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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報

大谷有花展 -life-

GALLERY MoMo Ryogoku

東京都墨田区亀沢1-7-155/9(土)~5/30(土)日月祝休

11:00~19:00

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Yuka Otani exhibition -life-

GALLERY MoMo Ryogoku

東京都墨田区亀沢1-7-15,Kamezawa,Sumida-ku,Tokyo

5/9(Sat)-5/30(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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GALLERY MoMo Ryogokuでの大谷有花さんの個展です。

毎年この季節に開催される大谷さんの個展、その度に新しい世界を築き上げ、生み出していて、一昨年、昨年とだんだんアブストラクトな世界へと突き進んでいるような印象がありました。

お馴染みのキミドリがだんだんと薄く淡くなっていく情景に触れ、展開する世界観もアプローチも異なりますが、内藤礼さんのピンクにも通じるような繊細さを思い返せば感じていたのかも、と今更想像するのです。

さてこのまま行ったら次はどうなるんだろう、どこへ向かっていくんだろう、と心配と期待とが入り交じるようなイメージを持って臨んだ今回の大谷さんの個展は、そういった緊張感をはぐらかすかのように、霧深い高い場所から降りてきて久しぶりにポップな展開が繰り広げられていて、まずはなぜだかホッとした次第。

新たに「本」がモチーフとなって登場し、いつもの色やキャラクターたちがそのなかでいろんな物語を繰り広げていて、久々に身近に感じられるような場面が描き上げられています。

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見開きの本が基本構図となった作品がずらりと並びます。

大谷さんにとってもちろんこの両国のスペースでの個展は初めて。この空間を自分の世界に染めよう、というワクワクしたフレッシュな気持ちが伝わるような構成も楽しいです。

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「本」を描く、というユニークなスタンスから、これまでは登場しなかったようなタッチの描写も多数登場していて、新鮮な一面が垣間みられるのも嬉しいです。

みずみずしさもそなえるピンク色を背景に、赤い表紙の本が見開かれ、そのページの花瓶と花の凛とした表情と佇まいは落ち着きと可憐さを軽やかに放ちます。

これほどリアルにモチーフが描かれた作品を拝見した記憶がなくて、その意外さがまた嬉しかったり。

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いつもよりスマートなウサギネズミが挿絵に登場する作品。

窓の夜空にふわふわと、降る雪にも滲む星にも見える白の点は、それが本であることを忘れさせてくれるようなファンタジックな臨場感をもたらし、そして扉の枠をほんのりと染めるキミドリにも大谷さんらしさを感じ、おおいに惹かれます。

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それぞれの作品ごとに、自由なシチュエーションを手にした大谷さんの膨らむ想像性とそれを描く楽しさとが伝わってくるようで、それがまた嬉しく思えたりするんです。

ウサギネズミの耳を思わせる栞など、遊び心、もといエンターテイナー振りも随所に感じらます。

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見開きではない本の作品は、入り口正面の作品と、下の作品の2点が展示されています。

キャンバスの中の空間を鮮やかに染めるキミドリは溌剌さを取り戻し、これまでソファを囲んでいた花の群れが本のページをめくりながら風に舞っている様子、そこにある気配に触れることへの喜びも沸き起こってきます。

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そして、今回のこの空間の個展で久々に登場した作品、細長い巻物が、入り口から続く長い壁面に展示され、あらためてその途方もない情景に触れられるのもありがたく。

粗目のキャンバスにただひたすら描かれる起伏、そこに点在する家。「やっちゃった」的なコミカルなアプローチも楽しげです。

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数は少ないですが、小品も展示されていて、この展示での小気味よいアクセントとなっています。

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一時期のストイックなスタンスから解放され、楽しむように描かれたと思われる作品群が、この空間を爽やかで賑やかに彩っています。

大谷さんのブログで今回発表されている作品の説明が綴られていて、それを読むとまたイメージが具体的になり、同時に広がりももたらされるんです。

この季節にもぴったりと合う、実に清々しく楽しい空間です。ぜひ爽やかなキミドリとそれぞれの本が奏でる物語を体感してほしいです。

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