山田純嗣 新作展 "The Pure Land"
@不忍画廊
03-3271-3810
8/3(月)~8/29(土)日休
11:00~18:00(土:~17:00)
Junji Yamada "The Pure Land"
03-3271-3810
8/3(Mon)-8/29(Sat) closed on Sunday
11:00-18:00(Sat:-17:00)
具体的なモチーフを得て、さらに深みを持ち、イメージの到達への加速が促される。。。
不忍画廊での山田純嗣さんの個展です。
自ら制作したジオラマを撮影し、その写真画像にさらに銅版による線描を重ねるという極めてユニークな手法で制作される、独創的なモノクロームの世界。これまではオリジナルな情景を導き出していましたが、今回は自らも慣れ親しみ、リスペクトするさまざまな名画をモチーフに採用。その遊び心にも満ちるアプローチが実に豊かな表現を生むだけでなく、観る側の想像の深度もダイナミックに後押しし、そして自身のオリジナリティ溢れる手法の面白さもより強く提示されているように感じられます。
さまざまなモチーフが登場します。
ダイナミックに再現される波、海景。
お馴染みの有機的な質感をたたえる造形のほっこりとコミカルな感触はそのままに、しかし波の飛沫の力強さなど、これまでは造形は有機的でも構造は一貫して無機だった印象から広がり、ある種のグラフィカルなアプローチがとにかく楽しく、想像を膨らませてくれます。
そして、そこに被さる銅版の線には、さまざまな隠れキャラが。臨場感たっぷりの壮大な波の造形の合間からひょこんと鯉が飛び上がっていたり、はたまた髑髏があるらしかったり、さらに波間の泡のようなものを思い起こさせる緻密なストロークが塊になっていたりと、いくつもの発見がその複雑な構造をもつひとつの平面のなかに散りばめられていて、見つける楽しみにも溢れています。
その隣に展示されている、一転して黒の世界。そして描かれるモチーフは炎。
尋常でない力強さにおおいに惹かれます。
おおらかな波の印象とは裏腹に、燃え盛る炎の一瞬のかたちを捉え、それを立体像系へで再現することで永遠のかたちへと落とし込み、そしてさらに写真で収めることで、実に深い深遠さ、静謐感、そして圧倒的に濃密な世界観が落ち出されているように感じられます。
また、重ねられる銅版の線描もストイックに有機的なパターンが紡ぎ出されていて、この作品における時間の流れのイメージを高次元のベクトルへと広げているように感じられます。
白と黒とのコントラストも実にユニークな見応えと見所を提供してくれています。
黒の画面に白が灯るような質感、降り注ぐ闇の気配が印象に残ります。
同じ構図、反転させたような構造の作品も。
構図自体が持つ渋み帯びる気配はそのままに、全体の色調が変わることで異なるクールネスが引き出されているように思えて興味深いです。
そして、もっとも大きな作品、ユニコーンをモチーフにしたダイナミックな世界。
まずはただ、そのサイズに圧倒されます。ちいさな空間でありながらも思いのほか俯瞰する余裕を持つこのギャラリーで、全体を眺めてそのスケール感と凛と力強く放たれる神々しい雰囲気に圧倒されます。
至近で眺めると、やはりそこに重なる銅版が面白い要素をサマザな真家たちで紡ぎ出しています。若干青みがかった色調であるのが、版の存在感を高め、そこに施される遊び心も鮮烈に立ち上がって感じられます。
もう一点、おおいに惹かれたのが、版を施さない、写真のみの作品。
ナチュラルの仕上げながらもずっしりとした重みを感じさせてくれる額に収められ、その造形の美しさ、力強さが濃密に引き出されています。
背景に広がる圧倒的に静謐で深い黒、そこに浮かび上がる炎の塊の造形。その重厚感は、杉本博司氏の蝋人形の作品のテイストを思い起こさせてくれます。
押し拡げられる表現がとにかく面白く、見応えも発見もあり、刺激にも満ちています。
機会があれば造形自体も拝見してみたいのですが、まずは平面で展開される分厚く重厚な情景にただただ感服、感嘆しきり、の展覧会です。
石川結介 "UNFINISHED ELIXIR" 未完のエリクシール
@藝術倉庫
栃木県那須群那須町高久丙3227-10287-77-0033
8/1(土)~8/30(日)月休
11:00~18:00
Yusuke Ishikawa "UNFINISHED ELIXIR"
@Nasu Warehouse-a contemporary art field
3227-1,Takaku-hei,Nasu-machi,Nasu-gun,Tochigi-ken
8/2(Sat)-8/24(Sun)
11:00-18:00
壁画家の面目躍如。圧巻、壮大な空間の創出。
藝術倉庫での石川結介さんの個展です。
昨年、浅草橋ラディウムの企画第一弾として登場した石川さんが、この夏の藝術倉庫に登場とあって、以前から楽しみにしていたのですが、その広々とした空間のポテンシャルが充分に発揮され、石川さんのクリエイティビティもそれを受けておおらかに響き、圧倒的にダイナミックな空間が創出されています。
まず、壁画に近い状況を想定して制作されるプレートの作品。
それぞれ広い壁面に1点ずつ飾られ、その情景に濃密に作用します。
比較的おおらかな構造が、逆に印象に残る作品。
画面に現れるかたちはすべてエッジが効いているにもかかわらず、鈍角の多様と濃い色彩がひときわメロウな風合いを醸し出しているように感じられます。
一転して複雑な構造を持つ作品、こちらになると鋭利なかたちの交錯がヴィヴィッドなインパクトを鮮烈に放ちます。
いっそうのきらびやかさがスピード感を伴って迫ります。
入り口に沿う壁面には小作品が丁寧な配置で並びます。
レインドロップ型の構造が面白いもの、そしておそらく一旦は板に描かれたものを切り刻み、再構築させたと思われる、そういう過程を彷彿させる作品が2点ずつ。
額装の作品は、実に複雑な立体構造も持ち合わせていて、これがシャープな混沌を三次元的にも創出しているのが面白いです。
そして、メインの壁画。
これがとにかく圧巻。
正面のもっとも広い壁面の全面が濃紺色に染め上げられ、その虚空に刺すようい鋭い交錯と揺らめくような艶かしさが重なり合い、独特の混沌が生み出されています。
複雑に折り重なるかたちは、思いのほか平面的に収まっているのも興味深いです。
前面に立ち上がるような臨場感よりむしろ、重力感にズレをもたらすようなアプローチ...壁面に向かって重量作用しているかのような錯覚を思い起こさせる、独特な気配がなんとも痛快です。
壁面に近づいて煽るように見上げると、そのスケール感はさらに膨張します。
また、この壁面のみに留まらず、全体の壁に続いてもたらされるグラデーションも面白い空間の創出に貢献しています。
正面の壁画から左手は、コーナー部分に短い間隔で、その右手は長短を織り交ぜて、空間構造的にアクセントがもたらされているのも興味深いです。
快哉を叫びたくなるような、痛快なスケール感が楽しく、そして嬉しいです。
基本的に壁面での展開、無論壁画家であるのでそれで結構なのですが、もし床面や天井にも描かれるようなことがあれば、どんな重力感が導き出されるのだろう、と想像するとまた楽しくなってきます。
何はともあれ、このボリューム感は頼もしいことこの上なく感じます。
そして、タイトル自体にも「未完」とあるわけで、次の展開も俄然楽しみです。
元田久治展
7/31(金)~8/30(日)月休
11:00~20:00
5-1-15-B1F,Jingumae,Shibuya-ku,Tokyo
7/31(Fri)-8/30(Sun) closed on Monday
11:00-20:00
より生々しく表出される、重く深いイメージ。
hpgrp GALLERY東京での元田久治さんの個展です。
これまでリトグラフでの制作をメインにされていた元田さん、最近はドローイングやペインティングも発表されていたのですが、今回は初めてペインティングをメインに構成。基本的にモノトーンでの展開だったところからそこに重い色彩が乗るだけでなく、キャンバスに定着する絵の具の素材の質感、なによりキャンバス、パネルの厚みが、そのクリエイションにこれまで以上に分厚い臨場感をもたらしているように感じられます。
描かれる情景はこれまで通りに想像上の近未来の朽ちた建築物。
しかし、すべては筆の痕跡をも生々しく残していることで、緻密な描き込みとともに随所に抽象性が濃密に現れ、リアリティと、むしろ幻想世界に近い非現実性とがひとつの画面で深い混沌を導き出しているように感じられます。
東京駅。
淀む色彩のなかに晒される朽ちた姿が、気配をいっそう重く感じさせてくれます。
ざらつく画面も雰囲気を深めます。
歌舞伎座を描いた作品。
改築が話題となっている建物ということもあって、さまざまな想いも過ります。
全体のトーンの褪せた感触や、思いのほか大胆に現れている滲みの痕跡、そして敢えて徹底した描き込みがなされずに仕上げられているのが、遠い気配感を漂わせているように感じられます。
剥落する壁面、潰れるスポーツカー、そこかしこに登場するモチーフが放つ独特のリアリズム。もしかしたら別の次元では現実なのかもしれない、という思いさえ浮かんできます。
朽ちた現代建築の緻密な再現性が、残酷なくらいに深い空の青に晒されます。
