり、また引き伸ばされることで極小のストロークが広がって不思議なグラデーションをもたらしていたりと、ユニークな過程がさまざまな効果やテクスチャーをもたらしているのも大変興味深いです。

また、繰り返しになりますが、もっとちいさな画面を引き伸ばしていることで写真自体の密度が薄まり、本来意図した密度を再現するために写真の上から直に白い点が描き加えられていて、それが独特なスリルをもたらしているようにも思えてきます。低反射のアクリルが画面にかぶせられているためにテクスチャーとしての臨場感は抑えられているのですが、明らかに異なる質感の「白」の輝きが広がっていて、至近で拝見したときのミニマムな面白さが加速します。

感覚的に、写真に「描く」行為、絵の具などを重ねる行為はタブーなような気がして、敢えてその写真としてのナイーブな部分へと踏み込まれているのがたいへん興味深く、田口さんにとって自身のクリエイションのもっとも大事な部分がどこにあるかを思い起こさせてくれるような気もして、いっそうその世界に入り込んでいきます。

田口和奈14.JPG 田口和奈13.JPG 田口和奈12.JPG

田口和奈11.JPG

女性がモチーフとなった作品。

ポートレイト風の展開からだんだんと情景や気配を思わせるように変化してきて、今回出展されている作品はその気配がより繊細に、深遠に漂っているように思えます。

ふわりと広がるモノトーンのグラデーションのなかに浮かび上がる女性、意識があるようなないような、なんとも不思議な表情が作り込まれ、異界のオーロラのような雰囲気とともに揺らめく空気感を奏でます。

そしてこの作品でも、絵画的な味わいがその気配に深みときわめて繊細な混沌をもたらします。キャンバスに筆が擦れあう音が聞こえてきそうな筆痕がある瞬間に際立って意識に主張を始め、この緩やかなで幻想的な気配から一気に現実的な雰囲気へと引き戻してしまうかのような...。

田口和奈10.JPG 田口和奈09.JPG 田口和奈08.JPG

田口和奈07.JPG

奥まった一角には、今回初めて拝見するモチーフ、樹木の作品が。

田口さんの制作過程を考えると、おそらくはひとつの木から描かれてはいないだろうという想像が湧く時点で既に、この幽玄な気配へと引き込まれてしまっているように思えます。

ペインティングを撮ることでもたらされる色彩感も鮮烈で深い魅力を放ちます。独特のグレートーン。レンズを通過し、印画紙に引き伸ばされることでペインティング時点でのグラデーションに変化がもたらされるのはおそらく間違いなく、それがここでしか出し得ない色調を生み出しているようにも思えてきます。

そして何より、画面に佇む樹木の圧倒的な静謐、さらに細かい枝が画面上でかさなり、交錯することで生まれる混沌にも視点が引き寄せられていきます。無音の音のイメージ、陰影がもたらす気の流れ、現実にある空気感とは明らかに一線を画す雰囲気が満ち溢れているように思えてきます。

田口和奈06.JPG 田口和奈05.JPG 田口和奈04.JPG 田口和奈03.JPG

田口和奈02.JPG

たいへん野暮な考えですが、ペインターがもつジレンマに、自身が作る作品は基本的にそれ1点しか存在しない、有り体に申し上げると「複製」が存在し得ないということがあるように思えます。

それを覆すためのアプローチに版画や出力があり、おそらく自身が描いた作品を撮影して写真作品として発表するのもその手法のひとつだと思います。

しかしそれをやってしまうことの後ろめたさというか、観る側にとってもそういう過程を経て複製化された作品に対してはなんとなく残念な感じがするというか...。

翻って、田口さんの作品にはそういった印象は微塵もなく。

単純に複製化を目的とするようないわゆる「安易」とは隔絶の距離を置き、むしろその手法だからこそ表現しうる世界観を手にするだけでなく、その世界を作り上げるすべての過程に必要性がもたらされているように思えるんです。そしてその積み上げが分厚い説得力を生み出しているように思えます。

「そのものがそれそのものとして」というタイトルにもあらためて感じ入ります。

「それそのもの」がいったい何を示すのだろう、と想像し始めると、それだけで時間を忘れて没頭してしまいそうです。

これからどういった情景が紡がれていくのだろう、と、好奇心も静かに煽られます。

今後の展開も実に楽しみです。

田口和奈01.JPG

AUDREY KAWASAKI SOLO SHOW Watching Shadow「かげぼうし」

SPACE YUI

東京都港区南青山3-4-11

5/7(木)~5/16(土)日休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

Audrey Kawasaki 090507.jpg

AUDREY KAWASAKI SOLO SHOW Watching Shadow

SPACE YUI

3-4-11,Minami-aoyama,Minato-ku,Tokyo

5/7(Thu)-5/16(Sat) closed on Sunday

11:00-19:00(last day:-17:00)

Google Translate(to English)

妖しく、幻想的な「影」が、朧げに漂う・・・

SPACE YUIでのオードリー・カワサキさんの個展です。

ただ、その雰囲気に魅せられます・・・

おそらくこういう絵、あるいは世界観は既に数多く接しているだろうと思います。

いわゆる「新しさ・斬新さ」といった意味での新鮮さが強く放たれているわけでなく、むしろそこに描かれる情景自体にはある既視感がよぎります。

本来、既視感の支配する力は相当に強いものだと思います。強張っている、強固と表現してもいいかもしれないと思います。しかし、その強さすら、この繊細さ、絶妙さには平伏せます。

それほどの説得力を持って、やさしく、儚く迫ってきます。

ただ美しい世界に接している充実感。そして、それが「ただ」では済まされず、魔法のようにその情景、雰囲気に一色が引き寄せられ、感性が満たされていくような感じです。

額に収められた世界。

ジークレープリントの作品群が並びます。

高性能の印刷技術が遺憾なく発揮され、微妙な陰影が、すらりとたわむ線が、板の地の木目のナチュラルな風合いが、鮮やかに再現されています。

それぞれに「閉じた世界観」が繰り広げられていて、その情景への生々しくも、かといって絶対に踏み込めない、触れることの出来ない遠さ、そして、触れてはいけない繊細さに満たされているように思えます。

AUDREY KAWASAKI18.JPG AUDREY KAWASAKI17.JPG AUDREY KAWASAKI16.JPG

AUDREY KAWASAKI15.JPG

ペインティングの作品は、支持体に板が採用されています。

3点展示されている、幹のかたちがそのまま用いられ、そこに女性の姿が描かれた作品。それぞれの憂いを帯びた表情や仕草、その美しさに感じ入ります。

AUDREY KAWASAKI14.JPG AUDREY KAWASAKI13.JPG

AUDREY KAWASAKI12.JPG

さらに進化する表現。

モチーフのかたちにカットされる板、それらが組み合わせられて、立体的なアプローチが挿入され、かたちの面白さや独創的な空間性が生み出されています。

AUDREY KAWASAKI07.JPG

この手法すら、ユニークな手法への好奇心というよりも、この手法だからこそ導きだされる雰囲気があることへの感覚的な確信へ引き寄せられるような感じです。

こちらの作品では、空間性がさらに深いところへと押し拡げられているような印象を覚えます。

こちらを見据えるかのような、澄んだ据わった目線の力。ゆらりと揺らめきなびく髪の毛に囲まれる胸より上の部分と、それとは別のパーツで重ねられる肘より先の両腕。この奇妙さの説得力といったら...。

全体的にレイドバックしたような色調にもおおいに惹かれ、またくっきりと描き現される線の豊かな表情にも唸らされます。

AUDREY KAWASAKI10.JPG AUDREY KAWASAKI09.JPG AUDREY KAWASAKI08.JPG

AUDREY KAWASAKI11.JPG

シンプルに板に描かれる作品が続きます。

さらに世界観が深まっていきます。

AUDREY KAWASAKI06.JPG

今回の日本での個展にあわせて制作されたという作品。

こんなにも緩やかでふくよかで、繊細に表現される瞬間はそうはないような気がします。

両脇に浮遊するように描かれるたくさんの夜の街の看板や提灯、街灯。絶妙な配置がリアルで幻想的、という感じの奥行きを醸し出し、その中央に描かれる現代の見返り美人...さまざまな想像がよぎり、この情景の、この瞬間の厚みがぐんぐんと増していきます。

AUDREY KAWASAKI05.JPG AUDREY KAWASAKI04.JPG

AUDREY KAWASAKI03.JPG

木製のブローチも。

このサイズに収められたときの可愛らしさも堪らなく感じられたり。。。

AUDREY KAWASAKI02.JPG

さまざまな要素がクロスオーバーして紡ぎ上げられるような世界です。

色彩感の味わい深さ、随所にセンスよく織り込まれるテクニカルなアプローチ、線画としての可憐さは、究極のイラストといった風合いを放ちます。イラスト的な軽妙さ、ライトさは保持しつつ、ほんのりと暗さや危うさが射し込まれ、密度とは異なる精度も極められたような印象です。

会期が短いのですが、ぜひとも多くの方にこの世界に直に触れ、ゆったりと浸っていただきたいと願います。

AUDREY KAWASAKI01.JPG

中岡真珠美展「View Point」

アートフロントグラフィックス

東京都渋谷区猿楽町29-18 ヒルサイドテラスA棟

4/28(火)~5/31(日)月休

11:00~19:00

中岡真珠美090428.jpg

Masumi Nakaoka "View Point"

ART FRONT GRAPHICS

29-18-A,Sarugaku-cho,Shibuya-ku,Tokyo

4/28(Tue)-5/31(Sun) closed on Monday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

アートフロントグラフィックスでの中岡真珠美さんの個展です。

これまで折に触れて拝見してきて、特に昨年の第一生命ギャラリーとO gallery eyesでの同時期開催の個展で拝見したときの画面の外側へのベクトルすべてに向かって拡散するようなおおらかなスケール感と、そのイメージを生み出させるクリアな抽象性とが爽快な印象となって鮮烈に残っているのですが、今回の個展で発表された作品はこれまで尽き進められるようにして高められていたような感じがする抽象性がひとまず抑えられ、それぞれの作品の礎となる風景の臨場感が比較的強く残され、その具体的なイメージとの距離感が接近したような感触が実に新鮮に感じられます。

