古家万 "Real Imagination/現想図 Vol.1"
03-3571-1808
8/26(水)~10/3(土)日月祝休
11:00~19:00(土:~17:00)
Man Furuya solo exhibition "Real Imagination Vol.1"
03-3571-1808
8/26(Wed)-10/3(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00(Sat:-17:00)
写真の中に現れる、あたかも水墨画を思い起こさせるような、重厚な一閃が放つダイナミズム。
東京画廊+BTAPでの古家万さんの個展です。
画面に収まっているのはおおよそどこかの風景の写真。しかしその空にはファットで力強い閃光。その圧倒的な存在感にただ見とれ、その分厚さを備える情景に意識が引き込まれます。
現れる情景のなかに横たわる繊細な静謐感と、その空を走る光の筋。それぞれが放つ気配の深遠さが、そこに漂う空気感のイメージにいっそうの奥行きをもたらします。
そして、ひとつの平面に収められた情景として、圧倒的に美しい...。そこに広がる雰囲気の澄んだ感触、独特の気品が静かに心に届きます。
モノクロームの作品では、その渋みがさらに深まります。
夜通しカメラのファインダーを開いたままで経過させ、それが空にダイナミックな光の軌道を映し出し、さらに動かぬものたちの輪郭をいっそう鋭く際立たせる効果をもたらしているようにも感じられます。
モノトーンだからこその圧巻の陰影感。そして、光の筋は敢えて画面を横切ってしまうことなく、その「はじまり」もしくは「おわり」を画面に残すことで、大胆なストロークのような風合いが画面に紡がれます。
そのストロークの大胆さ、迷いなく振り上げられた筆が画面を叩き、這い、引き上げられる一連の動作を思い起こさせる刹那的な臨場感が、実は一晩中、すなわち何時間もかけて撮影された写真の中にもたらされているように感じられるのが大変興味深いです。
上の掲載のものに続いて、渋みを加速させるモノトーンの作品。「滝」というモチーフが「和」の気配をいっそう深め、また滝の輪郭の刹那な感触にも独特の美しさ、とてつもない深遠さが伝わってきます。そして上空に走る1本の閃光の圧倒的な動的イメージ。滝に水が落ち込んでいるものの、どこか人々を寄せ付けないような尋常でない雰囲気が滲んできます。
構図として大変興味深いのが、画面中央に光のストロークが一筋走っているだけのシンプルな作品。
無論この作品も同様なアプローチによる写真作品なのですが、構図のシンプルさがいっそうの深みを、そして太くはあってもそれが一切の迷いを感じさせない線であること押し上げているように思えます。
ギャラリー奥の一角は黒い布で仕切られ、照明を点灯させて真っ暗な空間が創出され、そこで眺める古家さんの作品にはいっそうの臨場感がもたらされているように思えます。
圧倒的な深みが静かに、しかし豊かに画面から放たれ、それを眺めていると横たわる時間のおおらかさ、壮大な気配が紡がれたからこその荘厳な雰囲気に包まれ、いつまでも眺めていたくなります。そして、対峙した時間だけのイメージをしっかりと想起させてくれるだけの懐の深さを持ち合わせているようにも感じられます。
現実の情景から導き出される深遠な幻想感にただ浸りたい、そんな想いを強くさせてくれる写真作品群、そして空間です。
政田武史 "New Works"
03-3373-2860
9/11(金)~10/10(土)日月祝休
11:00~19:00
Takeshi Masada "New Works"
3-18-2-101,Nishi-Shinjuku,Shinjuku-ku,Tokyo
03-3373-2860
9/11(Fri)-10/10(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
画面に配置されるストロークのすべてが鳴る。
危うげな世界観とそれを組み上げる構造が轟く。
WAKO WORKS OF ARTでの政田武史さんの個展です。
前回の個展でおおいにその臨場感に呑み込まれ、壮大でドラスティックな空間性とそれを描き上げるストロークが放つミニマムなリズムが想像性を掻き立ててくれたのですが、今回の個展でもその面白さは無論のこと保持され、これまで以上に大胆に繰り出されるさまざまなサイズのストロークが構造的な面白味を加速させたような印象です。
モチーフに採用される「化け物」の力強い佇まいとシチュエーションの臨場感、まずそれが強烈に重厚なスリルを濃密に醸し出します。
これが明るい画面で展開されると、画面のなかに作り上げられる気配に膨張感がもたらされ、相当な迫力を溢れさせながらパワフルに迫ってくるような感覚に襲われます。濃密な世界観ながら、その濃厚さは外へ外へと向かい、情景としても、物語性としてもいっそう豊かなスケール感を生み出しているように感じられます。
そして、ひとつのストロークはそれぞれがくっきりとその存在を画面上に際立たせ、そして知れだけに留まらず、例えば顕微鏡で観る細胞の振動、蠢きを思い起こさせるような、その内側にエネルギーをたたえるような印象を覚えます。鮮やかな色調、隣り合う色同士でもたらされるグラデーションのダイナミズム、ミニマムな部分を画面から脳内でトリミングして凝視したときに迫り来る強烈な抽象性。内側へ、内側へと誘うような面白さが画面の広さだけ展開されているように感じられ、至近で眺めているとどんどんその雰囲気に引き込まれていきます。
今回発表された作品で興味深いのが、そのストロークのバリエーションによってもたらされる緊張感。
描かれるモチーフを構成するストロークは、わずかに筆が画面に触れただけの小さいものから、ペンディングナイフによってダイナミックな色面が画面の中に絶妙に配置されています。あたかも大きな構造物が小さなものの上に乗る、あるいは小さな構造物が緻密に積み上げられるような感じがとにかく面白く、それが安定を得た瞬間、その刹那的なバランスが画面の随所に現れていて、その危ういミニマムな情景を視覚が捉えるたびに唐突に一色が入り込んでいくんです。
描かれるモチーフが前提として存在していたとして、それを表現するために構造物が重ねられるようなアプローチが堪らなく興味深くて、そのストロークのかたちのクールネス、エッジの効いた感触がぐんと立ち上がってきます。
今回もメインスペースと別室の両方で展示が行われていて、ほぼ1点ごとに壁面があてがわれて、それぞれの作品が持ち合わせる気配感、重厚な臨場感にどっぷりと浸れる展示構成も嬉しいです。画面の色調がもたらす時間のイメージも、壁面と照明の明るさによってシャープに引き出されているように感じられます。
そして今回は大判のドローイング作品も展示されています。
キャンバス全面を無数のストロークが覆い尽くす油彩の作品群とは異なり、ひとつのモチーフが滲んで曖昧になる絵の具の感触によって独特な雰囲気を奏でます。
紙と絵の具の軽やかさ、それがモチーフの危うさに不思議な、どことなく儚げな臨場感をもたらしているように思えます。
シャープな発色を放つ色彩やさまざまな表情を伴うストロークでもたらされる世界からは、リミットゼロとリミット無限大、このどちらへも突き抜けるような壮大なイメージが想起されます。
さらに、描かれるシーンの危うげなインパクト、ストイックに画面に配置されるストロークの集積、それぞれが濃密な刺激となって観る側のイマジネーションを促し、須天軸ポジティブな感触に満ちるカオスが創出されているようにも思えます。
絵の具をコントロールして制作する「絵画」としての面白味、その純度の高さに痺れます。
そして、この膨大な創造性に対して、今まで以上の頼もしさを感じた次第です。
横横内賢太郎 新作展 imprintinroom
052-264-7747
8/1(土)~9/19(土)日月祝・8/9~8/21休
11:00~13:00、14:00~18:00
Kentaro Yokouchi new works "imprintinroom"
愛知県名古屋市中区栄3-20-25,Sakae,Naka-ku,Nagoya-shi,Aichi-ken
052-264-7747
8/1(Sat)-9/19(Sat) closed on Sunday,Monday,national holiday and 8/9-8/21
11:00-13:00,14:00~18:00
KENJI TAKI GALLERYでの横内賢太郎さんの個展に、最終日に滑り込みで行ってきました。
お馴染みのサテン地の作品はもちろん、実験的な小品作品、油彩の大作と、バリエーションに富んだ構成がとにかく興味深い展覧会となっていて、この凄まじい見応えに接することができて良かった、と思っている次第で。
サテン地の大作は、1階の奥と2階に展示。
妖しさを放たせながらさまざまな色彩の滲みが複雑に融和するその情景は、アブストラクトな雰囲気がさらに深っているように感じられます。
例によって、オークションブックを開いたところをモチーフに描かれていて、東名のメディウムによって描き出される、本に掲載されている室内装飾の絢爛さ、さまざまな家具が緻密に描き上げられることで導かれる臨場感、さらにそれが本のページのたわみによって生じた歪みで、相当に具象的でありながらも異次元のイメージを彷彿させてくれます。
加えて滲む色彩の鮮やかで妖し気な雰囲気により、ここに深い幻想性が創出されているように感じられるんです。
印象として、メディウムによる描写は、初めて拝見した時の画面に対して微妙に角度を付けて眺めてみないと気付かない曖昧な感じから比べるとよりその描写の存在をくっきりと露にしているように思え、それがその奥に広がる色彩の混沌、さらにサテンの光沢感と響き合い、よりこの世界へと引き込む速度を速めているような気もします。
また、陰影のダイナミズムといい、さまざまな色の絡まりの複雑さといい、色彩によってもたらされる密度のコントラストがより激しくなったような感じで、そのアブストラクトな気配感にもおおいに惹かれた次第です。画面に張られるサテンの張り具合と側面のエッジの立ち上がりの鋭さも、その幻想性やアブストラクト感をさらに鮮烈に際立たせているように思えます。
ちいさな画面の作品では、相当に実験的というか、この先にクリエイションを展開していく上で通過しなければならないイメージを記録、画面に納めているような感触が強く印象に残ります。
情景の曖昧さ、抽象性は相当に高められています。
その分、おそらく相当に遠く深い、まだ掴み切れていないようなイメージの感覚が、臨場感を伴って迫ってきます。それぞれの小さな画面で繰り広げられている空間、そこからどんな次元の展開がなされていくか、実に興味深いです。
そして、今回の展覧会でまず最初に出迎えてくれたのが、ペインティング作品。
サテン地の作品群がアブストラクトだとすると、こちらはそのままアバンギャルドな世界観が凄まじいエネルギーと濃密な深みとを伴って迫ってきます。
同様にオークションブックがモチーフに採用されているのですが、サテン地の作品とはまるで別の雰囲気が導き出されています。
もたらされるストロークに注がれる、狂気性へと置き換えたくなるような刹那的な風合い。垂れる絵の具の質感の生々しさ。滲むような風合いはそのまま保たれつつも、奥へと引き込むサテン地の作品の雰囲気から一転して、観る者が立つ方向へと襲いかかるような危うさ、スリリングな雰囲気が備えられているように感じられます。これまで拝見してきた作品、それによって紡がれてきた横内さんの作品のスタイルに対するポジティブな先入観とのあまりの質感の違いがむしろ好奇心を引き上げ、高揚感に包まれます。
このふたつの大きなコントラストが、これからの横内さんの作るものへの期待も大きくしてくれます。そして、府中市美術館の府中ビエンナーレや先に閉幕した「引込線」などで続けざまに大きな展覧会とスペースで作品を拝見した流れを経て、これらを、このタイミングで観ることができたのもありがたかったと思っている次第です。
今回提示された既に凄まじいギャップがこれからさらにその差異を広げるのか、それとも融合をみるのか、また小品で展開された実験、さらに現在横内さんご自身が興味を持つ情景やイメージなど、今後の展開がさらに楽しみです。
長谷川ちか子「穴 - Punica Granatum」
03-3662-2666
9/4(金)~9/26(土)日月祝休
11:00~19:00
Chikako Hasegawa "Holes - Punica Granatum"
2-5-17, Nihonbashi Bakuro-cho,Chuo-ku,Tokyo
03-3662-2666
9/4(Fri)-9/26(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
構築されるシャープな空間と、そこから「覗き込む」過剰に有機的な情景とのギャップ。
ラディウムーレントゲンヴェルケでの長谷川ちか子さんの個展です。
今回はすべてペインティングで構成され、例えば六本木時代のレントゲンで開催された個展とはまったく異なる雰囲気が導き出されていながら、インスタレーションとしての完成度、作り込まれた理系的な静謐感が強く印象に残ります。
展示されているペインティングはすべて同じサイズ、同じ構図に設定されていて、そのリフレインが展示空間に強度をもたらしているようにも感じられます。
1階に展示された2点がイントロダクションのように機能し、ここから先に展開、提示される世界のシャープさが「例題」的に提示されているような感じが好奇心をそそります。
階段を上って。
作品の配置の計算され尽くされたような位置がこの複雑な構造の空間にリズムをもたらします。
絵画と空間構造の関係だけに留まらず、照明によって生み出されるキャンバスや配置物、建徳構造などのシルエットもシャープな複雑さをいつになく引き立て合っているように思えます。
2階のメインスペースは、実にスマートな展示が施されています。
あまりにも真っ当な、それはもう過剰なほどにストレートな構成が繰り広げられていて、どこを切り取っても隙のない感じが伝わり、それが空間にある種の緊張感を生み出しています。
それぞれの画面に施されるストイックなまでの統一規格がシャープな静謐を加速させます。
これぞプロの仕事、と思わずにはいられないピンと張られるキャンバス、側面と表面の黒と白の色分けの精度の高さも硬質な風合いをもたらします。
空間全体のシャープさが、画面中央の「穴」のなかに描かれたモチーフを異様なまでの有機的な質感をいっそう深めます。
構成される空間の精度が、平面作品であるのにも関わらず、画面の中の丸い「小窓」から見えるものを「覗き込む」ような行為を誘います。なんだかヤバいものを観てるスリルが脳内に沸き起こるんです。
このモチーフはザクロなのだそうで、言われるとなるほど、と思うのですが、分かっていてもそれ以上の生々しいもののように思えてくるのが不思議で、かつ興味深いです。
すべて同じ物が描かれているにもかかわらず、思いのほか豊かな色彩がもたらされているのも印象的です。
生々しい臨場感に、掌で塞げるほどの穴の広さだけしか見えないもどかしさも手伝い、だんだんとその雰囲気に呑み込まれていくんです。
印象として、1点1点のペインティング作品というより、全体の構成がひとつのインスタレーションとして機能しているように感じられます。
そこにもたらされる状況の過剰なシャープさとそこから除かれる有機的な情景、冷静な静謐感と毒々しささえ感じられる濃密な気配とのコントラストが、さまざまなイメージを思い起こさせてくれます。この空間の設定が、どちらが「外側」でどちらが「内側」なのかが分からなくなってくるような、そういう謎めくような感じもまた印象的です。
体感する絵画展、そういう雰囲気が深遠に創り上げられているのが興味深いです。
「月人間展」石黒賢一郎/大森暁生/三田尚弘/須田悦弘/草井裕子/龍口経太/平林貴宏/村田兼一/森口裕二/山口英紀
03-5829-8735
9/11(金)~9/26(土)日祝休
11:00~19:00
"Human Mon Exhibition" Kenichiro Ishiguro/Akio Omori/Takayuki Mitai/Yoshihiro Suda/Yuko Kusai/Keita Tatsuguchi/Takahiro Hirabayashi/Kenichi Murata/Yuji Moriguchi/Hidenori Yamaguchi
1-11-7-1F,Higashi-Kanda,Chiyoda-ku,Tokyo
03-5829-8735
9/11(Fri)-9/26(Sat) closed on Sunday and natioonal holiday
11:00-19:00
参加アーティストは総勢10名。お馴染みの名前からフレッシュな個性までが揃い、しかもハイクオリティの作品が並ぶ展覧会。
LOWER AKIHABARA.で開催の、「月人間」をタイトルとテーマに据えたグループショーです。
まず、平林貴宏さんの作品。
日本画の渋さ、さまざまな表情がしっかりと表出された女性像。
気配のおどろおどろしさはさらに深まり、右下の手がその世界観にさらに妖しい雰囲気をもたらしているように感じられます。
相当に怖い情景が伝わるのですが、その一方で絵画としての美しさ、静謐観にも引き込まれるんです。
三田尚弘さんの日本画も静謐な美しさをたたえます。
繊細で洗練された気配感が印象に残ります。
日本画の渋い気配が続いたとことで一転、森口裕二さんの作品には、シャープな発色と線とで鮮烈な雰囲気をもたらされているように感じられます。
場面の危うさと、その描写の鋭さとがもたらす緊張感とクールネス。グラフィカルな面白さにも溢れます。
石黒賢一郎さんの圧倒的な再現性、これが絵画であることの嬉しさが心に溢れます。
女性の横顔の描写の精度と、画面全体を覆うグレーの淡々としたトーン、マチエルの渋みなど、ひとつひとつの要素に惹かれます。
龍口経太さんの作品も1点。常に高く保たれる洗練された風合いと高貴な雰囲気に触れられるのが嬉しい限り。画面にもたらされるひとつひとつにもたらされる繊細さ、どこか霞むような朧げな気配感、そして観る者の想いを吸い取るかのような深く静かな魅惑性。加えて真正面の構図が、画面の中の世界に深い冷静をも感じさせてくれます。
山口英紀さんは2点出品されています。1点は珍しく、全体がぼやける感触に仕上げられ、どこか夏の夜の空気感、月明かり照らされて、静かなノイズが聞こえてきそうな独特の臨場感が静かに溢れます。なんとなく幻想的なところへと誘う場所のような雰囲気をもたらしているようにも感じられます。
もう1点は構図に知性があふれます。
円形の画面の縁に沿い、月の満ち欠けが順に描かれ、それが硬質な雰囲気をもたらす中、画面中央の切手の画像の面白さ、そこに広がる方眼のシャープさなど、そこにあるものが静かに響き合い、豊かな深みが奏でられているように思えます。
大森暁生さんは、木彫作品が2点。
木彫りの味わいを力強く感じさせてくれる獅子の面、そして弾丸が雫のように落ちかける十字架の硬質な仕上がりの面白さ。それぞれの雰囲気や世界観は異なるものの、木彫の深みと造形が醸し出す臨場感におおいに感嘆させられます。
重厚な静謐感を備える作品がずらりと並ぶなか、草井裕子さんの作品は、やわらかい色彩のドローイング的なもので、その軽やかさが今回の展示に心地よいアクセントをもたらします。
色のやわらかさにまず惹かれ、じっくりと眺めると実に緻密な線が高密度で施され、複雑な紋様が密集しているのに気付かされます。モチーフの有機的な感じも妖しいイメージをもたらしてくれます。
地下のスペースには村田兼一さんの写真作品が。画面の中の世界観の異様な濃密さに圧倒されつつ、その美しさ、質の高さも印象に残ります。
須田悦弘さんの「雑草」。初日に伺った際は気付けず、2度目に伺ったときにようやく。
このさり気なさ、圧倒的な再現性の高さが、この中に雑草が生えている違和感を一瞬忘れさせてくれます。
たったこれだけで圧倒的な存在感を静かに放ちます。
この造形の見事さには分かっていても感嘆させられます。
とてつもなく深みあるクリエイションが並んでいて、そのひとつひとつに対してじっくりと対峙したくなる空間です。
■9/18 Fri
足立喜一朗「シャングリラ2」
03-5272-2476
9/18(金)~10/24(土)日火休
11:00~19:00
のそのそと動く、緑に覆われた大きな幼虫のような作品のなんともいえないかわいらしさ、ギャラリーの真ん中に吊るされる緑の球体の鳥かご。それらが提示する人工物と自然物との奇妙な共存にさまざまな想いが過ります。
さらに、さまざまなサイズのタブローが展示されていて、これが面白い!抽象的な色彩の広がり、飛沫とそこに描き加えられる緻密な線描が有機的な情景を導き出し、ぐんぐんと引き込まれていきます。
村田朋泰展「2」
03-3621-6813
9/19(土)~10/17(土)日月祝休
11:00~19:00
初日に伺えないのでフライングで前日にちょっとだけお邪魔してきました。
これまで六本木での個展で展開されたどこか軽妙な雰囲気から一転し、今回の個展ではストイックにさまざまなイメージが追求されているように感じられるのが強く印象に残る空間が展開されています。
インスタレーションの深遠さ、ずらりと並ぶ平面作品など、そこにあるすべてが何らかの意味を持っているように思えてきます。じっくりと対峙したい空間です。
天野亨彦「918」
東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F
03-3445-8988
9/18(金)~10/17(土)日月祝休
12:00~20:00
これまで拝見してきた天野さんの作品の破天荒ぶりから考えると、実に硬質で知性にあふれる空間が創り出されています。
平面作品のみでの構成、しかもそれらには文字的なものが描き込まれ、それが音声に変換されないもどかしさとグラフィック的な面白さとが混在し、不思議なスピード感を伴いながらシャープに迫ってきます。
■9/19 Sat
シルバーウィークの最初の2日間を使い、名古屋から神戸まで遠征。
侮っていたわけではないのですが、さすが大型連休、新幹線の尋常でない混み具合にいきなり「名古屋まで新幹線自由席立ちっぱなし」の洗礼を浴びてしまいまして。
それはともかく、まず名古屋で降りて、愛知県美術館での「放課後のはらっぱ -櫃田伸也とその教え子たち-」を拝見。
新幹線立ちっ放し移動でけっこう疲れていたのですが、展示室に入ってまず出迎えてくれた櫃田伸也さんの作品が「あ、これ好きー」みたいな感じでそれが嬉しくて、気持ちよいポジティブな気分にいきなり浸れた次第。
とにかく貴重な展覧会だなぁ、と。奈良美智さんをはじめとするさまざまなアーティストの初期作品を目にするたびにさまざまな想いが過ります。いちばん印象的なエピソードが、加藤美佳さんのエスキースにまつわる話で、なんとも嬉しい気持ちに。
展示後半に出てくる、参加アーティストが「櫃田先生」を描いた肖像画がずらりと並ぶ壁面が楽しいです。参加しているアーティスト全員が、この展覧会に参加できている喜びと誇りが伝わってくるようで。
横内賢太郎 新作展 imprintinroom
052-264-7747
8/1(土)~9/19(土)日月祝・8/9~8/21休
11:00~13:00、14:00~18:00
まず1階の油彩作品に圧倒された次第。1階奥以降に登場するサテン地のお馴染みの作品はアブストラクトな雰囲気をさらに深めていて、その手前の油彩作品のアバンギャルドなテクスチャーとが生み出している相当にヴィヴィッドなギャップにやられました。
小品で展開される実験的な創作も興味深いです。
ignore your perspective 8
075-693-4075
9/5(土)~10/10(土)日月祝休
11:00~19:00
お馴染み、児玉画廊がさまざまなクリエイションを紹介する企画、今回も大勢のアーティストが紹介され、見応えのある展覧会となっています。
野原健司さんの平面作品、さまざまな材質が大胆に画面に取り込まれ、実にダイナミックなテクスチャーが生み出されています。そこに描かれるモチーフと抽象的な背景とのコントラストも独特な深みをもたらしているように感じられます。
先に開催された個展も印象的だった貴志真生也さん、今回はオブジェ的な作品を発表。
ざっくりとした造形のそこかしこに潜むアクセントが、なんとも不思議なイメージを生み出しています。独特の味わいと世界観が滲みます。
西森瑛一さんの微妙なストロークの痕跡が黒い画面に残る作品も興味深いです。
今回初めて紹介される梶原航平さん、実にシュールな物語が放たれます。
要素の立ち上がりのヴィヴィッドさ、程よく荒れる筆遣いが生み出すダイナミズムなど、さらにどんな世界が展開されるかも楽しみです。
三家俊彦 "still river"
075-693-4075
9/5(土)~10/10(土)日月祝休
11:00~19:00
圧巻のインスタレーション。アルミホイルでできた無数の武将が床一面を覆い尽くし、その情景にただただ圧倒されます。
加えてステンレス板を削り、研磨して描かれる抽象世界にも引き込まれます。さまざまなテクスチャーが生み出され、ミニマムな要素の集積が凄まじい密度となって迫るんです。
桑田卓郎展
075-353-9992
9/11(金)~10/17(土)日月祝休
11:00~19:00
セラミックとしては信じられないくらいに鮮やかな発色が楽しいです。
表面の乳白色、さまざまな色調が放つフレッシュな感触、加えて渋いメタリックの仕上がりなど、さまざまなテテイストが一体となり、なんとも嬉しい雰囲気が導き出されています。
ちいさな食器なども。まるで粘土細工のようなほっこりとした造形も楽しいんです。
大きな壷の迫力も痛快!