ざっくりと剥き出しになる骨組み。頽れ、廃れる感触は、精緻に表現される陰影でさらに深みを増し、経過した時間の厚みさえも思い起こさせてくれます。
また、空だけでなく、水面を埋め尽くす蓮の葉が、画面左下にぽつねんと浮かぶ蓮の白い花が、朽ちた建造物の儚さを生々しく、揺らめかせながら映し出す水面が、自然とその現象の強さを伝えているようにも感じられます。
事務所などにも小品をはじめ、水彩のドローイングやお馴染みのリトグラフ作品も展示されていて、これまでの元田さんの変遷もチェックできるのもありがたいです。
そしてそれを踏まえ、今ここに、ペインティングという強さを伴う表現へと至ることが大いに興味深く感じられます。
リトグラフでは徹底して、ストイックに近未来の再現性が追求されていたように思うのですが、無論その展開もこれから引き続き行われることと信じつつ、ペインティングではさらにその臨場感の追求と、絵の具の質感が自然にもたらす抽象性を巧みに画面に織り込んでの危ういアプローチとがそれぞれ深められ、これからどういう風に展開してくのだろう、と期待も深まっていきます。
これまでにない迫力に溢れています。元田さんのこれまでを知る方には、特にぜひ観てほしい展覧会です。
《8/8 Sat》
たけむら千夏 個展『2つのふし穴』
東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F
03-5449-8122
8/4(火)~8/30(日)月・8/10~8/20休
12:00~20:00
明るい額に収められた写真が並びます。
生活感が滲むもの、男性のヌード、憂いを帯びた女性の表情、遊び心に満ちたポートレイト、外の風景を撮ったものなどなど、さまざまな景色がそれでもひとつの統一感のなかに収められていて。
惹かれるもの、敬遠したいものとひとつひとつに対してまるで翻弄されるようにいろんな想いが沸き起こります。もう一度足を運んで、ゆっくりと観てみたいとも思ています。
このたけむらさんに限らず、スナップの延長(という表現が合っているのか分からないのですが)的な写真の展示は、写真に捉えられた光景の、そこに流れた時間の、そしてそれを撮った人との距離が客観的につかみづらくて、なんとも言い難い気分が湧いてきます。仮に面白い、と思ったときに、それはどんな感性が働いて面白いと思っているのかが分からないというか...。
その辺りの感覚もうまく伝えられるようになれたら、とも思ったりします。
藤井秀全展「Stain "Spread"」
@Akio Tamura@GINZA
03-5579-9581
8/3(月)~8/27(木)日・8/9~8/16休
11:00~19:00
昨年のstudio Jでのグループショーや今年のART AWARD TOKYO、先に会期を終えた混沌展などで印象に残る藤井秀全さんの個展。
乳白色のケースの中で滲むように赤い光が広がる作品が並び、未来的な空間が作り上げられています。
絵画的な色の広がりをテクノロジーで演出する感じがなんとも不思議です。
studio Jでも拝見した、透明のテープに光を当て、さまざまなグラデーションを発する作品も。
これだけ未来的な雰囲気を保つ、ざわつくような感覚、混沌とした感じはやはり面白いです。いろんな角度から眺めるごとに新たな発見を導いてくれます。
古川松平展
03-3567-7772
8/3(月)~8/9(日)
12:00~20:00(最終日:11:00~16:00)
艶かしさとシャープさとが一つの画面に絶妙のバランスで存在する作品が並んでいました。
ひときわ目立って感じられたのが、描かれるモチーフの具象的な部分へも想像性が高いと思われる作品。濃く思い色彩の多様が、世界観の濃度も深めているように感じられます。揺らめくようなファンタジーへと引き込むような感覚が印象的です。
多くの作品は、明るい色調が清々しく感じられます。
一部の圧倒的な具象性とそのまわりのグラフィカルな色のかさなり、さらにまわりの淡く浅い気配感。それぞれのコントラストが不思議な情景を思い起こさせてくれます。
日常的な感覚に煌めくようなインパクトを灯したような感触が楽しいです。
山下春菜展
03-3567-7772
8/3(月)~8/9(日)
12:00~20:00(最終日:11:00~16:00)
谷門美術での個展も印象に残っている山下春菜さん。
さまざまな料理が描かれ、その独特なタッチと彩りが痛快な臨場感をもたらしています。
描かれるモチーフの面白さと、それを拡大して描くことで生み出されるダイナミズム。
描かれるものが何であるかを認識した瞬間の面白さも楽しいです。
山田純嗣 新作展 "The Pure Land"
@不忍画廊
03-3271-3810
8/3(月)~8/29(土)日休
11:00~18:00(土:~17:00)
今回の山田さんの作品は、さまざまなクラシックの絵画を引用し、そこに描かれるモチーフを自身のジオラマで造形することで再現、そこからはいつものようにそのジオラマを撮影し、その写真に銅版画の緻密な線描を重ねる、といったもので、これまでの山田さんのクリエイションの中でもっとも具体的なイメージが湧いてくる感じが楽しいです。
全体の絵の力強さ、そこに重なる線で描かれる、隠れるモチーフが見つかっていく楽しさ。さまざまな要素が満ちています。
New Artists 2009 新垣美奈 笠井麻衣子 チョグト 永田惇也
03-5814-8118
8/1(土)~8/9(日)8/3休
12:00~19:00(最終日:~17:00)
4名のアーティストが紹介されている展覧会。
まずカウンターの壁面に並ぶのが、新垣美奈さんの作品。
あの夜祭りの和やかな雰囲気が、あったかい筆致で描かれていて、眺めていてほっこりと和めます。
なんとなく、麻生知子さんが描く雰囲気に通じるような心地よさを感じます。
自然な時間の流れを、且然に捉えたようなやさしい感触が嬉しいクリエイションです。
群馬青年ビエンナーレ2008での優秀賞受賞でも話題を集める永田惇也さん。
敢えて重たい色調、大胆なシチュエーションが採用され、これだけ鈍く滲む雰囲気にも奇妙なコミカルさが伝わってきてなんとも不思議です。
入り口から見て左手の壁面には油彩とドローイングがびっしりと。
大胆な筆致が痛快です。
コミック的な感触の面白さ、何だかよくわからないけど、というかわからないのが妙に笑える作品が、それぞれ濃密なアクセントを発しているように感じられます。
昨年のシェル美術賞でグランプリ不在で2名選ばれた準グランプリのひとり、笠井麻衣子さんの作品も。
ケレン味のない激しさを伴う筆致が白い画面に広がります。
ざわめくような雰囲気が、独特のタッチと色使いで綴られていきます。
そこに収められる瞬間、そのスリルも鮮烈に伝わってくるような感じです。登場する女性、女の子の髪が振り乱れる様子の臨場感も印象的です。
大きな画面の作品では、さらにその鮮やかな発色が白い背景に乗り、放たれる鮮烈な世界感に引き込まれます。
刹那な筆致の臨場感、さわさわと心にざわめきが生まれ、それでいてすうっと猛スピードで浮かび上がっていくような空気感。もっといろいろと拝見したい世界です。
チョグトさんのアニメーション、零戦が飛ぶ作品、じっくりと拝見する余裕がなかったのが残念でしたが、そこに綴られた濃いストーリーも心に残っています。
この日はワンピース倶楽部の2回目の展覧会「はじめてかもしれない」へも。
さまざまな作品が並ぶ様子は圧巻、そのバリエーションの多さも何だか楽しく感じられた次第。
こういうシチュエーションでないと絶対にあり得ない作品同士が並んでいるのもあって、それがまた見事に収まっているのがまた面白かったり。
《8/9 Sun》
石川結介 "UNFINISHED ELIXIR" 未完のエリクシール
@藝術倉庫
栃木県那須群那須町高久丙3227-10287-77-0033
8/1(土)~8/30(日)月休
11:00~18:00
レントゲンヴェルケが持つ、ダイナミックなクリエイションを懐深く受け止める空間、藝術倉庫。ここでこの夏に個展を行うのが、壁画家の石川結介さん。
正面の大きな壁面に描き上げられる巨大な宝石のモチーフにまず圧倒されます。壁全体も塗布され、それが空間全体に硬質なコントラストをもたらし、他に展示される作品とともに、まさにダイナミックな空間が創り出されていて圧巻です。
廣瀬智央展「ウェルトゥムヌス」
0287-69-0226
8/1(土)~8/30(日)
いつか伺いたいと思っていた板室温泉大黒屋。車での慣れない坂道の移動はなかなか難儀でしたが、藝術倉庫から30分ほどで到着。
漆喰風の壁面を背に飾られる、ちいさなさまざまなものが浮かぶ透明のアクリルや、板の間に置かれる作品、写真など、都内のギャラリーで拝見したのとはまた違い、意外にもそういったシチュエーションでも合っている、もちろんギャップはあるのですがそれを含めて楽しく感じられます。
わざわざ社長の室井氏もお出でいただき、いろいろとお話を伺えただけでなく、パーマネントで設置されている菅木志雄さんや矢部裕輔さんなどの作品へもご案内いただき、恐縮しながらもそれぞれの作品がナチュラルに放つ魅力にもおおいに魅了された次第。
《8/11 Tue》
響像】KYO-ZO【川鍋道広+津田翔平+小林昇太
03-3499-1003
7/31(金)~8/11(火)
12:00~19:30
面白かった!
