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幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報
2009年7月アーカイブ

《7/25》

REAL OSAKA -大阪発12人の提供でお送りいたします。-

Bunkamura Gallery

東京都渋谷区道玄坂2-24-1

7/25(土)~8/2(日)

10:00~19:30

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大阪のギャラリーが送り込む若手アーティスト12名、既知、未知の個性が揃い、実に楽しい空間が創り出されています!

国本泰英さん。

フクダ画廊での個展でもたっぷり拝見した、ベージュのソフトな色彩を背景とし緻密なグラデーションで人物のシルエットを描いた作品がまず出迎えてくれます。

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今年さんざん目にした場面も。

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人を描かない作品も登場していて、こちらの展開も興味深いです。

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噂のアーティスト、小沢団子さんも登場!

線の面白さ、楽しく溢れる色彩、シュールな女の子の姿。キャッチーな世界がめくるめく広がっていっています。

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立体も可愛い!

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1点のみの出品、森田存さん。

強烈に濃密なエキゾチックな雰囲気のインパクト。もっといろいろと拝見したいクリエイションです。

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ART AWARD TOKYO 2009で小山登美夫賞を受賞し話題を集める寺村利規さん。

不思議な空間性、たったふたりの人物が描かれ、その無機的な表情と佇まいが、画面に収まらない部分へのイメージを膨らませてくれます。

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小品での展開も、独特のダークな雰囲気が興味深いです。

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momoさんのペインティング、キュートな危うさが目を惹きます。

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モチーフのかわいらしさ、ざっくりと荒れる画面や絵の具の飛沫が放つアバンギャルドなテイスト、そして何より透明感と深みを備える赤のインパクトに、一気に膨張し弾けるような痛快さと危うい感触が奏でる緊張感に引き込まれます。

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立体の作品、小品もどくとくのかわいらしさが。

甘い毒を持つ感じ、その危うさが印象的な世界観を生み出しているように感じられます。

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展現舎での展覧会が気になっていた、双子姉妹アーティストのひとり、倉澤梓さん。シャープな構図、くっきりとした配色と色彩の解釈、かわいくデフォルメされた動物たちがそのなかでさまざまな場面を繰り広げています!

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くっきりと、グラフィカルに描き上げられるさまざまな風景の未来的な臨場感と、登場する動物たちの仕草や表情が醸し出すキャッチーな物語性が楽しく、印象的です。

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大きな画面の作品とともに、たくさんの小品がちりばめられていて、ひときわ華やいだ楽しい壁面が創り出されているのもまた嬉しいです。

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立体のアーティスト、まずは向井正一さん。

宇宙服を纏う赤ちゃん、表面のグラデーションが奏でるリアルな仕上げの説得力と、徹底したかっこよさがとにかく楽しいです。

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赤ちゃんだけあって、武器が哺乳瓶とか、かっこいいなかにユーモアが入り込んでいるのもなかなかよい感じで。

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一転して、Chapuriさんの創作人形の深遠な雰囲気に魅せられます。

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無垢で高貴な色香が漂います。

両表の立像、儚げな表情と佇まい、樹から人へと変わる脚の部分など、さまざまな部分が幻想的な風合いを奏でます。

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洗練された世界観、大人びたファンタジー。その繊細な気配に包まれます。

もっといろいろと、そしてソロでも拝見したいクリエイションです。

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ふたたび平面へ。

高橋淳さんの作品は、とにかくその徹底したテクスチャーに圧倒されます。

ぐしゃぐしゃと絡まる絵の具の線の1本1本の力強い存在感、それが描くポートレイトの曖昧さ。そのコントラストが危うい世界観を醸し出します。

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高橋淳4.JPG

この画面の生々しさに圧倒されます。

そこにある表情、もしかしたら笑っているかもしれないけど、その笑みを取り囲む凄まじいノイズ、そしてもしこの画面をかき分けることがでいきたとして、手を突っ込んだら気配が一気に消えそうで、その妖しいイメージも強烈に印象に残ります。

高橋淳3.JPG 高橋淳2.JPG

高橋淳1.JPG

小松孝英さん、その渋さが今回の展覧会に深みを与えます。

絵画としてのクラシカルな風合い、描写の高い再現性の説得力。独特の静謐感が繊細に漂います。

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仄かな透明感を醸し出す色使いも随所に織り込まれ、丹念に紡がれるひっそりと静かな情景の臨場感。その穏やかさが心地よく感じられます。

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小松孝英1.JPG

名古屋での個展などで印象に残る添野郁さんの作品も。

このクールな色彩と緻密に構築される奥行き感、いつ拝見しても楽しいです。

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オペラシティでのproject Nでもフィーチャーされた阿部岳史さんの参加も嬉しい!

木製のちいさな色とりどりのキューブが画面に整然と配され、それがポートレイトやさまざまな場面を描き上げていて、そのお洒落な感じが独特の面白味を奏でます。

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キューブを凝縮した作品も。

グラデーションの面白さに、妙に引き込まれます。

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キューブの作品に留まらず、光を用いた作品もあり、こちらの展開も興味深いです。

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キャッチーな立体的アプローチが、さまざまな表情を生み出します。

俯瞰したときにそれが何かにたしかに見える面白さと、至近で眺めた時にぐんと立ち上がる立体感、それぞれが楽しいんです。

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大林芳紀

青山|目黒

東京都目黒区上目黒2-30-6

7/4(土)~7/25(土)日祝休

12:00~20:00

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ストロークの味わい深さが奏でるエキゾチックさ、ジャポニズムが、独特の世界観を導き出しています。

徹底した描き込みの作品の圧倒的な密度にも感嘆させられた次第。

最終日になんとか伺い、作品ひとつひとつとじっくりと対峙し、そこから滲む深みに浸れたのがとにかく嬉しかったです。

小沢剛「もうひとつの小沢剛展」

Ota Fine Arts

東京都中央区勝どき2-8-19-4B

7/21(火)~8/29(土)日月祝・8/9~8/17休

11:00~19:00

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広島での個展と会期を合わせての、小沢剛さんのOta Fine Artsでの個展。これまで発表されたさまざまなクリエイションが年表風に展示されているのがありがたく、また楽しい構成となっています。

それぞれが醸し出す謎めきに満ちた創造性に感嘆しつつ、なかでもパフォーマンスを収めた映像「できるかな2004」に夢中に。

できてるのか!?Σ( ̄口 ̄;)

ホントにできてるのか!?Σ( ̄口 ̄;)

と思わずにはいられない、地味に破天荒な展開が面白すぎるのです。

馬場俊光展

BASE GALLERY

東京都中央区日本橋茅場町1-1-6 小浦第一ビル1F

7/3(金)~8/7(金)日祝休

11:00~19:00

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再訪。

ひとつひとつの色彩がていねいに、マスキングも駆使して画面に重ねられ、シャープに描かれる風景の独特の重厚感、その淡々とした静かな気配が心地よいです。

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アルミのプレートの画面の強靭さを兼ね備える画面のフラットさが、緻密な色面構造を引き立てます。

そして、ひとつの色面が持つ豊かなグラデーションが生み出す陰影も、描かれる情景に、さらに深みをもたらしているようにも感じられます。

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作品によって統一される色調も、独特の美しさをもたらしています。

そして、本来の風景から意識に入ってこないものを引き、より感覚に近い情景が描かれることで、眺めていると自然にそのなかに入り込み、硬質な静けさを肌で感じるような感覚に浸れるのも嬉しかったり。。。

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裸婦の作品も。

究極的に有機的なモチーフながら、そのユニークなアプローチにより、独特の硬質感がもたらされ、不思議なエロティシズムが奏でられているように感じられて興味深いです。

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シャープなテクスチャーと、ユニークな解釈を通過しての高い再現性。

これからの展開も楽しみです。

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「変成態-リアルな現代の物質性」展 vol.3 泉孝昭×上村卓大 「のようなもの」の生成

gallery αM

東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビルB1F

7/25(土)~9/5(土)日月祝休

11:00~19:00

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それぞれ、さまざまな素材の質感が直接的に活かされ、というかほとんどそのまま提示され、それが空間に作用して独特のシュールさが紡がれています。

これまでも折に触れて拝見している泉孝昭さんの作品、なんだろう、このおもしろさは...なかなか言葉にするのは難しそうなのですが、そこにそれがあるだけで何故か説得力と美しさを感じてしまうという...。

泉さんよりは「作った」感が伝わる上村さんの作品たちも、それでもやはり不思議な雰囲気を漂わせています。

ふたつのクリエイションの境界の曖昧さも、展示の面白さを加速させているように思えます。

不死鳥と雉鳩 -真夏の夜の夢2-

CASHI

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-18-1F

7/18(土)~8/8(土)日月祝休

11:00~19:00

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3名のアーティストがパッケージされたグループ展。

CASHIらしいクリエイション、伸びやかなペインティングがそこかしこに溢れます。

膨らむような色彩が楽しく、心地よいです。

《7/26》

藤野未来展

Gallery惺SATORU

東京都武蔵野市御殿山1-2-6 ビューキャニオン吉祥寺御殿山B1F

57/11(土)~8/2(日)火水休

11:00~19:00

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色鉛筆と鉛筆で綴られる、滋味溢れる世界。

それぞれの壁面で構成される物語性は、素材の軽さ、親しみやすさが独特の不jか見をもたらしているように感じられます。

不思議なモチーフが、人の顔のまわりを広がり漂う作品、モチーフの微妙な歪みが奏でる臨場感が面白いです。

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同様のモチーフが今度は画面に鉛筆で描かれて整然と配され、そこを背景に青い髪の女性がやってくる構成。

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縮尺を巧みに活かし、展開されるユーモアが楽しいです。

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それぞれ、淡々とした気配が印象に残ります。

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TRIO-A-STRIPE 秋本将人 西原功織 保坂毅

A-things

東京都武蔵野市吉祥寺本町4-6-2 SATOH BLDG.1F

7/25(土)~8/30(日)月火休

13:00~19:00

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3名のアーティストが、展覧会タイトルにある通り「ストライプ」をテーマに制作した作品を揃えた展覧会です。

西原功織さんの筆遣いの面白味、本来からストライプの展開が多いこともあり、真骨頂的な感じが痛快です。立体のアプローチが大胆かつ素朴さをも奏でる保坂毅さんの作品群、そして紙の箱を組み上げてユニークな空間を導き出す秋本将人さんと、それぞれの個性の響き合いも心地よく爽やかに感じられます。

また、壁面のどの部分を眺めても収まりがよくて、それがまた楽しさを加速させてくれるんです。

《7/30》

原口佳子「cosmos」バウムクーヘンの森/嘴のさきに見える山

artdish.g

東京都新宿区矢来町107

7/30(木)~8/16(日)月休

12:00~22:00

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真夏に観る雪景色。

FUKUGAN GALLERYで拝見した海辺の風景の写真作品も印象的な原口佳子さんのartdish.gでの個展、コンパクトな空間に収められる景色の神々しさと軽やかな空気感が新鮮です。

ふわっと広がる白が、心を潤して、そして癒してくれるような感じがして心地よく感じられます。

熊谷直人 "p d"(p)

Gallery Teo

東京都品川区東五反田2-5-15-3F

7/18(土)~8/1(土)日月祝休

11:00~19:00

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Naoto Kumagai "p d"(p)

Gallery Teo

2-5-15-3F,Higashi-gotanda.Shinagawa-ku,Tokyo

7/18(Sat)-8/1(Sat) closed on Sunday,Mondayu and national holiday

12:00-19:00

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揺らめくような色彩で紡がれる光の表情。

裏腹な画面のマチエルの生々しさ。

2期続けて開催されるGallery Teoでの熊谷直人 さんの個展の前期、まずはペインティング作品が発表されています。

植物をモチーフとし、さまざまな色彩が画面にもたらされ、幻想的な情景が紡ぎ出されています。それぞれの作品における繊細さと大胆さが、そのまま強さと儚さとなり、その絶妙な加減が豊かな世界観をもたらしているようにも思えます。

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作品によってトーンにバリエーションがもたらされているにも大変興味深いです。

鮮烈で色が用いられ、その発色の強さが呑まれるような濃密な世界を奏でている作品から一転、グレートーンが印象的な画面では、淡々とした気配が印象的です。

しかし、画面の仕上げの艶やかさや下地や絵の具の質感の立体感など、至近で眺めたときに伝わる「もの」としての臨場感が、異なる重厚なインパクトをもたらしているように感じられます。

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植物をモチーフとする統一されたひとつのコンセプトによって、実にバリエーション豊かな情景が導き出されているのが楽しいです。

今回の展覧会の中でひときわ大きな作品、風にそよぐ草を思わせる、ふわりとした膨らみをもつ無数のストローク。そのカラフルさは、さまざまな光の表情を思い起こさせ、軽やかで幻想的な情景が生み出されているように感じられます。画面のサイズ以上の広々としたイメージを想起させながら、やはりマチエルの生々しさに、ただ軽く爽やかな想像を許さない、強烈な要素が備わっているようにも思えて、そのギャップも興味深いです。

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筆致がもたらす表情の豊かさは、用いられる色彩とともに、画面ごとの世界感を個性づけていきます。

朧げに画面を這う線と、そこかしこに広がる色彩。こちらもトーンの落ち着きが沈むような雰囲気を醸し出し、気配に霞む樹木のシルエットのようなイメージを思い起こさせてくれます。また、この作品の画面はざらついていて、俯瞰した時の霞むような気配感の印象へも作用してきて、それだけイメージに幅が生まれていくんです。

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数点展示されている小品も、それぞれの壁面と空間に豊かな響きとアクセントをもたらします。

小窓から覗いた風景のような、コンパクトな画面における構図の楽しさ、そこで繰り出されるある種の実験的な要素。大きな作品がずらりと並んでいることもあり、ちいさな画面からも豊かに想像が広がっていきます。

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色彩と筆致によって描かれる植物をモチーフとしたシルエットは、むしろさまざまな光の表情を紡ぎ出しているように感じられます。

仄かに漂う透明感、ゆらゆらと揺れる幻想的な気配。抽象性の高さも加わり、メランコリックな雰囲気もそこに注がれているように感じられます。

しかし、描かれる情景の繊細さがもたらすファンタジックなイメージは、画面のマチエルの生々しい立体感とのギャップによって現実感へと力強く引き戻されます。

そのコントラストが独特のクールネスとなって、熊谷さんが描き出す世界観をより個性的なものへと押し上げているように思えてきます。

夏休みを挟んで開催されるドローイングによる展覧会も楽しみです。

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永瀬武志 " super real "

YOKOI FINE ART

東京都港区東麻布1-4-3 木内第二ビル6F

7/17(金)~8/1(土)日月祝休

11:00~19:00

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Takeshi Nagase  "super real"

YOKOI FINE ART

1-4-3-6F,Higashi-azabu,Minato-ku,Tokyo

7/17(Fri)-8/1(Sat) closed on Sunday and national holiday

11:00-19:00

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神々しくさえある、圧倒的な透明感。

YOKOI FINE ARTでの永瀬武志さんの個展です。

直前に開催されたBunkamura Galleryでの個展では、最近の展開の集大成的な構成で、人物画、風景画、花をモチーフとした作品とバリエーションに富み、しかしそのひとつひとつに凄まじいほどの瑞々しさがたたえられていて圧倒されたのですが、続く今展では展示作品数もぐっと抑えられ、また暗めの照明設定によって、Bunkamura Galleryでの華やぐような雰囲気とは異なり、沈み込んでいくような静謐感がもたらされているように感じられます。

とにかく、DMにも採用された作品が素晴らしい...。

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黒いフレームにトリミングされた女性の横顔は、光の当たる角度や加減が伝わるほどに髪の毛や睫毛がていねいに再現され、顔の肌はいっそう艶やかな光を放って。

ほぼ右目だけで伺える表情も実に豊かに伝わります。思わず見とれるほどに美しい横顔、この繊細な気配感に唯事ではない貴重なインパクトを感じます。

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この展覧会では、人物画を中心に構成されています。

精緻に再現される作品たち。豊かな、そしてたおやかな表情やゆったりとした時間の流れを思い起こさせてくれます。

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そしてこれらがすべてエアブラシで描かれていることにも、あらためておおいに驚かされます。

肌の木目の細やかさ、艶やかさは、深く繊細な陰影をもたらすグラデーションで描かれ、さらに頭髪や睫毛の1本1本、そして瞳孔の内側さえも、緻密に再現されていて、エアブラシという道具のポテンシャルとそれを駆使する長瀬さんのスキルに感嘆。。。

エアブラシだからこそ、当然筆痕などが残るはずもないためにもたらされる画面表面のフラットさも、作品が持つ美しさ、透明感をさらに硬質なものへと引き上げているような気もします。

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1点だけある「奥歯」を描いた作品。

これがこの空間に与えるアクセントの濃度にも惹かれます。

「顔」の内側、構造というか、生命としての生々しさを絶妙な距離感で提示しているように感じられます。

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1点1点の深みとともに、ストイックな構成に酔ってもたらされている空間全体に広がる穏やかさと緊張感を感じてほしい展覧会です。

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内海聖史展 ―千手―

GALERIE ANDO

東京都渋谷区松濤1-26-23

7/7(火)~7/25(土)日月休

11:30~19:00

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Satoshi Uchiumi “thousand-armed"

GALERIE ANDO

1-26-23,Shoto,Shibuya-ku,Tokyo-to

7/7(Tue)-7/25(Sat) closed on Sunday and Monday

11:30-19:00

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視線の高さで空間を知る...。

GALERIE ANDOでの内海聖史さんの個展に行ってきました。計3回足を運び、その都度見えてくるもの、見つかってくる要素、そして思い浮かぶイメージが変化し、そこにいる時間が常に充実して感じられたのが、いつものこととはいえ、今回も強く印象に残っています。

入り口の扉の格子越しに目が捉える空間。

もう何度も足を運んでいるこのギャラリーが、

「あれ、こんなに広かったっけ?」

と思わずにはいられないほどに、深くゆったりと感じられたのがとにかく新鮮に感じられた次第です。

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ユニークなかたちのスペースの、敢えて上方に配される内海さんのペインティング。

その位置のアクロバティックさは否応なく視線を上へと向かわせると同時に、逆に壁と床が接するコーナー部分にも、自然と意識が向かうんです。

あらためて、意外なほどに天井が高いことを自ら強く認識するがごとくしげしげと空間の形状へと意識を注ぎ込んでしまうのがまた印象に残ります。

そして、前回のこの空間での個展でのインスタレーションを思い浮かべ、そのときに出展された1枚の壁面全面をほぼ覆う作品が、今更ながらに相当なサイズだったことに呆然とさせられたり。。。

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前回の同ギャラリーでの個展の際に、上記の全面がペインティングで覆われた壁面の向かいの壁面に設置され、それと対峙し、空間として受け止めていた円環の構成の発展系である今回のインスタレーション。それぞれの画面が「何の色」と言い表せる構成、それに準じてもたらされる色彩のバリエーションにも随分と慣れてきたことも実感したのですが、では、とあらためて1点ずつとしっかり眺めてみると、例えば赤の作品の画面を眺めていると思って刹那、その画面に備わる赤ではない色に意識が入り込んでいることに気付かされることしばしば、この感触も印象的です。

また、同系統の色の濃淡が、壮大なイメージへと変換され、山並みを俯瞰しているような、もしくは余白が海面で、複雑な稜線に加え、無数の谷が這うように入り組む岸壁のようにも見えてきたり。

さらには、(敢えてこう表現しますが)ある一定数のストロークが構築するおよそひとつのドットの塊がうごめき、衝突しあっているような、動的なダイナミクスも伝わってくるんです。

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下方から煽るように眺めて、画面に乗る絵の具の臨場感をいつもより生々しく、強く感じられたのも心に強烈な記憶として残ります。

作品の展示位置を考えると至近で観ることはかなわないのですが、それでも最至近である下方から眺めていると、だんだん足下の意識が消えていきます。

「もしかしたら浮いているのか?」

などという錯覚も敢えて思い描いてみると、このインスタレーションがさらに体感できるような感じもした次第で。

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前回の「十方視野」の、すべての画面のサイズが異なる構成を直前に体感していたこともあり、また同時期にスパイラルガーデンで開催されていた展示のサイズがそのままド級の迫力へと転化する構成を観ていたこともあって、同サイズの画面を並べて得られていた今回の展示における無機的なリズム感がより伝わって、そしてそれが、一つの画面にトリミングされた感じいっそうシャープに提示しているようにも感じられました。

今回の作品が円環なのであれば、もし機会があれば、相応の広さの壁面で、文字通りひとつの円周上に配置された展示も観てみたいなぁ、と。

ひとつの空間での展示が時間的に完結しても、ここから作品が...もとい、コンセプトが育つ可能性を、今回の展覧会では、より強く感じます。

まずは8月の京都、そしてそれ以降の展開へも好奇心が膨らんでいきます!