さまざまな面白さが溢れます。眺めているだけで軽やかな気分が広がります!
Varda Caivano The Inner Me
075-353-9992
9/11(金)~10/17(土)日月祝休
11:00~19:00
独特の深みが展示空間内に漂います。
わずかにベージュ系の色調に塗り替えられた壁面と、ほどよく抑えられた照明がナチュラルな気配をもたらし、そこに展示される抽象的な情景にさらに深みをもたらします。
絶妙な作品の配置、それも深い情景観をさらに押し上げます。刹那的なイメージとともに、淡々とした深遠な世界観も伝わってきます。
名和晃平展 Transcode
06-6964-2323
9/19(土)~10/17(土)日祝休
13:00~19:00
身体感覚へのアプローチがとにかく興味深いです。
これまでもさまざまな手法で感覚のズレが提示されてきたような印象を覚えているのですが、今回の作品はその伝わる過程をさらに短くしたような感じします。
その伝わり方は、展示空間に入った瞬間に現れる作品群の造形としての美しさに、思わず涙が出そうになるほど。そしてさらに奥のスペースで繰り広げられている展開の臨場感にも圧倒されます。
■9/20 Sun
朝一で神戸アートビレッジセンターへ。先に開催されたラディウムでのグループショーなど、拝見するたびに嬉しくなるシルクスクリーン作品を発表される芳木麻里絵さんが参加されている展覧会1floor2009「THREE DUBS」へ。
着いたのが10時40分頃、建物の中には入れたものの、展示室はシャッターが下りたまま。確認すると、12時から。
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シャッターがバータイプなので展示状況はなんとか眺めることができたのですが、芳木さんの作品を遠くから眺めてどうなんだ、と。まあまあまあ。
田中真吾「灯に照らされた闇」
8/29(土)~9/27(日)土日のみ(9/21~9/23は要予約)
13:00~20:00
これまでもeN artsなどの展覧会で拝見し、印象に残っている田中真吾さんのアトリエでの展覧会。壁面、天井、床面も黒く、照明も落とされた空間で、そのうちのひとつの壁面一面に、漆喰状の白い画面にお馴染みの炎でのドローイングが。それをロウソクの明かりで眺めるという展示。
火で描かれているのに、水墨的、もっと言うと「書」のような奥行き感が伝わってくるのが印象的です。ストロークが力強く、それらの集積と余白とが不思議な深みを奏でます。
ある風景の中に In a Landscape 梅田哲也/岡田一郎/鈴木昭男/ニシジマアツシ/藤枝守/矢津吉隆
075-213-1000
9/15(火)~10/18(日)
10:00~20:00
面白い!
それぞれの展示スペースで実に深いインスタレーションが繰り広げられています。
矢津吉隆さん、南ギャラリーへ行く途中の廊下か例の回転体がかわいらしく回っていて、展示スペースに入るとさまざまなものが薄暗い中に回っています。眼鏡や紙コップ、果てはキューピー人形までが高速で回転していて、それが独特の美しい情景を導き出しています。
梅田哲也さんのインスタレーションも、独特の世界観が。白くて大きな風船がまず目に付く空間、むしろ散らかった感じが日常的な臨場感を醸し出すなかに、唐突にベルの音やら、水が満たされた流し台に浮かぶ食器がぶつかって出るカラカラという衝撃音、お馴染みの自ら泡が出る音など、さまざまな音に溢れます。今回は自然光がたっぷりと注ぎ込む空間ということもあり、照明の変化こそなかった(わからなかった?)ものの、奥のほうに羽が舞っていたりと視覚的なアクセントにも溢れます。
藤枝守さんのインスタレーションの静謐にも大いに惹かれた次第。ミニマムなノイズ、硬質な空間構成、重厚なクールネスが空間全体に満ちていて、じっくりと対峙したい時間が紡がれます。
鳥展 大野麻里
075-256-6155
9/15(火)~9/20(日)
12:00~19:00(最終日:~18:00)
赤いペンで描かれるキュートな情景。キャラクター的なモチーフも独特のかわいらしさが醸し出されます。密度も楽しいです。
今回の作品はパネルに直接、あるいは水張りの紙に描かれた作品だったのですが、キャンバスの作品もぜひ観てみたいです。
河井菜摘 "残像"
075-211-7526
9/15(火)~9/20(日)
13:00~20:00(日:~18:00)
今年の京都市立芸術大学の卒制展で印象に残っている河井菜摘さんの個展。
先に拝見した作品は平面だったのですが、今回はキューブ状の作品が空間に配置され、より重厚な雰囲気が創り出されていました。
艶やかに漆が塗布されたキューブ、そこにピンホールカメラによってダイレクトに投射される風景。ギリギリの陰影で現れるさまざまな場面はいっそうの究極的な深遠さに満ち、その気配にもおおいに惹かれた次第です。
アートまぶさび 寺田就子 西奥栄利子
京都府京都市東山区三条通白川橋西入上ル石泉院町 戸川ビル3F
075-751-9238
9/15(火)~9/26(土)月休
12:00~19:00
寺田さんの作品はこれまでも何度か拝見していたのですが、今回も、素材の面白さが活かされるのと同時に、繊細な気配が丁寧に紡がれるちいさなインスタレーションが展開されています。貫かれる透明感が神々しいイメージをもたらしてくれます。
西奥栄利子さんの作品は、白で統一され、微妙なテクスチャーで水面の状況などを表出させていて、その緩やかな気配感が印象的です。
ふたりの作品の響き合いも心地よく感じられた次第です。
パラモデル個展「P級建築士事務所」
075-950-5230
9/12(土)~10/4(日)月火祝休
12:00~19:00
画面に配されるおもちゃのレール、間取りによるダイナミックな展開。
今回のパラモデルの個展は平面作品を中心に発表されていて、その外へ外へと向かう感触が印象的です。
また、ミニチュアの動物の口などを細いチューブが繋ぐ作品も、パラモデルらしい空間の使い方が楽しく、それがミニマムな容積のなかで展開されていたのが興味深く感じられた次第です。
■9/21 Mon
吉田修一×南川史門「横道世之介」
03-6276-1452
9/16(水)~9/23(水)
12:00~19:00(日:~17:00)
芥川賞作家の吉田修一氏の連載小説に掲載された南川史門さんの挿絵が一挙公開された展覧会。
味わい深い線と色調で描かれるさまざまな場面、物語は未読なのでどの絵がどんな場面を示しているか分からないのがもどかしかったりもしたのですが、独特の世界観に触れられたのが嬉しかったです。
本も早く読みたい!
■9/22 Tue
池田学展
026-247-6111
7/31(金)~10/6(火)
9:00~18:00
高橋コレクション展で巡回している作品を除くすべての大作が一挙に展示され、それが観られたのがまず何より嬉しかったです。サインもなんとか、少なくともカラーの作品のは見つけられて安心。
池田さんの変遷を堪能する一方で、過去の作品でさえも充分にインパクトを放ち、好奇心を煽り、鑑賞者の意識を一気に引き込む力は相当なものであることを実感。どれも一度観始めると止めようにも止められないんです。
兼未希恵展「ハナハナサケサケ」
050-3780-3242
8/24(月)~9/25(金)土日祝休
12:00~18:00
Mikie Kane exhibition "Hana hana Sake sake"
1-13-1,Yurakucho,Chiyoda-ku,Tokyo
050-3780-3242
8/24(Mon)-9/25(Fri) Closed on Saturday,Sunday and national holiday
12:00-18:00
第一生命南ギャラリーでの兼未希恵さんの個展です。
兼さんの作品はVOCA展で拝見していて、その構図の面白さ、横長の画面が上下に分けられそれぞれで異なる空間を描き、そのコントラストが広がりを伴うイメージをもたらしてくれたのですが、今回の個展ではそれを空間全体で行ったかのような構成が興味深いです。
両端の壁面、入り口より右手には雲が浮かぶ青空を描いた絵が。
その向かいには、夜、浮かぶ月。
ひとつの空間に「昼夜」が配されることで、もうふたつの作品のイメージに時間的な広がりを思い起こさせてくれます。そして、向かい合うもう2面に展示された作品も、上記の両端の作品の対比と近いコントラストが導き出されています。
画面いっぱいに描き込まれる無数の青い小さな花。
背景は和紙の色がそのまま採用されていて、それが不思議な浮遊感をもたらして、さまざまな方向を向きながら咲く花の細かいリズムもなんだか楽しげです。
この花は屋外でこそ咲くそうで、すなわち自然光があるからこそ存在する花で、晴天時のお昼前後の数時間しか開かないらしく、それがこれだけ無数に咲き誇っている様子が提示されるとその時間のイメージもより鮮明になってきます。一日のうちの数時間しか咲かないことの刹那な感じ、これだけの群れ、画面全体から迫る情報の密度をもってしてもなお、そこにどこか儚い気配を感じるのも興味深いです。
そしてこの空間でもっとも長い壁面には、花屋の花がずらりと並び描かれています。
この空間に入った瞬間に眼前に広がる圧倒的な色彩の数々。岩絵の具の美しさが存分に発揮された感じ、加えて線描のシャープさが、現代的な風合いを醸し出します。
ひとつひとつの花の描写の丁寧さにもおおいに惹かれます。
圧倒的なバリエーションが展開される横長の画面、そこにびっしりとひっきりなしに描かれる花々のかわいらしさ、凛とした表情。
それぞれはしかし、どこか人工的な感触も滲んでくるように感じられ、それが「花屋」の花の刹那を思い起こさせてくれます。
昼夜関係なく、咲く花を光の下に常に晒す様子に、先の小さな青い花とは異なる儚さが伝わってくるような気がします。
一方、ずらりと並ぶその圧倒的な数量から「選ぶ」面白さも伝わってきます。
これはもう想像上でなのですが、いいなぁ、と思った花を画面より抜き出して別の空間に生ける、そういう連想がひとたび始まると、またそれも楽しかったり。
展開のダイナミックさを思うと間違いなく相当なボリュームの作品なのですが、その実、シンプルな花の絵のように、もっと言うと一輪の花の絵の集積のようにも思えてきます。
この空間でしか体感し得ない壁面構成、そして何より岩絵の具本来の純粋な美しさが印象に残る展覧会です。
鎌谷徹太郎 Picasso vs Bacon
03-3563-8003
9/9(水)~9/26(土)日月祝休
12:00~19:00
Tetsutaro Kamagaya Picasso vs Bacon
03-3563-8003
9/9(Wed)-9/26(Sat) closed on Sunday,Monday and natinoal holiday
12:00-19:00
「クラシックからの引用」が加速をもたらす、その描写の精度の面白味。
Gallery Cellarでの鎌谷徹太郎さんの個展です。
今年に入り、名古屋から東京は銀座へと移転し新たなスペースをオープンさせたGallery Cellar、ここでお馴染みのアーティストの中でもっとも気になっているひとり、鎌谷さんのクリエイション。前回の名古屋での個展はタイミングが合わずに伺うことが叶わず、また作品は今年のアートフェア東京などでも拝見していたのですが、ようやく個展で観られたことがまず嬉しく、加えて今回は新たなコンセプトへ挑まれ、そこに再現性の高さに加えこれまでとはまたひと味違うユーモアも大胆に織り込まれた実に興味深い世界観が創り出されていて痛快です。
今回の個展では西洋絵画のクラシックを代表する、数多く存在する作家のなかのふたり、Francis BaconとPablo Picassoの世界が大胆に引用され、それが独特な面白さを醸し出しています。
現代に蘇るその雰囲気。
ぱっと目にして「あ!」と分かる感じが、その世界への距離感を一気に縮めてくれるのと同時に、その独特のマチエル、不思議な透明感を保つ画面がこれまで体験したことのないイメージへと誘ってくれるんです。
そしてその特徴的な画面が、色自体が持つポジティブな鮮やかさを引き立たせ、いかにもあのピカソ的な世界観に異なる深みが備わっているように思えます。
制作過程が実は相当にユニークで、ここに現れる色彩はすべてがペインティングではないのだそう。
支持体にプリントされたもとの画像と、そこに上から描き足されるさまざまなテクスチャーがなんとも不思議なぼやけた感じ、もしくはさらに細密な再現性とをもたらすことで、独特の雰囲気が創り出されます。
しかも支持体にプリントされる画像は自身が作成したジオラマ的なもの、ちいさな模造を撮影したもの。複雑な道具の使用の行程が、実に現代的な感覚を表出させているように感じられます。加えて最後に画面表面に艶やかな仕上げが施されることで、プリントとペインティングとの差異が限りなく消え、なんとも不思議な精度と風合いを保つ情景が導き出されるんです。
しかし支持体に画像が使われていることへの抵抗感は一切感じられず、むしろ提示したい世界観の精度を上げることに純粋に貢献しているように思えるんです。
ピカソの滑稽な感触、そこに注がれるユーモアの可笑しみ、ファニーな軽やかさから一転、ベーコンの世界観が引用された作品では独特の透明感はそのままに、そのストイックな雰囲気、シャープで瞬間的な動きがドラスティックに捉えられているような印象を覚えます。とにかくかっこいいんです。
動きや歪み、シチュエーションの面白さなどが巧みに引用され、そこにさまざまなアイデアがさらに折り重ねられたり、あるいはその表情をストイックに現代に再生させていたりと、そのひとつひとつが持つ雰囲気に引き込まれます。
モチーフとなった作品と見比べると、その現代的な雰囲気がよりいっそう立ち上がって感じられます。
ここで繰り広げられる現代的な感覚からは、さまざまなイメージを思い起こさせてくれます。
西洋絵画のクラシックが引用されることで、現代的な平面の解釈が立ち上がってくるようにも感じられます。確実に「本物」は絵の具の立体感、臨場感の凄まじさが力強く伝わってくると思うのですが、鎌谷さんが描く作品は伝えたいイメージが優先され、そこに描かれる情景そのものの爽快感や面白味がより高速に観る側の感性に届くようにも思え、しかしそのために展開される行程の独創性は、いわゆるペインティングとは異なる、これはこれで実に個性的なマチエルも獲得しているように感じられるんです。
何より、まずはぜひ直にご覧頂きたい作品群です。
大矢加奈子展
03-6805-0840
9/4(金)~9/27(日)月休
11:00~20:00
Kanako Oya exhibition
5-1-15-B1F,Jingumae,Shibuya-ku,Tokyo
03-6805-0840
9/4(Fri)-9/27(Sun) closed on Monday
11:00-20:00
さらにソリッドな深みを放つ、シャープな艶かしさ。
hpgrp GALLERY 東京での大矢加奈子さんの個展です。
Gallery jinでの個展、芸大での学内展、HP FRANCE丸の内のウィンドウやART OSAKAでの堂島ホテルで繰り広げられたバスルームでのインスタレーション、などなど...。初めて拝見したときから相当に高精度の表現性に圧倒され、そこから確実な進化と広がりを感じさせてくれているのですが、今回の個展でもやはりその全身と拡大は留まりを見せることなく、さらに大胆なアプローチと構成に引き込まれます。
おなじみの水まわりの情景を描いた作品も、構図の良い意味での硬さ、それが持つ幾何学的な面白さがより引き出されているような感じがして、これまで以上にハイスピードでその気配に意識が入り込んでいきます。
人物を描いた作品は逆に有機的な要素がいっそう濃密に展開されているような感触が印象的です。
さまざまなテクスチャーやアプローチが駆使されるペインティング。絶妙な濃淡で織り成されるグラデーションのある種金属的にも感じられる陰影の感触、それと垂れる絵の具の生々しさとが同居し、銅像のようなずっしりとした重厚感とは裏腹の危うさにも溢れているように思えます。その独特な雰囲気を加速させる背景の白、そしてパネルのフラットさが、虚空感を漂わせているように思えるのも印象的です。
初めて拝見した時から一貫する色調の統一感で、展示されている大作それぞれが異なる気配を思い起こさせてくれるのも印象的です。
先に紹介した作品が、女の子の立ち姿を正面からストレートに捉えた構図が硬質な雰囲気を加速させていたのとは一変、ふたりの女の子の自然な佇まいが描き上げられた作品は、その雰囲気、物語性が膨らみます。ゆらりと揺らぐような気配の感触が、今度は有機的なスリルを奏で、ところどころに現れる絵の具のムラが妖し気な空気感を醸し出します。
このような情景で、多く用いられる暖色系の色調の本来持つ気配感が発揮されているような感じがして、いっそう濃密な雰囲気を生み出し、より深い臨場感をもたらしているように思えます。
そしてその無機と有機とがひとつの画面で交錯すると、さらにユニークな気配が生み出されます。
ただ眺める、まず伝わってくるのは女の子が床に座る状況なのですが、そこにはなんとなく違和感が満ちているというか、どこかズレのような感触に捕われます。白抜けの床面に浮かぶ柄のようなドットですら浮遊しているような感じや、手前に置かれるさまざまなアイテムが女の子と同じ空間にいる、あるという確信が得られなかったりなど、子の画面に描かれる状況の論理的な現実感は少なくとも僕には一切の説得力をもたらさず、逆にそのズレの感触に大いに惹かれるんです。
加えて、例えば履くハイヒールの圧倒的な艶やかさなどを観るにつけ、あたかも研磨されたかのような仕上がりに尋常でない凄みを感じたり。。。この平面空間に配されるさまざまな要素、それらによって生み出される調和と衝突、過剰に整頓されつつもかえってそこに導き出されている複雑な混沌、それがとにかく面白いんです。
小品では、小さい画面だからこその密度の濃さが印象的です。
