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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報

AUDREY KAWASAKI SOLO SHOW Watching Shadow「かげぼうし」

SPACE YUI

東京都港区南青山3-4-11

5/7(木)~5/16(土)日休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

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AUDREY KAWASAKI SOLO SHOW Watching Shadow

SPACE YUI

3-4-11,Minami-aoyama,Minato-ku,Tokyo

5/7(Thu)-5/16(Sat) closed on Sunday

11:00-19:00(last day:-17:00)

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妖しく、幻想的な「影」が、朧げに漂う・・・

SPACE YUIでのオードリー・カワサキさんの個展です。

ただ、その雰囲気に魅せられます・・・

おそらくこういう絵、あるいは世界観は既に数多く接しているだろうと思います。

いわゆる「新しさ・斬新さ」といった意味での新鮮さが強く放たれているわけでなく、むしろそこに描かれる情景自体にはある既視感がよぎります。

本来、既視感の支配する力は相当に強いものだと思います。強張っている、強固と表現してもいいかもしれないと思います。しかし、その強さすら、この繊細さ、絶妙さには平伏せます。

それほどの説得力を持って、やさしく、儚く迫ってきます。

ただ美しい世界に接している充実感。そして、それが「ただ」では済まされず、魔法のようにその情景、雰囲気に一色が引き寄せられ、感性が満たされていくような感じです。

額に収められた世界。

ジークレープリントの作品群が並びます。

高性能の印刷技術が遺憾なく発揮され、微妙な陰影が、すらりとたわむ線が、板の地の木目のナチュラルな風合いが、鮮やかに再現されています。

それぞれに「閉じた世界観」が繰り広げられていて、その情景への生々しくも、かといって絶対に踏み込めない、触れることの出来ない遠さ、そして、触れてはいけない繊細さに満たされているように思えます。

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ペインティングの作品は、支持体に板が採用されています。

3点展示されている、幹のかたちがそのまま用いられ、そこに女性の姿が描かれた作品。それぞれの憂いを帯びた表情や仕草、その美しさに感じ入ります。

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さらに進化する表現。

モチーフのかたちにカットされる板、それらが組み合わせられて、立体的なアプローチが挿入され、かたちの面白さや独創的な空間性が生み出されています。

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この手法すら、ユニークな手法への好奇心というよりも、この手法だからこそ導きだされる雰囲気があることへの感覚的な確信へ引き寄せられるような感じです。

こちらの作品では、空間性がさらに深いところへと押し拡げられているような印象を覚えます。

こちらを見据えるかのような、澄んだ据わった目線の力。ゆらりと揺らめきなびく髪の毛に囲まれる胸より上の部分と、それとは別のパーツで重ねられる肘より先の両腕。この奇妙さの説得力といったら...。

全体的にレイドバックしたような色調にもおおいに惹かれ、またくっきりと描き現される線の豊かな表情にも唸らされます。

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シンプルに板に描かれる作品が続きます。

さらに世界観が深まっていきます。

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今回の日本での個展にあわせて制作されたという作品。

こんなにも緩やかでふくよかで、繊細に表現される瞬間はそうはないような気がします。

両脇に浮遊するように描かれるたくさんの夜の街の看板や提灯、街灯。絶妙な配置がリアルで幻想的、という感じの奥行きを醸し出し、その中央に描かれる現代の見返り美人...さまざまな想像がよぎり、この情景の、この瞬間の厚みがぐんぐんと増していきます。

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木製のブローチも。

このサイズに収められたときの可愛らしさも堪らなく感じられたり。。。

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さまざまな要素がクロスオーバーして紡ぎ上げられるような世界です。

色彩感の味わい深さ、随所にセンスよく織り込まれるテクニカルなアプローチ、線画としての可憐さは、究極のイラストといった風合いを放ちます。イラスト的な軽妙さ、ライトさは保持しつつ、ほんのりと暗さや危うさが射し込まれ、密度とは異なる精度も極められたような印象です。

会期が短いのですが、ぜひとも多くの方にこの世界に直に触れ、ゆったりと浸っていただきたいと願います。

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