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抜水摩耶 個展『私は強い、お前は弱い』

ArtJam Contemporary

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F

6/26(金)~7/26(日)月休(7/20開廊、7/21休)

12:00~20:00

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Maya Nukumizu “I’m strong, You’re weak”

ArtJam Contemporary

1-18-4-2F,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo

6/26(Fri)-7/26(Sun) closed on Monday

12:00-20:00

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ステルス。

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・・・ふうの戦闘機のオブジェが至る所に。

宣戦布告か!

先制攻撃か!

しかしそんなのお構いなし、なぜなら私は強いからー!

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どんな強さだよ!Σ( ̄口 ̄;)

たしかに強そうだけど!Σ( ̄口 ̄;)

もとい、鑑賞者の先入観やら想像力やらに対しても圧勝のインパクトを誇るタブローがずらりと並んでいます、ArtJam Contemporaryでの抜水摩耶さんの個展です。

とにかくこの勢いが。

サイバーでソリッドでヴィヴィッドでアグレッシブな世界。

お馴染みのオメメパッチリもといバッチリな女の子が腕に銃を携え、目から光線をほとばしらせ、口から舌をビヨーーンと鞭のように伸ばし、ミニスカートを振り乱しながらながら、画面の方向へ向かって猛スピードで、ものすごい勢いで攻めてきます。

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ていうかなんで攻撃されんの俺!?Σ( ̄口 ̄;)

無彩色がベースとなり、そこにシルバーのラメなどもふんだんに取り入れることで、抜水さんの発する世界観に硬質さ、そしてフューチャリスティックな雰囲気が備わり、さらに勢いが増して感じられます。一にも二にも、とにかく痛快なのですぅぅぅ!

一転、白と黒との日章旗風のモチーフを背景に、今度は腕が刀となり、膝付きのポージングで隙あらば襲いかからんとするその仕草に、まるでヘビににらまれるカエル状態って穏当にそうなのかよくわかりませんけど、それはそれ、かっこいいですよホント。

振り乱される長髪のなかに描き込まれるさまざまな紋様、絵柄がさらにソリッドに奥行き感を創り上げ、複雑な立体感を伴って迫ってきます。

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ベースがモノトーンであることにより、そこに色が入ると一気にヴィヴィッドな感触が立ち上がってきます。

画面を這う顔料の生々しさ、そしてそこに何か焦燥感に煽られるかのよう画面を走り、塗り込まれる無数のストロークが、独特の濃密さを導き出しているように感じられます。

また、この作品においてはそのサイズにも圧倒されてしまいます。巨大な顔と、ただでさえ割合として大きいのにそれに比例してさらに拡張膨大となる目が、この世界観が持つ強さをさらに押し上げているようにも感じられるんです。

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1点だけ出展されていたフィギュアふうのオブジェ、これがまた素晴らしい臨場感で。

全身をダークシルバーで覆い、そこにあの、いかにも抜水さんらしい重里天真爛漫さとを伴うストロークが表面に走り、さまざまな模様が施されて、平面世界からホントに飛び出てきたかのような、ある種のリアリティが力強く提示、展開されています。

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今回の個展のタイミングでリリースされた(と思うのですが・・・)、新聞風の画集も見応えあり。

抜水さんのさまざまなクリエイションが網羅され、それが敢えて上質紙ではない紙にプリントされることで、アングラな感じがより鋭さと深みを増して現されているように感じられます。

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常に動的なイメージを放ち、観る者をそれで煽り続ける抜水さんのクリエイション。

ある瞬間を捉えたような独特の凄まじくスピード感溢れる緊張感と、画面に走り広がるラインやストライプが放つ、勢いに満ち、立体的なベクトルへと向かいながら世界観の拡大膨張を促すテクスチャー。

徹底して煽って煽って煽りまくるその画風は痛快極まりなく、そこに硬質な色彩が用いられるとでさらに力を得て、コンパクトな空間でありながらも窮屈に感じられるくらいに情報量が満ち溢れ、独創的かつアグレッシブなポップさ、キャッチーさも備える世界観が展開されています。それでいて、その後ろを振り向かない感じに悲壮感というか、敢えてネガティブな想いを押し隠すような印象も、その徹底し、むしろ過剰なほどの天真爛漫さの裏に潜んでいるように感じられたり。

・・・ああもう!

四の五の言うのはもうやめ!

とにかくこの勢いに感性が蹂躙される感じは痛快です!

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早川克己 展「Double:Vision」

Gallery MoMo Ryogoku

東京都墨田区亀沢1-7-15

7/4(土)~7/25(土)日月祝休

11:00~19:00

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HAYAKAWA Katsumi "Double:Vision"

GALLERY MoMo Ryogoku

1-7-15,Kamezawa,Sumida-ku,Tokyo

7/4(土)-7/25(土) closed on Sunda,Monday and national holiday

11:00-19:00

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さまざまなテクスチャーで組み上げられる、フューチャリスティックな抽象世界。

Gallery MoMo Ryogokuでの早川克己さんの個展です。

入り口からずらりと並ぶ大作群。そのひとつひとつに構築される情景は圧倒的で、幾何学的、図形的なアプローチも導入して立体感に溢れ、そのかっこよさ、子どもの頃に憧れたようなスピード感溢れる未来的なイメージに包まれます。

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画像はバリエーションに富んでいて、それぞれが独創的な雰囲気に満ちています。

おそらく何層にも重ねて塗布される絵の具によって生まれる表面を削ることで表出する色彩は、ときに光線のような鋭さを伴って迫ります。

引かれる直線、緻密に彫り込まれるドット、艶やかに広がる色彩。それらが一体となり、壮大なスケール感を生み出しているように感じられます。

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おそらく基本スタンスにあるのは「遊び心」なのだろうと思います。

単純にかっこいいことが追求されているシンプルな姿勢、そして理論というか、「こうすればこうなる」という感覚的な経験により、それぞれの作品に伝わりやすい面白味をもたらしているような気がするんです。

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奥のスペースでも、そのサイバーな雰囲気は続きます。

重厚なグラデーションが放つヴィヴィッドな輝き。そこに無数の線があるルールに沿って彫り上げられ、立体的な奥行き感が生み出されていいます。

そのなかに数本取り入れられる大きな弧が、ダイナミズムと時間のイメージとをそこに重ね、さらに分厚く壮大なスケール感をもたらし、より力強く迫ります。

そして、至近で眺めた時のスクラッチ痕の生々しさ、アバンギャルドさも見応えがあり、そのギャップも想像を膨らませてくれます。

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一転して落ち着いた色彩が広がる作品。

スクラッチの奥から除かれる濃密な赤、そしてそれによって現されるさまざまな角度のライン、そして無数のスクエアは、手描きらしい微妙なズレや歪みを伴い、それが混沌となってこの世界を複雑でアグレッシブなものへと押し上げているように感じられます。

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さまざまなサイズに加え、パネルの厚みなどにも変化がもたらされ、バラエティに富んだ情景、アクロバティックなテクスチャーが導き出されているのも興味深いです。

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空間に満ちるシャープな雰囲気も印象に残っています。

ペインティングの臨場感としても実に独特で、「描かれる」というより「創られる」と表現したほうがしっくりくるような、独創的な、壮大な世界観と生々しくアバンギャルドな触感をたたえるテクスチャーが強く心に残ります。

そして、作品ごとの強度、仕上げの艶やかさにも感嘆させられた次第。

ひとつの色彩、スタイルの作品で統一された展示空間はどうなるんだろう、とか、もっとアクロバティックな画面形体の作品も観てみたいなど、いろんな興味も広がります。

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《7/17》

project N 38 山下美幸

東京オペラシティアートギャラリー 4Fコリドール

東京都新宿区西新宿3-20-2

7/18(土)~9/27(日)月(祝日は開館)・8/2休

11:00~19:00(金土:~20:00)

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BOICE PLANNINGのメンバーとしてもお馴染み、山下美幸さんが鴻池朋子さんの個展とあわせて開催のproject Nに登場、これもまた素晴らしいです!

旧作も含む大作が、それぞれのコーナーに設置され、じっくりと対峙できる構成になっているのも嬉しく、新作における新たな試み、これまでになかったストロークもふんだんに取り入れられ、独特のメランコリックな雰囲気とともに新鮮なイメージの創出も促されます。

さらに、もっとも大きな作品のインパクトも強く印象に残ります。透明感も加わり、おおらかに情景が広がる感じも楽しいんです。

メインでの鴻池朋子さんの個展は、あれはもうアトラクションの域。

そして、

ガンツか!Σ( ̄口 ̄;)

あれを倒せば「100てん」か!Σ( ̄口 ̄;)

と思った次第。

分かる人にしか分からないですけど、分かる人にはすごくよく分かってもらえると思います(笑)。

鶴見幸代個展 “チューニング Tuning”

谷門美術

東京都港区北青山3-3-7 第一青山ビル1F

7/17(金)~9/4(金)日月祝・8/11~8/15休

13:00~19:00

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六本木時代のmagical,ARTROOMでの個展も印象に残っている鶴見幸代さんの久々の個展です。

1枚の写真に光や手描きなどを重ね、ユニークな情景を導き出すのですが、今回はその手描きの部分にモザイクのような、ちいさなチップをちりばめたようなテクスチャーが取り入れられ、緻密さが楽しく、またレトロな雰囲気が前回とは異なる味わいも醸し出しています。

《7/18》

ミリアム・ケイアンス/杉田陽平展

Gallery Strenger

東京都港区南麻布3-3-39 カーサベルマン1F

7/18(土)~8/8(土)日月祝予約制

12:00~19:00

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ふたりのアーティストをパッケージし、それぞれ「死」と「生」とがテーマとなり、お互いが放つ世界観を補完し合っているような構成が興味深いです。

杉田さんのペインティングにもさらに幅が生み出され、ミリアム・ケイアンスさんのピュアで味わい深いセラミックの人物の造形とユニークな響きを生み出しています。

Mark Borthwick

GALLERY SIDE 2

東京都港区東麻布2-6-5

7/18(土)~8/15(土)日月祝休

11:00~19:00

いつもと違う雰囲気に、刹那、戸惑わされます。

イージーに展示される写真やドローイング。それ以外にもさまざまなものが配され、リゾート的な雰囲気、レイドバックしたような空気感に包まれ、時間が経つにつれてその臨場感に心地よさが増していきます。

あらためて1点ずつの作品を拝見すると、これが実に味わい深く、セピア的な風合いを醸し出しながら豊かな気配を紡ぎ出していて、緩やかに引き込まれていきます。

この日はオープニングレセプションでアーティスト自身によるライブが行われたようで、その準備でギターや譜面、アンプなども出されていて、それもまた独特の雰囲気に臨場感をもたらしていたように感じられた次第です。

永瀬武志 " super real "

YOKOI FINE ART

東京都港区東麻布1-4-3 木内第二ビル6F

7/17(金)~8/1(土)日月祝休

11:00~19:00

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この透明感。

潤いに満ちる静謐観に気配に圧倒されます。

この写実表現がすべてエアスプレーで繰り広げられていることにも大いに驚かされ、6点で構成される空間の深みも強く印象に残ります。じっくりと対峙させてくれる空間です。

熊谷直人 "p d"(p)

Gallery Teo

東京都品川区東五反田2-5-15-3F

7/18(土)~8/1(土)日月祝休

11:00~19:00

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光の表情を独特の色彩の解釈で描き出し、植物をモチーフとしながらも抽象性の高い世界観が溢れる作品がずらりと並んでいます。

揺らめく光の質感も、至近で眺めると画面の質感の生々しさにも引き込まれます。

竹谷満 "in the forest"

MEGUMI OGITA GALLERY

東京都中央区銀座5-4-14 銀成ビル4F

7/7(火)~7/25(土)日月祝休

12:00~19:00

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これは楽しい!

ちいさな空間の壁面を、ドローイングが覆い尽くしていて圧倒されます。

そして、キャンバスのペインティング作品が画面から立体的に立ち上がり、そのものとしての存在感に加え、遊び心がたっぷりと注ぎ込まれるユニークな色彩感やモチーフにも惹かれます。

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ドローイングは、とにかくその量に圧倒されます!

日々描き綴った作品がびっしりと並び、そのバリエーションの多さもまた楽しかったり。

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風景を描いたドローイング。色の解釈が楽しいです。

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さらに、ある場面を描いたような作品も。

シンプルな感じが心地よいです。

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そして、自画像と思しきポートレイトも。

表情が独特で、それらが随所に配されていて、目が合うような感じもまた面白味を加速させてくれるんです。

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のびのびとした色使いとモチーフの豊かさ。これからどうなっていくんだろう、と興味も増してきます。

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中沢研

ANDO GALLERY

東京都江東区平野3-3-6

6/9(火)~8/29(土)日月祝休

11:00~19:00

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前回の個展ではペインティングが発表されていたのですが、今回は中沢さんのもうひとつのスタイルである、インスタレーションが作り上げられています。

天上から降るように、無数の鉄のスティックが整然と配されていて、その光景の独特の雰囲気に引き込まれます。

そして、4本1組で配置される鉄のスティックが床に触れる部分の情景がまた、味わい深いんです。

ほんのりと淡く影が伸び、ユニークなスケール感を奏でています。これがこの空間に並ぶ本数だけあると思うと、イメージもさらに膨らみます。

じっくりと堪能したいインスタレーションです。

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「続・続・続」展 大平龍一、コマドル、重田佑介、並河進、新見文森一朗

@市田邸

東京都台東区上野桜木1-6-2

7/18(土)~7/26(日)

11:00~19:00

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昨年に引き続いて開催、参加アーティストも一気に増え、さらに面白さを増したこの企画。入り口の靴ひものアニメーションから好奇心が煽られ、大平龍一さんの巨大なセミスピーカー、そして昨年も登場した無数の金色に輝くセミが凄まじい迫力に満ちる空間を作り上げていて壮観!

森一朗さんの焼物の鯉が庭にいたりして、そのインパクトもまた楽しく、さらに奥の部屋で上映されている、谷中のさまざまな建物がしゃべる映像がとにかく面白いです。

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《7/19》

TWS-Emerging 120 松本菜々「roots of one」

トーキョーワンダーサイト本郷

東京都文京区本郷2-4-16-3F

7/4(土)~7/26(日)月休(祝日の場合開館、翌火曜休)

11:00~19:00

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キュートなリズムが溢れていて楽しいです!

程よくあばれる筆致、自由な色使い。そのお転婆な感じというか、天真爛漫な筆の運びで描かれる抽象的な情景の動的なイメージが痛快に思えます。

もっといろいろと拝見したいです。

菊地良博 "ROMAN COLLAGE"

AISHO MIURA ARTS

東京都新宿区住吉町10-10

7/14(火)~8/9(日)月休

13:00~21:00(日:~19:00)

ドローイング的な作品がずらりと配される空間。これまではトイレに展示されていたのですが、その空間をギャラリースペースで再現、さまざまなテクスチャーが溢れています。

ガムテープを使った作品などもあり、その自由なアプローチも興味深く感じられます。

《7/22》

尾家杏奈「はじまりのはじまり」

WADA FINE ARTS

東京都中央区築地3-2-5 第2平和田ビル

7/22(水)~8/8(土)日月祝休

11:00~19:00

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京都での展示も印象的な、尾家杏奈さんの個展。

京都で発表されている作品のイメージで伺い、色味の差異に意表を突かれだ次第。夜の雰囲気が画面を覆い、そこにふんだんに収められるさまざまな場面が立ち上がってきます。

空間を囲むように作品が並び、その迫力にも圧倒されます。

山本昌男展「川」

MIZUMA ART GALLERY

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F

7/22(水)~8/22(土)日月祝・8/13~8/15休

11:00~19:00

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深いです。

前回の個展では、インスタレーション的な展開が印象的で、そこかしこに灯されるようにさまざまなモノトーンの情景がそれぞTれ、ぽつん、とちりばめられていたのですが、今回は1点ごとに額に収められた写真作品が、ストレートに展示されていて、その画像の中に広がる気配のひとつひとつと対峙し、その深みに意識が沈み込んでいきます。

モノトーンで、ほのかなセピア色を伴って提示されるさまざまな情景。あるいはものであったり、偶然に眼前を過ぎた動物たちの姿を捉えたものがあったりと主題は幅広いのですが、統一感は穏やかにもたらされていて、全体から捉えられる世界観も印象的です。

そして、1点ずつを観ていった時、奇跡のフレーミング、奇跡のパース、そんな言葉が浮かんでくるほどに味わい深い景色が収められていて、じっくりと眺めていられるのがまた嬉しかったり。

時間を忘れて対峙したい展覧会です。

4 Winds 2009展 永井桃子 秋葉シスイ 矢口佳那 猪瀬直哉

ときの忘れもの

東京都港区南青山3-3-3 青山CUBE1F

7/3(金)~7/25(土)日月祝休

12:00~19:00

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4 Winds 2009 Momoko NAGAI, Sisui AKIBA, Kana YAGUCHI, Naoya INOSE

TOKI-NO-WASUREMONO

3-3-3-1F,Minami-Aoyama,Minato-ku,Tokyo

7/3(Fri)-7/25(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

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ときの忘れものでの、4名のアーティストをフィーチャーしたグループショー。

昨年に引き続いての開催で、参加アーティストのうち2名が入れ替わり、新鮮なインパクトももたらされ、昨年とはまたひと味違う見応えがあります。

まず、ときの忘れものではお馴染みの永井桃子さん。バラをモチーフにした作品の印象が強いのですが、ふわっと膨らむような色使い、筆使いで、バラ以外の花を描いた作品も合わせて発表されています。

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独特の空気感を醸し出すペインティング。思い浮かぶ物語性もゆったりとしていて、独特のメロウな緊張感もイメージを豊かにしてくれます。

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矢口佳那さん。地平線、水平線を思わせる構図がまず印象的です。どこまでも遠くへと届いているかのような感じが、ちいさな画面でありながらもおおらかなイメージをもたらしてくれます。

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随所に施されるスクラッチの痕や細かいストロークの集積などが現実的な生々しさを現し、全体のダイナミックな気配感とのギャップとなって、さらに面白味を加速させているように思えます。

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秋葉シスイさんはもう既にお馴染みの構図の作品で壁面を構成。

グレー調のダークな色彩は、オリジナリティ溢れる独特の気配を奏で、そこに佇む人が何を想うか、さまざまな想像も膨らみます。

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猪瀬直哉さん。

昨年のTHE SIXで拝見していて、さまざまな弾けたクリエイションが展示されている中でストイックなまでに具象的表現が繰り広げられていて、逆にその存在感を強めていたのが印象に残っているのですが、今回も重厚な世界を圧巻の筆致で描き上げ、そのスケール感にあらためて圧倒された次第です。

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全体から放たれる、絵画としてのクラシカルな味わい。単純にその質感に意識も入り込んでいくのですが、標識や落書きといった随所にもたらされるユーモアが、この風景の世界観をねじ曲げ、シュールなイメージを放ちます。イメージが揺さぶられるのが痛快で、面白いんです。

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浮世絵の構図をモチーフに描かれた作品。

沈む岩場のホール、その間から除く景色。引用の面白さに加え、青の美しさにもおおいに惹かれます。

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そのモチーフとなった作品を、さらにユーモラスにアレンジしたものも。

ていねいな模写に、奥に見える工場のイージーな描き振りがおかしみを加速させます。

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猪瀬直哉さんはお話も伺うことがあり、作品に物語が付随していてそれもあわせての展示が基本的なコンセプトなのだそうですが、絵画単体でも充分に魅せてくれます。今回はスペースの関係などもあって絵画のみの展示となっていますが、機会があればぜひ、あらためて本来のかたちでの展示も拝見したいです。

佐伯洋江展

TAKA ISHII GALLERY

東京都江東区清澄1-3-2-5F

6/27(土)~7/25(土)日月祝休

12:00~19:00

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Hiroe Saeki

TAKA ISHII GALLERY

1-3-2-5F,Kiyosumi,Koto-ku,Tokyo

6/27(Sat)-7/25(Sat) closed on Sunday,Modnay and national holiday

12:00-19:00

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もっとも美しい、そしてさらに美しく広がる余白。

TAKA ISHII GALLERYでの佐伯洋江さんの個展です。

どの時期の作品を拝見しても、一目見てそれとわかる佐伯さんの作風ですが、それでもしっかりと展覧会ごとに異なる世界観、情景で魅せてくれます。

今回は、最近採用されていたアクリルカバー型の額から木製のフレームへと戻しての展示。支持体としての紙もさらに白みを増したものを採用されているような印象で、壁面の白と響き合い、フレームなかに豊かな空間が収められているような展示がまず印象的に感じられます。