ドールハウスや山並み、それぞれのモチーフのユニークさも興味深く感じられます。
高いアベレージを保ちながら、そこからさらにポジティブな方向へと突き進み続けるクリエイション。その力強い展開は実に頼もしく感じられます。
僕はまだ読んだことがないのですが、以前ラジオで宮台真司氏が京極夏彦の分厚い小説を評して「どこから読んでも面白い」と仰っていたのと思い出したのですが、大矢さんのクリエイションもそれと同様に「いつから観ても面白い」、そんな印象をあらためて感じた次第です。
このクリエイションが退行することはおよそ想像できない、まず間違いなく精度はさらに突き詰められていき...しかしポジティブな「裏切り」がもしあるのだとしたら大いに期待したい、そう期待させてくれるアーティストのように思えます。
緑陰幽草 by 藤井雷
@閑々居
03-5568-7737
9/11(金)~9/23(水)
11:00~18:00
Ryokuin-Yuso by Rai Fujii
1-8-4-5F,Shinbashi,Minato-ku,Tokyo
03-5568-7737
9/11(Fri)-9/23(Wed)
11:00-18:00
この風合いが、現代の感覚で堪能できる喜び...。
閑々居での藤井雷さんの個展です。
藤井さんといえばなんといっても横浜美術館で開催された「日本×画展」の印象が強いのですが、そのときに展示された延々と続く「封筒絵」、それが展開するめくるめく情景の変化になんとも言えない高揚感が湧いてきたのが今でも忘れられず。
そして先に黄金町で拝見した個展で、水墨画としての滋味、豊かで繊細な深み、そこかしこに軽やかにもたらされるあたたかい滑稽さに加え、そこに注がれる現代的なアプローチの面白さにも大いに引かれた次第。
そして今回の閑々居での個展。
画廊内に和室を備えるスペースに展示された作品は水墨画としての本領が充分に発揮され、空間ごと心に染み入るような穏やかで深遠な雰囲気がなんとも心地よく感じられて、それが何より嬉しく思えます。
都会の雑居ビルの典型、そんな感じを彷彿させる外階段を通ってギャラリーの扉を開くと、まず出迎えてくれるのが提灯絵でございます。
提灯というもののかたちが自然に醸し出す可笑しみがなんとも味わい深く伝わり、そこに施される絵の朴訥とした濃淡、綴られる情景の豊かな奥行き、そしてそこで繰り広げられる場面の面白さ...さまざまな味わいが小気味よく、そしてじんわりとした重みを伴って迫ってきます。何だか嬉しくなる感じが良いんです。
細い通路部分には額装された色紙絵的な小品が並んでいます。
「間」の取り方、画面の空間の豊かさに、イメージも緩やかに広げられていきます。
ほぼ統一される色調、画面の大きさとそこに描かれる情景の縮尺感の揺らがぬバランス。落とし込まれる情報の量の程よさが、あたたかで和やかな印象をもたらしてくれます。
そして作品によってはそのなかにころりと忍ばされる軽妙な違和感も、楽しさや現代的な深みを思い起こさせてくれるんです。
額装作品は、他にも模写のがあり、こちらも見応えがあるんです。
和室へ。畳敷きが嬉しいちいさな空間、靴を脱ぎ、框を跨いで畳に座して、対峙する軸層の作品が2点。
それぞれが、藤井さんの水墨画家、ひいては日本画家としての矜持をひしと感じさせ、懐の深さをじっくりと見せてくれている一方で、やはりそこに注がれる現代的な感覚が、その絵にある種の鋭さ、際どさをもたらしているように感じられ、大変興味深いです。
漆喰の壁に黒い軸が映え、そのなかに描かれる鬱蒼とした細道の情景は、その奥から光が放たれているかのような深い力強さをたたえ、静かに観る者に迫り、その意識を引き込んでいきます。
水墨画としてのストレートアヘッドな仕上がり、モノトーンで沈むように描き上げらた情景。手前にさり気なく、数枚の葉を付ける苗のようなちいさな木。その葉の緑色は墨の黒よりも濃く深く、しかし静かにその存在感を醸し出しています。
描かれる情景の深み、水墨画としての味わいにひたすら酔いしれます。
そして、その豊かな味わいに充分浸らせてくれるがために、具体的にどこであるかというのは、少なくとも僕にはもはや関係なくなってきます。
もしかしたら藤井さんにとって想い出深い場所なのかもしれない、もしくは前回の黄金町の個展や横浜美術館での展開などからの流れを考え、現存しない情景、いくつかの風景が組み合わせられたフィクショナルなものなのかもしれない,,,。
作品の深み、その絵としての純粋な面白さを左右するところではない部分で、さまざまな想像を思い起こさせ、広げてくれるところに現代美術としての面白さを感じるんです。
まさにここで、古くから連綿と続く水墨画の流れと、さまざまなヴィヴィッドでエポックな出来事がダイナミックに起こり続ける現代美術の流れとがここで交錯している、その現場に立ち会えているような気がして、そこにも嬉しさを感じてしまいます。
そんな深い想いに浸っていて、框のところに置かれるうちわ絵を眺めると力が抜けて楽しくて。
奥に展示されたもうひとつの提灯絵も実に楽しい、大胆にユーモア溢れる感じが嬉しかったりします。
実にユニークな立ち位置で、そのユニークさをふんだんに活かしながら、自らのペースでクリエイションを展開していくような印象が実に頼もしく思えます。
これからもその独創的なスタンスで、アートシーンのアクセントたり得てほしい、そう思わせてくれる希有なクリエイション、そういう印象をいっそう強くした次第です。
《9/11》
政田武史 "New Works"
03-3373-2860
9/10(木)~10/8(木)日月祝休
11:00~19:00
やっぱり面白い!
これまでのストロークを重ねる手法はそのままに、その大きさに大小のバリエーションが加わり、そのコントラストがもたらす奥行きにスリリングなダイナミズムが感じられます。
大判の水彩のドローイング作品も展示され、あのアバンギャルドな世界に俯瞰、至近と両面の視点からに置ける広がりがもたらされていて見応えがあります。
今村哲 新作展
03-3378-6051
9/11(金)~10/24(土)日月祝休
12:00~19:00
前回の個展では凄いインスタレーションを行った今村さん、今回はペインティングのみで構成。さまざなまモチーフの大作が並び、しかし作品に描かれる情景との距離感が共通しているような、不思議なところに統一感を感じるのが興味深いです。
東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F
03-5449-8122
9/7(月)~10/4(日)9/14、9/24、9/28休
12:00~20:00
ふたりの女性アーティストをフィーチャーするお馴染みの企画。
Gallery Jinでの個展などで常に印象的な作品を拝見している増子博子さん、大作でのさらにクールなかたちに育った大作が面白いです。
河野里沙さんも大作を発表、そのサイズによって放たれる迫力と深みが面白く、メランコリーな雰囲気が緩やかに溢れる感触と、独特の風合いで描かれる登場人物の憂いを帯びたような表情も印象的です。
SZ vertual/actual [pneuma]
03-5422-9699
9/11(金)~10/10(土)日月火祝休
12:00~19:00
インタラクティブなインスタレーション。
時間に余裕がなく、最初に伺った日は残念ながらそれを体感することが叶わなかったのですが、その設置状況がすでにクールでかっこいいんです。
あらためて伺って体感するのが楽しみです。
青木陵子作品展「オブジェクト・リーディング」
03-5835-2285
9/11(金)~10/10(土)日祝休
12:00~19:00(初日:~18:00)
本来の意味は違うかもしれないのですが、「スーパーフラット」の意味が感覚的につかめたような感じが印象的です。
さまざまな紙に描かれるドローイングがギャラリーの壁面に散らばり、それらの「画像」の面白さがシンプルに伝わってきて面白く、その面白さの感触が、リリースされた画集を観た時の面白さと変わらないのが興味深いです。
「月人間展」石黒賢一郎/大森暁生/三田尚弘/須田悦弘/草井裕子/龍口経太/平林貴宏/森口裕二/山口英紀
03-5829-8735
9/11(金)~9/26(土)日祝休
11:00~19:00
とにかくこの面子の作品が揃って面白くないわけがなく。
龍口さん、平林さん、三田さんといった日本画群、石黒さんと山口さんといったスーパーな再現性を誇る平面などなど、それぞれが放つ濃度と説得力に大いに引き込まれます。
《9/12》
片山高志展
03-5524-1071
9/7(月)~9/12(土)
11:00~19:00(金:~21:00、最終日:17:00)
実に楽しい、シュールでブラックな世界が展開されています。
溶けるアイスクリームがスーツを着込む、ガードマンの卵が割れている、擬人化されたポストなど、描かれるモチーフのアバンギャルドさがいちいちブラックな可笑しみを醸し出します。
空間の大胆な使い方が放つ面白さも。
繰り返される溶けるアイスクリームのモチーフ、切れ味鋭い画面構成とそれが奏でる痛快な奥行き感がとにかく楽しくて、ユーモアも加速します。
クリアに描き上げられたキャラクターたちがもたらす動きのイメージ、そしてそこかしこから溢れる歪みや唐突さがとにかく興味深いです。
肖像画的な作品も相当にシュールな面白さを放っています。
描かれる要素がひとつひとつが分かりやすくて、それらが持つ雰囲気や面白味がキャッチーに伝わるのが強みとなって、めくるめくシュールな世界が繰り広げられているのが楽しいです。もっといろんな展開を観てみたいクリエイションです。
羽毛田信一郎展 気味の悪いこんにちはが来ます
03-3563-4578
9/7(月)~9/12(土)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
再訪。
とにかく大作が素晴らしい!
陰影の豊かさと緻密さ、描かれるキャラクターのシュールで無邪気な姿、そして懐かしい雰囲気が醸し出されるモノトーンの世界観。独特の深みが楽しさを膨らませます。
他のコンパクトなサイズの作品でも、その雰囲気は保持され、溢れる渋みのなかに展開される大人びたファンタジーがなんとも心地よいです。
緑陰幽草 by 藤井雷
@閑々居
03-5568-7737
9/11(金)~9/23(水)
11:00~18:00
横浜美術館での「日本×画展」での膨大な時間をそのまま落とし込んだ作品、そして先日黄金町で拝見した個展と、それぞれ興味深い世界観が印象に残る藤井雷さん。今回の個展は畳が敷かれる和室があるスペース、閑々居での個展で、連綿と続く滋味に溢れる水墨作品とじっくりと対峙できることが嬉しく、そして何よりこの雰囲気に現代の感覚がしっかりと備わっていることが痛快に感じられます。額装された小品、軸層の作品、提灯絵とバリエーションに富んだ構成も興味深いです。
熊谷直人 "p d"(d)
03-5791-4484
9/5(土)~9/19(土)日月祝休
11:00~19:00
前回のペインティングの展示も印象的だった熊谷直人さん、今回はドローイング作品による構成で、一帯どんな感じになっているのだろうと想像していたら・・・
ど、どんだけ!Σ( ̄口 ̄;)
この空間の相当に広い壁面がすべてドローイング作品で覆い尽くされていて圧巻。
MEGUMI OGITA GALLERYでの竹谷満さんの個展でも展開された展示手法ですが、とにかくこのスケールで繰り広げられて、その雰囲気に圧倒されます。
伺うとここ10年ほどで描き溜められた作品を並べているとのこと。
それだけにさまざまなモチーフが並び、見応えがあります。
前回のペインティングで繰り広げられていた展開を思わせる抽象性の高い作品もそこかしこに。
さらに遊び心や実験的な雰囲気に溢れるものも。
密度の濃い展開が興味深い作品も随所に。
熊谷さんご自身も何点展示されているか分からないという、そのボリュームがとにかく痛快です。そしてそこから興味深い情景が立ち上がってくる感じもまた楽しいんです。
Chosil Kil "RING THE BELL"
03-3711-4099
9/12(土)~10/10(土)日祝休
12:00~20:00
おそらく100年後に同じ展示を行ったとしても、そのクオリティは変わらないのではないか、と思わせてくれる、深い説得力が印象に残る展覧会です。
ただそこに、そのままのかたちで置かれているだけなのに、その「もの」が過ごした時間が深みをもたらし、シンプルな構成が美しさをも放っているように感じられます。
じっくりと感じ、そこに様々な思いを重ねていきたいです。
《9/13》
駒沢公園ハウジングギャラリーで開催のKOMAZAWA MUSEUM X ARTへ。
住宅展示場でのアートの展示は昨年の横浜で拝見していてそれが凄く面白かったことが印象に残っていて、ただ時間に余裕がなく充分に観られなかったこともあり、今回は休日に充分時間を取って観てきた次第。
やっぱり楽しいです、これまでギャラリーで拝見してきたクリエイションがいつもと違う表情を見せてくれていて、そのひとつひとつが嬉しく感じられます。
会期も27日までと長いのもありがたいです、ぜひいろいろと見付けていただけたいです。
《9/14》
南舘麻美子展 窓とカーテン―窓からの眺め、ユートピア
03-3572-7971
9/14(月)~9/30(水)日祝休
11:00~19:00(最終日:~17:00)
朴訥とした感じが不思議な風合いをもたらす南舘麻美子さんの作品たち。
今回は大判の版画作品に加え、膠彩画や木彫作品も多く出品され、独特の世界観の中に豊かなバリエーションが繰り広げられています。
木版画作品は相変わらずの渋み、深みを伴うかわいらしい世界を奏でます。
膠彩画は、その味わい深いマチエルが印象的です。
沈み込むような深みを醸し出す色調と、それによって淡々と奏でられるファンタジックな雰囲気に、ゆったりと引き込まれます。
コミカルな表情が織り込まれた作品も。
不思議な可笑しみが滲みます。
木彫作品の朴訥とした風合いも心地よい響きをもたらします。
彩色の丁寧さとそこに現れる表情のあたたかみ、そしてそこから流れるまろやかな雰囲気に和まされます。
岩掘敏行展ディサフィナード | 音痴
03-3572-7971
9/14(月)~9/19(土)
11:00~19:00(最終日:~16:00)
VOCA展で拝見した時は「なんでまた・・・」と思わざるを得なかった、そのあまりにもイージーな仕上がり。しかし思い返すたびにだんだんとその不思議な魅力に惹かれます。
今回はシロタ画廊の応接スペースでの個展、紙に鉛筆というシンプルな組み合わせで、やはり不思議な味わいを醸し出す作品が発表されています。
広い紙の画面におおらかな弧を描く線、その落ち着かないゆらゆらと揺れる感じがまた独特の味わいを醸し出していたり。その過剰なまでの素朴さに接した瞬間の「これでいいの?」という印象は間もなく「ああ、これでいいんだ・・・」というなんとも言えない安心感のような気持ちに満たされます。
一転して力強い塗り潰しがなされる作品も。
濃密な黒の色面が醸し出す深みには、他の作品の素朴さにより、逆に得体の知れない畏怖のようなものも感じてしまいます。
なんといっても、こういった作品を描かれる岩堀さんのご職業がバリバリの理系であるのが、ここに提示される世界の面白味を加速させてくれます。
機会があればいろいろとお話を伺ってみたいなぁ、と思わせてくれるクリエイションです。
星岳大 個展 “Into The Next Night”
03-3574-6771
9/7(月)~9/19(土)日祝休
11:00~19:00(最終日:~17:30)
これまでも折に触れて拝見している星さんの木版画。
今回の個展では過去に制作、発表されたものから新たな展開のものまで幅広い時期の作品が揃い、それぞれが興味深い独特の雰囲気を醸し出しています。
同じ版を繰り返し重ねて摺ることでもたらされる緻密で滋味溢れる濃淡、それが奏でる透明感溢れる気配が印象的です。
そして、1点だけ展示されたタブローも興味深いです。
小泉春香展
03-5550-1335
9/14(月)~9/19(土)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
石粉粘土を用いて制作されるオブジェが並びます。
正面に展示された立像の雰囲気にまず魅了されます。頭髪の色の鮮やかさと、4つ目のおどろおどろしさと鋭さとの混在が放つ強烈なインパクト。未来的な気配の中に濃密な妖しさがもたらされているように感じられます。加えて影の造形が面白味をさらに加速させているように思えます。
奥のほうに展示されたスケールの大きな造形、巨大な動物の背に乗る人たちの姿、その情景のコミカルな風合いも楽しいです。
本間洋展
03-3563-4578
9/14(月)~9/19(土)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
なっ!Σ( ̄口 ̄;)
背景の艶のない黒が際立たせるモチーフの臨場感。
痛快な深みを伴う情景が、シンプルに展開されていて楽しいです。
カエルをくわえるナマズの図。
コミカルな雰囲気さえも、分厚い奥行き感と迫力を伴って迫ってきます。
水中を浮遊する感触がなんとも心地よく伝わってきます。
緻密なグラデーションによって描き出されるモチーフの豊かな表情にも惹かれます。
そして、透明感溢れる暗さがなんとも心地よいんです。
夜中ノ興奮 テラシマサトル展
03-5524-1071
9/14(月)~9/19(土)
11:00~19:00(金:~21:00、最終日:17:00)
僕にとってはebcアトリエでもお馴染みのテラシマサトルさん。
先に開催されたトーキョーワンダーウォールで拝見して嬉しく感じていたところで、このタイミングで開催される個展、夜を思わせるダークな色調の作品が並び、しかしそこに雰囲気的な「暗さ」はほぼ存在せず、実にポジティブでアクティブな雰囲気が画面から膨らんで伝わってきます。
作品によってはシュールなユーモアも炸裂!
