トップページ > 触れるTOP > ex-chamber museum | 幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報

幕内政治が覗いたおすすめアートイベント情報

review:小西紀行「個として全」《12/19、12/26》mirror

小西紀行「個として全」

ARATANIURANO

東京都中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3A

03-3555-0696

12/19(土)~1/30(土)日月祝・12/27~1/8休

11:00~19:00

小西紀行091219.jpg

Toshiyuki Konishi - One as All

ARATANIURANO

2-2-5-3A,Shintomi,Chuo-ku,Tokyo

12/19(Sat)-1/30(Sat) closed on Sunday,Monday,national holiday and 12/27-1/8

11:00-19:00

Google Translate(to English)

何故、これほどまでに心が掴まれるのだろう。

敢えて乱暴に言い切ってしまうと、小西さんの作品はモノとしては単に「キャンバスの上を筆が這ったもの」のように思えます。よく考えると小西さんに限らずもしかしたら全てのペインティングはそうなのかもしれないですが、その要素は小西さんの作品においては特に際立って感じられます。

しかし、もちろんその理解、解釈には留まらない。

あたかも画面上を這う筆の先に絵が、気配が、そして世界が自然についてきているかのような印象を覚えます。

その筆の動きは、さまざまな痕跡を画面に残します。そしてそのひとつひとつはむしろ抽象度が高いようにも感じられ、部分を抽出して接するとゆらゆらと揺れるストロークが重なっているかと思えば、唐突にターンし極端に鋭い弧が現れていたりと、そこで繰り出される動き、身体性が生々しく伝わってくるかのようです。しかしどこか曖昧な味わい、感触が一貫していて、ストロークにおける意図と偶然の割合はむしろ後者のほうが多いのではないか、と思われるのです。

なのに、これほどまでに具体的なイメージを喚起する情景、場面が描き切られている...。

モチーフは写真とのことで、であればある程度の写実性が保持されるのは当然なわけですが、もとい当然だとして、であればなんだろう、作品から否応なく醸し出される濃密さ、妖しさ、スリルは...。

およそ2年振りに開催の、ARATANIURANOでの小西紀行さんの個展です。

ホントに感動しました。

描かれる雰囲気は決して押し付けがましいようには感じられず、前回の個展までで感じていた独得の「暗さ」は保ちながらも、観る側との距離感はより絶妙になったような印象、さらに画面の質感が以前よりも乾いているような印象もあり、作品と接していると一定量より僅かずつ多くの発見や感嘆が心に生まれ続けていくような感じがあって、一度見始めたら自然に時間が経つ感覚も忘れてただその雰囲気に感性を委ねているのが心地よい...じっくりとイメージに厚みが増されていくんです。

小西紀行 27.JPG

自ら「描く」「表現する」ことを問うかのように、さまざまな実験的な要素も展示の中に折り込まれているのも興味深いです。

同じ壁面に、直に隣り合っていはいないものの、同じモチーフを描いた作品が展示されています。

画面のサイズの違いが絶対的なコントラストを生み出しつつ、作風からして同一たり得ない面白さ、その違いを引き起こすさまざまな要素が堪らなく感じられたり、何より、ある写真すなわち過去の瞬間が確実に異なるふたつの画面に起こされ、ひとつの瞬間が枝分かれしているのを目の当たりにしている不思議さに想像も思いもよらぬベクトルへと膨らんでいきます。

小西紀行 26.JPG 小西紀行 25.JPG 小西紀行 24.JPG 小西紀行 23.JPG

小西紀行 22.JPG

それとは別に,まず1点ずつ眺めていって、実はあらためて展示全体を俯瞰して々場面が描かれた作品があったことに気付かされた次第で、それほど1点ごとの作品が持つ力が強いことだと思うのです。

とにかく、冒頭にもくどくどと書きましたが、ある水準の写実性が保たれているにせよ、キャンバスの上を絵の具を付けた筆が這っただけでなぜここまで豊かな表情が導き出されるのかと。

赤ちゃんの無垢な表情に目を遣った刹那の涙が出そうな感情っていったい。。。

・・・顔の表情であればまだ感情に訴えやすいモチーフであるから納得できますが、それ以上に「手」に、その寡黙でしかし豊かな仕草に異様に感動した次第で。。。

小西紀行 21.JPG 小西紀行 20.JPG 小西紀行 19.JPG

小西紀行 18.JPG 小西紀行 17.JPG 小西紀行 16.JPG

小西紀行 15.JPG

お馴染みのテイストの肖像画と、全身を描いた大作とでインスタレーションされた壁面も楽しいです。

画面を揺れ這うストロークによって紡ぎ出される輪郭、それが輪郭に見えてしまう不思議さが堪らない、灯されるように画面に乗る赤が描き現す顔のパーツ、赤の生々しさと点の素朴さ、これも堪らなく感じられます。

小西紀行 14.JPG 小西紀行 13.JPG 小西紀行 12.JPG 小西紀行 11.JPG 小西紀行 10.JPG

小西紀行 09.JPG 小西紀行 08.JPG 小西紀行 07.JPG 小西紀行 06.JPG

小西紀行 05.JPG

カウンター奥のスペースにも小品が数点展示されています。

キャンバスでない作品も。

小西紀行 04.JPG

小西紀行 03.JPG

画面を這う筆が導き出す表情、その抽象性の写実性のバランスの興味深さという点において、もっとも引かれたのが事務所に展示されていた作品。

顔を描くためとはとても思えないストロークの痕跡が画面のそこかしこに残り、しかし目の前に現れる純朴な表情。特に顔の部分の中央にあるジグソーパズルのピースのかたちのような線に、大いに惹かれます。

小西紀行 02.JPG

イメージと作品の間に介在するものを必要最小限にする、作品に反映されるイメージの純度を高める...そういう方向へと向かっているのかな、と想像します。

ただし、ペインターとし矜持というか、出来上がるものが単に行為の集積に留まってしまうことを善しとせず、しっかり「絵画」として充実したものに、という印象もあり、その「表現の純度」と「絵画としての水準」のバランスも極められていっているように感じられます。

これからの展開も本当に楽しみです。

小西紀行 01.JPG

review:シンチカ《11/28 、12/12、12/19、12/24》mirror

シンチカ

OTA FINE ARTS

東京都中央区勝どき2-8-19-4B

03-6273-8611

11/28(土)~1/16(土)日月祝・12/26~1/5休

11:00~19:00

シンチカ091128.jpg

SHINCHIKA

OTA FINE ARTS

2-8-19-4B,Kachidoki,Chuo-ku,Tokyo

03-6273-8611

11/28(Sat)-1/16(Sat) closed on Sunday,Monday,national holiday and 12/26-1/5

11:00-19:00

Google Translate(to English)

満を持してのOTA FINE ARTS移転第一弾の展覧会からおよそ1年半、その間にメンバーのほとんどが社会人になり、また京都などでのグループショーへ参加するなどの活動も経て、スケールアップしてシンチカ再登場!

