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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報

太田麻里

ミヅマ・アクション

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル5F

4/22(水)~5/23(土)日月休(4/29、5/4~5/6開廊)

11:00~19:00

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Mari Ota exhibition

MIZUMA ACTION

1-3-9-5F,Kami-meguro,Meguro-ku,Tokyo

4/22(Wed)-5/23(Sat) closed on Sunday and Monday

11:00-19:00

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行為が思考を追い越す瞬間を。

ミヅマ・アクションでの太田麻里さんの個展です。

階段を登り切ったところに過去のパフォーマンスを収めた映像がモニターに上映されていて、それも思わず引き込まれてしまいそうなスリリングでシュールな世界観が展開されています。

そこを通過し、ギャラリーの中へと入ると、大判のドローイング作品がずらりと並び、なんとも不思議なテイストに惑わされます。

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ひとつの画面の中に、それが何か分かるものと分からないものがあり、「分からないもの」のなかにも分かる感覚と分からない感覚とがひしめき合っているように感じられます。

あるモチーフがあって、作品によってはそれ自体の不確定さ「戸惑い」をもたらす大きな要素だと思うのですが、さらにそれを覆い尽くすかのようなストロークの集積が、3次元的というよりも時間的、感覚的な奥行きを生み出しているように感じられます。

画面をストロークで浸食していく、というこの「行為」が始まってから終わるまでの刹那な感触が、全体的にポップな風合いを逆に危うげなものへと押し上げているような気がするんです。

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こちらの作品では、「分かるもの」と「分からないもの」のギャップがより鮮明に現れているように感じられます。

今回展示されている多くの作品での太いストロークの密集にさらに鉛筆でぐりぐりと塗り潰されていく...行為自体のアバンギャルドさ、危うさはさらに加速し、あたかも「女性がピアノを弾く」という一見穏やかな情景に潜む切羽詰まった感触、弾くという行為に意識が入り込んでいるさまを表現しているようで、それにしてはあまりにも乱暴なテクスチャーがもたらされていることに、なんともいえない焦燥感が心に沸き起こってきます。

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小さな作品も。

思い浮かんだイメージが軽やかに、感覚を動かして描かれているといったような風合いです。

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ストロークがもたらす動線も、大きな作品と比較すると幾分かやさしく感じられるような気がします。

サイズの小ささが、太田さんの今回の作品の画風が持つイラスト的なポップさを押田しいているように思えて、それが「楽しい実験」という感触を導いているようにも思えてきます。

こういうステージで鍛えられた瞬発力が、大きな画面の作品やパフォーマンスなどに活かされているのかも、という想像も浮かびます。

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そして、パフォーマンス。

残念ながら5/5は外出が叶わず、直に接することができなかったのですが、その模様を収めたドキュメント的な映像が既に上映されていて、かつその痕跡もアバンギャルドな臨場感を空間に残しています。

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いったい何が行われたんだろう、と、一瞬目を剥きます。

茶色い砂状の物質の山。においはそれほどきつくなくて安心(ユマニテではにおいがきつくてかなわなかったのが忘れられず・・・・)。

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映像は、思わず見入ります。

「ドーナツ」をモチーフに繰り広げられる狂気の時間。

映像で拝見することで、その状況と冷静な距離を保って接することができるのですが、それでも驚かされます。

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太田さんのパフォーマンスの記録を拝見する度に思うのは、自らが持つ「迷い」を上回るために感覚のギアをトップに上げ、メーターを振り切らせていくような切羽詰まる感覚を大胆に蹂躙していくような「過剰な大胆さ」です。

パフォーマンスのためにあらかじめ用意されたものはあるものの、それ自体が既に「追いつめている」「追い込んでいる」ようなところもあって、ある瞬間から行為が思考を追い越しているように思えてきます。その瞬間以降はただ狂気に導かれているかのようで、そのスリルにさまざまなインパクト受けるのも印象的です。

これからどうなるんだろう、どこまで深化するんだろう、という好奇心が湧いてくるクリエイションです。

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