遮断機が下りつつある踏切に駆け込む人々、その状況が既にワケワカランのですが、それ以上に
どんなご一行さまだよ!?Σ( ̄口 ̄;)
ていうかいつの時代だよ!?Σ( ̄口 ̄;)
と突っ込まずにはいられない面々に、想像も暴走しがちでして。とにかく楽しい!
さらにシュールな情景は続きます。
この作品など、最初からどんなシチュエーションなのかが分からない、しかし分からないのが分かる、それがまた楽しさを加速させてくれます。
この描かれる世界観の独特な風合い、さらに続けて拝見したいです。
柔らかな器―感覚の境目を行き来する6人の作家 工藤春香 黒野裕一郎 塩川彩生 塩谷良太 しんぞう 平川正
@松の湯二階
9/14(月)~10/4(日)
16:00~21:00(土日祝:11:00~19:00)
ま、参りましたぁっ!(≧∇≦)ノ゛
文句なしに面白い展覧会になっていてびっくり、銭湯の2階、ここももともと銭湯だったスペースで、6名のユニークな個性がその面白さを遺憾なく発揮していて痛快な雰囲気が創り出されています。
塩谷良太さんの超巨大クリップの唐突感といい、木の匂いが妖し気な雰囲気を深める平川正さんのインスタレーションといい、まるで湯気越しに眺めているかのような雰囲気が楽しい塩川彩生さんの展示情景といい、それぞれがシチュエーションを活かして楽しくのびのびと展示しているのが伝わってきます。
《9/15》
高倉麻世 うたかた
03-5775-2469
9/14(月)~9/19(土)
12:00~19:00(最終日:~17:00)
保たれる透明感。
深い赤紫系の色彩で統一された作品が並びます。
そこに描かれる人々の仕草は、その豊かな濃淡とグラデーションによっておおらかに描き上げられ、実に深い情景となって現れています。
緩やかな動きを感じさせてくれるのが、そこに深い臨場感をもたらします。
揺らぐような気配感に意識も沈み込んでいくような感じで、心地よい錯覚に満たされます。
伝わる世界観にしっかりとした強度と繊細さも備わっているように感じられ、それがまた嬉しいです。
ぜひ続けて拝見したいと思わせてくれる、独特の心地よさに満ちたクリエイションです。
《9/17》
黒宮菜菜 個展
@谷門美術
03–3403–9740
9/17(木)~10/8(木)日月祝休
13:00~19:00
昨年の個展から大きな変化がもたらされていて、それは何より興味深いです。
支持体をアルミ板から樹脂に変え、さらに描くモチーフもドット的な構成からより抽象と具象とが混ざり込んだような妖しく曖昧な雰囲気が押し進められ、独特の濃密さも進化しているのが楽しく感じられます。
圧倒的な艶やかさを誇る作品、抽象的なテクスチャーが独創的な密度をもたらす作品など、さまざまな要素に溢れています。
潮夢 ~記憶/記録シリーズ#1~ ありがとう&TENKI
03-3841-0442
8/7(金)~8/30(日)火休
12:00~21:00(最終日:~19:00)
どんな展示になるかまったく予想がつかなかったのですが、拝見してそこにもたらされるとてつもないスケール感と深みに瞬間で圧倒されてしまった次第。
ふたつのユニット、それぞれ異なるメディアの5名のクリエイター、その表現が実に絶妙なバランスでブレンドされ、懐の深い豊かな雰囲気が創り出されています。じっくりと対峙したい空間です。
@nca | nichido contemporary art
03-3555-2140
9/4(金)~9/19(土)日月祝休
11:00~19:00
Takanori Ishizuka "Sacred Beast" curated by Yumi Yamaguchi
@nca | nichido contemporary art
4-3-3-B1,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo
03-3555-2140
9/4(Fri)-9/19(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
いらっしゃいませで迎えてくれるのはこんなカワイイ小動物。
あんな隅っこにも1匹。
近づくと・・・
だ、大丈夫か!?Σ( ̄口 ̄;)
いろんな意味で大丈夫なのか!?Σ( ̄口 ̄;)
目を剥くザ・齧歯目が両手にホネ持ってイエーイの図。
・・・って、おい。
いやもうこんなことでは驚いてなんかいられないほどの凄まじいボリューム、nca | nichido contemporary artでの石塚隆則でございますぅぅぅ!
とにかく凄まじい作品密度。大小の木彫作品が展示空間内に溢れます。
こんな感じで↓
首長ぇよ!Σ( ̄口 ̄;)
ああ!
壁とか床とかもうどーでも!
占めゆくのは容積!空間!
そしていったい何匹!
・・・ハッ!!!
もとい何頭いるんだよ!Σ( ̄口 ̄;)
・・・と、そんな感じで凄まじく濃密な空間が作り上げられています。
なによりこのサイズでの木彫作品というだけでそれはもう相当に迫力があって痛快極まりないのですが、そこに入り込むユーモラスでシュールな要素がその面白味を加速させてくれます。
この巨大な立像ひとつとってもどれだけツッコミどころがあるか考えるともう脳内が「ウヒョー!!!(≧∇≦)ノ゛」てなるんですけど、敢えてひとつ書くとしたら横たわるキツネ風の動物の舌の緊張でしょうか。
上に乗っかられて杖立てられてその頭の上にアバンギャルドだんご三兄弟が乗っかってもさらに鳥がナメた感じで止まっていても実は平気ですぅぅぅっっっ!
みたいな(なんとなく各方面全方位に土下座)。
動物に髑髏が加わる造形が多いのも印象的です。
力強く彫り上げられる造形の活き活きとした感触、生命力漲る目、そういった要素が醸し出す「生」の感触と、裏腹に「死」を思い起こさせる髑髏とがひとつの作品の中に落ち仕込まれることで、達観や冷静を伴さわえながら、ある生死観が提示されているように感じられます。
とはいえ、シャレ的な造形が多いのもまた楽しく、それはそれで独特の深みとアクセントをもたらします。
その暴走加減は留まるところを知らず・・・。
思いついちゃって果たして勝ちなのか負けなのかわかんないんですけど、少なくとも作品を拝見する限り、面白いという点で圧勝かと。
これなどどんな北斗の拳だよ!Σ( ̄口 ̄;)的な感じ、ひょっとして鳴き声もアタタタタタとかかよ、みたいな、観る側もひとたびスイッチが入ると想像も暴走しがちで困ります(笑)。
というか立ってるだけで可笑しいです。
実にバリエーションに富んだ造形が配されています。
それぞれに生命観や生死観などが自然に醸し出されているような印象が、冷静に眺めるとじんわりと心に広がっていきます。
木彫作品に留まらず、平面のペインティング作品も数点展示されていて、それがストーリー的な広がりを展示空間内にもたらします。
毛並みの丁寧な描き込み、グラデーションの緻密さなど、単純に絵画としての面白味、見所にも溢れます。そして、木彫の作品群と響き合い、それぞれがさらにダイナミックな生命の感触とユーモアを膨らませて迫るような印象も覚えます。
いろんなイメージをもたらしてくれる展覧会です。
初日に伺った時は実に大勢の方がいらっしゃってて、この作品数ですからそれはもう混沌とした雰囲気が満ち満ちていて、その時でしか体感し得ない空間のインパクトが強く印象に残っているのですが、あらためて伺うとこれだけの数の作品が溢れていてもそのひとつひとつはしっかりと深いイメージを奏で、初日とは異なる、熱を持つ静謐感、独特の臨場感に包まれる感じが心に残ります。
何はともあれ、大胆な彫りと艶やかな仕上げが奏でる彫刻としての深み、そしてユーモアと生命観とが混在する濃密な雰囲気を体感してほしいと思う次第です。
松嶋由香利 "vacant evil"
03-5449-1559
8/22(土)~9/19(土)日月祝休
11:00~19:00
Yukari Matsushima "vacant evil"
3-1-15-1F,Shirokane,Minato-ku,Tokyo
8/22(Sat)-9/19(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
美しくさざめく色と線。
児玉画廊|東京での松嶋由香利さんの個展です。
松嶋さんの作品は昨年の京都でのignore your perspective展で拝見している黒い紙に鉛筆で描かれたものが印象に残っていて、そこに入り込む線の密度と描かれる風景、大胆な構成の面白さが放つ妖しさ、危うさなど、シンプルながらさまざまなイメージをもたらしてくれたのが印象に残っているのですが、今回の個展ではそのイメージをおおいに覆す、鮮やかな色彩が眼前にぱぁっと広がって、そのスリリングな高揚感をもたらしてくれる情景に一気に惹かれます。
溢れる色彩。
それぞれの色が持つ鮮やかさ、華やかさが遺憾なく発揮された画面がずらりと並びます。
そしてそれぞれの画面に無数に舞う線、それらが導き出すパターンやモチーフはエキゾチックな風合いを醸し出し、抽象性は高くとも思い浮かぶイメージは実にくっきりとしていてそれがまた独特の心地よさをもたらしてくれます。
4点組の作品、横にパノラマのように並ぶ構成と、大きく広がる軽やかな赤と花吹雪を思い起こさせる無数のストロークにより、いっそうの絢爛の情景、そしてほんのりと「和」の味わいが力強く迫ってきます。
不思議な奥行き感も大きな魅力です。
艶かしい線描が醸し出す気配は豊かな情景感を導き出し、そこに横たわる物語に幻想的な雰囲気をもたらすように感じられます。
時おり顔を見せる女性的なアプローチ、この作品に置ける画面に登場している女の子の佇む姿などが、そこに収まる色やかたちのひとつひとつに意味をもたらし、情景の豊饒さはさらに膨らんで、たゆたう静けさ、沈むような闇の気配などがより厚い臨場感を伴って緩やかに伝わってきます。
黒い背景の作品の静けさ、すっと広がりどこまでも続く澄んだ闇のような感触は、その上に重なるストロークに心地よい響きのイメージをもたらすように感じられます。
さまざまなモチーフが大胆に重なり、それによって導き出される奥行き感が幻想的な雰囲気を醸し出します。
画面左上の浮遊する和装の女性の伏せる姿、長く伸びる首、おおよそこわそうなイメージのをもたらすように思えてむしろ軽やかなおかしみを奏で、そのシュールさがここに広がる幻想的な情景に痛快さを軽やかにはなっているように思えるんです。何だか不思議と、実に楽しい絵だなぁ、としみじみ。。。
明るさを獲得した作品は一転して天真爛漫さが弾け、ポジティブな空気感が立ち上がります。
ひとつひとつのストロークが刹那な感触を奏で、次へ、次へとまるで生き急ぐかのような凄まじい速度を感じさせてくれます。うねる太い枝を思わせる青の線、そこに実がなるように無数のドットが放たれ、それらから垂れる絵の具の痕跡が刹那な気配を煽ります。そして光のようにそこかしこからぱあっと広がる透明感溢れる黄色がさらにその瞬間の鮮度を押し上げているように思えます。
京都で拝見した、黒い紙を支持体とする鉛筆画も。
ちいさな画面の中に愛おしい情景が満ちています。
入り口すぐの応接スペースの奥の壁面に並ぶ連作も楽しいです。
くるくると舞う線、すらりすらりとかさなるストローク、さまざまなパターンが豊かな情景を導き出し、それぞれが煌めきを放っているんです。
さらに、抽象的な水墨画のような風合いを奏でるドローイングも。
溢れる情報量に翻弄され、その感じがとにかく心地よいんです。
どこまでも天真爛漫で、弾けるようにその世界観を膨張させるエネルギーに満ちた作品、一方で陰へ陰へと入り込むような、たゆたう闇の気配へ沈んでいくような、そんな静かな雰囲気を備える世界観もまた味わい深く。
そして随所に登場するエキゾチックな「和」の感触の痛快さ、さらには女性的な感性が遺憾なく発揮される独特のスリリングなバランス感覚や大胆かつ繊細な構成や女性的な優しいストロークや伸びやかな表現など、ひとたび意識が掴まれるとそこからすいすいと引き込まれる情景が都切り出されていて、なんとも嬉しく感じられます。
彦坂敏昭 えらぶ・なぞる・わすれる・とじる
03-5930-5009
9/1(火)~9/13(日)
12:00~19:00(最終日:~17:00)
Tosjiaki Hikosaka exhibition
3-2-10,Zenpukuji,Suginami-ku,Tokyo
03-5930-5009
9/1(Tue)-9/13(Sun)
12:00-19:00(last day:-17:00)
意表を突く展開がもたらすイメージングの過程へのアクセントと、そこからの広がりと。
遊工房アートスペースでの彦坂敏昭さんの個展です。
これまで「燃える家」「テサグリの図面」のシリーズがお馴染み、資生堂ギャラリーと東京都現代美術館という大規模な空間での展覧会をはじめとし、さまざまなグループショーでも拝見していてその度に描き込まれる凄まじい情報量とその緻密さ、そして特異な過程を経て生み出される特徴的なテクスチャーなどにおおいに惹かれていたのですが、今回はそれらのシリーズから一旦離れ、これまでの流れからはおおよそ想像できなかった「人物」をモチーフとした作品が発表されています。
やはりまず目にした瞬間に、そこに描かれているモチーフから「図面」や「家」を探してしまったのですが、それ逆に混乱を招きます。
そしてようやくそこに何が描かれているかが見えてきたとき、一気にその状況のシャープに混沌とした感じが立ち上がり、斬新な臨場感に圧倒された次第。
分割された画面による構成が、未来的な雰囲気を加速させます。
さまざまなテクスチャーと素材とを用いて作り込まれる、印象としての機械的な混沌。それぞれが放つ音のイメージは相当に金属的で、その衝突がさらに描かれる情景の密度を高め、深めます。
そして、この作品では人物の頭部と脚部をカットした半身図が描かれていて、それを透明の赤がシルエットの輪郭をもたらすと同時に、背景的にも機能していて、このあたりの風合いが彦坂さんの作品に登場するのが新鮮です。
全体のサイズ的、そして情報量的な圧迫感の痛快さから、今度は分割される画面ひとつひとつに目をやると、それが今度は抽象的な世界として機能していて興味深いです。
ひとつの画面で浸食する赤と残る部分とのせめぎ合いにさまざまなかたちでイメージも刺激され、画面によってさまざまな縮尺のイメージも重なって、その凄まじく複雑な情景の面白さに入り込んでいきます。
小品も興味深いです。
こちらは頭部のみを3つの画面で描いたシリーズ。
画面と画面の間の隙間も意識的な間隔が設定されていて、それが顔全体から目と口の部分をカットしているように構成されていたり。
画面を這うようにして硬質で妖し気な曲線を描き出している鉛筆のグラデーションによるラインといい、金属的な光沢を放つ部分といい、さらにそこかしこに現れるさまざまな色彩や圧倒的に細かすぎる線など、細部にわたって見応えに溢れています。
岡山の大原美術館での滞在制作を経て発表される今回の新しいシリーズ。
これまでの俯瞰から一気に縮尺の分母を下げ、むしろ拡大される画像が実に興味深い世界観を奏でているように感じられます。
その独自の手法による表現に新たな世界が加わり、広がりと膨らみがもたらされことで、これからの彦坂さんの展開にも良い好奇心が湧いていきた次第です。
《9/4》
岩淵華林
03-3563-1733
8/31(月)~9/5(土)
12:00~19:00(土:~17:00)
昨年の2人展で拝見した時のポップな雰囲気から一転、今回はモノトーンで統一された作品で構成され、ひと味もふた味も違う世界観が展開されていました。
版画作品では、リアルな女性のシルエットと、そこにさまざまな模様を織り交ぜてクールな情景が演出され、硬質なリズムが奏でられています。
タブローも面白い!