OTA FINE ARTSでのシンチカの展覧会です。

前回は映像を中心に3次元の展開も繰り広げられ、インスタレーションとしても楽しい展示が繰り広げられていたのが印象に残っていて、思い出すと痛快な気分が今でも盛り上がってくるのですが、今回はほぼ映像1本で勝負。およそ10分弱の作品で、アニメーション、CG、実写を巧みに折り込みながら、またこれまで発表された作品にも登場したモチーフなども挿入し、より壮大でダイナミックな展開が楽しい作品が上映されています。

・・・とはいえ、映像の世界を一部引き出したインスタレーションも。

SHINCHIKA 31.JPG

暗い空間内に配される数多くのモビール、そこにぶら下がる反射板。

身近なものが用いられているキッチュさと、映像自体の世界観に必要以上に関与していないバランス感。空間をユーモラスに飾り付ける感じは、程よく雰囲気を盛り上げます。

SHINCHIKA 30.JPG SHINCHIKA 29.JPG SHINCHIKA 28.JPG

SHINCHIKA 27.JPG

そして映像作品。

唐突に車のウィンカー音が鳴り、ちいさな画像が広い画面中央でこつこつと変わる場面から始まります。

ふわりと透明感のあるピアノの和音が被さり、BGMのイントロが始まったかと思いきや、冒頭のウィンカー音から引き継いだグルーブが唐突にストップ。女声のハーモニー、カーナビの音声、カーラジオから流れる野球中継、車の走行音などが重なっていきながら、この時点までにすでにいくつもの場面が目まぐるしく変化し、その流れのなかで月影に滲む光の粒子が膨らんで刹那、

SHINCHIKA

の名前が浮かび上がったときの歓喜。

現代的なシーンをベースにそのなかの要素を巧みに組み替え再構築、それにより未来的かつ幻想的な雰囲気も高まっていきます。そしてこの瞬間を境とし、一気に意識が映像世界へと入り込んでいきます。音楽も、アタック一発から一気に壮大なサウンドへ。。。

物語の軸は主にアニメーションで展開されていきます。

モノクロで描かれる男の子と女の子(車を運転しているのでそれなりの年齢設定ということで)。故障する車を乗り捨てて山道を歩き始める辺りから、さまざまなテイストの画像が複雑に重ねられ、僕の世代だとスーパーマリオ的な展開で、さまざまなアイテムを引き出しながらこのふたりが進んでいく、宛てがあるようにも思えない一方、意志はしっかり存在している風。サクサクと痛快な勢いが、電気的なノイズで構成されたミニマムなグルーブ(これがすこぶるカッコいい!)、の上に乗る分厚いストリングスやギターのサウンドとともに展開してきます。

途中に大江戸線は出てくる、駅は「勝どき」で、よくよく考えて

いったい「勝どき」のどこだよ!Σ( ̄口 ̄;)

というツッコミもほどほどにさて盛り上がってマイリマシターーー(°∀°)ーーー!!!となったと思いきや画面が唐突に切り替わって

プーーーーー

という、ああもう分かる分かります覚えてますよこの懐かしい故障音。それを第一回のR1グランプリのなだぎ武よろしく手早く直すアニメーションの場面を挿み込んでさてりスタート、ここからまさにクライマックスでございます!

韻は踏まないけどクリアな発音で小気味よく展開される高速のラップがバックに流れる中、瞬間ごとにさまざまな場面がサブリミナル的に挿み込まれながら、時空をも大胆に往来し、さらに未来的に展開していくようなさまは痛快極まりなく。

続いて壮大な静謐、ダークトーンのCGでクールに展開されるシーン。宇宙空間、宇宙船のドッキングを思い起こさせる雰囲気と空間性、懐中電灯から放出される2個の電池は虚空を高速で移動し目的地のラジオへと到達開かれる電池ケース内に収まり、回転するチューニングキーが周波を捕らえ、

ハーイ!ジョンジォーンデース!!!(誰だお前!Σ( ̄口 ̄;)

という第一声から始まる人生相談。ここからの場面展開は凄まじく、スピード感とダイナミズムとがどちらも加速、膨張し、サブリミナルな感触もさらに複雑になって、物語性自体は無軌道に。

そして同時に人生相談も無軌道、というか、

なんでそこからそっちへ話が行く!?Σ( ̄口 ̄;)

と相談者はもちろんリスナー絶句の内容なのがまた(汗)。

メカニカルな風景のなかをふたたび車が移動し、朝を迎え、和やかな早朝のラジオ番組の音とともに、陽が昇り、最後にタイトルが出てきて、あたかも続きがあるかのような終わり方がまた渋い。

SHINCHIKA 26.JPG SHINCHIKA 25.JPG SHINCHIKA 24.JPG SHINCHIKA 23.JPG SHINCHIKA 22.JPG

SHINCHIKA 21.JPG SHINCHIKA 20.JPG SHINCHIKA 19.JPGSHINCHIKA 18.JPG SHINCHIKA 17.JPG

SHINCHIKA 16.JPG SHINCHIKA 15.JPG SHINCHIKA 14.JPG SHINCHIKA 13.JPG SHINCHIKA 12.JPG

SHINCHIKA 11.JPG SHINCHIKA 10.JPG SHINCHIKA 09.JPG SHINCHIKA 08.JPG SHINCHIKA 07.JPG

SHINCHIKA 06.JPG SHINCHIKA 05.JPG SHINCHIKA 04.JPG SHINCHIKA 03.JPG SHINCHIKA 02.JPG

SHINCHIKA 01JPG.JPG

無数の場面転換、そのひとつひとつの構図や展開も楽しく、膨大な数のアイデアとそれと同じくらいに溢れる遊び心、そしてそれを表出しうるスキルに感服させられます。さらに音楽もハイファイで、僕が聴いた印象では、マスを巻き込むマニアックミュージックのおいしいところを戴きながら、アタック音やブレイク、ノイズなども巧みに織り交ぜて現代感覚溢れる交響詩へと仕立てられていることへも凄みを感じます。

筋書き自体は相当に抽象的で、ドリーミーな展開がむしろワクワク感を盛り上げるような内容、しかし全てはキャッチーで、ポップな世界観、エンターテイメントに徹したスタンスが一貫しているのも嬉しく感じられます。

とにかく観れば観ただけの発見があり、いろんな要素が「仕掛け」に見えてきて「今のはその前のどのシーンとリンクしているんだろう・・・?」と思い始めたら最後、それを探るべく2度3度と見直し、そこでまた「あれ?」というところを見付けて,,,と、こういったかたちでも際限なく楽しませてくれる映像作品です。

そしてこれを5名のクリエイターがオンライン上での交流をベース作り上げていく、という極めて現代的なアプローチで制作しているところにも興味を覚え、この手法と展開に大きな可能性も感じます。

review:イシイヨシト「阿吽」《12/26》mirror

イシイヨシト「阿吽」

SAKuRA GALLERY

東京都江東区常盤2-10-10

03-3642-5590

12/15(木)~12/27(日)月休

12:00~19:00(最終日:~17:00)

イシイヨシト091215.jpg

Yoshito Ito "a-un"

SAKuRA GALLERY

2-10-10,Tokiwa,Koto-ku,Tokyo

03-3642-5590

12/15(Thu)-12/27(Sun) closed on Monday

12:00-19:00(last day:-17:00)

Google Translate(to English)

2009年最後にチェックした極上の細密世界。

SAKuRA GALLERY でのイシイヨシトさんの個展に行ってきました。

入り口付近に展示されていた、画面にびっしりと細密の描き込みが施された作品。有機的なパターンが画面の中に広がり、そこで展開されるダイナミックな奥行きに、比較的ちいさな画面でありながら圧倒された次第。

イシイヨシト17.JPG

イシイヨシト16.JPG

そして、過剰に重なるパターンで紡がれる過剰な花柄模様と、雉の羽を思わせるモチーフとで構成された密集。ペンで1本1本の線がくっきりと描き上げられ、また黒の塗り込みも緻密、描写のシャープさが放つインパクトと、モチーフ自体が奏でる「和」のテイストとの調和がとにかく楽しく感じられ、その独得の世界観に引き込まれます。

イシイヨシト15.JPG イシイヨシト14.JPG イシイヨシト13.JPG イシイヨシト12.JPG

イシイヨシト11.JPG

発表されていた中でもっとも大きな作品はまさに圧巻。

製図ペンで精緻に引かれる無数の線、弧、黒の色面、それら全てはケレン味なくすこぶる強靭な黒をたたえていて、その筆致によって描き現されるモチーフは圧倒的なシャープさを放ちます。それがこのサイズ。一切の隙のない描写とバラエティに富む数々のパターン、そして大小の輪によっもたらされる立体感。さらに、ちいさな粒子のようなパターンが連なって画面を大きく横切る感じなど、このサイズならではのダイナミズムがそこかしこで展開されていて、常にうごめくような動的なイメージ、拡張、膨張するイメージが相当な分厚さで迫ってきます。