中岡真珠美117.JPG

白の白さが清潔で爽やかな風合いを醸し出す、中岡さん独特のマチエルは健在です。

しかし、風景としての臨場感が、特に横長の作品において、水平方向への豊かな広がりを思い起こさせてくれます。

壮大なスケール感も、より具体的なイメージとなって思い浮かびます。山際を連想させる鮮烈で伸びやかなラインが、また、くしゃくしゃと筆で施される曖昧なテクスチャーが...画面に現れる様々な表情が響き合い、現実にはあり得ない色彩ながら感覚的に分かる感じがして、再構築される記憶のように響きます。

中岡真珠美116.JPG 中岡真珠美115.JPG 中岡真珠美114.JPG 中岡真珠美113.JPG

中岡真珠美112.JPG

ひとつの作品に用いられる色彩の数も増えたように思えるのも新鮮です。

これまでは比較的、作品ごとに「何色の作品」と呼べるような感じがしていたのですが、今回は白が主体であることは変わらないながらも、そこにもたらされる色彩に多様性が持ち合わせられることで、その情報の多さも具体的なイメージの距離感を近くしているように思えてきます。

中岡真珠美111.JPG 中岡真珠美110.JPG 中岡真珠美109.JPG 中岡真珠美108.JPG

中岡真珠美107.JPG

そして、今回の個展で発表されたなかで興味深いのが、これまでであれば白がキープされた部分にパール系の色が施された作品です。

うっすらと広がる淡いきらめきが、これまでとはひと味もふた味も違う風合いを奏でます。

中岡真珠美106.JPG

どこまでも突き抜けていくかのような爽快な白がパール色に染まることで、その情景に影が射し、レイドバックしたような雰囲気がふわりと広がって、不思議な空気感がもたらされるように感じられます。

広がる気配が「空」ではなく「海」に変わるような...それが「海」であるかどうかは定かではないものの、時間帯のイメージなども違って感じられるんです。

中岡真珠美105.JPG 中岡真珠美104.JPG 中岡真珠美103.JPG

中岡真珠美102.JPG

オープニングの日にのみ展示されていたドローイング作品も大変興味深いものでした。

カシュー素材を用いるなどして作り上げられる立体的なマチエルを持つキャンバスの作品への過程が伝わるような、スリリングな臨場感に溢れています。

目にしたもの、そのなかから印象的なものを画面に起こしていく行程の感触が生々しく、しかしキャンバス作品に通じる豊かな空間性や色彩感はそこにもしっかりと息づいていて、実に納得できる印象です。

抑制の利いた抽象性と、風景のモチーフが醸し出すリアリティとの絶妙なバランスが、これまで中岡さんが積み上げてこられたイマジネーションとスキルで表現される世界に広がりをもたらしたような感じが嬉しいです。

中岡真珠美101.JPG

梅田哲也「迷信の科学」

OTA FINE ARTS

東京都中央区勝どき2-8-19-4B

4/25(土)~5/22(金)日月祝休

11:00~19:00

梅田哲也090425.jpg

Tetsuya Umeda "Science of Superstition"

OTA FINE ARTS

2-8-19-4B,Kachidoki,Chuo-ku,Tokyo

4/25(Sat)-5/22(Fri) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

雑然の中に、無数に潜むクールなアクセント。

そのかっこよさに、あらためて脱帽。

OTA FINE ARTSでの梅田哲也の個展です。

薄暗いギャラリーのそこかしこに配置される数々の「現象」。

それが何であるか分かるさまざまなものが組み合わせ、加工され、ギャラリースペースの各所に配置されて、深い時間を遅々と紡いでいきます。

梅田哲也11.JPG

梅田哲也10.JPG

「スイッチ」として機能する扇風機。

羽のモーターのスピードに手が加えられ、して羽が外された代わりに接点となる針金のようなものが取り付けられ、金属製のフェンスに引っかかりながら回転。フェンスと接点が接する瞬間にごく微小な火花が散り、その瞬間、配線が繋がる別の電球が光を灯し、あるいはチューブか何かに空気が送り込まれてバケツなどに溜まる水を揺らします。

それぞれの「かたち」としての生々しさ、臨場感は、身近であるぶん余計にスリルを伴って迫ります。

ちらちらと繊細に灯る光の儚げな風合いが、または唐突に放たれる強烈な光やバケツ内の水が鳴らす振動音など、それぞれのアタック感のインパクトが、空間全体の光景とのギャップをもたらしているようにも感じられ、そのギャップがこちら側の感性を別の世界へと引きずり込んでいくかのように感じられます。

梅田哲也09.JPG

梅田哲也08.JPG

カウンター奥にもひっそりと、シンプルなフォルムの作品が。

天井から吊り下げられたバーがスピードを変えながら回転し、時おり尖端の電球を灯らせます。この感じは実に素朴で、妙に愛おしく、かわいらしくも思えてくるから不思議です。

梅田哲也07.JPG

今回、分かる範囲でもっとも多くの「もの」と「現象」とが組み合わせて展開されるのが、およそギャラリーの入り口からいうと左奥の一角に展開されたインスタレーション。

実にバラエティに富んだ事象がひとつの配線のなかで引き起こされていきます。その過程を確認するように眺めるのがとにかく面白く、好奇心を煽り、すこしずつ仕組みを理解していくのも楽しく感じられます。

梅田哲也06.JPG

ここで展開される「器具」のなかでももっとも奇天烈な存在感を放つのが、天井から吊るされるバーに吊り下げられた樹脂の容器とさらにそこにぶら下がる指金。

梅田哲也05.JPG

そしてその真下に鎮座する、なみなみと濁る液体が満たされた樽。

梅田哲也04.JPG

この「現象」がどういう仕組みで起こるのかが僕の想像力と知識とではしっかりと説明できずもどかしいのですが、ある条件が整ったときに吊るされた容器に水が注ぎ込まれ、その重さで指金が樽の中へと沈んで通電、その一角のあらゆる「もの」が一斉に「現象」を引き起こします。

梅田哲也03.JPG

バケツ内などの明かりが灯り、チープなレコード盤が回転してキュルキュルとユーモラスなノイズを奏で、その一瞬、ギャラリー全体が明るく、騒がしくなります。

この一瞬の不思議な爽快感というか、達成感、高揚感がこちらの好奇心を満たし、それまでの、ここで進む時間との対峙から解放されるような感触も沸き立つんです。

あまりにも一斉に起こるので、それに惑わされるような印象もあり、それすら痛快に感じられます。

梅田哲也02.JPG

昨年の水戸芸術館クリテリオムでの展示と、今年初めのART@AGNESでのオオタファインアーツのゲストルームでのインスタレーション、それぞれの空間に充満していた知性とスリルの交錯。それらは強く印象に残っていて、今回の個展ではいったいどんな展開を、と興味津々だったわけですが、ぱっと目にした瞬間のむしろ雑然とした感じ、有り体に表現するとガラクタの集積といった感じがすると思うのですが、分かっているとそこにいったいどれだけのアイデアとインスピレーションが詰まっているのだろう、と、期待と高揚でいっぱいになるんです。

これまでの経験で培った独自のスキルと理論、そして自らの制作を通じ、またさまざまなジャンルとの交流によって獲得した感性とが相まって創り出される刺激的な空間。

その過程の中で、空間自体が持つポテンシャルも冷静に見極めながら(例えば配線の具合や、今回の展示でいうと床の耐水性も大事な要素だったようです)、ランダムに見えるようでいて実は絶妙な配置でそれぞれのアイテムが落とし込まれていて、それが空間全体の説得力を深化させているようにも感じられます。

とにかく面白い、そしてなによりかっこいい。文句なしにかっこいい!

ここでしか得られない刺激が、梅田さんのクリエイションに触れることでしかもたらされないイメージが確実に存在していると思います。

実際に展示空間に接し、そこで引き起こされる無数の現象と、それが構築する深遠な世界を体感してほしいです。

梅田哲也01.JPG

一括りにしてしまうのは乱暴なのですが、田中功起さんの最近の目覚ましい活躍や金氏徹平さんが横浜美術館で大規模な個展を開かれていたりと、最近、日常の素材のあからさまな引用でさまざまなイメージを提供するクリエイションに注目が集まっているように感じられます。

出来上がった作品なり空間とイマジネーションやインスピレーションとの距離が、例えばペインティングや彫刻などと比較するとカ格段に短いように思える、というか、反射神経速度を限りなく短くすることで、作品に反映されるイマジネーションの純度を上げているような感じがするクリエイション。

無論、その過程にはペインティングなどとはまったく異なるイメージのの編集作業は存在しているはずで、むしろそこにある程度の、もとい相当の深さや厚みがないと説得力の有る「作品」は生み出されないとも思います。それを踏まえて、こういったアーティストが繰り出すアプローチのユニークさに、最近は僕自身もおおいに惹かれます。

[輝く暗闇]赤羽史亮

magical, ARTROOM

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F

4/17(金)~5/14(木)日月祝休

12:00~20:00

赤羽史亮090417.jpg

"Shining in the dark" Fumiaki Akahane

magical, ARTROOM

1-18-4-3F,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo

4/17(Fri)-5/14(Thu) closed on Suncay Monday and natinoal holiday

12:00-20:00

Google Translate(to English)

ざわめくマチエルが放つ重厚感。

闇に潜むユーモア。

magical, ARTROOMでの赤羽史亮さんの個展です。

前回の個展やTWS本郷での展覧会などで拝見して、臨場感たっぷりに、盛り上がる油絵の具で描かれるひたすら黒い情景のインパクトが強く印象に残っているのですが、今回の個展のDMを拝見し、その変化にまず驚かされた次第。