観られてよかった!
吹き抜けて圧倒的な高さを持ち、立体的に大きいこの空間を暗室に仕立て、そこに赤い光が粛々と交錯。空間内に配されるさまざまな線がその赤い光線を受け、そこかしこに赤の光が動いていく、重厚なミニマムミュージックを伴いながらさまざまな要素が降り注いででくる空間。
アイデアのダイナミズムとそれを具現化させてしまうバイタリティにも感服させられた次第、今後の展開も楽しみです。
えっぽい 岡本梨江 片山真妃 宮内理
03-3479-0332
8/10(月)~8/16(日)
11:30~19:00(最終日:~17:00)
3名の女性アーティストのクリエイションがぎゅっと詰め込まれ、その濃密さが楽しい展覧会です。
いきなり最初の空間から、実に濃密な世界観に包み込まれます。
宮内理さんのインスタレーション。床にびっしりと置かれる木琴の上を手袋が這い、からからと心地よく、涼しげなノイズを奏でています。
見上げると銀色の風船がびっしりと。
なんとも凄まじいシチュエーションに呆然。なんだか「負けた・・・」って感じが痛快で(笑)。
で・・・・
なんだお前は!Σ( ̄口 ̄;)
この紙袋がかわいいんですよチクショウ!!!!!
奥の空間にはもうふたりの作品がずらりと壁面を埋めています。
岡本梨江さんは、グラフィカルなモチーフを多用し、さまざまな素材を用いてポップに展開。幾何学的な要素の重なりが未来的なイメージを立ち上がらせます。
片山真妃さんは一転して、生々しい筆致が印象的です。
七夕の飾りのようなものをモチーフに、それを画面いっぱいに描くことで大胆な情景が生み出されています。
一角を埋め尽くす小品群も、その「もの」として放たれる濃密な空気感で迫ります。
都市的知覚 PERCEPTION AND URBAN ENVIRONMENTS
トーキョーワンダーサイト本郷
03-5689-5331
8/11(火)~8/30(日)8/17、8/24休
11:00~19:00
映像作品が多いです。
今回はゆっくりと拝見することが叶わなかったのですが、そのなかで前林明次さんのインタラクティブなインスタレーションは体験。ヘッドフォンを装着して着席、そこから始まる深い世界観。沈み込むようにどんどんと入り込んでいき、さまざまなちいさなエポックが次々と、淡々と発生していくのを目の当たりにしながら、あっという間に5分間。面白いです!
トランス 小池一馬
03-6807-9987
8/11(火)~9/6(日)月休
13:00~21:00(日:~19:00)
木彫、水彩、そして前回の個展で発表されたペインティングと、現在の小池さんのクリエイションが網羅されるかたちでパッケージされています。
なかでも、ペインティング作品が、前回からさらに進化し、キャッチーな面白味を増しているのが興味深いです。木彫もその独特の造形の面白さは相変わらず!
《8/12》
NEGAPOP 吉永蛍 蔭山忠臣 平川恒太 尾家杏奈 樽井英樹
03-3569-0005(代表)
8/12(水)~8/16(日)
11:00~19:00(最終日:~15:00)
5名のアーティストがフィーチャーされた展覧会。
それぞれに、若さを発揮しほとばしる個性が提示されているのが楽しいです。
先頃会期を終えたばかりのWADA FINE ARTSでの個展も印象深い尾家杏奈さんは、新作1点を含む3点を発表。平川恒太さんはこれまでの展開から一旦離れ、抽象性の高い世界観を展開。吉永蛍さん、樽井英樹さんはそれぞれ大きな作品が印象的です。
「変成態-リアルな現代の物質性」展 vol.3 泉孝昭×上村卓大 「のようなもの」の生成
7/25(土)~9/5(土)日月祝休
11:00~19:00
Formation of "something like" Takaaki Izumi,Takahiro Murakami
1-2-11-B1F,Higashi-kanda,Chiyoda-ku,Tokyo
7/25(Sat)-9/5(Sat) closed on Suncay,Monday and national holiday
11:00-19:00
gallery αMでの通年企画、「変成態-リアルな現代の物質性」展の第3弾。泉孝昭さんと上村卓大さんという、これまた絶妙なパッケージ。お互いのスタンスがユニークな解釈のい響きをもたらしています。「のようなもの」、というタイトル、絶妙です。
まず、六本木時代のTARO NASUでの個展や、名古屋でのグループ展、さらに昨年のECHOへの参加も印象に残っている泉孝昭さんの作品。
唐突に置かれるパレット。生木のナチュラルな色と、さまざまな色に塗り分けられ、無造作に置かれる天板が、「もの」の質感とは裏腹な軽やかな雰囲気を滲ませています。
パレットというと、倉庫などでフォークリフトが持ち上げている様子などを思い浮かべるのですが・・・
なんとなく眺めていると...
あれ?(・。・)
これ、なんかおかしくない?(・。・)
で、さらにしげしげと眺めて...