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いつになく、塗り潰される部分が多いのも興味深く、さらに多くの作品に赤が用いられ、それが象徴的にも感じ取れるような鮮烈なアクセントとなって、静かに、しかし強く迫ってきます。この色彩が持ついきいきとした感じ、熱のイメージなどが、鉛筆の黒と支持体の紙の白に映え、さらに木製の額も含め、その色彩感を引き立てているように感じられます。

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また、今回発表された作品は、縮尺のイメージがより曖昧に感じられるのも印象的です。

塗り潰され、深いグラデーションをもたらす色面が多く登場することもその理由の一旦だと思うのですが、それが何かを連想させる具体的なモチーフも思いのほか登場しているにもかかわらず、そこが壮大な景色を俯瞰しているのか、それともミニマムな世界へと入り込んでいっているのか...少なくとも僕にはその縮尺のイメージを決定づけるものをキャッチできないこともあって、今までにない深く壮大なボリュームのイメージをもたらしてくれるような気がします。

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画面に浮かぶようなモチーフの配置の作品は、さらにそのイメージの抽象性の加速を促します。

なんとも不思議な距離感、小さいものを観ているのか、大きなものを眺めているのか、その捉えどころのない感じに加え、壁面も含める大きく美しい余白が、大きくも小さくも、いずれのベクトルへも想像をおおらかにしてくれるんです。

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左下部のツボのようなモチーフから有機的なかたちの黒の色面が放たれているような位置関係。しかし黒の塊が相当に大きくも感じられたり、はたまた壷より知覚に、または遠くにあるようにも感じられたり。

ある具体的なモチーフが画面に織り込まれると、そこに物語が生まれ、しかしそれは言葉にできないような感じで、ただ過ごす時間だけはいっそう豊かに、ふくよかに思えてくるんです。

静謐でストイックな画面から伝わるあたたかみが嬉しく感じられます。

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空間性の深化。

モチーフが与えるイメージの広がり。

それでいて失われない、むしろ濃密さ、深みを増す個性。

細密な描き込みによる展開の面白さもそのままに、おおらかで深遠なグラデーションが持つ深みや灯される赤の鮮やかさとインパクト、さまざまな要素が新たに加わり、もしくは進化して、独創的で緻密なダイナミズムも加速しているように感じられます。そしてそのダイナミズムを空間全体から、身体で感じられるのも嬉しいです。

言葉にならない物語や大きく豊かな空間性が、これからどんな世界を展開してくれるかも楽しみです。

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池田光弘 漂う濃度

ShugoArts

東京都江東区清澄1-3-2-5F

6/27(土)~7/25(土)日月祝休

12:00~19:00

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Mitsuhiro IKEDA Floating Density

ShugoArts

1-3-2-5F,Kiyosumi,Koto-ku,Tokyo

6/27(Sat)-7/25(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

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素晴らしい発色で創り出される、独創的な硬質感。

ShugoArtsでの池田光弘さんの個展です。

ダークな色調で統一された大作が揃い、お馴染みのモチーフもふんだんに登場させながら、尖鋭的な感触をもそなえる重厚な迫力が空間を満たします。

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それぞれの作品のスケール感は相当なものであるにもかかわらず、それらはただ広がるだけではなく、重く沈むような気配感を伴う荘厳な気配を放って、独特の臨場感をも奏でているように感じられます。

冷たく硬い空気感を思い起こさせるダークな色彩のなかにはさまざまな色が潜み、それが深みをさらに押し込めて、それが空間ごとその気配を分厚く立ち上げてきます。そしてその奥の輝きがひときわ神々しく伝わってきます。そこへと至る石畳のリアリティが、背景のダークな色調と奥の光の抽象性とのコントラストを生み出して、誰もいない場面でありながら、凄まじく重厚な説得力を導き出しているようにも思えます。

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池田さんの作品の中に多く登場する、グレーの木々。背景の濃密な闇を思わせる色彩にそのダークな鮮やかさが力強く立ち上がっています。

作品によっては生える樹木として描かれているものもありますが、こうやって組み上げられた状態になると、金属的なものにも思えてきます。

そして、その硬質さがアバンギャルドな感触となって、攻撃的に迫ってくるんです。細く伸びる部分の尖端の尋常でない鋭さ、奥行きのダイナミズムなどが引き込まれるような雰囲気ももたらしながら、とてつもない「強さ」のようなものもを感じさせてくれるんです。

一方で、画面に施される絵の具による盛り上がりの配置が、独特のリズムを放ちます。そのひとつひとつは煌めくような色の絡まりを伴う抽象性を持ち、一気に現実のスケール感へと引き戻すアクセントとなって観る側のイメージに小さくても破壊力のあるインパクトとなって迫り、さらに俯瞰したときにそれらがまるで渦を描くかのように画面に散らばっている様子が、この場面に動的なイメージをももたらしているよう思えてくるんです。

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池田さんの作品の特徴で、危うさを伴う鋭さとはまた別に、精緻な再現性もあるように思われます。これまでも煉瓦造りの建造物などがストイックなまでに再現されているパートなどを目にするたびに、凄まじいスピードを伴うのとはまた異なる、ズンと重力方向へと沈むような重厚な迫力にもおおいに惹かれたのですが、今回は、妖しく焼ける空を背景に描かれる平屋の洋館が描かれた大作が。

ファサードのモダンさがシャープにう描き上げられ、そのまわりの樹木などのぼやけたようなフォルムとコントラストを生み出して、独特の危うい気配がもたらされているように感じられます。そしてこれほど暗く、凄まじい危うさをたたえる白があるだろうか、と。人の気配を感じさせないだけにさらにその白の独特の気配も深まります。

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グラフィカルな展開の作品も。

横のラインでシンプルに構成された展開。具体的なイメージを彷彿させるモチーフでないだけに、ストロークの面白さがより際立ちます。そして色の立ち上がりと深みが尋常でなく、ただその美しさに浸っていても充分に豊かな時間を過ごせるんです。

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今回じっくりと拝見し、VOCA展や前回の個展などでも拝見していた池田さんの世界観にさらに感じ入った次第です。

さまざまな拘りが、随所から感じられます。モチーフの持つ力を活かし、ストイックな構図で展開されるさまざまな情景。妖しく人影が登場する作品における、一瞬で消え失せてしまいそうな・・・もしかしたらそれすら幻影かもしれないという儚げな気配感、一方で人が登場しない作品ではそこに存在するさまざまなものの重厚さが全面に押し出され、ダイナミックに迫ってくるんです。

さらに、作品ごとの「もの」としての精度へのこだわりにも大いに感嘆させられます。

キャンバスの張りや画面に施される絵の具の質など、そういった部分では一切の隙を見せず、それが部分的に盛り上がる絵の具の臨場感やストロークによってもたらされるムラが醸し出す雰囲気にスムーズに引き込まれるような気がします。

じっくりと対峙したい、その荘厳さに圧倒されたまま、そこから沸き起こるイメージを堪能したいと思わせてくれる、尋常でない重厚さをそなえるクリエイションです。

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厚地朋子「ヘビノス」

TARO NASU

東京都千代田区東神田1-2-11

6/26(金)~7/25(土)日月祝休

11:00~19:00

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Tomoko Atsuchi "The Snake Nest"

TARO NASU

1-2-11,Higashi-Kanda, Chiyoda-ku, Tokyo

6/26(Fri)-7/25(Sat) closed on Suncay,Monday and national holiday

11:00-19:00

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膨らむようなタッチの味わいが・・・!

TARO NASUでの厚地朋子さんの個展です。

東神田移転記念のグループショーでも楽しませてくれたフレッシュなクリエイションがあらためてソロでフィーチャーされ、独特のタッチで綴られる景色や場面の豊かな臨場感が溢れ、空間を満たしています。

階段を下りて正面、迎えてくれるのが板にモノクロームのドローイング的な作品。展覧会のタイトルにもあるヘビがユーモアとスリルとを伴って登場しています。

木炭なども使用されているようで、油彩の作品とは違う雰囲気がしっとりと醸し出されています。しかしどこか、油彩の作品と通ずるふっくらとした感触も感じられたりして興味深いです。

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この展覧会の大きなハイライトのひとつ、風景を描いた大作がとにかく素晴らしい!

移転記念展のときに発表されたモチーフと近く、一部がシートで覆われる建築現場らしきどこか殺伐とした風景がピックアップされているのですが、それが独特の筆遣いによって導き出されるタッチ、そこにあるさまざまな表情を、絵の具を乗せることで紡ぎ取るような不思議なストロークで描き上げられることで、爽快感に溢れる絵画が生み出されているような印象を覚えます。

全体を見渡した時のスケール感のダイナミックさと、至近で観たときに捉えられる画面上の無数の抽象的な表情のコントラストも楽しいんです。それが何を描いているかを認識できなくなるくらいに近寄ってみると、ひとつのストロークによってもたらされる色面のエッジの立ち上がりの鋭さ、画面上に表れる立体感も独特の面白さを奏でています。

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奥の壁面へと向かうと、縦長の人物画が。

なんとも味わい深い気配感。肌の表情の生々しさは厚地さんの筆さばきでさらに生々しく、でもそこにはユーモラスさも備わっていて、不思議なイメージが浮かんでくるんです。浮かぶ表情はむしろ朴訥であっても、なんだろう、ひとりしかいないのに淋しくない感じ...その場面にさまざまな気配が重なっているようにも思えてくるので不思議です。

そして、ひっそりと背景部分に施される紋様が、またさらにその空間の雰囲気を深め、謎めかせているようにも思えてくるんです。

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家族を描いたと思しき3点の縦長の作品も、あたたかい雰囲気を奏でているように感じられます。

こちらの作品の背景にも、ハープのようなパターンが何かの象徴のように施されています。

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3つ並ぶ画面の位置関係も楽しいのですが、ひとつひとつを観た時のなんともいえないほっこりとしたあたたかな雰囲気も心地よく感じられます。

あたかもスポットライトが当たっているかように、暗い背景の中に円形で明るく広がる足下。それが畳なのがまた臨場感があって嬉しくなってきたりします。そして、パターンが導き出す上昇の動的なイメージ、さらにぽわんと浮かぶ星なんかも楽しくあったかな雰囲気を深めてくれるんです。

なんといっても、こどもの立つ姿のたどたどしさ、そして後ろ姿ながら無垢さがしっかりと伝わってきて愛おしくも感じられてきます。

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今回の展覧会のタイトルを考えるとこの作品の存在が展示に程よく強い緊張感をもたらしているように感じられます。

2点組、鏡に映る女性の顔と、頭にヘビを巻かんとする女性の姿。この関係性がさまざまなイメージを思い起こさせてくれます。

それぞれ、構図の面白さも相まって、この先の展開にも想像が膨らんでいきます。

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思い返すと厚地さんが取り上げるモチーフはむしろ硬派というか、重厚さが感じられるのですが、できあがる作品にはその場面が持つ壮大さや深みがていねいに、かつ大胆に引き出されて、豊かな個性を発揮しているように思えます。

そして何より、タッチの面白さは格別です。ひとつひとつのストロークはしっかりと意志を備えていて、強い存在感を放っている、特に至近で観たときにその臨場感が強く伝わるのですが、俯瞰した時の滲むような、揺らめくような色の感触も印象的で、それでいてぶわっと膨らみ広がる勢いもあって、さまざまな刺激に満ちているのが楽しいんです。

昨年のTHE SIXや今年の京都市立芸術大学での学内展で発表された、床置きのペインティングの展開もあり、今後が楽しみなクリエイションです!

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wahすみだ川のおもしろい」展

すみだリバーサイドホール・ギャラリー

東京都墨田区吾妻橋1-23-20

6/20(土)~7/20(月)

10:00~19:00

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wah "Sumidagawa-no omoshiroi"

Sumida Riverside Hall Gallery

1-23-20,Azumabashi,Sumida-ku,Tokyo

6/20(Sat)-7/20(Mon)

10:00-19:00

Google Translate(to English)

笑撃もとい衝撃のART AWARD TOKYO 2009グランプリ受賞から間髪入れないタイミングで開催の、有言実行アーティスト集団wahすみだリバーサイドホール・ギャラリーでの展覧会でございます。

さて彼らの作品とはなんだろう、と考えて、

わっ

わからん!Σ( ̄口 ̄;)

と思わず唸るわけですが、そんなことどうでもいい!

とにかく実行あるのみの無茶苦茶なバイタリティだけあれば!

で、アイデアを募って面白そうなものを実行するのですが、今回はまず

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湯舟。

・・・。

これ考えた奴、出てこい!Σ( ̄口 ̄;)

本来の湯舟の意味ってこうじゃないわけですが、すなわち

誰がうまいこと言えと言った!?Σ( ̄口 ̄;)

てな類いのアイデアなのですが、これが彼らの芸大先端でもまれた熟成筋肉脳を通ると

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マジすか!?Σ( ̄口 ̄;)

なんですかこのきちんとした感じは。

で、さらに

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湯舟という言葉におけるヒエラルキーが「湯>舟」から「湯<舟」へと切り替わった瞬間。

この記録映像がまた秀逸で、隅田川を遊覧する「湯舟」の凄まじくキッチュな風情も堪らないんですけど、

な、なんだあれ!Σ( ̄口 ̄;)

という表情を浮かべる市井の皆様の表情がまた堪らないのです。

ていうか普通におかしいだろ!Σ( ̄口 ̄;)

もとい、気を取り直して、続く作品。

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・・・。

どこが「気を取り直して」だよ!Σ( ̄口 ̄;)

ある意味もっとヒドい企画のような気もするんですけど、

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という青い空にはためくフラッグがおおらかなイントロから始まる記録映像では

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何作ってんだお前ら!Σ( ̄口 ̄;)

まだ分かりますよ、湯舟とか、舟は川に浮かべられるし今回の隅田川の企画とも合致するしまだ分かりますけど、船上でゴルフて(汗)。

しかも、実際に映像に登場するコースはこのスペースに持って来れなかったらしいものの、いちおう小舟2艘で別のコースを再現。

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なんですかこのディテール。フェアウェイはもちろん、バンカーもラフもあるという。

無いのは池。ていうか、そもそも川の上だし。

・・・・・!

そこか!Σ( ̄口 ̄;)

発想の源はそこか!Σ( ̄口 ̄;)

よっぽど考えた奴出てこい的な凄まじくダイナミックなアイデアの展開に、あらためて脱帽。

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さらに続きます、今度は隅田川で取れたもので丼を作る「すみだ川丼」

時間に余裕があれば僕はこれに参加しようと思っていた、ということはここだけの秘密だ。

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そして、隅田川にみんなで飛び込むパフォーマンス的なものも。

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いやもう、最高です。

このなかにミーティングルームも設営されていて、そこの壁には無責任極まりないアイデアの数々が壁を覆い尽くしていて

どうすんだよこれ!Σ( ̄口 ̄;)

って感じなんですけど、とにかく考えるのはあと、やるだけやってみようっていうスタンスは面白すぎます。

で、スタッフの方もおっしゃっていたのですが、実際今回のプロジェクトも、それを実現させようとしてどんどん逆算していくわけで、その過程で

こんなNPOもあるのか!Σ( ̄口 ̄;)

みたいな人々との出会いが不可能を可能にしていく、そういう過程もまた興味深かったりするんです。

とにかく!

これから何をしでかすか興味津々!

何かやるときあったら教えろ!

そんな痛快なクリエイションでございます!

P.S.彼らの映像がYouTubeにぃぃぃ!

というわけでリンク参照のほど。

http://www.youtube.com/user/gototsu

個人的にはwah 03 花火2wah 01 うまい棒が秀逸だと思うのですがぁぁぁ!

TEAM 15 MIHOKANNO「Hello! MIHOKANNO」

トーキョーワンダーサイト渋谷

東京都渋谷区神南1-19-8

5/30(土)~7/20(月)月休(祝日の場合は翌火休。7/20は開館)

11:00~19:00

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TEAM 15 MIHOKANNO「Hello! MIHOKANNO」

Tokyo Wonder Site Shibuya

1-19-8,Jinnan,Shibuya-ku,Tokyo

5/30(Sat)-7/20(Mon) closed on Monday(Holiday is open,next Tuesday is closed)

11:00-19:00

Google Translate(to English)

見かけるたびに「こいつら何者?」と思わずにはいられないこのユニットネーム「MIHOKANNO」。

その全貌、そして現時点での最新アップデート版が明らかにぃぃぃっっ!

トーキョーワンダーサイト渋谷でのMIHOKANNOの展覧会。僕にとって、「今観たい!」と思うクリエイションがこれだけのスケールで凝縮されてお披露目されるということがとにかく嬉しくて。

そもそも、僕がこの一度目にしたら忘れられない、という意味ではある意味卑怯なまでにキャッチーなこの名前を見かけたのがBankART NYKにレジデンスで彼らが入居されている時で。なんとなく「スカした方々だなぁ」などと今思えば失礼千万な印象を覚えた次第だったのですが、その後さまざまなタイミングと場所でこの名前を見かけるごとに「面白そう」「すごいらしい」「唯事ではない」とだんだん興味も増してきて、いよいよこのタイミングであらためてメンバー個々の存在感も鑑みて、

ヤバいだろ!Σ( ̄口 ̄;)

普通にヤバいだろ!Σ( ̄口 ̄;)

と内心大騒ぎ。

最初になんとなくつるんでいた仲間がいつの間にやらこのステージに、という感じがなんとなく「ドラゴンボール」的、既にアートシーンで見逃し不可の存在感が間違いなくあるように思えて、さらにとにかくここまで至る変遷、ステップアップも痛快に感じられます。

そして今回の展覧会では、メンバーそれぞれがしっかい「勝負」してきているように主させてくれる、とにかく力の入った作品が出展されているのが嬉しいんです!

ShugoArtsでの個展も強烈に印象に残っている千葉正也さん。

お馴染みの石膏のオブジェを登場させるペインティングで、さらにインスタレーション的なアプローチが深められた展開、3次元的な要素も大胆に取り込んで、絵画表現、平面表現を独自のスタンスで押し拡げているように感じられます。

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スタンドに掲示されたペインティング、そしてさまざまなサイズとかたちのペインティングによる壁面インスタレーション。

ひとつひとつの画面は比較的シンプルな構成が深い空気感を放ち、中央の椅子の作品の存在感を軸としてそれらが纏めてひとつの壁面を構成していることで、よい意味での重鈍かつ硬質な雰囲気が衝突し合い、独特の世界観が現れているように思えます。

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マチエルにも大胆なアプローチを施し、不思議な世界観を導き出しています。

芝を彷彿させる濃密なグリーン、そのストロークは生々しいほど、むしろ生の芝を重ねたかのように絵の具が画面から盛り上がって、それが重厚な風合いを醸し出しているように思えます。

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まさに今観たい、すごく観たい、と思っていたアーティストのひとり、福永大介さん。

2006年、2008年と開催された小山登美夫ギャラリーでの個展では現場でその面白さをキャッチすることができないでいてもどかしかったのですが、今年初めの絹谷幸二賞の新聞記事に掲載されていた作品画像とVOCA展に出展された作品を拝見し一気に意識が前掛かりに。

独特の色彩の濃度で繰り出される光の表情が堪らない!

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メインスペースに展示された大作の神々しい気配。

描かれるモチーフの身近さ、どれもこれも特別なものではないはずなのに、そこにあるすべては躍動し、おおらかな空間性を放ちながらポジティブな雰囲気をほとばしらせているように感じられます。

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加えて、タッチの面白さにもおおいに惹かれます。

敢えて部分に焦点を当てたときに立ち上がる抽象性。滑らかなグラデーションや、意表を突くかたちが挿入されていたりと遊び心にも満ちているように感じられます。

不思議な密度感、色のチョイスの面白さなど、あらためて気持ちよい高揚感に満たされた次第です。

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榎倉冴香さんのシャープな密度を持つペインティングも楽しいです。

ひとつひとつのストロークのキレ、ケレン味のなさが、ダークな色調の中にふんだんに収められているように思えます。

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さまざまなタッチが混在して弾むようなリズム感を醸し出しているように感じられるのも印象的です。

緻密な描き込み、感覚的に綴られる淡いグラデーション、遊び心とか、いたずら心が何となく感じられる、キッチュな造形の挿入。さまざまな要素を絡ませてシャープな空気感を導き出しながら、そこから奏でられるファッショナブルな世界観も楽しげです。

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大城絢さんのアニメーション。

ピンク地に白玉が浮いているようなかわいらしいフレーム、そのなかにはひたすらうどんをすする顔。

朴訥とした線描のアニメーションは脱力の連続で、このシュールさが今回の展示の嬉しいアクセントとなっているように感じられます。

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山本修路さんもしっかりと勝負にでてきています!