色彩的にも、そしてモチーフ的にも情報量が格段に増え、複雑さ、混沌がユーモラスに展開されていて、いったいどうなっているのだろう、と楽しみで。

エレベーターを降りた一角、比較的ちいさな作品が出迎えてくれます。

この後に続いて拝見する大作群と比較すると、リラックスしているというか、いろんなことが楽しく試されているような感じが痛快です。

白を多く用いて全体的な雰囲気が軽やかに感じられるもの、モチーフのシンプルさとこれまでの作品には登場しなかったくるくると細やかに舞う線。ベースとなる黒の深さ、その強さは変わらないものの、そこに灯るさまざまな要素がポジティブな風合いを醸し出しているように感じられるんです。

小品はカウンター奥の棚などにも多数飾られていて、それぞれの色彩的な密度と遊び心とが小気味よく空間に配されている様子もなんとも楽しく思えてきます。

赤羽史亮23.JPG 赤羽史亮22.JPG 赤羽史亮21.JPG

赤羽史亮20.JPG

メインスペースは圧巻のひとこと。

どっしりとした大作がずらりと展示され、その迫力と混沌に気圧されます。

赤羽史亮19.JPG

多用されるキノコのようなモチーフ(タイトルを拝見すると実際にそれをキノコと解釈してもよいのかもしれない、と思います)。

その姿は実にユーモラスで、その無邪気なかたちが楽しいイメージを増長させてくれます。そしてその周りを複雑に交錯するさまざまなテクスチャー、緩急に溢れる線、無数に灯るドットなどが、凄まじくアバンギャルドな混沌を生み出し、この躁状態とも表現していいような感じのマチエルが、こちらの感性を煽ってくるかのような。

明らかにオーバードーズな感触、実に騒々しい感じがして、それが不思議と楽しく感じられるんです。

赤羽史亮11.JPG 赤羽史亮10.JPG 赤羽史亮09.JPG 赤羽史亮08.JPG

赤羽史亮07.JPG

至近で眺めると今度はそのテクスチャーに、そしてさらに加速度的に密度を増す情報量に圧倒されます。

ひとつのストロークがもたらす絵の具の盛り上げ。ふたつの、あるいはそれ以上の色彩が接し、際どく混ざり合う、さらにあたかも油絵の具の塊が叩き付けられる瞬間のをそのまま残すかのようなかたちなど、さまざまな緊張がそこかしこに存在し、それが束になって襲いかかってくるような印象ももたらされます。

イマジネーションが明らかに異なる次元に誘われていくんです。

赤羽史亮18.JPG 赤羽史亮17.JPG 赤羽史亮16.JPG

赤羽史亮15.JPG 赤羽史亮14.JPG 赤羽史亮13.JPG

赤羽史亮12.JPG

ダークトーンの臨場感も無論健在ながら、そこで展開される状況が全然違うように思えるのも興味深いです。

これまでの作品を思い返して、「闇」が「闇」であった状況、闇のなかで大きなものがうごめき、そこに尋常でない@「熱さ」が存在するかのような深く重い迫力がじっくりと迫ってくる感触から、今回は闇のなかでとにかく賑やかに、奔放にいろんなものが騒いでいるかのような、なんとも楽しげな情景のイメージが浮かんでくるんです。

タイトルの「『輝く』暗闇」という言葉にもあらためて大いに納得させられます。深い闇に閃光が走った刹那、

なんかいっぱいいるぞ!Σ( ̄口 ̄;)

なんかいっぱいいるぞぉぉっ!Σ( ̄口 ̄;)

と瞬間的に高揚がもたらされ、叫びだしたくなるような感じにも思えるんです。

赤羽史亮06.JPG 赤羽史亮05.JPG 赤羽史亮04.JPG 赤羽史亮03.JPG

赤羽史亮02.JPG

このアグレッシブな感触は実に痛快です。

闇が暗さに転化されない、そんな感触。赤羽さんが描く情景は僕のイメージでは確実に「異界」で、しかしここにはネガティブさはなく、例えばここに登場するものたちがいわゆる「お化け」的なものだったとして、食べちゃったりするとさすがに具合が悪くなるかもしれないんですけど、それを眺めているだけ、あるいはちょっとその賑やかさに加わってみる、そうするとちょっと外見がおどろおどろしいのも案外かわいいものだな、と思えるかも...そういうのと近い感情が生まれるような印象です。

加えて、そういったある意味コミカルな世界観が貫かれつつも、凄まじく激しいマチエルが放つアバンギャルドなインパクトは、最初に目にしたときに瞬間的にやられてしまったインパクトがそのまま持続されるだけでなく、むしろさらに激しさを増し、混沌のメーターがどんどんあがっていくような感じもまた痛快なんです。

とにかくは、画風の変化に驚かされ、そこで繰り広げられる情景に気圧され、引き込まれた次第です。

どういうふうに広がっていくか、楽しみです!

赤羽史亮01.JPG

《4/29》

ART AWARD TOKYO 2009を拝見。

今年は都内だけでなく、京都市立芸術大学、愛知県立芸術大学の卒業・修了制作展も観に行って、どんなアーティストの作品がピックアップされるかを予想したりするのも楽しかったのですが、やはり印象に残った方が選ばれているのを見付けたりすると、嬉しいのと同時に、ほんの数ヶ月前のことなのに妙に懐かしく感じられたりして。

レセプションにも参加し、今年のグランプリがwahのお二人と発表された瞬間、

賞金でヘビ花火10万個か!Σ( ̄口 ̄;)

とか思って思わず涙が出そうに(汗)。

興味深いクリエイション、足を運ぶことができなかった大学からの作品や、観たはずなのにあらためてその素晴らしさに気付かされたものなど、観ていて様々な思いが過り、ホントに楽しいです。

《4/30》

SIDE 2コレクション展

GALLERY SIDE2

東京都港区東麻布2-6-5

4/25(土)~5/11(月)日月休

11:00~19:00

GALLERY SIDE2所属アーティストの作品がほどよいバランスで展示され、ギャラリーの独特のスタンスが垣間みられて大変興味深く感じられます。

まず佐藤姿子さんの作品。小品が中心で、大人の遊び心が満ちたような感じです。

ペインティングなどに詰め込まれるお洒落な感覚が印象に残ります。

佐藤姿子003.JPG 佐藤姿子002.JPG

佐藤姿子001.JPG

先の2人展も印象に残っている藤田淳さん。

タブローと版画の展示で、ある法則に導かれて描き出される抽象的でかつくっきりとした紋様のリズム感が楽しいです。

藤田淳003.JPG 藤田淳002.JPG

藤田淳001.JPG

渡辺泰子さんは、フェルトと紙の作品を。

壁に留められる鳥のシルエット、ピンで留められ、山並みの風景を創出する紙の作品。それぞれ、展示されている状況の緊張から解放されると平面に、1枚の平らな素材に還ってしまう、そういう想像が、切り抜かれて表現される情景の臨場感と相まって不思議な深みをもたらしているように思えます。

渡辺泰子004.JPG 渡辺泰子003.JPG 渡辺泰子002.JPG

渡辺泰子001.JPG

花澤武夫さんのペインティング、まずは大作、これがすごくいいんです!

101TOKYOにも出品されていたというこの作品、手をつないで踊るカエルたちが放つ奇妙で楽しそうな雰囲気、背景に広がる縦のストライプのケレン味のなさとそこに絡まる赤や黒、亀の後ろあたりにモクモクと広がる白、そして下方の円形に植わる植物、などなど。。。それぞれのモチーフの意味こそ掴むのが難しい印象を得るのですが。それ以上に全体に満ちる「和」のテイスト、エキゾチックな雰囲気におおいに惹かれます。

遊び心をそのまま画面に起こすような無邪気な筆遣いの、随所にもたらされる緻密な描き込みや再現性がさらに興味深さを加速させてくれます。

花澤武夫208.JPG 花澤武夫207.JPG 花澤武夫206.JPG 花澤武夫205.JPG

花澤武夫204.JPG

カルチャーシーンとのユニークな距離感でモチーフをピックアップし、構成する小品などの展開も、変わらぬ面白さを秘めています。

花澤武夫203.JPG 花澤武夫202.JPG

花澤武夫201.JPG

直後に個展を控えるムラタ有子さん。

こちらも独特の濃密な素朴がちいさな画面からじんわりと伝わってきます。

ムラタ有子302.JPG

ちいさな作品が空間に響くような感じは痛快です。

爽やかな色使いとふくよかな絵の具の質感が、豊かな情景のイメージを盛り上げてくれます。

ムラタ有子303.JPG

ムラタ有子301.JPG

牛島孝さんの作品が、先の花澤さんの作品と向かい合わせで展示されているのが、個人的にすごく嬉しいです。

昨年秋の横浜の住宅展示場でのアートフェアで、この二人の作品が々和室に展示されていたときの空気感が脳裏に蘇ります。

牛島孝006.JPG

牛島孝005.JPG

それぞれ、実に個性的なエキゾチシズムを奏でながら、ひたすら妖し気なバランス感覚を保持しながらヴィヴィッドに濃密な世界を繰り出す花澤さんと、和紙や墨、箔の素材感がシャープに立ち上がるほどに生々しくも深い「間」を奏でる牛島さん、それぞれの世界観が補完し合ってさらに深遠なイメージをもたらしてくれているような感触が心に深く響きます。

牛島孝004.JPG 牛島孝003.JPG 牛島孝002.JPG

牛島孝001.JPG

Dawn,Moon,World:New Photo Works by Ruud van Empel

GALLERY TERRA TOKYO

東京都港区麻布台2-3-5 NOAビル1F

4/18(土)~5/23(土)日月祝休

11:00~19:00

Ruud van Empel 090418.jpg

実に洗練された、複雑に作り込まれるコラージュフォト作品。

ひとつひとつの色彩の瑞々しさはもちろん、ひとつの画面に無数に取り込まれるさまざまな要素が、陰影なども徹底して理詰めともいえるようなていねいなアプローチで鮮烈な情景を導きだしています。