イシイヨシト10.JPG イシイヨシト09.JPG イシイヨシト08.JPG

イシイヨシト07.JPG イシイヨシト06.JPG イシイヨシト05.JPG

イシイヨシト04.JPG

今回の個展で発表されていた作品はここ何年かで制作されたもののようで、それを今回の個展で一挙に展示したらしく。。。

作品を拝見すると、制作にかかる時間の気が遠くなるほどの長さにも納得の細密世界です。

密度で妖し気な雰囲気を醸し出すというより、例えれば見栄を切るように凛とした感触が伝わってきて、その痛快さも印象に残ります。

イシイヨシト03.JPG イシイヨシト02.JPG

イシイヨシト01.JPG

review:カンノサカン hunch《12/4、12/12》mirror

カンノサカン hunch

ラディウムーレントゲンヴェルケ

東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17

03-3662-2666

12/4(金)~12/26(土)日月祝休

11:00~19:00

Sakan Kan-no "hunch"

Radi-um von Roentgenwerke AG

2-5-17, Nihonbashi Bakuro-cho,Chuo-ku,Tokyo

03-3662-2666

12/4(Fri)-12/26(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

11:00-19:00

Google Translate(to English)

求道者の成せる業。

ラディウムーレントゲンヴェルケでのカンノサカンさんの個展。レントゲンヴェルケが六本木に居を構えていた頃から、ほぼ1年に1回のペースでステディに個展を開催し、その都度注入される新たなアプローチ、そしてその真新しさのインパクトだけに留まることのない、作品自体の安定したクオリティの高さ。力強い説得力に溢れる作品群と、シャープでソリッドな空間構成に毎度感嘆させられているのですが、今回の個展では、これまでのフラットな画面での展開から離れ、大きく湾曲した凸面を支持体に採用、さらに観る角度や照明の反射などで煌めきや色合いを変化させる塗装が施された面に、あの有機的なモチーフが展開され、凄まじく濃密で壮大な世界が繰り広げられていました。

展示作品数はたったの3点。向かい合う壁面に設置された巨大な凸面が1点ずつ、正面にちいさな作品が配置され、サイトスペシフィックな構成も美しい...。

白の壁面に、マテリアリスティックな輝きを備えるダークカラーが重厚に映えます。

カンノサカン26.JPG

カンノサカン25.JPG

階段を上がって左手の壁面に展示された作品は、全てのストロークがひとつの密集となっていて、濃密かつ複雑な展開が画面の外側にも広がり続けていくような気配を醸し出しています。

描かれるパーツ(敢えてこう表現しますが)のひとつひとつは端麗で、しかしそれらが連なることで有機的な雰囲気を濃密に発し、ぐんぐんとその尖端を伸ばし、画面空間を浸食していくかのような、魑魅魍魎とした臨場感も立ちのぼらせます。その一方で相当に硬質な空気感も放たれ、有機的な風合いと無機質さとの絶妙の調和が透明感をも生み出しているように思えてきます。

カンノサカン24.JPG カンノサカン23.JPG

カンノサカン22.JPG

前回の個展で発表されたゴールドを背景に採用した作品を拝見して強く感じたのですが、カンノさんが描き込む情景には奥行きが存在していて、平滑面に紡がれた光景を眺めていると、ある色やかたちがぐんと前面に立ち上がってきたかと思えば画面奥へと沈むような要素もあったりして、無論実際に動いているはずはないのですが観る側の解釈には変化が促され、その構造はむしろ3次元、あるいはもっと高次元で揺らめき、常に流動が保たれるように思えます。

今回は画面自体に立体性があることもあり、その変化のイメージはさらにダイナミックに。球体の一部を切り取ったかのような形状もその想像の広がりに影響し、より壮大で劇的な動きが脳裏に展開されていきます。

カンノサカン21.JPG カンノサカン20.JPG カンノサカン19.JPG カンノサカン18.JPG

カンノサカン17.JPG カンノサカン16.JPG カンノサカン15.JPG カンノサカン14.JPG

カンノサカン13.JPG

この密集し凝縮した世界と対峙するのは、今度はモチーフの分散。

空間の広さ、広がりを思い起こさせてくれる展開に、また異なるイメージが湧き起こってきます。

ひとつの画面にひとつの密集、という構図がそれ自体の広がりや展開に思いを馳せるような感じであるとしたら、こちらは空間、背景の広がりがよりダイナミックに伝わってきます。

カンノサカン12.JPG

カンノサカン11.JPG カンノサカン10.JPG カンノサカン09.JPG

カンノサカン08.JPG

この2点の大作、その構図の差異によってもたらされるイメージの分厚さが、正面のちいさな作品と対峙したときに強烈に作用し、このサイズであっても充分に壮大なスケール感が感じられるんです。

カンノサカン07.JPG

カンノサカン06.JPG

カンノサカン05.JPG カンノサカン04.JPG カンノサカン03.JPG

カンノサカン02.JPG

画面のかたちと塗装される色彩、ここに今回のカンノさんの大きなチャレンジがあり、もっとも前面に押し出された特徴であるのは間違いないのですが、その一方で興味深く感じられたのが、用いられる色数の減少。有機的なモチーフを構成する色彩は今回は4色ほどで、僕の記憶でも前回、前々回の個展で発表された作品での色数のおそらく半分くらいなのではないか、と。無論、この色数でも充分に濃密で斬新な世界観が展開されていて、しかし用いる色彩を意図的か感覚的か、いずれにしろ「抑えられた」ことで、もしここにさらに1色加わったら、と想像するとそれだけで強烈な高揚が膨らみます。

その一方で、部分的に打ち込まれる赤のドットの鮮烈さと言ったら...。

支持体は観る角度によって青や緑などの表情を現してくるのですが、ほぼ無彩色と言い切ってしまっていいこの情景に灯る赤の鮮やかさ、繊細さ、痛快な違和感も強く印象に残ります。

さて次は何を、と期待も高まります。

それと同時に、画面を這い、うねる情景が導き出す奥行き、濃密で妖し気な空間性もさらに深まるような気もして、想像するだけでワクワクしてくるんです。

カンノサカン01.JPG

review:伊藤雅恵展 [She Has Mountain]《12/20》mirror

伊藤雅恵展 [She Has Mountain]

鎌倉画廊

神奈川県鎌倉市鎌倉山4-1-11

0467-32-1499

11/14(土)~12/26(土)月火祝休

11:00~18:00

伊藤雅恵091114.jpg

Masae Ito exhibition [She Has Mountain]

Kamakura Gallery

4-1-11,Kamakurayama,Kamakura-shi,Kanagawa-ken

0467-32-1499

11/14(Sat)-12/26(Sat) closed on Monday,Tuesday and national holiday

11:00-18:00

Google Translate(to English)

鎌倉画廊での伊藤雅恵さんの個展に行ってきました。

今回の個展で発表されていた作品の一部に、人の顔らしきものが描き込まれていたのがまず印象的で、以前は比較的具象性の高いモチーフも多く作品の中に登場していたようなのですが、僕が伊藤さんの作品を初めて拝見したのがVOCA展で、その時点では抽象性の高い表現が繰り広げられていたので僕にはこの変化(または回帰)が新鮮に感じられた次第。

イントロダクション的というか、最近の展開を引き継ぐかのように、快活で、もしかしたらむしろ焦燥がそうさせているかのような、凄まじくアグレッシブに弧を描くストロークが画面に重なり、溢れるように花が咲き乱れる様を思い起こさせる情景が描き上げられた作品が数点。花の生き生きとした雰囲気を感じさせてくれる鮮やかな赤などの色彩と、むしろ内面的、内省的な気配を導き出すグレーや寒色とのコントラストとその色彩の配置は、ただ明るいだけでない、どこか重さ、深遠さを引きずるような雰囲気を導き出しているように思えます。