釘打ってねぇ!Σ( ̄口 ̄;)
結局のところ、これはパレットではなくて、一部塗装がされている木材がただ積まれているだけという。
なんだかやられた感じ、それに気付いて妙に痛快な気分が湧いてきた次第。
見た目から受ける勝手な解釈で、想像の中でそれに機能を持たせてしまっていたことに、いや、それに対して反省なんかはしないんですけど、この解釈の押し引きみたいな感覚が楽しく感じられます。
広い壁面に灯るように展示された、何か。
錆び付いた鉄板の欠片、潰れた空き缶、靴下(手袋?)。
それらがワイヤーに纏められて壁に打たれた釘に吊るされただけ、というものであるのに、しっかりと壁面と空間に作用して、けっこう強烈な存在感を放っているように感じられて、それもまた痛快なんです。
輪となったワイヤーの端がピーンと跳ねている様子やただシンプルに金具で留められたものたち、それらは普通に地面に落ちていそうなものであるのに、それなりの「美しさ」というか見事に収まっていて、観ていられるんです。
タイヤが回転する作品も。
こういうふうにタイヤが回転しても「だから何」という感じではあるんですけど、やはりその「何?」という想いから始まり、ここへと至る解釈に、ある醒めた感覚を伴いながらも妙に引き込まれて行くんです。
泉さんの作品が、さまざまなものを「そのまま」使う、もとい置いただけだったりする一方で、上村卓大さんのそれも同様に素材の質感が全面から現れていつつ、より「作った」感じが伝わります。
オレンジが鮮やかなネットで「WALL」。
目に飛び込む色の弾けるような感じはなんとも気持ちが良くて、しかし此れだけスカスカで「壁だ!」と主張する様子はコミカルで。
そして奥には、さらにさまざまな色彩が溢れる造形が。
たくさんのポリタンクが透明アクリルのケースに収められ、なんとも不思議な情景が導き出されています。
発色の異様なまでの良さが、そのシュールさを刹那、忘れさせてくれます。
上村さんもかたちなどを「そのまま」落とし込んでいく作品なのですが、見た目の「分かりやすさ」とは裏腹の製作の手間が感じられて、その行為自体からもユーモアが伝わってくるような気がします。
泉さんがじっくりと「何?」というところから鑑賞者のイマジネーションへズレをもたらす(案外、泉さんは何もやっていないような気がするのでそれもまた面白いです)のと比較すると、上村さんはもの凄く遠回り、懸命さが伴っているのにまずそれを感じさせず、むしろストイックなほどにパンと弾けるような痛快さ、シュールさを提供してくれているように思えます。
田中功起さん辺りを筆頭とする、自身のイメージと作品との距離をなくす方向で展開されるさまざまなクリエイションに最近興味が湧いてきているのですが、今回の泉さんと上村さんも、もしお互いに偶然同じ素材で同じものが作られたとしても、そこにある過程やイメージの差異が確実に存在して、そのこと自体が面白く感じられます。
今回の展覧会でも、それぞれのベクトルで、それぞれのスタンスから発生される「ズレ」がもたらしてくれるイメージがとにかく楽しいんです。
梅津庸一「ゴールドデッサン」
7/11(土)~8/22(土)日月祝・8/9~8/17休
11:00~19:00
UMETSU Youichi - Gold Dessin
2-2-5-3A,Shintomi,Chuo-ku,Tokyo
7/11(Sat)-8/22(Sat) closed on Sunday,Monday,national holiday and 8/9-8/17
11:00-19:00
青い壁に何を見る・・・
ARATANIURANOでは2回目となる梅津庸一さんの個展は、僕が初めて拝見した梅津さんの個展での構成と近くて、まずそれが懐かしさと嬉しさとを心の中に沸き起こさせてくれまず。
同時に、それ以来の梅津さんの展示、前回の個展でのさまざまな要素を詰め込んでそれでもすべてを見せていないように感じられる鋭い混沌や同年開催の101 Tokyo ContemporaryのARATANIURANOのブースでの濃密なスリルが溢れる油彩画群、そして今年ZAIMで開催された「ZAIMIZAMZIMA」では先の個展での世界観が、梅津さん本人がそこに滞在するだけでなくさまざまな人々が関わることでさらに多彩、雑多な要素が入り込んで深まったような印象など、独特の妖しさが、激しく大胆な提示とは裏腹にどこか冷静で達観し、それらに接する鑑賞者の感覚を見透かしながら誘うような雰囲気が強く心に残っているのですが、そういった気配から一転し、デッサンのみで構成され、ストイックなまでにひとつの手法、しかも「金筆」を用いた作品のみが並びます。
壁面を独特の青に染め変えられた空間。
そこに、白い額に収められる金筆のデッサンが、しかもそれぞれは精緻な再現性を誇る作品が整然と散りばめられ、重厚さと透明感とが硬質に響き合って伝わってきます。
描かれるモチーフはバリエーションに富み、おそらく記録写真を基に描かれたものや、ユーモアを交えた静物画的な作品、身近な風景を思わせるものなどが、色調とタッチによる統一感の中に収められていて、奇天烈とも天真爛漫ともいえそうな、しかしある強い意志で選び抜かれたような、そのモチーフのチョイスに対するバランスにも独特な気配を感じます。
ほぼどの作品も、それが何であるか分かるのですが、唐突に抽象性が立ちのぼる作品が紛れていて、それが痛快で深遠な戸惑いをもたらします。
タイトルを拝見すると思わず笑みがこぼれてしまうような「なるほど」といった痛快さも秘められていたり。
とにかく、さまざまな面において、圧倒的な空間が作り上げられているように感じられます。
梅津さんが今回の作品を制作される上でいくつか自らに課したルールがあるそうで、そのひとつが、スロトーク、金筆のタッチの一切は点描のみで描き切る、ということだと伺いました。
素材の特性上、支持体である紙とのファーストコンタクトはある程度定着するものの、それが2度、3度と重なっていくとなかなか金筆の金の定着が難しいそうで、なのでここまで丁寧精緻に再現されたさまざまな情景の中に織り込まれるグラデーションは、いったいどれだけの時間を経て描かれているのか、ということへと想いが至ると、ただただ遠く、とてつもないものに感じられてくるんです。淡々とした作業の遂行へのモチベーションの維持とストイックさ、そしてそれと背中合わせの狂気へ畏れのような感情も抱きます。
そして、その筆致を、さらには作品の「もの」としての存在感を静かに際立たせる壁面の青。そこへもさまざまな想いが過ります。
何かしらの意図があるのだろうと思って梅津さんに伺うと、「ちょっとロマンチックな話になるんですけど・・・」と前置きされてからお話しされたのが、なんでも今回の作品はすべてファミレスで、諸々を持ち込んで制作されたそう。それもほぼ1日中、これも先に書いたルールのひとつなのですが、あるところまで描き切らないとその日の作業を終わらない、というスタンスで日々臨まれ、その日の終わり、それは夜を過ぎて早朝、日が昇る頃、窓際にできた作品を並べて眺めた時、ちょうど空の色がこんな青。。。
梅津さんご自身が眺めたのと同じようなのと近い状況で作品を観てもらえるように、との考えから、壁面がこのどこか深みを帯びる独特の青色に塗られたということを伺い、なんとなくほんのりと神々しい感じでもあり、力が抜けたときの安堵、ふわりとした気配に包まれるような印象ももたらしてくれて。。。
金筆という言葉とは裏腹に画面に収められたストロークは黒い輝きを鈍く放っていて、しかし、陽の光にかざすと本来の色を煌めせるそうで、この空間で展示された作品群が秘める力を目にすることが叶わないのが些かもどかしく・・・。
いや、それでも充分に独特の雰囲気に包まれ、やはりそこにどこかシニカルなスタンスも隠されているかのような緊張感も伝わってきたりして、さまざまな想像が広がり、重なっていくのが楽しく、またさまざまな感情も行き交って、それがこの展示と、さらには梅津さんのクリエイティビティとの距離、関わりをさらに濃くしてくれるような気がします。
金筆のストイックなタッチの集積を、青に染まる空間が醸し出す気配を、ぜひ直に体感してほしいです。
《7/31》
「My story -ひとりあそび」近藤恵介、黒嶋亮子、牡丹靖佳、Aurelie Mathgot
7/31(金)~8/29(土)日月祝・8/11~8/15休
12:00~19:00
4名のアーティストをフィーチャー。MA2Galleryが企画するグループショーは、いつも独特の静謐に満ちていてそれがもたらしてくれる落ち着きと潜む無邪気さとが楽しいのですが、今回も例に漏れず、ステキな空間が紡ぎ上げられています。
オペラシティでのproject Nで拝見して印象に残っている近藤恵介さんと東京と大阪とでチェックしている牡丹靖佳さんとが冷静にせめぐ1階、黒嶋亮子さんとAurelie Mathgotさんの、布や糸の質感が活かされる緩やかな世界観、それぞれに豊かな響きをもたらしていて心地よいんです。
「こ わくな い もん」隠崎麗奈 源生ハルコ トーヴェ・クレイスト
7/31(金)~8/29(土)日月火祝休
12:00~19:00
3名の女性アーティストを紹介する展覧会です。
それぞれのクリエイションメディアも発色の勢いも異なっているのにも関わらず、拝見する前のイメージも、そして実際にその空間に足を踏み入れても、実に見事に調和しているのが心地よく感じられます。
タイトルにある「こわい」要素は後々考えて「・・・もしかしたら・・・?」と思うことはあるのですが、それ以上に気持ちよさ、清々しさが空間を満たしています。
混沌から躍り出る星たち2009
7/31(金)~8/8(土)
11:00~20:00
面白い、そして嬉しい!
