石川結介 "UNFINISHED ELIXIR" 未完のエリクシール
@藝術倉庫
栃木県那須群那須町高久丙3227-10287-77-0033
8/1(土)~8/30(日)月休
11:00~18:00
Yusuke Ishikawa "UNFINISHED ELIXIR"
@Nasu Warehouse-a contemporary art field
3227-1,Takaku-hei,Nasu-machi,Nasu-gun,Tochigi-ken
8/2(Sat)-8/24(Sun)
11:00-18:00
壁画家の面目躍如。圧巻、壮大な空間の創出。
藝術倉庫での石川結介さんの個展です。
昨年、浅草橋ラディウムの企画第一弾として登場した石川さんが、この夏の藝術倉庫に登場とあって、以前から楽しみにしていたのですが、その広々とした空間のポテンシャルが充分に発揮され、石川さんのクリエイティビティもそれを受けておおらかに響き、圧倒的にダイナミックな空間が創出されています。
まず、壁画に近い状況を想定して制作されるプレートの作品。
それぞれ広い壁面に1点ずつ飾られ、その情景に濃密に作用します。
比較的おおらかな構造が、逆に印象に残る作品。
画面に現れるかたちはすべてエッジが効いているにもかかわらず、鈍角の多様と濃い色彩がひときわメロウな風合いを醸し出しているように感じられます。
一転して複雑な構造を持つ作品、こちらになると鋭利なかたちの交錯がヴィヴィッドなインパクトを鮮烈に放ちます。
いっそうのきらびやかさがスピード感を伴って迫ります。
入り口に沿う壁面には小作品が丁寧な配置で並びます。
レインドロップ型の構造が面白いもの、そしておそらく一旦は板に描かれたものを切り刻み、再構築させたと思われる、そういう過程を彷彿させる作品が2点ずつ。
額装の作品は、実に複雑な立体構造も持ち合わせていて、これがシャープな混沌を三次元的にも創出しているのが面白いです。
そして、メインの壁画。
これがとにかく圧巻。
正面のもっとも広い壁面の全面が濃紺色に染め上げられ、その虚空に刺すようい鋭い交錯と揺らめくような艶かしさが重なり合い、独特の混沌が生み出されています。
複雑に折り重なるかたちは、思いのほか平面的に収まっているのも興味深いです。
前面に立ち上がるような臨場感よりむしろ、重力感にズレをもたらすようなアプローチ...壁面に向かって重量作用しているかのような錯覚を思い起こさせる、独特な気配がなんとも痛快です。
壁面に近づいて煽るように見上げると、そのスケール感はさらに膨張します。
また、この壁面のみに留まらず、全体の壁に続いてもたらされるグラデーションも面白い空間の創出に貢献しています。
正面の壁画から左手は、コーナー部分に短い間隔で、その右手は長短を織り交ぜて、空間構造的にアクセントがもたらされているのも興味深いです。
快哉を叫びたくなるような、痛快なスケール感が楽しく、そして嬉しいです。
基本的に壁面での展開、無論壁画家であるのでそれで結構なのですが、もし床面や天井にも描かれるようなことがあれば、どんな重力感が導き出されるのだろう、と想像するとまた楽しくなってきます。
何はともあれ、このボリューム感は頼もしいことこの上なく感じます。
そして、タイトル自体にも「未完」とあるわけで、次の展開も俄然楽しみです。
