元田久治展
7/31(金)~8/30(日)月休
11:00~20:00
5-1-15-B1F,Jingumae,Shibuya-ku,Tokyo
7/31(Fri)-8/30(Sun) closed on Monday
11:00-20:00
より生々しく表出される、重く深いイメージ。
hpgrp GALLERY東京での元田久治さんの個展です。
これまでリトグラフでの制作をメインにされていた元田さん、最近はドローイングやペインティングも発表されていたのですが、今回は初めてペインティングをメインに構成。基本的にモノトーンでの展開だったところからそこに重い色彩が乗るだけでなく、キャンバスに定着する絵の具の素材の質感、なによりキャンバス、パネルの厚みが、そのクリエイションにこれまで以上に分厚い臨場感をもたらしているように感じられます。
描かれる情景はこれまで通りに想像上の近未来の朽ちた建築物。
しかし、すべては筆の痕跡をも生々しく残していることで、緻密な描き込みとともに随所に抽象性が濃密に現れ、リアリティと、むしろ幻想世界に近い非現実性とがひとつの画面で深い混沌を導き出しているように感じられます。
東京駅。
淀む色彩のなかに晒される朽ちた姿が、気配をいっそう重く感じさせてくれます。
ざらつく画面も雰囲気を深めます。
歌舞伎座を描いた作品。
改築が話題となっている建物ということもあって、さまざまな想いも過ります。
全体のトーンの褪せた感触や、思いのほか大胆に現れている滲みの痕跡、そして敢えて徹底した描き込みがなされずに仕上げられているのが、遠い気配感を漂わせているように感じられます。
剥落する壁面、潰れるスポーツカー、そこかしこに登場するモチーフが放つ独特のリアリズム。もしかしたら別の次元では現実なのかもしれない、という思いさえ浮かんできます。
朽ちた現代建築の緻密な再現性が、残酷なくらいに深い空の青に晒されます。
ざっくりと剥き出しになる骨組み。頽れ、廃れる感触は、精緻に表現される陰影でさらに深みを増し、経過した時間の厚みさえも思い起こさせてくれます。
また、空だけでなく、水面を埋め尽くす蓮の葉が、画面左下にぽつねんと浮かぶ蓮の白い花が、朽ちた建造物の儚さを生々しく、揺らめかせながら映し出す水面が、自然とその現象の強さを伝えているようにも感じられます。
事務所などにも小品をはじめ、水彩のドローイングやお馴染みのリトグラフ作品も展示されていて、これまでの元田さんの変遷もチェックできるのもありがたいです。
そしてそれを踏まえ、今ここに、ペインティングという強さを伴う表現へと至ることが大いに興味深く感じられます。
リトグラフでは徹底して、ストイックに近未来の再現性が追求されていたように思うのですが、無論その展開もこれから引き続き行われることと信じつつ、ペインティングではさらにその臨場感の追求と、絵の具の質感が自然にもたらす抽象性を巧みに画面に織り込んでの危ういアプローチとがそれぞれ深められ、これからどういう風に展開してくのだろう、と期待も深まっていきます。
これまでにない迫力に溢れています。元田さんのこれまでを知る方には、特にぜひ観てほしい展覧会です。