黒の背景に白いシルエットが映え、ユーモアも入り込んで、ユニークな情景が創り出されています。
そのまわりに並ぶ小品も、それぞれがクールで濃密なアクセントを放っていたのも印象に残っています。
もっとも印象的だったのがこちらの作品で、艶やかな部分とマッドな部分とのコントラストが不思議な奥行きをもたらしていて、その空間性が興味深いです。
9月の庭 関根直子 個展
03-5524-0771
8/31(月)~9/12(土)日休
11:30~19:00(最終日:~17:00)
抽象性の高い鉛筆画、おおよそどんな展開が繰り出されるかが分かるだけに、そこに現れる情景の微妙な変化にも期待するのですが、いつものさまざまな濃淡を駆使して描かれる情景に実に豊かな雰囲気がもたらされていて嬉しく感じた次第。
これまで見受けられなかった要素も入り込んでいます。
小さな粒状の余白が大きなスケール感をもたらす作品も。
そして、薄いモノトーンが紡がれる大きな作品が素晴らしいです。
絶妙なテクスチャーが、あたかも雲海のように壮大な広がりを生み出していて、それに加えてさまざまなストロークがそこかしこに潜んでいたり。
新たな展開も多く観られる、見応えのあるモノクロームの世界が溢れています。
奥天昌樹展 immature efect
03-5524-1071
8/31(月)~9/5(土)
11:00~19:00(金:~21:00、最終日:17:00)
シルクスクリーンと油彩とのハイブリッド。
異なるテンションがひとつの画面に挿入され、独特の気配感が構築されています。
写真製版のリアリティと、油彩ならではの滲みや絵の具の盛り上がりなどの臨場感がアバンギャルドな雰囲気を生み出しているように感じられます。
さまざまなモチーフがひとつの画面に重ねて織り込まれる作品も。
記憶の残像のように仕上げられた画面、色彩の深みなども相まって、実に分厚いイメージを提供してくれます。
ペインティングのみの作品も魅力的です。
小川浩子「水景」
03-3535-2524
8/31(月)~9/5(土)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
長い空間に漂う薄い布。
そこから垂れる無数の糸、そしてその一部の先には縫い針が下がっていて、それが妖しく繊細な雰囲気を紡ぎ出しています。
弛緩と緊張とのコントラストが、豊かで優しい空間にさまざまなイメージをもたらしているように感じられた次第。いつまでも眺めていられるやわらかい空気感が、なんとも不思議で。そこにゆったりと流れる時間の心地よさが印象的です。
@nca | nichido contemporary art
03-3555-2140
9/4(金)~9/19(土)日月祝休
11:00~19:00
ずいぶん多いな!Σ( ̄口 ̄;)
入るなりいきなり驚かされる、ひしめく木彫の動物たち。微妙にひょうきんな表情がまた味わい深かったりして、加えてレセプションの時間で実に大勢の方々がいらっしゃっていて賑やかなことこの上なく。
一匹くらいしゃべってるのがいてもおかしくない雰囲気が痛快、人が少ない状態で観たときにもっと見えてくる景色やイメージがあるんだろうなぁ、と想像しています。
大矢加奈子展
03-6805-0840
9/4(金)~9/27(日)月休
11:00~20:00
初めて拝見した時点ですでに完成されていた精度は、今なお研ぎ澄まされ、いっそうの深みと繊細さを放ちます。
お馴染みの白地にオレンジと紫を多用したペインティング、空間の捉え方や構図の足し引きで面白味が増し、作品の面白い部分、味わうべき部分が研磨されたかのような印象です。
《9/5》
奥原しんこ「花嫁の手紙」
東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング1F H.P.FRANCE BIOUX 丸の内店
03-3240-5791
9/4(金)~10/1(木)
11:00~21:00(日祝:~20:00)
家族写真をコラージュして作られる文字、それで紡がれる言葉。
ウェディングをテーマとしたインスタレーションなのですが、男の僕でもぐっと来てほろりと来そうな雰囲気。綴られる言葉に登場するモチーフが刺繍されていて床に置かれていたりと、ひとつひとつの要素が豊かな響きをもたらします。
1点だけ出展されているペインティングも、奥原さんらしいおおらかで豊かな奥行き感が印象的な作品で、それを観られたことも嬉しく感じられた次第です。
羅針盤セレクションvol.4 今、注目の作家展 大源麻友 長雪恵 佐野紀満
03-3538-0160
8/31(月)~9/5(土)
11:00~19:00(最終日:17:00)
3名のアーティストがフィーチャーされた展覧会、GEISAI MUSEUM#2で2位を獲得した大源麻友さんの作品が面白いです。
緻密な描き込みが圧倒的な曼荼羅、その繊細な描写に引き込まれます。
絹本彩色特有の優雅な美しさが際立ちます。
エキゾチックなモチーフ、大胆な配色と清楚な顔立ちで描かれる女性。要素のひとつひとつが艶やかな風合いを紡ぎ出します。
豊かな空間性も印象的です。
さまざまな色彩で描かれる煙雲と、羽の絢爛具合と。味わい深い風合いも嬉しいです。
細やかな描写にはぐっと引き込まれます。
金色の線で描かれる金魚。揺らめく藻の風合い、無数の線が凝縮される鰭、まわりの鮮やかな色彩がクールな雰囲気を際立てます。
とにかく見応えのある世界観です。
線の美しさ、色の美しさ、素材の美しさの三位一体、これからも拝見したいです。
NEW DIRECTION展 #1「exp.」小宮太郎+しょうじまさる+藤本涼+三井美幸+宮永亮+村田宗一郎+山下耕平
03-5689-5331
9/5(土)~9/27(日)月休(月曜日が祝日の場合開廊、翌日休)
11:00~19:00
面白い!
強烈な個性がパッケージされ、それぞれが見応えのある雰囲気を生み出しています。
2階の藤本涼さんの写真と先日まで京都の児玉画廊での個展で発表されていた宮永亮さんのコラボレーションは見事、他のアーティストもそれぞれ分け与えられた空間で展開、敢えて迷いや不確定性を出してしまうことでさらなる可能性が提示されているように感じられた次第です。
Group Show I
03-5825-4703
9/4(金)~9/26(土)日月祝休
11:00~19:00
これまで同ギャラリーで紹介された4名のアーティストが揃ったグループショー。
サガキケイタさんの圧倒的な密度、興梠優護さんの深い世界観、それぞれに濃密な雰囲気を紡いでいます。
悠久斎さんの遊び心、そして助田徹臣さんの新たな展開、それぞれのアプローチのコントラストも興味深いです。
長谷川ちか子「穴 - Punica Granatum」
03-3662-2666
9/4(金)~9/26(土)日月祝休
11:00~19:00
レントゲンヴェルケのペインティングはこの精度がスタンダードなのか...。
パネルに張られるキャンバス、構図、展示、そのすべてに隙のないインスタレーションが印象的です。
あたかも穴があいたかのような画面構成は、実際にそこを覗き込んでしまわせるほど。硬質で濃密な雰囲気が強く印象に残ります。
荻原賢樹 新作展
東京都中央区東日本橋3-5-5 矢部ビル2F SPACE355
03-5641-6440
9/4(金)~10/10(土)日月祝休
12:00~19:00
昨年に引き続いて開催の荻原賢樹さんの個展。
カラフルな色彩が溢れる作品と、黒い線がアグレッシブに交錯する作品とが発表されています。
プリミティブな雰囲気と、濃密で痛快な混沌が心地よいです。
米田知子「Rivers become oceans」
03-5621-6434
9/5(土)~10/3(土)日月祝休
12:00~19:00
瑞々しい情景が目に潤いをもたらします。
そぼ降る雨が奏でるモノトーン、ずっと向こうに広がる雲。自然な景色を眺めていて、何もいらない感触に包まれ、その気配に浸っていたくなるんです。
ELMGREEN & DRAGSET「SUPERMODELS」
03-5646-6050
9/5(土)~10/3(土)日月祝休
12:00~19:00
渾身のインスタレーションは、ファッショナブルな雰囲気をさらに押し上げて、異次元を思い起こさせる空間が創り出されているように感じられます。
有機的な造形のユーモラスでプリミティブな感触、それらにさまざまなファッションデザイナーが制作した服が着せられていて、キャッチーでファンシーで未来的な世界が広がります。
Ernesto Caivano 彼女が枝にあたえる影響(関係のトポグラフィー)
03-3642-4090
9/5(土)~10/3(土)日月祝休
12:00~19:00
さまざまなドローイングが並びます。
架空の童話の挿絵のような風合いのものが多いように感じられたのですが、その中に織り込まれる抽象的なモチーフの作品が興味深く感じられた次第で。
万代洋輔「ラジコン」
03-5620-0555
9/5(土)~10/3(土)日月祝休
12:00~19:00
TWS渋谷でのMIHOKANNOの展覧会で発表された作品を再構成。
配置が変わると伝わる雰囲気にも変化がもたらされて興味深いです。
さらに今回はひとつの空間での展示ということもあり、それぞれの画面に創出されている硬質な雰囲気がよし臨場感を伴って伝わってくるように思えます。
サーラ・ドラタバディ『Pejvak (god is great)』
03-3793-7931
9/4(金)~9/26(土)日月祝休
11:00~19:00
イラン人アーティスト、サーラ・ドラタバディさんの個展。
暗い空間に緑の蛍光灯が配されるシンプルな構成、そこに流れる音声に心を委ねると、イメージも深いところへと広がっていきます。
《9/6》
彦坂敏昭 えらぶ・なぞる・わすれる・とじる
03-5930-5009
9/1(火)~9/13(日)
12:00~19:00(最終日:~17:00)
モチーフの変化が興味深いです。
これまでの俯瞰風景や家などがモチーフとなった作品をイメージしていると、それが何であるか気付くのに時間がかかります。
そして、見えるまでの曖昧さと見えてからのダイナミズムが痛快です。
《9/8》
杉本博司 放電場
03-3561-1896
9/8(火)~10/10(土)日月祝・8/13~8/17休
11:00~19:00
参りました。
この密度。この空間性。
シンプルな要素はストレートにその深みを感じさせてくれます。
そして、さらに自在にスパークがコントロールされて、実にバリエーションに富んだ豊かな静謐に溢れる情景が提供されています。
じっくりと観て、無数の発見に浸りたいです。
森万里子「フラットストーン」
03-3821-1144
9/8(火)~10/3(土)日月祝休
12:00~19:00
これが世界を巡回して今ここにあるのか、と思うと、さらにイメージが深まります。
中央に置かれる縄文式土器を模したオブジェと、それを取り囲むように配される白い石の連なり。静かに眺めていると、だんだんその空間が浮かんでいくような想像が湧いてきます。
平面作品もいろんなイメージを提供してくれます。有機的な要素が未来的な幻想を導き出しているような感じです。
《9/9》
スローガン
03-6273-8611
9/8(火)~10/10(土)日月祝休
11:00~19:00
4名の個性がひとつの空間で紹介され、実に深い、意識が沈み込むような雰囲気が創り出されています。
嶋田美子さんの過剰に濃密な雰囲気、猪瀬直哉さんの重厚な世界観。このふたつのクリエイションの分厚さは、アキラ・ザ・ハスラーさんの映像、そして照屋勇賢さんのお馴染みの紙袋の木で和らげられます。
鎌谷徹太郎 Picasso vs Bacon
03-3563-8003
9/9(水)~9/26(土)日月祝休
12:00~19:00
そいいうことか!と感心しきり。
ユニークな過程を経て制作されるオリジナリティ溢れるリアリティ。
今回のテーマも実に面白く、個性がいっそう面白く発揮されているように感じられます。実に痛快な世界です。
岩澤慶典 -animalism-
03-3563-1733
9/7(月)~9/19(土)日休
12:00~19:00
もう随分長く知っているアーティストである岩澤慶典さん、意外にも個展で拝見するのは今回が初めて。
ファンタジックさとユーモアとが絶妙なバランスで織り込まれる、ユニークな世界が描き上げられています。動物たちのすがたの精緻さにも感嘆、そしてその情景の深みを伴う面白さに惹かれます。
やわらかな筆致が豊かな響きをもたらします。
シュールさも案外鮮烈に挿入されていたりするのですが、それを直接的に感じさせない穏やかさが心地よく感じられます。
落ち着きある色調も心に優しく響きます。
描写の精度の高さと構図の安定感も印象的です。
羽毛田信一郎展 気味の悪いこんにちはが来ます
03-3563-4578
9/7(月)~9/12(土)
11:00~19:00(最終日:~17:00)
これまで小さな作品を拝見することが多かったこともあり、今回の個展で発表されている大作にひたすら圧倒されます。
絹本の深み、そこにもたらされるストロークから溢れる滋味。場面のリアルな臨場感と、そこに登場する生物のユニークな姿のギャップが、独特な幻想世界を導き出します。
03-3561-9177
9/7(月)~9/12(土)
12:00~19:00(最終日:~17:00)
抽象的な世界がずらりと並びます。
特にDMに採用された作品が面白いです、さまざまなテクスチャーが交錯し、ユーモラスさも備わる奥行き感がもたらされます。このテイストの抽象世界に最近興味があって、これからどんなふうに発展していくかが楽しみです。
《買った本》
「星間商事株式会社社史編纂室」三浦しをん
「向日葵の咲かない夏」道尾秀介
《買ったCD》
「waterproof」chiharu mk
「Mirror Flake」cokiyu
はまぐちさくらこ「生戦」
03-3269-7289
8/22(土)~9/16(水)月休
12:00~22:00
Sakurako Hamaguchi solo exhibition
107,Yarai-cho,Shinjuku-ku,Tokyo
03-3269-7289
8/22(Sat)-9/16(Wed) closed on Monday
12:00-22:00
その元気、さらに膨らんで・・・!
変わらないポジティブな雰囲気、それはもうこのギャラリーのちいさな展示スペースに収まらず、カフェスペースにも溢れます。
お馴染みの目が大きな女の子のキャラクターたち。
天真爛漫さは加速し、とてつもなくエネルギッシュに小さな画面いっぱいに、いきいきとした動きを感じさせてくれます。背景の色彩もその伸びやかさを押し上げて、イマジネーションの膨らみをそのまま現してるかのような雰囲気はやっぱり痛快です。
ギャラリースペースを入り口から覗くと...
ど、
ど、
どんだけデカいんだよ!Σ( ̄口 ̄;)
なんかもう、いくら何でも、と全力で呆れてしまうほどに途方もないサイズの大きさの作品が!
いやもう!
スゴい!
すべてを圧倒するそのサイズ、小さい空間とはいえそのもっとも広い壁面全体をほぼ追い尽くすほどの画面、その大きさを持ってしても収まり切らないの!って感じが楽しい!嬉しい!
描かれるさまざまな情景に勢いを感じます。
縮尺の解釈などどーでもいい、思い浮かんだものを画面に投げ込むようにして、その衝動に任せて描き、描いたものが今度は触媒となってあらたにイマジネーションを刺激、さらなる描き込みが紡ぎ出され、というポジティブな連鎖を思い起こさせてくれる感じが楽しいんです!
サイズと比例し呼応するかのような大きくおおらかな構図が繰り広げられる一方で、内へ内へ、細かい方へと向かうミニマムな衝動もそこかしこに収められていきます。
そうやって描かれるモチーフのひとつひとつがカワイイ!
統一感とかムツカしいことは一切無視、描かれるキャラクターたちが、そしてもっと言うと線や色そのものが活き活きとしています。彼ら彼女らに出会うたびに脳内でイメージが弾けて広がって、この世界観もいっそう立体的になっていくんです。
浴びるように体感するはまぐちさんの世界。
このサイズの画面がこのちいさな空間で接することができるのも貴重ですし、それがもたらす臨場感にも感嘆させられます。
別の壁面も負けていません、一転して背景の青が空と海を混在させてしまったような雰囲気を生み出し、そこにこれまたさまざまな情報が凝縮されて、アグレッシブでアクロバティックな雰囲気が空間にもたらされます。
もうひとつの壁面には小品がぎゅっと詰め込まれています。
広い画面のおおきな世界から一転、今度はちいさな画面に凝縮される場面の濃密さに、それぞれのスピード感に、やはりポジティブなイメージが伝わってきます。
それぞれの色彩感も楽しいんです、いかにもはまぐちさんらしい鮮やかな色彩のものがあるかと思えば、意表を突く色彩構成があったりとバラエティに富んでいて、いろんな魅力も伝わってきます。
描くことの楽しさがストレートに伝わってくるのが何より嬉しいんです。
もちろんそこにはさまざまな葛藤もあるかもしれないと思います、しかし、そういったこと、大げさに言うともしかしたらこのアーティストは「描けないこと」さえも「描くこと」で克服していっているんじゃないか、そういうふうに思わせてくれるのはホントにありがたいし、元気づけられます。
そしてその先に笑顔があれば。
ふわりとした優しさがさり気なく溢れます。
膨らみまくる元気のなかに灯るほっこりとした雰囲気がまた嬉しかったり。
無垢な感性がいっぱいに発揮された展覧会です!
小橋陽介展
03-3621-6813
8/22(土)~9/12(土)日月祝休
11:00~19:00
Yosuke Kobashi exhibition
1-7-15,Kamezawa,Sumida-ku,Tokyo
8/22(Sat)-9/12(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
ここまで来るともはやそのスタンスは孤高。
徹底して自画像、小橋陽介さんのGallery MoMo Ryogokuでの早くも2回目の個展です。
今回も怒濤の自画像ワールド炸裂でございますぅぅぅっっっ!
前回の個展では新たな空間へのチャレンジと調和を思わせるように、大きく描き出された自画像が多数登場していたのが印象的ですが、今回は原点回帰というか、自身の本来のスタイルへと戻り、大きなものから見逃してしまいそうなほどに小さいものまでさまざまな自画像が登場、これまた大小の画面をこれでもかと行き交い、暴れ回り、さまざまな表情と仕草でアピールしてきます!
手前の長く伸びるスペースの壁面に、今回もっとも大きな作品が。
夜を思わせる濃いめの青の空、スコーンと奥へと抜けるキャッチーな空間性。
グラフィカルでリズミカルなモチーフも背景に多数投入、巨大な色面の圧倒的なパワーやくねくねと破天荒に画面を這い、強烈に濃密でシュールな世界観が導き出されています。
無論、自画像も大小さまざまなサイズに加え豊かな色彩で描き込まれ、めちゃくちゃにキッチュな場面の出来上がりでございます。
その向かいはずらりと並ぶ小品群。これまた圧倒的!
絢爛の情景の連続、夢十夜ではないですけど(そもそも数が足りてない・・・)、それぞれの画面に収まるシーンのバラエティの広さ、ひとつひとつの濃密な雰囲気はこれだけ並ぶことで引き立て合い、その濃さを個性のベクトル進行へと加速させます。
ていうか四の五の言わず、あーもう楽しい!そんな感じで接するが善し!
まーとにかく大きな作品になるとそこに描かれる自画像の数も自然と多くなりまして。
比較的見付けやすい大きなものはその表情から様々な思いが伺える感じが楽しく、
見逃しちゃいそうなサイズの自画像は意表を突く、いやむしろ突きすぎなくらいに破天荒な仕草で登場、
さらにゲストでいろんな動物たちもその姿を現します。
賑やかなことこの上なく、加えてさまざまな自画像が放つ雰囲気のギャップと交錯がさらに面白味を深めます。
そして今回印象的なのが、これまでにはあまり見受けられなかった(というか記憶にあまり残っていないだけかもしれないんですけど)、アンニュイな表情の自画像が多く描かれている点でして。
痛快、天真爛漫、破天荒、平面の中でやりたい放題のアクティブでアグレッシブな雰囲気も一転して、色彩やシチュエーションの派手さとは裏腹に不思議な静謐、静けさを醸し出しているように思えてくるんです。
さらに新展開、動物だけが描かれた作品も。
意表を突く場所に展示されていたりしてそれも楽しいです。
自画像が紡ぐ物語はさらに厚みを増していきます。
作品が増えれば増えるほど広がり続けるバリエーション、バラエティ。
徹底していながら義務感やストイックさは微塵にも感じさせない、描きたい本能だけがダイレクトに溢れる世界はやはり今回も健在、とてつもなく痛快です。
そしてこれからどうなっていくのだろう、と興味も湧いてきます。
今回発表された、少なくとも僕は初めて拝見する自画像以外の作品。比較的小さなサイズでしたが、自画像とのバランスがどんな響きをもたらすのかなど、好奇心も膨らんでいきます。
プレイ・ルーム 黒川知希 マーティン・マニグ 松橋萌
03-6459-3130
8/22(土)~9/12(土)日月祝休
11:00~19:00
[ PLAY ROOM ] (Group show by Tomoki Kurokawa, Martin Mannig, Moe Matsuhashi)
3-1-15-2F,Shirokane,Minato-ku,Tokyo
8/22(Sat)-9/12(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
この鋭くヴィヴィッドな色彩感こそ、NANZUKA UNDERGROUNDの真骨頂。
3人のアーティストによる、バラエティに富んだクリエイションがパッケージされた展覧会です。
いやもう痛快、さまざまな色彩が溢れるだけでなく、そのすべてにスピード感が備わっているかのような、独特の爽快感と、しかしそこにはギャラリー名にアンダーグラウンドと冠されることだけあって、相当に分厚い危うさ、アウトローな社会性も伝わってくる空気感に包まれます。
まず、ドイツ人アーティスト、マーティン・マニグさんのサディスティックなペインティング。カートゥーン的な軽みの中に収まるシュールで危うい感覚。肖像的な作品が数点展示されていて、それらはいずれもどこか尖った雰囲気を感じさせてくれます。
大作では多くのモチーフがひとつの画面に収められることでそれぞれが醸し出す危うげな雰囲気がかさなり、あるいは衝突し、ネガティブなエネルギーを発しているように思えます。垂れる絵の具の痕、異常に豊かな表情のキャラクター群、それらを描き出す線の過激で繊細な風合い。時空をねじ曲げるように物語は交錯し、アバンギャルドな幻想へと導いてくれるような印象です。
黒川知希さんは一転して、同じくマンガ的な味わいをもたらしつつも、くっきりとしたキャッチーな描写がユーモラスな雰囲気を創り出します。
そして、マーティンさんが歪ませるのが時空、時間だとしたら、黒川さんのこの作品は空間を歪ませにかかっているような感じが痛快です。
圧倒的にポップな配色と個性が楽しく、そして色彩だけであればキャンディのように甘く分かりやすいイメージであるのに、何故だかそのシチュエーションにハードボイルドなクールネスを感じてしまいます。
野球なのは分かる、しかしこの幻影感というか、状況の奇妙さは、円城塔氏の小説「オフ・ザ・ベースボール」のベースボールのような、冷静と狂気、もしくは冷静な狂気、そういう要素の最短の帰結、そういった印象、自分で書いていても分からなくなってくるんですけど、その分からなさがまた頼もしかったり。
シチュエーションとしては比較的分かりやすそうなこの作品でも、そこかしこに現れる「ズレ」が、これだけキャッチーな色彩と線とで構成されていながらも、さまざまな奇妙さ、放たれる歪んだ空間性に、おかしい、変だ、と思いつつも引き込まれていくんです。
今回のグループショーが同ギャラリーでは初のお目見えとなる松橋萌さん、プレスなどでは平面作品を拝見していて、独特の風合いに興味を持ったのですが...