ロビー的なスペースに展示された作品は、いつもの松景が千葉正也さんによってグレーに塗り潰され、違う世界となって現れています。

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山本さんの作品は、メインのスペースではその中央に。

台上で3つの脚に支えられる巨大な岩場と、真っすぐに伸び、冬枯れしたかのような松。その造形から幽霊船のような妖し気な気配を漂わせているように感じられ、一方、その重厚な臨場感、ダイナミックな重量感が溢れ、そしてオリジナリティとリアリティとの絶妙なバランスを持つこの作品が中央に「鎮座」していることで、空間にあるひとつの纏まりをも生み出しているように感じられます。

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そして、この作品での新たな試みも実に興味深いです。

緻密に再現される松の枝。その上に緑の針葉がシート状に被せられ、それがこれまでにはなかったスリリングな気配が。山本さんの作品に一貫する全体に広がるユーモアを保ちながら、それとせめぎあう緊張感をもたらしているように思えます。

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松原壮志朗さんの暴走がまた痛快極まりない!

とにかく展示された3点すべてにおいて、アグレッシブさとダイナミズムとが充満しています。

さまざまなテクスチャーが繰り広げられている大作。

ペインティングの焦燥感溢れるタッチ、色調の独特な感触。危ういメロウネスによって燻される空間が凄まじいスケールで創り出され、そこにさらにコミカルな要素、さらにおそらく版での展開も収められ、イメージの混沌が止めどなく加速していくんです。ホントにワケが分からない、しかしの分からなさに蹂躙される感じが痛快に思えてくるんです。

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3点組のペインティングは一転して、絵画としての力強さを放っています。

強烈に太く鋭く描かれる輪郭。どこかクラシカルな風合いを醸し出しつつ、描く情景のヴィヴィッドさに戸惑いを覚えます。

アーティストトークのときにどなたかもおっしゃっていて、僕自身松原さんの個展を拝見したときにたしかに感じたのですが、ペインティングからはある種の「怖さ」が伝わってきているように思えます。

太い稜線で画枯れるモチーフの重厚な存在感、しかしそれらひとつひとつには凶器的な鋭さを秘めているように感じられ、危うい雰囲気に溢れているように思えます。この鋭さにもおおいに惹かれる次第です。

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その側、コーナーで展開されるインスタレーションは一転して凄まじい混沌。

象徴的なかたちを盾にするようにして、その内側にさまざまなものが持ち込まれ、濃密な世界が展開されています。

原始人らしき誰かがひたすらペンを動かすシュールな映像、散らばる木材。ガラクタの強烈な存在感がぶつかりあっているんです。

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万代洋輔さんの写真からは、風景であってもどこか幾何学的なリズムが放たれているように感じられます。計算される奥行き感というか、徹底して図形的に追求されたような景色の構造が興味深いです。だからこそ、そこに潜む有機的な要素がアクセントとなり、ユニークな気配を導き出しているように思えます。

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複数の写真作品で組み上げられる壁面。

既に何を撮影したかのか、それが何であるか...そこから謎めきも加速していきます。

うろ覚えになってしまって申し訳ないのですが、中央とその上の画像はスキャナーを使用したもので、撮影自体にも相当な時間がかかっているのだそう。その無機的な作業の集積によって導かれる、人工的な光の情景。この迫力が、なんともいえない不思議さをもたらし、全体の空間的なイメージを想起させながら、さらにまわりのちいさな画面がアクセントとしてしっかりと機能しているようにも思えてきます。

ここから思い浮かぶ物語のシュールさ、奇妙に複雑な感じも楽しいのです。

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階段を上ると、福永大介さんと松原壮志朗さんとによるコラボユニット「FM」の作品が。

至近で眺められない位置に展示されていてもどかしいのですが、大作の迫力、俯瞰したときに得られるユニークなスケール感と物語性も充分興味深いです。

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そして。

COBRAさんの映像が上映されている部屋へ。

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その中の、さまざまなものに溢れている空間も、独特のムードを紡ぎ出しています。

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映像作品はすごかった・・・!

のどかなシーンも多数あるのですが、随所に訪れる

ちょっと待てぇ!Σ( ̄口 ̄;)

という展開が(汗)。

引くぐらいのシュールさ満載のロマンティックな物語。

分かるようで分からないようで、観終わっても分かったようで分かってないようで。

しかし、いくつかのシーンは脳裏に焼き付くので相当の覚悟が必要かと。

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1階奥のSPACE Dでは、メンバーのドローイング的作品や小品が並んでいます。

真っ赤な明かりの部屋のいかがわしさが、白い明かりの下では得られないそれぞれの作品のひと味異なる面白さを引き出しています。どこか猥雑な空気感が、奇妙な印象を生み出しているように思えるんです。

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清田亮平さんの編集による雑誌も。

手作りの感触に溢れ、メンバーの作品を始め、イラストやテキストもふんだんに入っていて、けっこう楽しめます。

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6/20に拝見した松原壮志朗さんの人形劇も相当にシュールで破天荒な感じで、楽しすぎでした。

ていうか、歌が!

歌がすごかったのだが!

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切磋琢磨、という言葉が力強く浮かんできます。

それぞれの個性が、そのことにおいてケレン味なく発揮されているのが痛快で印象的です。ユニットを共にする他の強烈な個性に媚びることなく、自らのオリジナリティを信じて・・・それはもう周りが見えていようが見えていまいが関係ない、そんな勢いで信じて創り出されるパワフルでアクティブな作品群。会期2日目のアーティストトークで、お互いに遠慮会釈なくその本質を抉るような質問をしあっている情景の連続は相当にインパクトがあって、しかしそれはむしろお互いへのリスペクトも感じられたのがまた嬉しく思えたり。

この展示を拝見して、あらためて横浜で彼らのスタートのきっかけでもあるらしいBankART NYKでのレジデンスに接していたことが誇りに思えてきます。そして、これからどこまでステージを上げていくのかも大変興味深く、期待も高まります。冒頭で「ドラゴンボール」的と例えましたが、村でいちばん強い者を決める大会の頃がBankARTでのレジデンスだとすると今はベジータ相手にドカンドカン戦ってる頃かと...ってどうでもいいだろ!Σ( ̄口 ̄;)

ピッコロと戦ってるとこかもしれないだろ!Σ( ̄口 ̄;)

もとい!

どんどんスーパーサイヤ人化していただいて(まだ言うか!Σ( ̄口 ̄;))、どんどんステージを上げていってもらいたいと思う次第です。

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《7/10》

加藤千尋「変化(へんげ)」

Yuka Sasahara Gallery

東京都新宿区西五軒町3-7 ミナト第三ビル4F

7/4(土)~8/8(土)日月祝休

11:00~19:00

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平面作品の新作が発表されています。

おなじみのさまざまな動植物のハイブリッドが緻密な描写で描き上げられているのに加え、今回は背景にも手が加えられ、さらにユニークな空間性と情景が創り出されています。

Summer Group Show "Hop Step Jump"

GALLERY MoMo Roppongi

東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F

7/11(土)~9/12(土)日月祝・8/9~8/17休

12:00~19:00

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1日早めにお邪魔してきました、ちょうど設営中で。。。

GALLERY MoMoのゆかりのアーティストの小作品がずらりと並んでいて、フレッシュな個性がぎゅっとこの空間に詰め込まれたような感じが楽しいです。

ドローイング的な雰囲気が興味深い大谷有花さんや新たな色調が満ちの深みを生み出している福島淑子さんと、それぞれが個性を発揮していて、今回のニューカマー、大坂秩加さんの銭湯がモチーフとなっているユーモラスな描写も面白い!

会期を3つに分けてさらに新しい作品も発表されていくようなので、楽しみも膨らみます。

Ly "PILED UP"

gallery POINT

東京都渋谷区恵比寿西1-4-7

7/10(金)~7/25(土)

12:00~20:00

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キッチュなドローイング、そして立体作品が並んでいます。

全編に広がるストリート感覚。大小さまざまなキャラクターの独特の雰囲気が奇妙な世界観を紡ぎ出していて、なんとも不思議な気分に。

《7/11》

早川克己展「Double:Vision」

Gallery MoMo Ryogoku

東京都墨田区亀沢1-7-15

7/4(土)~7/25(土)日月祝休

11:00~19:00

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サイバーな空間性がとにかくかっこいいです!

抽象的なアプローチで放たれるクールな奥行き感、そして画面に施される削る、あるいは彫るという行為のアグレッシブさとのコントラストも興味深く感じられます。

大作から小品まで、色彩、サイズ共にバリエーションに富んでいて、スピード感溢れるいろんなイメージが広がっていくんです。

増子博子「盆栽剣伝説」

Gallery Jin

東京都台東区谷中2-5-22 山岡ビル1F

7/4(土)~7/25(土)月火休

12:00~19:00(最終日:~17:00)

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TWS本郷での個展のインパクトも覚めやらぬまま、昨年に引き続いて始まった増子博子さんの個展。緻密なストロークを積み上げて創り出される「盆栽画」が発展、さらにダイナミックでシャープさが増した作品が並んでいて痛快です!

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TWS本郷でもお披露目されていた「盆栽剣」も、さらに装飾の度合いを増し、凄みあるゴージャスな造形が紡ぎ出されています。

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これまでの作風についても、尖った部分が増えたような印象で、それがサディスティックな感触をもたらし、全体を包むユーモラスな質感に鋭さのアクセントが加わっているように感じられるのも楽しいです。

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小品も楽しい!

とにかく描く面白さ、想像が広がっていく過程が伝わるのが嬉しく、その雰囲気が変わらないこともまた嬉しく思えます。

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「剣」があれば「盾」もある、そんなユーモアもまた面白く。

これからどんな展開が繰り出されるかもさらにさらに楽しみになってきます。

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阪本トクロウ

KIDO Press, Inc.

東京都江東区清澄1-3-2-6F

6/27(土)~7/25(土)日月祝休

12:00~19:00

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あらためて拝見してきました。

お馴染みのモチーフが銅版画で表現されると、スクラッチの生々しさが全面に押し出されて、タブローから得られるのとは異なるイメージが伝わってくるのが興味深いです。

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新しめのテーマ、「エンドレスホリデイ」の遊具も。

空間性のおおらかさ、そこに何もない感じ、そこへ向かう意識の虚無さもいっそう深く感じられます。

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もとから持つ空間性のユニークさがひと味違うアプローチで提示され、そこに新たな風合いが備わっているように感じられます。

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清水智裕「ま昼のまぼろし」

gallery坂巻

東京都中央区京橋2-8-18 昭和ビルB2F

7/6(月)~7/25(土)日祝休

12:00~19:00

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折に触れて拝見している清水智裕さん、個展は久々です。

拝見するたびに、色彩やモチーフのチョイスに深みを増しているように感じられるのですが、今回はそれにさらに拍車がかかったような感じがしてまた嬉しい限り。

レイドバックしたような雰囲気がゆるやかに溢れ、シュールでどこかセンチメンタルな世界観が広がっています。

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DMにも採用された横長の大きな作品。

両端にいる女の子の表情の緩さが印象的です。そして、そのふたりを繋ぐ赤、全体に広がる青のコントラストも独特の味わい。

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スパッタリングなどの手法も用いられた作品。

花火の臨場感が巧みに引き出され、さまざまな色彩が細かくかさなることで独創的な美しさがもたらされていて、さらに時間が止まったかのような感じ、ゆったりと流れる時空のイメージにも惹かれます。

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水墨画のような筆の運びによって紡がれる女性の輪郭と表情も、この独特の雰囲気へと心を誘ってくれます。

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そして、さらにシンプルに、線で紡がれる作品も・・・!

丸い輪郭、くしゃみをする表情のかわいらしさ。さまざまな色が使われている豊かさが、ユーモラスな雰囲気をより深めているように感じられます。

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さらにゆったりとした深い味わいを感じささせてくれる今回の清水さんの作品群。

じっくりと、目尻を下げながら堪能したい空間が作り上げられています。

そしてこれからさらにどんな変化がもたらされるかも楽しみです。

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アオキヒトミ展 黒点遊技場

@Gallery銀座フォレスト

東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル507

7/6(月)~7/11(土)

12:30~19:00(最終日:~17:30)

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とにかくその、過剰なまでに緻密な描写に圧倒された次第。

ちいさな画面にこれでもかと描き加えられている線。それらが尋常でない密度をもたらしていて、思わず身を乗り出して凝視してしまいます。

凄まじいほどの集中力を感じさせてくれるクリエイション、今後の展開も楽しみです。

梅津庸一「ゴールドデッサン」

ARATANIURANO

東京都中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3A

7/11(土)~8/22(土)日月祝・8/9~8/17休

11:00~19:00

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僕が初めて拝見した梅津さんの展示がが銀鉛筆のドローイング的な作品によって構成されていたこともあり、なんとも懐かしい気分と久々の緊張感とが入り交じってきます。

金筆を用いて描かれるさまざまなモチーフ。画面に押し潰される無数のストロークは、描かれるモチーフと構図のシンプルさとは裏腹に危うさを醸し出しているように感じられます。

そして、深い空色に染め上げられた壁面が1点1点の作品の存在感を引き上げています。

《7/12》

ARTIST IN OOHARA-SO STUDIO vol.1 滞在制作展 今津景×久保萌菜

大平荘スタジオ

神奈川県横浜市中区初音町3-67

7/4(土)~7/12(日)

13:00~19:00

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横浜は黄金町で行われているアーティスト・イン・レジデンスの一環で開催された展覧会。ふたりの女性のアーティストがそれぞれ個性を発揮していて、興味深い世界が導かれていました。

名古屋での個展を終えたばかりの今津景さん。こちらに滞在されたおよそ1ヶ月で制作された新作が発表されていたのですが、あの巧みな再現性と緻密な描写で、実に見応えのあるファニーな世界が描き上げられていました。

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夜の情景を描いた作品も、豊かな深みに溢れています。

この夜のシチュエーションが、今津さんの光の表現を引き出しているように感じられます。

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小品も楽しいです、夏の展示ということで、涼しげなモチーフが選ばれていたのも嬉しい限りで。

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久保萌菜さんの作品では、さまざまなパターンがスタンプで画面に捺され、リズミカルで楽しい世界が生み出されています。

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自由な感じがなんとも嬉しいです。

そしてさらに、時おり軽やかな色彩で紡ぎ出される豊かなコントラストも印象的です。

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藤井雷『環景』

バザールコミュニティ

神奈川県横浜市中区日ノ出町2-158 NPOオフィス1F

7/12(日)~7/25(土)日月休(初日を除く)

13:00~18:00

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横浜美術館で開催された「日本×画展(にほんガテン!) しょく発する6人!」へ参加され、封筒の作品で面白い空間を創り出していた藤井雷さんの個展です。

スペースの中央に環状に配される軸装作品がまず目に飛び込んできます。さまざまな風景を組み合わせ、現実に存在しない景色が創出されているのですが、ところどころにもたらされる色の深み、そして水墨の豊かな表現が深く爽やかな味わいを奏でているように思えます。

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そして、その両脇の壁面に展示された作品、軸と扇子に描かれたさまざまなモチーフにも惹かれます。中央に描かれた景色のなかの一部分を引き出し、草花などがていねいに描写されていて、その滋味溢れる雰囲気も印象に残ります。

《7/14》

&Co.Soon:EYE

magical, ARTROOM

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F

6/21(日)~7/18(土)日月祝休(初日を除く)

12:00~20:00

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ふたたび拝見してきました。

車のボンネットを支持体に採用し、マジックで緻密に線を引きながら有機的な気配が紡ぎ出されています。

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スプレーやマジックというイージーな素材が、グラフィティ的なおおらかさ、痛快さを加速させているように感じられます。

そして支持体のある種無機的な艶やかさも世界観をより深めているようにも思えます。

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他にもさまざまなインスタレーション的展開も面白いです。

随所に描かれたさまざまなモチーフに気付いていくのもまた楽しいです。

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《7/16》

NEXT DOOR vol.9

T&G ARTS

東京都港区六本木5-9-20

7/16(木)~8/13(木)日月祝休

11:00~19:00

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久々な印象のNEXT DOOR、今回も面白いです!

1階のオチマリエさんのメランコリックさと瑞々しさとがしんしんと溢れる世界、2階の齋藤瑠璃子さんと北村佳奈さんの作品が並ぶ展示室のバリエーションに富んだ感じなど、見応えある作品が並んでいます。

手塚愛子展「落ちる絵-あやとり」

Kenji Taki Gallery Tokyo

東京都新宿区西新宿3-18-2-102

7/16(木)~9/5(土)日月祝・8/9~8/21休

12:00~19:00

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抽出される美しさ。機械織りの布から引き抜かれる糸を用いて別の刺繍を紡ぐ作品が並んでいて、その過程もじっくりと提示された作品が並んでいて、独特の雰囲気に満ちています。オープニングで公開制作も行われていて、その仕事を拝見できたのも貴重でした。

from/to #5 早川祐太 村岡佐知子

WAKO WORKS OF ART

東京都新宿区西新宿3-18-2-101

7/16(木)~8/8(土)日月祝休

11:00~19:00

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WAKO WORKS OF ARTが若手アーティストのクリエイションを紹介する企画、今回は早川祐太さんと村岡佐知子さん。

早川さんの作品、インスタレーションはとにかく観てほしい!直に接して感じるイメージの豊かさ、単に現象が提示されただけと言えばそれだかなのにも関わらず、驚きと嬉しさに満ちる感じが堪らないです。

そして、gallery stump関連でも多く拝見している村岡佐知子さんが描く情景も実に興味深いです。黒の中に灯るさまざまな色彩、それが生み出す独創的な奥行き感が、おおらかで壮大な気配を紡ぎ出しているように感じられます。

《買ったCD》

「平成風俗」椎名林檎×斎藤ネコ

Moeglichkeit II 児玉香織/高田安規子・政子/田内万里夫/満田晴穂/芳木麻里絵

ラディウムーレントゲンヴェルケ

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17

7/3(金)~7/25(土)日月祝休

11:00~19:00

Moeglichkeit II Kaori KODAMA/Akiko & Masako TAKADA/Mario TAUCHI/Haruo MITSUTA/Marie YOSHIKI

Radi-um von Roentgenwerke AG

2-5-17, Nihonbashi-Bakuro-cho,Chuo-ku,Tokyo

7/3(Fri)-7/25(Sat) closed on Sunday,Modnay,and national holiday

11:00-19:00

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昨年に引き続き、レントゲンヴェルケが独自の美学に基づいて選び抜いた5組6名のフレッシュなクリエイションがパッケージされたグループショー、ああもう堪らない!

もともと細かい仕事が好きな方には問答無用に面白いのです。

まず、1階のスペースの壁面には田内万里夫さんの壁画が施され、一気にめくるめく緻密なクリエイションの世界に導いてくれます。

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オープニングレセプションでも制作されていて、有機的なモチーフが増殖していく現場に立ち会えたのも実に貴重な体験で。

そしてそれまでじっくりと時間をかけて描き上げられた壁画の増殖は壁面に留まらず、天井や階段部分にまで及びます。

ひとつひとつの塊のなかに無数の線によって繰り出されるフューチャリスティックな魑魅魍魎。これまでもバスルームでの展開や鏡面に描かれたインスタレーションなど、さまざまなシチュエーションで田内さんの世界観に触れてきたのですが、今回おそらくもっともプリミティブ(とはいえ既に相当にアクロバティックですが)な状況で拝見し、あらためてその面白さに舌を巻いた次第。

壁と天上とのコーナー部分など、さまざまな場所で奥行き感や重力のイメージが狂わされていきます。そして有機的な線描はまるで壁面と天井の平面空間を這い回るような生々しいイメージも楽しいです。

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六本木時代に開催された好企画「たからもののじょおうさま」以来の登場、それ以降も檻に触れて拝見する機会があった芳木麻里絵さん。

シルクスクリーンの版を重ねて生み出される立体感、その具象性のインパクトはいつ拝見しても驚かされ、思わず近づいて至近で眺めてしまいます。

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2階の台上に置かれる、言わばもっともコントロールされた顔料の塊。

触れると崩れてしまいそうなほどの質感が緊張感となり、愛おしさの加速を促します。

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それにしても、いったい何種類の版を用いたのだろう...。

小ささからかわいらしさも溢れてきているのがまた嬉しいです。

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昨年のvia artでも印象に残った児玉香織さんは、そのときに発表されたのと同様に方眼紙に食物・料理を描いたドローイングが壁面を覆い尽くしています。

方眼紙の採用が効いています。さまざまな料理が線でフォローされ、シンプルな再構築の展開がいっそう硬質な雰囲気に転化されて鋭く、でもコミカルに迫ります。

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満田晴穂さんの「自在置物」。これが言葉を失う再現性。

壁を這うムカデ、無数の足が、触覚が、緻密に再現されていて、そのリアリティが醸し出す深い世界観に一気に引き込まれます。

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さまざまな昆虫が、実にリアルに再現されています。

驚かされるのが、上のムカデも含めて、「自在」の名前の通りにすべての関節が動く仕組みになっているところで。

この精巧さには、実物大のちいさなサイズながら圧倒的な魅力と迫力とを奏でます。

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さまざまな技巧が凝らされた虫達。

ぜひとも生でご覧頂きたい、究極的な手仕事、そして作品群です。

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今年春の「掌」にも参加されていた高田安規子さんと政子さんの双子の姉妹、その仕事の緻密さの一端に触れられるのも、無数にある今回の展覧会の大きな見どころです。

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遠目で見ると見過ごしてしまいそうな様子が逆に「何事か!?」と期待を煽ります。

で、至近で観ると、実際の切手が切り抜かれています。

・・・・・!

