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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報

樋口明宏/吉賀あさみ“サンクチュアリーへ”

MA2Gallery

東京都渋谷区恵比寿3-3-8

4/10(金)~5/9(土)日月祝休

12:00~19:00

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Akihiro Higuchi/Asami Yoshiga "To The Sanctuary"

MA2Gallery

3-3-8,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo

4/10(Fri)-5/9(Sat) closed on Sunday, Mdonay and national holiday

12:00-19:00

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元来のソフィスティケイトされた空間で、繊細な個性の共演が透明感と鮮烈なイメージを響かせています。MA2Galleryでの樋口明宏さんと吉賀あさみさんとの二人展です。

自然光が豊かに注がれる空間。今回の展示に限ったことではないのですが、時間帯によって雰囲気におおらかな変化がもたらされます。

陽も沈み、ギャラリー内の照明のみによって照らされる空間。吉賀さんのおおきな真円の作品と、樋口さんの剥製による作品とでひとつのインスタレーションが作り上げられています。

まず目に留まるのが、入り口付近に展示されているコート。マネキンに掛けられ、その表面にうさぎのシルエットの穴が抜かれて、素材の高級感と相まって高貴なアバンギャルド性を醸し出しているように感じられます。

足下に群がるうさぎたちはあたかもそこから抜け出てきたかのような。

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そして、さらにたくさんのうさぎがこの空間に広がってそこかしこで群れをなしています。その中央に広がる吉賀さんの作品、円形の木枠の中を覗くとふわふわとした赤のストロークが独特の重なりで綴られて、底がわからない不思議な奥行き感を奏でています。

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うさぎはよく見ると顔の部分に目や鼻、口がなかったり。この出で立ちが奇妙な雰囲気を深めているようにも思えます。

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1匹だけ、うさぎじゃない生き物が。ぱっと目にしてそれが何の動物か分かりかねるあたり、皮を剥がれて中身だけになって、そこに服が着せられて、この存在が今日ら綱インパクトを放ち、たくさんいるうさぎとの主従関係を思い起こさせたり、またこの生々しい感触がアクセントとなって、世界観を押し拡げてくれているようにも感じられます。

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2階は明るい照明が、それぞれの作品の姿を鮮烈に現しています。

階段部分に設置された棚の上に、真っ白な服を纏ううさぎのオブジェ。剥製の革を外して中の部分を使う樋口さんの作品が醸し出す雰囲気の不思議な妖婉さは、白地に白という組み合わせであってもいささかも衰えることなく、儚さや脆弱さなどをそのまま保持しながらも、どこか別次元へと誘ってくれるような感触がもたらされるような気がします。

加速する無垢さが放つ危うさ,刺すようなインパクトと儚げな静謐が強く印象に残ります。

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壁に展示されたヘビも。

とぐろを巻く部分のどこか愛らしい感触、柄もかわいいヘビ用の服を纏って壁面を這う姿のクールさとキュートさとの独特のバランスに惹かれます。

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吉賀さんの小品も。

お馴染みの薄いメッシュ地を重ねて立体的な奥行き感を生み出す独特な手法で、緻密に描かれた細かい情景に残像感を演出するかのように,不思議なバランスでぼやかされた情景感に、今回も引き込まれていきます。

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樋口さんの蝶の作品も見応え充分です。

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標本風に纏められるさまざまな蝶。その羽を支持体とし、さまざまな模様やキャラクターなどが精緻に描かれていて、今回の展覧会における全体的に揺らめくような曖昧な空気感にシャープさをもたらしています。

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蝶や蛾の羽のもともとの自然によって紡がれた過剰なまでに華やかで鮮やかな紋様と、そこに描かれるモチーフとが放つ不思議なバランス感にも引き込まれます。

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ふたりのクリエイションをあわせてひとつの空間,世界観を創り出した1階のインスタレーション,個々の作品の独創性を鋭く引き上げ、その鮮烈さが斬新な響きを生み出す2階とそれぞれに異なる印象の空気感が展開されているように思えます。

そしてそれぞれ、平面と立体とのなかに半ば強引にカテゴライズしたとして、そのなかでも異色の素材、異色のコンセプトとアプローチがそれぞれのシーンで際立ち,かついわゆる「際もの」感は希薄で本格の風合いを漂わせる同士のパッケージにも感服させられます。

今回の展覧会で、この立体的なスペースに持ち込まれた色彩の淡く繊細でありながらも凛とした風合いを奏でる様子も印象に残ります。

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