毎年開催でお馴染みの、京都造形芸術大学の昨年度の修了制作から選ばれた力作が登場、先のART AWARD TOKYO 2009で一度拝見している作品も多く登場し、その再会も含めて発見と再確認の連続でとにかく充実しています。
ふたたび拝見する川上幸子さんの緻密な線がレイヤーK状に重なる作品や寺村俊規さんのグレーを拝見としてふたりの人物が無機的に登場するペインティング、荘厳で繊細なストロークが紡がれてエキゾチックな情景を導く藤居典子さんの作品などは、ショーウィンドウ越しでない状態でよりその繊細さや大胆さが伝わります。
佐藤允さんの鉛筆画が観られるのもまた嬉しいです、このざわめき、凄まじい密度で詰め込まれたストロークのひとつひとつが未だうごめいているかのような感触が堪らないのです。
名古屋での個展を観に行けない極並佑さんの大きな作品、そのゆったりとしてキャッチーな空間性に触れられるのもまたありがたく。
高木仁美さんのレシートがまた面白い!至近で眺めて驚かされ、そこに記録されたものもまた興味深かったり。
藤井秀全さんの妖しく輝く光、井階麻未さんの波打つ色彩のダイナミズム、などなど、それぞれに濃密なインパクトをもたらしてくれて痛快です。
元田久治展
7/31(金)~8/30(日)月休
11:00~20:00
これまで一部水彩やペインティング作品も拝見していたものの、メインとして制作されてきたリトグラフの印象が強い元田久治さん、今回はペインティングのみで構成され、色の印象や画面のマチエルなど、描くモチーフこそ都市が破壊され風化する姿でありながら、これまでにない表情が大胆に提示されていて、見応えのある展覧会となっています。
《8/1》
若手作家グループ展「ネオネオ展 Part1 [男子]」
8/1(土)~10/18(日)月・8/14~8/17休
11:00~19:00
単純に大好きなアーティストの作品、それも初めて発表された展覧会で拝見している作品がずらりと並んで展示されているのがとにかく嬉しいです。
「あれもこれもここにあるのか」と思うと、あらためて感嘆させられる次第。
懐かしさと誇らしさとが押し寄せてくるのですが、そういったなかで、岩永忠すけさんの作品が放つ世界観の濃密さにおおいに惹かれたのと、雨宮庸介さんの一人掛けのソファがあるのが特に印象に残っています。
東あや おふろば展
7/27(月)~8/1(土)
11:00~19:00(土:~16:00)
暗めの照明に深く、艶かしく響くオレンジが強く印象に残ります。
おおらかで大胆な構図で描かれる浴室の情景。再現性の高さと景色の切り取り方の面白さなど、ユーモアも備える展開が印象に残ります。
今回の個展で展開された雰囲気の統一感は力強い説得力をもたらしているように感じられました、他の世界もぜひ拝見してみたいクリエイションです。
新世代への視点2009 佐藤裕一郎展
7/27(月)~8/8(土)日休
11:30~19:00(最終日:~17:00)
前回はパネル作品による構成で、絵画としての力を提示されていたのが印象的でしたが、今回は本来持つ本領を発揮するかのように、インタラクティブな空間が構築されています。
深い青のグラデーションが、いくつものパネルを立ててずらりと並べる空間構成に広がり、その臨場感が心地よく感じられます。
新世代への視点2009 菊池絵子展
@藍画廊
7/27(月)~8/8(土)日休
11:30~19:00(最終日:~18:00)
紙に鉛筆、という基本スタンスがイージーさを加速させているように感じられます。
しかし、イージーでライトな雰囲気でありながら、そこに紡がれる空間性はなんとも面白く感じられます。
それぞれの画面から始まるイメージの展開や変遷にも興味が湧いてきます。
新世代への視点2009 柳井信乃 "my obscure outline"
7/27(月)~8/8(土)日休
11:00~19:00(最終日:~17:00)
はじめてトーキョーワンダーウォールで拝見し、一度目にしたら忘れることのできない個性的な作品。
画面にビーズでできた無数の蟻が這う作品でお馴染みの、柳井信乃さんの個展です。
日本画を学ばれていた影響も、作品におけるおおらかでその実滋味に溢れる空間性や、張られる紙の精度など、随所に感じられるのも興味深いです。
蟻ではなく、もっとキャッチーな素材をちりばめた作品も。
ビーズでできた蟻は妙にリアルで、それらが画面を這う仕草もユーモラスに感じられたり。
大胆な空間性も、そのユーモアに拍車をかけてきます。
今回は写真作品や映像も展示されていて、そちらの展開も興味をそそられます。
強いインパクトを備えるオリジナリティを手にして、これからどんな展開が繰り広げられるかも楽しみです。
高松和樹展 距離感主義
7/27(月)~8/1(土)
11:00~19:00(金:~21:00、最終日:17:00)
ギャラリー戸村での個展での興奮も覚めやらぬまま、今度はGALLERY b.TOKYOでの高松和樹さんの個展です。
前回の個展から短い期間しか経っていないにもかかわらず、その作風にしっかりと進化の跡がみられるのが嬉しいです。
加速する構図の面白さに加え、緻密な部分における細やかさなど、細部にわたって深められる世界観。
また、独特の距離解釈もいっそう細かく分解され、それがグラデーションにさらなる複雑さをもたらしているように感じられます。
今後の展開として興味がわいてくるのが、表面ではなく内部へ距離の解釈が向かっているように感じられる作品。本来見えない部分が晒されるような感触が、危うさを加速させているように思えてきます。
それぞれの色面に盛り上げを加えるなどの工夫も、このコンセプトに力強さをもたらしています。
随所に織り込まれる遊び心や危うさなど、これからの展開も楽しみです!
