対談 大原美術館館長 高階秀爾×大原美術館賞受賞 蜷川実花 |
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1994年から始まり、今年で13回目を迎えるVOCA展。若手作家の登竜門としてこれまでに杉戸洋、やなぎみわ、照屋勇賢など錚々たる作家たちを世に送り出してきました。今年のVOCA展では、タグボートでもお馴染みの蜷川実花さんが大原美術館賞を受賞されました。受賞作は、「the otherside」。燃えるような赤を基調とするパネルの上に40点もの鮮烈な色彩の花の写真が配置された圧倒的な作品です。
3月13日に行われたVOCA展受賞式ではなんと、実行委員長の高階秀爾さん(大原美術館館長)と蜷川実花さんをキャッチ! このたびの蜷川さんの受賞についてお二方にお話を伺いました。
受賞作品の前で
蜷川実花(左)、高階秀爾(右)
作品について質問をする高階氏
大原美術館賞授与
このたびは受賞、おめでとうございます。
ありがとうございます。
今回の作品、造形として印象が強烈ですね。まず、あれだけ思い切って色が強いというのは、圧倒されますね。色も合成ではなく、普通に撮ったと聞きましたけど。
はい。
全部造花なんですって?
はい、そうなんです。
背景にある花は?
あれも造花です。
撮影場所は南の島ということだけれど、どこら辺なの?
グアムとサイパン、それにメキシコです。全て、その土地の住民たちが墓地に手向けた造花を撮影しました。
南の島は暑いので生花をささげても、すぐに枯れてしまう。それで造花をささげているという…。だから墓にはいつも花が一杯でしたね。特に土日明けだとすごい量で。死者の眠る墓に枯れない花を手向けようという人の気持ちというのは、時に生花よりも本物に見えるようです。
そうですね、人は死者に対してどうして花を手向けるのでしょうか。太古から続いている全地球的な現象なんですよね、なぜなんでしょう。
そういえば、そうですね。
だから、蜷川さんは面白いところに目をつけたな、と思って。クローズアップした造花と土地の風俗を結びつけて一つの新しい世界を作っている。僕だけではなく、大原美術館のキュレーターたちも高く評価していますよ。
嬉しいです。
今までも色々賞取ってきてらっしゃるじゃない?
全部写真関係の賞なんです。だから、今回このような賞をいただけるのは、やっぱり嬉しいです。
最近の仕事は一段と充実してきていますね。
今回は生花ではなく造花を撮ることで、対象の力だけではなく、コンセプトや構成の感覚にも非常に優れているところを見せてくれたと思いますよ。
ところで、写真を撮り始めてどのくらい?
職業として撮り始めて、12年目になります。学生時代はグラフィックを専攻していました。でも、ずっと写真が面白くて、公募展に出品したら賞をいただいて…。
フィルムの現像はご自分で?
現像はラボで、プリントは自分で行います。プリントは最後まで見ていないと、結構イメージと違うことがあるので。
最近はデジタル化してきているから。
いずれ、フィルムが無くなってしまうかもしれませんね。みんなきれいに、クリアに、となっていくので、遊びのある機材がなくなってしまって寂しいです。
あなたはアナログ?
はい、100%アナログです。
花以外にも撮るの?
はい、旅の風景とか、人物とか。近々映画も撮影する予定です。
それは楽しみですね。今後の活躍も楽しみにしています。
ありがとうございました。
― 『VOCA展2006』 “選評”より一部抜粋 高階秀爾)