何だこれはぁぁっっ!Σ( ̄口 ̄;)
まあお約束、何故にランドセルしかも巨大その上微妙な色調、なんだかこの状況が提示された時点で
負けた・・・orz
と思ってしまった次第。ディテールの作り込み具合も微妙に微妙だったりするのも、あり!
むしろ、よし!
しかも背中に接する部分に設置されたモニター、そこで流されているアニメーションもなかなか面白く。
ところどころ強引に感じる部分がなくはないんですけど、カワイイ雰囲気に引いて呑まれるという器用な距離感で対応、いやもう楽しいんですよ。
ビルを模した作品も楽しいです。
「懸命」と「適当」のバランスがこの痛快さにメロウな濃密さをもたらしているような感じで。窓から覗く部屋の様子もいちいちほどほどに細かくて面白味が滲み出てきます。
メインスペースに展示された平面作品は、色使いの面白さが弾けます!
全体的な青みがかったトーンがもたらす不思議な気配感と温度感。絵が勝ている景色自体は案外現実的で、しかし側面に至るまで描かれる絵の具の質感は、ところどころに剥落を思わせるざらついたマチエルがあったり、あるいは高密度で複雑な広がりを見せる滲みがあったりと、そこかしこに観られる抽象性がとにかく面白いんです。
もっと見たい!
それぞれのクリエイションが放つアクティブな色彩感、その衝突がエネルギッシュな空気感をもたらしています。
なんかもう、ぱーん!と膨らんで弾けるような雰囲気に包まれているのが痛快で。この高揚感が堪らないんです!
立石大河亞/田中圭介/平川なつみ/松宮硝子「Unfamilier Landscape」
@山本現代
03-6383-0626
8/22(土)~9/12(土)日月祝休
11:00~19:00(金:~20:00)
TATEISHI,Tiger/TANAKA,Keisuke/HIRAKAWA,Natsumi/MATSUMIYA,Shoko "Unfamilier Landscape"
3-1-15-3F,Shirokane,Minato-ku,Tokyo<
03-6383-0626
8/22(Sat)-9/12(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00(Fri:-20:00)
4名のアーティストがフィーチャーされたグループショー、それぞれが見せる「景色」がなんとも不思議な響きを空間にもたらします。
入り口すぐに設けられたコンパクトなブース。こちらに田中圭介さんの小作品が展示されています。
お馴染みの構造、縦の動線が美しい造形の作品が正面に。
彩色の丁寧さと木々や雲の独特の仕上がり、それらの連なりの麓に佇むニワトリのなんともいえないかわいらしさ。このあたたかみと神々しさがが溢れる気配、それがコンパクトに収められて、そこに引き込まれます。
そしてここに並ぶ他の作品は、ユーモア溢れるシチュエーションが堪らないのです。刹那、
なぜそこに!Σ( ̄口 ̄;)
と思うも束の間、かわいらしさの加速とその一方でのんびりほんわかとした緩やかさ、さらにシュールさによる緊張感と、作り込まれたちいさな空間からさまざまなアクセントが交錯します。
メインのスペースにも、柱状の作品が。
この細さ、縦長の感じが、ある気配を凝縮させ、緊張感をもたらします。
そして柱状の造形に視線を這わせると、まるで綴られる物語のように、樹木と雲に紛れるようにしてそこかしこに場面を思わせるモチーフが登場し、人の姿こそ現れないものの、あるひとつの人生のの始まりと終わりを思い起こさせてくれるのが興味深く、そして深いイメージをもたらしてくれます。
お馴染み、ドゥークーヒープーという想像上の生命体を繊細なガラスの造形で表現する、一度目にしたら忘れられない松宮硝子さんのインスタレーション。
奥まった一角に、ひんやりとするような独特の緊張感に満ちた情景が作り上げられています。
その緊張感は、これまで以上にスリリングに届きます。
床にどっしりと座るのではなく、今回は足で立っています。体毛のように無数のガラスの棘が生える細い足4本で支えられる塊。構えるようにも思える佇まいに感心すると当時に、その姿がこの情景への意識の入り込みを加速させてくれます。
その4本足の塊から上へと伸びるガラスの線。
複雑に交錯するラインが上昇のイメージをもたらします。
そこかしこに現れる小さな塊の弾け咲くような感じや、ガラスの冷たく澄んだ透明感が、想像上の情景にさらに神々しい気配をもたらしているようにも思えてきます。
そして天井へ。
青い球体の、すべてのエネルギーを吸い込むような存在感。
ギリギリの調和が醸す果敢なげさ、空気の揺れさえも影響してしまいそうな際どさに圧倒されます。
孤高の緊張感を体感した後、あらためて平川なつみさんのペインティングを観る。
驚きの表情を浮かべる青年。
「んー?」と振り返る...なんですかねー、おそらく妖怪ランクはねずみ男とかこなきじじいとかその辺りじゃないんですかねー。一応カマ持ってたりして怖いですよねー。
・・・ていうか青年よ。
なんで小屋のなかにいるんだよ!Σ( ̄口 ̄;)
外から眺めてヤバい表情浮かべるんだったら分かる、なんでまた入んなくてもいいところに入っちゃってるわけですか、と。
しかも見つかってるし。
・・・そういうことを考え始めると想像はどんど暴走していきます、そこにあるすべてが可笑しく思えてくるという、いやもう最高。
そういう意味ではこちらもおおいに凄いのです。
何かが間違ってる!Σ( ̄口 ̄;)
もとい
すべて間違っとる!Σ( ̄口 ̄;)
と心の中で雄叫びを挙げる一方で、実はすべて正解だったりするかもしれないと思うと...
あーもうタマラン!!!(≧∇≦)ノ゛
となる次第。ああ、こんなに暗い色調なのに盛り上がること盛り上がること。
空間の描写がとにかく面白いんです。
不思議な広がりが感じられ、そしてこのダークな気配感。
もっといろいろと拝見してみたいです。
雰囲気も世界観もまったく異なるさまざまな個性が溢れ、痛快に乱れ交錯する空間を、立石大河亞さんの小品が力強く、そしてスマートに纏めます。
ふわりと軽やかで明るい色調、そこに描かれるシュールなモチーフ、奇妙な幻想世界。
特に今回出展されている作品は淡々とした感触が印象的で、その薄暗い気配感が深い静謐となって伝わります。
妖し気なモチーフの「分からない」感じ、謎めく感じがもたらすほんのりとした「怖さ」の緊張感にも惹かれます。
絵の世界に調和するかのような色が塗布された額に収まることで、その分厚くファットな世界観もまろやかに伝わってくるようにも感じられます。
さまざまな発見と、スピード感も深みも異なるそれぞれのクリエイションが引き立てあう面白味とが溢れていて、実に見応えある、体感し甲斐のある空間が提供されています。
《8/28》
@西武鉄道旧所沢車両工場
080-3537-3021
8/28(金)~9/23(水)水休
10:00~18:00
見応えがあって嬉しいです。
空間の大きさを活かしてそれぞれのアーティストがダイナミックな展示を展開、そのひとつひとつがエネルギッシュに感じられます。
ベテラン勢がその存在感を力強く放ち、若手も壮大な展開をここぞととばかりに繰り広げているように感じられます。そして平面作品も、いつもと違う雰囲気がひと味異なる気配を醸し出しているようにも思えたり。
《8/29》
松嶋由香利 "vacant evil"
03-5449-1559
8/22(土)~9/19(土)日月祝休
11:00~19:00
京都でのignore your perspectiveで、黒い紙に鉛筆で描いたドローイング作品が印象に残っている松嶋由香利さん。今回の個展では、そのときに発表された手法の作品を導入に、さまざまな色彩を取り込み、豊かな線や色面が画面上でアグレッシブに交錯、ヴィヴィッドな情景が織り上げられるように描かれていて楽しい!
さまざまな時間帯を思わせる作品が揃い、いろんなイメージが伝わってきます。
プレイ・ルーム 黒川知希 マーティン・マニグ 松橋萌
03-6459-3130
8/22(土)~9/12(土)日月祝休
11:00~19:00
このヴィヴィッドな色彩感はNANZUKA UNDERGROUNDの真骨頂。
黒川知希さんのクリアな色面構成、危うい風合いのモチーフがスリリングな気配を放つマーティン・マニグさんのペインティング、そして松橋萌さんのコミカルさが膨張する立体作品と、さまざまなテクスチャーが現れるペインティング、それぞれから突き抜けるような色彩のインパクトが痛快です。
立石大河亞/田中圭介/平川なつみ/松宮硝子「Unfamilier Landscape」
@山本現代
03-6383-0626
8/22(土)~9/12(土)日月祝休
11:00~19:00(金:~20:00)
メディアもさまざまなクリエイションがパッケージされ、見応えのある構成が繰り広げられています。
田中圭介さんの木彫作品のユーモアと深遠さ、松宮硝子さんのお馴染みの想像上の静物をモチーフとしたトゲトゲのガラスのインスタレーション。
平川なつみさんのペインティングは突っ込みどころ満載でひとたびその世界観に入り込むとどうしようもなく面白過ぎ、そしてこの奇天烈な構成を立石大河亞さんの額装された油彩作品がきりりと締める、そういう構成が印象に残ります。
河井美咲個展 Homeland 2020
03-5571-5844
8/29(土)~10/3(土)日月祝休
11:00~19:00
!Σ( ̄口 ̄;)
前回の個展も相当に濃いインスタレーションが繰り広げられていたこともあってある程度凄いものを想像していた...つもりだったのですが。
あのボリューム感、負けた...orz
とにかく、比較的小さめのスペースにぎゅうぎゅうに詰め込んだインスタレーション、そこに流れるのんびりと牧歌的な音楽と、嫌でもポジティブな気持ちにさせてくれる展示です。
渡辺明鈴香 昼景、伝言 day view and massage
03-6410-8881
8/24(月)~8/29(土)
11:30~18:30(最終日:~16:30)
直近では谷門美術での個展で拝見している渡辺明鈴香さん。
そのときはドローイングとペインティングで構成、ふわりとした感触が心地良かったのですが、今回はパネルに直に描かれた新しい手法の作品を発表。淡くあたたかみ溢れる色彩はそのままに、描かれるモチーフに広がりがもたらされたような感触が気持ちいいです。
組み合わせられるモチーフは思いのほかシュールなのですが、色彩のテイストがそれを自然な感じにしているのも印象的です。ところどころにちょっとくっきりとした色が灯され、それも良い塩梅のアクセントとなっています。
小品でも遊び心が溢れています。
いわゆるパワフルさ、強いインパクトはないのですが、このやさしい雰囲気、それがさらにナチュラルに進化しているような感じが嬉しく思えた次第です。
小橋陽介展
03-3621-6813
8/22(土)~9/12(土)日月祝休
11:00~19:00
いやはや、いつにもまして賑やかな...。
相変わらず天真爛漫に展開する自画像、アグレッシブに弾けるようなものある一方で、アンニュイな表情が印象的な作品もあり、バリエーションに富んだ雰囲気が痛快です。
「納涼について」
@成山画廊
03-3264-4871
8/17(月)~9/5(土)日水休
15:00~19:00
松井冬子さんの新作が...
おおぉぉぉぉぉぃぃぃぃっっっっ!Σ( ̄口 ̄;)
いや、凄いです。ある意味大問題作かと(汗)。
川口奈々子「7人の小人はまだ来ない」
03-5228-5616
8/29(土)~10/3(土)日月祝休
11:00~19:00
面白い!
これまでも有機的な色面の重なりでさまざまな情景を描き出していた印象がありましたが、今回発表された作品ではさらに色面のかたちが細かく複雑になり、密度の濃い描き込みがそのまま世界観の深さへと転化したような感じで。
ヴィヴィッドさはそのままに、妖しいメロウネスが溢れる空間が創り出されています。
藤原康博個展「記憶の肌ざわり」
03-6906-9556
8/29(土)~9/19(土)日月祝休
12:00~19:00
Yuka Sasahara Galleryでの川口さんの個展がさまざまな色に溢れていることもあり、この藤原康博さんの個展はその渋み、ダンディズムが深く感じられます。
さまざまなメディアの作品が配されていながらも、統一感に支配され、そこから伝わるイメージのソリッドさにも感じ入ります。
《9/3》
9/4(金)~9/6(日)月休
11:00~17:00(9/5:~19:00)
国内で初めて開催される、写真に特化したアートフェア。そのレセプションに行ってきました。
まず、構成が素晴らしいです。天井の高い空間に背の高いパーテーションが組み込まれ、ブースによって白と黒に壁面が分けられて、そのソリッドな空間が展示される写真作品を引き立てています。
そして何より、写真作品だけが展示されていることで、これだけ集中してチェックできるのかと思った次第。
TARO NASUのブースで紹介されていた松江泰治さんの新作、大阪から参加のMEMでの森村泰昌さんの軸装作品や今を知るものに撮ってはその雰囲気の差に驚かされる澤田知子さんの初期の作品群、TOMIO KOYAMA GALLERYノブースの黒の壁面によっていっそうそのシャープさを立ち上げられる福居伸宏さんの作品などが特に印象的。
小さなプリントの展示が少なめなのがちょっと残念な気もしましたが、ショーとして充分に見応えがあります。
山田純嗣 新作展 "The Pure Land"
@不忍画廊
03-3271-3810
8/3(月)~8/29(土)日休
11:00~18:00(土:~17:00)
Junji Yamada "The Pure Land"
03-3271-3810
8/3(Mon)-8/29(Sat) closed on Sunday
11:00-18:00(Sat:-17:00)
具体的なモチーフを得て、さらに深みを持ち、イメージの到達への加速が促される。。。
不忍画廊での山田純嗣さんの個展です。
自ら制作したジオラマを撮影し、その写真画像にさらに銅版による線描を重ねるという極めてユニークな手法で制作される、独創的なモノクロームの世界。これまではオリジナルな情景を導き出していましたが、今回は自らも慣れ親しみ、リスペクトするさまざまな名画をモチーフに採用。その遊び心にも満ちるアプローチが実に豊かな表現を生むだけでなく、観る側の想像の深度もダイナミックに後押しし、そして自身のオリジナリティ溢れる手法の面白さもより強く提示されているように感じられます。
さまざまなモチーフが登場します。
ダイナミックに再現される波、海景。
お馴染みの有機的な質感をたたえる造形のほっこりとコミカルな感触はそのままに、しかし波の飛沫の力強さなど、これまでは造形は有機的でも構造は一貫して無機だった印象から広がり、ある種のグラフィカルなアプローチがとにかく楽しく、想像を膨らませてくれます。
そして、そこに被さる銅版の線には、さまざまな隠れキャラが。臨場感たっぷりの壮大な波の造形の合間からひょこんと鯉が飛び上がっていたり、はたまた髑髏があるらしかったり、さらに波間の泡のようなものを思い起こさせる緻密なストロークが塊になっていたりと、いくつもの発見がその複雑な構造をもつひとつの平面のなかに散りばめられていて、見つける楽しみにも溢れています。
その隣に展示されている、一転して黒の世界。そして描かれるモチーフは炎。
尋常でない力強さにおおいに惹かれます。
おおらかな波の印象とは裏腹に、燃え盛る炎の一瞬のかたちを捉え、それを立体像系へで再現することで永遠のかたちへと落とし込み、そしてさらに写真で収めることで、実に深い深遠さ、静謐感、そして圧倒的に濃密な世界観が落ち出されているように感じられます。
また、重ねられる銅版の線描もストイックに有機的なパターンが紡ぎ出されていて、この作品における時間の流れのイメージを高次元のベクトルへと広げているように感じられます。
白と黒とのコントラストも実にユニークな見応えと見所を提供してくれています。
黒の画面に白が灯るような質感、降り注ぐ闇の気配が印象に残ります。
同じ構図、反転させたような構造の作品も。
構図自体が持つ渋み帯びる気配はそのままに、全体の色調が変わることで異なるクールネスが引き出されているように思えて興味深いです。
そして、もっとも大きな作品、ユニコーンをモチーフにしたダイナミックな世界。
まずはただ、そのサイズに圧倒されます。ちいさな空間でありながらも思いのほか俯瞰する余裕を持つこのギャラリーで、全体を眺めてそのスケール感と凛と力強く放たれる神々しい雰囲気に圧倒されます。
至近で眺めると、やはりそこに重なる銅版が面白い要素をサマザな真家たちで紡ぎ出しています。若干青みがかった色調であるのが、版の存在感を高め、そこに施される遊び心も鮮烈に立ち上がって感じられます。
もう一点、おおいに惹かれたのが、版を施さない、写真のみの作品。
ナチュラルの仕上げながらもずっしりとした重みを感じさせてくれる額に収められ、その造形の美しさ、力強さが濃密に引き出されています。
背景に広がる圧倒的に静謐で深い黒、そこに浮かび上がる炎の塊の造形。その重厚感は、杉本博司氏の蝋人形の作品のテイストを思い起こさせてくれます。
押し拡げられる表現がとにかく面白く、見応えも発見もあり、刺激にも満ちています。
機会があれば造形自体も拝見してみたいのですが、まずは平面で展開される分厚く重厚な情景にただただ感服、感嘆しきり、の展覧会です。
石川結介 "UNFINISHED ELIXIR" 未完のエリクシール
@藝術倉庫
栃木県那須群那須町高久丙3227-10287-77-0033
8/1(土)~8/30(日)月休
11:00~18:00
Yusuke Ishikawa "UNFINISHED ELIXIR"
@Nasu Warehouse-a contemporary art field
3227-1,Takaku-hei,Nasu-machi,Nasu-gun,Tochigi-ken
8/2(Sat)-8/24(Sun)
11:00-18:00
壁画家の面目躍如。圧巻、壮大な空間の創出。
藝術倉庫での石川結介さんの個展です。
昨年、浅草橋ラディウムの企画第一弾として登場した石川さんが、この夏の藝術倉庫に登場とあって、以前から楽しみにしていたのですが、その広々とした空間のポテンシャルが充分に発揮され、石川さんのクリエイティビティもそれを受けておおらかに響き、圧倒的にダイナミックな空間が創出されています。