新世代への視点2009 鎌田あや展
7/27(月)~8/8(土)日休
10:30~18:30
昨年のトーキョーワンダーウォールでひときわ濃密な世界を展開していて印象に残っている鎌田あやさん。どんな展示が繰り広げられるか興味津々だったのですが、映像なども駆使された不思議な空間が創り出されています。
水中に手を突っ込んで沈むさまざまなものを混ぜ返すなどの謎めく映像が壁面に重なり、そこかしこに配された鏡がその妖しい存在感を際立たせているように感じられます。
そしてその鏡には、さまざまなつけまつげが無数に。
女性のアイコン的なその雰囲気が、さらに不思議さを増して包み込み、引き込んでいきます。
衣類の山に灯る映像も。
女性的な素材が溢れていることもあり、落ち着かない感じもするのですが、なぜだかずっといたいような、色彩に包まれる感じの心地よさにおおいに惹かれた次第です。
さまざまな空間で、例えばもっとコンパクトな空間などでも観てみたいクリエイションです。
青木淳「夏休みの植物群」
8/1(土)~9/5(土)日月祝・8/9~8/24休
11:00~19:00
ARCHITECT TOKYO 2009関連で、さまざまなギャラリーで建築の展覧会が始まったこの週末、なかでももっとも面白く感じられた、TARO NASUでの青木淳さんの個展。
浮かぶサッカーボールの明かりなど、インスタレーションとして普段の展覧会を楽しむように楽しめたのが嬉しく感じられた次第です。
不死鳥と雉鳩 -真夏の夜の夢2- 徳本茉莉子 鈴木一郎太 山脇紘資
7/18(土)~8/8(土)日月祝休
11:00~19:00
CASHIらしさの一面、際どさを持つペインティングがパッケージされたグループショーです。
まず、徳本茉莉子さん。
艶かしい絵の具の質感は、至近では偶然生まれる抽象性の濃密さを感じさせつつ、全体では深く重い人物の仕草が創り出されています。
景色、ある場面を描いた作品。
筆致の豊かな深みと、色そのものの艶やかさ、一転して筆の運びが生み出す濃淡の抽象性が気配をより濃密にしているように感じられます。
横たわる驢馬かなにかの動物、そこに寄り添うふたりの女性、春から夏を思わせる広がる緑。その物語性への興味も湧く一方で、激しく漂う危うさにも引き込まれていきます。
額装された作品、円形の作品なども。
支持体のが、独特の風合いを導き出す、さまざまな個性が織り混ざるクリエイションです。
ぜひソロでも拝見したいです。
山脇紘資さんの作品は、滲むような色彩と、それとは裏腹に細部にまで感触が精緻に再現されるペインティグ。迫力があり、ダークな色調が溢れる画面に圧倒されます。
色調と、大胆な滲みや配色が紡ぎ出すアバンギャルドな雰囲気。
どことなく深い「怖さ」をたたえているように感じられます。
CASHIのこけら落としのグループショーにも登場していた鈴木一郎太さんも、ふたたび。
律儀な奥行き感が展開される風景画、ディテールの細やかな描写とおおらかな空間性とが一つの画面に備わっているのが面白く感じられます。
その情景へのイメージを具体的にキャッチできるのですが、あまりにも人の気配を感じさせない透明感と、それだからこそ揺れるような妖し気な雰囲気とがじわりと滲んでくるように思えてきます。
山脇さんの作品とはまた異なる「怖さ」が潜んでいるように感じられるんです。
若林佳代子 ―心証―
8/1(土)~8/29(土)日月祝休
12:00~19:00
ちょっぴりコミカルな、そしてやわらかいあたたかみがじわりと広がる作品が並びます。
木版の素朴感やパステルなどによる彩色のやわらかさなど、ホッとするような情景が嬉しいです。
市原研太郎キュレーション「Truth -貧しき時代のアート」
8/1(土)~8/29(土)日月祝休
12:00~19:00
フレッシュなクリエイションがパッケージされた展覧会、そのヴィヴィッドさに圧倒されます!
奥の空間のペインティングがズラルと並んでひときわ濃密な空間をつくり出していたのも強く印象に残り、さらに井上信也さんの緻密な線描が画面全体を浸食スルッ用に広がっている作品におおいに惹き込まれた次第。
アートと環境との対話 環境展「絶景」
8/1(土)~11/8(日)月休(祝日の場合は翌火休)
11:00~19:00
久々の大巻伸嗣さんの東京での個展、あらためてこの人のバイタリティとアイデアには感服させられた次第で。
よくもまあ、あれだけのゴミ焼却灰を持ち込んだものだと。。。
そしてしっかりとそこに横たわる重厚なメッセージ性。
栗山斉 ∴0=1 -prelude
東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F
8/1(土)~9/12(土)日月祝・8/9~8/17休
12:00~20:00
ヒューズの作品と、天体観測機器を用いた作品がそれぞれのコーナーに展示されています。
ヒューズの作品は、一つの画面にいくつもの光の破裂が灯っていて、それが不思議な動線を導き出しているように感じられ、なんとも不思議なイメージをもたらしてくれます。
天体のほうは、単純にその情景がかっこいいんです。そしてそれがどういう仕組みでもたらされているのかが分かるとまたさらに引き込まれていきます。
《8/2》
新世代への視点2009 藤原彩人展
7/28(火)~8/9(日)月休
13:00~18:00
A+(アプリュス)での展示も印象的だった藤原彩人さん、ギンザから自由が丘へと移転しおおらかな空間へと変わったgallery21yo-jでの個展です。
そのときに拝見した作品もふたたび登場、あらためてこんなに大きかったのか、と。
豊かな空間性を活かし、ダイナミックな構成が展開されます。
そしてそのすべてが焼き物であるのもまた、不思議な重厚感とぬくもり、さらにスリルをもたらしているように感じられます。
いくつものパーツによって組み上げられる壁面展開の作品は、ただその迫力にやられます。強烈なダイナミズム、浮遊するような演出のおおらかさと、陶器としての艶やかさ、その両面が不思議な雰囲気を導き出しています。
一転して、床置きのオブジェは、焼き物らしい素朴さに溢れています。
淡々とした存在感が印象的です。
陶器の造形の面白さと味わいが溢れます。
事務所のスペースに展示された小品もかわいらしさとおっとりとした風合いが楽しいです。
《8/4》
鶴見幸代個展 “チューニング Tuning”
@谷門美術
7/17(金)~9/4(金)日月祝・8/11~8/15休
13:00~19:00
再訪。
3つのアプローチが一つの画面にもたらされる、手法のユニークさがそのまま作品の世界観の面白さへと転化している作品。
前回のドローイングが今回はちいさなチップを並べてモザイクのような風合いを奏でていて、渋く軽やかなリズムが刻まれているように感じられます。
大作は、そこに深い物語性が重なります。ひとりの女性を抱えんとするふたりの人物、奥に広がる緑の情景と、画面の前にある種の唐突座を伴って現れる場面のギャップが不思議な雰囲気を紡ぎ出します。
《8/6》
Tyler Starr solo exhibition Wallowind Series
8/7(金)~8/30(日)火休
12:00~21:00(最終日:~19:00)
アメリカ人アーティスト、Tyler Starrさん。雁皮紙を駆使し、日本の60年代のさまざまな事件や日本に寄港したアメリカの艦船をモチーフに、日本の絵画の豊かで繊細な空間性を独自に解釈したような場面がユーモアも交えて展開されています。
いくつもの見所が交錯する、興味深い展覧会です。
《買ったCD》
「an anxious object」mouse on the keys
「 accidental tourist」Serph
「URBAN ROMANTIC」Rie fu
《買った本》
「宵山万華鏡」森見登美彦
「ミッキーたくまし」西加奈子
from/to #5 早川祐太 村岡佐知子
7/16(木)~8/8(土)日月祝休
11:00~19:00
from/to #5 Yuta HAYAKAWA,Sachiko MURAOKA
3-18-2-101,Nishi-Shinjuku,Sinjuku-ku,Tokyo
7/16(Thu)-8/8(Sat) closed on Sunday,Monday and natinoal holiday
11:00-19:00
WAKO WORKS OF ARTでの、2人のアーティストがフィーチャーされた展覧会です。それぞれのスペースで展示され、その個性がより発揮されて感じられます。
まず、Gallery Stumpでもよく拝見していた村岡佐知子さんのペインティング。
独特の空間性やモチーフが登場する作品の印象が強いのですが、今回はムサビの学内での卒修制作展で拝見した、漆黒が全面を覆い、そこにさまざまな色彩とかたちが散らばるスタイルの作品が展示されています。
それぞれのかたちや色はバリエーションに富み、かつそれらの煌めくようなキュートさが独特の世界観を奏でます。そして、それらが虚空に浮くような感触が、イメージの広がりも思い起こさせ、さらに上へと浮かび上がっていくような動線のイメージも浮かんできます。また、止めどない奥行き感もあらためて印象に残ります。
それぞれの画面でさまざまな表情が試されているような展開も興味深いです。
ざらりとしたマチエルが生々しさとなって迫り、打って変わって「降る」イメージを連想させる作品も。
さまざまな色彩が行き交い、その上に黒の色彩が被さるような感触など、ひとつのシリーズとしての統一感を保ちながらもそのなかにさまざまな表情が潜んでいるのが大変興味深いです。
画面を垂れ、這う絵の具の痕跡、ぼこりと唐突な盛り上がりとなって現れる絵の具の塊、テクスチャーのバリエーションが発する臨場感と、全体に広がるダークなトーンの奥からその存在を覗かせる色彩の鮮やかさにも惹かれます。
レイヤー的な展開がイメージをさらに深遠なものへと導いてくれるような気がします。
早川祐太さんのクリエイションは一転して、あからさまに「現象」を提示、しかしそこに現れる情景はとにかく面白い!