ジグソーパズルか!Σ( ̄口 ̄;)

信じ難い緻密さ。その状況に、作品の前では思わず息を止めて、凝視。

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さらに、実際に封筒に貼られ、移動を経た切手をカットした作品も。

ジグソーパズル状にカットされた切手は、どちらも遺跡が図柄に採用されたものなのだそう。

つまり、指先に乗るサイズのなかに、さまざまな時間の流れが時空を超えて存在する、そういうイメージも詰め込まれているのです。

太鼓から現在までの時間を知る遺跡、貼られて郵送され、空間と時間を超えてきた切ってとしての存在、そこに尋常でない時間をかけてジグソーパズル状に切り抜かれた現在の状況。そこに深みが横たわっていて、壮大な想いに圧倒されます。

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さらに、封筒が緻密に切り抜かれた作品も。

こちらのあまりのストイックさにしばし呆然。

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思うに公共料金だとかに使われた封筒だと思うのですが、その表面にプリントされたパターンに沿って緻密に穴が開けられていて、いやもう言葉を失います。

圧倒的な仕事の量がこのサイズに凝縮されていて、その密度にまたまた圧倒されます。

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それぞれのクリエイションの密度に触れ、なんでそれをやるのだろうなどという愚問は吹き飛びます。

それぞれ個展ではどういう展開が繰り広げられるのだろう、という想像も膨らみます。

A House is not A Home 安倍典子/古武家賢太郎/永山祐子/齋木克裕

SCAI THE BATHHOUSE

東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡

6/26(金)~7/25(土)日月祝休

12:00~19:00

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"A House is not A Home" Noriko Ambe/Kentaro Kobuke/Yuko Nagayama/Katsuhiro Saiki

SCAI THE BATHHOUSE

Kashiwayu-Ato, 6-1-23,Yanaka, Taito-ku,Tokyo

6/26(Fri)-7/25(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

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異なるメディアで展開する4名のアーティストがパッケージされたグループショーです。

まず、安倍典子さんの紙のオブジェが出迎えてくれます。今年のART@AGNESでも個人的にひときわ目を惹き、さらに21_21 DESIGN SITEでの展覧会で拝見したオブジェも素晴らしかったのがとにかく印象的で、今回のグループショーに安倍さんが参加されるのは大変嬉しい次第で...

もう、素敵です。有機的なカットが施された紙が重ねられて地層の断面を思い起こさせるフォルムが導き出されています。

これらは紙を1枚ずつカットして重ねて制作されるとのことで、その過程の面白さにもイメージが広がっていきます。

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展示台に置かれるオブジェ。

地層というより、緻密かつ立体的に再現された等高線のような感じが堪らない・・・!

最下部の広がり、微妙に軸をずらしながら斜めに伸びていく造形が有機的と無機的の面白い部分を抽出したかのようです。

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低い立方体を削り出したかのようなイメージを思い起こさせる造形、無数に創り出されるホールが3次元表現の面白さをぐんと引き出しているように感じられます。

このサイズにしてこのスケール感。ただ眺めているだけで想像が膨らみます。

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立体だけかと思いきや、平面の展開も面白いです!

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重ねて収めることで、また新しい面白さが導き出されているように感じられます。

浸食するようなイメージであったり、あるいはありの巣のオブジェのようでもあったり。

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古武家賢太郎さんの平面作品、ひと味違うテクスチャーが、独特の深みを醸し出しています。

凧を思わせる形状と質感。そこに描かれる、目が異様に大きな人物のポートレイト。ユーモラスさと濃密な妖しさとが混在するような雰囲気が強く深いインパクトをもたらしてきます。

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奥の壁面に展示された大きな作品、板に直描きの生々しさも基からの妖しさを深めます。

横たわる人の姿にまずは圧倒されつつ、その脇を固めるさまざまな要素が物語性を複雑に押し進めていくような感じがします。頭に包丁が刺さる何らかの動物、コウモリらしきものの目、右上から見下ろす太陽もしくは月。それぞれは妖しさを通り越して危うささえも感じさせてくれます。

そして、この独創的な世界がすべて色鉛筆で描かれているということにも驚かされます。この発色の際どさ、いわゆる油絵の具の生々しさとも異なる気配感。ユーモラスなキャラクターのキッチュなフォルムにやわらかさと淡さが重なり、不思議な緊張感が芽生えているようにも思えます。

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建築士、永山祐子さんの作品もまた、実に興味深いです。

奥のスペースの一角、実にシンプルな空間が作り上げられています。

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吊られる長い台に乗るちいさなオブジェ群。

プレスなどで拝見した時点ではもっとかわいらしいイメージが立ち上がってくるかと思っていたのですが、実際に拝見してみるとその心底にある深みに感じ入ります。

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透明の樹脂のなかに収められる金色の造形。それ自体はボタンであったりダイスであったりと、それが何のかたちであるかは観てすぐに分かります。

分かるのですが、深い金色が醸し出す高貴な感触に加え、透明なものに囲まれて浮遊する感覚、さらにどこかレイドバックしたような雰囲気から、小さいなかに実に濃密なイメージを感じ取った次第。

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そして、ここに置かれるすべてがほぼ真ん中でカットされていて、その中が空洞になっているのが分かります。

閉じた状態であればそこに何らかの存在が提示され、しかし実はそこには何も存在しない、そのイメージの逆転が、光の屈折も相まってなんとも不思議な感覚へと導いてくれます。

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ちいさなキューブの中に収まる、言葉にならない知性。

外と内との構造が提示されることに、なんとなく建築家が持つイメージの懐の深さに想像が広がっていきます。

そしてもうひとつ、インスタレーションとしての清らかさ、美しさも印象的なんです。

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SCAI X SCAIでの個展も印象的だった齋木克裕さん。今回も前回に引き続き、さまざまな景色に潜むシャールなかたちを引き出し、再構築する展開が繰り広げられています。

複数の写真を組み合わせてユニークな図形展開。かたちの繋がりがあり得ない情景を導き出していて、エフェクティブなアプローチが面白いです。

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立体的な展開も。

こちらは、前回拝見した時は紙の展開でしたが、今回はパネルに画像をマウントし、よりソリッドに作り上げられています。

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枠状の空間に吊り下げられる複数のビルの壁面。シャープなかたちが3次元で重なり、興味深い情景が豊かに展開されています。

それぞれが持つベクトルが交錯し、また眺める場所によっては構造の面白さがさらに深まっていくんです。固定されていないこともあり、光景も実に自由に変化していきます。

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それぞれが提示する空間のイメージはホントに面白いです。

複雑で、幾何学的な要素と感覚的な要素とを混在させながら、立体的に、むしろ高次元でのイマジネーションの刺激が嬉しい展覧会です。

大野智史「予言者」

TOMIO KOYAMA GALLERY

東京都江東区清澄1-3-2-6&7F

6/27(土)~7/18(土)日月祝休

12:00~19:00

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Satoshi Ohno "PROPHET"

TOMIO KOYAMA GALLERY

1-3-2-6F,Kiyosumi,Koto-ku,Tokyo

6/27(Sat)-7/18(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-19:00

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昨年のECHO展だったか、あるいはどなたかの個展のレセプションでだったか、大野さんに「もし東京ドームで展示の機会が与えられたらどうされますか?」と伺ってみたところ、即答で「やりたいです」とおっしゃったのが大変印象に残っています。

その大野さん、2006年3月以来、およそ3年振りにTOMIO KOYAMA GALLERYに登場。

冒頭の質問の答えがあながちハッタリとも思えないほどの、凄まじいスケールでの展開にただ圧倒されます。

エレベーターを降りた刹那、視界に飛び込んでくる無数の作品群。

ペインティング、ドローイング、写真、壁に直接スプレーで...とにかくそのボリュームに、そしてバイタリティに圧倒されます。

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壁という壁が埋め尽くされているのが強く印象に残ります。

カウンター情報の狭い壁面でさえ、額装されたドローイング的な作品がずらりと配されます。

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手前のコンパクトなスペースはそれでも比較的、絵画の展示空間としての落とし込みが感じられます。

ただ、ペインティングのサイズが尋常でなく。

与えられた、もとい、得た画面の広さにクリエイティビティとバイタリティとが呼応し、想像性の脊髄反射とでも表現したくなるほどの、いつもの凶暴な筆致が画面上を這い、ダイナミックな人物が描き上げられていて、その巨人ぶりにあらためて圧倒されてしまった次第。見上げる痛快さに加え、至近での筆致の臨場感に、ほとばしるヴィヴィッドな想像性を感じずにはいられないという,,,。

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メインスペースには、まずその中央に聳える塔に目が向かいます。

前回の個展やZAIMでの展開とは異なり床面に顔料がち散らされていないせいか、インスタレーションが直接空間に作用して獲得される密度としては若干おとなしく感じられたものの、象徴のようにそこに立つ塔の存在感と素材から醸し出されるアバンギャルドな感触が、やはりこれまでの展開に引けをとらないどころか、空間的な余白にさえ斬新な気配がもたらされているように感じられます。

そして、ぐるりとその塔のまわりを歩くとこの空間に無数の情報が乱れ飛び、凄まじくアグレッシブに交錯しているのが伝わってきます。それはもう恐ろしさを覚えるくらいの。

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例えば塔に立てかけられた、大野さんの単独のペインティング作品としては過剰に抽象的に感じられる絵であったり、塔を形づくるフェルト生地のダークな色調の生み合わせといい、さまざまな要素がそれぞれの速度を伴いながら、観る者の感性に襲いかかってくるかのよう。その刺激に翻弄され、ときに立ち止まって考え尽くしたりしながら、めくるめく、猥雑で暴力的で、しかし深遠である種文学的な世界観に引きずり込まれていくような感じです。

そしてこの空間に展示されているペインティングのサイズはさらに尋常でなく。

このサイズの画面が存在することに、単純に驚かされ、感動させられるくらい。。。

ただでさえ広い壁面を覆い尽くすほどのペインティンングには、覆い被さるような臨場感が津波のように溢れ出し、凄まじい熱を帯びたイメージを想起させながら迫ってきます。

針葉樹的な樹木、笛を持つ人物、万華鏡の中身を思い起こさせる幾何学的な景色など、登場するモチーフはお馴染みのものが多く、むしろそれが記憶の惹起を促し、さらにヴィヴィッドに想像が膨らんでいくんです。

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創造と破壊、その相反する衝動がそこかしこで衝突し、それがエネルギーへと転化されているようなイメージが思い浮かんできます。

上でも触れましたが、大野さんのインスタレーションやペインティングを拝見していると、例えば両性有具の人物など、ストイックなまでに同じモチーフを登場させていることに気付かされます。あらためて考えると、敢えて同じモチーフを登場させていることへは、その主題で表現できることはこんなものではない、というフラストレーションが意識的にか無意識か分からないのですが存在しているようにも思えてきます。さらにそれは、もしかしたらそれまで持ってしまっている概念の破壊が目的かもしれないですし、さらに大きなスケールの創造かもしれない、とにかく壮大な何かへと向かっているような印象を、拝見するたびに強めていっているような気がします。

今回の展示を作り上げて、大野さんご自身は肉体的な達成感は得られたかもしれないですが、一方で精神的な満足にはほど遠いような、そんな気もしてきます。

真意はともかく、これだけの展示であるのでまずは一瞬でも達成感に浸ってほしいと思うのと同時に、まだまだ足りない、それこそ記憶さえも蹂躙してしまうほどのスケールの提示も期待してしまいます。

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土屋多加史展 -片肺の国-

WADA FINE ARTS

東京都中央区築地3-2-5 第2平和田ビル

7/3(金)~7/18(土)日月祝休

11:00~19:00

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Talafumi Tsuchiya -The Country with only one Lung-

WADA FINE ARTS

3-2-5,Tsukiji,Chuo-ku,Tokyo

7/3(Fri)-7/18(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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今までと違う気配。しかし、たしかに「これまで」から続けられる世界。

WADA FINE ARTSでの土屋多加史さんの個展です。

展覧会のたびに描く世界に広がりを感じさせてくれる土屋さんですが、今回の広がり方はひと味違う印象を覚えます。

しかしまず、名刺代わりのお馴染みの展開から。

シンメトリーの花の群れ。それぞれ銀色の布地を支持体とし、それがフューチャリスティックな気配を高めつつ、鋭いグラデーションで描かれる花弁には独特の生命の感触が宿っているように思えます。

そして、右側のさまざまな色彩のと左側のほぼ無彩色のものとでもまた、そこに漂う空気感に差異が感じられるのも興味深く。

そして、一見すると精緻なシンメトリー構造なのですが、ひとつひとつ確認しながら眺めていくとさまざまな違いが見つかっていくのもまた、土屋さんらしい「特殊性」を思い起こさせてくれます。

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その緻密な描写でさまざまなモチーフを描き、その構図で独特のシュールネスを放つ土屋さんが、「らしくない」展開を繰り広げているように感じられるのが、今回発表されたなかでも最も大きな作品。

色調にこれまでの展開の踏襲を感じるものの、筆致の生々しさ、さらに絵の具が画面を垂れた痕などもそのまま採用されていて、それがこれまでにない大胆さと重々しさとを感じさせてくれます。

しかし、その垂れる絵の具の痕跡、また抽象的に画面に仄かに乗せられる絵の具のなかにも人の姿が影のように描き込まれているあたりに、手段こそ新手ながらも土屋さんらしい独創的なズレの感覚を導き出しているようにも感じられます。

なにより、この重厚感が堪らないんです。何か分厚いイメージに動じず、いとも簡単に踏み越えてしまっているかのようななんともいえない痛快さがぐんと迫ってきているように思えるんです。

画面を弧を描きながら横切る金色も効いています。

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額装されたドローイング的な作品も興味深いです。

お馴染みとも言えるようなモチーフやパターンも際どい割合で活かしつつ、その独創性に加速を促しながらもどこか殺伐とした、硬質な静寂の気配がしっとりと広がっているように感じられます。

何というか、辞書の挿絵のクールな生々しさに近い感覚。そこに横たわっているのは基本的には無意志で、それがシンプルな構図さえも物語としてシュールで複雑に仕立て上げているようにも思えてきます。

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さらに生々しい情景が描かれた作品も。

口づけをかわすふたり、あたかも映画のワンシーンのようなロマンチックな雰囲気が溢れ、それをこういう色使い、絵の具の使い方で描かれていることへの面白味も相まって、刹那うっとりとした印象を覚えるのですが、土屋さんのお話ではふたりとも女性なのだそう。そうなるとまた異なる緊張感が迫ってきます。

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今回の土屋さんの個展で提示された世界は、これまでの世界のエッジをギリギリでかすりつつ、かさならない部分で新たな情景を導いて、ぐんと立体的な広がりをもたらしているように感じられます。

前回も独創的な支持体による作品などが出品されていてインパクトがあったのですが、それとはまた異質の迫力と説得力が、意味深なタイトルとともに伝わってくるように思えます。

さて次はどうなっていくか、好奇心も高まっていきます!

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風能奈々展「誰がその物語を知る」

TOMIO KOYAMA GALLERY,Kyoto

風能奈々展「草上の想像」

TKG Editions,Kyoto

京都府京都市下京区西洞院通六条下ル西側町483

6/19(金)~7/25(土)日月祝休

11:00~19:00

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Nana Funo “Who Knows the Stories”

TOMIO KOYAMA GALLERY,Kyoto

Nana Funo “Imagination on the Grass”

TKG Editions,Kyoto

483,Nishigawa-cho,Shimogyo-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu

6/19(Fri)-7/25(Sat) closed on Sunday,Modnay and national holiday

11:00-19:00

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さまざまな気配が重なって綴られる、めくるめくファンタジー。

TOMIO KOYAMA GALLERYの京都のふたつのスペースで開催されている風能奈々さんの個展です。

とにかく見応えがあります。作品の数、バリエーション共に充実していて、さらに昨年の東京での展示からも描かれる世界観も広がりが感じられて、そこにいるだけでさらにイメージも広がっていくような感じです。

まず2階から。

今年のVOCA展に出展された作品がふたたび登場しています。

大きな画面に広がる銀色、そのなかに葉っぱや実を思わせるモチーフがぎっしりと溢れ、独特のダイナミズムを生み出しています。

何というか、描き手の「描く」ということへの勢いがそのまま迫ってくるような臨場感が強く印象に残ります。

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黒地に白の線がぎっしりと詰め込まれた作品も圧巻です。

凄まじい情報の量で、密度の展開が相当に混沌ととした気配を導き出しているのですが、いわゆる緻密さの凄みより、描かれるひとつひとつのモチーフのかわいらしさ、天真爛漫なイマジネーション、溢れる創造性の楽しさがポジティブな雰囲気となって伝わってくるような感じがします。

俯瞰でも捉えることのできない光景、そのなかにいろんなものを見付けていく、いろいろと見つかっていく過程がなんとも楽しいのです。

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円形の画面の作品も。

モチーフの有機的な風合いがより艶かしく伝わってきます。

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マスキングなどの手法も取り入れながら、重ねられる層が不思議な情景を紡いでいきます。

角を突き合う2頭のトナカイ(かと思うのですが・・・)。そのシルエットのくっきりとした質感が、滲んで浮遊感が増した背景とのコントラストで不思議な時間性を導き出しているように思えます。

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このスペースでの比較的コンパクトな作品では、そのひとつひとつの画面の中にさまざまな気配が注ぎ込まれているような印象です。

構図だけでなく色彩のバリエーションも相まって、もう追いつかないくらいにさらにいろんなイメージが促されます。

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いろんな気配がそこかしこから伝わってきて、それらに翻弄される楽しさ、心地よさと、全体を覆う独特の色彩感が、どこか大人びた文学性というか、深みをもたらしているようにも感じられます。

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続いて1階のエディションのギャラリースペースへ。

こちらはこちらで、足を踏み込んだ刹那、ずらりと並ぶ画面に圧倒されると同時に、その数に高揚感が一気に弾けます!

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統一されたサイズ。厚めのパネルとスクエアの画面、それがバリエーションの多さをよりいっそう際立たせています。

お馴染みの銀色や白、さらにさまざまな色彩が取り入れられ、そのひとつひとつのなかでちいさな物語が紡がれていく状況にすこしだけ、気が遠くなります。

しかし、1点ずつを眺めていくとやっぱり楽しい!かわいらしさとコミカルさ、深みとが渾然となって迫り、観る側のイマジネーションも否応無しに膨らませられていくんです。

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風景がモチーフとなった作品も多数展示されています。

その場面に存在するさまざまなモチーフ、樹木であったり家であったり、それぞれが細かいストロークで描き上げられ、さらにそのストロークの味わい、表情の豊かさも相まって、そこに存在する物語にも想いが深まっていきます。

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人物らしき影が登場する作品は、さらに物語性が立ちのぼっているように感じられます。

佇まいや仕草の豊かな描写、背景との関係性などが、さらにイメージを深く、豊かなものへと押し上げてくれるように思えます。

何といっても、かわいらしい気配が愛おしいんです。ファンタジックな雰囲気がシックな色調で綴られ、独特の世界観がさまざまなかたちで伝わってくるんです。

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1点だけ、随分雰囲気が異なる作品があったのも印象的です。

葉と蔦のモチーフこそお馴染みな感じですが、緑と赤の色合い、画面の仕上げなどの特徴的な感触がこの空間のアクセントとなっています。

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ここに展示された作品は108点、すべてにタイトルが添えられていて、それを確認しながら観ていくのも楽しいです。それが何であるかを想像してタイトルを目にすると全然違っていてちょっとがっくりきたり(笑)、またタイトルとして添えられる言葉がちいさな画面の中の世界を深め、イメージの奥行きをさらにもたらしてくれるような感じも楽しいです。

ある意味、2階の展示よりも凄まじい情報の量で、すべての作品はパネルの側面までびっしりと描かれているのですが、やはり根底に漂う天真爛漫さ、ナチュラルなスタンスがどこか軽やかな雰囲気となって現れているようにも思えるんです。

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大作で、さまざまなサイズの作品で、そして108の画面がずらりと並ぶ空間で感じる風能さんの物語。それだけの量を創り出せるバイタリティにも感嘆しつつ、独特な雰囲気にも静かに感動が湧いてきます。

クサナギシンペイ「アイデス」

Taka Ishii Gallery Kyoto

京都府京都市下京区西洞院通六条下ル西側町483

6/19(金)~7/25(土)日月祝休

11:00~19:00

Shinpei Kusanagi “ideath”

Taka Ishii Gallery Kyoto

483,Nishigawa-cho,Shimogyo-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu

6/19(Fri)-7/25(Sat) closed on Sunday,Modnay and national holiday

11:00-19:00

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ふわりと広がって、すいこまれて...

