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塩原氏 世界を股にかけるTOPディーラーが語る!「今、注目される“現代アート”の世界とは」 セミナー・レポート

TAGBOATのオフィシャルアドバイザーであり、アートディーラーとして国際的に活躍している「アート・オフィス・シオバラ」代表・塩原将志さんをお迎えして今のアート状況をいろんな側面からお話いただきました。以下、2008年3月15日にエムアウト本社で行われましたセミナーのレポートです。                                      文/安田洋平

Vol2.アートの市場トレンドを読む

アートの市場トレンドを読む

トレンドを語る上でオークション会社の動きを見るのは有効な策のひとつです。 参考までに2006年の世界の主要オークションの年間結果をまとめたデータを見てみましょう。

まず販売総額に対する技法別割合のデータで見てみると、ペインティングが75.7%を占めていて、その他は写真が2.2%、版画が2.6%などとなっています。

Auction Sales TurnOver 2006 / Weight by fine art category
Painting 75.7%
Drawing-Watercolor11.1%
Sculpture7.9%
Print2.6%
Photography2.2%
Other Media0.5%

次に出品総数に対する技法別割合のデータを見てみますと、ペインティングが47.6%となっています。つまり先ほどの販売総額と共に考えると、出品点数が少ない割に販売総額が大きいということになり、ペインティングが高く売れていたとわかります。写真は販売額と出点数のパーセンテージがほぼ同じなので、写真は安定したマーケットに入っているということができます。

Number of Transactions 2006 / Weight by fine art category
Painting 47.6%
Drawing-Watercolor23.9%
Sculpture5.7%
Print17.2%
Photography4.2%
Other Media1.4%

次に販売総額に対する作家出身国の割合データです。アメリカ 45.9%、UK 26.9%、フランス 6.4%、中国 4.9%、ドイツ 2.9%。アメリカはやっぱり強いです。中国は今やこれだけの市場となっているんですね。日本は「その他」に入ってしまっています。頑張らないといけません。

Auction Sales TurnOver 2006 / Weight by Country
U.S.A45.9%
U.K26.9%
Other Coutries7.2%
France6.4%
China4.9%
Germany2.9%
Italy2.8%
Netherlands1.1%
Sweden1.1%
Spain0.8%

2006年落札総額トップ100作家を見てみると、トップ1はピカソで3億3900万ドル(350億円相当)です。ピカソはアートマーケット全体におけるトップ1となってもう10年になります。第2位はウォーホル、200億円相当で、3年連続2位。リキテンスタインは2006年では10位となっています。それ以外、トップ10を見るとクリムト、ゴーギャン、シャガールなどモダンの作家が確実にセールスを上げているのがわかるかと思います。

Rank
2006
Artist(英語表記)Artist(日本語表記)Birth(year)Auction Sales Turnover (US$)
1PICASSO Pabloパブロ・ピカソ (1881-1973) 339,245,929
2WARHOL Andyアンディ・ウォーホル(1928-1987)199,392,442
3KLIMT Gustavグスタフ・クリムト(1862-1918)175,143,589
4KOONING de Willemヴィレム・デ・クーニング(1904-1997)107,373,446
5MODIGLIANI Amedeoアメデオ・モディリアーニ(1884-1920)90,713,845
6CHAGALL Marcマルク・シャガール(1887-1985)89,038,897
7SCHIELE Egonエゴン・シーレ(1890-1918)79,081,455
8GAUGUIN Paulポール・ゴーギャン(1848-1903)62,312,914
9MATISSE Henriアンリ・マティス(1869-1954)59,723,249
10LICHTENSTEIN Royロイ・リキテンスタイン(1923-1997)59,670,946

しかしアートマーケット全体の中でもコンテンポラリー部門は今、好調です。印象派のようなモダンと入れ替わってコンテンポラリーが引っ張ってオークション全体の成績を引き上げてきているという現象になってきています。

世界的にどこのオークション会社がよく売っているか。サザビーズ、クリスティーズ、フィリップスこれらのオークション会社は有名です。しかしそれ以外に最近はチャイナガーデンという新興のオークション会社を筆頭に、中国系のオークションがあがってきています。それだけ中国の市場が大きくなってきているのがわかります。国別の現代美術のオークション売上額で、日本はトップ10に入っていない。これからまだまだ伸び白があるんじゃないかと私は考えています。

Cotenporary art sales : TOP10 auction houses 2006/2007

No Auction House Lots Sold Auction TurnOver (US$) Top Hammer Price (US$)
1 Sotherby's 2310 163,780,397 12,752,080
2 Christie's 2546 158,016,471 4,869,480
3 Phillips, de Pury & Company 1985 67,343,138 1,872,000
4 Poly International Auction Co.,Ltd 336 24,244,570 1,982,600
5 China Guardian 298 16,851,608 3,473,280
6 Shanghai Hosane Auction 131 5,018,300 303,149
7 Artcurial 677 4,066,736 176,900
8 Ravenel 98 3,822,168 695,700
9 Hanhai Auction Co.ltd. 50 3,784,573 656,372
10 Cornette de Saint-Cyr 486 2,427,200 180,000

今後注目の市場

今新興成長市場として個人的に注目しているのは、インドとロシアです。アート市場は国の経済繁栄の度合いを示す良い指標ですが、両国とも経済が発展が目だっています。事実、ロシアのアートマーケットは今上がり始めていて日本ではあまり紹介されていないですがモスクワのビエンナーレやモスクワアートフェアが活気づいています。

インドの作家たちも経済の活況を背景にコンテンポラリーアートのマーケットが認知され始めている。NYのギャラリーでもインドの作家で展覧会がすごく増えてきています。

今後注目の作家

今、個人的に注目している作家の傾向は、一つ目にアフロ・アメリカンの作家です。「Frequency」という展覧会が2001年にスタジオ・イン・ハーレムで行われたのですが、これ以来にわかにアフロ・アメリカンの作家の評価が上がってきている。名前を挙げるとカラ・ウォーカーやワンゲチ・ムトゥなどです。

カラ・ウォーカー ワンゲチ・ムトゥ

もうひとつがブラジルとメキシコのアーティストです。今日、このセミナー会場でかけているヴィック・ムニーズも私が注目しているブラジル人作家です。今年は東京と現代美術館でもブラジルの若い作家展を行う予定ですがたぶんこの展覧会でも出品されるはずのロス・ゲネオス、その他ジャナイナ・チェッペなども、注目しています。

ヴィック・ムニーズ ジャナイナ・チェッペ

Vol.3 「欧米の成功者に見るアートの付き合い方、楽しみ方」に続きます。ご期待ください。

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