Ruud van Empel 05.JPG

Ruud van Empel 04.JPG

「月」をモチーフにした作品の闇の暗さも印象的です。

描かれる子どもも実在するのではなく、さまざまな人のパーツなどをパソコン状で組み上げてひとつの情景を描き出す、そのプロセスにも感嘆させられます。

Ruud van Empel 03.JPG

Ruud van Empel 02.JPG

妙に具現的な表情を現しながらも、瑞々しい色調の中にどこか危うい雰囲気を漂わせているような感じもしてきます。

登場する子どもたち、その表情にも無数の人のパーツが組まれているらしいのですが、それぞれくっきりとした表情を浮かべていながらも匿名性が力強く押し出されているような感覚にも大いに引き込まれるようにも思えます。

Ruud van Empel 01.JPG

小島千雪展 リズミカルム

ギャラリー山口

東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビルB1F

4/27(月)~ 5/2(土)

11:30~19:00(金:~21:00、最終日:17:00)

小島千雪090427.jpg

映像作品と、プリントされたジグソーパズルの作品とが展示されていました。

ジグソーパズルの作品は、何らかの彫像を捉えた画像が薄暗くプリントされています。

小島千雪16.JPG

並ぶ作品が、時間による変化を現しているように感じられ、映像作品にも通じる小島さんの独特の深みが印象的で、興味深いです。

小島千雪15.JPG 小島千雪14.JPG

小島千雪13.JPG

映像作品は3点、あわせて7分ほどに纏められていて、それぞれじっくりとチェックできたのがまず嬉しかったです。

いくつかの空の変化を続けて捉えた作品、雲の動きとその変化のダイナミズムが緩やかに展開される様子におおらかなイメージがわいてきます。

小島千雪12.JPG 小島千雪11.JPG 小島千雪10.JPG

小島千雪09.JPG

どこかの博物館のアトリウムで定点撮影された作品。

硬質な空間、正面の階段の部分などに人の流れが次々と変化し、その行き交う人々の状況を無機的に捉えたときに現れる色彩や密度の展開に、不思議と引き込まれます。

小島千雪08.JPG 小島千雪07.JPG 小島千雪06.JPG

小島千雪05.JPG

チンパンジーの作品も、ゆっくりと、しかし次々に切り替わる画面に絵画的な抽象性が繰り出されて面白く感じられます。

小島千雪04.JPG 小島千雪03.JPG 小島千雪02.JPG

小島千雪01.JPG

小島さんの作品を拝見したのは昨年の東京都写真美術館での「液晶絵画」で、そのときは10分超の映像作品で、そのときに感じた緩やかな時間の変化が今回は3つのバリエーションで展開されていたように感じられた次第。

バラエティに富んだ変化とともに、映像の美しさ、透明感も印象に残っています。

《5/2》

関口潮 新作展

AISHO MIURA ARTS

東京都新宿区住吉町10-10

4/28(火)~5/17(日)月休

13:00~21:00(日:~19:00)

木版画特有の味わいを保持しつつ、無数の水泡が描き現され、爽やかさ、軽やかさを醸し出して、新鮮な印象が伝わります。

複雑に組み上げられる密度が絶妙なコントラストを導きだし、全体に豊かな濃淡をもたらして、そのスケール感にも引き込まれます。

関口潮08.JPG 関口潮07.JPG 関口潮06.JPG 関口潮05.JPG

関口潮04.JPG

さまざまな大きさ、厚みの作品が揃っているのも楽しいです。

摺りの加減が巧みにコントロールされ、すっと入り込むような黒の深さと消え入りそうな淡さとが生み出す陰影感にも感じ入ります。

関口潮03.JPG 関口潮02.JPG

関口潮01.JPG

いしかわかずはる 個展「welcome home」

YUKARI ART CONTEMPORARY

東京都目黒区鷹番2-5-2 市川ヴィラ1階

5/2(土)~5/30(土)日月火休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

いしかわかずはる090502.jpg

画面に乗る糸が紡ぐさまざまな情景。

背景の色と糸の色とが絶妙に合わせられ、さらに今回はひとつの作品に複数の色が用いられたり透明のアクリルが重なりレイヤー状の展開が繰り出されるなど、さまざまな手法を取り入れながら、それが手法の工夫に留まらず、あたたかみとやさしさに溢れる雰囲気が伝わってきて、なんとも和やかな気分に浸れるんです。

《5/3》

金氏徹平:溶け出す都市、空白の森

横浜美術館

神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1

3/20(金)~5/27(水)木休

10:00~18:00(金:~20:00)

金氏徹平090320.jpg

僕にとって、金氏さんは「色」の人、そういう印象を新たに持った次第です。

さまざまな素材に注がれるようにかかる樹脂の白、コーヒーの染みの茶色。ひとつのインスタレーションや立体作品にもたらされる色彩の統一感が、ユニークなスケール感と深い世界観をもたらし、その色彩にイメージが包み込まれていくような感じがするんです。そして、その色彩の統一感のなかに微妙な陰影、グラデーション、コントラストが組み込まれ、そのミニマムな味わいも楽しいです。

渕沢照晃展「春材」

ポラリス☆ジ・アートステージ

神奈川県鎌倉市台1752-10

3/28(土)~5/3(日)金土日のみ(4/29開廊)

13:00~19:00

渕沢照晃090328.jpg

ミニマムなストロークの集積で壮大な情景を紡ぎだす渕沢さんのポラリス☆ジ・アートステージでの個展、まず三方がガラス張りの空間に展示された作品におおいに引き込まれます。

ペンから筆に持ち替え、ひとつの線に強弱がもたらされ、さらに味わい深いリズムを生み出しながら、これまでにない妖艶な雰囲気を充満させ、うねるようなダイナミズムが展開されていたのが強く印象に残ります。

空間の中央に吊るされ、わずかな風に揺れる作品群。半透明の支持体も、浮遊する儚げな雰囲気を演出しているように感じられました。伺った時間はまだ明るかったのですが、もっと陽が落ちると深遠な雰囲気が立ちのぼったのだろうなぁ、と。。。

渕沢照晃312.JPG 渕沢照晃311.JPG 渕沢照晃310.JPG 渕沢照晃309.JPG

渕沢照晃308.JPG

奥のコンパクトなスペースにも、さまざまな作品が。

渕沢照晃307.JPG

パネルにペンで描かれた作品も展示されていて、こちらの凄まじい密度が放つ濃密な陰影感にも大いに唸らされます。

渕沢照晃306.JPG 渕沢照晃305.JPG 渕沢照晃304.JPG 渕沢照晃303.JPG

渕沢照晃302.JPG

そして、会期中に描かれた作品も。

今会期では未完に終わったようなのですが、それでも豊かな空間性とひとつのストロークの濃淡の豊かさが、これまでにないエキゾチックな雰囲気をもたらしているように感じられ、これからの展開も楽しみになってきた次第です。

渕沢照晃301.JPG

藤田道子 -虹になる-

Gallery惺SATORU

東京都武蔵野市御殿山1-2-6 ビューキャニオン吉祥寺御殿山B1F

5/3(日)~5/31(日)火水休(5/4、5/5開廊)

11:00~19:00

藤田道子090503.jpg

爽やかで繊細な色彩によるシルクスクリーン作品。

リボンや目元をモチーフに淡々とした雰囲気を紡ぎ、適度な深みを生み出しています。

藤田道子05.JPG 藤田道子04.JPG

藤田道子03.JPG

空間の随所に配される立体作品やドローイングなど、さまざまな作品が揃っていてそのほっこりとした雰囲気も楽しいです。

なかでも、重ねて楽しめる作品、その遊び心にも惹かれます。

藤田道子02.JPG

藤田道子01.JPG

《5/6》

クリテリオム76 松宮硝子

水戸芸術館現代美術ギャラリー第9室

茨城県水戸市五軒町1-6-8

4/4(土)~5/10(日)月休(5/4は開館)

9:30~18:00

松宮硝子090404.jpg

繊細なガラス作品によるインスタレーション、おなじみのDuquheapuer(ドゥークーヒープー」の生涯をひとつの空間に織り込んで、実に深みのある展開が繰り広げられています。

これまで拝見した中でもっとも壮大なスケール感。ひとつの塊から放たれる鋭い尖端、その密集、危うい雰囲気に溢れ、深遠なイメージをもたらしてくれます。

栗田成己展|ダイビングナイト

ROOTS GALLERY

茨城県水戸市北見町5-16 キワマリ荘内

4/4(土)~5/6(水)日祝のみ

12:00~18:00

栗田成己090404.jpg

キワマリ荘のなかにある展示スペースのひとつで行われていた栗田成己さんのインスタレーション。

床に描かれたダイナミックなモノクロームのドローイングのインパクトと、ペン画が施された紙をカットし重ねて構成される小品、それを拡大コピーして壁面に展開と、さまざまな質感で濃密な空感がもたらされていました。

展示空間が小さく作品数も少なかったのが残念ではあったのですが、ファイルも拝見し、もっといろいろと観てみたい世界観が確かに存在していて、今後の展開も楽しみです。

《5/7》

AUDREY KAWASAKI SOLO SHOW Watching Shadow「かげぼうし」

SPACE YUI

東京都港区南青山3-4-11

5/7(木)~5/16(土)日休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

Audrey Kawasaki 090507.jpg

心を捉えて離さない美しさ。

憂いを帯びた女性の表情、仕草、そのひとつひとつに引き込まれていきます。

クラシカルな雰囲気と斬新なシチュエーションとの絶妙なバランス、大人びた幻想が繊細に、そして深遠に広がっているような...。

落ち着いた色調が醸し出す、沈み込むような雰囲気も印象的です。

《買った本》

「夕子ちゃんの近道」長嶋有

「ルート350」古川日出男

《買ったCD》

「Scale of Rime」sooner

丸山恭世展「moment」

GALLERY MoMo Roppongi

東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F

4/18(土)~5/8(金)日月祝休

12:00~19:00

丸山恭世090418.jpg

Yasuyo Maruyama "moment"

GALLERY MoMo Roppongi

6-2-6-2F,Roppongi,Minato-ku,Tokyo

4/18(Sat)-5/8(Fri) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

Google Translate(to English)

!Σ( ̄口 ̄;)

デカい!Σ( ̄口 ̄;)

丸山恭世19.JPG

DMを拝見する限りでもっとおとなしいサイズを予想していたこともあり、そのギャップにいきなり驚かされた次第。しかも同サイズの作品が3点並ぶさまは圧巻!