まず、壁画に近い状況を想定して制作されるプレートの作品。
それぞれ広い壁面に1点ずつ飾られ、その情景に濃密に作用します。
比較的おおらかな構造が、逆に印象に残る作品。
画面に現れるかたちはすべてエッジが効いているにもかかわらず、鈍角の多様と濃い色彩がひときわメロウな風合いを醸し出しているように感じられます。
一転して複雑な構造を持つ作品、こちらになると鋭利なかたちの交錯がヴィヴィッドなインパクトを鮮烈に放ちます。
いっそうのきらびやかさがスピード感を伴って迫ります。
入り口に沿う壁面には小作品が丁寧な配置で並びます。
レインドロップ型の構造が面白いもの、そしておそらく一旦は板に描かれたものを切り刻み、再構築させたと思われる、そういう過程を彷彿させる作品が2点ずつ。
額装の作品は、実に複雑な立体構造も持ち合わせていて、これがシャープな混沌を三次元的にも創出しているのが面白いです。
そして、メインの壁画。
これがとにかく圧巻。
正面のもっとも広い壁面の全面が濃紺色に染め上げられ、その虚空に刺すようい鋭い交錯と揺らめくような艶かしさが重なり合い、独特の混沌が生み出されています。
複雑に折り重なるかたちは、思いのほか平面的に収まっているのも興味深いです。
前面に立ち上がるような臨場感よりむしろ、重力感にズレをもたらすようなアプローチ...壁面に向かって重量作用しているかのような錯覚を思い起こさせる、独特な気配がなんとも痛快です。
壁面に近づいて煽るように見上げると、そのスケール感はさらに膨張します。
また、この壁面のみに留まらず、全体の壁に続いてもたらされるグラデーションも面白い空間の創出に貢献しています。
正面の壁画から左手は、コーナー部分に短い間隔で、その右手は長短を織り交ぜて、空間構造的にアクセントがもたらされているのも興味深いです。
快哉を叫びたくなるような、痛快なスケール感が楽しく、そして嬉しいです。
基本的に壁面での展開、無論壁画家であるのでそれで結構なのですが、もし床面や天井にも描かれるようなことがあれば、どんな重力感が導き出されるのだろう、と想像するとまた楽しくなってきます。
何はともあれ、このボリューム感は頼もしいことこの上なく感じます。
そして、タイトル自体にも「未完」とあるわけで、次の展開も俄然楽しみです。
元田久治展
7/31(金)~8/30(日)月休
11:00~20:00
5-1-15-B1F,Jingumae,Shibuya-ku,Tokyo
7/31(Fri)-8/30(Sun) closed on Monday
11:00-20:00
より生々しく表出される、重く深いイメージ。
hpgrp GALLERY東京での元田久治さんの個展です。
これまでリトグラフでの制作をメインにされていた元田さん、最近はドローイングやペインティングも発表されていたのですが、今回は初めてペインティングをメインに構成。基本的にモノトーンでの展開だったところからそこに重い色彩が乗るだけでなく、キャンバスに定着する絵の具の素材の質感、なによりキャンバス、パネルの厚みが、そのクリエイションにこれまで以上に分厚い臨場感をもたらしているように感じられます。
描かれる情景はこれまで通りに想像上の近未来の朽ちた建築物。
しかし、すべては筆の痕跡をも生々しく残していることで、緻密な描き込みとともに随所に抽象性が濃密に現れ、リアリティと、むしろ幻想世界に近い非現実性とがひとつの画面で深い混沌を導き出しているように感じられます。
東京駅。
淀む色彩のなかに晒される朽ちた姿が、気配をいっそう重く感じさせてくれます。
ざらつく画面も雰囲気を深めます。
歌舞伎座を描いた作品。
改築が話題となっている建物ということもあって、さまざまな想いも過ります。
全体のトーンの褪せた感触や、思いのほか大胆に現れている滲みの痕跡、そして敢えて徹底した描き込みがなされずに仕上げられているのが、遠い気配感を漂わせているように感じられます。
剥落する壁面、潰れるスポーツカー、そこかしこに登場するモチーフが放つ独特のリアリズム。もしかしたら別の次元では現実なのかもしれない、という思いさえ浮かんできます。
朽ちた現代建築の緻密な再現性が、残酷なくらいに深い空の青に晒されます。
ざっくりと剥き出しになる骨組み。頽れ、廃れる感触は、精緻に表現される陰影でさらに深みを増し、経過した時間の厚みさえも思い起こさせてくれます。
また、空だけでなく、水面を埋め尽くす蓮の葉が、画面左下にぽつねんと浮かぶ蓮の白い花が、朽ちた建造物の儚さを生々しく、揺らめかせながら映し出す水面が、自然とその現象の強さを伝えているようにも感じられます。
事務所などにも小品をはじめ、水彩のドローイングやお馴染みのリトグラフ作品も展示されていて、これまでの元田さんの変遷もチェックできるのもありがたいです。
そしてそれを踏まえ、今ここに、ペインティングという強さを伴う表現へと至ることが大いに興味深く感じられます。
リトグラフでは徹底して、ストイックに近未来の再現性が追求されていたように思うのですが、無論その展開もこれから引き続き行われることと信じつつ、ペインティングではさらにその臨場感の追求と、絵の具の質感が自然にもたらす抽象性を巧みに画面に織り込んでの危ういアプローチとがそれぞれ深められ、これからどういう風に展開してくのだろう、と期待も深まっていきます。
これまでにない迫力に溢れています。元田さんのこれまでを知る方には、特にぜひ観てほしい展覧会です。
《8/8 Sat》
たけむら千夏 個展『2つのふし穴』
東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F
03-5449-8122
8/4(火)~8/30(日)月・8/10~8/20休
12:00~20:00
明るい額に収められた写真が並びます。
生活感が滲むもの、男性のヌード、憂いを帯びた女性の表情、遊び心に満ちたポートレイト、外の風景を撮ったものなどなど、さまざまな景色がそれでもひとつの統一感のなかに収められていて。
惹かれるもの、敬遠したいものとひとつひとつに対してまるで翻弄されるようにいろんな想いが沸き起こります。もう一度足を運んで、ゆっくりと観てみたいとも思ています。
このたけむらさんに限らず、スナップの延長(という表現が合っているのか分からないのですが)的な写真の展示は、写真に捉えられた光景の、そこに流れた時間の、そしてそれを撮った人との距離が客観的につかみづらくて、なんとも言い難い気分が湧いてきます。仮に面白い、と思ったときに、それはどんな感性が働いて面白いと思っているのかが分からないというか...。
その辺りの感覚もうまく伝えられるようになれたら、とも思ったりします。
藤井秀全展「Stain "Spread"」
@Akio Tamura@GINZA
03-5579-9581
8/3(月)~8/27(木)日・8/9~8/16休
11:00~19:00
昨年のstudio Jでのグループショーや今年のART AWARD TOKYO、先に会期を終えた混沌展などで印象に残る藤井秀全さんの個展。
乳白色のケースの中で滲むように赤い光が広がる作品が並び、未来的な空間が作り上げられています。
絵画的な色の広がりをテクノロジーで演出する感じがなんとも不思議です。
studio Jでも拝見した、透明のテープに光を当て、さまざまなグラデーションを発する作品も。
これだけ未来的な雰囲気を保つ、ざわつくような感覚、混沌とした感じはやはり面白いです。いろんな角度から眺めるごとに新たな発見を導いてくれます。
古川松平展
03-3567-7772
8/3(月)~8/9(日)
12:00~20:00(最終日:11:00~16:00)
艶かしさとシャープさとが一つの画面に絶妙のバランスで存在する作品が並んでいました。
ひときわ目立って感じられたのが、描かれるモチーフの具象的な部分へも想像性が高いと思われる作品。濃く思い色彩の多様が、世界観の濃度も深めているように感じられます。揺らめくようなファンタジーへと引き込むような感覚が印象的です。
多くの作品は、明るい色調が清々しく感じられます。
一部の圧倒的な具象性とそのまわりのグラフィカルな色のかさなり、さらにまわりの淡く浅い気配感。それぞれのコントラストが不思議な情景を思い起こさせてくれます。
日常的な感覚に煌めくようなインパクトを灯したような感触が楽しいです。
山下春菜展
03-3567-7772
8/3(月)~8/9(日)
12:00~20:00(最終日:11:00~16:00)
谷門美術での個展も印象に残っている山下春菜さん。
さまざまな料理が描かれ、その独特なタッチと彩りが痛快な臨場感をもたらしています。
描かれるモチーフの面白さと、それを拡大して描くことで生み出されるダイナミズム。
描かれるものが何であるかを認識した瞬間の面白さも楽しいです。
山田純嗣 新作展 "The Pure Land"
@不忍画廊
03-3271-3810
8/3(月)~8/29(土)日休
11:00~18:00(土:~17:00)
今回の山田さんの作品は、さまざまなクラシックの絵画を引用し、そこに描かれるモチーフを自身のジオラマで造形することで再現、そこからはいつものようにそのジオラマを撮影し、その写真に銅版画の緻密な線描を重ねる、といったもので、これまでの山田さんのクリエイションの中でもっとも具体的なイメージが湧いてくる感じが楽しいです。
全体の絵の力強さ、そこに重なる線で描かれる、隠れるモチーフが見つかっていく楽しさ。さまざまな要素が満ちています。
New Artists 2009 新垣美奈 笠井麻衣子 チョグト 永田惇也
03-5814-8118
8/1(土)~8/9(日)8/3休
12:00~19:00(最終日:~17:00)
4名のアーティストが紹介されている展覧会。
まずカウンターの壁面に並ぶのが、新垣美奈さんの作品。
あの夜祭りの和やかな雰囲気が、あったかい筆致で描かれていて、眺めていてほっこりと和めます。
なんとなく、麻生知子さんが描く雰囲気に通じるような心地よさを感じます。
自然な時間の流れを、且然に捉えたようなやさしい感触が嬉しいクリエイションです。
群馬青年ビエンナーレ2008での優秀賞受賞でも話題を集める永田惇也さん。
敢えて重たい色調、大胆なシチュエーションが採用され、これだけ鈍く滲む雰囲気にも奇妙なコミカルさが伝わってきてなんとも不思議です。
入り口から見て左手の壁面には油彩とドローイングがびっしりと。
大胆な筆致が痛快です。
コミック的な感触の面白さ、何だかよくわからないけど、というかわからないのが妙に笑える作品が、それぞれ濃密なアクセントを発しているように感じられます。
昨年のシェル美術賞でグランプリ不在で2名選ばれた準グランプリのひとり、笠井麻衣子さんの作品も。
ケレン味のない激しさを伴う筆致が白い画面に広がります。
ざわめくような雰囲気が、独特のタッチと色使いで綴られていきます。
そこに収められる瞬間、そのスリルも鮮烈に伝わってくるような感じです。登場する女性、女の子の髪が振り乱れる様子の臨場感も印象的です。
大きな画面の作品では、さらにその鮮やかな発色が白い背景に乗り、放たれる鮮烈な世界感に引き込まれます。
刹那な筆致の臨場感、さわさわと心にざわめきが生まれ、それでいてすうっと猛スピードで浮かび上がっていくような空気感。もっといろいろと拝見したい世界です。
チョグトさんのアニメーション、零戦が飛ぶ作品、じっくりと拝見する余裕がなかったのが残念でしたが、そこに綴られた濃いストーリーも心に残っています。
この日はワンピース倶楽部の2回目の展覧会「はじめてかもしれない」へも。
さまざまな作品が並ぶ様子は圧巻、そのバリエーションの多さも何だか楽しく感じられた次第。
こういうシチュエーションでないと絶対にあり得ない作品同士が並んでいるのもあって、それがまた見事に収まっているのがまた面白かったり。
《8/9 Sun》
石川結介 "UNFINISHED ELIXIR" 未完のエリクシール
@藝術倉庫
栃木県那須群那須町高久丙3227-10287-77-0033
8/1(土)~8/30(日)月休
11:00~18:00
レントゲンヴェルケが持つ、ダイナミックなクリエイションを懐深く受け止める空間、藝術倉庫。ここでこの夏に個展を行うのが、壁画家の石川結介さん。
正面の大きな壁面に描き上げられる巨大な宝石のモチーフにまず圧倒されます。壁全体も塗布され、それが空間全体に硬質なコントラストをもたらし、他に展示される作品とともに、まさにダイナミックな空間が創り出されていて圧巻です。
廣瀬智央展「ウェルトゥムヌス」
0287-69-0226
8/1(土)~8/30(日)
いつか伺いたいと思っていた板室温泉大黒屋。車での慣れない坂道の移動はなかなか難儀でしたが、藝術倉庫から30分ほどで到着。
漆喰風の壁面を背に飾られる、ちいさなさまざまなものが浮かぶ透明のアクリルや、板の間に置かれる作品、写真など、都内のギャラリーで拝見したのとはまた違い、意外にもそういったシチュエーションでも合っている、もちろんギャップはあるのですがそれを含めて楽しく感じられます。
わざわざ社長の室井氏もお出でいただき、いろいろとお話を伺えただけでなく、パーマネントで設置されている菅木志雄さんや矢部裕輔さんなどの作品へもご案内いただき、恐縮しながらもそれぞれの作品がナチュラルに放つ魅力にもおおいに魅了された次第。
《8/11 Tue》
響像】KYO-ZO【川鍋道広+津田翔平+小林昇太
03-3499-1003
7/31(金)~8/11(火)
12:00~19:30
面白かった!
観られてよかった!
吹き抜けて圧倒的な高さを持ち、立体的に大きいこの空間を暗室に仕立て、そこに赤い光が粛々と交錯。空間内に配されるさまざまな線がその赤い光線を受け、そこかしこに赤の光が動いていく、重厚なミニマムミュージックを伴いながらさまざまな要素が降り注いででくる空間。
アイデアのダイナミズムとそれを具現化させてしまうバイタリティにも感服させられた次第、今後の展開も楽しみです。
えっぽい 岡本梨江 片山真妃 宮内理
03-3479-0332
8/10(月)~8/16(日)
11:30~19:00(最終日:~17:00)
3名の女性アーティストのクリエイションがぎゅっと詰め込まれ、その濃密さが楽しい展覧会です。
いきなり最初の空間から、実に濃密な世界観に包み込まれます。
宮内理さんのインスタレーション。床にびっしりと置かれる木琴の上を手袋が這い、からからと心地よく、涼しげなノイズを奏でています。
見上げると銀色の風船がびっしりと。
なんとも凄まじいシチュエーションに呆然。なんだか「負けた・・・」って感じが痛快で(笑)。
で・・・・
なんだお前は!Σ( ̄口 ̄;)
この紙袋がかわいいんですよチクショウ!!!!!
奥の空間にはもうふたりの作品がずらりと壁面を埋めています。
岡本梨江さんは、グラフィカルなモチーフを多用し、さまざまな素材を用いてポップに展開。幾何学的な要素の重なりが未来的なイメージを立ち上がらせます。
片山真妃さんは一転して、生々しい筆致が印象的です。
七夕の飾りのようなものをモチーフに、それを画面いっぱいに描くことで大胆な情景が生み出されています。
一角を埋め尽くす小品群も、その「もの」として放たれる濃密な空気感で迫ります。
都市的知覚 PERCEPTION AND URBAN ENVIRONMENTS
トーキョーワンダーサイト本郷
03-5689-5331
8/11(火)~8/30(日)8/17、8/24休
11:00~19:00
映像作品が多いです。
今回はゆっくりと拝見することが叶わなかったのですが、そのなかで前林明次さんのインタラクティブなインスタレーションは体験。ヘッドフォンを装着して着席、そこから始まる深い世界観。沈み込むようにどんどんと入り込んでいき、さまざまなちいさなエポックが次々と、淡々と発生していくのを目の当たりにしながら、あっという間に5分間。面白いです!
トランス 小池一馬
03-6807-9987
8/11(火)~9/6(日)月休
13:00~21:00(日:~19:00)
木彫、水彩、そして前回の個展で発表されたペインティングと、現在の小池さんのクリエイションが網羅されるかたちでパッケージされています。
なかでも、ペインティング作品が、前回からさらに進化し、キャッチーな面白味を増しているのが興味深いです。木彫もその独特の造形の面白さは相変わらず!
《8/12》
NEGAPOP 吉永蛍 蔭山忠臣 平川恒太 尾家杏奈 樽井英樹
03-3569-0005(代表)
8/12(水)~8/16(日)
11:00~19:00(最終日:~15:00)
5名のアーティストがフィーチャーされた展覧会。
それぞれに、若さを発揮しほとばしる個性が提示されているのが楽しいです。
先頃会期を終えたばかりのWADA FINE ARTSでの個展も印象深い尾家杏奈さんは、新作1点を含む3点を発表。平川恒太さんはこれまでの展開から一旦離れ、抽象性の高い世界観を展開。吉永蛍さん、樽井英樹さんはそれぞれ大きな作品が印象的です。
「変成態-リアルな現代の物質性」展 vol.3 泉孝昭×上村卓大 「のようなもの」の生成
7/25(土)~9/5(土)日月祝休
11:00~19:00
Formation of "something like" Takaaki Izumi,Takahiro Murakami
1-2-11-B1F,Higashi-kanda,Chiyoda-ku,Tokyo
7/25(Sat)-9/5(Sat) closed on Suncay,Monday and national holiday
11:00-19:00
gallery αMでの通年企画、「変成態-リアルな現代の物質性」展の第3弾。泉孝昭さんと上村卓大さんという、これまた絶妙なパッケージ。お互いのスタンスがユニークな解釈のい響きをもたらしています。「のようなもの」、というタイトル、絶妙です。
まず、六本木時代のTARO NASUでの個展や、名古屋でのグループ展、さらに昨年のECHOへの参加も印象に残っている泉孝昭さんの作品。
唐突に置かれるパレット。生木のナチュラルな色と、さまざまな色に塗り分けられ、無造作に置かれる天板が、「もの」の質感とは裏腹な軽やかな雰囲気を滲ませています。
パレットというと、倉庫などでフォークリフトが持ち上げている様子などを思い浮かべるのですが・・・
なんとなく眺めていると...
あれ?(・。・)
これ、なんかおかしくない?(・。・)
で、さらにしげしげと眺めて...