Taka Ishii Gallery Kyotoでのクサナギシンペイさんの個展です、本当にいいんです!

画面の上に浮遊する色彩が奏でる、幻想的な景色。

生の支持体の色も残り、そこにさまざまなストロークが滲み、かさなって、まるで霧に霞むように曖昧な風合いを伴って豊かな気配が広がっているように感じられます。

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独特の配置、構図が繊細な雰囲気を紡ぎます。

ひとつひとつのかたちはちょっと息を吹きかけると壊れてしまいそうなほどの仄かな感触で、時おり強い意志を感じるストロークがそれだけの発色によって全体の画面の淡い気配感から迫ってきます。

ちいさな世界に入ってしまったかのような印象も、またはどこまでも広がっていくような止めどもない場所にいるかのような...いろんなイメージが行き交います。

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それが何か、そこがどこかは分からないのですが、それが何かで、そこがどこかであることは感覚的に掴んでいく、そんな感じです。

ひときわ大胆な濃淡で紡がれる作品。強い色が塊となって残る部分と青、緑、黒それぞれの色の接する部分の曖昧なグラデーションが、どこか爽やかな風合いとともに、独特な混沌とした気配をもたらしているように感じられます。もしこのなかに入り込んでしまったら戻って来れないような緊張感も朧げに伝わってきたり...。

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例えるとしたら、きれいな夜景を見付けたときのような感動が湧いてくるんです。

滲む色彩は時には空気のなかを漂う光のように凛とした感触を際立たせ、豊かな奥行き感をもたらします。ずっと遠くまで続いているような感じ、スケール感がファンタジックなイメージをさらにおおらかなものへと押し上げてくれるような。

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そのスケール感は小さな作品においてもしっかりと引き継がれます。

比較的大きな画面の作品が並ぶなかで、ひときわコンパクトなサイズの作品がぽつんとふたつ、壁面に灯されるように展示されているのですが、広い壁面に作用して、ぐんとイメージも膨らんでいくんです。

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色彩やかたちの配置の面白さ、それらが紡ぎ出す繊細な気配感。

あるかたちが具体的なイメージを示してくることもあって、それがその縮尺の印象に心地よいズレを導き出してくれるのもまた楽しいです。

ほっとするような溜め息が漏れ、一方で知らない場所へと誘われる時の仄かに気が張る感じもあたっりと、新鮮で斬新なイメージがひとつ浮かんでは広がっていきます。

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「ひとことガレット」片山大輔 個展&「ひとになる」高あみ 個展

YUKARI ART CONTEMPORARY

東京都目黒区鷹番2-5-2 市川ヴィラ1階

6/20(土)~7/18(土)日月火休(水:事前予約制)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

片山大輔090620.jpg 高あみ090620.jpg

HITOGOTO galette' by Daisuke KATAYAMA & 'becoming human' by Ami KO

YUKARI ART CONTEMPORARY

2-5-2-1F,Takaban,Meguro-ku,Tokyo

6/20(Sat)-7/18(Sat) celosed on Sunday,Monday and nTuesday (Wednesday:appointment only)

11:00-19:00(laset day:-17:00)

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ふたつの展示室でひとりずつのアーティストを、それぞれ個展形式で紹介する展覧会。

まず手前のスペースでは、片山大輔さん。

コンパクトなスペースに居座るもうひとつのスペース。ちいさなお家を身体にして、手足と首がそこから生えて、ひとつの童話が現実世界に現れたかのような感じで、思いがけずファンタジーの世界に触れ、まだほんのりと童心が残っていることの気付かされ、なんとも嬉しい気分に。

さまざまな遊び心がふんだんに織り込まれているのも楽しいです。

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そして、そのお家のなかを小窓から覗くと・・・

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もう一匹いるー!!!(≧∇≦)ノ゛

積み木で遊ぶ仔鹿。

電灯が灯っていたり、このあったかい感じにも和めます。

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木枠に収められた作品も楽しいです。

3つ並んで壁に掛かる作品の、画面に取り入れられる立体的なアプローチがリアリティを醸し出し、独特の面白味を奏でます。

全体を覆うスタイリッシュな感触も印象的です。表面に被さるアクリルのパネルに書かれるアルファベットの単語と文章がストリート感覚を醸し出していてかっこいい!

・・・と思って読むとローマ字かよ!Σ( ̄口 ̄;)

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シンプルなドローイング的作品もいい感じです。

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鳥、もしくは鹿を基に描いたような独特の雰囲気を纏うキャラクター。

遊牧民的な佇まいと達観した表情が、ポップな色使いと味わい深いテクスチャー、部分的における細かい描き込みなどで巧みに描き上げられていて、遠いイメージが湧いてくるような感じです。

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続いて奥のスペース、高あみさん。

YUKARI ARTに登場するのは今回で2度目、前回のインスタレーションの深遠な雰囲気のイメージを持って展示スペースへ足を踏み入れると、基本的に1点ずつ完結した陶芸のオブジェが並んでいて、また異なる雰囲気に戸惑いつつも、そのあたたかみと滋味に溢れる造形にやさしく癒されるような...。

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やわらかな彩色、表面の土っぽい肌触りなどに加え、そこにやはり深い世界観はしっかりと収められているように思えます。

作品によっては相当に危うさを感じさせてくれる造形も。

ひとつの頭にふたつの顔、欠ける鼻、つぶれる目。特にこの造形に際どさ、危うさを感じます。

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様々な表情が並んでいます。

そのひとつひとつが深遠な雰囲気を伴っていて、対峙するごとにそこだけの次官が流れるような感じです。

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そして、前回の規模ではないのですが、インスタレーション的な展開も。

陶器の欠片がひとつの円に集められ、壁に円環を形成する顔と対になって、このスペースのなかでもいっそうの深い物語性、関係性を奏でているように思えます。

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それぞれ、独特の物語性が空間内に満ちているのが心に残っています。

綴られる時間の深み、おおらかなイメージ。伝わる、掴むものが豊かで、観賞後の感覚のあたたかさがまた嬉しいです。

呉亜沙 -whereabouts-

ギャラリー椿

東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F

6/27(土)~7/11(土)日祝休

11:00~18:30

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Asa Go Solo exhibition -whereabouts-

Gallery Tsubaki

3-3-10-1F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo

6/27(Sat)-7/11(Sat) closed on Sunday and national holiday

11:00-18:30

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こころのやわらかい部分に重なって、膨らんでいくファンタジー。

ギャラリー椿での呉亜沙さんの個展です。

もうずいぶん長く拝見している呉亜沙さんの世界。

はじめて接した独特のメランコリックな雰囲気、途中にニューヨークへの滞在が入って帰国後の世界が一転し、強さ、しなやかさが加わった印象、それから・・・

続けて拝見していって、その変化においてこちら側の距離感も変わっていきます。

そして、帰国後の強さが押し出されたような世界からだんだんとふわりとしたような風合いが戻っていくような感じがあって、そういう意味では昨年の横浜での個展で拝見した作品群、ポップさと繊細さとが独特の塩梅でそなわるような世界観は強く印象に残っているのですが、今回はあらたに「葉っぱ」というモチーフが登場し、いつもの女の子とうさぎがまた違う世界を綴っていっているような気がして、その不思議なイメージに嬉しさを感じます。

まず、今回出展されている最も大きな作品に驚かされます。

何より、画面下方、眼下に広がるトーキョーの俯瞰風景。シンボリックな建築物は過不足なく織り込まれ、そこがどこか分かるくらいにていねいに描かれているのが楽しく、また、佐藤美術館では都市風景が描かれた作品も登場していたものの、ここまで精緻かつ高密度に再現することができることへの驚きもひとしお。

さらに、そこに登場する女の子は空に浮かんでいると思いきや、

高速道路の上に立ってるのかよ!Σ( ̄口 ̄;)

てな感じのシュールな面白さ、白と黒の葉っぱが交互に鎖のように連なって、それがこれまた女の子の頭から生える樹木に生い茂るカラフルな葉っぱと微妙な差異の生命観を醸し出しているように感じられるのも興味深く。

さらに、画面の端に手が現れていることで、この不思議な情景の物語性にぐんと広がりをもたらしているようにも思えます。さまざまな見どころとイメージが画面に収められているんです。

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上の作品と対面する壁に展示された大きな作品の気配も、すうっと心に広がっていきます。

象徴的に真ん中に立つちいさな木。黒と白の葉っぱのリボンが絡まって、その一方は地面に触れ、もう一方はピンと張られて左上へと伸びている、これがまた独特の緊張感をもたらしています。

ふわりとした奥行き感や、散らばる椅子に座るうさぎ、女の子。大きく描かれるコミカルなかたちの葉っぱ、地面に広がる影の妖しげな風合いなど、こちらもさまざまな物語が広がっていくように思えてきます。

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そして、ポップな場面や景色を描いた作品が多く登場しています。

それぞれの軽やかさと、モチーフが奏でる繊細な深みとが独特の物語を放ちます。

要素のひとつひとつが楽しげでもあり、象徴的でもあるのが印象的です。

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人形が取り入れられた作品も。

また、うさぎと女の子とが同じ構図で入れ替わった対の作品も多く展示されているのも興味深いです。

記憶では、最初に拝見した時はどの作品にも女の子はひとりしか登場しなかったので、女の子「たち」になったのは今回が初めてではないものの、その変化にも慣れてきて、さらに遊び心が注がれているような感じが静かな楽しさを心にもたらしてくれます。

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今回のインスタレーション的な作品はこんな感じで。

目を閉じる女の子の表情の穏やかさが、そこから伸びる幹と広がる葉っぱへのイメージにも作用してきます。あたたかい色調も印象的です。

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呉亜沙さんが描く世界。知っていると思い出すたびにゆったりとしたイメージをもたらしてくれるような気がします。

穏やかにひろがるあたたかさ、ほんのりと漂う淋しさ、繊細な心の部分を癒してくれるような風合いは、新しい作品を拝見するたびふわふわと心の中に重なっていって。。。

その積み重ねが、さらに新しい作品を目にしたときに、ただ増えるだけでなくて、今までかさなったものも膨らんで、足された以上の大きさに育っていきます。

そういうクリエイションと同じ時間を過ごせる、過ごしていけるのは幸せだなぁ、と思うのです。

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《7/3》

澁谷忠臣 個展「教」

hpgrp GALLERY 東京

東京都渋谷区神宮前5-1-15 CHビルB1F

7/3(金)~7/26(日)月休

11:00~20:00

前回の個展でのバリエーションに富みカラフルな展開の印象が残るなかで、今回の個展の空間を拝見すると、そのソリッドさ、ストイックさに驚かされます。

ほぼひとつの色調で統一され、そこに展開されるのは前回と同じくさまざまな幾何学形体の構造なのですが、描かれる情景が抽象性を帯びていて、実に深いイメージが伝わってきます。

4 Winds 2009展 永井桃子 秋葉シスイ 矢口佳那 猪瀬直哉

ときの忘れもの

東京都港区南青山3-3-3 青山CUBE1F

7/3(金)~7/25(土)日月祝休

12:00~19:00

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昨年からメンバーを一部入れ替えて開催の4人展。

このギャラリーではお馴染みの永井桃子さん、バラのイメージが強いのですがさまざまな花が描かれていて楽しげで、ざらりとした気配感が印象的な矢口佳那さんの作品、こちらも僕にとっては既にお馴染みの秋葉シスイさんの暗い色に浮かぶ人物の絵、そして昨年のTHE SIXでも印象に残った猪瀬直哉さんの深く豊かな臨場感溢れるペインティングにおおいに惹かれた次第です。

土屋多加史展 -片肺の国-

WADA FINE ARTS

東京都中央区築地3-2-5 第2平和田ビル

7/3(金)~7/18(土)日月祝休

11:00~19:00

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この大きな変化、歓迎します!

シンメトリーの花の展開の作品はこれまでの作風を踏襲、そして大作での一見まったく異なる、しかしこれまでの世界観のエッジの部分に際どく重なっているような雰囲気に、イメージがぐんと広がり、奥まっていくような印象です。

馬場俊光展

BASE GALLERY

東京都中央区日本橋茅場町1-1-6 小浦第一ビル1F

7/3(金)~8/7(金)日祝休

11:00~19:00

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とにかく風景の作品が素晴らしい!

精緻に分解されたさまざまな景色。細かいマスキングによってもたらされるひとつひとつの色面が緻密に組み上げられ、いくつかの要素を排除しながらよりイメージの世界を現出させているように感じられます。やわらかな色彩も爽やかです。

Moeglichkeit II 児玉香織/高田安規子・政子/田内万里夫/満田晴穂/芳木麻里絵

ラディウムーレントゲンヴェルケ

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17

7/3(金)~7/25(土)日月祝休

11:00~19:00

ああもう!

こういうの大好き!

人が作るものってこんなにも面白いのか、と凄まじい勢いで前のめりに再認識。それぞれの個性が発揮され、煌めいています!

《7/4》

風能奈々展「誰がその物語を知る」

TOMIO KOYAMA GALLERY,Kyoto

風能奈々展「草上の想像」

TKG Editions,Kyoto

京都府京都市下京区西洞院通六条下ル西側町483

6/19(金)~7/25(土)日月祝休

11:00~19:00

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京都の小山登美夫ギャラリーの二つのスペースで開催されている風能奈々さんの個展、東京での展示も印象的でしたが、今回はさらに大胆勝つ緻密なアプローチが、よりおおらかで深い世界を創出しているように感じられます。

上階での大作がずらりの構成、1階の108点の作品が整然と並ぶ空間、それぞれにユにpくなメルヘンが綴られているように思えます。とにかく楽しいです。

クサナギシンペイ「アイデス」

Taka Ishii Gallery Kyoto

京都府京都市下京区西洞院通六条下ル西側町483

6/19(金)~7/25(土)日月祝休

11:00~19:00

よい。

ホントによい。。。

キャンバスに滲む絵の具が浮かび上がらせる幻想的な情景。霞む気配感もまた、豊かなイメージの創出を促します。

じっくりと時間を忘れて対峙してしまいます・・・。

渡辺おさむ・尾家杏奈・廣川惠乙 グループ展「Entrance into Garden」

imura art gallery

京都府京都市左京区丸太町通川端東入ル東丸太町31

7/4(土)~7/25(土)日休

10:00~18:30

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3名のアーティストによるグループショーです。

まず、お馴染み生クリームと果物の渡辺おさむさん。絞り器でひとつひとつ乗せられるストロークの集積が放つダイナミズムを活かし、しかし一部腐ったように青いカビが生えた果物が散見するのを目にして、これまで痛快だった一貫するファンタジックさから一転、現実的な違和感がユニークな雰囲気を導き出しています。

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今回はほぼすべての作品で腐った果実の造形が持ち込まれていたり、あるいは円環のように配されたバナナが傷んでいく過程を思わせたりと、フレッシュさとは異なる、退廃というか、時間の経過の残酷さを思わせるアプローチが興味深いです。

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しかし2階には、いつものファンタジーが!

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尾家杏奈さんは、アグレッシブな筆致でダイナミックな物語を創出していきます。

お話を伺うと、物語を思い浮かべ、それが進んでいくように画面の中に要素を増やしていくというアプローチで描いていくのだそう。そこかしこから醸し出されるカオスが深いイメージをもたらしてくれます。

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小品も魅力的です。

物語の場面がコンパクトになったような臨場感。エネルギーがぎゅっと詰まっているような感じです。

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さらに、素材の感触が前面に押し出されたマチエルが、アバギャルドな雰囲気を奏でているものも。

今度は東京でも個展で観られる機会があるので、どんな感じの作品が登場するか楽しみです。

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廣川惠乙さんは、昨年のvia artで個人的にもっとも印象に残ったアーティスト。ここで再会できたことがまず嬉しいです。

そして、そのときに発表されていた作品が加筆され、両端に画面が足されて完成したかたちで拝見できたのも満足。細かい色が弾けるように放たれて、それがモノクロの世界の妖艶な奥深さににキュートさをもたらしているように感じられます。

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小品も雰囲気豊かな感じがいいんです。

巧みな描写と遊び心とが独特の気配を導き出しています。

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Art Court Frontier 2009

ARTCOURT GALLERY

大阪府大阪市北区天満橋1-8-5 OAPアートコート1F

7/3(金)~8/1(土)日月祝休

11:00~19:00(土:~17:00)

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毎年、アートにさまざまなかたちで関わる方がひとりずつ推薦してピックアップされた関西にゆかりあるアーティストによるグループショー。

ありがたいことに僕も推薦者のひとりとして参加させていただいて、他の推薦者の面々を眺めると「ぼ、僕でいいんですか?」という感じで至極恐縮だったのですが、東京を拠点に活動しているので、東京で拝見したアーティストを、ということで奥田文子さんを推薦させていただいて。

個人的にファンで、かつ期待するアーティストにあらたなことを挑戦する機会が与えられたことに充実感を得られ、その気持ちが何よりよい経験だったと思います。

しかし推薦されたアーティストも実に興味深い!

すべてではないのですが、平面作家を中心に。

まず、今回最も大きな発見だったのが、川上雅史さん。

推薦されたのがART ITReal Tokyoの小崎哲哉さんというのも大いに納得のかっこよさ。

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ある画像を等間隔でスライス、その部分ごとに描き、それを画面上で繋いで再構築、というユニークな手法で描かれたペインティングで、アプローチが生み出すズレが心地よい違和感、アクセントとなって迫り、独特のスリルが生み出されています。

随所に放たれる筆致の深みにも参った次第。

もっとたくさん、そして個展で拝見したいです。

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山本理恵子さんのかわいらしい筆遣いもまた楽しい!

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おおらかな弧を描きながら、鮮やかな色が画面に広がって、ほんのりとしたユーモアも残り香のように画面に流れているように感じられます。

キャッチーな色彩と密やかなシュールさがまた楽しいです。

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で、僕の推薦で作品を提供していただいた奥田文子さん。

これまでデイタイムの明るい光景を描いた作品が多かった奥田さんに、夕焼けの絵をリクエストしたのですが、奥田さんなりに僕の意図を解釈してくださって、ほんのりとレイトタイムのイメージが横たわる、ちょっと感じの違う作品が登場していて嬉しい限り。

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いつものように、ちいさな人影がいつもの不思議な縮尺間をもたらす一方で、その情景に流れる気配のどこか淋しげな感触が新鮮です。

またあらためて夕焼けの時間の作品にも挑戦していただければ、と期待しています。

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ギャラリーゼロや静岡県立美術館での「風景ルルル」でも印象に残っている柳澤顕さんが推薦されているのも嬉しいです。

3点のペインティングが配され、さらに広い壁面にカッティングシートで制作されたたおやかな曲線の重なりが、ユニークなパースペクティブが導き出されているように感じられ、痛快です!