伊藤雅恵18.JPG

伊藤雅恵17.JPG

そして唐突に。

アグレッシブな空間に現れる緑の目、その奇妙さ。動きの中に灯るその存在は、画面全体のダイナミズムと対等に、その存在を際立たせて、押し出しているように感じられます。

伊藤雅恵16.JPG

そして輪郭と頭髪が。

このあたりの作品では、ストレートな構図のインパクトとともに、随所に描き込まれる枝葉を思わせるモチーフ、そしてストロークの多彩さにも興味が向かいます。

伊藤雅恵10.JPG 伊藤雅恵09.JPG 伊藤雅恵08.JPG

伊藤雅恵07.JPG

今回発表されていたもっとも大きな作品では、そのストロークの多様性もこれまであまり現れていなかった印象のものへと偏り、色彩の塊などと相まって不思議な奥行き感を導き出しているように思えます。

中央に浮かぶ女性の頭部の強烈な存在感と、全体を覆うベージュ系の色彩、それぞれの斬新さにまず意識が向かうのですが、さらに眺めて僕が特に気になったのが、画面左上にある複数の赤の線。斜めの格子状に重なる真っすぐな、突き刺すようなストロークは、これまでは平面的、あるいは3次元的に大きな弧を描くように振り下ろされるストロークが主で、それらは風の気配、空気の動きを思い起こさせてくれていたのですが、この「ある意図」によってコントロールされたストロークの硬質さが、この作品だけに留まらず、伊藤さんの作品がある空間全体に強烈な違和感をもたらしているように感じられ、この存在への興味がぐんと増します。

伊藤雅恵15.JPG 伊藤雅恵14.JPG 伊藤雅恵13.JPG 伊藤雅恵12.JPG

伊藤雅恵11.JPG

いったいどこへと向かうのだろう・・・。

そういう興味が内心に立ち上がり、無意識にさらにその展開を、その先にあるものを探ります。

人の顔がふたたび消え、しかし今度は緑の格子状のストローク。制作順は把握していないのですが、少なくともほぼ同時期に描かれた作品だとして、こちらの画面全体が抽象的な作品では、真っすぐな他にも、さまざまな表情を見せるストロークにいろんなイメージが想起させられます。

ほぼ中央にある青のやや楕円状の弧であったり、随所に重なる白であったり、それぞれの色彩や筆致がそこにある感覚的な意味に挑む、その積み重なりが描かれる世界をより分厚くしていくんです。

伊藤雅恵06.JPG 伊藤雅恵05.JPG 伊藤雅恵04.JPG 伊藤雅恵03.JPG

伊藤雅恵02.JPG

もしかしたら伊藤さんは迷っているのかもしれない、とも思います。

これはあくまで僕のイメージなのですが、伊藤さんがやろうしているのは、抽象的な表現によってどこまで観る人に具体的なイメージを思い起こさせることができるか、ということへの挑戦ではないかと。具体的に表現してしまうと観る側のイメージの広がりを抑制してしまう、また動的な雰囲気も止んでしまいかねない、かといって抽象に触れすぎるとイメージが伝わらない,,,この絶妙な配分がどこかを探っているように思えるんです。

そしてさらにその先の表現へと。

具象と抽象のイメージの軸とは別の触れ幅、例えばそれはそこに込められる感情的なもの、情緒的なものであったり、あるいは配置される色彩によって導かれる構図的な面白さなど、ひとつの絵画にさまざまなベクトルを設けてそこから起動するイメージへの自由度をどこまで広げられるか、ということにも挑まれているように思えます。

伊藤雅恵01.JPG

review:細川真希 Oh! My Masterpieces《12/4、12/12、12/19》mirror

細川真希 Oh! My Masterpieces

Gallery Cellar

東京都中央区銀座1-21-14

03-3563-8003

12/4(金)~12/19(土)日月祝休

12:00~18:00

細川真希091204.jpg

Maki Hosokawa "Oh! My Masterpieces"

Gallery Cellar

1-21-14,Ginza,Chuo-ku,Tokyo

03-3563-8003

12/4(Fri)-12/19(Sat) closed on Sunday,Monday and natinoal holiday

12:00-18:00

Google Translate(to English)

Gallery Cellarでの細川真希さんの個展、これまでも細川さんのクラシックの名画のパロディはいろいろと拝見していますが、今回はタイトルも「私の名画!」とそのまま、とにかくエンターテイメント性に富んだ楽しい世界が繰り広げられていました!

まずはルノワール「le moulin de la galette」。

もとの楽しげな、華やいだ感じはそのまま、むしろ人々がポップなモチーフに描き替えられていることで、もっと和気あいあいとした雰囲気が溢れます。より軽やかな色彩が春っぽいやわらかな空気感を思い起こさせてくれます。

細川真希17.JPG 細川真希16.JPG 細川真希15.JPG 細川真希14.JPG

細川真希13.JPG

続いてレンブラント「夜警」。

この辺りになると、引用される絵画のクラシカルな雰囲気との差異が全面に押し出されて、いっそう楽しげな雰囲気。細川さんが描くキャラクタリスティックな描写の人物たちが、この絵の世界観を演じているような風合いが伝わってきて、そういう風に描く楽しさも溢れてくるように思えます。

本物の画像とあらためて見比べて、微妙な視線の向きやモチーフの配置の再現性の律儀もユーモラスさをより鮮やかな感じさせてくれます。

細川真希12.JPG 細川真希11.JPG 細川真希10.JPG 細川真希09.JPG

細川真希08.JPG

今回の個展で多く出展されていたのがフェルメールの一連の名画を引用した作品。

もとの絵画が持つ気品、カリスマ性が、細川さんの絵の雰囲気をよりかわいらしく感じさせてくれるようにも思えます。とにかく楽しい!

細川さん自らが創り出したキャラクターに「演じさせる」面白さはさらに深まり、そのかわいらしさに接していると嬉しさが膨らみ、気分も盛り上がってきます。

お馴染みのキャラクターもさまざまな表情を浮かべていて、いつもくりっと目を見開いているのが、それぞれの作品に合わせて目が伏せられていたり、どこか物憂げな雰囲気を醸し出していたり。描かれる部屋にあるものや内装などのさまざまな要素も程よくデフォルメされていて、それもまたかわいらしい、和やかなイメージを膨らませてくれるように思えます。

細川真希07.JPG

細川真希06.JPG 細川真希05.JPG

細川真希04.JPG

そしてフェルメールと言えばこちら・・・

ああ、堪らない...

細川真希03.JPG

さらに、ギャラリースペースではなく、事務所の入り口すぐに展示されていた作品が最高で。。。

いろいろと拝見していると、さて誰のどの作品を細川さんが描くと楽しいかなぁ、などと思いを巡らせるのですが、思わずそう来たか、と。

レオナルド・ダ・ヴィンチ「ウィトルウィウス的人体図」。

ある意味反則(笑)。ここまで来ると追いつけない、その遊び心に感服です。

元の紙にインクの質感によるモノトーンの風合いが、白とピンクに描き変えられているあたりからもう、そのかわいらしい雰囲気に白旗掲げて参りました、と。

細川真希02.JPG

もとから備わるエンターテイメント性の高さがこういうふうに展開されることは、僕はもう大歓迎で。無論、こういう引用をなさるにあたっての、引用される絵画へのリスペクトは必要かと思うのですが、それは挿入されるユーモアの割合やデフォルメのバランス、もとの調和は崩さずそれと同様に整えられた構図や細やかな部分に至るまで決して雑でない仕上がりに感じ取ることができるように思えます。

細川真希01.JPG

review:南条嘉毅展「際景」~伊勢詣1~《12/12、12/18》mirror

南条嘉毅展「際景」~伊勢詣1~

YUKARI ART CONTEMPORARY

東京都目黒区鷹番2-5-2-1F

03-3712-1383

12/12(土)~1/23(土)日月火(水:事前予約制)・12/20~1/5休

11:00~19:00(最終日:~17:00)