GALLERY MoMo Roppongiでの丸山恭世さんの個展です。

白の下地に描かれる赤ちゃんの顔。

ていねいなグラデーションで描き上げられ、その大きなサイズと相まって、ユーモラスさとヴィヴィッドな迫力が伝わってきます。

そして、その表情の豊かさ、味わいも格別です。

下の作品など、

気になる!Σ( ̄口 ̄;)

左下に何があるか気になるじゃないかぁぁ!Σ( ̄口 ̄;)

・・・・・!

「流し目」か!Σ( ̄口 ̄;)

杉サマ直伝の「流し目」か!Σ( ̄口 ̄;)

そんなのいつ覚えたんだ貴様ぁぁぁ!Σ( ̄口 ̄;)

みたいに想像が膨らみますすみませんすみません(汗)。

とにかくい独特の臨場感が画面全体から爽やかに滲み出てくるような印象です。

丸山恭世18.JPG 丸山恭世17.JPG 丸山恭世16.JPG

丸山恭世15.JPG

小さな作品では、そのキュートさ、コミカルさがまたひと味違ったかたちで奏でられているような感じです。

目元が放つ豊かな表情、鮮やかな赤のグラデーションが生み出す艶っぽさ。頭だけが描かれているのに、その無垢な仕草までもが思い浮かんできて、目尻も思わず下がってきます。

丸山恭世14.JPG 丸山恭世13.JPG 丸山恭世12.JPG

丸山恭世11.JPG

女の子を描いた作品も。

ひとつの画面に用いられる色が格段に増え、その表現力の確かさにもおおいに惹かれます。

丸山恭世06.JPG

髪の毛の1本1本の再現性、それらが生み出す動きのイメージ。赤ちゃんよりもくっきりとした意志を感じる仕草や表情、佇まいがしっかりと表現されています。

そして、背景の冬の朝の空気のような張りつめた感触を思わせる透明感溢れる色の広がりに、女の子の肌の色や着る服の鮮やかさが映え、フレッシュな雰囲気が輝くように溢れているようにも感じられます。

丸山恭世09.JPG 丸山恭世08.JPG 丸山恭世07.JPG

丸山恭世10.JPG

空間のそこかしこに配されるペン画のドローイングも楽しいです。

すらりと走る可憐な線が奏でるシャープなフォルム。描かれる女の子や赤ちゃんの、その雰囲気を現すために必要最小限の線が引きだされて、例えばたった1本の線で表現される服のしわが軽やかに膨らみを描き現していたりと、そのシンプルで的確な描き振りにも惹かれます。

丸山恭世05.JPG 丸山恭世04.JPG

丸山恭世03.JPG

カウンターのところに展示された作品も興味深いです。

ちょっと太めの稜線がイラスト的、マンガ的な雰囲気を出していて異なる味わいが新鮮なのと、モチーフと背景が奏でる「間」にも独特なものを感じます。

丸山恭世02.JPG

圧倒的な描写力と、ほんのりと潜むユーモアとが、ユニークな世界観を奏でているように感じます。

赤ちゃんや女の子という無垢でフレッシュな雰囲気が溢れるモチーフのチョイスも、その繊細なグラデーションなどの爽やかな味わいを押し上げているようにも思えます。

丸山恭世01.JPG

住吉明子 ハロー、グッバイ、ハロー - I don't say goodbye -

帝塚山画廊

大阪府大阪市住吉区帝塚山東1-3-34 PLOTビル1・2F

3/27(金)~4/18(土)日月休

11:00~19:00

住吉明子090327.jpg

Akiko Sumiyoshi - I don't say goodbye -

Tezukayama Gallery

1-3-34-1&2F,Tezukayama-higashi,Sumiyoshi-ku,Osaka-shi,Osaka-fu

3/27(Fri)-4/18(Sat) closed on Sunday and Monday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

帝塚山画廊での住吉明子さんの個展に最終日の夕刻、滑り込みで行ってきました。

これはホントに観られてよかった!

石粉粘土を用いた創り出されるキュートな動物たち。

2階のスペースではいくつかの場面が空間に灯されたかのような、メルヘンチックなインスタレーションが。

住吉明子23.JPG

石粉粘土の白の白さが床に広がる緑に映え、清々しい雰囲気を膨らませ、押し拡げます。

ていねいに仕上げられた表面の視覚的にすべすべとした感触、そして可愛らしくデフォルメされた表情と仕草が爽やかな心地よさをもたらしてくれます。

住吉明子22.JPG

壁に描き加えられた緻密な線画も楽しい!

絶妙な濃淡が現実と幻想を出入りするかのような雰囲気を醸し出し、儚げな風合いを奏でているように感じられます。

住吉明子21.JPG

それぞれのコーナーで、おとぎ話の場面のような世界が紡ぎだされています。

なんともピュアな空気感が新鮮です。空間とそこにもたらされるクリエイションとのバランスも絶妙で、眺める側との心地よい距離感が存在しているようにも思えた次第で。

住吉明子20.JPG 住吉明子19.JPG 住吉明子18.JPG

住吉明子17.JPG

緑が森のイメージ、そして青の情景も。

そのまま水、そして海が連想され、その臨場感も深く、軽やかに印象に残ります。

それにしても、繰り返しになるのですが、オブジェの白がホントに美しく、シャープに映えます。可愛らしさに加え、作品としての洗練された感じも伝わってきます。

住吉明子16.JPG 住吉明子15.JPG

住吉明子14.JPG

1階には台上にそれぞれの作品が展示されていました。

インスタレーションに配置されたときの、物語を奏でるような深い臨場感も楽しいですが、作品そのものから放たれる軽やかさも楽しく思えます。

くりっとした目がかわいい、つるりとした体がかわいい、ピュアな佇まいがかわいい、とにかく可愛らしい要素に満ち溢れていて、童心に返り、こちらも無垢な好奇心がふわっと湧き広がっていきます。

住吉明子13.JPG 住吉明子12.JPG 住吉明子11.JPG 住吉明子10.JPG

住吉明子09.JPG

作品ごとに織り込まれる遊び心も。

作り込みのていねいさ、表面の仕上げの美しさが、作品が持つ雰囲気のピュアさ、その純度を高めて、ぱっと目にした瞬間のかわいいものに触れたときにポンと起こる嬉しい感じがそのまま持続して、爽やかで心地よい気分に浸れるんです。

住吉明子08.JPG

住吉明子07.JPG

そして、平面作品がいい!

すごくいい!

住吉明子06.JPG

2階のインスタレーションでの壁面の線画でもそのスキルに感嘆させられたのですが、パネルに絵が描かれた作品でもその緻密な表現は素晴らしく発揮されています。

ひとつの色調で纏められ、精緻な描き込みとシャープな濃淡とで幻想的な世界が描き上げられています。

今回の展示では小品しかなかったのですが、大きな作品も是非観てみたいです。

住吉明子05.JPG 住吉明子04.JPG 住吉明子03.JPG

住吉明子02.JPG

突き抜けるような、しかしやさしさにも満ちた爽やかさが強く印象に残ります。

石粉粘土の素材感がもたらす重量感と、それとは裏腹の軽やかさ。エンターテイメント性に溢れた世界に触れ、喜びに溢れ、涼しい空気を吸ったときの爽快感にも通じる心地よさに満たされた次第です。

住吉明子01.JPG

淺井裕介 ぐらぐらの岩

graf media gm

大阪府大阪市北区中之島4-1-18

2/21(土)~3/29(日)

12:00~20:00

淺井裕介090221.jpg

Yusuke Asai "Guragura no Niwa"

graf media gm

大阪府大阪市北区中之島4-1-18,Nakanoshima,Kita-ku,Osaka-shi,Osaka-fu

2/21(Sat)-3/29(Sun)

12:00-20:00

Google Translate(to English)

またも本領発揮!

graf media gmでの淺井裕介さんの個展、空間のなかに小屋というすこぶる個性的な場所で淺井さんが展覧会を行う、と耳にしただけでそれはもう面白いことになることは自明で。

階段の壁の展示タイトル、ここから遊び心が発散されています。題字を分解してコラージュ、そこにあるものを使うといういかにも浅井さんらしい、木みたいなシルエットがかわいらしき伸びています。

淺井裕介 25.JPG

階段の踊り場にも、もちろん。

淺井裕介 24.JPG

スペースに辿り着くと、まずお馴染みの「小屋」の壁にゆらゆら伸びてるモチーフが目に留まります。それぞれに作り手の名前がクレジットされていて、たくさんの人の関わりがそういうところからも伝わってきて楽しい!

淺井裕介 23.JPG

提示される3つのプロジェクト、まずは木の実や葉っぱ、種子などを用いたかわいくて楽しいインスタレーション。遊び心や優しさが滲んでいるように思えて、そして無邪気な感じがあったかいです。

淺井裕介 22.JPG 淺井裕介 21.JPG 淺井裕介 20.JPG

淺井裕介 19.JPG

大阪市此花区梅香で開催されたプロジェクトの記録も。

遠藤一郎さんをはじめ、さまざまな知った顔が写真の中に登場していたりして、それはもう活気もしっかりと伝わってきた次第で。

淺井裕介 18.JPG 淺井裕介 17.JPG

淺井裕介 16.JPG

そして、小屋での展示。

その外側にもマスキングテープなどを使った展開がなされていたりして、この個性的な場所に対して淺井さんの好奇心がうずく感じが伝わってきます。

淺井裕介 15.JPG 淺井裕介 14.JPG

淺井裕介 13.JPG

小屋の入り口のも妖しげなドローイングなどが。

わずかな動線に具現化されるインスピレーション。観る側の好奇心も盛り上がってきます。

淺井裕介 12.JPG

淺井裕介 11.JPG

その刹那、眼前に現れる圧倒的な光景に・・・!