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1点ごとの画面の中に展開されているシャープな混沌も刺激に満ちています。

複雑に組まれるグラフィカルな面白さにもおおいに惹かれます。

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そして、ダイナミックな弧のかさなりを眺めていると、さらにイメージがぐんと広がっていくんです。

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東京での個展を見逃していた木村宗平さん、ここで観られるのもありがたい。

推薦者の藤田千彩さんに感謝、感謝です。

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有機的な盛り上がりの迫力、無機的で有機的な世界観。

危うさとアバンギャルドさをも秘めた独特の味わいに引き込まれます。

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他のアーティストの作品も見応え充分でございます。

《7/5》

イメージの新様態 XIX -延延刻刻- 松谷博子×松野じゅんこ

GALLERY SUZUKI

京都府京都市東山区三条通りけあげ(都ホテル前)6/23(火)~7/5(日)

12:00~19:00(最終日:~17:00)

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ふたりのアーティストがフィーチャーされた展覧会。

松谷博子さん。

木版画で水泡が溢れるような情景を緻密に再現、木版での表現としては実に緻密な世界が導き出されていて、広がる黒の深い静謐と、緻密に繰り広げられるリズムに引き込まれます。

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さまざまな空間性が繰り広げられていて楽しいです。

作品によっては白のインクで制作されたものもあって、今後の展開も興味深いです。

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松野じゅんこさんの作品、なんといっても大きな画面で繰り広げられる細密描写に、気が遠くなるほどの仕事量に圧倒されます。

画面に広がる墨の飛沫のエッジを徹底してトレース、さらにそのかたちのなかにさまざまな線を描き込み、凄まじい混沌を生み出しています。

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小さな作品でもその密度は変わることなく。

東京のアートシーンでも見せてみたい、その反響を観てみたいクリエイションです。

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《7/7》

祝迫芳郎展

新生堂

東京都港区南青山5-4-30

7/8(火)~7/18(土)日祝休

11:00~18:00(最終日:~17:00)

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彫金作家、祝迫芳郎さんの個展です。

今回は樹脂で制作されたトカゲ、雛、ネズミといった動物をベースに、それらに兜をかぶせて勇ましい装飾の展開で魅せてくれます。

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その複雑で精密な仕事に感嘆させられます。

さまざまな技術が注ぎ込まれ、それが鋭い説得力を導き出しています。

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平面展開のトカゲの作品も。

兜の勇ましさがさらに迫力を増して伝わってきます。

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ネズミの作品も面白いです。

巨大な角の壮観さ、びっしりと広がる針、炎のような七宝の赤。

同じかたちでの展開がバリエーションの面白さを強く押し出しています。

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1点ずつのサイズのかわいらしさとたくさん観られる楽しさ。

じっくりと観て、そのかっこよさに思わずほほが緩みます。

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内海聖史展 ―千手―

GALERIE ANDO

東京都渋谷区松濤1-26-23

7/7(火)~7/25(土)日月休

11:30~19:00

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今回の内海さん、円環の展開を発展させた作品ということで、どんな感じかと思いきや・・・

もう何度も足を運んでいるこのギャラリーがこんなに大きく感じるとは・・・!

円環の構成も「そうきたか!」と唸らされます。

《7/9》

この日はZINE'S MATE THE TOKYO ART BOOK FAIRのレセプションへ。

とにかく凄いひとの数に圧倒され、

脱出できるのかここから・・・Σ( ̄口 ̄;)

と思ってしまうほど。

しかしその賑やかさが妙に新鮮で楽しかったり。

よく知るギャラリーから、まったく未知の出版社とさまざまなブースが並んで、そしてそこかしこに写真集や画集がずらりと並んでいて、そういう状況にもワクワクしてくるんです。

この週末に余裕があるか微妙なのですが、行けるようだったらあらためてちゃんといろいろ観てみたいです。

大島梢展「図鑑」

ミヅマ・アクション

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル5F

6/12(金)~7/11(土)日月祝休

11:00~19:00

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Kozue Oshima "pictorial book"

MIZUMA ACTION

1-3-9-5F,Kami-meguro,Meguro-ku,Tokyo

6/12(Fri)-7/11(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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深化する細密。

ミヅマ・アクションでの大島梢さんの個展です。

これまで折に触れて拝見してきている大島さんの作品。最初に観た時の、画面全面を覆うあざみのような花が緻密に描かれた小さな作品の凄まじい密度と精度のインパクトから、さまざまなモチーフや空間性を取り込んでその個性と技術にも磨きをかけ続けている印象があるのですが、さて久々の個展ではいったいどんな作品を、と興味津々で臨んだ次第。

もともと細かい描き込みの絵が好きなこともあり、大島さんが紡ぎ出す世界はまずすべて支持といった感じなのですが、今回発表されたものの中で最も大きな作品は、これまでの「線」の展開から「色彩」へと大きく舵を切ったような感触が実に新鮮なインパクトと迫力を放っているように感じられます。

無論、細密の技術は存分に活かされているのですが、広大な画面全面に隙なく色が入って、より描かれる情景の臨場感が増し、その世界へと意識が力強く引き込まれていきます。

また、濃厚な色彩が用いられていながらも、そこにはとてつもなく純度の高い透明さが広がっているようにも思えます。そして、描かれるさまざまな色の面のなかに潜む凄まじい情報の量に、さらに意識が前のめりに・・・!

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これまでの展開の気配を感じさせてくれる作品も多数展示されています。

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厚めのパネルに描かれる、幻想的で妖し気な気配が高密度で渦巻く世界。。

側面にもびっしりと描かれることで、この立体のなかにひとつの空感が存在しているような想像も思い浮かんできます。

そして何より、色のチョイスが大島さんらしいあぁ、とも思うのです。陰と陽、それぞれの色がお互いのコントラストを引き立てあっているようで、それが凄まじい情報量をより鮮明に提示しているようにも思えます。

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ペンのみで描かれた作品では、最近試されてきた空間性の実験がより複雑化したような印象が興味深いです。

複雑な縮尺を組み合わせ、シュールな空間が紡ぎ出されていて、その惑わせ、狂わせの要素もまた不思議と心地よい引っかかりをもたらしてくれます。

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今会期中に完成した、色と線の密度が複雑に展開されている小さな作品。

たったこれだけの面積が、広い壁を支配し、膨大で壮大なイメージの想起を促す軌道装置のような感じです。

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入り口近くの棚にもイラスト風の小品が。

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大作から小品まで、敢えて言うまでもなく力作が揃っていて、見どころも発見も豊かに備えられています。

そして、これまでの変遷を思い返しつつ今回の大島さんの作品を拝見すると、押し進められる表現が、あるベクトルへと向かうというより、多方向へ広がっていっているような印象を覚えます。

ここ最近の作品では、さまざまな情景を組み合わせ、複数の縮尺も大胆に織り交ぜながら壮大な構図を導き出したものが多く、緻密な描写も迫力へと転化されていたように思えます。そして今回はそこに大胆に色彩が投入され、これまで背景としても機能していた支持体自体すべてに彩色を施すことで、描く世界のスケール感がより立体的に発展したように感じられます。冒頭での今回の最も大きな作品での展開が、今後の可能性をも提示しているよな気もしてきます。

また、ここまで大胆な色使いの作品は少なくとも僕の記憶ではないのにも関わらず、その色についてもオリジナリティを獲得しているようにも感じられるのが興味深いです。

既に獲得している圧巻の細密描写力に加え、色彩で豊かな空間性を放たせる新たな「術」と「個性」を手にして、これからどんな情景が描かれていくか、そしてどんな色を見付けていかれるかも楽しみです。

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青木美歌個展

ギャラリーアートもりもと

東京都中央区銀座3-7-20 銀座日本料理会館2F

6/29(月)~7/11(土)日休

10:30~18:30

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Mika Aoki solo exhibition

Gallery Art Morimoto

3-7-20-2F,GInza,Chuo-ku,Tokyo

6/29(Mon)-7/11(Sat) closed on Sunday

10:30-18:30

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その有機的な造形はさらに妖し気でつやつやしい気配を放ちながら・・・。

ギャラリーアートもりもとでの青木美歌さんの個展です。

一度目にしたら忘れ難い、独特の美しさを繊細勝つ滑らかに奏でるおなじみのガラスの造形。シュウゴアーツで開催された三嶋りつ恵さんのインスタレーションを参考にされたという、光る台座に置かれた作品群が、穏やかで凛とした闇のなかから姿を現しています。

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青木さんの作品として、名刺代わり的な展開でもある注射器から伸びるオブジェの作品が、まず出迎えてくれます。

注射器自体の存在が放つ危うげな気配と、何かの菌糸を想像させるユニークな抽象造形とのがイメージのなかで絡まり、小さな作品でありながら、充分に深い世界観を生み出しているように感じられます。

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今回の個展での大きな見どころでもある作品は、ギャラリーのほぼ中央に展示されています。

圧巻の造形、有機的に伸び、絡み合う紐状のガラスがひとつの大きな、そして自立するオブジェを築いています。

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随所に織り交ぜられるユーモラスな造形。

網のように絡み合う紐状の部分から、あたかもそこに成る実のようにふわりとやわらかな膨らみがそこかしこに登場していて、ひとつひとつを見付けていく楽しい時間と、それら自体の、謎めきをも緩やかに醸し出す複雑な造形に感じ入ります。

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そして、連なる網の端の部分のスリルも格別です。

ガラスという素材の脆弱さがその感覚の鋭さをさらに鮮烈に引き出しているようにも感じられます。

その一方で、常に保たれる丸みが、独特の優雅さをも可憐に奏でているようにも思えて、その澄んだ気配にも心が入り込んでいきます。

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注射器の作品と同様に、青木さんらしいビーカーを使った作品も。

蓋のある空感が、その有機性を高めているようにも思えます。

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今回の個展では、上でも紹介した自立する大きな作品をはじめとした、新たな試みが繰り広げられる作品も多く出展されているのが興味深いです。

その妖し気なフォルムは確実に進化し、より繊細な美しさを導き出しているようにも感じられ、それらを眺めて僕自身も新鮮な想像が膨らんでいった次第で。

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青木さんの作品には、言わずもがなではありますが、生命の感触のイメージが注ぎ込まれているように思えます。

今にもぐねりと動き出しそうな独特の造形。あるいは、胞子の先はどんどんと伸び、増え、更なる複雑なかたちへと向かうその際どい手前のスリリングさも思い浮かんできます。

そしてなにより、その繊細さ、ガラスという素材が持つ感触はもちろん、感性の繊細さも伝わってくるような印象です。

今回の個展では大きな作品が観られたのがとにかく嬉しく、さらに空間インスタレーションも実に効果的で、より美しい世界観が満ちているように思えてきます。

輝く表面の有機的なフォルムに酔って、たくさんの人にイメージの広がりを体感してほしいです。

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倉重迅展「Hollow Point」

MIZUMA ART GALLERY

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F

6/12(金)~7/11(土)日月祝休

11:00~19:00

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Jin Kurashige "Hollow Point"

MIZUMA ART GALLERY

1-3-9-2F,Kami-meguro,Meguro-ku,Tokyo

6/12(Fri)-7/11(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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すべては君のため。

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造花ですけどー!!!(≧∇≦)ノ゛

もとい。

MIZUMA ART GALLERYでの倉重迅さんの個展である。

突然ですがここでクイズ!

Q:パイプの口に施される色彩は何のためでしょう?

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(1)パイプを並べてみたのは良いけれどあんまりにも無彩色で殺風景だったので色をつけてみたんですけど、とはミヅマアートギャラリースタッフの話

(2)同じ色のところをくっつけたら出来上がるのー!というのを信じたそこのあなた!

その純粋さを僕に分けてくださいぃぃぃっっ!

(3)Dr.コパなんとか氏の風水の本に載ってたから

(4)目黒区議会でさっき決まった。さっきかよ。( ̄口 ̄;)

(5)このテープをはがすとその下にイカした川柳がって川柳てかよ!Σ( ̄口 ̄;)

・・・・・

ていうかどんな川柳だよ!Σ( ̄口 ̄;)

(6)新手のバーコード、かもしれない。しかもバー1本。画期的。

・・・すみませんすみません(いろんな意味で)(しかも各方面向け)

入るなり驚かされるこの状況。

並べられた雨樋のパイプ、唖然とするのとワクワクするのとが混在して凄まじい勢いで戸惑わされるわけですが。

ヘルメットも転がってたり。

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入り口傍の壁に設計図、そして組み立ての記録映像がモニターで上映されています。

およそ作業向けでない服を着た女の子たちがキュピキュピ言いながら(早回しなので)組み立てていって出来上がるのがあっと驚く・・・。

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冒頭の植木鉢の花、もちろん映像のなかでも映っていて、ずっと気になります。

奥のスペースでは、未だキープされる壁面の黒、そこに浮かぶように現れるジオラマ。

重厚な雰囲気が醸し出されます。

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ミニカーやら鉄道模型用の素材などを用いて作られた断崖の一場面。

黒い空間に映えます。

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そして、映像がこちらにも。

そこにあるミニカーたちがどういうものかは、ヘッドフォンして映像を観れば分かるのですが・・・

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擬人化される車たち。

最初は「またまたぁ~」とそのくだらない感じに内心軽くツッコミを入れながら、でもしばらくするとストーリーに意識が入り込んでいって、そして最後、衝撃の展開が。

そこか!Σ(@口@;)

落としどころはそこか!Σ(@口@;)

目ぇ剥きました、ホントに(汗)。

エンドロールも注視していると分かる人には分かる意外な名前が出てきてなかなかこれが興味深かったり。

倉重さんの作品でまず思い浮かべるのが前回の個展で発表されていたルービックキューブを高速で玩ぶ男の映像で、額に汗を浮かべて一心不乱に何かに取り組んでいると思いきやそれが実はルービックキューブ、というその唐突さに相当に驚かされ、痛快に感じたのですが、その凄まじいテンションでの急展開ぶりが、今回発表されたふたつの作品でも遺憾なく発揮されているように感じられます。

追いかけたストーリーが持つ充実度と、それをいともあっさりと切り返してしまうケレン味のなさ。さらに転じて思い切りの良さは、今回の作品がともにエディションがひとつ、というところにも現れているように感じられ、さらにさらに・・・倉重さんのコンパクトな作品も拝見したい好奇心は持ってはいるのですが、そういった要素はそれぞれの作品に必要なスケール感を出すために必須なものであるようにも思えてきます。

いずれにしても、大胆さは倉重さんのクリエイションの大きな魅力だと思います、叉どこかの機会で唐突に出会えたりするとまた嬉しい、と期待したりもします。

「変成態-リアルな現代の物質性」展 vol.2 冨井大裕×中西信洋 揺れ動く物性

gallery αM

東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビルB1F

6/13(土)~7/18(土)日月祝休

11:00~19:00

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Motohiro Tomii & Nobuhiro Nakanishi Transmutable objects

gallery αM

1-2-11-B1F,Higashi-kanda,Chiyoda-ku,Tokyo

6/13(Sat)-7/18(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

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ふたつのクリエイションが硬質な調和を生み出しています。

gallery αMでの通年企画の第2弾、冨井大裕さんと中西信洋さんとをフィーチャーした展覧会です。

冨井大裕さんの作品はこれまでも何度か拝見する機会があり、そのたびになかなか捉えることができず、掴みどころを難しく感じていたのですが、今回、はじめてじっくりとその深みと対峙できたような気がします。

「敢えて」。

冨井さんの「作品」の制作意図には、すべてにこの「敢えて」という言葉が冠されるような印象を覚えます。

コンクリートの欠片、色とりどりのビニールテープが巻かれたスティック状のもの。

それぞれ、「そのもの」「そうやってできたもの」という、シンプルな存在感を醸し出しています。そこにあるものは、言ってしまえばただ単に「それ」であって、そこに備わっているはずの意図の存在がむしろ極限まで抑えられているように思えます。

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八角形に切られたクッションの重なり。

なんとなく楽しい気分も盛り上がってくるような気もしなくもないのですが、それ以前に「なんでまた・・・」という感情が沸き起こってきます。

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コーナーには、びっしりと画鋲が壁面に整然と押し込まれています。

これ自体は、展示された冨井さんの作品/インスタレーションのなかではまだ分かりやすいような気配を醸し出しているのですが、やはり至近で眺めるとそれはもはや画鋲でしかなく、その「何か」を提示する際どところではぐらかされるような感じは他の作品と同様に一貫しているように思えます。

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凄まじく本質的な部分で造形とは何か、作品とは何かを問いかけてきているのかな、と思う次第で。

どうやって作るか、何で作るか....極端に言ってしまうとそれが「何か」ということだけで、作品としてしまっているあたりにさまざまな想像が湧いてきます。そして、おそらく、そこにあるものがこうやってクレジットが付随されて展示されることでイメージの基点として機能した時点で、作品として成り立たせてしまっているのかな、と。

残念ながら冨井さんとお話ししたことがなく、アーティストの意図とどこまで合致しているかなんとも言い難いのですが、なんとなくそんな印象を掴めたことに達成感を感じます。

・・・しかし、そういうプリミティブなイメージの基点として解釈する一方で、それぞれの作品がさり気なく、実にさり気なく「美しさ」を備えているように思えるのがまた心憎いというか、表現者としての巧みさを感じます。ビニールテープを巻く、クッションを八角形に切って重ねる、画鋲を整然と壁に並べるなどの行為は、美への圧倒的な「追求行為」ではないにしても確実に、面白いものを導き出しているように思えて、その辺りのスタンスにも興味深さを覚えます。

そして、その冨井さんの作品の面白さを引き出しているのが、案外、中西信洋さんの作品/インスタレーション群だったりするようにも思えるんです。

中西さんは、かっこよさを分かりやすく追求しているように思えます。

広い壁には、お馴染みの鉛筆の線による壁画が展開されています。

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至近で眺めたときの線の、いかにも手描きの様相を呈する生々しさ。

これが、俯瞰するとダイナミックなイメージへと誘ってくれるから不思議で、また楽しく、そしてそのクリエイティビティに対するかっこよさを感じます。

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石膏の立体作品も、興味深い造形をあらわしています。

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最外側のキューブ状の平滑面と、内側の有機的な雰囲気が充満する空間。

整然と混沌、そのコントラストが興味深いです。

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一昨年から昨年にかけて開催された六本木クロッシングで発表された、フィルム画像を重ねる展開の作品も、コンパクトなかたちで登場しています。

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さまざまな情景を時を経て記録し、それを重ねて立体的な情景が導き出されています。

これが面白く、またシンプルなアプローチがクールなかっこよさを生み出しているように思えます。

動的なイメージが静かに伝わり、かつ、現実と異なる3次元的なイメージもまた新鮮な刺激に満ちています。

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このふたつのクリエイションがひとつの空間で体感できたことが大変貴重に思えます。

それぞれ、作品に落とし込んでいく行為自体はシンプルでありながら、中西さんは徹底してかっこいいイメージの追求が展開され、一方で冨井さんは逆に浮かぶイメージのプリミティブさを大事にしているような。そのコントラストが絶妙で、なおかつ、中西さんのプリミティブさ、冨井さんの工芸的な(と書くと随分違う印象になってしまいますが・・・)を引き立てているように思えるのもまた興味深いです。

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松山賢|地図

GALERIE SHO CONTEMPORARY ART

東京都中央区日本橋3-2-9 三晶ビル B1F

6/6(土)~7/18(土)日祝休

12:00~19:00(土:~17:00)

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Matsuyama Ken "Map"

GALERIE SHO CONTEMPORARY ART

3-2-9-B1F,Nihonbashi,Chuo-ku,Tokyo

6/6(Sat)-7/18(Sat) closed on Sunday and national holiday

12:00-19:00(Sat:-17:00)

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GALERIE SHO CONTEMPORARY ARTでの松山賢さんの個展です。

松山さんの作品を拝見する度に、その巧みな表現力に感嘆させられるのですが,その凄みとは裏腹に、例えば女の子が登場する作品だとその無邪気さ、カワイイ女の子がもつ和やかな雰囲気もしっかりと伝わってきて、むしろ照れるくらいにその臨場感にも感じ入る次第で。

さまざまなシリーズの展開を拝見していますが、今回はお馴染み、というか名刺代わり、もっとも松山さんらしさを際立たせる女の子のモチーフをふんだんに登場させ、なおかつそこにさまざまな装飾的な紋様が重ねられるという、不思議な世界観が紡がれるシリーズがずらりと並びます。

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肌の陰影や着る服のシワなどが精緻に再現描写され、グラビアをそのまま描き写したかのような臨場感が独特の圧力をともなって迫る一方で、その表面にびっしりと描かれる細やかな紋様が、さらに複雑に入り組む気配を導き出しているように感じられます。

紋様、パターンの精緻さ、ストイックなまでに整然としたリズムが組み上げられているにもかかわらず、眼前に登場し微笑む女性の姿のリアリティは失せることなく...。ひとつの色彩で統一される背景のストイックさとも相まって、なんとも言い難い、もとい捉え難い、視覚的と感情的とでまったく異なる距離感が生み出されているように思えてきます。

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さらにそのアプローチのユニークさは加速、膨張していきます。

対で展示されている作品,ひとつは女性のシルエットの部分だけそのまま抜けたレースの紋様が画面を覆い尽くし、もう一方は女性とその上にかさなっていたと思しき紋様のシルエットがわずかにずれて提示されて、この構造が時間軸的に、そして空間的にイメージのズレを促してきます。

ヌードの女性の生々しさは無論強烈に迫ってくるわけですが、その実体性が不思議に感じられてきたり。。。

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そして今度はパターンのみで展開。

ここまでへの過程の深みや厚みが、一見軽やかな色彩とポップな情景に謎めきをもたらしているような気もしてきます。

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シルエットとパターンの展開が、さらに豊かなバリエーションを紡いでいきます。

それぞれの画面に高度な再現性で繰り出される精緻なリズム、さらに色彩の鮮やかさが楽しいです。

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さまざまなサイズの作品が発表されているのですが、そこかしこにぽつんと灯るように展示されてる小品も実に効いています。

広い壁面や空間的にアクセントとなり得る部分に展示された小さな作品は、与えられた場所で小気味よい存在感を放っているように感じられるのも興味深いです。

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随所から感じられるほんのりと、時に強烈なエロティックな要素、その臨場感は、観る者の感性を惑わし、世界観を身近なものへと近づけているようにも、おいそれと近づけさせないようにしているようにも思えてきます。それが、松山さんのスタンスの鋭さを隠しつつ、一方で際立たせているようにも思えてきます。

おそらく、松山さんが表現する世界は高度に複雑に組み上げられたジョークなのかな、と。

所見で伝わるキャッチーさも大事な要素のひとつでありつつ、一方でその視覚的な分かりやすさ、捉えやすさの奥にはすべての味覚が潜んでいて、強烈な甘みや唐突な辛さなどが現れてくるようにも思えてきます。

翻弄される痛快さで満たしてくれるクリエイション、今後の展開も楽しみです。

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《6/26》

real -永瀬武志-

Bunkamura Gallery

東京都渋谷区道玄坂2-24-1

6/20(土)~6/29(月)

10:00~19:30

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なんだろう、この圧倒的な透明感は。。。

初めて永瀬さんの作品を拝見したときの、ちょっとふざけた感じが入った作風から思うと、さらに再現性は精度を増し、繊細なグラデーションが儚げな風合いをかもし出しながら、鋭く深く、鮮やかな情景が紡ぎ出されていて、人物、風景、花、とそれぞれの作品に意識が引き込まれていきます。

直後にYOKOI FAIN ARTでの個展を控える永瀬さん、この透明感がどこまで深められていくか、実に楽しみです。

抜水摩耶 個展『私は強い、お前は弱い』

ArtJam Contemporary

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F

6/26(金)~7/26(日)月休(7/20開廊、7/21休)

12:00~20:00

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凄まじくスーパーソリッドな世界が溢れています!

