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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報

中岡真珠美展「View Point」

アートフロントグラフィックス

東京都渋谷区猿楽町29-18 ヒルサイドテラスA棟

4/28(火)~5/31(日)月休

11:00~19:00

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Masumi Nakaoka "View Point"

ART FRONT GRAPHICS

29-18-A,Sarugaku-cho,Shibuya-ku,Tokyo

4/28(Tue)-5/31(Sun) closed on Monday

11:00-19:00

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アートフロントグラフィックスでの中岡真珠美さんの個展です。

これまで折に触れて拝見してきて、特に昨年の第一生命ギャラリーとO gallery eyesでの同時期開催の個展で拝見したときの画面の外側へのベクトルすべてに向かって拡散するようなおおらかなスケール感と、そのイメージを生み出させるクリアな抽象性とが爽快な印象となって鮮烈に残っているのですが、今回の個展で発表された作品はこれまで尽き進められるようにして高められていたような感じがする抽象性がひとまず抑えられ、それぞれの作品の礎となる風景の臨場感が比較的強く残され、その具体的なイメージとの距離感が接近したような感触が実に新鮮に感じられます。

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白の白さが清潔で爽やかな風合いを醸し出す、中岡さん独特のマチエルは健在です。

しかし、風景としての臨場感が、特に横長の作品において、水平方向への豊かな広がりを思い起こさせてくれます。

壮大なスケール感も、より具体的なイメージとなって思い浮かびます。山際を連想させる鮮烈で伸びやかなラインが、また、くしゃくしゃと筆で施される曖昧なテクスチャーが...画面に現れる様々な表情が響き合い、現実にはあり得ない色彩ながら感覚的に分かる感じがして、再構築される記憶のように響きます。

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ひとつの作品に用いられる色彩の数も増えたように思えるのも新鮮です。

これまでは比較的、作品ごとに「何色の作品」と呼べるような感じがしていたのですが、今回は白が主体であることは変わらないながらも、そこにもたらされる色彩に多様性が持ち合わせられることで、その情報の多さも具体的なイメージの距離感を近くしているように思えてきます。

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そして、今回の個展で発表されたなかで興味深いのが、これまでであれば白がキープされた部分にパール系の色が施された作品です。

うっすらと広がる淡いきらめきが、これまでとはひと味もふた味も違う風合いを奏でます。

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どこまでも突き抜けていくかのような爽快な白がパール色に染まることで、その情景に影が射し、レイドバックしたような雰囲気がふわりと広がって、不思議な空気感がもたらされるように感じられます。

広がる気配が「空」ではなく「海」に変わるような...それが「海」であるかどうかは定かではないものの、時間帯のイメージなども違って感じられるんです。

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オープニングの日にのみ展示されていたドローイング作品も大変興味深いものでした。

カシュー素材を用いるなどして作り上げられる立体的なマチエルを持つキャンバスの作品への過程が伝わるような、スリリングな臨場感に溢れています。

目にしたもの、そのなかから印象的なものを画面に起こしていく行程の感触が生々しく、しかしキャンバス作品に通じる豊かな空間性や色彩感はそこにもしっかりと息づいていて、実に納得できる印象です。

抑制の利いた抽象性と、風景のモチーフが醸し出すリアリティとの絶妙なバランスが、これまで中岡さんが積み上げてこられたイマジネーションとスキルで表現される世界に広がりをもたらしたような感じが嬉しいです。

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