南条嘉毅091212.jpg

Yoshitaka Nanjo solo exhibition 'KIWA-KESHIKI' -Isemoude 1-

YUKARI ART CONTEMPORARY

2-5-2-1F,Takaban,Meguro-ku,Tokyo

03-3712-1383

12/12(Sat)-1/23(Sat) closed on Sunday,Monday,Tuesday and 12/20-1/5 (Wednesday:appointiment only)

11:00-19:00(last day:-17:00)

Google Translate(to English)

よりストイックに、鑑賞者のイマジネーションに訴える。

YUKARI ART CONTEMPORARYでの南条嘉毅さんの個展です。

毎回、さまざまな場所にスポットを当て、そこの風景をその場で採取した土を用いて描くというユニークな展開を繰り広げられているのですが、今回はタイトルにある通り、伊勢参りの道中のさまざまな景色を描いたタブローを並べて構成されています。

入り口から眺めると、さっそく道の絵が姿を現し、そこから始まる道程へと誘ってくれます。

南条嘉毅26.JPG

まさにその辺でも見かけていそうな、身近な景色が描かれた作品。しかし、これまで以上に省略される部分が増えていることに違和感を覚えます。モチーフの配置のみで考えると相当にシュールにも思えるのですが、そこがどういう場所かはよく分かるという。。。

無論、道路の部分がそこで採取された土で描かれていて、まさに地面がそこにあったもので表現されていることのリアリティが、際どいバランスまで押し進められた感のある過剰とも言えそうな省略で、より際立たされているようにも思えてきます。

南条嘉毅25.JPG

今回もっともちいさな作品。

この上の作品が、今回展示された中でもしかしたらもっとも大きなスペースを描いているように思えて、そのトリッキーなアプローチの挿入も楽しく感じられます。

南条嘉毅24.JPG

とにかく、今回発表されている作品は、今までにないほどに実際の景色にあるはずの要素をダイナミックに省略していて、そのスタンスに興味を覚えます。

さまざまな景色を描くことにおいて、その再現性の高さは言うまでもない南条さんにとって、おそらくエンターテイメントに徹するのであれば、時間こそかかるのですが細かい描き込みを行なえば可能だろうと思うのですが、敢えて「描かない」方向へと自身のクリエイションの舵を切っているように感じられることに大いに感嘆させられます。

南条嘉毅23.JPG 南条嘉毅22.JPG 南条嘉毅21.JPG 南条嘉毅20.JPG

南条嘉毅19.JPG

画面を情報で埋めるほうがおそらく表現としてイージーで、そこに落とし込むことはせず、絶妙の位置、鑑賞者のイメージに届くぎりぎりの情報しか出さないような展開に、それによって生み出される緊張感とスリルに痺れます。

より広くなった余白によって、よりあからさまに表出される画面の平滑さ。そこに描き込まれる高密度・高再現性の描写が空間と奥行きを導き出し、さらに用いられる土で表現されるシルエットも平滑な色面となって現れ、イメージのなかでのさまざまな縮尺の混在により、独自性の高い空間展開が繰り広げられているように思えます。

南条嘉毅18.JPG 南条嘉毅17.JPG 南条嘉毅16.JPG 南条嘉毅15.JPG

南条嘉毅14.JPG

もっとも大きな作品では土は等幅のラインで現される山並みを描き出していて、相当にシンプルながらダイナミックな情景が思い浮かべられるに充分な情報で、その谷間にある町、屋根の連なりのリアルな臨場感は複雑に組み込まれる省略に要素の存在を想像で自然に補填されていくんです。

土のシルエットと背景の白、互いの質感を引き立てあい、高め合う美しいコントラストも印象的。

南条嘉毅13.JPG

続く展示スペースでも、引き続いて精緻な描写と巧みな省略で独創的な空間が創り出されていきます。

陸橋やビルなど、近代建築がその細やかな描写で描き上げられ、再現性のシャープさに感嘆させられるとともに、土の色、そしてそれ以外に僅かに用いられる色彩が、背景の白に映え、その美しさを際立たせています。それを可能にする下地の白の美しさも特筆すべき要素で、相当にこだわり抜かれた感じもある仕上がりはまさに隙のない余白と表現したくなるほど。画面の隅々に渡るまで保たれる(色彩に置ける)平滑性とだからこそ創出される緊張感にもおおいに惹かれます。

南条嘉毅12.JPG 南条嘉毅11.JPG

南条嘉毅10.JPG

南条嘉毅09.JPG 南条嘉毅08.JPG 南条嘉毅07.JPG 南条嘉毅06.JPG

南条嘉毅05.JPG

お馴染みの土のインスタレーションも随所に。

初日にはパフォーマンスも行なわれたようで、それを観られなかったのは残念なのですが、さまざまな場所に散らされる土が微妙に違う色味だったりするあたりからも、南条さんの作品の臨場感をより濃く押し上げているようにも感じられます。

南条嘉毅04.JPG 南条嘉毅03.JPG

南条嘉毅02.JPG

この展開を考えると、もしかしたらこの先、まったく何も描かれない白い画面の作品が出てきたりするのかも、と。。。

無論、何も描かないような、そこまでいかない地点でのギリギリの緊張感、「伝わる」と「伝わらない」の境界点がより極められていくように思えます。

高まる抽象性と、それを観てそこから感じ取るイメージの広がりがとにかく面白く、また「勝負している」印象、自身のクリエイションと手法にどこまで緊張感をもたらすことができるか、ということについて挑まれているような印象が強く感じられます。

今後の展開も期待しつつ、それはそれで縁起のいいインスタレーションのような気もするので、ぜひまた伺えたらなぁ、と。

南条嘉毅01.JPG

毎年やっていると案外その行程も早くなるもので、今年の大晦日も作りましたおせち料理、うっかりして用意を忘れた黒豆はさすがに前日から作らないと無理なので今年作ったのは栗きんとん、田作り、昆布巻き、紅白なますの4品、これを90分で作り終え、この時間自体が早いのかむしろかかっているのか分からないのですが、何となくいつもより随分スムーズに作れたなぁ、と。

ただ、大晦日になって買い出しに出かけ、近所のスーパーで栗の甘露煮を買おうとして大小あったうちの小さいほうを選んだらそれが800円してウッと思ったのですが、まあこういうときでしか買わないものなのでよいか、と。

もとい。

今年、特に印象に残っている展覧会でございます。

順不同です。

山本桂輔展“起立” review

TOMIO KOYAMA GALLERY

東京都江東区清澄1-3-2-7F

3/7(土)~3/28(土)日月祝休

12:00~19:00

山本桂輔090307.jpg

おおきな空間に聳える木彫の造形。そしてそれらを囲むペインティングの濃密な絵の具の質感と色合い。現代美術讃歌が高らかに歌い上げられているかのような壮大な世界観が鮮烈で、その力強さは忘れ難く。

画面に盛り上がる絵の具であったり有機的な風合いを残す木彫の仕上がりであったり、目にする要素の全てにエネルギーが溢れていて、接するだけでこちらにも気力が湧いてくるかのような、ポジティブな雰囲気が充満していたように感じられたのが強く印象に残っています。

大庭大介「The Light Field ー光の場ー」 review

magical, ARTROOM

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F

3/6(金)~4/5(日)12:00~20:00

SCAI THE BATHHOUSE

東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡

3/6(金)~4/4(土)日月祝休

12:00~19:00

大庭大介090306.jpg

ふたつの空間で繰り広げられた大庭さんのストイックな世界。

長きにわたって取り組まれている、光沢のある絵の具を用いたペインティング。magical,ARTROOMではひたすら同心円が描かれ、SCAI THE BATHHOUSEではインスタレーションに加え照明なども巧みに組まれ、それぞれの空間で重厚で澄んだ静謐が横たわっていました。伺う時間によって豊かに変化する作品ならびに空間の表情も印象深いです。