まず、天上に吊るされた、水が入ったボトルがくるくると回転するインスタレーションが。
何てことはない、しかし、ずっと眺めていられる心地よさとその不思議さ。
そして、何といっても・・・
何だこの唐突な感じはぁぁっっ!Σ( ̄口 ̄;)
この空間に浮かぶ白いボード。
理屈は無論想像できるのですが、しかしただただそのシュールな景観に呆然とさせられます。
天井から吊るされる1本のワイヤー、
それが白のボードを引き上げて、
水平を見事にキープ。ワイヤーも緊張し、まるで硬質のまっすぐの針金のように思えてきます。
ホントに見事です。
見事すぎです。
敢えて例えるとしたら、体操競技のつり輪で十字をキープする見事さ、というよりもインパクト的に跳馬の着地が決まったぁぁぁぁっっ的な印象。
いやもうそれは理屈ではそうすることはいくらでもできるんでしょうけど、それがン実に提示されるとこれほどまでに和みのインパクトを放つとは...。
眺めているだけで嬉しくなってきます。
油断するとだんだんと回ってあらぬ方向へと向きを変えてしまうのにも、愛着が湧いてきます。
パーテーションの向こう、カウンター前のスペースにも、ある種ピタゴラスイッチ的に現象提示が繰り広げられた作品が。
白い台をメインにしたインスタレーション、水が細いパイプを伝って台上の未来的アナログミニチュアししおどし(しかしほぼ無音)が素朴感をふるふると漂わせながら運動中。
つんつんと揺れる尖端から落ちる水滴、それが直下のパイプの口に入っていく様子も、あーなんて軽やかで爽やかなのだろう、と。
いやもうホントかわいいんですよ、そのまわりは結構機器が配されているんですけど、その生々しさもまた一興。
さらに、入り口からだと正面パーテーション左に設置された作品が。
入り口すぐと同様の展開、しかしこちらは長い紐状のものが吊るされ、それが回転して、螺旋を紡ぎ出しています。
早川さんの作品は、ホントに直に観ないとこの感覚は伝わらないので、なんとももどかしく。。。
こちらに動画が上がっているのでご覧頂きたいのですが、ぜひ展示を実際にご覧頂くと、さらにその雰囲気は伝わるかと。
「現象の提示」というシンプルなコンセプトの遂行が確実にもたらしている面白味がとにかく堪らないクリエイション。単調さはむしろそれぞれの深みへと転化されているようにさえ感じられます。
意表を突く方面から驚きをもたらしてくれる感じの斬新さ、痛快さも印象に残ります。
尾家杏奈「はじまりのはじまり」
7/22(水)~8/8(土)日月祝休
11:00~19:00
Anna Oya DAWN OF THE BEGINNING
7/22(Wed)-8/8(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
豊かな表情が溢れる筆致と色使いで、大胆に綴られる物語。
WADA FINE ARTSでの尾家杏奈さんの個展です。
イムラアートギャラリーでの3人展で拝見した迫力に満ちた大作のインパクトの記憶がまだフレッシュな時期に拝見することができた今回の個展。時に激しく、時に穏やかな筆遣いでさまざまな情景が描き上げられています。
今回の個展でもっとも大きな作品。
京都で拝見した作品とは一転、青紺の系統の深くダークな色調が、ずしりとした重厚感を放ち、イメージしていたものとは異なるインパクトに遭遇して一気にその力強さに引き込まれます。
さまざまなモチーフが、それこそさまざまな解釈で表現され、それがここで繰り広げられる物語性の生々しさをより力強く放たせているように思えます。
色の魅力、沈み込むような色調が全体を覆うなかに灯る鮮やかな赤や紫、緑が活き活きと現れているのも印象的です。
際どい線の表現は、その物語の激しさや儚さを表現しているように感じられます。
音が立つような、ざっくりと引っ掻かれるような質感は、情動的な、アグレッシブな風合いを思い起こさせながら、やはりその一方でその刹那な感触は焦燥感というか、思い浮かんだ「瞬間」を画面に遺さないと、という緊張感をも備えているように思えてきます。
この作品では、さまざまな色が用いられているのが印象的で、描写の激しさがさらにその空気感の刺々しさを立ちのぼらせて、しかし中央下に描かれる舟に乗るうさぎのかわいらしい描写がいっそう危ういイメージを発しているような気がして、それが複雑さ、混沌とした物語性をも生み出しています。
ひとつの画面にさまざまな場面が描き込まれる作品が多い中で、ほぼひとつのモチーフのみが描かれた作品は、さらに迫力溢れる臨場感が伝わってきます。
ひとつのモチーフの存在感の大きさとは裏腹に、その描写の激しさは至近で眺めたときに強烈な抽象性が濃密に放たれます。さまざまなテクスチャーが醸し出す無数の情報、色や線の重なりや衝突が生み出すエネルギーにもおおいに惹かれます。
時折見せる神々しさも印象的です。
今回、ほぼ壁面に1点ずつの作品が展示され、迫力に満ちた作品に囲まれたことで、その世界観の騒々しさ、激しさ、そしてその一方に潜む穏やかさ、達観が、いろんなかたちへとイメージを押し拡げてくれるように感じられます。
膨らみ広がる想像は、そこに自然と引き込まれていくのもまた興味深かったり。。。
個性的な筆致、大胆な色使いなど、今は心の中におそらく大きく存在する「迷い」と対峙し、押しつぶされそうになりながらもそこにある「熱」を掴み、引き上げて画面に投げ込む、そう表現したくなるようなダイナミズムは実に痛快です。これからどんな情景や世界が提示されていくかも楽しみです。
ミリアム・ケイアンス/杉田陽平展
7/18(土)~8/8(土)日月祝予約制
12:00~19:00
Myriam EYKENS/Yohei SUGITA
3-3-39-1F,Minami-azabu,Minato-ku,Tokyo
7/18(Sat)-8/8(Sat) Sunday,Monday and national holiday:appointment only
12:00-19:00
静かで穏やかな「生」と、凄まじく騒々しい「死」、それぞれの表現の鮮やかなコントラスト。
Gallery Strengerでの2人展、メディアも世代も、そして国籍も異なるアーティストがひとつの空間を共有し、独特のテンションをもたらしています。
まず、圧巻の色彩感とマチエルで視界に飛び込んでくる杉田陽平さんのペインティング。
独自の「死」のイメージを画面に叩き付けるように、圧巻のアグレッシブな情景を繰り出しています。
もはやお馴染みとなった、絵の具を皮状に固形化し、それを重ねる手法で描かれる超高密度の混沌。ひとつのシートの中に注ぎ込まれる数多くの色彩と、それらが生み出す尋常でない量の情報、それらがカオスとなって迫ります。
部分ごとの抽象的なテクスチャーは、至近で眺めたときに凄まじい密度を伴って迫ってきます。一方、俯瞰したときに浮かぶさまざまなモチーフ、今作品においてはあらゆる生物たちの姿が力強く、そしてどこか朧げな気配感で表現されていて、その魑魅魍魎とした幻想空間にも引き込まれていくような気がしてきます。
アクリル絵具を用いた作品から、今回は油彩の作品も合わせて登場しています。これがとにかく素晴らしいんです、その存在感は格別です。
熱を帯びるようなストロークが重なり、濃密な気配が奏でられています。画面に投入されるさまざまな色彩はその力と雰囲気を濃厚に醸し出しながら、さまざまな色と衝突し、混在し、それで描かれ表現される人物の表情の深さ、凄みには、ただ圧倒させられるばかりで。
常に実験性を伴うような、それでいてどこかクラシカルで、普遍性を帯びたような説得力が溢れる作品。
筆の運びの生々しさとその動線の衝突が騒々しく、しかし俯瞰した時、なぜかしらそこに穏やかさが潜んでいるように感じられるのがなんとも不思議です。
ミリアム・ケイアンスさんの作品は一転して静かな気配を紡いでいきます。
陶芸の素朴さが醸し出す、やわらかな雰囲気。眺めていて、ゆったりと心が落ち着いていくような印象を覚えます。
やさしさと滋味に溢れる表情、不思議なポーズ。
それらはほんのりとシュールな感触を滲ませながら、、空間を共にする杉田さんの切迫したような、焦燥感を煽るような強さとは裏腹な、穏やかな説得力をそれはそれで力強く放っているように思えてくるんです。
これだけテイストが異なる作品、クリエイションでありながら、ひとつの展示として実に調和しているのがなんとも不思議で、かつ心地よく感じられます。
互いのクリエイションが持つ濃密な雰囲気を引き立てあいながら、そこにある隙間を埋めるようにして、独特の響きが豊かにもたらされています。
大林芳紀
7/4(土)~7/25(土)日祝休
12:00~20:00
Yoshiki Obayashi
2-30-6,Kami-meguro,Meguro-ku,Tokyo
7/4(Sat)-7/25(Sat) closed on Sunday and national holiday
12:00-20:00
この1枚からはじまる狂気の世界。
予備校時代に描かれ、教員を愕然とさせた習作なのだそう。
シンプルに鉛筆で描かれていながら、静物の精巧な描写と、それとは裏腹に有機的なモチーフの活き活きとした奇妙さが目に留まり、静かな気配感ながら強烈に引き込まれます。
最終日に滑り込みで拝見することができた、青山|目黒での大林芳紀さんの個展です。
圧倒的なカオスが展開されています。
元々は銅版画の版として制作されていながら、その素材の質感などの深みにより、こちらもひとつの平面作品としてあらたに手が加えられ、仕上げられた作品。
揺らめくストロークの密度、銅という素材のスリリングで重みのある煌めき。そして凄まじくエキゾチックなモチーフの群れが、独特なアバンギャルド性を立ちのぼらせているように感じられます。
多く展示されていたペン画は、ストロークの豊かさが存分に発揮されていて、例えシンプルなモチーフ、構図でさえも、そこに収められるある種の濃さ、やんちゃさやら侠気やらが滲む世界観に惹かれます。
アクロバティックなアプローチ作品によっては施されています。
一部、あたかもその部分が帯状にずらされたかのような仕上がりとなっている作品。
眉間の皺の深さ、太く濃い頬の稜線が醸し出す熱さ、その一方で、ちょうど左こめかみの高さでスパッとズレがもたらされていて痛快。
「あれっ?」という軽妙な驚きが濃い雰囲気にユーモラスなアクセントともたらしていて楽しいんです。
そして細密の世界へ。
コミカルなユーモアが失せ、濃厚な狂気が一気に加速、深まっていきます。
とにかくストロークが面白い!
