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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報

田中麻記子 個展「ROSE TUNING」

hpgrp GALLERY 東京

東京都渋谷区神宮前5-1-15 CHビルB1F

5/8(金)~5/31(日)月休

11:00~20:00

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Makiko Tanaka solo exhibition "ROSE TUNING"

hpgrp GALLERY Tokyo

5-1-15-B1F,Jingumae,Shibuya-ku,Tokyo

5/8(Fri)-5/31(Sun) closed on Monday

11:00-20:00

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さらに深まる混沌。。。

hpgrp GALLERY 東京での田中麻記子さんの個展です。

昨年の個展から油彩の作品に本格的に取り組まれている田中さん、それまでの鉛筆画での展開から一転して濃厚に描かれる世界のこれまでとはまったく異なる質感の密度のインパクトは相当なものだったのですが、今回の個展では印象としての色彩感は保ちつつ、そのうねりや揺らめきがさらに深まり、凄まじいまでの妖し気な混沌が創り出されています。

昨年までに発表された世界に手を突っ込み、かき混ぜたかのようなイメージが浮かびます。

画面全体に広がる歪みのダイナミズム。もしかしたらこの前にもっと整然とした情景が存在しているかのような、この分厚い瞬間へと至る歪みの過程さえも思い起こせそうなくらいの臨場感で迫ってきます。

そしてその歪みに潜み、また抵抗するかのように、さまざまなモチーフがその姿を現しています。この作品だと星座がそこかしこに煌めき、また天使のような人の姿がこの混沌の中をそれでも、むしろこの歪んだ世界と戯れているかのように軽やかに舞っているのが、ここで提示される情景の狂気性を加速させているようにも感じられます。

画面を垂れる絵の具の痕跡がむしろ整然として感じられるのがなんとも印象的です。

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全体を覆う独特の色彩感、さまざまな色がふんだんに用いられていながらも、そのすべてを蹂躙するような力を持つ「赤」のインパクトも強く印象に残ります。

青と白の陰影が水のイメージを思い起こさせつつも、それすら取り込んでしまっているかのような深いエネルギーに満ちる赤。複雑に絡み合いながら妖しい異次元の幻想空間をもたらし、この世界の重力のベクトルの感覚を麻痺させるほどに情動的な印象の濃密な色彩に、こちらのイメージも呑み込まれていきます。

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今回発表のもっとも大きな作品は、画面のサイズに薄められることなく、むしろそれに反してもっとも濃密な混沌が、そして烈しい狂気が繰り広げられているように感じられます。

圧倒的な歪み、色彩の揺らめきがもたらす凄まじい奥行き感。そこにさまざまな人の姿が現れ、さらには目玉がそこかしこから歪みのなかからこちらを見据え、言葉にならない何かを訴えてきます。

ダイナミックな筆致がここに存在するすべてのものが気配に溶け出しているかのような濃密な空気感を生み、尋常でない濃厚な雰囲気を醸し出しています。

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小品になると対峙する混沌の量が少ないせいか、凄まじい狂気のイメージから解放され、わずかに落ち着きが保たれるように思えるのも印象的です。

それでもひとつの情景としての存在感の力強さは変わらないのも心に残ります。

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この凄まじい混沌の情景が、タイトルに「TUNING」、調整という言葉が入っている展覧会で発表されているのが興味深いです。

ここで「調整」されているものが何か、ということへイメージが膨らみます。これほどまでに狂おしい筆致で描き上げられた情動的な気配にさえ存在する安定...作品と対峙する立ち位置に変化がもたらされ、この世界へむしろ入っていって、何かを探る心の動きも立ち上がります。

一方で、この狂気を描き上げることで現実世界を「調整」する、そんなイメージも思い浮かんできます。

現実から遠い、幻想の見えない底のような世界。アバンギャルドな雰囲気から浮かぶイメージはどれも興味深く、印象に残っていきます。

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