伊藤遠平展 review

YUKARI ART CONTEMPORARY

東京都目黒区鷹番2-5-2-1F

03-3712-1383

9/19(土)~10/17(土)日月火休(水:事前予約制)

11:00~19:00(最終日:~17:00)

伊藤遠平090919.jpg

立体の平面で構成された空間ではこちらも忘れ難いです。

平面と立体の関係性が奏でる豊かな気配。実物大で再現されたカエルのオブジェのかわいらしさ、奥のスペースでの立像と肖像画のみで構成された空間の説得力。全体を覆うベージュ系の色調が儚げな気配をよりいっそう深めます。

三家俊彦 "still river" review

児玉画廊|京都

京都府京都市南区東九条柳下町67-2

075-693-4075

9/5(土)~10/10(土)日月祝休

11:00~19:00

三家俊彦090905.jpg

さらにこちらのインスタレーションもインパクト大で。

床にびっしりと置かれるアルミホイル性の騎馬群は、それぞれの造形のバリエーションの豊かさも痛快で、さらに壁面に展示された金属の板を削ってダークでブリリアントな情景を展開し、その重厚感も圧倒的。

児玉画廊の展覧会は、東京と京都それぞれで今年も大変楽しませていただきました。関西を中心にフレッシュな個性がどんどん紹介され、その度に新しいイマジネーションの刺激を受け、個々の今後への期待も高まると同時に、今度はどんな個性が紹介されるのだろうと好奇心が常に煽られた次第です。

前原冬樹展 "wooden sculpture" review

YOKOI FINE ART

東京都港区東麻布1-4-3 木内第二ビル6F

1/17(土)~2/14(土)日祝休

11:00~19:00

前原冬樹090117.jpg

木彫のクリエイションも今年1年を通して興味深い作品や展示を拝見してきましたが、こちらがもっとも印象に残っています。とにかくその再現性の高さが凄かった。

切り取られる空間ごと彫り上げられ、精緻な彩色も施され、おそらく現実の情景は何の変哲もないと思われる情景も、前原さんの手によって再生されるとこれほど濃密な説得力で溢れる情景が展開されるのか、とおおいに感嘆。木彫であることの驚きはもちろん、その世界観の深みにも平伏す、そういった感じで。

村田朋泰展「2」 review

GALLERY MoMo Ryogoku

東京都墨田区亀沢1-7-15

03-3621-6813

9/19(土)~10/17(土)日月祝休

11:00~19:00

村田朋泰090919.jpg

作り上げられた空間の濃度で言えば、今回の村田さんの個展がもっとも濃かったように思います。

これまでの飄々としたユーモアを今回は一切排除し、自身の記憶、これまでの体験や根底にある思考を丁寧に表出させ、映像やタブロー、コラージュなどの作品やインスタレーションに要素をひとつひとつ落とし込んでいった空間。村田さんにとって全て説明できるものが、ひとたびそこから放たれて鑑賞者に届いた時、こちら側の記憶や想像に響いて別の濃密な物語が紡がれゆく感じ、そして村田さんのイメージに追いつけないことへの諦観など、展示の善し悪しとはまったく別次元で圧倒的な展覧会だったと。

青山悟「Glitter Pieces #1-22:連鎖/表裏」 review

MIZUMA ART GALLERY

東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F

3/11(水)~4/11(土)日月祝休

11:00~19:00

青山悟090311.jpg

ストイックさで言えば、今年の青山さんのインスタレーションがもっともそうだったかと思うのです。

「美しい」だけで充分に通用する、隙のないハイクオリティな作品と空間構成を展開しつつ、表裏の関係性や見える光景の変化などさまざまな要素を巧みに折り込んで高いエンターテイメント性もされ、そしてこれを工業用ミシンによる刺繍という手法で行なっている事実。アーティストとしてのプライドというか、表現者としてさらに先へと進もうとするその姿勢へも感じ入ります。

田口和奈 半分グレーでできている review

void+

東京都港区南青山3-16-14-1F

03-5411-0080

11/21(土)~12/18(金)日月祝休

14:00~19:00(土:12:00~)

田口和奈091121.jpg

Shugoartsでの個展も素晴らしかった田口さんの、コンパクトな空間での個展。しかし、この空間が持つ個性、特性を巧みに活かし、たった3点で魅せる深遠な世界観に感服。すうっと吸い込まれるような儚げな気配と、最終的に写真で提示されるユニークな手法の面白さもさまざまなかたちで深められて、個性的な手法だからこそ可能である斬新なアプローチも興味深く、今後の展開もますます楽しみです。

城田圭介review

BASE GALLERY

東京都中央区日本橋茅場町1-1-6 小浦第一ビル1F

03-5623-6655

9/28(月)~10/31(土)日祝休

11:00~19:00

城田圭介090928.jpg

さらに深まるハードボイルドな雰囲気。これまでも折りに触れて拝見している城田さんの作品、どういうものか分かっているだけに、展示の度にどんな新たなアプローチが展開されるか興味津々だったのですが、複数のパネルによる組作品での構成と、過去の写真をふたたび使用することでこれまでの作品とも関係づけ、さまざまな方向へ立体的に想像が広がっていくのが面白く感じられました。

Chosil Kil "RING THE BELL" review

青山|目黒

東京都目黒区上目黒2-30-6

03-3711-4099

9/12(土)~10/10(土)日祝休

12:00~20:00

Chosil Kil090912.jpg

現在の表現の形態/手法として確実にある「あるものをそこに置くだけ」で作品としてしまうクリエイション。こういう展開にはむしろ興味があるのですが、そのなかでもチョシル・キルさんの個展で発表された作品は相当にぐっときました。空間構成はもちろん、同時期にベルリン(だったと思うのですが・・・)で開催される個展と関係づけるなどさまざまなかたちで作品や展示に意味や想像の種が施され、ただそこに置かれただけの眼鏡であったり、壁に設置されたさまざまなものであったり、それらが醸し出す存在感に感じ入り、自分でも驚くほどにじっくりと対峙。言葉に表すのが難しい、得難い感動を得られたと思っています。

梅田哲也「迷信の科学」 review

OTA FINE ARTS

東京都中央区勝どき2-8-19-4B

4/25(土)~5/22(金)日月祝休

11:00~19:00

梅田哲也090425.jpg

今年もっとも活躍したアーティストのひとりだと思います。

ART@AGNESに始まり、このオオタファインアーツでの個展、京都などでの各展覧会や単発のライブなど、インスタレーションを拝見するたびにいったいどういう風に繋がっているのだろうと好奇心が煽られ、それを探るたびにわくわくさせられました。

表現者としての立ち位置のユニークさが際立っていて、アートシーンだけに留まらず、音楽のシーンへの展開も楽しみなクリエイションです。

小西紀行「個として全」

ARATANIURANO

東京都中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3A

03-3555-0696

12/19(土)~1/30(土)日月祝・12/27~1/8休

11:00~19:00

小西紀行091219.jpg

ここに挙げた中でもっとも最近拝見した展覧会で、大きな話題を集めた前回の初個展から2年振りに開催される同ギャラリーでは2度目の個展ということに加え、プレスリリースに観念的な文章を寄せられているの読んだこともあり、どういうふうになっているんだろう、とさまざまな想いを持って臨んだのですが、描かれる世界の距離感の絶妙さといい、画面を這う筆先に導かれるようにして現れてくるさまざまな表情といい、自分でも驚くくらいに感動、この展覧会が来月いっぱいまで開催されることがホントに嬉しいです。

以上挙げてみたのですが、この数に収まるはずがなく...。

出会えて嬉しい作品、観ることができてよかったた展覧会など、もっといっぱい、それこそ少なく見積もってもこのブログに書いただけあるわけで、ホントにいろいろと楽しめました。