淺井裕介 10.JPG

これまでも淺井さんのインスタレーションに触れる機会はあり、その都度、人が元来持っている原始的な感性、プリミティブな想像性が溢れる情景に感嘆させられてきたのですが、その独特の世界観に包まれてみたい、という欲求が叶ったことへの高揚がぐんと心を満たしていきます。

ひとつのモチーフが次のモチーフへの種となり、繋がっていく感じ。この閉じた、そしてピュアな雰囲気も醸し出す独特の空感に、さまざまな創造性がこれでもかと投げ入れられ、詰め込まれて、実に痛快な空間が作り上げられていたのが強く印象に残っています。

とにかく尋常でない情報量とその厚みにただただ圧倒された次第。全体に満ちるナチュラルな感触がなんとも心地よく、そして痛快にも感じられました。

淺井裕介 09.JPG 淺井裕介 08.JPG 淺井裕介 07.JPG

淺井裕介 06.JPG 淺井裕介 05.JPG 淺井裕介 04.JPG

淺井裕介 03.JPG

一旦外へ出て。。。

随所にさり気なく展示されたドローイングもなんとも言えない味わいを醸し出しています。

淺井裕介 02.JPG

とにかくこの密度で淺井さんの世界観を体感できたことが嬉しかったです。

さまざまな空間との出会いが淺井さんの好奇心に火を灯し、膨らみ続ける想像がどんどん深くプリミティブな情景を作り上げていく...淺井さんのインスタレーションに対してはそういうイメージを持っているのですが、それがこのコンパクトな空間で凄まじく濃密な臨場感を伴って提示され、それに触れられたことはたいへん貴重に思えます。

今、話題となっている別府には足を運べそうになく残念なのですが、今度はどんな場所でどんな世界が紡がれるかも楽しみです。

淺井裕介 01.JPG

加賀城健 -Positive Taboo-

YOD Gallery

大阪府大阪市北区西天満4-9-15

3/3(火)~3/21(土)日月休

11:00~19:00

加賀城健090303.jpg

Ken Kagajo -Positive Taboo-

YOD Gallery

4-9-15,Nishitenma,Kita-ku,Osaka-shi,Osaka-fu

3/3(Tue)-3/21(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

伝統と革新の絶妙な,そして意表を突くバランス。

YOD Galleryでの加賀城健さんの個展に行ってきました。

まず、ギャラリー内にひしめくさまざまなテクスチャーが施された布地に目を奪われた次第。

鮮やかな配色とダークトーンとが空間を行き交っていて、それが斬新な刺激をもたらしてくれます。

加賀城健14.JPG

デカルコマニーのアプローチを取り入れたカラフルな作品群。

まずはその彩りの鮮やかさに惹かれます。

加賀城健13.JPG

そして、ほぼ左右対称でありながら、滲みなどによって生み出されたと思しき微妙な差異がアバンギャルドなリズムを放ちます。また、滲みそのものも危うさ,揺らめくような豊かなグラデーションが幻想的な雰囲気も醸し出しているように思えます。

加賀城健12.JPG 加賀城健11.JPG

加賀城健10.JPG

一転して,ダークトーンの作品は,極度に抽象性の高い硬質な紋様が画面に広がり、深く重厚なアバンギャルド感を創出しているように感じられます。

加賀城健09.JPG

小品に置いてもその密度,重厚感はそのままに。

スエード地の光沢が、観る角度によって陰影に変化をもたらし,豊かな表情を導きだしてくれています。

加賀城健08.JPG 加賀城健07.JPG

加賀城健06.JPG

細緻な部分まではコントロールされない、しかし意図的にそういう現象を引き起こさせ,強烈な世界観が創出されています。ここに至るまで積み上げられた行程の,意識と無意識の交錯が生むクールさともどかしさも、この情景への深みへと転化しているように感じられます。

加賀城健05.JPG 加賀城健04.JPG 加賀城健03.JPG

加賀城健02.JPG

用いられる手法自体は染色としてはきわめてオーソドックスなのだそう。

しかし、その手法の可能性を押し拡げるかのように,偶然性をおそれないあらたな挑戦を繰り広げ,さまざまな刺激的な情景が展開されているように感じられます。

そして、敢えて挑むようなアプローチが意図しない要素を引き出し、それが色調以上のダークネスの創出や幻覚的な危うさを秘める鮮やかな世界の展開へと押し上げているようも思えます。

そして何より,やはりそのベースにあるのが染色という手法の持つ美しさであるのも実感した次第です。

加賀城健01.JPG

タノタイガ個展『T+ANONYMOUS』

現代美術製作所

東京都墨田区墨田1-15-3

3/7(土)~3/29(日)月火休

12:00~19:00

タノタイガ090307.jpg

Taiga Tano solo exhibition "T+ANONYMOUS"

Contemporary Art Factory

1-15-3,Sumida,Sumida-ku,Tokyo

3/7(Sat)-3/29(Sun) closed on Monday and Tuesday

12:00-19:00

Google Translate(to English)

なんだかすごかった、そのバイタリティにやられた、そんな痛快な印象が残ります。

現代美術製作所でのタノタイガさんの個展です。

まず、大きな展示空間に収められた作品群、それぞれの現実とクリエイションとの意表を突く距離感に圧倒されます。

サバイバルスーツ。

ビニールシートやら黄と黒のビニールロープやら、非常にサバイバルな感触を確かに持つ素材を使って原寸大のスーツセットが、しかもその大きさの箱に収まって展示されていて、いやもうその存在感たるや・・・!

ビールケースの上に置かれたブラウン管テレビにタノさんが実際にこのサバイバルスーツを身に着けて街をカ闊歩し、ときおりしゃがんで佇むような場面も織り交ぜたパフォーマンスを記録した映像も流されていて、

この人マジだ!Σ( ̄口 ̄;)

とただただ感服。ひたすら感服。

微妙に実用性があるところがまた強烈に説得力を放っているのに加え,ケース蓋に載るパッケージ詳細などの文字を観たりすると、またこれが

芸が細かい!Σ( ̄口 ̄;)

と唸らされるという...。よく考えると当たり前なんですけど手描き。

いや、面白い!

タノタイガ112.JPG タノタイガ11.JPG タノタイガ10.JPG タノタイガ09.JPG

タノタイガ08.JPG

向かう壁面にはずらりと微妙に隠避な雰囲気を醸し出す写真が。

伺うといわゆる娼婦の皆さんが着ている服を着て、その娼婦の方に撮影してもらっているのだそう。

こういう臨場感って初めてです、なんだか分からないけど分かる,どこに意図があるのか説明できないけど、なんだかすごいことが伝わってきます。

タノタイガ07.JPG

空間中央の柱を囲むようにして展示されているのが,プラモデルを模したキット。

パッケージのプリントの具合を目にすると僕らの世代はおそらく多くが反応、あの一世を風靡したガンダムのプラモデルのパッケージの雰囲気がそのまま引用されて,なんとも懐かしい感じが。

そしてその中に入っているのが、有り体に申しわげると「木片」。

ご丁寧に彫刻刀や色鉛筆なども付属で着いているんですけど、

作れってか!Σ( ̄口 ̄;)

自分で彫って色塗れってか!Σ( ̄口 ̄;)

と。確かに一式揃ってるし木片にはガイドライン的に立像がスケッチされているけど、この無茶苦茶な感覚がまたツボに強烈な刺激をもたらしてくれます。

タノタイガ06.JPG

タノさんの顔を基にしたお面がずらりと並ぶ一角はもう驚愕のひとこと。すごい雰囲気です。

タノタイガ05.JPG

奥のスペースでは木彫のフェイクのシャネルのバッグなどなどがずらりと。

昨今は木彫でスーパーリアルな表現を繰り広げられる方もいらっしゃるので精度自体には強烈な驚きこそ感じないのですが...とはいえ充分にユーモアとしてのパワーは相当なものですが...それでも奇妙で絶妙なバランスでリアリティが追求されていて惹かれます。

タノタイガ04.JPG タノタイガ03.JPG

タノタイガ02.JPG

そしてこの作品群もただフェイクを木彫で作ったことで終わることはなく。

さらに奥のスペースにも映像が上映されていたのですが。こちらはこれらの木彫のフェイクのバッグを実際に肩にかけてフランスへ行って帰ってくる様子が。

シャネルのショップなどにも潜入しているのですが。ホントに誰も気付いていない、それがなんとも面白いというか,微妙に残念だったりもしているのですけど,実に痛快で。

タノタイガ01.JPG

他にもこの木彫作品をネットオークションに出品してみたりと破天荒でハチャメチャなこともなさっていて、それぞれのエピソードも相当に面白かったです。

次の唐突にも期待してしまいます!

