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@Gallery TAGBOAT × 大橋仁 個展「ラッキーか?」開催記念 天才アラーキーをして「凄絶ナリ。」と言わしめた新鋭写真家、大橋仁。未発表作品を含む厳選のオリジナルプリントを、特別販売!

大橋 仁インタビュー、ついに掲載!つづいていく現実の中のファンタジー

大橋仁氏

20歳の時にキヤノンの公募展「写真新世紀」にて優秀賞を受賞、荒木経惟氏に絶賛されて以来、多方面で活躍を続けビョーク、トム・ウェイツ、くるり、平井堅、など数々のアーティストのCDジャケットや雑誌のカバー、福山雅治のプロモーションビデオの撮影なども手がける大橋 仁。1999年には父の自殺未遂という衝撃的事件を織り込みながら日常の生を綴った処女写真集『目のまえのつづき』(青幻舎)が話題になった。また2005年に出された2nd写真集『いま』(青幻舎)は発売後すぐ完売(現在第2版)。骨太で虚飾のない、ストレートな写真の魅力を持つこの作家にインタビューを行った。


『目の前のつづき』より
©Jin Ohashi

これ、昔の彼女なんですけど6年間つきあって別れた朝の写真なんです。そんなところを撮るのか、それとも普通に見ているだけなのかと言ったときに、僕は撮った。父親の写真もそう。自殺未遂を起こした朝に、撮るのか撮らないのかといったら、やはり撮っている自分がいた。日常の何ということもない生活の中に、どれほどの凄まじいファンタジーがあるのだろう。そういう瞬間が見たい。
僕のモチーフのメインは人物ですが、なぜ「人」なのかと言えば、撮らせないとか、もしかするとこちらが構えているカメラをひったくりに来るかもしれない、そういうリスク、ごまかしの効かなさみたいなものがあるからだと思う。すべてを意のままにできるものでないからこその魅力。だからこそ、そこでなりたったコミュニケーションで撮れた写真を自分は信じています。

僕の写真には特別な技術があるわけでもなんでもない。というか、そういうこと自体どうでもいいんじゃないかな。自分の世界観っていうフィルターにかけたいと思えば思うほど、逆にそれは現実とはかけ離れた甘い世界に見えてきてしまう気がするから。「どこまで普通に撮れるか」。自分の才能より、人が生きていていろんな現実がある、そういう確かなものの方が信じられる。

『目の前のつづき』より  ©Jin Ohashi

写真を始めたのは19歳の頃。最初、専門学校でグラフィックデザインを専攻していたんですが、すぐに自分には向いていないと思い、一人旅に出ました。フランスとスペインをずっと回り、そのとき持っていた古い一眼レフでたくさん写真を撮ったんです。そのなかからジプシーの女の子を撮った写真を「写真新世紀」に出してみた。そうしたら荒木経惟さんの目に留まって。「カッコイイジャネーカ!フレーミングが大胆でナカナカ」。結局3回連続出して、最初の2回が佳作、3回目に優秀賞。ある意味トントン拍子だったためそれで食えるのかなと思ってしまったんですね。ところがぜんぜん仕事が来なくて(笑)。なかばあきらめていたときに今度はある雑誌の特集で「『天才アラーキーの選んだ15人の若手カメラマン』で君の名前が荒木氏から挙がっているからやらないか」と出版社から電話がかかってきて。それからですね、少しずつ仕事できるようになって。週刊誌で写真を撮らせてもらったり。『ロッキングオン・ジャパン』『ナンバー』『スイッチ』などの雑誌でも仕事をやらせてもらえるようになって、今はミュージシャンの撮影や、2000年からは映画、PV、CMなどの動画撮影にも参加させていただくようになりました。
これまでに写真集を2冊出していますが、自分の世界に安心できたことはありませんでした。できあがったものに対して、何かを感じると言うより、もう撮ったはじから終わってしまう、そんな感覚。だからこれが撮れたら満足、ということはない。次、次。自分が反応したものに対して、どれだけ体を動かしていくことができるのか、まだまだ動けていないし、怠けすぎだと思うんです。

今、改めて女性が撮りたいと思っています。ちょうど今回の個展「ラッキーか?」(2006年9月5日〜10月8日 エモン・フォトギャラリー)がまさにそういう内容になっています。写真を撮り始めた最初、彼女を撮っていたし、仕事でも女性のヌードを撮るところから始めた。だから一周して戻ってきた感じでしょうか。自分の中の欲求として、体とこころが強く反応する一つの対象として、女性という性はとても大きく陣取っています。写真集の1冊目『目のまえのつづき』、2冊目の『いま』と、実生活をベースにして、自分のその時の頭の中を形にすることができたらいいなと思ってやってきました。人間という生きもののもっている反射神経やその特性、想像を遥かに超える命の力のようなものに引きつけられている限り、これからも自分の被写体の中心は人間そのものです。そして、欲望の根っことはどんなカタチをしているんだろうか、なんとかしてそこを撮りたいという気持ちを強くもっています。 自分は人間のどこに触れていたいのか、他人と自分のあいだにある、「まだ理解できていない場所」について、これからも見続けていきたいと思っています。

文・安田洋平 (インタビュー収録/10月4日 大橋 仁写真事務所にて)

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