このなかで、実は画像の用意があって掲載し損ねているものがありまして、2009年の最後に紹介いたします。

最終日に伺った、大庭大介さんのSCAI THE BATHHOUSEでの個展です。

この空間の夜の雰囲気は今思い返しても、震えがくるほどの感動が蘇ってきます。

大庭大介「The Light Field ー光の場ー」《4/4》

大庭大介「The Light Field ー光の場ー」

SCAI THE BATHHOUSE

東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡

3/6(金)~4/4(土)日月祝休

12:00~19:00

大庭大介090306.jpg

大庭大介319.JPG

大庭大介318.JPG 大庭大介317.JPG 大庭大介316.JPG

大庭大介315.JPG

大庭大介314.JPG 大庭大介313.JPG 大庭大介312.JPG

大庭大介310.JPG

大庭大介309.JPG

大庭大介308.JPG 大庭大介307.JPG

大庭大介306.JPG

大庭大介305.JPG

大庭大介304.JPG 大庭大介303.JPG 大庭大介302.JPG

大庭大介301.JPG

**********

ちなみに、美術館での展覧会で印象深いのが、東京都現代美術館での「池田亮司 +/-[the infinite between 0 and 1] 」、国立国際美術館での「杉本博司 歴史の歴史」、アサヒビール大山崎山荘美術館での「睡蓮池のほとりにて ~モネと須田悦弘、伊藤存~」。買って聴いたCDはAmetsub「The Nothing of The North」、Serph「accidental tourist」、Raster-Notonのオムニバス「Archiv 3」。読んだ本では吉田修一「横道世之介」がいちばん面白かったです。

あと、祝・FC東京ナビスコカップ優勝。

今年もオランダにも行ったり昨年に続いてULTRAに出展したりなどいろいろありましたが、楽しかったです。

お目にかかったすべての方に感謝、全てのクリエイションに感謝いたします。

さて、どうなる2010年。

review:WORM HOLE episode12 鈴木光 仲田慎吾 西山弘洋 忽滑谷昭太郎 安田悠《11/27、12/19》mirror

WORM HOLE episode12 鈴木光 仲田慎吾 西山弘洋 忽滑谷昭太郎 安田悠

magical, ARTROOM

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F

03-3445-8988

11/27(金)~12/26(土)日月祝休

12:00~20:00

wormhole12 091127.jpg

WORM HOLE episode12 Hikaru Suzuki, Shingo Nakata, Hiromi Nishiyama, Shotaro Nukariya, Yu Yasuda

magical, ARTROOM

1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo

03-3445-8988

11/27(Fri)-12/26(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-20:00

Google Translate(to English)

magical, ARTROOMの、この空間で最後の、そしてアナウンスされている限りではこの名称のもとでの最後の企画、そして前回に続いてフレッシュなアーティストを紹介する、いかにもマジカルらしい企画「WORM HOLE episode12」。前回の「episode11」ではさまざまな支持体の作品が紹介されていたのですが、それに続く今回は、平面のアーティストをを中心に紹介されていて、最後を飾るにふさわしいアート的な賑やかさに溢れた空間が創出されていたのが印象に残っています。

鈴木光さんの映像作品は、40分を超えるドキュメント的なもので、ひたすらさまざまな方にインタビューをしていくといういもの。残念ながら通して作品を拝見することは叶わなかったのですが、空気感も捉えたような独得の雰囲気が印象に残っています。

仲田慎吾さん。バラエティに富んだ展開で、さまざまなサイズ、マチエルの作品が一角に凝縮されていて、そこに充満する雰囲気がなんともいえず独得で。一部インスタレーション的な作品もあり、すべてにおいて感覚的な実験性が感じられたのも印象に残っています。

ひたすらパターンが緻密に紡がれた作品の尋常でない細やかさとそれが奏でる緊張感。

仲田慎吾12.JPG

画面の隅々まで徹底して細やかに描き込まれた情景の、細密な面白さ、無限の情報量の凄みはいうまでもなく、全体の不思議な時代性、古代的な雰囲気と未来的な感触との混在が奇妙な印象をもたらしてくれます。

仲田慎吾11.JPG 仲田慎吾10.JPG 仲田慎吾09.JPG 仲田慎吾08.JPG

仲田慎吾07.JPG

一転して、ペインティングはその濃度が力強く迫ります。

鮮やかな発色が心地よく、しかしどこか淀んだ感じが独創的な風合いを思い起こさせてくれます。

仲田慎吾06.JPG

仲田慎吾05.JPG

そして、絵の具の質感を大胆に折り込んだ作品も。

荒々しいマチエルが生み出すアグレッシブな情景、画面上の要素のひとつひとつが鋭く、そのスリリングな感触が、春らしさを思わせる鮮やかなイエローの軽やかな風合いとギャップを生んでいて、その抽象性と、それでも仄かに浮かぶ具体的なイメージとのせめぎ合いに感じ入ります。

仲田慎吾04.JPG 仲田慎吾03.JPG 仲田慎吾02.JPG

仲田慎吾01.JPG

忽滑谷昭太郎さん、これまでも拝見してきていますが、さらに高密度に展開、アグレッシブさも深まって感じられたのが嬉しい!

お馴染みの鉛筆を用いた作品と、油彩でグラフィカルなアプローチをダイナミックに繰り出す作品とが出展され、そのどちらに置いてもさらにすごみを増しているように思えた次第です。

発色のシャープさが画面上に散らばる三角形をさらに鋭くし、そこかしこに潜む、色彩の混在によってもたらされる揺らめくテクスチャーの妖しさとのコントラストもより鮮明に押し上げられているように思えます。

忽滑谷昭太郎12.JPG 忽滑谷昭太郎11.JPG 忽滑谷昭太郎10.JPG

忽滑谷昭太郎09.JPG

鉛筆の作品でも、そのグラフィカルな面白さが澤に冴えをみせます。

忽滑谷昭太郎08.JPG

画面の大きさと、それに比例しないパターンのサイズの細やかさ。

どの部分を引き出しても、重ねて描き込まれるストロークでもたらされるそれぞれのパターンのベクトル、その交錯が生み出すパースの面白さ。シャープな三角形が連なってダイナミックなスケールで奥行き感を生み出し、その画面の奥にある混在する色彩が表出している部分のアブストラクトな感触、そして部分的に緻密に描き込まれる歪むストライプなど、さまざまな表情のひとつひとつがクールで、それがこのサイズに隙なく展開されていることの凄さにただ平伏する次第。とにかく格好いいのです。

忽滑谷昭太郎07.JPG 忽滑谷昭太郎06.JPG 忽滑谷昭太郎05.JPG

忽滑谷昭太郎04.JPG 忽滑谷昭太郎03.JPG 忽滑谷昭太郎02.JPG

忽滑谷昭太郎01.JPG

西山弘洋さんの作品が揃う一角は。より感覚的な情景が溢れているように感じられた次第。捕らえ所の無さがむしろその奥に潜むイメージへの想像を深め、パネルの作品もあれば、破いた紙に描いたものもあり、その幅広さも謎めいてい感じられます。

気まままストロークで導き出される空間性。相当に雑ではあるものの、抽象的なイメージに留まらず、なんだか不思議とその気配に具象的な風合いを捉えてしまうという...。

直接お話を伺えなかったのが残念なのですが、もっとじっくり接してみたい、ソロで作られる空間も体感してみたいクリエイションです。

西山弘洋03.JPG 西山弘洋02.JPG

西山弘洋01.JPG

安田悠さんは、これまでのメランコリックな雰囲気からほぼ一変、アバンギャルドな情景を独特なタッチで描き出していて、その濃密さ、凄まじい危うさに圧倒されました。

安田悠13.JPG

敢えてこれまでの世界観から距離を置き、人を画面に登場させないことで、展開される雰囲気に斬新さを大胆にもたらすことに成功したような印象です。

画面を横切るさまざまな色彩が奏でるアグレッシブなグラデーション、そこに聳える白の塔は竜巻のようにも、またはそこから生えるさまざまな稲妻らしきモチーフから電気的な何かのようにも思えてきたり、さまざまな想像が膨らんでいきます。画面のどの部分を引き出しても凄まじく濃密なスリルが感じられるのも強く印象に残ります。