樋口明宏/吉賀あさみ“サンクチュアリーへ”

MA2Gallery

東京都渋谷区恵比寿3-3-8

4/10(金)~5/9(土)日月祝休

12:00~19:00

樋口明宏090410.jpg 吉賀あさみ090410.jpg

Akihiro Higuchi/Asami Yoshiga "To The Sanctuary"

MA2Gallery

3-3-8,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo

4/10(Fri)-5/9(Sat) closed on Sunday, Mdonay and national holiday

12:00-19:00

Google Translate(to English)

元来のソフィスティケイトされた空間で、繊細な個性の共演が透明感と鮮烈なイメージを響かせています。MA2Galleryでの樋口明宏さんと吉賀あさみさんとの二人展です。

自然光が豊かに注がれる空間。今回の展示に限ったことではないのですが、時間帯によって雰囲気におおらかな変化がもたらされます。

陽も沈み、ギャラリー内の照明のみによって照らされる空間。吉賀さんのおおきな真円の作品と、樋口さんの剥製による作品とでひとつのインスタレーションが作り上げられています。

まず目に留まるのが、入り口付近に展示されているコート。マネキンに掛けられ、その表面にうさぎのシルエットの穴が抜かれて、素材の高級感と相まって高貴なアバンギャルド性を醸し出しているように感じられます。

足下に群がるうさぎたちはあたかもそこから抜け出てきたかのような。

Sanctuary23.JPG Sanctuary22.JPG Sanctuary21.JPG

Sanctuary20.JPG

そして、さらにたくさんのうさぎがこの空間に広がってそこかしこで群れをなしています。その中央に広がる吉賀さんの作品、円形の木枠の中を覗くとふわふわとした赤のストロークが独特の重なりで綴られて、底がわからない不思議な奥行き感を奏でています。

Sanctuary19.JPG Sanctuary18.JPG

Sanctuary17.JPG

うさぎはよく見ると顔の部分に目や鼻、口がなかったり。この出で立ちが奇妙な雰囲気を深めているようにも思えます。

Sanctuary16.JPG

1匹だけ、うさぎじゃない生き物が。ぱっと目にしてそれが何の動物か分かりかねるあたり、皮を剥がれて中身だけになって、そこに服が着せられて、この存在が今日ら綱インパクトを放ち、たくさんいるうさぎとの主従関係を思い起こさせたり、またこの生々しい感触がアクセントとなって、世界観を押し拡げてくれているようにも感じられます。

Sanctuary15.JPG

2階は明るい照明が、それぞれの作品の姿を鮮烈に現しています。

階段部分に設置された棚の上に、真っ白な服を纏ううさぎのオブジェ。剥製の革を外して中の部分を使う樋口さんの作品が醸し出す雰囲気の不思議な妖婉さは、白地に白という組み合わせであってもいささかも衰えることなく、儚さや脆弱さなどをそのまま保持しながらも、どこか別次元へと誘ってくれるような感触がもたらされるような気がします。

加速する無垢さが放つ危うさ,刺すようなインパクトと儚げな静謐が強く印象に残ります。

Sanctuary14.JPG

Sanctuary13.JPG

壁に展示されたヘビも。

とぐろを巻く部分のどこか愛らしい感触、柄もかわいいヘビ用の服を纏って壁面を這う姿のクールさとキュートさとの独特のバランスに惹かれます。

Sanctuary12.JPG

Sanctuary11.JPG

吉賀さんの小品も。

お馴染みの薄いメッシュ地を重ねて立体的な奥行き感を生み出す独特な手法で、緻密に描かれた細かい情景に残像感を演出するかのように,不思議なバランスでぼやかされた情景感に、今回も引き込まれていきます。

Sanctuary10.JPG

Sanctuary09.JPG

樋口さんの蝶の作品も見応え充分です。

Sanctuary08.JPG

標本風に纏められるさまざまな蝶。その羽を支持体とし、さまざまな模様やキャラクターなどが精緻に描かれていて、今回の展覧会における全体的に揺らめくような曖昧な空気感にシャープさをもたらしています。

Sanctuary07.JPG Sanctuary06.JPG Sanctuary05.JPG

Sanctuary04.JPG

蝶や蛾の羽のもともとの自然によって紡がれた過剰なまでに華やかで鮮やかな紋様と、そこに描かれるモチーフとが放つ不思議なバランス感にも引き込まれます。

Sanctuary03.JPG

Sanctuary02.JPG

ふたりのクリエイションをあわせてひとつの空間,世界観を創り出した1階のインスタレーション,個々の作品の独創性を鋭く引き上げ、その鮮烈さが斬新な響きを生み出す2階とそれぞれに異なる印象の空気感が展開されているように思えます。

そしてそれぞれ、平面と立体とのなかに半ば強引にカテゴライズしたとして、そのなかでも異色の素材、異色のコンセプトとアプローチがそれぞれのシーンで際立ち,かついわゆる「際もの」感は希薄で本格の風合いを漂わせる同士のパッケージにも感服させられます。

今回の展覧会で、この立体的なスペースに持ち込まれた色彩の淡く繊細でありながらも凛とした風合いを奏でる様子も印象に残ります。

Sanctuary01.JPG

《4/22》

宮永愛子展「はるかの眠る舟」

MIZUMA ART GALLERY

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F

4/22(水)~5/23(土)日月休(4/29、5/4~5/6開廊)

11:00~19:00

宮永愛子090422.jpg

shiseido art egg、国立新美術館でのアーティストファイルと、容積的にも広い空間での展示が立て続けに開催されている宮永愛子さん。その流れの中で、この空感でどんなインスタレーションが繰り広げられるか大変興味深かったのですが、前回の青山悟さんの個展から継がれる黒い壁面の空間に、あるのはたった1棹の長持。古びたその長持から仄かな光が漏れ、蓋を開けるとお馴染みのナフタレンのインスタレーション。空間との響かせ方でいうと、前者のふたつの展覧会で提示されたインスタレーションとまったく引けを取らない、実に奥ゆかしく美しい雰囲気が創り出されています。

そして、奥の空間に展示されている小品、そこに注がれるアイデアも印象的です。

太田麻里

ミヅマ・アクション

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル5F

4/22(水)~5/23(土)日月休(4/29、5/4~5/6開廊)

11:00~19:00

太田麻里090422.jpg

昨年夏に京都の元立誠小学校で行われたパフォーマンスを収めたものや名古屋でのステージの映像とともに、ドローイング的な作品がずらりと空間を囲みます。

描かれるモチーフの線が醸し出すユーモラスな風合いと、しかしそこに潜み、表面にも滲む危うさ、強烈に意識を引き込むアンバランスな感触に、独特の世界観がさらに広がり、深まっているような印象が感じられます。

《4/25》

丸山恭世展「moment」

GALLERY MoMo Roppongi

東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F

4/18(土)~5/8(金)日月祝休

12:00~19:00

丸山恭世090418.jpg

予想に反していきなり大きな画面いっぱいに描き出された赤ちゃんの赤い頭の絵に圧倒されます。

白地に映える鮮やかな赤色の赤ちゃんの絵、そして洋服の色などが美しさと爽やかさに溢れる女の子の作品など、可憐でていねいな陰影の表現で緻密な具象表現が繰り広げられ、それぞれが持つ雰囲気に心が打たれます。

堀藍「We 見る」

Gallery Jin Esprit+

東京都台東区谷中2-5-22 山岡ビル1F

4/17(金)~5/2(土)月火休

12:00~19:00(最終日:~17:00)

堀藍090417.jpg

武蔵野美術大学での学内展での修了制作を拝見して印象に残り、昨年のギャラリーなつかでの個展も楽しかった堀藍さん、今回もほっこりとしたユーモアがコミカルな縮尺感でもたらされ、かわいくて和める情景が表現されたような銅版画が並んでいます。

堀藍020.JPG 堀藍019.JPG 堀藍018.JPG

堀藍017.JPG

余白の大胆さ、その広さと比べると実に小さく描かれる人々の姿、それが豊かでおおらかな空間性を導きだしているように感じられます。

今回出展されている作品に描かれている、どこかの観光地的な雰囲気が、楽しいイメージをさらにもり立ててくれるような感じもしてきます。

堀藍016.JPG 堀藍015.JPG 堀藍014.JPG

堀藍013.JPG

比較的小さな作品、小品でもそのほっこりとした雰囲気は継がれていきます。

数本の線でシンプルに描かれる場面、そのあっさりとした感触が醸し出す独特の臨場感も楽しいです。

堀藍012.JPG 堀藍011.JPG

堀藍010.JPG

道路の上を通る自動車のような作品も。

水墨でなぞったかのようなうっすらとした黒の線の淡い風合い、その上に乗る車らしきものが伝える縮尺感の楽しさ、さまざまな要素が心をとらえてきます。

堀藍009.JPG 堀藍008.JPG

堀藍007.JPG

彩色が施された作品も。

堀藍006.JPG

ドローイング的なアプローチ、さらにキャンバスに描かれた作品など、色の「余白感」というか、一色でべったりと塗られた感じがまた痛快で、それ以外のシンプルなモノクロームの線と本当の意味での「余白」が、ユニークな雰囲気を導きだしているような気もしてきます。

堀藍005.JPG 堀藍004.JPG

堀藍003.JPG

モビール状の作品もかわいい!

