尾家杏奈「はじまりのはじまり」
7/22(水)~8/8(土)日月祝休
11:00~19:00
Anna Oya DAWN OF THE BEGINNING
7/22(Wed)-8/8(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
豊かな表情が溢れる筆致と色使いで、大胆に綴られる物語。
WADA FINE ARTSでの尾家杏奈さんの個展です。
イムラアートギャラリーでの3人展で拝見した迫力に満ちた大作のインパクトの記憶がまだフレッシュな時期に拝見することができた今回の個展。時に激しく、時に穏やかな筆遣いでさまざまな情景が描き上げられています。
今回の個展でもっとも大きな作品。
京都で拝見した作品とは一転、青紺の系統の深くダークな色調が、ずしりとした重厚感を放ち、イメージしていたものとは異なるインパクトに遭遇して一気にその力強さに引き込まれます。
さまざまなモチーフが、それこそさまざまな解釈で表現され、それがここで繰り広げられる物語性の生々しさをより力強く放たせているように思えます。
色の魅力、沈み込むような色調が全体を覆うなかに灯る鮮やかな赤や紫、緑が活き活きと現れているのも印象的です。
際どい線の表現は、その物語の激しさや儚さを表現しているように感じられます。
音が立つような、ざっくりと引っ掻かれるような質感は、情動的な、アグレッシブな風合いを思い起こさせながら、やはりその一方でその刹那な感触は焦燥感というか、思い浮かんだ「瞬間」を画面に遺さないと、という緊張感をも備えているように思えてきます。
この作品では、さまざまな色が用いられているのが印象的で、描写の激しさがさらにその空気感の刺々しさを立ちのぼらせて、しかし中央下に描かれる舟に乗るうさぎのかわいらしい描写がいっそう危ういイメージを発しているような気がして、それが複雑さ、混沌とした物語性をも生み出しています。
ひとつの画面にさまざまな場面が描き込まれる作品が多い中で、ほぼひとつのモチーフのみが描かれた作品は、さらに迫力溢れる臨場感が伝わってきます。
ひとつのモチーフの存在感の大きさとは裏腹に、その描写の激しさは至近で眺めたときに強烈な抽象性が濃密に放たれます。さまざまなテクスチャーが醸し出す無数の情報、色や線の重なりや衝突が生み出すエネルギーにもおおいに惹かれます。
時折見せる神々しさも印象的です。
今回、ほぼ壁面に1点ずつの作品が展示され、迫力に満ちた作品に囲まれたことで、その世界観の騒々しさ、激しさ、そしてその一方に潜む穏やかさ、達観が、いろんなかたちへとイメージを押し拡げてくれるように感じられます。
膨らみ広がる想像は、そこに自然と引き込まれていくのもまた興味深かったり。。。
個性的な筆致、大胆な色使いなど、今は心の中におそらく大きく存在する「迷い」と対峙し、押しつぶされそうになりながらもそこにある「熱」を掴み、引き上げて画面に投げ込む、そう表現したくなるようなダイナミズムは実に痛快です。これからどんな情景や世界が提示されていくかも楽しみです。