ただ無数の線が重なるだけでなく、そこには徹底して強弱、太細の展開が常に現れ、それが生み出すカオスは尋常でなく。独特の騒々しさが、観ているとイマジネーションが浸食されていくような感覚に襲われます。
さらに、そこに具体的なモチーフも加えられ・・・。
線、ドット、グラデーションとさまざまなテクスチャーが駆使され、凄まじい情報量が収められた画面にもたらされる混沌とした感じはいっそう深みを増していきます。
他にもさまざまなクリエイションが並んだ見所の多い展覧会で、これを観られたのは本当によかったなぁ、と。
そして、プレスなどではこの展覧会は大林さんを新人作家と紹介されているのですが、若くして既にお亡くなりになられているとのこと。このジャンキーな世界観のこれからを観られないのは非常に残念至極なのですが、こういった機会にご存命の頃の大林さんをご存知の多くの方が、ちょっとした落書き的なドローイングなんかも持ってこられることがあるようで、もしかしたらそういったもので次が観られるかもしれない、と。。。
いずれにしても、この絶妙のジャポネスクな味わいとダークなアングラ感が潜む世界に、もっと多くの方に触れていただきたい、と思った次第です。
澁谷忠臣 個展「教」
7/3(金)~7/26(日)月休
11:00~20:00
Tadaomi Shibuya Exhibition “Oshie (Doctrine)”
5-1-15-B1F,Jingu-mae,Shibuya-ku,Tokyo
7/3(Fri)-7/26(Sun) closed on Monday
11:00-20:00
表現法のオリジナリティを携えて、さらに深く、ストイックな世界へ。
hpgrp GALLERY 東京での澁谷忠臣さんの個展、前回から一転して、強固な統一感に支配され、合わせて5点のみのキャンバスの作品による構成で深遠な雰囲気が濃密に、しかし鑑賞者とのある距離感を置きながら、きわめて静かに充満していたのが強く印象に残っています。
前回の個展では、その幾何学的なモチーフを重ねることでさまざまな動物の姿や仕草が描き出されていて、用いられる色のバラエティなどとも相まってキャッチーで男の子心をくすぐるプリミティブなかっこよさが溢れていたのですが、今回はほぼ、茶系の色のみが用いられ、さらに抽象的な情景が描き出されていて、いわゆるキャッチーなイメージさからはかけ離れた景色が展開されていたのです。
狂わされる感覚。
果たしてどれくらいのスケール感のものを俯瞰しているのか...もしかしたらもっと細微な部分に視点を凝縮させているのか。そして、上からなのか水平方向からなのか、これほど「かたち」としての存在を際立たせていながら、一旦あるベクトルへの想像へと侵入させると留まるところなくイメー時は膨らみ、加速していきます。そしてその膨張の度合いだけ、謎めきも増大していくんです。
さらに、手描きのテクスチャーの生々しさがその硬質なモチーフに被さってきます。
微妙な色調のグラデーションが、その眼前の情景に潜む気配感を深めていきます。
大作が3点並ぶ壁面の、それぞれの関わりがもたらすイメージのボリュームにも感嘆し、底に意識を沈めつつ。。。
また、1点だけがひとつの壁面にあてがわれたとき、それがその壁面、そして空間に及ぼす雰囲気にもおおいに惹かれます。
今回の展示タイトルであり、テーマでもある「教」、すなわち、澁谷さんご自身が辿り、血肉としてきたさまざまな精神、宗教観などをベースに、そこからまったくのイマジネーションに従いながら制作された作品群は、そういった過程が深みを重厚に放っていたのが強く印象に残っています。
そして、僕自身の想像も加速します。
このスタイルでさらにアクロバティックな展開があるとしたら...これだけ方向の感覚のズレが面白い展開が、もし壁面に留まらず床や天上、あるいは複数の壁面などでよりダイナミックに展開されたらどうなるだろう、などと連想してみて、いっそう興味深くなってきます。
加藤千尋「変化(へんげ)」
7/4(土)~8/8(土)日月祝休
11:00~19:00
Chihiro Kato "Metamorphosis"
3-7-4F,Nishi-gokencho,Shinjuku,ku,Tokyo
7/4(Sat)-8/8(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
Yuka Sasahara Galleryでの加藤千尋さんの個展です。
今回は平面作品のみの発表、お馴染みのハイブリッドなモチーフが随所に登場、独特の世界観が築き上げられ、なおかつさらにイマジネーションの膨張を促す展開が興味深い内容となっています。
まず正面の壁面で出迎えてくれるのが、銀杏返しをベースに孔雀の羽やら鶴の頸やらが生え、おおらかな佇まいで魅せる作品、さまざまな色彩が背景の白に映え、その美しさをしなやかに奏でているように感じられます。大作にしてまさに加藤さんの真骨頂、そういう印象が痛快です。
そして今回は、これまで一貫して白で統一されていたバックに、具体的な背景の要素が入ってきています。
作品によっては風景と同化し、ハイブリッドの方向がさらに広がってアクロバティックな展開を繰り広げる作品も。
その色彩とストロークの繊細さも遺憾なく発揮され、フューチャリスティックな世界観はさらに深みを帯びているように感じられます。
縦長の作品、シンプルにモノトーンのグラデーションが施され、これまでとは異なる静けさがもたらされたものも。
浮遊する感触が重なり、臨場感が増して伝わってきます。
背景への作用はさらに加速、複雑化していきます。
例のハイブリッドな有機物が、あたかもそこに息づくような、想像上のリアリティが追求されたような作品も。
遠くに霞む景色、さまざまな草葉が茂る中にもりもりと聳える人毛ぞベースにしたような新生物。
もしかしたら、この草葉もハイブリッドの一部かも、と思ってみると、想像がさらにアクロバティックに膨らみます。
背景にさまざまな要素が描き込まれることで、世界観が深みと広がりとを伴って迫ってくるような印象を覚えます。
無論、これまでの白がもたらす虚空の感触、虚無の感触の鋭さとともに、これからどういう広がりと展開を見せてくれるかにも興味が湧いてきます。