平面作品での背景に用いられるシルバーのぎらついた危うい感触、そこに、あのお馴染みの大きな目の女の子のキャラクターがところ狭しと奔放な姿を晒しています。

そして、そこで繰り広げられている世界は確かに深みも増しているように感じられ、そのイメージの広がりに新鮮な思いも受かんできます。

あと、小さいですが立体作品がまたいい感じです!

荘司美智子 個展『LOCATION』

Zuishoji Art Projects (ZAP) ZAPギャラリーB

東京都港区白金台3-2-19 瑞聖寺内

6/26(金)~7/19(日)金土日のみ

13:00~19:00

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最小限のイメージを伝えるような、知性に訴える抑制の効いたインスタレーション。

三次元的に豊かな空間性を持つこの場所で、天井から吊るされ整然と等間隔の距離を互いに保つボール、そこにはさまざまな風景がプリントされ再構築されて、ひとつひとつにズレが伴う不思議な空間が導かれています。

金泥によるペインティングも展示されていて、こちらもユニークな世界観を放ちます。

Isso ”憶えてますか?”

YOKOI FINE ART

東京都港区東麻布1-4-3 木内第二ビル6F

6/26(金)~7/11(土)日月祝休

11:00~19:00

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今の時点で僕が持っている印象なのですが、ひとりの女性が主人公てして登場し、1点を除くとすべてモノクロの写真が整然と並ぶ空間に接し、いままで感じたことのない距離感と、それぞれの画面から届けられる記憶に何らかの作用をもたらす時間性に、新鮮で深遠な刺激が伝わってくるように感じられた次第です。

生々しく濃密な物語がじわりと空間に滲んでくるようでもあり、なんとも言い難い戸惑いが、いっそうの深みへと誘ってくれているような気がします。

あらためて、接してみたい雰囲気です。

厚地朋子「ヘビノス」

TARO NASU

東京都千代田区東神田1-2-11

6/26(金)~7/25(土)日月祝休

11:00~19:00

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階段を下りてまず目に飛び込んでくる風景の大作、スケール感たっぷりに迫ってきて、これだけでも充分に嬉しくなってきます!

奥に並ぶ人物の作品も、一転して独特のタッチが情感へと転化され,豊かな気配が紡がれます。

全体から広がる独特の雰囲気と、至近で部分に焦点を当てたときに立ち上がる筆致の面白さと抽象性、さまざまな面白味に満ちたペインティングです。

A House is not A Home 安倍典子/古武家賢太郎/永山祐子/齋木克裕

SCAI THE BATHHOUSE

東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡

6/26(金)~7/25(土)日月祝休

12:00~19:00

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コントラストも楽しい4つのクリエイションが揃った展覧会。

すべて色鉛筆で描かれているという古武家賢太郎さんの目が大きなキャラクターが不思議な気配を放つタブロー、アクリルのパネルを採用し、写真のパーツをマウントすることでシャープさが加速した齋木克裕さんの作品群。有機的で緻密なカットが施された紙を重ねる安倍典子さんのオブジェ,かわいらしさと同時に思いのほか深いイメージが漂う永山祐子さんのアプローチと、それぞれに湾アンドオンリーな個性がひとつの空間で展示され、新鮮なインパクトとイメージで満たされます。

《6/27》

武居功一郎 個展

waitingroom

東京都世田谷区三軒茶屋1-5-9 メゾン湘樺101号室

6/13(土)~7/25(土)金土のみ

13:00~19:00

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T&G ARTSで拝見している武居功一郎さん。

風景を再構築し、有機的な感触と無機的なかたちの連なりとで緻密に陰影感を作り上げ、独特の雰囲気が導き出されています。

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出力による作品でありながら,その密度や画面の艶やかさなど,オリジナリティ溢れる要素が溢れていて興味深いです。

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ちいさな画面の作品も多数展示、リズミカルな壁面構成も楽しいです。

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ignore your perspective 7

児玉画廊|東京

東京都港区白金3-1-15-1F

6/27(土)~8/1(土)日月祝休

11:00~19:00

急遽企画されたグループショー、これがとにかく嬉しい作品が揃い、見応えに溢れています。

若手のアーティストの作品が揃うなかで、大阪で拝見した田中秀和さんの3点組の作品や、現在も京都で開催中の関口正浩さんの個展から作品が1点登場していたりと、児玉画廊が発掘するフレッシュな抽象表現も多数揃えられていて楽しいです!

マストワン 妖怪展

NANZUKA UNDERGROUND

東京都港区白金3-1-15-2F

6/27(土)~7/25(土)日月祝休

11:00~19:00

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前回の展覧会から一転,アンダーグラウントを冠するギャラリーの面目躍如、ダークな世界が広がります。

過剰に立体的な画面が強烈なインパクトを静かに放つ作品や,板や簾が取り入れられた作品など,バリエーションに溢れていながら統一感も深く強く貫かれているのが印象に残ります。

紙遊び Minam Apang & Florencia Rodrigues Giles

GALLERY SIDE 2

東京都港区東麻布2-6-5

6/23(火)~7/4(土)日月祝休

11:00~19:00

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海外のふたりのアーティストの作品が展示されています。

Minam Apangさんの興味深いアプローチが面白い立体的な作品のかわいらしさと深さとを備えた世界観、ドローイング的な作風が綴られ、壁面を浸食するようにインスタレーションされるFlorencia Rodrigues Gilesさんの作品と,それぞれに豊かな雰囲気が溢れているように感じられた次第です。

絵画 花 -blossom 青木惠 橋本トモコ 久米亮子

ギャラリー山口

東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビルB1F

6/22(月)~6/27(土)

11:30~19:00(金:~21:00、最終日:~17:00)

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世代が異なる3名の女性アーティストが揃えられた展覧会。

艶かしい筆致が独特の気配を奏でる久米亮子さんのペインティング,細緻な線画を挿入して深く女性的な物語を紡ぐ青木惠さんの岩彩の作品,そしてとにかく美しい発色と画面とが印象的な橋本トモコさんの油彩の作品と、それぞれ印象に残ります。あらためて個展でも拝見したいクリエイションです。

呉亜沙 -whereabouts-

ギャラリー椿

東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F

6/27(土)~7/11(土)日祝休

11:00~18:30

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メランコリックな気配はそのままに、葉っぱが多く挿入されてさらに独特の世界に広がりがもたらされているように感じられます。

大作での東京の俯瞰風景が精緻に再現されているのにも驚かされると同時に、女の子とうさぎとが時おりペア的な構成なども盛り込みながらリズミカルで静かな物語性を紡いでいっているように思えます。

健在のかわいらしさ,深みにも心地よい気分が盛り上がっていきます。

小川陽一郎のHAPPY HOUSE 5 ―NEGAI―

ギャラリー椿GT2

東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F

6/27(土)~7/11(土)日祝休

11:00~18:30

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いやもう、アホ炸裂でございます!

異様にお賑やかな世界、この過剰感が堪らないのでございます。

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出来合いのものを大胆に取り入れ,騒々しくも妙に整然と画面や立体を装飾していきます。

床にゴザや人工芝が敷かれ、電飾や紅白の布なども取り入れられて全体のムードもどうしようもなくくだらない方向へと向かっているように思えるのがまた痛快で。

じっくり眺めているとそれぞれに思いもよらぬ深いイメージが潜んでいたりするのもまた楽しかったり。

いろんな意味で,とにかく凄いです!

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大江田依未子展「祈り」

和田画廊

東京都中央区八重洲2-9-8 近和ビル302

6/23(火)~7/4(土)

13:00~19:00

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予想外にも、その画面の艶やかさ,油絵の具の質感が際立って迫り、怖いほどに無垢で、脆弱さと強靭さとがそれぞれのイメージを裏付け,支え合っているような不思議な世界が広がっています。

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なんとも不思議な世界観です。

キャラクターとしての存在感に新鮮さは感じられないものの,それでも既視感に捕われない強さを放っているように思えます。

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無意識にもたらされる大胆さ,サディスティックさも強く印象に残ります。

もっと続けて拝見してみたい、これからどんな物語を紡ぐのだろう,と想像も広がっていくクリエイションです。

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大野智史「予言者」

TOMIO KOYAMA GALLERY

東京都江東区清澄1-3-2-6&7F

6/27(土)~7/18(土)日月祝休

12:00~19:00

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分かっていても、このスケール感に直に触れると否応無しに驚かされます。

都内屈指の容積を持つこのスペースですら狭く感じられるほどのバイタリティと創造性。壁面という壁面はペインティングなどで覆い尽くされ、そのダイナミックな世界観に引きずり込まれていきます。

池田光弘 漂う濃度

ShugoArts

東京都江東区清澄1-3-2-5F

6/27(土)~7/25(土)日月祝休

12:00~19:00

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個展としては2007年秋以来、あらためて池田光弘さんの作品を拝見する機会が得られたことがまず嬉しいです。

そして、今回は原点回帰というか、池田さんらしさ、ダークな色調で展開される硬質な静謐感と、そこに登場する鋭く尖るモチーフが放つアバンギャルドな雰囲気がそれぞれの作品から充満していて、それぞれの持つ重厚な力が強く伝わってきて印象に残ります。

じっくりと対峙したいクリエイションです。だからこそ、個展で拝見できることを嬉しく感じるんです。

阪本トクロウ

KIDO Press, Inc.

東京都江東区清澄1-3-2-6F

6/27(土)~7/25(土)日月祝休

12:00~19:00

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アクリルガッシュによる独特の静謐感を漂わせるタブローでお馴染みの阪本さん。そんなアーティストが版画工房でのギャラリーでの展示という時点で充分に興味をそそるのですが、作風から考えるとリトグラフかシルクスクリーンが妥当かと思いきや、発表されたのは銅版画!

お馴染みのモチーフが、これまでと異なるマチエルで展開され、それが大変面白い効果を生み出しているように思えます。タブローではほぼ平滑な面をつくり出すかのようにフラットな色面が印象的ですが、銅版画ではスクラッチの痕跡が、刷るという客観的な行為を挟むのとは裏腹に人間味に溢れる質感となっているように感じられるのがとにかく興味深いです。

佐伯洋江展

TAKA ISHII GALLERY

東京都江東区清澄1-3-2-5F

6/27(土)~7/25(土)日月祝休

12:00~19:00

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一目見ると佐伯さんと分かる独特の世界観。お馴染みの鉛筆画がずらりと並んでいますが,前回の個展で多く登場した具象的なモチーフが姿を消し、縮尺の捉え方が狂わされるような,ずらされるような曖昧な感触が新鮮で、そのオリジナリティに更なる与力をもたらしているように思えます。

《6/30》

青木美歌個展

ギャラリーアートもりもと

東京都中央区銀座3-7-20 銀座日本料理会館2F

6/29(月)~7/11(土)日休

10:30~18:30

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これまでも折りに触れて拝見している青木美歌さんの作品、有機的に伸び、広がるガラスのオブジェ群が、昨年のShugoArtsでの三嶋りつ恵さんのインスタレーションを参考にされたという、光る台に作品を置いての展示でさらに神々しい雰囲気を奏でています。

注射器やビーカーの作品はもちろん,これまでにないサイズのものや自立するものなど、その造形にもバリエーションがもたらされていて,それもまた楽しく感じられます。

内海聖史「色彩のこと」

スパイラルガーデン

東京都港区南青山5-6-23

6/30(火)~7/12(日)

11:00~20:00

十方視野の一部と、アトリウムに昨年の東京都現代美術館でも登場した大作が出展。

この空間で内海さんの作品が観られることが、単純に嬉しいです。

まだ開館前、入り口のガラスの扉越しに眺める、この青山の街に存在し得ない非現実的な緑の情景に圧倒され,その夜あらためて対峙すると天地の感覚,上下の感覚が狂わされるほどに荘厳で壮大な世界が力強く迫ってきて、あらためてその力強さに一色がのみ込まれます。

驚くほどに空間との相性が素晴らしくて、まるでここでの展示を前提に制作されたのかも,と錯覚してしまうほどの収まりの良さもその素晴らしさを膨らませているように感じられます。

この夏に立て続けに発表される内海さんの新作の展示のイントロダクションとしても最高のシチュエーションです。

《7/1》

成瀬遼

アートスペース羅針盤

東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル2F

6/29(月)~7/4(土)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

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敢えて表現するとしたら,「乾いた伊庭靖子さんの世界」、そういった印象です。

枕やお皿などのモチーフが、そこに表出される無数のシワやヒビなど,細かいテクスチャーをひとつ残らず再現したかのような緻密な表現が,独特の気配を立ち昇らせているように感じられます。

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背景のダークなグラデーションが、描かれる情景の雰囲気に深みをもたらします。

臨場感たっぷりの具象表現にも重厚さが加速されます。

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緻密な陰影で描かれるシーンが,深遠で静かな物語性を綴っていきます。

その言葉にならない気配感が、これからどういう風に発展していくかも興味深いです。

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ストレンジ&チャーム 平下英理展

GALLERY b.TOKYO

東京都中央区京橋3-5-4 第1吉井ビルB1

6/29(月)~7/4(土)

11:00~19:00(金:~21:00、最終日:~17:00)

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これは面白い!

ダイナミックな描写と激しく大胆な絵の具の使い振りが、分厚いスケール感を生み出します。

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加速するアバンギャルドな抽象性。

色彩の大胆な組み合わせ、ケーキのクリームを塗るのに用いられるナイフを使って画面にダイナミックに厚く塗布される絵の具が素材の力強さを存分に発揮し、凄まじいほどの力強さが創り出されています。

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素材感のインパクト、画面にかさなる大胆なスクラッチが、そこに描かれる具象的な情景を隠し、だんだんとその場面の臨場感を視界が捉え,浮かび上がっていく過程も楽しい驚きを提供してくれます。

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スクラッチの大胆さが全面に押し出された実験的な作品も面白い!

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織り込まれる具象の描写の確かさ、画面にもたらされるダイナミックなアプローチ、色のチョイスの大胆さ、そしてひとつの層にいくつものイメージが重なってできる混沌とした時空のイメージなど、注ぎ込まれる要素のひとつひとつが面白く、それらが凝縮されて生まれるエネルギーにも感嘆させられた次第。

これからが実に楽しみです!

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金子健太郎

galleria grafica bis

東京都中央区銀座6-13-4 銀座S2ビル1階

6/29(月)~7/4(土)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

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ギャラリーエスでの個展も印象的だった金子健太郎さんの久しぶりの個展。相変わらずの密度に引き込まれる速度も一気に加速。グラデーションすら緻密な線の密度でもたらされていることに刹那気付かず、分かっていてもその緻密さに驚かされます。

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深い色と、狂気とも呼べるほどの凄まじい密度で繰り出される線。どろりとした妖しい気配も力強く放たれます。

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エキゾチックなモチーフが重なって、うごめき、うねりが凄まじい臨場感で創出され,その不気味さが強いインパクトとなって迫ります。たった一枚のうろこ、ほんのわずかな毛並み、徹底した描き込みが深みをもたらしているようにも思えます。

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前回も出展された文字のみのシリーズも。

今回は、愛に溢れています。溢れ過ぎ、この過剰な感じはそのまま冷静な狂気となって、静かに迫ってきます。

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くどいほどに濃密な世界観は強い魅力です。

この圧倒的なスキルで、これからどんな世界が描写されていくか,想像も膨らみます。

圧巻の緻密さ、ぜひ直に堪能してほしいです。

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田中奈津子

MEM

大阪府大阪市中央区今橋 2-1-1 新井ビル4階16号室

6/13(土)~7/4(土)日月祝休

11:00~18:00

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Natsuko Tanaka exhibition

MEM

2-1-1-4F,Imabashi,CHuo-ku,Osaka-shi,Osaka-fu

6/13(Sat)-7/4(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-18:00

Google Translate(to English)

いらっしゃいませー!

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出た福助!Σ( ̄口 ̄;)

しかも水の中からか!Σ( ̄口 ̄;)

・・・こんな感じでいきなり楽しくほっこりな気分へと誘われます、MEMでの田中奈津子さんの個展です。

昨年開催された「ペインティングの恋人」でも、立体的な要素もふんだん取り入れられた作品の印象が強くて、今回も楽しみだったのですが、まずドローイング群に目を向けて。

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今回の展覧会のテーマでもある,さまざまな銭湯のモチーフがずらりと並びます。

呑気な感じがほんわかと滲むのと同時に,とにかく色が美しい!気持ちいい!

イージーな描写も、さまざまな色のコントラストを楽しく引き出しているように感じられます。作品に用いられた色たちの快哉も聞こえてきそうなほど,賑やかな雰囲気を盛り上げているようにも思えてきます。

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ペインティング作品では、その色の鮮やかさがさらに発揮され,よりおおらかな空気が放たれます!

そこかしこで弾ける赤や青の艶やかさが痛快!

そして、画面に施される立体的なアプローチは、その造形がなんとも和やかで、緻密に作り込まれる立体感のインパクトとはまた違うあったかい味わいが嬉しいです。

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そして膨らみ続けるイメージ。

明るく鮮やかな色彩を得て、田中さんのなかに浮かぶ銭湯のイメージがどんどん絵の中に「注ぎ込まれて」いきます、銭湯だけに!

・・・・・。

誰がうまいこと書けと言った!?Σ( ̄口 ̄;)

(しかも相手は大阪)

すみませんすみません。。。

えー。もとい。

とにかく楽しい!

遊び心が伸びやかに表現されていて、それはどんどん観る者の喜びへと転化していきます。

くっきりと浮かび上がる場面がいちいち痛快なんです。

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小品で繰り出される遊び心もまた一興。

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オン・ペーパーの大きな作品もまた楽しいです。

キャンバスの、ものとしての存在感からの解放が、身近な感触をもたらしてくれているように思えたり。作品の身近さはそのままモチーフの親近感へと繋がっていきます。

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とにかく、この振り切った感じ、思いっきりのいい世界が伸びやかに描き上げられている作品群,そして展覧会に出会えるのは何にも増して嬉しく思えます。

銭湯というのんびりとしたモチーフのなかで、壁のタイルや浮かぶ柚子などに描かれるパターンがもたらす小気味よいリズム、蛇口などから出てくる水の描写がもたらすザバーッていう音の臨場感溢れるイメージなども楽しい時間を盛り上げてくれて、さまざまなポジティブな刺激が堪らないんです。

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