釘打ってねぇ!Σ( ̄口 ̄;)
結局のところ、これはパレットではなくて、一部塗装がされている木材がただ積まれているだけという。
なんだかやられた感じ、それに気付いて妙に痛快な気分が湧いてきた次第。
見た目から受ける勝手な解釈で、想像の中でそれに機能を持たせてしまっていたことに、いや、それに対して反省なんかはしないんですけど、この解釈の押し引きみたいな感覚が楽しく感じられます。
広い壁面に灯るように展示された、何か。
錆び付いた鉄板の欠片、潰れた空き缶、靴下(手袋?)。
それらがワイヤーに纏められて壁に打たれた釘に吊るされただけ、というものであるのに、しっかりと壁面と空間に作用して、けっこう強烈な存在感を放っているように感じられて、それもまた痛快なんです。
輪となったワイヤーの端がピーンと跳ねている様子やただシンプルに金具で留められたものたち、それらは普通に地面に落ちていそうなものであるのに、それなりの「美しさ」というか見事に収まっていて、観ていられるんです。
タイヤが回転する作品も。
こういうふうにタイヤが回転しても「だから何」という感じではあるんですけど、やはりその「何?」という想いから始まり、ここへと至る解釈に、ある醒めた感覚を伴いながらも妙に引き込まれて行くんです。
泉さんの作品が、さまざまなものを「そのまま」使う、もとい置いただけだったりする一方で、上村卓大さんのそれも同様に素材の質感が全面から現れていつつ、より「作った」感じが伝わります。
オレンジが鮮やかなネットで「WALL」。
目に飛び込む色の弾けるような感じはなんとも気持ちが良くて、しかし此れだけスカスカで「壁だ!」と主張する様子はコミカルで。
そして奥には、さらにさまざまな色彩が溢れる造形が。
たくさんのポリタンクが透明アクリルのケースに収められ、なんとも不思議な情景が導き出されています。
発色の異様なまでの良さが、そのシュールさを刹那、忘れさせてくれます。
上村さんもかたちなどを「そのまま」落とし込んでいく作品なのですが、見た目の「分かりやすさ」とは裏腹の製作の手間が感じられて、その行為自体からもユーモアが伝わってくるような気がします。
泉さんがじっくりと「何?」というところから鑑賞者のイマジネーションへズレをもたらす(案外、泉さんは何もやっていないような気がするのでそれもまた面白いです)のと比較すると、上村さんはもの凄く遠回り、懸命さが伴っているのにまずそれを感じさせず、むしろストイックなほどにパンと弾けるような痛快さ、シュールさを提供してくれているように思えます。
田中功起さん辺りを筆頭とする、自身のイメージと作品との距離をなくす方向で展開されるさまざまなクリエイションに最近興味が湧いてきているのですが、今回の泉さんと上村さんも、もしお互いに偶然同じ素材で同じものが作られたとしても、そこにある過程やイメージの差異が確実に存在して、そのこと自体が面白く感じられます。
今回の展覧会でも、それぞれのベクトルで、それぞれのスタンスから発生される「ズレ」がもたらしてくれるイメージがとにかく楽しいんです。
梅津庸一「ゴールドデッサン」
7/11(土)~8/22(土)日月祝・8/9~8/17休
11:00~19:00
UMETSU Youichi - Gold Dessin
2-2-5-3A,Shintomi,Chuo-ku,Tokyo
7/11(Sat)-8/22(Sat) closed on Sunday,Monday,national holiday and 8/9-8/17
11:00-19:00
青い壁に何を見る・・・
ARATANIURANOでは2回目となる梅津庸一さんの個展は、僕が初めて拝見した梅津さんの個展での構成と近くて、まずそれが懐かしさと嬉しさとを心の中に沸き起こさせてくれまず。
同時に、それ以来の梅津さんの展示、前回の個展でのさまざまな要素を詰め込んでそれでもすべてを見せていないように感じられる鋭い混沌や同年開催の101 Tokyo ContemporaryのARATANIURANOのブースでの濃密なスリルが溢れる油彩画群、そして今年ZAIMで開催された「ZAIMIZAMZIMA」では先の個展での世界観が、梅津さん本人がそこに滞在するだけでなくさまざまな人々が関わることでさらに多彩、雑多な要素が入り込んで深まったような印象など、独特の妖しさが、激しく大胆な提示とは裏腹にどこか冷静で達観し、それらに接する鑑賞者の感覚を見透かしながら誘うような雰囲気が強く心に残っているのですが、そういった気配から一転し、デッサンのみで構成され、ストイックなまでにひとつの手法、しかも「金筆」を用いた作品のみが並びます。
壁面を独特の青に染め変えられた空間。
そこに、白い額に収められる金筆のデッサンが、しかもそれぞれは精緻な再現性を誇る作品が整然と散りばめられ、重厚さと透明感とが硬質に響き合って伝わってきます。
描かれるモチーフはバリエーションに富み、おそらく記録写真を基に描かれたものや、ユーモアを交えた静物画的な作品、身近な風景を思わせるものなどが、色調とタッチによる統一感の中に収められていて、奇天烈とも天真爛漫ともいえそうな、しかしある強い意志で選び抜かれたような、そのモチーフのチョイスに対するバランスにも独特な気配を感じます。
ほぼどの作品も、それが何であるか分かるのですが、唐突に抽象性が立ちのぼる作品が紛れていて、それが痛快で深遠な戸惑いをもたらします。
タイトルを拝見すると思わず笑みがこぼれてしまうような「なるほど」といった痛快さも秘められていたり。
とにかく、さまざまな面において、圧倒的な空間が作り上げられているように感じられます。
梅津さんが今回の作品を制作される上でいくつか自らに課したルールがあるそうで、そのひとつが、スロトーク、金筆のタッチの一切は点描のみで描き切る、ということだと伺いました。
素材の特性上、支持体である紙とのファーストコンタクトはある程度定着するものの、それが2度、3度と重なっていくとなかなか金筆の金の定着が難しいそうで、なのでここまで丁寧精緻に再現されたさまざまな情景の中に織り込まれるグラデーションは、いったいどれだけの時間を経て描かれているのか、ということへと想いが至ると、ただただ遠く、とてつもないものに感じられてくるんです。淡々とした作業の遂行へのモチベーションの維持とストイックさ、そしてそれと背中合わせの狂気へ畏れのような感情も抱きます。
そして、その筆致を、さらには作品の「もの」としての存在感を静かに際立たせる壁面の青。そこへもさまざまな想いが過ります。
何かしらの意図があるのだろうと思って梅津さんに伺うと、「ちょっとロマンチックな話になるんですけど・・・」と前置きされてからお話しされたのが、なんでも今回の作品はすべてファミレスで、諸々を持ち込んで制作されたそう。それもほぼ1日中、これも先に書いたルールのひとつなのですが、あるところまで描き切らないとその日の作業を終わらない、というスタンスで日々臨まれ、その日の終わり、それは夜を過ぎて早朝、日が昇る頃、窓際にできた作品を並べて眺めた時、ちょうど空の色がこんな青。。。
梅津さんご自身が眺めたのと同じようなのと近い状況で作品を観てもらえるように、との考えから、壁面がこのどこか深みを帯びる独特の青色に塗られたということを伺い、なんとなくほんのりと神々しい感じでもあり、力が抜けたときの安堵、ふわりとした気配に包まれるような印象ももたらしてくれて。。。
金筆という言葉とは裏腹に画面に収められたストロークは黒い輝きを鈍く放っていて、しかし、陽の光にかざすと本来の色を煌めせるそうで、この空間で展示された作品群が秘める力を目にすることが叶わないのが些かもどかしく・・・。
いや、それでも充分に独特の雰囲気に包まれ、やはりそこにどこかシニカルなスタンスも隠されているかのような緊張感も伝わってきたりして、さまざまな想像が広がり、重なっていくのが楽しく、またさまざまな感情も行き交って、それがこの展示と、さらには梅津さんのクリエイティビティとの距離、関わりをさらに濃くしてくれるような気がします。
金筆のストイックなタッチの集積を、青に染まる空間が醸し出す気配を、ぜひ直に体感してほしいです。
《7/31》
「My story -ひとりあそび」近藤恵介、黒嶋亮子、牡丹靖佳、Aurelie Mathgot
7/31(金)~8/29(土)日月祝・8/11~8/15休
12:00~19:00
4名のアーティストをフィーチャー。MA2Galleryが企画するグループショーは、いつも独特の静謐に満ちていてそれがもたらしてくれる落ち着きと潜む無邪気さとが楽しいのですが、今回も例に漏れず、ステキな空間が紡ぎ上げられています。
オペラシティでのproject Nで拝見して印象に残っている近藤恵介さんと東京と大阪とでチェックしている牡丹靖佳さんとが冷静にせめぐ1階、黒嶋亮子さんとAurelie Mathgotさんの、布や糸の質感が活かされる緩やかな世界観、それぞれに豊かな響きをもたらしていて心地よいんです。
「こ わくな い もん」隠崎麗奈 源生ハルコ トーヴェ・クレイスト
7/31(金)~8/29(土)日月火祝休
12:00~19:00
3名の女性アーティストを紹介する展覧会です。
それぞれのクリエイションメディアも発色の勢いも異なっているのにも関わらず、拝見する前のイメージも、そして実際にその空間に足を踏み入れても、実に見事に調和しているのが心地よく感じられます。
タイトルにある「こわい」要素は後々考えて「・・・もしかしたら・・・?」と思うことはあるのですが、それ以上に気持ちよさ、清々しさが空間を満たしています。
混沌から躍り出る星たち2009
7/31(金)~8/8(土)
11:00~20:00
面白い、そして嬉しい!
毎年開催でお馴染みの、京都造形芸術大学の昨年度の修了制作から選ばれた力作が登場、先のART AWARD TOKYO 2009で一度拝見している作品も多く登場し、その再会も含めて発見と再確認の連続でとにかく充実しています。
ふたたび拝見する川上幸子さんの緻密な線がレイヤーK状に重なる作品や寺村俊規さんのグレーを拝見としてふたりの人物が無機的に登場するペインティング、荘厳で繊細なストロークが紡がれてエキゾチックな情景を導く藤居典子さんの作品などは、ショーウィンドウ越しでない状態でよりその繊細さや大胆さが伝わります。
佐藤允さんの鉛筆画が観られるのもまた嬉しいです、このざわめき、凄まじい密度で詰め込まれたストロークのひとつひとつが未だうごめいているかのような感触が堪らないのです。
名古屋での個展を観に行けない極並佑さんの大きな作品、そのゆったりとしてキャッチーな空間性に触れられるのもまたありがたく。
高木仁美さんのレシートがまた面白い!至近で眺めて驚かされ、そこに記録されたものもまた興味深かったり。
藤井秀全さんの妖しく輝く光、井階麻未さんの波打つ色彩のダイナミズム、などなど、それぞれに濃密なインパクトをもたらしてくれて痛快です。
元田久治展
7/31(金)~8/30(日)月休
11:00~20:00
これまで一部水彩やペインティング作品も拝見していたものの、メインとして制作されてきたリトグラフの印象が強い元田久治さん、今回はペインティングのみで構成され、色の印象や画面のマチエルなど、描くモチーフこそ都市が破壊され風化する姿でありながら、これまでにない表情が大胆に提示されていて、見応えのある展覧会となっています。
《8/1》
若手作家グループ展「ネオネオ展 Part1 [男子]」
8/1(土)~10/18(日)月・8/14~8/17休
11:00~19:00
単純に大好きなアーティストの作品、それも初めて発表された展覧会で拝見している作品がずらりと並んで展示されているのがとにかく嬉しいです。
「あれもこれもここにあるのか」と思うと、あらためて感嘆させられる次第。
懐かしさと誇らしさとが押し寄せてくるのですが、そういったなかで、岩永忠すけさんの作品が放つ世界観の濃密さにおおいに惹かれたのと、雨宮庸介さんの一人掛けのソファがあるのが特に印象に残っています。
東あや おふろば展
7/27(月)~8/1(土)
11:00~19:00(土:~16:00)
暗めの照明に深く、艶かしく響くオレンジが強く印象に残ります。
おおらかで大胆な構図で描かれる浴室の情景。再現性の高さと景色の切り取り方の面白さなど、ユーモアも備える展開が印象に残ります。
今回の個展で展開された雰囲気の統一感は力強い説得力をもたらしているように感じられました、他の世界もぜひ拝見してみたいクリエイションです。
新世代への視点2009 佐藤裕一郎展
7/27(月)~8/8(土)日休
11:30~19:00(最終日:~17:00)
前回はパネル作品による構成で、絵画としての力を提示されていたのが印象的でしたが、今回は本来持つ本領を発揮するかのように、インタラクティブな空間が構築されています。
深い青のグラデーションが、いくつものパネルを立ててずらりと並べる空間構成に広がり、その臨場感が心地よく感じられます。
新世代への視点2009 菊池絵子展
@藍画廊
7/27(月)~8/8(土)日休
11:30~19:00(最終日:~18:00)
紙に鉛筆、という基本スタンスがイージーさを加速させているように感じられます。
しかし、イージーでライトな雰囲気でありながら、そこに紡がれる空間性はなんとも面白く感じられます。
それぞれの画面から始まるイメージの展開や変遷にも興味が湧いてきます。
新世代への視点2009 柳井信乃 "my obscure outline"
7/27(月)~8/8(土)日休
11:00~19:00(最終日:~17:00)
はじめてトーキョーワンダーウォールで拝見し、一度目にしたら忘れることのできない個性的な作品。
画面にビーズでできた無数の蟻が這う作品でお馴染みの、柳井信乃さんの個展です。
日本画を学ばれていた影響も、作品におけるおおらかでその実滋味に溢れる空間性や、張られる紙の精度など、随所に感じられるのも興味深いです。
蟻ではなく、もっとキャッチーな素材をちりばめた作品も。
ビーズでできた蟻は妙にリアルで、それらが画面を這う仕草もユーモラスに感じられたり。
大胆な空間性も、そのユーモアに拍車をかけてきます。
今回は写真作品や映像も展示されていて、そちらの展開も興味をそそられます。
強いインパクトを備えるオリジナリティを手にして、これからどんな展開が繰り広げられるかも楽しみです。
高松和樹展 距離感主義
7/27(月)~8/1(土)
11:00~19:00(金:~21:00、最終日:17:00)
ギャラリー戸村での個展での興奮も覚めやらぬまま、今度はGALLERY b.TOKYOでの高松和樹さんの個展です。
前回の個展から短い期間しか経っていないにもかかわらず、その作風にしっかりと進化の跡がみられるのが嬉しいです。
加速する構図の面白さに加え、緻密な部分における細やかさなど、細部にわたって深められる世界観。
また、独特の距離解釈もいっそう細かく分解され、それがグラデーションにさらなる複雑さをもたらしているように感じられます。
今後の展開として興味がわいてくるのが、表面ではなく内部へ距離の解釈が向かっているように感じられる作品。本来見えない部分が晒されるような感触が、危うさを加速させているように思えてきます。
それぞれの色面に盛り上げを加えるなどの工夫も、このコンセプトに力強さをもたらしています。
随所に織り込まれる遊び心や危うさなど、これからの展開も楽しみです!
新世代への視点2009 鎌田あや展
7/27(月)~8/8(土)日休
10:30~18:30
昨年のトーキョーワンダーウォールでひときわ濃密な世界を展開していて印象に残っている鎌田あやさん。どんな展示が繰り広げられるか興味津々だったのですが、映像なども駆使された不思議な空間が創り出されています。
水中に手を突っ込んで沈むさまざまなものを混ぜ返すなどの謎めく映像が壁面に重なり、そこかしこに配された鏡がその妖しい存在感を際立たせているように感じられます。
そしてその鏡には、さまざまなつけまつげが無数に。
女性のアイコン的なその雰囲気が、さらに不思議さを増して包み込み、引き込んでいきます。
衣類の山に灯る映像も。
女性的な素材が溢れていることもあり、落ち着かない感じもするのですが、なぜだかずっといたいような、色彩に包まれる感じの心地よさにおおいに惹かれた次第です。
さまざまな空間で、例えばもっとコンパクトな空間などでも観てみたいクリエイションです。
青木淳「夏休みの植物群」
8/1(土)~9/5(土)日月祝・8/9~8/24休
11:00~19:00
ARCHITECT TOKYO 2009関連で、さまざまなギャラリーで建築の展覧会が始まったこの週末、なかでももっとも面白く感じられた、TARO NASUでの青木淳さんの個展。
浮かぶサッカーボールの明かりなど、インスタレーションとして普段の展覧会を楽しむように楽しめたのが嬉しく感じられた次第です。
不死鳥と雉鳩 -真夏の夜の夢2- 徳本茉莉子 鈴木一郎太 山脇紘資
7/18(土)~8/8(土)日月祝休
11:00~19:00
CASHIらしさの一面、際どさを持つペインティングがパッケージされたグループショーです。
まず、徳本茉莉子さん。
艶かしい絵の具の質感は、至近では偶然生まれる抽象性の濃密さを感じさせつつ、全体では深く重い人物の仕草が創り出されています。
景色、ある場面を描いた作品。
筆致の豊かな深みと、色そのものの艶やかさ、一転して筆の運びが生み出す濃淡の抽象性が気配をより濃密にしているように感じられます。
横たわる驢馬かなにかの動物、そこに寄り添うふたりの女性、春から夏を思わせる広がる緑。その物語性への興味も湧く一方で、激しく漂う危うさにも引き込まれていきます。
額装された作品、円形の作品なども。
支持体のが、独特の風合いを導き出す、さまざまな個性が織り混ざるクリエイションです。
ぜひソロでも拝見したいです。
山脇紘資さんの作品は、滲むような色彩と、それとは裏腹に細部にまで感触が精緻に再現されるペインティグ。迫力があり、ダークな色調が溢れる画面に圧倒されます。
色調と、大胆な滲みや配色が紡ぎ出すアバンギャルドな雰囲気。
どことなく深い「怖さ」をたたえているように感じられます。
CASHIのこけら落としのグループショーにも登場していた鈴木一郎太さんも、ふたたび。
律儀な奥行き感が展開される風景画、ディテールの細やかな描写とおおらかな空間性とが一つの画面に備わっているのが面白く感じられます。
その情景へのイメージを具体的にキャッチできるのですが、あまりにも人の気配を感じさせない透明感と、それだからこそ揺れるような妖し気な雰囲気とがじわりと滲んでくるように思えてきます。
山脇さんの作品とはまた異なる「怖さ」が潜んでいるように感じられるんです。
若林佳代子 ―心証―
8/1(土)~8/29(土)日月祝休
12:00~19:00
ちょっぴりコミカルな、そしてやわらかいあたたかみがじわりと広がる作品が並びます。
木版の素朴感やパステルなどによる彩色のやわらかさなど、ホッとするような情景が嬉しいです。
市原研太郎キュレーション「Truth -貧しき時代のアート」
8/1(土)~8/29(土)日月祝休
12:00~19:00
フレッシュなクリエイションがパッケージされた展覧会、そのヴィヴィッドさに圧倒されます!
奥の空間のペインティングがズラルと並んでひときわ濃密な空間をつくり出していたのも強く印象に残り、さらに井上信也さんの緻密な線描が画面全体を浸食スルッ用に広がっている作品におおいに惹き込まれた次第。
アートと環境との対話 環境展「絶景」
8/1(土)~11/8(日)月休(祝日の場合は翌火休)
11:00~19:00
久々の大巻伸嗣さんの東京での個展、あらためてこの人のバイタリティとアイデアには感服させられた次第で。
よくもまあ、あれだけのゴミ焼却灰を持ち込んだものだと。。。
そしてしっかりとそこに横たわる重厚なメッセージ性。
栗山斉 ∴0=1 -prelude
東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F
8/1(土)~9/12(土)日月祝・8/9~8/17休
12:00~20:00
ヒューズの作品と、天体観測機器を用いた作品がそれぞれのコーナーに展示されています。
ヒューズの作品は、一つの画面にいくつもの光の破裂が灯っていて、それが不思議な動線を導き出しているように感じられ、なんとも不思議なイメージをもたらしてくれます。
天体のほうは、単純にその情景がかっこいいんです。そしてそれがどういう仕組みでもたらされているのかが分かるとまたさらに引き込まれていきます。
《8/2》
新世代への視点2009 藤原彩人展
7/28(火)~8/9(日)月休
13:00~18:00
A+(アプリュス)での展示も印象的だった藤原彩人さん、ギンザから自由が丘へと移転しおおらかな空間へと変わったgallery21yo-jでの個展です。
そのときに拝見した作品もふたたび登場、あらためてこんなに大きかったのか、と。
豊かな空間性を活かし、ダイナミックな構成が展開されます。
そしてそのす