堀藍002.JPG

独特のバランス感が保持されて、そのなかでワビサビ的な感覚が仄かに広がり、銅版画らしい繊細な線とふわりと滲むような黒、それぞれの風合いによってもたらされる豊かな情景に、なんともやさしく楽しい気持ちがわいてくるんです。

堀藍001.JPG

湯浅加奈子

gallery坂巻

東京都中央区京橋2-8-18 昭和ビルB2F

4/13(月)~4/25(土)日祝休

12:00~19:00(土:~17:00)

湯浅加奈子090413.jpg

これまでは油彩の作品を拝見してきた湯浅加奈子さん。今回の個展では一転して鉛筆画が発表yされていました。

湯浅加奈子014.JPG

可愛らしさに満ちた世界が綴られています。

パネルにていねいに張られる紙、画面全体を覆う澄んだ黒の感触、そこに描かれる情景に溢れるやさしい雰囲気。ひとつひとつのモチーフがていねいに描かれ、懐かしいイメージもふわふわと湧いてくるような感じもします。

湯浅加奈子013.JPG 湯浅加奈子012.JPG 湯浅加奈子011.JPG

湯浅加奈子010.JPG

鉛筆のみで描かれている作品、モノクロームで統一される世界でありながら、印象としてカラフルな感じが伝わってきます。

メリーゴーランドを思わせるシチュエーション、丸みを帯び、くりくりとした目を持つ馬の有無を言わさぬ可愛らしさと、そこかしこに描かれるモチーフの遊び心が、モノトーンの静かな中で楽しいイメージを紡いでいるように感じられます。

湯浅加奈子009.JPG 湯浅加奈子008.JPG 湯浅加奈子007.JPG 湯浅加奈子006.JPG

湯浅加奈子005.JPG

大きな画面に描かれるお城。

随所に織り込まれるストライプなどもファンタジックなイメージを押し拡げてくれます。

そして、全体として「甘い」感じ、ケーキのようなお菓子を連想させる世界観も楽しいんです。

湯浅加奈子004.JPG 湯浅加奈子003.JPG 湯浅加奈子002.JPG

湯浅加奈子001.JPG

高松和樹展「距離感主義」

ギャラリー戸村

東京都中央区京橋2-8-10 丸茶ビルB1

4/24(金)~5/23(土)日祝休

11:00~19:00(土:~17:00)

高松和樹090424.jpg

ペインティングの大作と、ジークレープリントによる作品、モノクロで描かれる世界はさらにシャープに、フューチャリスティックな艶かしい雰囲気が加速しているように感じられます。

視点からの距離による階調の解釈を緻密に組み上げ、グレートーンで繊細な情景を描き出していて、その精度がさらに突き詰められたような感じも痛快です。

梅田哲也「迷信の科学」

OTA FINE ARTS

東京都中央区勝どき2-8-19-4B

4/25(土)~5/22(金)日月祝休

11:00~19:00

梅田哲也090425.jpg

このようなクリエイションを楽しめるとき、アートを楽しめるようになってよかったなぁ、と思うんです。

組み上げられるさまざまな現象。ぱっと目に入ってくるモノは身近で、むしろシュールな情景が創り出されているように思えるのですが、そこに電気や水なども持ち込まれてさまざまな現象が重なり、唐突な光や音、動きが起こってその状況にぐんぐんと引き込まれます。

《4/28》

debut! ver.Katsuji Sagi 鷺克次 個展

谷門美術

東京都港区北青山3-3-7 第一青山ビル1F

3/6(金)~3/27(金)日月祝休

13:00~19:00

鷺克次090425.jpg

東京大丸でのグループショーで拝見して印象残っている鷺克次さんの個展、ちいさなスペースに幾何学的な構成に遊び心が入るユニークな抽象表現が溢れています。

鷺克次12.JPG

鷺克次11.JPG

さまざまな線やドットがひとつの画面に重なり、さらに作品ごとにある統一感の基にチョイスされたような色調で、豊かな奥行き感とおおらかな動きのイメージをもたらしてくれます。

鷺克次10.JPG 鷺克次09.JPG

鷺克次08.JPG

そして、もっとも印象的、素晴らしく感じられるのが、今回展示された中でもっとも大きな作品。こちらがもっとも新しい作品とのこと。

安定した構図の面白さが伝わる小さめの作品から一転し、生々しいストロークの集積や画面を垂れる絵の具のテクスチャーなど、より大胆なアプローチが繰り出され、要素の混沌が雑然とした雰囲気をもたらして、その粗さがアグレッシブさを生み、高揚感を惹起させてくれるんです。

この世界観がどういうふうに展開していくか、今後も楽しみです。

鷺克次07.JPG 鷺克次06.JPG 鷺克次05.JPG

鷺克次04.JPG 鷺克次03.JPG 鷺克次02.JPG

鷺克次01.JPG

中岡真珠美展「View Point」

アートフロントグラフィックス

東京都渋谷区猿楽町29-18 ヒルサイドテラスA棟

4/28(火)~5/31(日)月休

11:00~19:00

中岡真珠美090428.jpg

これまでも折に触れて拝見し、昨年の第一生命ギャラリーとO Gallery eyesでの展覧会で触れたおおらかな広がりを感じさせてくれる世界観が印象的だったのですが、今回はモチーフとなる風景をより具体的にイメージさせてくれるような感じで、これまでと同じくオリジナリティのある質感の作品でありながら、その個性でさらに豊かな表現が繰り広げられているように思えます。

パールの煌めく質感の顔料がうっすらと施され、新鮮な質感をもたらす作品もあり、この変化の広がりも興味深いです。

市川孝典 solo show vol.2

@TRAUMARIS

東京都港区赤坂2-17-62 Hilltop Akasaka 1F

4/28(火)~5/7(木)

15:00~24:00

ぱっと作品を拝見して、そのリアリティにまず驚かされるのですが、これが線香のちいさな炎で、しかも下書きなしで描かれていると知り、さらにその驚愕の度合いが増します。ペインティングなどでの支持体に「足す」行為によって描かれる作品と異なり、燃やすという「減らす」作業でこれほどまでコントロールされた作品が制作されているのを考えると、眼前に現れる世界が相当にスリリングに思えて、におおいに感嘆させられます。

ジャンパー、蔦が這う壁、対照の構成によるシャンデリアがある洋館の部屋など、描かれるモチーフもクールな雰囲気を持ち合わせています。

花岡伸宏個展 「ずれ落ちた左肩は飯に刺さる」

CPG:canary production gallery

京都府京都市上京区西丸太町185 京都二条ハイツ地階

4/10(金)~5/2(土)日月休

13:00~20:00

花岡伸弘090410.jpg

Nobuhiro Hanaoka exhibition

CPG:canary production gallery

185-BF,Nishi-maruta-cho,Kamigyo-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu

4/10(Fri)-5/2(Sat) closed on Sunday and Monday

13:00-20:00

Google Translate(to English)

今年の岡本太郎賞展に行く前、どこかのサイトかなにかで花岡伸宏さんの作品がすごい、「ずれ落ちた背中は飯に突き刺さる」というタイトルそのまんまの作品が面白い、というコメントを目にして、どこがどうそのまんまなのかぜんぜん分からなかったんですけど。

で、実際に行ってみて

ホントだ!Σ( ̄口 ̄;)

ホントにそのままだ!Σ( ̄口 ̄;)

と、何のヒネリもないタイトルだったことに全力で絶句した次第。

その花岡さんの個展が京都で開催されていると知り、行ってきました。

CPG:canary production galleryでの花岡伸宏さんの個展、いきなりこんなのが。

花岡伸宏14.JPG

なんだこの主張は!Σ( ̄口 ̄;)

なんだかもう、潔いというか。。。

奥のスペースが展示空間となっていて、目に留まる作品。

花岡伸宏13.JPG

クラシカルな風合いが漂う木彫の女性の立像。

朴訥な仕上げとナチュラルな木目がひときわ目を惹きます。凛とした目元、何かを抱く両腕のかたちなど、実に見事な造形に感嘆させられます。

花岡伸宏12.JPG

が...

花岡伸宏11.JPG

肩が!Σ( ̄口 ̄;)

左肩がずり落ちてる!Σ( ̄口 ̄;)

ケレン味なくすっぱりと落ちる左肩、切り口のシャープさに唖然。斬鉄剣で斬られたのかってくらいにそれはもう美しい切り口。

そしてそのずり落ちた左肩は...

花岡伸宏10.JPG

刺さってるていうか!Σ( ̄口 ̄;)

梅干しのおにぎりをぶっ潰してるし!Σ( ̄口 ̄;)

なんだかすごい臨場感です。凄まじくシュール。

一転してちいさな作品、うさぎを抱える女の子、同じように左肩が・・・!

そしてずり落ちる肩はお茶碗にこんもりと盛られたご飯の上に見事突き刺さっておりまして、なんだかもう(汗)。

花岡伸宏09.JPG

花岡伸宏08.JPG

さらに大きな木彫の作品が。

今度は彩色もなされ、抱かれるうさぎの大きさ、抱く手の指の太さなどからも、木彫作品としての素朴さと力強さとが滲み出ているように感じられます。

花岡伸宏07.JPG

それでですね...

こうなるともう事件だな!Σ( ̄口 ̄;)

花岡伸宏06.JPG

何があったかもう分からないですよ、いやしかし。

何て言うか、ひどいです(汗)。

無論切り口も...

花岡伸宏05.JPG

見事だな!Σ( ̄口 ̄;)

見事としか言いようがないな!Σ( ̄口 ̄;)

観る角度、というか見せる角度が変わるとこれだけ印象も変わる作品も珍しいのではないか、と。

直に対峙すると、追いつめられてワケが分からなくなったときに思わずこみ上げてくるのとおそらく同じ種類の笑いが。

・・・・・

笑わずにいられるかぁぁぁぉぁぉぉあおあああっっ!Σ( ̄口 ̄;)

花岡伸宏04.JPG

花岡伸宏03.JPG

で、立体作品に留まらず、平面のコラージュ作品も。

ここまで徹底して左肩刷り落として飯に突き刺す様子にもはや思考回路停止、ただただそのストイックさに打ちひしがれ、ぐだぐだ笑ってばかり。

花岡伸宏02.JPG

ファイルを拝見すると、実にユニークな展開の作品をたくさん作られているようで、ホントに興味深いです。というかいちいち笑える!

とにかく今回展示された一連の作品を拝見して、そのケレン味のなさというか思い切りの良さというか、大胆不敵さに有無を言わさず感嘆させられた次第です。

木彫だったり平面だったり、それぞれの素材の感触や質感、そしてその素材特有の味わいも、おそらく肩もしくは背中がずり落とされる前の時点では普通に持ち合わせていたと思うのですが、それがこれほどまでにシュールなアプローチを持ち込まれると、クリエイションの軸の部分、本質的なところが異なる方向に動かされ、凄まじく違う印象が伝わってくるのを提示され、その過程へも思いを馳せるとそこに横たわる深みにも感じ入ります。

サディスティックにユーモラスな狂気性、それがもたらす開き直った笑い、もっといろんなかたちで体感したいです!

花岡伸宏01.JPG