安田悠12.JPG 安田悠11.JPG 安田悠10.JPG 安田悠09.JPG

安田悠08.JPG

妖し気な色調と多彩なストロークでさまざまな情景が描き出されています。

画面より立ちのぼる抽象性が導く幻想的な気配。ダークで寒色系の色彩も多用されたこちらの先品では、沈み込むような深い闇の雰囲気も漂います。また、人影こそ描かれていないものの、どこかその残り香のようなものも伝わってくるから不思議です。

安田悠07.JPG 安田悠06.JPG 安田悠05.JPG 安田悠04.JPG

安田悠03.JPG

もちろん、これまでの安田さんの雰囲気がまったく失われたわけではなく、色調など、その気配が随所に感じられます。だからこそ今回の大胆な変化が面白く感じられているような気もします。

安田悠02.JPG

より深遠さを増し、その気配の臨場感も凄まじく、また巧みに創出される空間性の豊かさも心に残ります。

色それぞれが持つ力を引き出して展開されるさまざまな情景とその空気感、そして温度感。今後の展開も実に楽しみです。

安田悠01.JPG

WORM HOLE episode 11 小牟田悠介 平嶺林太郎 古畑智気 間瀬朋成 松下徹

magical, ARTROOM

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F

03-3445-8988

10/23(金)~11/21(土)日月祝休

12:00~20:00

WORM HOLE 091023.jpg

WORM HOLE episode 11 Yusuke Komuta, Rintaro Hiramine, Tomoki Furuhata, Tomonari Mase, Toru Matsushita

magical, ARTROOM

1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo

03-3445-8988

10/23(Fri)-11/21(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday

12:00-20:00

Google Translate(to English)

六本木時代のmagical, ARTROOMで開催されてきた若手作家を紹介するシリーズ企画が復活。「episode 11」「episode 12」と連続して5名ずつのアーティストがフィーチャーされ、その前半はユニークなアプローチが面白いクリエイションが紹介されていました。

平嶺林太郎さんの映像作品、平嶺さんの名刺代わりにも思えるエンブレムのなかに複数の動画が挿入されたもので、独得のストリート感覚が印象的です。粗い画像がそこで繰り広げられる情景をいっそう生々しく描き出しているように感じられたのも興味深く、このエンブレムの作品はこの以前にも何度か拝見しているのですが、このあとにongoingで観たインスタレーションを観て、もしかしたらもっといろいろと情報の交錯やそれらの関係性が導く要素もあったのかも、と。

なかなか映像作品と対峙する時間がなくて悔しいのですが、あらためてじっくりと観てみたい、また、上階のMAGIC ROOM?での展示の雰囲気も面白く、もっとそういう展示とはかけ離れた空間でも接してみたいクリエイションです。

平嶺林太郎1.JPG

間瀬朋成さんの作品。

支持体となる板の全面が透明のウレタン塗料で覆われ、まずはその過剰な艶やかさ、物質的なインパクトに圧倒されます。

画面を垂れる塗料の生々しさ、揺らめく画面が照明の光を反射し、屈折してダイナミックな歪みをもたらしています。それとじっくりと対峙していると今度はそこに描かれた女性のシルエットが浮かび上がってきて、それを捉える瞬間のスリルもまた堪らなく感じられます。

間瀬朋成08.JPG 間瀬朋成07.JPG 間瀬朋成06.JPG 間瀬朋成05.JPG

間瀬朋成04.JPG

小さな作品でもその濃密な雰囲気は変わらず、むしろ凝縮されたような感触もあり、さらに意識が入り込んでいきます。

画面下方の垂れるウレタンの雫が強烈に醸し出す「もの」としての臨場感、そしてやはり浮かび上がってくる女性の表情の艶かしさ。輝く画面の強烈さも含め、その素材へ対するストイックさと、その風合いを大胆に引き出す独創性には相当な厚みが感じられ、今後の展開への興味も湧いてきます。

間瀬朋成03.JPG 間瀬朋成02.JPG

間瀬朋成01.JPG

ART AWARD TOKYOで拝見した時に、その熱い情動とクールな視点とが同時に感じられるインスタレーションに圧倒され、強く印象に残っている松下徹さんの作品。

もう、個人的にこのテイストは大好きで、行為によって生まれる偶然性、それらが導きだす複雑な展開に、どんどんと意識が入り込んでいきます。

発色の鮮やかさはまさに弾けるようなインパクトとなってヴィヴィッドな空間を創出し、そこに繰り出される有機的な要素、重なる顔料の断層がアバンギャルドに表出して、その蠢くような感じがとにかく堪らない!

松下徹13.JPG 松下徹12.JPG 松下徹11.JPG 松下徹10.JPG

松下徹09.JPG

巨大なパネルを組んで創出されているインスタレーション的展開、こちらもまた凄かった。。。

俯瞰したときのダイナミックなライン、それらによってもたらされる壮大な空間性。サイズもそのダイナミズムに力強さを加え、圧倒的な情景が構築されていて。

また至近では、無数のクラックやスクラッチ痕が細密な展開を導いていて、画面自体の平滑な印象とは裏腹の圧巻の複雑さに好奇心が煽られ、加えてモノトーンのクールさがダークな気配を思い起こさせ、さらに格好良く感じられるんです。

松下徹08.JPG 松下徹07.JPG 松下徹06.JPG 松下徹05.JPG

松下徹04.JPG

おそらく樹木とシューズとが支持体に採用されている作品も、その重厚でアングラな雰囲気を強烈に充満させる存在、その気配に圧倒されます。

生み出される異空間、3次元での展開の強みが充分に発揮され、より濃密にその臨場感を漂わせていたのが印象的です。

松下徹03.JPG 松下徹02.JPG

松下徹01.JPG

小牟田悠介さんはグラフィカルな展開が面白いです。

描くモチーフやインスタレーションなど、創り出す世界にはしっかりとした理論というか、クリアなイメージが備わっているような感触が興味深く感じられます。

小牟田悠介08.JPG

ゴールドの画面に導き出されているさまざまな幾何学的パターン。

微妙な濃淡により、幻想的にも思えるパースが生み出されているのが面白く、安定と不安定の狭間を思わせる空間性に知的なスリルを感じます。

小牟田悠介07.JPG 小牟田悠介06.JPG 小牟田悠介05.JPG

小牟田悠介04.JPG

小牟田さんといって真っ先に思い浮かぶのがこの回転体。

ワシャワシャと音を立てながら、右回り、左回りを等間隔で繰り返し、回転中は遠心力で浮遊している細いプレートが、回転が止まる瞬間にバサッと脱力する様子もまたなんともいえないかわいらしさというか、不思議な風合いが醸し出されていて。

小牟田悠介03.JPG 小牟田悠介02.JPG

小牟田悠介01.JPG

古畑智気さんは、描こうとしているもの、描くという行為で引き出そうとしていることとにかく興味深いです。

古畑智気05.JPG

大きな画面に描かれる格子のパターン。

これが、この支持体であるパネルの骨の部分を描き出しているという。本来は見えない部分を敢えて描く、実際に見えていない部分を画面上に表出させることで、これまで思い描くことがなかった空間位置への想像が生まれて新鮮で、また、ただそれを描き出すだけに留まらず、この空間の光が導き出す陰影、この位置であれば左側の窓から入る自然光によって導き出されるグラデーションも、一見同じ白に見える画面に広がる背景に精緻に施されていたりして、さらにその新たに植え付けられたイメージが深まっていくんです。

古畑智気04.JPG 古畑智気03.JPG 古畑智気02.JPG

古畑智気01.JPG

前月
2010年1月
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
幕内政治がお届けする今最も旬な現代アートイベント情報

writer name:幕内政治
birth:1971/6/17
mail:exchamber@yahoo.co.jp